基板保管庫
【課題】カセットに収容される基板の入れ替え処理を行うと共に、カセットを適時に搬入出することができる自動倉庫を提案する。
【解決手段】基板保管庫1は、複数の基板Wを収容する気密蓋付カセット80を複数載置可能な多段棚5と、多段棚5の正面5a側に移動可能に配置されて多段棚5に載置された気密蓋付カセット80の気密蓋を開閉すると共に気密蓋付カセット80同士間において基板Wを搬送する基板搬送部20と、多段棚5の背面5b側に移動可能に配置されて多段棚5の全てのカセット載置位置5cに対して気密蓋付カセット80を搬入出するカセット搬送部30と、を備える。
【解決手段】基板保管庫1は、複数の基板Wを収容する気密蓋付カセット80を複数載置可能な多段棚5と、多段棚5の正面5a側に移動可能に配置されて多段棚5に載置された気密蓋付カセット80の気密蓋を開閉すると共に気密蓋付カセット80同士間において基板Wを搬送する基板搬送部20と、多段棚5の背面5b側に移動可能に配置されて多段棚5の全てのカセット載置位置5cに対して気密蓋付カセット80を搬入出するカセット搬送部30と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保管庫に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやFPD(フラットパネルディスプレイ)が製造されるクリーンルームでは、半導体ウエハやガラスプレート等の基板を複数枚ずつカセットに収容して、カセット毎に搬送したり自動倉庫に収容したりする技術が知られている。例えば、半導体ウエハの場合には、FOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる規格化されたカセットが用いられている。
【0003】
複数枚の基板をカセットに収容して搬送する方法は、少品種大量生産には好都合である。しかし、基板毎に異なる処理を施すような多品種少量生産の場合には、一つのカセットに同一の処理を行う基板だけを収容しなければならないので、基板が数枚しか収容されていないカセットが増加して、各種処理装置における処理効率や搬送装置の搬送効率や自動倉庫の収容効率等が低下してしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1に開示されるように、自動倉庫においてカセット同士間で基板を入れ替える(ソーティング)ことで、一つのカセットに収容される基板の枚数を増加させて、各種処理装置の処理効率や自動倉庫の収容効率を向上させる技術(いわゆるロット編成機)が提案されている。
【特許文献1】特開2001−31212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、カセットに取り付けられた気密蓋を取り外すオープナーが配置された場所でしか基板の入れ替え処理を行うことができない。また、自動倉庫にカセットを搬入出する場所が限られていたり、基板の入れ替え処理を行う場所とカセットを搬入出する場所が重複していたりする。
このため、所望の基板が収容されたカセットを自動倉庫から搬出する際に、基板の入れ替え処理の完了まで待機しなければならない事態が発生する。同様に、カセットを自動倉庫に搬入する際にも待機時間が発生する。したがって、半導体デバイス等の製造効率を低下させてしてしまう虞が高いという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、カセットに収容される基板の入れ替え処理を行うと共に、カセットを適時に搬入出することができる自動倉庫を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板保管庫では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
本発明に係る基板保管庫は、複数の基板を収容する気密蓋付カセットを複数載置可能な多段棚と、前記多段棚の正面側に移動可能に配置されて前記多段棚に載置された前記気密蓋付カセットの気密蓋を開閉すると共に前記気密蓋付カセット同士間において前記基板を搬送する基板搬送部と、前記多段棚の背面側に移動可能に配置されて前記多段棚の全てのカセット載置位置に対して前記気密蓋付カセットを搬入出するカセット搬送部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記多段棚は、前記カセット搬送部が配置される第一空間と前記多段棚及び前記基板搬送部が配置される第二空間とを隔てる背面隔壁と、前記背面隔壁における前記カセット載置位置のそれぞれの対面位置に形成されて前記気密蓋付カセットを搬入出する背面開口と、前記背面開口を閉塞する第一気密戸と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記第一空間と前記第二空間とは、異なる空気状態に維持されることを特徴とする。
【0010】
また、前記多段棚は、前記多段棚が配置される第三空間と前記基板搬送部が配置される第四空間とを隔てる正面隔壁と、前記正面隔壁における前記カセット載置位置のそれぞれの対面位置に形成されて前記気密蓋付カセットから前記基板を搬入出する正面開口と、前記正面開口を閉塞する第二気密戸と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記気密蓋付カセットは、前記気密蓋付カセット本体が前記正面開口の内周縁に密着固定されるように前記多段棚に載置されることを特徴とする。
【0012】
また、前記第三空間と前記第四空間とは、異なる空気状態に維持されることを特徴とする。
【0013】
また、前記多段棚は、前記カセット収容位置を個別又は複数に区画する内部隔壁を有することを特徴とする。
【0014】
また、前記気密蓋付カセットが前記多段棚に搬入出される際に、前記第三空間をエアパージするエアパージ機構を備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記多段棚が前記基板搬送部を挟んで対向配置されると共に、前記カセット搬送部が前記多段棚毎に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
多段棚の各カセット載置位置に対して、直接、気密蓋付カセットを搬入したり、搬出することができるので、基板搬送部による基板の入れ替え処理が完了した気密蓋付カセットを、カセット搬送部により、適時に、多段棚から搬出することが可能となる。また、気密蓋付カセットが未収容のカセット載置位置に対して、適時に、基板の入れ替え処理を行うべき気密蓋付カセットを搬入することができる。
【0017】
そして、基板搬送部による基板の入れ替え処理とカセット搬送部による気密蓋付カセットの搬入処理及び搬出処理とを、それぞれ別個独立に同時並行に行うことができるので、基板の入れ替え処理を効率的に行うことができると同時に、気密蓋付カセットの搬入出処理も効率的に行うことができる。
【0018】
また、基板搬送部による基板の入れ替え処理とカセット搬送部による気密蓋付カセットの搬入処理及び搬出処理とを、同時並行に行ったとしても、汚染物質が基板に付着する可能性を低く抑えることができるので、歩留まりの低下を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る基板保管庫1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るウエハ用保管庫1の概略構成を示す上面図である。
図2は、ウエハ用保管庫1の多段棚5の正面図(図1のP矢視図)である。
図3は、ウエハ用保管庫1の側面図である。
図4は、ウエハ用保管庫1の多段棚5の背面図(図1のQ矢視図)である。
【0020】
ウエハ用保管庫1は、所定の間隔を空けて平行に対向配置された2つの多段棚5,5と、2つの多段棚5,5の間に配置されるウエハ搬送部20と、2つの多段棚5,5の外側に配置されるカセット搬送部30と、これらを統括的に制御する制御部50等を備えている。
【0021】
2つの多段棚5,5は、後述するウエハ収容カセット80を複数個載置可能であって、ウエハ収容カセット80を載置するカセット載置位置5cが水平方向及び垂直方向に一定間隔で並ぶように、升目状に区画されている。
そして、2つの多段棚5,5は、所定の間隔を空けて、平行に対向配置されている。
【0022】
図5は、ウエハ収容カセット80を示す斜視図である。
ウエハ収容カセット80は、複数枚のウエハWを一定間隔を空けて重畳して収容する容器であって、ウエハWを出し入れする正面開口82が形成された容器本体81と、正面開口82を閉塞する気密蓋83を有している。例えば、直径200mmや300mmのウエハWを水平な状態で複数毎収容することができる。そして、その内部空間は、空気清浄度(クリーン度)が高く維持される。具体的には、クラス1程度の空気清浄度に維持されている。
