説明

基板処理装置

【課題】開口を通過する基板の汚染を、より効果的に防止することができる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】シャッタ機構19は、開口17を覆うことができる第1シャッタ20と、側壁2Aにおける開口17の上部分である上部領域AUを覆うことができる第2シャッタ21と、第1シャッタ20および第2シャッタ21を昇降させる第1移動機構30とを備えている。第1移動機構30は、第1シャッタ20および第2シャッタ21を、第1シャッタ20が開口17を閉塞し、第2シャッタ21が上部領域2AUの大部分を覆う閉状態と、第1シャッタ20および第2シャッタ21がパスラインPLよりも下方に退避する開状態との間で、鉛直姿勢を維持させつつ昇降させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液による処理を基板に施すための基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板等の基板の表面に処理液による処理を施すために、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が用いられることがある。
枚葉式の基板処理装置は、処理チャンバ内に、基板を水平な姿勢に保持して回転させるスピンチャックと、基板の表面に処理液を供給するためのノズルとを備えている。処理チャンバの側壁には、基板が通過可能な開口が形成されている。処理対象の基板は、開口を介して処理チャンバ内に搬入され、スピンチャックに保持される。その後、スピンチャックにより基板が回転されつつ、その基板の表面にノズルから処理液が供給される。こうして、基板の表面に対する処理液による処理が行われる。そして、処理が施された後の基板は、処理チャンバから開口を介して搬出される。
【0003】
基板の処理中には、回転中の基板に処理液が供給されるので、その処理液が基板の周囲に飛散する。基板から飛散する処理液は、処理チャンバの側壁の内面における開口の上方の部分にも付着する。この部分に付着した処理液は、側壁の内面を伝って開口に向かって流下し、開口の上端縁から滴り落ちるため、開口を通過する処理後の基板に付着して、基板を汚染するおそれがある。
【0004】
そこで、このような基板の汚染を防止するための構成が提案されている(たとえば、特許文献1,2参照)。
特許文献1では、洗浄液を吐出する洗浄液吐出ノズルを処理チャンバ内に設け、洗浄液吐出ノズルからの洗浄液によって、側壁における開口の上方の部分に付着した処理液を洗い流すことが提案されている。
【0005】
特許文献2では、側壁における開口の上方の部分に、上方から落下してくる処理液の液滴を受け止めるための樋を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−107000号公報
【特許文献2】特開平10−163162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1で提案されている構成では、洗浄液を用いて洗浄するため、洗浄後に側壁からの洗浄液の除去が不十分であると、この洗浄液の液滴が基板上に落下するおそれがある。
一方、特許文献2で提案されている構成では、樋の壁面に処理液が付着し、この処理液が液滴となって基板上に落下するおそれがある。
【0008】
したがって、特許文献1および2のいずれの構成であっても、開口を通過する際の基板の汚染を確実に防止することはできなかった。
そこで、この発明の目的は、開口を通過する際の基板の汚染を防止することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、側壁(2)により取り囲まれて、処理液を用いた処理を基板(W)に対して施すための処理チャンバ(3)と、前記側壁に形成されて、前記処理チャンバに対して基板を搬出または搬入する際に基板が通過する開口(17)と、前記開口を閉塞するための第1シャッタ(20;20A;20B)と、前記側壁および前記第1シャッタに対して相対変位可能に設けられて、前記側壁における前記開口の上方の部分(2AU)を覆うための第2シャッタ(21;21A;21B;21C)と、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタを、前記第1シャッタが前記開口を閉塞するとともに前記第2シャッタが前記側壁における前記開口の上方の部分を覆う閉状態と、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタが前記開口における前記基板の通過位置(PL)の下方へ退避し、前記開口を開放する開状態との間で移動させる移動機構(30;40;50)とを含む、基板処理装置(1;100;200;300)である。
【0010】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、第1シャッタおよび第2シャッタの閉状態では、開口が第1シャッタにより閉塞され、側壁における開口の上方の部分が第2シャッタにより覆われる。そして、その閉状態で、処理チャンバ内において、処理液を用いた処理が基板に行われる。このため、基板から飛散する処理液は、第1シャッタおよび第2シャッタの内面に付着しても、側壁における開口の上方の部分には付着しない。
【0011】
そして、第1シャッタおよび第2シャッタの開状態では、第1シャッタおよび第2シャッタが開口における基板の通過位置の下方に退避する。したがって、第1シャッタおよび第2シャッタの内面に付着した処理液が、開口を通過する基板上に落下することはない。また、側壁における開口の上部の部分には処理液が付着していないので、その部分から開口を通過する基板上に処理液が落下することもない。よって、開口を通過する基板の汚染を、防止することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記移動機構は、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタを、前記開口が形成された前記側壁と平行をなす姿勢を維持させつつスライド移動させるスライド移動機構(30;40)である、請求項1に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第1シャッタおよび第2シャッタを、開状態と閉状態との間を、開口が形成された側壁と平行をなす姿勢を維持しながらスライド移動させることができる。よって、第1シャッタおよび第2シャッタの開閉時に、第1シャッタおよび第2シャッタの内面に付着した処理液が側方に飛散するのを抑えることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記スライド移動機構は、上下方向に進出/没入可能な第1ロッド(34)を有し、前記第1ロッドが前記第1シャッタに固定された第1シリンダ(33)と、前記第1ロッドに取り付けられたシリンダ支持部材(35,36)と、前記シリンダ支持部材に支持され、上下方向に進出/没入可能な第2ロッド(32)を有し、前記第2ロッドが前記第2シャッタに固定された第2シリンダ(31)とを含む、請求項2に記載の基板処理装置である。
