地図表示装置及び地図表示法
【課題】操作者がタッチパネルに極僅かな時間で瞬間的に触れた場合、及び操作者がタッチパネル上に置いた指をスクロールさせた場合の何れでも入力ミスの低減を図る。
【解決手段】画面に地図を表示可能な表示器3と、画面に対するタッチ操作を所定検出周期で検出可能なタッチパネル10と、第1の周期でタッチパネル10に対するタッチ操作が検出された後、第1の周期よりも長い第2の周期でタッチパネル10に対するタッチ操作が検出されるように、タッチパネル10の検出周期を変更するマイクロコンピュータ8と、タッチパネル10によるタッチ操作の検出結果に応じて、表示器3の画面に表示された地図をスクロール表示する制御回路6とから地図表示装置を構成する。
【解決手段】画面に地図を表示可能な表示器3と、画面に対するタッチ操作を所定検出周期で検出可能なタッチパネル10と、第1の周期でタッチパネル10に対するタッチ操作が検出された後、第1の周期よりも長い第2の周期でタッチパネル10に対するタッチ操作が検出されるように、タッチパネル10の検出周期を変更するマイクロコンピュータ8と、タッチパネル10によるタッチ操作の検出結果に応じて、表示器3の画面に表示された地図をスクロール表示する制御回路6とから地図表示装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地図表示装置及び地図表示法に関し、特に、画面に地図を表示可能なカーナビゲーション装置において、画面に対する瞬間的なタッチ、及び継続的なタッチの両方を確実に検出して、画面上の地図をスクロールさせることができる地図表示装置及び地図表示法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示器を備える電子機器、例えばパーソナルコンピュータ、電子複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、ビデオカメラ等では、電子機器の筐体に設けるスイッチの数を減らして小型化を図る等の理由で、表示器の画面自体にスイッチの機能を持たせることが実用化されている。このような画面スイッチとしては、画面上の座標位置を入力することができる位置表示装置(ポインティング・デバイス:画像位置表示装置とも言う)が使用される。
【0003】
位置表示装置の代表的なものに、タッチスクリーンを用いたタッチパネルがある。タッチパネルは、表示器の画面上に重ね合わせて設置され、タッチ(押下)された画面上の座標を検出するものである。画面へのタッチは指で行われることが多いが、ペン等の道具を用いて画面へのタッチが行われることもある。このようなタッチパネルは、表示器にスイッチを表示しておき、このスイッチに重なる部分のタッチパネルをタッチするとそのスイッチがオン/オフされるような使い方が一般的である。
【0004】
一方、パーソナルコンピュータの表示器の画面に絵を描く場合や、カーナビゲーションン装置の表示器上でルートを設定する場合に画面上で地図をスクロールさせる場合等は、タッチパネル上にあるスクロール方向を示すタッチスイッチにタッチしたり、タッチパネルの中心に対してスクロールさせたい方向にずれた位置をタッチするというタッチ操作が行われる。
【0005】
このようなタッチパネルとしては、抵抗膜の両端に直流電流を印加したアナログ方式(抵抗式)のタッチパネルが一般的である。また、アナログ方式で静電容量方式のものもある。アナログ方式の抵抗式のタッチパネルでは、タッチされた位置の電位を検出することにより、分解能の高いタッチパネル上の座標位置を算出することができる。更に、受発光素子でセンサ領域を網目状に形成したデジタル方式(光学式)のタッチパネルも知られている。
【0006】
ところで、アナログ方式のタッチパネルでは、パネルがタッチされたことを検出するために、周期的に抵抗膜の両端電圧を検出してパネルがタッチされたことを検出しているが、パネル上の2点がタッチされるとこれらを識別できず、タッチ位置を誤って検出してしまう可能性がある。そこで、第1の周期でパネルのタッチ状態を検出し、座標を検出・確定する必要がある時に、第1の周期よりも短い第2の周期で割り込み処理を行うものが特許文献1に記載されている。
【0007】
また、このようなタッチパネルでは、タッチパネルへのタッチが行われているか否かに関わらず、常に一定の検出周期でタッチパネルへのタッチを検出していたので、消費電力が大きかった。そこで、タッチパネルへの入力操作が継続されていない場合には、検出周期を長くして消費電力を低減させるものが特許文献2に記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開2000−47806
【特許文献2】特開平9−152932
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に開示のような第1の周期でのパネルへのタッチ状態の検出を行うタッチパネルや、特許文献2に開示のような常に一定の検出周期でタッチパネルへのタッチを検出しているタッチパネルでは、操作者がタッチパネルに極僅かな時間で瞬間的に触れた場合、この瞬間が検出周期の間の時間である場合にはタッチを検出することができないという問題点があった。前述のデジタル方式のタッチパネルでも同様の問題はある。
【0010】
これに対して、タッチパネルへのタッチ状態の検出周期を非常に短くすることが考えられるが、タッチパネルへのタッチ状態の検出周期を短く設定すると、カーナビゲーション装置のように、操作者がタッチパネルにタッチし続ける動作(地図のスクロール操作)を行うと、検出タイミングが速すぎるためにスクロールが急になったり、画面にダブルタッチしたように検出されることがあり、操作者には入力ミスがあったように感じられてしまうという問題点が発生した。
【0011】
即ち、例えばタッチ検出1回あたりの地図のスクロール量(単位ドット/タッチ検出1回)が予め定められている場合、タッチの検出周期が非常に短いと、所定時間内におけるタッチの検出回数が多くなり、タッチパネルをタッチしたまま継続している間のスクロール量が多くなってしまう。これより、操作者には地図のスクロールが速くなったように感じられてしまう。
【0012】
また、操作者がタッチパネルに瞬間的にタッチした場合(操作者はシングルタッチの認識である場合)にも、タッチ状態の検出周期が非常に短いと、操作者が画面にダブルタッチしたように検出されてしまう。これにより、操作者には入力ミスがあったように感じられてしまうという問題点があった。
【0013】
そこで、本発明は、タッチパネルを備えると共にカーナビゲーション装置のように表示画面に地図を表示できる装置において、操作者がタッチパネルに非常に短い時間で触れた場合、及び操作者がタッチパネルにタッチし続けるスクロール操作を行った場合でも、入力ミスが発生することのない地図表示装置、及び地図表示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成する本発明の地図表示装置は、画面に地図を表示可能な表示手段と、画面に対するタッチ操作を所定検出周期で検出可能なタッチ検出手段と、第1の周期で画面に対するタッチ操作が検出された後、第1の周期よりも長い第2の周期で画面に対するタッチ操作が検出されるように、タッチ検出手段の検出周期を変更する検出周期変更手段と、タッチ検出手段によるタッチ操作の検出結果に応じて、画面に表示された地図をスクロール表示する表示制御手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
また、前記目的を達成する本発明の地図表示方法は、画面に地図を表示する表示ステップと、第1の周期で画面に対するタッチ操作を検出する第1のタッチ検出ステップと、第1の周期で画面に対するタッチ操作が検出された後、タッチ操作の検出周期を、第1の周期よりも長い第2の周期に変更する検出周期変更ステップと、第2の周期で画面に対するタッチ操作を検出する第2のタッチ検出ステップと、第1または第2の検出ステップにおけるタッチ操作の検出結果に応じて、画面に表示された地図のスクロール表示を行う表示制御ステップとを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の地図表示装置及び地図表示方法によれば、操作者がタッチパネルに非常に短い時間で触れた場合でもタッチパネルへのタッチを検出することができると共に、操作者がタッチパネルをタッチし続ける地図のスクロール操作を行った場合でも、入力ミスが発生することがないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を用いて本発明の実施の形態を、具体的なタッチパネルの実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例では、アナログ方式の抵抗式タッチパネルについて説明するが、本発明は、アナログ方式の静電容量式タッチパネルや、受発光素子を網目状に形成した、デジタル方式の光学式タッチパネルについても適用可能であることは言うまでもない。
【0018】
図1は、本発明の地図表示装置の一例であるタッチパネル10を備えたナビゲーション装置7の構成を示すものである。タッチパネル10は、一対のX電極端子XL,XRを有するX側抵抗膜1と、一対のY電極端子YD,YUを有するY側抵抗膜2とが、所定間隔を隔てて対向配置されて構成されている。このタッチパネル10の裏側には、画像の表示を行う、液晶表示パネルを用いた表示器3が配置されている。
【0019】
タッチパネル10の4つの電極端子XL,XR,YD,YUには、これらの電極端子のうちの何れかの2つの電極端子間に、タッチ検出信号或いは座標検出信号の何れかの信号を供給できるスイッチ回路4が接続されている。スイッチ回路4には複数個のスイッチが内蔵されているが、この構成については後述する。
【0020】
また、スイッチ回路4とタッチパネル10の4つの電極端子XL,XR,YD,YUとを接続する回路は、全て分岐されて検出回路5に接続されている。検出回路5は、スイッチ回路4を通じてタッチ検出信号、或いは座標検出信号の何れかの信号が、タッチパネル10の4つの電極端子XL,XR,YD,YUのうちの2つの電極端子に供給されている時に、タッチパネル10の電極端子間から検出した電圧値によって、タッチパネル10に対するタッチの検出、或いはタッチパネル10のタッチ位置の座標の検出の何れかを行うものである。検出回路5で検出されたタッチの有無、或いはタッチ座標は、制御回路6に入力される。
【0021】
制御回路6は、検出回路5から入力された信号に基づいて、スイッチ回路4内のスイッチのオンオフ制御を行ったり、検出回路5から入力された信号をナビゲーション装置7に受け渡したりする。制御回路6にはナビゲーション装置7からの指令も入力される。検出回路5と制御回路6は、1つのマイクロコンピュータ8の中に内蔵させることが可能である。
【0022】
このナビゲーション装置7は表示器3に画像を送ることができ、地図情報や、映像情報を表示器に表示させることができるようになっている。例えば、ナビゲーション装置7は、制御回路6によって受け渡された検出回路5からのタッチパネル10のタッチ状態検出や、タッチ位置座標に関する信号に基づき、表示器3に表示される地図をスクロール表示させる制御等を行う。
【0023】
また、ナビゲーション装置7には、タッチパネル10を制御するためのマイクロコンピュータ8以外にも、ラジオ9Aを制御するマイクロコンピュータ8Aや、テープやディスクを駆動するデッキ9Bを制御するマイクロコンピュータ8B等が接続される。ナビゲーション装置7には、これ以外にもアンテナやスピーカ等が接続されるが、これらの構成は本発明の主旨ではないので、ここではその説明を省略する。また、ナビゲーション装置7の車両への搭載例については後述する。
【0024】
図2は、図1に示したタッチパネル10が、タッチされたか否かを検出するための回路構成を示す回路図である。この図には図1に示したX側抵抗膜1の抵抗値が抵抗RXで示してあり、Y側抵抗膜2の抵抗値が抵抗RYで示してある。また、図1に示した検出回路5と制御回路6は1つのマイクロコンピュータ8として示してある。
【0025】
