説明

基板処理方法および基板処理装置

【課題】パターンの倒壊および残渣の発生を抑制または防止すること。
【解決手段】フッ化水素を含むHFベーパと、水が溶解可能で水よりも沸点が低い溶剤を含む溶剤ベーパとを基板に供給することにより、不要物をエッチングして基板から除去する除去工程(S2)が行われる。また、除去工程と並行して、基板上の溶剤を蒸発させる蒸発工程(S2)が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板にフッ酸(フッ化水素の水溶液)を供給することにより、基板から不要な膜を除去するエッチング工程や、基板からパーティクルを除去する洗浄工程が行われる。たとえば、特許文献1には、フッ酸を基板に供給して、基板から残渣を除去する基板処理方法が開示されている。基板にフッ酸が供給された後は、リンス液としての純水が基板に供給され、フッ酸が洗い流される。その後、基板から液体が除去されることにより、基板が乾燥する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4403202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板から液体を除去して基板を乾燥させるとき、基板表面に形成されたパターンが倒壊する場合がある。特に、高アスペクト比のパターンにおいて倒壊が発生し易い。パターンの倒壊が発生するのは、パターン間に存在する液体の表面張力によってパターンを傾ける力が発生するためである。そのため、液体ではなく、ベーパを用いれば、パターンの倒壊を抑制または防止できる。
【0005】
しかしながら、フッ酸のベーパを用いて基板を処理した場合、後述するように、残渣が発生してしまう。したがって、この残渣を基板から除去するために、基板に純水を供給する必要がある。しかし、純水が供給された基板を乾燥させると、純水の表面張力によってパターンが倒壊してしまう場合がある。
そこで、この発明の目的は、パターンの倒壊および残渣の発生を抑制または防止することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、不要物をエッチングして基板(W)から除去する基板処理方法であって、フッ化水素を含むHFベーパと、水が溶解可能で水よりも沸点が低い溶剤を含む溶剤ベーパとを基板に供給することにより、前記不要物をエッチングして除去する除去工程(S2)と、前記除去工程と並行して前記基板上の前記溶剤を蒸発させる蒸発工程(S2)とを含む、基板処理方法である。
【0007】
HFベーパは、フッ酸の蒸気であってもよいし、フッ酸の蒸気を含む気体であってもよい。たとえば、HFベーパは、フッ酸の蒸気とキャリアガスとを含む気体であってもよい。同様に、溶剤ベーパは、溶剤の蒸気であってもよいし、溶剤の蒸気を含む気体であってもよい。
また、除去工程は、HFベーパと溶剤ベーパとを別々に基板に供給して、HFベーパと溶剤ベーパとを基板で混合させる工程であってもよいし、混合された状態のHFベーパおよび溶剤ベーパを基板に供給する工程であってもよい。
【0008】
また、蒸発工程は、基板上の溶剤を加熱する加熱工程であってもよいし、気圧を減少させる減圧工程であってもよいし、基板上の溶剤を加熱すると共に、気圧を減少させる加熱・減圧工程であってもよい。
フッ化水素(HF)を含むHFベーパを二酸化ケイ素(SiO)に供給すると、「SiO+HF→HSiF+2HO」の反応が生じ、ヘキサフルオロケイ酸(HSiF)と水(HO)とが形成される。本願発明者の研究によると、HFベーパが供給された後に、水が基板に残っていると、「HSiF・8HO」が副産物として形成され、この副産物が残渣として基板に残留することが分かった。ヘキサフルオロケイ酸は、水がなければ、SiFとHFとに分解して、昇華してしまう。したがって、二酸化ケイ素のエッチングと並行して、水を除去すれば、残渣の発生を抑制または防止できる。
【0009】
この発明の方法によれば、HFベーパと溶剤ベーパとが、基板上で液化することにより、フッ化水素の微細な液滴と溶剤の微細な液滴とが基板に供給される。不要な膜やパーティクルなどの基板の不要物は、フッ化水素の供給によってエッチングされ除去される。また、水が溶剤に溶解可能であるので、エッチングによって生じた水は、この溶剤に溶け込む。さらに、溶剤の沸点が水の沸点より低いので、溶剤は、速やかに蒸発して基板から除去される。溶剤に溶け込んだ水は、溶剤と共に基板から除去される。これにより、水の残留量が低減される。このように、不要物がエッチングされている間、水が基板上から除去され続けるので、水の残留量を低減できる。これにより、残渣の発生を抑制または防止できる。さらに、ベーパを用いて不要物を除去するので、基板表面に形成されたパターンの倒壊を抑制または防止できる。
【0010】
前記溶剤は、請求項2記載の発明のように、水が溶解可能で水よりも沸点が低いフッ素系溶剤、および水が溶解可能で水よりも沸点が低いアルコールの少なくとも一方を含んでいてもよい。
請求項3記載の発明は、前記除去工程が行われた後に、基板に対する前記HFベーパの供給を停止した状態で、前記溶剤ベーパを前記基板に供給する溶剤ベーパ供給工程(S3)をさらに含む、請求項1または2に記載の基板処理方法である。
【0011】
溶剤ベーパ供給工程において基板に供給される溶剤ベーパに含まれる溶剤と、除去工程において基板に供給される溶剤ベーパに含まれる溶剤とは、同種の溶剤であってもよいし、異なる種の溶剤であってもよい。