【0014】
この構成によれば、第1シリンダの第1ロッドおよび第2シリンダの第2ロッドをともに進出させることにより、第1シャッタを上方へ移動させて、開口を第1シャッタで閉塞することができ、第1シャッタに対して第2シャッタをさらに上方へ移動させて、側壁における開口の上方の部分を第2シャッタで覆うことができる。一方、第1シリンダの第1ロッドおよび第2シリンダの第2ロッドをともに没入させることにより、第1シャッタおよび第2シャッタを基板の通過位置の下方へ退避させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、前記スライド移動機構は、上下方向に進出/没入可能な第1ロッド(44)を有し、前記第1ロッドが前記第1シャッタに固定された第1シリンダ(43)と、前記第1シャッタに固定されたプーリと、一端(41A)が前記側壁における前記開口の下方の部分に固定され、前記プーリの周面に巻き掛けられてU字状をなし、他端(41B)が前記第2シャッタに固定されたベルト(41)とを含む、請求項2に記載の基板処理装置である。
【0016】
この構成によれば、ベルトがプーリの周面に巻き掛けられてU字状をなし、一端が側壁における開口の下方の部分に固定されるとともに、他端が第2シャッタに固定される。また、このプーリは、第1シャッタに固定されている。
第1シャッタのスライド方向への移動に伴って、プーリとベルトの一端との間の距離、およびプーリとベルトの他端との間の距離が変わる。ベルトの他端が第2シャッタに固定されているので、第1シャッタの移動に連動して、第2シャッタを移動させることができる。これにより、第2シャッタのみを駆動する機構を省略することができ、コストダウンを図ることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタの互いに近い側の端部(28A,29B)が、前記開口が形成されている前記側壁と平行な回動軸(25,27)まわりに回動可能に連結されており、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタの互いに遠い側の端部(28B,29A)が、前記回動軸と直交し、前記開口が形成されている前記側壁と平行なスライド方向に移動可能であり、前記移動機構が、前記第1シャッタと前記第2シャッタとの連結部分(24)を、前記回動軸および前記スライド方向と直交する方向に移動させる直交移動機構(50)を含む、請求項1に記載の基板処理装置である。
【0018】
この構成によれば、閉状態にある第1シャッタおよび第2シャッタがスライド方向と直交する方向の一方側に移動されると、第1シャッタおよび第2シャッタが回動軸まわりに回動されて、第1シャッタおよび第2シャッタがスライド方向に関して重なるように折り畳まれるようになる。これにより、開口を開放させることができる。
また、逆に、開状態にある第1シャッタおよび第2シャッタがスライド方向と直交する方向の他方側に移動されると、第1シャッタおよび第2シャッタが回動軸まわりに回動されて、第1シャッタにより開口が閉塞される。
【0019】
請求項6記載の発明は、前記第2シャッタの上部には、前記処理チャンバの内方に向けて突出する庇部(60)が形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板への処理時には、第2シャッタが側壁における開口の上方の部分を覆っている。そして、第2シャッタの上部には、庇部が形成されている。これにより、第2シャッタの高さを低く抑えながら、側壁における開口の上方の部分に処理液が付着することを、高さ方向においてより広範囲で防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る基板処理装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】第1シャッタおよび第2シャッタが閉状態であるときの処理チャンバの開口付近の図である。
【図3】第1シャッタおよび第2シャッタが開状態であるときの処理チャンバの開口付近の図である。
【図4】本発明の他の実施形態(第2実施形態)に係る基板処理装置の処理チャンバの開口付近の断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態(第3実施形態)に係る基板処理装置の処理チャンバの開口付近の断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態(第4実施形態)に係る基板処理装置の処理チャンバの要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る基板処理装置1の構成を模式的に示す断面図である。
基板処理装置1は、たとえば基板の一例としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの表面に薬液および純水による処理を施すための枚葉式の装置である。
【0022】
この基板処理装置1は、複数の側壁2によって取り囲まれた処理チャンバ3を有している。処理チャンバ3には、ウエハWをほぼ水平に保持するとともに、その中心を通るほぼ鉛直な回転軸線方向まわりにウエハWを回転させるスピンチャック4と、スピンチャック4に保持されたウエハWの表面に対して処理液としての薬液を供給するための薬液ノズル5と、スピンチャック4に保持されたウエハWの表面に対して処理液としての純水(deionized water:脱イオン化された水)を供給するための純水ノズル6と、ウエハWから流下または飛散する薬液や純水を受け止めるための有底容器状のカップ70とが収容されている。
