説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】処理流体ノズルから吐出した処理液により、半導体ウエハのような基板の上の異物を洗浄処理するときに、処理液が基板上に拡散することを抑制するとともに、一度基板から脱離した異物の基板外へ除去を効果的にすることができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】処理流体ノズルの周囲を囲んで配置され一方向に開口部を設けた形に形成され、基板に対し気体を放出するように構成されている拡散抑制部と、拡散抑制部を移動させる移動部とを備え、処理流体ノズルにより処理液が吐出する際に、拡散抑制部の開口部が基板の周縁部に向くように移動部が拡散抑制部を移動することにより、処理液の拡散による基板のダメージを抑制し、処理液及び異物の基板外への除去を効果的にできるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造工程に使用される基板処理装置及び基板処理方法に関し、より詳細には、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等の各種の基板に対して洗浄処理を施すための基板処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品の製造工程では、基板の表面に成膜やエッチングなどの処理を繰り返し施して、微細なパターン等を形成していく微細加工工程が含まれる。この微細加工工程を良好に行うためには、基板の表面を清浄な状態に保つ必要がある。そこで、従来から、必要に応じて、基板の表面の洗浄処理が行われてきた。
【0003】
基板の表面の洗浄処理を行う従来の基板処理装置および基板処理方法としては、例えば特許文献1に開示されたものがあった。
【0004】
この基板処理装置および基板処理方法では、基板上に比較的大きなサイズの異物が残留しているときには、ブラシ洗浄によって基板上から異物を排除している。また、基板上に中程度の大きさの異物が存在しているときには、基板に超音波振動を付与する超音波洗浄によって基板上から異物の排除している。さらにまた、微小な異物が基板上に残留しているときには、液体と気体とを混合することによって液滴の噴流を形成し、この液滴の噴流を基板表面に向けて吐出する二流体ノズルを用いた二流体洗浄によって基板上から異物の排除している。
【0005】
また、この洗浄処理では、回転機構により、基板の中心を軸として基板を回転している状態で、または、基板を所定の位置で停止している状態で、ノズルを基板に対して相対移動して、またノズルの基板に対する角度を変えて、ノズルから基板に向け処理液を吐出している。
【0006】
これらの処理により、基板表面に付着しているパーティクル(微小汚物)等の異物が基板から除去され、基板の洗浄処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−319708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ノズルから吐出した処理液はそのまま基板上に拡散する構成となっていたため、拡散すべきでない個所への処理液の拡散を抑制することができなかった。
そのため、処理液の拡散により、基板に不必要なダメージを与えるおそれや、回路パターン倒れを発生させるおそれがあった。また、一度基板から脱離した異物を基板外へ除去する前に、基板に再付着してしまうおそれがあった。
【0009】
本発明の目的は、ノズルから吐出した処理液が必要以上に拡散することを抑制するとともに、一度基板から脱離した異物を効果的に基板外へ除去する基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。
【0011】
本発明は、基板上の異物の洗浄処理を行う基板処理装置に関する。
そして、異物に対して処理流体を吐出する処理流体ノズルと、処理流体ノズルが吐出した処理流体の拡散を抑制する拡散抑制部と、拡散抑制部を移動させる第一の移動部とを備え、拡散抑制部は、処理流体ノズルの周囲を囲んで配置され一方向に開口部を設けた形に形成され、基板に対し気体を放出するように構成され、第一の移動部は、処理流体ノズルにより処理流体が吐出する際に、拡散抑制部の開口部が前記基板の周縁部に向くようにその位置を移動させることを特徴とする。
【0012】
