説明

基板上にパターンを印刷する方法

【課題】本発明は、感光性要素から作られる凸版印刷組版で、段ボール板紙などの基板上にインクのパターンを印刷する方法を提供する。
【解決手段】この方法は、感光性要素用のその場マスクを形成するステップと、この要素をその場マスクを介して不活性ガスと190,000ppmと100ppmとの間の酸素濃度を有する環境内で化学放射線に露出させるステップと、印刷領域のパターンを有する凸版印刷組版を形成するように、露出された要素を処理するステップとを含む。印刷は、印刷機に凸版印刷組版を固定し、印刷組版の印刷領域にインクを塗布し、かつインクのパターンを基板上に転写するために、この印刷領域からのインクを基板に接触させることによって実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にパターンを印刷する方法に関し、より詳しくは段ボール板紙基板上にインクのパターンを印刷する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷印版が波型カートン箱、段ボール箱、連続巻取り紙、および連続巻取りプラスチックフィルムを含む包装材料の印刷のために広く使用される。フレキソ印刷印版は、インクが隆起した画像表面から運搬され、基板に転写される凸版印刷の一形態である。フレキソ印刷印版は、記載されているもの(例えば、特許文献1および2参照。)などの、光重合可能な組成物から作成することができる。光重合可能な組成物は一般に、エラストマー結合剤、少なくとも1つの単量体および光開始剤を含む。感光性要素は一般に支持部とカバーシートまたは多層カバー要素との間に挿入される光重合可能な組成物の固体層を有する。
【0003】
フレキソ印刷組版は、化学放射線への露出の際に架橋するまたは硬化するそれらの能力によって特徴付けられる。通常、この印刷組版前駆体は、床を形成するように特定の量の化学放射線にその裏側を介して均一に露出され、すなわち裏面閃光され、かつ裏面閃光露出に使用されたものと同じ化学放射線でその前面側を介し画像的に露出される。この画像的露出は、真空下で光重合可能な層に密接に接触して保持される写真陰画(photographic negative)または写真透明陽画(photographic transparency)(例えば、銀塩フィルム)などの画像担持版下またはフォトツール(phototool)、いわゆるアナログワークフローを介することができる。別法として、画像的露出は、光重合可能な層の上に以前に形成された放射不透明領域および透明な領域を有するその場マスク、いわゆるデジタルワークフローを介することができる。前駆体は、光重合可能な層を選択的に硬化させるように、紫外線(UV)放射線などの化学放射線に露出される。化学放射線は透明領域を通り感光性要素に入り、かつ陽画の黒色または不透明の領域またはその場マスクによって光重合可能な層に入るのが阻止される。化学放射線に露出される光重合可能な層の領域は、硬化または固化しかつ架橋する。露出中陽画の不透明な区域またはその場マスクの下にあった光重合可能な層の露出されない領域は、架橋または硬化(すなわち、固化)しない。この硬化していない区域は洗い流し現像中に使用される溶媒に溶解可能であり、かつ/または加熱に際して溶融、軟化、または流れさせることができる。次いでこの印版は、処理ステップに掛けられ、そこで露出されない領域(すなわち、硬化しなかった領域)は、洗い流し溶液または熱で処理することによって取り除かれ、印刷に適した凸版画像が残る。洗い流し溶液で処理される場合は、この印版によって吸収されている可能性のある溶媒を取り除くために、この印版は引き続き乾燥される。この印刷印版は、完全な重合を確実にし、表面の粘着性を取り除くために、UV放射線にさらに露出させることができる。全ての所望の処理ステップの後、次いで印版は形成された凸版画像を基板上に印刷するために印刷機に貼り込まれる。
【0004】
アナログワークフローは、別個の処理機器および化学的現像溶液を必要とする複雑な、コストの高いかつ時間の掛かる工程である、フォトツールの作成を必要とする。その上、このフォトツールは、温度および湿度の変化に起因して寸法がわずかに変化する可能性がある。異なる時間または異なる環境で使用されるとき、同じフォトツールが異なる結果を与える可能性がある。フォトツールは多色画像で印刷されるインクの色に従って各印刷印版用に作り出されるので、フォトツールの寸法不安定性は、印刷中の多色画像の位置ずれに結果としてなる可能性がある。フォトツールの使用は、フォトツールと印版の間に密接な接触が確実に維持されるようにフレキソ印刷組版を製作するとき、特別な注意および取り扱いも必要とする。特に、密接な接触を確実にするための真空を作り出す間、空気の捕捉を最小限にするように特別な材料と一緒にフォトツールと印版の両方を露出装置内に配置するのに注意が必要である。その上、感光性重合体印版とフォトツールの全ての表面が確実に清浄であり、塵および埃がないように注意しなければならない。そのような異物の存在は、フォトツールと印版の間の密接な接触の不足ならびに画像の不自然さを生じさせる。
【0005】
アナログワークフローに対する代替はデジタルワークフローと呼ばれ、それは別個のフォトツールの作成を要さない。デジタルワークフローのその場マスクを形成することができる前駆体として使用するのに適した感光性要素は、記載されている(例えば、特許文献3、4、5、6、7、8、9、5、10および11参照。)この前駆体または前駆体を有する組立品は、赤外線放射線に対し感受性でかつ化学放射線に対し不透明な層を含む。この赤外線感受性層はレーザー放射線で画像的に露出され、それによって赤外線感受性材料は、光重合可能な層に隣接する放射線不透明領域と透き通った領域を有するその場マスクを形成するように、組立品の重ね合わされたフィルムから取り除かれ、またはフィルム上に/フィルムから転写される。この前駆体は、その場マスクを介して大気酸素の存在で(真空は必要とされないため)化学放射線に露出される。さらに、主露出中の大気酸素の存在に部分的に起因して、このフレキソ印刷組版は、(両方のワークフローの同じサイズのマスク開口部に基づいて)アナログワークフローで形成される凸版構造体と異なる凸版構造体を有する。デジタルワークフローは、結果として隆起した表面領域の異なる構造体を有する凸版画像になる。特に、ドットの細かな隆起表面(すなわち、中間調画像の個々の要素)は通常、より小さくなり、丸い頂部と曲がった側壁輪郭を有し、これはしばしばドット先鋭化効果と呼ばれる。アナログワークフローによって生じるドットは通常円錐であり、平らな頂部を有する。デジタルワークフローによって形成される凸版構造体は、白色に薄れていくより細かな印刷されたハイライトドット、印刷可能な色調の増加する範囲、および鋭い線画(linework)などの、プラスの印刷特性に結果としてなる。そのようなものとして、このデジタルワークフローは、その使用の容易さおよび望ましい印刷性能のために、フレキソ印刷組版を製造するための望ましい方法として広い採用を得てきている。
【0006】
フリーラジカル光重合工程での露出中に酸素(O2)が存在することは、反応性単量体分子間で主反応が起きる間に、フリーラジカル分子が酸素と反応する副反応を誘起することになることは、当業者によって知られている。この副反応は、重合または架橋される分子の形成を減速させるので、阻止作用(すなわち、酸素阻止作用)として知られている。多くの以前の開示は、化学放射線への光重合露出が、(デジタルワークフローに対する場合のように)空気中で起きる、(アナログワークフローに対する場合のように)真空下で、または不活性環境内で起きることが望ましいことを認めている。しばしば、窒素が不活性環境に対する適切な不活性ガスとして述べられている。この意味合いは、この窒素環境は、全ての酸素が取り除かれる、あるいは約10ppm未満の酸素範囲までの、実質的により少ない大気酸素を含む環境であることである。10ppm未満の酸素不純物濃度レベルを伴う窒素は、容易に商業的に入手可能である。
【0007】
包装図形印刷用に商業的に重要な基板は、段ボール板紙である。段ボール板紙は、ライナー(liner)と呼ばれる平らな紙または紙のような層に隣接する、通常フルート(flute)と呼ばれるプリーツの付いたまたは多数の溝の付いた板紙の層である、波付きの媒介物を含む。段ボール板紙の典型的な実施形態には、2枚のライナー層の間に挟まれたフルート層が含まれる。段ボール板紙の他の実施形態は、フルートおよびライナーの複数の層を含むことができる。このフルートの中間層は、段ボールに構造的剛性を与える。段ボール板紙は包装として使用され、箱および容器に形成されるので、段ボール板紙の外側表面を形成するライナー層は、包装用の必要な識別情報でしばしば印刷される。この外側ライナー層は、下にあるフルート層の不均一な支持に起因してわずかな窪みをしばしば有する。段ボール基板上に印刷することに伴いしばしば遭遇する問題点は、通常フルーティング(fluting)またはバンディング(banding)と呼ばれ、かつストリッピング(stripping)またはウォッシュボーディング(washboarding)とも呼ばれる場合のある印刷効果が生じることである。フルーティングは後印刷、すなわち段ボール板紙が組み立てられた後に段ボール板紙の外側表面上のライナーを印刷するときに通常起きる。このフルーティング効果は、下にある段ボール板紙のフルーティング構造体に対応する、明るい印刷の区域すなわちより低い(または高くない)濃度の帯と交互する、暗い印刷の区域、すなわちより高い濃度の帯として現れる。このより暗い印刷は、プリーツの付いた中間層構造体の最上部がライナーの印刷表面を支持するところで起きる。このフルーティング効果は、インクの付いた面積が全体面積の一部分を示す色調または色彩値を有する印刷された画像の領域で、ならびにインクの画線比率が全面的またはべたである印刷された画像の領域で明らかになる場合がある。しかしながら、このフルーティング効果は、デジタルワークフローを使用して製造された凸版印刷組版で印刷するとき、より明白になることがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,323,637号明細書
【特許文献2】米国特許第4,427,759号明細書
【特許文献3】米国特許第5,262,275号明細書
【特許文献4】米国特許第5,719,009号明細書
【特許文献5】米国特許第5,607,814号明細書
【特許文献6】米国特許第6,238,837号明細書
【特許文献7】米国特許第6,558,876号明細書
【特許文献8】米国特許第6,929,898号明細書
【特許文献9】米国特許第6,673,509号明細書
【特許文献10】米国特許第6,037,102号明細書
【特許文献11】米国特許第6,284,431号明細書
【特許文献12】米国特許第5,760,880号明細書
【特許文献13】米国特許第5,654,125号明細書
【特許文献14】独国特許出願第3828551号明細書
【特許文献15】米国特許第3,796,602号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2004/0048199号明細書
【特許文献17】特許第53−008655号公告
【特許文献18】米国特許第3,060,023号明細書
【特許文献19】米国特許第3,264,103号明細書
【特許文献20】米国特許第5,015,556号明細書
【特許文献21】米国特許第5,175,072号明細書
【特許文献22】米国特許第5,215,859号明細書
【特許文献23】米国特許第5,276,697号明細書
【特許文献24】米国特許第6,797,454号明細書
【特許文献25】欧州特許出願公開第0017927号明細書
【特許文献26】米国特許第4,806,506号明細書
【特許文献27】米国特許第5,562,039号明細書
【特許文献28】米国特許第5,850,789号明細書
【特許文献29】米国特許第4,872,407号明細書
【特許文献30】EP015471
【特許文献31】米国特許第390633号明細書
【特許文献32】米国特許第4,449,452号明細書
【特許文献33】米国特許第4,177,074号明細書
【特許文献34】米国特許第4,431,723号明細書
【特許文献35】米国特許第4,517,279号明細書
【特許文献36】米国特許第5,679,485号明細書
【特許文献37】米国特許第5,830,621号明細書
【特許文献38】米国特許第5,863,704号明細書
【特許文献39】米国特許第4,323,636号明細書
【特許文献40】米国特許第4,430,417号明細書
【特許文献41】米国特許第4,045,231号明細書
【特許文献42】米国特許第4,956,252号明細書
【特許文献43】米国特許第5,707,773号明細書
【特許文献44】米国特許第2,927,024号明細書
【特許文献45】米国特許第4,753,865号明細書
【特許文献46】米国特許第4,726,877号明細書
【特許文献47】米国特許第4,894,315号明細書
【特許文献48】米国特許第5,301,610号明細書
【特許文献49】米国特許第5,798,019号明細書
【特許文献50】米国特許第4,460,675号明細書
【特許文献51】欧州特許出願公開第0741330号明細書
【特許文献52】米国特許第5,506,086号明細書
【特許文献53】米国特許第5,705,310号明細書
【特許文献54】米国特許第5,766,819号明細書
【特許文献55】米国特許第5,840,463号明細書
【特許文献56】欧州特許出願公開第0891877号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】The Fourth Edition published in 1992, and the Fifth Edition, published in 1999, of Flexography: Principles and Practice, published by the Foundation of Flexographic Technical Association, (Ronkonkoma, New York)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それで、デジタルワークフロー方法の容易さで感光性要素(前駆体)から製造できるが、段ボール上に印刷するとき印刷される画像内のフルーティング濃度変動をなくす、または低減する凸版構造体を有するフレキソ印刷組版のための必要性が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、感光性要素からの凸版印刷組版を設けるステップを含む、段ボール板紙基板上にインクのパターンを印刷する方法を提供する。この感光性要素は、結合剤、エチレン性不飽和化合物および光開始剤を含有する光重合可能な層を備える。この凸版印刷組版は、i)光重合可能な層に隣接してその場マスクを形成するステップと、ii)光重合可能な層をマスクを介して不活性ガスと190,000ppmと100ppmとの間の酸素濃度を有する環境内で化学放射線に露出させるステップと、iii)印刷領域のパターンを有する凸版印刷組版を形成するように、ステップii)からの要素を処理するステップとを含むステップによって作成される。この印刷方法は、印刷シリンダ上にまたはそれに隣接して印刷組版を固定するステップと、印刷組版の印刷領域にインクを塗布するステップと、印刷領域からのインクを基板に接触させ、それによってインクのパターンを基板上に転写するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】隆起表面の面積を求めるための光学装置内の、隆起表面を有する凸版印刷組版の横断面概略図である。