【0023】
スピンチャック4は、モータ7と、このモータ7の回転駆動力によって鉛直軸線まわりに回転される円盤状のスピンベース8と、スピンベース8の周縁部の複数箇所にほぼ等間隔で設けられ、ウエハWをほぼ水平な姿勢で挟持するための複数個の挟持部材9とを備えている。これにより、スピンチャック4は、複数個の挟持部材9によってウエハWを挟持した状態で、モータ7の回転駆動力によってスピンベース8を回転させることにより、そのウエハWを、ほぼ水平な姿勢を保った状態で、スピンベース8とともに鉛直軸線まわりに回転させることができる。
【0024】
薬液ノズル5は、スピンチャック4の上方でほぼ水平に延びるノズルアーム10の先端に取り付けられている。このノズルアーム10は、スピンチャック4の側方でほぼ鉛直に延びたアーム支持軸11に支持されている。また、アーム支持軸11には、ノズル駆動機構12が結合されており、このノズル駆動機構12の駆動力によって、アーム支持軸11を回動させて、ノズルアーム10を揺動させることができるようになっている。
【0025】
薬液ノズル5には、薬液供給管13が接続されており、薬液供給源からの薬液が薬液供給管13を通して供給されるようになっている。薬液供給管13の途中部には、薬液ノズル5への薬液の供給および供給停止を切り換えるための薬液バルブ14が介装されている。
薬液ノズル5から吐出される薬液として、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(Buffered HF:フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)、塩酸、リン酸、酢酸、アンモニア、過酸化水素水、クエン酸、蓚酸およびTMAHなどを例示することができる。
【0026】
純水ノズル6は、スピンチャック4の上方で、吐出口をウエハWの中央部に向けて配置されている。この純水ノズル6には、純水供給管15が接続されており、純水供給源からの処理液としての純水が純水供給管15を通して供給されるようになっている。純水供給管15の途中部には、純水ノズル6への純水の供給および供給停止を切り換えるための純水バルブ16が介装されている。
【0027】
なお、薬液ノズル5は、いわゆるスキャンノズルの形態である必要はなく、スピンチャック4に対して固定的に配置された構成であってもよい。
カップ70は、スピンチャック4を収容している。カップ70には、このカップ70を処理位置(図1で二点鎖線にて図示)と処理位置よりも下方にあるスピンドライ位置(図1で実線にて図示)との間で昇降させるためのカップ昇降駆動機構18が結合されている。処理位置では、カップ70はスピンチャック4に保持されたウエハWの周囲を取り囲み、ウエハWの周縁部から飛散する薬液および純水はカップ70に受け止められる。一方、スピンドライ位置では、カップ70はスピンチャック4の側方から下方に退避する。
【0028】
側壁2A(複数の側壁2のうちの1つ)には、処理チャンバ3内に対してウエハWを搬入および搬出するための開口17が形成されている。ウエハWの搬入および搬出の際には、処理チャンバ3外で開口17に対向する搬送ロボットTRが、開口17を通して処理チャンバ3内にハンドをアクセスさせる。これにより、スピンチャック4上に未処理のウエハWを載置したり、スピンチャック4上から処理済のウエハWを取り除いたりすることができる。この処理チャンバ3内に搬入または搬出されるウエハWは、パスラインPL(開口17におけるウエハWの通過位置)を通過する。この開口17は、シャッタ機構19によって開閉される。
【0029】
シャッタ機構19は、開口17を覆うことができる第1シャッタ20と、側壁2Aにおける開口17の上方の部分(以下、「上部領域」という。)2AUを覆うことができる第2シャッタ21と、第1シャッタ20および第2シャッタ21を、鉛直姿勢を維持させつつ昇降させる第1移動機構(スライド移動機構)30(図2参照)とを備えている。
図2は、第1シャッタ20および第2シャッタ21が閉状態であるときの処理チャンバ3の開口17付近の図である。図3は、第1シャッタ20および第2シャッタ21が開状態であるときの処理チャンバ3の開口17付近の図である。図2(a)および図3(a)は、開口17を処理チャンバ3の外側から見た正面図である。図2(b)は、図2(a)の切断面線II−IIから見た断面図であり、図3(b)は、図3(a)の切断面線III−IIIから見た断面図である。
【0030】
開口17は、正面視で横長の略長方形状に形成されている。開口17の上辺および下辺は水平方向に沿って形成され、開口17の両側辺(左辺および右辺)は鉛直方向に沿って形成されている。
第1シャッタ20(図2(a)および図3(a)にて太字の破線で図示)は、開口17の全域を覆うことができる大きさに形成された略長方形状の平板であり、側壁2Aの内側に配置されている。第1シャッタ20の上辺部からは、後述する第1ロッド34に連結するための連結部22が、側壁2A側に向けて突出している。
【0031】
第2シャッタ21(図2(a)および図3(a)にて太字の二点鎖線で図示)は、上部領域2AUのほぼ全域を覆うことができる大きさに形成された略長方形状の板材であり、第1シャッタ20よりも内側に配置されている。第2シャッタ21の上部には、後述する第2ロッド32に連結するための連結部23が、側壁2A側に向けて突出している。
第1移動機構30は、第1シリンダ33と、シリンダ支持部材としての接続板35およびシリンダ支持板36と、第2シリンダ31とを備えている。これら第1シリンダ33および第2シリンダ31は、側壁2Aの外方で、側壁2Aに沿う方向に並んでいる。
【0032】
第1シリンダ33は、鉛直方向に進出/没入可能な第1ロッド34を有している。この第1シリンダ33は、第1ロッド34を上方に向けている。第1シリンダ33の本体は、側壁2Aの外面に固定されている。第1ロッド34の上端部には、第1シャッタ20の連結部22が固定されている。これにより、第1ロッド34と第1シャッタ20とが固定されて、第1シャッタ20が第1シリンダ33によって鉛直姿勢に保持される。
【0033】
