基地局装置
【課題】
無線通信においては電波がぶつかり合うことで干渉が発生するため、従来から設置されているマクロセル基地局装置に加えて上述のフェムトセル基地局装置が新たに設置されると、送信される電波の数が増加し干渉が発生しやすくなると考えられる。よって、フェムトセル基地局装置の設置には干渉が発生しないように工夫が必要である。
【解決手段】
無線端末が近くに存在するか否かを規定の条件によって判断し、近くに存在すると判断した場合に基地局装置が無線端末との通信が可能な状態にあることを示す情報を送信する基地局装置を提供する。
無線通信においては電波がぶつかり合うことで干渉が発生するため、従来から設置されているマクロセル基地局装置に加えて上述のフェムトセル基地局装置が新たに設置されると、送信される電波の数が増加し干渉が発生しやすくなると考えられる。よって、フェムトセル基地局装置の設置には干渉が発生しないように工夫が必要である。
【解決手段】
無線端末が近くに存在するか否かを規定の条件によって判断し、近くに存在すると判断した場合に基地局装置が無線端末との通信が可能な状態にあることを示す情報を送信する基地局装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術に関し、特に無線通信で発生する干渉を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は空間を伝播する性質を持つ電波を利用した通信である。電波は建材などによって吸収・反射するため、屋内などの特定空間においては無線端末が受信可能な電波の電力が弱まってしまう。また、従来の無線通信システムは基地局装置として半径数キロメートルのエリアをカバーするマクロセル基地局装置(カバーエリアの広い大出力の基地局装置)を設置していたため、基地局装置から無線端末に通信を行う下り回線(Forward Link)では、回線品質の劣化から十分なスループットを出すことができない課題があった。また、無線端末から基地局装置への通信である上り回線(Reverse Link)では、無線端末は送信電力を上げて通信しなければならず、無線端末の消費電力が大きくなってしまう課題があった。
【0003】
そこで、マクロセル基地局装置に加えて、小型のフェムトセル基地局装置(カバーエリアの狭い小出力の基地局装置)を自宅等の屋内に設置するシステムが注目されている。このシステムでは、無線端末にとっては距離の近いフェムトセル基地局装置にアクセスすることで、下り回線、上り回線ともにより良い電波状況での通信が可能となる利点がある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−214819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線通信においては電波がぶつかり合うことで干渉が発生するため、従来から設置されているマクロセル基地局装置に加えて上述のフェムトセル基地局装置が新たに設置されると、送信される電波の数が増加し干渉が発生しやすくなると考えられる。よって、フェムトセル基地局装置の設置には干渉が発生しないように工夫が必要である。しかし、干渉の発生を防止するため利用者が家庭内のどんな場所にフェムトセル基地局装置を設置すれば良いかについては明確に規定されておらず、マクロセル基地局装置のような伝搬損などを考慮した配置設計や無線回線設計を行うことが難しい。従って、フェムトセル基地局装置の設置により干渉が多数発生し、無線通信に障害が起こる可能性がある。
【0006】
なお、特許文献1には無線通信システムにおいて、一方が他方の通信に干渉を及ぼすことがなく、かつ他方において通信を実行する技術を開示しているが、フェムトセル基地局装置を採用した無線通信システムまでは考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、無線端末が近くに存在するか否かを規定の条件によって判断し、近くに存在すると判断した場合に基地局装置が無線端末との通信が可能な状態にあることを示す情報を送信する基地局装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マクロセル基地局装置とフェムトセル基地局装置との間で生じる干渉を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施に好適な実施形態の例を詳細に説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではない。また、以下では基地局装置について、「マクロセル基地局装置」という場合、「フェムトセル基地局装置」という場合以外に、単に「基地局装置」と表記する場合があるが、この場合の「基地局装置」は、マクロセル基地局装置とフェムトセル基地局装置を含み、無線端末と通信するための基本的な能力を備えた広い意味での基地局装置を指すものとする。
【実施例1】
【0010】
一般に、基地局装置は無線端末から送信する信号を受信することで、その無線端末が基地局装置のデータ送受信可能な範囲に存在することを確認している。また、基地局装置は無線端末と通信を確立するために、何らかの信号を送信している。例えば、同期をとるためのプリアンブル信号(プリアンブル情報ともいう)や、基地局装置の情報を知らせる制御信号(制御情報ともいう)や、着呼を知らせるページング信号は常に送信する必要があった。しかし、フェムトセルの設置場所として第1に想定される家庭内という特殊環境では、利用者が使う1日のうち特定の時間帯だけ信号が送信されていれば十分であるため、常に何らかの信号を送信する必要はない。
【0011】
従って、要求がない限りにおいては、信号を一切送信しないスリープモードを有するフェムトセル基地局装置が有効である。スリープモードに設定されている間は、基地局装置間の干渉を時間的に分散させることが可能であり、干渉を低減することができる。ここで、本実施例においては、基地局装置について信号を送信する状態をアクティブモード(第1のモード)と定義し、信号を送信しない状態をスリープモード(第2のモード)と定義する。また、予め定められた一定の時間無線端末との通信がなされない場合に、アクティブモードからスリープモードへ設定変更することも有効である。インターネットアクセスなどパケット型の通信では、一度アクセスが行われると、特定の時間に通信が集中する特徴がある。
【0012】
例えばWEBアクセスでは、リンクを通じて次々と新しいWEBページにアクセスしていくが、新しいWEBページが表示される度にそのWEBページの内容を読むため、数秒から数分の時間をもって新たなパケット送信の要求が出される。その度に無線端末が一度マクロセルにアクセスしてからフェムトセルにハンドオーバするシーケンスでは無駄が多く、レスポンスにも時間がかかる。そこで、一旦通信状態になった後は、一定時間アクティブの状態を続け、その後にスリープモードへ遷移する態様とする。これにより、WEBアクセスなどを行った際の利便性が向上し、課題は解決される。
【0013】
最初に、図1を用いてフェムトセルの概要を説明する。図1はマクロセルの中に複数のフェムトセルが存在することを示している。ここで、マクロセルとは、大出力の基地局装置(以下、マクロセル基地局装置100)がカバーするエリア(図1では大きな円で表現されている)を指し、フェムトセルとは、低出力の基地局装置(以下、フェムトセル基地局装置101〜108)がカバーするエリア(図1では小さな円で表現されている)を指す。
【0014】
フェムトセルは低出力ながらも屋内などの限られた空間に対して信号品質の良い環境を構築することを目的としている。なお、図1には、ネットワークを構成するための装置として、マクロセルと接続する上位ネットワーク装置110と、フェムトセルと接続する上位ネットワーク装置111、それらを結びつける交換装置112が示されている。また、マクロセル内には無線端末180が存在し、この無線端末180は基本的にマクロセル基地局装置100との通信が可能である。そして、フェムトセル基地局装置101〜108のカバーエリア内に入れば、そのフェムトセル基地局装置との通信も可能になる。マクロセル基地局装置100と通信する場合には上位ネットワーク装置110を利用することになり、フェムトセル基地局装置101〜108と通信する場合には上位ネットワーク装置111を利用する態様となる。
【0015】
