説明

基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体

【課題】処理部から排出される排液を回収して再利用するにあたりより多くの量の排液を回収することができ、このため純水の使用量を低減することができるのでコストを低減することができる基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体を提供する。
【解決手段】排出部40の下流側には第1の排液ライン42bおよび第2の排液ライン44bが分岐して接続され、第1の排液ライン42bおよび第2の排液ライン44bからそれぞれ処理液供給部30に排液が回収液として互いに独立して送られる。排出部40から第1の排液ライン42bまたは第2の排液ライン44bへの排液の流れの切り替えを行う切り替え部41が設けられている。処理液供給部30は、第1の排液ライン42bから送られた回収液および第2の排液ライン44bから送られた回収液を選択的に処理部10に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の薬液処理を行った後にリンス処理を行うような基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体に関し、とりわけ、処理部から排出される排液を回収して再利用するにあたりより多くの量の排液を回収することができ、このため純水の使用量を低減することができるのでコストを低減することができる基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウエハ等の基板(以下、単にウエハともいう)の薬液処理を行った後にリンス処理を行うような基板処理装置として、様々な種類のものが知られている。基板処理装置の一例としては、例えば特許文献1等に開示されるものが知られている。
【0003】
一般的に、基板処理装置においては、まず、処理槽内に薬液を貯留し、この薬液に複数枚(例えば50枚)のウエハを一度に浸漬する。このようにして、ウエハの薬液処理が行われる。その後、処理槽内の薬液を純水に置換し、この純水にウエハを浸漬する。このようにして、ウエハのリンス処理が行われる。
【0004】
特許文献1に示すような基板処理装置においては、処理槽に接続された排液ラインに、処理槽から排出された排液の濃度(具体的には、例えばTOC(総有機炭素、total organic carbon)等)を検出するための濃度計が設けられている。そして、ウエハのリンス処理を行う際に、処理槽から排出された排液の濃度が濃度計により検出されるようになっている。一般的に、ウエハのリンス処理が行われる際には、処理槽から排出される排液は徐々に清浄なものとなり、排液の濃度は徐々に低下していく。特許文献1に示すような基板処理装置においては、濃度計により検出される排液の濃度が所定の濃度よりも小さくなったときに、この排液を回収して再利用するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3336952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等に示すような従来の基板処理装置においては、十分な量の排液を回収することができず、効率的ではないという問題がある。より具体的に説明すると、従来の基板処理装置では、回収される排液は概して純水に近いような非常に清浄なものとなっている。このため、このような清浄な排液を回収するにあたり、ウエハのリンス処理が開始されてからしばらく時間が経過しなければ処理槽から排出される排液の濃度が所定の濃度よりも小さくならないため、回収することができる排液の量は比較的少なくなってしまう。このことにより、ウエハの薬液処理やリンス処理で用いられる純水の量が多くなってしまい、このような純水を精製するのにランニングコスト等のコストが高くなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、基板の薬液処理で用いられる薬液の種類に応じてこの薬液処理の後に行われる基板のリンス処理で処理部から排出される排液を別々に回収して再利用することにより、処理部から排出される排液を回収して再利用するにあたりより多くの量の排液を回収することができ、このため純水の使用量を低減することができるのでコストを低減することができる基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基板処理装置は、基板の処理を行う処理部と、前記処理部に処理液を供給する処理液供給部と、前記処理部に第1の薬液を供給する第1薬液供給部と、前記処理部に第2の薬液を供給する第2薬液供給部と、前記処理部から排液を排出する排出部と、前記排出部の下流側に分岐してそれぞれ接続され、当該排出部から排液が選択的に送られる第1の排液ラインおよび第2の排液ラインであって、当該第1の排液ラインおよび第2の排液ラインからそれぞれ前記処理液供給部に排液が回収液として互いに独立して送られる第1の排液ラインおよび第2の排液ラインと、前記排出部から前記第1の排液ラインおよび前記第2の排液ラインへの分岐箇所に設けられ、前記排出部から前記第1の排液ラインまたは前記第2の排液ラインへの排液の流れの切り替えを行う切り替え部と、備え、前記処理液供給部は、前記第1の排液ラインから送られた回収液および前記第2の排液ラインから送られた回収液を選択的に前記処理部に供給することを特徴とする。
【0009】
本発明の基板処理装置においては、前記処理液供給部は、前記第1の排液ラインから送られた回収液の前記処理部への供給の切り替えを行う第1のバルブと、前記第2の排液ラインから送られた回収液の前記処理部への供給の切り替えを行う第2のバルブとを有するようになっていてもよい。
【0010】
本発明の基板処理装置においては、前記第1薬液供給部が前記処理部に第1の薬液を供給して基板の薬液処理を行う際に、前記処理液供給部は前記第1の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給し、前記第2薬液供給部が前記処理部に第2の薬液を供給して基板の薬液処理を行う際に、前記処理液供給部は前記第2の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給するようになっていてもよい。
【0011】
本発明の基板処理装置においては、前記処理部において前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、前記切り替え部は前記排出部から前記第1の排液ラインに排液が流れるよう切り替えを行うとともに前記処理液供給部は前記第1の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給し、前記処理部において前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、前記切り替え部は前記排出部から前記第2の排液ラインに排液が流れるよう切り替えを行うとともに前記処理液供給部は前記第2の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給するようになっていてもよい。
【0012】
この際に、前記処理液供給部は、前記第1の排液ラインから送られた回収液および前記第2の排液ラインから送られた回収液に加えて、純水を選択的に前記処理部に供給するようになっていてもよい。
【0013】