第1ロッド34の先端部には、側面視倒立略L字状の接続板(シリンダ支持部材)35が取り付けられている。この接続板35の先端(下端)には、水平方向に延びるシリンダ支持板(シリンダ支持部材)36が支持されている。このシリンダ支持部材35,36には、第2シリンダ31が保持されている。
第2シリンダ31は、鉛直方向に進出/没入可能な第2ロッド32を有している。この第2シリンダ31は、第2ロッド32を上方に向けている。第2シリンダ31の本体は、シリンダ支持板36に固定されている。第2ロッド32の上端部には、第2シャッタ21の連結部23が固定されている。これにより、第2ロッド32と第2シャッタ21とが固定されて、第2シャッタ21が第2シリンダ31によって鉛直姿勢に保持される。
【0034】
第2シリンダ31がシリンダ支持板35,36を介して第1シリンダ33に支持されている。このため、第2シャッタ21を、第1シリンダ33のストローク量と第2シリンダ31のストローク量とを併せたストローク量で昇降させることができる。このため、第2シャッタ21を第2シリンダ31のみで昇降させる場合と比較して、小型の第2シリンダ31を採用することができる。これにより、第2シリンダ31の大型化を防ぐことができる。
【0035】
第1シャッタ20および第2シャッタ21は、図2に示す閉状態と、図3に示す開状態との間で昇降可能にされている。図2に示す閉状態では、第1シャッタ20は開口17を閉塞し、第2シャッタ21は上部領域2AUの大部分を覆う。図3に示す開状態では、第1シャッタ20および第2シャッタ21は、パスラインPLよりも下方に退避して、鉛直姿勢を維持しつつ、水平方向に関して重なっている。これにより、開口17の大部分が開放される。
【0036】
第1シャッタ20および第2シャッタ21が開かれるタイミングとなると、第1ロッド34が第1シリンダ33の本体に没入されるとともに、第2ロッド32が第2シリンダ31の本体に没入される。これら第1ロッド34および第2ロッド32の没入により、第1シャッタ20および第2シャッタ21が、パスラインPLよりも下方に退避して、開状態(図3参照)まで下降する。
【0037】
第1シャッタ20および第2シャッタ21が閉じられるタイミングとなると、第1ロッド34が第1シリンダ33の本体に対して進出されるとともに、第2ロッド32が第2シリンダ31の本体に対して進出される。これら第1ロッド34および第2ロッド32の進出により、第1シャッタ20および第2シャッタ21が、閉状態(図2参照)まで上昇する。
【0038】
図1を再び参照して、この基板処理装置1におけるウエハWの処理について説明する。
ウエハWの処理に際して、第1シリンダ33および第2シリンダ31が駆動されて、閉状態の第1シャッタ20および第2シャッタ21が開状態にされる。その後、搬送ロボットTRによって、未処理のウエハWが開口17を通って処理チャンバ3内に搬入されて、その表面を上方に向けた状態でスピンチャック4に保持される。搬送ロボットTRのハンドが処理チャンバ3外に退避した後、第1シリンダ33および第2シリンダ31が駆動されて、第1シャッタ20および第2シャッタ21が閉状態にされる。なお、このウエハWの搬入時においては、その搬入の妨げにならないように、カップ70はスピンドライ位置(図1で実線にて図示)に下げられている。
【0039】
ウエハWの保持後、モータ7が駆動されて、スピンチャック4によるウエハWの回転が開始され、ウエハWの回転速度が所定の液処理速度(たとえば1500rpm)まで上げられる。また、カップ昇降駆動機構18が駆動されて、カップ70がスピンドライ位置から処理位置(図1で二点鎖線にて図示)まで上昇される。さらに、ノズル駆動機構12が制御されてノズルアーム10が回動し、薬液ノズル5がスピンチャック4の側方の退避位置からウエハWの上方位置へと移動される。
【0040】
ウエハWの回転速度が液処理速度に達すると、薬液バルブ14が開かれて、薬液ノズル5からウエハWの表面に向けて薬液が供給される。また、ノズル駆動機構12が駆動されて、ノズルアーム10が所定の角度範囲内で揺動される。これによって、薬液ノズル5からの薬液が導かれるウエハWの表面上の供給位置は、ウエハWの回転中心からウエハWの周縁部に至る範囲内を、ウエハWの回転方向と交差する円弧状の軌跡を描きつつ往復移動する。
【0041】
ウエハWの表面に供給された薬液は、ウエハWの回転による遠心力によって、ウエハWの周縁から側方に向けて飛散し、ウエハWの周囲を取り囲むカップ70の内壁に受け止められる。そして、カップ70の内壁を伝って底部に集められ、廃液ライン(図示しない)へと送られ、廃液設備(図示しない)へ導かれる。
薬液の種類によってはウエハWの表面で薬液が激しく反応し、ウエハWからの薬液が、ウエハWの周囲を取り囲むカップ70の外方に飛散することがある。しかし、上部領域2AUが第2シャッタ21によって覆われているので、ウエハWから飛散する薬液が上部領域2AUに付着することはない。
【0042】
薬液供給位置の往復運動が所定回数行われると、薬液バルブ14が閉じられて、薬液ノズル5からの薬液の供給が停止されるとともに、ノズル駆動機構12が制御されてノズルアーム10が回動し、薬液ノズル5は、ウエハWの上方位置からスピンチャック4の側方の退避位置に退避される。
薬液ノズル5が退避されると、純水バルブ16が開かれて、純水ノズル6から回転状態にあるウエハWの表面の回転中心に向けて純水が吐出される。ウエハWの表面に供給された純水は、ウエハWの回転による遠心力によって、ウエハWの周縁に向けて流れる。これにより、ウエハWの表面に付着している薬液が純水によって洗い流される。ウエハWの周縁に向けて流れる純水は、ウエハWの周縁から側方へ飛散する。ウエハWの周縁から飛散する純水(ウエハWから洗い流された薬液を含む)は、ウエハWの端面に対向しているカップ70の内壁に受け止められた後、底部に集められ、廃液ライン(図示しない)へと送られ、廃液設備(図示しない)へ導かれる。
【0043】
純水の供給開始から所定のリンス時間が経過すると、純水バルブ16が閉じられて、ウエハWへの純水の供給が停止される。その後、カップ昇降駆動機構18が駆動されて、カップ70が処理位置(図1で二点鎖線にて図示)からスピンドライ位置(図1で実線にて図示)に下げられる。このスピンドライ位置では、カップ70がスピンチャック4に保持されたウエハWの側方から下方に退避している。また、ウエハWの回転速度がスピンドライ回転速度(たとえば3000rpm)に上げられる。これにより、リンス処理後のウエハWの表面に付着している純水を遠心力で振り切って乾燥させるスピンドライ処理が実施される。上部領域2AUが第2シャッタ21によって覆われているので、ウエハWから飛散する純水は、第1シャッタ20および第2シャッタ21の内面に付着し、上部領域2AUには付着しない。これにより、上部領域2AUに純水が付着することを防止することができる。