図2は、マクロセル基地局装置とフェムトセル基地局装置それぞれからの信号電力を示している。ここでは、図1で直線150の断面上に配置された2つフェムトセル基地局装置103、104からの信号の電力値とマクロセルからの信号の電力値を合わせて表示し、比較することができる。曲線200はマクロセル基地局装置100からの信号の電力値を示し、曲線201はフェムトセル基地局装置104からの信号の電力値を示し、曲線202はフェムトセル基地局装置103からの信号の電力値を示している。ここで、フェムトセル基地局装置104はマクロセル基地局装置100から2100m離れた地点に設置され、フェムトセル基地局装置103はマクロセル基地局装置100から2140m離れた地点に設置されているものとする。図2により、フェムトセル基地局装置が設置された地点の周辺だけで、特異的に信号の電力値が高まっていることがわかる。従って、フェムトセル基地局装置を設置することで特定のエリアに対して受信品質を改善することができることがわかる。
【0016】
図3は、マクロセル基地局装置とフェムトセル基地局装置それぞれからの信号対干渉電力比(SINR:Signal Interference Noise Ratio)を示す。ここでは、他の基地局装置からの信号を干渉とみなして信号対干渉電力比を示している。SINRは、各地点において、[大きな値を示す方の信号の電力値/小さな値を示す方(干渉となる方)の信号の電力値]で表される。よって、SINRが高ければ高いほど無線端末と基地局装置との通信が安定することになる。図3により、フェムトセル基地局装置が設置された地点の周辺(基地局との距離が2100m及び2140mの地点)で、SINRが高い値となることを確認できるが、その周辺では、マクロセルとの境界エリアが発生し、SINRが劣化する場所が見られる。従来の技術では、こうしたセル境界があっても、周波数を分割するなどしてセル間の干渉を低減する技術が盛り込まれており、セル間干渉はある程度は低減されている。
【0017】
しかし、先に記載した通り、フェムトセル基地局装置は、電波干渉の知識のない一般ユーザが設置するもので、干渉の影響を確実に予測することができない。また、単に通信を行う通信チャネルだけでなく、同期用のプリアンブルと呼ばれるヘッダ部や、制御情報を報知する制御チャネルを含めて干渉の対象となってしまうため、1日のうちの特定の時間帯だけ使われると考えられる家庭用のフェムトセルの干渉が、常に他のセルに影響を与えることとなる。フェムトセル基地局装置からの信号は微弱であるものの、多数設置されることに伴って干渉エリアは広がり、その影響も大きくなると推定される。
【0018】
図4は、1つのフェムトセルの送信を一定時間止めた場合の効果を示す。曲線203はフェムトセル基地局装置103及びフェムトセル基地局装置104が存在する場合の信号対干渉電力比を示し、曲線204はフェムトセル基地局装置103だけが存在する場合の信号対干渉電力比を示す。ここで、マクロセル基地局装置100との距離が2000mから2100mのエリアに関して、SINRが大きく改善していることが分かる。このように、基地局装置が何も送信しない時間帯を作ることができれば、他のセルへの干渉は大幅に削減することが可能となる。フェムトセルでは、ユーザが1日の特定の時間帯だけ利用することが多いことに着目し、必要な時間に必要最低限の情報だけを送信する基地局装置とすることで、フェムトセルの干渉を低減できる。
【0019】
一般に、基地局装置は他の基地局装置と同期をとるために必要なパイロット信号(パイロット情報ともいう)や、基地局装置に関する情報を含む制御信号(制御情報ともいう)を制御チャネルで送信している。一方、無線端末は制御信号を受信することで基地局装置を認知してアクセスすることができる。しかし、干渉を発生させないために基地局装置が信号を一切送信しない構成にしてしまうと、無線端末は通信すべき基地局装置を認知できずアクセスすることができない。そこで、本実施例のフェムトセル基地局装置は、無線端末から受信した信号を測定し、その信号の電力値が閾値以上であればスリープモード(制御信号を送信しないモード)からアクティブモード(制御信号を送信するモード)に状態遷移する機能を持つことによってこの問題を解決する。
【0020】
図5は、必要な時間以外は制御チャネルを含めて信号の送信を行わないスリープモード状態を備えるフェムトセル基地局装置及び携帯端末のブロック図である。本実施例では、OFDMA信号を処理する態様を例に挙げて説明する。フェムトセル基地局装置がスリープモードに設定されている場合、送信系ブロック401は信号の送信は行わないが、受信系ブロック400により信号の受信は行う構成とする。アンテナ301から入ってきた信号はデュプレクサ302(DUP)を経由して受信系ブロック400に入力される。
【0021】
受信系ブロック400はいくつかのサブブロックで構成されている。まずデュプレクサ302から入力された信号は、受信RF部(RFRX)303にて適切なフィルタ処理とダウンコンバートおよびAD変換処理が行われ、デジタルの信号に変換される。その後、CP除去部(CPE)304でCPが取り除かれ、FFTサイズに加工された信号が取り出される。その信号はFFT部(FFT)305にてFFT処理され、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換される。周波数領域の信号に変換された信号はデマルチプレクサ部(DMX)306によって、機能チャネルに分解され、必要なベースバンド処理により、デモッド部(DMD)307において復号処理が行われる。
【0022】
この一連の過程により受信信号のレベルを測定することが可能である。例えば、受信RF部303においてRSSI(Receiver Signal Strength Indicator:受信信号強度検出、または電界強度検出という。受信した電波信号の強さを数値化したものである。)を測定することができる。RSSIは、ログアンプを使い、受信信号を直接対数値に変換し、受信電力を測定する方法を用いる。この結果を使うと、受信された信号のデシベル値での電力が判明する。その結果は制御部(CONT)308に送られ、制御部308において閾値との比較判定が実施される。閾値比較において、閾値以上の値が受信された場合に、スリープモードからアクティブモードへと状態を遷移させる。
【0023】
アクティブモードになると、制御部308は送信系ブロック401を起動する。送信する信号(制御信号を含む)は符号部(Data)313により適切な符号化手段を用いて符号化されて生成され、さらに符号化と並行してパイロット信号生成部(Pilot)314によりパイロット信号が生成される。生成された制御信号やパイロット信号は、マルチプレクサ部(MUX)312において合成され、決められたタイミングでサブキャリヤに配置される。配置された信号は、逆FFT部(IFFT)311において逆FFT処理され、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換される。作成された時間領域の信号は、CP挿入部(CPI)310にてCPが付加される。CPが付加された時間領域の情報は、送信RF部(RFTX)309にて、DA変換、アップコンバート処理、フィルタ処理が行われ、RF送信信号として完成する。このRF信号は、デュプレクサ302を介してアンテナ301から無線端末等に送られる。
【0024】
本実施例においては、フェムトセル基地局装置が受信系ブロック400で受信信号のレベルを測定し、それを閾値と比較し、その結果に応じて送信系の起動を判断することをポイントとしている。なお、受信信号のレベルを測定する手段は、様々な方法が考えられるが、その方法に依存せず、スリープモードとアクティブモードとを有し、受信した信号のレベルに応じてスリープモードとアクティブモードを切り替える態様であれば良い。
【0025】
また、本実施例では信号レベルの測定方法としてRSSIを例に挙げたが、これに限定する必要はない。例えば、上記では説明を省略したが、受信系ブロック400内には伝搬路で受けた位相回転や振幅変動による影響を軽減するため検波処理が行われている。この検波処理には、伝搬路を推定する必要がある。伝搬路推定は、無線端末が送信するパイロット信号などを元に行われており、推定された伝搬路は、受信レベルに関係する値を持つ。したがって、この結果を応用することで、受信信号のレベルを測定することが可能である。具体的には、推定された時間、周波数に関する伝搬路を平均処理して平均受信電力を算出し、この値を用いて閾値判定する。また、無線端末180は、無線端末全体を制御する制御部181、種々のメニューを表示し、利用者の操作や指で押下されたキー入力を受け付ける操作部182と、様々な情報を記憶する記憶部183と、基地局や他の無線端末と通信する(データの送受信、通話機能を有する)通信部184とを有する。
【0026】
