説明

基板の分断方法、レーザスクライブ装置及び電気光学装置の製造方法

【課題】レーザスクライブするとき、レーザ光が通過する接着剤の影響を受け難い基板の分断方法、レーザスクライブ装置及び電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1基板9aと、第2基板9bとが接着剤9cを介して接合されているときの、第1基板9aを分断する基板の分断方法に係る。光減衰量測定工程にて、接着剤9cに紫外光15を照射して、紫外光15が接着剤9cを通過するときに、紫外光15が減衰する光量である光減衰量を測定する。そして、照射工程にて、第2基板9b側から、第1基板9aにレーザ光7を照射して、第1基板9aの内部に改質部60を形成する。さらに、分断工程にて、改質部60を押圧して第1基板9aを分断する。そして、照射工程では、レーザ光7が接着剤9cを通過するとき、光減衰量の小さい場所に比べて、光減衰量の大きい場所において、大きな光量のレーザ光7を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いた基板の分断方法、レーザスクライブ装置及び電気光学装置の製造方法に係り、特に、接着剤を用いて接合された基板の分断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光透過性のある基板を品質良く切断するために、レーザ光を基板に照射して基板内部に改質領域(以下、改質部と称す)を形成するレーザスクライブ方法が特許文献1に開示されている。それによると、パルス幅が1μs以下のレーザ光を出射し、集光レンズで基板内部に集光し、集光部におけるピークパワー密度を1×108(W/cm2)以上にする。これにより、加工対象物の内部に多光子吸収による改質部を形成するものである。
【0003】
また、このレーザスクライブ方法において、加工対象物の内部に形成される改質部あるいはこれを起点として形成される改質部の大きさは、集光レンズの特性と、レーザ光のピークパワー密度に依存する。例えば、上記特許文献1に示されたガラス(厚さ700μm)に対してYAGレーザを用いて切断する実施例では、集光レンズの開口数が0.55の場合、ピークパワー密度がおよそ1×1011(W/cm2)では、改質部の大きさは、およそ100μmである。また、ピークパワー密度がおよそ5×1011(W/cm2)では、およそ250μmである。基板の内部に改質部を配列して形成し、改質部を押圧することで、基板を改質部に沿って品質良く分断することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−192371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2枚の基板が接着剤を介して接合されている基板に、レーザ光を照射してスクライブするとき、接着剤を通過して、レーザ光を照射することがある。レーザ光が、接着剤を通過するとき、レーザ光の光エネルギが接着剤に吸収されることがある。このとき、接着剤を通過したレーザ光は、光エネルギが減衰する。接着剤の厚さは、2枚の基板の反りや歪によって変わることから、基板の場所が変わると、接着剤の厚さも変わっている。接着剤の厚さが厚い場所では、レーザ光の光エネルギが吸収される量が大きくなり、改質部が形成されない場合や、改質部が小さく形成される場合があった。
【0006】
改質部が形成されない場合や、改質部が小さいとき、基板に応力を加えても、割れにくくなり、改質部に沿って分断されず、凹凸の大きな分断面となることがあった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、レーザスクライブするとき、レーザ光が通過する接着剤の影響を受け難い基板の分断方法、レーザスクライブ装置及び電気光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の基板の分断方法は、第1基板と、第2基板とが接着剤を介して接合されている第1基板を分断する基板の分断方法であって、第1基板と、第2基板との間に位置する接着剤に測定光を照射して、測定光が接着剤を通過するときに、測定光の光量が減衰した後の光量に相当する光減衰量を測定する、光減衰量測定工程と、第2基板側から、第1基板にレーザ光を照射して、第1基板の内部に改質部を形成する照射工程と、改質部を押圧して第1基板を分断する分断工程とを有し、照射工程では、レーザ光が接着剤を通過するとき、光減衰量の小さい場所に比べて、光減衰量の大きい場所において、大きな光量のレーザ光を照射することを特徴とする。
【0009】
この基板の分断方法によれば、接着剤による光減衰量を測定し、光減衰量に応じた光量のレーザ光を照射している。第1基板と、第2基板とが接着剤を介して接合されているとき、第2基板側から、接着剤を通過してレーザ光を照射することにより、第1基板に改質部を形成することがある。
【0010】
このとき、接着剤の中には、レーザ光の吸収度の高い接着剤がある。そして、接着剤は、レーザ光を吸収するので、接着剤を通過するレーザ光は、減衰する。接着剤が厚い場所では、接着剤が薄い場所に比べて、レーザ光は大きく減衰する。
【0011】
第1基板と第2基板とを接合するとき、第1基板と、第2基板との反り及び歪により、接着剤の厚さは、場所により異なる場合がある。従って,接着剤をレーザ光が通過するとき、レーザ光が減衰する光減衰量は、場所により異なる場合がある。
【0012】
本発明では、複数の場所で光減衰量を測定した後、光減衰量の大きい場所では、大きな光量のレーザ光を照射している。従って、レーザ光が接着剤を通過して、光量が減衰しても、改質部の形成に必要な光量を、第1基板に集光することができる。その結果、品質良く改質部を形成することができる為、品質良く基板を分断することができる。
【0013】
本発明の基板の分断方法では、光減衰量測定工程は、照射工程で照射するレーザ光と略同じ波長のレーザ光を接着剤に照射して、光減衰量を測定することを特徴とする。
【0014】
この基板の分断方法によれば、照射工程で照射するレーザ光と略同じ波長のレーザ光を用いて、光減衰量を測定している。接着剤に光を照射するとき、接着剤が光を吸収する割合を示す吸光度は、照射する光の波長により異なる性質がある。本発明では、照射工程で照射するレーザ光の波長と光減衰量を測定するときの波長とが略同じ波長であることから、略同じ波長における光減衰量を測定している。従って、照射工程で照射するレーザ光が接着剤を通過するときの光減衰量を精度良く測定することができる。
【0015】
本発明の基板の分断方法では、光減衰量測定工程は、照射工程で照射するレーザ光と異なる波長の測定光を接着剤に照射して、接着剤による光減衰量を測定する測定光光減衰量測定工程と、接着剤の、測定光の波長における光減衰量と、照射工程で照射するレーザ光の波長における光減衰量との相関データを用いて、レーザ光における光減衰量を演算する光減衰量演算工程とを有することを特徴とする。
【0016】
この基板の分断方法によれば、照射工程で照射するレーザ光と異なる波長の測定光における光減衰量を測定した後、測定した光減衰量を用いて、照射工程で照射するレーザ光における光減衰量を演算して推定している。レーザ光を発光する方法には、いくつかの方法があるが、スクライブに用いるレーザ光は、大きなエネルギを照射可能な装置を用いて発光している。光減衰量を測定するときは、スクライブ可能なエネルギに比べて、弱いエネルギで測定が可能である。
【0017】
弱いエネルギの光を照射する装置が発光するとき、照射工程で照射するレーザ光を発光する原理と異なる原理を用いて、発光することができる。このとき、発光する原理が異なることから、発光する光の波長が異なることが多い。本発明では、照射工程で照射するレーザ光と異なる波長の測定光における光減衰量を測定した後、測定した光減衰量を用いて、照射工程で照射するレーザ光における光減衰量を演算して推定している。従って、スクライブに用いるレーザ光とは異なる、弱いエネルギの光を照射する発光装置を用いて、光減衰量を推定可能としている。その結果、消費するエネルギが少なくできる為、省資源な方法とすることができる。
【0018】
本発明の基板の分断方法は、光減衰量測定工程の後に、光減衰量と、光減衰量を測定した測定場所とを記憶する記憶工程を有し、照射工程では、記憶工程において、記憶した測定場所と光減衰量とを用いて、照射する場所における光減衰量を演算した後、光減衰量を用いて、改質部を形成可能となるレーザ光の光量を演算して、照射することを特徴とする。
【0019】
この基板の分断方法によれば、光減衰量を測定した後、測定した場所と光減衰量とを記憶している。その後、測定した場所と光減衰量とを用いて、照射する場所に改質部を形成するために必要な光量を演算して、照射している。従って、光減衰量測定工程の後、続けて照射工程を行う必要がない。光減衰量測定工程と記憶工程とを行った後、別の工程を行い、その後、照射工程を行うことができる。その結果、製造工程の設計を行い易い方法とすることができる。
【0020】
本発明の基板の分断方法は、光減衰量測定工程と照射工程とを並行して行うことを特徴とする。
【0021】
この基板の分断方法によれば、光減衰量測定工程と照射工程とが並行して行われている。光減衰量測定工程と照射工程とを別々に行うときは、光減衰量の測定にかかる時間と、照射にかかる時間とを合わせた時間がかかる。本発明では、光減衰量測定工程と照射工程とを並行して行うことにより、別々に行う場合に比べて短い時間で加工することができる。その結果、生産性良く製造可能な方法とすることができる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明のレーザスクライブ装置は、第1基板と、第2基板とが接着剤を介して接合されている第1基板にレーザ光を照射してスクライブするレーザスクライブ装置であって、第1基板と、第2基板との間に位置する接着剤に測定光を照射して、測定光が接着剤を通過するときに、測定光の光量が減衰した後の光量に相当する光減衰量を測定する、光減衰量測定部と、第1基板に照射するレーザ光の光量を制御する光量制御部とを有し、レーザ光が接着剤を通過するとき、光減衰量の小さい場所に比べて、光減衰量の大きい場所において、大きな光量のレーザ光を照射することを特徴とする。
【0023】
このレーザスクライブ装置によれば、光減衰量測定部が、接着剤により減衰した後の光減衰量を測定する。そして、光量制御部が、光減衰量に応じた光量のレーザ光を制御しながら、照射している。第1基板と、第2基板とが接着剤を介して接合されているとき、第2基板側から、接着剤を通過してレーザ光を照射することにより、第1基板に改質部を形成することがある。
【0024】
このとき、接着剤の中には、レーザ光の吸収度の高い接着剤がある。本発明では、複数の場所で光減衰量を測定した後、光減衰量の大きな場所では、大きな光量のレーザ光を照射している。従って、レーザ光が接着剤を通過することにより、光量が減衰しても、改質部の形成に必要な光量を、第1基板に集光することができる。その結果、品質良く改質部を形成することができる為、品質良く基板を分断することができる。