ウエハ収容カセット80としては、SEMI規格に規定されているFOUP(Front-Opening Unified Pod)が用いることができる。
また、各ウエハ収容カセット80は、正面開口82(気密蓋83)がウエハ搬送部20側(多段棚5,5の正面側5a,5a)を向くように、多段棚5,5に載置される。
【0023】
ウエハ搬送部20は、2つの多段棚5,5の間の床面に、2つの多段棚5,5に沿って敷設されたレール21上を走行する柱状の走行部22と、走行部22に連結されて上下方向に移動可能な本体部23と、本体部23に連結されたウエハローダ24及びオープナー25とを備えている。
そして、ウエハ搬送部20は、走行部22と本体部23の位置制御によって、ウエハローダ24及びオープナー25とを、多段棚5,5の正面5a,5aに沿って、二次元方向に移動させることができる。
【0024】
図6は、ウエハ搬送部20のウエハローダ24及びオープナー25を示す上面図である。
ウエハローダ24は、水平多関節型ロボットであって、一端が本体部23の上面に連結された3つのアームからなるアーム部24aと、アーム部24aの先端に接続されたハンド24bとを備えている。なお、ハンド24bは、エア噴出口24cからエアを噴出することによりウエハWを非接触に載置し、保持するように構成されている。なお、ハンド24bは非接触型ハンドでなくてもよい。
【0025】
オープナー25は、ウエハ収容カセット80の気密蓋83の開閉を行うものであって、気密蓋83を吸着又は挾持する把握部25aと、この把握部25aを水平方向に平行移動させる可動部25bとを備えている。
そして、オープナー25は、本体部23の2つの側面、すなわち多段棚5,5に対向する2つの面にそれぞれ設けられる。つまり、各多段棚5に対して、1つのオープナー25が対向するように配置される。
そして、各オープナー25が、それぞれ対向する多段棚5に載置されたウエハ収容カセット80の気密蓋83の開閉を行うようになっている。
【0026】
図1〜図4に戻り、カセット搬送部30は、2つの多段棚5,5に載置されたウエハ収容カセット80を、2つの多段棚5,5の背面側5b,5bから搬入出するものである。ウエハ収容カセット80の搬入出量に応じて、複数台のカセット搬送部30を用いることができる。
カセット搬送部30は、無人搬送車31と、無人搬送車31上に載置された多関節型ロボット32と、多関節型ロボット32に連結されたハンド33とを備えている。
【0027】
無人搬送車31は、2つの多段棚5,5の背面5b,5bに沿って移動したり、2つの多段棚5,5の背面5b,5bから離間して任意の方向に移動したりすることが可能となっている。
【0028】
多関節型ロボット32は、そのアームの先端に連結されたハンド33を、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに向けて移動可能に構成されている。例えば、水平多関節型ロボット、垂直多関節ロボット、直交型ロボット等のいずれの形式のロボットであってもよい。
ハンド33は、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに載置されたウエハ収容カセット80を、その背面側(正面開口82とは反対側)から把持するようになっている。
つまり、カセット搬送部30は、無人搬送車31と多関節型ロボット32の位置制御によって、ハンド33を多段棚5,5の背面5b,5bの任意のカセット載置位置5cに移動させて把持することにより、任意のウエハ収容カセット80を多段棚5,5に搬入したり、搬出したりすることが可能となっている。
【0029】
制御部50は、各ウエハWや各ウエハ収容カセット80に関する情報が入力される入力部51と、入力されたウエハ情報を記憶するウエハ情報記憶部52と、入力されたウエハ収容カセット情報を記憶するカセット情報記憶部53と、ウエハ搬送部20やカセット搬送部30の動作指示情報を求める演算処理部54と、演算処理部54で決定したウエハ搬送部20やカセット搬送部30の動作指示情報を記憶する制御情報記憶部55と、制御情報記憶部55から読み出された動作指示情報をウエハ搬送部20やカセット搬送部30等に出力したり、ウエハ搬送部20やカセット搬送部30等からの情報が入力される入出力部56と、を備えている。
【0030】
ウエハ情報としては、ID番号や各ウエハWに施される各種処理情報や既に施された処理履歴情報等がある。また、カセット情報としては、ID番号やウエハ収容カセット80が載置されたカセット載置位置5cの位置情報やウエハ収容状況等がある。
そして、演算処理部54では、入力部51で入力された情報から、多段棚5,5に載置された複数のウエハ収容カセット80に収容された各ウエハWのうち、ウエハ搬送部20によってソーティング処理(入れ替え処理)を行うウエハWを決定する。
また、演算処理部54では、多段棚5,5に載置された複数のウエハ収容カセット80のうち、カセット搬送部30によって多段棚5,5から搬出するウエハ収容カセット80や、多段棚5,5に搬入するウエハ収容カセット80を決定する。
【0031】
2つの多段棚5,5とウエハ搬送部20とは、密閉された保管庫本体2内に配置されており、カセット搬送部30等が配置された空間(以下、第一空間S1という)とは遮断された状態が確保されている。2つの多段棚5,5とウエハ搬送部20は、隔壁10により囲われて、保管庫本体2の内部空間(以下、第二空間S2という)が形成されている。
保管庫本体2の上面には、フィルタユニット11が設けられ、これにより、第二空間S2の空気清浄度(クリーン度)は、第一空間S1よりも高くなるように維持されている。例えば、第一空間S1の空気清浄度)はクラス100程度であり、第二空間S2の空気清浄度はクラス1程度である。
更に、第二空間S2の方が第一空間S1よりもやや高圧となるように維持されている。
【0032】
多段棚5,5の背面には、隔壁10の一部である背面隔壁12が配置される。
そして、この背面隔壁12には、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに対応する位置に、それぞれウエハ収容カセット80を出し入れするための背面開口13が形成される。そして、各背面開口13には、シャッター14が付設されており、このシャッター14により背面開口13を閉塞することで、第一空間S1と第二空間S2とが気密性を維持して仕切られるようになっている。
なお、シャッター14は、制御部50からの指示により、開閉するようになっている。
【0033】
また、多段棚5,5の正面には、正面隔壁15が密着して配置される。この正面隔壁15により、保管庫本体2の内部空間(第二空間S2)が、多段棚5,5が配置された空間(以下、第三空間S3という)とウエハ搬送部20が配置された空間(以下、第四空間という)とに、気密性を有するように、仕切られる。
【0034】
そして、第三空間S3と第四空間S4の空気清浄度は略同一(或いは第四空間S4の方が第三空間S3よりも高く)になるように維持されている。
更に、第四空間S4の方が第三空間S3よりもやや高圧となるように維持されている。
多段棚5,5の正面に配置される正面隔壁15には、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに対応する位置に、それぞれウエハ収容カセット80の気密蓋83を出し入れするための正面開口16が形成されている。
【0035】
図7は、正面開口16を示す模式図である。
正面開口16は、気密蓋83よりも大きく、容器本体81よりも小さくなるように形成されている。後述するように、正面開口16の内周縁に対して容器本体81を押し付けて、第三空間S3と第四空間S4とを気密性を維持させるためである。
そして、各正面開口16には、シャッター17が付設されており、このシャッター17により正面開口16を閉塞することで、第三空間S3と第四空間S4とが気密性を維持して仕切られるようになっている。
なお、シャッター17は、制御部50からの指示により、開閉するようになっている。
【0036】
また、多段棚5,5の各カセット載置位置5cは、それぞれ内部隔壁18によって区画されている。つまり、各カセット載置位置5cは、棚板19(床面及び天井)、正面隔壁15(シャッター17)、背面隔壁12(シャッター14)、内部隔壁18によって、個別に密閉されている。
そして、密閉された各カセット載置位置5cには、それぞれエアパージ機構(不図示)が付設される。
【0037】
一方、多段棚5,5の背面側において、エアパージ機構は、カセット搬送部30によってウエハ収容カセット80を第一空間S1から各カセット載置位置5c(第三空間S3)に搬送したり、ウエハ収容カセット80を第一空間S1に搬出したりする際に、第一空間S1に存在するパーティクルやコンタミネーションが第三空間S3に侵入しないようにするものである。特に、搬入したウエハ収容カセット80に付着しているパーティクルやコンタミネーションを排除する。