フッ化水素がHFベーパに含まれているので、除去工程においてHFベーパが基板に供給されると、基板上でフッ素(フッ素イオンを含む)が発生する場合がある。この方法によれば、溶剤ベーパの供給によって基板からフッ素を除去することができる。これにより、フッ素の残留量を低減することができる。したがって、基板の清浄度を高めることができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記除去工程は、基板に供給される前記HFベーパと前記溶剤ベーパとの比を変更する比率変更工程(S2)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、不要物の除去量に応じて溶剤ベーパの割合を増減させることができる。たとえば、不要物の除去量が増加すると、エッチングによって生じる水の量が増加する。したがって、溶剤ベーパの割合を増加させることにより、エッチングによって生じる水を基板上から確実に除去することができる。これにより、残渣の発生を抑制または防止できる。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記除去工程が行われた後に、前記HFベーパおよび溶剤ベーパに晒されている基板から当該HFベーパおよび溶剤ベーパを除去するベーパ除去工程(S4)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、除去工程において基板に供給され、基板の近傍を漂うHFベーパおよび溶剤ベーパが除去される。これにより、HFベーパおよび溶剤ベーパが基板に付着して、微細な液滴が基板上で発生することを抑制または防止できる。さらに、基板に付着している微細な液滴を除去できる。このように、基板は、除去工程からベーパ除去工程を通じて、乾燥状態、つまり、パターン間に液体が満たされていない状態に維持される。したがって、パターン間に存在する液体の表面張力によってパターンが倒壊することを抑制または防止できる。
【0014】
請求項6記載の発明は、前記除去工程は、前記不要物の種類に応じた水分濃度を有する前記HFベーパと前記溶剤ベーパとを基板に供給する工程である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、不要物の種類に応じた水分濃度を有するHFベーパが基板に供給される。不要物の種類によっては、水が存在しない環境下では、エッチングレート(単位時間当たりの除去量)が低い場合がある。したがって、このような不要物を含む基板に対して、水分濃度が高いHFベーパを供給することにより、処理時間を短縮することができる。一方、不要物の種類によっては、エッチングレートが高く、エッチング時における単位時間あたりの水の発生量が多い場合がある。したがって、このような不要物を含む基板に対して、水分濃度の低いHFベーパを供給することにより、基板上の水分量を減少させて、残渣の発生を抑制または防止することができる。
【0015】
請求項7記載の発明は、基板(W)を保持する基板保持手段(14)と、フッ化水素を含むHFベーパと、水が溶解可能で水よりも沸点が低い溶剤を含む溶剤ベーパとを前記基板保持手段に保持されている基板に供給するベーパ供給手段(7b1、7b2、11、33)と、前記基板保持手段に保持されている基板上の前記溶剤を蒸発させる蒸発手段(14)と、前記ベーパ供給手段を制御することにより、前記基板保持手段に保持されている基板に前記HFベーパと前記溶剤ベーパとを供給させ、不要物をエッチングして前記基板から除去させる除去工程と、前記蒸発手段を制御することにより、前記除去工程と並行して前記基板上の前記溶剤を蒸発させる蒸発工程とを実行させる制御手段(4)とを含む、基板処理装置(1)である。この構成によれば、請求項1の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0016】
請求項8記載の発明は、前記ベーパ供給手段は、水が溶解可能で水よりも沸点が低いフッ素系溶剤、および水が溶解可能で水よりも沸点が低いアルコールの少なくとも一方を含む前記溶剤ベーパと、前記HFベーパとを前記基板保持手段に保持されている基板に供給する、請求項7に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項2の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0017】
請求項9記載の発明は、前記基板保持手段に保持されている基板に前記溶剤ベーパを供給する溶剤ベーパ供給手段(33)をさらに含み、前記制御手段は、前記ベーパ供給手段および溶剤ベーパ供給手段を制御することにより、前記除去工程が行われた後に、基板に対する前記HFベーパの供給を停止させた状態で、前記溶剤ベーパを基板に供給させる溶剤ベーパ供給工程をさらに実行する、請求項7または8に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項3の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0018】