【0025】
本発明のレーザスクライブ装置では、光減衰量測定部は、レーザ光を接着剤に照射して、光減衰量を測定することを特徴とする。
【0026】
このレーザスクライブ装置によれば、レーザスクライブするときに用いるレーザ光と略同じ波長のレーザ光を用いて、光減衰量を測定している。接着剤に光を照射するとき、接着剤が光を吸収する割合を示す吸光度は、照射する光の波長により異なる性質がある。本発明では、スクライブするときに、照射するレーザ光の波長と光減衰量を測定するときの波長とが略同じ波長であることから、略同じ波長における光減衰量を測定している。従って、照射工程で照射するレーザ光が接着剤を通過するときの光減衰量を精度良く測定することができる。
【0027】
本発明のレーザスクライブ装置では、光減衰量測定部は、レーザ光と異なる波長の測定光を接着剤に照射して、接着剤による光減衰量を測定する測定光光減衰量測定部と、測定光の波長における光減衰量と、照射工程で照射するレーザ光が、同じ接着剤の厚さを照射するときに減衰する光減衰量との相関データを用いて、レーザ光における光減衰量を演算する光減衰量演算部とを有することを特徴とする。
【0028】
このレーザスクライブ装置によれば、予め、スクライブするときに照射するレーザ光と異なる波長の測定光を接着剤に照射するときの、光減衰量を測定した後、同じ厚さの接着剤を、スクライブするときに照射するレーザ光が、通過するときの、光減衰量を測定して、相関データを用意している。そして、測定光を照射するときの光減衰量を用いて、スクライブするときに照射するレーザ光における、光減衰量を演算して推定している。レーザ光を発光する方法には、いくつかの方法があるが、スクライブに用いるレーザ光は、大きなエネルギを照射可能な装置を用いて発光している。光減衰量を測定するときは、スクライブ可能なエネルギに比べて、弱いエネルギで測定が可能である。
【0029】
弱いエネルギの光を照射する装置が発光するとき、照射工程で照射するレーザ光を発光する原理と異なる原理を用いて、発光することがある。このとき、発光する原理が異なることから、発光する光の波長が異なることが多い。本発明では、スクライブするときに照射するレーザ光と異なる波長の測定光における、光減衰量を測定した後、測定した光減衰量を用いて、スクライブするときに照射するレーザ光における、光減衰量を演算して推定している。従って、スクライブに用いるレーザ光とは異なる、弱いエネルギの光を照射する発光装置を用いて、光減衰量を推定可能としている。その結果、消費するエネルギが少なくできる為、省資源な方法とすることができる。
【0030】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、第1基板と、第2基板とが接着剤を介して接合されている第1基板を有する電気光学装置の製造方法であって、第1基板を分断するとき、上記に記載の基板の分断方法を用いて分断することを特徴とする。
【0031】
この電気光学装置の製造方法によれば、接着剤を通過してレーザ光を照射してスクライブするときにおいても、品質良く改質部を形成することにより、品質良く基板を分断することができる。その結果、品質良く分断された基板を備える電気光学装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0033】
(第1の実施形態)
本実施形態では、接着剤の厚さを検出する装置を有するスクライブ装置を用いて、レーザスクライブ方法によりスクライブして分断する場合の例を説明する。ここで、本発明の特徴的な製造方法について説明する前にスクライブ装置について図1を用いて説明する。
【0034】
(スクライブ装置)
図1は、スクライブ装置の構成を示す模式概略図である。
図1に示すように、レーザスクライブ装置1は、レーザ光を出射するレーザ光源部としてのレーザ光源2と、出射されたレーザ光をワークに照射する光学経路部3と、光学経路部3に対してワークを相対的に移動させるテーブル部4と、動作を制御する制御装置5を主として構成されている。
【0035】
レーザ光源2は、出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、レーザ光源2は、本実施形態において、LD励起Nd:YAG(Nd:Y3Al512)のレーザ媒質からなり、第3高調波(波長:355nm)のQスイッチパルス発振のレーザ光を出射する発光条件を採用している。パルス幅はおよそ14ns(ナノ秒)、パルス周期は10kHz、出力はおよそ60μJ/パルスのレーザ光を出射する発光条件を採用している。
【0036】
光学経路部3はハーフミラー6を備えている。ハーフミラー6は、レーザ光源2から照射されるレーザ光7の光軸7a上に配置されている。ハーフミラー6はレーザ光源2から照射されるレーザ光7を反射して、光軸7aから光軸7bへ進行方向を変更する。ハーフミラー6に反射したレーザ光7が通過する光軸7b上に集光部8が配置されている。集光部8は、その内部に凸レンズである集光レンズ8aを備え、レーザ光7を集光場所7cに集光可能にしている。テーブル部4には基板9が配置され、集光部8を通過したレーザ光7が基板9に照射されるようになっている。
【0037】
基板9は、第1基板9aと第2基板9bとが接着剤9cにより貼り合わされて形成されている。第1基板9a、第2基板9bは、光透過性の板であればよく、本実施形態においては、石英ガラスを採用している。接着剤9cは、固化した後、光透過性のある接着剤であればよく、本実施形態においては、光硬化性のエポキシ樹脂を採用している。
【0038】
集光部8はレンズ支持部10により、レンズ移動機構11に支持されている。レンズ移動機構11は、図示しない直動機構を有し、集光部8を光軸7bが進行する方向(図中Z方向)に移動させて、集光部8を通過したレーザ光7が集光する集光場所7cを移動可能となっている。
【0039】
直動機構は、例えばZ方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを供えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する図示しないZ軸モータに連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号がZ軸モータに入力されると、Z軸モータが正転又は反転して、レンズ移動機構11が同ステップ数に相当する分だけ、光軸7b方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0040】
集光部8とハーフミラー6とを通過する光軸7bの延長線上にあって、ハーフミラー6に対して集光部8と反対側には、撮像装置12を備えている。撮像装置12は、例えば、図示しない同軸落射型光源とCCD(Charge Coupled Device)が組み込まれたものである。同軸落射型光源から出射した可視光は、集光部8を透過して基板9を照射する。撮像装置12は、集光部8とハーフミラー6とを通して基板9を撮像することが可能となっている。
【0041】
レンズ移動機構11の右側には、受光装置13を備え、受光装置13は、基板9と対向する場所に位置している。そして、受光装置13と対向する場所で、基板9と反対側には、投光装置14が配置されている。投光装置14は、その内部に、紫外発光ダイオードを備えており、測定光としての紫外光15を発光する。紫外発光ダイオードが発光する光の波長は、レーザ光7の波長に近い方が好ましく、例えば、波長386nmを採用している。そして,紫外光15は、投光装置14が備える投光レンズ14aを通って、基板9を照射する。基板9に照射された紫外光15は、基板9を通過して、受光装置13の受光部13aに照射される。
【0042】
受光装置13の内部には、フォトトランジスタを備え、受光部13aに、照射された紫外光15は、フォトトランジスタに照射される。フォトトランジスタは、受光する紫外光15を電流値に変換する。受光装置13は、紫外光15から変換された電流値を電圧値に変換した受光電圧値を、出力する。
【0043】
テーブル部4は、基台16を備えている。基台16の光学経路部3側には、レール17が凸設して配置されており、レール17上にはX軸スライド18が配置されている。X軸スライド18は、図示しない直動機構を備え、レール17上のX方向に移動可能となっている。直動機構は、レンズ移動機構11が備える直動機構と同様な機構であり、所定のステップ数に相当する駆動信号に対応してX軸スライド18が同ステップ数に相当する分だけ、X方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0044】
X軸スライド18の光学経路部3側にはレール19が凸設して配置されており、レール19上にはY軸スライド20が配置されている。Y軸スライド20は、X軸スライド18と同様な直動機構を備え、レール19上をY方向に移動可能となっている。
【0045】
Y軸スライド20の光学経路部3側には、方向切替装置としての回転テーブル21が配置されている。回転テーブル21は、図示しない回転機構を有し、基板9を回転させて、X軸スライド18及びY軸スライド20が移動するとき、基板9が移動する方向を変更可能としている。
【0046】
回転機構は、例えば、駆動軸に歯車を備えたステップモータと、同歯車と噛み合う減速ギアとを供えた回転機構である。その駆動軸が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号がステップモータに入力されると、ステップモータが正転又は反転して、回転テーブル21が同ステップ数に相当する分だけ、回転するようになっている。
【0047】
回転テーブル21の光学経路部3側には、ステージ22が配置され、ステージ22の上面には図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、基板9を載置すると、チャック機構によって、基板9がステージ22の上面における所定の位置に位置決めされ固定されるようになっている。
【0048】
ステージ22は、その内部が中空となっており、ステージ22の内部には、投光装置14が備えられている。投光装置14は、基台16に立設された支持部23により支持される。ステージ22は、支持部23側の面に孔部22aが形成され、支持部23は、その一部が孔部22aを通って、ステージ22の内部に延在して配置されている。従って、支持部23が、投光装置14を支持可能となっている。
【0049】
ステージ22には、光学経路部3側に孔部22bが形成されている。そして、投光装置14が照射する紫外光15は、孔部22bと、基板9とを通過して、受光装置13を照射可能となっている。
【0050】