スイッチ回路4の中には、この実施例では5つのスイッチSW0〜SW4と、4つの抵抗器Rと別の抵抗器RTがある。スイッチSW0は、5V(ボルト)程度の直流電源+Bとタッチパネル10のX電極端子XRとの間に接続されており、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW0からのオン信号によってオンするようになっている。スイッチSW1は、グランド(アース)とタッチパネル10のX電極端子XLとの間に接続されており、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW1からのオン信号によってオンするようになっている。
【0026】
スイッチSW2は、5V程度の直流電源+Bとタッチパネル10のY電極端子YUとの間に接続されており、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW2からのオン信号によってオンするようになっている。スイッチSW3は、グランドとタッチパネル10のY電極端子YDとの間に接続されており、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW3からのオン信号によってオンするようになっている。
【0027】
一方、グランドとタッチパネル10のX電極端子XLとの間には、抵抗器RTを介して別のスイッチSW4が接続されている。スイッチSW4は、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からのオン信号によってオンするようになっている。
【0028】
更に、タッチパネル10のX電極端子XR、XL、及びY電極端子YU、YDと、マイクロコンピュータ8の入力端子PNL−AD0〜PNL−AD3の間には、それぞれ抵抗器Rを備えた回路が設けられている。これらの4つの回路により、タッチパネル10のX電極端子XR、XL、又はY電極端子YU、YDに発生する電圧を、マイクロコンピュータ8側で検出することができる。なお、4つの抵抗器Rの抵抗値は同じでなくとも良い。
【0029】
以上のように構成されたスイッチ回路4を用いてタッチパネル10がタッチされたかどうかを検出する場合は、図2に示すように、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW2と出力端子PNL−SW4からオン信号が出力される。すると、スイッチSW2とSW4のみがオンとなり、他のスイッチはオフ状態となる。
【0030】
このスイッチSW2とSW4のみがオン状態で、マイクロコンピュータ8は、その入力PNL−AD1とPNL−AD2によって、X電極端子XLとY電極端子YUとの間の電位差を検出する。タッチパネル10がタッチされていない場合は、電圧が印可されているX側抵抗膜RXと接地されているY側抵抗膜RYは接触しないため、X電極端子XLとY電極端子YUとの間の電位差は直流電源+Bの電位に等しい。
【0031】
一方、タッチパネル10がタッチされた場合は、電圧が印可されているX側抵抗膜RXと接地されているY側抵抗膜RYが接触することにより、直流電源+Bからグランドに向かって、太線と矢印で示す経路で電流が流れる。この結果、X電極端子XLの電位が上昇する。このとき、抵抗器RTの抵抗値をタッチパネル10の抵抗膜1,2の持つ抵抗値RX,RYよりも大きくしておけば、X電極端子XLの電位が上がってY電極端子YUにおける電位に近づき、両者の差はごく僅か(ほとんど0)となる。
【0032】
よって、マイクロコンピュータ8は、その入力端子PNL−AD1とPNL−AD2の間の電位が電源電位の時はタッチパネル10にタッチがなく、入力端子PNL−AD1とPNL−AD2の間の電位が0の時にタッチパネル10がタッチされたことを検出することができる。そして、従来のタッチパネルでは、このスイッチSW4をオンするタイミング、即ちマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からオン信号が出力されるタイミングが一定であった。このオン信号は通常パルス信号であり、そのパルス幅は2ms程度である。
【0033】
そこで、本発明では、図1に示した制御回路6により、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力するパルス状のオン信号のタイミングを、タッチパネル10にタッチがない時には、10ms毎の短い周期とし、タッチパネル10にタッチがあった後は、100ms毎の長い周期に変更した。そして、タッチパネル10へのタッチが解除されたら、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力するオン信号のタイミングを、10ms毎の短い周期に戻すようにした。これを図3を用いて詳しく説明する。
【0034】
図3の時刻t0以前に示すように、タッチパネル10がタッチされていない時には,マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力するオン信号のタイミングが、10ms毎の短い周期になっている。そして、時刻t0においてタッチパネル10がタッチされると、このタッチが時刻t1における次のオン信号によって検出され、タッチ検出信号Tが”1”になる。タッチ検出信号Tが”1”になった直後にマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力するオン信号のタイミングが100msまで伸ばされても良いが、この実施例では、その後の時刻t3まで10ms毎の短い周期でマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からオン信号が出力されている。
【0035】
これは、この実施例では、時刻t1から時刻t2の間の10msの時間内でタッチパネル上のタッチ位置の座標の内のX座標が算出され、時刻t2から時刻t3の間の10msの時間内にタッチパネル上のタッチ位置の座標の内のYX座標が算出されるためである。そして、タッチ検出信号Tが”1”の状態が継続されていれば、タッチパネル10上のタッチ位置のXY座標が算出された後に、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力されるオン信号までのタイミングが100msとされる。なお、時刻t2とt3で立ち下がる2つのオン信号は、この時点におけるタッチパネルへのタッチを検出するためのものである。
【0036】
また、この実施例では、100msの間隔を空けて次のオン信号がマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力された直後は、続けて10ms毎に2つのオン信号がマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力される。そして、連続する3つのオン信号の、最初の信号と2番目の信号の間の10ms(時刻t4と時刻t5の間)と、2番目の信号と3番目の信号の間の10ms(時刻t5から時刻t6の間)に、タッチパネル上のタッチ位置の座標の内のYX座標が算出される。タッチ検出信号Tが”1”の状態を継続している間は、この動作が繰り返される。
【0037】
一方、時刻t7でタッチパネル10へのタッチがなくなった場合は、時刻t6で立ち下がったオン信号のパルスの立ち上がりから100ms後に、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力されたオン信号で、タッチパネル10へのタッチがなくなったことが検出される。すると、タッチ検出信号Tが”0”になり、このオン信号が立ち下がる時刻t8以後は、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からオン信号が10ms毎に出力される。
【0038】
ところで、一般に、操作者がタッチパネルにほんの一瞬タッチするのに要する時間は、20〜30msである。従って、本実施例のように、10msの間隔でマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からオン信号、即ち、タッチ検出信号が出力されれば、確実に操作者のタッチパネル10へのタッチを検出することができる。
【0039】
図4(a)は図1に示したタッチパネル10におけるタッチ点の、X座標検出時のスイッチ回路4のスイッチの状態を示す回路図であり、図4(b)は図4(a)の回路によって検出されるタッチパネル10上のX方向の座標位置を示す説明図である。タッチパネル10におけるタッチ点のX座標検出時は、図4(a)に示すように、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW0と出力端子PNL−SW1からオン信号が出力される。すると、スイッチSW0とSW1のみがオンとなり、他のスイッチはオフ状態となる。
【0040】
この状態では、タッチパネル10に、太線と矢印で示すように電流が流れ、図4(b)に示されるように、X側抵抗膜1のタッチ点から電源側(+)の抵抗値RX1とグランド側(−)の抵抗値RX2の比率に応じてタッチ点に電圧が発生する。この電圧はY側抵抗膜2のタッチ点から電源側の抵抗値RY1とグランド側の抵抗値RY2を通じてマイクロコンピュータ8の入力端子PNL−AD2とPNL−AD3に入力されるので、マイクロコンピュータ8はこの入力電圧に基づいてタッチパネル10のタッチ点のX座標を検出することができる。
【0041】
図5(a)は図1に示したタッチパネル10がタッチされた時のタッチ点の、Y座標検出時のスイッチ回路4のスイッチの状態を示す回路図であり、図5(b)は図5(a)の回路によって検出されるタッチパネル10上のY方向の座標位置を示す説明図である。タッチパネル10におけるタッチ点のX座標検出時は、図5(a)に示されるように、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW2と出力端子PNL−SW3からオン信号が出力される。すると、スイッチSW2とSW3のみがオンとなり、他のスイッチはオフ状態となる。
【0042】
この状態では、タッチパネル10に太線と矢印で示すように電流が流れ、図5(b)に示されるように、Y側抵抗膜2のタッチ点から電源側(+)の抵抗値RY1とグランド側(−)の抵抗値RY2の比率に応じてタッチ点に電圧が発生する。この電圧はX側抵抗膜2のタッチ点から電源側の抵抗値RX1とグランド側の抵抗値RX2を通じてマイクロコンピュータ8の入力端子PNL−AD0とPNL−AD1に入力され、マイクロコンピュータ8はこの入力電圧に基づいてタッチパネル10のタッチ点のX座標を検出する。
【0043】
図6は、図4(a)、図5(b)に示される回路において、タッチパネル上の押圧点のX,Y座標を検出する際の、座標取り込みタイミングを説明するタイムチャートである。この図には、スイッチSW2とSW4のオン信号、スイッチSW0とSW1のオン信号、スイッチSW2とSW3のオン信号、N値(後述)、T値、及びX,Y座標の検出完了信号を示してある。また、図6には、タッチパネルへのタッチがあった直後の状態と、タッチパネルへのタッチが継続している状態の両方を示してある。
【0044】
スイッチSW2とSW4のオン信号は、前述のように、T値が”0”である状態では、10ms毎(時刻T0)に出力され、T値が”1”になった直後に2回、10ms毎に出力される。また、T値が”1”である状態ではオン信号は100ms毎(時刻T7)に出力され、オン信号の出力直後に2回だけ、10ms毎に出力される。スイッチSW0とSW1のオン信号は、100ms毎のスイッチSW2とSW4のオン信号が”0”になった(時刻T1)後に”1”になり、次のスイッチSW2とSW4のオン信号が”1”になる(時刻T3)前に”0”になる(時刻T2)。また、スイッチSW2とSW3のオン信号は、スイッチSW0とSW1のオン信号が”0”になった(時刻T2)後で、且つスイッチSW2とSW4のオン信号が”0”になった(時刻T4)後に”1”になり、次のスイッチSW2とSW4のオン信号が”1”になる(時刻T6)前に”0”になる(時刻T5)。
【0045】
そして、スイッチSW0とSW1のオン信号が”1”である時刻T1から時刻T2の間に、上向きの矢印で示す所定時間間隔で、図4(a)に示したタッチパネル10のY電極端子YU、YD間の電位差がマイクロコンピュータ8によってサンプリングされ、タッチ位置のX座標データが取り込まれる。同様に、スイッチSW2とSW3のオン信号が”1”である時刻T4から時刻T5の間に、上向きの矢印で示す所定時間間隔で、図5(a)に示したタッチパネル10のX電極端子XR、XL間の電位差がマイクロコンピュータ8によってサンプリングされ、タッチ位置のY座標データが取り込まれる。