この場合、前記処理液供給部は、純水の前記処理部への供給の切り替えを行う純水用バルブを有していてもよい。
【0014】
また、この際に、前記処理部において前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、まず、前記処理液供給部は前記第1の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給し、その後、前記処理液供給部は純水を前記処理部に供給し、前記処理部において前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、まず、前記処理液供給部は前記第2の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給し、その後、前記処理液供給部は純水を前記処理部に供給するようになっていてもよい。
【0015】
また、この際に、前記処理部において前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、前記処理液供給部は、前記第1の排液ラインから送られた回収液と純水とを混合して前記処理部に供給し、前記処理部において前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、前記処理液供給部は、前記第2の排液ラインから送られた回収液と純水とを混合して前記処理部に供給するようになっていてもよい。
【0016】
本発明の基板処理装置においては、前記第1の薬液および前記第2の薬液のうち一方の薬液は酸性であり他方の薬液はアルカリ性であってもよい。
【0017】
本発明の基板処理装置においては、前記排出部の下流側に分岐して接続され、当該排出部から排液が選択的に送られる第3の排液ラインであって、当該第3の排液ラインから前記処理液供給部に排液が回収液として送られるようになっているような第3の排液ラインを更に備え、前記第3の排液ラインには、前記処理部から排出される排液のうち、前記第1の排液ラインや前記第2の排液ラインに送られる排液よりも比抵抗率が大きい排液が送られるようになっており、前記切り替え部は、前記排出部から前記第3の排液ラインへの排液の流れの切り替えも行うようになっており、前記処理液供給部は、前記第3の排液ラインから送られた回収液も選択的に前記処理部に供給するようになっていてもよい。
【0018】
この際に、前記処理液供給部は、前記第3の排液ラインから送られた回収液の前記処理部への供給の切り替えを行う第3のバルブを有していてもよい。
【0019】
本発明の基板処理装置においては、前記第1の回収部または前記第2の回収部により排液が回収された後、所定時間が経過すると回収された排液は廃棄されるようになっていてもよい。
【0020】
本発明の基板処理方法は、前記処理部において第1の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第1の回収液として回収する工程と、前記処理部において基板のリンス処理を行った後に、前記処理部において第2の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第2の回収液として回収する工程と、を備え、前記第1の回収液、および前記第2の回収液をそれぞれ前記処理部に選択的に供給することを特徴とする。
【0021】
本発明の基板処理方法においては、前記処理部において前記第1の薬液により基板の薬液処理を行う工程において、前記第1の薬液と前記第1の回収液とを混合して前記処理部に送り、前記処理部において前記第2の薬液により基板の薬液処理を行う工程において、前記第2の薬液と前記第2の回収液とを混合して前記処理部に送るようになっていてもよい。
【0022】
本発明の基板処理方法においては、前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、前記第1の回収液を前記処理部に送り、前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、前記第2の回収液を前記処理部に送るようになっていてもよい。
【0023】
この際に、前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、まず、前記第1の回収液を前記処理部に送り、その後、純水を前記処理部に送り、前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、まず、前記第2の回収液を前記処理部に送り、その後、純水を前記処理部に送るようになっていてもよい。
【0024】
また、この際に、前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、純水と前記第1の回収液とを混合して前記処理部に送り、前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、純水と前記第2の回収液とを混合して前記処理部に送るようになっていてもよい。
【0025】
本発明の基板処理方法においては、前記第1の回収液や前記第2の回収液は、回収されてから所定時間が経過すると廃棄されるようになっていてもよい。
【0026】
本発明のプログラムは、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムであって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、前記基板処理方法が、前記処理部において第1の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第1の回収液として回収する工程と、前記処理部において基板のリンス処理を行った後に、前記処理部において第2の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第2の回収液として回収する工程と、を備え、前記第1の回収液、および前記第2の回収液をそれぞれ前記処理部に選択的に供給することを特徴とする。
【0027】
本発明の記憶媒体は、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムが記憶された記憶媒体であって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、前記基板処理方法が、前記処理部において第1の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第1の回収液として回収する工程と、前記処理部において基板のリンス処理を行った後に、前記処理部において第2の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第2の回収液として回収する工程と、を備え、前記第1の回収液、および前記第2の回収液をそれぞれ前記処理部に選択的に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体によれば、処理部から排出される排液を回収して再利用するにあたりより多くの量の排液を回収することができ、このため純水の使用量を低減することができるのでコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一の実施の形態における基板処理装置の全体的な構成を示す概略構成図である。
