説明

基板ホルダー材料の加工方法とその方法で加工された基板ホルダー

【課題】基板ホルダー材料の温度均一性向上のために、基板ホルダー用の基板ホルダー材料の加工方法を提供する。
【解決手段】半導体基板上に種々の半導体材料の層状蒸着を誘導加熱を用いて形成するために、その第1の側上に該半導体基板を載置する基板ホルダーの材料加工方法であって、前記方法は、前記基板ホルダー材料上の少なくとも1つの測定位置における第1の電気抵抗率を求めるステップと、前記第1の電気抵抗率を第2の基準電気抵抗率と比較するステップと、前記比較に対応させて前記基板ホルダー材料を修正するステップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、半導体基板上に種々の半導体材料の層状蒸着を誘導加熱を用いて形成するために、その第1の側上に該半導体基板を載置する基板ホルダーの材料加工方法に関する。
【0002】
また、本発明は、この方法で加工された基板ホルダーにも関する。
【0003】
集積回路や発光ダイオード(LED)などの半導体デバイスの製造のために、基板上への種々の材料の高温での蒸着を目的として、化学蒸着(CVD)およびエピタキシャルプロセスがこれらの半導体デバイス製造プロセスの一部として、長い間使用されてきている。こうした高温で、サセプタなどの基板ホルダーが基板の支持に用いられて、周知のCVDおよびエピタキシャルプロセスによって材料が該基板上に蒸着される。これらのサセプタは、多くはグラファイトである基板ホルダー材料のサセプタンスを利用して誘導加熱されることが多い。
【0004】
これらや他の半導体製造プロセスに用いられるサセプタは、例えば米国特許第3,980,854号や同第4,047,496号などで既知である。
【0005】
サセプタが用いられる半導体製造プロセスとしては、ポリシリコンおよびSiO、Si、SiOなどの誘電体層およびWSi、TiN、TaN、TaOなどの導電層を蒸着する拡散および酸化プロセスやCVDプロセスなどが挙げられる。有機金属化学蒸着法(MOCVD)は、サセプタが用いられる別の半導体製造プロセスである。MOCVD法はとりわけ、熱力学的に準安定性の合金を組み込んだデバイスの製造に好適であるため、例えばLEDや太陽電池などの製造における主要プロセスになってきた。
【0006】
エピタキシャルプロセスと同様にMOCVDでは、基板はウエハーキャリアあるいはサセプタ(基板ホルダーとも呼ぶ)で支持される。これらの支持物は誘導により加熱されることが多い。誘導を用いる場合、グラファイトであることが多いサセプタの基材のサセプタンスは、加熱されたサセプタとの熱的接触およびまたはそれからの輻射による基板の加熱に用いられる。
【0007】
今日用いられている基板ホルダーの多くは、バレル形サセプタとして既知の垂直システムかあるいは水平システムのいずれかで用いられている。いずれの場合も、サセプタは、より小型の多様な基板上に材料を同時に蒸着させるために、多様な基板を支持(あるいは保持)するように構成されている。材料を同時に蒸着させるこのタイプにとって、単一の基材ホルダーのように、高く安定した品質基準を有する半導体デバイスを製造することは困難である。
【0008】
高品質な半導体デバイスの製造プロセス、特にMOCVDおよびエピタキシャルプロセスでは多くの技術的障害がある。品質の主要因は安定したプロセスパラメータにある。公差レベルが小さい高品質な半導体デバイスへの要求の高まり、および製造プロセスでの高歩留まりへの要求の高まりに伴って、より安定したプロセスパラメータが求められている。
【0009】
不安定なプロセスパラメータの主要因は、適切な蒸着に必要な高温下で重要となる温度管理である。反応チャンバ内のすべての所望の場所で、こうした温度を臨界公差内に納めることは難しい。サセプタおよび誘導コイルなどのヒータ構造のために、サセプタの種々の位置によって温度が異なって来ることは知られている。ウエハー温度は、サセプタとの接触領域やそれまでの距離によって影響を受ける。温度が異なることによって、基板毎での蒸着層厚みの相違がもたらされ、あるいはMOCVDの場合には層組成の相違ももたらされ、さらには非均質な個々の基板がもたらされる。こうした厚みの相違の結果、最終製品の品質が低下し、製造歩留まりも低下する。
【0010】