【0046】
このようにして、時刻T5でタッチ位置のX座標データとY座標データとがマイクロコンピュータに取り込まれると、X,Y座標の検出完了信号が”1”になる。このX,Y座標の検出完了信号は、次のX座標データとY座標データとがマイクロコンピュータに取り込まれる前に”0”になる。Nの値は、タッチパネルにタッチがあった時の、タッチ検出用パルスへのスイッチ4のオン信号の周期を定めるものである。この図に示されるように、Nの値の最大値が11の時は、タッチ検出用パルスへのスイッチ4のオン信号の周期を100msとすることができる。
【0047】
図7は、本発明におけるタッチパネルのタッチの有無の検出処理手順の一実施例を示すフローチャートである。この手順は、タッチ検出用のスイッチSW2とSW4を10ms毎にオンさせるために、10ms毎に実行される。
【0048】
ステップ701では、タッチ検出信号Tが”1”か否かを判定する。まず、タッチパネルにタッチがない時について説明する。このときは、タッチ検出信号Tは”0”であるので、ステップ702に進み、図2で説明したようにスイッチSW2とSW4とをオンにしてタッチ検出状態にする。
【0049】
ステップ703ではタッチパネルの電極端子XL,YDの間の電圧をマイクロコンピュータ8が検出し、ステップ704においてタッチパネル10にタッチがあったか否かを検出する。そして、タッチがあった時はステップ705でタッチ検出信号Tを”1”にしてステップ707に進み、タッチがない時はステップ706でタッチ検出信号Tを”0”にしてステップ707に進む。
【0050】
ステップ707ではこの処理を始めてから所定時間、例えば2msが経過したか否かを判定する。そして、2ms経過していない場合は2ms経過するまで待機する。この2msはタッチ検出パルスのパルス幅を決めるものであり、このパルス幅は2msに限定されるものではない。そして、ステップ707で2msが経過したと判定した場合はステップ708に進み、スイッチSW2とSW4とをオフにしてタッチ検出状態を終了してこのルーチンを終了する。タッチパネルにタッチがない場合は、10ms毎にこのステップ701からステップ708の手順が繰り返される。タッチパネルにタッチがあった場合は、このルーチンの後にスイッチSW0,SW1がオンになりX座標データの取り込みが行われる。
【0051】
ステップ705でタッチ検出信号Tが”1”にされた直後にステップ701に進んだ時には、タッチ検出信号Tが”1”であるので、ステップ709に進み、X,Y座標が検出済みか否かが判定される。この判定は、図6で説明したX,Y座標検出完了信号によって行われる。
【0052】
X,Y座標検出完了信号は、図6で説明したように、タッチパネルにタッチがない時には”0”のままであり、タッチパネルにタッチされた後にタッチ位置のX座標データとY座標データとがマイクロコンピュータに取り込まれると”1”になる。また、X,Y座標検出完了信号は、一旦”1”になった後は、次のX座標データとY座標データとがマイクロコンピュータに取り込まれる直前の時刻T8の前に”0”になる。
【0053】
よって、タッチパネルへのタッチが検出された直後は、タッチ検出信号Tは”0”であるのでステップ709の判定はNOとなり、ステップ710に進む。ステップ710ではカウンタNの値が0にされてステップ702に進み、前述のステップ702からステップ708の動作が繰り返されてスイッチSW2,SW4のオン信号が発生する。そして、前述のように、このルーチンの後にスイッチSW2,SW3がオンになりY座標データの取り込みが行われる。この結、X,Y座標検出完了信号が”1”になる。
【0054】
Y座標データの取り込みが行われた後にステップ701に進んで来た時は、ステップ709の判定がYESとなり、ステップ711に進む。ステップ711ではカウンタNの値が1だけ増やされてステップ712に進む。ステップ712ではカウンタNの計数値が11になったか否かが判定され、N≦10の場合はこのままこのルーチンを終了する。
【0055】
一方、ステップ711におけるカウンタNの計数値が11になった場合はステップ712からステップ713に進む。ステップ713では、スイッチSW2とSW4とがオンにされてタッチ検出状態にされ、ステップ714でタッチパネルの電極端子XL,YDの間の電圧がマイクロコンピュータ8によって検出され、ステップ715においてタッチパネル10にタッチがあったか否かが検出される。そして、タッチが継続中の時はそのままステップ717に進み、タッチがない時はステップ716でタッチ検出信号Tが”0”にされてステップ717に進む。
【0056】
ステップ717では、前述のステップ707と同様に2ms経過するまでの待機が行われ、ステップ717で2msが経過したと判定された場合はステップ718に進み、スイッチSW2とSW4とがオフにされてタッチ検出状態が終了されてこのルーチンを終了する。この後、更にタッチパネルへのタッチが継続している時は、ステップ709からステップ718の処理が10ms毎に行われるが、ステップ712からステップ713に進むのは、100ms毎である。
【0057】
このように、以上説明した実施例では、タッチパネルにタッチがない場合は、タッチの検出処理が10ms毎に行われ、タッチパネルにタッチがあった場合は、タッチの検出処理は100ms毎に行われる。
【0058】
図8(a)は本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のX座標の検出準備手順の一実施例を示すフローチャートであり、図8(b)は本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のY座標の検出準備手順の一実施例を示すフローチャートである。この手順はタッチ検出信号がオフした後に実行するようにすれば良い。
【0059】
ステップ801ではタッチ検出信号Tが”1”か否かが検出される。ステップ801の判定でタッチ検出信号Tが”0”の場合は、座標を検出する必要がないのでこのルーチンを終了する。一方、ステップ801の判定でタッチ検出信号Tが”1”の場合はステップ802に進み、前回の準備手順におけるタッチ検出信号Tが”1”か否かが検出される。前回のタッチ検出信号Tが”0”の場合は、タッチパネルがタッチされた直後であるので、ステップ804に進んでスイッチSW0とSW1がオンされる。
【0060】
一方、ステップ802で前回のタッチ検出信号Tが”1”と判定された場合は、ステップ803においてカウンタNの値が11か否かが判定される。これは、図6に示されるように、カウンタNの値が11の時にX座標の検出を行う必要があるからである。ステップ803の判定でカウンタNの値が11でない場合はこのルーチンを終了し、カウンタNの値が11の時はステップ804に進んでスイッチSW0とSW1がオンにされる。
【0061】
ステップ804でスイッチSW0とSW1がオンされた後はステップ805に進み、10ms以内で、且つX座標の検出を行う所定時間、例えば7msが経過したかが判定され、7ms経過まではスイッチSW0とSW1のオンが継続され、7ms経過した時点でステップ806に進んでスイッチSW0とSW1がオフされる。
【0062】
次に、図8(b)のY座標の検出準備手順を説明する。ステップ807ではタッチ検出信号Tが”1”か否かが検出される。ステップ807の判定でタッチ検出信号Tが”0”の場合は、座標を検出する必要がないのでこのルーチンを終了する。一方、ステップ807の判定でタッチ検出信号Tが”1”の場合はステップ808に進み、カウンタNの値が0か否かが判定される。これは、図6に示されるように、カウンタNの値が0の時にY座標の検出を行う必要があるからである。ステップ808の判定でカウンタNの値が0でない場合はこのルーチンを終了し、カウンタNの値が0の時はステップ809に進んでスイッチSW2とSW3がオンされる。
【0063】
ステップ809で、スイッチSW2とSW3がオンされた後はステップ810に進み、10ms以内で、且つY座標の検出を行う所定時間、例えば7msが経過したか否かが判定され、7ms経過まではスイッチSW2とSW3のオンが継続され、7ms経過した時点でステップ811に進んでスイッチSW2とSW3がオフされる。
【0064】
図9は、本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のX,Y座標の算出手順の一実施例を示すフローチャートである。この手順では、ステップ901にてスイッチSW0とSW1がオンか否かが判定される。そしてスイッチSW0とSW1がオンの時はステップ902においてタッチパネルのX座標の読み込みが行われてステップ905に進む。一方、ステップ901にてスイッチSW0とSW1がオンでない時にはステップ903に進み、スイッチSW2とSW3がオンか否かが判定される。そしてスイッチSW2とSW3がオンの時は、ステップ904においてタッチパネルのY座標の読み込みが行われてステップ905に進む。
【0065】
ステップ905では、ステップ902と903で読み込んだX座標の複数のデータとY座標の複数のデータから、それぞれ最大値と最小値を削除する処理が行われ、続くステップ906で残ったデータが平均化処理される。そして、ステップ907で平均化されたデータが、それぞれX座標データ、Y座標データの算出値として確定される。そして、ステップ908でデータ補正、ステップ909で変化検査が行われる。なお、ステップ905からステップ909までの処理はこれまでに行われている公知の処理であるので、これ以上の説明を省略する。
【0066】
図10(a)は図9のステップ902の詳細を示すフローチャートである。ステップ902におけるタッチパネルのX座標の読み込み処理では、ステップ1001においてタッチパネルの電極端子間電圧を読み込んでA/D変換して記憶する処理が行われる。次のステップ1002では、ステップ1001の読み込み処理が5回行われたか否か、即ち、5個のデータが読み込まれたか否かが判定される。5個のデータが読み込まれた場合は、図9のステップ905に進むが、5個のデータがまだ読み込まれていない場合はステップ1003に進んで所定時間(例えば1ms)待機した後にステップ1001に戻って再度タッチパネルの電極端子間電圧が読み込まれ、A/D変換して記憶する処理が行われる。
【0067】
図10(b)は図9のステップ904の詳細を示すフローチャートである。ステップ904におけるタッチパネルのY座標の読み込み処理では、ステップ1004においてタッチパネルの電極端子間電圧を読み込んでA/D変換して記憶する処理が行われる。次のステップ1005では、ステップ1004の読み込み処理が5回行われたか否か、即ち、5個のデータが読み込まれたか否かが判定される。5個のデータが読み込まれた場合は、図9のステップ905に進むが、5個のデータがまだ読み込まれていない場合はステップ1006に進んで所定時間(例えば1ms)待機した後にステップ1004に戻って再度タッチパネルの電極端子間電圧を読み込んでA/D変換して記憶する処理が行われる。
【0068】
図11は、本発明に係るタッチパネルを備えたナビゲーション装置7の車両11への搭載例を示すものである。車両11に設置された助手席12と運転席13の前方には、ナビゲーション装置7が設けられたインストルメントパネル17があり、その前方にフロントガラス14がある。ナビゲーション装置7の下方にはコントロールパネル15がある。また、フロントドア18の内側にはスピーカ16が設けられている。
【0069】
インストルメントパネル17の中央部分に設けられたナビゲーション装置7には、その表示器に図1で説明したタッチパネルが設けられている。ナビゲーション装置7に対する各種操作は、ナビゲーション装置7の表示器3の表面に一体的に形成されているタッチパネルや、コントロールパネル17、或いは図示しない赤外線又は無線リモートコントローラの操作によって行われる。車両11のフロントドア18に設けられたスピーカ16からは、ナビゲーション装置7に内蔵された音響装置からの音響信号や、表示器3に表示された画像に対応する音声、或いは警告音等が出力される。
【0070】
図12は、本発明のタッチパネルを備えたナビゲーション装置7におけるスクロール表示の処理の一例を示すフローチャートである。この処理はナビゲーション装置7がオンされると開始される。
【0071】
ナビゲーション装置7がオンされると、ステップ1201において表示器3の画面に地図が表示される。ステップ1203では第1の周期で表示器3の画面(タッチパネル)へのタッチが検出されたか否かが判定される。タッチパネルへのタッチが検出されない場合は、タッチが検出されるまで、この判定が続けられる。
