説明

地図表示装置

【課題】エリア更新に起因して同じ名称の文字列が重なって表示されてしまうこと、または、エリア更新に起因して同じ名称の文字列が近接して表示されてしまうことを未然に防ぐ。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置は、単位エリアを更新した後、地図中において重なって表示される同じ文字列のペアを抽出し(ステップ110、115)、抽出したペアのうち一方を地図に表示することを禁止する(ステップ125)。また、地図中において近接して表示される同じ文字列のペアを抽出し(ステップ130)、抽出したペアのうち一方を地図に表示することを禁止する(ステップ135)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地図表示装置において、2つの名称の文字列が地図中で重なる場合は、優先度の高い方のみを残して低い方の表示を禁止し、また、表示を禁止している文字列が重ならなくなった場合に、当該文字列を再表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−131068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1において、文字列が互いに重なる2つの名称は、異なる2つ地物等の名称であった。しかし、発明者の検討によれば、同じ地物等の名称の文字列が2つ表示されるという状況が、今後発生する可能性がある。
【0005】
それは、地図データの更新の新たな方法として、地図データ中の一部の地理範囲のみを更新するエリア更新が実現する可能性があるからである。このようなエリア更新が行われると、以下に示すような同一の文字列の重複が発生する。
【0006】
文字重複の第1の例を図4に示す。図4(a)の例では、更新前の地図データにおいては、エリア21とエリア22の境界23付近のエリア21側に、地物24が存在し、当該会社の名称「サンデー」の文字列25が、会社24の近傍に表示されるようになっていた。
【0007】
ここで、エリア更新によって、エリア21が更新されないまま、エリア22が更新されたとする。この更新によって、エリア22の地図データは新バージョンの地図データとなる一方、エリア21の地図データは旧バージョンのままとなる。このとき、旧バージョンの地図において地物24の位置情報が不正確または間違っていたのが、新バージョンでは正確なものに修正され、その結果、旧バージョン地図データでは地物24はエリア21に属していたのに、新バージョン地図データでは同じ地物24’がエリア22に属すようになったとする。
【0008】
この場合、エリア22が更新され、エリア21が更新されないことで、地図データは、エリア境界23の近傍に2つの同じ地物24、24’が互いに近接して存在するような地図データとなってしまう。この地図データにそのまま従って地図表示処理を行うと、図4(b)に示すように、同じ「サンデー」という名称文字列25、25’が、重なって表示されてしまったり、重ならないまでも、図4(c)に示すように、同じ「サンデー」という名称文字列25、25’が、近接して表示されてしまったりする。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、エリア更新に起因して同じ名称の文字列が重なって表示されてしまうこと、または、エリア更新に起因して同じ名称の文字列が近接して表示されてしまうことを未然に防ぐことを、第1の目的とする。
【0010】
また、文字重複の第2の例を図5に示す。図5(a)の例では、図4(a)の例と同様、地図更新前は、エリア21とエリア22の境界23を跨いで、1つのストリート(具体的には名四国道)26が両エリア21、22を通っている。この場合、エリア21に属するリンク列レコードとして、ストリート26のうちエリア21側に含まれるリンク群26aを含むリンク列レコードを地図データ中に記録し、エリア22に属するリンク列レコードとして、ストリート26のうちエリア22側に含まれるリンク群26bを含むリンク列レコードを地図データ中に記録することが考えられる。
【0011】
この場合、リンク群26aとリンク群26bとは、元々同じストリート26の一部なので、リンク群26aのリンク列レコードに対応するストリート名称と、リンク群26bのリンク列レコードに対応するストリート名称は、同じになる。
【0012】
したがって、同じストリートを示す2つのリンク列レコードに対応する2つのストリート名称が表示されることになり、図5(a)に示すように、1つの表示画面内に同じストリート名称27、27’が複数表示されてしまう可能性があり、そうなった場合は、地図の見栄えが悪い。
【0013】
そこで、複数のエリアに渡る同じバージョンの地図データを、地図データ製造業者がコンピュータを用いて作成する場合、画像表示装置の1画面中で1つのストリートについて重複して名称の表示を行わないよう、あらかじめ地図データを設定することが考えられる。例えば、図5(a)に示すように、同じストリート名称27、27’のうち、名称27のみが表示され、名称27’が表示されないように、地図データを設定することができる。
【0014】
しかし、エリア更新の結果、エリア21は更新されず、エリア22が更新された場合、異なるバージョン間で表示・非表示の設定が適切に為されているとは限らないので、図5(b)に示すように、エリア更新の結果、隣り合うエリアで同じストリート名称27、27’が表示されるようになり、その結果、画像表示装置の1画面中で1つのストリートについて重複して名称の表示が行われてしまう可能性がある。
【0015】
本発明は上記点に鑑み、エリア更新に起因して同じストリート名称の文字列が1画面中に重複して表示されてしまうことを未然に防ぐことを、第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記第1の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、画像表示装置(12)と、複数の単位エリアに区分けされた地図データを記憶する記憶媒体(16)と、前記地図データに基づいて、前記画像表示装置(12)に地図を表示させる制御回路(17)と、を備えた地図表示装置についてのものである。
【0017】
この地図表示装置において、地図データは、地図中に表示するための複数の名称にそれぞれ対応する複数の名称レコードを含み、それら複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の文字列を示す情報、および、当該文字列の地図中の表示範囲を示す情報を含んでいる。
【0018】
また、制御回路(17)は、一部の単位エリアを更新する更新手段と、更新手段による更新の後、複数の名称レコードを参照して、地図中において重なって表示される同じ文字列のペアを抽出する抽出手段(110、115)と、抽出手段(110、115)が抽出したペアのうち一方を地図に表示することを禁止する禁止手段(125)と、を有することを特徴とする。
【0019】
このように、地図表示装置は、エリア更新の後、同一の文字列のペアの重なりを解消するよう、ペアの一方の表示を禁止する。したがって、エリア更新に起因して同じ名称の文字列が重なって表示されてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0020】
また、上記第1の目的を達成するための請求項2に記載の発明は、画像表示装置(12)と、複数の単位エリアに区分けされた地図データを記憶する記憶媒体(16)と、前記地図データに基づいて、前記画像表示装置(12)に地図を表示させる制御回路(17)と、を備えた地図表示装置についてのものである。
【0021】
この地図表示装置において、地図データは、地図中に表示するための複数の名称にそれぞれ対応する複数の名称レコードを含み、それら複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の文字列を示す情報、および、当該文字列の地図中の表示範囲を示す情報を含んでいる。
【0022】