【0044】
スピンドライ処理が所定のスピンドライ時間にわたって行われると、スピンチャック4の回転が停止される。その後、第1シリンダ33および第2シリンダ31が駆動されて、第1シャッタ20および第2シャッタ21が閉状態から開状態まで下降される。第2シャッタ21の下降に伴って上部領域2AUが露出されるが、この上部領域2AUには薬液および純水は付着していない。
【0045】
そして、処理済のウエハWが搬送ロボットTRによって搬出される。このウエハWの搬出と同時に、搬送ロボットTRによって次のウエハWが搬入される。
以上により、この実施形態によれば、第1シャッタ20および第2シャッタ21の閉状態では、開口17が第1シャッタ20により閉塞され、上部領域2AUが第2シャッタ星により覆われる。そして、その閉状態で、処理チャンバ3内において、薬液および純水を用いた処理がウエハWに行われる。このため、ウエハWから飛散する薬液および純水は、第1シャッタ20および第2シャッタ21の内面に付着しても、上部領域2AUには付着しない。
【0046】
そして、第1シャッタ20および第2シャッタ21の開状態では、第1シャッタ20および第2シャッタ21がパスラインPLの下方に退避する。したがって、第1シャッタ20および第2シャッタ21の内面に付着した薬液および純水が、開口17を通過するウエハW上に落下することはない。また、上部領域2AUには薬液および純水が付着していないので、その上部領域2AUから開口17を通過するウエハW上に薬液および純水が落下することもない。よって、開口17を通過するウエハWの汚染を、防止することができる。
【0047】
また、第1シャッタ20および第2シャッタ21を、開状態と閉状態との間を、鉛直姿勢を維持しながらスライド移動させることができる。よって、第1シャッタ20および第2シャッタ21の開閉時に、第1シャッタ20および第2シャッタ21の内面に付着した薬液および純水が側方に飛散するのを抑えることができる。
図4は、本発明の他の実施形態(第2実施形態)に係る基板処理装置100の処理チャンバ3の開口17付近の断面図である。図4(a)は、第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aが閉状態であるときを示し、図4(b)は、第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aが開状態であるときを示している。この図4において、前述の図1〜図3の実施形態(第1実施形態)に示された各部に対応する部分には、図1〜図3の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
【0048】
第2実施形態では、第1移動機構30に代えて、ベルト41、プーリ42および第1シリンダ43を備えた第2移動機構(スライド移動機構)40を備えている。第2移動機構40は、第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aを、鉛直姿勢を維持させつつ昇降させる。
第1シャッタ20Aは、開口17の全域を覆うことができる大きさに形成された略長方形状の平板であり、側壁2Aの内側に配置されている。第1シャッタ20Aの上部には、後述する第1ロッド44に連結するための連結部22Aが、側壁2A側に向けて突出している。第1シャッタ20Aの上端には、複数(この実施形態では2個)のプーリ42が固定されている。これらのプーリ42は、第1シャッタ20Aの長手方向の両端部に配置されている。各プーリ42は、側壁2Aに平行で水平な軸まわりに回転可能に設けられている。
【0049】
第2シャッタ21Aは、上部領域2AUのほぼ全域を覆うことができる大きさに形成された略長方形状の板材であり、第1シャッタ20Aよりも内側に配置されている。この第2シャッタ21Aは、鉛直姿勢を維持しながら鉛直方向にスライド可能に構成されている
各ベルト41は、第1シャッタ20Aと側壁2Aとの間に掛け渡されて、プーリ42の周面に巻き掛けられてU字状をなしている。具体的には、ベルト41の一端41Aは、側壁2Aにおける開口17の下辺部17Aに固定されている。また、ベルト41の他端41Bは、第2シャッタ21Aの下端部に固定されている。
【0050】
第1シリンダ43は、鉛直方向に進出/没入可能な第1ロッド44を有している。この第1シリンダ43は、第1ロッド44を上方に向けている。第1シリンダ43の本体は、側壁2Aの外面に固定されている。第1ロッド44の上端部には、第1シャッタ20Aの連結部22Aが固定されている。これにより、第1ロッド44と第1シャッタ20Aとが固定されて、第1シャッタ20Aが第1シリンダ43によって鉛直姿勢に保持される。そして、第1シャッタ20Aおよびプーリ42は第1ロッド44の昇降動作に伴って、鉛直姿勢を維持しつつ昇降する。
【0051】
第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aは、図4(a)に示す閉状態と、図4(b)に示す開状態との間で昇降可能にされている。閉状態では、第1シャッタ20Aは開口17を閉塞し、第2シャッタ21Aは、上部領域2AUの大部分を覆う。一方、開状態では、第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21AはパスラインPLよりも下方に退避して、鉛直姿勢を維持しつつ、水平方向に関して重なっている。これにより、開口17の大部分が開放される。
【0052】
第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aが開かれるタイミングとなると、第1ロッド44が本体に没入される。この第1ロッド44の没入により、第1シャッタ20Aおよびプーリ42が下降する。そして、第1シャッタ20Aの下降に従って、プーリ42とベルト41の一端41Aとの間の距離が縮まり、プーリ42とベルト41の他端部との間の距離が広がる。このため、ベルト41の他端41Bが固定される第2シャッタ21Aは下降する。このときの第2シャッタ21Aの下降量は、第1シャッタ20Aの下降量の約2倍になる。そして、第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aは、開状態(図4(b)参照)に達するまで下降される。