こうした温度差は、サセプタの設計および形状を変えることによってある程度補償される。例えば、多くのサセプタには、基板を配置するための凹部が備わっている。この凹部ではサセプタの厚みが異なっており、このために不要な温度変動が生じる。こうした厚みの相違の結果としての温度差を克服し補償するために、サセプタに刻み目を設けることは、例えばWO第2003 069029号などで知られている。しかしながら、これらの一般的なデザインルールは、特定の誘導リアクタシステムの一定のタイプのサセプタにとってのみユニークである。
【0011】
しかしながら、サセプタ内の温度差は、厚みが異なる結果としてのみ生じるものではない。装填および取り外し中に起こり得る、サセプタおよびまたは基板上の非サセプタンス材料の蒸着による汚染によって厚みの不足が生じ、このために不要な温度差が生じる。さらに、ほとんどはグラファイトであるサセプタの基材の異質性によっても温度差が生じる。
【0012】
これらの温度差の補償のために、サセプタを誘導磁場内で回転させ、これにより該誘導磁場の差を部分的に補償することは一般に知られている。個々のサセプタの基材の異質と厚みの非均一性による温度差は補償されない。また、惑星系円盤(planetenscheibe)と呼ばれることも多い小型の基板ホルダーを用いて、サセプタに対してウエハーを回転させることも一般に知られている。該小型の基板ホルダーは、サセプタの凹部に載置されてサセプタとは別に回転する。ウエハーはこの小型の基板ホルダー上に置かれる。小型の基板ホルダーが別に回転するために、温度差は一層補償される。しかしながら、これらの小さな補償では最適な温度均一性は得られず、従ってウエハーの蒸着材料の非均一な蒸着は依然として存在する。
【0013】
高品質に製造された半導体デバイスへの要求の高まり、および高製造歩留まりへの要求の高まりに伴って、改善された温度管理の必要性が高まっている。
【0014】
本発明の目的は、基板ホルダー材料の温度均一性向上のために、基板ホルダー用の基板ホルダー材料の加工方法を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、温度均一性が向上した基板を提供することである。
【0016】
前述の目的は、基板ホルダー材料上の少なくとも1つの測定位置における第1の電気抵抗率を求めるステップと、前記第1の電気抵抗率を第2の基準電気抵抗率と比較するステップと、前記比較に対応させて前記基板ホルダー材料を適応させるステップと、を備える基板ホルダー材料の加工方法により達成される。
【0017】
本発明の第1の実施形態による方法の利点は、基板ホルダーの温度均一性が向上し、これによって不安定なプロセスパラメータが低減され、個々の基板および基板間でより均一な蒸着層厚みあるいは組成を有する基板が得られることである。電気抵抗率の局部的な差が求められるので、基板ホルダーを局部的に修正あるいは適応させるステップにより、これらの差を低減できる。これによって、基板ホルダーのより均一な電気抵抗率プロファイルが得られ、このために、基板ホルダー材料によるより均一な電流誘導と従って熱とが得られる。高品質で蒸着層厚みが均一な基板がこの方法によって製造できる。
【0018】
従来法では、理論的な知見だけを用いて基板ホルダー材料からの基板ホルダー製造プロセスを適応させている。実際には、該理論的な知見は、製造プロセス中の基板ホルダーの実際のパラメータと適合しないことが多い。バルクの基板ホルダー材料は、一定量の汚染、異質性および非均一性を含む。それらのすべては、基板ホルダー水平面内の位置における温度差に繋がる。該基板ホルダー上で製造、あるいはそれで搬送される基板あるいはウエハーは、非均一な温度プロフィールを被るであろう。本発明の第1の実施形態による方法では、基板ホルダー材料の測定された電気抵抗率を含むパラメータと基準パラメータとの比較に応じて該基板ホルダー材料を適応させるステップによって、水平面内のこうした温度差が最小化される。
【0019】
さらなる実施形態では、前記第1の電気抵抗率は、基板ホルダー材料上の少なくとも2つの測定位置で求めた電気抵抗率値の第1のセットを含み、前記第2の基準電気抵抗率は、前記電気抵抗率値の第1のセットから求められる。前記電気抵抗率値の第1のセットを前記第2の基準電気抵抗率と比較し、この比較に対応させて基板ホルダー材料を適応させる。