請求項10記載の発明は、前記ベーパ供給手段は、基板に供給される前記HFベーパと前記溶剤ベーパとの比を変更する比率変更手段(25、35)を含み、前記制御手段は、前記比率変更手段を制御することにより、前記除去工程において基板に供給される前記HFベーパと前記溶剤ベーパとの比を変更する比率変更工程を実行する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項4の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0019】
請求項11記載の発明は、ベーパを除去するベーパ除去手段(19、29)をさらに含み、前記制御手段は、前記ベーパ除去手段を制御することにより、前記除去工程が行われた後に、前記HFベーパおよび溶剤ベーパに晒されている基板から当該HFベーパおよび溶剤ベーパを除去するベーパ除去工程をさらに実行する、請求項7〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項5の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0020】
請求項12記載の発明は、前記ベーパ供給手段は、フッ化水素を含む第1HFベーパと前記溶剤ベーパとを前記基板保持手段に保持されている基板に供給する第1ベーパ供給手段(7b1)と、フッ化水素と水とを含み前記第1HFベーパよりも水分濃度が高い第2HFベーパと前記溶剤ベーパとを前記基板保持手段に保持されている基板に供給する第2ベーパ供給手段(7b2)とを含み、前記制御手段は、前記不要物の種類に応じて前記第1ベーパ供給手段および第2ベーパ供給手段を制御することにより、前記除去工程において、前記第1HFベーパまたは第2HFベーパと前記溶剤ベーパとを基板に供給させる、請求項7〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項6の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0021】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。
【図2】ベーパエッチングユニットの概略構成を示す模式図である。
【図3】基板処理装置によって行われる基板の処理例を説明するためのフローチャートである。
【図4】基板処理装置によって行われる基板の処理例を説明するためのフローチャートである。
【図5】処理中における基板の状態を説明するための模式図である。
【図6】処理中における基板の状態を説明するための模式図である。
【図7】処理中における基板の状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す図解的な平面図である。
基板処理装置1は、薬液やリンス液などの処理液によって半導体ウエハ等の円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。基板処理装置1は、インデクサブロック2と、インデクサブロック2に結合された処理ブロック3と、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置4(制御手段)とを備えている。
【0024】
インデクサブロック2は、キャリア保持部5と、インデクサロボットIRと、IR移動機構6とを備えている。基板Wを収容する複数のキャリアCは、水平なキャリア配列方向Uに配列された状態で、キャリア保持部5に保持される。IR移動機構6は、キャリア配列方向UにインデクサロボットIRを移動させる。インデクサロボットIRは、キャリア保持部5に保持されたキャリアCに基板Wを搬入する搬入動作、および基板WをキャリアCから搬出する搬出動作を行う。基板Wは、インデクサロボットIRによって搬送される。
【0025】
一方、処理ブロック3は、基板Wを処理する複数(たとえば、4つ以上)の処理ユニット7と、センターロボットCRとを備えている。複数の処理ユニット7は、たとえば、平面視において、センターロボットCRを取り囲むように配置されている。センターロボットCRは、処理ユニット7に基板Wを搬入する搬入動作、および基板Wを処理ユニット7から搬出する搬出動作を行う。さらに、センターロボットCRは、複数の処理ユニット7間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサロボットIRから基板Wを受け取ると共に、インデクサロボットIRに基板Wを渡す。インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRは、制御装置4によって制御される。
【0026】
複数の処理ユニット7は、エッチング剤の一例であるエッチング液を基板Wに供給して基板Wをエッチングするウェットエッチングユニット7aと、エッチング剤の一例であるエッチングベーパを基板Wに供給して基板Wをエッチングするベーパエッチングユニット7bとを含む。ウェットエッチングユニット7aは、基板Wを水平に保持して当該基板Wの中心を通る鉛直軸線まわりに基板Wを回転させるスピンチャック8と、スピンチャック8に保持されている基板Wにエッチング液を供給するエッチングノズル9と、スピンチャック8に保持されている基板Wにリンス液を供給するリンス液ノズル10とを含む。また、ベーパエッチングユニット7bは、無水系のベーパエッチングユニット7b1(ベーパ供給手段、第1ベーパ供給手段)と、有水系のベーパエッチングユニット7b2(ベーパ供給手段、第2ベーパ供給手段)とを含む。無水系のベーパエッチングユニット7b1の構成と、有水系のベーパエッチングユニット7b2の構成とは共通である。以下では、ベーパエッチングユニット7b1、7b2の構成について説明する。