【図1A】光学装置によって撮られた、凸版印刷組版上の隆起表面の画像の概略図である。
【図2】丸くされたドットショルダを伴う隆起表面を有し、かつ段ボール基板に対し圧されている凸版印刷印版の正面図である。
【図2A】図2の丸くされたドットショルダを有する隆起表面のうちの1つの、段ボール基板の支持される部分上へのドット画像の概略図である。
【図2B】図2の丸くされたドットショルダを有する隆起表面のうちの1つの、段ボール基板の支持されていない部分上へのドット画像の概略図である。
【図3】鋭いドットショルダを伴う隆起表面を有し、かつ段ボール基板に対し圧されている凸版印刷印版の正面図である。
【図3A】図3の鋭いドットショルダを有する隆起表面のうちの1つの、段ボール基板の支持される部分上へのドット画像の概略図である。
【図3B】図3の鋭いドットショルダを有する隆起表面のうちの1つの、段ボール基板の支持されていない部分上へのドット画像の概略図である。
【図4A】異なるワークフロー工程によって作成される3つの印刷組版の各々に対し別々にグラフ化された凸版構造体の隆起表面の高さに対する累積合計面積の曲線の概略図の1つであり、アナログワークフローによって作成された印刷組版の隆起表面の高さに対する累積合計面積の曲線を示す図である。
【図4B】異なるワークフロー工程によって作成された3つの印刷組版の各々に対し別々にグラフ化された凸版構造体の隆起表面の高さに対する累積合計面積の曲線の概略図の1つであり、従来のデジタルワークフロー(大気酸素の存在での露出)によって作成される印刷組版の隆起表面の高さに対する累積合計面積の曲線を示す図である。
【図4C】異なるワークフロー工程によって作成された3つの印刷組版の各々に対し別々にグラフ化された凸版構造体の隆起表面の高さに対する累積合計面積の曲線の概略図の1つであり、露出が不活性ガスおよび190,000と100ppm(100万分の1)との間の酸素濃度の環境である、改変されたデジタルワークフローを伴う本発明によって作成された印刷組版の隆起表面の高さに対する累積合計面積の曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明を通じて、同様な参照記号は図面の全ての図内の同様な要素を示す。
【0014】
本発明は、その場マスクを有する感光性要素から作られる凸版印刷組版を使用して、段ボール板紙上にインクのパターンを印刷するための方法である。この感光性要素は、支持部上に結合剤、単量体、および光開始剤を含む光重合可能な組成物の層を有する光重合可能な印刷要素である。この凸版印刷組版は、不活性ガスおよび190,000ppm(100万分の1)と100ppmとの間の酸素濃度を有する環境で感光性要素を化学放射線に画像的に露出することによって形成される印刷領域のパターンを有する。不活性ガスおよび特定の酸素含有量を有する環境で感光性要素を画像的に露出することによって、各々がインクを担持するための頂部表面領域、側壁表面領域、および頂部表面領域と側壁表面領域の間を移行するショルダ表面領域とを伴う複数の隆起表面を有し、かつ頂部表面領域とショルダ表面領域との合計である総計印刷面積を有する印刷組版がもたらされる。ショルダ表面領域が頂部印刷表面領域の半径を約10%以下まで増加させるとき、段ボール板紙上に凸版印刷組版によって印刷される画像のフルーティングまたはバンディング効果が少なくとも最小限になることが驚いたことにかつ予想外に見出された。ショルダ表面領域が頂部印刷表面領域の半径を(155ミクロン直径のドット隆起表面に対して)約10ミクロン以下まで増加させるとき、段ボール板紙上に凸版印刷組版によって印刷される画像のフルーティングまたはバンディング効果が減少することが驚いたことにかつ予想外に見出された。本発明方法によって作成される印刷組版は、ショルダ表面領域が頂部印刷表面領域の半径を約2.5%以下まで増加させ、段ボール板紙上に凸版印刷組版によって印刷される画像のフルーティングまたはバンディング効果を相当に減少させる、隆起する表面の印刷領域を提供することが驚いたことにかつ予想外に見出された。ショルダ表面領域が色調階の中間色調区域内の印刷されるドットに対する総計印刷面積のうちの30%未満を示すとき、段ボール板紙上にこの凸版印刷組版によって印刷される画像のフルーティングまたはバンディング効果が少なくとも最小限になることが見出された。このショルダ表面領域は、デジタル印版を大気酸素より少ないが完全に酸素がない環境より大きな、または完全に不活性ガスから構成される環境より大きな酸素濃度を有する環境内でデジタル印版を製造するとき、驚いたことに達成することができる。本発明は、デジタルワークフローの従来の方法によって作られる、さらにアナログワークフローによって作られる凸版印刷組版より優れた、段ボール板紙上の改善される印刷画像品質に対する能力を有する凸版印刷組版を提供する。本発明は、アナログワークフローに伴うコストおよび製造の不利も避け、かつ完全に不活性な環境を形成する困難性を避けながら、デジタルワークフローの効率を十分に利用する。本発明は、ドット切欠き、すなわち隆起した印刷表面が印刷組版から磨耗または破断して外れる潜在的可能性を減少させることによって長時間印刷連続稼働に対する印刷組版の印刷性能での改善も提供することができる。
【0015】
感光性要素から凸版印刷組版を設ける方法は、光重合可能な層に隣接してその場マスクを形成するステップと、不活性ガスおよび190,000と100ppm(100万分の1)との間の酸素濃度を有する環境内でマスクを介して光重合可能な層を化学放射線に露出させるステップと、印刷領域のパターンを有する凸版印刷組版を形成するように処理するステップとを含む。不活性ガスおよび100ppm未満の酸素濃度を有する環境は実現することができ、かつ印刷組版の印刷表面内に所望の結果をもたらすことができるが、掃気しかつ不活性ガスおよび100ppm未満の酸素濃度を有する環境を作り出すために必要な時間は相当に製造時間を延長させる可能性があるので、商業的に実際的ではない。大気環境は約21%の酸素、約78%の窒素、および約1%の他のガスを含む。ほとんどの環境では、感光性要素を通常取り囲む大気環境は不活性ガスによって掃気または実質的に掃気され、結果として不活性ガスおよび190,000と100ppm(100万分の1)との間の酸素濃度を有する(感光性要素の画像的露出のための)環境になる。感光性要素は、支持部上のまたはそれに隣接する、少なくとも結合剤、エチレン性不飽和化合物、および光開始剤から構成される光重合可能な材料の層を含む。本発明に使用するための感光性要素は限定されないが、ただし感光性要素が光重合可能な層の上にまたはそれに隣接してその場マスクを有することができるという条件を前提とする。その場マスクは、化学放射線に画像的露出するための、感光性要素と一体のまたは実質的に一体の不透明領域と透明領域の画像であり、マスクの感光性要素への接触を確実にするための真空を必要としない。その場マスクは、凸版印刷組版を作るとき、別のフォトツールを発生させかつこのフォトツールの感光性層への接触を確実にするために真空を使用することに伴う欠点を避ける。不活性ガスおよび190,000と100ppm(100万分の1)との間の酸素濃度を有する環境内でのその場マスクを有する感光性要素の露出は、本明細書で「改変されたデジタルワークフロー」と呼ぶことができる。
【0016】
このその場マスク画像は、支持部とは反対側の光重合可能な層の表面上に形成され、または表面の上方に配設される。このマスクは、不透明な領域と透明なまたは「透き通った(clear)」領域とを含む画像である。マスクの不透明な領域は、下の光重合可能な材料が放射線に露出されるのを防止し、したがって暗い領域で覆われた光重合可能な層のそれらの領域は重合しない。マスクの「透き通った」領域は、光重合可能な層を化学放射線に露出させ、重合または架橋させる。感光性要素のこのマスク画像は最終的に、凸版印刷組版用の印刷領域のパターンを作り出す。その場マスクは、感光性要素の化学放射線への画像的露出に先立って行われる、(しばしばデジタル方法またはデジタルワークフローと呼ばれる)レーザー放射線を使用するデジタルダイレクト−ツー−プレート方法、およびインクジェット適用を含む任意の適切な方法によって生み出すことができる。デジタルダイレクト−ツー−プレート画像技術では、レーザー放射線が感光性要素用の画像のその場マスクを形成するために使用される。一般に、その場マスク形成のデジタル方法は、放射線不透明層を支持部とは反対側の感光性要素の表面から選択的に取り除く、あるいは表面上に選択的に転写するかのいずれかのために、レーザー放射線を使用する。ほとんどの実施形態では、感光性要素上のその場マスクの存在は、光重合可能な層のための酸素に対する障壁として作用しない。一実施形態では、この感光性要素は酸素環境に対する障壁層を含まない。
【0017】
一実施形態では、感光性要素は最初に支持部とは反対側の光重合可能な層の表面上にまたは上方に配設される化学放射線不透明層を含み、レーザー放射が、その場マスクを形成するように放射線不透明層を画像的に取り除く、すなわちアブレートするまたは蒸発させる。感光性要素から取り除かれなかった放射線不透明層の部分のみマスクを作り出すために要素上に残ることになる。別の実施形態では、感光性要素は最初に化学放射線不透明層を含まないことになる。放射線不透明層を担持する別の要素が、放射線不透明層が支持部とは反対側の感光性要素の表面に隣接して存在するように、感光性要素と組立品を形成することになる。この組立品は、放射線不透明層を選択的に転写し、または不透明層の接着バランスを選択的に変更し、光重合可能な層上にまたは層の上方に配設されるマスク画像を形成するように、レーザー放射線で画像的に露出される。この実施形態では、放射線不透明層の転写される部分のみが感光性要素上に存在しその場マスクを形成する。別の実施形態では、デジタルマスク形成は、感光性要素上にインクジェットインクの形態の放射線不透明材料を画像的に塗布することによって実施することができる。インクジェットインクの画像的塗布は、光重合可能な層の上に直接的に、または光重合可能な層の上方で感光性要素の別の層上に行うことができる。デジタルマスク形成を行うことができる別の企図される方法は、別のキャリア上に放射線不透明層のマスク画像を作り出すことによる。いくつかの実施形態では、この別のキャリアは、放射線不透明材料を選択的に取り除き画像を形成するためにレーザー放射線に画像的に露出される放射線不透明層を含む。次いでキャリア上のマスク画像は、支持部とは反対側の光重合可能な層の表面に熱および/または圧力を加えることによって転写される。
【0018】
いくつかの実施形態では、マスクを形成するために使用されるレーザー放射線は赤外線レーザー放射線である。この赤外線レーザー露出は、750から20,000nmの範囲で放射する様々な型式の赤外線レーザーを使用して行うことができる。780から2,000nmの範囲で放射するダイオードレーザーおよび1,064nmで放射するNd:YAGレーザーを含む赤外線レーザーが好ましい。感光性要素から化学放射線不透明層を画像的に取り除くための赤外線レーザー露出のための好ましい装置および方法は、開示されている(例えば、特許文献12およびFanらによる特許文献13参照。)。このその場マスク画像は、化学放射線への全体的な露出(および処理)の引き続くステップのために感光性要素上に残る。
【0019】
凸版印刷組版を作成するための方法の次のステップは、その場マスクを介して化学放射線に感光性要素を全体的に露出させること、すなわち、要素の画像的露出である。化学放射線への感光性要素の画像的露出は、不活性ガスおよび190,000と100ppm(100万分の1)との間の酸素濃度の存在を含む環境内で行われる。この不活性ガスは、感光性要素と全く反応速度を示さないまたは低い反応速度しか示さない(すなわち、重合反応に対し不活性な)ガスであり、露出環境内の酸素と置き換えることができる。適切な不活性ガスには、限定ではなく、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、およびそれらの組合せが含まれる。一実施形態では、この不活性ガスは窒素である。不活性ガスおよび190,000と100ppmとの間の酸素濃度の特別な環境内での感光性要素の画像的露出は印刷組版内に、各々がアナログワークフローで作成された印刷組版内に作り出されたインク担持頂部表面領域と構造的に似ているインク担持頂部表面領域を有する、複数の隆起する表面の凸版構造体を形成する。すなわち、本発明の方法によって作成される凸版印刷組版内の隆起する表面の頂部表面領域は、平らまたは実質的に平らであり、要素が大気酸素の存在で露出される従来型のデジタルワークフローについて典型的であるように丸くならない。従来型のデジタルワークフロー方法は、〜78%の窒素、〜21%の酸素、各々<1%のアルゴンおよび二酸化炭素、および微量の他のガスである空気内で感光性要素を化学放射線に画像的に露出させる。一実施形態では、この感光性要素は、画像的に露出される表面に対する環境に対して障壁として作用することができるどのような追加の層も、その場マスクの頂部上に含まない。
【0020】
一実施形態では、この感光性要素は化学放射線に対して透明であり、露出ユニットのベッド上に配置するようになされた筐体またはチャンバ内に配置することができる。筐体のそのような実施形態の1つは、同時出願の米国特許出願番号(整理番号IM−1359)明細書に記載されている。一実施形態では、この筐体は外部環境(室内状態)からシールすることができ、筐体内に不活性ガスを導入するための入り口ポートと当初筐体内に存在する空気を掃気するための出口ポートを含む。筐体内の酸素濃度を測定するためのメーターを出口ポートに配置することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、筐体内の酸素濃度が190,000ppm以下に到達した後、画像的露出が開始され、筐体内の酸素濃度は筐体内への不活性ガスの連続導入によって引き続き減少する。画像的露出は、酸素濃度が190,000ppm(19%)以下のとき開始することができ、酸素濃度が5000ppm以下まで減少するとき継続する。他の実施形態では、画像的露出は酸素濃度が1000ppmのとき開始することができ、酸素濃度が約100ppmに到達するまで継続する。いくつかの実施形態では、露出中の感光性要素に対する環境は、画像的露出の開始時の酸素濃度と画像的露出の終了時の酸素濃度の平均である酸素濃度を有する。他の実施形態では、画像的露出中の感光性要素に対する環境は、総計露出時間の時間のパーセンテージに基づく加重平均酸素濃度である酸素濃度を有する。いくつかの実施形態では、この環境は80,000ppm以下の平均酸素濃度を有する。他の実施形態では、この環境は30,000ppm以下の平均酸素濃度を有する。いくつかの実施形態では、酸素濃度が筐体内で190,000ppm以下に到達した後、筐体内の環境内の酸素濃度は、不活性ガスと所望の濃度の酸素の組合せで継続的に掃気することによって維持または実質的に維持される。
【0022】
本発明の感光性要素は、マスクを介し適切な源からの化学放射線に露出される。化学放射線露出時間は、放射線の強度およびスペクトルエネルギー分布、感光性要素からのその距離、所望の画像解像度、および光重合可能な組成物の性質および量に応じて、数秒から数分まで変更することができる。露出温度は、周囲温度またはそれより若干高い、すなわち約20℃から約35℃であることが好ましい。露出は、露出領域を下に支持部まで、または裏面露出された層すなわち床まで架橋させるのに十分な持続時間のものである。画像的露出時間は通常、裏面閃光露出時間よりずっと永く、数分から数十分の範囲である。
