説明

基板へのチップレットの付着

基板上にチップレット22を設ける方法であって、基板10を設けること、接着剤12の層を基板上に被覆すること、複数の第1のチップレット20を隔てられたチップレット位置22において接着剤層12上に配置することであって、第1のチップレットのうちの1つ又は複数は接着剤層に接着しなく、第1のチップレットが接着チップレット位置においては接着剤層に接着し、非接着チップレット位置24においては接着しないように、第1のチップレットを接着剤層に接着させること、非接着チップレット位置での接着剤層を局所的に処理することであって、非接着位置での接着剤層の状態を第2のチップレットを受けるように整えること、第2のチップレットを状態が整えられた非接着チップレット位置において接着剤層上に配置することであって、第2のチップレットを非接着位置において接着剤層に接着すること、及び接着剤を硬化させることを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
Dustin L. Winters他によって2008年8月14日に出願されて本発明の譲受人に譲渡された「OLED Device With Embedded Chip Driving」と題する米国特許出願第(12/191,478号が参照される。この米国特許出願の開示は本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、チップレットを基板に付着する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フラットパネルディスプレイデバイスは、計算デバイスとともに、ポータブルデバイスにおいて、そしてテレビ等の娯楽デバイス用に広く用いられている。そのようなディスプレイは、通常、基板上に分散して、画像を表示する複数のピクセルを利用する。ディスプレイデバイスは、通常、基板外部の電子回路部を利用するパッシブマトリックス制御又は基板上に直接形成された電子回路部を利用するアクティブマトリックス制御のいずれかを用いて制御される。有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイスは、高性能ディスプレイを作製するために、アクティブマトリックス(AM)駆動回路部とともに製造される。そのようなAM OLEDディスプレイデバイスの一例が、特許文献1に開示されている。アクティブマトリックス回路部は、一般に、基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、別個の回路を利用して、ディスプレイ内の各発光ピクセルを制御することにより達成される。
【0004】
アクティブマトリックスデバイスでは、能動制御素子は、基板上に形成されてフラットパネルディスプレイ基板上に分散される半導体材料の薄膜、例えばアモルファスシリコン又は多結晶シリコンの薄膜を含む。通常、各表示サブピクセルは1つの制御素子によって制御され、各制御素子は少なくとも1つのトランジスタを含む。例えば、簡単なアクティブマトリックス有機発光(OLED)ディスプレイでは、各制御素子は2つのトランジスタ(選択トランジスタ及びパワートランジスタ)と、サブピクセルの輝度を指定する電荷を蓄えるための1つのキャパシタとを含む。各発光素子は通常、独立した制御電極及び共通電極を使用する。発光素子の制御は通常、基板上に金属線として形成されたデータ信号線、選択信号線、電源接続、及びグラウンド接続を通じて提供される。アクティブマトリックス素子は、必ずしもディスプレイに限定されず、基板上に分散させ、空間的に分散した制御を必要とする他の用途で利用することもできる。
【0005】
薄膜トランジスタ(TFT)は、アモルファスシリコン又は多結晶シリコン等の半導体の薄い層(通常、100nm〜400nm)で構成される。しかし、そのような薄膜半導体の性質は、多くの場合、高品質ディスプレイを構築するには十分ではない。例えば、アモルファスシリコンは、その閾値電圧(Vth)及びキャリア移動度が、長い使用期間中にシフトするという点で不安定である。多結晶シリコンは、多くの場合、結晶化プロセスに起因して、基板にわたり閾値電圧(Vth)及びキャリア移動度の大きなばらつき度を有する。OLEDデバイスは電流注入により動作するため、TFTのばらつきは、OLEDピクセルの輝度のばらつきに繋がり、ディスプレイの視覚的品質を低下させる可能性がある。追加のTFT回路部を各ピクセルに追加する等の新規の補償方式が、TFTのばらつきを補償するために提案されているが、そのような補償は、歩留まり、コストに悪影響を及ぼすか、又はOLED発光面積を低減させる可能性がある。さらに、薄膜トランジスタの製造プロセスは、大型フラットパネルテレビ用途に用いられるようなより大きな基板に対して適用されるため、ばらつき及びプロセスコストが増大する。