【0027】
図2は、ベーパエッチングユニット7b1、7b2の概略構成を示す模式図である。
ベーパエッチングユニット7b1、7b2は、フッ酸を密閉状態で貯留するHFベーパ発生容器11(ベーパ供給手段)と、HFベーパ発生容器11を収容するハウジング12とを備えている。HFベーパ発生容器11の下方には、気体を下方に吐出する多数の貫通孔が形成されたパンチングプレート13が設けられている。さらに、パンチングプレート13の下方には、基板Wをパンチングプレート13に対向させた状態で、当該基板Wを水平に保持するホットプレート14(基板保持手段、蒸発手段)が配置されている。ホットプレート14に保持されている基板Wは、ホットプレート14によって加熱される。ホットプレート14は、回転軸15の上端に固定されている。モータ等を含む回転駆動機構16が回転軸15を回転させると、ホットプレート14は、回転軸15と共に鉛直軸線まわりに回転する。これにより、ホットプレート14に保持されている基板Wが、基板Wの中心を通る鉛直軸線まわりに回転する。
【0028】
ベーパエッチングユニット7bは、ホットプレート14の周囲に設けられた筒状のベローズ17をさらに備えている。ホットプレート14は、ベローズ17の内側に配置されている。ベローズ17は、ハウジング12の底面12aに対して上下に収縮可能である。図示しない駆動機構は、ベローズ17の上端縁がパンチングプレート13に当接し、ホットプレート14の周囲の空間が密閉される密閉位置(実線で示す位置)と、ベローズ17の上端縁がホットプレート14の上面14aよりも下方に退避した退避位置(破線で示す位置)との間で、ベローズ17を伸縮させる。ベローズ17内の気体は、ハウジング12の底面12aに接続された排気配管18を介して排気装置19(ベーパ除去手段)により排出される。
【0029】
また、ハウジング12の側壁には、ホットプレート14の側方に位置する開口20が形成されている。開口20は、シャッタ21によって開閉される。ベーパエッチングユニット7bに基板Wが搬入されるときには、予め、ベローズ17が退避位置(破線で示す位置)に配置されると共に、開口20が開かれる。そして、この状態で、センターロボットCRによって、ホットプレート14上に基板Wが載置される。その後、開口20がシャッタ21によって閉じられる。一方、ベーパエッチングユニット7bから基板Wが搬出されるときには、ベローズ17が退避位置に配置されると共に、開口20が開かれる。そして、この状態で、ホットプレート14に保持されている基板WがセンターロボットCRによって搬出される。その後、開口20がシャッタ21によって閉じられる。
【0030】
HFベーパ発生容器11は、HFベーパ発生容器11内に形成されたベーパ発生空間22を有している。無水系のベーパエッチングユニット7b1では、有水系のベーパエッチングユニット7b2よりも水分濃度が低いフッ酸が、HFベーパ発生容器11内に貯留されている。具体的には、無水系のベーパエッチングユニット7b1では、たとえば、フッ化水素の濃度が99.9%以上の無水フッ酸が、HFベーパ発生容器11内に貯留されている。また、有水系のベーパエッチングユニット7b2では、たとえば、いわゆる擬似共弗組成となる濃度(たとえば、1気圧、室温のもとで、約39.6%)に調整されたフッ酸が、HFベーパ発生容器11内に貯留されている。無水系のベーパエッチングユニット7b1で生成されるHFベーパは、フッ化水素を含む第1HFベーパであり、有水系のベーパエッチングユニット7b2で生成されるHFベーパは、フッ化水素と水とを含み第1HFベーパよりも水分濃度が高い第2HFベーパである。
【0031】
HFベーパ発生容器11には、キャリアガスの一例である窒素ガスをベーパ発生空間22に供給する第1配管23が接続されている。第1N供給源24からの窒素ガスは、第1流量コントローラ25(MFC、比率変更手段)、第1バルブ26、および第1配管23を介してベーパ発生空間22に供給される。また、HFベーパ発生容器11は、HFベーパ発生容器11に形成された流路27を有している。ベーパ発生空間22は、連通バルブ28を介して流路27に接続されている。第2N供給源29(ベーパ除去手段)からの窒素ガスは、第2流量コントローラ30、第2バルブ31および第2配管32を介して流路27に供給される。第1バルブ26および連通バルブ28が開かれている状態では、ベーパ発生空間22に漂うHFベーパが、窒素ガスの流れによって連通バルブ28を介して流路27に供給される。したがって、第1バルブ26、第2バルブ31、および連通バルブ28が開かれている状態では、流路27に供給されたHFベーパが、第2配管32から流路27に供給された窒素ガスの流れによってパンチングプレート13に導かれる。これにより、ホットプレート14に保持されている基板Wに、HFベーパが吹き付けられる。
【0032】