また、制御回路(17)は、複数の単位エリアのうち一部の単位エリアを更新する更新手段と、更新手段による更新の後、それら複数の名称レコードを参照して、地図中において近接して表示される同じ文字列のペアを抽出する抽出手段(130)と、抽出手段(130)が抽出したペアのうち一方を地図に表示することを禁止する禁止手段(135)と、を有することを特徴とする。
【0023】
このように、地図表示装置は、エリア更新の後、同一の文字列のペアの近接を解消するよう、ペアの一方の表示を禁止する。したがって、エリア更新に起因して同じ名称の文字列が近接して表示されてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0024】
また、請求項3に記載のように、制御回路(17)は、抽出手段が抽出したペアのうち一方の表示が禁止手段によって禁止された後、複数の名称レコード中で表示が禁止されている名称レコードに対応する文字列のうちから、地図中に表示しても他の名称の文字列と重なって表示されず、かつ、地図中に表示しても近傍に同一の名称文字列が表示されることのない文字列を検索し、見つかった文字列の表示の禁止を解除する禁止解除手段(150、155)を有していてもよい。
【0025】
また、請求項4に記載のように、地図データにおいて、複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の表示を行うか否かを示す表示非表示フラグを含み、禁止手段は、抽出手段が抽出したペアのうち一方の文字列に対応する名称レコード中の表示非表示フラグをオフにすることで、当該文字列を前記地図に表示することを禁止するようになっていてもよい。
【0026】
この場合、地図表示装置は、抽出手段が抽出したペアのうち一方に対応する表示非表示フラグが禁止手段によってオフになった後、複数の名称レコード中で表示非表示フラグがオフになっている名称レコードに対応する文字列のうちから、地図中に表示しても他の名称の文字列と重なって表示されず、かつ、地図中に表示しても近傍に同一の名称文字列が表示されることのない文字列を検索し、見つかった文字列に対応する名称レコード中の表示非表示フラグをオンに切り替えることで、当該文字列の表示の禁止を解除する禁止解除手段(150、155)を有していてもよい。
【0027】
請求項3、4のようにすることで、同一文字の重なりまたは同一文字の近接を解消するために、一部の名称の文字列を非表示にした結果、他と重ならず、かつ同名の文字列と近接しないようになった名称文字列を、表示することができる。すなわち、もはや無意味になった表示禁止を解除することができる。
【0028】
また、上記第2の目的を達成するための請求項5に記載の発明は、画像表示装置(12)と、複数の単位エリアに区分けされた地図データを記憶する記憶媒体(16)と、地図データに基づいて、画像表示装置(12)に地図を表示させる制御回路(17)と、を備えた地図表示装置についてのものである。
【0029】
この地図表示装置において、地図データは、地図中に表示するための複数のストリート名称にそれぞれ対応する複数のストリート名称レコードを含み、複数のストリート名称レコードのそれぞれは、対応するストリート名称の文字列を示す情報、および、当該文字列の前記地図中の表示範囲を示す情報を含む。
【0030】
また、制御回路(17)は、複数の単位エリアのうち一部の単位エリアを更新する更新手段と、更新手段による更新の後、複数のストリート名称レコードを参照して、地図中において画像表示装置(12)の1画面に表示可能な範囲内に表示される同じストリート名称の文字列のペアを抽出する抽出手段(140)と、抽出手段(140)が抽出したペアのうち一方を地図に表示することを禁止する禁止手段(145)と、を有することを特徴とする。
【0031】
このように、地図表示装置は、エリア更新の後、同一のストリート名称の文字列のペアが1画面中に表示されること防ぐよう、ペアの一方の表示を禁止する。したがって、エリア更新に起因して同じストリート名称の文字列が1画面中に重複して表示されてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0032】
また、請求項6に記載のように、制御回路(17)は、抽出手段が抽出したペアのうち一方の表示が禁止手段によって禁止された後、複数の名称レコード中で表示が禁止されている名称レコードに対応する文字列のうちから、地図中に表示しても他の名称の文字列と重なって表示されず、かつ、地図中に表示しても近傍に同一の名称文字列が表示されることのない文字列を検索し、見つかった文字列の表示の禁止を解除する禁止解除手段(150、155)を有してもよい。
【0033】
また、請求項7に記載のように、地図データは、地図中に表示するための複数の名称にそれぞれ対応する複数の名称レコードを含み、複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の文字列を示す情報、および、当該文字列の地図中の表示範囲を示す情報を含み、複数の名称レコードの一部は、複数のストリート名称レコードとなっていてもよい。更に、地図データにおいて、複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の表示を行うか否かを示す表示非表示フラグを含んでいてもよい。
【0034】
この場合、禁止手段は、抽出手段が抽出したペアのうち一方の文字列に対応するストリート名称レコード中の表示非表示フラグをオフにすることで、当該文字列を地図に表示することを禁止し、制御回路(17)は、抽出手段が抽出したペアのうち一方に対応する表示非表示フラグが禁止手段によってオフになった後、複数の名称レコード中で表示非表示フラグがオフになっている名称レコードに対応する文字列のうちから、地図中に表示しても他の名称の文字列と重なって表示されず、かつ、地図中に表示しても近傍に同一の名称文字列が表示されることのない文字列を検索し、見つかった文字列に対応する名称レコード中の表示非表示フラグをオンに切り替えることで、当該文字列の表示の禁止を解除する禁止解除手段(150、155)を有していてもよい。
【0035】
請求項6、7のようにすることで、一部のストリート名称の文字列を非表示にした結果、他と重ならず、かつ同名の文字列と近接しないようになった名称文字列を、表示することができる。すなわち、もはや無意味になった表示禁止を解除することができる。
【0036】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1の構成を示す図である。
【図2】リンク列レコードの構成を示す図である。
【図3】名称レコードの構成を示す図である。
【図4】地図更新によって発生する同一文字の重なりの一例を示す図である。
【図5】地図更新によって発生するストリート名称の重複の一例を示す図である。
【図6】制御回路が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図7】異なる文字列が重なっている状況を解消する処理を示す図である。
【図8】同じ文字の重なりを解消した場合を示す図である。
【図9】同じ文字の近接を解消した場合を示す図である。
【図10】ストリート名の1画面中の重複を解消した場合を示す図である。
【図11】非表示設定であり、表示しても他の名称文字列と重ならず、同名の名称文字列とも近接しない名称文字列30を例示する図である。
【図12】名称文字列30を表示設定に変更した場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に示す本実施形態の車両用ナビゲーション装置1(地図更新装置の一例に相当する)は、車両に搭載され、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、無線通信機15、地図データ取得部16、および制御回路17を有している。
【0039】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路17に出力する。
【0040】
画像表示装置12は、制御回路17から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示する映像としては、例えば車両の現在位置を中心とする地図等がある。
【0041】