図6は、受信信号電力と、送信系の出力の関係を示す図である。縦軸に電力値、横軸に時間をとっている。縦軸では下から上に向かって大きな値へ変化していき、横軸では左から右に向かって時間が経過していくことを示している。曲線500はフェムトセル基地局装置がアンテナ301を介して受信する信号の電力値を示し、破線501はフェムトセル基地局装置が予め有する閾値を示し、曲線502はフェムトセル基地局装置が送信する信号の電力値を示す。
【0027】
フェムトセル基地局装置は時間がt1に達するまでは破線501よりも小さな電力値の信号を受信する。そして、t1に達したとき、受信する信号の電力値が急激に大きくなって、閾値を超えている。このとき、フェムトセル基地局装置の制御部308は送信系ブロック401の起動を指示する。制御部308の指示に基づいて送信系ブロック401は起動され、曲線502に示すように信号の送信を開始する。
【0028】
その後、時間がt2に達すると受信した信号の電力が急激に小さくなっている。フェムトセル基地局装置は受信系ブロック400により受信した信号の電力が閾値より下がっていることを検知するが、その検知と共に送信する信号の電力値を下げてしまうのではなく、一定時間503が経過するまで電力値を保つ構成にする。これにより、WEBへのアクセスなど、データの送信を一旦開始すると、間欠的に送信を続けることが多いデータ通信の特性にも対応することができる。例えば、送信系ブロック401による送信信号の電力値を下げスリープモードに遷移してしまうと、再度信号を送信する際に、スリープモードからアクティブモードへの変更に時間がかかるため起動の遅れが発生してしまうが、上述の工夫によりそれを防ぐことができる。なお、スリープモードでは信号を一切送信しないこと(送信信号の電力値を0にする)を基本構成とするが、干渉が大きくならない程度に小さな信号を送信する(送信信号の電力値を0ではなく、ある一定値に保つ)構成としても一定の効果が得られる。
【0029】
図8はフェムトセル基地局装置の動作フローを示すフローチャート図である。フェムトセル基地局装置は起動されると受信系ブロック401を起動し、スリープモードに設定して無線端末からの信号を待ち受ける(ステップ1000)。受信信号の閾値判定から信号が受信されたと認識すると、送信系の起動を開始する(ステップ1001)。まず、プリアンブル信号(パイロット信号及び制御信号を含む送信信号)を送信する(ステップ1002)。
【0030】
そして、無線端末からの通信要求あるいはハンドオーバ要求を待つ(ステップ1003)。無線端末から要求があると、基地局装置はそれに応じて通信状態となる。通信が終了すると(ステップ1004)と、送信する信号の電力値を一定の値以上に保ち(ヒステリシス状態にあるとも言う)(ステップ1005)、プリアンブルの送信を停止し、スリープモードとなる(ステップ1006)。もし、ステップ1005で送信する信号の電力値を一定の値以上に保たせている間に次の通信要求があった場合には、再度通信状態へと遷移する。
【0031】
図9はマクロセル基地局装置や無線端末を含むフローを示すシーケンス図である。マクロセル基地局装置は常時アクティブ状態に設定されており、マクロセル基地局装置がカバーするエリア(マクロセル)内にある無線端末は、マクロセルの管理下に置かれている。
【0032】
マクロセル基地局装置はパイロット信号および制御チャネルを無線端末に対して送信し、無線端末は少なくとも間欠的にはこれらの情報を受信している(ステップ2000)。ページングがかかると、無線端末は接続要求信号(アクセスチャネル)をマクロセル基地局装置へ送信して、接続要求を行う(ステップ2001)。
【0033】
マクロセル基地局装置は、接続要求信号を受信すると、接続要求に対する承認を通知する承認信号(グラントチャネル)を無線端末に対して送信する(ステップ2003)。その結果、マクロセル基地局装置と無線端末との通信が確立する(ステップ2004)。ステップ2004では、図1の無線端末180は通信部184によりマクロセル基地局装置100と通信し、上位ネットワーク装置110を用いてネットワークと接続することで音声通話やデータ通信を行う。
【0034】
一方、無線端末の近くにフェムトセル基地局装置が存在しフェムトセルが形成されていたならば、フェムトセル基地局装置も接続要求信号を受信することができる。フェムトセル基地局装置は接続要求信号を受信すると、その信号の電力値が予め設定した閾値よりも高いか否かを判断する(ステップ2002)。ここで、受信信号の電力が閾値よりも高いことを確認する(無線端末がフェムトセル基地局装置の近くに存在することの確認)と、フェムトセル基地局装置はパイロット信号および制御信号を無線端末に対し送信して、フェムトセル基地局装置が無線端末の近くにあることを知らせる(ステップ2005)。フェムトセル基地局装置は無線端末の近くにあることを知らせる情報を無線端末180に送信するとともに、接続先をマクロセル基地局装置からフェムトセル基地局装置に変更させる旨の指示を送信することができる。
【0035】
無線端末は、フェムトセル基地局装置からパイロットおよび制御信号を受信して、フェムトセル内にあることを認識する(ステップ2006)。そして、無線端末はマクロセル基地局装置及びフェムトセル基地局装置に対しハンドオーバを要求する(ステップ2007)。このハンドオーバが実行されれば、無線端末とフェムトセル基地局装置との通信が開始される(ステップ2008)。ステップ2008では、図1の無線端末180が例えばフェムトセル基地局装置103のカバーエリア内に移動した状態で、通信部184によりフェムトセル基地局装置103と通信し、上位ネットワーク装置111を用いてネットワークと接続することで音声通話やデータ通信を行う。
【0036】
通信が終了後、タイマが作動し、一定時間経過しても新たな通信が開始されない場合には、フェムトセル基地局装置はパイロット信号および制御信号の送信を打ち切る(ステップ2009)。これにより、必要な時間帯にだけパイロット信号および制御信号の送信を行うフェムトセル基地局装置の運用が可能となり、課題としていた干渉の発生を低減することが可能となる。上記説明では、受信した信号の電力値が決められた閾値より高くなった場合に、図6で説明したように一気に出力を上げる方法を説明したが、図3で示すようにフェムトセルの周辺には干渉エリアが発生するため、その影響は段階的である方が望ましい。よって、図7に示すように、送信電力を上げる方法としては、少しずつ電力値を上げていく方法も考えられる。
【0037】
図7の曲線504はフェムトセル基地局装置が送信する信号の電力値を示し、t1よりも長い時間で少しずつ電力値を上げている。また、上記説明では、フェムトセルの範囲内にいる無線端末がページングを受け、新規発呼を行う例で説明したが、それに制限されない。例えば、図10に示すように既に無線端末がマクロセル基地局装置と通信中であったとしても、その無線端末がフェムトセルの範囲内に入り、受信電力の閾値を越える場合であっても応用可能である。この場合は、通信している間に無線端末から送信される信号をフェムトセル基地局装置が検知して、送信系ブロック401が起動される。
【0038】
また、図9では無線端末がマクロセル基地局装置と接続された後にフェムトセル基地局装置と接続される態様を説明したが、無線端末がマクロセル基地局装置と接続される前にフェムトセル基地局装置と接続する態様であってもよい。例えば、無線端末がマクロセル基地局装置からの承認信号よりもフェムトセル基地局装置からの信号を先に受信した場合である。その場合、ステップ2003、ステップ2004を省くことになる。
【0039】
図10では、図9のフローに新たにステップAが挿入されている。ステップAは無線端末が通信中に信号を送信するものである。ステップAの後に、フェムトセル基地局装置はその信号の電力値が予め設定した閾値よりも高いか否かを判断する(ステップ2002)。その他のステップは図9と同様である。
【0040】
また、図11のように、既にフェムトセルがアクティブ状態であって、パイロット信号および制御情報を送信しているところに、通信中の無線端末が通信可能な範囲内に入ることで、フェムトセルにハンドオーバしてくる場合にも対応可能である。図11では、ステップBでフェムトセル基地局装置がパイロット信号および制御信号の送信をした後に、ステップCで通信が開始されている。その後、無線端末は、フェムトセル基地局装置からパイロットおよび制御信号を受信して、フェムトセル内にあることを認識する(ステップ2006)。その他のステップは図9と同様である。
【実施例2】
【0041】