【0006】
薄膜トランジスタに伴うこれらの問題を回避する一手法は、代わりに、従来のトランジスタを半導体基板内に製造し、次に、これらのトランジスタをディスプレイ基板上に移すことである。Matsumura他による特許文献2では、ピクセル素子を制御するための、ディスプレイ内に固定された半導体集積回路(IC)を用いたディスプレイの組み立て方法が教示されており、IC内に埋め込まれたトランジスタが、従来技術によるディスプレイのTFTにより実行される通常の機能に取って代わる。Matsumuraは、半導体基板を、例えば、研磨により、20マイクロメートル〜100マイクロメートルの間の厚さにまで薄くすべきであると教示している。次に、基板は集積回路を含むより小さな個片にダイス切断され、以下、この個片を「チップレット」と呼ぶ。Matsumuraは、例えば、エッチング、サンドブラスト、レーザービーム機械加工、又はダイス切断により半導体基板を切断する方法を教示している。Matsumuraは、チップレットが、所望のピッチに対応する真空穴を有する真空チャックシステムを用いて選択的にピックアップされるピックアップ方法も教示している。次に、チップレットはディスプレイ基板に移され、厚い熱可塑性樹脂内に埋め込まれる。ピクセル制御デバイス内の配線相互接続並びにバス及び制御電極からピクセル制御デバイスへの接続が示されている。チップレットに対する配線相互接続を首尾良く行うためには、チップレットを高精度かつ高信頼性で配置する必要がある。基板が汚れているか、又は不適切に準備された場合、チップレットを十分に接着又は位置合わせすることができず、したがって、基板の適切な動作が妨げられる。特に、チップレットは、いくつかの位置に存在することができず、又は存在できるが、適切に位置決めされないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,550,066号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0055864号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、欠落した、又は不適切に位置合わせされたチップレットについて基板を補正する製造プロセスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、チップレットを基板上に設ける方法であって、
(a)基板を設けること、
(b)接着剤を層にして前記基板上に被覆すること、
(c)複数の第1のチップレットを、隔てられたチップレット位置において前記接着剤層上に配置することであって、前記第1のチップレットのうちの1つ又は複数は前記接着剤層に接着しなく、第1のチップレットが接着チップレット位置においては前記接着剤層に接着し、非接着チップレット位置においては接着しないように、前記第1のチップレットを前記接着剤層に接着させること、
(d)前記非接着チップレット位置での前記接着剤層を局所的に処理することであって、前記非接着位置での前記接着剤層の状態を第2のチップレットを受けるように整えること、
(d)第2のチップレットを前記状態が整えられた非接着チップレット位置において前記接着剤層上に配置することであって、前記第2のチップレットを前記非接着位置において前記接着剤層に接着すること、及び
(f)前記接着剤を硬化させること
を順に提供することを含む、方法。
【0010】
本発明の利点は、基板上の欠落した、又は位置合わせがずれたチップレットを補正し、それにより、歩留まりを向上させることが可能なことである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図2A】本発明の一実施形態による製造の様々な段階での基板、接着剤層、及びチップレットの平面図である。
【図2B】本発明の一実施形態による製造の様々な段階での基板、接着剤層、及びチップレットの平面図である。
【図2C】本発明の一実施形態による製造の様々な段階での基板、接着剤層、及びチップレットの平面図である。
【図3】本発明の一実施形態による粒子汚染物質を有する基板の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による粒子汚染物質を有する基板及びレーザーアブレーションデバイスの断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による粒子汚染物質を有する基板、マイクロガスジェット、レーザーアブレーションデバイス、及び吸引デバイスの断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による埋め込まれた粒子汚染物質を有する基板及びマイクロディスペンサーの断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による埋め込まれた粒子汚染物質を有する基板及び埋め込まれた粒子上に配置された第2のチップレットの断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による埋め込まれた粒子汚染物質を有する基板、位置合わせがずれた第1のチップレット、並びに埋め込まれた粒子及び第1のチップレット上に配置された第2のチップレットの断面図である。