【0023】
化学放射線源は、紫外線と可視光線波長区域を包含する。具体的な化学放射線源の適切性は、開始剤とフレキソ印刷印版を作成するのに使用される少なくとも1つの単量体の感光性によって規定される。最も一般的なフレキソ印刷印版の好ましい感光性は、より良好な室内灯安定性を与えるので、スペクトルのUVまたは深UV領域にある。適切な可視およびUV源の例には、炭素アーク、水銀灯アーク、コンテンツ蛍光灯(content fluorescent lamp)、エレクトロンフラッシュユニット(electron flash unit)、電子ビームユニット、レーザー、および写真用フラッドランプが含まれる。工業用標準放射線源の例には、Sylvania 350 Blacklight蛍光灯(FR48T12/350 VL/VHO/180,115W)、およびPhilips UV−A「TL」シリーズ低圧水銀蛍光灯が含まれる。いくつかの実施形態では、水銀灯アークまたは太陽灯を使用できる。他の実施形態では、高紫外線コンテンツ蛍光ランプ(high−ultraviolet content fluorescent lamp)を感光性要素から約2.54から約25.4cm(約1から10インチ)の距離のところで使用することができる。これらの放射線源は一般に、310〜400nmの間の長波長のUV放射線を放射する。
【0024】
いくつかの実施形態では、凸版印刷組版を作る方法は、裏面露出または裏面閃光ステップを含む。これは支持部を介する化学放射線へのブランケット露出(blanket exposure)である。これは光重合可能な層の支持部側に重合した材料の層、または床を作り出し、かつ光重合可能な層を敏感にするために使用される。この床は、光重合可能な層と支持部の間の改善される接着を与え、ハイライトドット解像度を助け、かつ印版凸版の深さも確立する。この裏面閃光露出は、他の画像化ステップの前に、ステップ後にあるいはステップ中に行うことができる。全体的な(画像的な)化学放射線露出ステップに対して上記で論じた従来型の放射線源のうちのどれも、裏面閃光露出ステップに使用することができる。露出時間は一般に、数秒から数分までの範囲である。いくつかの実施形態では、床は感光性要素が製造されるとき感光性要素内に含めることができ、それで別個の裏面閃光露出は必要でない場合がある。
【0025】
マスクを介したUV放射線への全体的な露出に引き続き、この感光性印刷要素は光重合可能な層内の非重合領域を取り除き、それによって凸版画像を形成するように処理される。この処理ステップは少なくとも、化学放射線に露出されなかった領域内の光重合可能な層、すなわち光重合可能な層の露出されなかった領域または硬化しなかった領域を取り除く。エラストマーキャッピング層(elastmeric capping layer)を除き、通常光重合可能な層上に存在する可能性のある追加の層は、光重合可能な層の重合した領域から取り除かれるまたは実質的に取り除かれる。その場マスクを有する感光性要素のいくつかの実施形態では、この処理ステップは、(化学放射線に露出されている)マスク画像および下にある光重合可能な層の露出されない領域も取り除く。
【0026】
感光性要素の処理には、(1)光重合可能な層が非重合領域を洗い流すために適切な現像溶液と接触している「ウエット」現像、および/または(2)感光性要素が、光重合可能な層の非重合領域を溶融または軟化または流れさせ、次いで取り除かれる現像温度まで加熱される「ドライ」現像が含まれる。ドライ現像は、熱現像とも呼ぶことができる。ウエットおよびドライ処理の組合せを凸版を形成するために使用できることも企図している。
【0027】
ウエット現像は室温で行うことができるが、通常約26.7から37.8℃(80から100°F)で行われる。現像液は有機溶媒、水性または半水性溶液、および水であることができる。現像液の選択は、主として取り除かれる予定の光重合可能な材料の化学的性質に依存することになる。適切な有機溶媒現像液には、芳香族または脂肪族炭化水素と脂肪族または芳香族ハロ炭化水素溶媒、またはそのような溶媒の適切なアルコールとの混合物が含まれる。他の有機溶媒現像液は開示されている(例えば、公開された特許文献14参照。)。適切な半水性現像液も通常、水および水混和性有機溶媒およびアルカリ性材料を含有する。適切な水性現像液は通常、水およびアルカリ性材料を含有する。他の適切な水性現像液の組合せは、記載されている(例えば、特許文献15参照。)。
【0028】
現像時間は、光重合可能な材料の厚さおよび種類、使用される溶媒、および機器およびその動作温度に基づいて変化させることができるが、約2から約25分の範囲内であることが好ましい。現像液は、浸漬、スプレーおよびブラシまたはローラ塗布を含む、任意の便利な様式で適用することができる。ブラッシング補助は要素の非重合部分を取り除くために使用することができる。洗い流しは、印版の硬化していない部分を取り除き、露出された画像および床を構成する凸版を残すように、現像液および機械的ブラッシング作用を使用する自動処理ユニット内で行うことができる。
【0029】
溶液内での現像による処理に続いて、この凸版印刷印版は一般に吸い取りまたはふき取り乾燥され、次いで強制空気または赤外線炉内でより完全に乾燥される。乾燥時間および温度は、機器設計、空気の流れ、印版材料に基づいて変化する場合があるが、通常この印版は60℃で60から120分間乾燥される。高温は、支持部が収縮しこれが位置合わせ問題を引き起こす可能性があるので推奨されない。
【0030】
要素を熱的に処理することは、少なくとも1つの光重合可能な層(および追加の層/複数の層)を有する感光性要素を、光重合可能な層の硬化していない部分を液化させる、すなわち軟化または溶融または流れさせ、硬化していない部分を取り除くのに十分な温度まで加熱することを含む。感光性組成物の層は、熱現像に際して部分的に液化することができる。すなわち、熱現像中硬化していない組成物は、適度な処理または現像温度で軟化または溶融しなければならない。この感光性要素が1つまたは複数の追加の層を光重合可能な層の上に含む場合は、(必須ではないが)この1つまたは複数の追加の層も光重合可能な層に対する許容可能な現像温度の範囲内で除去可能であることが望ましい。光重合可能な層の重合した領域(硬化した領域)は、非重合領域(硬化していない領域)より高い溶融温度を有し、したがって熱現像温度で溶融、軟化または流れない。この硬化していない部分は、記載されているような(例えば、特許文献16参照。)圧力下の空気または液体流、記載されているような(例えば、特許文献17参照。)真空、および記載されているような(例えば、特許文献18、19、20、21、22、23および24参照。)吸収材料と接触させることを含む任意の手段によって組成物層の硬化した部分から取り除くことができる。硬化しなかった部分を取り除くための好ましい方法は、要素の最外表面を、溶融した部分を吸収または逃がすまたは吸い取るための現像媒体などの吸収剤表面に接触させることによる。
【0031】
用語「溶融」は、吸収材料によって吸収され得るように軟化しかつ粘度を減少させる高められた温度に曝される組成物層の放射されない(硬化していない)部分の挙動を表現するために使用される。しかしながらこの明細書を通じて、用語「溶融する(melting)」、「軟化する(softening)」、および「液化する(liquefying)」は、組成物が固体状態と液体状態の間に鋭い遷移温度を有する場合があるかないかに関わらず、組成物層の加熱された放射されない部分の挙動を表現するのに使用される場合がある。広い温度範囲を本発明のための組成物層を「溶融」させるために用いることができる。吸収は、この工程の成功した動作中、より低い温度でより遅くかつより高い温度でより早い可能性がある。
【0032】
感光性要素を加熱し、要素の最外表面を現像媒体と接触させる熱処理ステップは、同時に、あるいは光重合可能な層の硬化していない部分が現像媒体と接触するとき依然として軟らかい、または溶融状態にあるという条件で順々に、行うことができる。この少なくとも1つの光重合可能な層(および追加の層/複数の層)は、硬化していない部分の溶融を生じさせるのに十分であるが層の硬化した部分の変形を生じさせるほど高くない温度まで、伝導、対流、輻射、または他の加熱方法によって加熱される。光重合可能な層の上方に配設されるこの1つまたは複数の追加の層は、軟化しまたは溶融しまたは流れ、同様に現像媒体によって吸収することができる。感光性要素は、光重合可能な層の硬化していない部分の溶融または流れを生じさせるために、約40℃を超える、好ましくは約40℃から約230℃(104〜446°F)までの表面温度まで加熱される。硬化していない区域内で溶融している光重合可能な層との現像媒体の多かれ少なかれ密接な接触を維持することによって、硬化していない感光性材料の光重合可能な層から現像媒体への移転が起きる。依然として加熱された状態にある間に凸版構造体をあらわにするように、この現像媒体は支持層と接触する硬化した光重合可能な層から分離される。光重合可能な層を加熱するステップと溶融した(部分の)層を現像媒体と接触させるステップのサイクルは、硬化していない材料を適切に取り除き満足な凸版深さを作り出すために必要なだけ多くの回数繰り返すことができる。しかしながら、適切なシステム性能のためにサイクルのこの数は最小限にすることが好ましく、通常光重合可能な要素は5から15サイクル熱的に処理される。現像媒体の(硬化していない部分に溶融物が存在する間の)光重合可能な層に対する密接な接触は、この層と現像媒体を一緒に圧すことによって維持することができる。
【0033】
感光性要素を熱的に現像するために適した装置は、開示されている(例えば、Petersonらによる特許文献23およびJohnsonらによる特許文献24参照。)。感光性要素は熱処理が行われるように、ドラムまたは平らな表面上に置くことができる。
【0034】
全ての実施形態での感光性要素は、プレートの形態である。しかしながら、当業者は開示される装置の各々を円筒またはスリーブの形態の感光性要素の貼り込みを可能にするように改変できることを理解すべきである。
【0035】
現像媒体は、放射線硬化可能な組成物の放射されないまたは硬化していない部分の溶融または軟化または液化温度を超える溶融温度を有し、かつ同じ動作温度で良好な引き裂き抵抗を有するように選択される。選択された材料は、加熱中感光性要素を処理するのに必要な温度に耐える。この現像媒体は、本明細書で現像材料、吸収材料、吸収巻取紙、および巻取紙とも呼ばれる場合がある。この現像媒体は、それらの含まれる容積の多かれ少なかれ相当な部分を空洞容積として含む、不織材料、用紙、繊維織り材料、開放気孔発泡材料、多孔質材料から選択される。この現像媒体は、巻取紙またはシートの形態であることができる。この現像媒体は、現像媒体の1平方センチメートル当たり吸収することができるエラストマー組成物のミリグラムによって測定されるような、溶融エラストマー組成物に対する高い吸収性も保有すべきである。いくつかの実施形態では、この現像媒体はナイロンの不織巻取紙またはポリエステルの不織巻取紙である。
【0036】
この感光性要素が凸版を形成するために硬化していない部分を十分に取り除くための1つまたは複数の処理ステップを行うことができることも企図している。感光性要素は、凸版を形成するために、任意の順番でウエット現像およびドライ現像の両方を行うことができる。追加の層が洗い流し溶液によって、かつ/または加熱によって取り除き可能でない場合は、光重合可能な層の上方に配設される1つまたは複数のそのような追加の層を取り除くために予備現像処理ステップが必要な場合がある。
【0037】
この処理ステップの後、感光性要素は、光重合工程が完了し、かつそのように形成されたフレキソ印刷印版が印刷および貯蔵中に安定して残ることになることを確実にするために均一に後露出することができる。この後露出ステップは、画像的主露出と同じ放射源を用いることができる。さらに、フレキソ印刷印版の表面が依然として粘着性である場合、脱粘着性処理を適用することができる。「仕上げ(finishing)」とも呼ばれるそのような方法は、当技術分野で良く知られている。例えば粘着性は、臭素または塩素溶液によるフレキソ印刷印版の処理によってなくすことができる。脱粘着性は、300nmより長くない波長を有するUV放射線源に露出することによって達成されるのが好ましい。このいわゆる「光仕上げ(light−finishing)」は、開示されている(例えば、特許文献25および26参照。)。様々な仕上げ方法を組み合わせることもできる。通常、後露出および仕上げ露出が、両方の放射線源を有する露出装置を使用して同時に感光性要素に対し行われる。
【0038】
凸版印刷組版は、床からの複数の隆起表面を含む凸版構造体を提供し、この隆起表面の各々はインク担持頂部表面領域を有する。不活性ガスと190,000ppmと100ppmとの間の酸素濃度を有する環境内で改変されたデジタルワークフローで製造される凸版印刷組版は、段ボール板紙などの基板上に印刷するために使用されるとき、フルーティング効果を最小限にする形状を隆起表面に与える。この隆起表面の形状は、インク担持頂部表面領域、側壁表面領域および頂部表面領域と側壁表面領域の間の移行部であるショルダ表面領域とによって決まる。各隆起表面に対して、インクを転写するために基板と接触できる総計印刷面積は、頂部表面領域とショルダ表面領域の合計であり、かつ基板と凸版印刷組版の間の圧力に関連する。
【0039】
(画像のディスプレー解像度に基づく)総計ピクセル面積の約30%のドット面積を有する隆起表面に対する本発明では、この隆起表面の形状は、圧力下でショルダ表面領域によって基板に転写されるインクが総計印刷面積の30%以下であるようなものである。フルーティング効果は、総計印刷面積に対するショルダ面積の寄与が減少するとき減少する。いくつかの実施形態では、ショルダ表面領域によって基板に転写されるインクは、総計印刷面積の25%以下である。他の実施形態では、ショルダ表面領域によって基板に転写されるインクは、総計印刷面積の20%以下である。いくつかの実施形態では、ショルダ表面領域によって基板に転写されるインクは、総計印刷面積の15%以下である。いくつかの実施形態では、ショルダ表面領域によって基板に転写されるインクは、総計印刷面積の10%以下である。いくつかの実施形態では、ショルダ表面領域によって基板に転写されるインクは、総計印刷面積の5%以下である。
【0040】
この隆起表面の形状はアナログワークフローで作られる凸版印刷組版内の隆起表面の形状、すなわち、ショルダを介して側壁表面領域に鋭く移行する比較的平らなインク担持頂部表面領域と有する全体的に円錐である形状にいくらか似ているが、本発明の凸版印刷組版によるショルダ表面積による総計印刷面積に対する寄与は、印刷される画像内で観察されるフルーティングの減少レベルに対して相当に異なることができる。
【0041】