また、基板処理装置は、基板の任意の位置を保持し回転させる基板保持回転部と、処理流体ノズルを前記基板保持回転部と同期させて回転させ、基板に対して相対的に移動させる第二の移動部とをさらに備え、第一の移動部は、拡散抑制部を基板保持回転部と同期させて回転させるとともに、基板が回転することにより処理流体ノズルから基板上に吐出された処理流体にかかる遠心力の方向に拡散抑制部の開口部を配置するように拡散抑制部を移動させることを特徴とする。
【0013】
また、基板は略円形に形成され、基板保持回転部は、略円形の形状に対しオフセンターの位置であって、基板上の異物の位置と略円形のセンターの位置とを結ぶ距離よりも長い距離の基板上の位置を保持して、この位置を回転中心として基板を回転させるように構成したことを特徴とする。
【0014】
また、基板処理装置は、処理流体ノズルと基板とがなす角度を変更可能に構成する角度変更部をさらに備え、角度を基板に対して鋭角にしたとき、処理流体ノズルが処理流体を吐出する吐出方向に、拡散抑制部の開口部を配置するように構成したことを特徴とする。
【0015】
そして、本発明の他の発明は、基板上の異物の洗浄処理を基板処理装置により行う基板処理方法に関する。
この基板処理装置は、異物に対して処理流体を吐出する処理流体ノズルと、処理流体ノズルの周囲を囲んで配置され一方向に開口部を設けた形に形成され、基板に対し気体を放出することで処理流体ノズルが吐出した処理流体の拡散を抑制する拡散抑制部と、拡散抑制部を移動させる第一の移動部とを備え、処理流体ノズルにより処理流体を吐出させる際に、第一の移動部が、拡散抑制部の開口部が基板の周縁部に向くように拡散抑制部の位置を移動させる工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上述の特徴を有することから、下記のことが可能となる。
【0017】
すなわち、基板上の異物の洗浄処理を行う基板処理装置において、異物に対して処理流体を吐出する処理流体ノズルと、処理流体ノズルが吐出した処理流体の拡散を抑制する拡散抑制部と、拡散抑制部を移動させる第一の移動部とを備え、拡散抑制部は、処理流体ノズルの周囲を囲んで配置され一方向に開口部を設けた形に形成され、基板に対し気体を放出するように構成され、第一の移動部は、処理流体ノズルにより処理流体が吐出する際に、拡散抑制部の開口部が基板の周縁部に向くようにその位置を移動させるように構成されているので、処理流体ノズルの周囲を囲んでいる部分において気体により液滴の拡散を抑制して、一方向に設けられた開口部に向けて処理流体を所定の方向に排出することができる。これにより、処理流体の拡散による基板に不必要なダメージを与えることや、回路パターン倒れを発生させることを抑制することができる。また、処理流体を所定の一方向に排出するので、異物の基板外へ除去を効果的にすることができる。
【0018】
また、基板処理装置は、基板の任意の位置を保持し回転させる基板保持回転部と、処理流体ノズルを前記基板保持回転部と同期させて回転させ、基板に対して相対的に移動させる第二の移動部とをさらに備え、第一の移動部は、拡散抑制部を基板保持回転部と同期させて回転させるとともに、基板が回転することにより処理流体ノズルから基板上に吐出された処理流体にかかる遠心力の方向に拡散抑制部の開口部を配置するように拡散抑制部を移動させるように構成しているので、処理流体にかかる遠心力により、異物の基板外への除去をより効果的にすることができる。
【0019】
また、基板は略円形に形成され、基板保持回転部は、略円形の形状に対しオフセンターの位置であって、基板上の異物の位置と略円形のセンターの位置とを結ぶ距離よりも長い距離の基板上の位置を保持して、この位置を回転中心として基板を回転させるように構成したので、異物の基板上の位置から基板保持回転部の保持している位置までの距離は、異物の基板上の位置から基板の略円形のセンター位置までの距離より長くすることができる。すなわち、同じ回転数の場合に、より大きな遠心力を得ることができて、異物の基板外へ除去をより効果的にすることができる。
【0020】
また、基板処理装置は、処理流体ノズルと基板とがなす角度を変更可能に構成する角度変更部をさらに備え、角度を基板に対して鋭角にしたとき、処理流体ノズルが処理流体を吐出する吐出方向に、拡散抑制部の開口部を配置するように構成したので、吐出方向と開口部の方向が一致し、異物の基板外へ除去をより効果的にすることができる。
【0021】