【図9】本発明の一実施形態による粒子汚染物質を有する基板及びスタンプの断面図である。
【図10A】本発明の一実施形態による粒子汚染物質を有する基板及び接着剤被膜を有するスタンプの断面図である。
【図10B】本発明の一実施形態による非接着位置にある位置合わせがずれたチップレットを有する基板及び接着剤被膜を有するスタンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
層厚の寸法はサブマイクロメートル範囲とすることができるため、図面は必然的に、概略的な性質のものであるが、横方向のデバイス寸法を表す特徴は、10マイクロメートル〜1メートル以上の範囲内とすることができる。したがって、図面は、寸法の正確性よりも見やすさのために縮小拡大されている。
【0013】
本発明は、チップレットを基板上に設ける製造方法に関し、各チップレットは、制御回路部及び接続パッドを有する集積回路を形成する別個の独立した基板を含む。チップレットは、基板上に分散して配置されて、基板上に形成又は配置された素子を局所的に制御する。しかし、チップレットを基板上に配置するプロセスは、失敗する場合がある。この失敗は、基板上でのチップレットの欠落又は位置合わせずれを生じさせる。したがって、本発明によれば、チップレットが基板上の所望の位置に適切に位置決めされるように、基板を補正する方法が提供される。
【0014】
図1を参照すると、本発明の実施形態では、チップレットを基板上に設ける方法は、順に、基板を設けること(ステップ100)、接着剤を層にして基板上に被覆すること(ステップ110)、複数の第1のチップレットを、接着剤層上の隔てられたチップレット位置(複数の場合もあり)に配置すること(ステップ120)であって、第1のチップレット(複数の場合もあり)が接着チップレット位置(複数の場合もあり)においては接着剤層に接着し、非接着チップレット位置(複数の場合もあり)においては接着しないように、第1のチップレットを接着剤層に接着させ、なお、第1のチップレットのうちの1つ又は複数は接着剤層に接着しない、配置すること、非接着チップレット位置(複数の場合もあり)での接着剤層を局所的に処理すること(ステップ140)であって、非接着位置での接着剤層の状態を第2のチップレットを受けるように整える、処理すること、第2のチップレット(複数の場合もあり)を接着剤層上の状態が整えられた非接着チップレット位置(複数の場合もあり)に配置すること(ステップ150)であって、第2のチップレットを非接着位置において接着剤層に接着する、配置すること、及び接着剤を硬化させること(ステップ170)であって、チップレットを基板に固定する、硬化させることを含む。適した接着剤としては、例えば、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、及びRohm andHaasからのIntervia Photodielectric 8023等の市販の材料が挙げられる。接着剤は、後述するように、チップレットを軽く接着又は固定するという性質を有するように選択され、平坦面を形成することもできるし、硬化させることもできるし、硬化させることもできる。
【0015】
本発明によれば、接着されたチップレットとは、適切な位置合わせ及び回転で、適切な接着チップレット位置において接着剤層に接着されたものである。非接着位置とは、チップレットが存在しない位置、又はチップレットが存在するが、不適切に配置、位置合わせ、若しくは回転した位置である。したがって、第1のチップレット(複数の場合もあり)を非接着チップレット位置(複数の場合もあり)に残さないことは、チップレット位置に適切に配置され、位置合わせされ、かつ回転されたチップレットがないことを意味する。
【0016】
非接着チップレット位置(複数の場合もあり)において接着剤層を局所的に処理して、非接着位置(複数の場合もあり)での接着剤の状態を整えることは、非接着位置における接着剤層の部分が、何等かの方法で、例えば、機械的、化学的、若しくは光学的処理により、又は非接着位置(複数の場合もあり)に材料を追加、変更、若しくは除去することにより、変更されることを意味する。局所的な処理は、非接着位置において位置合わせずれしたチップレットが、何等かの方法で、例えば、機械的、化学的、光学的な処理により、又は材料を追加、変更、若しくは除去することにより変更されることも意味する。局所的な処理は、非接着位置内の汚染化学物質又は粒子等の任意の望ましくない材料の除去、埋め込み、破壊、又は他の方法での他の材料に対する性質、位置、若しくは場所の変更も意味する。