操作部13は、メカニカルスイッチ、タッチパネル等の入力装置を有し、この入力装置に対するユーザの操作内容に応じた信号を制御回路17に出力する。
【0042】
無線通信機15は、車両の外部にある地図配信サーバとの通信を実現するための周知の無線機であり、制御回路17は、この無線通信機15を用いて、当該地図配信サーバから無線送信された地図データを受信することができる。
【0043】
地図データ取得部16は、不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置(例えば、ハードディスクドライブ)から成る。当該記憶媒体は、制御回路17が実行するプログラムを記憶すると共に、地図表示および経路案内用の地図データを記憶している。
【0044】
地図データは、複数の表示縮尺で地図表示が可能となるように、表示縮尺毎に複数に分かれている。以下、地図データ中の複数の表示縮尺用のデータのそれぞれに当てはまるデータ構成を説明する。なお、本実施形態においては、表示縮尺とは、地図上の距離で現実の距離を除した結果の値(すなわち、縮小比)をいう。したがって、表示縮尺が大きいほど、1つの画面に表示できる地理範囲は狭くなる。
【0045】
各縮尺の地図データは、道路データ、地物データ、および名称データを含んでいる。道路データは、リンク列データを含んでいる。リンク列データは、1つのストリート(例えば、街路、国道、高速道路等の通り)を構成するリンクをまとめて管理するためのデータである。
【0046】
このリンク列データは、複数個のリンク列レコードを含み、各リンク列レコードは、リンク列(連続的に繋がる複数のリンク)によって構成される1本のストリート(例えば、国道1号線、名四国道等)に対応している。
【0047】
あるストリートに対応するリンク列レコードは、当該ストリートの属性情報として、図2に示すように、リンク列ID、当該ストリートを構成するリンク列の始点のリンクID、当該ストリートを構成するリンク列の終点のリンクID、およびノードデータを含んでいる。リンク列データは、どの表示縮尺で用いられるかを示す表示クラス毎に分けて記録されている。なお、1つのストリートを構成するリンクのそれぞれには、始点リンクから終点リンクまで昇順にリンクIDが付与されている。したがって、あるストリートを構成するリンクのうち、始点リンクのリンクIDと終点リンクのリンクIDがわかれば、そのストリートを構成するすべてのリンクのリンクIDがわかる。
【0048】
ノードデータは複数個のノードレコードを含み、各ノードレコードは、当該ストリートに属する1つのノードに対応している。あるノードに対応するノードレコードは、当該ノードに接続するリンクとの接続情報、当該ノードに接続するリンクのリンクID、当該ノードが属するストリートのストリート名称を格納する名称レコード(後述する)へのオフセット、当該ノードのノード名称(交差点名称)を格納する名称レコードへのオフセット、およびリンクの種別情報(高速道路、一般道路等の種別)等を含んでいる。
【0049】
このようなリンク列レコードの構成により、あるストリートのストリート名称は、当該ストリートに対応するリンク列レコード中のノードデータを読み出し、読み出したノードデータ中で、名称レコードへのオフセット先を参照することで得られる。
【0050】
地物データは、複数個の地物レコードを含み、それら複数の地物レコードは、複数の地物(公園、店舗等の施設、または、川等の自然造形物)に1対1に対応している。ある地物に対応する地物レコードは、当該地物の属性情報として、当該地物の地物名称(例えば、会社名)を格納する名称レコードへのオフセット、表示縮尺情報、当該地物の所在位置情報(緯度、経度)、当該地物の種別情報等を有している。表示縮尺情報は、当該地物レコードがどの表示縮尺で用いられるかを示すデータである。
【0051】
名称データは、地図に表示するための名称(例えば、地物の名称、ストリートの名称、交差点の名称、行政区画名、地名、自然地形の名称等)の表示内容の情報を含むデータである。名称データは、複数の名称レコードを含み、各名称レコードは、地図に表示される対象(地図表示対象)となる1つの名称に対応している。
【0052】
ある地図表示対象に対応する名称レコードは、当該表示縮尺における当該地図表示対象の属性情報として、図3に示すように、表示縮尺情報、基準位置座標、配置タイプ、名称表示クラス、詳細優先度、名称文字数、名称文字列、および表示非表示フラグを含んでいる。表示縮尺情報は、当該名称レコードがどの表示縮尺で用いられるかを示すデータである。
【0053】
基準位置座標は、地図表示対象の名称を地図上に表示するときの基準となる位置の緯度、経度を示す座標である。この基準位置座標は、同じ地図表示対象なら表示縮尺によらず同じであってもよいし、表示縮尺毎に異なるようになっていてもよい。
【0054】
配置タイプは、当該地図表示対象となる名称をどのような種類の配置で表示するかを指定する情報である。配置の種類としては、例えば、(1)基準位置座標を中心とする矩形範囲内に文字を横書き表示する配置、(2)基準位置座標を中心とする矩形範囲内に文字を縦書き表示する配置、(3)基準位置座標からの所定のオフセット量(緯度変化量、経度変化量)だけ移動した地点をスタート地点とする矩形範囲内に、文字を横書きする配置、等がある。この配置タイプは、同じ地図表示対象なら表示縮尺によらず同じであってもよいし、表示縮尺毎に異なるようになっていてもよい。
【0055】
これら表示縮尺情報、基準位置座標、名称文字数、および配置タイプが決まれば、当該名称レコードに対応する名称の文字列が、画像表示装置12に表示される地図中のどの範囲に表示されるかは、表示する文字の文字サイズ(ドット数単位)に応じて一意に決まる。したがって、ある名称文字列についての表示縮尺情報、基準位置座標、名称文字数、および配置タイプの情報は、当該名称文字列の地図中の表示範囲を示す情報である。
【0056】
名称表示クラスは、当該地図表示対象となる名称の表示の優先度を大まかに(例えば16段階に)分類する情報である。詳細優先度は、当該地図表示対象となる名称の表示の優先度をより詳細に(例えば63段階に)分類する情報である。また、名称文字数は、当該地図表示対象となる名称の文字数の情報である。また、名称文字列は、当該地図表示対象となる名称の文字列そのものを示す情報である。この名称表示クラス、詳細優先度、名称文字数、名称文字列は、同じ地図表示対象なら表示縮尺によらず同じとなる。
【0057】
表示非表示フラグは、当該表示対象となる名称の表示を行うか否かを示すフラグである。この表示非表示フラグがオンならば、当該表示対象となる名称の表示が行われ、オフならば、当該表示対象となる名称の表示が禁止される。この表示非表示フラグは、同じ表示対象なら表示縮尺によらず同じであってもよいし、表示縮尺毎に異なるようになっていてもよい。
【0058】
なお、本実施形態においては、後述するように、地図データのうち一部のみを新しいバージョンのデータに更新するようになっている。より具体的には、地図データのうち、一部の地理範囲(例えば、1つの国、1つの州、1つの県)についてのみ、その地理範囲に属する道路の道路データおよびその地理範囲に属する地物の地物データを更新するようになっている。このような更新方法、すなわち、地図データのうち、一部の地理範囲のデータを更新するような更新方法を、エリア更新という。
【0059】
エリア更新を実現するために、本実施形態の地図データは、各表示縮尺において、更に単位エリア毎に区分けされている。単位エリアとは、エリア更新の単位となる地理範囲をいう。したがって、リンクデータ、地物データ、名称データは、単位エリアの境界(例えば、国境、州境、県境)を跨がず、いずれかの単位エリアにのみ属するようになる。
【0060】
したがって、ある単位エリア中の交差点aから隣の単位エリア中の交差点bまでを繋ぐ道路区間は、2つのリンクで表現される。つまり、一方のリンクは、当該道路区間の交差点aからエリア境界までを繋ぎ、他方のリンクは、当該道路区間の当該エリア境界から交差点bまでを繋ぐようになる。
【0061】