顕微鏡または光学装置などの一般的な画像化技術が、観察されるドット面積を求めるために使用される。適切な光学装置の一例は、Beta Industries(Carlstadt,NJ)からのBetaflex フレキソ分析器ユニットであり、それは凸版印刷組版の隆起構造体を、ドット面積、走査線数、およびドット品質などの凸版特性の測定および分析用の画像として捕える。図1に示すように、前述の光学装置を用いるとき、隆起表面15の凸版構造体12を有する印版10が印版の底部側18からの光源22で照らされ、光は印版10を通過して顕微鏡対物レンズまたは光学装置検出器24に到達する。通常ドット構造体と呼ばれる隆起表面15は、平らな部分15a、ショルダ部分15b、および側壁部分15cを含む。隆起表面15の幾何学的形状に起因して、光はベクトルAで示すように隆起表面の平らな部分15aを通過し、検出器24によって集められる。ベクトルBで示すように、凸版構造体12の隆起表面15のショルダ部分15bおよび側壁部分15cを打つ光は、対物レンズまたは検出器24から離れて屈折される。結果として、隆起表面15の観察されるまたは測定されるドットサイズは、ドット構造体の平らな部分15aに関連する。他の光学装置は、逆の様式で照らしかつ検出することができる、すなわち印版の頂部側から照らし、印版の反対側で伝達された光を検出するが、測定されるドットサイズは依然としてドット構造体の平らな部分である。図1Aは、観察されるドット領域15fを示す、光学装置によって撮られた隆起表面15の平らな部分15aの画像を示す。これらの種類の光学測定は凸版印刷表面の平らな部分15aを求めるのに正確ではあるが、それらは隆起表面のショルダ部分15bを正確に捕えない。
【0042】
段ボール基板の印刷では、隆起表面15の印刷表面はドットの平らな部分15aのみならずドットショルダ15bの少なくとも一部分も含む。したがって、有効なドット領域は、観察されるドット領域のみならず印刷中に基板と接触しそうなドットショルダのいくらかの部分も含む。平らな部分15aから側壁部分15cまでの移行部であるドットショルダ15bの形状は、基板と接触しそうな部分に影響する。
【0043】
印版の等しいデュロメーター硬度、押印圧力、および基板の追従を仮定すると、丸くされたショルダ、すなわち、頂部印刷表面から側壁までの漸進的な移行部を伴う隆起表面を有する凸版印刷組版を使用する段ボール基板上への印刷の、非常に鋭いショルダ、すなわち頂部印刷表面から側壁までの急速な移行部を伴う隆起表面を有する凸版印刷組版に対する比較は、印刷組版に加えられる圧力が増加するときの印刷表面の増加を考えることによって求めることができる。
【0044】
図2は、丸くされたドットショルダ15bを伴う隆起表面15を有し、かつ2枚のライナー層32、33の間にフルート層31を有する段ボール基板30に対し圧されている凸版印刷印版10を示す。位置Xで、フルート層31は頂部ライナー層32に接触し、この頂部ライナー層32に追加の支持を与える。このフルート層31の支持は、印刷構造体に追加の圧力を加え、より多くのドットショルダ領域にもインクを転写させ、段付き基板上にドット表面15aの平らな部分より広い面積のインクの付いた区域を作り出すようにさせる。図2Aは、平らな部分15aおよび丸くされたショルダ部分15bが位置Xのところで段ボール基板30上にインク付き部分35aおよび35bを転写した、隆起表面15のインクの付けられた画像35を示す。観察されるインク画像35は、15bの結果として得られたドットサイズを示す。頂部ライナー層32がフルート層31によって支持されない位置Yのところでは、より少ない圧力が印刷構造体に加えられ、波型基板30上のインクの付いた区域35aは印刷表面の平らな部分15aにより直接的に対応する。図2Bは、平らな部分15aが位置Yのところで段ボール基板(支持されない区域)上にインク部分35aを転写した、隆起部分15のインクの付いた画像35を示す。段ボール上への印刷のこの場合、フルート層によって支持される区域と支持されない区域に関連するかなりの濃度差を観察しかつ測定することができ、結果として一般にフルーティングとして呼ばれる印刷の不自然さになる。
【0045】
図3は、鋭いドットショルダ15bを伴う隆起表面15を有し、2枚のライナー層32、33の間にフルート層31を有する段ボール基板30上に押し付けられた凸版印刷印版10を示す。フルート層31が頂部ライナー層32に追加の支持を与える位置Xで、追加の圧力が印刷構造体に加えられる。ドットショルダ15bはやはりインクを転写するが、このショルダはずっとより小さく、インクの付いた区域35はそれに対応してより小さい。波型基板上のインクの付いた画像35は、ドット表面15aの平らな部分よりわずかに大きいだけである。図3Aは、平らな部分15aおよび鋭いショルダ部分15bが位置Xのところで段ボール基板30上にインク部分35aおよび35bを転写した、隆起表面15のインクの付けられた画像35を示す。頂部ライナー32がフルート層31によって支持されない位置Yのところでは、より少ない圧力が加えられ、波型基板30上のインクの付いた区域35は印刷表面の平らな部分15aにより直接的に対応する。図3Bは、平らな部分15aがインク部分35aを位置Yのところで段ボール基板(支持されない区域)上に転写した、隆起部分15のインクの付いた画像35を示す。波型基板の支持される区域と支持されない区域の間の(隆起部分15によって作り出された)濃度差はかなりより小さくなるので、フルーティング印刷不自然さは最小限になり、あるいはいくつかの場合なくなる。
【0046】
一般に、フルーティング印刷不自然さは、インクの付いた面積がべた印刷面積に対し総計面積のうちのわずかである、1%ドットからの全印刷色調階範囲にわたって多かれ少なかれ段ボール板紙基板上で観察することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、この色調階の印刷された中間色調区域、すなわち約30から約70%までの印刷ドット面積が、最も効果的にフルーティングを示す傾向にある。他の実施形態では、印刷された四分の一色調区域、すなわち約10から約30%までの印刷されたドット面積が効果的にフルーティングを示す場合がある。そのような印刷された中間色調および四分の一色調区域を示す色調階パーセンテージは、当業者によって一般に受け入れられる範囲であるが、確立したまたは拘束力のある標準とは見なされないことを理解されたい。
【0047】
光重合(すなわち、限定された酸素濃度内での画像的露出)および引き続く処理ステップ中に形成される印刷印版の隆起表面の形状は、印刷印版を製造するのに使用される方法に基づいて異なることが示されてきた。特に、本発明の方法によって製造される隆起表面の形状は、伝統的なアナログ方法および伝統的なデジタル方法によって製造される隆起表面の形状と異なる。印刷工程中に基板と接触することになる印刷表面の(総計面積のパーセントとして表示される)面積を具体的に定量化する、印刷印版の隆起表面の形状を評価する方法が確立されてきた。
【0048】
上記で説明した観察されるドット面積を求めるために使用される一般的な画像化技術が凸版構造体の有効な印刷ドット面積を説明するのに十分でない場合は、より正確な方法が、段ボール上に印刷するための適切なドット構造体を決定するために使用される。この方法は、観察されるドット領域(平らな部分)のみならずドットショルダ区域およびいくらかの範囲までドット側壁区域も捕えるべきである。隆起表面15の形状を評価するためのこの方法は、材料の代表的なサンプルの所与の表面領域を横切る十分な解像度での表面外形の測定値を与えることになる表面プロフィリメトリ(profilimetry)、光学的干渉分光法 (interferometry)、3次元光学顕微鏡または任意のそのような方法を含む多数の方法のうちの任意の1つによって印刷印版表面を測定することを含む。特に、この測定方法は、問題の区域内の全てのXおよびY位置に対しZ軸データ(高さ)を生じさせるべきである。この情報は、印版の最上の区域から床区域までの、隆起部分などの印刷印版表面の面積の累積的合計を生じさせるために使用できる。
【0049】
図4A、4B、および4Cは、異なるワークフロー方法によって作成された3つの印刷組版の各々に対する凸版構造体の隆起表面の高さ(Z軸位置)に対するパーセント面積の累積合計の別々の曲線を示す。図4Aの曲線は、アナログワークフロー方法(真空下でフォトツールを介した画像的露出)によって作成された印版内に作り出された隆起部分の累積合計の図である。図4Bの曲線は、デジタルワークフロー方法(大気酸素の存在内でその場マスクを介した画像的露出)によって作成された印版内に作り出された隆起部分の累積合計の図である。図4Cの曲線は、不活性ガスと190,000ppmから100ppmの間の酸素との雰囲気内でその場マスクを介した画像的露出の本発明のワークフロー方法によって作成された印版内に作り出された隆起部分の累積合計の図である。図4A、4B、および4Cに示す曲線は、印刷要素構造体を説明するために使用でき、すなわち、隆起部分、具体的には印刷表面の平らな部分は面積が急速に増大する曲線の区域によって規定され、印刷要素の側壁部分は累積面積の増大がより急速でなくなる曲線の直線部分によって規定される。これらの2つの区域の間の移行区域は、印刷要素のショルダを規定する。規定される最終の区域は、隆起表面構造体が本体印版材料に取り付けられる、床と呼ばれる非印刷領域である。図4Aの曲線および図4Cの曲線は似ているが、図4Aの曲線は、印刷要素構造体(隆起部分)の平らな部分から側壁部分までのよりゆっくりした移行を特徴とする。図4Bの曲線は、印刷表面の平らな部分と側壁部分の間に移行部の延びた区域を伴う極めて異なった印刷要素構造体(隆起部分)を示す。
【0050】
この解析は、印刷工程中にアニロックスローラまたは基板と接触する印刷要素の表面領域上に押印圧力が有することになる衝撃を評価するために使用できる。この表面領域は、デュロメーター硬度、印版貼り込み材料、アニロックス特性および他の印刷条件などの物理的印版特性を含む多数の変数によって影響されることになる。これらの要因が最小限にされまたはなくされるとき、隆起表面の本発明の3次元解析は、有効な印刷表面領域上の押印圧力の衝撃を評価するための方法を与える。最小の押印圧力では、隆起ドット表面の平らな部分のほんの頂部しか基板に接触しない。圧力が増加するとき、隆起ドット表面の平らな部分が基板と接触し、過大な押印圧力では、ショルダ部分のいくらかまたは全てを含む、平らな部分より、隆起ドット表面の広い表面領域が基板と接触する。過大な押印では、ショルダ、ドット側壁、および極端な場合には隆起ドット表面の間の全区域を含むドットの頂部印刷表面以外の区域が基板と接触することができる。ほとんどの実施形態では、基板上の印刷される画像を横断する最適な均一べた印刷を達成するように隆起ドット表面の平らな部分のみが基板と接触する、当業界でキス押印としばしば呼ばれる最小押印圧力よりわずかに上で印刷するのが望ましい。そのようなものとして、押印圧力の同一の変化に対して、印刷工程中に接触することになる累積表面積は、曲線Aによって特徴付けられる材料に対するより曲線Bによって特徴付けられる材料に対して相当により大きくなる。同様に、押印圧力の同じ同一の変化の、印刷工程中に接触することになる累積表面積は、曲線Cによって特徴付けられる材料に対して最小になる。
【0051】
凸版構造体の隆起部分の各々に対する重要な要素はパーセント面積の累積合計の曲線によって説明できるので、隆起表面および結果として得られる印刷面積は他の記述子によって求めることができる。(1次導関数が最大に達する、または2次導関数がゼロを横切る)最大傾斜の点は、最上部の印刷表面が規定される点を示す。(2次導関数がゼロに接近する〜この解析に対して、それは、1次導関数最大に続いて2次導関数がゼロの0.0005以内になる点として規定された)曲線の平らな線部分は、側壁部分に移行するドット構造体のショルダの端部を示す。この2次導関数は、圧力下での有効なドット面積を代表する。
【0052】
ショルダ面積を顕微鏡によって測定されるときのドット直径のパーセンテージとして表現するのではなく、ショルダ面積をドット頂部表面積からのドットの半径(または直径)の増加として表現することも可能である。隆起ドット表面の頂部表面積または直径は、上記で説明した光学顕微鏡による測定から求めることができる。上記で説明したような表面プロフィリメトリ、光学干渉分光法、または3次元光学顕微鏡で測定されるような、隆起ドット表面の圧力下での有効な印刷面積(ドット面積)は、ディスプレー解像度から求められる総計ピクセル面積に基づいて、ショルダ部分を含むドット直径に換算することができる。基板に接触する際、隆起ドット表面の半径が隆起ドット表面の平らな部分の半径の約10%以下に増加するまたは増大する圧力(例えば、キス押印圧力)の下にあるとき、所与のドットサイズに対して印刷組版が(段ボール板紙上の)許容可能な印刷性能を有することになることが見出されてきた。いくつかの実施形態では、本発明によって作成される印刷組版は、基板に接触する際隆起ドット表面の半径が隆起ドット表面の平らな部分の半径の約5%以下に増加するまたは増大する圧力(例えば、キス押印圧力)の下にあるとき、所与のドットサイズに対して(段ボール板紙上の)許容可能な印刷性能を有することになる。他の実施形態では、本発明によって作成される印刷組版は、基板に接触する際隆起ドット表面の半径が隆起ドット表面の平らな部分の半径の約2%以下に増加するまたは増大する圧力(例えば、キス押印圧力)の下にあるとき、所与のドットサイズに対して(段ボール板紙上の)許容可能な印刷性能を有することになる。いくつかの他の実施形態では、本発明によって作成される印刷組版は、基板に接触する際隆起ドット表面の半径が隆起ドット表面の平らな部分の半径の約1%以下に増加するまたは増大する圧力(例えば、キス押印圧力)の下にあるとき、所与のドットサイズに対して(段ボール板紙上の)許容可能な印刷性能を有することになる。
【0053】
直径約155ミクロンの隆起ドット表面に対して、隆起ドット表面の半径が圧力下で(印刷中のショルダ部分の影響に起因して)約10ミクロン未満しか増加または増大しなかったとき、印刷組版が許容可能な印刷性能、すなわち許容可能な程度のフルーティングを段ボール板紙上に有すると判定されてきた。いくつかの実施形態では、(約155ミクロン直径の)隆起ドット表面の半径が圧力下で(印刷中のショルダ部分の影響に起因して)約8ミクロン未満しか増加または増大しなかったとき、この印刷組版は低いレベルのフルーティングで段ボール板紙上に画像を印刷した。いくつかの実施形態では、(約155ミクロン直径の)隆起ドット表面の半径が圧力下で(印刷中のショルダ部分の影響に起因して)約5ミクロン未満しか増加または増大しなかったとき、この印刷組版は非常に低い程度のまたは全くないフルーティングで段ボール板紙上に画像を印刷した。いくつかの実施形態では、(約155ミクロン直径の)隆起ドット表面の半径が圧力下で(印刷中のショルダ部分の影響に起因して)約2ミクロン未満しか増加または増大しなかったとき、この印刷組版は非常に低い程度のまたは全くないフルーティングで段ボール板紙上に画像を印刷した。
【0054】
印刷方法
印刷機に凸版印刷組版を貼り込み、印刷組版の印刷領域(すなわち、凸版表面の隆起部分)にインクを付け、かつインクのパターンを基板上に転写するためにインクの付いた印刷領域を基板に接触させるステップは限定されず、フレキソ印刷の当業者に知られているような、貼り込みし、インクを付け、かつ印刷するために接触させるための様々な従来型の、あるいは非従来型の実施を包含する。フレキソ印刷の多くの態様の知識分野を示す適切な資料がある(例えば、非特許文献1参照。)。特に、貼り込みおよび校正、印刷機、インク、フレキソ印刷印版、および基板に関する章は、本発明に最も適用可能である。
【0055】
