説明

基板処理装置

【課題】基板色に拘わらず、感度調整などの設定調整作業が不要であり、かつ透明基板などについても高精度に検出可能な検出装置を有する基板処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
基台上の搬送路に沿ってプリント基板を搬送する搬送装置と、前記搬送路上にて設定された検出位置において前記プリント基板等の搬送対象物の有無を検出する検出装置と、前記搬送装置によって前記基台上の作業位置に搬入された前記プリント基板に対して、電子部品の実装など予め決められた処理を実行する実行部と、を備えた基板処理装置であって、前記検出装置は、超音波を送波する送波器と、前記送波器より送波され前記検出位置にある前記搬送対象物で反射した超音波の反射波を受波し、受波した反射波のレベルに応じた検出信号を出力する受波器と、からなる複数個の超音波センサを、互いに隣接して配置してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側から搬入される基板に対して、半田ペーストの印刷、接着剤の塗布、電子部品の実装、基板検査など予め決められた処理を実行し、処理済みの基板を下流側に搬出する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷機、ディスペンサ、表面実装機、リフロー装置などの各種基板処理装置を一列状に配置して製造ラインを構築し、プリント基板に、半田ペーストの印刷処理、接着剤の塗布処理、電子部品の実装処理、基板検査処理、リフロー処理の各処理を順に行うことで、実装基板を製造することが広く行われている。この種の基板処理装置においては、プリント基板を目的の作業位置に搬送、及び隣接する装置との間にて受け渡す必要があり、プリント基板搬送用の搬送装置を備えている。そして、搬送装置に光学式のセンサを付設してプリント基板の搬送状況を検出することで、搬送装置を制御している(下記特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2005−93765公報
【特許文献2】特開2005−45140公報
【特許文献3】特開平6−211334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光学式のセンサを用いてプリント基板の検出を行うものでは、以下の問題点がある。
(a)プリント基板の種類は多様であり、基板の種類に応じて基板色もそれぞれ異なる。基板色が異なると、それに応じて光の吸光度が変わるので、投光側の出力調整、受光感度の調整などの設定調整作業を行う必要があり、手間がかかる。
(b)透明基板の検出が不可能である。
(c)透明基板以外であってもプリント基板に反りがある場合には、光の反射方向が変わってしまうので、基板の検出を高精度に行うことが出来ない。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、基板色に拘わらず、感度調整などの設定調整作業が不要であり、かつ透明基板などについても高精度に検出可能な検出装置を有する基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
基台と、前記基台上に設けられる搬送路に沿ってプリント基板を直接的、或いは板状の基板支持体を介して間接的に搬送する搬送装置と、前記プリント基板、及び前記基板支持体を搬送対象物と定義したときに、前記搬送路上にて設定された検出位置における前記搬送対象物の有無を検出する検出装置と、前記搬送装置によって前記基台上の作業位置に搬入された前記プリント基板に対して半田ペーストの印刷、接着剤の塗布、電子部品の実装、基板検査など予め決められた処理を実行する実行部と、を備えた基板処理装置であって、
前記検出装置は、
(1)超音波を送波する送波器と、前記送波器より送波され前記検出位置にある前記搬送対象物で反射した超音波の反射波を受波し、受波した反射波のレベルに応じた検出信号を出力する受波器と、からなる複数個の超音波センサを、互いに隣接して配置してなるセンサ群と、
(2)前記超音波を前記検出位置に向けて送波する送波動作と前記反射波を受波する受波動作とからなる検出動作を、前記センサ群を構成する各超音波センサに同期、或いは検出周期だけずらして実行させるセンサ制御部と、を備えてなる。
【0005】
この発明の実施態様として、以下の構成としておくことが、好ましい。
・前記超音波センサは、電気的振動と機械的振動を相互に変換する単一個の圧電振動子を、前記送波器及び前記受波器として共用するセンサである。このようにしておけば、検出装置を安価に構成できる。
【0006】
・前記センサ群は、互いに隣接して配置された一対の超音波センサから構成されると共に、前記センサ制御部は、前記一対の超音波センサに対して前記検出動作を同じ検出周期、かつ同時的に実行させる第一の検出パターンと、一方の超音波センサを送波器として使用し、他方の超音波センサを受波器として使用する第二の検出パターンと、を交互に実行させるところに特徴を有する。
・前記第一の検出パターンと、第二の検出パターンの少なくともいずれかの一方のパターンにて前記反射波の検出が有ることを条件に、搬送対象物有りと判断し、前記搬送装置及びそれに付属される装置の駆動、或いは前記実行部の駆動を制御する制御手段を、備える。このようにしておけば、第一の検出パターンにて検出位置一帯の広範な範囲について基板の有無を検出でき、また、第二の検出パターンにて、いわゆる近距離の検出が可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送対象物の検出に超音波センサを用いている。超音波であれば、空気の振動を遮るような障害物であれば、障害物の表面色(透明/不透明も含む)が異なっても同じように反射するから表面色の別に拘わらず検出が可能であり、従来では必要であった設定調整作業を廃止できる。
【0008】
加えて、本発明のものは、複数個の超音波センサを互いに隣接して配置させて使用している。よって、単一の超音波センサを使用した場合に比べて、検出位置一帯のより広い範囲に、超音波を照射でき、検出エリアを広くとれる。従って、搬送対象物に切り欠きや、スリットなどの開口が設けられていても、これら切り欠きやスリットが検出エリア(超音波の照射領域内)に収まるので、スリット等の影響をほとんど受けず、搬送対象物の有無を検出することが可能となる。
【0009】
しかも、本発明のものは、これら複数の超音波センサを同期させ、あるいは検出周期分だけずれして動作させているので、隣接する超音波センサ間での相互干渉(他の超音波センサの検出動作による反射波が予期せぬタイミングで観測されるなど)を未然に回避することが可能となり、この点も効果的である。
【0010】
以上のことから、検出位置における搬送対象物の有無を正確に検出することが可能となり、搬送対象物の搬送制御、基板に対する部品実装処理、印刷処理などを円滑に行うことが可能となる結果、基板処理装置を高稼働率にて稼動できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図15によって説明する。図1は表面実装機の平面図、図2は図1中のA−A線断面図、図3は図2をC方向から見た図である。本表面実装機1はプリント基板(以下、単に基板)Pに対して電子部品Bを実装する装置であり、図1にて示すように、上面が平らな基台10上に各種装置(基板Pを搬送する搬送コンベア20、基板P上に電子部品Bを実装する実装作業装置100)を配置してなる。
【0012】
尚、以下の説明において、基台10の長手方向(図1、図3の左右方向)をX方向と呼ぶものとし、Y方向、Z方向をそれぞれ図1〜3の向きに定めるものとする。また、図1において右手側を上流側(作業対象となる基板Pの搬入側)、左手側を下流側(作業済みの基板Pの搬出側)として説明を行う。
【0013】
1.基板Pを搬送するコンベア及びそれに付属される装置
基台10はX方向に長い長方形状をなしており、中央に搬送コンベア(以下、単にコンベアと呼ぶ)20を配置し、また、上流側にあたる基台10の右端に搬入コンベア12を、下流側にあたる基台10の左端に搬出コンベア13を配置している。これら3つのコンベア12、13、20は互いに段差なく連続しており、作業対象となる基板PをX方向(図1の右側から左側)に順々に送ることが出来る構成となっている。ここでは、図2を参照して、基台10の中央に設置される搬送コンベア20の構成について説明するものとする。
【0014】