【図2】(a)〜(f)は、図1に示す基板処理装置におけるウエハの処理の一連の動作を順に示す説明図である。
【図3】図1に示す基板処理装置におけるウエハの処理の一連の動作を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、処理部から排出される排液について、ウエハのリンス処理を開始してからの時間(横軸)と排液の比抵抗値(縦軸)との関係を示すグラフであり、(b)は、ウエハのリンス処理を開始してからの時間(横軸)と排液のFイオン濃度(縦軸)の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図4は、本実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法を示す図である。より具体的には、図1は、本実施の形態における基板処理装置の全体的な構成を示す概略構成図である。また、図2(a)〜(f)は、図1に示す基板処理装置における半導体ウエハ等の基板(以下、単にウエハともいう)の処理の一連の動作を順に示す説明図であり、図3は、図1に示す基板処理装置におけるウエハの処理の一連の動作を示すフローチャートである。また、図4(a)は、処理部から排出される排液について、ウエハのリンス処理を開始してからの時間(横軸)と排液の比抵抗値(縦軸)との関係を示すグラフであり、(b)は、ウエハのリンス処理を開始してからの時間(横軸)と排液のFイオン濃度(縦軸)の関係を示すグラフである。
【0031】
図1に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置1は、ウエハWの薬液処理およびリンス処理を行う処理部10を備えている。処理部10は、複数枚(例えば50枚)のウエハWを収容し、この収容されたウエハWの薬液処理やリンス処理を行う処理槽12と、処理槽12の周囲に設けられ、この処理槽12からあふれた液体が流入するオーバーフロー槽14とを有している。また、処理槽12内の下部領域には、当該処理槽12内に薬液や純水等の処理液を供給するための供給ノズル16が設けられており、この供給ノズル16には、当該供給ノズル16に処理液を送る供給管20が接続されている。処理部10において、供給管20により供給ノズル16に薬液や純水等の処理液が送られ、この処理液が供給ノズル16から処理槽12内に供給されることにより処理槽12内に処理液が貯留され、処理槽12内に貯留された処理液に複数枚のウエハWが一度に浸漬されることにより、ウエハWの薬液処理やリンス処理が行われるようになっている。
【0032】
図1に示すように、供給管20には処理液供給部30が接続されている。処理液供給部30は、純水供給源22と、純水供給源22および供給管20を接続する配管に設けられたバルブ(純水用バルブ)22aとを有しており、バルブ22aの開閉を行うことにより純水供給源22から供給管20への純水の供給を調整するようになっている。また、処理液供給部30は、第1の回収液供給部分24と、第1の回収液供給部分24および供給管20を接続する配管に設けられたバルブ(第1のバルブ)24aとを有しており、バルブ24aの開閉を行うことにより第1の回収液供給部分24から供給管20への第1の回収液の供給を調整するようになっている。第1の回収液供給部分24は、処理部10のオーバーフロー槽14から排出された排液のうち後述する第1の回収部42により回収された回収液を供給するようになっている。
【0033】
また、処理液供給部30は、第2の回収液供給部分26と、第2の回収液供給部分26および供給管20を接続する配管に設けられたバルブ(第2のバルブ)26aとを有しており、バルブ26aの開閉を行うことにより第2の回収液供給部分26から供給管20への第2の回収液の供給を調整するようになっている。第2の回収液供給部分26は、処理部10のオーバーフロー槽14から排出された排液のうち後述する第2の回収部44により回収された回収液を供給するようになっている。また、処理液供給部30は、第3の回収液供給部分28と、第3の回収液供給部分28および供給管20を接続する配管に設けられたバルブ(第3のバルブ)28aとを有しており、バルブ28aの開閉を行うことにより第3の回収液供給部分28から供給管20への第3の回収液の供給を調整するようになっている。第3の回収液供給部分28は、処理部10のオーバーフロー槽14から排出された排液のうち後述する第3の回収部46により回収された回収液を供給するようになっている。
【0034】
図1に示すように、供給管20にはアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1、アンモニア加水ともいう)供給源32がバルブ32aを介して接続されており、このアンモニア・過酸化水素水溶液供給源32からアルカリ性のアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)が供給管20に供給されるようになっている。また、供給管20にはフッ酸(HF)供給源34がバルブ34aを介して接続されており、このフッ酸供給源34から酸性のフッ酸(HF)が供給管20に供給されるようになっている。図1に示すように、アンモニア・過酸化水素水溶液供給源32およびフッ酸供給源34は並列に設けられている。
【0035】
処理部10のオーバーフロー槽14には排液管(排出部)40が接続されており、このオーバーフロー槽14から排液管40に処理液が排出されるようになっている。図1に示すように、排液管40には比抵抗計50が介設されており、この比抵抗計50により処理部10から排出された排液の比抵抗値(導電率)が検出されるようになっている。また、排液管40は、比抵抗計50よりも下流側部分において第1の排液ライン42b、第2の排液ライン44b、第3の排液ライン46bおよびドレンライン48bの4つのラインに分岐しており、第1の排液ライン42b、第2の排液ライン44b、第3の排液ライン46bおよびドレンライン48bにはそれぞれバルブ42a、44a、46a、48aが設けられている。そして、各バルブ42a、44a、46a、48aの開閉を行うことにより、排液管40から第1の排液ライン42b、第2の排液ライン44b、第3の排液ライン46bまたはドレンライン48bへの排液の流れが調整されるようになっている。すなわち、各バルブ42a、44a、46a、48aは、排液管40から第1の排液ライン42b、第2の排液ライン44b、第3の排液ライン46bまたはドレンライン48bへの排液の流れを調整するための切り替え部41を構成している。
【0036】
また、第1の排液ライン42b、第2の排液ライン44b、第3の排液ライン46bおよびドレンライン48bの下流側端部には、それぞれ、第1の回収部42、第2の回収部44、第3の回収部46およびドレン部48が接続されている。そして、比抵抗計50による排液の比抵抗値に基づいて、後述する制御部70により切り替え部41の各バルブ42a、44a、46a、48aの開閉が制御され、排液管40から排液が第1の排液ライン42b、第2の排液ライン44b、第3の排液ライン46bおよびドレンライン48bのうちいずれか一つまたは複数のものに選択的に送られ、最終的に排液は第1の回収部42、第2の回収部44、第3の回収部46およびドレン部48のうちいずれか一つまたは複数のものに選択的に送られるようになっている。
【0037】