【0017】
図2Aを参照して、基板10を示す。基板10は、パターニングされた導体、他の層、又はそれらの上に配置された構成要素を有することができる。図2Bに示されるように、接着剤層12が基板10上に被膜される。接着剤層12は、被膜時には僅かな接着性しか提供しないが、後続する任意の処理ステップ中、例えば、フォトリソグラフィ又はスピンコーティング、カーテンコーティング、蒸着、スパッタリング、若しくはエッチング等の材料被膜ステップ中、硬化した場合、非常に強力な接着性を提供して、チップレットを所定位置にしっかりと接着させるように、硬化可能なものとすることができる。図2Cを参照すると、第1のチップレット20が、例えば、Matsumuraにより記載されるように、真空チャックを用いて位置決めすることにより、隔てられたチップレット位置において、基板10及び接着剤層12上に配置される。接着剤層12は、硬化していない場合であっても、第1のチップレット20を後続する硬化ステップ前に所定位置に接着させるのに十分である。しかし、本発明による方法によれば、第1のチップレット20のうちのいくつかのみが、接着チップレット位置22において接着剤層12に接着する。第1のチップレット20のうちのいくつかは、様々な理由により、非接着位置24において接着剤層12に適切に接着せず、例えば、粒子50等の汚染材料が存在する可能性もあるし、接接着剤被膜操作が均一な被膜を提供しない場合には、接着材料が存在しない可能性もあるし、接着材料が非接着位置において化学物質に露出されていて、その接着品質を失っている可能性もある。簡単にするために、図2Cは粒子50を示すが、本発明は粒子に限定されない。図3を参照すると、側面図において、第1のチップレット20は、基板10上の接着剤層12に接着する。第1のチップレット20Aは、粒子50の存在により、接着剤層12に適切に接着しない。チップレット20Aは、チップレット配置デバイス(図示せず)を用いて除去することもできるし、接着剤層12上で、チップレットを異なる位置又は向きに移動させることもできる。
【0018】
欠落したチップレットは、本発明の様々な実施形態により様々な方法で補正することができる。図4を参照すると、本発明の一実施形態では、アブレーションデバイス60、例えば、レーザーアブレーションデバイスが、非接着チップレット位置24において接着剤層12を露出させ、粒子50を蒸発させる放射線のビーム62を提供する。本明細書において用いられる場合、接着剤層12の露出は、接着剤層12上又は接着剤層12内に存在する場合がある汚染粒子50等の他の材料を露出させることを含む。粒子50は完全に破壊することもできるし、チップレットの接着を妨げない個片に粉々にすることもできる。本発明の一実施形態では、接着剤層12は、例えば、熱又は特定の周波数範囲の放射線、例えば、赤外線により硬化することができる。放射線62は、接着剤を硬化させず、それにより、非接着チップレット位置24における接着剤層12の接着品質を第2のチップレットを受ける状態に維持するように選択することができる。例えば、接着剤は、熱又は赤外線放射及び粒子(複数の場合もあり)50を蒸発させるために利用される紫外線レーザービームにより硬化することができる。
【0019】
図5に示される更なる実施形態では、マイクロガスジェットデバイス40が、粒子(複数の場合もあり)50Aを接着剤層12から吹き飛ばし、粒子(複数の場合もあり)50Bを大気(又は真空)中の浮遊させて、周囲圧力よりも低い圧力を有するマイクロ吸引デバイス42により吸引することができる。本発明の別の実施形態では、アブレーションデバイス60をマイクロガスジェットデバイス40及びマイクロ吸引デバイス42で補って、取り除かれた粒子(複数の場合もあり)50B又は接着剤層12上に残っている粒子(複数の場合もあり)50Cを蒸発させ、蒸気52がマイクロ吸引デバイス42により除去される。代替的に、粒子を取り除き、続けて蒸発させることができる。
【0020】
本発明の代替の実施形態では、インクジェット又はマイクロディスペンサー44は、粒子50の上方の接着剤供給源45から追加の接着剤の液滴15を分注して、粒子50を埋め、取り除き、又は移動させ、接着剤層12上に追加の接着剤の局所的な追加接着剤層14を形成することができる。追加の接着剤の局所的な追加接着剤層14は、非接着チップレット位置24において接着剤層12の表面を平坦化することができる。すべての場合で、追加の接着剤液滴が局所的な追加接着剤層14を形成する必要がある訳ではない。例えば、追加の接着剤の液滴15は、粒子(複数の場合もあり)50を、該粒子が、接着剤の液滴15により形成された局所的な追加接着剤層14の平坦化された表面へのチップレットの接着を妨げない異なる位置に取り除くことができる。本発明の一実施形態では、追加の接着剤の液滴15は、接着剤層12に利用される材料と同じ材料を含む。図7に示されるように、粒子(複数の場合もあり)50が、追加の接着剤の液滴により埋められるか、又は取り除かれると、第2のチップレット20Bを局所的な追加接着剤層14上に位置決めすることができる。