搬送コンベア20は基台10上にて基板Pの搬送路Lcを形成するものであって、側壁体21、搬送ベルト25、及びコンベアモータ27を主体に構成されている。側壁体21は図2に示すようにY方向に向かい合う一対からなり、図3にて示すようにX方向に延びている。そして、各側壁体21の内周面であって、上部寄りの位置には一対のローラ23を掛け渡して搬送ベルト25が取り付けられている。両側壁体21の搬送ベルト25は、コンベアモータ27の作動により、X方向(図3の左右方向)に循環駆動する構成となっている。このような構成とすることで、ベルト上面の基板PをX方向に搬送できるようになっている。
【0015】
また、図1に示す符号50は基板ストッパ、符号60はバックアップ装置である。基板ストッパ50は基台中央のやや左手側に配置され、シリンダ駆動などにより図3に示す下降位置と、図4に示す上昇位置に昇降操作可能なストッパピン51を備える。
【0016】
図3に示す下降位置では、ストッパピン51のピン先端が搬送される基板Pの高さより下方に位置する結果、基板Pは基板ストッパ50の上方を通過可能となる。その一方、図4に示す上昇位置では、ストッパピン51のピン先端が、搬送される基板Pの高さより高くなる結果、搬送される基板Pがストッパピン51に突き当たってその位置、すなわち基台中央の実装作業位置(本発明の「作業位置」に相当)にて停止される構成となっている。
【0017】
バックアップ装置60は基台中央の実装作業位置に取り付けられており、多数個のバックアップピン61を起立状態に保持したバックアッププレート65と、同バックアッププレート65を昇降させる昇降軸71を備えた昇降装置70とから構成されている。
【0018】
バックアッププレート65は昇降装置70の作動により、図2に示す下降位置と、図5に示す上昇位置とに変位可能となっている。
【0019】
バックアッププレート65を図2に示す下降位置に位置させると、コンベア上を搬送される基板Pの下方において、各バックアップピン61が、基板Pから所定距離隔てた離間状態となる。その一方、バックアッププレート65を図5に示す上昇位置に移動させると、バックアップピン61が基板下面の中央を下から持ち上げてバックアップしつつ、実装作業位置にて停止した基板Pを側壁体21の上部に取り付けられたガイド片29との間に挟み付けて保持する構成となっている。
【0020】
図6は基台中央の拡大図であり、同図に示す符号30はセンサユニットである。センサユニット30は、ベース部37上に超音波センサ31A、31BをX方向に、2つ横並び状に配置したものである。係る超音波センサ31A、31Bの具体的構成は図7に示す通りであり、下部に基板部を取り付けた金属製のケーシング35内に、電気的振動と機械的振動を相互に変換する圧電セラミック振動子(本発明の「圧電振動子」に相当)33を収容したものである。そして、ケーシング下部の基板部から端子34が引き出されており、この端子34と圧電セラミック振動子33との間がリード線Qにて接続されている。
【0021】
圧電セラミック振動子33は超音波を送波する送波器としての機能と、超音波を受波する受波器の機能を兼用しており、高い周波数の電圧を印加すると圧電効果により超音波を送波し、また超音波を受波すると、そのレベルに応じた電気信号(以下、検出信号Srと呼ぶ)を出力する。
【0022】
尚、本実施形態では、ケーシング35の上面壁36の下面に、圧電セラミック振動子33を密着させた状態で配置しており、上面壁(以下の説明にて出射面とも呼ぶ)36が圧電セラミック振動子33と共に振動部を構成している。また、本実施形態では、指向性のよい、いわゆる高周波(300kHz〜400kHz)のもの使用することとしている。
【0023】
係るセンサユニット30は、搬送路Lc上にて設定された検出位置(基台中央の実装作業位置に対応する位置)Kの丁度真下において、両超音波センサ31A、31Bの出射面36を上に向けつつ、側壁体21の内側面にブラケット39を介して取り付けられている。
【0024】
これにより、搬送路Lc上を送られる基板Pが検出位置Kにて停止、或いは検出位置Kを横切るときには、センサユニット30から出射された超音波を、基板Pが下向きに反射させる。そのため、この反射波をセンサユニット30にて受波することで、検出位置Kにおける基板Pの有無を判別できる。
【0025】
尚、本実施形態では、横並び状に配置された2つの超音波センサ31A、31Bによりセンサユニット30を構成させているのは、両超音波センサ31A、31Bの双方から超音波を送波し、その反射波を双方の超音波センサ31A、31Bにより受波する第一の検出パターンでの基板検出動作と、両超音波センサ31A、31Bのうちの一方を送信器として使用し、他方を受信器として使用する第二の検出パターンでの基板検出動作の双方を可能とするためであり、この点については、後に、図11、図13〜図16等を参照して詳しく説明を行うものとする。
【0026】
2.実装作業を実行する実装作業装置100及びそれに付属される装置
図1に戻って説明を続けると、基台10上であって、上記実装作業位置の周囲4箇所には部品供給部80が設けられ、そこには部品供給装置としてのフィーダ85がX方向に整列状に設置されている。各フィーダ85は、部品供給テープが巻回されたリール(不図示)、リールから部品供給テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)などから構成されている。
【0027】
部品供給テープには電子部品Bが一定間隔にて保持されており、送出装置を駆動させると、部品供給テープの引き出しに伴い、電子部品Bが一つずつ供給される。そして、供給された電子部品Bは、次に説明する実装作業装置100により、実装作業位置上にてバックアップされた基板P上に実装される構成となっている。
【0028】
また、基台10上であって搬送コンベア20のY方向の両側には、部品認識カメラ95が一対設置されている。この部品認識カメラ95は、吸着ヘッド185により吸着保持された電子部品Bを撮影するためのものである。
【0029】
実装作業装置100は電子部品Bを吸着保持する吸着ヘッド185と移動装置130と、から構成されている。本移動装置130はXYZの直交する3つの駆動軸145、155、165を備えた直交座標ロボットであり、これら3つの駆動軸145、155、165を複合的に駆動させることで、吸着ヘッド185を基台10上の任意位置に移動操作する。
【0030】
具体的に説明してゆくと、図1に示すように基台10上には一対の支持脚141が設置されている。両支持脚141は実装作業位置の両側(X方向両側)に位置しており、共にY方向(図1では上下方向)にまっすぐに延びている。
【0031】
両支持脚141にはY方向に延びるガイドレール(Y方向案内軸)142が支持脚上面に設置されると共に、これら左右のガイドレール142に長手方向の両端部を嵌合わさせつつヘット支持体151が取り付けられている。
【0032】
また、図1において右側の支持脚141にはY方向に延びるY軸ボールねじ軸(Y方向駆動軸)145が装着され、更にY軸ボールねじ軸145にはボールナット(不図示)が螺合されている。そして、Y軸ボールねじ軸145の軸端部にはY軸モータ147が設けられている。
【0033】
同Y軸モータ147を通電操作すると、Y軸ボールねじ軸145に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体151、ひいては次述するヘッドユニット160がガイドレール142に沿ってY方向に水平移動する(Y軸サーボ機構)。
【0034】
図8に示すように、ヘッド支持体151にはX方向に延びるガイド部材(X方向案内軸)153が設置され、更に、ガイド部材153に対してヘッドユニット160が、移動自在に取り付けられている。このヘッド支持体151には、X方向に延びるX軸ボールねじ軸(X方向駆動軸)155が装着されており、更にX軸ボールねじ軸155にはボールナットが螺合されている。
【0035】
そして、X軸ボールねじ軸155の軸端部にはX軸モータ157が設けられており、同X軸モータ157を通電操作すると、X軸ボールねじ軸155に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット160がガイド部材153に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0036】
従って、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御することで、基台10上においてヘッドユニット160を水平方向(XY方向)に移動操作出来る構成となっている。
【0037】