処理部10から排出される排液について、一般的に、その比抵抗値が大きければ大きいほど排液は清浄である。すなわち、処理部10から排出される排液の比抵抗値が小さい場合は、その排液は清浄ではなく、回収して再利用するのに適さないといえる。ここで、図4(a)は、処理部10から排出される排液について、ウエハWのリンス処理を開始してからの時間(横軸)と排液の比抵抗値(縦軸)との関係を示すグラフであり、(b)は、ウエハWのリンス処理を開始してからの時間(横軸)と排液のFイオン濃度(縦軸)の関係を示すグラフである。図4(a)に示すように、ウエハWのリンス処理を開始してからある程度の時間が経過するまでは排液の比抵抗値は0であり、排液は清浄ではない。そして、ウエハWのリンス処理を開始してからある程度の時間が経過すると、排液の比抵抗値が徐々に大きくなり、所定の上限値(具体的には例えば15MΩcm)に収束する。また、図4(b)に示すように、ウエハWのリンス処理を開始してから時間が経過するにつれて排液のFイオン濃度が低下し、排液は徐々に清浄なものとなる。そして、ウエハWのリンス処理を開始してからある程度の時間が経過すると排液のFイオン濃度は0に収束する。
【0038】
図4(a)(b)に示すように、ウエハWのリンス処理を開始した後、比抵抗計50により検出される排液の比抵抗値が0から所定の値(例えば、2MΩcm)となったときの時刻tにおいて、この排液のFイオン濃度は非常に小さい値となる。このため、比抵抗計50により検出される排液の比抵抗値が0から増加したときに排液を回収した場合において、この排液の比抵抗値が上限値(15MΩcm)に達していなくとも、この回収された排液は十分に清浄なものであると考えられる。とりわけ、後述するように、本実施の形態においては、回収液として回収される排液はそれほど清浄なものではなくともよいので、比抵抗値が必ずしも上限値(15MΩcm)に達していなくとも、比抵抗値が0からある程度の値に増加した排液を回収液として回収してもよい。
【0039】
第1の回収部42は、処理部10においてアンモニア・過酸化水素水溶液によりウエハWの薬液処理が行われた後にウエハWのリンス処理が行われる際に処理部10から排出される排液の一部を第1の回収液として回収するようになっている。この第1の回収部42により回収された第1の回収液は、処理液供給部30の第1の回収液供給部分24に送られ、この第1の回収液供給部分24から供給管20に供給されるようになっている。
【0040】
第2の回収部44は、処理部10においてフッ酸によりウエハWの薬液処理が行われた後にウエハWのリンス処理が行われる際に処理部10から排出される排液の一部を第2の回収液として回収するようになっている。この第2の回収部44により回収された第2の回収液は、処理液供給部30の第2の回収液供給部分26に送られ、この第2の回収液供給部分26から供給管20に供給されるようになっている。
【0041】
第3の回収部46は、処理部10から排出される排液のうち、第1の回収液や第2の回収液よりも比抵抗値が大きい排液を第3の回収液として回収するようになっている。この第3の回収部46により回収された第3の回収液は、処理液供給部30の第3の回収液供給部分28に送られ、この第3の回収液供給部分28から供給管20に供給されるようになっている。
【0042】
ドレン部48には、比抵抗値が比較的小さい、すなわち清浄ではない排液が送られるようになっている。このドレン部48に送られた排液は廃棄される。
【0043】
また、基板処理装置1には、当該基板処理装置1における様々な構成要素を制御する、制御コンピュータからなる制御部70が設けられている。この制御部70は基板処理装置1の各構成要素に接続され、当該制御部70により、処理部10におけるウエハWの薬液処理やリンス処理が制御されるようになっている。より具体的には、制御部70は、処理液供給部30の各バルブ22a、24a、26a、28aの開閉を制御することにより、純水供給源22や各回収液供給部分24、26、28から供給管20への純水や回収液の供給を制御するようになっている。また、制御部70は、バルブ32a、34aの開閉を制御することにより、各供給源32、34から供給管20への薬液等の供給を制御するようになっている。また、制御部70は、切り替え部41の各バルブ42a、44a、46a、48aの開閉を制御することにより、排液がどの排液ライン42b、44b、46bまたはドレンライン48bに送られるかの調整を行うようになっている。また、制御部70には、比抵抗計50による排液の比抵抗値の検出結果に係る情報が比抵抗計50から送られるようになっている。このような、制御部70による基板処理装置1の各構成要素の制御内容については後述する。
【0044】
本実施の形態において、制御部70には、基板処理装置1で実行される各種処理を制御部70による制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置1の各構成要素に処理を実行させるためのプログラム(すなわち、レシピ)が記憶された記憶媒体72が接続されている。記憶媒体72は、ROMやRAMなどのメモリー、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどのディスク状記憶媒体、その他の公知な記憶媒体から構成され得る。そして、必要に応じて、任意のレシピを記憶媒体72から呼び出して制御部70に実行させることで、制御部70の制御下で、基板処理装置1での所望の処理が行われる。
【0045】
次に、上述のような基板処理装置1を用いたウエハWの処理方法について図2および図3を用いて説明する。なお、以下に示すような一連の薬液処理およびリンス処理は、記憶媒体72に記憶されたプログラム(レシピ)に従って、制御部70が基板処理装置1の各構成要素を制御することにより行われる。
【0046】
最初に、処理液供給部30の純水供給源22から純水(DIW)を処理部10の処理槽12内に供給し、この処理槽12に純水を貯留させる。次に、図2(a)に示すように、純水(DIW)が貯留された処理槽12内にウエハWを収容し、処理槽12内に貯留された純水にウエハWを浸漬する(図3のSTEP1参照)。
【0047】
その後、図2(b)に示すように、ウエハWが処理槽12内に収容された状態で、処理槽12内の純水(DIW)をアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)に置換する。より具体的に説明すると、処理液供給部30の純水供給源22から純水を供給管20に送るとともにアンモニア・過酸化水素水溶液供給源32からアンモニア・過酸化水素水溶液を供給管20に送ることにより、供給管20内で純水とアンモニア・過酸化水素水溶液とを混合し、この混合液を処理槽12内に送る。この際に、処理槽12からあふれた処理液はオーバーフロー槽14に送られ、この処理液はオーバーフロー槽14から排液管40に排出される。排液管40に排出された排液はドレン部48に送られ、最終的に廃棄される。
【0048】
ここで、処理槽12内の純水(DIW)をアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)に置換する際に、純水供給源22から純水を供給管20に送る代わりに、処理液供給部30の第1の回収液供給部分24から第1の回収液を供給管20に送るようにしてもよい。この場合、供給管20内で第1の回収液とアンモニア・過酸化水素水溶液とが混合され、この混合液が処理槽12内に送られることとなる。
【0049】
上述のように、ウエハWが処理槽12内に収容された状態で、処理槽12内の純水(DIW)がアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)に置換されることにより、アンモニア・過酸化水素水溶液によるウエハWの薬液処理が行われる(図3のSTEP2参照)。
