説明

基板処理方法

【課題】薬液よる基板の薬液処理後、純水処理時における基板表面へのパーティクルの転写を抑制する。
【解決手段】ウエハWに洗浄処理を行う基板処理方法において、フッ酸(HF)等の薬液を貯溜した第1処理槽11にウエハWを浸漬させつつ薬液によりウエハWに薬液処理を行う薬液処理工程と、塩酸(HCl)を含む液体を第2処理槽21へ供給し、第2処理槽21を塩酸を含む液体により洗浄する処理槽洗浄工程と、第2処理槽21へ純水(HO)を供給し、薬液処理工程で薬液処理されたウエハWを第2処理槽21に貯溜された純水に浸漬させつつ純水によりウエハWに純水処理を行う純水処理工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ、液晶表示用ガラス基板等の基板を薬液、純水等の処理液に浸漬させて基板に洗浄処理、エッチング処理等の所定の処理を行う基板処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI等の半導体デバイスの製造工程における洗浄処理を例にとると、従来から半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」とする。)表面に付着されたパーティクル、有機物汚染、金属不純物等のコンタミネーションを除去するためには、基板洗浄装置が用いられており、その中でもウエット洗浄装置は、上述したコンターミネーションを効果的に除去でき、しかも複数の基板を一括して処理するバッチ処理が可能でスループットも良好であるため、かかる洗浄装置は幅広く普及している。
【0003】図3は、従来の基板処理方法を実施するための基板処理装置を示す概略構成図である。この基板処理装置は、大きくわけて、ウエハに対して薬液処理を行うための第1処理部100と、ウエハに対して純水処理、及び乾燥処理を行うための第2処理部200とを備えている。
【0004】第1処理部100は、フッ酸(HF)等の薬液により複数のウエハWに対して洗浄処理を行うための第1処理槽101を備えており、この第1処理槽101の上面の外周には、第1処理槽101の上面から溢れ出たフッ酸を回収するための外槽102が形成されている。また、この第1処理槽101は、フッ酸用供給配管103を介してフッ酸供給源104と連通接続されている。フッ酸用供給配管103の途中には、開閉弁105が設けられており、後述する制御部300からの指令にしたがって開閉弁105を「開」の状態にすることにより、フッ酸供給源104から供給配管103を介して第1処理槽101へフッ酸が供給される。なお、図3には示していないが、このフッ酸(HF)には純水(HO)が含まれている。
【0005】第2処理部200は、純水により複数のウエハWに対して洗浄処理を行うための第2処理槽201を備えており、この第2処理槽201の上面の外周には、第2処理槽201の上面から溢れ出た純水を回収するための外槽202が形成されている。また、この第2処理槽201は、純水用供給配管203を介して純水供給源204と連通接続されている。純水用供給配管203の途中には、開閉弁205が設けられており、後述する制御部300からの指令にしたがって開閉弁205を「開」の状態にすることにより、純水供給源204から純水用供給配管203を介して第2処理槽201へ純水が供給される。
【0006】また、第2処理部200においては、純水処理の終了したウエハWを図3に示していないリフタ機構により第2処理槽201から引き上げた際に、ウエハWを乾燥させるための乾燥機構210が設けられている。この乾燥機構210は、第2処理槽201から引き上げられたウエハWにイソプロピルアルコール(IPA)を供給するためのIPA供給ノズル211を備えている。
【0007】このノズル211は、IPA用供給配管212を介してIPA供給源213と連通接続されている。IPA用供給配管212の途中には、開閉弁214が設けられており、開閉弁214を「開」の状態にすることにより、IPA供給源213からIPA用供給配管212を介して第2処理槽201の上方にあるウエハWへIPAが供給される。
【0008】なお、各開閉弁105,205,214は、制御部300に電気的に接続されており、各開閉弁105,205,214の開閉制御は、制御部300からの指令にしたがって行われている。