基地局装置は他の基地局装置との干渉を回避するため、システムにフレーム同期していることが望ましい。すなわち、無線端末がフェムトセル基地局装置と通信する際には、マクロセル基地局装置と通信するときと比較して、無線端末が遅延することなくデータ受信できることが望ましい。そこで、フェムトセル基地局装置はマクロセル基地局装置と同期をとっている必要がある。基地局装置間の同期には、GPSを用いる手法が知られているが、フェムトセルのように安価であることを要求される基地局装置にGPSを搭載することは難しい。そこで、他のマクロセル基地局装置から送信される信号を利用してシステム同期を取る方法が有効である。
【0042】
図12は、OFDMAシステムのフレームフォーマットの例を示す。下り(Forward Link)では、フレーム先頭にハッチで示す先頭サブフレーム3001が配置されている。このサブフレームはプリアンブルと呼ばれる既知のシンボルパターンと制御情報から構成されている。無線端末はこのプリアンブルを間欠的に受信することで、システムへの同期と、ページングなどの情報を取得している。プリアンブルに続くサブフレームは通信チャネル用の信号を運ぶ単位である。それに対応する上り(Reverse Link)のフレーム構成は、プリアンブルに相当する部分が不要であるため、全てが通信チャネル用の信号を運ぶフレームとなっている。例えば3GPP2で規格化されているUMBシステムでは、上りのサブフレームのうち、下りの先頭サブフレーム3001に対応するフレームは上りと下りとで対応がとれるように、サブフレーム3003を通常のフレーム3004よりも長く設定している。サブフレーム3003は、サブフレーム3001へのデータを受信したことを示す返事を示すACKなどで構成される。
【0043】
そこで、UMBに代表される上記の構成をもったシステムでは、フェムトセルのエアーチェック(信号を受信したか否かの確認)は、図12の最下図のように行う。フェムトセル基地局装置の制御部308は、マクロセル基地局装置がプリアンブルを送信する時間帯を予め記憶しておく。そして、その時間帯には受信対象をFL(Forward Link)3005と設定して下りの周波数の信号(マクロセル基地局装置から送信される信号)を傍聴し、近接するマクロセル基地局装置への同期を保持する。
【0044】
そして、その他の時間帯には、受信対象をRL(Reverse Link)3006と設定して上り周波数の信号(無線端末から送信される信号)を傍聴し、スリープモードであれば、アクティブモードになるかの閾値判定を行う。既にアクティブモードであれば、スリープモードに移行するかの判定、あるいは接続している無線端末からの信号の受信処理を行う。このように、本実施例におけるフェムトセル基地局装置は、サブフレーム3003で示されるリソースを配下の無線端末には割当てないことを特徴とする。これにより、通信中であっても、他の基地局装置(マクロセル基地局装置)が送信するプリアンブルの傍聴が可能となり、同期を保持することができる。
【0045】
また、この特徴に関して、フェムトセル基地局装置が他の基地局装置から信号が送信されるタイミングに基づいて無線端末からの信号及び基地局装置からの信号のどちらを受信するかを決める(のどちらを受信するかのスケジュールを決定する)と考えることもできる。また、この特徴に関して、フェムトセル基地局装置が他の基地局装置から信号が送信される時間帯においては、基地局装置からの信号と比較して無線端末からの信号を優先的に受信すると考えることも可能である。
【0046】
なお、フェムトセル基地局装置は、傍受しようとする周波数を変えるなどにより、無線端末からの信号を受信するかマクロセル基地局装置からの信号を受信するかについて自在に設定変更することが可能である。また、フェムトセル基地局装置は、傍受しようとするプリアンブルの周波数と、フェムトセル基地局装置がプリアンブルを送信する周波数を変えるなどにより、自分が送信した信号とマクロセル基地局装置からの信号の分離を容易とする設定を行うことが可能である。
【0047】
また、フェムトセル基地局装置は、傍受しようとするプリアンブルの送信時間と、フェムトセル基地局装置がプリアンブルの送信時間を変えるなどにより、自分が送信した信号とマクロセル基地局装置からの信号の分離を容易とする設定を行うことが可能である。これには、フェムトセル基地局装置が、本来ならばプリアンブルを送信するべきタイミングにおいて、プリアンブルの送信を休止し、その休止したタイミングでマクロセルのプリアンブルを傍受する動作も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】フェムトセルの概念図。
【図2】マクロセル基地局装置及びフェムトセル基地局装置それぞれからの信号の電力値電力を示す図。
【図3】マクロセル基地局装置及びフェムトセル基地局装置それぞれからの信号対干渉電力を示す図。
【図4】1つのフェムトセルを時間的に送信を止めた場合の効果を示す図。
【図5】基地局装置及び無線端末の構成図。
【図6】受信信号電力と閾値、送信電力の関係図。
【図7】受信信号電力と閾値、送信電力の関係図。
【図8】フェムトセル基地局装置のフローチャート。
【図9】フェムトセル基地局装置、無線端末及びマクロセル基地局装置との連携を示す図。
【図10】フェムトセル基地局装置、無線端末及びマクロセル基地局装置との連携を示す図。
【図11】フェムトセル基地局装置、無線端末及びマクロセル基地局装置との連携を示す図。
【図12】フェムトセル基地局装置が信号を傍聴する方法を示す図。
【符号の説明】
【0049】
100…マクロセル基地局装置、101〜108…フェムトセル基地局装置、180・・・無線端末、301…アンテナ、302…デュプレクサ、303…受信RF部、304…CP除去部、305…FFT部、306…デマルチプレクサ部、307…デモッド部、308…制御部、309…送信RF部、310…CP挿入部、311…逆FFT部(IFFT)、312…マルチプレクサ部、313…符号部、400…受信系ブロック、401…送信系ブロック。
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術に関し、特に無線通信で発生する干渉を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は空間を伝播する性質を持つ電波を利用した通信である。電波は建材などによって吸収・反射するため、屋内などの特定空間においては無線端末が受信可能な電波の電力が弱まってしまう。また、従来の無線通信システムは基地局装置として半径数キロメートルのエリアをカバーするマクロセル基地局装置(カバーエリアの広い大出力の基地局装置)を設置していたため、基地局装置から無線端末に通信を行う下り回線(Forward Link)では、回線品質の劣化から十分なスループットを出すことができない課題があった。また、無線端末から基地局装置への通信である上り回線(Reverse Link)では、無線端末は送信電力を上げて通信しなければならず、無線端末の消費電力が大きくなってしまう課題があった。
【0003】
そこで、マクロセル基地局装置に加えて、小型のフェムトセル基地局装置(カバーエリアの狭い小出力の基地局装置)を自宅等の屋内に設置するシステムが注目されている。このシステムでは、無線端末にとっては距離の近いフェムトセル基地局装置にアクセスすることで、下り回線、上り回線ともにより良い電波状況での通信が可能となる利点がある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−214819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線通信においては電波がぶつかり合うことで干渉が発生するため、従来から設置されているマクロセル基地局装置に加えて上述のフェムトセル基地局装置が新たに設置されると、送信される電波の数が増加し干渉が発生しやすくなると考えられる。よって、フェムトセル基地局装置の設置には干渉が発生しないように工夫が必要である。しかし、干渉の発生を防止するため利用者が家庭内のどんな場所にフェムトセル基地局装置を設置すれば良いかについては明確に規定されておらず、マクロセル基地局装置のような伝搬損などを考慮した配置設計や無線回線設計を行うことが難しい。従って、フェムトセル基地局装置の設置により干渉が多数発生し、無線通信に障害が起こる可能性がある。
【0006】
