説明

基板処理装置

【課題】基板や基板保持具や加熱装置からの熱影響を低減させ、シール部材の焼損を防止する基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板18を保持する基板保持具26と、基板を前記基板保持具で保持しつつ処理する反応管41と、該反応管を加熱する加熱装置37と、前記反応管を蓋する蓋体33と、前記反応管と前記蓋体との間に設けられるシール部材61と、前記基板保持具を装入した状態で、前記基板保持具と前記シール部材の間を遮る様設けられた遮熱部材62とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ等の基板に薄膜の生成、酸化処理、不純物の拡散、アニール処理、エッチング等の処理を行い、半導体装置を製造する基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は石英等の耐熱材料で形成された反応管と、加熱装置等からなる処理炉を具備し、前記反応管に基板を収納し、基板を加熱装置で所定温度に加熱し、処理ガスを反応管内に供給して基板処理を行う。又、基板処理装置には、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置と、所要枚数の基板を一度に処理するバッチ式の基板処理装置とがある。
【0003】
バッチ式の基板処理装置では、基板保持具(ボート)に所要枚数の基板(ウェーハ)が水平多段に装填され、基板保持具が処理炉に装入され、基板は基板保持具に保持された状態で処理がなされる様になっている。
【0004】
前記ボートが載置される炉口蓋には、上面にOリング等のシール部材が設けられ、前記ボートが前記反応管に装入されることで前記炉口蓋が炉口部を閉塞すると共に、前記Oリングによって炉口部がシールされ、前記反応管が気密に閉塞される。
【0005】
前記ボートでは、炉口部付近の温度上昇を抑制する為、該ボート下部に形成された断熱部に断熱板を所定枚数装填している。然し乍ら、前記断熱部に装填された断熱板だけでは断熱が不十分であり、炉口部に設けられたOリングは前記加熱装置からの輻射熱により加熱され、耐熱的に厳しくなる。これは、前記反応管が半透明の石英製であるので、熱源からの輻射熱が透過して前記Oリングを加熱する為であり、輻射熱により前記Oリングが焼損するという問題があった。
【0006】
尚、特許文献1には炉口部に設けられたOリングの温度上昇を抑制する構成を有する基板処理装置および半導体装置の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−334868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は斯かる実情に鑑み、基板や基板保持具や加熱装置からの熱影響を低減させ、シール部材の焼損を防止する基板処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基板を保持する基板保持具と、基板を前記基板保持具で保持しつつ処理する反応管と、該反応管を加熱する加熱装置と、前記反応管を蓋する蓋体と、前記反応管と前記蓋体との間に設けられるシール部材と、前記基板保持具を装入した状態で、前記基板保持具と前記シール部材の間を遮る様設けられた遮熱部材とを具備する基板処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板を保持する基板保持具と、基板を前記基板保持具で保持しつつ処理する反応管と、該反応管を加熱する加熱装置と、前記反応管を蓋する蓋体と、前記反応管と前記蓋体との間に設けられるシール部材と、前記基板保持具を装入した状態で、前記基板保持具と前記シール部材の間を遮る様設けられた遮熱部材とを具備するので、前記基板や前記加熱装置や前記基板保持具からの輻射熱を前記遮熱部材によって遮ることができ、前記シール部材の温度上昇を抑制することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が実施される基板処理装置の概略斜視図である。
【図2】該基板処理装置の概略側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に於ける処理炉の立断面図である。
【図4】該処理炉の炉口部を示す立断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例に於ける炉口部の立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0013】
先ず、図1、図2に於いて、本発明が実施される基板処理装置について説明する。
【0014】
尚、基板処理装置は、半導体装置(IC)の製造工程の1つである基板処理工程を実施する。又、以下の説明では、基板処理装置の一例として縦型炉を具備して基板に酸化処理、CVD成膜処理、拡散処理、アニール処理等を行う縦型の基板処理装置について説明する。
【0015】
図1、図2に示されている様に、基板処理装置1は筐体2を備えている。該筐体2の正面壁3の正面前方部にはメンテナンス可能な様に設けられた開口部としての正面メンテナンス口4が開設され、該正面メンテナンス口4は正面メンテナンス扉5によって開閉される。