【0038】
具体的には、ウエハ収容カセット80を各カセット載置位置5cに搬入出するために、背面隔壁12の背面開口13に付設されたシャッター14を開くと同時に、エアパージ機構から高い空気清浄度(クラス1程度)のエア又は不可性ガスをカセット載置位置5cに吹き付ける。このようにして、パーティクルやコンタミネーションをカセット載置位置5cから排除し、第一空間S1に放出させるようになっている。
これにより、ウエハ収容カセット80の気密蓋83を開けて、収容されていたウエハWを取り出したとしても、ウエハWがパーティクルやコンタミネーションに汚染されることが回避できるようになっている。
【0039】
次に、ウエハ用保管庫1の保管制御方法について説明する。ウエハWの入れ替えを行うソーティング処理、ウエハ収容カセット80の搬入作業、ウエハ収容カセット80の搬出作業の順に説明する。
【0040】
ウエハ用保管庫1(多段棚5,5の複数のカセット載置位置5c)に収容された複数のウエハ収容カセット80同士間において、ウエハWの入れ替えを行うソーティング処理は、以下の工程によって行う。
【0041】
多段棚5,5の複数のカセット載置位置5cには、予め複数のウエハWが収容されたウエハ収容カセット80が載置されている。また、各ウエハ収容カセット80に関する情報やこれら各ウエハ収容カセット80に収容されているウエハWに関する情報は、予め制御部50のウエハ情報記憶部52に記憶されている。
まず、制御部50は、ウエハ用保管庫1が設置された製造ラインを統括的に制御する不図示の製造ライン制御装置からの指令に基づいて、多段棚5,5に載置された複数のウエハ収容カセット80に収容された多数のウエハWのうち、ウエハ搬送部20によってソーティング処理を行うウエハWを決定する。
【0042】
そして、入れ替え対象のウエハWに関する情報とこのウエハWが収容された収容元のウエハ収容カセット80及び収容先の各ウエハ収容カセット80に関する情報をウエハ情報記憶部52及びカセット情報記憶部53から読み出すと共に、ウエハ搬送部20への動作指示情報を求め、これを記憶すると共にウエハ搬送部20に対して出力する。
【0043】
ウエハ搬送部20は、制御部50からの指令に基づいてソーティング処理を開始する。まず、入れ替え対象のウエハWが収容されたウエハ収容カセット80に向けて移動する。そして、ウエハ搬送部20は、走行部22及び本体部23を制御して、オープナー25が対象のウエハ収容カセット80が載置されたカセット載置位置5cに対向するように移動させる。
【0044】
次いで、制御部50からの指令により、正面隔壁15の正面開口16を閉塞していたシャッター17が開く。そして、オープナー25の可動部25bを作動させて、把握部25aをウエハ収容カセット80の気密蓋83に密着、把持(又は吸着)させる。そして、再度、可動部25bを作動させて、気密蓋83をウエハ収容カセット80から外して、第三空間S3から第四空間S4に取り出す。
【0045】
なお、ウエハ収容カセット80は、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに載置される際、又は正面開口16のシャッター17が開く際に、容器本体81が正面隔壁15の正面開口16の内周縁に密着固定される。そして、容器本体81を正面開口16に密着させて状態で、気密蓋83をウエハ収容カセット80から外す。
これにより、第三空間S3内のエアが第四空間S4内に侵入することが防止される。特に、第三空間S3内にパーティクルやコンタミネーションが残っている場合には有用である。
なお、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに容器本体81を正面開口16に向けて押し付る機構を設けてもよいし、オープナー25により押し付るようにしてもよい。
【0046】
次に、ウエハ搬送部20は、ウエハローダ24、走行部22及び本体部23を制御して、ウエハローダ24のアーム部24aに接続したハンド24bを気密蓋83が取り外されたウエハ収容カセット80に向けて移動させる。そして、ウエハ収容カセット80の正面開口82から容器本体81内にハンド24bを侵入させて、所望のウエハWを把持する。
所望のウエハWを把持すると、ハンド24bをウエハ収容カセット80から退避させ、再度、オープナー25をウエハ収容カセット80に向けて移動させる。そして、オープナー25が把持している気密蓋83を容器本体81に押し当てて、気密蓋83をウエハ収容カセット80に取付ける。
そして、オープナー25をウエハ収容カセット80から退避させると、シャッター17により正面隔壁15の正面開口16が閉塞される。
このようにして、任意の多段棚5の任意のカセット載置位置5cに載置されたウエハ収容カセット80から、所望のウエハWを取り外すことができる。
【0047】
次いで、ウエハ搬送部20は、ウエハローダ24のハンド24bに載置されたウエハWを把持した状態で、収容先のウエハ収容カセット80に向けて移動する。
そして、上述の工程と同様な工程を経て、所望のウエハWを収容先のウエハ収容カセット80内に収容する。
【0048】
所望のウエハWのソーティング処理が完了すると、その情報は、制御部50のウエハ情報記憶部52及びカセット情報記憶部53に記憶される。そして、次のソーティング処理に移行し、上述したソーティング工程を繰り返すことで、所望のウエハ収容カセット80内には、所望のウエハWのみが収容されるようになる。
【0049】
ウエハ用保管庫1(多段棚5)へのウエハ収容カセット80の搬入(保管)は、以下の工程によって行う。
まず、カセット搬送部30により、複数枚のウエハWが収容されたウエハ収容カセット80を多段棚5の背面5bから、所定のカセット載置位置5cに搬入する。ウエハ収容カセット80を収容すべきカセット載置位置5cの位置情報は、制御部50からカセット搬送部30に送られる。
【0050】
カセット搬送部30のハンド33によりウエハ収容カセット80を把持し、所定のカセット載置位置5c付近にウエハ収容カセット80を移動させると、制御部50からの指令により、背面隔壁12の背面開口13を閉塞していたシャッター14が開く。同時に、エアパージ機構が作動し始める。
【0051】
次いで、カセット搬送部30の多関節型ロボット32を制御して、ウエハ収容カセット80を多段棚5のカセット載置位置5cに載置する。そして、ハンド33による把持を解除し、ハンド33をカセット載置位置5cから退避させると、シャッター14が背面開口13を閉塞する。同時に、エアパージ機構が停止する。
【0052】
このようにして、ウエハ収容カセット80が多段棚5の任意のカセット載置位置5cに搬入・収容される。そして、この搬入・収容作業の間は、エアパージ機構が作動しているので、第一空間S1に存在したパーティクルやコンタミネーションが第三空間S3(第二空間S2)に侵入することが防止される。
なお、多段棚5に搬入されたウエハ収容カセット80のID番号やこのウエハ収容カセット80に収容されているウエハWのID番号等の情報は、搬入収容作業に先立って、制御部50の入力部51に入力される。
【0053】
ウエハ収容カセット80の容器本体81には、RFIDやバーコードが貼付されており、多段棚5への搬入に先立って、保管庫本体2の外部に設置した不図示のリーダーによってこのRFIDやバーコードを読み取るようになっている。
そして、このRFIDやバーコードにから、ウエハ収容カセット80のID番号やウエハ収容カセット80に収容されているウエハWのID番号等が、ウエハ用保管庫1が設置された製造ラインを統括的に制御する不図示の製造ライン制御装置から読み出され、制御部50の入力部51に入力されるようになっている。
【0054】
ウエハ用保管庫1(多段棚5)からのウエハ収容カセット80の搬出は、以下の工程によって行う。
まず、制御部50からカセット搬送部30に対して、搬出すべきウエハ収容カセット80の情報(多段棚5,カセット載置位置5cの位置情報等)が送られる。カセット搬送部30は、所定の多段棚5の背面5bに近づき、更にハンド33を所定の多段棚5に向けて移動させる。
【0055】
次に、制御部50からの指令により、背面隔壁12の背面開口13を閉塞していたシャッター14が開き、同時にエアパージ機構が作動し始める。
そして、多関節型ロボット32を制御して、ハンド33を第三空間S3内に移動させ、ウエハ収容カセット80を背面側から把持し、第一空間S1に向けて移動させる。
そして、ウエハ収容カセット80は、無人搬送車31上に載置される。カセット搬送部30は、無人搬送車31を制御して、所望の処理装置に向けて移動し始める。
【0056】