制御装置5は、メインコンピュータ26、インターフェース27、メモリ28を備えている。メインコンピュータ26は内部に図示しないCPU(Central Processing Unit)を備えている。CPUはメモリ28内に記憶されたプログラムソフト29に従って、レーザスクライブ装置1の動作を制御するものである。具体的な機能実現部として、レーザ光照射演算部30、光減衰量演算部31などを有する。
【0051】
レーザ光照射演算部30は、レーザ光7を照射する場所と、レーザ光7の光量等を演算する機能等を有する。光減衰量演算部31は、紫外光15が基板9を通過するときに、減衰する光量を基に、レーザ光源2が照射するレーザ光7が基板9を通過するときに減衰する光量を演算する機能等を有する。
【0052】
メモリ28は、RAM、ROM等といった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、レーザスクライブ装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト29を記憶する記憶領域が設定される。さらに、基板9内におけるレーザ光7を照射する位置の座標データである照射位置データ32を記憶するための記憶領域も設定される。他にも、光減衰量演算部31が光量の減衰量を演算するときに用いる光減衰量データ33を記憶するための記憶領域が設定される。その上、メインコンピュータ26のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
【0053】
インターフェース27は、入力装置34、表示装置35、レーザ光制御装置36、レンズ制御装置37、画像演算装置38、減衰光量測定部としての光減衰量測定装置39、ステージ制御装置40等と接続されている。
【0054】
入力装置34は、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力する装置であり、表示装置35はレーザ加工時の各種情報を表示する装置である。メインコンピュータ26は、入力される各種加工条件とプログラムソフト29とに従って、レーザ光7の照射を行い、加工状況を表示装置35に表示する。操作者が表示装置35に表示される各種情報を見て、加工状況を確認して操作するようになっている。
【0055】
レーザ光制御装置36は、レーザ光源2を駆動するパルス信号のパルス幅、パルス周期、出力の開始と停止、等を制御する装置であり、メインコンピュータ26の制御信号により制御される。
【0056】
レンズ制御装置37は、レンズ移動機構11の移動、停止を制御する装置である。レンズ移動機構11には、移動距離を検出可能な図示しない位置センサが内蔵されており、レンズ制御装置37は、この位置センサの出力を検出することにより、集光部8の光軸7b方向の位置を認識する。レンズ制御装置37は、レンズ移動機構11にパルス信号を送信し、レンズ移動機構11を所望の位置に移動することができるようになっている。
【0057】
画像演算装置38は、撮像装置12から出力される画像データを演算する機能を備えている。ステージ22に基板9を配置し、撮像装置12で撮像した画像を観察するとき、レンズ移動機構11を操作して、集光部8と基板9との距離を変えることにより画像が鮮明になるときとぼやけるときが存在する。集光部8を移動して、基板9のステージ22側の面に焦点が合うときと、基板9の光学経路部3側の面に焦点が合うときに、撮像される画像が鮮明になる。一方、焦点が合っていないとき、撮像される画像は、ぼやけた画像となる。
【0058】
集光部8を光軸7bの方向に移動して、撮像装置12が撮像する画像が鮮明になる集光部8の位置を、内蔵する位置センサで検出することにより、基板9の厚みを測定することが可能となる。
【0059】
撮像装置12が撮像するときに焦点が合う合焦点位置と、レーザ光7を照射したときに、集光部8により集光される集光位置との差の距離を計測することで、合焦点位置と集光位置の差の距離であるオフセット距離を知ることができる。例えば、透明な2枚の基板を重ねた物を基板9としてステージ22に設置し、2枚の基板の接触部に撮像装置12の焦点が合うように集光部8を移動する。次に、レーザ光7を照射して改質部を形成する。2枚の基板の接触部と改質部の距離を計測することにより、オフセット距離を設定することができる。
【0060】
集光部8を光軸7b方向(図中Z方向)に移動して、基板9の光学経路部3側の面に撮像装置12の焦点を合わせる。レーザ光7を照射したい位置とオフセット距離とのデータを用いて、集光部8の移動距離を演算し、演算した移動距離に対応する距離分、集光部8を移動させる。この方法で基板9における所定の深さにレーザ光7を集光することが可能となる。
【0061】
光減衰量測定装置39は、基板9を通過する紫外光15の減衰量を測定する装置である。投光装置14が照射する紫外光15を受光装置13が受光した後、受光する光量に対応する受光電圧値に変換して、光減衰量測定装置39に出力する。光減衰量測定装置39は、受光装置13が出力する受光電圧値を入力する。そして、光減衰量測定装置39は、この受光電圧値を、この受光電圧値に対応する光量である光量データに変換した後、光減衰量を演算する。
【0062】
光減衰量の演算方法を説明する。最初に、紫外光15が基板9を通過することによる減衰がないときの光量データを測定して、この光量データを基準光量データとする。続いて、紫外光15が基板9を通過するときの光量データを測定して、この光量データを測定光量データとする。そして、基準光量データに対する、測定光量データの割合を1から減算した値を光減衰量とする。
【0063】
基板9を通過する紫外光15は、接着剤9cに一部が吸収されるので、測定光量データは基準光量データ以下の値となる。従って、光減衰量は、0から1の間の値となる。紫外光15が吸収される程、測定光量データが小さくなるので、基準光量データに対する、測定光量データの割合も小さくなる。そして、光減衰量は、1から基準光量データに対する、測定光量データの割合を減算することから、紫外光15が吸収される程、大きな値となる。そして、光減衰量測定装置39は、光減衰量を演算して、メインコンピュータ26に出力する。
【0064】
基板9を通過する紫外光15は、接着剤9cに一部が吸収されるので、接着剤9cが厚い程、紫外光15は減衰する。そして、光減衰量は大きくなる。
【0065】
ステージ制御装置40は、X軸スライド18、Y軸スライド20及び回転テーブル21の位置情報の取得と移動制御を行う。X軸スライド18、Y軸スライド20及び回転テーブル21には図示しない位置センサが内蔵されており、ステージ制御装置40は位置センサの出力を検出することにより、X軸スライド18、Y軸スライド20及び回転テーブル21の位置を検出する。ステージ制御装置40は、X軸スライド18、Y軸スライド20及び回転テーブル21の位置情報を取得し、メインコンピュータ26から指示される位置情報とを比較し、差に相当する距離及び角度に対応して、X軸スライド18、Y軸スライド20及び回転テーブル21を駆動して移動させる。ステージ制御装置40はX軸スライド18、Y軸スライド20及び回転テーブル21とを駆動して、所望の位置及び角度に基板9を移動することが可能となっている。
【0066】
画像演算装置38が集光レンズ8aの焦点位置を検出した後、レンズ制御装置37が、集光部8を移動することにより、レーザ光7を集光する光軸7b方向の位置を制御する。ステージ制御装置40が基板9をXY方向に移動することにより、基板9にレーザ光7が照射される場所を制御する。そして、レーザ光制御装置36がレーザ光源2を制御することにより、レーザ光7を発光させる。発光するレーザ光7が、光軸7bを通過した後、集光部8により集光されて、基板9の内部を照射する。上述した制御を行い所望の位置にレーザ光7を集光して照射することが可能となっている。
【0067】
ここで、多光子吸収による改質部の形成について説明する。集光部8によって集光されたレーザ光7は、基板9に入射する。そして、基板9がレーザ光7を透過する材料であっても、材料の吸収バンドギャップよりも光子のエネルギが非常に大きいとき、基板9は光子エネルギを吸収する。これを多光子吸収と言い、レーザ光7のパルス幅を極めて短くすることでエネルギを高めて、多光子吸収を基板9の内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギが熱エネルギに転化せずに、永続的な構造変化が誘起された領域が形成される。
【0068】
本実施形態では、この構造変化領域を改質部と呼ぶ。改質部のうち、大きく構造変化した結果複数のクラックが形成された領域をクラック部と呼ぶ。尚、材料の種類によっては、例えば石英などの場合には、クラック部は複数のクラックにならず、空洞が形成される場合もある。
【0069】
このような改質部を形成するためのレーザ光7の照射条件は、加工対象物ごとにレーザ光7の出力やパルス幅、パルス周期等の設定が必要になる。特に、レーザ光源2が照射するレーザ光7の出力は、ハーフミラー6や集光部8のような光軸7b上に配置される透過性物質による吸収で減衰することを考慮する必要がある。従って、実際の加工対象物を用いた予備試験を実施して、最適な照射条件を導くことが望ましい。
【0070】
(基板の分断方法)
次に本発明の基板の分断方法について図2〜図6にて説明する。図2は、基板の分断方法のフローチャートであり、図3〜図6は基板の分断方法を説明する図である。
【0071】
図2のフローチャートにおいて、ステップS1は移動工程に相当し、スクライブ装置に設置されている基板を移動して、改質部を形成する予定の場所を受光装置と対向する場所に移動する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、測定光光減衰量測定工程に相当し、基板に紫外線を照射して、透過する光量を測定する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、光減衰量演算工程に相当し、ステップS2にて、測定する光量を用いて、レーザ光を照射するときの光減衰量を演算する工程である。ステップS2とステップS3とを合わせて、ステップS21の光減衰量測定工程とする。次にステップS4に移行する。
【0072】
ステップS4は、記憶工程に相当し、ステップS3にて、演算した光減衰量を記憶する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は、予定した場所総てを測定したかを判断する工程に相当し、光減衰量を測定する予定の場所で、まだ光減衰量を測定していない場所を検索する工程である。光減衰量を測定する予定の場所で、まだ光減衰量を測定していない場所があるとき(NOのとき)、ステップS1に移行する。改質部を形成する予定の場所で、改質部を形成していない場所がないとき(YESのとき)、ステップS6に移行する。
【0073】
ステップS6は、移動工程に相当し、レーザ光を照射する予定の場所を、集光部8と対向する場所に移動する工程である。次にステップS7に移行する。ステップS7は、照射工程に相当し、基板にレーザ光を照射して改質部を形成する工程である。次にステップS8に移行する。
【0074】