【0009】上述した基板処理装置を用いた従来の基板処理方法は次のようにして行われる。
【0010】まず、ウエハWは、図3の矢印A3に示すように、図示しない搬送機構により搬送されて第1処理槽101に貯溜されたフッ酸中へ浸漬され、ウエハWに対して薬液による洗浄処理(薬液処理)が行われる。そして、薬液による洗浄処理が終了したウエハWは、図3の矢印B3に示すように、図示しない搬送機構により、第1処理槽101のフッ酸内から第2処理槽201の純水内へ搬送されて、第2処理槽201の純水中へ浸漬され、ウエハWに対する純水による洗浄処理(純水処理)が行われる。ウエハWに対する純水による洗浄処理が終了すると、図3の矢印C3に示すように、図示しないリフタ機構によりウエハWは純水から引き上げられ、それとともにIPA供給ノズル211からウエハWへ供給されるIPAにより、ウエハWの乾燥処理が行われる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の基板処理方法によると、矢印B3に示すように、ウエハWを搬送して、ウエハWを第2処理槽201の純水中に浸漬する際に、ウエハWが気液界面を通過時に、ウエハWの表面にパーティクルが転写するという問題がある。特に、複数のウエハWが酸化膜ウエハとベアウエハとが鏡面対向に配置されている場合に、かかるパーティクルの転写が顕著にあらわれる。
【0012】本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであって、薬液よる基板の薬液処理後、純水処理時における基板表面へのパーティクルの転写を抑制する基板処理方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、請求項1に記載の基板処理方法は、基板に所定の処理を行う基板処理方法において、薬液を貯溜した第1処理槽に基板を浸漬させつつ薬液により基板に薬液処理を行う薬液処理工程と、塩酸を含む液体を第2処理槽へ供給し、前記第2処理槽を塩酸を含む液体により洗浄する処理槽洗浄工程と、前記第2処理槽へ純水を供給し、前記薬液処理工程で薬液処理された基板を前記第2処理槽の純水に浸漬させつつ純水により基板に純水処理を行う純水処理工程と、を有することを特徴とするものである。
【0014】なお、請求項1でいう「薬液処理」とは、薬液による基板の洗浄処理、またはエッチング処理が考えられ、「純水処理」とは、純水による基板の洗浄処理が考えられる。また、基板処理においては、複数の基板を一列の配列させて、第1処理槽、及び第2処理槽へ浸漬させるものが考えられる。
【0015】また、請求項2に記載の基板処理方法は、請求項1に記載の基板処理方法において、前記処理槽洗浄工程の後に、前記第1処理槽の薬液内から前記第2処理槽の純水内へ基板を搬送する搬送工程をさらに有することを特徴とするものである。
【0016】また、請求項3に記載の基板処理方法は、請求項1または請求項2に記載の基板処理方法において、前記処理槽洗浄工程が、前記第2処理槽に貯溜された塩酸(HCl)を含む流体を前記第2処理槽から排出する工程を含むことを特徴とするものである。
【0017】また、請求項4に記載の基板処理方法は、基板に所定の処理を行う基板処理方法において、塩酸を含む液体を処理槽へ供給し、前記処理槽を塩酸を含む液体により洗浄する処理槽洗浄工程と、塩酸を含む液体により洗浄された前記処理槽へ薬液を供給し、前記処理槽に貯溜された薬液に基板を浸漬させつつ薬液により基板に薬液処理を行う薬液処理工程と、前記処理槽へ純水を供給し、前記薬液処理工程で薬液処理された基板を前記処理槽に貯溜された純水に浸漬させつつ純水により基板に純水処理を行う純水処理工程と、を有することを特徴とするものである。
【0018】なお、請求項4でいう「薬液処理」とは、薬液による基板の洗浄処理、またはエッチング処理が考えられ、「純水処理」とは、純水による基板の洗浄処理が考えられる。基板処理においては、複数の基板を一列の配列させて、処理槽へ浸漬させるものが考えられる。
【0019】また、請求項5に記載の基板処理方法は、請求項4に記載の基板処理方法において、前記処理槽洗浄工程が、前記処理槽に貯溜された塩酸(HCl)を含む流体を前記処理槽から排出する排出工程を含むことを特徴とするものである。