【0020】
前記測定するステップおよび適応させるステップは、製造プロセスの異なる段階で実施できる。例えば、基板ホルダー材料がバルク形態で提供される場合、基板ホルダー材料の大きなバルク円筒が提供される場合が多い。前記第1の電気抵抗率あるいは電気抵抗率値の第1のセットは、基板ホルダー材料の該バルクから求められるが、バルクのスライス、あるいは該スライスから製造された個々の基板ホルダーからも求められる。この値またはこれらの値から、基準電気抵抗率が求められる。続いて、この基準電気抵抗率すなわち前記第2電気抵抗率を用いて前記比較ができる。この比較するステップおよび適応させるステップは、同じ段階かあるいは異なる段階のいずれかで、すなわち、バルク、スライスあるいは個々の基板ホルダーで行なえる。
【0021】
例えば、電気抵抗率値のセットは、基板ホルダー材料の1つのスライスから測定できる。次に、基準値が前記抵抗率値のセットから求められる。ある実施形態では、この基準値は、電気抵抗または電気抵抗率の最大値または最小値であり得る。実際の実施形態では、この基準値は、他の値がそれに向けて修正される値、例えば最小値を適応させて該セットの単一の最大値に接近させられる。続いて、求めた電気抵抗率値と基準電気抵抗率との差に対応させて、基板ホルダー材料のこのスライスを適応させる。
【0022】
しかしながら、スライスから製造される単一の基板ホルダーに対して、前記適応させるステップを行うこともできる。別の実施形態では、電気抵抗率値のセットは、基板ホルダー材料のバルクから測定できる。その後、基準電気抵抗率を該測定値セットから求めることができ、該基準値は、同じバルクからあるいは同じバルクのスライスから製造された基板ホルダー材料のスライス上の測定位置で測定された電気抵抗率値との比較に用いることができる。
【0023】
バルク、スライスあるいは基板ホルダー中の材料の汚染、異質性および非均一性は、この方法でマッピングされる。このマッピングから、基準値が求められる。基準値がこうして求められ、前記電気抵抗率の第1のセットの個々の測定値が基準値に近づくようにバルク、スライスあるいは基板ホルダーが適応される。本発明の実際の実施形態では、基板ホルダーバルク、スライスあるいは個々の基板ホルダーは、測定された電気抵抗率が基準電気抵抗率と異なる位置で適応される。このようにして、材料中の汚染、異質性および非均一性による誤差は低減され、より均一な温度プロフィールが達成される。
【0024】
さらなる実施形態では、熱伝導率、ヤング率、曲げ強度、厚み、透磁率、導電率および電気抵抗の群の少なくとも1つを含む基板ホルダー材料の物性を測定することによって、前記第1の電気抵抗率およびまたは第2の電気抵抗率を求める。
【0025】
基板ホルダー材料の電気抵抗率を求める方法はいくつかある。これらの方法は、ある意味では電気抵抗率の間接測定方法である。これらの間接測定方法を、電気抵抗率との間の既知の相関性と共に用いて、基板ホルダー材料の電気抵抗率を求めることができる。しかしながら、間接測定方法の前記群は、単に上記の方法だけに限定されない。基板ホルダー材料の他のいくつかの特性も測定でき、それからも基板ホルダー材料の電気抵抗率を求めるための間接的な情報が提供される。
【0026】
別の実施形態では、基板ホルダー材料が、それから数個の基板ホルダーを製造する基板ホルダー材料のバルクを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0027】
基板ホルダーの製造プロセスの第1ステップは、基板ホルダー材料の、ほとんどの場合円筒形状をした大きなバルクを提供するステップである。このバルクは高純度の基板ホルダー材料を含んでおり、このバルク製造中に、多くはグラファイトである基材の均質性が追求される。しかしながら、このバルクの基板ホルダー材料は、必ずしも望むほど均質であるとは限らない。バルク円筒からの製造プロセスにおける第2ステップでは、一定量のスライスが形成される。その後、基板ホルダー材料のこれらのスライスを使用して単一の基板ホルダーを形成するが、そのような単一の基板ホルダーの仕上げ前に、基板あるいは小型の衛星円盤を載置するための凹部を基板ホルダーに設けるかあるいは基板ホルダー上にコーティング層を塗布するなどの違った仕上げステップが行われることが多い。該製造プロセスは、前記第1ステップと第2ステップの間に行われ、該バルク円筒をまず基板ホルダー材料の数個の小さな円筒に分割する追加のステップによって特徴づけられることもある。その後、これらの小さな円筒を用いて数個のスライスを形成する。