【0072】
ステップ1202で表示器3の画面へのタッチが検出された場合はステップ1203に進み、タッチ位置が検出される。画面へのタッチ位置が検出されるとステップ1204に進み、タッチ位置の直下にある地図の地点が画面の中心と一致するように、地図がスクロール表示される。そして、続くステップ1205において、タッチの検出周期が、第1の周期よりも長い第2の周期に変更されてステップ1206に進む。
【0073】
ステップ1206では、画面へのタッチが第2の周期でも継続しているか否かが判定される。画面へのタッチが第2の周期でも継続していると判定された場合はステップ1207に進み、タッチ位置の直下にある地図の地点が連続して画面の中心と一致するように、地図がスクロール表示される。即ち、画面の中心に対して、タッチした方向の地図が連続して画面に現れる。ステップ1207が終了するとステップ1206に戻り、第2の周期でタッチが継続して検出されているか否かを判定し、タッチが継続している限りステップ1207のスクロール表示を繰り返す。
【0074】
一方、ステップ1206の判定がNO、即ち、第2の周期でタッチが継続していないと判定された時はステップ1208に進み、検出周期が第1の周期に変更される。この後はステップ1209に進み、ナビゲーション装置の電源がオフされたか否かが判定される。ナビゲーション装置の電源がオフされた場合はこのルーチンを終了するが、オフされていない場合はステップ1201に戻り、前述のステップ1201からステップ1209の処理が繰り返される。
【0075】
ここで、タッチ位置を表示器の画面の中心に一致させるスクロール表示について図13(a)、(b)を用いて説明する。図13(a)に示されるように、ナビゲーション装置7の表示器3の画面には、ナビゲーション装置7に記憶されている地図Mの一部が表示されている。このとき、ナビゲーション装置7の操作者が、画面上の右下にある点Pをタッチすると、タッチ位置Pの座標位置が図1で説明された検出回路5で検出され、タッチ位置Pが、図13(b)に示すように、表示器3の画面の中心点Qにくるように、ナビゲーション装置7によって地図がスクロールするのである。
【0076】
次に、連続して地図を表示器の画面にスクロール表示させる動作について説明する。図13(a)に示したように、操作者が表示器の画面上の右下にある点Pをタッチし、そのままこの点Pをタッチし続けた場合、図13(b)の破線で示す点Pの直下の地図上の点が、連続して画面の中心点Qに向かって移動する。即ち、ナビゲーション装置7の表示器3の画面上で、地図Mが点Pから点Q方向に向かって連続してスクロール表示される。
【0077】
ナビゲーション装置7の表示器3の画面にタッチした位置によってどの方向に地図をスクロールさせるかについては、予め設定されている。図14はこのスクロール方向を説明するための図である。この実施例では、図14に示すように、表示画面に相当する画面領域Cは、画面の中心点Qを基点にして、放射状に16個のエリアa1〜エリアa16に分かれており、各エリアには、エリアの範囲と地図のスクロール方向が対応付けて予め設定されている。エリアの数はこの実施例に限定されるものではなく、表示画面をもっと細かく分割してエリアの数を増やしても良い。
【0078】
簡易的な方法として、各エリアの地図のスクロール方向を同じ方向(同じ角度)とすることができる。例えば、1つの実施例として、表示画面の中心点Qを0点として、X軸右方向を0°とし、反時計回り方向に各エリアに対して所定の正の角度が割り振られているとする。この場合、例えば、エリアa1がタッチされた場合は、エリアa1にある地図上の点は、画面の中央に対して点対象の位置にあるエリアa9の領域に向かって移動するので、表示器上の地図は、エリアa9の画面の中心点Qを通るX軸(0°)に対する角度、例えば180°の方向にスクロールさせられる。
【0079】
従って、検出された表示器3の画面上のタッチ位置座標を基に、その位置がどのエリアに含まれるかが算出された後、地図のスクロール方向が決定される。また、連続してスクロールが行われる場合の、タッチ検出1回当たりの地図のスクロール量(単位ドット/タッチ検出1回)は予め設定されており、操作者によりタッチが継続された場合は、このタッチ検出1回当たりの地図のスクロール量と、決定されたスクロール方向との関係に基づき、地図が連続してスクロール表示される。
【0080】
例えば、タッチ位置が図13(a)に示される点Pであり、タッチ検出1回当たりの地図のスクロール量が(20ドット/タッチ検出1回)の場合を考える。この場合には、タッチ位置Pは、図14のエリアa15に含まれるので、点Qに対して点対称のエリアa7のX軸からの角度である140°方向に向けて、所定の検出周期でタッチが1回検出される毎に、20ドットずつ地図が連続してスクロール表示されることになる。
【0081】
以上本発明の地図表示装置の基本的な動作を、タッチパネルを例にとってタイムチャート及びフローチャートを用いて説明した。以上説明した実施例ではタッチパネルのタッチを検出する周期を10msとし、タッチされた後のタッチの検出周期を100msにしたが、これらの数値はあくまでも一例であり、タッチパネルのタッチを検出する周期を短く設定し、タッチされた後のタッチの検出周期をこれより数倍以上長くするようにして、タッチパネルへの瞬間的なタッチも、タッチパネルにタッチ後のスクロール動作も両方確実に検出することが本発明の主旨である。
【0082】
なお、前述の実施例ではアナログ方式の抵抗式タッチパネルについて説明したが、本発明は、アナログ方式の静電容量式タッチパネルや、発光素子と受光素子とが縦方向と横方向に配置されたデジタル方式の光学式タッチパネルについても適用可能であることは言うまでも無い。
【0083】
静電容量式タッチパネルは、透明な導電性基板のガラス面に電気信号を受ける物質が塗布されており、操作者の指がガラス面に近づくと電気信号がセンサによって検出されるというものである。従って、静電容量式タッチパネルにおいて本発明を実施する場合は、例えば、タッチパネルへのタッチが検出されるまでは電気信号を検出するセンサの検出周期を短くし、タッチが検出された後は検出周期が長くなるようにすれば良い。
【0084】
また、光学式タッチパネルは、発光素子、例えば発光ダイオード(LED)と、受光素子、例えばフォトトランジスタとがペアで、横方向と縦方向に配置されたものである。光学式タッチパネルでは、発光ダイオードを周期的に順次発光させ、発光ダイオードからの光をフォトトランジスタで受光する際に、指等の障害物があると、フォトトランジスタへの光が遮断されるので、光の届かなかったフォトトランジスタによって指の位置が検出されるのである。従って、光学式タッチパネルにおいて本発明を実施する場合は、例えば、タッチパネルへのタッチが検出されるまでは発光ダイオードの発光周期を短くし、タッチが検出された後は発光周期が長くなるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の地図表示の一例であるタッチパネルを備えたナビゲーション装置の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示したタッチパネルにおけるタッチの検出時の回路構成を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施例を示すものであり、図2におけるタッチ検出周期の変更を説明するタイムチャートである。
【図4】(a)は図1に示したタッチパネルにおけるX座標検出時の回路構成を示す回路図、(b)は(a)の回路によって検出されるタッチパネル上の位置を示す説明図である。
【図5】(a)は図1に示したタッチパネルにおけるY座標検出時の回路構成を示す回路図、(b)は(a)の回路によって検出されるタッチパネル上の位置を示す説明図である。
【図6】図4(a)、図5(b)に示される回路において、タッチパネル上の押圧点のX,Y座標を検出する際の、座標取り込みタイミングを説明するタイムチャートである。
【図7】本発明におけるタッチパネルのタッチの有無の検出処理手順の一実施例を示すフローチャートである。
【図8】(a)は本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のX座標の検出準備手順の一実施例を示すフローチャート、(b)は本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のY座標の検出準備手順の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のX,Y座標の算出手順の一実施例を示すフローチャートである。
【図10】(a)は図9のステップ902の詳細を示すフローチャート、(b)は図9のステップ904の詳細を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係るタッチパネルを備えたナビゲーション装置の車両への搭載例を示す斜視図である。
【図12】本発明のタッチパネルを備えたナビゲーション装置におけるスクロール表示の処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】(a)、(b)は表示器へのタッチ位置が表示器の画面の中心に一致するようにスクロール表示させる例を説明する説明図であり、(a)は画面上の地図にタッチする場所を示す図、(b)は(a)のタッチした地図上の点がスクロールして表示器の中央に移動した状態を示す図である。
【図14】表示器の表示画面に設定されたタッチ位置に応じて地図をスクロールさせるための画面分割の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0086】
1 X側抵抗膜
2 Y側抵抗膜
3 表示器
4 スイッチ
5 検出回路
6 制御回路
7 ナビゲーション装置
8 マイクロコンピュータ
10 タッチパネル
【技術分野】
【0001】
本発明は地図表示装置及び地図表示法に関し、特に、画面に地図を表示可能なカーナビゲーション装置において、画面に対する瞬間的なタッチ、及び継続的なタッチの両方を確実に検出して、画面上の地図をスクロールさせることができる地図表示装置及び地図表示法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示器を備える電子機器、例えばパーソナルコンピュータ、電子複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、ビデオカメラ等では、電子機器の筐体に設けるスイッチの数を減らして小型化を図る等の理由で、表示器の画面自体にスイッチの機能を持たせることが実用化されている。このような画面スイッチとしては、画面上の座標位置を入力することができる位置表示装置(ポインティング・デバイス:画像位置表示装置とも言う)が使用される。
【0003】
位置表示装置の代表的なものに、タッチスクリーンを用いたタッチパネルがある。タッチパネルは、表示器の画面上に重ね合わせて設置され、タッチ(押下)された画面上の座標を検出するものである。画面へのタッチは指で行われることが多いが、ペン等の道具を用いて画面へのタッチが行われることもある。このようなタッチパネルは、表示器にスイッチを表示しておき、このスイッチに重なる部分のタッチパネルをタッチするとそのスイッチがオン/オフされるような使い方が一般的である。
【0004】
一方、パーソナルコンピュータの表示器の画面に絵を描く場合や、カーナビゲーションン装置の表示器上でルートを設定する場合に画面上で地図をスクロールさせる場合等は、タッチパネル上にあるスクロール方向を示すタッチスイッチにタッチしたり、タッチパネルの中心に対してスクロールさせたい方向にずれた位置をタッチするというタッチ操作が行われる。
【0005】
このようなタッチパネルとしては、抵抗膜の両端に直流電流を印加したアナログ方式(抵抗式)のタッチパネルが一般的である。また、アナログ方式で静電容量方式のものもある。アナログ方式の抵抗式のタッチパネルでは、タッチされた位置の電位を検出することにより、分解能の高いタッチパネル上の座標位置を算出することができる。更に、受発光素子でセンサ領域を網目状に形成したデジタル方式(光学式)のタッチパネルも知られている。
【0006】