【0020】また、請求項6に記載の基板処理方法は、請求項4または請求項5に記載の基板処理方法において、前記薬液処理工程が、前記処理槽に貯溜された薬液を前記処理槽から排出する排出工程を含むことを特徴とするものである。
【0021】また、請求項7に記載の基板処理方法は、請求項1乃至請求項6に記載の基板処理方法において、前記薬液処理工程で使用される薬液が、フッ酸(HF)を含む薬液であることを特徴とするものである。
【0022】さらに、請求項8に記載の基板処理方法は、請求項1乃至請求項7に記載の基板処理方法において、前記処理槽洗浄工程で使用される塩酸を含む液体が、塩酸過水(HCl/H/HO)であることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】<第1の実施の形態>以下、図面に基づいて本発明に係る基板処理方法の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態の基板処理方法に用いる基板処理装置を示す概略構成図である。この基板処理装置は、基板の一種であるウエハWの洗浄を行う洗浄装置である。そして、この基板処理装置は、大きくわけて、ウエハに対して薬液処理を行うための第1処理部10と、ウエハに対して純水処理、及び乾燥処理を行うための第2処理部20とを備えている。
【0024】第1処理部10は、複数のウエハWに対してフッ酸(HF)等の薬液による洗浄処理(薬液処理)を行うための第1処理槽11を備えており、第1処理槽11にフッ酸を貯溜し、フッ酸にウエハWが浸漬される。この第1処理槽11の上面の外周には、第1処理槽11の上面から溢れ出たフッ酸を回収するための外槽12が形成されている。
【0025】また、第1処理槽11は、フッ酸用供給配管13を介してフッ酸供給源14と連通接続されている。フッ酸用供給配管13の途中には、開閉弁15が設けられており、後述する制御部45からの指令にしたがって開閉弁15を「開」の状態にすることにより、フッ酸供給源14からフッ酸用供給配管13を介して第1処理槽11へフッ酸が供給される。なお、図3には示していないが、このフッ酸(HF)には純水(HO)が含まれている。
【0026】第2処理部20は、複数のウエハWに対して純水による洗浄処理(純水処理)を行うための第2処理槽21を備えており、第2処理槽21に純水を貯溜し、純水にウエハWが浸漬される。この第2処理槽21の上面の外周には、第2処理槽21の上面から溢れ出た純水、塩酸、及び塩酸過水を回収するための外槽22が形成されている。
【0027】また、この第2処理槽21は、供給配管30を介して純水供給源31と連通接続されている。供給配管30の途中には、開閉弁32が設けられており、後述する制御部45からの指令にしたがって開閉弁32を「開」の状態にすることにより、純水供給源31から供給配管30を介して第2処理槽20へ純水が供給される。
【0028】また、供給配管30に対して過酸化水素水(H)用供給配管33を介して過酸化水素水供給源34が連通接続されている。過酸化水素水用供給配管33の途中には、開閉弁35が設けられており、後述する制御部45からの指令にしたがって開閉弁35を「開」の状態にすることにより、過酸化水素水供給源34から過酸化水素水用供給配管33を介して供給配管30へ過酸化水素水(H)が供給される。
【0029】さらに、供給配管30に対して塩酸用供給配管36を介して塩酸供給源37が連通接続されている。塩酸用供給配管36の途中には、開閉弁38が設けられており、後述する制御部45からの指令にしたがって開閉弁38を「開」の状態にすることにより、塩酸供給源37から塩酸用供給配管36を介して供給配管30へ塩酸(HCL)が供給される。
【0030】第2処理部20においては、純水処理の終了したウエハWを図示しないリフタ機構により、第2処理槽21から引き上げた際に、ウエハWを乾燥させるための乾燥機構40が設けられている。この乾燥機構40は、第2処理槽21から引き上げられたウエハWにイソプロピルアルコール(IPA)を供給するためのIPA供給ノズル41を備えている。このIPA供給ノズル41は、IPA用供給配管42を介してIPA供給源43と連通接続されている。IPA用供給配管42の途中には、開閉弁44が設けられており、後述する制御部45からの指令にしたがって開閉弁44を「開」の状態にすることにより、IPA供給源43からIPA用供給配管42を介して第2処理槽21の上方にあるウエハWへIPAが供給され、ウエハWの乾燥処理が行われる。
