説明

基板処理装置

搬送装置の駆動システムは、搬送装置に接続されている複数の永久マグネット、複数の永久マグネットの少なくとも1つの磁界に曝されている複数の固定巻線、固定巻線に電圧を加えて搬送装置に磁力をもたらす制御システム、及び搬送装置の浮揚、ピッチ及びロールの受動的安定化を提供するための搬送装置の少なくとも一側部に近接している強磁性コンポーネントの配列を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第60/397,895号の利益を主張する米国特許出願第10/624,987号(出願日2003年7月22日)の一部継続出願であり、これら両方の全体が参照することによって本明細書に含まれている。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載されている実施例及び方法は、基板処理装置に関し、特に、直交(cartesian)配置で相互接続されているチャンバを有する基板処理装置に関する。
【0003】
新しい電子デバイスへの消費者の欲求に必然的に影響を与える要因の1つは、デバイスの値段である。反対に、新しいデバイスのコストが安くなることでその値段が下がり得る場合、新しい電子デバイスに対する消費者の欲求において、有益な効果が達成されるだろう。電子デバイスの製造コストの重要な部分は、電子部品の製造において使用されるような半導体基板、またはディスプレイの製造に使用されるパネルの製造及び処理から始まる電子機器の製造のコストである。基板処理のコストは、処理装置のコスト、処理装置が置かれる設備のコストによって部分的に影響を受け、処理装置のスループット(単価に大きな影響を与える)によって大部分の影響を受ける。すぐに理解されるように、処理装置のサイズ自体が上述の要因の全てに影響する。しかし、従来の処理装置は、サイズ低減に関して限界に達していた。さらに、従来の処理装置は、単位毎のスループットの増加に対しても限界に達していた。例えば、従来の処理装置は、放射状の処理モジュール配置を使用していた。従来の基板処理装置の平面略図が、図1に示されている。見てわかるように、図1の装置の処理モジュールは、処理装置の搬送チャンバの周りに放射状に配されている。従来の2または3軸の移動装置(例えば、Z、θ、T軸)である搬送装置が搬送チャンバの中央に配されて、処理モジュール間で基板が搬送される。図1から理解されるように、従来の処理装置のスループットは、搬送装置のハンドリングレート(handling rate)によって制限されていた。換言すれば、従来の装置によれば、スループットは、単に装置に処理モジュールを追加することだけでは向上させられないのである。なぜならば、搬送装置がハンドリングレートの限界に達すると、これがスループットの律速因子になるからである。本開示の実施例の構造及び技術は、以下でさらに説明される従来技術の問題を克服する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施例によれば、搬送装置の駆動システムは、搬送装置に接続された複数の永久マグネット、複数の永久マグネットのうちの少なくとも1つの磁界に曝されている複数の固定巻線、固定巻線に電圧を加えて搬送装置上に磁力をもたらす制御システム、及び搬送装置の少なくとも一方の側部に近接しており、搬送装置の浮揚、ピッチ及びロールの受動的安定化をもたらす強磁性コンポーネント配列(すなわち群)を含む。
【0005】
他の実施例によれば、処理装置は、搬送チャンバ、搬送チャンバに連通結合されている少なくとも1つ処理チャンバ、搬送チャンバと処理モジュールとの間でワークピースを搬送する搬送装置、及び搬送チャンバの中を通って搬送装置を移動させるために磁力をもたらす駆動システムを含む。駆動システムは、搬送装置に接続されている複数の永久マグネット、当該複数の永久マグネットの少なくとも1つの磁界に曝されている複数の固定巻線、固定巻線に電圧を加えて搬送装置に磁力をもたらす制御システム、及び搬送装置の少なくとも一方の側部に近接しており、搬送装置の浮揚、ピッチ及びロールの受動的安定化をもたらす強磁性コンポーネントの配列を含む。
【0006】
本開示の実施例の上述の態様及び他の特徴は、添付の図面とともに理解される以下の記述においてに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、従来技術による基板処理装置の平面略図である。
【図2】図2は、第1の実施例による基板処理装置の平面略図である。
【図3】図3は、他の実施例による基板処理装置の平面略図である。
【図4】図4は、さらに他の実施例による基板処理装置の平面略図である。
【図5】図5は、さらに他の実施例による基板処理装置の平面略図である。
【図6】図6は、さらに他の実施例による基板処理装置の平面略図である。
【図7】図7は、他の実施例による2つの基板処理装置を有する基板処理システムの平面略図である。
【図7A】図7Aは、さらに他の実施例による基板処理システムの平面略図である。
【図8】図8は、他の従来の基板処理装置の平面略図である。
【図9】複数の従来の処理装置及びストッカーを含む従来の基板処理システムの平面略図である。
【図10】図10は、基板処理装置のプラテン駆動システムの端面図である。
【図11A】図11Aは、基板処理装置の他のプラテン駆動システムの端面図である。
【図11B】図11Bは、基板処理装置の他のプラテン駆動システムの断面図(図11Aの11B−11B線に沿った断面)である。
【図12】図12は、装置の他の実施例による基板処理装置の例示のカートの上面図である。
【図12A】図12Aは、図12の例示のカートの伸張状態の他の上面図である。
【図12B】図12Bは、図12に示された例示のカートの装置のチャンバの一部内での端面図である。
【図13A】図13Aは、装置の他の実施例による駆動システム及び搬送カートを有する装置のチャンバの一部の上面図である。
【図13B】図13Bは、チャンバ及びカートの図13Aの13B−13B線に沿った断面図である。
【図13C】図13Cは、チャンバ及びカートの図13B内の13C−13C線に沿った他の断面図である。
【図13D】図13Dは、装置の例示の駆動システムの回路図である。
【図14A】図14Aは、図2の装置に使用されるカートの他の実施例の端面図である。
【図14B】図14Bは、駆動システムの軸の偏向Zと復元力Fとの間の関係を示すグラフである。
【図15】図15は、他の実施例による装置の半導体ワークピース搬送カートの斜視図を示している。
【図16】図16は、他の実施例による装置の半導体ワークピース搬送カートの分解立面図である。
【図17】図17は、他の実施例による搬送カートの斜視図である。
【図18】図18は、図2の搬送装置の一部及び装置のワークピースチャック回転デバイスの断面図である。
【図19】図19は、ワークピースチャック回転デバイス及び搬送カートを有する装置の搬送カートの立面図である。
【図20】図20は、図19と異なった状態におけるワークピースチャック回転デバイス及び搬送カートを有する装置の搬送カートの立面図である。
【図21】図21は、さらに他の実施例によるチャック回転デバイスの他の立面略図である。
【図22】図22は、装置の搬送カートのさらに他の実施例の上面略図である。
【図23】図23は、装置の搬送カートのさらに他の実施例の立面略図である。
【図23A】図23Aは、2つの異なった状態のうちの一方の状態における搬送アームを伴う図22の搬送カートの他の上面図である。
【図23B】図23Bは、2つの異なった状態のうちの他方の状態における搬送アームを伴う図22の搬送カートの他の上面図である。
【図24】図24は、搬送カートの他の実施例の立面略図である。
【図24A】図24Aは、3つの状態のうちの1の状態におけるカートの搬送アームリンケージを伴う図24の搬送カートの平面図である。
【図24B】図24Bは、3つの状態のうちの1の状態におけるカートの搬送アームリンケージを伴う図24の搬送カートの平面図である。
【図24C】図24Cは、3つの状態のうちの1の状態におけるカートの搬送アームリンケージを伴う図24の搬送カートの平面図である。
【図25】図25は、搬送カートのさらに他の実施例の立面略図である。
【図25A】図25Aは、3つの状態のうちの1の状態におけるカートの搬送アームリンケージを伴う図25の搬送カートの平面図である。
【図25B】図25Bは、3つの状態のうちの1の状態におけるカートの搬送アームリンケージを伴う図25の搬送カートの平面図である。
【図25C】図25Cは、3つの状態のうちの1の状態におけるカートの搬送アームリンケージを伴う図25の搬送カートの平面図である。
【図26】図26は、装置のコントローラ内のシステム制御ソフトウェアを示す図である。
【図27】図27は、搬送装置の駆動システムの実施例を示す図である。
【図28A】図28Aは、搬送装置の片側に沿った推進巻線を有する駆動システムの実施例を示す図である。
【図28B】図28Bは、搬送装置の片側に沿った推進巻線を有する駆動システムの実施例を示す図である。
【図28C】図28Cは、搬送装置の片側に沿った推進巻線を有する駆動システムの実施例を示す図である。
【図28D】図28Dは、搬送装置の片側に沿った推進巻線を有する駆動システムの実施例を示す図である。
【図29A】図29Aは、搬送装置の両側に沿った推進巻線を有する駆動システムの実施例を示す図である。
【図29B】図29Bは、搬送装置の両側に沿った推進巻線を有する駆動システムの実施例を示す図である。
【図29C】図29Cは、搬送装置の両側に沿った推進巻線を有する駆動システムの実施例を示す図である。
【図30】図30は、推進巻線のセット及びリフト巻線のセットを有する実施例を示す図である。
【図31】図31は、異なった増幅器構成によって駆動される推進巻線のセット及びリフト巻線のセットを有する他の実施例を示す図である。
【図32】図32は、異なった増幅器構成によって駆動される推進巻線のセット及びリフト巻線のセットを有するさらに他の実施例を示す図である。
【図33】図33は、推進巻線の2つのセット及びリフト巻線の3つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図34A】図34Aは、推進巻線の2つのセット及びリフト巻線の4つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図34B】図34Bは、推進巻線の2つのセット及びリフト巻線の4つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図34C】図34Cは、推進巻線の2つのセット及びリフト巻線の4つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図34D】図34Dは、推進巻線の2つのセット及びリフト巻線の4つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図35A】図35Aは、推進巻線の4つのセット及びリフト巻線の4つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図35B】図35Bは、推進巻線の4つのセット及びリフト巻線の4つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図36】図36は、推進巻線の4つのセット及びリフト巻線の4つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図37】図37は、個別の増幅器チャンネルによって駆動される推進巻線の4つのセット及びリフト巻線の4つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図38】図38は、個別の増幅器チャンネルによって駆動される推進巻線の4つのセット及びリフト巻線の4つのセットを使用する実施例を示す図である。
【図39A】図39Aは、搬送装置上のデバイスの作動をもたらす磁力プラテン配列を示す図である。
【図39B】図39Bは、搬送装置上のデバイスの作動をもたらす磁力プラテン配列を示す図である。
【図39C】図39Cは、搬送装置上のデバイスの作動をもたらす磁力プラテン配列を示す図である。
【図40】図40は、ロータのペアを含む実施例を示す図である。
【図41】図41は、搬送装置上の受動的な力をもたらす強磁性レールのグリッドを示す図である。
【図42】図42は、搬送装置上の受動的な力をもたらす他の機構を示す図である
【図43A】図43Aは、一緒に使用される様々な巻線及びマグネットパターンを示す図である。
【図43B】図43Bは、一緒に使用される様々な巻線及びマグネットパターンを示す図である。
【図43C】図43Cは、一緒に使用される様々な巻線及びマグネットパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2を参照すると、開示される実施例の特徴を包含する基板処理装置10の平面略図が示されている。開示される実施例は、図面を参照して説明されるが、この開示される実施例は多くの代替態様の実施例を含んでいることが理解されるべきである。さらに、任意の適切なサイズ、形状またはタイプのエレメントまたは材料が使用され得る。
【0009】
基板処理装置10は、図2に示されているように多数のロードポート12を有するEFEM(environmental front end module)14に接続されている。ロードポート12は、従来のFOUPキャニスタ等の多数の基板格納キャニスタを支持可能である(任意の他の適切なタイプのキャニスタも提供され得る)。EFEM14は、以下でさらに説明される処理装置に接続されているロードロック16を介して処理装置と連通している。EFEM14(大気中に開放されていてもよい)は、ロードポート12からロードロック16に基板を搬送可能である基板搬送装置(図示せず)を有する。EFEM14は、基板アラインメント機能、バッチハンドリング機能、基板及びキャリア識別機能、または他の機能をさらに含んでいてもよい。代替実施例において、ロードロック16は、ロードロックがバッチハンドリング能力を有している場合かまたはロードロックがFOUPから当該ロックに直接ウェハを搬送する機能を有している場合等に、ロードポート12と直接連結していてもよい。このような装置のいくつかの例は、米国特許第6,071,059号、第6,375,403号、第6,461,094号、第5,588,789号、第5,613,821号、第5,607,276号、第5,644,925号、第5,954,472号、第6,120,229号、及び米国特許出願シリアル番号第10/200,818号(出願日2002年7月22日)に開示されており、これらの全ては、全体を参照することによって本明細書に包含されている。代替実施例において、他のロックが選択されてもよい。
【0010】