【0016】
前記筐体2の正面壁3にはポッド搬入搬出口6が前記筐体2の内外を連通する様に開設されており、前記ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ(搬入搬出口開閉機構)7によって開閉され、前記ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート(基板搬送容器受渡し台)8が設置されており、該ロードポート8は載置されたポッド9を位置合せする様に構成されている。
【0017】
該ポッド9は、密閉式の基板搬送容器であり、図示しない工程内搬送装置によって前記ロードポート8上に搬入され、又、該ロードポート8上から搬出される様になっている。
【0018】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚(基板搬送容器格納棚)11が設置されており、該回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納する様に構成されている。
【0019】
前記回転式ポッド棚11は垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、該支柱12に上中下段の各位置に於いて放射状に支持された複数段の棚板(基板搬送容器載置棚)13とを備えており、該棚板13はそれぞれポッド9を複数個載置した状態で格納する様に構成されている。
【0020】
前記回転式ポッド棚11の下方には、ポッドオープナ(基板搬送容器蓋体開閉機構)14が設けられ、該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置し、又該ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0021】
前記ロードポート8と前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間には、ポッド搬送装置(容器搬送装置)15が設置されており、該ポッド搬送装置15は、前記ポッド9を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっており、前記ロードポート8、前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間で前記ポッド9を搬送する様に構成されている。
【0022】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける下部には、サブ筐体16が後端に亘って設けられている。該サブ筐体16の正面壁17にはウェーハ18を前記サブ筐体16内に対して搬入搬出する為のウェーハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)19が1対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウェーハ搬入搬出口19,19に対して前記ポッドオープナ14がそれぞれ設けられている。
【0023】
該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置する載置台21と、前記ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。前記ポッドオープナ14は前記載置台21に載置された前記ポッド9の蓋を前記開閉機構22によって開閉することにより、前記ポッド9のウェーハ出入れ口を開閉する様に構成されている。
【0024】
前記サブ筐体16は前記ポッド搬送装置15や前記回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。該移載室23の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)24が設置されており、該ウェーハ移載機構24は、ウェーハを載置する所要枚数(図示では5枚)のウェーハ載置プレート25を具備し、該ウェーハ載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又昇降可能となっている。前記ウェーハ移載機構24はボート26に対してウェーハ18を装填及び払出しする様に構成されている。
【0025】
前記移載室23の後側領域には、前記ボート26を収容して待機させる待機部27が構成され、該待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。該処理炉28の下端部は、炉口部となっており、該炉口部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)29により開閉される様になっている。
【0026】
前記筐体2の右側端部と前記サブ筐体16の前記待機部27の右側端部との間には前記ボート26を昇降させる為のボートエレベータ(基板保持具昇降機構)31が設置されている。該ボートエレベータ31の昇降台に連結されたアーム32には蓋体としての炉口蓋33が水平に取付けられており、該炉口蓋33は前記ボート26を垂直に支持し、前記処理炉28の下端部の炉口部を気密に閉塞可能となっている。
【0027】