なお、特許文献1には無線通信システムにおいて、一方が他方の通信に干渉を及ぼすことがなく、かつ他方において通信を実行する技術を開示しているが、フェムトセル基地局装置を採用した無線通信システムまでは考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、無線端末が近くに存在するか否かを規定の条件によって判断し、近くに存在すると判断した場合に基地局装置が無線端末との通信が可能な状態にあることを示す情報を送信する基地局装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マクロセル基地局装置とフェムトセル基地局装置との間で生じる干渉を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施に好適な実施形態の例を詳細に説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではない。また、以下では基地局装置について、「マクロセル基地局装置」という場合、「フェムトセル基地局装置」という場合以外に、単に「基地局装置」と表記する場合があるが、この場合の「基地局装置」は、マクロセル基地局装置とフェムトセル基地局装置を含み、無線端末と通信するための基本的な能力を備えた広い意味での基地局装置を指すものとする。
【実施例1】
【0010】
一般に、基地局装置は無線端末から送信する信号を受信することで、その無線端末が基地局装置のデータ送受信可能な範囲に存在することを確認している。また、基地局装置は無線端末と通信を確立するために、何らかの信号を送信している。例えば、同期をとるためのプリアンブル信号(プリアンブル情報ともいう)や、基地局装置の情報を知らせる制御信号(制御情報ともいう)や、着呼を知らせるページング信号は常に送信する必要があった。しかし、フェムトセルの設置場所として第1に想定される家庭内という特殊環境では、利用者が使う1日のうち特定の時間帯だけ信号が送信されていれば十分であるため、常に何らかの信号を送信する必要はない。
【0011】
従って、要求がない限りにおいては、信号を一切送信しないスリープモードを有するフェムトセル基地局装置が有効である。スリープモードに設定されている間は、基地局装置間の干渉を時間的に分散させることが可能であり、干渉を低減することができる。ここで、本実施例においては、基地局装置について信号を送信する状態をアクティブモード(第1のモード)と定義し、信号を送信しない状態をスリープモード(第2のモード)と定義する。また、予め定められた一定の時間無線端末との通信がなされない場合に、アクティブモードからスリープモードへ設定変更することも有効である。インターネットアクセスなどパケット型の通信では、一度アクセスが行われると、特定の時間に通信が集中する特徴がある。
【0012】
例えばWEBアクセスでは、リンクを通じて次々と新しいWEBページにアクセスしていくが、新しいWEBページが表示される度にそのWEBページの内容を読むため、数秒から数分の時間をもって新たなパケット送信の要求が出される。その度に無線端末が一度マクロセルにアクセスしてからフェムトセルにハンドオーバするシーケンスでは無駄が多く、レスポンスにも時間がかかる。そこで、一旦通信状態になった後は、一定時間アクティブの状態を続け、その後にスリープモードへ遷移する態様とする。これにより、WEBアクセスなどを行った際の利便性が向上し、課題は解決される。
【0013】
最初に、図1を用いてフェムトセルの概要を説明する。図1はマクロセルの中に複数のフェムトセルが存在することを示している。ここで、マクロセルとは、大出力の基地局装置(以下、マクロセル基地局装置100)がカバーするエリア(図1では大きな円で表現されている)を指し、フェムトセルとは、低出力の基地局装置(以下、フェムトセル基地局装置101〜108)がカバーするエリア(図1では小さな円で表現されている)を指す。
【0014】
フェムトセルは低出力ながらも屋内などの限られた空間に対して信号品質の良い環境を構築することを目的としている。なお、図1には、ネットワークを構成するための装置として、マクロセルと接続する上位ネットワーク装置110と、フェムトセルと接続する上位ネットワーク装置111、それらを結びつける交換装置112が示されている。また、マクロセル内には無線端末180が存在し、この無線端末180は基本的にマクロセル基地局装置100との通信が可能である。そして、フェムトセル基地局装置101〜108のカバーエリア内に入れば、そのフェムトセル基地局装置との通信も可能になる。マクロセル基地局装置100と通信する場合には上位ネットワーク装置110を利用することになり、フェムトセル基地局装置101〜108と通信する場合には上位ネットワーク装置111を利用する態様となる。
【0015】
図2は、マクロセル基地局装置とフェムトセル基地局装置それぞれからの信号電力を示している。ここでは、図1で直線150の断面上に配置された2つフェムトセル基地局装置103、104からの信号の電力値とマクロセルからの信号の電力値を合わせて表示し、比較することができる。曲線200はマクロセル基地局装置100からの信号の電力値を示し、曲線201はフェムトセル基地局装置104からの信号の電力値を示し、曲線202はフェムトセル基地局装置103からの信号の電力値を示している。ここで、フェムトセル基地局装置104はマクロセル基地局装置100から2100m離れた地点に設置され、フェムトセル基地局装置103はマクロセル基地局装置100から2140m離れた地点に設置されているものとする。図2により、フェムトセル基地局装置が設置された地点の周辺だけで、特異的に信号の電力値が高まっていることがわかる。従って、フェムトセル基地局装置を設置することで特定のエリアに対して受信品質を改善することができることがわかる。
【0016】
図3は、マクロセル基地局装置とフェムトセル基地局装置それぞれからの信号対干渉電力比(SINR:Signal Interference Noise Ratio)を示す。ここでは、他の基地局装置からの信号を干渉とみなして信号対干渉電力比を示している。SINRは、各地点において、[大きな値を示す方の信号の電力値/小さな値を示す方(干渉となる方)の信号の電力値]で表される。よって、SINRが高ければ高いほど無線端末と基地局装置との通信が安定することになる。図3により、フェムトセル基地局装置が設置された地点の周辺(基地局との距離が2100m及び2140mの地点)で、SINRが高い値となることを確認できるが、その周辺では、マクロセルとの境界エリアが発生し、SINRが劣化する場所が見られる。従来の技術では、こうしたセル境界があっても、周波数を分割するなどしてセル間の干渉を低減する技術が盛り込まれており、セル間干渉はある程度は低減されている。
【0017】
しかし、先に記載した通り、フェムトセル基地局装置は、電波干渉の知識のない一般ユーザが設置するもので、干渉の影響を確実に予測することができない。また、単に通信を行う通信チャネルだけでなく、同期用のプリアンブルと呼ばれるヘッダ部や、制御情報を報知する制御チャネルを含めて干渉の対象となってしまうため、1日のうちの特定の時間帯だけ使われると考えられる家庭用のフェムトセルの干渉が、常に他のセルに影響を与えることとなる。フェムトセル基地局装置からの信号は微弱であるものの、多数設置されることに伴って干渉エリアは広がり、その影響も大きくなると推定される。
【0018】
図4は、1つのフェムトセルの送信を一定時間止めた場合の効果を示す。曲線203はフェムトセル基地局装置103及びフェムトセル基地局装置104が存在する場合の信号対干渉電力比を示し、曲線204はフェムトセル基地局装置103だけが存在する場合の信号対干渉電力比を示す。ここで、マクロセル基地局装置100との距離が2000mから2100mのエリアに関して、SINRが大きく改善していることが分かる。このように、基地局装置が何も送信しない時間帯を作ることができれば、他のセルへの干渉は大幅に削減することが可能となる。フェムトセルでは、ユーザが1日の特定の時間帯だけ利用することが多いことに着目し、必要な時間に必要最低限の情報だけを送信する基地局装置とすることで、フェムトセルの干渉を低減できる。
【0019】
一般に、基地局装置は他の基地局装置と同期をとるために必要なパイロット信号(パイロット情報ともいう)や、基地局装置に関する情報を含む制御信号(制御情報ともいう)を制御チャネルで送信している。一方、無線端末は制御信号を受信することで基地局装置を認知してアクセスすることができる。しかし、干渉を発生させないために基地局装置が信号を一切送信しない構成にしてしまうと、無線端末は通信すべき基地局装置を認知できずアクセスすることができない。そこで、本実施例のフェムトセル基地局装置は、無線端末から受信した信号を測定し、その信号の電力値が閾値以上であればスリープモード(制御信号を送信しないモード)からアクティブモード(制御信号を送信するモード)に状態遷移する機能を持つことによってこの問題を解決する。
【0020】