【0028】
該バルク円筒の基板ホルダー材料の測定位置の電気抵抗率を求めることによって、バルク基板ホルダー材料の均一性あるいは非均一性に関する指標が得られる。種々の位置の電気抵抗率を基準電気抵抗率と比較して、局部的な差異が求められる。このバルク円筒の測定から得られる知見は製造プロセスの異なる段階で使用できる。該バルク円筒から形成される基板ホルダー材料のスライスは、例えば、バルク円筒の測定で得られた測定結果に対応させてその材料を修正することにより加工される。該バルク円筒の測定結果によって、例えば、バルク円筒の一定部分あるいは一定深さにおける平均電気抵抗率からの偏差が開示される。その後、これらの偏差に対応させて基板ホルダー材料の各スライスを修正できる。基板ホルダー材料のスライスの修正のために、得られた測定結果を用いる代わりに、最終の基板ホルダーである最終製品を修正することも可能である。
【0029】
さらに別の実施形態では、前記基板ホルダー材料が、それから基板ホルダーを製造するための基板ホルダー材料のスライスを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0030】
本発明の異なる実施形態における求めるステップ、比較するステップおよび適応させるステップは、基板ホルダー材料のスライスにも適用される。基板ホルダーの製造プロセスでは、バルク円筒から形成されるスライスも測定できる。この測定から得られる知見は個々のスライスに限定され、従って個々のスライスには特に適している。その利点は、単一のスライスの測定結果に対応して修正できるためにより効果的であり、基板ホルダーの電気抵抗率の均一性がさらに向上することである。基板ホルダー材料のスライスの測定から得られる測定結果を用いて、そのスライスあるいはそのスライスから形成される最終の基板ホルダーが修正できる。両方の場合とも、測定結果は個々のスライスに特に適している。
【0031】
基板ホルダー材料のスライスの測定、あるいは本発明の前述の実施形態のように、バルク円筒の測定から得られる測定結果を用いる代わりに、数個のスライスが形成できるバルクから形成されたより小型の円筒を測定することもできる。その後、これらの測定結果を用いて、基板ホルダー材料の単一スライスあるいは最終製品である基板ホルダーを適応させられる。より小型の円筒の測定結果は、バルク円筒の測定から得られる結果よりも正確であるが、単一のスライスの測定から得られる結果ほど正確ではない。一方、単一のスライスそれぞれの測定にはより時間がかかる。測定と修正には、最終製品の要求品質レベルと生産にかけられる時間に応じて、製造プロセスにおける適切なステップを選ぶことができる。
【0032】
更に別の実施形態では、基板ホルダー材料が基板ホルダーを備えることを特徴とする方法が提供される。
【0033】
該製造プロセスの終わりでは、基板ホルダーが最終であってこれ以上加工されることはなく、従ってこれらの測定に基づく修正は非常に正確である。温度均一性が非常に高い基板ホルダーがこの加工方法で達成される。
【0034】
別の実施形態では、基板ホルダー材料を適応させるステップは、電気抵抗率の比較に対応して基板ホルダーを機械加工し、少なくとも1つの測定位置近傍の(あるいは基板ホルダーの違った位置における)基板ホルダー材料の厚みを少なくとも部分的に適応させるステップを備えることを特徴とする方法が提供される。この方法は、例えば、前記厚みを局部的に変更するかあるいは基板ホルダー表面に穴、溝、凹部、刻み目などを設けることにより、基板ホルダー材料を部分的に除去することを含む。
【0035】
局部的な電気抵抗率の一つの修正方法では、その局部的な測定位置近傍の基板ホルダー材料の厚みを適応させる。厚みを低減することによってより高い電気抵抗率が得られ、従ってより高い局部的な熱誘導が得られるであろう。厚みの適応は、基板が載置される基板ホルダーの上面あるいは誘導加熱が起こる底面に適用できる。基板ホルダーの両面の厚みを適応させることもできる。
【0036】