ところで、アナログ方式のタッチパネルでは、パネルがタッチされたことを検出するために、周期的に抵抗膜の両端電圧を検出してパネルがタッチされたことを検出しているが、パネル上の2点がタッチされるとこれらを識別できず、タッチ位置を誤って検出してしまう可能性がある。そこで、第1の周期でパネルのタッチ状態を検出し、座標を検出・確定する必要がある時に、第1の周期よりも短い第2の周期で割り込み処理を行うものが特許文献1に記載されている。
【0007】
また、このようなタッチパネルでは、タッチパネルへのタッチが行われているか否かに関わらず、常に一定の検出周期でタッチパネルへのタッチを検出していたので、消費電力が大きかった。そこで、タッチパネルへの入力操作が継続されていない場合には、検出周期を長くして消費電力を低減させるものが特許文献2に記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開2000−47806
【特許文献2】特開平9−152932
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に開示のような第1の周期でのパネルへのタッチ状態の検出を行うタッチパネルや、特許文献2に開示のような常に一定の検出周期でタッチパネルへのタッチを検出しているタッチパネルでは、操作者がタッチパネルに極僅かな時間で瞬間的に触れた場合、この瞬間が検出周期の間の時間である場合にはタッチを検出することができないという問題点があった。前述のデジタル方式のタッチパネルでも同様の問題はある。
【0010】
これに対して、タッチパネルへのタッチ状態の検出周期を非常に短くすることが考えられるが、タッチパネルへのタッチ状態の検出周期を短く設定すると、カーナビゲーション装置のように、操作者がタッチパネルにタッチし続ける動作(地図のスクロール操作)を行うと、検出タイミングが速すぎるためにスクロールが急になったり、画面にダブルタッチしたように検出されることがあり、操作者には入力ミスがあったように感じられてしまうという問題点が発生した。
【0011】
即ち、例えばタッチ検出1回あたりの地図のスクロール量(単位ドット/タッチ検出1回)が予め定められている場合、タッチの検出周期が非常に短いと、所定時間内におけるタッチの検出回数が多くなり、タッチパネルをタッチしたまま継続している間のスクロール量が多くなってしまう。これより、操作者には地図のスクロールが速くなったように感じられてしまう。
【0012】
また、操作者がタッチパネルに瞬間的にタッチした場合(操作者はシングルタッチの認識である場合)にも、タッチ状態の検出周期が非常に短いと、操作者が画面にダブルタッチしたように検出されてしまう。これにより、操作者には入力ミスがあったように感じられてしまうという問題点があった。
【0013】
そこで、本発明は、タッチパネルを備えると共にカーナビゲーション装置のように表示画面に地図を表示できる装置において、操作者がタッチパネルに非常に短い時間で触れた場合、及び操作者がタッチパネルにタッチし続けるスクロール操作を行った場合でも、入力ミスが発生することのない地図表示装置、及び地図表示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成する本発明の地図表示装置は、画面に地図を表示可能な表示手段と、画面に対するタッチ操作を所定検出周期で検出可能なタッチ検出手段と、第1の周期で画面に対するタッチ操作が検出された後、第1の周期よりも長い第2の周期で画面に対するタッチ操作が検出されるように、タッチ検出手段の検出周期を変更する検出周期変更手段と、タッチ検出手段によるタッチ操作の検出結果に応じて、画面に表示された地図をスクロール表示する表示制御手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
また、前記目的を達成する本発明の地図表示方法は、画面に地図を表示する表示ステップと、第1の周期で画面に対するタッチ操作を検出する第1のタッチ検出ステップと、第1の周期で画面に対するタッチ操作が検出された後、タッチ操作の検出周期を、第1の周期よりも長い第2の周期に変更する検出周期変更ステップと、第2の周期で画面に対するタッチ操作を検出する第2のタッチ検出ステップと、第1または第2の検出ステップにおけるタッチ操作の検出結果に応じて、画面に表示された地図のスクロール表示を行う表示制御ステップとを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の地図表示装置及び地図表示方法によれば、操作者がタッチパネルに非常に短い時間で触れた場合でもタッチパネルへのタッチを検出することができると共に、操作者がタッチパネルをタッチし続ける地図のスクロール操作を行った場合でも、入力ミスが発生することがないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を用いて本発明の実施の形態を、具体的なタッチパネルの実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例では、アナログ方式の抵抗式タッチパネルについて説明するが、本発明は、アナログ方式の静電容量式タッチパネルや、受発光素子を網目状に形成した、デジタル方式の光学式タッチパネルについても適用可能であることは言うまでもない。
【0018】
図1は、本発明の地図表示装置の一例であるタッチパネル10を備えたナビゲーション装置7の構成を示すものである。タッチパネル10は、一対のX電極端子XL,XRを有するX側抵抗膜1と、一対のY電極端子YD,YUを有するY側抵抗膜2とが、所定間隔を隔てて対向配置されて構成されている。このタッチパネル10の裏側には、画像の表示を行う、液晶表示パネルを用いた表示器3が配置されている。
【0019】
タッチパネル10の4つの電極端子XL,XR,YD,YUには、これらの電極端子のうちの何れかの2つの電極端子間に、タッチ検出信号或いは座標検出信号の何れかの信号を供給できるスイッチ回路4が接続されている。スイッチ回路4には複数個のスイッチが内蔵されているが、この構成については後述する。
【0020】
また、スイッチ回路4とタッチパネル10の4つの電極端子XL,XR,YD,YUとを接続する回路は、全て分岐されて検出回路5に接続されている。検出回路5は、スイッチ回路4を通じてタッチ検出信号、或いは座標検出信号の何れかの信号が、タッチパネル10の4つの電極端子XL,XR,YD,YUのうちの2つの電極端子に供給されている時に、タッチパネル10の電極端子間から検出した電圧値によって、タッチパネル10に対するタッチの検出、或いはタッチパネル10のタッチ位置の座標の検出の何れかを行うものである。検出回路5で検出されたタッチの有無、或いはタッチ座標は、制御回路6に入力される。
【0021】
制御回路6は、検出回路5から入力された信号に基づいて、スイッチ回路4内のスイッチのオンオフ制御を行ったり、検出回路5から入力された信号をナビゲーション装置7に受け渡したりする。制御回路6にはナビゲーション装置7からの指令も入力される。検出回路5と制御回路6は、1つのマイクロコンピュータ8の中に内蔵させることが可能である。
【0022】
このナビゲーション装置7は表示器3に画像を送ることができ、地図情報や、映像情報を表示器に表示させることができるようになっている。例えば、ナビゲーション装置7は、制御回路6によって受け渡された検出回路5からのタッチパネル10のタッチ状態検出や、タッチ位置座標に関する信号に基づき、表示器3に表示される地図をスクロール表示させる制御等を行う。
【0023】
また、ナビゲーション装置7には、タッチパネル10を制御するためのマイクロコンピュータ8以外にも、ラジオ9Aを制御するマイクロコンピュータ8Aや、テープやディスクを駆動するデッキ9Bを制御するマイクロコンピュータ8B等が接続される。ナビゲーション装置7には、これ以外にもアンテナやスピーカ等が接続されるが、これらの構成は本発明の主旨ではないので、ここではその説明を省略する。また、ナビゲーション装置7の車両への搭載例については後述する。
【0024】
図2は、図1に示したタッチパネル10が、タッチされたか否かを検出するための回路構成を示す回路図である。この図には図1に示したX側抵抗膜1の抵抗値が抵抗RXで示してあり、Y側抵抗膜2の抵抗値が抵抗RYで示してある。また、図1に示した検出回路5と制御回路6は1つのマイクロコンピュータ8として示してある。
【0025】
スイッチ回路4の中には、この実施例では5つのスイッチSW0〜SW4と、4つの抵抗器Rと別の抵抗器RTがある。スイッチSW0は、5V(ボルト)程度の直流電源+Bとタッチパネル10のX電極端子XRとの間に接続されており、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW0からのオン信号によってオンするようになっている。スイッチSW1は、グランド(アース)とタッチパネル10のX電極端子XLとの間に接続されており、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW1からのオン信号によってオンするようになっている。
【0026】
スイッチSW2は、5V程度の直流電源+Bとタッチパネル10のY電極端子YUとの間に接続されており、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW2からのオン信号によってオンするようになっている。スイッチSW3は、グランドとタッチパネル10のY電極端子YDとの間に接続されており、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW3からのオン信号によってオンするようになっている。
【0027】
一方、グランドとタッチパネル10のX電極端子XLとの間には、抵抗器RTを介して別のスイッチSW4が接続されている。スイッチSW4は、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からのオン信号によってオンするようになっている。
【0028】
更に、タッチパネル10のX電極端子XR、XL、及びY電極端子YU、YDと、マイクロコンピュータ8の入力端子PNL−AD0〜PNL−AD3の間には、それぞれ抵抗器Rを備えた回路が設けられている。これらの4つの回路により、タッチパネル10のX電極端子XR、XL、又はY電極端子YU、YDに発生する電圧を、マイクロコンピュータ8側で検出することができる。なお、4つの抵抗器Rの抵抗値は同じでなくとも良い。
【0029】
以上のように構成されたスイッチ回路4を用いてタッチパネル10がタッチされたかどうかを検出する場合は、図2に示すように、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW2と出力端子PNL−SW4からオン信号が出力される。すると、スイッチSW2とSW4のみがオンとなり、他のスイッチはオフ状態となる。
【0030】
このスイッチSW2とSW4のみがオン状態で、マイクロコンピュータ8は、その入力PNL−AD1とPNL−AD2によって、X電極端子XLとY電極端子YUとの間の電位差を検出する。タッチパネル10がタッチされていない場合は、電圧が印可されているX側抵抗膜RXと接地されているY側抵抗膜RYは接触しないため、X電極端子XLとY電極端子YUとの間の電位差は直流電源+Bの電位に等しい。
【0031】
一方、タッチパネル10がタッチされた場合は、電圧が印可されているX側抵抗膜RXと接地されているY側抵抗膜RYが接触することにより、直流電源+Bからグランドに向かって、太線と矢印で示す経路で電流が流れる。この結果、X電極端子XLの電位が上昇する。このとき、抵抗器RTの抵抗値をタッチパネル10の抵抗膜1,2の持つ抵抗値RX,RYよりも大きくしておけば、X電極端子XLの電位が上がってY電極端子YUにおける電位に近づき、両者の差はごく僅か(ほとんど0)となる。
【0032】
よって、マイクロコンピュータ8は、その入力端子PNL−AD1とPNL−AD2の間の電位が電源電位の時はタッチパネル10にタッチがなく、入力端子PNL−AD1とPNL−AD2の間の電位が0の時にタッチパネル10がタッチされたことを検出することができる。そして、従来のタッチパネルでは、このスイッチSW4をオンするタイミング、即ちマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からオン信号が出力されるタイミングが一定であった。このオン信号は通常パルス信号であり、そのパルス幅は2ms程度である。