凸版印刷組版の印刷機内の印刷シリンダまたは他の支持部への貼り込みは、任意の様式で行うことができる。いくつかの実施形態では、この印刷組版は、通常両面接着テープである接着剤で、印刷シリンダまたは他のプレス支持部へ直接貼り込むことができる。他の実施形態では、この印刷組版は、両面接着テープでキャリアシート上に貼り込むことができる。印刷シリンダ内のスロットと対合し、それによって印刷組版を有するキャリアを印刷シリンダに固定する貼り付けバーが、キャリアシートの前縁に取り付けられている。他の実施形態では、この印刷組版は、両面接着テープでスリーブ支持部上に貼り込むことができる。次いでこのスリーブ支持部は、ほとんどの実施形態ではこの支持部がシリンダ上を摺動でき、かつ空気が取り除かれた後締まり嵌めを有するように、空気で支持部を十分に拡張することによって印刷シリンダ上に貼り込まれる。1つまたは複数の凸版印刷組版を印刷シリンダまたはキャリアに貼り込むことができる。いくつかの実施形態では、凸版組版は前駆体感光性要素と同じ寸法である。他の実施形態では、この凸版印刷組版は、時にはスラグ(slug)と呼ばれる前駆体感光性要素のセグメントである。さらに他の実施形態では、この凸版印刷組版は、キャリアまたはスリーブなどの中間物上に貼り込まれたいくつかのセグメントまたはスラグの複合体である。凸版印刷組版を印刷シリンダ上に貼り込むための1つの方法は、記載されている(例えば、Foxらによる特許文献27参照。)。
【0056】
基板上に印刷される画像が位置合わせされるように、印刷シリンダ上にまたは中間物上に貼り込むとき凸版印刷組版または複数の組版の正確な位置決めを確実にすることが望ましい。凸版印刷組版は、印刷が印刷シリンダの軸に対して平行になる、すなわち、斜めにならないようにシリンダ上に位置決めすべきである。多色印刷では、印刷される各色用の凸版印刷組版は、異なる色の印刷される画像が互いに位置合わせされるように位置調整すべきである。位置合わせ誤差は、重ね合わされた色、色のない空間、色移動、および/またはぼかされた画像細部を生じさせる。凸版印刷組版の貼り込み、ならびに色位置合わせおよび校正は、この目的のために設計された市販の貼り込み校正機を使用して印刷機から離れて実施することができる。通常光学的なまたはビデオ貼り込みシステムを使用するこれらの機械は、全てのフレキソ印刷作業で品質および経済性の両方の維持に不可欠な手順である色位置合わせを達成するように、印刷組版を印刷シリンダ上に貼り込むのを可能にする。
【0057】
印刷組版、特に平面の印刷組版(印版)を印刷シリンダ上に位置合わせする手段の一実施形態が開示されている(例えば、Rudolfらによる特許文献28参照。)。同様に、印刷印版貼り込み装置は、Microflex(デンマーク)、Bieffebi S.p.A.(イタリア)、J.M.Heaford Ltd.(英国)、AV Flexologic b.v.(オランダ)、およびE.L.Harley,Inc.(米国)を含む様々な製造者から市販されている。当業者は、Rudolfらによって開示された貼り込み装置、および他のそのような市販の貼り込み校正装置を円筒形状の印刷組版の貼り込みを可能にするように改変することができることを理解されたい。印刷組版の位置合わせのための手段の代替実施形態には、限定ではなく、例えば開示されているような(例えば、Bankeによる特許文献29参照。)光学的スポッティング(spotting)装置;開示されているような(例えば、特許文献30、31、32参照。)反射貼り込み装置が含まれる。
【0058】
印刷組版の印刷領域へのインクの塗布は、限定されない。凸版印刷用のほとんどの従来型の実施形態は、凸版印刷組版の印刷領域上にインクを計量供給するためにアニロックスロールを使用する。アニロックスロールは、出しローラから印刷組版の凸版表面に制御されたインクの膜を計量供給するために使用される計量供給ロールである。アニロックスロールは、金属、金属被覆、またはセラミック被覆ロールであることができる。アニロックスロールは、ロールの面に機械的にまたはレーザーで彫られ、ある容量のインクを印刷組版に運搬する非常に多数のセルを含む。
【0059】
本発明に使用されるインクは限定されず、水ベースインクおよび溶媒ベースインクなどの液体インク、染料ベースインク、顔料ベースインク、ペーストインキ等を含むことができる。このインクは通常、少なくとも着色剤およびビヒクル、および適切な印刷および乾燥用に粘度を調整するための溶媒を含む。
【0060】
凸版印刷組版の印刷領域から基板へのインクの接触によって、インクのパターンが基板上に転写される。転写は印刷と呼ぶこともできる。凸版印刷組版の印刷領域は、凸版構造体の隆起表面から構成される。一実施形態では、インクは、インクの特定量を印刷組版に計量供給する画定された容量の孔を収容する、一般にアニロックスローラと呼ばれる計量供給ローラを介して凸版印刷組版に塗布される。次いでこの印刷組版は、基板と接触して置かれ、インクのいくらかの部分を印刷組版から基板に転写する。印刷領域上にあるインクを基板に接触させることによって、凸版印刷組版が基板から分離されるとき、基板上にインクのパターンが形成されるようにインクが転写される。一般に、基板に転写されるインクの量は、印刷組版上のインクの量、凸版印刷組版と基板の間の圧力ならびに凸版印刷組版の画像パターン、およびパターンの凸版構造体の関数である。任意選択で、接触および基板へのインクの完全な転写を確実にするために圧力を凸版印刷組版に加えることができる。印刷では、印刷領域を基板に接触させるために適した圧力は、特定の印刷機に適用可能な押印設定と通常呼ばれる。押印設定は、最小限のまたは「キス」押印設定を含むことができ、印刷組版と基板の間により高い圧力を加える押印設定は、印刷組版および基板のうちの1つまたは両方が互いに向かって移動する追加の距離の観点から通常定義される。ほとんどの実施形態では、最小限の押印は、印刷される基板の幅を横断する均一な100%べたインク画線比率を与える押印設定のものである。しかしながら、商業的な印刷作業は通常、最小限の押印設定で印刷しない。
【0061】
パターンを転写するためにインクを基板に接触させることは、任意の様式で行うことができる。インクを接触させることは、凸版印刷組版を基板に対して移動させることによって、または基板を凸版印刷組版に対して移動させることによって、または基板および凸版印刷組版の両方を移動させ接触させることによることができる。一実施形態では、機能性材料は手動で転写される。本発明の方法は室温で、すなわち17から30℃(63から86°F)の温度で通常起きるが、そのように限定されない。
【0062】
基板は均一に支持されない印刷可能な表面を有する、すなわち、印刷可能表面は、印刷される画像領域の下(印刷可能表面の反対側)で支持される部分および実質的に支持されない部分に起因して不均一である。一実施形態では、基板は段ボール板紙である。段ボール板紙は、段ボールとも呼ぶことができる。段ボール板紙は、ライナーと呼ばれる平らな紙または紙のような層に隣接する、通常フルートと呼ばれるプリーツの付いたまたは多数溝付きの板紙の層である波付きの媒介物を含む。段ボール板紙の典型的な実施形態は、2枚のライナー層の間に挟まれたフルート層を含む。段ボール板紙の他の実施形態は、フルートおよびライナーの複数の層を含むことができる。このフルート中間層は、段ボールに構造的な剛性を与える。段ボール板紙は包装として使用され、箱および容器に形成されるので、段ボール板紙の外側表面を形成するライナー層は、包装用の必要な図形要素で頻繁に印刷される。この外側ライナー層は、下にあるフルート層の不均一な支持に起因してしばしばわずかな窪みを有する。
【0063】
感光性要素
フレキソ印刷組版を作成するために使用される感光性要素は、光重合可能な組成物の少なくとも1つの層を含む。用語「感光性」は、この少なくとも1つの感光性層が化学放射線に応答して反応または複数の反応、特に光化学的反応を開始することができる任意のシステムを包含する。いくつかの実施形態では、この感光性要素は光重合可能な層用の支持部を含む。いくつかの実施形態では、この光重合可能な層は、結合剤、少なくとも1つの単量体、および光開始剤を含むエラストマー層である。いくつかの実施形態では、この感光性要素は、支持部と反対側の、光重合可能な層に隣接する化学放射線不透明材料の層を含む。他の実施形態では、この感光性要素は光重合可能な層に隣接する、その場マスクとして使用するのに適した化学放射線不透明材料の画像を含む。
【0064】
別段の指示がない限り、用語「感光性要素」は、化学放射線への露出および印刷に適した表面を形成するための処理を受けることができる印刷前駆体を包含する。別段の指示がない限り、「感光性要素」および「印刷組版」は、平らなシート、プレート、縫い目のない連続組版、円筒状組版、プレートオンスリーブ(plate−on−sleeve)、およびプレートオンキャリア(plate−on−carrier)を含む、ただし限定ではない、印刷に適したようになるまたは印刷に適した任意の形態の要素または構造体を含む。感光性要素から結果として得られる印刷組版がフレキソ印刷および活版印刷などの凸版印刷のための最終使用印刷用途を有することは企図している。凸版印刷は、印刷組版が印刷組版の画像領域が隆起し非画像領域が凹んでいる画像領域から印刷する印刷の一方法である。
【0065】
この感光性要素は光重合可能な組成物の少なくとも1つの層を含む。本明細書で使用されるとき、用語「光重合可能な」は、光重合可能な、光架橋可能な、または両方であるシステムを包含することを意図する。光重合可能な層は、結合剤、少なくとも1つの単量体、および光開始剤を含む組成物から形成される固体エラストマー層である。光開始剤は、化学放射線に対する感受性を有する。本明細書を通じて、化学光線は紫外線放射線および/または可視光線を含むことになる。光重合可能な組成物の固体層は、フレキソ印刷に適した凸版を形成するように、1つまたは複数の溶液および/または熱で処理される。本明細書で使用されるとき、用語「固体」は、画定された体積と形状を有し、その体積または形状を変更させる傾向にある力に抵抗する層の物理的状態を呼ぶ。光重合可能な組成物の層は、約5℃と約30℃の間の温度である室温で固体である。光重合可能な組成物の固体層は、重合(光硬化)または非重合、またはその両方を行うことができる。
【0066】
結合剤は限定されず、単一の重合体または重合体の混合物であることができる。いくつかの実施形態では、この結合剤はエラストマー結合剤である。他の実施形態では、この結合剤は化学放射線への露出に際してエラストマーになる。結合剤は、ポリイソプレン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ブタジエン/アクリロニトリル、およびジエン/スチレン熱可塑性−エラストマーブロック共重合体を含む、共役ジオレフィン炭化水素の天然または合成重合体を含む。いくつかの実施形態では、この結合剤は、A−B−A型のブロック共重合体のエラストマーブロック共重合体であり、ここでAは非エラストマーブロックを示し、Bはエラストマーブロックを示す。非エラストマーブロックAは、例えばポリスチレンなどのビニル重合体であることができる。エラストマーブロックBの例にはポリブタジエンおよびポリイソプレンが含まれる。いくつかの実施形態では、エラストマー結合剤は、ポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロック共重合体およびポリ(スチレン/ブタジエン/スチレン)ブロック共重合体を含む。A−B−A型のブロック共重合体のエラストマーに対する非エラストマーの比率は、10:90から35:65の範囲にあることができる。この結合剤は溶解性であり、膨張可能であり、または水性の、半水性の、水の、または有機溶媒洗い流し溶液に分散可能であることができる。水性の、または半水性の現像液内の処理によって洗い流すことができるエラストマー結合剤は、開示されている(例えば、Proskowによる特許文献33、Proskowによる特許文献34、Wornsによる特許文献35、Suzukiらによる特許文献36、Suzukiらによる特許文献37、およびSakuraiらよる特許文献38参照。)。論じられている(例えば、Chenの特許文献39、Heinzらの特許文献40、およびTodaらの特許文献41参照。)ブロック共重合体は、有機溶媒溶液内の処理によって洗い流すことができる。一般に、洗い流し現像に適したエラストマー結合剤は、光重合可能な層の非重合領域が加熱に際し軟化し、溶融し、または流れる熱処理で使用するのにも適している。この結合剤が感光性組成物の重量で少なくとも50%の量で存在することが好ましい。
【0067】
本明細書で使用されるとき、用語結合剤は、開示されているもの(例えば、Frydらの特許文献42およびQuinnらの特許文献43参照。)などの、コアシェルミクロゲル(core shell microgel)およびミクロゲルとパーフォームド高分子重合体(performed macromolecular polymer)の混合物を包含する。
【0068】
光重合可能な組成物は、透き通った、曇っていない感光性層が製造される程度まで結合剤と互換性のある付加重合が可能な少なくとも1つの化合物を含有する。付加重合が可能なこの少なくとも1つの化合物は、単量体とも呼ぶことができる。光重合可能な組成物内に使用できる単量体は当技術分野でよく知られており、限定ではなく少なくとも1つのターミナルエチレン基を有する付加重合エチレン性不飽和化合物が含まれる。一般にこの単量体は、比較的低い(約30,000未満の)分子重量を有する。いくつかの実施形態では、この分子は、約5,000未満の比較的低い分子重量を有する。別段の指示がない限り、この分子重量は加重平均分子重量である。この付加重合化合物はオリゴマー(oligomer)でもあり得、かつ単一のオリゴマーまたはオリゴマーの混合物であることができる。いくつかの実施形態は、1000より大きな分子重量を有するポリアクリロールオリゴマー(polyacrylol oligomer)を含む。この組成物は、単一の単量体または単量体の組合せを含有することができる。この単量体化合物は、組成物の重量で少なくとも5%の量で、かついくつかの実施形態では10から20%で存在することができる。
【0069】
適切な単量体には、限定ではなく、アルコールおよび多価アルコールのアクリレートモノエステル(acrylate monoester);アルコールおよび多価アルコールのアクリレートポリエステル(acrylate polyester);アルコールおよび多価アルコールのメタクリレートモノエステル(methacrylate monoester);ならびにアルコールおよび多価アルコールのメタクリレートポリエステル(methacrylate polyester)が含まれ、ここで適切なアルコールおよび多価アルコールにはアルカノール(alkanol)、アルキレングリコール(alkylene glycol)、トリメチロールプロパン(trimethylol propane)、エトキシ化トリメチロールプロパン(ethoxylated trimethylol propane)、ペンタエリトリトール(pentaerythritol)、およびポリアクリロールオリゴマーが含まれる。他の適切な単量体には、イソシアネート(isocyanate)、エステル、エポキシ化合物(epoxides)等のアクリレート誘導体およびメタクリレート誘導体が含まれる。一官能価アクリレート、多官能価アクリレート、一官能価メタクリレート、および/または多官能価メタクリレートの組合せも使用することができる。適切な単量体の他の例には、イソシアネート、エステル、エポキシ化合物等のアクリレートおよびメタクリレート誘導体が含まれる。いくつかの最終使用印刷組版では、要素にエラストマー特性を与える単量体を使用するのが好ましい可能性がある。エラストマー単量体の例には、限定ではなく、アクリレート液体ポリイソプレン(acrylated liquid polyisoprene)、アクリレート液体ブタジエン(acrylated liquid butadiene)、高ビニル含有量を有する液体ポリイソプレン、および高ビニル含有量(すなわち、1−2ビニル基の含有量が重量で約20%より大きな)を有する液体ポリブタジエンが含まれる。