ウエハ収容カセット80がカセット載置位置5c(第三空間S3)から搬出されると、制御部50からの指令により、シャッター14が背面開口13を閉塞し、同時にエアパージ機構が停止する。
このようにして、任意の多段棚5の任意のカセット載置位置5cから、所望のウエハ収容カセット80が搬出される。そして、この搬出作業の間は、エアパージ機構が作動しているので、第一空間S1に存在したパーティクルやコンタミネーションが第三空間S3(第二空間S2)に侵入することが防止される。
【0057】
上述したウエハWのソーティング処理、ウエハ収容カセット80の搬入作業及び搬出作業は、互いの処理・作業が、同一のウエハ収容カセット80に対して重複しない限り、それぞれ別個独立に同時並行に行うことができる。
【0058】
また、ウエハ用保管庫1の多段棚5は、各カセット載置位置5cに直接ウエハ収容カセット80を搬入したり、搬出することができる。したがって、ウエハWのソーティング処理が完了したウエハ収容カセット80を適時に多段棚5から搬出することができる。また、ウエハ収容カセット80が未収容のカセット載置位置5cに対して、適時にソーティング処理を行うべきウエハ収容カセット80を搬入することができる。
また、複数のカセット搬送部30により、多段棚5に対して、同時にウエハ収容カセット80を搬入したり、搬出したりすることもできる。
【0059】
このように、ウエハ用保管庫1は、ウエハ収容カセット80同士間におけるウエハWのソーティング処理を効率的に行うことができると同時に、多段棚5からのウエハ収容カセット80の搬入出も効率的に行うことができる。
【0060】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0061】
上述した実施形態では、ウエハ搬送部20は、レール21上に1つの走行部22(ウエハローダ24等)を配置する場合について説明したが、これに限らない。レール21上に複数の走行部22(ウエハローダ24等)を配置することで、ウエハWのソーティング処理をより効率化することができる。
また、1つの走行部22に1つのウエハローダ24を接続する場合に限らず、複数のウエハローダ24を接続するようにしてもよい。
【0062】
また、ウエハ搬送部20は、床面上のレール21を走行する形式に限らず、天井から吊り下げられた状態で走行する形式であってもよい。
また、ウエハ搬送部20は、カセット搬送部30と同様に、直線状のレールを必要としない無人搬送車を用いる場合であってもよい。
【0063】
カセット搬送部30は、無人搬送車31上に多関節型ロボット32を設置した形式に限らない。例えば、ウエハ搬送部20と同様に、レール上を走行する形式であってもよい。
また、カセット搬送部30としては、多段棚5に密着してウエハ収容カセット80を多段棚5に出し入れする搬送系と、ウエハ収容カセット80を多段棚5から離間させる方向に搬送する搬送系とが、別個独立に存在してもよい。
なお、内部隔壁18は、必須のものではなく、したがって、第三空間S3の全体をエアパージ機構によりエアパージする場合であってもよい。
【0064】
また、カセット搬送部30は、無人搬送車31に代えて、天井走行台車を用いてもよい。つまり、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに、ウエハ収容カセット80を水平方向に移動させる水平搬送機構を設け、多段棚5,5の背面5b,5b側の上方に設けられた天井走行台車及びこの天井走行台車に連結された多関節型ロボット32,ハンド33によりカセット載置位置5cから水平搬送機構により搬送されたウエハ収容カセット80を把持・搬送するようにしてもよい。
【0065】
上述した実施形態では、多段棚5,5の正面5a及び背面5bにそれぞれ隔壁15,12、開口16,13、シャッター17,14を設ける場合について説明したが、これに限らない。ウエハ収容カセット80に付着したパーティクル等が、第四空間S4に侵入してウエハWを汚染することを防止できる構成であればいずれも構成であってもよい。
上述したように、ウエハ収容カセット80の容器本体81を正面隔壁15の正面開口16の内周縁に密着固定する場合には、第三空間S3から第四空間S4へのパーティクル等の侵入を防止できるので、正面隔壁15や正面開口16を閉塞するシャッター17は必須ではない。
【0066】
また、多段棚5,5の正面5a及び背面5bにそれぞれ隔壁15,12、開口16,13、シャッター17,14を設け、更に第三空間S3にエアパージ機構を設ける場合には、第三空間S3から第四空間S4へのパーティクル等の侵入を防止できるので、ウエハ収容カセット80の容器本体81を正面隔壁15の正面開口16の内周縁に密着固定することは、必須ではない。
【0067】
また、上述した実施形態においては、半導体ウエハを対象とする場合について説明したが、これに限らない。例えば、FPD用のガラス基板、その他の板状部材であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係るウエハ用保管庫1の概略構成を示す上面図である。
【図2】ウエハ用保管庫1の多段棚5の正面図(図1のP矢視図)である。
【図3】ウエハ用保管庫1の側面図である。
【図4】ウエハ用保管庫1の多段棚5の背面図(図1のQ矢視図)である。
【図5】ウエハ収容カセット80を示す斜視図である。
【図6】ウエハ搬送部20のウエハローダ24及びオープナー25を示す上面図である。
【図7】正面開口16を示す模式図である。
【符号の説明】
【0069】
1…ウエハ用保管庫(基板保管庫)
2…保管庫本体
5…多段棚
5a…正面
5b…背面
5c…カセット載置位置
10…隔壁
12…背面隔壁
13…背面開口
14…シャッター(第一気密戸)
15…正面隔壁
16…正面開口
17…シャッター(第二気密戸)
18…内部隔壁
20…ウエハ搬送部(基板搬送部)
24…ウエハローダ
25…オープナー
30…カセット搬送部
50…制御部
80…ウエハ収容カセット(気密蓋付カセット)
81…容器本体
83…気密蓋
S1…第一空間
S2…第二空間
S3…第三空間
S4…第四空間
W…ウエハ(基板)
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保管庫に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやFPD(フラットパネルディスプレイ)が製造されるクリーンルームでは、半導体ウエハやガラスプレート等の基板を複数枚ずつカセットに収容して、カセット毎に搬送したり自動倉庫に収容したりする技術が知られている。例えば、半導体ウエハの場合には、FOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる規格化されたカセットが用いられている。
【0003】
複数枚の基板をカセットに収容して搬送する方法は、少品種大量生産には好都合である。しかし、基板毎に異なる処理を施すような多品種少量生産の場合には、一つのカセットに同一の処理を行う基板だけを収容しなければならないので、基板が数枚しか収容されていないカセットが増加して、各種処理装置における処理効率や搬送装置の搬送効率や自動倉庫の収容効率等が低下してしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1に開示されるように、自動倉庫においてカセット同士間で基板を入れ替える(ソーティング)ことで、一つのカセットに収容される基板の枚数を増加させて、各種処理装置の処理効率や自動倉庫の収容効率を向上させる技術(いわゆるロット編成機)が提案されている。
【特許文献1】特開2001−31212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、カセットに取り付けられた気密蓋を取り外すオープナーが配置された場所でしか基板の入れ替え処理を行うことができない。また、自動倉庫にカセットを搬入出する場所が限られていたり、基板の入れ替え処理を行う場所とカセットを搬入出する場所が重複していたりする。
このため、所望の基板が収容されたカセットを自動倉庫から搬出する際に、基板の入れ替え処理の完了まで待機しなければならない事態が発生する。同様に、カセットを自動倉庫に搬入する際にも待機時間が発生する。したがって、半導体デバイス等の製造効率を低下させてしてしまう虞が高いという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、カセットに収容される基板の入れ替え処理を行うと共に、カセットを適時に搬入出することができる自動倉庫を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板保管庫では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