【0050】
次に、図2(c)に示すように、ウエハWが処理槽12内に収容された状態で、処理槽12内のアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)を純水(DIW)に置換する。より具体的に説明すると、処理液供給部30の純水供給源22から純水を処理部10の処理槽12内に供給する。この際に、処理槽12からあふれた処理液はオーバーフロー槽14に送られ、この処理液はオーバーフロー槽14から排液管40に排出される。排液管40に排出された排液は比抵抗計50によりその比抵抗値が検出される。ここで、排液の比抵抗値が所定の値以上である場合には、この排液は清浄であると判断され、切り替え部41の各バルブ42a、44a、46a、48aの開閉が制御されることにより、当該排液は第1の回収部42に送られ、第1の回収部42で回収される。第1の回収部42で回収された排液は回収液として処理液供給部30の第1の回収液供給部分24に送られ、この回収液は再利用されることとなる。一方、排液の比抵抗値が所定の値よりも小さい場合には、この排液は清浄ではないと判断され、当該排液はドレン部48に送られ、最終的に廃棄される。
【0051】
ここで、処理槽12内のアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)を純水(DIW)に置換する際に、処理液供給部30の純水供給源22から純水を供給管20に送る代わりに、第1の回収液供給部分24から第1の回収液を処理部10の処理槽12内に送るようにしてもよい。この場合、処理槽12内のアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)が第1の回収液に置換されることとなる。
【0052】
また、処理槽12内のアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)を純水(DIW)に置換する際に、最初に処理液供給部30の第1の回収液供給部分24から第1の回収液を処理槽12内に送り、その後、純水供給源22から純水を処理槽12内に送るようにしてもよい。この際に、最初に処理液供給部30の第1の回収液供給部分24から処理槽12内に第1の回収液のみを送り、その後、処理槽12内に送られる第1の回収液の量を徐々に減らすとともに純水供給源22から処理槽12内に送られる純水の量を徐々に増やし、最終的に純水供給源22から処理槽12内に純水のみを送るようにしてもよい。
【0053】
上述のように、ウエハWが処理槽12内に収容された状態で、処理槽12内のアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)が純水(DIW)や回収液(以下、これらをまとめて純水等という)に置換されることにより、ウエハWのリンス処理が行われる。また、ウエハWのリンス処理を行う際に処理槽12から排出される排液の一部は第1の回収液として回収される(図3のSTEP3参照)。ここで、第1の回収部42により回収される第1の回収液は、ウエハWの薬液処理の際にアンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)と混合されて処理槽12に送られたり、このアンモニア・過酸化水素水溶液によるウエハWの薬液処理の後に行われるリンス処理の際に処理槽12に送られたりするようになっているので、この第1の回収液はそれほど清浄でなくともアンモニア・過酸化水素水溶液によるウエハWの薬液処理やその後のリンス処理に支障をきたすことはない。言い換えると、第1の回収部42により回収される第1の回収液の使用用途は、アンモニア・過酸化水素水溶液によるウエハWの薬液処理やその後のリンス処理に限定されるため、第1の回収液にアンモニア・過酸化水素水溶液の成分が多少残っていたとしても問題はない。
【0054】
また、第1の回収部42により第1の回収液が回収された後、所定時間が経過すると第1の回収液は廃棄されるようになっている。
【0055】
次に、図2(d)に示すように、ウエハWが処理槽12内に収容されるとともに処理槽12内に純水等が貯留され、ウエハWが純水等に浸漬された状態で、図2(e)に示すように、処理槽12内の純水等をフッ酸(HF)に置換する。より具体的に説明すると、処理液供給部30の純水供給源22から純水を供給管20に送るとともにフッ酸供給源34からフッ酸を供給管20に送ることにより、供給管20内で純水とフッ酸とを混合し、この混合液を処理槽12内に送る。この際に、処理槽12からあふれた処理液はオーバーフロー槽14に送られ、この処理液はオーバーフロー槽14から排液管40に排出される。排液管40により排出された排液はドレン部48に送られ、最終的に廃棄される。
【0056】
ここで、処理槽12内の純水等をフッ酸(HF)に置換する際に、処理液供給部30の純水供給源22から純水を供給管20に送る代わりに、第2の回収液供給部分26から第2の回収液を供給管20に送るようにしてもよい。この場合、供給管20内で第2の回収液とフッ酸とが混合され、この混合液が処理槽12内に送られることとなる。
【0057】
上述のように、ウエハWが処理槽12内に収容された状態で、処理槽12内の純水等がフッ酸(HF)に置換されることにより、フッ酸によるウエハWの薬液処理が行われる(図3のSTEP4参照)。
【0058】
次に、図2(f)に示すように、ウエハWが処理槽12内に収容された状態で、処理槽12内のフッ酸を純水(DIW)に置換する。より具体的に説明すると、処理液供給部30の純水供給源22から純水を処理部10の処理槽12内に供給する。この際に、処理槽12からあふれた処理液はオーバーフロー槽14に送られ、この処理液はオーバーフロー槽14から排液管40に排出される。排液管40に排出排液は比抵抗計50によりその比抵抗値が検出される。ここで、排液の比抵抗値が所定の値以上である場合には、この排液は清浄であると判断され、切り替え部41の各バルブ42a、44a、46a、48aの開閉が制御されることにより、当該排液は第2の回収部44に送られ、第2の回収部44で回収される。第2の回収部44で回収された排液は回収液として処理液供給部30の第2の回収液供給部分26に送られ、この回収液は再利用されることとなる。一方、排液の比抵抗値が所定の値よりも小さい場合には、この排液は清浄ではないと判断され、当該排液はドレン部48に送られ、最終的に廃棄される。
【0059】
ここで、処理槽12内のフッ酸(HF)を純水(DIW)に置換する際に、処理液供給部30の純水供給源22から純水を供給管20に送る代わりに、第2の回収液供給部分26から第2の回収液を処理部10の処理槽12内に送るようにしてもよい。この場合、処理槽12内のフッ酸が第2の回収液に置換されることとなる。
【0060】
また、処理槽12内のフッ酸(HF)を純水(DIW)に置換する際に、最初に処理液供給部30の第2の回収液供給部分26から第2の回収液を処理槽12内に送り、その後、純水供給源22から純水を処理槽12内に送るようにしてもよい。この際に、最初に処理液供給部30の第2の回収液供給部分26から処理槽12内に第2の回収液のみを送り、その後、処理槽12内に送られる第2の回収液の量を徐々に減らすとともに純水供給源22から処理槽12内に送られる純水の量を徐々に増やし、最終的に純水供給源22から処理槽12内に純水のみを送るようにしてもよい。