ステップS8は予定した領域総てに照射したかを判断する工程に相当し、改質部を形成する予定の領域と改質部を形成した領域とを比較し、改質部を形成する予定の領域で、まだ改質部を形成していない領域を検索する工程である。改質部を形成する予定の領域で、まだ改質部を形成していない領域があるとき(NOのとき)、ステップS6に移行する。改質部を形成する予定の領域で、改質部を形成していない領域がないとき(YESのとき)、ステップS9に移行する。
【0075】
ステップS9は、直交する2方向に照射したかを判断する工程に相当し、基板を分断する予定の方向である2つの方向に対して、改質部を配列して形成したかを判断する工程である。1方向にのみ、配列を形成して、次に、直交するもう一つの方向に改質部を形成するとき(NOのとき)、ステップS10に移行する。直交する2つの方向に配列して改質部が形成されているとき(YESのとき)、ステップS11に移行する。
【0076】
ステップS10は、回転工程に相当し、回転テーブルを用いて、基板を90度回転させる工程である。次にステップS1に移行する。ステップS11は、分断工程に相当し、基板の改質部が配列して形成された場所を押圧して、基板を分断する工程である。以上の工程により基板を分断する加工が完了する。
【0077】
次に、図1、図3〜図6を用いて、図2に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図3(a)は、本実施形態で分断する基板の模式平面図である。図3(a)に示す様に、基板9は矩形の板で構成されている。基板9は、レーザ光7に透過性のある材質からなり本実施形態では、例えば、石英ガラスを採用している。
【0078】
基板9の平面方向において、基板9の長尺方向をX方向に配置し、X方向と直交する方向をY方向とする。また、基板9の厚さ方向をZ方向とする。基板9において、X方向の中心線を通る厚さ方向(Z方向)の面を第1切断予定面43とする。同じく基板9において、Y方向の中心線を通る厚さ方向(Z方向)の面を第2切断予定面44とする。第1切断予定面43は、ステップS1〜ステップS9において、スクライブする面であり第2切断予定面44は、ステップS10において、基板9を回転した後、ステップS1からステップS9を繰り返して、スクライブする面である。
【0079】
図3(b)はステップS1に対応する図である。図3(b)に示す様に、集光部8及び受光装置13が配列する方向を第1切断予定面43の方向と揃え、第1切断予定面43と対向する場所に配列するようにする。このとき、X軸スライド18、Y軸スライド20、回転テーブル21を駆動することにより、基板9の方向と場所を移動する。第1切断予定面43に測定する予定の場所である測定点45を設定する。本実施形態においては、測定点45を9点設定しており、図中の測定点45a〜測定点45iは、測定点45を示している。そして、基板9を移動して、最初に測定する測定点45aが、受光装置13と対向する場所となる様に、基板9を移動する。
【0080】
図3(c)はステップS2に対応する図である。図3(c)に示す様に、投光装置14から受光装置13に向けて紫外光15を照射する。紫外光15は、基板9を通過することにより、減衰した後、受光装置13を照射する。受光装置13は、受光する光量に相当する電圧値を光減衰量測定装置39に出力する。光減衰量測定装置39は、基板9を通過しないときの基準光量データと、今回、測定した測定光量データの割合を示す光減衰量を演算して、メインコンピュータ26に出力する。
【0081】
図4(a)はステップS3に対応する図である。図4(a)において、横軸は、接着剤の厚み46を示し、左側より右側が、厚くなっている。縦軸は、光減衰量47を示し、上側が下側より光減衰量が大きくなっている。紫外光減衰曲線48は、投光装置14が照射する紫外光15が、基板9を通過するときの、接着剤の厚み46に対する光減衰量47の関係を示している。同様に、レーザ光減衰曲線49は、レーザ光源2が発光する紫外光15が、基板9を通過するときの、接着剤の厚み46に対する光減衰量47の関係を示している。
【0082】
紫外光減衰曲線48及びレーザ光減衰曲線49は、接着剤の厚み46が厚くなるに従い、吸収される光量が大きくなることから、光減衰量47が大きくなる。そして、紫外光減衰曲線48及びレーザ光減衰曲線49は、指数関数曲線に近い曲線となっている。ステップS2において、演算する光減衰量50と紫外光減衰曲線48とを用いて、測定点45aにおける接着剤の厚み51を推定する。次に、測定点45aにおける接着剤の厚み51とレーザ光減衰曲線49とを用いて、レーザ光7が接着剤9cを通過するときの光減衰量52を推定する。
【0083】
ステップS4では、ステップS3にて算出する光減衰量52等からなる光減衰量データ33と測定点の場所に係るデータをメモリ28に記憶する。
【0084】
ステップS5では、測定点45a〜測定点45iの総ての測定点における光減衰量の測定が済んだか、否かの判断をする。済んでいないとき、ステップS1〜ステップS5を繰り返して、測定点45a〜測定点45iにおける光減衰量データ33をメモリ28に記憶する。
【0085】
図4(b)は、測定点45a〜測定点45iにおける光減衰量データ33の一例を示している。図4(b)において、横軸は、X方向の位置53を示している。縦軸は、光減衰量47を示し、上側が下側より光減衰量が大きくなっている。光減衰量折れ線54は、測定点45a〜測定点45iにおける光減衰量52を接続した折れ線である。光減衰量折れ線54において、X方向の位置53が中央にある測定点45eにおける光減衰量47が、両端の測定点45a及び測定点45iにおける光減衰量47に比べて、小さくなっている。これは、第1基板9a及び第2基板9bの反りにより、接着剤9cの厚さが、中央より両端の方が厚くなっていることに起因している。
【0086】
ステップS6において、改質部を形成する予定の場所と対向する場所に集光部8を移動する。そして、改質部を形成する予定の場所にレーザ光7を集光するように、レンズ移動機構11が集光部8を移動する。
【0087】
図4(b)〜図5(c)を用いて、ステップS7を説明する。ステップS7において、レーザ光照射演算部30が照射するレーザ光7の光量を演算する。レーザ光7を照射する予定の位置55が、測定点45aと測定点45bとの間にあるとき、測定点45aと位置55との距離をL1とする。そして、測定点45aと測定点45bとの距離をL2とする。測定点45aの光減衰量47をGaとし、測定点45bの光減衰量47をGbとする。レーザ光照射演算部30は、位置55における光減衰量47である光減衰量56を、次の式を用いて演算する。
光減衰量56=Ga+(Gb−Ga)×L1/L2
【0088】
このとき、位置55における光減衰量56は、光減衰量折れ線54上にプロットされる。つまり、光減衰量56は、光減衰量折れ線54を用いて演算されている。この方法を用いて、測定点45bと測定場所としての測定点45cとの間の位置における光減衰量47を演算することができる。同様に、隣接する測定点45の間において、光減衰量47を演算することができるので、測定点45a〜測定点45iの間において、光減衰量47を演算することができる。
【0089】
図4(c)は、位置55における光減衰量47と、その光減衰量47に対して、改質部を形成するために、必要な光照射量57との関係を示す図である。横軸は、光減衰量47を示し、右側が、左側より光減衰量47が大きくなっている。縦軸は、光照射量57を示し、上側が、下側より光照射量57が大きくなっている。光減衰量47と光照射量57との関係を示す光照射量線58は、直線となっており、一次方程式にて表されている。レーザ光照射演算部30は、光減衰量56と光照射量線58とを用いて、位置55にて照射する光照射量59を演算する。
【0090】
図5(a)に示す様に、集光部8がレーザ光7を集光して、第1基板9aの内部を照射する。レーザ光7が集光して照射される集光場所7cには、改質部60が形成され、改質部60の中央には、空洞となっているクラック部61が形成される。そして、照射した場所のデータを照射済の位置として、照射位置データ32に記憶する。レーザ光7の光量は、レーザ光照射演算部30が演算した光量となっているので、接着剤9cを通過するときに、レーザ光7が減衰しても、改質部60が形成される。
【0091】
ステップS8において、メインコンピュータ26は、照射位置データ32に記憶されている照射予定の位置と照射済の位置とのデータを比較して、照射していない場所を検索する。このとき、改質部60を形成している段の中から検索する。そして、ステップS6とステップS7とを繰り返すことにより、まず1段目の改質部60aを配列して、形成する。
【0092】
図5(b)は、レーザ光7を集光して照射する集光場所7cを、Z方向に移動して、加工を継続するときの、ステップS7に対応する図である。図5(b)に示す様に、1段目に形成されている改質部60aと隣接する場所に、改質部60を配列して、2段目の改質部60bを形成する。3段目以降も同様に形成する。
【0093】
第1基板9aの第1切断予定面43の総てに改質部60を配列して形成した後、接着剤9cの第1切断予定面43にレーザ光7を照射する。レーザ光7を照射された接着剤9cは、変質して、脆くなる。続いて、第2基板9bにおいても、第1基板9aと同様に、第1切断予定面43に沿って、改質部60を配列して形成する。
【0094】
その結果、図5(c)に示す様に、第1基板9a及び第2基板9bの第1切断予定面43に沿って、改質部60が、配列されて形成されている第1スクライブ面62が形成される。
【0095】
ステップS9において、第1切断予定面43と、第2切断予定面44とにレーザ光7を照射して、改質部60を配列して、形成したかを判断する。第2切断予定面44には、改質部60を配列して、形成していないことから、ステップS10に移行する。
【0096】
図5(d)はステップS10に対応する図である。図5(d)に示す様に、ステージ制御装置40が、回転テーブル21を駆動して、基板9を回転することにより、集光部8及び受光装置13が配列している方向と、第2切断予定面44の方向とを合わせる。そして、ステージ制御装置40が、X軸スライド18及びY軸スライド20を駆動して、受光装置13と対向する場所に、第2切断予定面44が来る様に、基板9を移動する。
【0097】
そして、ステップS1〜ステップS8を繰り返す。その結果、図5(c)に示す様に、第2切断予定面44に沿って、改質部60が配列されて形成されている第2スクライブ面63が形成される。ステップS9において、第2切断予定面44に、改質部60を配列して、形成した判断をした後、ステップS11へ移行する。
【0098】
図6(a)〜図6(c)はステップS11に対応する図である。図6(a)に示す様に、基板9を弾性材などから少なくともなる台64の上に配置する。第1切断予定面43に形成された第1スクライブ面62と対向する場所を、加圧部材65を用いて押圧する。基板9は台64に沈み込み、クラック部61に張力が作用する。基板9は、台64と接する面に近いクラック部61aを起点として破断が進行し、分断する。