【0053】
第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aが閉じられるタイミングとなると、第1ロッド44が本体に対して進出される。この第1ロッド44の進出により、第1シャッタ20Aが上昇する。そして、第1シャッタ20Aの上昇に従って、プーリ42とベルト41の一端41Aとの間の距離が広がり、プーリ42とベルト41の他端41Bとの間の距離が縮まる。このため、ベルト41の他端41Bが固定される第2シャッタ21Aは上昇する。このときの第2シャッタ21Aの上昇量は、第1シャッタ20Aの上昇量の約2倍になる。そして、第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aは、閉状態(図4(a)参照)に達するまで上昇される。
【0054】
以上により、この第2実施形態によれば、第1シャッタ20Aの昇降に伴って、プーリ42とベルト41の一端41Aとの間の距離、およびプーリ42とベルト41の他端41Bとの間の距離が変わる。ベルト41の他端41Bが第2シャッタ21Aに固定されているので、第1シャッタ20Aの移動に連動して、第2シャッタ21Aを移動させることができる。これにより、第2シャッタ21Aを駆動する機構を省略することができ、コストダウンを図ることができる。
【0055】
また、第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aの閉動作における第2シャッタ21Aの上昇量を、第1シャッタ20Aの上昇量の2倍とすることができ、また、第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aの開動作における第2シャッタ21Aの下降量を第1シャッタ20Aの下降量の2倍とすることができる。このため、第1シャッタ20Aおよび第2シャッタ21Aを、開口17を第1シャッタ20Aが閉塞し、上部領域2AUを第2シャッタ21Aが覆う閉状態と、パスラインPLの下方に退避して、水平方向に関して重なる開状態との間で昇降させることができる。
【0056】
図5は、本発明のさらに他の実施形態(第3実施形態)に係る基板処理装置200の処理チャンバ3の開口17付近の断面図である。図5(a)は、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが閉状態であるときを示し、図5(b)は、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが開状態から閉状態への移動途中状態を示している。図5(c)は、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが開状態であるときを示している。
【0057】
この図5において、前述の図1〜図3の実施形態(第1実施形態)に示された各部に対応する部分には、図1〜図3の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
第3実施形態が、第1実施形態と大きく相違する点は、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが折り畳み可能に構成されている点にある。
具体的には、第1シャッタ20Bの上端部(第1シャッタ20Bにおける第2シャッタ21Bに近い側の端部)28Aと第2シャッタ21Bの下端部(第2シャッタ21Bにおける第1シャッタ20Bに近い側の端部)29Bとが連結板(第1シャッタ20Bと第2シャッタ21Bとの連結部分)24を介して連結されている。第1シャッタ20Bの上端部28Aと連結板24の下辺とは、側壁2Aに沿う水平方向に延びる第1回動軸25を介して連結されている。そのため、連結板24には、第1シャッタ20Bが第1回動軸25まわりに回動可能に連結されている。そして、第1シャッタ20Bの下端部(第1シャッタ20Bにおける第2シャッタ21Bに遠い側の端部)28Bは、溝カムやリンク機構などの案内機構26によって、水平移動が規制されており、上下動しか許容されていない。
【0058】
また、第2シャッタ21Bの下端部29Bと連結板24の上辺とは、側壁2Aに沿う水平方向に延びる第2回動軸27を介して連結されている。そのため、連結板24には、第2シャッタ21Bが第2回動軸27まわりに回動可能に連結されている。そして、第2シャッタ21Bの上端部(第2シャッタ21Bにおける第1シャッタ20Bに遠い側の端部)29Aは、第1シャッタ20Bの下端部28Bと同様、溝カムやリンク機構などの案内機構26によって、水平移動が規制されており、上下動しか許容されていない。
【0059】
第1シャッタ20Bは、開口17のほぼ全域を覆うことができる大きさに形成された略長方形状の平板であり、側壁2Aの内側に配置されている。
第2シャッタ21Bは、上部領域2AUのほぼ全域を覆うことができる大きさに形成された略長方形状の平板であり、側壁2Aの内側に配置されている。
第1シャッタ20B、第2シャッタ21Bおよび連結板24は、第3移動機構(直交移動機構)50によって移動される。
【0060】
第3移動機構50は、連結板24を水平移動させるための水平移動シリンダ51と、水平移動シリンダ51を支持するとともに、この水平移動シリンダ51を昇降させるための昇降シリンダ52とを備えている。これら水平移動シリンダ51および昇降シリンダ52は、側壁2Aの外方に配置されている。
水平移動シリンダ51は、側壁2Aに直交する水平方向に進出/没入可能な水平移動ロッド53を有している。この水平移動シリンダ51は、水平移動ロッド53を側壁2Aに向けている。すなわち、水平移動シリンダ51の水平移動ロッド53が側壁2Aに直交する方向に沿って出没する。水平移動ロッド53の先端部は、連結板24に固定されている。
【0061】
昇降シリンダ52は、鉛直方向に進出/没入可能な昇降ロッド54を有している。この昇降シリンダ52は、昇降ロッド54を上方に向けている。昇降シリンダ52の本体は、側壁2Aの外面に固定されている。昇降ロッド54の先端部には、水平移動シリンダ51の本体が固定されている。