図2を引き続き参照すると、上述のように半導体基板(例えば、200/300mmウェハ)、フラットパネルディスプレイのためのパネル、または任意の他の所望の種類の基板の処理に使用されてもよい処理装置10は、通常、搬送チャンバ18、処理モジュール20、及び少なくとも1つの基板搬送装置22を含んでいる。示された実施例における基板搬送装置22は、チャンバ18と一体化されている。この実施例において、処理モジュールは、チャンバの両側に設けられている。他の実施例において、処理モジュールは、例えば、図4に示されている様にチャンバの片側に設けられていてもよい。図2に示されている実施例において、処理モジュール20は、列Y1、Y2または垂直平面において互いに対向して設けられている。他の代替実施例において、処理モジュールは、搬送チャンバの互いに反対にある側部において交互に(ジグザグに)配されるか、または互いに対して垂直方向に積み重ねられてもよい。搬送装置22は、チャンバ内を移動させられてロードロック16及び処理チャンバ20との間で基板を搬送させられるカート22Cを有する。示されている実施例においては、カート22Cのみが提供されているが、代替実施例においては、複数のカートが提供されてもよい。図2に見られるように、搬送チャンバ18(内部が、真空もしくは不活性雰囲気、もしくは単に清浄環境、またはこれらの組み合わせにされている)は、1つの配置を有しており、実質的に平行垂直平面または列にて配されているモジュールを使用する新規の直交配置で、処理モジュールがチャンバ18に設けられることを可能とする新規の基板搬送装置22を使用する。このことは、図1及び図2から明らかなように、比較対象の従来の処理装置(すなわち、同数の処理モジュールを有する従来の処理装置)よりもコンパクトな設置面積(footprint)の処理装置10をもたらす。さらに、搬送チャンバ18は、任意の所望の長さで提供されて、任意の所望の数の処理モジュールが追加され、以下にさらに詳細に説明されるように、スループットが増加させられることが可能であってもよい。搬送チャンバは、その内部に、任意の所望の数の搬送装置を支持可能であってもよく、搬送装置が互いに干渉することなく搬送チャンバにおける任意の所望の処理チャンバに到達することを可能にしてもよい。このことは、実際、搬送装置のハンドリング能力から処理装置のスループットを切り離すので、処理装置のスループットは、ハンドリングによって制限されるよりも処理によって制限されるようになる。従って、スループットは、処理モジュール及び同一のプラットフォームにおいて対応するハンドリング能力を追加することによって、要望通りに増加させられ得る。
【0011】
引き続き図2を参照すると、この実施例において、搬送チャンバ18は、全体として矩形状であるが、代替実施例において、搬送チャンバは他の適切な形状でもよい。チャンバ18は、細長い形状(すなわち、長さが幅よりも非常に長い)であり、その中に全体として直線の搬送経路を有している。チャンバ18は、長手方向側壁18Sを有している。側壁18Sは、それを通り抜けて形成されている搬送開口部すなわち搬送ポート180を有している。搬送ポート180は、基板が搬送チャンバの中へかつその外へ当該ポートを通り抜けることを許容する(バルブを通り抜けるのを可能とする)のに十分な大きさにされている。図2に見られるように、この実施例における処理モジュール20は、側壁18sの外側に設けられ、処理モジュールの各々は、搬送チャンバ内の対応する搬送ポートにアラインメントされている。理解されるように、処理モジュール20の各々が対応する搬送開口部の周辺部の周りでチャンバ18の側部18Sに対して封止されて、搬送チャンバ内の真空が維持されている。処理モジュールの各々はバルブを有し、当該バルブは、必要な場合には、任意の適切な手段によって制御されて搬送ポートを閉鎖する。搬送ポート180は、同一の水平面に配されていてもよい。従って、チャンバにおける処理モジュールも、同一の水平面内にアラインメントされる。代替実施形態において、搬送ポートは、異なった水平面内に配されていてもよい。図2に見られるように、この実施例において、ロードロック16は、2つの最前面の搬送ポート180において、チャンバ側部18Sに設けられている。このことは、ロードロックを処理装置の前面にてEFEM14に近接させることを可能にする。代替実施例において、ロードロックは、例えば、図4に示されているような搬送チャンバの他の搬送ポートのいずれに配されてもよい。搬送チャンバの6面体形状は、チャンバの長さが要求通りに選択されて、要求通りの数の処理モジュールの列が設けられることを可能にする(例えば、図3、5、6−7Aは、搬送チャンバ長さが任意の数の処理モジュールが設けられるようになされている他の実施例を示している)。
【0012】
上述のように、図2に示されている搬送チャンバ18は、単一のカート22Cを有する1つの基板搬送装置を有している。搬送装置22は、カート22Cをチャンバ内において前部18Fと後部18Bとの間で前後に並進移動させるためにチャンバと一体化されている。搬送装置22は、1または複数の基板を保持するエンドエフェクタを有するカート22Cを有している。搬送装置22のカート22Cは、エンドエフェクタを伸展及び格納する多関節アームまたは可動搬送機構22Aを有して、処理モジュールまたはロードロック内で基板を取り上げるかまたは解放する。処理モジュール/ロードポートから基板を取り上げるかまたはそこで解放するために、搬送装置22は、所望のモジュール/ポートとアラインメントされて、アームが対応するポート180を通って伸展/格納されて、エンドエフェクタが基板の取り上げ/解放のためにモジュール/ポート内部で位置決めされてもよい。
【0013】
図2に示されている搬送装置22は、代表的な搬送装置であり、直線支持/駆動レールによって支持されているカート22Cを含んでいる。搬送装置は、以下でさらに詳細に説明される。直線支持/駆動レールは、搬送チャンバの側壁18S、床部、または搬送チャンバの天井部に設けられていてもよく、チャンバの長さだけ伸張していてもよい。このことは、カート22C、すなわち装置がチャンバの長さだけ往復することを可能にする。カートは、アームを支持するフレームを有する。フレームは、キャスターマウントまたはプラテン22Bも支持し、これらはフレームと共にまたはフレームと相対的に移動する。以下にさらに説明するように、シーケンシャルシンクロナスリニアモータ(sequential synchronous linear motor)30は、プラテン22Bを駆動し、従ってレールに沿ってカート22Cを駆動する。リニアモータ30は、搬送チャンバの床部または側壁18Sに配されてもよい。以下でわかるように、バリアがモータの巻線とプラテンの動力部との間に配されて、チャンバの内部から巻線が隔離されてもよい。全体として、リニアモータは、多数の駆動ゾーンを含んでいてもよい。この駆動ゾーンは、搬送チャンバに沿っており、アーム22Aが伸展/格納される位置に配されている(すなわち、この実施例にモジュール/ポートにおける列Y0−Y2に配されている)。駆動ゾーンの数及び密度は、カート毎のプラテンの数、チャンバ毎のモータの数、処理モジュールの数または交換位置の数等に基づいている。この実施例において、アームは、適切なリンケージ/伝達機構によってプラテン22Bに動作可能に接続されているので、プラテンが駆動モータによって互いに相対的に移動させられると、アームが伸展されるかまたは格納される。例えば、プラテンがレールに沿って離れるように移動させられるとアームが左に伸展し、互いに近づくように逆に移動させられるとアームは左から格納されるように伝達機構が構成されてもよい。プラテンは、アーム22Aが右へ伸展/右から格納されるように、リニアモータによって適切に動作させられてもよい。リニアモータを使用したスライドレールに亘ったプラテンの移動の制御、及び、プラテン及びカート並びにアームの伸展/格納位置の位置検出は、国際公開公報第WO99/23504号、99/33691号、01/02211号、01/38124号、及び01/71684によってなされ、これらは全体を参照することによって本明細書に包含されている。理解されるように、プラテンは、搬送チャンバの内部の長手方向にカート/装置全体を移動させるために、1つの方向に一体的に駆動されてもよい。
【0014】
図3は、全体として装置10と同様の他の実施例の処理装置10′を示している。この実施形態において、搬送チャンバ18′は、2つの搬送装置122A、122Bを有している。搬送装置122A、122Bは、上述の実施例の装置22と実質的に同一である。搬送装置122A、122Bの両方は、上述のように、長手方向スライドレールの共通セットによって支持されていてもよい。各々の装置に対応しているカートのプラテンは、同一のリニアモータ駆動装置によって駆動されてもよい。リニアモータの異なった駆動ゾーンが各々のカート上の個別のプラテンの独立した駆動を可能にするので、個別のカート122A、122Bの各々の独立駆動も可能にされる。従って、理解されるように、各々の装置のアームは、上述の態様と同様の態様にて、リニアモータを使用して独立的に伸展/格納されることが可能である。しかし、この場合、基板搬送装置122A、122Bは、分離したスライドシステムが使用されない限り、搬送チャンバ内で互いにすれ違うことができない。従って、搬送装置が互いに干渉することを回避する順序で処理モジュールにおいて処理されるように基板が搬送され得るよう、処理モジュールが搬送チャンバの長さに沿って配される。例えば、コーティングのための処理モジュールが加熱モジュールの前に配されてもよく、冷却モジュール及びエッチングモジュールが最後に配されてもよい。
【0015】
しかし、搬送チャンバ18′は、2つの搬送装置が互いにすれ違うことを可能にする他の搬送ゾーン18A、18B(サイドレール、バイパスレール、またはレールを必要としない磁気的に支持されるゾーンと同種のもの)を有してもよい。この場合、他の搬送ゾーンは、処理モジュールが配されている水平面(1または複数)の上または下に配されてもよい。この実施例において、搬送装置は、搬送装置の各々に対する2つのスライドレールを有している。一方のスライドレールが搬送チャンバの床部または側壁に配されていてもよく、他方のスライドレールがチャンバの天井部に配されていてもよい。代替実施例において、カートを駆動すると同時に支持するリニア駆動システムが使用されてもよく、カートは、水平方向及び垂直方向に独立的に移動可能であり、互いに独立してすれ違うかまたは基板を搬送することが可能にされる。電気巻線を使用する全ての実施例において、これらの巻線は、例えば、水蒸気を除去する場合のようにガス抜きのためにチャンバが加熱されることが必要な場合、抵抗ヒータとして使用されてもよい。この場合、搬送装置の各々は、専用の駆動モータ、または上述と同様にカートが存在する専用の駆動ゾーンによって駆動されてもよい。
【0016】
図6及び図7を参照すると、他の実施例による他の基板処理装置が示されている。図6及び図7に見られるように、これらの実施例の搬送チャンバは、追加の処理モジュールが提供されるように伸長させられる。図6に示されている装置は、搬送チャンバに接続された12個の処理モジュールを有しており、図7(2つの装置が示されている)に示されている装置の各々は、搬送チャンバに接続されている24の処理モジュールを有する。これらの実施例に示されている処理モジュールの数は単なる例示であり、装置は、上述のように、任意の他の数の処理モジュールを有していてもよい。これらの実施例の処理モジュールは、上述の配置と同様の直交配置にて搬送チャンバの側面に沿って配されている。しかし、この場合の処理モジュールの列の数は、大きく増加させられている(例えば、図6の装置においては6列、図7の装置の各々においては12列)。図6の実施例においては、EFEMが除去され、ロードポートは、ロードロックに直接結合されていてもよい。図6及び7の装置の搬送チャンバは、複数の搬送装置を有して(すなわち、図6の場合では3つの装置、図7の場合では6つの装置)、ロードロックと処理チャンバとの間で基板をハンドルしている。示されている搬送装置の数は、単に例示であり、さらに多いかまたはさらに少ない装置が使用されてもよい。これらの実施例の搬送装置は、上述の装置と全体として同様であり、アーム及びカートを含んでいる。しかし、この場合、カートは、搬送チャンバの側壁のゾーン分けされたリニアモータ駆動装置によって支持されている。この場合のリニアモータ駆動装置は、2つの直交軸内(すなわち、搬送チャンバの長手方向かつ搬送チャンバの垂直方向)のカートの並進移動を提供する。従って、搬送装置は、搬送チャンバ内で互いに通り過ぎることが可能である。搬送チャンバは、処理モジュールの平面(1または複数)の上及び/または下にある「通過」または搬送領域を有していてもよく、当該領域を用いて、搬送装置は、静止した搬送装置(すなわち、処理モジュール内で基板を取り上げ/解放している搬送装置)または逆方向に移動している搬送装置を避けるような経路を通されてもよい。理解されるように、基板搬送装置は、複数の基板搬送装置の移動を制御するコントローラを有する。
【0017】
引き続き図7を参照すると、この場合、基板処理装置18A及び18Bは、ツール300に直接結合されていてもよい。
【0018】
図3、5及び6−7から理解されるように、搬送チャンバ18は、処理設備全体を移動する要求の通りに伸張させられていてもよい。図7に見られかつ以下にさらに詳細に説明されるように、搬送チャンバは、処理設備P内の保管室、リソグラフィツール、金属付着ツール、または任意の他の適切なツールベイ等の様々なセクションまたはベイ18A、18Bに接続かつ連通させられていてもよい。搬送チャンバ18によって相互に接続されているベイは、処理ベイとしてまたは処理装置18A、18Bとして構成されていてもよい。ベイの各々は、所望のツールを有し、半導体ワークピースにおいて製造処理をなす所望のツール(例えば、リソグラフィツール、金属付着ツール、加熱ツール、洗浄ツール)を有する。どの場合においても、搬送チャンバ18は、上述のように、搬送チャンバ18に連通結合されている製造ベイ内の様々なツールに対応する処理モジュールを有し、チャンバと処理モジュールとの間での半導体ワークピースの搬送を可能にする。従って、搬送チャンバは、搬送チャンバに接続されている様々な処理モジュールの環境に対応する、大気、真空、超高真空、不活性ガス、または任意の他の条件等の異なった環境条件を、その長さに亘って内包し得る。従って、所定の処理装置もしくはベイ18A、18B内またはベイの一部内のチャンバのセクション18P1が、例えば、1つの環境条件(例えば、大気環境)を有してもよく、チャンバの他のセクション18P2、18P3が、異なった環境条件を有してもよい。上述のように、異なった環境を内包しているチャンバのセクション18P1、18P2、18P3は、設備の異なったベイの中にあってもよく、全てが設備の1つのベイの中にあってもよい。図7は、異なった環境を有する3つのセクション18P1、18P2、18P3を有するチャンバ18を、例示のみの目的で示している。この実施例において、チャンバ18は、所望数の異なった環境を有する所望数のセクションを有していてもよい。
【0019】
図7に見られるように、装置122Aと同様の、チャンバ18内の搬送装置は、異なった環境を包含しているチャンバのセクション18P1、18P2、18P3の間を移動可能である。従って、図7から理解されるように、搬送装置122Aは、処理設備の1つのプロセスまたはベイ18A内のツールから、処理設備の他のプロセスまたはベイ18B内の異なった環境を有する他のツールまで半導体ワークピースを、ワンピック(one pick)で移送する。例えば、搬送装置122Aは、搬送チャンバ18のセクション18P1内の大気環境モジュール、リソグラフィ、エッチングまたは任意の他の所望の処理モジュールでもよい処理モジュール301内で基板を取り上げてもよい。その後、搬送装置122Aは、図7の矢印X3によって示された方向に、チャンバのセクション18P1からセクション18P3まで移動してもよい。セクション18P3において、搬送装置122Aは、任意の所望の処理モジュールあってもよい処理モジュール302内に基板を配置してもよい。
【0020】
図7から理解されるように、搬送チャンバはモジュール式であり、チャンバモジュールは、要求に応じて接続されてチャンバ18が形成される。モジュールは、図2の壁18B、18Fと同様の内部壁18Iを含んで、チャンバのセクション18P1、18P2、18P3、18P4を分離してもよい。内部壁18Iは、スロットバルブ、または任意の他の適切なバルブであって、チャンバの1つのセクション18P1、18P4が1または複数の隣接しているセクションと連通することを可能にするバルブを含んでもよい。スロットバルブ18Vは、1または複数のカートがバルブを通過して一方のセクション18P1、18P4から他方のセクションに移動可能であるようにサイズ決めされてもよい。このようにして、カート122Aは、チャンバ18全体の任意の位置に移動してもよい。バルブが閉じられてチャンバのセクション18P1、18P2、18P3、18P4が隔離されてもよいので、異なったセクションは、上述の様に異なった環境を包含してもよい。さらに、チャンバモジュールの内部壁は、図7に示されているようにロードロック18P4を形成するように配されてもよい。ロードロック18P4(例示のために図7に1つだけ示されている)は、要求通りにチャンバ18内に配されてもよく、その中に任意の所望の数のカート122Aを保持してもよい。