本発明に係る基板保管庫は、複数の基板を収容する気密蓋付カセットを複数載置可能な多段棚と、前記多段棚の正面側に移動可能に配置されて前記多段棚に載置された前記気密蓋付カセットの気密蓋を開閉すると共に前記気密蓋付カセット同士間において前記基板を搬送する基板搬送部と、前記多段棚の背面側に移動可能に配置されて前記多段棚の全てのカセット載置位置に対して前記気密蓋付カセットを搬入出するカセット搬送部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記多段棚は、前記カセット搬送部が配置される第一空間と前記多段棚及び前記基板搬送部が配置される第二空間とを隔てる背面隔壁と、前記背面隔壁における前記カセット載置位置のそれぞれの対面位置に形成されて前記気密蓋付カセットを搬入出する背面開口と、前記背面開口を閉塞する第一気密戸と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記第一空間と前記第二空間とは、異なる空気状態に維持されることを特徴とする。
【0010】
また、前記多段棚は、前記多段棚が配置される第三空間と前記基板搬送部が配置される第四空間とを隔てる正面隔壁と、前記正面隔壁における前記カセット載置位置のそれぞれの対面位置に形成されて前記気密蓋付カセットから前記基板を搬入出する正面開口と、前記正面開口を閉塞する第二気密戸と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記気密蓋付カセットは、前記気密蓋付カセット本体が前記正面開口の内周縁に密着固定されるように前記多段棚に載置されることを特徴とする。
【0012】
また、前記第三空間と前記第四空間とは、異なる空気状態に維持されることを特徴とする。
【0013】
また、前記多段棚は、前記カセット収容位置を個別又は複数に区画する内部隔壁を有することを特徴とする。
【0014】
また、前記気密蓋付カセットが前記多段棚に搬入出される際に、前記第三空間をエアパージするエアパージ機構を備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記多段棚が前記基板搬送部を挟んで対向配置されると共に、前記カセット搬送部が前記多段棚毎に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
多段棚の各カセット載置位置に対して、直接、気密蓋付カセットを搬入したり、搬出することができるので、基板搬送部による基板の入れ替え処理が完了した気密蓋付カセットを、カセット搬送部により、適時に、多段棚から搬出することが可能となる。また、気密蓋付カセットが未収容のカセット載置位置に対して、適時に、基板の入れ替え処理を行うべき気密蓋付カセットを搬入することができる。
【0017】
そして、基板搬送部による基板の入れ替え処理とカセット搬送部による気密蓋付カセットの搬入処理及び搬出処理とを、それぞれ別個独立に同時並行に行うことができるので、基板の入れ替え処理を効率的に行うことができると同時に、気密蓋付カセットの搬入出処理も効率的に行うことができる。
【0018】
また、基板搬送部による基板の入れ替え処理とカセット搬送部による気密蓋付カセットの搬入処理及び搬出処理とを、同時並行に行ったとしても、汚染物質が基板に付着する可能性を低く抑えることができるので、歩留まりの低下を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る基板保管庫1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るウエハ用保管庫1の概略構成を示す上面図である。
図2は、ウエハ用保管庫1の多段棚5の正面図(図1のP矢視図)である。
図3は、ウエハ用保管庫1の側面図である。
図4は、ウエハ用保管庫1の多段棚5の背面図(図1のQ矢視図)である。
【0020】
ウエハ用保管庫1は、所定の間隔を空けて平行に対向配置された2つの多段棚5,5と、2つの多段棚5,5の間に配置されるウエハ搬送部20と、2つの多段棚5,5の外側に配置されるカセット搬送部30と、これらを統括的に制御する制御部50等を備えている。
【0021】
2つの多段棚5,5は、後述するウエハ収容カセット80を複数個載置可能であって、ウエハ収容カセット80を載置するカセット載置位置5cが水平方向及び垂直方向に一定間隔で並ぶように、升目状に区画されている。
そして、2つの多段棚5,5は、所定の間隔を空けて、平行に対向配置されている。
【0022】
図5は、ウエハ収容カセット80を示す斜視図である。
ウエハ収容カセット80は、複数枚のウエハWを一定間隔を空けて重畳して収容する容器であって、ウエハWを出し入れする正面開口82が形成された容器本体81と、正面開口82を閉塞する気密蓋83を有している。例えば、直径200mmや300mmのウエハWを水平な状態で複数毎収容することができる。そして、その内部空間は、空気清浄度(クリーン度)が高く維持される。具体的には、クラス1程度の空気清浄度に維持されている。
ウエハ収容カセット80としては、SEMI規格に規定されているFOUP(Front-Opening Unified Pod)が用いることができる。
また、各ウエハ収容カセット80は、正面開口82(気密蓋83)がウエハ搬送部20側(多段棚5,5の正面側5a,5a)を向くように、多段棚5,5に載置される。
【0023】
ウエハ搬送部20は、2つの多段棚5,5の間の床面に、2つの多段棚5,5に沿って敷設されたレール21上を走行する柱状の走行部22と、走行部22に連結されて上下方向に移動可能な本体部23と、本体部23に連結されたウエハローダ24及びオープナー25とを備えている。
そして、ウエハ搬送部20は、走行部22と本体部23の位置制御によって、ウエハローダ24及びオープナー25とを、多段棚5,5の正面5a,5aに沿って、二次元方向に移動させることができる。
【0024】
図6は、ウエハ搬送部20のウエハローダ24及びオープナー25を示す上面図である。
ウエハローダ24は、水平多関節型ロボットであって、一端が本体部23の上面に連結された3つのアームからなるアーム部24aと、アーム部24aの先端に接続されたハンド24bとを備えている。なお、ハンド24bは、エア噴出口24cからエアを噴出することによりウエハWを非接触に載置し、保持するように構成されている。なお、ハンド24bは非接触型ハンドでなくてもよい。
【0025】
オープナー25は、ウエハ収容カセット80の気密蓋83の開閉を行うものであって、気密蓋83を吸着又は挾持する把握部25aと、この把握部25aを水平方向に平行移動させる可動部25bとを備えている。
そして、オープナー25は、本体部23の2つの側面、すなわち多段棚5,5に対向する2つの面にそれぞれ設けられる。つまり、各多段棚5に対して、1つのオープナー25が対向するように配置される。
そして、各オープナー25が、それぞれ対向する多段棚5に載置されたウエハ収容カセット80の気密蓋83の開閉を行うようになっている。
【0026】
図1〜図4に戻り、カセット搬送部30は、2つの多段棚5,5に載置されたウエハ収容カセット80を、2つの多段棚5,5の背面側5b,5bから搬入出するものである。ウエハ収容カセット80の搬入出量に応じて、複数台のカセット搬送部30を用いることができる。
カセット搬送部30は、無人搬送車31と、無人搬送車31上に載置された多関節型ロボット32と、多関節型ロボット32に連結されたハンド33とを備えている。
【0027】
無人搬送車31は、2つの多段棚5,5の背面5b,5bに沿って移動したり、2つの多段棚5,5の背面5b,5bから離間して任意の方向に移動したりすることが可能となっている。
【0028】
多関節型ロボット32は、そのアームの先端に連結されたハンド33を、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに向けて移動可能に構成されている。例えば、水平多関節型ロボット、垂直多関節ロボット、直交型ロボット等のいずれの形式のロボットであってもよい。
ハンド33は、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに載置されたウエハ収容カセット80を、その背面側(正面開口82とは反対側)から把持するようになっている。
つまり、カセット搬送部30は、無人搬送車31と多関節型ロボット32の位置制御によって、ハンド33を多段棚5,5の背面5b,5bの任意のカセット載置位置5cに移動させて把持することにより、任意のウエハ収容カセット80を多段棚5,5に搬入したり、搬出したりすることが可能となっている。
【0029】