【0070】
単量体の別の例は、見出せ得る(例えば、特許文献44、Chenの特許文献39、Frydらの特許文献45、Frydらの特許文献46、およびFeinbergらの特許文献47参照。)。
【0071】
光開始剤は、化学放射線に対して感受性があり、過度の停止反応なしで単量体または複数の単量体の重合を開始させるフリーラジカルを発生させる任意の単体の化合物または化合物の組合せであることができる。任意の光開始剤の知られた種類、特にキノン(quinone)、ベンゾフェノン(benzophenone)、 ベンゾインエーテル(benzoin ethers)、アリールケトン(aryl ketone)、過酸化物(peroxide)、ビイミダゾール(biimidazoles)、ベンジルジメチルケタール(benzyl dimethyl ketal)、ヒドロキシルアルキルフェニルアセトフェノン(hydroxyl alkyl phenyl acetophenon)、ジアルコキシアセトフェノン(dialkoxy acetophenone)、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド誘導体(trimethylbenzoyl phosphine oxide derivative)、アミノケトン(aminoketone)、ベンゾイルシクロヘキサノール(benzoyl cyclohexanol)、メチルチオフェニルモルフォリノケトン(methyl thio phenyl morpholino ketones)、モルフォリノフェニルアミノケトン(morpholino phenyl amino ketone)、アルファハロゲンノアセトフェノン(alpha halogennoacetophenones)、オキシスルフォニルケトン(oxysulfonyl ketone)、スルフォニルケトン(sulfonyl ketone)、オキシスルフォニルケトン、ベンゾイルオキシムエステル(benzoyl oxime ester)、チオキシサンスローン(thioxanthrone)、ケトクマリン(ketocoumarin)、およびミヒラーケトン(Michler's ketone)などのフリーラジカル光開始剤を使用することができる。別法として、この光開始剤は、化合物のうちの1つが放射線によって活性化された増感剤によってそうするようにさせられるとき、フリーラジカルを供給する化合物の混合物であることができる。主露出(ならびに後露出および裏面閃光)用の光開始剤は、310から400nmの、かつ好ましくは345から365nmの間の可視または紫外線放射線に対して感受性があることが好ましい。220から300nmの、かつ好ましくは245から265nmの間の放射線に対して感受性がある第2の光開始剤が、光重合可能な組成物内に任意選択で存在することができる。処理後印版は、凸版表面の粘着性をなくすために220から300nmの間の放射線で仕上げることができる。この第2の光開始剤は、印版の粘着性をなくすために必要な仕上げ露出時間を減少させる。光開始剤は一般に、光重合可能な組成物の重量を基にし、0.001%から10.0%までの量で存在する。
【0072】
光重合可能な組成物は所望の最終特性に応じて他の添加物を含有することができる。光重合可能な組成物への追加の添加物には、増感剤、可塑剤、レオロジー調整剤、熱重合阻止剤、着色剤、処理助剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、染料、および充填剤が含まれる。
【0073】
可塑剤は、エラストマーのフィルム形成特性を調整するのに使用される。適切な可塑剤の例には、脂肪族炭化水素油(aliphatic hydrocarbon oil)、例えばナフテンおよびパラフィン油(naphthenic and paraffinic oil);液体ポリジエン(polydiene)、例えば液体ポリブタジエン(polybutadiene);液体ポリイソプレン;ポリスチレン;ポリ−アルファ−メチルスチレン(poly−alpha−methyl styrene);アルファ−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体(alpha−methylstyrene−vinyltoluene copolymer);水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル(pentaerythritol ester of hydrogenated rosin);ポリテルペン樹脂(polyterpene resin);およびエステル樹脂が含まれる。一般に、可塑剤は約5000未満の分子重量を有する液体であるが、約30,000までの分子重量も有することができる。低い分子重量を有する可塑剤は、約30,000未満の分子重量を包含することになる。
【0074】
光重合可能な層の厚さは、所望の印刷組版の種類に応じて広い範囲にわたり変更することができる。一実施形態では、この感光性層は約0.038から約0.64cm(約0.015インチから約0.250インチ)またはそれより厚い厚さを有することができる。別の実施形態では、この感光性層は約0.27から約0.76cm(約0.107インチから約0.300インチ)の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、この感光性層は約0.5mmから1.7mm(0.020から0.067インチ)の厚さを有することができる。さらに他の実施形態では、この感光性層は約0.051から0.64mm(0.002インチから0.025インチ)の厚さを有することができる。
【0075】
感光性要素は感光性組成物の層に隣接する支持部を任意選択で含むことができる。この支持部は、印刷組版を作成するのに使用される感光性要素と一緒に従来使用される任意の材料または材料の組合せから構成することができる。いくつかの実施形態ではこの支持部は、支持部を介した「裏面閃光」露出に対応するように化学放射線に対して透明である。適切な支持部材料の例には、付加重合体およびリニア縮合重合体、ガラス繊維などの透明発泡体と織物によって形成されるものなどの高分子フィルムが含まれる。金属支持部は放射線に対して透明ではないけれども、特定の最終使用条件の下で、アルミニウム、鋼、およびニッケルなどの金属も支持部として使用することができる。いくつかの実施形態では、この支持部はポリエステルフィルムである。一実施形態では、この支持部はポリエチレンテレフタレートフィルムである。この支持部は、シートの形態またはスリーブなどの円筒形態であることができる。このスリーブは、印刷用のスリーブを形成するのに従来使用される任意の材料または材料の組合せから形成することができる。このスリーブは、単層、多層、複合材料または一体構造を有することができる。スリーブは、化学放射線に対し通常透明な高分子フィルムから作り、それによって円筒状印刷要素内に床を構築するための裏閃光露出に対応することができる。多層スリーブは、柔軟性のある材料の層の間に開示されているもの(例えば、特許文献48参照。)などの接着層またはテープを含むことができる。このスリーブは、ニッケルまたはガラスエポキシなどの透明でない、化学放射線阻止材料から作ることもできる。このスリーブは、同じであるまたは異なることができる樹脂組成物の1つまたは複数の層から構成することができ、その中に組み込まれた充填剤および/または繊維を有することができる。樹脂組成物として適した材料は限定されず、それらの例には、エポキシ樹脂;ポリ塩化ビニルおよびポリ酢酸ビニルなどのポリスチレンおよびポリビニル樹脂;フェノール樹脂;および芳香族アミン硬化エポキシ樹脂が含まれる。樹脂組成物内に使用される繊維は限定されず、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、金属繊維、およびセラミック繊維を含むことができる。スリーブと一体化される繊維は、連続の、織られた、かつ/または巻かれた材料を含むことができる。繊維強化された樹脂組成物から形成されるこの支持部は、複合スリーブの一例である。いくつかの実施形態では、この支持部は0.0051から0.127cm(0.002から0.050インチ)の厚さを有する。このスリーブは、約0.01と約6.35mmのまたはそれより大きい壁厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、このスリーブは、約0.25と3mmの間の壁厚さを有する。いくつかの実施形態では、このスリーブは、約0.25から2.0mm(10から80ミル)の間の、他の実施形態では、0.25から1.0mm(10から40ミル)の間の壁厚さを有する。
【0076】
任意選択で、支持部と光重合可能な層との間に強固な接着を与えるように、この要素は支持部と光重合可能な層の間に接着層を含み、あるいは光重合可能な層に隣接する支持部の表面は、接着促進表面を有する。
【0077】
光重合可能な層それ自体は、結合剤、単量体、開始剤、および他の原料を混ぜることによって多くの様式で作成することができる。光重合可能な混合物が高温溶融物に形成され、次いで所望の厚さまでカレンダーに掛けられるのが好ましい。組成物を溶融、混合、脱気、およびろ過する機能を実施するために、押出機を使用することができる。均一な厚さを達成するために、押出ステップは、高温の混合物が支持部と一時的なカバーシートなどの2枚のシートの間で、または1つの平らなシートとリリースロールの間でカレンダーに掛けられるカレンダーステップと有利に連結することができる。代わりに、この材料は一時的な支持部の上に押出し/カレンダー掛けし、後で所望の最終支持部に積層することができる。この要素は、適切な混合装置内で成分を混ぜ合わせ、次いでこの材料を適切な鋳型内で所望の形状に圧すことによって作成することもできる。この材料は一般に、支持部とカバーシートの間で圧される。鋳込みステップは、圧力および/または熱を伴うことができる。カバーシートは、感光性要素が形成されるとき光重合可能な層に転写する1つまたは複数の追加の層を含むことができる。円筒状形状にされる光重合可能な層は、任意の適切な方法で作成することができる。一実施形態では、この円筒状形状にされる要素は、キャリアまたは円筒状の支持部、すなわち、スリーブの上に巻きつけられ、印版の端部が円筒形状を形成するように対合される光重合可能な印刷印版から形成することができる。円筒状形状にされる光重合可能な要素は、開示されている(例えば、Cushnerらによる特許文献49参照。)方法および装置に従って作成することもできる。
【0078】
感光性要素は少なくとも1つの光重合可能な層を含み、したがって、2層または多層構造であることができる。感光性要素は感光性層の上にまたはそれに隣接して1つまたは複数の追加の層を含むことができる。ほとんどの実施形態では、この1つまたは複数の追加の層は、支持部とは反対側の感光性層の側の上にある。追加の層の例には、限定ではなく、保護層、キャッピング層、エラストマー層、障壁層、およびそれらの組合せが含まれる。1つまたは複数の追加の層は処理中に、全部または部分的に取り除き可能にすることができる。1つまたは複数のこの追加の層は、感光性組成物層を覆うまたは部分的に覆うことができる。
【0079】
保護層は、組成物層の表面を保護し、かつ感光性要素の画像的露出のために使用されるマスク材料の容易な除去を可能にすることができる。この感光性要素は、少なくとも1つの光重合可能な層の上にエラストマーキャッピング層を含むことができる。このエラストマーキャッピング層は通常、光重合可能な層のカレンダー掛け中、感光性印刷要素の一部になる多層カバー要素の一部である。エラストマーキャッピング層として適した多層カバー要素および組成物は、開示されている(例えば、Gruetzmacherらの特許文献2および特許文献50参照。)。いくつかの実施形態では、このエラストマーキャッピング層の組成は、エラストマー結合剤、および任意選択で単量体および光開始剤および他の添加物を含み、それらの全ては本体光重合可能な層内に使用されるものと同じであるかまたは異なることができる。エラストマーキャッピング層は、光反応性成分を必ずしも含まないことができるが、下にある本体光重合可能な層と接触しているとき、この層は最終的に感光性になる。そのようなものとして、化学放射線への画像的露出に際して、このエラストマーキャッピング層は、重合または架橋が起きている硬化部分と、重合しないで、すなわち架橋しないで残る硬化していない部分とを有する。処理によって、凸版表面を形成するためにエラストマーキャッピング層の重合しない部分は光重合可能な層と一緒に取り除かれるようにされる。化学放射線に露出されたこのエラストマーキャッピング層は、光重合可能な層の重合した領域の表面上に残り、印刷印版の実際の印刷表面になる。
【0080】
化学放射線不透明層が、レーザー放射線、通常赤外線レーザー放射線が(従来型の画像透明陽画またはフォトツールの代わりに)感光性要素用の画像のマスクを形成するのに使用されるデジタルダイレクト−ツー−プレート画像技術で用いられる。この化学放射線不透明層は、光重合可能な材料の感受性に対応する化学放射線に対して実質的に不透明である。デジタル方法は、レーザー放射線で光重合可能な層の上にあるまたは上方に配設されるマスク画像をその場で作り出す。マスク画像を作り出すデジタル方法は、画像的露出に先立って感光性要素を作成するための1つまたは複数のステップを必要とする。一般に、その場マスク形成のデジタル方法は放射線不透明層を、支持部とは反対側の感光性要素の表面から選択的に取り除くまたは表面に転写するのいずれかを行う。この化学放射線不透明層も、不透明層を選択的に取り除くまたは転写することができるレーザー放射線に対し感受性がある。一実施形態では、この化学放射線不透明層は、赤外線レーザー放射線に対して感受性がある。マスクが放射線不透明層で感光性要素上に形成される方法は限定されない。
【0081】
一実施形態では、この感光性要素は、上方に配設され、支持部とは反対側の光重合可能な層の全表面を覆うまたは実質的に覆う化学放射線不透明層を含むことができる。この実施形態では、赤外線レーザー放射線は、開示されているように(例えば、Fanによる特許文献3、Fanによる特許文献4、Fanによる特許文献51、Van Zoerenによる特許文献52および53参照。)、放射線不透明層を画像的に取り除き、すなわちアブレートしまたは蒸発させ、そしてその場マスクを形成する。放射線不透明層に隣接する材料捕捉シートは、開示されているように(例えば、Van Zoerenによる特許文献53参照。)、感光性要素から不透明層が取り除かれるとき材料を捕捉するようにレーザー露出中存在することができる。感光性要素から取り除かれなかった放射線不透明層の部分のみが要素上に残り、その場マスクを形成することになる。
【0082】