係るヘッドユニット160は図9にて示すように支持ブラケット163を備えており、係る支持ブラケット163には軸を上下に向けてZ軸ボールねじ軸(Z方向駆動軸)165が取り付けられている。そして、Z軸ボールねじ軸165にはボールナット171が螺合してあり、係るボールナット171に対して吸着ヘッド185が装着されている。尚、このボールナット171は不図示のガイド手段によりヘッドユニット160に回り止めされている。
【0038】
そして、Z軸モータ167を通電操作すると、Z軸ボールねじ軸165に沿ってボールナット171が上下する結果、ボールナット171に固定された吸着ヘッド185を、ヘッドユニット160に対して昇降操作出来る構成となっている。
【0039】
また、吸着ヘッド185の先端には吸着ノズル186が設けられている。吸着ノズル186は図外の負圧手段から負圧が供給されるように構成されており、ヘッド先端に吸引力を生じさせるようになっている。
【0040】
以上のことから、ヘッドユニット160を部品供給部80と基台中央の実装作業位置との間を往復移動させつつ、吸着ヘッド185を適宜昇降操作することにより、部品供給部80から電子部品Bを取り出すことが出来、かつ取り出した電子部品Bを実装作業位置にてバックアップされた基板P上に実装できる。
【0041】
尚、本実施形態のものは、上記吸着ヘッド185がヘッドユニット160にX方向に列をなして複数本設けられており、部品供給部80から複数個の電子部品Bを同時に取り出すことが出来る構成となっている。また、各吸着ヘッド185はヘッドユニット160に付設されるR軸モータ(不図示)の駆動により、各吸着ヘッド185ごとに軸周りの回転動作が可能な構成となっている。
【0042】
3.装置の電気的構成
表面実装機(センサユニット30を除く)1は、装置全体がコントローラ200により制御されている。コントローラ200は図10にて示すように、CPU等により構成される演算処理部211、記憶装置212、モータ制御部213、画像処理部214、及び入出力部215を備えてなる。
【0043】
記憶装置212には実装作業を行う実装作業装置100を制御するための実装プログラム及び、搬入コンベア12、搬送コンベア20、搬出コンベア13を制御するための各種データが格納されると共に、演算処理部211が各種演算を行う際の各情報を一時記憶させておくための作業領域が割り当てられている。
【0044】
モータ制御部213は演算処理部211の指令の下、各モータを通電制御するものであり、実装作業装置100を構成するX軸モータ157、Y軸モータ147、Z軸モータ167、及び各コンベア12、20、13を駆動させる各コンベアモータ27が電気的に連なっている。
【0045】
また、入出力部215にはセンサ制御装置40が電気的に連なっている。センサ制御装置40は両超音波センサ31A、31Bを制御するものであり、センサ制御部41、送信回路部43、A、受信回路部45A、送信回路部43B、受信回路部45B、メモリ46、カウンタ47、入出力部49などを備えてなる。
【0046】
各部の機能について説明すると、送信回路部43Aは超音波センサ31Aの圧電セラミック振動子33に高周波の電圧を印加して、超音波センサ31の圧電セラミック振動子33から超音波を送波させるものである。また、受信回路部45Aは超音波の受波動作を行うものであり、超音波センサ31Aの圧電セラミック振動子33から出力される電気信号(検出信号Sr)を増幅、A/D変換等して出力するものである。
【0047】
また、同様にして、送信回路部43Bは超音波センサ31Aの圧電セラミック振動子33に高周波の電圧を印加して、超音波センサ31の圧電セラミック振動子33から超音波を送波させるものである。また、受信回路部45Bは超音波の受波動作を行うものであり、超音波センサ31Bの圧電セラミック振動子33から出力される電気信号(検出信号Sr)を増幅、A/D変換等して出力するものである。
【0048】
本実施形態では上記送信回路部43A、43B及び受信回路部45A、45Bがセンサ制御部に信号線を介して電気的に連なっており、これら4つの回路部43A、43B、45A、45Bをセンサ制御部41によって個別に制御できる構成となっている。
【0049】
また、センサ制御部41は上記4つの回路部43A、43B、45A、45Bの制御に加えて、受信回路部45A、45Bを通じて取り込まれる検出信号Srの信号処理を行う構成としてあり、信号処理を経た検出信号Srに基づいて、基板Pの有無を検出し、その結果を入出力部49を通じて表面実装機1に通知(出力信号の出力)する構成となっている。
【0050】
また、メモリ46には、センサ制御部41が超音波センサ31A、31Bを制御するのに必要な情報、及び検出信号Srの信号処理を行うのに必要な情報(受波時間Tmask1、受波時間Tmask2、受波時間Tmask3、受波時間Tmaxなどの時刻に関する情報)が予め記憶されている。また、カウンタ47は後述する検出シーケンスを実行する過程で経過時間Tを計時する機能を担うものである。
【0051】
4.超音波センサ31A、31Bによる基板Pの具体的な検出動作
(a)両超音波センサ31A、31Bによる検出パターン
本実施形態のものは、検出位置Kにおける基板Pの有無を検出するのに、第一の検出パターンと、第二の検出パターンの異なる2種の検出パターンを用いている。
【0052】
第一の検出パターンでは図11に示すように、両超音波センサ31A、31Bの双方から同時的に超音波を送波し、その反射波を両超音波センサ31A、31Bの双方を使用して受波することとしている。このようにすることで、検出位置K一帯のより広範な範囲に超音波を照射させることが出来る。
【0053】
従って、第一の検出パターンでは、いわゆる割り基板など、基板P上に基板切断用の大きなスリットが形成されている場合に、そのスリットがセンサユニット真上の検出位置Kにて丁度位置していたとしても、スリット及びその周縁部に超音波が照射されることとなり、基板Pの有無を検出できる。
【0054】
また、第二の検出パターンでは図11に示すように、一方の超音波センサ(ここでは31A)から超音波を送波し、その反射波を他方側の超音波センサ31Bにて受波することとしている。この第二の検出パターンでは送信機能を担う送波器側の超音波センサと、受信機能の担う受波器側の超音波センサが別べつなので、いわゆる近距離検出が可能となる。
【0055】
従って、いわゆる両面実装タイプの基板など、基板Pの裏面上にコンデンサなどの大型電子部品B1が既に実装され、その大型電子部品B1がセンサユニット真上の検出位置Kにて丁度位置していたとしても(図12参照)、基板Pの有無を検出できる。
【0056】
尚、送波器側の超音波センサ31Aと受波器側の超音波センサ31Bが別べつであると、近距離検出が可能となるのは、受波器側に残響がないからである。残響というのは、送波器の残留振動のことであって、図13に示すように、受波器を送信器と同一の超音波センサにて兼用させると、超音波の送波直後、反射波を受波してなくても、残響によって検出信号Srが観測される。従って、送波器と受波器を同一の超音波センサにて兼用させた場合には、この残響が発生する時間帯については反射波を検出出来ず(残響と区別出来ない)、近距離の障害物を検出出来ない。この点、送波器と受波器を別べつであれば、受波器側に送波器側の影響がない(すなわち残響が発生しない)ので、近距離にある障害物も検出可能となるわけである。
【0057】
そして、本実施形態のものは、図11にて示すように、1回の基板検出動作において、上記した第一の検出パターンでの検出動作と上記した第二の検出パターンでの検出動作の双方を実行しており、いわゆる割り基板など開口を有する基板P、裏面に大型電子部品B1を実装した両面実装型の基板Pの双方を検出できる構成となっている。
【0058】
(b)反射波の受波タイミングとマスク処理
ところで、図14にも示すように、検出位置Kの上方には基板Pの他にも、ヘッドユニット160など超音波の進行を妨げる障害物がある。従って、例えば、基板Pが検出位置K以外のところを搬送されているときであっても、超音波が、これらの障害物(ヘッドユニット160)にて反射して、受波されることがある。この点を鑑み、本実施形態では、以下のマスク処理を行うこととしている。
【0059】
具体的に説明すると、反射波は、超音波を送波してから一定時間遅れた時間に超音波センサ31によって受波され、図13の例では、図13中の時刻T0から時間t内の期間において超音波が検出位置Kに向けて送波され、図13中の時刻Tsamに反射波を受波している。
【0060】
超音波を送波してから、その反射波を受波するまでの受波時間Tは下記の(1)式にて求めることが出来、超音波の出射面36から障害物までの距離Lに比例する。