別の実施形態では、基板ホルダーを適応させるステップに先立ち、基板ホルダー材料の少なくとも2〜3箇所の測定位置における電気抵抗率の比較に基づく前記基板ホルダー材料の抵抗率プロファイルであって、前記基板ホルダー材料が前記抵抗率プロファイルに対応して修正されることを特徴とする抵抗率プロファイルを生成することを特徴とする方法が提供される。
【0037】
基板ホルダー材料上の種々の測定位置の一連の電気抵抗率によって、抵抗率プロフィールが形成できる。このプロフィールは、例えばグラフ形式、あるいは色差が抵抗率偏差を示す基板ホルダーの2次元表示で示される。これらのプロフィールを用いる利点は、測定結果のグラフ表示によって理解し易くなることである。
【0038】
さらに別の実施形態では、基板ホルダーを適応させるステップに先立ち、基板ホルダー材料上に1つの基準点を定義し、前記少なくとも1つの測定位置を該基準点に対して定義することを特徴とする方法が提供される。
【0039】
修正位置が測定位置に対応しているか否かの判断は、基準点を用いることによって容易になる。その後、測定と修正をこの基準点に対して行える。基準点を用いる別の利点は、正確な位置を求めるだけでなく、測定するステップと修正するステップを別個に行えることである。第1のデバイスを用いて、基準点に対して一定の位置における基板ホルダーの抵抗率を測定する。次に、該基板ホルダーをたとえ違った方向であっても別のデバイスに載置でき、そこで、前記基準点から正しい修正位置が導き出せる。
【0040】
さらなる実施形態では、基板ホルダーを適応させるステップは、電気抵抗率の比較に対応して前記基板ホルダーの多孔率を低減するステップ、特に硬化性樹脂を注入して多孔率を低減するステップを備えることを特徴とする方法が提供される。
【0041】
さらに別の実施形態では、前記求めるステップは、基板ホルダー材料上の複数の測定位置で引き続き測定するステップ、あるいはその複数の測定位置で同時に測定するステップを備えることを特徴とする方法が提供される。
【0042】
さらに別の実施形態では、前記求めるステップにおいて、基板ホルダー材料中に生成した過電流を測定することを特徴とする方法が提供される。さらなる実施形態では、生成した可変周波数過電流も用いられる。
【0043】
さらに別の実施形態では、前記求めるステップ、比較するステップおよび適応させるステップは反復ステップであることを特徴とする方法が提供される。
【0044】
前記求めるステップ、比較するステップおよび適応させるステップは、製造プロセスの異なる段階で行えるばかりでなく、一定の所望の抵抗率均一性に達し、一定の品質レベルが保証されるまで繰り返し行える。これらのステップは、例えば、基板ホルダーの電気抵抗率を測定し、これらの測定結果に基づいて基板ホルダーを適応させることによって繰り返し行える。これらのステップは再帰的に行うこともできるが、これは、例えば、前記測定するステップが、まず基板ホルダー材料のバルク円筒のレベルで、さらに基板ホルダー材料のスライスレベルでのプロセスの間および最終製品のレベルの間などの異なる段階で行えることを意味する。結局、これらの測定するステップおよび適応させるステップのすべてが適用できる。
【0045】
別の実施形態では、加熱されるタイプのエピタキシャル成長リアクタあるいは有機金属気相成長法(MOCVD)用であって、前述のいずれかの実施形態による方法に準拠して加工される基板ホルダーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態によるステップを示す。
【図2】本発明の方法のさらなる実施形態を示す。
【図3】本発明の方法のさらなる実施形態を示す。
【図4】本発明の方法のさらなる実施形態を示す。
【図5】本発明による方法を実施するための基板ホルダーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明の第1の実施形態によるステップを示す。基板ホルダー材料は通常、高純度の形態で提供される。該基板ホルダー材料は要求されているほど均質ではなく、これがとりわけ、該基板ホルダー材料を含む基板ホルダーの温度均一性が最適でない一つ原因になっている。図1に示すステップを行なうことによって、基板ホルダーの温度均一性は、その後の「基板ホルダー材料を提供するステップ」(10)、「基板ホルダー材料の電気抵抗率を測定するステップ」(11)、「基板ホルダー材料の測定された電気抵抗率を基準と比較するステップ」(12)および「前記比較に対応して基板ホルダー材料を修正するステップ」(13)によって実質的に向上し、それによって最終的に「高い温度均一性を有する調整された基板ホルダー」(14)が得られる。