いくつかの実施形態では、この化学放射線不透明層は、放射線不透明材料、赤外線吸収材料、および任意選択の結合剤を含む。カーボンブラックおよびグラファイト、顔料の混合物、金属、および金属合金などの暗黒の無機顔料が一般に、赤外線感受性材料および放射線不透明材料の両方として機能する。任意選択の結合剤は、限定ではなく自己酸化重合体;非自己酸化重合体;熱化学的に分解可能な重合体;スチレンおよび/またはオレフィンを有するブタジエンおよびイソプレンの重合体または共重合体;熱分解可能な重合体;両性共重合体(amphoteric interpolymer);ポリエチレンワックスならびにポリアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース(hydroxyalkyl cellulose)およびエチレンおよびビニルアセテートの共重合体などの解放層(release layer)として従来的に使用される材料;およびそれらの組合せを含む高分子材料である。化学放射線不透明層の厚さは、一般に約20オングストロングから約50マイクロメートルである、感受性と不透明性の両方を最適化する範囲内にあるべきである。この化学放射線不透明層は、効果的に化学放射線および下にある光重合可能な層の重合を阻止するために、2.0より大きな伝達光学濃度(transmission optical density)を有するべきである。
【0083】
その場マスクをデジタル的に形成するための別の実施形態では、感光性要素は当初化学放射線不透明層を含まないことになる。放射線不透明層を担持する別の要素が、通常光重合可能な層である、支持部とは反対側の感光性要素の表面に隣接して放射線不透明層が存在するように、光重合可能な層を有する組立品を形成することになる。(存在する場合は、感光性要素に伴うカバーシートは通常、この組立品を形成するのに先立って取り除かれる。)この別の要素は、デジタル露出工程に役立つように、放出層(ejection layer)または加熱層などの1つまたは複数の他の層を含むことができる。ここに、この放射線不透明層は赤外線に対して感受性でもある。この組立品は、開示されているように(例えば、Fanによる特許文献5、特許文献54、Blanchettによる特許文献55、および特許文献56参照。)、放射線不透明層を選択的に転写しあるいは放射線不透明層の接着バランスを選択的に変更し、光重合可能な層の上にまたはその上方に配設される画像を形成するように、赤外線レーザー放射線で画像的に露出される。画像的転写工程の結果として、放射線不透明層の転写された部分のみ光重合可能な要素上に存在し、その場マスクを形成することになる。
【0084】
別の実施形態では、デジタルマスク形成は、インクジェットの形態で感光性要素上に放射線不透明材料を画像的塗布することによって実施することができる。インクジェットインクの画像的塗布は、光重合可能な層の上に直接的に、または光重合可能な層の上方で感光性要素の別の層上に行うことができる。デジタルマスク形成を実施することができる別の企図される方法は、別のキャリア上に放射線不透明層のマスク画像を作り出すことによる。いくつかの実施形態では、この別のキャリアは、放射線不透明材料を選択的に取り除き、画像を形成するためにレーザー放射線に画像的に露出される放射線不透明層を含む。次いでキャリア上のこのマスク画像は、支持部とは反対側の光重合可能な層の表面に熱および/または圧力を加えることによって転写される。この光重合可能な層は通常粘着性であり、転写された画像を保持することになる。次いでこの別のキャリアは画像的露出に先立って要素から取り除かれる。
【0085】
この感光性印刷要素は、要素の最上層の頂部に一時的なカバーシートも含むことができ、それは印刷組版の作成に先立って取り除かれる。このカバーシートの1つの目的は、貯蔵および取り扱い中に感光性印刷要素の最上層を保護することである。カバーシート用に適した材料の例には、解放層の代わりをすることができるポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、フッ素重合体、ポリアミドまたはポリエステルの薄いフィルムが含まれる。このカバーシートは、Mylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの、ポリエステルから作成されるのが好ましい。
【0086】
感光性要素の露出(および処理)の後、この印刷組版は約20から約85のショアAデュロメーター硬度を有する。このショアデュロメーター硬度は、窪みに向かう材料の抵抗の測定値である。ショアAのデュロメーター硬度は、通常軟らかなゴムまたはエラストマー材料に対し使用される尺度であり、値が高いほど貫通に向かう抵抗が大きい。一実施形態では、印刷組版は約50から約20未満のショアAデュロメーター硬度を有する。別の実施形態では、印刷組版は約40から約25未満のショアAデュロメーター硬度を有する。別の実施形態では、印刷組版は約35から約30未満のショアAデュロメーター硬度を有する。約40未満のショアAデュロメーター硬度を有する印刷組版は、特に段ボール板紙上に印刷するのに適している。印刷組版のデュロメーター硬度は、DIN53,505またはASTM D2240−00に記載される標準化された手順に従って測定できる。いくつかの実施形態では、この印刷組版は、印刷組版の弾性と同じ、または異なる弾性を有するキャリア上に貼り込むことができる。キャリアの弾性は、印刷組版のデュロメーター硬度と異なる組立完成品のデュロメーター硬度に結果としてなる、印刷組版組立完成品(すなわち、キャリアと印刷組版)全体の総合的な弾性に影響を与える場合がある。
【0087】
用語集
「マスク開口部」は下にある光重合可能な材料の化学放射線への露出を可能にする一体のマスクの「透き通った」領域である。(いくつかの実施形態では、この透き通った領域は、要素からの化学放射線不透明材料の取り除きによって作り出される。他の実施形態では、この透き通った領域は、化学放射線不透明材料の要素への非転写によって作り出される。)マスク開口部は、測定顕微鏡で測定される。有効なマスク開口部面積は、開口部の面積を測定し、1インチ当たりの線(LPI)のディスプレー解像度によって定義される総計ピクセル面積で割ることによって計算される。この総計ピクセル面積は、等式(1/LPI)2を使用して計算され、有効マスク開口部は、(開口部面積)/(1/LPI)2として定義される。マスク開口部は通常、(総計ピクセル面積の)パーセンテージとして表示される。
【0088】
「フォトツール開口部」は、総計ピクセル面積のパーセンテージとして表示される化学放射線に対して透明なフォトツールの面積であり、上記のマスク開口部面積と同様に計算される。
【0089】
「光学濃度」または単に「濃度」は、画像の暗さ(光吸収または不透明性)の程度であり、以下の関係から求めることができる:
濃度=log10{1/反射率}、
上式で反射率は{反射された光の強度/入射光の強度}である。
【0090】
「印版上のドットサイズ」は、目盛り付き顕微鏡または専門の光学装置を使用して通例算定されるドットの直径の測定値である。この測定値は通常、印版上のドット構造体の平らな部分を正確に示す。
【0091】
「印版上のドット面積」または「印版ドット面積」は、通常パーセンテージとして表示され、一般にドットサイズを面積(面積=πr2)に変換し、ディスプレー解像度によって定義される総計ピクセル面積によって割り算することによって、計算される。
【0092】
「有効印刷ドット面積」は、ティント面積と呼ばれる、均一なサイズのドットの規則正しいアレーで印刷された区域の濃度測定値と、(100%画線比率またはべた画線比率とも呼ばれる)完全なインク画線比率を有する印刷区域の濃度測定値に基づいて計算される量である。使用される等式は、Murray Davies等式と呼ばれ、以下に示す:
有効印刷ドット面積=(1−10-Dt)/(1−10-Ds
上式で、Dt=ティント濃度であり、かつDs=べた濃度である。
【0093】
「圧力下での有効印刷面積(ドット面積)」は、印版と基板が互いに密接して接触しているときの、かつ印版/基板が互いに圧力を加えているときの、印刷すべき基板と接触することになる合計面積のパーセントとして表示される印版上のドット面積である。
【0094】
「印刷ドットに対する印版の増幅率」は、総計ピクセル面積のパーセンテージとして表示される印版上のドット面積から、画線比率面積のパーセンテージとして表示される有効印刷ドット面積への、印刷されたドット面積の増大を示す。これは単にこの2つの間の差である。
【実施例】
【0095】
CYREL(登録商標)光重合可能な印刷印版、CYREL(登録商標)Digital Imager、CYREL(登録商標)露出ユニット、CYREL(登録商標)プロセッサー、およびCYREL(登録商標)Cylosol現像溶液は全てThe DuPont Company (Wilmington,デラウェア州)から市販されている。
【0096】
(実施例1)
試験された全ての印版は、フレキソ印刷印版として使用するのに適した、(光重合可能な層と支持部の厚さを含む)3.175mm(125ミル)の合計厚さを有するCYREL(登録商標)光重合可能な印刷要素であった。この光重合可能な印刷要素は、Mylar(登録商標)(0.127mm(5ミル))の支持部とカバーシート(0.178mm(7ミル))の間にエラストマー結合剤、少なくとも1つの単量体、および光開始剤を備える光重合可能な組成物の層を含んでいた。アナログ印版として、このカバーシートは、光重合可能な層に隣接するポリアミドの解放層を含んでいた。デジタル印版として、このカバーシートは、光重合可能な層に隣接する、(重量で)33%カーボンブラックと67%ポリアミドからなる赤外線感受性の、化学放射線不透明層を含んでいた。
【0097】
各要素は床を形成するために、CYREL(登録商標)露出ユニット上で85秒間UV光線(365nm)(17.6ミリジュール/cm2/秒)に裏面閃光露出された。画像的露出の後各要素は、露出されなかった領域を取り除き、凸版印刷印版を形成するためにCYREL(登録商標)1000P型プロセッサー内で、有機溶媒、CYREL(登録商標)Cylosol洗い流し溶液内で8.9分間現像された。次いでこの印版は、対流式オーブン内で2時間乾燥された。乾燥後この印版は、印版を光仕上げし、どのような残留粘着性もなくすために露出ユニット上で5分間UV光線(254nm)にさらに露出された。
【0098】
各要素は、以下に説明するように試験目標画像を介してUV光線(365nm)に画像的に露出された。この試験目標画像は、アナログワークフローで使用されるフォトツールに対して、かつデジタルワークフローで使用される、光重合可能な層に隣接して形成されるその場マスクに対して本質的に同じになるように設計された。この試験目標画像は、印版上の同一のドットサイズのパッチが印版製造ワークフローに関わらず使用可能であり、かつフルーティング性能を定量化するのに十分な面積が可能になるのを確実にするように、2%から100%までのインクティントパーセンテージを示す、変化するパーセントの印刷面積の、多数の十分に大きなパッチを組み入れていた。この試験目標画像は、プレス(印刷された)シート上の押印均一性を確実にするための前縁を横切るべたインク濃度バー、露出均一性を評価するための、正および逆の種類のいくつかのパッチ、およびライン目標も含んでいた。
【0099】
印版Aに対し、CYREL(登録商標)感光性重合体印刷要素、型番TDRがアナログワークフローを使用して上記に説明したように露出されかつ処理された。裏露出に対して、85秒の代わりに露出時間は17.6ミリジュール/cm2/秒で113秒であった。画像的露出のためにカバーシートが取り除かれ、画像担持陰画(すなわち、前に説明したような試験目標を有するフォトツール)が支持部とは反対側の要素の表面上に配置され、真空が引かれ、そして露出ユニット上で15分間(17.6ミリジュール/cm2/秒)UV放射線に露出された。
【0100】
印版Bおよび印版Cの各々に対し、光重合可能な層のために、CYREL(登録商標)感光性重合体印刷要素、型番TDRから印刷要素が作成され、その上に(解放層の代わりに)赤外線感受性の、化学放射線不透明層が積層された。印版Bおよび印版Cの各々は、デジタルワークフローを使用して上記で説明したように露出されかつ処理された。カバーシートは取り除かれ、試験目標のその場マスクが、ESKO Graphics Imaging GmbH(Itzehoe, ドイツ国)からの CYREL(登録商標)Digital Imager,Model SPARK 4835 Optics 40内で、赤外線感受性の、化学放射線不透明層を赤外線レーザー放射線で画像的にアブレートすることによって要素上に形成された。デジタル製版の当業者に知られているように、マスク画像のデジタルファイルは、デジタルワークフローによって作られた印版に通常伴う、酸素の阻止と印刷されるドット増幅率を相殺するために、調整することができる。そのようなものとして、適切な「バンプ(bump)」および相殺曲線を、デジタル印版用のマスク画像を作り出すためにマスク画像のデジタルファイルに適用することができる。印版Bに対し、マスク画像のデジタルファイルは、約4%まで適切にバンプされた。印版Cに対し、マスク画像のデジタルファイルは、露出環境、すなわち改変されたデジタルワークフロー環境に起因して、どのようなバンプおよび相殺曲線によっても調整されなかった。
【0101】
印版Bの画像的露出のために、この要素は露出ユニット内に配置され、約16分間(33.9ミリジュール/cm2/秒)(21%(210,000ppm)の大気酸素濃度を有する)空気中でその場マスクを介してUV放射線に露出された。
印版Cの画像的露出に対して、CYREL(登録商標)2001 ECLF露出ユニットが、ユニットの露出ベッド上にあるUV透明筐体を含むように改変され、画像的露出中にこの要素に対し筺体内の所望の状態を与えるようにその周囲に沿ってシールされた。そのような筺体の一実施形態は、同時出願の米国特許出願番号(整理番号IM−1359号)に開示されている。この筺体は、この実施例では窒素である不活性ガスを筺体内に導入するための入り口ポート、および筺体から(酸素を含む)当初の空気を掃気するための出口ポートを含む。筺体を出る酸素の濃度は、筺体の出口ポートのところに配置され、ポートに垂直に取り付けられた、Alpha Omega Instruments(Cumberland,ロードアイランド州)からの、型番シリーズ3000の微量酸素分析器で測定された。印版Cは、UV露出中いくらかの酸素濃度を伴う主として窒素ガスの環境を有する筺体内に包み込まれるように、露出ベッド上に配置された。この実施例では印版Cは、約20分間(33.9ミリジュール/cm2/秒)連続的に減少する酸素濃度を伴う主として窒素の環境内で、その場マスクを介してUV放射線に露出された。露出は筺体内の酸素濃度が約1,000ppm(0.1%酸素)のとき開始し継続された一方、露出が終了するとき酸素濃度を約100ppm未満まで減少させるように窒素ガスが連続的に筺体内に導入された。
【0102】
印版Aから印版Cまでの各々に対して、測定顕微鏡(NIKON(USA)(Melville,ニューヨーク州)からのNikon Measurescope,型番MM−11)が印版のパッチ領域内のドットサイズを測定するために使用された。この印刷印版の凸版構造体は、隆起した部分および凹んだ部分を含んでいた。マスク内の特定の%印刷面積を代表する各パッチは、同じサイズの複数の隆起する部分を含んでいた。印刷されている基板にインクを運搬するこの隆起部分は通常ドットと呼ばれる。顕微鏡解析は、30%面積画線比率に最も近いパッチ、すなわち1センチメートル当たり39.37本(1インチ当たり100本)の線のライン選別を基にして、各ドットに対し約157ミクロンの直径を有する平らな隆起表面を与えるパッチを判定した。色彩階(tint scale)の中間色調区域は非常に効果的にフルーティングを示す傾向があるので、この実施例の目的のために、30%の印版ドット面積がAからCまでの3つの印版に対する比較のベースとして選ばれた。AからCまでの印版の比較解析は、他の選択される印版ドット面積のところで予測的には大体は同じままとなることになる。