T=2×L/V・・・・・・・・・・・・・・・(1)式
尚、Vは音速であり、約343m/Sである。
【0061】
そして、超音波の出射面36から基板Pまでの距離は基本的には一定であるから、基板Pにて反射された反射波は、送波後の特定時間帯に、常に観測されることとなる。従って、第一の検出パターン、第二の検出パターンの双方共、送波後の特定時間帯を超える超過時間帯(時刻Tmask3以降の時間帯)に観測される検出信号を無効化(図14〜図16)してやれば、基板Pより上方の障害物(ヘッドユニット160など)にて反射した反射波を検出対象から除外でき、これ起因する基板Pの誤検出を回避可能となる。
【0062】
尚、時刻Tmask3の具体的な設定は、距離L3を図14にて示すように、バックアップされた際の基板上面の高さ位置Lp3より数ミリ程度遠い距離に設定し、以下の(2)式に基づいて決定してやればよい。
Tmask3=2×L3/V・・・・・・・・・(2)式
【0063】
また、図15にて示すように、第一の検出パターンにおいては、送波直後から特定時間帯までの時間帯(T0〜Tmask2までの時間帯)についても、無効化している。これは、既に説明した残響に起因して出力される検出信号Srを無効化するためである。
【0064】
尚、時刻Tmask2の具体的な設定は、距離L2を図14にて示すように基板Pの下面の高さ位置Lp2より数ミリ程度近い距離に設定し、以下の(3)式に基づいて決定してやればよい。
Tmask2=2×L2/V・・・・・・・・・(3)式
【0065】
また、図16にて示すように、第二の検出パターンにおいては、送波直後から一定の時間帯については無効化するものの、検出信号Srを有効化する特定時間帯の開始時刻を時刻Tmask2より早い、時刻Tmask1に設定してある。
【0066】
尚、時刻Tmask1の具体的な設定は、距離L1を図14にて示すようにバックアッププレート65の下面の高さ位置Lp1より数ミリ程度近い距離に設定し、以下の(4)式に基づいて決定してやればよい。
Tmask1=2×L1/V・・・・・・・・・(4)式
【0067】
このようにすることで、超音波センサ31A、31Bの出射面36から近い位置にある障害物、すなわち、大型電子部品B1にて反射された反射波を受波して得られる検出信号を特定時間帯に含ませることが可能となる。
【0068】
(c)検出周期の設定
また、本実施形態では、図11にて示すように、第一の検出パターンと、第二の検出パターンの2種の検出パターンを設けているものの、基板検出動作の基本は、超音波を送波する送波動作と、その反射波を受波する受波動作とから構成されており、本実施形態では、この検出動作をパターンを替えつつ繰り返し行って、基板Pの有無を検出することとしている。ここで、基板Pの有無を早期に検出するには、検出動作のサイクルを、短いサイクルに設定してやればよいが、サイクル(すなわち、検出周期TS)を短くし過ぎると、その一方で、検出動作同士で相互干渉が起きる恐れがある。
【0069】
ここで言う、相互干渉というのは、前回の検出動作により送波した超音波の反射波が、次の検出動作中に観測されてしまうことである。このような干渉は、例えば、超音波が、基板Pより遠くの障害物にて反射すると、その反射波は基板Pで反射した場合のそれに比べてセンサ30に遅れて到達するから、この遅れが原因となって発生する。
【0070】
この点を鑑み、本実施形態のものは、超音波センサ31A、31Bから超音波が送波されてから、それが最も遠方にある障害物(例えば、表面実装機の天井Fなど)にて反射され、その反射波が受波されるまでの受波時間Tmaxを検出周期TSに設定している(図14、図15参照)。
Tmax=2×L4/V・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
【0071】
このような構成としておけば、送波された超音波は、その回の検出動作にて必ず受波されるから、検出動作を繰り返し行ったとしても、各検出動作間での相互干渉が生じ得ず、基板Pの有無を正確に判別することが可能となる。
【0072】
また、第一の検出パターンでは、2つの超音波センサ31A、31Bを使用して、検出動作を行うこととしているが、本実施形態では、センサ制御部41から両超音波センサ31A、31Bの送信回路部43A、43Bに送波動作を開始させる開始信号を同時一斉的に与え、かつ受信回路部45A、45Bに受波動作を開始させる開始信号を同時一斉的に与え、両超音波センサ31A、31Bに検出動作(送波動作及び受波動作)を同期、すなわち同じ検出周期で同時的に実行させている。
【0073】
このようにすることで、第一の検出パターンにおいて、超音波センサ31A、31B間での相互干渉についても防止可能となる。ここで言う、相互干渉というのは、一方の超音波センサから出射された超音波の反射波が、隣接する他方の超音波センサに受波され、その結果、基板Pの有無について、誤検出を生じさせるものである。例えば、両超音波センサ31A、31Bから別べつのタイミングで超音波を送波する設定にしておくと、図17にて示すように、一方の超音波センサ(ここでは、センサ31B)から出射され、ヘッドユニット160など基板上方の障害物にて反射された反射波が、他方の超音波センサ(ここでは、センサ31A)にて、そのセンサの特定時間帯に受波されることが起こり得る。この場合、正しくは「基板無し」と判定するべきところ、「基板あり」と誤検出してしまう。
【0074】
この点、本実施形態では、両超音波センサ31A、31Bに検出動作(送波動作及び受波動作)を同じ検出周期で、同時的に実行させるように設定してあるから、図18にて示すように、ヘッドユニット160など基板Pの上方にて反射された反射波は、双方の超音波センサ31A、31Bに対して、そのセンサに設定される無効時間帯にて必ず、観測されることとなり、上記誤検出を未然に回避できる。
【0075】
5.検出シーケンス
次に、センサ制御部41により実行される検出シーケンスについて説明する。尚、検出シーケンスの開始にあたり、メモリ46の記憶(後述する判定結果に関する記憶)はリセットされた状態にあるものとする。表面実装機1が稼動し始めると、コントローラ200からセンサユニット30側に通信ラインDLを通じて基板検出動作を開始する指令が与えられる。
【0076】
そして、指令が与えられると、センサユニット30のセンサ制御部41により、図19にて示す検出シーケンスが実行される。順に説明してゆくと、まず、S1にて、第一の検出パターン実行処理が行われる。この第一の検出パターン実行処理は、図20にて示すように、S10〜S60の処理から構成されており、S10にて、カウンタ47のカウント値をリセットする処理がセンサ制御部41により行われる。
【0077】
その後、ステップ20で、センサ制御部41の制御下のもと、カウンタ47がカウント動作を開始し、検出動作の開始時刻T0からの経過時間Tを計時し始める。その後、S30−1では、センサ制御部41の制御下のもと、両送信回路部43A、43Bが同時的にドライブされ、両超音波センサ31A、31Bの両圧電セラミック振動子33に高周波の電圧が同時に印加される。
【0078】
これにより、両超音波センサ31A、31Bから超音波が送波される。係る超音波の送波は図15にて示すように、カウンタ47が時刻を計時し始めた開始時刻T0の直後から、時間tの間継続される(送波動作)。
【0079】
その後、送波動作が完了すると、次に、センサ制御部41の指令の下、両超音波センサ31A、31Bの受信回路部45A、45Bが起動状態となり、受波動作が開始される。そして、係る受波動作と同時に、センサ制御部41は受信回路部45A、45Bを通じて取り込まれる検出信号Srの信号処理(すなわち、マスク処理)を行う。
【0080】
具体的に説明すると、まずS40−1にて、カウンタ47により計時される経過時間Tをメモリ46に記憶された情報「受波時間Tmask2」、「受波時間Tmask3」と大小比較して、経過時間Tが「受波時間Tmask2」から「受波時間Tmask3」までの範囲内にあるか、否かについて判定(Tmask2<T<Tmask3)する処理がセンサ制御部41により行われる。ここでは、経過時刻Tは「受波時間Tmask2」に達していないので、N0判定される。
【0081】
次に行われるS60では、カウンタ47により計時される経過時間Tをメモリ46に記憶された情報「受波時間Tmax」と大小比較する処理がセンサ制御部41により行われ、そこでも、NO判定される。その結果、処理は再び、S40に戻る。
【0082】