前記ボート26は複数本の支柱を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウェーハ18を、水平姿勢で垂直方向に多段に保持する様に構成されている。
【0028】
前記ボートエレベータ31側と対向した位置にはクリーンユニット35が配設され、該クリーンユニット35は、清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア34を供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。前記ウェーハ移載機構24と前記クリーンユニット35との間には、ウェーハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0029】
前記クリーンユニット35から前記移載室23に吹出されたクリーンエア34は、ノッチ合せ装置(図示せず)及び前記ウェーハ移載機構24、前記ボート26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、前記筐体2の外部に排気がなされるか、若しくは前記クリーンユニット35の吸込み側である一次側(供給側)に迄循環され、再び該クリーンユニット35によって、前記移載室23内に吹出される様に構成されている。
【0030】
次に、本発明の基板処理装置1の作動について説明する。
【0031】
前記ポッド9が前記ロードポート8に供給されると、前記ポッド搬入搬出口6が前記フロントシャッタ7によって開放される。前記ロードポート8の上の前記ポッド9は前記ポッド搬送装置15によって前記筐体2の内部へ前記ポッド搬入搬出口6を通して搬入され、前記回転式ポッド棚11の指定された前記棚板13へ載置される。前記ポッド9は前記回転式ポッド棚11で一時的に保管された後、前記ポッド搬送装置15により前記棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて前記載置台21に移載されるか、若しくは前記ロードポート8から直接前記載置台21に移載される。
【0032】
この際、前記ウェーハ搬入搬出口19は前記開閉機構22によって閉じられており、前記移載室23には前記クリーンエア34が流通され、充満されている。例えば、前記移載室23にはクリーンエア34として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、前記筐体2の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0033】
前記載置台21に載置された前記ポッド9はその開口側端面が前記サブ筐体16の前記正面壁17に於ける前記ウェーハ搬入搬出口19の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が前記開閉機構22によって取外され、ウェーハ出入れ口が開放される。
【0034】
前記ポッド9が前記ポッドオープナ14によって開放されると、ウェーハ18は前記ポッド9から前記ウェーハ移載機構24によって取出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、該ノッチ合せ装置にてウェーハ18を整合した後、前記ウェーハ移載機構24はウェーハ18を前記移載室23の後方にある前記待機部27へ搬入し、前記ボート26に装填(チャージング)する。
【0035】
該ボート26にウェーハ18を受渡した前記ウェーハ移載機構24はポッド9に戻り、次のウェーハ18を前記ボート26に装填する。
【0036】
一方(上段又は下段)のポッドオープナ14に於ける前記ウェーハ移載機構24によるウェーハ18の前記ボート26への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ14には前記回転式ポッド棚11から別のポッド9が前記ポッド搬送装置15によって搬送されて移載され、前記他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0037】
予め指定された枚数のウェーハ18が前記ボート26に装填されると、前記炉口シャッタ29によって閉じられていた前記処理炉28の炉口部が、前記炉口シャッタ29によって開放される。続いて、前記ボート26は前記ボートエレベータ31によって上昇され、前記処理炉28内へ搬入(ローディング)される。
【0038】
ローディング後は、前記炉口蓋33によって炉口部が気密に閉塞され、前記処理炉28にてウェーハ18に所要の処理が実行される。
【0039】
処理後は、ノッチ合せ装置(図示せず)でのウェーハ18の整合工程を除き、上記と逆の手順で、ウェーハ18及びポッド9は前記筐体2の外部へ払出される。
【0040】
次に、第1の実施例に於ける前記処理炉28について、図3、図4により説明する。
【0041】
該処理炉28は加熱装置としてのヒータ37を有する。該ヒータ37は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース38に支持されることにより垂直に据付けられている。
【0042】