【0031】なお、各開閉弁15,32,35,38,44は、制御部45に電気的に接続されており、各開閉弁15,32,35,38,44の開閉制御は、制御部45からの指令により行われている。
【0032】次に、第1の実施の形態の基板処理方法について説明する。
【0033】まず、複数枚(50枚)のウエハWを鏡面対向にした状態で図示しない搬送機構に保持しつつ、図1R>1の矢印A1に示すように搬送機構により第1処理槽11に貯溜されたフッ酸中へ浸漬させ、ウエハWに対する薬液による洗浄処理(薬液処理)が行われる。なお、第1処理槽11には、制御部45からの指令にしたがって開閉弁15を「開」の状態にして、予め第1処理槽11にフッ酸を貯溜させておく。
【0034】次に、第2処理部20の第2処理槽21においてウエハWの処理を行う前に、第2処理槽21を予め洗浄しておく。第2処理槽21を洗浄する方法としては、以下の2つの方法がある。
【0035】まず、第1の方法として、制御部45からの指令にしたがって開閉弁38、及び開閉弁32を「開」の状態にして、供給配管30において塩酸(HCL)と純水(HO)を混合させ、混合のより生成された液体(以下、単に「塩酸」とする)を第2処理槽21に供給し、第2処理槽21に一旦貯溜させる。なお、このとき開閉弁32は「閉」の状態である。
【0036】そして、開閉弁32を「開」の状態にしたままで、制御部45からの指令にしたがって開閉弁38を「開」の状態から「閉」の状態へ切り換える。これにより、純水供給源31から供給配管30を介して第2処理槽21へ純水が供給されると同時に、第2処理槽21に貯溜されていた塩酸(HCl)が第2処理槽21の上面から溢れ出て外槽22へ回収される。外槽22へ回収された塩酸は、排出配管23を介して外槽23から排出される。
【0037】第2の方法として、制御部45からの指令にしたがって開閉弁32、開閉弁34、及び開閉弁38を「開」の状態にして、供給配管30において塩酸(HCL)と過酸化水素水(H)と純水を混合させて、塩酸過水(HCl/H/HO)を生成し、生成された塩酸過水を第2処理槽21へ供給して、塩酸過水を一旦貯溜させる。
【0038】そして、開閉弁32を「開」の状態にしたままで、制御部45からの指令にしたがって開閉弁34及び開閉弁38を「開」の状態から「閉」の状態へ切り換える。これにより、純水供給源31から供給配管30を介して第2処理槽21に純水が供給されると同時に、第2処理槽21に貯溜されていた塩酸過水が第2処理槽21の上面から溢れ出て外槽22へ回収され、第2処理槽21内が塩酸過水から純水へ置換される。外槽22へ回収された塩酸過水は、排出配管23を介して外槽22から排出される。
【0039】上述した第1の方法、または第2の方法による第2処理槽21の洗浄が終了すると、第2処理槽21は、純水が貯溜された状態となっている。
【0040】次に、第1処理槽11においてフッ酸による洗浄処理(薬液処理)の終了した複数枚のウエハWを図示しない搬送機構に保持し、図1の矢印B1に示すように、搬送機構により第1処理槽11のフッ酸中から第2処理槽21へ搬送し、第2処理槽21に貯溜された純水中へ浸漬させ、ウエハWに対する純水による洗浄処理(純水処理)が行われる。
【0041】ウエハWに対する純水処理が終了すると、図1の矢印C1に示すように、図示しないリフタ機構によりウエハWは純水から引き上げられ、それとともに制御部45からの指令にしたがって開閉弁45を「開」の状態にして、IPA供給ノズル41からウエハWに供給されるIPAにより、ウエハWの乾燥処理が行われる。以上により、第1の実施の形態の基板処理が終了する。
【0042】<第2の実施の形態>以下、図面に基づいて本発明に係る基板処理方法の第2の実施の形態について説明する。図2は、第2の実施の形態の基板処理方法に用いる基板処理装置を示す概略構成図である。この基板処理装置は、基板の一種であるウエハWの洗浄を行う洗浄装置である。そして、この基板処理装置は、ウエハWに対して、薬液処理、純水処理、及び乾燥処理という一連の基板処理を行うための処理部50を備えている。