このように、経過時間Tが「Tmask2」に達するまでの間は、図20にて示すループ1(S40−1、S60の処理)内にて処理を繰り返す状態となり、それ以外の処理は行われない。このようにしておくことで、図15に示す無効時間帯Aについては、仮に、検出信号Srが観測されていたとしても、それは次に説明する信号確認処理1に反映されず、無効化される。
【0083】
やがて、経過時刻Tが「Tmask2」に達すると、その後、S40−1の処理を実行したときにYes判定される結果、ループ1を抜ける。すると、今度は、S50の信号確認処理1を含むループ2の処理が、センサ制御部41により繰り返し実行されることとなる。このループ2の処理は、経過時刻Tが「Tmask3」に達するまで続けられる。
【0084】
信号確認処理1の内容は、図21に示す通りであり、検出信号Srの有無についての判定処理(S51−1)、及び判定結果を記憶する処理(S55)などから構成されている。これにより、図15にて示す特定時間帯Bにて、いずれかに超音波センサ31A、31Bにて検出信号Srが観測されれば、センサ制御部41は「検出信号Srあり」の情報(本例では「1」)をメモリ46に記憶させ、観測されなければ、「検出信号Srなし」の情報(本例では「0」)をメモリ46に記憶させる。
【0085】
その後、経過時間Tが、「Tmask3」を過ぎると、次にS40−1の判定処理を行ったときに、NO判定される結果(S60についてもNO判定)、再び、ループ1内にて処理を繰り返す状態となり、それ以外の処理は行われない。このようにしておくことで、図15に示す無効時間帯Cについては、仮に、検出信号Srが観測されていたとしても、上記信号確認処理に反映されず、無効化される。
【0086】
やがて、経過時間Tが「Tmax」に達すると、S60の判定処理にてYes判定され、これにて、第一の検出パターン実行処理が終了する。
【0087】
その後、図19にて示すS3の第二の検出パターン実行処理が開始される。この第二の検出パターン実行処理は、図22にて示すようにS10〜S60の処理(尚、S10、S20、S60は第一の検出パターン実行処理と同じ処理)から構成されており、S10にて、カウンタ47のカウント値をリセットする処理がセンサ制御部41により行われる。
【0088】
その後、ステップ20で、センサ制御部41の制御下のもと、カウンタ47がカウント動作を開始し、検出動作の開始時刻T0からの経過時間Tを計時し始める。
【0089】
その後、S30−2では、センサ制御部41の制御下のもと、送信回路部43Aがドライブされ、両超音波センサ31Aの圧電セラミック振動子33に高周波の電圧が同時に印加される。これにより、超音波センサ31Aから超音波が送波される。係る超音波の送波は図16にて示すように、カウンタ47が時刻を計時し始めた開始時刻T0の直後から、時間tの間継続される(送波動作)。
【0090】
その後、送波動作が完了すると、次に、センサ制御部41の指令の下、超音波センサ31Bの受信回路部45Bが起動状態となり、受波動作が開始される。そして、係る受波動作と同時に、センサ制御部41は受信回路部45Bを通じて取り込まれる検出信号Srの信号処理(すなわち、マスク処理)を行う。
【0091】
具体的に説明すると、まずS40−2にて、カウンタ47により計時される経過時間Tをメモリ46に記憶された情報「受波時間Tmask1」、「受波時間Tmask3」と大小比較して、経過時間Tが「受波時間Tmask1」から「受波時間Tmask3」までの範囲内にあるか、否かについて判定(Tmask1<T<Tmask3)する処理がセンサ制御部41により行われる。ここでは、経過時刻Tは「受波時間Tmask1」に達していないので、N0判定される。
【0092】
次に行われるS60では、カウンタ47により計時される経過時間Tをメモリ46に記憶された情報「受波時間Tmax」と大小比較する処理がセンサ制御部41により行われ、そこでも、NO判定される。その結果、処理は再び、S40−2に戻る。
【0093】
このように、経過時間Tが「Tmask1」に達するまでの間は、図22にて示すループ1(S40−2、S60の処理)内にて処理を繰り返す状態となり、それ以外の処理は行われない。このようにしておくことで、図16に示す無効時間帯Dについては、仮に、検出信号Srが観測されていたとしても、それは次に説明する信号確認処理2に反映されず、無効化される。
【0094】
やがて、経過時刻Tが「Tmask1」に達すると、その後、S40−2の処理を実行したときにYes判定される結果、ループ1を抜ける。すると、今度は、S50−2の信号確認処理2を含むループ2の処理が、センサ制御部41により繰り返し実行されることとなる。このループ2の処理は、経過時刻Tが「Tmask3」に達するまで続けられる。
【0095】
信号確認処理2の内容は、図23に示す通りであり、検出信号Srの有無についての判定処理(S51−2)、及び判定結果を記憶する処理(S55)などから構成されている。これにより、図16にて示す特定時間帯Eにて、超音波センサ31Bにて検出信号Srが観測されれば、センサ制御部41は「検出信号Srあり」の情報(本例では「1」)をメモリ46に記憶させ、観測されなければ、「検出信号Srなし」の情報(本例では「0」)をメモリ46に記憶させる。
【0096】
その後、経過時間Tが、「Tmask3」を過ぎると、次にS40−2の判定処理を行ったときに、NO判定される結果(S60についてもNO判定)、再び、ループ1内にて処理を繰り返す状態となり、それ以外の処理は行われない。このようにしておくことで、図16に示す無効時間帯Fについては、仮に、検出信号Srが観測されていたとしても、上記信号確認処理2に反映されず、無効化される。
【0097】
やがて、経過時間Tが「Tmax」に達すると、S60の判定処理にてYes判定され、これにて、第二の検出パターン実行処理が終了する。
【0098】
その後、図19にて示すS5にて、表面実装機1のコントローラ200に検出結果を出力する処理がセンサ制御部41により行われる。具体的には、センサ制御部41はメモリ46にアクセスして、第一の検出パターン実行処理での判定結果、第二の検出パターンでの判定結果の双方を読み出す。
【0099】
これにより、メモリ46から第一の検出パターン実行処理中の特定時間帯B内にて、検出信号Srが観測された場合には「1」の情報、観測されてない場合には「0」の情報が読み出される。また、第二の検出パターン実行処理中の特定時間帯E内にて、検出信号Srが観測された場合には「1」の情報、観測されてない場合には「0」の情報が読み出される。
【0100】
そして、センサ制御部41は読み出した両パターンの判定結果の情報について、その論理和(OR)をとり、結果が「1」であれば、出力信号としてON信号を表面実装機1側に出力し、結果が「ゼロ」であれば、出力信号としてOFF信号を出力する。かくして、第一の検出パターンと第二の検出パターンの双方の検出パターンを一の組とした基板検出動作が完了する。
【0101】
あとは、S7でメモリ46に記憶してある判定結果に関する記憶情報をリセットした後、再び、S1に戻り、上記した処理が繰り替えし実行される。かくして、上記した第一の検出パターンと第二の検出パターンの双方を一の組とした基板検出動作が繰り返し実行され、その都度、センサ制御部41から表面実装機1に出力信号(基板有りに対応するON信号/基板なしに対応するOFF信号のいずれかの信号)が出力される。
【0102】
一方、表面実装機1側では、センサ制御部41から出力される出力信号を取り込み、表面実装機1を構成する各装置を適宜制御する。例えば、作業対象となる基板Pを基台10上の実装作業位置に搬入するときに、センサ制御部41から出力される出力信号がOFF信号→ON信号に切り替わる(基板なしの判定状態から基板有りの判定状態に切り替わる)と、その後、コントローラ200の制御下のもと、搬送コンベア20を減速させる処理が行われる。
【0103】
これにより、基板Pは減速されつつ、基台中央の実装作業位置に向かう。そして、基板先端が上昇位置にあるストッパピン51に突き当たり、作業対象となる基板Pは実装作業位置にて停止する。その後、コントローラ200の制御下のもとバックアップ装置60が作動して、基板Pがバックアップされ、次いでバックアップされた基板Pに対する電子部品Bの実装作業が、コントローラ200の制御下のもと実装作業装置100により行われることとなる。
【0104】
また、実装作業が完了すると、次いで、上昇位置にあるストッパピン51が下降位置に変位操作され、その後、搬送コンベア20が駆動される。これにより、部品実装済みの基板Pが実装作業位置から搬出されてゆく。このとき、センサ制御部41の出力信号がON信号からOFF信号に切り替わる(基板有りの判定状態から基板なし判定状態に切り替わる)と、コントローラ200の制御下のもと、再び、ストッパピン51が下降位置から上昇位置に変位操作(次に実装作業を行う新規基板Pを実装作業位置にて停止させるための準備動作)されることとなる。