また、複数の単位エリアに渡って存在するストリートについては、単位エリア毎にリンク列レコードを分けて記録するようになっている。すなわち、複数の単位エリアに渡って存在するストリートのリンク列レコードは複数個あり、それら複数のリンク列レコードは、当該ストリートが通る複数の単位エリアに1対1に対応する。そして、これら複数のリンク列レコードのそれぞれは、対応する単位エリア内で当該ストリートを構成するリンク群の始点となるリンクのリンクIDおよび終点となるリンクのリンクIDを含むようになっている。
【0062】
また、上述のノード名称の名称レコードへのオフセット、ストリート名称の名称レコードへのオフセット、および地物名称の名称レコードへのオフセットは、同じ単位エリアに属する名称レコードへのオフセットとなっている。したがって、ある単位エリアに属しているノードの名称、ストリートの名称、および地物の名称は、同じ単位エリアに属している名称レコードに対応づけられている。
【0063】
以上のような地図データの構造により、地図データ中において、道路データおよび地物データがどの表示縮尺用であり、どの単位エリアに属するかを、明確に区別することができる。
【0064】
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部16から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAMおよび地図データ取得部16の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、および無線通信機15と信号の授受を行う。
【0065】
制御回路17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、地図表示処理、誘導経路算出処理、経路案内処理、地図更新処理、文字重なり解消処理等がある。現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0066】
地図表示処理は、車両の現在位置の周辺等の特定の領域の地図を、画像表示装置12に表示させる処理である。この際、地図表示のために用いる情報は、地図データから取得する。
【0067】
具体的には、地図表示処理において制御回路17は、現在の表示縮尺を特定し、特定した表示縮尺に対応する道路データ、リンク列データ、地物データ、名称データを用いて、画像表示装置12に表示させる地図画像を構成し、構成した地図画像を画像表示装置12に出力する。ここで作成する地図画像の縦横のドット数は、画像表示装置12の表示画面内に収まるようにあらかじめ定められたドット数である。
【0068】
より詳しくは、制御回路17は、地図表示の中心となる地点の緯度、経度、現在の表示縮尺、および地図画像の縦横のドット数に基づいて、表示対象となる緯度、経度の範囲を決定し、その表示対象範囲中に位置するノード、リンク列、地物に対応するノードレコード、リンク列レコード、および地物レコードを読み出す。そして制御回路17は、読み出したノードレコード、リンクレコード、地物レコードに記載された位置(緯度、経度)を、表示の中心となる地点の緯度、経度、現在の表示縮尺、および地図画像の縦横のドット数に基づいて、地図画像中のドット単位の位置に変換し、地図画像中の変換後の位置に、当該ノード、当該リンク、または当該地物の形状の画像を描画する。
【0069】
さらに制御回路17は、読み出したノードレコード、地物レコード中に記載された、交差点の名称レコードへのオフセット、地物の名称レコードへのオフセット、およびストリートの名称レコードへのオフセットを抽出し、それら抽出したオフセットの示す先に記録された、現在の表示縮尺に対応する名称レコードを読み出す。そして、それら読み出した名称レコードのそれぞれについて、当該名称レコードの名称文字列を、地図画像中に描画する。
【0070】
ただし、当該名称文字列を地図画像中に描画するのは、当該名称レコードの表示非表示フラグがオンである場合に限る。したがって、当該名称レコードの表示非表示フラグがオフであれば、当該名称文字列を地図画像中に描画しない。
【0071】
地図画像のどの位置に当該名称文字列を表示するかは、当該名称レコードの基準位置座標、配置タイプ、および表示する文字のサイズに基づいて決定する。具体的には、表示の中心となる地点の緯度、経度、現在の表示縮尺、および地図画像の縦横のドット数に基づいて、地図画像中の基準位置座標に相当する位置を特定し、その位置を基準として、当該配置タイプにおいて指定された配置で、当該サイズの文字を描画する。
【0072】
なお、表示する文字のサイズは、あらかじめ決められて地図データ取得部16の記憶媒体に記録されている。この所定の文字サイズは、固定値であってもよいし、操作部13を用いたユーザの設定操作によって変更可能な値であってもよい。
【0073】
なお、この地図表示処理を実行することで、制御回路17は、地図表示制御手段として機能する。
【0074】
誘導経路算出処理は、操作部13からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。経路案内処理は、誘導経路上の右左折交差点等の案内ポイントの手前に自車両が到達したときに、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ14に出力させ、当該案内ポイントの拡大図を画像表示装置12に表示させることで、誘導経路に沿った車両の運転を案内する処理である。なお、案内経路に沿って走行したときに、どのように曲がるかについては、ノード間の位置関係に基づいて決定する。
【0075】
地図更新処理は、車両の外部の地図配信サーバから地図データの一部を受信し、受信した地図データに基づいてエリア更新を行う処理である。具体的には、制御回路17は、操作部13に対して所定の地図更新処理を実行する旨の操作が行われたとき、この地図更新処理を開始し、無線通信機15を用いて地図配信サーバに対して更新用の新バージョンの地図データを要求する。このとき、どの単位エリアの地図データを必要としているかの情報を地図配信サーバに送信してもよい。単位エリアの地図データを必要としているかの情報は、操作部13に対するユーザの選択操作に基づいて決定してもよい。
【0076】
このような地図データの要求を受信した地図配信サーバは、所定の単位エリアの地図データのみ、または、車両用ナビゲーション装置1から要求を受けた単位エリアの地図データのみを、車両用ナビゲーション装置1に送信する。なお、送信対象の単位エリアは、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0077】
制御回路17は、このようにして送信された単位エリアの地図データを、無線通信機15を介して受信し、現在の当該単位エリアの地図データを、受信した当該単位エリアの地図データに置き換える。例えば、現在の当該単位エリアの地図データを格納するデータ領域に、受信した当該単位エリアの地図データを上書きする。
【0078】
文字重複解消処理は、地図更新処理によって更新された地図データ中において、文字重複の原因となるデータを修正することで、文字重複を解消するための処理である。本実施形態では、制御回路17は、この文字重複解消処理を、地図更新処理の終了直後に実行する。
【0079】
ここで、文字重複について説明する。本実施形態における文字重複とは、エリア更新によって一部の単位エリアの地図のみが更新された結果、更新された単位エリアと、更新されなかった単位エリアとの境界付近において、同じ名称(同じ地物の名称、同じストリートの名称等)が重なってまたは近接して表示されることをいう。
【0080】
文字重複の第1の例を図4に示す。図4(a)の例では、地図更新前は、単位エリア21(第1の単位エリアの一例に相当する)と単位エリア22(第2の単位エリアの一例に相当する)の境界23付近の単位エリア21側に、地物(会社)24が存在し、当該会社の名称「サンデー」の文字列25が、会社24の近傍に表示されるよう、地物データおよび当該地物データに対応する名称データが記載されている。
【0081】
ここで、地図更新処理によって、単位エリア21が更新されないまま、単位エリア22が更新されたとする。この更新によって、単位エリア22の地図データは新バージョンの地図データとなる一方、単位エリア21の地図データは旧バージョンのままとなる。
【0082】