【0043】この処理部50は、フッ酸(HF)等の薬液、及び純水(HO)により複数のウエハWに対して洗浄処理(薬液処理、及び純水処理)を行うための処理槽51を備えている。この処理槽51にフッ酸を貯溜し、フッ酸にウエハWが浸漬され、あるいは、この処理槽51に純水を貯溜し、純水にウエハWが浸漬される。この処理槽51の外周には、処理槽51の上面から溢れ出たフッ酸、純水、塩酸(HCl)、または塩酸過水(HCl/H/HO)を回収するための外槽52が形成されている。
【0044】この処理槽21は、供給配管60を介して純水供給源61と連通接続されている。供給配管60の途中には、開閉弁62が設けられており、後述する制御部85からの指令にしたがって開閉弁62を「開」の状態にすることにより、純水供給源61から供給配管60を介して処理槽50へ純水が供給される。
【0045】また、供給配管60に対してフッ酸用供給配管63を介してフッ酸供給源64が連通接続されている。フッ酸用供給配管63の途中には、開閉弁65が設けられており、後述する制御部85からの指令にしたがって開閉弁65を「開」の状態にすることにより、フッ酸供給源65からフッ酸用供給配管63を通して供給配管60へフッ酸(HF)が供給される。
【0046】また、供給配管30に対して塩酸用供給配管66を介して塩酸供給源67が連通接続されている。塩酸用供給配管66の途中には、開閉弁68が設けられており、後述する制御部85からの指令にしたがって開閉弁68を「開」の状態にすることにより、塩酸供給源67から塩酸用供給配管66を通して供給配管30へ塩酸(HCL)が供給される。
【0047】さらに、供給配管30に対して過酸化水素水用供給配管69を介して過酸化水素水供給源70が連通接続されている。過酸化水素水用供給配管69の途中には、開閉弁71が設けられており、後述する制御部85からの指令にしたがって開閉弁71を「開」の状態にすることにより、過酸化水素水供給源70から過酸化水素水用供給配管69を介して供給配管30へ過酸化水素水(H)が供給される。
【0048】処理部50においては、純水処理の終了したウエハWを図示しないリフタ機構により処理槽51から引き上げた際に、ウエハWを乾燥させるための乾燥機構80が設けられている。この乾燥機構80は、処理槽51から引き上げられたウエハWにイソプロピルアルコール(IPA)を供給するためのIPA供給ノズル81を備えている。このIPA供給ノズル81は、IPA用供給配管82を介してIPA供給源83と連通接続されている。IPA用供給配管82の途中には、開閉弁84が設けられており、後述する制御部85からの指令にしたがって開閉弁84を「開」の状態にすることにより、IPA供給源83からIPA用供給配管82を介して処理槽51の上方にあるウエハWへIPAが供給される。
【0049】なお、各開閉弁62,65,68,71,84は、制御部85に電気的に接続されており、各開閉弁62,65,68,71,84の開閉制御は、制御部85からの指令により行われている。
【0050】次に、第2の実施の形態の基板処理方法について説明する。
【0051】まず、処理槽51においてウエハWの洗浄を行う前に、処理槽51を予め洗浄しておく。処理槽51を洗浄する方法としては、以下の2つの方法がある。
【0052】まず、第1の方法として、制御部85からの指令にしたがって開閉弁62、及び開閉弁68を「開」状態にして、供給配管60において塩酸(HCL)と純水(HO)を混合させ、混合により生成された液体(以下、単に「塩酸」とする)を処理槽51へ供給させ、塩酸を処理槽51に一旦貯溜させる。なお、このとき開閉弁65、及び開閉弁71は「閉」の状態である。
【0053】そして、開閉弁62を「開」の状態にしつつ、制御部45からの指令にしたがって開閉弁68を「開」の状態から「閉」の状態へ切り換えるとともに、制御部45からの指令にしたがって開閉弁65を「閉」の状態から「開」の状態へ切り換える。これにより、フッ酸供給源64からフッ酸用供給配管66、及び供給配管60を介して処理槽51にフッ酸(純水も含んでいる)が供給されると同時に、処理槽51に貯溜されていた塩酸が処理槽51の上面から溢れ出て外槽52へ回収される。外槽52へ回収された塩酸は、排出配管53を介して外槽52から排出される。