制御部50は、各ウエハWや各ウエハ収容カセット80に関する情報が入力される入力部51と、入力されたウエハ情報を記憶するウエハ情報記憶部52と、入力されたウエハ収容カセット情報を記憶するカセット情報記憶部53と、ウエハ搬送部20やカセット搬送部30の動作指示情報を求める演算処理部54と、演算処理部54で決定したウエハ搬送部20やカセット搬送部30の動作指示情報を記憶する制御情報記憶部55と、制御情報記憶部55から読み出された動作指示情報をウエハ搬送部20やカセット搬送部30等に出力したり、ウエハ搬送部20やカセット搬送部30等からの情報が入力される入出力部56と、を備えている。
【0030】
ウエハ情報としては、ID番号や各ウエハWに施される各種処理情報や既に施された処理履歴情報等がある。また、カセット情報としては、ID番号やウエハ収容カセット80が載置されたカセット載置位置5cの位置情報やウエハ収容状況等がある。
そして、演算処理部54では、入力部51で入力された情報から、多段棚5,5に載置された複数のウエハ収容カセット80に収容された各ウエハWのうち、ウエハ搬送部20によってソーティング処理(入れ替え処理)を行うウエハWを決定する。
また、演算処理部54では、多段棚5,5に載置された複数のウエハ収容カセット80のうち、カセット搬送部30によって多段棚5,5から搬出するウエハ収容カセット80や、多段棚5,5に搬入するウエハ収容カセット80を決定する。
【0031】
2つの多段棚5,5とウエハ搬送部20とは、密閉された保管庫本体2内に配置されており、カセット搬送部30等が配置された空間(以下、第一空間S1という)とは遮断された状態が確保されている。2つの多段棚5,5とウエハ搬送部20は、隔壁10により囲われて、保管庫本体2の内部空間(以下、第二空間S2という)が形成されている。
保管庫本体2の上面には、フィルタユニット11が設けられ、これにより、第二空間S2の空気清浄度(クリーン度)は、第一空間S1よりも高くなるように維持されている。例えば、第一空間S1の空気清浄度)はクラス100程度であり、第二空間S2の空気清浄度はクラス1程度である。
更に、第二空間S2の方が第一空間S1よりもやや高圧となるように維持されている。
【0032】
多段棚5,5の背面には、隔壁10の一部である背面隔壁12が配置される。
そして、この背面隔壁12には、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに対応する位置に、それぞれウエハ収容カセット80を出し入れするための背面開口13が形成される。そして、各背面開口13には、シャッター14が付設されており、このシャッター14により背面開口13を閉塞することで、第一空間S1と第二空間S2とが気密性を維持して仕切られるようになっている。
なお、シャッター14は、制御部50からの指示により、開閉するようになっている。
【0033】
また、多段棚5,5の正面には、正面隔壁15が密着して配置される。この正面隔壁15により、保管庫本体2の内部空間(第二空間S2)が、多段棚5,5が配置された空間(以下、第三空間S3という)とウエハ搬送部20が配置された空間(以下、第四空間という)とに、気密性を有するように、仕切られる。
【0034】
そして、第三空間S3と第四空間S4の空気清浄度は略同一(或いは第四空間S4の方が第三空間S3よりも高く)になるように維持されている。
更に、第四空間S4の方が第三空間S3よりもやや高圧となるように維持されている。
多段棚5,5の正面に配置される正面隔壁15には、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに対応する位置に、それぞれウエハ収容カセット80の気密蓋83を出し入れするための正面開口16が形成されている。
【0035】
図7は、正面開口16を示す模式図である。
正面開口16は、気密蓋83よりも大きく、容器本体81よりも小さくなるように形成されている。後述するように、正面開口16の内周縁に対して容器本体81を押し付けて、第三空間S3と第四空間S4とを気密性を維持させるためである。
そして、各正面開口16には、シャッター17が付設されており、このシャッター17により正面開口16を閉塞することで、第三空間S3と第四空間S4とが気密性を維持して仕切られるようになっている。
なお、シャッター17は、制御部50からの指示により、開閉するようになっている。
【0036】
また、多段棚5,5の各カセット載置位置5cは、それぞれ内部隔壁18によって区画されている。つまり、各カセット載置位置5cは、棚板19(床面及び天井)、正面隔壁15(シャッター17)、背面隔壁12(シャッター14)、内部隔壁18によって、個別に密閉されている。
そして、密閉された各カセット載置位置5cには、それぞれエアパージ機構(不図示)が付設される。
【0037】
一方、多段棚5,5の背面側において、エアパージ機構は、カセット搬送部30によってウエハ収容カセット80を第一空間S1から各カセット載置位置5c(第三空間S3)に搬送したり、ウエハ収容カセット80を第一空間S1に搬出したりする際に、第一空間S1に存在するパーティクルやコンタミネーションが第三空間S3に侵入しないようにするものである。特に、搬入したウエハ収容カセット80に付着しているパーティクルやコンタミネーションを排除する。
【0038】
具体的には、ウエハ収容カセット80を各カセット載置位置5cに搬入出するために、背面隔壁12の背面開口13に付設されたシャッター14を開くと同時に、エアパージ機構から高い空気清浄度(クラス1程度)のエア又は不可性ガスをカセット載置位置5cに吹き付ける。このようにして、パーティクルやコンタミネーションをカセット載置位置5cから排除し、第一空間S1に放出させるようになっている。
これにより、ウエハ収容カセット80の気密蓋83を開けて、収容されていたウエハWを取り出したとしても、ウエハWがパーティクルやコンタミネーションに汚染されることが回避できるようになっている。
【0039】
次に、ウエハ用保管庫1の保管制御方法について説明する。ウエハWの入れ替えを行うソーティング処理、ウエハ収容カセット80の搬入作業、ウエハ収容カセット80の搬出作業の順に説明する。
【0040】
ウエハ用保管庫1(多段棚5,5の複数のカセット載置位置5c)に収容された複数のウエハ収容カセット80同士間において、ウエハWの入れ替えを行うソーティング処理は、以下の工程によって行う。
【0041】
多段棚5,5の複数のカセット載置位置5cには、予め複数のウエハWが収容されたウエハ収容カセット80が載置されている。また、各ウエハ収容カセット80に関する情報やこれら各ウエハ収容カセット80に収容されているウエハWに関する情報は、予め制御部50のウエハ情報記憶部52に記憶されている。
まず、制御部50は、ウエハ用保管庫1が設置された製造ラインを統括的に制御する不図示の製造ライン制御装置からの指令に基づいて、多段棚5,5に載置された複数のウエハ収容カセット80に収容された多数のウエハWのうち、ウエハ搬送部20によってソーティング処理を行うウエハWを決定する。
【0042】
そして、入れ替え対象のウエハWに関する情報とこのウエハWが収容された収容元のウエハ収容カセット80及び収容先の各ウエハ収容カセット80に関する情報をウエハ情報記憶部52及びカセット情報記憶部53から読み出すと共に、ウエハ搬送部20への動作指示情報を求め、これを記憶すると共にウエハ搬送部20に対して出力する。
【0043】
ウエハ搬送部20は、制御部50からの指令に基づいてソーティング処理を開始する。まず、入れ替え対象のウエハWが収容されたウエハ収容カセット80に向けて移動する。そして、ウエハ搬送部20は、走行部22及び本体部23を制御して、オープナー25が対象のウエハ収容カセット80が載置されたカセット載置位置5cに対向するように移動させる。
【0044】
次いで、制御部50からの指令により、正面隔壁15の正面開口16を閉塞していたシャッター17が開く。そして、オープナー25の可動部25bを作動させて、把握部25aをウエハ収容カセット80の気密蓋83に密着、把持(又は吸着)させる。そして、再度、可動部25bを作動させて、気密蓋83をウエハ収容カセット80から外して、第三空間S3から第四空間S4に取り出す。
【0045】
なお、ウエハ収容カセット80は、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに載置される際、又は正面開口16のシャッター17が開く際に、容器本体81が正面隔壁15の正面開口16の内周縁に密着固定される。そして、容器本体81を正面開口16に密着させて状態で、気密蓋83をウエハ収容カセット80から外す。
これにより、第三空間S3内のエアが第四空間S4内に侵入することが防止される。特に、第三空間S3内にパーティクルやコンタミネーションが残っている場合には有用である。