【0021】
図8に示されるように、局所的な追加接着剤層14は、位置合わせがずれたチップレット20Aを埋めるために利用することもできる。本発明によれば、非接着チップレットは、接着することができるが、位置合わせがずれたチップレットとすることができる。したがって、チップレットが非接着チップレット位置24に存在することができ、追加の接着剤の液滴15が、位置合わせがずれたチップレット20Aを埋める局所的な追加接着剤層14を形成することができる。図8に、位置合わせがずれたチップレット20Aが、位置合わせずれを示すために回転されて示される。位置合わせがずれたチップレット20Aが局所的な追加接着剤層14で埋められると、第2のチップレット20Bを局所的な追加接着剤層14上に適切に配置することができる。追加の接着剤は、局所的な追加接着剤層14を効果的に平坦化し、汚染粒子上に層を形成するか、又は接着剤層12での接着材料内のギャップを埋めることができる。
【0022】
図9に示される本発明の更に別の実施形態では、スタンプ30が、非接着チップレット位置24において接着剤層12に押下し、接着した粒子50Aを圧縮して、接着剤層12内に押し込むことができる圧縮粒子50Dにすることができる。次に、非接着チップレット位置24は、第2のチップレット20を受けることができる。図10Aを参照すると、本発明の更なる実施形態では、スタンプ30は、スタンプ接着剤層13を有することができ、スタンプ30が接着剤層12に接触する際、スタンプ接着剤層13に、取り除かれた粒子(複数の場合もあり)50Bを接着させることができる。取り除かれた粒子(複数の場合もあり)は、接着剤層12に利用されるよりも強力な接着剤をスタンプ接着剤層13内に利用することにより、スタンプ30及びスタンプ接着剤層13に優先的に接着することができる。
【0023】
図10Bを参照すると、本発明の更なる実施形態では、位置合わせがずれたチップレットは、スタンプ30を利用して、位置合わせがずれたチップレット20Aを押下し、位置合わせがずれたチップレット20Aをスタンプ30上のスタンプ接着剤層13に接着させ、スタンプ30及び位置合わせがずれたチップレット20Aを一緒に除去することにより、除去することができる。次に、非接着チップレット位置24は第2のチップレット20を受けることができる。図6及び図7に関連して以下に説明されるように、第2のチップレット20を位置決めする前に、追加の接着剤を基板10上に提供することができる。
【0024】
本発明の更なる実施形態によれば、上述した粒子除去方法を組み合わせて用いることができる。特に、汚染粒子を取り除き、アブレーションし、又は吸引した後、追加の接着剤液滴を堆積して、局所的な追加接着剤層14を形成することが有用な場合がある。さらに、接着剤層12が基板10上で均一ではなく、接着材料が特定の非接着チップレット位置24に存在しない場合、追加の接着材料の局所的な追加により、第2のチップレット20を接着させることができる。蒸発、アブレーションされた有機材料を非接着チップレット位置24において接着剤層12上に再び堆積して、接着剤層12を無効にすることも可能である。より強力な接着剤被膜を有するスタンプ30の使用により、接着剤層12を基板10から除去させることが可能である。ここでも、追加の接着材料の局所的な追加により、第2のチップレット20を接着させることができる。
【0025】
したがって、様々な粒子汚染又は接着剤層12内の非均一性による従来技術のチップレット接着問題は、説明される方法のうちの1つ又は複数により解消され、それにより、チップレットを利用する基板の歩留まりを向上させることができる。
【0026】
本発明の方法は、基板上のチップレットの存在、不在、又は位置合わせの検出を目的とした撮像デバイス及び解析ソフトウェアを使用して実施することができる。例えば、デジタルカメラが基板を撮影することができ、基板上のチップレットの存在、不在、又は位置合わせを検出するために利用されるコンピュータベースのソフトウェア画像処理プログラム。そのような解析の結果を用いて、レーザーアブレーションデバイス、マイクロディスペンサー、マイクロガスジェット、吸引デバイス、及びスタンプの動作を機械的に指示することができる。
【0027】