また、HFベーパ発生容器11には、溶剤を含む溶剤ベーパを流路27に供給する第3配管33(ベーパ供給手段、溶剤ベーパ供給手段)が接続されている。第3配管33は、第2バルブ31および第2流量調整バルブよりも下流側で第2配管32に接続されている。したがって、第3配管33は、第2配管32を介して流路27に接続されている。溶剤ベーパ供給源34からの溶剤ベーパは、第3流量コントローラ35(比率変更手段)、第3バルブ36、および第3配管33を介して第2配管32に供給される。そして、第2配管32に供給された溶剤ベーパは、第2配管32から流路27に流れ、パンチングプレート13に導かれる。これにより、ホットプレート14に保持されている基板Wに、溶剤ベーパが吹き付けられる。
【0033】
溶剤ベーパに含まれる溶剤は、水が溶解可能で、かつ、水よりも沸点が低い溶剤である。溶剤ベーパに含まれる溶剤は、不燃性であることが好ましい。溶剤ベーパに含まれる溶剤としては、たとえば、水が溶解可能で水よりも沸点が低いフッ素系溶剤、および水が溶解可能で水よりも沸点が低いアルコールの少なくとも一方を含む溶剤が挙げられる。フッ素系溶剤は、たとえば、HFE(ハイドロフロロエーテル)であってもよいし、アルコールは、メタノール、エタノール、およびIPA(イソプロピルアルコール)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。溶剤ベーパに含まれる溶剤の具体例としては、HFEとIPAとの混合物(HFEが95%で、IPAが5%)が挙げられる。
【0034】
図3および図4は、基板処理装置1によって行われる基板Wの処理例を説明するためのフローチャートである。図5、図6、および図7は、処理中における基板Wの状態を説明するための模式図である。以下では、ホットプレート14によって常時加熱されている基板Wにフッ化水素を供給して、犠牲膜やパーティクルなどのSiOを含む不要物を基板Wから除去するときの処理例について説明する。最初に、図3に示す第1処理例について説明する。以下では、図2および図3を参照する。
【0035】
[第1処理例]
センターロボットCRによってホットプレート14上に基板Wが載置された後は、ベローズ17内の雰囲気が窒素ガスに置換される(S1)。具体的には、制御装置4は、ベローズ17が密閉位置(実線で示す位置)に配置されており、排気装置19が駆動されている状態で、第2バルブ31を開く。これにより、第2配管32から流路27に窒素ガスが供給され、この窒素ガスが、パンチングプレート13からベローズ17内に供給される。ベローズ17内の雰囲気は、排気装置19の吸引力によって排気配管18に排出されると共に、ベローズ17内に供給された窒素ガスによって排気配管18に押し出される。これにより、ベローズ17内の雰囲気が窒素ガスに置換される。制御装置4は、ベローズ17内の雰囲気が窒素ガスに置換された後、第2バルブ31を閉じる。
【0036】
次に、HFベーパおよび溶剤ベーパが基板Wに供給される(S2)。具体的には、制御装置4は、基板W自体および基板Wの周囲の温度がホットプレート14によって溶剤の沸点以上の温度(たとえば40〜150℃の範囲内の一定の温度)に維持されている状態で、回転駆動機構16によってホットプレート14に保持されている基板Wを回転させる。その後、制御装置4は、第1バルブ26、第3バルブ36、および連通バルブ28を開く。これにより、HFベーパおよび溶剤ベーパが流路27に供給される。流路27に供給されたHFベーパおよび溶剤ベーパは、流路27で混ざり合い、混ざり合った状態でパンチングプレート13の貫通孔を通過する。これにより、HFベーパおよび溶剤ベーパが、ホットプレート14によって一定の温度に保たれている回転状態の基板Wに吹き付けられる。
【0037】
基板Wに吹き付けられたHFベーパと溶剤ベーパとは、基板W上で液化する。これにより、フッ化水素の微細な液滴と溶剤の微細な液滴とが基板Wに供給される。犠牲膜やパーティクルなどの不要物は、フッ化水素の供給によってエッチングされ除去される。また、水が溶剤に溶解可能であるので、エッチングによって生じた水は、この溶剤に溶け込む。さらに、基板WへのHFベーパおよび溶剤ベーパの供給と並行して、基板Wおよび雰囲気がホットプレート14によって加熱されているので、水よりも沸点が低い溶剤は、速やかに蒸発して基板Wから除去される。溶剤に溶け込んだ水は、溶剤と共に基板Wから除去される。このように、基板Wの不要物がエッチングされている間、エッチングによって生じた水は、除去され続ける。これにより、水の残留量が低減される。したがって、残渣の発生が抑制または防止される。
【0038】
次に、溶剤ベーパが基板Wに供給される(S3)。具体的には、制御装置4は、第3バルブ36が開かれたまま、第1バルブ26および連通バルブ28を閉じる。これにより、流路27へのHFベーパの供給が停止される。そのため、流路27には、溶剤ベーパだけが供給される。したがって、溶剤ベーパだけが、パンチングプレート13の貫通孔を通過して、ホットプレート14に保持されている基板Wに供給される。これにより、HFベーパの供給によって生成されたフッ素(フッ素イオンを含む)が基板W上から除去される。そのため、基板W上のフッ素の残留量が低減される。制御装置4は、基板Wへの溶剤ベーパの供給が所定時間にわたって行われた後、第3バルブ36を閉じる。
【0039】