【0021】
図7に示されている実施例において、処理装置18A及び18Bは、エッチング等の同一の処理装置であってもよく、処置装置18A及び18Bは、ストッカーであるツール300と組み合わせて、AMHSを介してストッカーから個別の処理ツールまでFOUPを搬送すること及びEFEMを介して処理ツールの各々に個別のウェハを搬送することに関連する材料ハンドリングオーバーヘッド(material handling overhead)無しに、同数の基板を処理可能である。代わりに、ストッカー内にあるロボットがFOUPを直接ロードポート(ツール毎に3つ示されているが、スループット要求に応じてさらに多くのまたはさらに少ないロードポートが提供されてもよい)に搬送する。ここで、ウェハは、所望の処理及び/またはスループット要求に応じてロック内に移動されて、それらの処理モジュール(1または複数)の各々に送り出されるバッチである。この態様にて、定常状態様式で、図7の装置及び図9の装置は同一のスループットを有するが、図7の装置は、より低いコスト、より小さな設置面積、より少ないWIP(処理中の作業)要求(従って、より少ないインベントリ(inventory))及び(単一のキャリアロット(すなわち「ホットロット」)を処理するための時間をみた場合の)より迅速なターンアラウンド(turnaround)で同一のスループットを有し、設備のオペレータに著しい利益をもたらす。ツール18A及び18Bまたはストッカー300は、要求に応じて、計量機能、ソート機能、材料識別機能、テスト機能、検査機能(箱を置く・・・(put boxes..))等をさらに有して、基板を効果的に処理及びテストしてもよい。
【0022】
図7に示されている実施例において、より多いかまたはより少ない処理装置18A及び18Bが提供されてもよく、これらは、エッチング、CMP、銅付着、PVD、CVD等の異なった処理装置であり、ここで、処置装置18A、18B等は、フォトリソグラフィセル等であるツール300と組み合わせられて、AMHSを介してFOUPをストッカーから個別の処理ツールベイ及びリソグラフィベイに搬送すること及びEFEMを介して個別のウェハを処理ツールの各々に搬送することに関連する材料ハンドリングオーバーヘッドなしに、図9に示されている例示の複数の装置と同数の基板を処理可能である。代わりに、リソグラフィセル内の自動化は、FOUP、基板または材料をロードポート(処理タイプ毎に3つ示されているが、スループット要求に応じてさらに多くまたはさらに少ないロードポートが提供され得る)に直接搬送し、ここで、基板は、所望のプロセス及び/または要求されたスループットに応じた処理の各々に送られる。このような代替例は、図7Aに示されている。この態様にて、図7の装置は、より少ないコスト、より小さい設置面積、より少ないWIP要求(従って、より少ないインベントリ(inventory))、(単一のキャリアロット(すなわち「ホットロット」)を処理するための時間をみた場合の)より迅速なターンアラウンド(turnaround)、及びより高い汚染防止度を有し、設備のオペレータに著しい利益をもたらす。ツール18A、18Bまたはツールもしくはセル300は、計量機能、ソート機能、材料識別機能、テスト機能、検査機能(箱を置く・・・(put boxes..))等を要求に応じてさらに有して、基板を効果的に処理しかつテストしてもよい。図7から理解されるように、処理装置18A、18B、及びツール300は、共通のコントローラ環境(例えば、不活性雰囲気、または真空)を共有するように組み合わせられてもよい。このことは、基板がツール300から及び装置18A、18B内の処理全体に亘って1つの制御された環境内にとどまることを保証する。このことは、図8に示されている従来の装置構成におけるような、FOUPの特別な環境制御の使用を除外する。
【0023】
ここで図7Aを参照すると、図7に示されている実施例の特徴を含む、例示の製造設備レイアウト601が示されている。カート22A、122Aと同様のカート406は、基板またはウェハを、生産設備内の処理ステップを通して、搬送チャンバ602、604、606、608、610、612、614、616、618、620、624、626の中を通り抜けて搬送する。処理ステップは、エピタキシャルシリコン630、誘電体堆積632、フォトリソグラフィ634、エッチング636、イオン注入638、急速熱処理640、計量642、誘電体堆積644、エッチング646、金属付着648、電気メッキ650、化学機械研磨652を含んでもよい。代替実施例において、さらに多いかまたはさらに少ない処理(エッチング、金属付着、加熱及び冷却等)が、同一のシーケンス内に含まれるかまたは組み合わされてもよい。上述のように、カート406が同一のモジュールにおいて処理後のウェハを取り上げて未処理のウェハを配置する場合におけるように、カート406は、単一のウェハまたは複数のウェハを担持可能であってもよく、搬送能力を有していてもよい。カート406は、直接的なツール間搬送、ベイ間搬送、または処理装置間搬送のために、隔離バルブ654を通り抜けて移動可能であってもよい。バルブ654は、所定のバルブ654の両側の圧力差、ガス種の差異に応じて、封止バルブまたは単純なコンダクタンスバルブであってもよい。この態様にて、ウェハまたは基板は、1つの処理ステップから次の処理ステップに、単一のハンドリングステップまたは「ワンタッチ」で搬送されてもよい。結果として、ハンドリングの故の汚染が最小化される。このような圧力またはガス類の相違の例は、一方が清浄な空気で他方が窒素、一方が粗真空であり他方が高真空、または一方が真空であり他方が窒素、等である。図7のチャンバ18P4と同様のロードロック656は、一方の環境と他方の環境との間、例えば、真空と窒素またはアルゴンとの間、の移送のために使用される。代替実施例において、他の圧力またはガス種が、様々な組み合わせで提供される。ロードロック656は、単一のキャリアまたは複数のキャリアの移送が可能であってよい。代替的に、カートがバルブを通過することが望まれていない場合、基板(1または複数)は、シェルフ上のロードロック656内へ搬送されてもよいかまたは別の方法がとられてもよい。アラインメントモジュール、計量モジュール、洗浄モジュール、処理モジュール(エッチング、付着、研磨等)、熱調整モジュール他のような追加の機構658は、ロック656または搬送チャンバ内に組み込まれていてもよい。サービスポート660は、ツールからカートまたはウェハを除去するために提供されてもよい。ウェハまたはキャリアストッカー662、664は、ウェハを保存並びにバッファ処理及び/またはテストするために提供されてもよい。代替実施例において、カートがリソグラフィツールに直行する等の場合、ストッカー662、664は提供されなくともよい。他の例は、インデクサまたはウェハ保管モジュール666がツールセット上に提供される場合である。再循環ユニット668は、ツールセクション等の所定のセクションにおいて、空気またはガスを循環及び/または濾過するために提供されてもよい。再循環ユニット668は、ガスパージ(gas purge)、粒子フィルタ、化学フィルタ、温度制御部、湿度制御部、または他の機構を有して、処理されるガスを調整してもよい。所定のツールセクションにおいて、さらに多くのまたはさらに少ない循環及び/もしくはフィルタユニット、または調整ユニットが提供される。隔離ステージ670は、異なった処理またはツールセクションからカート及び/またはウェハを隔離するために提供され、カート及びまたはウェハは二次汚染され得ない。ロックまたは相互接続部672は、カートがジェネリックなワークスペース(generic workspace)内で、方位変更することなく取り上げまたは配置をしてもよい場合、カートの方位または方向を変更するために提供されてもよい。代替実施例または代替方法において、処理シーケンスまたは構成の任意の適切な組み合わせが提供され得る。
【0024】
図10を参照すると、1つの実施例による例示の単一軸プラテンドライブシステム320の端面図が示されている。駆動システム320は、図2、3及び7−7Aに示されている搬送装置またはカート22A、122A、406を駆動するために適切な駆動部の一例である。システム320は、プラテン324を駆動する固定巻線セットを有する。プラテン324は、レール328上をスライド可能なスライドブロック326上に支持されていてもよい。レール328は、搬送チャンバのベース330または側壁に結合されている。ベース330は、巻線322とプラテン324との間のバリア332を提供する。理解されるように、バリア332は、チャンバの内部環境から巻線322を隔離してもよい。巻線322は、ベース330に結合されている。プラテン324は、プラテン324と巻線322とを相互作用させるために、プラテン324に結合されているマグネット334を有してもよい。センサ336は、磁歪式ホール効果センサ(magneto-restrictive type hall effect sensor)であってもよく、プラテン324内のマグネットの存在を検出しかつ適切なコミュテーション(commutation)を判定するために提供されてもよい。さらに、センサ336は、プラテン324の精度の高い位置判定のために使用されてもよい。位置フィードバッグデバイス340は、正確な位置フィードバックのために提供されてもよい。デバイス340は、例えば、誘導式または光学式でもよい。例えば誘導式の場合、励磁源342が提供されてもよく、励磁源342は、巻線またはパターン346を励磁し、パターン346間のカップリングを介してレシーバ344と誘導的に元通りに結合する。相対位相及び増幅の関係は、プラテン324の位置の判定に使用されてもよい。IRタグ等のカート識別タグ347は、ステーションによってカートidが判定されるように適切なステーションに提供されるリーダ348と共に提供されてもよい。
【0025】
ここで図11Aを参照すると、他の実施例によるプラテン駆動システム400の端面図が示されている。図11Bも参照すると、図11Aの11B−11B線に沿った駆動システム400の断面図が示されている。以下にさらに説明されるように、システム400は、プラテンまたはカート406の移動に影響を与えることが可能である(カート406は、上述のカートまたは搬送装置22、122Aと同様であってもよい)。システム400は、対向する固定巻線セット402、404を有し、当該固定巻線セットがカート406を駆動する。巻線セット402、404は、二次元駆動アレイ(垂直方向408及び水平方向410)で巻かれている。代替実施例において、システム400をシステム400に対して90°傾いている他の同様のシステムに結合することによって、追加のアレイが異なった方向で、例えば427、駆動カート406に提供され得る。このアレイは、複数のカートが独立して駆動可能なように、複数のゾーンにおいて駆動される。例として、ゾーン424が供給ゾーンであり得、ゾーン426が搬送ゾーンであり得、ゾーン428が返却ゾーンであり得る。ゾーンの各々にはサブゾーンがあり得、サブゾーンは、ゾーンの各々内で複数のカートを駆動可能にする。代替実施例において、さらに多くのまたはさらに少ないゾーンまたはサブゾーンが、任意の多数の組み合わせにて提供されてもよい。カート406は、巻線セット402、404によって生成された磁界によって支持され、巻線セット402と406との間の磁界をバイアスすることによって非接触の態様で位置決めされることが可能である。チャンバ412は、巻線セット402、404とカート406との間のバリア414として提供されてもよい。示されているように、巻線はゾーン416内に存在する。カート406は、巻線を有するプラテン418、420を有していてもよい。代替実施例において、さらに多くのまたはさらに少ないプラテンが提供されてもよい。センサのアレイは、プラテンまたはカート内のマグネットの存在を検出するために提供されてもよい、すなわち、プラテンに提供されて、適切なコミュテーション及び位置が判定されかつプラテン及びカートの高精度な位置判定がなされる。カート識別タグは、ステーションによってカートidを判定するために、適切なステーションにおいて提供されるリーダと共に提供されてもよい。
【0026】
図12を参照すると、装置の他の実施例による処理装置10のための例示のカート229の上面図が示されている。カート229は、上述されかつ図2、3及び7−7Aに示されている搬送装置22またはカート122A、406と同様であってもよい。カート229は、軸方向経路150及び/またはラジアル経路152に沿って基板148を搬送可能であるとして示されている。カート229は、図12に示されている経路154に沿って基板を移動することも可能である。カート229は、単純化のために二次元システムとして示されているが、代替実施例においては、例えば、z動作(図示せず。紙面の内外にある。)または角度動作154等の追加の動作軸が提供され得る。カート229は、単純化のために単一の基板148をハンドリング可能であるとして示されている。しかし、代替実施例において、追加のハンドリング機能が提供され得る。例えば、カートは、基板が処理モジュールにおいて交換される(すなわち、第1の処理済み基板が取り上げられ、その後、第2の未処理基板が同一のカート229から同一の処理モジュールに配置される)ことが望まれる場合、第2の基板をハンドリングする機能を含んでいてもよい。
【0027】
カート229は、フレーム156、エンドエフェクタ158及び第2のフレーム160を有している。スライド162は、フレーム156、エンドエフェクタ158、及び第2のフレーム160を拘束し、図示されているように、エンドエフェクタ158、及び第2のフレーム160は、フレーム156の左へまたは右へ直線経路152に沿って互いに相対的にスライド可能である。直線機構が示されているが、代替実施例において、任意の適切なアームシステム、例えば、図17に示されて以下にさらに詳細に説明されるフレーム156に結合されたスカラタイプアーム、が使用されてもよい。基板147は、エンドエフェクタ158上に支持される。
【0028】
ここで図12Aを参照すると、チャンバ(チャンバ18及び602−626(図2−3及び7−7A参照)と同様)の一部内の例示のカート229の上面図が示されている。カートは、例示のモジュール166内に伸展させられているエンドエフェクタ158を有する。モジュール166は、搬送チャンバに接続されているとして上述されたモジュールと同様であってもよい。カート229は、軸方向経路150及び/またはラジアル経路152に沿って基板148を搬送可能であるとして示されている。カート229は、フレーム156、エンドエフェクタ158及び第2のフレーム160を有する。スライド162は、フレーム156、エンドエフェクタ158、及び第2のフレーム160を拘束し、図示されているように、エンドエフェクタ158、及び第2のフレーム160は、フレーム156の左へまたは右へ直線経路152に沿って互いに相対的にスライド可能である。フレーム156は、その下面に、シンクロナスモータ170と相互作用する磁力プラテン168を有する。駆動プラテン172は、シンクロナスモータと相互作用する。駆動プラテン172は、フレーム156の下面に設けられ、ベアリング178を使用することによって、方向150と実質的に平行な方向176に沿ってフレーム156に対してスライド可能である。方向150にそったプラテン168及び172の同時動作は、カートが、方向152における動作無しに方向150における移動することを可能とする。フレーム156に対して方向176に沿ってプラテン172を移動させている際に、同時にプラテン168を固定することは、基板及びエンドエフェクタ148、158の方向152に沿ったラジアル動作を生起する。