前記ヒータ37の内側には、例えば、炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し、下端が開口した円筒形状である均熱管39が、前記ヒータ37と同心円状に配設されている。又、前記均熱管39の内側には、例えば石英(SiO2 )等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し、下端が開口した円筒形状で下端に下部フランジ40が形成された反応管41が、前記均熱管39と同心円状に配設されている。前記反応管41の筒中空部には処理室42が形成されており、前記ボート26が収納される。
【0043】
前記反応管41の下端部にはガス導入部43が設けられており、該ガス導入部43から前記反応管41の天井部44に至る迄、前記反応管41の外壁に沿って細管であるガス導入管45が配設されている。前記ガス導入部43から導入されたガスは、前記ガス導入管45内を流通して前記天井部44に至り、該天井部44に設けられた複数のガス導入口46から前記処理室42内に導入される。又、前記反応管41の下端部の前記ガス導入部43と異なる位置には、前記反応管41内の雰囲気を排気口47から排気するガス排気部48が設けられている。
【0044】
前記ガス導入部43には、ガス供給管49が接続されている。該ガス供給管49には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)51を介して図示しない処理ガス供給源、キャリアガス供給源、不活性ガス供給源が接続されている。尚、前記処理室42内に水蒸気を供給する必要がある場合は、前記ガス供給管49のMFC51よりも下流側に、図示しない水蒸気発生装置が設けられる。前記MFC51には、ガス流量制御部52が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となる様、所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0045】
前記ガス排気部48には、ガス排気管53が接続されている。該ガス排気管53のガス排気部48との接続側とは反対側である下流側には圧力検出器としての圧力センサ54及び圧力調整装置55を介して排気装置56が接続されており、前記処理室42を排気し、該処理室42の圧力が所定の圧力となる様に構成されている。前記圧力調整装置55及び前記圧力センサ54には、圧力制御部57が電気的に接続されており、該圧力制御部57は前記圧力センサ54により検出された圧力に基づいて前記圧力調整装置55により前記処理室42の圧力が所望の圧力となる様、所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0046】
前記反応管41の下端部には、該反応管41の下端開口を気密に閉塞可能であり、前記ボート26の保持体としてのベース58及びシールキャップ60が設けられており、前記ベース58と前記シールキャップ60とで前記炉口蓋33を構成している。該シールキャップ60は例えばステンレスやニッケル合金等の金属材料からなり、円盤状に形成されていると共に、水冷用のジャケット59が所定数形成されている。前記ベース58は、例えば石英の様な非金属材料からなり、円盤状に形成されている。又、該ベース58は前記シールキャップ60の表面を覆い、該シールキャップ60の金属面が前記処理室42に露出しない様にし、該処理室内42に露出している金属面積を低減させ、反応ガスの金属表面への接触を防止している。
【0047】
前記ベース58の上面には環状に溝が刻設され、該溝にシール部材としてのOリング61が嵌設されており、該Oリング61は前記反応管41の前記下部フランジ40の下面と当接している。又、前記ベース58の上面には、遮熱部材である不透明石英で形成された円筒形状の遮熱リング62が溶接されており、該遮熱リング62は前記ボート26と同心で該ボート26を囲繞する様になっている。
【0048】
前記遮熱リング62は前記反応管41に前記ボート26を装入し、前記反応管41を閉塞した際に、前記下部フランジ40と前記ボートベース36の間を遮る様になっており、前記遮蔽リング62は前記ヒータ37や前記ボート26、ウェーハ18等の熱源からの輻射熱を遮断する様になっている。又、前記遮熱リング62の上端は前記排気口47の内周縁の下端と同等の高さか、それよりも低くなっているか、或は前記下部フランジ40の上面よりも高くなっている。
【0049】
該下部フランジ40は金属製の固定リング63とリング状の受座64により挾持されている。前記下部フランジ40と前記固定リング63間、及び前記下部フランジ40と前記受座64との間には図示しないフッ素樹脂クッションが介設され、石英製の前記下部フランジ40が金属製の前記固定リング63及び前記受座64に接触しない様な構造となっている。又、該受座64は、複数本の柱65により、前記ヒータベース38に固定されている。
【0050】
前記固定リング63若しくは前記受座64は、ジャケット構造やパイプを巻付けた構造で、水冷が可能である。図示では、前記固定リング63にジャケット66が形成されている。該ジャケット66により前記固定リング63、前記受座64を冷却することで、前記クッションを介して前記下部フランジ40が冷却される様になっている。
【0051】