【0054】第2の方法として、制御部85からの指令に基づいて開閉弁62、開閉弁68、及び開閉弁71を「開」の状態にして、供給配管60において塩酸(HCL)とと過酸化水素水(H)と純水(HO)を混合させて、塩酸過水(HCl/H/HO)を生成し、生成された塩酸過水を第2処理槽21へ供給して、塩酸過水を一旦貯溜させる。なお、このとき開閉弁65は、「閉」の状態である。
【0055】そして、開閉弁62を「開」の状態にしつつ、制御部85からの指令にしたがって開閉弁68及び開閉弁71を「開」の状態から「閉」の状態へ切り換えるとともに、制御部85からの指令にしたがって開閉弁65を「閉」の状態から「開」の状態へ切り換える。これにより、フッ酸供給源64から供給配管30を介して処理槽51にフッ酸(純水も含んでいる)が供給されると同時に、処理槽51に貯溜されていた塩酸過水が処理槽51の上面から溢れ出て外槽52へ回収される。外槽52へ回収された塩酸過水は、排出配管53を介して外槽52から排出される。
【0056】上述した第1の方法、または第2の方法による処理槽51の洗浄が終了すると、処理槽51は、フッ酸(HF)が貯溜された状態となっている。
【0057】次に、複数枚(50枚)のウエハWを鏡面対向にした状態で図示しない搬送機構に保持し、図2の矢印A2に示すように搬送機構により処理槽51に貯溜されたフッ酸中へ浸漬させ、ウエハWに対する薬液による洗浄が行われる。
【0058】そして、制御部85からの指令に基づいて開閉弁65を「開」状態から「閉」状態へ切り換える。これにより、純水供給源61から供給配管60を介して処理槽51に純水が供給されると同時に、処理槽51に貯溜されていたフッ酸が処理槽51の上面から溢れ出て外槽52へ回収される。外槽52へ回収された塩酸過水は、排出配管53を介して外槽52から排出される。
【0059】処理槽51がフッ酸から純水に置換されると、処理槽51に貯溜された純水により、ウエハWに対して洗浄処理(純水処理)が行われる。
【0060】ウエハWに対する純水処理が終了すると、図2の矢印C2に示すように、図示しないリフタ機構によりウエハWは純水から引き上げられ、それとともに制御部85からの指令にしたがって開閉弁84を「開」の状態にして、IPA供給ノズル81からウエハWに供給されるIPAにより、ウエハWの乾燥処理が行われる。以上により、第2の実施の形態の基板処理が終了する。
【0061】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係る基板処理方法によれば、薬液を貯溜した第1処理槽に基板を浸漬させつつ薬液により基板に薬液処理を行った後、塩酸を含む液体を第2処理槽へ供給し、一旦前記第2処理槽を塩酸を含む液体により第2処理槽を洗浄し、さらに、第2処理槽へ純水を供給し、薬液処理工程で薬液処理された基板を第2処理槽に貯溜された純水に浸漬させつつ純水により基板に純水処理を行っているので、薬液よる基板の薬液処理後の純水処理時における基板表面へのパーティクルの転写を抑制できるという効果がある。
【0062】また、本発明に係る基板処理方法によれば、塩酸を含む液体を処理槽へ供給し、一旦処理槽を塩酸を含む液体により洗浄した後、塩酸を含む液体により洗浄された処理槽へ薬液を供給し、薬液を貯溜した処理槽に基板を浸漬させつつ薬液により基板に薬液処理を行い、さらに処理槽へ純水を供給し、薬液処理工程で薬液処理された基板処理槽に貯溜された純水に浸漬させつつ純水により基板に純水処理を行う純水処理を行っているので、薬液よる基板の薬液処理後の純水処理時における基板表面へのパーティクルの転写を抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の基板処理方法に用いる基板処理装置を示す概略構成図である。
【図2】第2の実施の形態の基板処理方法に用いる基板処理装置を示す概略構成図である。
【図3】従来の基板処理方法を実施するための基板処理装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 第1処理部