【0029】
方向176におけるプラテン172の直線動作は、第2のフレームの方向152に沿った直線動作に変換される。プーリ186は、フレーム156に回転自在に結合されており、プーリ188及び182を有する。プーリ182は、バンド184を用いてプラテン172に結合されているので、方向180に沿ったプラテン172の移動は、プーリ182を方向190に回転させ、逆方向の移動は逆方向の回転をもたらす。プーリ192及び194は、フレーム156に回転自在に結合されている。ケーブル196は、位置198においてプーリ188と結合されており、図示されているようにプーリ192の周りに巻き付けられ、かつ第2のフレーム上の200において終端している。ケーブル202は、位置198においてプーリ188に結合されており、プーリ188の周りに反時計回りに巻き付けられており、図示されているようにプーリ194の周りに巻き付けられており、かつ第2のフレーム160上の204において終端している。この態様にて、方向176におけるプラテン172の直線動作が、方向152に沿った第2のフレーム160の直線動作に変換される。
【0030】
方向176におけるプラテン172の直線動作及び方向152に沿った第2のフレーム160の変換された直線動作は、図示されているように、エンドエフェクタ158を方向152においてさらに伸展させる。プーリ210及び212は、第2のフレーム160に回転自在に結合されている。ケーブル214は、位置216においてエンドエフェクタ158に結合され、図示されているようにプーリ210の周りに巻き付けられ、かつフレーム156上の218において終端している。ケーブル220は、位置222においてエンドエフェクタ158に結合され、プーリ212の周りに巻き付けられ、かつフレーム156の224において終端している。この態様にて、方向176におけるプラテン172の直線動作は、方向152に沿った第2のフレーム160の直線動作に変換され、この動作が、図示されているように、方向152におけるエンドエフェクタ158のさらなる伸展にさらに変換される。ケーブルプーリの代わりに、プラテンとエンドエフェクタとの間の伝達機構は、任意の適切な材料によって形成されたベルト、バンドまたは任意の他の適切な伝達手段を使用してもよい。代替実施例において、適切なリンケージシステムがケーブルプーリの代わりに使用されて、プラテンからエンドエフェクタに動作が伝達されてもよい。図12に実質的に示されている位置へのエンドエフェクタ158の格納は、同様であるが逆方向の態様にてなされる。さらに、図12Bに示されている位置と反対方向の同様の位置へのエンドエフェクタ158の伸展は、プラテン168、172を、上述の移動と反対の態様で移動することによってなされる。
【0031】
図12Bを参照すると、例示の処理モジュール内に伸展させられる前のカート229の端面図が示されている。スライド240は、フレーム156を拘束して、図示されているように直線経路150に沿ってスライド可能にしている。フレーム156は、シンクロナスモータ170と相互作用する磁力プラテン168をフレーム156の下面に有する。駆動プラテン172は、シンクロナスモータ174と相互作用する。駆動プラテン172は、フレーム156の下面に設けられ、矢印150によって示されている方向(図12参照)と実質的に平行な方向に沿って、フレーム156に対してスライド可能である。方向150に沿ったプラテン168及び172の同時移動は、カートに、方向152における動作無しに、矢印150によって示される方向における移動を可能にさせる。プラテン168を固定し、それと同時にプラテン172を方向176に沿ってフレーム156に対して移動させることは、基板及びエンドエフェクタ148、158の、方向152に沿ったラジアル動作をもたらす。プラテン172及び168は、モータ170及び174と相互作用するマグネットであってもよい。チャンバ244は、非磁性ステンレス鋼等の非磁性材料で形成され、モータ巻線とプラテンの各々との間のバリア246、248をもたらしてもよい。代替実施例において、さらに多くのまたはさらに少ないリニア駆動部またはカートが提供されてもよい。例えば、追加の駆動ゾーンを有する単一の駆動モータが提供されてもよく、この場合、プラテン168及び172は、同一の駆動モータと相互作用するが、異なったゾーンによって独立して駆動可能である。さらなる例として、追加のカートは、チャンバの床部250内、スロット開口部の上にあるか、スロット開口部と並んでいるかもしくはスロット開口部の下にある壁部252、254内、またはカバー256内に設けられている別の駆動システムによって駆動されてもよい。
【0032】
図13Aを参照すると、装置10のチャンバ716の一部、及び当該装置と共に使用され得る例示のカート700を有する例示の駆動システム701の上面図が示されている。チャンバ716は、装置のチャンバ18またはチャンバ602−624(図2−3、及び図7−7A参照)の他の代表的な部分である。カート700は、軸方向経路704及び/もしくはラジアル経路706に沿って、またはZ動作(図示せず。紙面の内外にある。)において基板702A、702Bを搬送可能として示されている。代替実施例において、角度動作が提供され得る。代替実施例において、さらに多くのまたはさらに少ない基板のハンドリングが提供され得る。カート700は、搬送機構724A及び724Bを有し、この搬送機構は直線機構であり得、スカラタイプアーム等の任意の適切なアームシステムが使用されてもよい。代替実施例においては、アームが提供されなくともよい。搬送機構724A及び724Bは、図12Aに示されているのと同様の態様にて、上述の処理モジュールまたは他のモジュール内に伸展してもよい。カート700は、その側部にプラテン722、720、710及び712を有し、これらのプラテンは、搬送チャンバ716の壁部内にあるシンクロナスモータと相互作用する。駆動プラテン712は、カート700の側部に設けられ、方向704に沿ってカート700に対してスライド可能である。プラテン712は、機構724Aを駆動し、方向704(場所712Aから712Bへの方向、図13A参照)に沿ったカート700に対するプラテン712の移動は、機構724Aが、スロット718A及び718Bを介して場所708Aと708Bとの間で基板702Aを搬送することを可能にする。同様に、駆動プラテン710は、カート700の側部に設けられ、方向704に沿ってカート700に対してスライド可能である。プラテン710は、機構724Bを駆動し、方向704(場所710Aから710Bへの方向、図13A参照)に沿ったカート700に対するプラテン710の移動は、機構724Bが、スロット718A及び718Bを介して場所708Aと708Bとの間で基板702Bを搬送することを可能にする。プラテン722、720は、カート700に対して固定されている。プラテン720、722を固定して維持し、それと同時に方向704に沿ってプラテン712を移動することは、方向706に沿ったラジアル搬送動作をもたらす。プラテン720、722を固定して維持し、それと同時に方向704に沿ってプラテン710を移動することは、方向706に沿った別個のラジアル搬送動作をもたらす。方向704に沿ってプラテン720、722、710及び712を移動することは、カート700を方向704に沿って移動させ、例えば、カート700が処理場所から処理場所までバルブ714を通り抜けるように移動することを可能にする。
【0033】
ここで図13Bを参照すると、例示の駆動システム701及びカート700の、図13Aの13B−13B線に沿った断面図が示されている。図13Cも参照すると、図13Bの例示の駆動システム701の他の側断面図が示されている.システム701は、カート700を駆動する、対向している固定巻線セット727、729を有している。巻線セット727、729は、垂直方向705及び横方向704等の一次元及び二次元駆動アレイの組み合わせで巻かれている。駆動アレイは、一次元または二次元アレイのリニアモータまたはリニアステッピングモータであってもよい。このような駆動アレイは、米国特許第4,958,115号、第5,126,648号、第4,555,650号、第3,376,578号、第3,857,078号、第4,823,062号に記載され、これらは全体を参照することによって本明細書に包含されている。代替実施例において、組み合わせられた二次元巻線セットは、二次元マグネットまたはパターンを有しているプラテンと共に使用され得る。他の代替実施例において、他のタイプの一次元または二次元駆動システムが使用され得る。代替実施例において、追加のアレイが提供されて、例えば、システム701に、システム701から90°傾けられた他の同様のシステムを結合させることで、異なった方向にカート700が駆動され得る。これらのアレイは、複数のゾーンにおいて駆動され、複数のカートが独立して駆動されることが可能にされる。1つの例として、ゾーン685が供給ゾーン、ゾーン683が搬送ゾーン、ゾーン681が折り返しゾーンになり得る。各々ゾーン内には、ゾーンの各々内で複数のカートを駆動可能にするサブゾーンがあってもよい。代替実施例において、さらに多くのまたはさらに少ないゾーンまたはサブゾーンが、多くの組み合わせのうちの任意の組み合わせで提供されてもよい。カート700は、巻線のセット727、729によって生成された磁界によって支持され、巻線のセット727と729との間の磁界をバイアスすることで、浮揚非接触態様で位置決め可能である。図13Cは、図13Dに示されているシステムによって駆動されて浮揚カート700に使用され得る1つの可能な巻線の組み合わせを示している(図14Aを参照して以下でさらに説明される例として、または複数軸のアクティブな浮揚の例として)。一次元巻線セットが、巻線ゾーン732A−C、730A−C、734A−C、742A−B、及び740A−B内に設けられる。二次元巻線セットは、巻線ゾーン736A−E及び738A−C内に設けられる。代替実施例において、巻線セットの適切な組み合わせが提供されるか、または完全な2−Dアレイもしくは別のものが提供され得る。カート700は、プラテン720及び710を有し、これらは、プラテン720のためのアレイ738B及びプラテン710のためのアレイ736B,C及びDと組み合わせて使用されてもよい。方向704においてプラテン710を移動させ(図13A参照)、プラテン720を固定保持することによって、ウェハがスロット718Aを介してラジアル方向に移動させられてもよい。710及び720を同時に方向705において移動する(図13B参照)ことによって、ウェハが取り上げられるかまたは配置されてもよい。ゾーン間の巻線のコミュテーション及び巻線のスイッチングを調整(coordinate)することによって、カート700が、異なった巻線及び駆動ゾーンを通って垂直方向に及び/または横方向に選択的に移動させられてもよい。チャンバ716は、巻線のセット727、729とカート700との間のバリアとして提供されてもよい。代替実施例においては、巻線のセット727、729が、清浄空気環境または窒素環境等の環境である筐体716の内部にある等の場合は、バリアの必要が無い。代替実施例において、さらに多くのまたはさらに少ないプラテンまたは巻線が提供されてもよい。センサ746、747、748のアレイは、プラテン内のマグネット、またはプラテンもしくはカート(1または複数)の存在を検出して、適切なコミュテーション及び位置を判定しかつプラテン及びカートの高精度な位置判定をするか、またはプラテンと巻線との間のギャップ等の位置を判定するために提供されてもよい。上述のカート識別タグが適切なステーションに設けられるリーダと共に提供されて、ステーションによってカートのidが判定されてもよい。
【0034】
ここで、図14Aを参照すると、さらに他の実施例による他の例示のカート760の端面図が示されおり、このカート760は、単一軸リニアモータ巻線セット762、764によって生成される磁界によって支持されている。例示のカート760は、非接触態様で、巻線セット762と764との間の磁界のバイアス手段776によって位置決め可能である。位置センサ766、768が、バイアス手段776と閉ループを形成するように提供され、カート760が浮揚させられる。図14Bに示されているように、Z方向においてカートが受動的に安定化させられる場合、浮揚はこの単純な態様にて実現させられてもよい。カート760は、その側部に磁性プラテン772及び774を有し、磁性プラテン772及び774は、巻線セット762、764と相互作用するマグネットを有しているか、または磁性材料もしくは導電性材料から形成されていてもよい。代替実施例において、さらに多くのまたはさらに少ないプラテンが提供されて、アームが駆動される等してもよい。チャンバ770(図2−3及び7−7Aにみられる装置のチャンバ18、602―624の典型的な部分と同様である)は、非磁性ステンレス鋼等の非磁性材料から形成されていてもよく、上述のように、モータ巻線及びそれらのプラテンの各々との間のバリアをもたらしてもよい。代替実施例において、さらに多くのまたはさらに少ないリニア駆動部またはカートが提供されてもよい。例えば、追加の駆動ゾーンを有する駆動モータが提供されてもよく、当該追加の駆動ゾーンにおいて、プラテンが同一の駆動モータと相互作用するが、異なったゾーンによって独立して駆動可能であってもよい。他の例として、カートは、チャンバの床部内、スロット開口部の上にあるか、スロット開口部と並んでいるか、もしくはスロット開口部の下にある壁部内、またはチャンバのカバー内の異なった駆動システムによって駆動され得る。
【0035】
図14Bにおいて、受動的復元力Fとカート760の所望に位置からの軸偏位との間の関係がグラフで示されている。受動的復元力は、通常は、カート760の一部、巻線セット762、764等としての強磁性材料の存在に起因する。正の軸方向または負の軸方向(z方向)の各々において、受動的復元力は、最初に、最大偏位ZMAXまたは−ZMAXの各々に至るまで、値FMAXまたは−FMAXまで力の大きさが増加し、これらの偏位を超えると減少する。従って、(カート重量、または同一のプラテンまたは他のプラテンを駆動する他の巻線セット他からの外力等)FMAXを上回る偏位力がカート760に加えられる場合、カートは巻線セット762、764から逃れ得る。そうでない場合、カート760は、磁界が与えられる限り磁界内に留まる。参考文献の米国特許(これらは参照することによって全体が本明細書に包含されている)第6,485,531号、6,559,567号、6,386,505号、6,351,048号、6,355,998号に記載されている回転デバイスに関するこの原理が、本明細書に記載されている装置の駆動システム700に直線態様にて適用されて、例示のカート760が浮揚させられる。代替実施例において、他の駆動システムまたは浮揚システムが使用されてもよい。
【0036】
図13Dを再度参照すると、図13Aのカート/プラテン駆動システム701と共に使用するのに適した例示の巻線駆動システム790の図が示されている。巻線駆動システム790は、巻線792、マルチプレクサ793、増幅モジュール794を有している。巻線792は、巻線、並びに/またはホールセンサ、位置センサ、誘導センサ、キャリア識別センサ、状態及び障害検知ロジック及び回路他等のセンサを有していてもよい。増幅モジュール794は、単相または多相増幅器、位置及び/または存在センサ入力または出力、CPU及び/またはメモリ、ID(identification)リーダ入力または出力、状態及び障害検知ロジック及び回路他を有していてもよい。増幅モジュール794は、巻線792に直接接続されているかまたはマルチプレクサユニット793を介していてもよい。マルチプレクサユニット793を使用する場合、増幅器Al−Amは、任意の巻線w1−Wnに選択的に接続されていてもよい。CPUは、この選択的接続を調整し、デバイスの状態を監視する。この態様にて、CPUは、ツールをシャットダウンすることなく、増幅モジュールまたは巻線を、サービスに対して選択的にオフラインにしてもよい。