次に、ベローズ17内の雰囲気が、再び窒素ガスに置換される(S4)。具体的には、制御装置4は、第2バルブ31を開く。これにより、窒素ガスがベローズ17内に供給される。ベローズ17内の雰囲気、すなわち、ベローズ17内に漂うHFベーパおよび溶剤ベーパや、基板Wのエッチングによって生成された気体は、排気装置19の吸引力によって排気配管18に排出されると共に、ベローズ17内に供給された窒素ガスによって排気配管18に押し出される。これにより、ベローズ17内の雰囲気が窒素ガスに置換される。したがって、ベローズ17内に残留しているHFベーパおよび溶剤ベーパが基板Wに付着して、液滴が基板W上で発生することを抑制または防止できる。さらに、液滴が基板Wに付着していたとしても、窒素ガスの供給によって液滴を蒸発させて基板Wから除去できる。制御装置4は、ベローズ17内の雰囲気が窒素ガスに置換された後、第2バルブ31を閉じる。その後、乾燥状態の基板Wが、センターロボットCRによってホットプレート14から搬出される。
【0040】
このようにして、HFベーパが基板Wに供給され、不要物が基板Wから除去される。制御装置4は、前述の処理を無水系のベーパエッチングユニット7b1および有水系のベーパエッチングユニット7b2のいずれで行ってもよい。たとえば、制御装置4は、犠牲膜の種類に応じて、無水系のベーパエッチングユニット7b1および有水系のベーパエッチングユニット7b2を使い分けてもよい。すなわち、無水系のベーパエッチングユニット7b1および有水系のベーパエッチングユニット7b2のいずれで基板Wが処理されるかが、犠牲膜の種類に応じてレシピ(基板Wに対する処理内容)で設定されており、制御装置4は、このレシピに基づいて、無水系のベーパエッチングユニット7b1および有水系のベーパエッチングユニット7b2を使い分けてもよい。
【0041】
犠牲膜が酸化膜(SiOからなる膜)の場合、HFベーパを基板Wに供給しても、水が存在しない環境下では、エッチングレート(単位時間当たりの除去量)が低い。したがって、この場合、制御装置4は、有水系のベーパエッチングユニット7b2によって水分濃度の高いHFベーパを基板Wに供給させてもよい。一方、BSG膜(ホウ素を含むSiO膜)は、酸化膜よりもエッチングレートが高い。したがって、エッチング時における単位時間あたりの水の発生量が多い。そのため、水が残留してしまう場合がある。よって、この場合、制御装置4は、無水系のベーパエッチングユニット7b1によって水分濃度の低いHFベーパを基板Wに供給させてもよい。これにより、基板Wに対する水の供給量が減少するので、基板W上の水分量を減少させて、残渣の発生を抑制または防止できる。
【0042】
また、制御装置4は、第1流量コントローラ25および第3流量コントローラ35を制御することにより、犠牲膜の除去量に応じて、HFベーパ&溶剤ベーパ供給工程(図3のS2)において、基板Wに供給されるHFベーパと溶剤ベーパとの比を変更してもよい。すなわち、犠牲膜の除去量が増加すると、エッチングによって生じる水の量が増加する。したがって、制御装置4は、溶剤ベーパの割合を増加させて、エッチングによって生じる水を基板W上から確実に除去させてもよい。このように、基板Wに供給されるHFベーパと溶剤ベーパとの比を変更することにより、犠牲膜の除去量に拘わらず、残渣の発生を抑制または防止できる。
【0043】
また、制御装置4は、HFベーパを基板Wに供給して、ホール内を洗浄してもよい。すなわち、図5の比較例に示すように、フッ酸を基板Wに供給するウェットエッチングによってホール内を洗浄すると、フッ酸がホールの底部まで十分に行き渡らないため、パーティクルがホールの底部に残留する場合がある。さらに、ホールの内周面の上部がエッチングされて、ホールの直径が、上部と底部とで異なってしまう場合がある。一方、図5の実施例に示すように、HFベーパを用いれば、ホールに対してHFベーパを均一に供給することができる。したがって、ホールが深い場合であっても、ホールの直径にばらつきが生じることを抑制または防止できると共に、ホール内のパーティクルを確実に除去できる。
【0044】
[第2処理例]
次に、図4に示す第2処理例について説明する。以下では、図1および図4を参照する。
第2処理例では、制御装置4は、センターロボットCRによって基板Wをウェットエッチングユニット7aに搬入させる。その後、フッ酸が基板Wに供給される(S5)。具体的には、制御装置4は、エッチングノズル9からスピンチャック8に保持されている基板Wにフッ酸を供給させて、基板Wをエッチングさせる。続いて、制御装置4は、リンス液ノズル10からスピンチャック8の保持されている基板Wにリンス液を供給させて、基板W上のフッ酸を洗い流す(S6)。そして、制御装置4は、スピンチャック8によって基板Wを高速回転させて、基板Wを乾燥させる(S7)。制御装置4は、基板Wが乾燥した後、センターロボットCRによってウェットエッチングユニット7aから基板Wを搬出させ、この基板Wをベーパエッチングユニット7bに搬入させる。
【0045】
次に、制御装置4は、ベーパエッチングユニット7bに第1処理例と同様の動作を実行させる。具体的には、センターロボットCRによってホットプレート14上に基板Wが載置された後は、第1処理例と同様に、ベローズ17内の雰囲気が窒素ガスに置換される(S1)。その後、第1処理例と同様に、HFベーパおよび溶剤ベーパが基板Wに供給される(S2)。これにより、基板Wがエッチングされる。その後、第1処理例と同様に、溶剤ベーパが基板Wに供給される(S3)。続いて、第1処理例と同様に、ベローズ17内の雰囲気が、再び窒素ガスに置換される(S4)。そして、乾燥状態の基板Wが、センターロボットCRによってホットプレート14から搬出される。
【0046】