11 第1処理槽
13 フッ酸用供給配管
14 フッ酸供給源
15 開閉弁
20 第2処理部
21 第2処理槽
30 供給配管
31 純水供給源
32 開閉弁
33 過酸化水素用供給配管
34 過酸化水素供給源
35 開閉弁
36 塩酸用供給配管
37 塩酸供給源
38 開閉弁
45 制御部
50 処理部
51 処理槽
60 供給配管
61 純水供給源
62 開閉弁
63 フッ酸用供給配管
64 フッ酸供給源
65 開閉弁
66 塩酸用供給配管
67 塩酸供給源
68 開閉弁
69 過酸化水素水用供給配管
70 過酸化水素水供給源
71 開閉弁
85 制御部
A1 ウエハWの移動
B1 ウエハWの移動
C1 ウエハWの移動
A2 ウエハWの移動
C2 ウエハWの移動
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】基板に所定の処理を行う基板処理方法において、薬液を貯溜した第1処理槽に基板を浸漬させつつ薬液により基板に薬液処理を行う薬液処理工程と、塩酸を含む液体を第2処理槽へ供給し、前記第2処理槽を塩酸を含む液体により洗浄する処理槽洗浄工程と、前記第2処理槽へ純水を供給し、前記薬液処理工程で薬液処理された基板を前記第2処理槽に貯溜された純水に浸漬させつつ純水により基板に純水処理を行う純水処理工程と、を有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】請求項1に記載の基板処理方法において、前記処理槽洗浄工程の後に、前記第1処理槽の薬液内から前記第2処理槽の純水内へ基板を搬送する搬送工程をさらに有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項3】請求項1または請求項2に記載の基板処理方法において、前記処理槽洗浄工程は、前記第2処理槽に貯溜された塩酸を含む流体を前記第2処理槽から排出する工程を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項4】基板に所定の処理を行う基板処理方法において、塩酸を含む液体を処理槽へ供給し、前記処理槽を塩酸を含む液体により洗浄する処理槽洗浄工程と、塩酸を含む液体により洗浄された前記処理槽へ薬液を供給し、前記処理槽に貯溜された薬液に基板を浸漬させつつ薬液により基板に薬液処理を行う薬液処理工程と、前記処理槽へ純水を供給し、前記薬液処理工程で薬液処理された基板を前記処理槽に貯溜された純水に浸漬させつつ純水により基板に純水処理を行う純水処理工程と、を有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項5】請求項4に記載の基板処理方法において、前記処理槽洗浄工程は、前記処理槽に貯溜された塩酸を含む流体を前記処理槽から排出する排出工程を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】請求項4または請求項5に記載の基板処理方法において、前記薬液処理工程は、前記処理槽に貯溜された薬液を前記処理槽から排出する排出工程を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】請求項1乃至請求項6に記載の基板処理方法において、前記薬液処理工程で使用される薬液は、フッ酸を含む薬液であることを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】請求項1乃至請求項7に記載の基板処理方法において、前記処理槽洗浄工程で使用される塩酸を含む液体は、塩酸過水であることを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2002−252197(P2002−252197A)
【公開日】平成14年9月6日(2002.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−50715(P2001−50715)
【出願日】平成13年2月26日(2001.2.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】