図5は、必要な時間以外は制御チャネルを含めて信号の送信を行わないスリープモード状態を備えるフェムトセル基地局装置及び携帯端末のブロック図である。本実施例では、OFDMA信号を処理する態様を例に挙げて説明する。フェムトセル基地局装置がスリープモードに設定されている場合、送信系ブロック401は信号の送信は行わないが、受信系ブロック400により信号の受信は行う構成とする。アンテナ301から入ってきた信号はデュプレクサ302(DUP)を経由して受信系ブロック400に入力される。
【0021】
受信系ブロック400はいくつかのサブブロックで構成されている。まずデュプレクサ302から入力された信号は、受信RF部(RFRX)303にて適切なフィルタ処理とダウンコンバートおよびAD変換処理が行われ、デジタルの信号に変換される。その後、CP除去部(CPE)304でCPが取り除かれ、FFTサイズに加工された信号が取り出される。その信号はFFT部(FFT)305にてFFT処理され、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換される。周波数領域の信号に変換された信号はデマルチプレクサ部(DMX)306によって、機能チャネルに分解され、必要なベースバンド処理により、デモッド部(DMD)307において復号処理が行われる。
【0022】
この一連の過程により受信信号のレベルを測定することが可能である。例えば、受信RF部303においてRSSI(Receiver Signal Strength Indicator:受信信号強度検出、または電界強度検出という。受信した電波信号の強さを数値化したものである。)を測定することができる。RSSIは、ログアンプを使い、受信信号を直接対数値に変換し、受信電力を測定する方法を用いる。この結果を使うと、受信された信号のデシベル値での電力が判明する。その結果は制御部(CONT)308に送られ、制御部308において閾値との比較判定が実施される。閾値比較において、閾値以上の値が受信された場合に、スリープモードからアクティブモードへと状態を遷移させる。
【0023】
アクティブモードになると、制御部308は送信系ブロック401を起動する。送信する信号(制御信号を含む)は符号部(Data)313により適切な符号化手段を用いて符号化されて生成され、さらに符号化と並行してパイロット信号生成部(Pilot)314によりパイロット信号が生成される。生成された制御信号やパイロット信号は、マルチプレクサ部(MUX)312において合成され、決められたタイミングでサブキャリヤに配置される。配置された信号は、逆FFT部(IFFT)311において逆FFT処理され、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換される。作成された時間領域の信号は、CP挿入部(CPI)310にてCPが付加される。CPが付加された時間領域の情報は、送信RF部(RFTX)309にて、DA変換、アップコンバート処理、フィルタ処理が行われ、RF送信信号として完成する。このRF信号は、デュプレクサ302を介してアンテナ301から無線端末等に送られる。
【0024】
本実施例においては、フェムトセル基地局装置が受信系ブロック400で受信信号のレベルを測定し、それを閾値と比較し、その結果に応じて送信系の起動を判断することをポイントとしている。なお、受信信号のレベルを測定する手段は、様々な方法が考えられるが、その方法に依存せず、スリープモードとアクティブモードとを有し、受信した信号のレベルに応じてスリープモードとアクティブモードを切り替える態様であれば良い。
【0025】
また、本実施例では信号レベルの測定方法としてRSSIを例に挙げたが、これに限定する必要はない。例えば、上記では説明を省略したが、受信系ブロック400内には伝搬路で受けた位相回転や振幅変動による影響を軽減するため検波処理が行われている。この検波処理には、伝搬路を推定する必要がある。伝搬路推定は、無線端末が送信するパイロット信号などを元に行われており、推定された伝搬路は、受信レベルに関係する値を持つ。したがって、この結果を応用することで、受信信号のレベルを測定することが可能である。具体的には、推定された時間、周波数に関する伝搬路を平均処理して平均受信電力を算出し、この値を用いて閾値判定する。また、無線端末180は、無線端末全体を制御する制御部181、種々のメニューを表示し、利用者の操作や指で押下されたキー入力を受け付ける操作部182と、様々な情報を記憶する記憶部183と、基地局や他の無線端末と通信する(データの送受信、通話機能を有する)通信部184とを有する。
【0026】
図6は、受信信号電力と、送信系の出力の関係を示す図である。縦軸に電力値、横軸に時間をとっている。縦軸では下から上に向かって大きな値へ変化していき、横軸では左から右に向かって時間が経過していくことを示している。曲線500はフェムトセル基地局装置がアンテナ301を介して受信する信号の電力値を示し、破線501はフェムトセル基地局装置が予め有する閾値を示し、曲線502はフェムトセル基地局装置が送信する信号の電力値を示す。
【0027】
フェムトセル基地局装置は時間がt1に達するまでは破線501よりも小さな電力値の信号を受信する。そして、t1に達したとき、受信する信号の電力値が急激に大きくなって、閾値を超えている。このとき、フェムトセル基地局装置の制御部308は送信系ブロック401の起動を指示する。制御部308の指示に基づいて送信系ブロック401は起動され、曲線502に示すように信号の送信を開始する。
【0028】
その後、時間がt2に達すると受信した信号の電力が急激に小さくなっている。フェムトセル基地局装置は受信系ブロック400により受信した信号の電力が閾値より下がっていることを検知するが、その検知と共に送信する信号の電力値を下げてしまうのではなく、一定時間503が経過するまで電力値を保つ構成にする。これにより、WEBへのアクセスなど、データの送信を一旦開始すると、間欠的に送信を続けることが多いデータ通信の特性にも対応することができる。例えば、送信系ブロック401による送信信号の電力値を下げスリープモードに遷移してしまうと、再度信号を送信する際に、スリープモードからアクティブモードへの変更に時間がかかるため起動の遅れが発生してしまうが、上述の工夫によりそれを防ぐことができる。なお、スリープモードでは信号を一切送信しないこと(送信信号の電力値を0にする)を基本構成とするが、干渉が大きくならない程度に小さな信号を送信する(送信信号の電力値を0ではなく、ある一定値に保つ)構成としても一定の効果が得られる。
【0029】
図8はフェムトセル基地局装置の動作フローを示すフローチャート図である。フェムトセル基地局装置は起動されると受信系ブロック401を起動し、スリープモードに設定して無線端末からの信号を待ち受ける(ステップ1000)。受信信号の閾値判定から信号が受信されたと認識すると、送信系の起動を開始する(ステップ1001)。まず、プリアンブル信号(パイロット信号及び制御信号を含む送信信号)を送信する(ステップ1002)。
【0030】
そして、無線端末からの通信要求あるいはハンドオーバ要求を待つ(ステップ1003)。無線端末から要求があると、基地局装置はそれに応じて通信状態となる。通信が終了すると(ステップ1004)と、送信する信号の電力値を一定の値以上に保ち(ヒステリシス状態にあるとも言う)(ステップ1005)、プリアンブルの送信を停止し、スリープモードとなる(ステップ1006)。もし、ステップ1005で送信する信号の電力値を一定の値以上に保たせている間に次の通信要求があった場合には、再度通信状態へと遷移する。
【0031】
図9はマクロセル基地局装置や無線端末を含むフローを示すシーケンス図である。マクロセル基地局装置は常時アクティブ状態に設定されており、マクロセル基地局装置がカバーするエリア(マクロセル)内にある無線端末は、マクロセルの管理下に置かれている。
【0032】
マクロセル基地局装置はパイロット信号および制御チャネルを無線端末に対して送信し、無線端末は少なくとも間欠的にはこれらの情報を受信している(ステップ2000)。ページングがかかると、無線端末は接続要求信号(アクセスチャネル)をマクロセル基地局装置へ送信して、接続要求を行う(ステップ2001)。
【0033】
マクロセル基地局装置は、接続要求信号を受信すると、接続要求に対する承認を通知する承認信号(グラントチャネル)を無線端末に対して送信する(ステップ2003)。その結果、マクロセル基地局装置と無線端末との通信が確立する(ステップ2004)。ステップ2004では、図1の無線端末180は通信部184によりマクロセル基地局装置100と通信し、上位ネットワーク装置110を用いてネットワークと接続することで音声通話やデータ通信を行う。