【0105】
尚、この実施形態においては、本発明で言うところの、「前記第一の検出パターンと、第二の検出パターンの少なくともいずれかの一方の検出パターンにて前記反射波の検出が有ることを条件に、搬送対象物有りと判断し、前記搬送装置及びそれに付属される装置の駆動、或いは前記実行部の駆動を制御する」のうちの、前段部分の処理、すなわち「前記第一の検出パターンと、第二の検出パターンの少なくともいずれかの一方の検出パターンにて前記反射波の検出が有ることを条件に、搬送対象物有りと判断し」をセンサユニット30側のセンサ制御部41が担っている。より詳しく言えば、センサ制御部41が図19〜図23にて示す検出シーケンスを実行することで、前段の処理が実行される構成としてある。また後段部分の処理、すなわち、「前記搬送装置及びそれに付属される装置の駆動、或いは前記実行部の駆動を制御する」を表面実装機本体側のコントローラ200が担っており、これらコントローラ200とセンサ制御部41との協働により、本発明の「制御手段」の果たす処理機能を実現させている。
【0106】
6.本実施形態の効果
本実施形態によれば、基板Pの検出に超音波センサ31を用いている。超音波であれば、空気の振動を遮るような障害物は、障害物の表面色(透明/不透明も含む)が異なっても同じように反射するから表面色の別に拘わらず検出が可能であり、基板Pの色に応じた設定調整作業を廃止できる。
【0107】
加えて、本実施形態のものは、基板Pの検出に2つの超音波センサ31A、31Bを用いており、1回の基板検出動作にて、第一の検出パターンと第二の検出パターンの双方を行うこととしている。このような構成であれば、第一の検出パターンにて検出位置K一帯の広範な範囲について基板Pの有無を検出でき、また、第二の検出パターンにて、いわゆる近距離の検出が可能となる。
【0108】
よって、通常の基板Pに加えて、基板上に大型のスリットSTを開口したいわゆる割り基板P、基板裏面に電子部品Bを実装した両面実装タイプの基板Pについても、検出位置Kにおける基板Pの有無を正確に検出することが可能となり、基板Pの搬送制御、基板Pに対する部品実装制御を円滑に行うことが可能となる結果、表面実装機1を高稼働率にて稼動できる。
【0109】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図24〜図27を参照して説明する。
実施形態2のものは、実施形態1のものに対して、検出シーケンスの一部を変更したものである。この実施形態2の検出シーケンスも第一の検出パターン実行処理と、第二の検出パターン実行処理とを交互に行うものであり、図24にて示すS1の第一の検出パターン実行処理では実施形態1と同様、図20に示す一連の処理が実行され、また図24にて示すS3の第二の検出パターン実行処理では実施形態1と同様、図22に示す一連の処理が実行される。
【0110】
ここで、図20にて示す第一の検出パターン実行処理、及び図22にて示す第二の検出パターン実行処理中には、それぞれ信号確認処理1、2が含まれているが、実施形態2のものは、この信号確認処理1、2を実施形態1の処理に対して異ならせてある。具体的には、図25、図26にて示すように、信号確認処理1、2の処理過程で行うS51−1、S51−2にて、Yes判定された場合、いずれもS53にて出力信号をON状態にセットすることとしている。この結果、超音波センサ31A、31Bにて基板Pを検出したときには、その検出結果が、表面実装機1側に直ぐに通知されることとなり、表面実装機1側にて基板Pの搬送状況に対応した迅速な制御が可能となる。
【0111】
そして、実施形態2では、上記処理を行うことに対応して、図24にて示すように、S6の出力OFF判定処理を新たに設けている(言い換えれば、実施形態1でのS5の処理を廃止している)。このS6の出力OFF判定処理はセンサ制御部41により実行され、その処理内容は、図27にて示す通りであり、まず、S100では、メモリ46にアクセスして判定結果、すなわち検出信号Srの有無についての情報が、第一の検出パターン、第二の検出パターンについてそれぞれ読み出される。
【0112】
そして、続くS110では、検出信号Srの有無について判定する処理が行われ、検出信号Srがいずれか一方の検出パターンの実行過程の特定時間帯で観測されていた場合には、YESの判定がなされる。このときには、続くS120にて出力信号をOFFする処理が行われ、その後、処理は終了する。一方、S110にてNO判定された場合には、その後、処理は終了する。
【0113】
このような出力OFF判定処理をすることで、検出シーケンスの処理過程で実装機1側に、出力したON信号を、その回の検出シーケンスが終了する際に、OFFできる。
【0114】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を説明する。
上記実施形態1では、表面実装機1側のコントローラ200からセンサユニット30側に基板検出動作を開始する指令のみ与えて、図19〜図23に示す検出シーケンスをセンサユニット30のセンサ制御部41にて実行する構成とした。これに対して実施形態2のものは、表面実装機1側の演算処理部211にて、図19〜図23に示す検出シーケンスを実行し、シーケンスの実行過程で必要な指令をセンサ制御部41に与えて、センサユニット30に、第一の検出パターンと第二の検出パターンの双方を一の組とした基板検出動作を行わせるようにしている。
【0115】
尚、上記処理をコントローラ200側にて実行するには、例えば、コントローラ200の記憶装置212に受波時間Tmask1、受波時間Tmask2、受波時間Tmask3、受波時間Tmaxの情報を予め記憶させておくと共に、コントローラ200側にカウンタ47を設けて、コントローラ200側にて検出動作の開始時刻T0からの経過時間をTを計時する構成としてやればよい。
【0116】
<実施形態4>
実施形態1〜3では、本発明の基板処理装置の一例として、基板Pに電子部品Bを実装する表面実装機1を例示したが、実施形態4では基板処理装置の一例として、基板Pに半田ペーストを印刷する印刷機300を例示するものである。以下、印刷機300の構成を図28〜図33を参照しつつ簡単に説明する。尚、以下の説明において、基板搬送方向(図28における左右方向)をX方向と呼ぶものとする。また、Y方向、Z方向をそれぞれ図28、図29の向きに定める。
【0117】
印刷機300は、上面がフラットな基台310を備える。基台10の外周部にはフレーム310Aが設けられると共に、基台310上にはフレーム310Aの内側に位置して印刷作業装置320が取り付けられている。
【0118】
印刷作業装置320は支持部材321、スキージヘッド支持フレーム340、Y軸移動装置327、スキージヘッド331、スキージ335などから構成されている。順に説明してゆくと、図29に示すように、支持部材321はX方向の両側に一対設置されると共に、基台310上においてY方向に延びておりY方向の前後両端部を支柱315によって支えられている。
【0119】
両支持部材321の上面壁にはY方向に延びるレール323が設置されている。これら左右の支持部材321上には、レール323に端部下面の受け部343を嵌合させつつ、スキージヘッド支持フレーム340が横向きに設置されている。そして、図29において左方側の支持部材321上には、モータ325と同モータ325を駆動源とするY軸移動装置(ボールねじ328とボールナットからなる)327が設置されている。
【0120】
これにより、モータ325を通電操作するとY軸移動装置327が作動して、スキージヘッド支持フレーム340をレール323に沿ってY方向に進退させるようになっている。
【0121】
尚、図29では省略してあるが、上記スキージヘッド支持フレーム340のX方向の中央には、スキージヘッド331に支持されつつスキージ335が取り付けられている(図28参照)。スキージ335はX方向に水平に延びる横長な形状をなし、昇降可能とされている。
【0122】
そして、スキージ335の下方にはマスク保持装置350を介してマスクMが取り付けられるようになっている。マスクMは、金属製の角パイプを枠状に形成したマスク枠M1の底面側に、テンショナーM2を介して、薄板に印刷用の開口(図略)を形成したステンシルM3を取り付けたものである。
【0123】