ある地物等の位置が、旧バージョン地図と新バージョン地図とで異なって記録される場合がある。例えば、旧バージョンの地図において当該地物の位置情報が不正確または間違っていたのが、新バージョンでは正確なものに修正されたという場合が、典型的な例である。
【0083】
したがって、旧バージョン地図データでは地物24は単位エリア21に属していたのに、新バージョン地図データでは同じ地物24’が単位エリア22に属すようになる場合がある。この場合、単位エリア22が更新され、単位エリア21が更新されないことで、地図データ取得部16中の地図データは、エリア境界23の近傍に2つの同じ地物24、24’が互いに近接して存在するような地図データとなってしまう。
【0084】
この地図データにそのまま従って地図表示処理を行うと、図4(b)に示すように、同じ「サンデー」という名称文字列25、25’が、重なって表示されてしまったり、重ならないまでも、図4(c)に示すように、同じ「サンデー」という名称文字列25、25’が、近接して表示されてしまったりする。このように、同じ名称の文字が重なって表示されたり近接して表示されたりすることが、文字重複の一態様である。
【0085】
文字重複の第2の例を図5に示す。図5(a)の例では、図4(a)の例と同様、地図更新前は、単位エリア21と単位エリア22の境界23を跨いで、1つのストリート(具体的には名四国道)26が両単位エリア21、22を通っている。この場合、上述のとおり、単位エリア21に属するリンク列レコードとして、ストリート26のうち単位エリア21側に含まれるリンク群26aを含むリンク列レコードが記録され、単位エリア22に属するリンク列レコードとして、ストリート26のうち単位エリア22側に含まれるリンク群26bを含むリンク列レコードが記録されている。
【0086】
それぞれのリンク列レコードに含まれるノードデータは、同じ単位エリアに属する名称レコードへのオフセットを有している。したがって、同じストリートを示すリンク列レコードであっても、リンク列レコード毎に名称レコードが存在する。
【0087】
あるリンク列レコードに対応するストリート名称を表示するか否かは、当該名称レコード中の表示非表示フラグによって決まる。したがって、同じストリートを示すリンク列レコードに対応する名称レコードにおいて、表示非表示フラグがすべてオンであれば、リンク列レコードの数だけ当該ストリートの名称が表示されることになり、図5(a)に示すように、1つの表示画面内に同じストリート名称27、27’が複数表示されてしまう可能性があり、そうなった場合は、地図の見栄えが悪い。このように、同じストリート名称の文字が画像表示装置12の1画面中に表示されることが、文字重複の一態様である。
【0088】
そこで、複数の単位エリアに渡る同じバージョンの地図データを、地図データ製造業者がコンピュータを用いて作成する場合、画像表示装置12の1画面中で1つのストリートについて重複して名称の表示を行わないよう、表示非表示フラグを設定することができる。具体的には、同じストリートに対応すると共に隣り合う単位エリアに属する2つの名称レコードについては、どちらか一方の表示非表示フラグをオンとし、他方の表示非表示フラグをオフとするよう設定することができる。
【0089】
このようにすることで、制御回路17の地図表示処理においては、図5(a)に示すように、同じストリート名称27、27’のうち、名称27のみ表示し、名称27’を表示しないようになる。
【0090】
しかし、エリア更新の結果、単位エリア21は更新されず、単位エリア22が更新された場合、異なるバージョン間で表示非表示フラグが適切に設定されているとは限らないので、図5(b)に示すように、エリア更新の結果、隣り合う単位エリアで同じストリート名称27、27’が表示されるようになり、その結果、画像表示装置12の1画面中で1つのストリートについて重複して名称の表示が行われてしまう可能性がある。これも、文字重複の一態様である。
【0091】
これらのような文字重複を未然に防ぐために、制御回路17は、文字重複解消処理を地図更新処理の終了直後に実行し、地図データの縮尺毎に、図6に示すプログラム100を1回実行する。
【0092】
以下、地図データの1つの縮尺に対するプログラム100の実行内容について説明する。以下の説明では、地図データのうち、当該縮尺に対応する部分のみを参照および書き換えの対象としている。プログラム100の実行において制御回路17は、まずステップ105で、エリア更新の結果、バージョンが違う単位エリアが接するようになったか否かを判定する。各単位エリアのバージョン情報は、当該単位エリアの地図データに含まれており、このステップ105の判定では、そのバージョン情報を参照して判定を行う。バージョンが違う単位エリアが接すると判定した場合は続いてステップ110を実行し、バージョンが違う単位エリアが接しない(すなわち、すべての単位エリアが同じバージョンである)と判定した場合は、現在の縮尺についてのプログラム100の実行を終了する。
【0093】
ステップ110では、バージョンが相違する2つの隣接する単位エリアの境界近傍において、文字の重なりが生じている名称のペアを探索する。そして、1組でも文字の重なりが生じている名称のペアが見つかれば、それら見つかったペアのうちから1つを選出し、選出したペアを対象としてステップ115以降を実行する。
【0094】
ステップ110で、文字が重なっている名称のペアを探索する範囲を、バージョンが相違する2つの隣接する単位エリアの境界近傍に限定するのは、文字重なりが生じる原因がエリア更新であり、バージョンが相違する2つの隣接する単位エリアの境界近傍でない位置においては、文字重なりが生じる可能性はほとんどないからである。境界近傍であるか否かは、例えば、当該境界から所定の距離以内にあるか否かで判定する。ここで、所定の距離は、表示する地図画像のドットを単位とし、対象とする表示縮尺によらず一定とする。このようにするのは、文字が重なる可能性がある地理範囲は、表示縮尺が大きくなるほど狭くなるからである。
【0095】
また、ステップ110では、当該探索範囲内で名称の文字列の重なりが生じているか否かを判定するために、制御回路17は、名称レコードのうち、基準位置座標、配置タイプ、および名称文字数によれば名称文字列の表示領域が当該探索範囲内に入り、かつ、表示非表示フラグがオンとなっている(すなわち、表示設定となっている)名称レコードのみを抽出する。なお、ここでは、文字サイズがあらかじめ決められており、表示縮尺が決まっている。したがって、各名称レコードにおいて、文字サイズ、表示縮尺、基準位置座標、配置タイプおよび名称文字数が決まっているので、地図画像のドット単位でどの位置に名称文字列が表示されるかが一意に決まる。そして、制御回路17は、抽出した名称レコードの表示領域を比較することで、文字の重なりが生じている名称レコードのペア(すなわち、名称のペア)を見つけることができる。
【0096】
ステップ115では、選出した名称のペアが、同じ文字列に対応しているか否かを、当該名称に対応する名称レコード中の名称文字列の情報に基づいて判定する。そして、同じ文字列に対応していなければ続いてステップ120を実行し、同じ文字列に対応していれば続いてステップ125を実行する。
【0097】
ステップ120では、これら名称のペアのうち、優先度の低い方を非表示に設定する。すなわち、優先度の高い方のみを表示対象名称として残す。より具体的には、優先度の低い方の名称に対応する名称レコード中の、表示非表示フラグをオフにすることで、当該名称の文字列を地図に表示することを禁止する。
【0098】
優先度が高いか低いかは、当該名称に対応する名称レコード中の名称表示クラスに基づいて判定する。また、ペアとなる2つの名称レコードの名称表示クラスの値が同じ場合は、名称レコード中の詳細優先度に基づいて判定する。
【0099】
このようにすることで、図7(a)に示すように、単位エリア21を更新せず単位エリア22を更新した結果、単位エリア22において新設された店舗28の名称文字列29と、単位エリア21に元々あった会社24の名称文字列25とが重なって表示されてしまう関係となってしまっても、それら2つの名称文字列のうち優先度の低い方(例えば店舗28)について、当該名称文字列に対応する名称データ中の表示非表示フラグをオフとすることで、図7(b)に示すように、文字重なりを解消することができる。