【0099】
続いて、図6(b)に示す様に、同様に、第2切断予定面44に形成された第2スクライブ面63と対向する場所を、加圧部材65を用いて押圧する。基板9は台64に沈み込み、クラック部61に張力が作用する。基板9は、台64と接する面に近いクラック部61bを起点として破断が進行し、分断する。
【0100】
その結果、図6(c)に示すように、基板9が第1スクライブ面62、及び第2スクライブ面63で分断され、4分割される。
【0101】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、接着剤9cによる光減衰量を測定し、光減衰量に応じた光量のレーザ光7を照射している。そして、接着剤9cは、レーザ光7を吸収するので、接着剤9cを通過するレーザ光7は、減衰する。接着剤9cが厚い場所では、接着剤9cが薄い場所に比べて、レーザ光7は大きく減衰する。
【0102】
第1基板9aと第2基板9bとを接合するとき、第1基板9aと、第2基板9bとの反り及び歪により、接着剤9cの厚さは、場所により異なる場合がある。従って,接着剤9cをレーザ光7が通過するとき、レーザ光7が減衰する光減衰量は、場所により異なる場合がある。
【0103】
本実施形態では、複数の測定点45で光減衰量を測定した後、光減衰量の大きい場所では、大きな光量のレーザ光7を照射している。従って、レーザ光7が接着剤9cを通過して、光量が減衰しても、改質部60の形成に必要な光量を、第1基板9aに集光することができる。その結果、品質良く改質部60を形成するここができる為、品質良く基板を分断することができる。
【0104】
(2)本実施形態によれば、ステップS7の照射工程で照射するレーザ光7と異なる波長の紫外光15を用いて、光減衰量を測定している。スクライブに用いるレーザ光7は、大きなエネルギを照射可能な装置を用いて発光している。光減衰量を測定するときは、スクライブ可能なエネルギに比べて、弱いエネルギで測定が可能である。
【0105】
本発明では、紫外発光ダイオードが発光する紫外光15における光減衰量を測定した後、測定した光減衰量を用いて、ステップS7の照射工程で照射するレーザ光における光減衰量を演算して推定している。従って、スクライブに用いるレーザ光7とは異なる、弱いエネルギの光を照射する発光装置14を用いて、光減衰量を推定している。その結果、消費するエネルギが少なくできる為、省資源な方法とすることができる。さらに、安定して発光する光を用いて測定することから、品質良く測定することができる。
【0106】
(3)本実施形態によれば、光減衰量を測定した後、測定した測定点45と光減衰量とを記憶している。その後、測定した測定点45と光減衰量とを用いて、改質部60を形成するために必要な光量を演算して、照射している。従って、ステップS21の光減衰量測定工程の後、続けて、ステップS7の照射工程を行う必要がない。ステップS21の光減衰量測定工程とステップS4の記憶工程とを行った後、別の工程を行い、その後、照射工程を行うことができる。その結果、工程の設計を行い易い方法とすることができる。
【0107】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した基板の分断方法の一実施形態について図7の及び図8を用いて説明する。図7は、基板の分断方法のフローチャートであり、図8は、基板の分断方法を説明する図である。
この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、1段目の改質部を形成するときに、光減衰量の測定と、レーザ光の照射とを並行して行う点にある。
【0108】
図7のフローチャートにおいて、ステップS31は、移動工程に相当し、図2のステップS1と同じ工程であり、説明を省略する。次にステップS32に移行する。ステップS32は、測定光光減衰量測定工程に相当し、ステップS2と同じく、減衰後の光量を測定する工程であるが、ステップS2と異なる点は、レーザ光7を照射する場所総ての場所において、測定を行う点が異なる。ステップS33は、光減衰量演算工程に相当し、図2のステップS3と同じ工程であり、説明を省略する。ステップS32及びステップS33とを合わせてステップS51の光減衰量測定工程とする。次にステップS34に移行する。ステップS34は、記憶工程に相当し、図2のステップS4と同じ工程であり、説明を省略する。次にステップS35に移行する。ステップS35は、1段目照射工程に相当し、基板にレーザ光を照射して、1段目の改質部を形成する工程である。
【0109】
次にステップS36に移行する。ステップS36は、1段目の予定した領域総てを測定したかを判断する工程に相当し、レーザ光を照射する予定の場所で、まだ、レーザ光を照射していない場所を検索する工程である。レーザ光を照射する予定の場所で、まだ、レーザ光を照射していない場所があるとき(NOのとき)、ステップS31に移行する。レーザ光を照射する予定の場所で、レーザ光の照射をしていない場所がないとき(YESのとき)、ステップS37に移行する。ステップS37〜ステップS42は、図2のステップS6〜ステップS11と同じであり、説明を省略する。
【0110】
図8はステップS32〜ステップS35に対応する図である。図8に示す様に、ステップS32において、投光装置14から紫外光15を、受光装置13へ照射する。このとき、紫外光15は、基板9を通過するので、紫外光15の光量が減衰する。そして、光減衰量測定装置39は、受光装置13が出力する光量に相当する電圧データを用いて、光減衰量を演算した後、メインコンピュータ26に出力する。
【0111】
ステップS33では、ステップS3と同様に、紫外光15における光減衰量を用いて、レーザ光7における光減衰量を演算する。ステップS34では、演算したレーザ光7における光減衰量を光減衰量データ33としてメモリ28に記憶する。ステップS35では、メインコンピュータ26が、メモリ28から光減衰量データ33を入力して、改質部60を形成可能となるレーザ光7の光量データを演算する。その光量データをレーザ光制御装置36に出力して、レーザ光制御装置36は、その光量データと対応する光量のレーザ光7を、レーザ光源2から発光させる。そして、集光部8が、レーザ光7を集光場所7cに集光して,照射する。集光場所7cには、改質部60が形成される。
【0112】
このとき、ステップS32〜ステップS34と、ステップS35とは並行して行われる。従って、テーブル部4が基板9を移動させて、受光装置13は、受光装置13が測定する場所と対向する場所に位置するとき、紫外光15の光量を測定する。続いて、光減衰量測定装置39は、受光装置13が受光する紫外光15を用いて、光減衰量を演算した後、メモリ28に記憶する。このステップと並行して、メインコンピュータ26は、次に照射する場所における、光減衰量データ33の入力と、照射するレーザ光7の光量の演算とが、行われる。そして、レーザ光7を照射する予定の場所と対向する場所に集光部8が位置するとき、レーザ光7が照射される。
【0113】
ステップS36〜ステップS42は、第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。そして、基板9が分断されて、加工が終了する。
【0114】
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)及び(2)に加えて、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS51の光減衰量測定工程とステップS35の1段目照射工程とが並行して行われている。ステップS51とステップS35とを別々に行うときは、ステップS51にかかる時間と、ステップS35にかかる時間とを合わせた時間がかかる。本発明では、ステップS51とステップS35とを並行して行うことにより、別々に行う場合に比べて短い時間で加工することができる。その結果、生産性良く製造可能な方法とすることができる。
【0115】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化したレーザ照射装置の一実施形態について図9を用いて説明する。図9は、スクライブ装置の構成を示す模式概略図である。この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、光減衰量を測定する光を紫外線に換えて、レーザ光を用いて、光減衰量の測定を行う点にある。
【0116】
すなわち、本実施形態では、図9に示すように、レーザスクライブ装置67は、レーザ光を出射するレーザ光源2と、出射されたレーザ光をワークに照射する光学経路部68と、光学経路部68に対してワークを相対的に移動させるテーブル部4と、動作を制御する制御装置5を主として構成されている。レーザ光源2及びテーブル部4は、第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。
【0117】
光学経路部68はハーフミラー69を備えている。ハーフミラー69は、レーザ光源2から照射されるレーザ光7の光軸7a上に配置されている。ハーフミラー69はレーザ光源2から照射されるレーザ光7の一部を反射して、光軸7aから光軸7bへ進行方向を変更すると共に、レーザ光7の一部を、光軸7dへ透過する。ハーフミラー69にて、反射したレーザ光7が通過する光軸7b上に、シャッタ70及び集光部8が配置されている。シャッタ70は、レーザ光7の通過と遮断とを制御する装置であり、シャッタ70を遮蔽するとき、レーザ光7は、遮断されるので、集光部8を照射しない。
【0118】
ハーフミラー69を、透過したレーザ光7が通過する光軸7d上に、シャッタ71及び反射鏡72が配置されている。シャッタ71は、レーザ光7の通過と遮断とを制御する装置である。反射鏡72は、レーザ光7を反射して、光軸7dから光軸7eへ進行方向を変更する。光軸7e上には、反射鏡73が配置され、反射鏡73は、レーザ光7を反射して、光軸7eから光軸7fへ進行方向を変更する。光軸7fは、ステージ22の内部を通過する。光軸7f上には、反射鏡74が配置され、反射鏡74は、レーザ光7を反射して、光軸7fから光軸7gへ進行方向を変更する。基台16は、支持部75を備え、反射鏡73及び反射鏡74は、支持部75により支持されている。
【0119】
光軸7g上には、受光装置13の受光部13aが配置されている。そして、レーザ光源2が発光するレーザ光7は、光軸7a、光軸7d、光軸7e、光軸7f、光軸7gを通過して、受光部13aを照射する。光軸7g上には、基板9が配置され、光軸7gを通過するレーザ光7は、基板9を透過して、光量が減衰する。従って、受光装置13は、レーザ光7が、基板9を透過して、減衰する光量を測定可能となっている。
【0120】
レーザスクライブ装置67は、シャッタ制御装置76を備えている。シャッタ制御装置76は、シャッタ70及びシャッタ71の開閉を制御する装置である。シャッタ70及びシャッタ71を開くとき、レーザ光7が通過して、シャッタ70及びシャッタ71を閉じるとき、レーザ光7が遮断される。