そして、基板上の異物の洗浄処理を基板処理装置により行う基板処理方法において、基板処理装置は、異物に対して処理流体を吐出する処理流体ノズルと、処理流体ノズルの周囲を囲んで配置され一方向に開口部を設けた形に形成され、基板に対し気体を放出することで処理流体ノズルが吐出した処理流体の拡散を抑制する拡散抑制部と、拡散抑制部を移動させる第一の移動部とを備え、拡散抑制部は、処理流体ノズルにより処理流体を吐出させる際に、第一の移動部が、拡散抑制部の開口部が基板の周縁部に向くように拡散抑制部の位置を移動させる工程を含むので、処理流体ノズルの周囲を囲んでいる部分において気体により液滴の拡散を抑制して、一方向に設けられた開口部に向けて処理流体を所定の方向に排出することができる。これにより、処理流体の拡散による基板に不必要なダメージを与えることや、回路パターン倒れを発生させることを抑制することができる。また、処理流体を所定の一方向に排出するので、異物の基板外へ除去を効果的にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施形態に係る洗浄処理部の具体的な構成例を示す概略図
【図3】本発明の一実施形態に係るノズルと基板との位置関係を示す概略図であり、(a)は処理流体ノズルを基板に対し垂直に配置した場合、(b)は処理流体ノズルを傾けた場合の概略図
【図4】本発明の一実施形態に係る拡散抑制部の構成を示す概略図
【図5】本発明の一実施形態に係る拡散抑制部の要部を示す構造図
【図6】本発明の一実施形態に係る拡散抑制部を用いた、異物を基板外へ除去する様子を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0024】
図1は、基板処理装置の構成を説明するためのブロック図であり、異物測定部1、記憶装置2、制御装置3、及び洗浄処理部4を備えている。
異物測定部1は基板上の異物を測定し、その測定結果である異物情報は、記憶装置2に記憶される。制御装置3は、記憶装置2に記憶されている異物情報、すなわち、異物の位置座標や形状、サイズ等の情報に基づき、異物情報の測定結果に応じた基板洗浄工程を設定する。洗浄処理部4は、この設定された基板洗浄工程に従い、基板洗浄処理を実行する。
【0025】
図2は、洗浄処理部4の具体的な構成例、特にノズルユニット(処理流体ノズル)15と基板保持回転部10の構成例を説明するための概念図である。ここでは、基板17は、たとえば半導体ウエハのような、略円形の形状をしている。
【0026】
図2に示すように、基板保持回転部10はスピンチャック11と基板回転駆動機構13とを備える。スピンチャック11は、基板17をほぼ水平姿勢で保持して鉛直軸線まわりに回転させる。このスピンチャック11の基板回転軸12には、モータ等を含む基板回転駆動機構13からの回転力が与えられていて、スピンチャック11にチャッキングされ保持された基板17を、スピンチャック11で保持している部分を回転中心として鉛直軸線まわりに回転させる。
【0027】
図2に示すように、ノズルユニット15は、超音波ノズル15aと二流体スプレーノズル15bと薬液ノズル15cとを備える。
【0028】
超音波ノズル15aは、スピンチャック11に保持された基板17の少なくとも回転中心から周縁部に至る範囲に亘って処理液(処理流体)供給位置を変更することができるスキャンノズルとしての基本形態を有している。さらに、基板17の回転と同期して超音波ノズル15aを移動させる図示しない移動手段(第二の移動部)が備えられている。よって、制御装置3が当該移動手段を制御することにより、超音波ノズル15aと基板17との相対的位置関係が制御される。
【0029】
二流体スプレーノズル15bは、気体と液体とを混合することによって液滴(処理流体)の噴流を形成し、この噴流を基板17の表面に吹きつけるものである。この二流体スプレーノズル15bは、超音波ノズル15aと同様に、少なくとも基板17の回転中心からその周縁部に至る範囲を含む範囲で処理位置を変更できるスキャンノズルとしての基本形態を有している。さらに、基板17の回転と同期して二流体スプレーノズル15bを移動させる図示しない移動手段(第二の移動部)が備えられている。よって、制御装置3が当該移動手段を制御することにより、二流体スプレーノズル15bと基板17との相対的位置関係が制御される。
【0030】
薬液(処理流体)ノズル15cも、超音波ノズル15a及び二流体スプレーノズル15bと同様に、少なくとも基板17の回転中心からその周縁部に至る範囲を含む範囲で処理位置を変更できるスキャンノズルとしての基本形態を有している。さらに、基板17の回転と同期して移動させる図示しない移動手段(第二の移動部)が備えられている。よって、制御装置3が当該移動手段を制御することにより、薬液ノズル15cと基板17との相対的位置関係が制御される。
【0031】
図3は、基板17をスピンチャック11により保持し回転させながら、基板17上の異物20をノズルユニット15により基板17から脱離させて、基板の外へ排除する際のノズルユニット15と基板17との位置関係の例を示す概略図である。