なお、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに容器本体81を正面開口16に向けて押し付る機構を設けてもよいし、オープナー25により押し付るようにしてもよい。
【0046】
次に、ウエハ搬送部20は、ウエハローダ24、走行部22及び本体部23を制御して、ウエハローダ24のアーム部24aに接続したハンド24bを気密蓋83が取り外されたウエハ収容カセット80に向けて移動させる。そして、ウエハ収容カセット80の正面開口82から容器本体81内にハンド24bを侵入させて、所望のウエハWを把持する。
所望のウエハWを把持すると、ハンド24bをウエハ収容カセット80から退避させ、再度、オープナー25をウエハ収容カセット80に向けて移動させる。そして、オープナー25が把持している気密蓋83を容器本体81に押し当てて、気密蓋83をウエハ収容カセット80に取付ける。
そして、オープナー25をウエハ収容カセット80から退避させると、シャッター17により正面隔壁15の正面開口16が閉塞される。
このようにして、任意の多段棚5の任意のカセット載置位置5cに載置されたウエハ収容カセット80から、所望のウエハWを取り外すことができる。
【0047】
次いで、ウエハ搬送部20は、ウエハローダ24のハンド24bに載置されたウエハWを把持した状態で、収容先のウエハ収容カセット80に向けて移動する。
そして、上述の工程と同様な工程を経て、所望のウエハWを収容先のウエハ収容カセット80内に収容する。
【0048】
所望のウエハWのソーティング処理が完了すると、その情報は、制御部50のウエハ情報記憶部52及びカセット情報記憶部53に記憶される。そして、次のソーティング処理に移行し、上述したソーティング工程を繰り返すことで、所望のウエハ収容カセット80内には、所望のウエハWのみが収容されるようになる。
【0049】
ウエハ用保管庫1(多段棚5)へのウエハ収容カセット80の搬入(保管)は、以下の工程によって行う。
まず、カセット搬送部30により、複数枚のウエハWが収容されたウエハ収容カセット80を多段棚5の背面5bから、所定のカセット載置位置5cに搬入する。ウエハ収容カセット80を収容すべきカセット載置位置5cの位置情報は、制御部50からカセット搬送部30に送られる。
【0050】
カセット搬送部30のハンド33によりウエハ収容カセット80を把持し、所定のカセット載置位置5c付近にウエハ収容カセット80を移動させると、制御部50からの指令により、背面隔壁12の背面開口13を閉塞していたシャッター14が開く。同時に、エアパージ機構が作動し始める。
【0051】
次いで、カセット搬送部30の多関節型ロボット32を制御して、ウエハ収容カセット80を多段棚5のカセット載置位置5cに載置する。そして、ハンド33による把持を解除し、ハンド33をカセット載置位置5cから退避させると、シャッター14が背面開口13を閉塞する。同時に、エアパージ機構が停止する。
【0052】
このようにして、ウエハ収容カセット80が多段棚5の任意のカセット載置位置5cに搬入・収容される。そして、この搬入・収容作業の間は、エアパージ機構が作動しているので、第一空間S1に存在したパーティクルやコンタミネーションが第三空間S3(第二空間S2)に侵入することが防止される。
なお、多段棚5に搬入されたウエハ収容カセット80のID番号やこのウエハ収容カセット80に収容されているウエハWのID番号等の情報は、搬入収容作業に先立って、制御部50の入力部51に入力される。
【0053】
ウエハ収容カセット80の容器本体81には、RFIDやバーコードが貼付されており、多段棚5への搬入に先立って、保管庫本体2の外部に設置した不図示のリーダーによってこのRFIDやバーコードを読み取るようになっている。
そして、このRFIDやバーコードにから、ウエハ収容カセット80のID番号やウエハ収容カセット80に収容されているウエハWのID番号等が、ウエハ用保管庫1が設置された製造ラインを統括的に制御する不図示の製造ライン制御装置から読み出され、制御部50の入力部51に入力されるようになっている。
【0054】
ウエハ用保管庫1(多段棚5)からのウエハ収容カセット80の搬出は、以下の工程によって行う。
まず、制御部50からカセット搬送部30に対して、搬出すべきウエハ収容カセット80の情報(多段棚5,カセット載置位置5cの位置情報等)が送られる。カセット搬送部30は、所定の多段棚5の背面5bに近づき、更にハンド33を所定の多段棚5に向けて移動させる。
【0055】
次に、制御部50からの指令により、背面隔壁12の背面開口13を閉塞していたシャッター14が開き、同時にエアパージ機構が作動し始める。
そして、多関節型ロボット32を制御して、ハンド33を第三空間S3内に移動させ、ウエハ収容カセット80を背面側から把持し、第一空間S1に向けて移動させる。
そして、ウエハ収容カセット80は、無人搬送車31上に載置される。カセット搬送部30は、無人搬送車31を制御して、所望の処理装置に向けて移動し始める。
【0056】
ウエハ収容カセット80がカセット載置位置5c(第三空間S3)から搬出されると、制御部50からの指令により、シャッター14が背面開口13を閉塞し、同時にエアパージ機構が停止する。
このようにして、任意の多段棚5の任意のカセット載置位置5cから、所望のウエハ収容カセット80が搬出される。そして、この搬出作業の間は、エアパージ機構が作動しているので、第一空間S1に存在したパーティクルやコンタミネーションが第三空間S3(第二空間S2)に侵入することが防止される。
【0057】
上述したウエハWのソーティング処理、ウエハ収容カセット80の搬入作業及び搬出作業は、互いの処理・作業が、同一のウエハ収容カセット80に対して重複しない限り、それぞれ別個独立に同時並行に行うことができる。
【0058】
また、ウエハ用保管庫1の多段棚5は、各カセット載置位置5cに直接ウエハ収容カセット80を搬入したり、搬出することができる。したがって、ウエハWのソーティング処理が完了したウエハ収容カセット80を適時に多段棚5から搬出することができる。また、ウエハ収容カセット80が未収容のカセット載置位置5cに対して、適時にソーティング処理を行うべきウエハ収容カセット80を搬入することができる。
また、複数のカセット搬送部30により、多段棚5に対して、同時にウエハ収容カセット80を搬入したり、搬出したりすることもできる。
【0059】
このように、ウエハ用保管庫1は、ウエハ収容カセット80同士間におけるウエハWのソーティング処理を効率的に行うことができると同時に、多段棚5からのウエハ収容カセット80の搬入出も効率的に行うことができる。
【0060】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0061】
上述した実施形態では、ウエハ搬送部20は、レール21上に1つの走行部22(ウエハローダ24等)を配置する場合について説明したが、これに限らない。レール21上に複数の走行部22(ウエハローダ24等)を配置することで、ウエハWのソーティング処理をより効率化することができる。
また、1つの走行部22に1つのウエハローダ24を接続する場合に限らず、複数のウエハローダ24を接続するようにしてもよい。
【0062】
また、ウエハ搬送部20は、床面上のレール21を走行する形式に限らず、天井から吊り下げられた状態で走行する形式であってもよい。
また、ウエハ搬送部20は、カセット搬送部30と同様に、直線状のレールを必要としない無人搬送車を用いる場合であってもよい。
【0063】
カセット搬送部30は、無人搬送車31上に多関節型ロボット32を設置した形式に限らない。例えば、ウエハ搬送部20と同様に、レール上を走行する形式であってもよい。
また、カセット搬送部30としては、多段棚5に密着してウエハ収容カセット80を多段棚5に出し入れする搬送系と、ウエハ収容カセット80を多段棚5から離間させる方向に搬送する搬送系とが、別個独立に存在してもよい。
なお、内部隔壁18は、必須のものではなく、したがって、第三空間S3の全体をエアパージ機構によりエアパージする場合であってもよい。
【0064】
また、カセット搬送部30は、無人搬送車31に代えて、天井走行台車を用いてもよい。つまり、多段棚5,5の各カセット載置位置5cに、ウエハ収容カセット80を水平方向に移動させる水平搬送機構を設け、多段棚5,5の背面5b,5b側の上方に設けられた天井走行台車及びこの天井走行台車に連結された多関節型ロボット32,ハンド33によりカセット載置位置5cから水平搬送機構により搬送されたウエハ収容カセット80を把持・搬送するようにしてもよい。
【0065】
上述した実施形態では、多段棚5,5の正面5a及び背面5bにそれぞれ隔壁15,12、開口16,13、シャッター17,14を設ける場合について説明したが、これに限らない。ウエハ収容カセット80に付着したパーティクル等が、第四空間S4に侵入してウエハWを汚染することを防止できる構成であればいずれも構成であってもよい。