【0037】
上記のように、搬送チャンバ18、602−624(例えば、図2−3、及び7−7A参照)内で使用するのに適した搬送装置またはカートは、カートと装置内の所望の場所との間で半導体ワークピースを搬送するための搬送アームを有するかまたは有しないカートを含んでもよい。図12及び13は、上述のように、装置内で半導体ワークピースをハンドリングする搬送アームを有する搬送カート229、700の2つの実施例を各々示している。前もって図22及び23を参照すると、装置10のチャンバ内で使用するのに適した搬送カート機構1557の他の実施例が示されている。カート1557は、ベースセクションまたはベースプレート1558、及びベースプレートに設けられた搬送アーム1577を含んでいてもよい。図22に示されているように、カート機構ベースプレート1558は、プレートの互いに反対にある側部に2つの結合マグネットアレイ有するが、2つの側部はプレートの互いに反対にある角部に限定されない。ロボットベースプレート1558の互いに反対にある角部において、2つの追加のマグネットアレイ1502がリニアベアリングキャリッジ1560に結合され、マグネットアレイ1502は、リニアベアリングレール1562上をスライドするように形成されている。これらのリニアベアリングレール1562は、ベースプレート1558に結合されている。駆動ベルト1564または直線動作を回転動作に変換する他の手段は、リニアベアリングキャリッジ1560に取り付けられている。示された場合において、駆動ベルト1564は、アイドルプーリ1566に巻き付けられ、その後プーリテンショナ1568に巻き付けられ、駆動プーリ1570に取り付けられている。マグネットアレイ1504を介してベアリングキャリッジ1560に与えられる直線動作は、駆動プーリ1572の回転運動をもたらす。2段階の自由度の適用の場合において、上述の機構の冗長版がロボットカート機構の互いに反対にある側部に加えられ、専用の回路が駆動プーリ1572に取り付けられる。この組み合わせは、集中的なプーリアセンブリをもたらす。固定マグネットアレイ1502と、組み合わせられたマグネットアレイ1502と、リニアベアリングキャリッジ1560と、の間の相対動作は、搬送アームリンケージを駆動する手段を提供する。ロボットキャリッジを直線搬送する場合において、リニアベアリング/マグネットアレイ 1560/1502、及び結合されたマグネットアレイ/カートベースプレート1502/1558は、固定されたセットとして駆動され、駆動プーリ1570及び1572の回転は見られない。ベースプレート1558の駆動機構は、他の適切な搬送アームリンケージの動作のために使用されてもよい(いくつかの例は、24−24C、25−25Cに示されている)。図23に示されている実施例における搬送アーム1577は、通常の単一のSCARAアーム構成を有している。駆動プーリ1572は、下部リンク1574に結合されており、駆動プーリ1570は、前方アーム駆動プーリ1586に結合させられている。前方アームプーリ1586の回転動作は、駆動ベルト1582及び肘部プーリ1576を介して前方アーム1578と接続されている。リスト肘部プーリ1580が下部リンクアーム1574に固定されている場合、リスト/エンドエフェクタ1584は、結果として生じたリスト肘部プーリ1580に対する前方アーム1578の相対回転動作によって駆動される。通常は、この動作は、プーリ1572及び1570の入力駆動比に対する結合部の各々におけるプーリ比によって達成される。図23A−23Bも参照すると、搬送アームリンケージ1577は、格納された状態及び伸展させられた状態で各々示されている。格納された状態と伸展させられた状態との間の動作は、(上述の態様にて)移動自在なマグネットアレイ1502を要求通りにベースプレートに対して移動させることによってもたらされる。アームリンケージの動作は、搬送チャンバに対して固定されているかまたは移動するカートを用いて行われてもよい。図23A―23Bは、位置決めされた搬送アーム1577を示しており、伸展させられる際、アーム1577はカートの側方1576R(すなわちチャンバ壁部に面しているカートの側部方向)に伸展する。これは、図13Aのカート700の搬送機構724A、Bの伸展/格納と動作と同様である。理解されるように、カート1557上の搬送アーム1577は、(移動自在マグネットアレイを使用して)ユニットとして、カートベースプレートに対する所望の方位に回転軸S(図22参照)周りに回転させられてもよい。例えば、図23A−23Bに示されている方位から約180°回転させられた場合、搬送アーム1577は、図23Bに示されているのと逆の側方1575Lまで伸展させられてもよい。さらに、搬送アームが約90°回転させられて、アームの伸展がチャンバの直線方向に沿うようになされてもよい(図22の矢印15Xによって示されている)。任意の数のリンケージが、このようなカートと共に使用されてもよい。カートと使用されてもよい適切なアームリンケージの他の例は、米国特許第5,180,276号、5,647,724号、5,765,983号、及び6,485,250号に記載されており、これらの文献は、全体が参照されることによって本明細書に包含されている。
【0038】
図24は、カートベースプレート1558′に設けられている2つの回転エンドエフェクタを有するカート機構1557′の他の実施例の立面図である。その他の点について、カート1557′は、上述されかつ図22−23に示されたカート1557と同様である。同様の特徴は、同様に符号付けされている。図24A−24Cは、カートが移動する際のベアリングキャリッジアレイの直線搬送及び組み合わせ相対動作の両方の使用を示している。図22を参照して上述されたように、プーリ1570′及び1572′の回転は、カートのベースプレートに結動されている固定マグネットアレイと相対的に移動するベアリングキャリッジ及びマグネットアレイからもたらされる。組み合わされた場合において、ロボットカート搬送部は、直線チャンバに沿って、矢印15X′によって示される方向に移動し、ベアリングキャリッジ及びマグネットアレイは、接地固定(grounded)されたアレイに対して移動する。この動作は、エンドエフェクタ(1または複数)1588′、1590′が回転して、ロボットエンドエフェクタが、上述した図23A−23Bと同様のカートの直線方向と実質的に直角に伸張することを可能とする。図24A−24Cは、例示のために、一方の側に伸展させられたエンドエフェクタ1588′及び1590′を示している。しかし、理解されるように、エンドエフェクタ1588′、1590′は、ベースプレートの任意の側に伸展させられてもよい。さらに、エンドエフェクタ1588′、1590′は、図24A−24Cに示されているように、エンドエフェクタが約90°より大きいかまたはそれよりも小さい角度に配向されている位置に伸展させられてもよい。
【0039】
図25は、カート1557″のさらに他の実施例の立面略図であり、カート1557″は、図23に示されているのと同様のアームリンケージを有している。この場合、駆動プーリ1570″は、下部リンクアーム1592″に取り付けられている。駆動プーリ1570″は、エンドエフェクタ駆動プーリ1600″に結合され、かつ駆動ベルト1598″を介して肘部プーリ1596″に結合されている。肘部プーリは、ロボットエンドエフェクタ1594″に取り付けられており、駆動プーリ1570″の回転を駆動されるエンドエフェクタ1594″に伝送する手段を提供する。図25A−25Cは、3つの異なる状態のアームリンケージを有するカートを示している。図25A−25Cは、例示の目的のみで、カートのベースプレート1558″の1つの側方に伸展させられているエンドエフェクタ1594″を示している。図22−23及び24に示されている搬送アームと同様に、搬送アーム1577″が軸S″周りに回転させられて、エンドエフェクタが、カート1557″のベースプレート1558″に対する任意の方向に伸展/格納させられてもよい。ここで、図2−7Aも参照すると、関節搬送アームを有するカート(図12、13A、22、23、24及び25に示されている、カート22、122A、406、229、700、1557、1557′、1557″等)の使用の著しい利点は、搬送アームの所定のリーチに対する利点であり、搬送チャンバは、最小限の幅で提供されてもよい。異なったカートの実施例における搬送アームの多軸関節は、関節カートの経路に対するカートの実質的に独立した配置を可能にし、結果として、搬送チャンバ18の幅を最小値まで減らすことを可能にする。同様に、保管処理モジュールを搬送チャンバに接続するスロットバルブ及び経路の幅は、最小限のサイズに減少させられる。
【0040】
ここで、図15を参照すると、装置10と共に使用する例示のウェハアライナ500が示されている。ウェハアライナキャリア500は、通常は、2つのパーツ、ウェハチャック504及びウェハ搬送キャリア502を含んでいてもよい。アライナは、直線直交搬送ツール内のウェハのアラインメント及び移動をもたらす。アライナは、装置内の搬送カート(1または複数)(カート22、122A、406、700、1557等)と連動するように形成されるか、またはいくつかの場合、直線処理ツールアーキテクチャのロボットカート内に含まれていてもよい。
【0041】
図16を参照すると、ウェハチャック504が、ウェハ搬送キャリア502から分離可能に示されている。摩擦パッドは、直線直交装置に亘る搬送中に2つのデバイスと結合させられていてもよい。分解の際、ウェハチャック504は、ウェハ搬送キャリア502に対して回転自在である。ウェハチャック504は、基板(ウェハ)506に対して角度傾斜を付けられているウェハエッジパッド508を使用することによって。受動的ウェハエッジ支持手段を提供する。ウェハチャック504の一部として追加の特徴は、ウェハキャリア500上からウェハを除去しかつそこにウェハを配置するロボットアームカートの機能に関する、ウェハ506の真下にあるレリーフ(relief)である。これは、ウェハ除去クリアランスゾーン510として認識される。
【0042】
この直線搬送カートに対するウェハの回転方法は、ロボットのエンドエフェクタに直接適用されてもよい。この方法は、図17に示されている。ロボットアームカート534は、ウェハチャック504がロボットエンドエフェクタ536から取り外し可能であるように構成されている。この場合、チャックは、処理モジュールまたはロードロック内で発見される配置場所の変更に基づくウェハノッチ配向要求に対して修正を行うために回転自在である。
【0043】
図18を参照すると、ウェハチャック回転デバイス532が示されている。直線搬送ツール内の複数の位置において、これらの回転ウェルが配され得る。このデバイスは、全体を参照することにより本明細書に包含されている米国特許第5,720,590号内に記載されているモータ隔離技術に基づいている。代替実施例において、従来のモータ及びシールの組み合わせが使用されてもよい。固定モータ522は、直線搬送チャンバのベース530に設けられている。真空隔離バリア520は、モータアーマチュア540とマグネットアレイ524との間に配されている。マグネットアレイは、回転シャフト542に直接設けられている。このことは、真空システム内に結合される直接駆動部を許容する。使用され得る支持ベアリング518が必要とされてもよいが、理想的には磁気サスペンションが使用される。光学エンコーダディスク526は、回転シャフト542に取り付けられ、リードヘッド528が回転シャフト542の角度に関するコントローラに位置フィードバックを提供するような位置に配される。アライナチャック504は、摩擦パッドまたはキネマティックピン(kinematics pin)(1または複数)516の下にある。これらのパッド/ピンは、ウェハチャック504がウェハキャリア502またはロボットのエンドエフェクタ536から一度切り離されると、ウェハチャック504の回転の手段を提供する。この回転を提供する手段と同一の手段は、図17に示されているロボットアームキャリアの一部として適用されているロボットアームリンク538の回転位置の制御に適用され得る。
【0044】
図19を参照すると、ウェハ搬送キャリア500がウェハチャック504を含んでおり、ウェハ搬送キャリアが、ウェハチャック回転デバイス532上の位置に移動させられている。図20において、ウェハ搬送キャリアが降下させられ、ウェハチャック504が搬送キャリア502上に離昇させられる。搬送チャンバ蓋546内に配されているカメラ544は、ウェハの画像を検証してウェハのx−y位置及びウェハのノッチの位置角度を認識可能である。その後、ウェハキャリアは、ウェハ搬送キャリア502に対するウェハチャック504のx−y位置変更、及びノッチアラインメントのための修正のために提供され得る回転をもたらすべく移動させられ得る。ロボットアームキャリアデバイスの方法として使用される場合のウェハチャック回転デバイスの他のオプションは、ロボットリンクアームを伸展させておりかつ処理モジュールまたはロードロックから基板またはウェハが降下/上昇させられることを可能とするために垂直軸動作を要求している間に回転結合を許容することである。この方法は、図21に概略的に示されている。固定モータ522は、案内されたプレート548に設けられている。案内されたプレートは、金属ベロー550または他の直線隔離シール(リップシール(lip seal)、Oリング等)を介して、直線搬送チャンバのベース530に取り付けられている。真空隔離バリア520は、モータアーマチュア540とマグネットアレイ524との間に配されている。マグネットアレイは、回転シャフト542に直接設けられている。このことは、真空システム内に結合される直接駆動部を許容する。使用され得る支持ベアリング518が必要とされてもよいが、理想的には磁気サスペンションが使用される。光学エンコーダディスク526が回転シャフト542に取り付けられ、リードヘッド528が、回転シャフト542の角度のコントローラに位置フィードバックを提供するような位置に配される。移動ストッパ556の端部を伴う追加のガイドローラ552及び支持構造554は、駆動デバイスとして直線ウェアは搬送キャリア500を使用よりむしろ、回転駆動部が要求された位置に維持されて、ウェハチャックまたはロボットアームに結合されることを可能にする。搬送チャンバが加圧されてロボット駆動部が上の位置に持ち来される状態がもたらされる場合、ベローの力はばねとして作用し、実際の制限された直線移動範囲に亘って、回転デバイスが様々な直線ロボットアームカートの直線上昇(取り上げまたは配置の間等)に対して結合されることが可能とされる。一度、デバイスが摩擦パッドまたはキネマティックピン(1または複数)516に係合させられる。これらのパッド/ピンは、図20に示されているように、ウェハチャック504がウェハキャリア502またはロボットエンドエフェクタ536から切り離されると、ウェハチャック504回転手段を提供する。回転を提供するこの手段と同一の手段は、図17に示されているロボットアームキャリアの一部として適用されるロボットアームリンク538の回転位置を制御するために適用され得る。
【0045】
図2−7に示されたようなシステムは、コントローラCに保存されている設定可能かつスケーラブル(scaleable)なソフトウェアによって制御されてもよい。ここで図26を参照すると、処理システムに通信可能に接続されているコントローラC内に提供されてもよい生産実行システム(MES)ソフトウェアが示されている。MESシステム2000は、ソフトウェアモジュール2002−2016、またはMESの機能を向上させるオプションを含んでいる。モジュールは、材料制御システム(MCS)2002、リアルタイムディスパッチャ(RTD)2004、ワークフローまたはアクティビティマネージャ(AM)2006、エンジニアリングデータマネージャ(EDA)2008、及びコンピュータメンテナンスマネージメントシステム(CMMS)2010を含んでいる。