前記ボート26は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、ウェーハ18及び断熱板68を装填可能なスロットが形成された棒状のスロット部30と、該スロット部30が立設されたボートベース36とを有している。前記スロット部30の下部には前記断熱板68が所定枚数装填されることで断熱部67が形成され、前記断熱板68は、ウェーハ18と同径であり、石英や炭化珪素等の耐熱性材料によって形成されている。又、前記ジャケット59によって前記シールキャップ60が水冷されているので、前記ヒータ37からの熱が前記回転機構69等に伝わり難くなる様になっている。
【0052】
前記シールキャップ60の前記処理室42と反対側には、前記ボート26を回転させる回転機構69が設置されている。該回転機構69の回転軸71は前記シールキャップ60と前記ベース58を貫通し、前記ボート26を支持している。前記回転機構69により前記ボート26を回転させることでウェーハ18を回転させる様に構成されている。
【0053】
前記炉口蓋33は前記ボートエレベータ31によって垂直方向に昇降される様に構成されており、これにより前記ボート26を前記処理室42に対し装脱可能となっている。前記回転機構69及び前記ボートエレベータ31には、駆動制御部72が電気的に接続されており、所望の動作をする様、所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0054】
前記均熱管39と前記反応管41との間には、温度検出器としての温度センサ73が設置されている。前記ヒータ37と前記温度センサ73には、電気的に温度制御部74が接続されており、前記温度センサ73により検出された温度情報に基づき前記ヒータ37への通電具合を調整することにより前記処理室42の温度が所望の温度分布となる様所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0055】
前記ガス流量制御部52、前記圧力制御部57、前記駆動制御部72、前記温度制御部74は、操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置1全体を制御する主制御部75に電気的に接続されている。前記ガス流量制御部52、前記圧力制御部57、前記駆動制御部72、前記温度制御部74、前記主制御部75はコントローラ76として構成されている。
【0056】
以下、上記処理炉28を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、ウェーハ18に酸化、拡散等の処理を施す方法について説明する。尚、基板処理装置1を構成する各部の動作は前記コントローラ76により制御される。
【0057】
複数枚のウェーハ18が前記ボート26に装填されると、該ボート26は、前記ボートエレベータ31によって上昇されて前記処理室42に装入される。この状態で、前記炉口蓋33は前記Oリング61を介して前記反応管41下端を気密に閉塞した状態となる。
【0058】
前記処理室42が所望の圧力となる様に前記排気装置56によって排気される。この際、前記処理室42の圧力は、前記圧力センサ54で測定され、この測定された圧力に基づき前記圧力調整装置55により、前記処理室42の圧力がフィードバック制御される。又、該処理室42が所望の温度となる様に前記ヒータ37によって加熱される。この際、前記処理室42が所望の温度分布となる様に前記温度センサ73が検出した温度情報に基づき前記ヒータ37への通電具合がフィードバック制御される。続いて、前記回転機構69により、前記断熱部67、前記ボート26が回転されることで、ウェーハ18が回転される。
【0059】
次いで、処理ガス供給源及びキャリアガス供給源から供給され、前記MFC51にて所望の流量となる様に制御されたガスは、前記ガス供給管49から前記ガス導入部43及び前記ガス導入管45を流通し前記天井部44に至り、複数の前記ガス導入口46から前記処理室42にシャワー状に導入される。
【0060】
尚、ウェーハ18に対して水蒸気を用いた処理を行う場合は、前記MFC51にて所望の流量となる様に制御されたガスは水蒸気発生装置(図示せず)に供給され、水蒸気発生装置にて生成された水蒸気(H2 O)を含むガスが前記処理室42に導入される。導入されたガスは前記処理室42を流下し、前記排気口47を流通して前記ガス排気部48から排気される。ガスは前記処理室42を通過する際にウェーハ18の表面と接触し、ウェーハ18に対して酸化、拡散等の処理がなされる。
【0061】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、前記処理室42が不活性ガスに置換されると共に、前記処理室42の圧力が常圧に復帰される。
【0062】
その後、前記ボートエレベータ31により前記炉口蓋33が降下されて、前記反応管41の下端が開口されると共に、処理済ウェーハ18が前記ボート26に保持された状態で前記反応管41の下端から該反応管41の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済ウェーハ18は前記ボート26より取出される(ウェーハディスチャージ)。
【0063】