次に、基板支持ユニット400の説明を行う。基板支持ユニット400はテーブル410、テーブル420、テーブル430、テーブル440、テーブル450を下から順に積み上げた構成とされる(図28参照)。
【0124】
図31に示すように、4段目のテーブル440上には、最上段の5段目のテーブル450を間に挟むようにしてY方向の両側に搬送ベルト471が設置されている。両搬送ベルト471は共にX方向に水平に延びており、支持部480A、480Bによって支持されている。係る基板搬送ベルト471はX方向に循環駆動可能とされ、印刷対象の基板PをX方向に搬送する基板搬送コンベア470を構成している。
【0125】
また、両支持部480A、480B上には、基板クランプ片480C、480Dがそれぞれ設置されている。図31において上側に位置する装置奥側の基板クランプ片480Dは支持部480Bに対してY方向にスライド可能とされており、テーブル450上に運ばれてきた基板Pを相手側の基板クランプ片480Cと共にY方向の両側から挟んで保持する機能(図33の(a)、(b)参照)を担っている。
【0126】
そして、4段目のテーブル440のX方向中央であって、図31の上側の位置にはセンサユニット30が取り付けられている。このセンサユニット30は実施形態1のセンサユニットと同じく2つの超音波センサ31A、31Bを対にして配置したものであり、基板搬送コンベア470上を運ばれる基板Pの有無を検出する構成となっている。
【0127】
図31に戻って説明を続けると、最上段にあたる5段目のテーブル450上には、ピン保持孔(不図示)を行列状に配置したバックアッププレート490が設置されている。このバックアッププレート490上には、ピン保持孔にピン端部を挿通させつつ、バックアップピン495が複数本起立保持されている。
【0128】
さて、基板支持ユニット400を構成する5つのテーブル410〜450はいずれも可動テーブルとなっている。順に説明してゆくと、基台310上にはY方向に延びるYレール311が4本設置されている(図29では省略してある)。そして、これらYレール311上に、テーブル下面に設けられたレール受け部413を嵌合させつつ、初段のテーブル410が乗っている。これにより、図外のY軸サーボ機構を作動させると、初段のテーブル410を含む基板支持ユニット400の全体をYレール411に沿ってY方向に移動できる。
【0129】
初段のテーブル410はX方向に延びる横長な形状とされ、テーブル上面にはX方向に延びるXレール415が2本設置されている。そして、これらXレール415上に、テーブル下面に設けられたレール受け部423を嵌合させつつ、2段目のテーブル420が乗っている。
【0130】
これにより、図外のX軸サーボ機構を作動させると、2段目のテーブル420をレールに沿ってX方向に移動できる。以上のことから、初段のテーブル410と2段目のテーブル420を複合的に動作させることで、基板支持ユニット400を基台310上における任意の位置に水平移動させることが出来る。
【0131】
2段目のテーブル420上には回転機構425が設けられている。回転機構425は回転用サーボ機構(図略)の動力を得て駆動し、3段目のテーブル430を回転させる。また、3段目のテーブル430と4段目のテーブル440の間、4段目のテーブル440と5段目のテーブル450の間にそれぞれ昇降装置(不図示)が設けられており、4段目のテーブル440、5段目のテーブル450がそれぞれ独立して昇降できるようになっている。
【0132】
そして、当実施形態のものは、4段目のテーブル440、5段目のテーブル450をいずれも下降した状態(以下、基板搬送姿勢と呼ぶ)にセットしておくと、バックアップピン495が基板搬送コンベア470の下方に位置すると共に、基板搬送コンベア470のレール高さが、当印刷機300に隣接する他の装置(検査装置や、実装機など)に設けられるレールと同じ高さとなる。
【0133】
従って、基板搬送姿勢にある基板支持ユニット400を水平移動させつつ、基台310の端に移動させると、図31にて示すように、基板搬送コンベア470を隣接する装置に設けられるコンベア700に段差なく連続させることができ、同コンベアを通じて印刷対象の基板Pを、隣接する他の装置との間で受け渡すことが出来る。
【0134】
尚、本実施形態のものは、既に説明を行ったように、4段目のテーブル440のX方向中央にセンサユニット30を配置しており、このセンサユニット30にて、実施形態1と同様の検出シーケンスを実行して、基板Pの有無を検出することとしている。そして、センサユニット30から出力される出力信号を基に、基板支持ユニット400上における基板Pの有無を、演算制御部511(図32参照)にて確認できる構成となっている。
【0135】
印刷機300の電気的構成は図32に示す通りであり、演算制御部511、記憶装置512、入出部515などを備え、演算制御部511に対して基板支持ユニット400、実装作業装置320、より具体的にはこれら各装置400、320を駆動させるアクチュエータ(モータなど)が電気的に連なっており、演算制御部511の制御下のもと、各装置400、320が制御される構成となっている。
【0136】
次に、図33を参照して、当印刷機300による印刷動作を簡単に説明する。印刷対象の基板Pは上流側の装置より搬入された後、ベルト駆動によって基板搬送コンベア470上をX方向左側へと運ばれ、基板ユニット中央の基板停止位置に停止される(図33の(a))。
【0137】
その後、基台中央のセンサユニット30の出力信号がON信号となっていることを条件に、演算制御部511の制御下のもと、5段目のテーブル440を昇降させる処理が行われ、下降状態にあったテーブル450、ひいてはバックアップピン495が持ち上げられてゆく。
【0138】
そして、上昇動作の過程でバックアップピン495の上端が、基板停止位置にある基板Pの下面に当接し、印刷対象の基板Pを持ち上げる。これにより、印刷対象の基板Pは、基板搬送コンベア470から浮いた状態となり、搬送コンベア470から切り離される。
【0139】
そして、テーブル450の昇降量が所定量に達し、印刷対象の基板Pが図33の(b)に示すように、基板クランプ片480C、480Dの上面と面一となる高さまで持ち上げられると、テーブル450はその高さで停止される。
【0140】
テーブル450の上昇動作が停止されると、今度は不図示のシリンダ装置が駆動し、基板クランプ片480Dが、相手側の基板クランプ片480Cとの対向距離を狭めるようにY方向(図33では右側)に移動する。これにより、バックアップピン495により下面を支持された印刷対象の基板Pは、両基板クランプ片480C、480DによってY方向の両側から挟み込まれて保持される(図33の(b)参照)。
【0141】
かくして、印刷対象の基板Pが保持されると、基板支持ユニット400は基台310上を水平移動してマスクMの下方に移動し、印刷対象の基板Pをステンシル下方の印刷作業位置(本発明の「作業位置」に相当)にセットさせる(図33の(c))。次いで、4段目のテーブル440を昇降させる処理が行われ、下降状態にあったテーブル440を上昇させる。
【0142】
これにより、保持状態にある印刷対象の基板PはステンシルM3に接近してゆく。そして、テーブル440の昇降量が所定量に達すると、テーブル440の上昇動作は停止され、このときには、印刷対象の基板Pが図33の(d)に示すようにステンシルM3の下面に重装された状態となる。
【0143】
あとは、スキージ435を下降させてステンシルM3の上面に当接させつつ、半田供給装置によってステンシルM3上にペースト状の半田を供給する。そして、スキージ435をY方向に往復移動させ、ペースト状の半田を引き延ばしてやれば、ステンシルM3の印刷用開口に半田が埋め込まれ、印刷対象の基板P上の所望位置に半田を印刷することが出来る。
【0144】
そして、半田の印刷が完了したら、上記した動作を逆に辿ることで、基板支持ユニット400を基台中央まで移動させることが出来、また、基板支持ユニット400を基板搬送姿勢(すなわち、図28に示すように4段目のテーブル440、5段目のテーブル450をいずれも下降させた状態)に戻すことが出来る。
【0145】
従って、あとは、基板搬送姿勢にある基板支持ユニット400を下流側の装置側、すなわち図1における左端側に移動させつつ基板搬送コンベア470の一部を装置外に突出させると、突出した基板搬送コンベア470が下流側の装置のコンベア700に段差なく連続する。これにより、同コンベア700を通じて印刷済みの基板Pを、下流側の装置に搬出できる。
【0146】