【0061】
上述のように、ウエハWが処理槽12内に収容された状態で、処理槽12内のフッ酸(HF)が純水(DIW)や回収液に置換されることにより、ウエハWのリンス処理が行われる。また、ウエハWのリンス処理を行う際に処理槽12から排出される排液の一部は第2の回収液として回収される(図3のSTEP5参照)。ここで、第2の回収部44により回収される第2の回収液は、ウエハWの薬液処理の際にフッ酸(HF)と混合されて処理槽12に送られたり、このフッ酸によるウエハWの薬液処理の後に行われるリンス処理の際に処理槽12に送られたりするようになっているので、この第1の回収液はそれほど清浄でなくともフッ酸によるウエハWの薬液処理やその後のリンス処理に支障をきたすことはない。言い換えると、第2の回収部44により回収される第2の回収液の使用用途は、フッ酸によるウエハWの薬液処理やその後のリンス処理に限定されるため、第2の回収液にフッ酸の成分が多少残っていたとしても問題はない。
【0062】
また、第2の回収部44により第2の回収液が回収された後、所定時間が経過すると第2の回収液は廃棄されるようになっている。
【0063】
また、ウエハWのリンス処理が行われる際に、処理部10から排出される排液のうち、第1の回収液や第2の回収液よりも比抵抗値が大きい排液が第3の回収液として第3の回収部46により回収されるようになっていてもよい。この場合、アンモニア・過酸化水素水溶液やフッ酸によるウエハWの薬液処理やその後のリンス処理を行う際に、処理液供給部30の第1の回収液供給部分24や第2の回収液供給部分26から第1の回収液や第2の回収液が供給管20に送られる代わりに、処理液供給部30の第3の回収液供給部分28から第3の回収液が供給管20に送られてもよい。
【0064】
以上のように本実施の形態の基板処理装置1および基板処理方法によれば、排液管40の下流側には第1の排液ライン42bおよび第2の排液ライン44bが分岐して接続され、排液管40から排液が第1の排液ライン42bまたは第2の排液ライン44bに選択的に送られるようになっており、第1の排液ライン42bおよび第2の排液ライン44bからそれぞれ処理液供給部30に排液が回収液として互いに独立して送られるようになっており、排出部から第1の排液ライン42bおよび第2の排液ライン44bへの分岐箇所には切り替え部41が設けられ、この切り替え部41は排液管40から第1の排液ライン42bまたは第2の排液ライン44bへの排液の流れの切り替えを行うようになっている。そして、処理液供給部30は、第1の排液ライン42bから送られた回収液および第2の排液ライン44bから送られた回収液を選択的に処理部10に供給するようになっている。
【0065】
このように、ウエハWの薬液処理で用いられる薬液の種類に応じて、この薬液処理の後に行われるウエハWのリンス処理で処理部10の処理槽12から排出される排液を別々に回収して再利用するようになっているので、第1の回収液を、この第1の回収液に関連するアンモニア・過酸化水素水溶液によるウエハWの薬液処理やこの薬液処理の後に行われるウエハWのリンス処理で用いることができ、また、第2の回収液を、この第2の回収液に関連するフッ酸によるウエハWの薬液処理やこの薬液処理の後に行われるウエハWのリンス処理で用いることができる。このため、第1の回収液はそれほど清浄でなくともアンモニア・過酸化水素水溶液によるウエハWの薬液処理やその後のリンス処理に支障をきたすことはない。同様に、第2の回収液はそれほど清浄でなくともフッ酸によるウエハWの薬液処理やその後のリンス処理に支障をきたすことはない。言い換えると、第1の回収液および第2の回収液の各々の使用用途は、それぞれ、当該回収液に関連する薬液によるウエハWの薬液処理やその後のリンス処理に限定されるため、これらの回収液に、関連する薬液の成分が多少残っていたとしても問題はない。このため、ウエハWのリンス処理を開始してからそれほど時間が経過しなくとも、リンス処理において処理部10の処理槽12から排出される排液を回収液として回収することができ、処理部10から排出される排液を回収して再利用するにあたりより多くの量の排液を回収することができる。このため、純水の使用量を低減することができるのでランニングコスト等のコストを低減することができる。
【0066】
本実施の形態の基板処理装置1および基板処理方法においては、処理部10においてアンモニア・過酸化水素水溶液によりウエハWの薬液処理が行われる際に、処理液供給部30は第1の排液ライン42bから送られた回収液(第1の回収液)を処理部10に供給するようになっている。また、処理部10においてフッ酸によりウエハWの薬液処理が行われる際に、処理液供給部30は第2の排液ライン44bから送られた回収液(第2の回収液)を処理部10に供給するようになっている。
【0067】
また、本実施の形態の基板処理装置1および基板処理方法においては、処理部10においてアンモニア・過酸化水素水溶液によりウエハWの薬液処理を行った後にウエハWのリンス処理を行う際に、切り替え部41は排液管40から第1の排液ライン42bに排液が流れるよう切り替えを行うとともに処理液供給部30は第1の排液ライン42bから送られた回収液を処理部10に供給するようになっている。この際に、まず、処理液供給部30の第1の回収液供給部分24から回収液が処理部10に送られ、その後、純水供給源22から純水が処理部10に送られるようになっていてもよい。また、処理部10においてフッ酸によりウエハWの薬液処理を行った後にウエハWのリンス処理を行う際に、切り替え部41は排液管40から第2の排液ライン44bに排液が流れるよう切り替えを行うとともに処理液供給部30は第2の排液ライン44bから送られた回収液を処理部10に供給するようになっている。この際に、まず、処理液供給部30の第2の回収液供給部分26から回収液が処理部10に送られ、その後、純水供給源22から純水が処理部10に送られるようになっていてもよい。
【0068】
また、処理部10においてアンモニア・過酸化水素水溶液によりウエハWの薬液処理を行った後にウエハWのリンス処理を行う際に、純水供給源22から供給される純水と、第1の回収液供給部分24から供給される回収液とが混合されて処理部10に送られるようになっていてもよい。また、処理部10においてフッ酸によりウエハWの薬液処理を行った後にウエハWのリンス処理を行う際に、純水供給源22から供給される純水と、第2の回収液供給部分26から供給される回収液とが混合されて処理部10に送られるようになっていてもよい。
【0069】
前述のように、処理部10に送られる複数(本実施の形態では2つ)の種類の薬液のうち、一方の薬液は酸性(フッ酸)であり、他方の薬液はアルカリ性(アンモニア・過酸化水素水溶液)となっている。
【0070】
また、本実施の形態の基板処理装置1および基板処理方法においては、第1の回収部42または第2の回収部44により排液が回収された後、所定時間が経過すると回収された排液は廃棄されるようになっている。このことにより、質が悪化した回収液を再利用してしまうことを防止することができる。
【0071】
なお、本発明による基板処理装置1および基板処理方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、ウエハWの処理を行う処理部10としては、図1に示すような、処理槽12に薬液や純水等の処理液を貯留してこの貯留された処理液に複数枚(例えば、50枚)のウエハWを一度に浸漬させるようなバッチ式のものに限定されることはない。ウエハWの処理を行う処理部として、ウエハWを1枚ずつ処理するような枚葉式のものを用いてもよい。枚葉式の処理部においては、ウエハチャック上に1枚のウエハWを略水平状態で載置し、ウエハチャック上に載置された状態でウエハWを回転させながらそのウエハWの表面に薬液や純水等の処理液を供給することにより、ウエハWの薬液処理やリンス処理を行うようになっている。