【0121】
従って、集光部8からレーザ光7を照射せずに、光減衰量の測定を行うとき、シャッタ制御装置76は、シャッタ70を閉じて、シャッタ71を開く制御をする。集光部8からレーザ光7を照射して、光減衰量の測定を行わないとき、シャッタ制御装置76は、シャッタ70を開いて、シャッタ71を閉じる制御をする。集光部8からレーザ光7を照射すると共に、光減衰量の測定を行うとき、シャッタ制御装置76は、シャッタ70を開いて、シャッタ71も開く制御をする。
【0122】
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)に加えて、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、改質部60を形成するときに、照射するレーザ光7と同じレーザ光7を用いて、光減衰量を測定している。接着剤9cにレーザ光7を照射するとき、接着剤9cが光を吸収する割合を示す吸光度は、照射する光の波長により異なる性質がある。本実施形態では、改質部60を形成するときに、照射するレーザ光7の波長と光減衰量を測定するときの波長とが同じ波長であることから、同じ波長における光減衰量を測定している。従って、改質部60を形成するときに、照射するレーザ光7が接着剤9cを通過するときの光減衰量を精度良く測定することができる。
【0123】
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した液晶表示装置の製造方法の一実施形態について図10〜図16を用いて説明する。
本実施形態では、本発明における基板の分断方法を用いて液晶表示装置を製造する場合の例を説明する。ここで、本発明の特徴的な製造方法について説明する前に、液晶表示装置について説明する。
【0124】
(液晶表示装置)
まず、液晶表示装置について説明する。図10(a)は、液晶表示装置の模式平面図であり、図10(b)は、図10(a)の液晶表示装置のA−A’線に沿う模式断面図である。
【0125】
図10(a)及び図10(b)において、本実施形態の電気光学装置としての液晶表示装置81は、対をなすTFTアレイ基板82と対向基板83とが熱硬化性の封止材であるシール84によって貼り合わされ、このシール84によって区画される領域内に封入された液晶85からなる液晶層を備えている。シール84は、基板面内の領域において閉ざされた枠形状に形成されている。
【0126】
シール84の内側で対向基板83の液晶85側の面には、遮光性材料で配線を隠すための周辺見切り86が形成されている。シール84の外側の場所には、データ線駆動回路87及び電極端子88がTFTアレイ基板82の辺82a(図10中下側の辺)に沿って形成されており、この辺82aに隣接する辺82b及び辺82c(図10中左右の辺)に沿って走査線駆動回路89が形成されている。データ線駆動回路87、電極端子88及び走査線駆動回路89は配線90aにより電気的に接続されている。TFTアレイ基板82の残る辺82d(図10中上側の辺)には、2つの走査線駆動回路89の間を接続するための配線90bが設けられている。また、対向基板83のコーナー部の4箇所においては、TFTアレイ基板82と対向基板83との間で電気的導通をとるための基板間導通材91が配設されている。対向基板83のTFTアレイ基板82側には対向電極92が配置され、基板間導通材91と電気的に接続されている。さらに、対向電極92のTFTアレイ基板82側には配向膜93が配置されている。
【0127】
液晶は、該液晶を挟持する電極に電圧を印加すると液晶分子の液晶の傾き角度が変化する性質を持っており、TFTのスイッチング動作により、液晶にかける電圧をコントロールして液晶の傾き角度を制御し、画素毎に光を透過させたり遮ったりする動作を行う。なお、光が液晶により遮られた画素には当然光は入射しないため、黒色となる。このようにTFTのスイッチング動作により、液晶をシャッタとして動作させることにより、画素毎に光の透過をコントロールし、画素を明滅させることにより、映像を表示させることができる。
【0128】
このような構造を有する液晶表示装置81の画像を表示する領域には、複数の画素94がm行n列のマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素94の各々には、画素信号をスイッチングするスイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)が形成されている。画素信号を供給するデータ線(ソース配線)がTFTのソース電極に電気的に接続され、走査信号を供給する走査線(ゲート配線)がTFTのゲート電極に電気的に接続され、TFTのドレイン電極に画素電極96が電気的に接続されている。走査線が接続されるTFTのゲート電極には、所定のタイミングで、走査線からパルス信号の走査信号が供給される。
【0129】
画素電極96は、TFTのドレイン電極に電気的に接続されており、TFTを一定期間だけオン状態とすることにより、データ線から供給される画素信号が各画素94の画素電極96に所定のタイミングで供給される。このようにして画素電極96に供給された所定レベルの画素信号の電圧レベルは、対向基板83の対向電極92と画素電極96との間で保持され、画素信号の電圧レベルに応じて、液晶85の光透過量が変化する。
【0130】
画素電極96の対向基板83側には配向膜97が配置されている。配向膜93と配向膜97とにはその表面に溝状の凹凸が形成されており、配向膜93と配向膜97との間に充填された液晶85は、配向膜93と配向膜97とに形成されている溝状の凹凸に沿って配列して形成される。
【0131】
TFTアレイ基板82において、液晶85と反対側の面には、防塵ガラス98が、接着剤99を介して配置され、対向基板83において、液晶85と反対側の面には、防塵ガラス100が、接着剤101を介して配置されている。防塵ガラス98,100は、TFTアレイ基板82及び対向基板83に塵及び埃が付着することを防止している。又、防塵ガラス98,100に塵及び埃が付着しても、この塵及び埃と液晶との間の距離が防塵ガラスの厚み分だけ長くなる。外部の配置された投影レンズにより液晶表示装置81の画素94により形成される画像を投影するとき、塵及び埃の像がデフォーカスされ、スクリーン上に大きくぼやけて表示されるので目立たなくすることができる。
【0132】
防塵ガラス98において、TFTアレイ基板82と反対側の面には、光学薄膜98aが形成され、防塵ガラス100において、対向基板83と反対側の面には、光学薄膜100aが形成されている。光学薄膜98a及び光学薄膜100aは可視光を透過し紫外線を遮断する機能を有している。
【0133】
液晶表示装置81を通過する光の光軸上には偏光シートが配置され、この偏光シート及び液晶85の作用により、液晶表示装置81を透過する光透過量が変化するようになっている。
【0134】
(液晶表示装置の製造方法)
次に、上述した液晶表示装置81における基板の分断方法について図11〜図16にて説明する。図11は、液晶表示装置の製造方法のフローチャートであり、図12〜図16は液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
【0135】
図11のフローチャートにおいて、ステップS61は、対向マザー基板の光減衰量測定工程に相当し、対向マザー基板を分断する予定の面において、紫外光を透過するときの減衰後の光量を測定する工程である。次にステップS62に移行する。ステップS62は、TFTアレイマザー基板の光減衰量測定工程に相当し、TFTアレイマザー基板を分断する予定の面において、紫外光を透過するときにおける減衰後の光量を測定する工程である。ステップS61とステップS62とを合わせて、ステップS81の光減衰量測定工程とする。次にステップS63に移行する。ステップS63は、組立工程に相当し、対向マザー基板とTFTアレイマザー基板との間に液晶を挟んで、接着することにより組み立てる工程である。次にステップS64に移行する。
【0136】
ステップS64は対向マザー基板の第1スクライブ工程に相当し、対向マザー基板の一方向にスクライブする工程である。次にステップS65に移行する。ステップS65は対向マザー基板の第2スクライブ工程に相当し、対向マザー基板において、ステップS64でスクライブした方向と直交する方向にスクライブする工程である。次にステップS66に移行する。
【0137】
ステップS66はTFTアレイマザー基板の第1スクライブ工程に相当し、TFTアレイマザー基板の一方向にスクライブする工程である。次にステップS67に移行する。ステップS67はTFTアレイマザー基板の第2スクライブ工程に相当し、TFTアレイマザー基板において、ステップS66でスクライブした方向と直交する方向にスクライブする工程である。ステップS64〜ステップS67とを合わせてステップS82とする。ステップS82は、スクライブ工程に相当する。次にステップS68に移行する。
【0138】
ステップS68はTFTアレイマザー基板の第1分断工程に相当し、TFTアレイマザー基板の一方向を分断する工程である。次にステップS69に移行する。ステップS69はTFTアレイマザー基板の第2分断工程に相当し、TFTアレイマザー基板において、ステップS68で分断した方向と直交する方向を分断する工程である。次にステップS70に移行する。ステップS70は対向マザー基板の第1分断工程に相当し、対向マザー基板の一方向を分断する工程である。次にステップS71に移行する。ステップS71は対向マザー基板の第2分断工程に相当し、対向マザー基板において、ステップS70で分断した方向と直交する方向を分断する工程である。ステップS68〜ステップS71とを合わせてステップS83とする。ステップS83は、分断工程に相当する。以上の工程により、液晶表示装置81が形成される。
【0139】
次に、図12〜図16を用いて、図11に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図12(a)及び図12(b)はステップS61に対応する図である。図12(a)は、液晶表示装置が区画形成された対向マザー基板を示す模式平面図である。図12(b)は、図12(a)のB−B’線に沿った模式断面図である。
【0140】
図12(a)及び図12(b)に示すように、対向マザー基板104は、第1基板としての対向大判基板104aと第2基板としての防塵大判ガラス104bとが接着剤101により接合されている。対向大判基板104aの防塵大判ガラス104bと反対側の面には、対向電極92及び配向膜93等が形成されている。対向マザー基板104の形成方法は公知の方法により製造されており、説明を省略する。
【0141】
図10に示す液晶表示装置81を形成する為に、対向マザー基板104を分断する予定の面をH対向切断面105、V対向切断面106と表記する。H対向切断面105は、一点鎖線で示した対向マザー基板104の切断面であり、図12(a)のX軸方向に延在する切断面である。図12(a)に示した、105a,105b,105c,105d,105eは、それぞれH対向切断面105である。