【0034】
一方、無線端末の近くにフェムトセル基地局装置が存在しフェムトセルが形成されていたならば、フェムトセル基地局装置も接続要求信号を受信することができる。フェムトセル基地局装置は接続要求信号を受信すると、その信号の電力値が予め設定した閾値よりも高いか否かを判断する(ステップ2002)。ここで、受信信号の電力が閾値よりも高いことを確認する(無線端末がフェムトセル基地局装置の近くに存在することの確認)と、フェムトセル基地局装置はパイロット信号および制御信号を無線端末に対し送信して、フェムトセル基地局装置が無線端末の近くにあることを知らせる(ステップ2005)。フェムトセル基地局装置は無線端末の近くにあることを知らせる情報を無線端末180に送信するとともに、接続先をマクロセル基地局装置からフェムトセル基地局装置に変更させる旨の指示を送信することができる。
【0035】
無線端末は、フェムトセル基地局装置からパイロットおよび制御信号を受信して、フェムトセル内にあることを認識する(ステップ2006)。そして、無線端末はマクロセル基地局装置及びフェムトセル基地局装置に対しハンドオーバを要求する(ステップ2007)。このハンドオーバが実行されれば、無線端末とフェムトセル基地局装置との通信が開始される(ステップ2008)。ステップ2008では、図1の無線端末180が例えばフェムトセル基地局装置103のカバーエリア内に移動した状態で、通信部184によりフェムトセル基地局装置103と通信し、上位ネットワーク装置111を用いてネットワークと接続することで音声通話やデータ通信を行う。
【0036】
通信が終了後、タイマが作動し、一定時間経過しても新たな通信が開始されない場合には、フェムトセル基地局装置はパイロット信号および制御信号の送信を打ち切る(ステップ2009)。これにより、必要な時間帯にだけパイロット信号および制御信号の送信を行うフェムトセル基地局装置の運用が可能となり、課題としていた干渉の発生を低減することが可能となる。上記説明では、受信した信号の電力値が決められた閾値より高くなった場合に、図6で説明したように一気に出力を上げる方法を説明したが、図3で示すようにフェムトセルの周辺には干渉エリアが発生するため、その影響は段階的である方が望ましい。よって、図7に示すように、送信電力を上げる方法としては、少しずつ電力値を上げていく方法も考えられる。
【0037】
図7の曲線504はフェムトセル基地局装置が送信する信号の電力値を示し、t1よりも長い時間で少しずつ電力値を上げている。また、上記説明では、フェムトセルの範囲内にいる無線端末がページングを受け、新規発呼を行う例で説明したが、それに制限されない。例えば、図10に示すように既に無線端末がマクロセル基地局装置と通信中であったとしても、その無線端末がフェムトセルの範囲内に入り、受信電力の閾値を越える場合であっても応用可能である。この場合は、通信している間に無線端末から送信される信号をフェムトセル基地局装置が検知して、送信系ブロック401が起動される。
【0038】
また、図9では無線端末がマクロセル基地局装置と接続された後にフェムトセル基地局装置と接続される態様を説明したが、無線端末がマクロセル基地局装置と接続される前にフェムトセル基地局装置と接続する態様であってもよい。例えば、無線端末がマクロセル基地局装置からの承認信号よりもフェムトセル基地局装置からの信号を先に受信した場合である。その場合、ステップ2003、ステップ2004を省くことになる。
【0039】
図10では、図9のフローに新たにステップAが挿入されている。ステップAは無線端末が通信中に信号を送信するものである。ステップAの後に、フェムトセル基地局装置はその信号の電力値が予め設定した閾値よりも高いか否かを判断する(ステップ2002)。その他のステップは図9と同様である。
【0040】
また、図11のように、既にフェムトセルがアクティブ状態であって、パイロット信号および制御情報を送信しているところに、通信中の無線端末が通信可能な範囲内に入ることで、フェムトセルにハンドオーバしてくる場合にも対応可能である。図11では、ステップBでフェムトセル基地局装置がパイロット信号および制御信号の送信をした後に、ステップCで通信が開始されている。その後、無線端末は、フェムトセル基地局装置からパイロットおよび制御信号を受信して、フェムトセル内にあることを認識する(ステップ2006)。その他のステップは図9と同様である。
【実施例2】
【0041】
基地局装置は他の基地局装置との干渉を回避するため、システムにフレーム同期していることが望ましい。すなわち、無線端末がフェムトセル基地局装置と通信する際には、マクロセル基地局装置と通信するときと比較して、無線端末が遅延することなくデータ受信できることが望ましい。そこで、フェムトセル基地局装置はマクロセル基地局装置と同期をとっている必要がある。基地局装置間の同期には、GPSを用いる手法が知られているが、フェムトセルのように安価であることを要求される基地局装置にGPSを搭載することは難しい。そこで、他のマクロセル基地局装置から送信される信号を利用してシステム同期を取る方法が有効である。
【0042】
図12は、OFDMAシステムのフレームフォーマットの例を示す。下り(Forward Link)では、フレーム先頭にハッチで示す先頭サブフレーム3001が配置されている。このサブフレームはプリアンブルと呼ばれる既知のシンボルパターンと制御情報から構成されている。無線端末はこのプリアンブルを間欠的に受信することで、システムへの同期と、ページングなどの情報を取得している。プリアンブルに続くサブフレームは通信チャネル用の信号を運ぶ単位である。それに対応する上り(Reverse Link)のフレーム構成は、プリアンブルに相当する部分が不要であるため、全てが通信チャネル用の信号を運ぶフレームとなっている。例えば3GPP2で規格化されているUMBシステムでは、上りのサブフレームのうち、下りの先頭サブフレーム3001に対応するフレームは上りと下りとで対応がとれるように、サブフレーム3003を通常のフレーム3004よりも長く設定している。サブフレーム3003は、サブフレーム3001へのデータを受信したことを示す返事を示すACKなどで構成される。
【0043】
そこで、UMBに代表される上記の構成をもったシステムでは、フェムトセルのエアーチェック(信号を受信したか否かの確認)は、図12の最下図のように行う。フェムトセル基地局装置の制御部308は、マクロセル基地局装置がプリアンブルを送信する時間帯を予め記憶しておく。そして、その時間帯には受信対象をFL(Forward Link)3005と設定して下りの周波数の信号(マクロセル基地局装置から送信される信号)を傍聴し、近接するマクロセル基地局装置への同期を保持する。
【0044】
そして、その他の時間帯には、受信対象をRL(Reverse Link)3006と設定して上り周波数の信号(無線端末から送信される信号)を傍聴し、スリープモードであれば、アクティブモードになるかの閾値判定を行う。既にアクティブモードであれば、スリープモードに移行するかの判定、あるいは接続している無線端末からの信号の受信処理を行う。このように、本実施例におけるフェムトセル基地局装置は、サブフレーム3003で示されるリソースを配下の無線端末には割当てないことを特徴とする。これにより、通信中であっても、他の基地局装置(マクロセル基地局装置)が送信するプリアンブルの傍聴が可能となり、同期を保持することができる。
【0045】
また、この特徴に関して、フェムトセル基地局装置が他の基地局装置から信号が送信されるタイミングに基づいて無線端末からの信号及び基地局装置からの信号のどちらを受信するかを決める(のどちらを受信するかのスケジュールを決定する)と考えることもできる。また、この特徴に関して、フェムトセル基地局装置が他の基地局装置から信号が送信される時間帯においては、基地局装置からの信号と比較して無線端末からの信号を優先的に受信すると考えることも可能である。
【0046】
なお、フェムトセル基地局装置は、傍受しようとする周波数を変えるなどにより、無線端末からの信号を受信するかマクロセル基地局装置からの信号を受信するかについて自在に設定変更することが可能である。また、フェムトセル基地局装置は、傍受しようとするプリアンブルの周波数と、フェムトセル基地局装置がプリアンブルを送信する周波数を変えるなどにより、自分が送信した信号とマクロセル基地局装置からの信号の分離を容易とする設定を行うことが可能である。
【0047】