このようにして、フッ酸およびHFベーパが基板Wに順次供給される。すなわち、フッ酸によるウェットエッチングと、HFベーパによるベーパエッチングとが順次行われる。たとえば、高アスペクト比(たとえば、アスペクト比が10以上)のパターンが形成されている基板Wからウェットエッチングだけで犠牲膜を全て除去した後に、基板Wを乾燥させると、パターンの倒壊が発生する場合がある。また、このような基板Wからベーパエッチングだけで犠牲膜を全て除去する場合、犠牲膜の除去量が多いので、水の発生量が多い。したがって、基板W上に水が残留してしまう場合がある。そのため、残渣が基板Wに残留してしまう場合がある。
【0047】
しかし、高アスペクト比のパターンが基板Wに形成されている場合、前述の第2処理例では、図6に示すように、犠牲膜の一部(上層部)が除去された後、基板Wの乾燥が行われる(ウェットエッチング〜スピンドライ)。すなわち、全ての犠牲膜が除去された状態で基板Wが乾燥される場合よりも、パターンにおいて露出されている部分の高さが低い状態で、基板Wの乾燥が行われる。これにより、パターンの倒壊が抑制または防止される。そして、図6に示すように、HFベーパが基板Wに供給されることにより、犠牲膜の残りの部分(下層部)が除去される(ベーパエッチング)。これにより、パターンの倒壊が抑制または防止される。さらに、ベーパエッチングによって除去する犠牲膜の量が減少しているので、水の残留を抑制または防止できる。これにより、残渣の発生を抑制または防止できる。
【0048】
一方、図7に示すように、高アスペクト比のパターンが基板Wに形成されていると共に、種類の異なる複数の犠牲膜が形成されている場合、より具体的には、上側の犠牲膜が、たとえば酸化膜(SiOからなる膜)であり、下側の犠牲膜が、たとえばBSG膜である場合、ウェットエッチングだけで全ての犠牲膜を除去すると、パターンの倒壊が発生する場合がある。また、ベーパエッチングで酸化膜を除去する場合、ウェットエッチングで酸化膜を除去する場合よりもエッチングレートが低いので、酸化膜の除去に要する時間が増加してしまう。
【0049】
しかし、高アスペクト比のパターンが基板Wに形成されていると共に、種類の異なる複数の犠牲膜が形成されている場合、前述の第2処理例では、図7に示すように、ウェットエッチングによって上側の犠牲膜(酸化膜)が除去されるので、酸化膜の除去に要する時間を短縮できる。さらに、パターンにおいて露出されている部分の高さが低い状態で、基板Wの乾燥が行われるので、パターンの倒壊を抑制または防止できる。そして、図7に示すように、HFベーパを基板Wに供給することにより、下側の犠牲膜(BSG膜)を除去するので、パターンの倒壊を抑制または防止できる。これにより、処理時間を短縮すると共に、パターンの倒壊および残渣の残留を抑制または防止できる。
【0050】
以上のように本実施形態では、HFベーパと溶剤ベーパとを基板Wに供給すると共に、HFベーパおよび溶剤ベーパの供給と並行して基板W上の溶剤を蒸発させることにより、エッチングによって生じる水を除去することができる。これにより、残渣の発生を抑制または防止できる。したがって、パターンの倒壊を抑制または防止しながら、残渣の発生を抑制または防止できる。
【0051】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1処理例および第2処理例では、HFベーパと溶剤ベーパとが基板に同時に供給される場合について説明したが、制御装置4は、HFベーパと溶剤ベーパとを基板に供給する前に、HFベーパおよび溶剤ベーパの一方を予め基板に供給してもよい。たとえば、溶剤ベーパを予め基板に供給してもよい。
【0052】
また、前述の第1処理例および第2処理例では、HFベーパと溶剤ベーパとが基板に供給された後に、溶剤ベーパが基板に供給される場合について説明したが、制御装置4は、HFベーパと溶剤ベーパとが基板に供給された後に、溶剤ベーパを基板に供給せずに、基板の周囲の雰囲気を窒素ガスに置換してもよい。
また、前述の第1処理例および第2処理例において、制御装置4は、ホットプレート14によって基板の温度を制御することにより、基板で液化するHFベーパおよび溶剤ベーパの量を調整してもよい。たとえば、不要物の除去量が多い場合には、基板の温度を低下させて、基板に供給されるフッ化水素の液滴の量を増加させてもよい。
【0053】
また、前述の実施形態では、基板処理装置1が、円板状の基板を処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板を処理する装置であってもよい。また、基板処理装置1は、枚葉式の基板処理装置に限らず、複数枚の基板を一括して処理するバッチ式の基板処理装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 基板処理装置
4 制御装置(制御手段)
7b1 無水系のベーパエッチングユニット(ベーパ供給手段、第1ベーパ供給手段)
7b2 有水系のベーパエッチングユニット(ベーパ供給手段、第2ベーパ供給手段)
11 HFベーパ発生容器(ベーパ供給手段)
14 ホットプレート(基板保持手段、蒸発手段)
19 排気装置(ベーパ除去手段)
25 第1流量コントローラ(比率変更手段)
29 第2N供給源(ベーパ除去手段)
33 溶剤ベーパ供給原(ベーパ供給手段、溶剤ベーパ供給手段)
35 第3流量コントローラ(比率変更手段)