【0142】
V対向切断面106は、一点鎖線で示した対向マザー基板104の切断面であり、図12(a)のY軸方向に延在する切断面である。図12(a)に示した、106a,106b,106cは、それぞれV対向切断面106である。
【0143】
図12(b)に示す様に、投光装置14から紫外光15を受光装置13に照射する。そして、紫外光15をV対向切断面106に沿って、移動させて、V対向切断面106における光減衰量を測定する。続いて、紫外光15をH対向切断面105に沿って、移動させて、H対向切断面105における光減衰量を測定する。そして、レーザ光7を照射するときの光減衰量を演算して、メモリ28に記憶する。
【0144】
図13(a)及び図13(b)はステップS62に対応する図である。図13(a)は、液晶表示装置が区画形成された対向マザー基板を示す模式図である。図13(b)は、図13(a)のC−C’線に沿った模式断面図である。
【0145】
図13(a)及び図13(b)に示すように、TFTアレイマザー基板107は、第1基板としてのTFTアレイ大判基板107aと第2基板としての防塵大判ガラス107bとが接着剤99により接合されている。TFTアレイ大判基板107aの防塵大判ガラス107bと反対側の面には、画素電極96、配向膜97、データ線駆動回路87、走査線駆動回路89等が形成されている。TFTアレイマザー基板107の形成方法は公知の方法により製造されており、説明を省略する。
【0146】
図10に示す液晶表示装置81を形成する為に、TFTアレイマザー基板107を分断する予定の面をH素子切断面108、V素子切断面109と表記する。
H素子切断面108は、一点鎖線で示したTFTアレイマザー基板107の切断面であり、図13(a)のX軸方向に延在する切断面である。図13(a)に示した、108a,108b,108cは、それぞれH素子切断面108である。
【0147】
V素子切断面109は、一点鎖線で示したTFTアレイマザー基板107の切断面であり、図13(a)のY軸方向に延在する切断面である。図13(a)に示した、109a,109b,109cは、それぞれV素子切断面109である。
【0148】
図13(b)に示す様に、投光装置14から紫外光15を受光装置13に照射する。そして、紫外光15をV素子切断面109に沿って、移動させて、V素子切断面109における光減衰量を測定する。続いて、紫外光15をH素子切断面108に沿って、移動させて、H素子切断面108における光減衰量を測定する。そして、レーザ光7を照射するときの光減衰量を演算して、メモリ28に記憶する。
【0149】
図14(a)及び図14(b)はステップS63に対応する図である。図14(a)は、マザー基板を示す模式平面図であり、図14(b)は、図14(a)のD−D’線に沿った模式断面図である。図14(a)及び図14(b)に示すように、マザー基板110は、TFTアレイマザー基板107と対向マザー基板104との間に液晶85が封入され、シール84により接合されて、形成されている。TFTアレイ大判基板107aには、TFTアレイ基板82が複数配列して形成され、対向大判基板104aには、対向基板83が複数配列して形成されている。TFTアレイ基板82と対向基板83とには、防塵ガラス98と防塵ガラス100とがそれぞれ接合されていることから、TFTアレイ大判基板107aと対向大判基板104aとには、防塵大判ガラス107bと防塵大判ガラス104bとがそれぞれ接合されて、配置されている。
【0150】
TFTアレイマザー基板107と対向マザー基板104とを組み立てるとき、H対向切断面105とH素子切断面108とを対向させると共に、V対向切断面106とV素子切断面109とを対向させて、組み立てを行う。例えば、H対向切断面105aは、H素子切断面108aと対向させて、H対向切断面105cは、H素子切断面108bと対向させて、H対向切断面105eは、H素子切断面108cと対向させて、組み立てる。
【0151】
同様に、例えば、V対向切断面106fは、V素子切断面109aと対向させて、V対向切断面106eは、V素子切断面109bと対向させて、V対向切断面106dは、V素子切断面109cと対向させて、組み立てる。尚、マザー基板110の形成方法は公知の方法により製造されており、説明を省略する。
【0152】
図15(a)〜図15(c)はステップS64に対応する図である。図15(a)に示す様に、マザー基板110をレーザスクライブ装置1のステージ22に配置する。続いて、V対向切断面106のレーザ光7を照射する場所と対向する場所に、集光部8が位置する様に、マザー基板110を移動する。そして、メインコンピュータ26は、メモリ28から光減衰量データ33を入力した後、この光減衰量データ33を用いて、光照射量を演算する。レーザ光源2が、演算した光照射量の照射を可能にする光量のレーザ光7を発光する。そして、集光部8がレーザ光7を集光して照射する。
【0153】
レーザ光7が集光されて照射された集光場所7cには、改質部60が形成され、改質部60の中央には、クラック部61が形成される。本実施形態においては、対向大判基板104a及び防塵大判ガラス104bに石英ガラスを用いていることから、クラック部61には、空洞が形成される。レーザ光7の一部が接着剤101に吸収されて、レーザ光7の光量が減衰しても、光減衰量に対応して、レーザ光7の光量を上げている為、改質部60が確実に形成される。
【0154】
以上の移動と照射とを繰り返して、スクライブを行い、改質部60を配列して1段目の改質部60aを、対向大判基板104aのV対向切断面106に沿って形成する。続いて、1段目と隣接する場所に改質部60を配列して2段目の改質部60bを形成する。3段目以降についても、同様の方法で、改質部60を配列して形成する。その結果、図15(b)に示す様に、対向大判基板104aのV対向切断面106総てに、改質部60が配列して形成され、改質部60の中央にはクラック部61が形成される。この一連の工程は、第1の実施形態に記載の方法を用いて行われる。
【0155】
続いて、対向大判基板104aと防塵大判ガラス104bとの間の接着剤101に対して、V対向切断面106に沿って、レーザ光7を照射することにより、接着剤101を変質させて、分断し易くする。
【0156】
次に、図15(b)に示す様に、防塵大判ガラス104bのV対向切断面106に沿って、マザー基板110の移動とレーザ光7を照射することにより、改質部60を配列して形成する。その結果、図15(c)に示す様に、対向大判基板104a及び防塵大判ガラス104bのV対向切断面106総てに、改質部60が配列して形成され、改質部60の中央にはクラック部61が形成される。
【0157】
ステップS65においては、対向マザー基板104のH対向切断面105に沿ってレーザ光7を照射し、スクライブを行う。続いて、ステップ66において、マザー基板110を反転し、TFTアレイマザー基板107のV素子切断面109に沿ってレーザ光7を照射して、スクライブを行う。続いて、ステップS67において、TFTアレイマザー基板107のH素子切断面108に沿ってレーザ光7を照射し、スクライブを行う。スクライブ方法については、ステップS64と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0158】
図16(a)〜図16(b)はステップS68に対応する図である。図16(a)に示す様に、マザー基板110を弾性材などからなる台111の上に配置する。マザー基板110の防塵大判ガラス107bが台111と接する様に配置し、対向マザー基板104において、H素子切断面108に配列して形成されているクラック部61と対向する場所を、加圧部材112を用いて押圧する。TFTアレイマザー基板107は台111に沈み込み、クラック部61に張力が作用する。TFTアレイマザー基板107は、台111と接する面に近いクラック部61を起点として破断が進行し、分断する。
図16(b)に示す様に、その結果、TFTアレイマザー基板107は、H素子切断面108で分断される。
【0159】
ステップS69においては、TFTアレイマザー基板107のV素子切断面109に沿って形成されているクラック部61を分断する。続いて、ステップS70において、マザー基板110を反転し、対向マザー基板104のH対向切断面105に沿って形成されているクラック部61を分断する。続いて、ステップS71において、対向マザー基板104のV対向切断面106に沿って形成されているクラック部61を分断する。分断方法については、ステップS68と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0160】
以上の工程により、マザー基板110が分割されて、図10(a)に示す液晶表示装置81の形状に形成され、液晶表示装置81が完成する。
【0161】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第1の実施形態における方法を用いて、レーザ光7を照射している。従って、接着剤99,101を通過してレーザ光7を照射してスクライブするときにおいても、品質良く改質部60を形成している為、品質良く対向マザー基板104及びTFTアレイマザー基板107を分断することができる。その結果、品質良く分断された基板を備える液晶表示装置81とすることができる。
【0162】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態においては、ステップS2において、紫外光15を基板9に対して垂直に照射しているが、基板9に対して斜めに紫外光15を照射して良い。このとき、接着剤9cの層を斜めに通過することから、通過する距離が長くなる。従って、光減衰量が大きくなるので、補正を行う演算をすることにより、紫外光15を基板9に対して垂直に照射するときの光減衰量を算出しても良い。このとき、受光装置13及び投光装置14は、傾けても良いことから、受光装置13及び投光装置14の配置を設計し易くすることができる。
【0163】
(変形例2)
前記第1の実施形態においては、基板9に紫外光15を照射して、光減衰量を推定したが、第1基板9aの厚みと、第2基板9bの厚みと、基板9の厚みとを測定することにより、接着剤9cの厚みを算出しても良い。広く活用されている厚み測定装置を利用可能となることから、受光装置13及び投光装置14を配置する必要がなく、製造し易いレーザスクライブ装置1とすることができる。
【0164】
(変形例3)
前記第1の実施形態においては、ステップS3において、光減衰量を演算して、ステップS4にて光減衰量を記憶している。そして、ステップS7において、照射するときに、光減衰量を補正した照射光量を演算して照射している。これに限らず、ステップS3において、光減衰量と、光減衰量を補正した照射光量を演算して、ステップS4にて光照射量を記憶しても良い。ステップS7においては、既に、照射光量が解っていることから、照射光量を演算する時間が短くすることができる。その結果、ステップS7で、照射する加工時間を短縮することができる為、生産性良く加工することができる。