また、フェムトセル基地局装置は、傍受しようとするプリアンブルの送信時間と、フェムトセル基地局装置がプリアンブルの送信時間を変えるなどにより、自分が送信した信号とマクロセル基地局装置からの信号の分離を容易とする設定を行うことが可能である。これには、フェムトセル基地局装置が、本来ならばプリアンブルを送信するべきタイミングにおいて、プリアンブルの送信を休止し、その休止したタイミングでマクロセルのプリアンブルを傍受する動作も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】フェムトセルの概念図。
【図2】マクロセル基地局装置及びフェムトセル基地局装置それぞれからの信号の電力値電力を示す図。
【図3】マクロセル基地局装置及びフェムトセル基地局装置それぞれからの信号対干渉電力を示す図。
【図4】1つのフェムトセルを時間的に送信を止めた場合の効果を示す図。
【図5】基地局装置及び無線端末の構成図。
【図6】受信信号電力と閾値、送信電力の関係図。
【図7】受信信号電力と閾値、送信電力の関係図。
【図8】フェムトセル基地局装置のフローチャート。
【図9】フェムトセル基地局装置、無線端末及びマクロセル基地局装置との連携を示す図。
【図10】フェムトセル基地局装置、無線端末及びマクロセル基地局装置との連携を示す図。
【図11】フェムトセル基地局装置、無線端末及びマクロセル基地局装置との連携を示す図。
【図12】フェムトセル基地局装置が信号を傍聴する方法を示す図。
【符号の説明】
【0049】
100…マクロセル基地局装置、101〜108…フェムトセル基地局装置、180・・・無線端末、301…アンテナ、302…デュプレクサ、303…受信RF部、304…CP除去部、305…FFT部、306…デマルチプレクサ部、307…デモッド部、308…制御部、309…送信RF部、310…CP挿入部、311…逆FFT部(IFFT)、312…マルチプレクサ部、313…符号部、400…受信系ブロック、401…送信系ブロック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と通信する基地局装置であって、
前記基地局装置が前記無線端末との通信が可能な状態にあることを示す情報を送信する送信手段と、
信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記無線端末から受信した信号の電力値が予め定められた閾値より大きいか否かを判断して、大きい場合には前記送信手段により前記情報を送信する制御手段と、を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
無線端末と通信する基地局装置であって、
前記基地局装置が前記無線端末との通信が可能な状態にあることを示す情報を送信する送信手段と、
信号を受信する受信手段と、
前記送信手段により前記情報を送信するか否かを切り替える制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記受信手段により前記無線端末から受信した信号の電力値が予め定められた閾値より大きいか否かを判断して、大きい場合には前記情報を送信し、小さい場合には前記情報を送信しないことを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基地局装置において、
前記制御手段は、予め定められた一定時間を経過しても前記受信手段による信号の受信がなかった場合に、前記情報を送信する態様から前記情報を送信しない態様に変更することを特徴とする基地局装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の基地局装置であって
前記情報は、前記無線端末に対し前記基地局装置と接続させる指示を含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の基地局装置であって
前記情報は、前記無線端末に対し前記基地局装置と異なる基地局装置と接続中である場合に、接続先を前記情報を送信した基地局装置に変更させる指示を含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の基地局装置において、
前記制御手段は、前記基地局装置と異なる他の基地局装置から信号を受信したタイミングに基づいて前記他の基地局装置と同期をとることを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基地局装置において、
前記制御手段は、前記他の基地局装置から信号が送信されるタイミングを予め記憶しておき、当該タイミングに基づいて、前記無線端末からの信号及び前記他の基地局装置からの信号のどちらを受信するかのスケジュールを決定することを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
請求項6に記載の基地局装置において、
前記制御手段は、前記他の基地局装置から信号が送信される時間帯を予め記憶しておき、当該時間帯においては、前記基地局装置からの信号を前記無線端末からの信号に対して優先的に受信することを特徴とする基地局装置。
【請求項1】
無線端末と通信する基地局装置であって、
前記基地局装置が前記無線端末との通信が可能な状態にあることを示す情報を送信する送信手段と、
信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記無線端末から受信した信号の電力値が予め定められた閾値より大きいか否かを判断して、大きい場合には前記送信手段により前記情報を送信する制御手段と、を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
無線端末と通信する基地局装置であって、
前記基地局装置が前記無線端末との通信が可能な状態にあることを示す情報を送信する送信手段と、
信号を受信する受信手段と、
前記送信手段により前記情報を送信するか否かを切り替える制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記受信手段により前記無線端末から受信した信号の電力値が予め定められた閾値より大きいか否かを判断して、大きい場合には前記情報を送信し、小さい場合には前記情報を送信しないことを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基地局装置において、
前記制御手段は、予め定められた一定時間を経過しても前記受信手段による信号の受信がなかった場合に、前記情報を送信する態様から前記情報を送信しない態様に変更することを特徴とする基地局装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の基地局装置であって
前記情報は、前記無線端末に対し前記基地局装置と接続させる指示を含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の基地局装置であって
前記情報は、前記無線端末に対し前記基地局装置と異なる基地局装置と接続中である場合に、接続先を前記情報を送信した基地局装置に変更させる指示を含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の基地局装置において、
前記制御手段は、前記基地局装置と異なる他の基地局装置から信号を受信したタイミングに基づいて前記他の基地局装置と同期をとることを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基地局装置において、
前記制御手段は、前記他の基地局装置から信号が送信されるタイミングを予め記憶しておき、当該タイミングに基づいて、前記無線端末からの信号及び前記他の基地局装置からの信号のどちらを受信するかのスケジュールを決定することを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
請求項6に記載の基地局装置において、
前記制御手段は、前記他の基地局装置から信号が送信される時間帯を予め記憶しておき、当該時間帯においては、前記基地局装置からの信号を前記無線端末からの信号に対して優先的に受信することを特徴とする基地局装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−253569(P2009−253569A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97709(P2008−97709)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
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