【0046】
MES2002は、製造者に、工場資源及び処理プランを構成すること、全商品及び注文を追跡すること、製造データを収集して分析すること、装置を監視すること、製造オペレータに作業命令を送ること、及び完成された製品への部品の消費を追跡することを可能にする。MCSソフトウェアモジュール2002は、製造者が、システム全体の効率を最大限にするように処理ツールに到着するように個別のカート(例えば、図2−3、7−7A、12、13A及び22のカート22、122A、406、228、700、1557)をスケジューリングすることを可能にする。MCSは、個別のカートが特定の処理ツール(例えば、図7の処理装置18A、18B及び図7Aのモジュール602−626)に到着及びそこから出発する際にスケジューリングを行う。MCSは、処理ツールの各々における任意のキューイング(queuing)及びルーティング(routing)要求を管理し、システムの生産量を最適化しつつ。カート搬送サイクル時間を最小化する。
【0047】
RTD2004は、製造者に、リアルタイムで、処理ツールの健常度からのフィードバックに基づいて、カートのルーティング判断をなすことを可能にする。追加的に、カートのルーティング判断は、MESオペレータによってなされてもよい。MESオペレータは、特定の製品の製造される必要性の優先度を変更してもよい。
【0048】
AM2006は、製造者に、1または複数の基板を保持する所定のカートの、製造プロセス全体を通しての進捗を監視することを可能にする。処理ツールがエラーを引き起こすと、AM2006は、処理ツールにおいて処理されている全ての基板に対して残っている最良のルートを判定する。EDA2008は、製造者に、製造データを分析し、当該データにおける統計的処理制御アルゴリズムを実行して、処理ツールの効率を向上することを可能にする。CMMS2010システムは、製造者に、個別の処理ツールにおいて保守点検が必要とされるのがいつかを予測することを可能とする。処理ツールの処理における変化が監視されて既知の処理結果と比較され、処理の変更または処理ツールのスケジューリングされた修理の変更が予測される。
【0049】
搬送装置22の移動を制御する例示の駆動システムがここで説明される。搬送装置22Aは、上述の搬送装置122A、122B、カート406、及びカート229、700と同様であってもよい。駆動システムは、電磁石の原理を使用して搬送装置22の様々な自由度に影響を与え、推進力を提供し、浮揚及び案内制御を提供し、ヨー、ピッチ及びロール安定化を提供し、かつアームを作動させるリニアモータとして取り入れられる。
【0050】
例示の駆動システムは、リニアモータ30(図2)及び上述のゾーン化モータ駆動装置
の実施例である。この実施例は、少なくとも作動部分(モータ巻線及び制御電子部品等)の数を最小化することによって、複雑さの減少、コストの低減及び信頼性の向上を提供する。特に、アクティブかつ閉ループ制御を必要とする自由度の数が最小化され、個別の専用の案内巻線が除去され、制御が分離されるので、この実施例は、従来の2チャンネルモータ増幅器を用いて実施されてもよい。さらに、システムの効率は、いくつかの実施例において受動的磁力の使用の故に向上させられるので、冷却の必要及び操作のコストが減少する。
【0051】
図27の実施例を参照すると、本明細書に記載されている駆動システムは、全体として、搬送装置22に結合されている少なくとも1つの永久マグネット2700、永久マグネットの磁界と相互作用する固定巻線2710、及び駆動固定巻線2710の制御電子機器2715を含む。
【0052】
制御電子機器2715は、制御電子機器2715を制御するプログラムを有する少なくとも1つのコンピュータ可読媒体2725を有するCPU2720を含んでいてもよい。固定巻線を駆動する増幅器を含むマルチプレクサ2730及び他の駆動電子機器2735が使用されてもよい。インタフェース2745は、搬送装置の位置または加えられるべき力に関する命令を受信するために含まれていてもよい。命令は、ユーザから、基板処理装置のコントローラから、または多数の基板処理装置を制御する制御システムから受信されてもよい。
【0053】
制御電子機器2715は、固定巻線2710を駆動し、永久マグネット2700及びそれに応じて搬送装置22への力の付加をもたらす。従って、制御電子機器2715は、固定巻線を駆動して、搬送装置22の開ループ及び閉ループ座標制御のための所望の推進力、上昇力及び案内力をアクティブに生成する。加えられた力は、搬送装置22を搬送チャンバ18内で移動させるか、または搬送装置22を固定位置に維持させてもよい。本明細書内に記載されている駆動システムは、搬送チャンバ18、602−624、716または任意の他の搬送チャンバと使用するのにも適している。
【0054】
駆動システム電子機器は、搬送装置22の位置を検出するセンサを含んでいてもよい。このセンサは、少なくとも1つの永久マグネット2700の近接度を検出するか、または搬送チャンバ18内の搬送装置22の位置を判定する他の位置フィードバックデバイスを含んでもよい。
【0055】
駆動システムの実施例は、固定強磁性エレメント及び永久マグネット2700を含んでいる強磁性コンポーネントを含んでいてもよく、固定強磁性エレメントと永久マグネット2700の磁界とが相互作用するように配されている。選択的な実施例において存在してもよい固定強磁性エレメントは、搬送装置22の自由度のサブセットを完全に安定化するか、または搬送装置22の重量のバランスを補助する受動的磁力を提供する。これらの受動的な力は、電源喪失における安全な着床の手段を提供してもよい。
【0056】
搬送装置22の位置または座標及び搬送装置22に作用する力の少なくともいくつかは、3軸座標システム環境において規定されてもよく、x軸は推進方向を示し、y軸は推進方向と直角な案内方向を示し、z軸は浮揚方向、通常は鉛直方向を示し、x、y及びz軸は全て互いに直交する。図27において、x及びy軸が示され、z軸は紙面と直角に伸長している。
【0057】
図28A−28D及び図29A−29Cは、図27と同様の実施例であるが、異なった巻線構成を有している。
【0058】
図28A−Dは、受動的上昇、ピッチ及びロール安定化、並びに閉ループ推進、案内及びヨー制御を提供する駆動システムの実施例とともに搬送装置22を概略的に示している。図28Aは、搬送チャンバ18内の搬送装置22の断面図、図28Bは、その前面図及び背面図を示している。アクティブな磁力は、例えば搬送チャンバ18の表面2810と隣接する2つの場所内の独立した固定巻線2800によって提供される。
【0059】
位置及び力は、以下の名称及び測定単位を用いて記載される。
X=x軸に沿った搬送装置22の位置(m)
Y=y軸に沿った搬送装置22の位置(m)
F=y軸に沿った搬送装置22の前部の位置(m)
R=y軸に沿った搬送装置22の後部の位置(m)
z=z軸に沿った搬送装置22の位置(m)
X=搬送装置22にかかるX方向の全ての力(N)
Y=搬送装置22にかかるY方向の全ての力(N)
Z=搬送装置22にかかるZ方向の全ての力(N)
X=x軸周りのモーメント(Nm)
X=x軸周りの回転(rad)
Y=y軸周りのモーメント(Nm)
Y=y軸周りの回転(rad)
【0060】
搬送チャンバ18の一側面として示されているが、表面2810は、搬送チャンバ18の床部、側部、天井、または任意の表面であってもよい。搬送チャンバ18は、ステンレス鋼等の非磁性材料から形成されてもよく、表面2810は、巻線2800と搬送装置22との間のバリアをもたらしてもよい。
【0061】
マグネット2815、2820は、搬送装置22の互いに反対にある側部2825、2830に各々配されていてもよい。固定強磁性エレメント2835、2840は、マグネット2815、2820に各々近接していてもよい。いくつかの実施例において、固定強磁性エレメント2835、2840は、巻線2800の鉄芯または鉄バッキング(backing)の一部として形成されてもよく、または搬送チャンバ18の構造の一部として組み込まれていてもよい。他の実施形態において、固定強磁性エレメント2835、2840は、搬送チャンバ18の外部または内部に存在してもよい。固定強磁性エレメント2835、2840及びマグネット2815、2820を含む強磁性コンポーネントは、相互作用して、全体として、浮揚、ピッチ、ロール、案内、及びヨー力の1または複数を含む受動的安定化力を提供する。
【0062】
搬送装置22は、1または複数の位置フィードバックデバイス2845、2850を含んでもよく、搬送チャンバ18は、1または複数のセンサ2855、2860を含んでもよい。位置フィードバックデバイス2845、2850は、上述の位置フィードバックシステム340(図10)と同様でもよく、センサ2855,2860は、上述のセンサ336(図10)と同様であってもよい。
【0063】
この実施例及び本明細書において開示される実施例において、センサまたはセンサ2885、2890のアレイは、マグネット(様々な態様で搬送装置に結合されているマグネット2815、2820、またはマグネットまたは磁性プラテンの任意の配列)の存在を検出するために提供されてもよい。センサ2885、2890は、搬送装置自体、または搬送装置の一部であってもよい強磁性材料を検出してもよい。センサは、一次元、二次元、または三次元で場所を判定するために使用されてもよい。場所情報は、その後、搬送装置22の巻線の適切なコミュテーションを判定するために使用されてもよい。
【0064】
制御電子機器2715(図27)は、搬送装置のx、yF、及びyR座標の閉ループ制御をもたらす態様にて固定巻線2800を駆動する。ここで、yFは、搬送装置22の前部2865の位置を表し、yRは搬送装置22の後部2870の位置を表す。マグネット2815、2820、及び固定強磁性エレメント2835、2840を含む強磁性コンポーネントの組み合わせは、z、Rx及びRy位置座標の受動的制御を提供する。
【0065】
いくつかの実施例において、マグネット2815、2820、及び固定強磁性エレメント2835、2840を含む強磁性コンポーネントの組み合わせは、搬送装置22に受動的力を加えるように作動させられ、固定巻線2800を駆動する制御電子機器2715は、以下のように搬送装置22にローレンツ力またはマクスウェル力を与えるように作動させられる。
【0066】
X=FxRF+FxRRは、ローレンツ力として与えられ;
yF=FyLF+FyRF、FyR=FyLR+FyRR;ここで、FyLF、FyLRは受動的力として与えられ、FyRF、FyRRは、マクスウェル及び/またはローレンツ力として与えられ;
z、Mx、Myは、受動的力として与えられる。
【0067】
図28Cは、搬送装置22の位置座標及び搬送装置に与えられる力のいくつかを示している。
【0068】
図28Dは、搬送装置が、例えば、上述のカート229(図12A)と同様の移動を行うための2つの部分を含む場合に、搬送装置22の位置座標及び搬送装置に加えられる力のいくつかを示している。作動は、搬送装置22の前部2875と後部2880との相対動作を個別にもたらす独立した巻線を駆動することによって行われてもよい。このことは、追加の増幅チャンネル無しに成し遂げられてもよい。
【0069】
図28A−Dに示されている実施例において、z方向動作は、追加のデバイスによってもたらされてもよい。
【0070】
図29A−29Cは、搬送装置22の浮揚、ピッチ及びロールの受動的安定化を、閉ループ推進、案内及びヨー制御とともにもたらす駆動システムの実施例を示している。図29Aは、搬送チャンバ18内の搬送装置22の断面図であり、図29Bは、その前面図または背面図である。閉ループ制御された力は、搬送装置22の互いに反対にある側部に各々配されているマグネット2920及び2925と相互作用する、搬送装置22の各々の側部にある1または複数の巻線2910、2915によってもたらされる。巻線2910、2915は、閉ループ案内制御及びヨー安定化をもたらしてもよい。浮揚、ピッチ、及びロールは、受動的力によって安定化されてもよい。この実施例に関するz方向における動作は、必要ならば、外部デバイスによって提供されてもよい。
【0071】
独立した巻線2910、2915は、搬送装置22の互いに反対にある側部に配されてもよく、かつ搬送チャンバ18の互いに反対にある側部内に埋め込まれてもよく、搬送チャンバ18の互いに反対にある側部の外側にあってもよく、または搬送チャンバ18の内面に配されていてもよい。
【0072】
浮揚、ピッチ及びロールの受動的安定化のために、この実施例は、各々互いに近接している固定強磁性エレメント2935、2940及びマグネット2920、2925を含む強磁性コンポーネントを含んでもよい。他の実施例と同様に、固定強磁性エレメント2935、2940は、巻線2910、2915の鉄芯または鉄バッキングの一部として形成されるか、または搬送チャンバ18の構造の一部として含まれていてもよい。他の実施例において、固定強磁性エレメント2935、2940は、搬送チャンバ18の内面または外面に存在していてもよい。
【0073】
上述の実施例と同様に、搬送装置22は、1または複数の位置フィードバックデバイス2945、2950を含んでもよく、搬送チャンバ18は、1または複数のセンサ2955、2960を含んでもよい。位置フィードバックデバイス2945、2950は、上述の位置フィードバックデバイス340(図10)と同様であってもよく、センサ2955、2960は、上述のセンサ336(図10)と同様であってもよい。制御電子機器2715(図27)は、位置フィードバックデバイス2945、2950及びセンサ2955、2960との接続を含んでいてもよく、デバイス及びセンサからの信号を用いて搬送装置22の位置を判定してもよい。
【0074】
制御電子機器2715(図27)は、固定巻線2910、2915を駆動し、搬送装置22のx、yF及びyR座標の閉ループ制御をもたらす。ここで、yFは、搬送装置22の前部2965の位置を表し、yRは、搬送装置22の後部2970の位置を表す。マグネット2920、2925、及び固定強磁性エレメント2935、2940の組み合わせは、z、Rx及びRy位置座標の受動的制御をもたらす。
【0075】
制御電子機器2715は、搬送装置22にローレンツ力またはマクスウェル力を与える態様にて固定巻線2910、2915を駆動し、マグネット2920、2925、及び固定強磁性エレメント2935、2940は、以下のように搬送装置22に受動的力が与えられるように作動する。
【0076】
X=FxRF+FxRRは、ローレンツ力として与えられ;
yF=FyLF+FyRF、FyR=FyLR+FyRRは、マクスウェル及び/またはローレンツ力として与えられ;
z、Mx、Myは、受動的力として与えられる。
【0077】
図29Cは、搬送装置22の位置座標及び搬送装置22に与えられる力のいくつかを示している。
【0078】
搬送装置22は、例えば、上述のようなカート229と同様の動作を実行するために、2つの部分を含んでもよい。作動は、追加の増幅チャンネルの必要無しに、搬送装置22の前部2965と後部2970との相対動作によって行われてもよい。
【0079】
図30−33、34A、35A及び36−38は、複数の巻線セット及び増幅器チャンネルを有する例示の実施例を示している。搬送チャンバは、単純化のために示されていない。
【0080】
図30は、閉ループリフト安定化、開ループピッチ及びロール安定化、閉ループ推進及び案内制御、並びに開ループヨー制御をもたらす実施例を示している。
【0081】