第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bは、図5(a)に示す閉状態と、図5(c)に示す開状態との間でその全体姿勢を変形することが可能にされている。図5(a)に示す閉状態では、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが、側壁2Aに平行な鉛直姿勢で上下に並べられている。第1シャッタ20Bは開口17を閉塞し、第2シャッタ21Bは、上部領域2AUの大部分を覆う。一方、図5(c)に示す開状態では、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが、パスラインPLよりも下方の退避位置で、上下方向に関して重なるように折り畳まれている。第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bは、全体として側面視コ字状をなし、開口17の大部分が開放される。
【0062】
第1シャッタ20Bと連結板24との連結部分には、第1シャッタ20Bが連結板24と同一の方向に延びるように弾力付勢するねじりコイルばねなどの第1付勢部材55(図5(b)参照)が取り付けられている。また、第2シャッタ21Bと連結板24との連結部分には、第2シャッタ21Bが連結板24と同一の方向に延びるように弾力付勢するねじりコイルばねなどの第2付勢部材56(図5(b)参照)が取り付けられている。
【0063】
第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが開かれるタイミングとなると、水平移動シリンダ51の水平移動ロッド53が本体から進出されて、連結板24が側壁2Aから離反する方向(処理チャンバ3の外側から内側へ向かう方向)へ向けて水平移動される。第1シャッタ20Bの下端部28Bが上下動しか許容されていないので、連結板24の側壁2Aからの離反に伴って、第1シャッタ20Bが第1回動軸25まわりに回動して、第1シャッタ20Bの下端部28Bが上昇される。また、第2シャッタ21Bの上端部29Aが上下動しか許容されていないので、連結板24の側壁2Aからの離反に伴って、第2シャッタ21Bが第2回動軸27まわりに回動して、第2シャッタ21Bの上端部29Aが下降される。このため、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが、上下方向に関して重なるように折り畳まれる(図5(b)参照)。そして、水平移動ロッド53が進出位置まで進出されると、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが全体として側面視コ字状をなし、開口17が開放される。
【0064】
その後、昇降シリンダ52の昇降ロッド54が本体に没入される。この昇降ロッド54の没入により、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが、パスラインPLよりも下方に退避して、開状態(図5(c)参照)まで下降する。
一方、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが閉じられるタイミングとなると、昇降ロッド54が昇降シリンダ52の本体に対して進出される。この昇降ロッド54の進出により、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが折り畳み姿勢のまま上昇される。
【0065】
第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが所定の高さ位置まで上昇されると、水平移動シリンダ51の水平移動ロッド53が本体に没入されて、連結板24が側壁2Aに接近する方向(処理チャンバ3の内側から外側に向かう方向)へ向けて水平移動される。第1シャッタ20Bの下端部28Bが上下動しか許容されていないので、連結板24の側壁2Aへの接近に伴って、第1シャッタ20Bが第1回動軸25まわりに回動して、第1シャッタ20Bの下端部28Bが下降される。また、第2シャッタ21Bの上端部29Aが上下動しか許容されていないので、連結板24の側壁2Aへの接近に伴って、第2シャッタ21Bが第2回動軸27まわりに回動して、第2シャッタ21Bの上端部29Aが上昇される。そして、水平移動ロッド53が没入位置まで没入されると、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが上下に鉛直姿勢で並べられて、開口17が閉塞される(図5(a)参照)。
【0066】
また、第1付勢部材55および第2付勢部材56により、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bが、互いに同一の方向に延びるように付勢されているので、第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bの開状態から閉状態への移行をスムーズに行うことができる。
図6は、本発明のさらに他の実施形態(第4実施形態)に係る基板処理装置300の処理チャンバ3の要部の断面図である。
【0067】
この図6において、前述の図1〜図3の実施形態(第1実施形態)に示された各部に対応する部分には、図1〜図3の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
第4実施形態に係る基板処理装置300が、第1実施形態に係る基板処理装置1と相違する点は、第2シャッタ21Cの上部に、庇部60が形成されている点である。第2シャッタ21Cは、平坦な板状部61と、板状部61の上辺61Aから内方に向けて屈曲し、斜め上方に向けて延びる庇部60とを備えている。庇部60は、板状部61の左右方向(水平方向)の一端から他端にわたって形成されている。
【0068】
庇部60は、板状部61の上辺61Aと、スピンチャック4に保持されたウエハWにおける側壁2Aとの距離が最短である位置(以下、「ウエハ最短位置」という。)WSとを結ぶ線分L1と直交する方向に延びている。庇部60の先端60Aは、ウエハ最短位置WSと側壁2Aの上辺とを結ぶ線分L2に達している。