本発明は、ピクセルアレイが上に形成され、ピクセルがチップレット内に設けられた回路により駆動されるディスプレイデバイス、例えば、有機又は無機の発光ダイオードデバイスの構築に利用することができる。
【0028】
本明細書において説明されるようなスタンププロセスは、Matsumaru(上記において参照)に記載されている。
【0029】
上述したように、基板に動作可能なチップレットが完全に実装されると、基板及びチップレットを処理して、基板上に形成されるワイヤをチップレット(複数の場合もあり)に電気的に相互接続することができる。次に、チップレットに応答する有機電界発光構造(例えば、OLED)を基板上に形成することができる。ワイヤは、回路を駆動し、デバイスを動作させるために利用される。
【0030】
本発明の様々な実施形態によれば、チップレットは様々な方法で構築することができ、例えば、チップレットの長い寸法に沿って1行又は2行の接続パッド24を用いて構成することができる。相互接続バスは、様々な材料から形成することができ、デバイス基板上での様々な堆積方法を用いることができる。例えば、相互接続バスは、蒸着又はスパッタリングされる金属、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金とすることができる。代替的には、相互接続バスは、硬化した導電性インク又は金属酸化物から作製することができる。コストに関して有利な1つの実施形態では、相互接続バスは単層内に形成される。
【0031】
本発明は、大きなデバイス基板、例えば、ガラス、プラスチック又はフォイルを利用し、デバイス基板上に複数のチップレットが規則的な配置で配列されるマルチピクセルデバイスの実施形態に特に有用である。各チップレットは、チップレット内の回路部に従って、かつ制御信号に応答して、デバイス基板上に形成された複数のピクセルを制御することができる。個々のピクセルグループ又は複数のピクセルグループをタイル状に配置される要素上に配置することができ、それらの要素を組み立てて、ディスプレイ全体を形成することができる。
【0032】
本発明の実施形態によれば、チップレットは、基板上に分散されたピクセル制御素子を提供する。チップレットは、デバイス基板に比べて相対的に小さな集積回路であり、独立した基板上に形成される、配線、接続パッド、抵抗器若しくはキャパシタ等の受動構成要素、又はトランジスタ若しくはダイオード等の能動構成要素を含む、回路を備える。チップレットはデバイス基板とは別個に製造され、その後、デバイス基板に付着される。チップレットは、半導体デバイスを製造するための既知の工程を用いて、シリコン又はシリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハーを用いて製造されることが好ましい。その後、各チップレットは、デバイス基板に取り付ける前に切り離される。それゆえ、各チップレットの結晶性基部は、デバイス基板とは別の基板と見なすことができ、その上にチップレット回路部が配置される。それゆえ、複数のチップレットは、デバイス基板とは別であり、かつ互いに別々の対応する複数の基板を有する。詳細には、独立した基板は、その上にピクセルが形成される基板とは別であり、独立したチップレット基板の面積は、合わせても、デバイス基板よりも小さい。チップレットは結晶性基板を有し、例えば、薄膜アモルファスシリコンデバイス又は多結晶シリコンデバイスにおいて見られる構成要素よりも、高性能の能動構成要素を提供することができる。チップレットは、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下の厚みを有することができる。これは、チップレット上に接着及び平坦化材料を形成するのを容易にし、その際、それらの材料は従来のスピンコーティング技法を用いて付着されることができる。本発明の一実施形態によれば、結晶性シリコン基板上に形成されるチップレットは、或る形状のアレイに配列され、接着材料又は平坦化材料を用いてデバイス基板に接着される。チップレットの表面上の接続パッドを用いて、各チップレットを、信号配線、電力バス、及びピクセルを駆動するための行電極又は列電極に接続する。チップレットは、少なくとも4つのピクセル5を制御することができる。
【0033】
チップレットは半導体基板内に形成されるので、チップレットの回路部は最新のリソグラフィツールを用いて形成することができる。そのようなツールによれば、0.5ミクロン以下の機構サイズを容易に実現可能である。例えば、最新の半導体製造ラインは、90nm又は45nmの線幅を達成することができ、本発明のチップレットを作製する際に利用することができる。しかしながら、チップレットは、ディスプレイ基板上に組み付けられると、チップレット上に設けられる配線層への電気的接続を作製するための接続パッドも必要とする。接続パッドのサイズは、ディスプレイ基板上で用いられるリソグラフィツールの機構サイズ(例えば、5μm)及びチップレットと配線層との位置合わせ(例えば、±5μm)に基づいて決定しなければならない。それゆえ、接続パッドは、例えば、15μm幅とし、パッド間に5μmの間隔を有することができる。これは、パッドが一般的にチップレットに形成されるトランジスタ回路部よりも著しく大きいことを意味する。