【0072】
また、排液管40に抵抗比計50を設置する代わりに、排液管40にイオン濃度計やTOC計を設けてもよい。排液管40にイオン濃度計を設け、処理部10のオーバーフロー槽14から排液管40に排出される排液のイオン濃度をイオン濃度計で検出するようにした場合は、ウエハWのリンス処理を行う際に、このイオン濃度計により検出されたイオン濃度が所定の値以下である排液のみを第1の回収部42や第2の回収部44等で回収し、イオン濃度計により検出されたイオン濃度が所定の値より大きい排液はドレン部48に送り廃棄する。また、排液管40にTOC計を設け、処理部10のオーバーフロー槽14から排液管40に排出される排液のTOCをTOC計で検出するようにした場合は、ウエハWのリンス処理を行う際に、このTOC計により検出されたTOCが所定の値以下である排液のみを第1の回収部42や第2の回収部44等で回収し、TOC計により検出されたTOCが所定の値より大きい排液はドレン部48に送り廃棄する。
【0073】
また、排液管40に抵抗比計50を設置することを省略し、代わりに、ウエハWのリンス処理を開始してからの時間に基づいて処理部10から排出された排液を選択的に回収するようにしてもよい。この場合、ウエハWのリンス処理を開始してから所定の時間が経過するまでは処理部10のオーバーフロー槽14から排液管40に排出された排液はドレン部48に送り廃棄し、ウエハWのリンス処理を開始してから所定の時間が経過した後は処理部10のオーバーフロー槽14から排液管40に排出された排液を第1の回収部42や第2の回収部44で回収するようにする。
【0074】
また、上述した基板処理装置1や基板処理方法では、2種類の薬液を用いてそれぞれの薬液で薬液処理を行っているが、3種類以上の薬液を用いてそれぞれの薬液で薬液処理を行うようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 基板処理装置
10 処理部
12 処理槽
14 オーバーフロー槽
16 供給ノズル
20 供給管
22 純水供給源
22a バルブ
24 第1の回収液供給部分
24a バルブ
26 第2の回収液供給部分
26a バルブ
28 第3の回収液供給部分
28a バルブ
30 処理液供給部
32 アンモニア・過酸化水素水溶液(SC1)供給源
32a バルブ
34 フッ酸(HF)供給源
34a バルブ
40 排液管
41 切り替え部
42 第1の回収部
42a バルブ
42b 第1の排液ライン
44 第2の回収部
44a バルブ
44b 第2の排液ライン
46 第3の回収部
46a バルブ
46b 第3の排液ライン
48 ドレン部
48a バルブ
48b ドレンライン
50 比抵抗計
70 制御部
72 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理を行う処理部と、
前記処理部に処理液を供給する処理液供給部と、
前記処理部に第1の薬液を供給する第1薬液供給部と、
前記処理部に第2の薬液を供給する第2薬液供給部と、
前記処理部から排液を排出する排出部と、
前記排出部の下流側に分岐してそれぞれ接続され、当該排出部から排液が選択的に送られる第1の排液ラインおよび第2の排液ラインであって、当該第1の排液ラインおよび第2の排液ラインからそれぞれ前記処理液供給部に排液が回収液として互いに独立して送られる第1の排液ラインおよび第2の排液ラインと、
前記排出部から前記第1の排液ラインおよび前記第2の排液ラインへの分岐箇所に設けられ、前記排出部から前記第1の排液ラインまたは前記第2の排液ラインへの排液の流れの切り替えを行う切り替え部と、
備え、
前記処理液供給部は、前記第1の排液ラインから送られた回収液および前記第2の排液ラインから送られた回収液を選択的に前記処理部に供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記処理液供給部は、前記第1の排液ラインから送られた回収液の前記処理部への供給の切り替えを行う第1のバルブと、前記第2の排液ラインから送られた回収液の前記処理部への供給の切り替えを行う第2のバルブとを有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1薬液供給部が前記処理部に第1の薬液を供給して基板の薬液処理を行う際に、前記処理液供給部は前記第1の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給し、
前記第2薬液供給部が前記処理部に第2の薬液を供給して基板の薬液処理を行う際に、前記処理液供給部は前記第2の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給することを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理部において前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、前記切り替え部は前記排出部から前記第1の排液ラインに排液が流れるよう切り替えを行うとともに前記処理液供給部は前記第1の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給し、
前記処理部において前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、前記切り替え部は前記排出部から前記第2の排液ラインに排液が流れるよう切り替えを行うとともに前記処理液供給部は前記第2の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液供給部は、前記第1の排液ラインから送られた回収液および前記第2の排液ラインから送られた回収液に加えて、純水を選択的に前記処理部に供給するようになっていることを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理液供給部は、純水の前記処理部への供給の切り替えを行う純水用バルブを有することを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理部において前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、まず、前記処理液供給部は前記第1の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給し、その後、前記処理液供給部は純水を前記処理部に供給し、
前記処理部において前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、まず、前記処理液供給部は前記第2の排液ラインから送られた回収液を前記処理部に供給し、その後、前記処理液供給部は純水を前記処理部に供給することを特徴とする請求項5または6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理部において前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、前記処理液供給部は、前記第1の排液ラインから送られた回収液と純水とを混合して前記処理部に供給し、