【0048】
測定するステップ11は、例えば渦電流測定によって行われる。渦電流測定では電磁誘導を用い、これによって材料の伝導性における欠陥を検出できる。該渦電流測定で用いられる周波数に応じて、達する深度が異なる。周波数が低いほど、電流は材料のより深くまで誘導される。こうした渦電流測定による電気抵抗率の試験方法は、基板ホルダーが誘導加熱システムで加熱される方法に酷似している。
【0049】
渦電流測定で試験されるのは基板ホルダー材料の電気抵抗率だけではない。とりわけ、基板ホルダー材料表面のクラックや基板ホルダー自体の被覆厚を試験することも可能である。表面の比較的小さな欠陥やクラック、および基板ホルダー基材の非均一性によって起こる温度欠陥も、こうした過電流測定によって検出できる。
【0050】
渦電流測定の他に、他の試験方法を用いて基板ホルダー材料の電気抵抗率が求められる。過電流試験のような非破壊試験方法が好適である。基板ホルダー材料の電気抵抗率を測定するステップ11に、遠隔実地試験または交流実地試験などの試験方法を用いることもできる。
【0051】
電気抵抗率は基板ホルダー材料上の数箇所で測定される。測定場所が多ければ多いほど、電気抵抗率に関してより多くの情報が得られる。該方法の次のステップ12の「測定された電気抵抗を基準と比較するステップ」で、この情報を使用する。このステップ12で、基板ホルダー材料上の少なくとも1つの測定位置の電気抵抗率を基準電気抵抗率と比較する。この基準電気抵抗率は、測定された基板ホルダー材料の電気抵抗率の平均値であっても、あるいは例えば、大量の測定の平均値で求められる工業標準であってもよい。
【0052】
ステップ11で測定された電気抵抗率とステップ12の基準電気抵抗率間の差が求められると、該方法の次のステップ13の「比較に対応して基板ホルダー材料を修正するステップ」で、この差を用いて基板ホルダー材料を修正できる。基板ホルダー材料の電気抵抗率が、仕様、例えば基板ホルダー表面の温度差が2℃となる最大電気抵抗率変化を超える場合には、基板ホルダー材料を修正してこれらの変化を低減できる。基板ホルダー材料のより均一な電気抵抗率が得られ、該基板ホルダーは、該方法の最終ステップ25の「高い温度均一性を有する調整された基板ホルダー」で示されるような高い温度均一性を有するであろう。
【0053】
図2は、該方法の最終ステップ20の「基板ホルダー材料のバルク円筒を提供するステップ」において、殆どの場合円筒形状であり、それから数個の基板ホルダ−の形成に十分な基板ホルダー材料を含む基板ホルダー材料のバルクが提供されることを特徴とする本発明の別の実施形態を開示する。該方法は、円筒形状の基板ホルダー材料バルクに対して行えるばかりでなく、他の形状および形態、例えばバレル形の基板ホルダーにも行える。
【0054】
該方法の第2のステップ21の「バルク円筒の電気抵抗率を測定するステップ」において、該バルク円筒の電気抵抗率を測定する。測定場所が多ければ多いほど、該バルクの温度均一性(温度非均一性)におけるより多くの情報とより正確な偏差とが、該方法の次のステップ22の「バルク円筒の測定された電気抵抗率を基準と比較するステップ」で求められる。多くの場合グラファイトである基材の欠点がこのステップ22で求められる。これらの欠点あるいは欠陥は、バルク材の一定の領域あるいは一定の部分に開示される。欠陥が出現する場所の情報は、ステップ21で使用される測定方法に依存する。例えば、過電流試験を用いる場合は、周波数によって測定深さが決まる。
【0055】
次のステップ23の「バルクから基板ホルダー材料のスライスを形成するステップ」で、該バルク円筒から、基板ホルダー材料のスライスが切断あるいはのこぎりで切り出される。該円筒は通常、それから数個のスライスを形成するに十分な基板ホルダー材料を保持する。ステップ22で開示された欠陥部分は、ステップ24の「比較に対応してスライスを修正するステップ」で修正できる。該プロセスの最終結果は、ステップ25の「高い温度均一性を有する調整された基板ホルダー」である。
【0056】