【0032】
図3(a)及び(b)に示すように、超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bは、上述の移動手段によりこれら超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bと基板17との角度が変更可能となるように構成され、これら超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bと基板17とのなす角度は制御装置3により制御される。例として、洗浄工程の前半段階における異物が基板から離れる前の状態では、図3(a)に示すように、超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bは基板17表面に対して垂直になるように制御され、洗浄工程の後半段階における異物が基板から脱離した後の状態では、図3(b)に示すように、超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bの先端から吐出される処理流体が基板17に対しの外方に向けられるように、例えば、図中θで示すように、これら超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bが基板17に対して鋭角に傾くように制御される。
【0033】
また、本実施形態では、超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bを囲むように拡散抑制部22が設けられている。この拡散抑制部22によって、これら超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bの吐出した液滴(処理流体)21、または、基板から脱離した異物20がこの基板17上で拡散するのを抑制し、基板17縁部に向かう流体流(処理流体)23を効率的に基板17の外に排出することができる。
【0034】
拡散抑制部22は、少なくとも基板17の回転中心からその周縁部に至る範囲を含む範囲で処理位置を変更できる基本形態を有している。また、基板17の回転と同期してこの拡散抑制部22を移動させる図示しない移動手段(第一の移動部)が備えられている。よって、制御装置3が当該移動手段を制御することにより、拡散抑制部22と基板17との相対的位置関係が制御される。
【0035】
図4乃至図6は、拡散抑制部22の詳細を示している。すなわち、図4は拡散抑制部22の構成を示す概略図であって、この拡散抑制部22と基板17等との関係を側面から見た図、図5は拡散抑制部22要部を示す構造図であって、この拡散抑制部22を側面から見た図、図6は、拡散抑制部22等を用いて異物を基板17外へ除去する様子を示す概略図であって、拡散防止部22等を上面から見た図である。
【0036】
図4および図5に示すように、拡散抑制部22は圧縮した気体を吹き付ける気体吹き付けユニット28の集合体であり、基板17の上方であって、この基板17から所定の間隔を取って離れたところに配設されている。ガスボンベ26から放出された気体はガス配管24に導入され、その途中に設けられたバルブ25により気体の流量が調整される。気体はガス配管24から気体導入口27に導かれ、拡散抑制部22に設けられたそれぞれの気体吹き付けユニット28に分けられる。気体吹き付けユニット28の下部には気体通過部29が設けられ、拡散抑制部22のそれぞれの気体吹き付けユニット28に導かれた気体はこの気体通過部29を通過し、さらにその下端に形成されている気体吐出口30から所定の流速を持って基板17に向けて放出される。
ここで、放出される気体は不活性ガス(たとえば窒素ガス)が好ましいが、基板17の種類や工程に合わせて、さまざまな気体を使用できる。
【0037】
図3および図6に示すように、拡散抑制部22は、上面から見たとき三方向を閉じ一方向を開口した形をなし、全体としてU字状に形成されている。この拡散抑制部22の開口部は、超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bから液滴21を吐出する際には、基板17の周縁部にむけて配置されるように、その位置が制御される。
【0038】
拡散抑制部22を構成する各々の気体吹き付けユニット28の気体吐出口30から放出された気体は基板17に向けて吹き付けられる。そして、気体吐出口30から放出された気体により、全体として、いわゆるエアカーテンのような、U字状の形をした気体の壁が形成され、基板17に向けて吹き付けられた気体は拡散抑制部22の内側と外側に分かれて流れる。そして、内側に分かれた気体は拡散抑制部22の開口部の方向に流れていく。この気体の流れにより、拡散抑制部22の三方向を閉じた部分で液滴21の拡散を抑制して、開口部分の方向に液滴21等が流れるようにして、排出することができる。