【0034】
それらのパッドは一般に、トランジスタの上方のチップレット上のメタライゼーション層内に形成することができる。低い製造コストを可能にするように、できる限り小さな表面積を有するチップレットを作製することが望ましい。
【0035】
基板(例えば、アモルファスシリコン又は多結晶シリコン)上に直接形成される回路よりも性能が高い回路部を有する独立した基板(例えば、結晶性シリコンを含む)を有するチップレットを利用することによって、より高い性能を有するデバイスが提供される。結晶性シリコンは、より高い性能を有するだけでなく、はるかに小さな能動素子(例えば、トランジスタ)を有するので、回路部のサイズがはるかに縮小される。例えば、Yoon, Lee, Yang,及びJangによる「A novel use of MEMS switches in driving AMOLED」(Digest of Technical Papers of the Society for Information Display, 2008, 3.4, p.13)において記述されているように、微小電気機械(MEMS)構造を用いて、有用なチップレットを形成することもできる。
【0036】
デバイス基板は、ガラス、及び当該技術分野において知られているフォトリソグラフィ技法を用いてパターニングされる平坦化層(例えば、樹脂)上に形成される、蒸着又はスパッタリングされた金属又は合金、例えば、アルミニウム又は銀から作製される配線層を含むことができる。チップレットは、集積回路業界において十分確立された従来の技法を用いて形成することができる。
【0037】
本発明は、或る特定の好ましい実施形態を特に参照しながら詳細に説明されてきたが、本発明の趣旨及び範囲内で変形及び変更を実施できることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0038】
10 基板
12 接着剤層
13 スタンプ接着剤層
14 局所的な追加接着剤層
15 接着剤の液滴
20、20A、20B チップレット
22 接着チップレット位置
24 非接着チップレット位置
30 スタンプ
40 マイクロガスジェットデバイス
42 マイクロ吸引デバイス
44 マイクロディスペンサー
45 供給源
50 粒子
50A 接着した粒子
50B 取り除かれた粒子
50C 蒸発した粒子
50D 圧縮粒子
52 蒸気
60 アブレーションデバイス
62 放射線
100 基板を設けるステップ
110 接着剤を被覆するステップ
120 第1のチップレットを配置ステップ
140 接着剤層を局所的に処理するステップ
150 第2のチップレットを配置し、接着させるステップ
170 接着剤を硬化させる

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップレットを基板上に設ける方法であって、
(a)基板を設けること、
(b)接着剤を層にして前記基板上に被覆すること、
(c)複数の第1のチップレットを、隔てられたチップレット位置において前記接着剤層上に配置することであって、前記第1のチップレットのうちの1つ又は複数は前記接着剤層に接着しなく、第1のチップレットが接着チップレット位置においては前記接着剤層に接着し、非接着チップレット位置においては接着しないように、前記第1のチップレットを前記接着剤層に接着させること、
(d)前記非接着チップレット位置での前記接着剤層を局所的に処理することであって、前記非接着位置での前記接着剤層の状態を第2のチップレットを受けるように整えること、
(d)第2のチップレットを前記状態が整えられた非接着チップレット位置において前記接着剤層上に配置することであって、前記第2のチップレットを前記非接着位置において前記接着剤層に接着すること、及び
(f)前記接着剤を硬化させること
を順に提供することを含む、方法。
【請求項2】