【0100】
ステップ125では、これら同一の名称のペアのうち、バージョンがより新しい単位エリア(すなわち、更新した方の単位エリア)に属している方を、表示対象名称として残す。すなわち、バージョンがより古い単位エリア(すなわち、更新していない単位エリア)に属している方の名称を、非表示に設定する。より具体的には、バージョンがより古い単位エリアに属している方の名称に対応する名称レコード中の表示非表示フラグを、オフにすることで、当該名称の文字列を地図に表示することを禁止する。
【0101】
このようにすることで、単位エリア21を更新せず単位エリア22を更新した結果、図4(b)に示したように、同じ名称文字列25、25’が重なって表示されてしまう関係となってしまっても、それら2つに対応する名称のうち、古いバージョンの地図データに属する方25について、当該名称に対応する名称データ中の表示非表示フラグをオフとすることで、図8に示すように、文字重なりを解消することができる。したがって、エリア更新に起因して同じ名称の文字列が重なって表示されてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0102】
ステップ120、125に続いては、再度ステップ110で、当該探索範囲内で文字の重なりが生じているか否かを判定する。このように、重なり合う名称のペアがなくなるまで、重なり合う名称のペアの一方を非表示に設定するので、最終的には、エリア境界近傍における文字重なりがすべて解消する。文字重なりがすべて解消すると、ステップ110の判定結果が否定的となり、続いてステップ130を実行する。
【0103】
ステップ130では、バージョンが相違する2つの隣接する単位エリアの境界近傍において、文字列が互いに近接している同名の(すなわち、名称文字列が同じ)名称のペアを探索する。そして、1組でも互いに近接している同名の名称のペアが見つかれば、それら見つかったペアのうちから1つを選出し、選出したペアを対象としてステップ135を実行する。
【0104】
ステップ130で、文字列が互いに近接している同名の名称のペアを探索する範囲を、バージョンが相違する2つの隣接する単位エリアの境界近傍に限定するのは、ステップ110における理由と同じ理由による。また、ある名称の表示位置が境界近傍であるか否かについても、ステップ110と同じ方法で判定する。
【0105】
また、ステップ130で、探索対象として、互いに近接している名称に限定するのは、同じ名称文字列が2つあっても、それらが同一の地物を二重に表示してしまうものとは限らず、地図データ上のみならず現実にそれぞれの名称文字列に対応した同名の地物が2つ存在するかもしれないからである。例えば、同じフランチャイザーと契約する2つのフランチャイジーの店舗に、同一の名称文字列が付与される場合がある。このような場合に、誤って一方の文字列を消去してしまわないために、近接という基準を用いる。2つの名称の文字列が近接していればいるほど、それらが同一の地物を二重に表示してしまっているものである可能性が高い。
【0106】
同名の名称の文字列が近接しているか否かは、例えば、2つの同名の名称に対応する2つの名称レコードのそれぞれから、基準位置座標を読み出し、それら2つの基準位置座標間の距離が所定の距離以下であるか否かで、判定する。ここで、所定の距離は、実距離を単位とし、対象とする表示縮尺によらず一定とする。このようにするのは、所定の距離は、上述のように、同一の地物等を二重に表示してしまっているか否かを判定するための閾値だからである。
【0107】
また、ステップ130では、当該探索範囲内で同名の名称文字の重なりが生じているか否かを判定するために、制御回路17は、名称レコードのうち、基準位置座標および配置タイプによれば名称文字列の表示領域が当該探索範囲内に入り、かつ、表示非表示フラグがオンとなっている名称レコードのみを抽出する。そして制御回路17は、上述のように、抽出した名称レコードの基準位置座標および名称文字列を比較することで、互いに近接していると共に名称文字列が同一の名称レコードのペアを見つけることができる。
【0108】
ステップ135では、これら同一の名称のペアのうち、バージョンがより新しい単位エリアに属している方を、表示対象名称として残す。すなわち、バージョンがより古い単位エリアに属している方の名称を、非表示に設定する。より具体的には、バージョンがより古い単位エリアに属している方の名称文字列に対応する名称レコード中の、表示非表示フラグをオフにすることで、当該名称文字列を地図に表示することを禁止する。
【0109】
このようにすることで、単位エリア21を更新せず単位エリア22を更新した結果、図4(c)に示したように、現実には1つしか存在しない地物について同じ名称文字列25、25’が近接して表示されてしまう関係となってしまっても、それら2つの名称文字列のうち、古いバージョンの地図データに属する方25について、当該名称文字列に対応する名称データ中の表示非表示フラグをオフとすることで、図9に示すように、同じ文字の重複(具体的には、同じ文字の近接)を解消することができる。したがって、エリア更新に起因して同じ名称の文字列が近接して表示されてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0110】
ステップ135に続いては、再度ステップ130で、当該探索範囲内で文字列が近接する同名の名称のペアがあるか否かを判定する。このように、文字列が近接する同名の名称のペアがなくなるまで、文字列が近接する同名の名称文字列のペアの一方を非表示に設定するので、最終的には、エリア境界近傍において同じ名称文字列の近接がすべて解消する。同じ名称文字列の近接がすべて解消すると、ステップ130の判定結果が否定的となり、続いてステップ140を実行する。
【0111】
ステップ140では、バージョンが相違する2つの隣接する単位エリアの境界近傍において、1画面中に表示される可能性があるストリート名称のペアを探索する。そして、1画面中に表示される可能性がある同名のストリート名称のペアが1組でも見つかれば、それら見つかったペアのうちから1つを選出し、選出したペアを対象としてステップ145を実行する。
【0112】
ステップ140で、1画面中に表示される可能性があるストリート名称のペアを探索する範囲を、バージョンが相違する2つの隣接する単位エリアの境界近傍に限定するのは、ステップ110における理由と同じ理由による。また、あるストリート名称の表示位置が境界近傍であるか否かについても、ステップ110と同じ方法で判定する。
【0113】
ステップ140で制御回路17は、より具体的には、上記境界近傍に表示される名称レコードのうち、リンク列レコードに含まれるノードデータにおいてオフセットで指定されているストリート名称の名称レコード(以下、ストリート名称レコードという)のみを抽出し、抽出したストリート名称レコード中の表示非表示フラグがオンのストリート名称レコードのみを抽出し、さらに、抽出したストリート名称レコードの基準位置座標および名称文字列を比較することで、1画面中に2つ以上表示される可能性がある同名のストリート名称のペアを検索する。そして、1画面中に表示される可能性がある同名のストリート名称のペアが1組でも見つかれば、それら見つかったペアのうちから1つを選出し、選出したペアを対象としてステップ145を実行する。
【0114】
2つのストリート名称が、1画面中に表示される可能性があるか否かは、当該ストリート名称に対応するストリート名称レコード中の2つの基準位置座標に基づいて判定する。すなわち、現在の表示縮尺に基づいて、地図画像中の2つの基準位置座標の横方向の距離(ドット数単位)と、地図画像中の2つの基準位置座標の縦方向の距離(ドット数単位)とを特定する。そして、この横方向の距離が横基準距離(ドット数単位)以下であり、かつ、この縦方向の距離が縦基準距離(ドット数単位)以下である場合にのみ、当該2つの名称文字列が1画面中に表示される可能性があると判定する。すなわち、地図中において、2つの名称文字列が画像表示装置12の1画面に表示可能な範囲内に共に表示される場合に、当該2つの名称文字列が1画面中に表示される可能性があると判定する。ここで、横基準距離および縦基準距離は、画像表示装置12の1画面の横方向の総ドット数および縦方向の総ドット数である。