【0039】
図6に示すように、異物20に対して超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bから液滴21を吐出すると、拡散抑制部22があるために、これら超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bから吐出された液滴21及び基板から脱離した異物20は拡散抑制部22の外側に拡散することが抑制され、基板縁部に向かう流体流23となって図中矢印で示したように効率的に基板17の外へ除去される。
【0040】
図6に示すように、拡散抑制部22の形は、開口している部分が外側に向けてU字状に開いているので、基板縁部に向かう流体流23等がスムーズに流れていく。このU字状の形は、例えば放物線や、楕円の一部を切り取ったような二次曲線状のものであってもよい。
【0041】
あるいは、拡散抑制部22は、半円の端部に2本の平行な線部が連続した形であってもよい。開口部分を所定の幅とすることにより、基板17に沿って基板縁部に向かう流体流23が流れ出すとき触れる部分を規制することができる。また、この拡散抑制部22の端部から出る2本の連続した平行な線部を基板17の周縁まで伸ばし、基板縁部に向かう流体流23が所定の経路で確実に基板17の外に排出されるように構成してもよい。
【0042】
なお、ノズルユニット15や拡散抑制部22は、上述のように制御装置3により制御された移動手段により、基板17と同期し、相対位置を保ちながら回転している。このとき、液滴21や気体は、例えばロータリ・ジョイント(回転継手)等を用いて、ノズルユニット15や拡散抑制部22に供給されている。
【0043】
以上詳細に説明したように、本実施形態では、図3に示すように、超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bの周囲を囲むようにして拡散抑制部22を配置し、その開口部が基板17の周縁部に向くようにその位置が制御されている。このように構成することで、超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15bから吐出された液滴21及び異物20を流体流23として効果的に基板17外に排除することができる。
【0044】
そして、図3に示すように、略円形の基板17はスピンチャック11によりオフセンターに保持され、この保持部を回転中心として回転している。
すなわち、スピンチャック11は基板17の略円形のセンターを保持せず、基板17上の異物20の位置と略円形のセンターの位置とを結ぶ距離よりも異物20の位置に対して長い距離の前記基板上の位置を保持して、この位置を回転中心として、前記基板を回転している。このように基板17を保持することにより、基板17をそのセンターで保持した場合よりも異物20からの距離を大きくとることができて、より大きな遠心力を得ることができる。
【0045】
特に、異物20が基板17のセンター近傍にある場合には、回転中心が基板17のセンターであると、十分な遠心力を得られない。このような場合に、本実施形態のようにオフセンターに基板17を保持すれば、より大きな遠心力を得ることができて、異物20や液滴21をすみやかに排除できる。この際、上述した移動機構は、拡散抑制部22の開口部が基板17の回転中心の反対側、すなわち、液滴21に対して基板17の外延部に向く方向に遠心力が作用するように開口部を位置させるようにこの拡散抑制部22を制御する。
【0046】
また、基板17を所定の位置でスピンチャック11によりチャッキングするため、制御装置3により制御された基板移動部(図示せず)を、更に備えてもよい。
この場合、異物20が複数ある場合には、これらの異物20の大きさや種類等により重み付けをして、洗浄しやすい最適の位置でチャッキングするよう、制御装置3により制御されたこの基板移動部により基板17を移動させ、スピンチャック11によりチャッキングすることもできる。
【0047】