【0165】
(変形例4)
前記第1の実施形態においては、第1切断予定面43に沿って測定して、次にレーザ光7を照射している。そして、第2切断予定面44に沿って測定して、次にレーザ光7を照射している。これに限らず、第1切断予定面43及び第2切断予定面44に沿って測定した後、第1切断予定面43及び第2切断予定面44に沿って、レーザ光7を照射しても良い。レーザ光7の照射をまとめて行うことにより、レーザ光源2の発光を安定化させる暖気運転を1回にすることができる。
【0166】
(変形例5)
前記第1の実施形態において、ステップS7で、図4(b)に示す光減衰量折れ線54を用いて、1次方程式により光減衰量を演算しているが、最小二乗法により2次以上の方程式を求めて、この2次以上の方程式を用いて演算してもよい。測定点間の各場所における光減衰量の推定が、より正確に演算することができる。
【0167】
(変形例6)
ステップS3では、図4(a)に示す様に、光減衰量から接着剤の厚みを推定し、接着剤の厚みからレーザ光7の光減衰量を推定している。これに限らず、紫外光15の光減衰量と、レーザ光7における光減衰量との関係を示す相関表を作成して、その相関表を用いて,算出してもよい。接着剤の厚みを算出する時間がかからないことから、生産性良く光減衰量を算出することができる。
【0168】
(変形例7)
前記第2の実施形態においては、受光装置13及び投光装置14を用いて測定した光減衰量を、総て光減衰量データ33として記憶していたが、集光部8からレーザ光7を照射した後、一部のデータを削除しても良い。図4(b)に示す様に、光減衰量47の分布が推定可能なデータ数を残してあれば良い。データ数を減らすことにより、メモリ28に必要とされる容量を減らすことができる為、省資源な装置とすることができる。
【0169】
(変形例8)
前記第4の実施形態においては、前記第1の実施形態における基板の分断方法を用いて、対向マザー基板104及びTFTアレイマザー基板107を分断しているが、前記第2の実施形態、前記第3の実施形態、及び上記変形例を用いて基板を分断しても良い。
【0170】
(変形例9)
前記第1〜第4の実施形態では、レーザ光源2にYAGレーザを用いたが、フェムト秒レーザを用いても良い。出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、チタンサファイアを固体光源とするレーザ光をフェムト秒のパルス幅で出射するいわゆるフェムト秒レーザを採用しても良い。発光条件及び集光レンズの条件の例としては、パルスレーザ光は、波長分散特性を有しており、中心波長が800nmであり、その半値幅はおよそ20nmである。またパルス幅はおよそ300fs(フェムト秒)、パルス周期は1kHz、出力はおよそ700mWである。集光レンズは、この場合、倍率が100倍、開口数(NA)が0.8、WD(Working Distance)が3mmの対物レンズを採用しても良い。
【0171】
(変形例10)前記第1の実施形態では、メインコンピュータ26は、メモリ28内に動作手順に沿ったプログラムソフト29を記憶し、プログラムソフト29によりレーザレーザスクライブ装置1の制御を行ったが、これに限らず、電気回路にて構成される制御装置にて制御しても良い。周辺機器が手順通りに制御されれば良い。
【0172】
(変形例11)
前記第4の実施形態では、液晶表示装置81に本発明の基板の分断方法を用いたが、液晶表示装置81以外の電気光学装置にも用いることができる。基板を備えた電気光学装置として、例えば、プラズマディスプレイ、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等における基板の分断手段として好適に用いることができる。いずれの場合でも、基板を分断する工程で、品質良く分断される基板を備えた電気光学装置を提供することができる。
【0173】
(変形例12)
前記第1の実施形態では、紫外光15を照射して、光が接着剤9cを通過した減衰後の光量を測定したが、紫外光15以外の波長の光を用いても良い。波長の長いLED(Light Emitting Diode)は、波長の短いLEDに比べて製造し易いことから、製造し易い装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】第1の実施形態に係るスクライブ装置の構成を示す模式概略図。
【図2】基板の分断方法のフローチャート。
【図3】基板の分断方法を説明する図。
【図4】基板の分断方法を説明する図。
【図5】基板の分断方法を説明する図。
【図6】基板の分断方法を説明する図。
【図7】第2の実施形態に係る基板の分断方法のフローチャート。
【図8】基板の分断方法を説明する図。
【図9】第3の実施形態に係るスクライブ装置の構成を示す模式概略図。
【図10】(a)は、第4の実施形態に係る液晶表示装置の模式平面図、(b)は、液晶表示装置の模式断面図。
【図11】液晶表示装置の製造方法のフローチャート。
【図12】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図13】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図14】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図15】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図16】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【符号の説明】
【0175】
2…レーザ光源部としてのレーザ光源、7…レーザ光、9a…第1基板、9b…第2基板、9c…接着剤、15…測定光としての紫外光、39…減衰光量測定部としての光減衰量測定装置、45…測定場所としての測定点、50…光減衰量、60…改質部、81…電気光学装置としての液晶表示装置、104a…第1基板としての対向大判基板、104b,107b…第2基板としての防塵大判ガラス、107a…第1基板としてのTFTアレイ大判基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、第2基板とが接着剤を介して接合されている前記第1基板を分断する基板の分断方法であって、
前記第1基板と、前記第2基板との間に位置する前記接着剤に測定光を照射して、前記測定光が前記接着剤を通過するときに、前記測定光の光量が減衰した後の光量に相当する光減衰量を測定する、光減衰量測定工程と、
前記第2基板側から、前記第1基板にレーザ光を照射して、前記第1基板の内部に改質部を形成する照射工程と、
前記改質部を押圧して前記第1基板を分断する分断工程とを有し、
前記照射工程では、レーザ光が前記接着剤を通過するとき、前記光減衰量の小さい場所に比べて、前記光減衰量の大きい場所において、大きな光量のレーザ光を照射することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板の分断方法であって、
前記光減衰量測定工程は、前記照射工程で照射する前記レーザ光と略同じ波長のレーザ光を前記接着剤に照射して、光減衰量を測定することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項3】
請求項1に記載の基板の分断方法であって、
前記光減衰量測定工程は、前記照射工程で照射する前記レーザ光と異なる波長の測定光を前記接着剤に照射して、前記接着剤による光減衰量を測定する測定光光減衰量測定工程と、
前記接着剤の、前記測定光の波長における光減衰量と、前記照射工程で照射する前記レーザ光の波長における光減衰量との相関データを用いて、前記レーザ光における光減衰量を演算する光減衰量演算工程とを有することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項4】
請求項1に記載の基板の分断方法であって、
前記光減衰量測定工程の後に、前記光減衰量と、前記光減衰量を測定した測定場所とを記憶する記憶工程を有し、
前記照射工程では、前記記憶工程において、記憶した前記測定場所と前記光減衰量とを用いて、照射する場所における前記光減衰量を演算した後、前記光減衰量を用いて、改質部を形成可能となるレーザ光の光量を演算して、照射することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項5】
請求項1に記載の基板の分断方法であって、
前記光減衰量測定工程と前記照射工程とを並行して行うことを特徴とする基板の分断方法。
【請求項6】
第1基板と、第2基板とが接着剤を介して接合されている前記第1基板にレーザ光を照射してスクライブするレーザスクライブ装置であって、
前記第1基板と、前記第2基板との間に位置する前記接着剤に測定光を照射して、前記測定光が前記接着剤を通過するときに、前記測定光の光量が減衰した後の光量に相当する光減衰量を測定する、光減衰量測定部と、
前記第1基板に照射する前記レーザ光の光量を制御する光量制御部とを有し、
前記レーザ光が前記接着剤を通過するとき、前記光減衰量の小さい場所に比べて、前記光減衰量の大きい場所において、大きな光量のレーザ光を照射することを特徴とするレーザスクライブ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のレーザスクライブ装置であって、
前記光減衰量測定部は、前記レーザ光を前記接着剤に照射して、前記光減衰量を測定することを特徴とするレーザスクライブ装置。
【請求項8】
請求項6に記載のレーザスクライブ装置であって、
前記光減衰量測定部は、
前記レーザ光と異なる波長の測定光を前記接着剤に照射して、前記接着剤による光減衰量を測定する測定光光減衰量測定部と、
前記測定光の波長における光減衰量と、前記照射工程で照射する前記レーザ光が、同じ接着剤の厚さを照射するときに減衰する光減衰量との相関データを用いて、前記レーザ光における光減衰量を演算する光減衰量演算部とを有することを特徴とするレーザスクライブ装置。
【請求項9】
第1基板と、第2基板とが接着剤を介して接合されている前記第1基板を有する電気光学装置の製造方法であって、
前記第1基板を分断するとき、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板の分断方法を用いて分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−155269(P2008−155269A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349037(P2006−349037)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】