図30の実施例は、搬送装置3005の互いに反対にある側部に位置しており、互いに接続されている推進巻線3010、3015を含んでいる。この実施例において、制御電子機器2715(図27)は、少なくとも2つの増幅器チャンネル3020、3035を含んでいる。推進巻線3010、3015は、単一の増幅チャンネル3020によって駆動される。同様に、浮揚巻線3025、3030は、搬送装置22の互いに反対にある側部に位置しており、互いに接続されておりかつ単一の増幅器チャンネル3035によって駆動される。
【0082】
推進巻線3015は、推進巻線3010が側部3045に生成するよりも大きなマクスウェル力を、搬送装置の互いに反対にある側部3040に生成するようになされ、浮揚巻線3025は、浮揚巻線3030が側部3040に生成するよりも大きなマクスウェル力を側部3045に生成する。y軸に沿った案内力は、推進巻線セット3010、3015と、浮揚巻線セット3025、3030とによって生成された合計マクスウェル力の間の差として生成される。代替的に、巻線は、y軸に沿った案内のためにローレンツ力を生成するように構成されて駆動される。両方の巻線セットは、位相コミュテーションを用いて制御されて、開ループのヨー、ピッチ及びロール安定化効果が生成される。
【0083】
搬送装置3005は、互いに反対にある側部3040、3045に、磁性プラテン3050、3055を各々含む。磁性プラテン3050、3055は、マグネットのアレイとして構成されてもよく、互いに反対にある側部3040、3045の長さに沿って伸長してもよい。1つの実施例において、マグネットのアレイは、巻線と向かい合っている交互のN極3060及びS極3065を用いて構成されていてもよい。他のマグネット構成が使用されてもよい。
【0084】
磁性プラテン3050、3055、及び増幅器チャンネル3020及び3035の制御下にある巻線3015、3030、3010、3025は、閉ループ技術を用いて搬送装置3005のx、y、z座標を制御するように、かつ開ループ技術を使用してRx、Ry、RZを制御するように動作する。
【0085】
磁性プラテン3050、3055と、増幅器チャンネル3020及び3035の制御下にある巻線3015、3030、3010、3025と、が相互作用して、搬送装置3005に以下の力を与える。
【0086】
X=FxL+FxRは、ローレンツ力として与えられ;
yF=FyL+FyRは、マクスウェルまたはローレンツ力として与えられ、互いに反対にある側部にある推進巻線及び浮揚巻線によって生成された案相力の間の差として与えられ;
z=FzL+FzRは、ローレンツ力として与えられ;
x、My、Mzは、位相コミュテーションの開ループ安定化効果によって生成される。
【0087】
図31は、閉ループ浮揚安定化、開ループピッチ及びロール安定化、並びに閉ループ推進、案内及びヨー制御をもたらす駆動システムの実施例を示している。この構成において、推進力は、搬送装置3005の互いに反対にある側部に位置している独立した推進巻線3110、3115によってもたらされる。この実施例において、制御電子機器2715(図27)が単一チャンネル増幅器3120及び2チャンネル増幅器3125を含んでいるように示されているが、3つのチャンネルを提供する任意の適切な増幅器構成が使用可能であってもよいことが理解されるべきである。推進巻線3110、3115は、2チャンネル増幅器3125の個別のチャンネル3130及び3135によって各々駆動される。浮揚巻線3140、3145は互いに接続され、単一の増幅器チャンネル3120によって駆動される。浮揚巻線3140、3145は、位相コミュテーションを用いて制御され、搬送装置3005の開ループピッチ及びロール安定化がなされる。y軸に沿った案内力は、マクスウェルまたはローレンツの定理を用いて、推進巻線3110、3115によって生成される。
【0088】
図30の実施例を参照して上述されているように、搬送装置3005は、磁性プラテン3050、3055を含んでいる。磁性プラテン3050、3055、及び増幅器チャンネル3120、3130及び3135の制御下にある巻線3110、3115、3140、3145は、閉ループ技術を用いてxL、xR、y、z座標を制御するように、かつ開ループ技術を用いてRx、Ryを制御するように動作する。
【0089】
磁性プラテン3050、3055、及び増幅器チャンネル3120及び3135の制御下にある巻線3015、3030、3010.3025は、以下の力を搬送装置3005に与えるように動作する。
【0090】
X=FxL+FxRは、ローレンツ力として与えられ;
yF=FyL+FyRは、推進巻線3110、3115によってのみ生成されたマクスウェルまたはローレンツ力として与えられ;
z=FzL+FzRは、ローレンツ力として与えられ;
x、Myは、浮揚巻線3140、3145の位相コミュテーションの故の開ループ安定化によって生成される。
【0091】
図32は、閉ループ浮揚安定化、開ループピッチ安定化、閉ループロール安定化、並びに、推進、案内及びヨー制御をもたらす駆動システムの実施例を示している。
【0092】
この構成において、推進力は、搬送装置3005の互いに反対にある側部に位置している独立した推進巻線3210、3215によってもたらされ、浮揚は、搬送装置3005の互いに反対にある側部に位置している独立した浮揚巻線3220、3225によってもたらされる。この実施例において、制御機器2715(図27)は、2つのデュアルチャンネル増幅器3230、3235を含むように示されているが、4チャンネルを提供する任意の適切な増幅器構成が使用されてもよいことが理解されるべきである。推進巻線3210、3215は、2チャンネル増幅器3230の個別のチャンネル3240、3245によって各々駆動される。それに応じて、浮揚巻線3220、3225は、2チャンネル増幅器3235の個別のチャンネル3250、3255によって各々駆動される。浮揚巻線3220、3235は、位相コミュテーションを使用して制御され、搬送装置3005の開ループピッチ安定化がもたらされる。y軸に沿った案内力は、マクスウェルの定理を用いて、推進巻線3210、3215及び浮揚巻線3220、3225の両方によって生成される。
【0093】
他の実施例を参照して上述されたように、搬送装置3005は、磁性プラテン3050、3055を含んでいる。磁性プラテン3050、3055、及び各々が増幅器チャンネル3240、3245、3250及び3255の制御下にある巻線3210、3215、3220、3225は、閉ループ技術を用いてxL、xR、y、zL、zR座標を制御し、かつ開ループ技術を用いてRy座標を制御するように動作する。
【0094】
磁性プラテン3050、3055、及び各々が増幅器チャンネル3240、3245、3250及び3255の制御下にある巻線3210、3215、3220、3225は、搬送装置3005に以下の力を与えるように動作する。
【0095】
X=FxL+FxRは、ローレンツ力として与えられ;
y=FyL+FyRは、推進巻線3210、3215及び浮揚巻線3220、3225の両方によって生成されたマクスウェル力として与えられ;
z=FzL+FzRは、ローレンツ力として与えられ;
yは、浮揚巻線3220、3225の位相コミュテーションの故の開ループ安定化によって生成される。
【0096】
図33、34A−34D、及び35から38は、完全な閉ループ制御を用いる、すなわち座標または力の開ループ制御または受動的制御を全く用いない駆動システムの実施例を示している。これらの実施例は、搬送装置3305に結合されている多数の磁性プラテンと相互作用する固定巻線を使用して、搬送装置3305を浮揚及び推進するように動作する。この実施例は、例えば、搬送装置3305の角部の各々に1つ結合している4つの磁性プラテン3375、3380、3385、及び3390を示しているが、任意の数の磁性プラテンが、搬送装置3305に対して任意の配置で使用されてもよいことが理解されるべきである。この実施例は、N極S極が交互になっているパターンで配置されているマグネットを有する磁性プラテンを示しているが、任意の適切なマグネットのパターンが使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0097】
図33を参照すると、各々が搬送装置3305の互いに反対にある側部3320及び3325にある推進巻線3310及び3315が、互いに接続されて単一の増幅チャンネル3330によって駆動されている。3つの独立した浮揚巻線3335、3340、及び3345は、3つの増幅器チャンネル3360、3365及び3370によって各々駆動されてもよい。3つの独立した浮揚巻線は、側部3325に作用する単一の巻線3335、及び側部3320に作用する巻線3340、3345を用いて浮揚力を生成するように動作する。この実施例において、巻線3345は、搬送装置3305の前部3350に、側部3320に沿って作用し、巻線3340は、搬送装置3305の後部3355に、側部3320に沿って作用する。従って、共通の浮揚力が、側部3325に与えられてもよいと同時に、同一または異なった独立した浮揚力が側部3320の前部及び後部に与えられてもよい。
【0098】
磁性プラテン3375、3380、3385、3390及び各々が増幅器チャンネル3330、3360、3365及び3370の制御下にある巻線3310、3315、3335、3340及び3345は、閉ループ技術を使用して、x、yF、yR、zL、zRF、zRR座標を制御するように動作する。
【0099】
磁性プラテン3375、3380、3385、3390及び各々が増幅器チャンネル3330、3360、3365及び3370の制御下にある巻線3310、3315、3335、3340及び3345は、搬送装置3305に以下の力を与えるように動作する。
【0100】
x=FxL+FxRは、ローレンツ力として与えられ;
yF=FyL/2+FyLR、FyR=FyL/2+FyRRは、浮揚巻線のみによって生成された ローレンツまたはマクスウェル力として与えられ;
zL、FzRF、FzRRは、ローレンツ力として与えられる。
【0101】
ここで図34Aを参照すると、4つの独立した浮揚巻線3410、3415、3420及び3425が、4つの増幅器チャンネル3430、3435、3440及び3445によって各々駆動されてもよい。この4つの独立した浮揚巻線は、搬送装置3305の各々の角部にある磁性プラテンにおいて浮揚力を生成するように動作し、巻線3410、3415、3420及び3425は、磁性プラテン3450、3455、3460及び3465において浮揚力を各々生成する。従って、独立した浮揚力が、磁性プラテン3450、3455、3460及び3465、すなわち搬送装置3305の角部の各々に与えられてもよい。
【0102】
この実施例において、推進巻線3490及び3495は、互いに接続されて単一の増幅チャンネル3497によって駆動される。
【0103】
磁性プラテン3450、3455、3460及び3465、並びに各々が増幅器チャンネル3430、3435、3440、3445及び3497の制御下にある巻線3410、3415、3420、3425、3490及び3495は、閉ループ技術を使用して、搬送装置3305のx、yF、yR、zL、zRF、zRR座標を制御するように動作する。
【0104】
磁性プラテン3450、3455、3460及び3465、並びに各々が増幅器チャンネル3430、3435、3440、3445及び3497の制御下にある巻線3410、3415、3420、3425、3490及び3495は、搬送装置3305に以下の力を与えるように動作する。
【0105】
x=FxL+FxRは、ローレンツ力として与えられ;
yF=FyLF+FyRF、FyR=FyLR+FyRRは、浮揚巻線のみによって生成されたローレンツまたはマクスウェル力として与えられ;
zF=FzLF+FzRF、FzLR、FzRRは、ローレンツ力として与えられる。
【0106】
図34Aの駆動システムは、搬送装置3305の位置(搬送装置3305のいくつかの部分の位置を含んでもよい)を判定するセンサ3411のアレイを含んでいてもよい。例えば、センサアレイ3411は、磁性プラテン3450、3455、3460、3465の各々の位置を感知、すなわち搬送装置の各々の角部、右前(RF)、左前(LF)、右後(RR)及び左後(LR)を各々感知可能であってもよい。この実施例において、制御電子機器2715は、センサアレイ3411に電力を提供しかつセンサアレイ3411と信号を交換するためのセンサ回路3417を含んでもよい。
【0107】
図34B−Dは、搬送装置3305の前部3403及び後部3407の浮揚及び案内制御のため、及び搬送装置3305の推進制御のための例示の制御方法を示している。
【0108】
図34Bは、搬送装置3305の前部3403に対する例示の浮揚及び案内制御方法を示している。搬送装置3305の左前LF及び右前RFの、y及びz軸に沿った実際の位置yLFact、zLFact、yRFact、zRFactは、センサアレイ3411によって提供されてもよい。z軸における所望の位置zcmdは、制御電子機器2715のインタフェース2735(図27)を介して提供されてもよい。実際の位置yLFact、zLFact、yRFact、zRFact及び所望の位置zcmdは、増幅器3419によって使用されて、上述のように、増幅器チャンネル3430及び3435を介して巻線3410及び3415に各々提供されるコミュテーション電流iAj及びiBjが生成されてもよい。
【0109】
図34Cは、搬送装置3305の後部3407に対する例示の浮揚及び案内制御方法を示している。センサアレイ3411は、搬送装置3305の左後LR及び右後RRのy軸及びz軸に沿った実際の位置yLRact、zLRact、yRRact、zRRactを提供してもよい。z軸における所望の位置zcmdは、制御電子機器2715のインタフェース2735(図27)を介して提供されてもよい。実際の位置yLRact、zLRact、yRRact、zRRact及び所望の位置zcmdは、増幅器3422によって使用されて、上述のように、増幅器チャンネル3440及び3445を介して巻線3420及び3425に各々提供されるコミュテーション電流iAj及びiBjが生成されてもよい。
【0110】
図34Dは、搬送装置3305の例示の推進制御方法を示している。搬送装置のx軸に沿った実際の位置xactは、センサアレイ3411によって提供されてもよい。x軸における所望の位置は、制御電子機器2715のインタフェース2735(図27)を介して提供されてもよい。実際の位置xact及び所望の位置xcmdは、増幅器3427によって使用されて、上述のように、増幅器チャンネル3497を介して巻線3490及び3495に提供されるコミュテーション電流ijが生成されてもよい。
【0111】
図35A、35B及び36から38は、完全な閉ループ制御を提供し、かつ搬送装置の1または複数のデバイスの動作に関する規定を含んでいる駆動システムの実施例を示している。
【0112】
図35Aに示されている実施例を参照すると、4つの推進巻線が提供されており、巻線3510及び3520は搬送装置3505の側部3530に、巻線3515及び3525は搬送装置3505の側部3535にある。互いに反対にある側部にある推進巻線は、互いに接続されて単一の増幅チャンネルによって駆動され、巻線3510及び3515は増幅チャンネル3540によって駆動され、巻線3520及び3525は増幅チャンネル3545によって駆動される。
【0113】
4つの独立した浮揚巻線3550、3555、3560及び3565は、4つの増幅チャンネル3570、3575、3580及び3585によって各々駆動されてもよい。この4つの独立した浮揚巻線は、搬送装置3505の角部の各々の磁性プラテンにおいて同一のまたは異なった独立した浮揚力を生成するように動作し、巻線3550、3555、3560及び3565が、磁性プラテン3450、3455、3460及び3465において各々浮揚力を生成する。
【0114】