【0103】
【表1】

【0104】
印版の印刷
印版Aから印版Cまでは各々、前縁に取り付けられた貼り込み前縁ストリップを有する、ポリエステル強化クッション付きキャリア(Rogers Corp.からのR/bac発泡体、型式SF、1.524mm(0.060インチ))に両面テープで貼り込まれた。次いでこのキャリアは、印刷シリンダ内の溝にこの貼り込み前縁ストリップを固定し、かつキャリアの後端部をシリンダに固定することによって、Bobst Flexo 160印刷機の印刷シリンダ上に貼り込まれた。この印版は、60°で平方ミリメートル当たり4.65百万立方ミクロン(1平方インチ当たり30億立方ミクロン(BCMI))の体積を有する500ラインスクリーンであったアニロックスロールでインクが付けられた。使用されたインクは、9.5pHおよび4DINカップで15.4秒の粘度を有する水ベースBCMインクであった。この印版は、凸版画像によるインクのパターンを、Kemiart B−flute 200#で被覆された段ボール板紙上に印刷した。この印版は、最小限(キス)接触の、+0.254mm(0.010インチ)の、および+0.508mm(+0.020インチ)の超過押印の押印設定で印刷するように設定された。
【0105】
評価および解析
各印版Aから印版Cまでに対して、30%印版ティント面積(すなわち、印版上のドット面積)に対応するパッチ、および印刷された基板上の0.40±0.03の等しい濃度に対応するパッチが解析された。次いでこれらの面積は、印刷された段ボール上で同定され、8.89センチメートル平方(3.5インチ平方)のサンプルが、X−RITE,Inc.,(Grandville、ミシガン州)からのX−RITE Spectrodensitometer、型番528上で濃度測定解析のためにボール紙から除去された。多数の測定が行われ、印刷画像内のフルートおよび非フルート区域の両方に跨る濃度の読みを確実にするために間隔があけられた。この濃度測定値は、実際のドット増幅率(印刷されたドット面積−印版ドット面積)の計算を可能にするように、Murray Davies等式を使用して%ドット面積画線比率に変換された。
【0106】
段ボール板紙上の印刷された画像は、段ボール板紙の下にあるフルーティング構造体に対応する、明るい印刷の区域、すなわち、結果としてより低いインク濃度の読みになる画線比率のより低い(または高くない)帯と交互する、暗い印刷の区域、すなわち、結果としてより高い濃度の読みになるより高いインク画線比率の帯として現れるフルーティング効果に対して評価された。ランキングは、10人の見識のある観察者のパネルに分類されていないサンプルを提供し、各々が独立に1が最良のフルーティング性能を示し10が最悪のフルーティング性能を示す1から10までの尺度で、最良から最悪までのフルーティング性能にランク付けさせることによって判定された。平均のフルーティングランク付けは、(ドット直径の顕微鏡解析に基づいて)ほぼ等しい印版ドット面積を示すパッチ、ならびに(濃度測定に基づく)ほぼ等しい濃度値を示すパッチに基づいて与えられる。印版から印刷までの (Plate to Print)増幅率は、(この実施例では、30%のほぼ等しい印版ドット面積のところの)波型基板上に有効に印刷されたドット面積に対する、印版ドット面積からのドットサイズの増加を呼ぶ。
【0107】
【表2】

【0108】
印版Aによって印刷された画像内に表示されたフルーティングは、段ボール上に印刷するためのフレキソ印刷産業によって受け入れ可能と見なされるフルーティング性能のレベルと一致しかつ代表的なものである。印版Bは印版Aと同じ物理的特性を有するけれども、印版Bは,それがデジタルワークフローを使用して作られたという点で異なる。印版Bに同等な印版は、段ボール板紙印刷市場で評価されてきており、その不十分なフルーティング性能に起因して受け入れられてきていない。そのようなものとして、印版Bによって印刷された画像によって示されるフルーティングは、段ボール印刷産業に対して受け入れ可能ではないことになる。印版Cは、印版Bと同じ材料を示すが、印版Cは露出中特別な環境を使用する、上記で説明した本発明の改変されたデジタルワークフローを使用して作られた。印版Cによって印刷された画像内に示されるフルーティングは、印版AおよびBのフルーティング効果と比較して、段ボールの支持される区域と支持されない区域の間の最も少ないインク濃度差を有する最も少ないフルーティング効果を有し、現在工業的に受け入れ可能な印版Aによって印刷される画像からフルーティングレベルが減少するという観点からの重要な改善であり、かつデジタルワークフローによって作られた印版Bによって印刷された画像からのさらに大きな改善であった。改変されたデジタルワークフロー内で露出された印版Cは、従来型のアナログワークフローによって作られた印版Aおよび従来型のデジタルワークフロー(空気中での露出)によって作られた印版Bの両方より相当に低い印版から印刷までのドット増幅率を生じさせた。
【0109】
印版Aから印版Cまでの各々は、Hirox−USA(River Edge、ニュージャージ州)からのHirox顕微鏡、型番KH−770 を使用して3次元(3D)構造解析が行われた。この3D顕微鏡は、1ピクセル当たり0.517ミクロンの寸法を有する1600×1200ミクロン(X×Y)の画像を発生させる。各X、Y位置に対するZ軸(ドットの高さ)データは、ドットの「印刷区域(printing region)」を特徴化するために取得された。このデータは、頂部表面から下にマイナスZ方向に印版構造体の連続する層を効果的に薄切りするZ軸データ(高さ毎の面積)の累積合計を発生させるためにスプレッドシートソフトウエアパッケージ(spreadsheet software package)内にロードされた。
【0110】
3次元解析は、全ての3つの印版は比較的平らな印刷面積を示すが、印版AおよびCは、印版Bと相当に異なる凸版構造体を有することを示した。印版AおよびCの隆起部分またはドットは、比較的平らな頂部表面領域と、ドットの頂部表面領域からドットの支持側壁まで鋭く移行するショルダ領域とを有する。印版Bの隆起部分またはドットは、ドットの頂部印刷表面と、ドットの側壁までずっとより漸進的に移行するショルダとを有する。
【0111】
合計表面積のパーセントとしての印版の隆起表面の表面積は、深さ(Z軸位置)の関数として計算され、基板と印刷印版の間に圧力が加えられるとき基板と接触した印版の表面積(圧力下での有効ドット印刷面積)と関係付けられた。その上、印版AからCまでの各々に対する、隆起表面、すなわちドットのパーセント表面積の累積合計の2次導関数が、圧力下の有効ドット印刷面積を求めるためにとられた。上記で説明した印版構造体での差の結果として、圧力下で基板と接触する有効印版面積は、劇的に変化した。段ボール印刷産業でフルーティングに対して極めて受け入れ可能と一般に見なされる印版Aは、圧力下での38%の有効印刷面積を有していた。これは、顕微鏡を使用して測定された8.6%の面積を超える増大を示し、この増大は、当初のサイズをほぼ29%超える増加を示す。フルーティング性能に対して不十分であると見なされた印版Bは、圧力下で60%の有効印刷面積を示す。これは、顕微鏡を使用して測定された、印刷面積を約29%超える増加すなわち増大を示し、かつ当初のサイズを約96%超える増加を示す。フルーティングに対して相当により良好とランク付けされた印版Cは、圧力下で32%の有効ドット面積を示す。これは、顕微鏡を使用して測定された印刷面積を2%未満しか超えない増加(すなわち増大)を示し、かつ当初のサイズを5.6%超える増加を示す。
【0112】
これらの結果は、上記で説明した印刷画像のランキングと一致している。
【0113】
【表3】

【0114】
ショルダ面積を顕微鏡で測定されたようなドット直径のパーセンテージとして表示するのではなく、このショルダ面積は、その本質的に平らな頂部印刷表面積からのドットの半径(または直径)の増加として表示することもできる。Hirox顕微鏡によって測定されるときの圧力下での有効印刷面積(ドット面積)は、(累積表面積の曲線を使用するショルダ部分から側壁部分への移行部の2次導関数計算に基づいて)ショルダ部分を含むドット直径に変換された。この実施例は、39.37本の線/センチメートル(100本の線/インチ)の解像度で30%の印刷面積を示す150から160ミクロンの間のドットサイズに対して、ドットの半径が約2ミクロン未満しか増加しないとき(印版C)性能が最良である、すなわちフルーティングが減少し、半径が約10ミクロンまで増加する(印版A)場合、受け入れ可能であったが、半径が30ミクロンを超えて増加する(印版B)とき明らかに不満足であることを示した。同じまたは実質的に同じ結果が、各々が色調範囲の異なるパーセント印刷面積を示す、ドットの他のサイズに対しても観察された。
【0115】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール板紙基板上にインクのパターンを印刷する方法であって、
a)結合剤、エチレン性不飽和化合物および光開始剤を含有する光重合可能な層を備える感光性要素から凸版印刷組版を設けるステップであって、
i)前記光重合可能な層に隣接してその場マスクを形成するステップと、
ii)前記マスクを介して前記光重合可能な層を、不活性ガスと190,000ppmと100ppmとの間の酸素濃度を有する環境内で化学放射線に露出させるステップと、
iii)印刷領域のパターンを有する前記凸版印刷組版を形成するように、ステップii)からの前記要素を処理するステップとを含むステップと、
b)印刷シリンダ上にまたはそれに隣接して前記印刷組版を固定するステップと、
c)前記印刷組版の前記印刷領域に前記インクを塗布するステップと、
d)前記印刷領域からの前記インクを前記基板に接触させ、それによって前記インクのパターンを前記基板上に転写するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記露出ステップは、前記酸素濃度が190,000ppm以下になるとき開始することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記露出ステップ中、前記酸素濃度を継続して減少させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記露出ステップは、前記酸素濃度が5000ppm以下になるとき完了することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記露出ステップは、前記露出ステップ中80,000ppm以下の平均酸素濃度を有する環境内で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記露出ステップは、前記露出ステップ中30,000ppm以下の平均酸素濃度を有する環境内で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記印刷組版は、各々がインク担持頂部表面領域を有する、複数の隆起表面を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記隆起表面の各々は、側壁表面領域と前記頂部表面領域と前記側壁表面領域の間を移行するショルダ表面領域とをさらに備え、前記隆起表面の各々は、前記頂部表面領域と前記ショルダ表面領域の合計である総計印刷面積を有し、各ショルダ表面領域によって前記基板に転写される前記インクが前記総計印刷面積の30%以下であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記隆起表面は、総計ピクセル面積の30%から70%の間にあるドット面積であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
各ショルダ表面領域によって前記基板に転写される前記インクは、前記総計印刷面積の25%未満であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
各ショルダ表面領域によって前記基板に転写される前記インクは、前記総計印刷面積の10%未満であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
各ショルダ表面領域によって前記基板に転写される前記インクは、前記総計印刷面積の5%未満であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記隆起表面の各々は、側壁表面領域と前記頂部表面領域と前記側壁表面領域の間を移行するショルダ表面領域とをさらに備え、前記頂部表面領域はある半径を有し、前記ショルダ表面領域に接触する際、約10%以下まで前記頂部表面領域の前記半径を増加させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記ショルダ表面領域に接触する際、約5%以下まで前記頂部表面領域の前記半径を増加させることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ショルダ表面領域に接触する際、約1%以下まで前記頂部表面領域の前記半径を増加させることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ステップiii)後の前記凸版印刷組版は、20と85の間のショアAデュロメーター硬度を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ステップiii)後の前記凸版印刷組版は、30と35の間のショアAデュロメーター硬度を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記処理ステップ(iii)は、
(iii−a)前記要素を溶媒溶液、水性溶液、半水性溶液、および水からなる群から選択される少なくとも1つの洗い流し溶液で処理するステップと、
(iii−b)領域を溶融させる、流れさせる、または軟化させるのに十分な温度まで前記要素を加熱するステップからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記その場マスクを形成する前記ステップ(i)は、
(i−a)前記光重合可能な層の上方に前記その場マスクを形成するために、前記光重合可能な層の上の、またはそれに隣接するレーザー放射線感受性層を赤外線レーザー放射線に画像的に露出させるステップと、
(i−b)前記その場マスクを形成するために、前記組成物層の上にまたは上方に化学放射線不透明材料を画像的に塗布するステップからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記基板は段ボール板紙であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2009−276745(P2009−276745A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−13435(P2009−13435)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】