尚、一例迄、本実施例の処理炉にてウェーハを処理する際の処理条件としては、例えば、拡散、CVD処理に於いては、処理温度100℃〜1300℃、処理圧力0.1MPa〜5Pa、ガス種、ガス供給流量、拡散、アニール処理の場合、窒素N2 、100sccm若しくは、水素H2 、100sccm、減圧CVD処理の場合、シランガスSiH4 、100sccm、ジクロルシランガスSiH2 Cl2 、0.1SLM〜0.5SLM、アンモニアガスNH3 、0.3SLM〜5SLMが例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウェーハに処理がなされる。
【0064】
上記した様に、前記反応管41の下端部に前記ボート26と前記下部フランジ40との間を遮る様に不透明石英製の前記遮熱リング62を設けたので、前記ヒータ37、或は該ヒータ37によって加熱されたウェーハ18及び前記ボート26等の熱源からの輻射熱が前記遮熱リング62によって遮られ、前記下部フランジ40を透過することがない。従って、前記Oリング61が輻射熱によって加熱されることを防ぎ、該Oリング61の温度上昇を抑制することができる。
【0065】
又、前記遮熱リング62の上端は前記排気口47の内縁の下端と同等の高さか、それよりも低くなっているので、前記ガス導入口46から前記処理室42に導入され、該処理室42内を流下して前記排気口47より排出されるガスの流れを遮らない。従って、前記処理室42内の圧力が上昇してウェーハ18の膜厚が所定の膜厚よりも厚くなるのを防ぎ、ウェーハ18の歩留りを増加させることができる。
【0066】
次に、図5に於いて、第2の実施例について説明する。尚、図5中、図4と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
反応管41に装入されるボート26は、ウェーハ18及び断熱板58を装填可能なスロット部30を有し、該スロット部30の下部に所定の径(例えば300mm)を持つ断熱板68を装填することで断熱部67が形成され、該断熱部67最下段のスロットには、ウェーハ18及び前記断熱板68の径よりも大きい径(例えば320mm)を持つ不透明石英製の断熱板77が所要手段、例えば溶接によって固着されている。
【0068】
前記ボート26に所定枚数のウェーハ18が保持され、前記断熱部67に所定枚数の断熱板68が保持された状態で、前記ボート26が処理室42に装入される。
【0069】
前記ボート26が前記処理室42に装入された後、ヒータ37による加熱や処理ガス供給源及びキャリアガス供給源からのガスの供給等所定の処理がなされる。
【0070】
この時、前記断熱部67の最下段のスロットに前記断熱板68よりも径の大きい前記断熱板77が溶接されているので、前記ヒータ37、及び該ヒータ37によって加熱されたウェーハ18や前記ボート26からの輻射熱を、前記断熱板77の前記断熱板68よりも張出した箇所で遮ることができ、ベース58上面に設けられたOリング61が上記輻射熱によって加熱され、温度が上昇するのを抑制することができる。
【0071】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0072】
(付記1)基板を保持する基板保持具と、基板を前記基板保持具で保持しつつ処理する反応管と、該反応管を加熱する加熱装置と、前記反応管を蓋する蓋体と、前記反応管と前記蓋体との間に設けられるシール部材と、前記基板保持具を装入した状態で、前記基板保持具と前記シール部材の間を遮る様設けられた遮熱部材とを具備することを特徴とする基板処理装置。
【0073】
(付記2)前記反応管は排気口を有し、前記遮熱部材の上端は前記排気口の下端と同じ高さか、該排気口の下端よりも低い付記1の基板処理装置。
【0074】
(付記3)前記反応管は下端にフランジ部を有し、前記遮熱部材の上端は前記フランジ部の上面よりも高い付記1の基板処理装置。
【0075】
(付記4)基板を保持する基板保持具と、基板を前記基板保持具で保持しつつ処理する反応管と、該反応管を加熱する加熱装置と、前記反応管を蓋する蓋体と、前記反応管と前記蓋体との間に設けられるシール部材とを具備し、前記基板保持具の最下段に前記基板よりも径の大きい断熱板を設けたことを特徴とする基板処理装置。
【符号の説明】
【0076】
1 基板処理装置
18 ウェーハ
26 ボート
33 炉口蓋
37 ヒータ
41 反応管
42 処理室
47 排気口
58 ベース
61 Oリング
62 遮熱リング
67 断熱部
68 断熱板
77 断熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持具と、基板を前記基板保持具で保持しつつ処理する反応管と、該反応管を加熱する加熱装置と、前記反応管を蓋する蓋体と、前記反応管と前記蓋体との間に設けられるシール部材と、前記基板保持具を装入した状態で、前記基板保持具と前記シール部材の間を遮る様設けられた遮熱部材とを具備することを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−3689(P2011−3689A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144974(P2009−144974)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】