上述したように、ウエハ収容カセット80の容器本体81を正面隔壁15の正面開口16の内周縁に密着固定する場合には、第三空間S3から第四空間S4へのパーティクル等の侵入を防止できるので、正面隔壁15や正面開口16を閉塞するシャッター17は必須ではない。
【0066】
また、多段棚5,5の正面5a及び背面5bにそれぞれ隔壁15,12、開口16,13、シャッター17,14を設け、更に第三空間S3にエアパージ機構を設ける場合には、第三空間S3から第四空間S4へのパーティクル等の侵入を防止できるので、ウエハ収容カセット80の容器本体81を正面隔壁15の正面開口16の内周縁に密着固定することは、必須ではない。
【0067】
また、上述した実施形態においては、半導体ウエハを対象とする場合について説明したが、これに限らない。例えば、FPD用のガラス基板、その他の板状部材であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係るウエハ用保管庫1の概略構成を示す上面図である。
【図2】ウエハ用保管庫1の多段棚5の正面図(図1のP矢視図)である。
【図3】ウエハ用保管庫1の側面図である。
【図4】ウエハ用保管庫1の多段棚5の背面図(図1のQ矢視図)である。
【図5】ウエハ収容カセット80を示す斜視図である。
【図6】ウエハ搬送部20のウエハローダ24及びオープナー25を示す上面図である。
【図7】正面開口16を示す模式図である。
【符号の説明】
【0069】
1…ウエハ用保管庫(基板保管庫)
2…保管庫本体
5…多段棚
5a…正面
5b…背面
5c…カセット載置位置
10…隔壁
12…背面隔壁
13…背面開口
14…シャッター(第一気密戸)
15…正面隔壁
16…正面開口
17…シャッター(第二気密戸)
18…内部隔壁
20…ウエハ搬送部(基板搬送部)
24…ウエハローダ
25…オープナー
30…カセット搬送部
50…制御部
80…ウエハ収容カセット(気密蓋付カセット)
81…容器本体
83…気密蓋
S1…第一空間
S2…第二空間
S3…第三空間
S4…第四空間
W…ウエハ(基板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を収容する気密蓋付カセットを複数載置可能な多段棚と、
前記多段棚の正面側に移動可能に配置されて前記多段棚に載置された前記気密蓋付カセットの気密蓋を開閉すると共に前記気密蓋付カセット同士間において前記基板を搬送する基板搬送部と、
前記多段棚の背面側に移動可能に配置されて前記多段棚の全てのカセット載置位置に対して前記気密蓋付カセットを搬入出するカセット搬送部と、
を備えることを特徴とする基板保管庫。
【請求項2】
前記多段棚は、前記カセット搬送部が配置される第一空間と前記多段棚及び前記基板搬送部が配置される第二空間とを隔てる背面隔壁と、
前記背面隔壁における前記カセット載置位置のそれぞれの対面位置に形成されて前記気密蓋付カセットを搬入出する背面開口と、
前記背面開口を閉塞する第一気密戸と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板保管庫。
【請求項3】
前記第一空間と前記第二空間とは、異なる空気状態に維持されることを特徴とする請求項2に記載の基板保管庫。
【請求項4】
前記多段棚は、前記多段棚が配置される第三空間と前記基板搬送部が配置される第四空間とを隔てる正面隔壁と、
前記正面隔壁における前記カセット載置位置のそれぞれの対面位置に形成されて前記気密蓋付カセットから前記基板を搬入出する正面開口と、
前記正面開口を閉塞する第二気密戸と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【請求項5】
前記気密蓋付カセットは、前記気密蓋付カセット本体が前記正面開口の内周縁に密着固定されるように前記多段棚に載置されることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【請求項6】
前記第三空間と前記第四空間とは、異なる空気状態に維持されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の基板保管庫。
【請求項7】
前記多段棚は、前記カセット収容位置を個別又は複数に区画する内部隔壁を有することを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【請求項8】
前記気密蓋付カセットが前記多段棚に搬入出される際に、前記第三空間をエアパージするエアパージ機構を備えることを特徴とする請求項4から請求項7のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【請求項9】
前記多段棚が前記基板搬送部を挟んで対向配置されると共に、前記カセット搬送部が前記多段棚毎に配置されることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【請求項1】
複数の基板を収容する気密蓋付カセットを複数載置可能な多段棚と、
前記多段棚の正面側に移動可能に配置されて前記多段棚に載置された前記気密蓋付カセットの気密蓋を開閉すると共に前記気密蓋付カセット同士間において前記基板を搬送する基板搬送部と、
前記多段棚の背面側に移動可能に配置されて前記多段棚の全てのカセット載置位置に対して前記気密蓋付カセットを搬入出するカセット搬送部と、
を備えることを特徴とする基板保管庫。
【請求項2】
前記多段棚は、前記カセット搬送部が配置される第一空間と前記多段棚及び前記基板搬送部が配置される第二空間とを隔てる背面隔壁と、
前記背面隔壁における前記カセット載置位置のそれぞれの対面位置に形成されて前記気密蓋付カセットを搬入出する背面開口と、
前記背面開口を閉塞する第一気密戸と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板保管庫。
【請求項3】
前記第一空間と前記第二空間とは、異なる空気状態に維持されることを特徴とする請求項2に記載の基板保管庫。
【請求項4】
前記多段棚は、前記多段棚が配置される第三空間と前記基板搬送部が配置される第四空間とを隔てる正面隔壁と、
前記正面隔壁における前記カセット載置位置のそれぞれの対面位置に形成されて前記気密蓋付カセットから前記基板を搬入出する正面開口と、
前記正面開口を閉塞する第二気密戸と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【請求項5】
前記気密蓋付カセットは、前記気密蓋付カセット本体が前記正面開口の内周縁に密着固定されるように前記多段棚に載置されることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【請求項6】
前記第三空間と前記第四空間とは、異なる空気状態に維持されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の基板保管庫。
【請求項7】
前記多段棚は、前記カセット収容位置を個別又は複数に区画する内部隔壁を有することを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【請求項8】
前記気密蓋付カセットが前記多段棚に搬入出される際に、前記第三空間をエアパージするエアパージ機構を備えることを特徴とする請求項4から請求項7のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【請求項9】
前記多段棚が前記基板搬送部を挟んで対向配置されると共に、前記カセット搬送部が前記多段棚毎に配置されることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の基板保管庫。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2008−100805(P2008−100805A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284131(P2006−284131)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(000115005)ユースエンジニアリング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(000115005)ユースエンジニアリング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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