図3では、前記測定するステップが違ったステージで行われることを特徴とする本発明による方法が開示される。ステップ30の「基板ホルダー材料のバルク円筒を提供するステップ」の後、ステップ31の「バルク円筒から基板ホルダー材料のスライスを形成するステップ」でスライスを形成し、その後、ステップ32の「スライスの電気抵抗率を測定するステップ」で基板ホルダー材料の実際の測定を行う。該測定の結果は、その特定のスライス専用の情報である。もちろん、ステップ31および32は、ステップ30のバルク円筒から数枚のスライスが得られるまで繰り返すことができる。該専用測定結果は、ステップ33の「スライスの測定された電気抵抗率を基準と比較するステップ」で基準電気抵抗率と比較される。差異は、次のステップ34の「比較に対応してスライスを修正するステップ」で補償されて、該方法の最終ステップ35に示す「高い温度均一性を有する調整された基板ホルダー」が得られる。
【0057】
図4は、基板ホルダーを形成後に測定することを特徴とする本発明による方法のステップを示す。測定は、最終製品である基板ホルダーの段階で行なわれる。各基板ホルダーを測定し(44)、測定結果を比較し(45)、修正する(46)ために、本発明による方法の実践はこのように最も正確であり時間もかかる。高い温度均一性を有する調整された基板ホルダーである製品は、該方法のステップ47における最終製品である。
【0058】
図1〜4に示すステップは、繰り返し行なうこともできる。例えば、基板ホルダー材料を修正後、その電気抵抗率を再度測定・比較・修正することによって、基板の一定レベルの均一性が得られ一定の品質レベルが保証されるまで、これらのステップを繰り返すことができる。また、製造プロセスの異なる段階で繰り返しステップを組み合わせることも本発明の一部である。例えば、未加工の基板ホルダーの材料のバルク円筒で一連の測定を行い、この情報を用いて該バルク円筒から形成されるスライスの粗い修正が行える。その後、製造プロセスのさらなるステージでこれらのスライスを再度測定し、該プロセスのさらなるステップで、この専用情報を再度用いて基板ホルダーを微細な調整方法で修正する。このように、本発明のステップは反復ステップである。
【0059】
図5は、本発明による方法に適切な基板ホルダーの例を示す。この基板ホルダーは、例えば、基板ホルダーの外側部分上の51、52、53、54、55、56、57、58、59、60および61の少なくとも11の位置で測定される。該基板ホルダーの裏面側の外側部分79上の同じ位置、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71および72も測定される。該基板ホルダーの表面外側部分および裏面外側部分の11位置での電気抵抗率に関する情報は、該基板ホルダーの表面75および裏面80の内側部分上の11の位置の電気抵抗率に関する情報と組み合わせられる。大量のデータが収集されるこの方法によって、基板ホルダーの電気抵抗率の均一性における欠陥に関する正確な情報が与えられる。また、図5では、測定点を求めるための基準点78も開示されている。
【0060】
本発明による適応させるステップでは、基板ホルダー材料の上面、下面あるいは両面を適応させるいくつかの方法を適用できる。この方法には、例えば、孔、凹部、溝、刻み目およびこれらの組み合わせなどを設けるなどの、既知の機械加工方法や圧延方法が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に種々の半導体材料の層状蒸着を誘導加熱を用いて形成するために、その第1の側上に該半導体基板を載置する基板ホルダーの材料加工方法であって、
前記基板ホルダー材料上の少なくとも1つの測定位置における第1の電気抵抗率を求めるステップと、
前記第1の電気抵抗率を第2の基準電気抵抗率と比較するステップと、