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不要物をエッチングして基板から除去する基板処理方法であって、
フッ化水素を含むHFベーパと、水が溶解可能で水よりも沸点が低い溶剤を含む溶剤ベーパとを基板に供給することにより、前記不要物をエッチングして除去する除去工程と、
前記除去工程と並行して前記基板上の前記溶剤を蒸発させる蒸発工程とを含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記溶剤は、水が溶解可能で水よりも沸点が低いフッ素系溶剤、および水が溶解可能で水よりも沸点が低いアルコールの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記除去工程が行われた後に、基板に対する前記HFベーパの供給を停止した状態で、前記溶剤ベーパを前記基板に供給する溶剤ベーパ供給工程をさらに含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記除去工程は、基板に供給される前記HFベーパと前記溶剤ベーパとの比を変更する比率変更工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記除去工程が行われた後に、前記HFベーパおよび溶剤ベーパに晒されている基板から当該HFベーパおよび溶剤ベーパを除去するベーパ除去工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記除去工程は、前記不要物の種類に応じた水分濃度を有する前記HFベーパと前記溶剤ベーパとを基板に供給する工程である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
基板を保持する基板保持手段と、
フッ化水素を含むHFベーパと、水が溶解可能で水よりも沸点が低い溶剤を含む溶剤ベーパとを前記基板保持手段に保持されている基板に供給するベーパ供給手段と、
前記基板保持手段に保持されている基板上の前記溶剤を蒸発させる蒸発手段と、
前記ベーパ供給手段を制御することにより、前記基板保持手段に保持されている基板に前記HFベーパと前記溶剤ベーパとを供給させ、不要物をエッチングして前記基板から除去させる除去工程と、前記蒸発手段を制御することにより、前記除去工程と並行して前記基板上の前記溶剤を蒸発させる蒸発工程とを実行させる制御手段とを含む、基板処理装置。
【請求項8】
前記ベーパ供給手段は、水が溶解可能で水よりも沸点が低いフッ素系溶剤、および水が溶解可能で水よりも沸点が低いアルコールの少なくとも一方を含む前記溶剤ベーパと、前記HFベーパとを前記基板保持手段に保持されている基板に供給する、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板保持手段に保持されている基板に前記溶剤ベーパを供給する溶剤ベーパ供給手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記ベーパ供給手段および溶剤ベーパ供給手段を制御することにより、前記除去工程が行われた後に、基板に対する前記HFベーパの供給を停止させた状態で、前記溶剤ベーパを基板に供給させる溶剤ベーパ供給工程をさらに実行する、請求項7または8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記ベーパ供給手段は、基板に供給される前記HFベーパと前記溶剤ベーパとの比を変更する比率変更手段を含み、
前記制御手段は、前記比率変更手段を制御することにより、前記除去工程において基板に供給される前記HFベーパと前記溶剤ベーパとの比を変更する比率変更工程を実行する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
ベーパを除去するベーパ除去手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記ベーパ除去手段を制御することにより、前記除去工程が行われた後に、前記HFベーパおよび溶剤ベーパに晒されている基板から当該HFベーパおよび溶剤ベーパを除去するベーパ除去工程をさらに実行する、請求項7〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記ベーパ供給手段は、フッ化水素を含む第1HFベーパと前記溶剤ベーパとを前記基板保持手段に保持されている基板に供給する第1ベーパ供給手段と、フッ化水素と水とを含み前記第1HFベーパよりも水分濃度が高い第2HFベーパと前記溶剤ベーパとを前記基板保持手段に保持されている基板に供給する第2ベーパ供給手段とを含み、
前記制御手段は、前記不要物の種類に応じて前記第1ベーパ供給手段および第2ベーパ供給手段を制御することにより、前記除去工程において、前記第1HFベーパまたは第2HFベーパと前記溶剤ベーパとを基板に供給させる、請求項7〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21208(P2013−21208A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154632(P2011−154632)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】