【0115】
なお、ステップ140で、探索対象として、1画面中に表示される可能性がある2つのストリート名称に限定するのは、1つのストリートの名称文字列を1つの表画面中で二重に表示するのは、ユーザにとって煩わしいからである。
【0116】
ステップ145では、選出したペアのうちのいずれかのストリート名称を非表示にする。すなわち、選出したペアのうちのいずれかのストリート名称に対応する名称レコードにおいて、表示非表示フラグをオフにすることで、当該ストリート名称の文字列を地図に表示することを禁止する。
【0117】
このようにすることで、単位エリア21を更新せず単位エリア22を更新した結果、図5(b)に示したように、1つのストリートについて同じ名称文字列27、27’が1画面中に表示されてしまう関係となってしまっても、それら2つの名称文字列27、27’に対応するストリート名称のうち一方について、当該ストリート名称に対応する名称データ中の表示非表示フラグをオフとすることで、エリア更新に起因して同じストリート名称の文字列が1画面中に重複して表示されてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0118】
このとき、図10に示すように、非表示に設定しなかった方のストリート名称の文字列27の表示位置を、更新しなかった単位エリア21と更新した単位エリア22との境界23に移動してもよい。具体的には、非表示に設定しなかった方の名称文字列27に対応する名称レコード中の基準位置座標を、単位エリア21と更新した単位エリア22との境界23の位置に移動させる。
【0119】
ステップ145に続いては、再度ステップ140で、1画面中に表示される可能性がある同名のストリート名称のペアがあるか否かを判定する。このように、1画面中に表示される可能性がある同名のストリート名称のペアがなくなるまで、1画面中に表示される可能性がある同名のストリート名称のペアの一方を非表示に設定するので、最終的には、1画面中に表示される可能性がある同名のストリート名称のペアがなくなる。そのようなペアがすべてなくなると、ステップ140の判定結果が否定的となり、続いてステップ150を実行する。
【0120】
ステップ150では、バージョンが相違する2つの隣接する単位エリアの境界近傍において、非表示設定になっている名称のうち、表示しても他の名称と重なって表示されず、かつ、近傍に同名の名称が表示されていない名称を検索する。そして、1つでもそのような名称が存在すれば、続いてステップ155を実行する。
【0121】
このような条件に適合する名称文字列の例を、図11に示す。図11(a)は、エリア更新によって単位エリア22の地図データが更新される前の状況を示している。この状況においては、地物29に対応する名称レコードによれば、地物29に対応する名称文字列30は、名称文字列24に重なるので、あらかじめ地図データ作成時に、地物29に対応する名称レコードの表示非表示フラグがオフに設定されていた。
【0122】
しかし、図11(b)に示すように、エリア更新の結果、図4(a)、図4(b)、および図8を用いて説明したとおり、名称文字列25’が追加されたために、ステップ125において名称文字列25が非表示となった。その結果、名称文字列30に重なって表示される名称文字列が存在しなくなり、また、名称文字列30と同一の名称文字列も近傍に存在しない。
【0123】
ある非表示設定の名称の文字列が、表示したときに他の名称の文字列と重なって表示されるか否かは、ステップ110と同様、当該非表示設定の名称の名称レコードと、他の名称の名称レコード(表示非表示フラグがオンのものに限る)の、基準位置座標、配置タイプ、および名称文字数を比較することで判定する。
【0124】
また、ある非表示設定の名称の文字列が、表示したときに他の同名の名称の文字列と近接して表示されるか否かは、ステップ130と同様、当該非表示設定の名称の名称レコードと、他の名称の名称レコード(表示非表示フラグがオンのものに限る)の、基準位置座標および名称文字列を比較することで判定する。
【0125】
ステップ155では、ステップ155で見つかった非表示設定の名称のうち、最も優先度が高い名称を、非表示設定から表示設定に変更する。すなわち、当該名称に対応する名称レコードの表示非表示フラグを、オフからオンに切り替える。
【0126】
なお、ある2つの名称のうちどちらの優先度が高いか低いかは、当該名称に対応する名称レコード中の名称表示クラスに基づいて判定する。また、比較対象の2つの名称レコードの名称表示クラスの値が同じ場合は、名称レコード中の詳細優先度に基づいて判定する。
【0127】
図11の例においては、図12に示すように、地物29の名称文字列30に対応する名称レコードを特定し、特定した名称レコード中の表示非表示フラグをオフからオンに切り替える。これによって、名称文字列30が非表示設定から表示設定に切り替わる。
【0128】
ステップ155に続いては、再度ステップ150で、当該探索範囲内で、非表示設定になっている名称のうち、表示しても他の名称の文字列と重なって表示されず、かつ、近傍に同名の名称の文字列が表示されていない名称を検索し、そのような名称があるか否かを判定する。このように、条件に合致した非表示設定の名称がなくなるまで、条件に合致した非表示設定の名称のうち最も優先度が高いものを表示設定に切り替えるので、最終的には、エリア境界近傍において、文字列が他の表示設定の名称と重ならず、かつ、文字列が同名の表示設定の名称とも近接しない名称が、すべて表示設定となる。
【0129】
このようにすることで、文字重なりおよび同一文字列近接を解消するために、一部の名称を非表示にした結果、文字列が他と重ならずかつ同一の文字列と近接しないようになった名称を、すべて表示設定に切り替えることができる。すなわち、もはや無意味になった表示禁止を解除することができる。
【0130】
なお、上記実施形態においては、制御回路17が、ステップ110、115、130、140を実行することで、抽出手段の一例として機能し、ステップ125、135、145を実行することで、禁止手段の一例として機能し、ステップ150、155を実行することで、禁止解除手段の一例として機能する。
【0131】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0132】
例えば、上記実施形態において制御回路17は、エリア更新処理の直後に文字重複解消処理を実行している。しかし、文字重複解消処理の実行時期は、エリア更新処理の後であれば、直後でなくともよい。例えば、制御回路17は、エリア更新処理の後、地図表示処理と並行して、文字重複解消処理を実行してもよい。その場合、文字重複解消処理の対象範囲は、表示する地図の範囲のみとしてもよい。
【0133】
また、上記実施形態においては、プログラム100のステップ125、135においては、文字列が重なっている(または近接している)同名の名称のペアのうち、バージョンがより新しい単位エリアに属する方の名称を、表示対象名称として残すようになっている。しかし、バージョンがより古い単位エリアに属する方の名称を、表示対象名称として残すようになっていてもよい。
【0134】
また、上記実施形態においては、プログラム100のステップ120、125、135、145においては、名称の文字列を地図に表示することを禁止する方法として、当該名称に対応する名称レコードの表示非表示フラグをオフにする方法が用いられている。しかし、名称の文字列を地図に表示することを禁止する方法としては、このような方法以外にも、当該名称レコード中の名称文字列をヌル文字列(ゼロ文字の文字列)に変更する方法、当該名称レコードそのものを削除する方法、地図表示処理において当該文字列の表示を禁止する方法等、どのような方法を採用してもよい。
【0135】
また、上記の実施形態において、制御回路17がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0136】