【0033】
そこで、本発明では、図1に示した制御回路6により、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力するパルス状のオン信号のタイミングを、タッチパネル10にタッチがない時には、10ms毎の短い周期とし、タッチパネル10にタッチがあった後は、100ms毎の長い周期に変更した。そして、タッチパネル10へのタッチが解除されたら、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力するオン信号のタイミングを、10ms毎の短い周期に戻すようにした。これを図3を用いて詳しく説明する。
【0034】
図3の時刻t0以前に示すように、タッチパネル10がタッチされていない時には,マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力するオン信号のタイミングが、10ms毎の短い周期になっている。そして、時刻t0においてタッチパネル10がタッチされると、このタッチが時刻t1における次のオン信号によって検出され、タッチ検出信号Tが”1”になる。タッチ検出信号Tが”1”になった直後にマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力するオン信号のタイミングが100msまで伸ばされても良いが、この実施例では、その後の時刻t3まで10ms毎の短い周期でマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からオン信号が出力されている。
【0035】
これは、この実施例では、時刻t1から時刻t2の間の10msの時間内でタッチパネル上のタッチ位置の座標の内のX座標が算出され、時刻t2から時刻t3の間の10msの時間内にタッチパネル上のタッチ位置の座標の内のYX座標が算出されるためである。そして、タッチ検出信号Tが”1”の状態が継続されていれば、タッチパネル10上のタッチ位置のXY座標が算出された後に、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力されるオン信号までのタイミングが100msとされる。なお、時刻t2とt3で立ち下がる2つのオン信号は、この時点におけるタッチパネルへのタッチを検出するためのものである。
【0036】
また、この実施例では、100msの間隔を空けて次のオン信号がマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力された直後は、続けて10ms毎に2つのオン信号がマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力される。そして、連続する3つのオン信号の、最初の信号と2番目の信号の間の10ms(時刻t4と時刻t5の間)と、2番目の信号と3番目の信号の間の10ms(時刻t5から時刻t6の間)に、タッチパネル上のタッチ位置の座標の内のYX座標が算出される。タッチ検出信号Tが”1”の状態を継続している間は、この動作が繰り返される。
【0037】
一方、時刻t7でタッチパネル10へのタッチがなくなった場合は、時刻t6で立ち下がったオン信号のパルスの立ち上がりから100ms後に、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4から出力されたオン信号で、タッチパネル10へのタッチがなくなったことが検出される。すると、タッチ検出信号Tが”0”になり、このオン信号が立ち下がる時刻t8以後は、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からオン信号が10ms毎に出力される。
【0038】
ところで、一般に、操作者がタッチパネルにほんの一瞬タッチするのに要する時間は、20〜30msである。従って、本実施例のように、10msの間隔でマイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW4からオン信号、即ち、タッチ検出信号が出力されれば、確実に操作者のタッチパネル10へのタッチを検出することができる。
【0039】
図4(a)は図1に示したタッチパネル10におけるタッチ点の、X座標検出時のスイッチ回路4のスイッチの状態を示す回路図であり、図4(b)は図4(a)の回路によって検出されるタッチパネル10上のX方向の座標位置を示す説明図である。タッチパネル10におけるタッチ点のX座標検出時は、図4(a)に示すように、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW0と出力端子PNL−SW1からオン信号が出力される。すると、スイッチSW0とSW1のみがオンとなり、他のスイッチはオフ状態となる。
【0040】
この状態では、タッチパネル10に、太線と矢印で示すように電流が流れ、図4(b)に示されるように、X側抵抗膜1のタッチ点から電源側(+)の抵抗値RX1とグランド側(−)の抵抗値RX2の比率に応じてタッチ点に電圧が発生する。この電圧はY側抵抗膜2のタッチ点から電源側の抵抗値RY1とグランド側の抵抗値RY2を通じてマイクロコンピュータ8の入力端子PNL−AD2とPNL−AD3に入力されるので、マイクロコンピュータ8はこの入力電圧に基づいてタッチパネル10のタッチ点のX座標を検出することができる。
【0041】
図5(a)は図1に示したタッチパネル10がタッチされた時のタッチ点の、Y座標検出時のスイッチ回路4のスイッチの状態を示す回路図であり、図5(b)は図5(a)の回路によって検出されるタッチパネル10上のY方向の座標位置を示す説明図である。タッチパネル10におけるタッチ点のX座標検出時は、図5(a)に示されるように、マイクロコンピュータ8の出力端子PNL−SW2と出力端子PNL−SW3からオン信号が出力される。すると、スイッチSW2とSW3のみがオンとなり、他のスイッチはオフ状態となる。
【0042】
この状態では、タッチパネル10に太線と矢印で示すように電流が流れ、図5(b)に示されるように、Y側抵抗膜2のタッチ点から電源側(+)の抵抗値RY1とグランド側(−)の抵抗値RY2の比率に応じてタッチ点に電圧が発生する。この電圧はX側抵抗膜2のタッチ点から電源側の抵抗値RX1とグランド側の抵抗値RX2を通じてマイクロコンピュータ8の入力端子PNL−AD0とPNL−AD1に入力され、マイクロコンピュータ8はこの入力電圧に基づいてタッチパネル10のタッチ点のX座標を検出する。
【0043】
図6は、図4(a)、図5(b)に示される回路において、タッチパネル上の押圧点のX,Y座標を検出する際の、座標取り込みタイミングを説明するタイムチャートである。この図には、スイッチSW2とSW4のオン信号、スイッチSW0とSW1のオン信号、スイッチSW2とSW3のオン信号、N値(後述)、T値、及びX,Y座標の検出完了信号を示してある。また、図6には、タッチパネルへのタッチがあった直後の状態と、タッチパネルへのタッチが継続している状態の両方を示してある。
【0044】
スイッチSW2とSW4のオン信号は、前述のように、T値が”0”である状態では、10ms毎(時刻T0)に出力され、T値が”1”になった直後に2回、10ms毎に出力される。また、T値が”1”である状態ではオン信号は100ms毎(時刻T7)に出力され、オン信号の出力直後に2回だけ、10ms毎に出力される。スイッチSW0とSW1のオン信号は、100ms毎のスイッチSW2とSW4のオン信号が”0”になった(時刻T1)後に”1”になり、次のスイッチSW2とSW4のオン信号が”1”になる(時刻T3)前に”0”になる(時刻T2)。また、スイッチSW2とSW3のオン信号は、スイッチSW0とSW1のオン信号が”0”になった(時刻T2)後で、且つスイッチSW2とSW4のオン信号が”0”になった(時刻T4)後に”1”になり、次のスイッチSW2とSW4のオン信号が”1”になる(時刻T6)前に”0”になる(時刻T5)。
【0045】
そして、スイッチSW0とSW1のオン信号が”1”である時刻T1から時刻T2の間に、上向きの矢印で示す所定時間間隔で、図4(a)に示したタッチパネル10のY電極端子YU、YD間の電位差がマイクロコンピュータ8によってサンプリングされ、タッチ位置のX座標データが取り込まれる。同様に、スイッチSW2とSW3のオン信号が”1”である時刻T4から時刻T5の間に、上向きの矢印で示す所定時間間隔で、図5(a)に示したタッチパネル10のX電極端子XR、XL間の電位差がマイクロコンピュータ8によってサンプリングされ、タッチ位置のY座標データが取り込まれる。
【0046】
このようにして、時刻T5でタッチ位置のX座標データとY座標データとがマイクロコンピュータに取り込まれると、X,Y座標の検出完了信号が”1”になる。このX,Y座標の検出完了信号は、次のX座標データとY座標データとがマイクロコンピュータに取り込まれる前に”0”になる。Nの値は、タッチパネルにタッチがあった時の、タッチ検出用パルスへのスイッチ4のオン信号の周期を定めるものである。この図に示されるように、Nの値の最大値が11の時は、タッチ検出用パルスへのスイッチ4のオン信号の周期を100msとすることができる。
【0047】
図7は、本発明におけるタッチパネルのタッチの有無の検出処理手順の一実施例を示すフローチャートである。この手順は、タッチ検出用のスイッチSW2とSW4を10ms毎にオンさせるために、10ms毎に実行される。
【0048】
ステップ701では、タッチ検出信号Tが”1”か否かを判定する。まず、タッチパネルにタッチがない時について説明する。このときは、タッチ検出信号Tは”0”であるので、ステップ702に進み、図2で説明したようにスイッチSW2とSW4とをオンにしてタッチ検出状態にする。
【0049】
ステップ703ではタッチパネルの電極端子XL,YDの間の電圧をマイクロコンピュータ8が検出し、ステップ704においてタッチパネル10にタッチがあったか否かを検出する。そして、タッチがあった時はステップ705でタッチ検出信号Tを”1”にしてステップ707に進み、タッチがない時はステップ706でタッチ検出信号Tを”0”にしてステップ707に進む。
【0050】
ステップ707ではこの処理を始めてから所定時間、例えば2msが経過したか否かを判定する。そして、2ms経過していない場合は2ms経過するまで待機する。この2msはタッチ検出パルスのパルス幅を決めるものであり、このパルス幅は2msに限定されるものではない。そして、ステップ707で2msが経過したと判定した場合はステップ708に進み、スイッチSW2とSW4とをオフにしてタッチ検出状態を終了してこのルーチンを終了する。タッチパネルにタッチがない場合は、10ms毎にこのステップ701からステップ708の手順が繰り返される。タッチパネルにタッチがあった場合は、このルーチンの後にスイッチSW0,SW1がオンになりX座標データの取り込みが行われる。
【0051】
ステップ705でタッチ検出信号Tが”1”にされた直後にステップ701に進んだ時には、タッチ検出信号Tが”1”であるので、ステップ709に進み、X,Y座標が検出済みか否かが判定される。この判定は、図6で説明したX,Y座標検出完了信号によって行われる。
【0052】
X,Y座標検出完了信号は、図6で説明したように、タッチパネルにタッチがない時には”0”のままであり、タッチパネルにタッチされた後にタッチ位置のX座標データとY座標データとがマイクロコンピュータに取り込まれると”1”になる。また、X,Y座標検出完了信号は、一旦”1”になった後は、次のX座標データとY座標データとがマイクロコンピュータに取り込まれる直前の時刻T8の前に”0”になる。
【0053】
よって、タッチパネルへのタッチが検出された直後は、タッチ検出信号Tは”0”であるのでステップ709の判定はNOとなり、ステップ710に進む。ステップ710ではカウンタNの値が0にされてステップ702に進み、前述のステップ702からステップ708の動作が繰り返されてスイッチSW2,SW4のオン信号が発生する。そして、前述のように、このルーチンの後にスイッチSW2,SW3がオンになりY座標データの取り込みが行われる。この結、X,Y座標検出完了信号が”1”になる。
【0054】