この実施形態も、実施形態1と同様に、基板Pの検出に超音波を利用している。超音波であれば、空気の振動を遮るような障害物であれば、障害物の表面色(透明/不透明も含む)が異なっても同じように反射するから表面色の別に拘わらず検出が可能であり、従来では必要であった設定調整作業を廃止できる。
【0147】
加えて、本実施形態のものは、基板Pの検出を行うセンサユニット30を、実施形態1と同様、2つの超音波センサ31A、31Bから構成しており、第一の検出パターンと、第二の検出パターンの双方を行って、基板Pの有無を検出している。このようにしておけば、いわゆる割り基板Pについても正確に検出できるので、基板Pの搬送制御、基板Pに対する印刷制御を円滑に行うことが可能となる結果、印刷機300を高稼働率にて稼動できる。
【0148】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0149】
(1)実施形態1では、センサユニット30を搭載した基板処理装置の一例として「表面実装機1」を、実施形態4では「印刷機300」を例示したが、センサユニット30を基板検査装置に使用することも可能である。ここで言う、基板検査装置とは、印刷処理後、部品実装後において、処理が正しく行われた否かを、基板画像に基づいて検査するものであり、その具体的構成は、例えば、図1にて示す表面実装機1のヘッドユニット160に、吸着ヘッド185に替えて、検査用のカメラ(図略)を搭載してやればよい。
【0150】
(2)実施形態1では、センサユニット30を搭載した基板処理装置の一例として「表面実装機1」を、実施形態4では「印刷機300」を例示したが、センサユニット30を塗布装置に使用することも可能である。ここで言う、塗布装置とは印刷処理後、部品実装前において、基板P上に接着剤を塗布するものであり、その具体的構成は、例えば、図1にて示す表面実装機1のヘッドユニット160に、吸着ヘッド185に替えて、接着剤を塗布する塗布ヘッド(図略)を搭載してやればよい。
【0151】
(3)実施形態1では、センサユニット30の検出対象として基板Pを例示したが、例えば、図34にて示すように、基板Pを基板台(本発明の「板状の基板支持体」の一例)600に載せて運ぶ場合であれば、基板台600を検出することも無論可能である。
【0152】
(4)実施形態1では、第一の検出パターンにて、超音波センサ31A、31B間の相互干渉を回避するのに、これら両超音波センサ31A、31Bを同期させる制御方式をとったが、この他にも、両超音波センサ31A、31Bを検出周期TS分だけずらせて動作させてもよく、これを果たすには、両超音波センサ31A、31Bの送信回路部43A、43Bに送波動作を開始させる開始信号を検出周期TS分だけずらして順に与え、かつ受信回路部45A、45Bに受波動作を開始させる開始信号を検出周期TS分だけずらして順に与えてやればよい。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】実施形態1に適用された表面実装機の平面図
【図2】図1中のA−A線断面図
【図3】図2をC方向から見た図(ストッパピンの下降位置を示す)
【図4】図2をC方向から見た図(ストッパピンの上昇位置を示す)
【図5】基板をバックアップした状態を示す図
【図6】センサユニット周辺の拡大図
【図7】超音波センサの内部構造を示す図
【図8】ヘッドユニットの支持構造を示す図
【図9】吸着ヘッドの支持構造を示す図
【図10】表面実装機の電気的構成を示すブロック図
【図11】第一の検出パターンと第二の検出パターンの検出動作の内容を示す図
【図12】近距離検出を示す図
【図13】検出動作により観測される検出信号の信号波形を示す図
【図14】マスク処理を説明する図(センサからの距離と、有効範囲との関係を示す)
【図15】マスク処理を説明する図(第一の検出パターンにおいて、無効とされる時間帯と有効とされる時間帯の関係を示す)
【図16】マスク処理を説明する図(第二の検出パターンにおいて、無効とされる時間帯と有効とされる時間帯の関係を示す)
【図17】両超音波センサ間で起こる検出信号の相互干渉状態を示す図
【図18】相互干渉が回避された状態を示す図
【図19】検出シーケンスの手順を示すフローチャート図
【図20】第一の検出パターン実行処理の処理手順を示すフローチャート図
【図21】信号確認処理1の処理手順を示すフローチャート図
【図22】第二の検出パターン実行処理の処理手順を示すフローチャート図
【図23】信号確認処理2の処理手順を示すフローチャート図
【図24】実施形態2に適用された検出シーケンスの手順を示すフローチャート図
【図25】信号確認処理1の処理手順を示すフローチャート図
【図26】信号確認処理2の処理手順を示すフローチャート図
【図27】出力OFF判定処理の処理手順を示すフローチャート図
【図28】実施形態3に適用された印刷機の正面図
【図29】印刷装置本体の構成を示す斜視図
【図30】マスクの取り付け構造を示す図(押圧保持前)
【図31】基板支持ユニットの平面図
【図32】印刷機の電気的構成を示すブロック図
【図33】印刷動作を示す図
【図34】他の実施形態を示す図
【符号の説明】
【0154】
1…表面実装機(本発明の「基板処理装置」の一例)
10…基台
20…搬送コンベア(本発明の「搬送装置」の一例)
30…センサユニット(本発明の「検出装置」に相当)
31A…超音波センサ(本発明の「一対の超音波センサ」に相当)
31B…超音波センサ(本発明の「一対の超音波センサ」に相当)
33…圧電セラミック振動子(本発明の「圧電振動子」に相当)
40…センサ制御装置
41…センサ制御部(本発明の「制御手段」に相当)
100…実装作業装置(本発明の「実行部」の一例)
200…コントローラ(本発明の「制御手段」相当)
300…印刷機(本発明の「基板処理装置」の一例)
320…印刷作業装置(本発明の「実行部」の一例)
470…基板搬送コンベア(本発明の「搬送装置」の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台上に設けられる搬送路に沿ってプリント基板を直接的、或いは板状の基板支持体を介して間接的に搬送する搬送装置と、
前記プリント基板、及び前記基板支持体を搬送対象物と定義したときに、前記搬送路上にて設定された検出位置における前記搬送対象物の有無を検出する検出装置と、
前記搬送装置によって前記基台上の作業位置に搬入された前記プリント基板に対して半田ペーストの印刷、接着剤の塗布、電子部品の実装、基板検査など予め決められた処理を実行する実行部と、を備えた基板処理装置であって、
前記検出装置は、
(1)超音波を送波する送波器と、前記送波器より送波され前記検出位置にある前記搬送対象物で反射した超音波の反射波を受波し、受波した反射波のレベルに応じた検出信号を出力する受波器と、からなる複数個の超音波センサを、互いに隣接して配置してなるセンサ群と、
(2)前記超音波を前記検出位置に向けて送波する送波動作と前記反射波を受波する受波動作とからなる検出動作を、前記センサ群を構成する各超音波センサに同期、或いは検出周期だけずらして実行させるセンサ制御部と、を備えてなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記超音波センサは、電気的振動と機械的振動を相互に変換する単一個の圧電振動子を、前記送波器及び前記受波器として共用するセンサであることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記センサ群は、互いに隣接して配置された一対の超音波センサから構成されると共に、
前記センサ制御部は、前記一対の超音波センサに対して前記検出動作を同じ検出周期、かつ同時的に実行させる第一の検出パターンと、
一方の超音波センサを送波器として使用し、他方の超音波センサを受波器として使用する第二の検出パターンと、を交互に実行させることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第一の検出パターンと、第二の検出パターンの少なくともいずれかの一方の検出パターンにて前記反射波の検出が有ることを条件に、搬送対象物有りと判断し、前記搬送装置及びそれに付属される装置の駆動、或いは前記実行部の駆動を制御する制御手段を、備えることを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2009−245969(P2009−245969A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87408(P2008−87408)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】