この実施形態によれば、ウエハWへの薬液および純水を用いた処理の際には、第2シャッタ21Cが上部領域2AUを覆っている。そして、第2シャッタ21Cの上部には、庇部60が形成されている。これにより、第2シャッタ21Cの高さを低く抑えながら、上部領域2AUに薬液および純水が付着することを、高さ方向においてより広範囲で防止することができる。
【0069】
以上、本発明の4つの形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
前述の第2実施形態では、ベルト41の一端41Aが開口17の下辺部17Aに固定されているとして説明したが、ベルト41の一端41Aは、側壁2Aにおける開口17の下方の部分であれば、他の位置に固定されていてもよい。
【0070】
また、第2実施形態では、プーリ42は側壁2Aに平行で水平な軸まわりに回転可能に設けられているとして説明したが、プーリ42が回転しないでベルト41がプーリ42の周面を滑る構成とすることもできる。
前述の第3実施形態では、昇降シリンダ52による第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bの昇降動作と、水平シリンダ51による第1シャッタ20Bおよび第2シャッタ21Bの水平移動作とが連続するものとして説明したが、これらの動作が同時に進行するものであってもよい。
【0071】
さらに、第1シャッタ20Bの下端部28Bと第2シャッタ21Bの上端部29Aとが、連結板24を介さずに、直接連結された構成であってもよい。
また、第4実施形態で採用した庇部60を第1、第2および第3実施形態の第2シャッタ21,21A,21Bに採用してもよい。
さらに、第1〜第4実施形態において、第2シャッタ21,21A,21B,21Cは、その閉状態において、上部領域2AUの全域を覆う構成でなく、その一部のみを覆う構成であってもよい。
【0072】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1,100,200,300 基板処理装置
2 側壁
2AU 上部領域(側壁における開口の上方の部分)
3 処理チャンバ
17 開口
20,20A,20B 第1シャッタ
21;21A;21B;21C 第2シャッタ
24 連結板(第1シャッタと第2シャッタとの連結部分)
25 第1回動軸
27 第2回動軸
28A 上端(第1シャッタの第2シャッタに近い側の端部)
28B 下端(第1シャッタの第2シャッタから遠い側の端部)
29A 上端(第2シャッタの第1シャッタから遠い側の端部)
29B 下端(第2シャッタの第1シャッタに近い側の端部)
30 第1移動機構(スライド移動機構)
31 第2シリンダ
32 第2ロッド
33 第1シリンダ
34 第1ロッド
35 接続板(シリンダ支持部材)
36 シリンダ支持板(シリンダ支持部材)
40 第2移動機構(スライド移動機構)
41 ベルト
41A 一端
41B 他端
42 プーリ
43 第1シリンダ
44 第1ロッド
50 第3移動機構(直交移動機構)
60 庇部
PL パスライン(開口における基板の通過位置)
W ウエハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁により取り囲まれて、処理液を用いた処理を基板に対して施すための処理チャンバと、
前記側壁に形成されて、前記処理チャンバに対して基板を搬出または搬入する際に基板が通過する開口と、
前記開口を閉塞するための第1シャッタと、
前記側壁および前記第1シャッタに対して相対変位可能に設けられて、前記側壁における前記開口の上部分を覆うための第2シャッタと、
前記第1シャッタおよび前記第2シャッタを、前記第1シャッタが前記開口を閉塞するとともに前記第2シャッタが前記側壁における前記開口の上部分を覆う閉状態と、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタが前記開口における前記基板の通過位置の下方へ退避し、前記開口を開放する開状態との間で移動させる移動機構とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタを、前記開口が形成された前記側壁と平行をなす姿勢を維持させつつスライド移動させるスライド移動機構である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記スライド移動機構は、
上下方向に進出/没入可能な第1ロッドを有し、前記第1ロッドが前記第1シャッタに固定された第1シリンダと、
前記第1ロッドに取り付けられたシリンダ支持部材と、
前記シリンダ支持部材に支持され、上下方向に進出/没入可能な第2ロッドを有し、前記第2ロッドが前記第2シャッタに固定された第2シリンダとを含む、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記スライド移動機構は、
上下方向に進出/没入可能な第1ロッドを有し、前記第1ロッドが前記第1シャッタに固定された第1シリンダと、
前記第1シャッタに固定されたプーリと、
一端が前記側壁における前記開口の下方の部分に固定され、前記プーリの周面に巻き掛けられてU字状をなし、他端が前記第2シャッタに固定されたベルトとを含む、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1シャッタおよび前記第2シャッタの互いに近い側の端部が、前記開口が形成された前記側壁と平行な回動軸まわりに回動可能に連結されており、
前記第1シャッタおよび前記第2シャッタの互いに遠い側の端部が、前記回動軸と直交し、前記開口が形成された前記側壁と平行なスライド方向に移動可能であり、
前記移動機構が、前記第1シャッタと前記第2シャッタとの連結部分を、前記回動軸および前記スライド方向と直交する方向に移動させる直交移動機構を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2シャッタの上部には、前記処理チャンバの内方に向けて屈曲し、斜め上方に向けて延びる庇部が形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−212364(P2010−212364A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55236(P2009−55236)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】