また、上記実施形態においては、地図更新装置の一例として車両用ナビゲーション装置1を挙げているが、本発明の地図更新装置は、車載用である必要もないし、ナビゲーション装置である必要もない。例えば、地図データを備えると共に地図表示機能を有する携帯電話機として、本発明の地図更新装置を実現してもよい。すなわち、本発明の技術は、地図データに基づいて地図表示を行う地図表示装置であれば、どのような装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0137】
1 車両用ナビゲーション装置
11 位置検出器
12 画像表示装置
13 操作部
14 スピーカ
15 無線通信機
16 地図データ取得部
17 制御回路
21、22 単位エリア
23 エリア境界
24、24’、29 地物
25、25’、28、30 地物名称
26 ストリート
27、27’ ストリート名称
28 店舗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置(12)と、
複数の単位エリアに区分けされた地図データを記憶する記憶媒体(16)と、
前記地図データに基づいて、前記画像表示装置(12)に地図を表示させる制御回路(17)と、を備え、
前記地図データは、前記地図中に表示するための複数の名称にそれぞれ対応する複数の名称レコードを含み、前記複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の文字列を示す情報、および、当該文字列の前記地図中の表示範囲を示す情報を含み、
前記制御回路(17)は、
前記第2の単位エリアを更新する更新手段と、
前記更新手段による更新の後、前記複数の名称レコードを参照して、前記地図中において重なって表示される同じ文字列のペアを抽出する抽出手段(110、115)と、
前記抽出手段(110、115)が抽出した前記ペアのうち一方を前記地図に表示することを禁止する禁止手段(125)と、を有することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
画像表示装置(12)と、
複数の単位エリアに区分けされた地図データを記憶する記憶媒体(16)と、
前記地図データに基づいて、前記画像表示装置(12)に地図を表示させる制御回路(17)と、を備え、
前記地図データは、前記地図中に表示するための複数の名称にそれぞれ対応する複数の名称レコードを含み、前記複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の文字列を示す情報、および、当該文字列の前記地図中の表示範囲を示す情報を含み、
前記制御回路(17)は、
前記複数の単位エリアのうち一部の単位エリアを更新する更新手段と、
前記更新手段による更新の後、前記複数の名称レコードを参照して、前記地図中において近接して表示される同じ文字列のペアを抽出する抽出手段(130)と、
前記抽出手段(130)が抽出した前記ペアのうち一方を前記地図に表示することを禁止する禁止手段(135)と、を有することを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
前記制御回路(17)は、前記抽出手段が抽出した前記ペアのうち一方の表示が前記禁止手段によって禁止された後、前記複数の名称レコード中で表示が禁止されている名称レコードに対応する文字列のうちから、前記地図中に表示しても他の名称の文字列と重なって表示されず、かつ、前記地図中に表示しても近傍に同一の名称文字列が表示されることのない文字列を検索し、見つかった文字列の表示の禁止を解除する禁止解除手段(150、155)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図データにおいて、前記複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の表示を行うか否かを示す表示非表示フラグを含み、
前記禁止手段は、前記抽出手段が抽出した前記ペアのうち一方の文字列に対応する名称レコード中の表示非表示フラグをオフにすることで、当該文字列を前記地図に表示することを禁止し、
前記制御回路(17)は、前記抽出手段が抽出した前記ペアのうち一方に対応する表示非表示フラグが前記禁止手段によってオフになった後、前記複数の名称レコード中で表示非表示フラグがオフになっている名称レコードに対応する文字列のうちから、前記地図中に表示しても他の名称の文字列と重なって表示されず、かつ、前記地図中に表示しても近傍に同一の名称文字列が表示されることのない文字列を検索し、見つかった文字列に対応する名称レコード中の表示非表示フラグをオンに切り替えることで、当該文字列の表示の禁止を解除する禁止解除手段(150、155)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項5】
画像表示装置(12)と、
複数の単位エリアに区分けされた地図データを記憶する記憶媒体(16)と、
前記地図データに基づいて、前記画像表示装置(12)に地図を表示させる制御回路(17)と、を備え、
前記地図データは、前記地図中に表示するための複数のストリート名称にそれぞれ対応する複数のストリート名称レコードを含み、前記複数のストリート名称レコードのそれぞれは、対応するストリート名称の文字列を示す情報、および、当該文字列の前記地図中の表示範囲を示す情報を含み、
前記制御回路(17)は、
前記複数の単位エリアのうち一部の単位エリアを更新する更新手段と、
前記更新手段による更新の後、前記複数のストリート名称レコードを参照して、前記地図中において前記画像表示装置(12)の1画面に表示可能な範囲内に表示される同じストリート名称の文字列のペアを抽出する抽出手段(140)と、
前記抽出手段(140)が抽出した前記ペアのうち一方を前記地図に表示することを禁止する禁止手段(145)と、を有することを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
前記制御回路(17)は、前記抽出手段が抽出した前記ペアのうち一方の表示が前記禁止手段によって禁止された後、前記複数の名称レコード中で表示が禁止されている名称レコードに対応する文字列のうちから、前記地図中に表示しても他の名称の文字列と重なって表示されず、かつ、前記地図中に表示しても近傍に同一の名称文字列が表示されることのない文字列を検索し、見つかった文字列の表示の禁止を解除する禁止解除手段(150、155)を有することを特徴とする請求項5に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記地図データは、前記地図中に表示するための複数の名称にそれぞれ対応する複数の名称レコードを含み、前記複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の文字列を示す情報、および、当該文字列の前記地図中の表示範囲を示す情報を含み、
前記複数の名称レコードの一部は、前記複数のストリート名称レコードであり、
前記地図データにおいて、前記複数の名称レコードのそれぞれは、対応する名称の表示を行うか否かを示す表示非表示フラグを含み、
前記禁止手段は、前記抽出手段が抽出した前記ペアのうち一方の文字列に対応するストリート名称レコード中の表示非表示フラグをオフにすることで、当該文字列を前記地図に表示することを禁止し、
前記制御回路(17)は、前記抽出手段が抽出した前記ペアのうち一方に対応する表示非表示フラグが前記禁止手段によってオフになった後、前記複数の名称レコード中で表示非表示フラグがオフになっている名称レコードに対応する文字列のうちから、前記地図中に表示しても他の名称の文字列と重なって表示されず、かつ、前記地図中に表示しても近傍に同一の名称文字列が表示されることのない文字列を検索し、見つかった文字列に対応する名称レコード中の表示非表示フラグをオンに切り替えることで、当該文字列の表示の禁止を解除する禁止解除手段(150、155)を有することを特徴とする請求項5に記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−217140(P2010−217140A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67533(P2009−67533)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】