前記比較に対応させて基板ホルダー材料を適応させるステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の電気抵抗率は、前記基板ホルダー材料上の少なくとも2つの測定位置で求めた電気抵抗率値の第1のセットを含み、前記第2の基準電気抵抗率は、前記電気抵抗率値の第1のセットから求められ、前記電気抵抗率値の第1のセットを前記第2の基準電気抵抗率と比較し、この比較に対応させて前記基板ホルダー材料を適応させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記適応された基板ホルダー材料は、基板ホルダー材料のバルク、前記基板ホルダー材料のバルクのスライスおよび基板ホルダーの群の内の1つを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の基準電気抵抗率は、基板ホルダー材料のバルク、前記基板ホルダー材料のバルクのスライスおよび基板ホルダーの群の内の1つを含む基板ホルダー材料から求められることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1の電気抵抗率および前記第2の電気抵抗率の内の少なくとも1つは、熱伝導率、ヤング率、曲げ強度、厚み、透磁率、導電率および電気抵抗の群の少なくとも1つを含む前記基板ホルダー材料の物性を測定することによって求められることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記基板ホルダーを適応させる前記ステップは、電気抵抗率の前記比較に対応して前記基板ホルダーを機械加工し、前記基板ホルダーの厚みを少なくとも部分的に適応させるステップを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記基板ホルダーを適応させる前記ステップに先立ち、前記基板ホルダー材料の少なくとも2〜3箇所の測定位置における電気抵抗率の前記比較に基づく前記基板ホルダー材料の抵抗率プロファイルであって、前記基板ホルダー材料が前記抵抗率プロファイルに対応して修正されることを特徴とする抵抗率プロファイルを生成することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記基板ホルダーを適応させる前記ステップに先立ち、前記基板ホルダー材料上に1つの基準点を定義し、前記少なくとも1つの測定位置を前記基準点に対して定義することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記基板ホルダーを適応させる前記ステップは、電気抵抗率の前記比較に対応して前記基板ホルダーの多孔率を低減するステップを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記基板ホルダーの多孔率を低減するステップは、電気抵抗率の前記比較に対応して硬化性樹脂を注入するステップを備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の電気抵抗率を求めるステップは、前記基板ホルダー材料上の複数の測定位置で引き続きあるいは同時に測定するステップを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第1の電気抵抗率を求める前記ステップにおいて、基板ホルダー材料中に生成した過電流、特に可変周波数を測定することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記過電流は、可変周波数過電流を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記求めるステップ、比較するステップおよび適応させるステップは反復ステップであることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
加熱されるタイプのエピタキシャル成長リアクタあるいは有機金属気相成長法(MOCVD)用の基板ホルダーであって、請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の方法に準拠して加工されることを特徴とする基板ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178557(P2012−178557A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−21578(P2012−21578)
【出願日】平成24年2月3日(2012.2.3)
【出願人】(507354301)ザイカーブ・セラミクス・ビー.ブイ. (3)
【氏名又は名称原語表記】Xycarb Ceramics B.V.
【Fターム(参考)】