Y座標データの取り込みが行われた後にステップ701に進んで来た時は、ステップ709の判定がYESとなり、ステップ711に進む。ステップ711ではカウンタNの値が1だけ増やされてステップ712に進む。ステップ712ではカウンタNの計数値が11になったか否かが判定され、N≦10の場合はこのままこのルーチンを終了する。
【0055】
一方、ステップ711におけるカウンタNの計数値が11になった場合はステップ712からステップ713に進む。ステップ713では、スイッチSW2とSW4とがオンにされてタッチ検出状態にされ、ステップ714でタッチパネルの電極端子XL,YDの間の電圧がマイクロコンピュータ8によって検出され、ステップ715においてタッチパネル10にタッチがあったか否かが検出される。そして、タッチが継続中の時はそのままステップ717に進み、タッチがない時はステップ716でタッチ検出信号Tが”0”にされてステップ717に進む。
【0056】
ステップ717では、前述のステップ707と同様に2ms経過するまでの待機が行われ、ステップ717で2msが経過したと判定された場合はステップ718に進み、スイッチSW2とSW4とがオフにされてタッチ検出状態が終了されてこのルーチンを終了する。この後、更にタッチパネルへのタッチが継続している時は、ステップ709からステップ718の処理が10ms毎に行われるが、ステップ712からステップ713に進むのは、100ms毎である。
【0057】
このように、以上説明した実施例では、タッチパネルにタッチがない場合は、タッチの検出処理が10ms毎に行われ、タッチパネルにタッチがあった場合は、タッチの検出処理は100ms毎に行われる。
【0058】
図8(a)は本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のX座標の検出準備手順の一実施例を示すフローチャートであり、図8(b)は本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のY座標の検出準備手順の一実施例を示すフローチャートである。この手順はタッチ検出信号がオフした後に実行するようにすれば良い。
【0059】
ステップ801ではタッチ検出信号Tが”1”か否かが検出される。ステップ801の判定でタッチ検出信号Tが”0”の場合は、座標を検出する必要がないのでこのルーチンを終了する。一方、ステップ801の判定でタッチ検出信号Tが”1”の場合はステップ802に進み、前回の準備手順におけるタッチ検出信号Tが”1”か否かが検出される。前回のタッチ検出信号Tが”0”の場合は、タッチパネルがタッチされた直後であるので、ステップ804に進んでスイッチSW0とSW1がオンされる。
【0060】
一方、ステップ802で前回のタッチ検出信号Tが”1”と判定された場合は、ステップ803においてカウンタNの値が11か否かが判定される。これは、図6に示されるように、カウンタNの値が11の時にX座標の検出を行う必要があるからである。ステップ803の判定でカウンタNの値が11でない場合はこのルーチンを終了し、カウンタNの値が11の時はステップ804に進んでスイッチSW0とSW1がオンにされる。
【0061】
ステップ804でスイッチSW0とSW1がオンされた後はステップ805に進み、10ms以内で、且つX座標の検出を行う所定時間、例えば7msが経過したかが判定され、7ms経過まではスイッチSW0とSW1のオンが継続され、7ms経過した時点でステップ806に進んでスイッチSW0とSW1がオフされる。
【0062】
次に、図8(b)のY座標の検出準備手順を説明する。ステップ807ではタッチ検出信号Tが”1”か否かが検出される。ステップ807の判定でタッチ検出信号Tが”0”の場合は、座標を検出する必要がないのでこのルーチンを終了する。一方、ステップ807の判定でタッチ検出信号Tが”1”の場合はステップ808に進み、カウンタNの値が0か否かが判定される。これは、図6に示されるように、カウンタNの値が0の時にY座標の検出を行う必要があるからである。ステップ808の判定でカウンタNの値が0でない場合はこのルーチンを終了し、カウンタNの値が0の時はステップ809に進んでスイッチSW2とSW3がオンされる。
【0063】
ステップ809で、スイッチSW2とSW3がオンされた後はステップ810に進み、10ms以内で、且つY座標の検出を行う所定時間、例えば7msが経過したか否かが判定され、7ms経過まではスイッチSW2とSW3のオンが継続され、7ms経過した時点でステップ811に進んでスイッチSW2とSW3がオフされる。
【0064】
図9は、本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のX,Y座標の算出手順の一実施例を示すフローチャートである。この手順では、ステップ901にてスイッチSW0とSW1がオンか否かが判定される。そしてスイッチSW0とSW1がオンの時はステップ902においてタッチパネルのX座標の読み込みが行われてステップ905に進む。一方、ステップ901にてスイッチSW0とSW1がオンでない時にはステップ903に進み、スイッチSW2とSW3がオンか否かが判定される。そしてスイッチSW2とSW3がオンの時は、ステップ904においてタッチパネルのY座標の読み込みが行われてステップ905に進む。
【0065】
ステップ905では、ステップ902と903で読み込んだX座標の複数のデータとY座標の複数のデータから、それぞれ最大値と最小値を削除する処理が行われ、続くステップ906で残ったデータが平均化処理される。そして、ステップ907で平均化されたデータが、それぞれX座標データ、Y座標データの算出値として確定される。そして、ステップ908でデータ補正、ステップ909で変化検査が行われる。なお、ステップ905からステップ909までの処理はこれまでに行われている公知の処理であるので、これ以上の説明を省略する。
【0066】
図10(a)は図9のステップ902の詳細を示すフローチャートである。ステップ902におけるタッチパネルのX座標の読み込み処理では、ステップ1001においてタッチパネルの電極端子間電圧を読み込んでA/D変換して記憶する処理が行われる。次のステップ1002では、ステップ1001の読み込み処理が5回行われたか否か、即ち、5個のデータが読み込まれたか否かが判定される。5個のデータが読み込まれた場合は、図9のステップ905に進むが、5個のデータがまだ読み込まれていない場合はステップ1003に進んで所定時間(例えば1ms)待機した後にステップ1001に戻って再度タッチパネルの電極端子間電圧が読み込まれ、A/D変換して記憶する処理が行われる。
【0067】
図10(b)は図9のステップ904の詳細を示すフローチャートである。ステップ904におけるタッチパネルのY座標の読み込み処理では、ステップ1004においてタッチパネルの電極端子間電圧を読み込んでA/D変換して記憶する処理が行われる。次のステップ1005では、ステップ1004の読み込み処理が5回行われたか否か、即ち、5個のデータが読み込まれたか否かが判定される。5個のデータが読み込まれた場合は、図9のステップ905に進むが、5個のデータがまだ読み込まれていない場合はステップ1006に進んで所定時間(例えば1ms)待機した後にステップ1004に戻って再度タッチパネルの電極端子間電圧を読み込んでA/D変換して記憶する処理が行われる。
【0068】
図11は、本発明に係るタッチパネルを備えたナビゲーション装置7の車両11への搭載例を示すものである。車両11に設置された助手席12と運転席13の前方には、ナビゲーション装置7が設けられたインストルメントパネル17があり、その前方にフロントガラス14がある。ナビゲーション装置7の下方にはコントロールパネル15がある。また、フロントドア18の内側にはスピーカ16が設けられている。
【0069】
インストルメントパネル17の中央部分に設けられたナビゲーション装置7には、その表示器に図1で説明したタッチパネルが設けられている。ナビゲーション装置7に対する各種操作は、ナビゲーション装置7の表示器3の表面に一体的に形成されているタッチパネルや、コントロールパネル17、或いは図示しない赤外線又は無線リモートコントローラの操作によって行われる。車両11のフロントドア18に設けられたスピーカ16からは、ナビゲーション装置7に内蔵された音響装置からの音響信号や、表示器3に表示された画像に対応する音声、或いは警告音等が出力される。
【0070】
図12は、本発明のタッチパネルを備えたナビゲーション装置7におけるスクロール表示の処理の一例を示すフローチャートである。この処理はナビゲーション装置7がオンされると開始される。
【0071】
ナビゲーション装置7がオンされると、ステップ1201において表示器3の画面に地図が表示される。ステップ1203では第1の周期で表示器3の画面(タッチパネル)へのタッチが検出されたか否かが判定される。タッチパネルへのタッチが検出されない場合は、タッチが検出されるまで、この判定が続けられる。
【0072】
ステップ1202で表示器3の画面へのタッチが検出された場合はステップ1203に進み、タッチ位置が検出される。画面へのタッチ位置が検出されるとステップ1204に進み、タッチ位置の直下にある地図の地点が画面の中心と一致するように、地図がスクロール表示される。そして、続くステップ1205において、タッチの検出周期が、第1の周期よりも長い第2の周期に変更されてステップ1206に進む。
【0073】
ステップ1206では、画面へのタッチが第2の周期でも継続しているか否かが判定される。画面へのタッチが第2の周期でも継続していると判定された場合はステップ1207に進み、タッチ位置の直下にある地図の地点が連続して画面の中心と一致するように、地図がスクロール表示される。即ち、画面の中心に対して、タッチした方向の地図が連続して画面に現れる。ステップ1207が終了するとステップ1206に戻り、第2の周期でタッチが継続して検出されているか否かを判定し、タッチが継続している限りステップ1207のスクロール表示を繰り返す。
【0074】
一方、ステップ1206の判定がNO、即ち、第2の周期でタッチが継続していないと判定された時はステップ1208に進み、検出周期が第1の周期に変更される。この後はステップ1209に進み、ナビゲーション装置の電源がオフされたか否かが判定される。ナビゲーション装置の電源がオフされた場合はこのルーチンを終了するが、オフされていない場合はステップ1201に戻り、前述のステップ1201からステップ1209の処理が繰り返される。
【0075】
ここで、タッチ位置を表示器の画面の中心に一致させるスクロール表示について図13(a)、(b)を用いて説明する。図13(a)に示されるように、ナビゲーション装置7の表示器3の画面には、ナビゲーション装置7に記憶されている地図Mの一部が表示されている。このとき、ナビゲーション装置7の操作者が、画面上の右下にある点Pをタッチすると、タッチ位置Pの座標位置が図1で説明された検出回路5で検出され、タッチ位置Pが、図13(b)に示すように、表示器3の画面の中心点Qにくるように、ナビゲーション装置7によって地図がスクロールするのである。
【0076】
次に、連続して地図を表示器の画面にスクロール表示させる動作について説明する。図13(a)に示したように、操作者が表示器の画面上の右下にある点Pをタッチし、そのままこの点Pをタッチし続けた場合、図13(b)の破線で示す点Pの直下の地図上の点が、連続して画面の中心点Qに向かって移動する。即ち、ナビゲーション装置7の表示器3の画面上で、地図Mが点Pから点Q方向に向かって連続してスクロール表示される。
【0077】
ナビゲーション装置7の表示器3の画面にタッチした位置によってどの方向に地図をスクロールさせるかについては、予め設定されている。図14はこのスクロール方向を説明するための図である。この実施例では、図14に示すように、表示画面に相当する画面領域Cは、画面の中心点Qを基点にして、放射状に16個のエリアa1〜エリアa16に分かれており、各エリアには、エリアの範囲と地図のスクロール方向が対応付けて予め設定されている。エリアの数はこの実施例に限定されるものではなく、表示画面をもっと細かく分割してエリアの数を増やしても良い。
【0078】
簡易的な方法として、各エリアの地図のスクロール方向を同じ方向(同じ角度)とすることができる。例えば、1つの実施例として、表示画面の中心点Qを0点として、X軸右方向を0°とし、反時計回り方向に各エリアに対して所定の正の角度が割り振られているとする。この場合、例えば、エリアa1がタッチされた場合は、エリアa1にある地図上の点は、画面の中央に対して点対象の位置にあるエリアa9の領域に向かって移動するので、表示器上の地図は、エリアa9の画面の中心点Qを通るX軸(0°)に対する角度、例えば180°の方向にスクロールさせられる。