前記処理部において前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に基板のリンス処理を行う際に、前記処理液供給部は、前記第2の排液ラインから送られた回収液と純水とを混合して前記処理部に供給することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1の薬液および前記第2の薬液のうち一方の薬液は酸性であり他方の薬液はアルカリ性であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記排出部の下流側に分岐して接続され、当該排出部から排液が選択的に送られる第3の排液ラインであって、当該第3の排液ラインから前記処理液供給部に排液が回収液として送られるようになっているような第3の排液ラインを更に備え、
前記第3の排液ラインには、前記処理部から排出される排液のうち、前記第1の排液ラインや前記第2の排液ラインに送られる排液よりも比抵抗率が大きい排液が送られるようになっており、
前記切り替え部は、前記排出部から前記第3の排液ラインへの排液の流れの切り替えも行うようになっており、
前記処理液供給部は、前記第3の排液ラインから送られた回収液も選択的に前記処理部に供給することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記処理液供給部は、前記第3の排液ラインから送られた回収液の前記処理部への供給の切り替えを行う第3のバルブを有することを特徴とする請求項10記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1の排液ラインまたは前記第2の排液ラインから排液が回収液として回収された後、所定時間が経過すると回収された排液は廃棄されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記処理部において第1の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、
前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第1の回収液として回収する工程と、
前記処理部において基板のリンス処理を行った後に、前記処理部において第2の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、
前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第2の回収液として回収する工程と、
を備え、
前記第1の回収液、および前記第2の回収液をそれぞれ前記処理部に選択的に供給することを特徴とする基板処理方法。
【請求項14】
前記処理部において前記第1の薬液により基板の薬液処理を行う工程において、前記第1の薬液と前記第1の回収液とを混合して前記処理部に送り、
前記処理部において前記第2の薬液により基板の薬液処理を行う工程において、前記第2の薬液と前記第2の回収液とを混合して前記処理部に送ることを特徴とする請求項13記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、前記第1の回収液を前記処理部に送り、
前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、前記第2の回収液を前記処理部に送ることを特徴とする請求項13または14記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、まず、前記第1の回収液を前記処理部に送り、その後、純水を前記処理部に送り、
前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、まず、前記第2の回収液を前記処理部に送り、その後、純水を前記処理部に送ることを特徴とする請求項15記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、純水と前記第1の回収液とを混合して前記処理部に送り、
前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程において、純水と前記第2の回収液とを混合して前記処理部に送ることを特徴とする請求項15または16記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記第1の回収液や前記第2の回収液は、回収されてから所定時間が経過すると廃棄されることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項19】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムであって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
前記基板処理方法が、
前記処理部において第1の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、
前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第1の回収液として回収する工程と、
前記処理部において基板のリンス処理を行った後に、前記処理部において第2の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、
前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第2の回収液として回収する工程と、
を備え、
前記第1の回収液、および前記第2の回収液をそれぞれ前記処理部に選択的に供給することを特徴とするプログラム。
【請求項20】
基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムが記憶された記憶媒体であって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
前記基板処理方法が、
前記処理部において第1の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、
前記第1の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第1の回収液として回収する工程と、
前記処理部において基板のリンス処理を行った後に、前記処理部において第2の薬液により基板の薬液処理を行う工程と、
前記第2の薬液により基板の薬液処理を行った後に、前記処理部において基板のリンス処理を行い、このリンス処理が行われている間に前記処理部から排出される排液を第2の回収液として回収する工程と、
を備え、
前記第1の回収液、および前記第2の回収液をそれぞれ前記処理部に選択的に供給することを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−287591(P2010−287591A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137892(P2009−137892)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】