前記被覆するステップ中、粒子が前記非接着チップレット位置において前記接着剤層を汚染する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着剤層を局所的に処理する前記ステップは、レーザービームを用いて、前記非接着チップレット位置において前記接着剤層を露出させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザービームは、前記非接着チップレット位置において前記接着剤層を汚染する粒子を蒸発させる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記局所的に処理するステップは、前記非接着チップレット位置において前記接着剤層上に追加の接着剤を堆積することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記追加の接着剤は、前記非接着チップレット位置において前記接着剤層を汚染する粒子を取り除き、移動させ、又は埋める、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記局所的に処理するステップは、前記追加の接着剤を用いて、前記非接着チップレット位置において前記接着剤層の表面を平坦化することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
インクジェットデバイス又はマイクロ分注デバイスが、前記追加の接着剤の堆積に用いられる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
追加の接着剤を前記非接着チップレット位置において前記接着剤層上に局所的に堆積することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザービーム露出の前又は後、ガスマイクロジェットを用いることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
ガスマイクロジェットを用いることであって、前記非接着チップレット位置から前記粒子を取り除くか、又は除去する、用いることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
ガスマイクロ吸引を用いることであって、前記非接着チップレット位置から前記粒子を取り除くか、又は除去する、用いることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
ガスマイクロジェット又はマイクロ吸引を用いることであって、前記非接着チップレット位置から前記粒子を取り除くか、又は除去する、用いることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
スタンプを前記非接着チップレットエリアに適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
追加の接着剤を前記非接着チップレット位置において前記接着剤層上に局所的に堆積することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記被覆するステップ中、粒子が、前記非接着チップレット位置において前記接着剤層を汚染し、前記スタンプを前記非接着チップレットエリアに適用することは、前記粒子を少なくとも部分的に前記基板上の前記接着剤層内に押し込む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記被覆するステップ中、粒子が、前記非接着チップレット位置において前記接着剤層を汚染し、前記方法は、前記非接着チップレットエリアに適用される前記スタンプ上に、前記粒子が接着するようなスタンプ接着剤層を設けることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
1つ又は複数のチップレットは、前記基板上で位置合わせがずれ、前記方法は、前記位置合わせがずれたチップレットに適用される前記スタンプ上に、前記粒子を接着するスタンプ接着剤層を設けることを更に含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2012−531746(P2012−531746A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517586(P2012−517586)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/038999
【国際公開番号】WO2011/005445
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(510048417)グローバル・オーエルイーディー・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (95)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL OLED TECHNOLOGY LLC.
【住所又は居所原語表記】13873 Park Center Road, Suite 330, Herndon, VA 20171, United States of America
【Fターム(参考)】