【0079】
従って、検出された表示器3の画面上のタッチ位置座標を基に、その位置がどのエリアに含まれるかが算出された後、地図のスクロール方向が決定される。また、連続してスクロールが行われる場合の、タッチ検出1回当たりの地図のスクロール量(単位ドット/タッチ検出1回)は予め設定されており、操作者によりタッチが継続された場合は、このタッチ検出1回当たりの地図のスクロール量と、決定されたスクロール方向との関係に基づき、地図が連続してスクロール表示される。
【0080】
例えば、タッチ位置が図13(a)に示される点Pであり、タッチ検出1回当たりの地図のスクロール量が(20ドット/タッチ検出1回)の場合を考える。この場合には、タッチ位置Pは、図14のエリアa15に含まれるので、点Qに対して点対称のエリアa7のX軸からの角度である140°方向に向けて、所定の検出周期でタッチが1回検出される毎に、20ドットずつ地図が連続してスクロール表示されることになる。
【0081】
以上本発明の地図表示装置の基本的な動作を、タッチパネルを例にとってタイムチャート及びフローチャートを用いて説明した。以上説明した実施例ではタッチパネルのタッチを検出する周期を10msとし、タッチされた後のタッチの検出周期を100msにしたが、これらの数値はあくまでも一例であり、タッチパネルのタッチを検出する周期を短く設定し、タッチされた後のタッチの検出周期をこれより数倍以上長くするようにして、タッチパネルへの瞬間的なタッチも、タッチパネルにタッチ後のスクロール動作も両方確実に検出することが本発明の主旨である。
【0082】
なお、前述の実施例ではアナログ方式の抵抗式タッチパネルについて説明したが、本発明は、アナログ方式の静電容量式タッチパネルや、発光素子と受光素子とが縦方向と横方向に配置されたデジタル方式の光学式タッチパネルについても適用可能であることは言うまでも無い。
【0083】
静電容量式タッチパネルは、透明な導電性基板のガラス面に電気信号を受ける物質が塗布されており、操作者の指がガラス面に近づくと電気信号がセンサによって検出されるというものである。従って、静電容量式タッチパネルにおいて本発明を実施する場合は、例えば、タッチパネルへのタッチが検出されるまでは電気信号を検出するセンサの検出周期を短くし、タッチが検出された後は検出周期が長くなるようにすれば良い。
【0084】
また、光学式タッチパネルは、発光素子、例えば発光ダイオード(LED)と、受光素子、例えばフォトトランジスタとがペアで、横方向と縦方向に配置されたものである。光学式タッチパネルでは、発光ダイオードを周期的に順次発光させ、発光ダイオードからの光をフォトトランジスタで受光する際に、指等の障害物があると、フォトトランジスタへの光が遮断されるので、光の届かなかったフォトトランジスタによって指の位置が検出されるのである。従って、光学式タッチパネルにおいて本発明を実施する場合は、例えば、タッチパネルへのタッチが検出されるまでは発光ダイオードの発光周期を短くし、タッチが検出された後は発光周期が長くなるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の地図表示の一例であるタッチパネルを備えたナビゲーション装置の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示したタッチパネルにおけるタッチの検出時の回路構成を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施例を示すものであり、図2におけるタッチ検出周期の変更を説明するタイムチャートである。
【図4】(a)は図1に示したタッチパネルにおけるX座標検出時の回路構成を示す回路図、(b)は(a)の回路によって検出されるタッチパネル上の位置を示す説明図である。
【図5】(a)は図1に示したタッチパネルにおけるY座標検出時の回路構成を示す回路図、(b)は(a)の回路によって検出されるタッチパネル上の位置を示す説明図である。
【図6】図4(a)、図5(b)に示される回路において、タッチパネル上の押圧点のX,Y座標を検出する際の、座標取り込みタイミングを説明するタイムチャートである。
【図7】本発明におけるタッチパネルのタッチの有無の検出処理手順の一実施例を示すフローチャートである。
【図8】(a)は本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のX座標の検出準備手順の一実施例を示すフローチャート、(b)は本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のY座標の検出準備手順の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】本発明におけるタッチパネルのタッチされた位置のX,Y座標の算出手順の一実施例を示すフローチャートである。
【図10】(a)は図9のステップ902の詳細を示すフローチャート、(b)は図9のステップ904の詳細を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係るタッチパネルを備えたナビゲーション装置の車両への搭載例を示す斜視図である。
【図12】本発明のタッチパネルを備えたナビゲーション装置におけるスクロール表示の処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】(a)、(b)は表示器へのタッチ位置が表示器の画面の中心に一致するようにスクロール表示させる例を説明する説明図であり、(a)は画面上の地図にタッチする場所を示す図、(b)は(a)のタッチした地図上の点がスクロールして表示器の中央に移動した状態を示す図である。
【図14】表示器の表示画面に設定されたタッチ位置に応じて地図をスクロールさせるための画面分割の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0086】
1 X側抵抗膜
2 Y側抵抗膜
3 表示器
4 スイッチ
5 検出回路
6 制御回路
7 ナビゲーション装置
8 マイクロコンピュータ
10 タッチパネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に地図を表示可能な表示手段と、
前記画面に対するタッチ操作を所定検出周期で検出可能なタッチ検出手段と、
第1の周期で前記画面に対するタッチ操作が検出された後、前記第1の周期よりも長い第2の周期で前記画面に対するタッチ操作が検出されるように、前記タッチ検出手段の検出周期を変更する検出周期変更手段と、
前記タッチ検出手段によるタッチ操作の検出結果に応じて、前記画面に表示された地図をスクロール表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記タッチ検出手段によって、前記第2の周期でタッチ操作が検出されない場合は、タッチ操作の位置が前記画面の中心と一致するように前記地図をスクロール表示し、前記第2の周期でタッチ操作が検出される場合は、タッチ操作の位置が前記画面の中心方向に移動するように前記地図を連続してスクロール表示することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記検出周期変更手段は、前記タッチ検出手段によって、前記第2の周期でタッチ操作が検出されない場合は、タッチ操作の検出周期を前記第2の周期から前記第1の周期に変更することを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記検出周期変更手段は、前記タッチ検出手段によって、前記第1の周期でタッチ操作が検出され、前記画面上のタッチ位置が算出された後、前記タッチ検出手段の検出周期を前記第2の周期に変更することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項5】
画面に地図を表示する表示ステップと、
第1の周期で前記画面に対するタッチ操作を検出する第1のタッチ検出ステップと、
前記第1の周期で前記画面に対するタッチ操作が検出された後、タッチ操作の検出周期を、前記第1の周期よりも長い第2の周期に変更する検出周期変更ステップと、
前記第2の周期で前記画面に対するタッチ操作を検出する第2のタッチ検出ステップと、
前記第1または第2の検出ステップにおけるタッチ操作の検出結果に応じて、前記画面に表示された地図のスクロール表示を行う表示制御ステップとを備えることを特徴とする地図表示方法。
【請求項6】
前記表示制御ステップは、タッチ操作の検出周期が前記第1の周期から前記第2の周期に変更された後、前記第2の周期でタッチ操作が検出されない場合は、タッチ操作の位置が前記画面の中心と一致するように前記地図をスクロール表示し、前記第2の周期でタッチ操作が検出される場合は、タッチ操作の位置が前記画面の中心方向に移動するように前記地図を連続してスクロール表示することを特徴とする請求項5に記載の地図表示方法。
【請求項1】
画面に地図を表示可能な表示手段と、
前記画面に対するタッチ操作を所定検出周期で検出可能なタッチ検出手段と、
第1の周期で前記画面に対するタッチ操作が検出された後、前記第1の周期よりも長い第2の周期で前記画面に対するタッチ操作が検出されるように、前記タッチ検出手段の検出周期を変更する検出周期変更手段と、
前記タッチ検出手段によるタッチ操作の検出結果に応じて、前記画面に表示された地図をスクロール表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記タッチ検出手段によって、前記第2の周期でタッチ操作が検出されない場合は、タッチ操作の位置が前記画面の中心と一致するように前記地図をスクロール表示し、前記第2の周期でタッチ操作が検出される場合は、タッチ操作の位置が前記画面の中心方向に移動するように前記地図を連続してスクロール表示することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記検出周期変更手段は、前記タッチ検出手段によって、前記第2の周期でタッチ操作が検出されない場合は、タッチ操作の検出周期を前記第2の周期から前記第1の周期に変更することを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記検出周期変更手段は、前記タッチ検出手段によって、前記第1の周期でタッチ操作が検出され、前記画面上のタッチ位置が算出された後、前記タッチ検出手段の検出周期を前記第2の周期に変更することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項5】
画面に地図を表示する表示ステップと、
第1の周期で前記画面に対するタッチ操作を検出する第1のタッチ検出ステップと、
前記第1の周期で前記画面に対するタッチ操作が検出された後、タッチ操作の検出周期を、前記第1の周期よりも長い第2の周期に変更する検出周期変更ステップと、
前記第2の周期で前記画面に対するタッチ操作を検出する第2のタッチ検出ステップと、
前記第1または第2の検出ステップにおけるタッチ操作の検出結果に応じて、前記画面に表示された地図のスクロール表示を行う表示制御ステップとを備えることを特徴とする地図表示方法。
【請求項6】
前記表示制御ステップは、タッチ操作の検出周期が前記第1の周期から前記第2の周期に変更された後、前記第2の周期でタッチ操作が検出されない場合は、タッチ操作の位置が前記画面の中心と一致するように前記地図をスクロール表示し、前記第2の周期でタッチ操作が検出される場合は、タッチ操作の位置が前記画面の中心方向に移動するように前記地図を連続してスクロール表示することを特徴とする請求項5に記載の地図表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−10645(P2007−10645A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116731(P2006−116731)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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