また、本実施形態では、拡散抑制部22と基板17とは相対的位置を保ちながら回転する構成であるが、これに限定されず、基板17と拡散抑制部22とが静止している場合であっても、拡散抑制部22により、液滴21の拡散を抑制して、基板の周縁部に液滴21を排出するという同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、本発明の基板処理装置は、その細部が上述した実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。一例として、上述した実施形態では、基板17として半導体ウエハを用いて説明したが、これに限定されず、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種の基板であってもよい。また、上述した実施形態ではノズルユニット15として超音波ノズル15a、二流体スプレーノズル15b、及び薬液ノズル15cを備えた構成としていたが、基板処理の能率等を考慮してどのようなノズルを採用するかは任意である。
【符号の説明】
【0049】
1 異物測定部
2 記憶装置
3 制御装置
4 基板処理部
10 基板保持回転部
11 スピンチャック
12 基板回転軸
13 基板回転駆動機構
15 ノズルユニット
15a 超音波ノズル
15b 二流体スプレーノズル
15c 薬液ノズル
17 基板
18 ノズル回転軸
19 ノズル回転駆動機構
20 異物
21 液滴
22 拡散抑制部
23 基板縁部に向かう流体流
24 ガス配管
25 バルブ
26 ガスボンベ
27 気体導入口
28 気体吹き付けユニット
29 気体通過部
30 気体放出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の異物の洗浄処理を行う基板処理装置において、
前記異物に対して処理流体を吐出する処理流体ノズルと、
前記処理流体ノズルが吐出した処理流体の拡散を抑制する拡散抑制部と、
前記拡散抑制部を移動させる第一の移動部と
を備え、
前記拡散抑制部は、前記処理流体ノズルの周囲を囲んで配置され一方向に開口部を設けた形に形成され、前記基板に対し気体を放出するように構成され、
前記第一の移動部は、前記処理流体ノズルにより前記処理流体が吐出する際に、前記拡散抑制部の開口部が前記基板の周縁部に向くようにその位置を移動させる
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板処理装置は、
前記基板の任意の位置を保持し回転させる基板保持回転部と、
前記処理流体ノズルを前記基板保持回転部と同期させて回転させ、前記基板に対して相対的に移動させる第二の移動部と、
をさらに備え、
前記第一の移動部は、前記拡散抑制部を前記基板保持回転部と同期させて回転させるとともに、前記基板が回転することにより前記処理流体ノズルから前記基板上に吐出された処理流体にかかる遠心力の方向に前記拡散抑制部の開口部を配置するように前記拡散抑制部を移動させる
ことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板は略円形に形成され、
前記基板保持回転部は、前記略円形の形状に対しオフセンターの位置であって、前記基板上の前記異物の位置と略円形のセンターの位置とを結ぶ距離よりも長い距離の前記基板上の位置を保持して、この位置を回転中心として、前記基板を回転させる
ことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板処理装置は、前記処理流体ノズルと前記基板とがなす角度を変更可能に構成する角度変更部をさらに備え、
前記角度を前記基板に対して鋭角にしたとき、前記処理流体ノズルが前記処理流体を吐出する吐出方向に、前記拡散抑制部の開口部を配置するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板上の異物の洗浄処理を基板処理装置により行う基板処理方法において、
前記基板処理装置は、
前記異物に対して処理流体を吐出する処理流体ノズルと、
前記処理流体ノズルの周囲を囲んで配置され、一方向に開口部を設けた形に形成され、前記基板に対し気体を放出することで前記処理流体ノズルが吐出した処理流体の拡散を抑制する拡散抑制部と、
前記拡散抑制部を移動させる第一の移動部と
を備え、
前記処理流体ノズルから前記処理流体を吐出させる際に、前記第一の移動部により、前記拡散抑制部の開口部が前記基板の周縁部に向くように前記拡散抑制部の位置を移動させる工程を含む
ことを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−174933(P2012−174933A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36304(P2011−36304)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】