この実施例において上述された磁性プラテン及び増幅チャンネルの制御下にある巻線の組み合わせは、閉ループ技術を用いて搬送装置3505のx、yF、yR、zF、zLR、及びzRR座標を制御するように動作する。この磁性プラテン、及び増幅チャンネルの制御下にある巻線の組み合わせは、搬送装置3505に以下の力を与えるようにも動作する。
【0115】
x=FxLF+FxRF+FxLR+FxRRは、ローレンツ力として与えられ;
yF=FyLF+FyRF、FyR=FyLR+FyRRは、ローレンツまたはマクスウェル力として与えられる。すなわち、マクスウェルの定理が使用される場合、これらの力は浮揚巻線によってのみ生成され、ローレンツの定理が使用される場合、これらの力は推進巻線及び浮揚巻線の組み合わせによって生成される;
zF=FzLF+FzRF、FzLR、FzRRは、ローレンツ力として与えられる。
【0116】
図35Aの駆動システムは、搬送装置3505の位置(搬送装置3505のいくつかの部分の位置を含んでもよい)を判定するセンサ3511のアレイを含んでもよい。例えば、センサアレイ3511は、磁性プラテン3450、3455、3460、3465の各々の位置を検知可能、すなわち搬送装置3505の角部の各々の位置、右前(RF)、左前(LF)、右後(RR)、左後(LR)を各々検出可能であってもよい。この実施例において、制御電子機器2715は、センサアレイ3511に電力を供給するため、かつセンサアレイ3511と信号を交換するためにセンサ回路3517を含んでいてもよい。
【0117】
この実施例は、図34B及び34Cに示されたのと同様の例示の浮揚及び案内制御方法を使用してもよい。
【0118】
この実施例において、搬送装置3505は、図28Dに示されている例示の装置と同様に互いに対して移動自在な2以上の部分を含んでもよい。このタイプの搬送装置に関して、搬送装置上の動作デバイス、例えば、アームまたはエンドエフェクタは、搬送装置3505の前部3585と後部3590の相対的な動作によって駆動されてもよく、追加の増幅チャンネルは必要とされない。
【0119】
図35Bは、搬送装置3505の例示の推進制御方法を示している。搬送装置の前部3585のx軸に沿った実際の位置xFact及び搬送装置3505の後部3590のx軸に沿った実際の位置xRactは、センサアレイ3411によって提供されてもよい。前部3585のx軸に沿った所望の位置xFcmd及び後部3590のx軸に沿った所望の位置xRcmdは、制御電子機器2715のインタフェース2735(図27)を介して提供されてもよい。実際の位置xFact、xRact及び所望の位置xFcmd、xRcmdは、増幅器3537に使用されて、増幅器チャンネル3540を介して巻線3510及び3515に提供されるコミュテーション電流iAjが生成されてもよい。実際及び所望の位置が使用されて、上述のように、増幅チャンネル3545を介して巻線3520及び3525に提供されるコミュテーション電流iBjが生成されてもよい。
【0120】
図36は、図35Aと同様であり、磁性プラテン3450、3455、3460、3465の周囲にクラスタとして配されている巻線のセットを有している実施例を示している。
【0121】
この実施例は、図34B及び34Cに示されているのと同様の例示の浮揚及び案内制御方法を使用しても良く、図35Bに示されている例示の推進制御方法を使用してもよい。
【0122】
この実施例は、搬送装置の座標全てで同一の制御を提供し、図35Aに示されている実施例のように、使用されない巻線の領域なしに同一の力を与える故に有利である。
【0123】
図37に示されている実施例は、各々が独自の増幅器チャンネルによって駆動される4つの独立した推進巻線及び4つの独立した浮揚巻線を使用する。
【0124】
独立した推進巻線3710、3715、3720及び3725は、4つの増幅チャンネル3730、3735、3740及び3745によって各々駆動されてもよい。4つの独立した推進巻線は、搬送装置3505の角部の各々にある磁性プラテンにおいてx軸に沿った推進力を生成するように動作し、巻線3710、3715、3720及び3725は、磁性プラテン3450、3455、3460及び3465において、同一かまたは異なってもよい独立した推進力を各々生成する。
【0125】
独立した浮揚巻線3750、3755、3760及び3765は、4つの増幅器チャンネル3770、3775、3780及び3785によって各々駆動されてもよい。4つの独立した浮揚巻線は、搬送装置3305の角部の各々にある磁性プラテンにおいて浮揚力を生成するように動作し、巻線3750、3755、3760、及び3765は、磁性プラテン3450、3455、3460及び3465において、同一かまたは異なってもよい独立した浮揚力を各々生成する。
【0126】
図34−36の実施例と同様に、本実施例において説明された磁性プラテン、及び増幅器チャンネルの制御下にある巻線の組み合わせは、閉ループ技術を用いて、装置3305のx、yF、yR、zF、zLR及びzRR座標を制御するように動作する。
【0127】
この磁性プラテン、及び増幅器チャンネルの制御下にある巻線の組み合わせは、搬送装置3305に以下の力を与えるように動作する。
【0128】
X=FxLF+FxRF+FxLR+FxRRは、ローレンツ力として与えられ;
yF=FyLF+FyRF、FyR=FyLR+FyRRは。推進巻線及び浮揚巻線の組み合わせによってローレンツ力またはマクスウェル力として与えられ;
zF=FzLF+FzRF、FzLR、FzRRは、ローレンツ力として与えられる。
【0129】
この実施例において、アームの駆動は、搬送装置3305の磁性プラテン3450、3455、3460及び3465の相対動作によって行われてもよく、追加の増幅チャンネルは必要とされない。
【0130】
図38は、図37と同様の実施例を示しており、磁性プラテン3450、3455、3460、3465の首位にクラスタ配置されており巻線セットを有している。
【0131】
この実施例は、搬送装置3005の座標全てで同一の制御を提供し、かつ使用しない巻線の領域無しに図37に示されている実施例と同一の力を与えることが可能である故に有利である。
【0132】
上記開示された実施例のほとんどは、搬送装置上のデバイス、例えば、アーム、エンドエフェクタ、または回転デバイスの駆動のために、搬送装置22の前部と後部との相対動作を使用してもよい。この相対動作は、通常は、搬送装置の前部及び後部に結合されている磁性プラテンに与えられる相対的力に起因する。搬送装置の前部と後部との相対動作の代替例として、デバイスの駆動は、搬送装置上に配された相対移動を提供するための専用の磁性プラテンを使用することによってなされてもよい。この移動は、専用の磁性プラテンと専用の磁性プラテンに近接して配されている巻線との間の相互作用に起因してもよい。専用の磁性プラテンは、任意の方向において互いに相対的に移動自在であるように構成されてもよい。当該専用の磁性プラテンは、当該専用の磁性プラテンの相対移動をもたらすために特化した巻線と相互作用してもよいか、または、本明細書における上記開示のように、搬送装置に力、例えば、浮揚力、推進力または案内力を提供するために既に提供されている巻線と相互作用してもよい。
【0133】
図39A−図39Cは、垂直方向に分割された2つの磁性プラテン、上部プラテン3910及び下部プラテン3915を含む実施例を示している。上部及び下部プラテン3910、3915は、開示された搬送装置、例えば搬送装置22または3305のうちの任意の1つの側部に設けられていてもよい。代替的に、上部及び下部プラテン3910、3915は、搬送装置の任意の部分に設けられていてもよい。上部及び下部プラテン3910、3915は、適切な移動を保証するために、スライダまたはローラ上に設けられていてもよく、かつガイドまたはレールのセット内に拘束されていてもよい。
【0134】
図39Aは、中立位置に位置している上部及び下部プラテン3910、3915を示している。図39Bに示されているように、下部プラテン3915が固定維持されているときに、上部プラテン3910が巻線によってもたらされた力によって駆動されてもよい。図39Cにおいて、上部プラテン3910が固定維持されているときに、下部プラテン3915が巻線によってもたらされた力によって駆動されてもよい。
【0135】
いくつかの実施例において、例えば、図30−32に開示されていているように、専用の磁性プラテンうちの1つが搬送装置に固定されて、搬送装置自体の移動に使用されてもよい。これらの実施例において、他の専用磁性プラテンは、デバイスの駆動のために搬送装置に移動自在に設けられていてもよい。例えば、隣接するステーション内に他の搬送装置が存在する故に、x方向に沿って使用可能な空間が限られている実施例において、専用磁性プラテンは、磁性プラテンのさらに広い移動の範囲をもたらし、力及び位置分解能(force and position resolution)の要求を緩和する。
【0136】
図40は、回転する構成の駆動システムを示している。この実施例において、4つの独立した推進巻線が、図37及び38の実施例と同様に、4つの増幅器チャンネルによって各々駆動される。4つの独立した推進巻線は、4つのx方向の力(FxLF、FxRF、FxLR、FxRR)を生成する。
【0137】
この実施例において、搬送装置4005は、独立して回転するが、中心で互いに結合されているロータ4010、4015のペアを含んでいてもよい。x方向の力は、アームの駆動のためにロータ4010、4015のペアに作用するモーメントを生成し、追加の2つの自由度を提供する。さらに、推進巻線は、案内力を生成可能である。
【0138】
浮揚制御及びピッチ/ロール安定化は、浮揚巻線によってなされ、この浮揚巻線は、案内力を生成してもよい。浮揚制御及びピッチ/ロール安定化は、図30−38に示されている実施例のうちの任意の1つと同様な浮揚巻線を使用してもよい。搬送装置4005は、上手く通り抜けることが可能であってもよい。
【0139】
巻線はロータと相互作用して、リフト巻線の構成に応じて、閉ループ、開ループまたはこれらの組み合わせを使用して搬送装置4005のx、yF、yR、RzF、RzR座標を制御する。
【0140】
この巻線はロータとも相互作用し、以下の力を搬送装置4005に与える。
【0141】
x=FxLF+FxRF+FxLR+FxRRは、ローレンツ力として与えられ;
yF=FyLF+FyRF、FyR=FyLR+FyRRは、ローレンツまたはマクスウェル力として与えられ、
zF=r(FxLF+FxRF)、MzR=(FxLR+FxRR)、r=radius
zLF、FzRF、FzLR、FzRRは、ローレンツ力として与えられる。
【0142】
例えば、図2−7において説明された処理装置において使用される場合、搬送装置22、22A、3005、3305、4005は、ステーションにおいて待機している間は固定維持されてもよい。いくつかの実施例において、これは、浮揚巻線が一定に電圧を掛けられることをもたらしてもよい。駆動システムの1または複数の実施例は、追加の強磁性エレメントを使用して、搬送装置が待機している間に浮揚巻線によって生成される継続的な力を減少させても良い。
【0143】
図41の実施例は、搬送装置上の永久マグネットの磁界に曝される強磁性固定レール4105のグリッドを使用してもよい。1つの例として、搬送装置3305は、グリッド4105内の3つの異なった位置に示されている。この実施例は、任意の適切な搬送装置と共に使用されてもよい。この例において、グリッド4105は、磁性プラテン3450及び3460の磁界に曝されている。この実施例は単一のグリッドを示しているが、任意の適切な数のグリッドが使用されてもよい。他の実施例において、2つのグリッドが搬送装置3305の近接する互いに反対にある側部に配されて、搬送装置の互いに反対にある側部において磁性プラテンと相互作用してもよい。
【0144】
搬送装置3305が位置を維持する場合、磁性プラテン3450、3460と強磁性グリッド4105との間の受動的な力は、搬送装置3305の重量とバランスする。このグリッドは、強磁性材料をもたらす1つの軸に沿った多数の水平レール4110、4120を含んで、搬送装置が1つの経路を移動することを可能にしてもよい。グリッドを横切るスムーズな変更、例えば、ある垂直方向高さから他の垂直方向高さへの変更、を可能にするために、追加の強磁性レール4115、4125が提供されてもよい。位置Aにおいて、水平レール4120を移動している搬送装置が示されている。位置Bは、グリッドがどのように構成されて、複数の高さ間の遷移が可能にされているかを示している。位置Cは、搬送装置3305がステーションにおいて待機していてもよい例示の維持位置であってもよい。
【0145】
磁性プラテン3450、3460とレール4110、4115、4120、4125との間の引力は、電源喪失事態における安全な降下・着床に使用され得る水平成分を含んでいる。
【0146】
代替実施例は、図42A及び図42Bに示されているような磁気ラッチング機構4205を含んでいてもよい。この実施例において、搬送装置において上方に作用する受動的な力のピークFzupは、磁気ラッチング機構によって生成される下方への受動的力Fzdよりも実質的に大きくてもよい。Fzdnは、ラッチング機構無しの実施例と比較した増分力の増加(incremental force increase)を表している。換言すれば、カートをより低い高さからより高い高さに移動させるのに必要なピーク力は、重力及びFzdnを加えたものを超えることを必要とし、いくつかの実施例において、カートを加速させるのに必要な力を含んでもよい。ラッチング機構の磁性プラテン3450、3455と強磁性エレメント4210、4215は、電源喪失において安全な降下・着床手段を提供してもよい。
【0147】
本明細書において開示されている実施例の各々は、固定巻線の1または複数のパターンを使用してもよく、この例は、図43Aに示されている。図43Aに示されているパターンは、使用されてもよい巻線の異なったアセンブリまたは構成を表し、巻線のセットは、1つのパターンまたはパターンの組み合わせを含んでもよい。
【0148】
開示された実施例は、磁性プラテンの1または複数のパターンを含んでいてもよく、これらの例は、図43Bに示されている。磁性プラテンは、単一のパターンまたはパターンの組み合わせを含んでいてもよい。図43Cにおいて、表1は、巻線パターンの各々の説明を含んでおり、表2は、磁性プラテンパターンの各々の説明を含んでいる。図3は、本明細書において説明されている駆動システムの実施例において共に使用されてもよい、巻線パターン及びマグネットパターンの様々な組み合わせの多数の非限定的な例を示している。
【0149】
従って、開示された実施例は、1または複数の実施例において、専用の案内巻線の必要なしに、案内のために使用される推進巻線及び浮揚巻線を提供してもよく、1または複数の実施例において、受動的磁力を使用する片側駆動構成、受動的磁力を使用する受動的浮揚並びにピッチ及びロール安定化を提供してもよい。開示された実施例は、位相コミュテーションを使用する開ループ浮揚、ピッチ及びロール安定化、デバイスを駆動するための垂直方向に分割されたマグネットを用いた駆動構成、及び直接回転アーム駆動のための、コーナーの通過性能を伴う駆動構成を提供してもよい。さらに、実施例は、強磁性レールを使用して受動的にバランスされている浮揚機能、磁気ラッチング機構に基づいて受動的にバランスされている浮揚機能、及び、例えば、従来のデュアルチャンネルモータ増幅器において実施されている場合の分離された閉ループ位置制御を含んでもよい。
【0150】
上述の説明は、開示された実施例の単なる例示であることが理解されるべきである。様々な代替例及び変形例は、本明細書において開示された実施例から逸脱することなく当業者によって考案され得る。従って、本開示の実施例は、添付の特許請求の範囲内にある全ての代替例、変形例及び変更例を包含することを目的としている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置の駆動システムであって、
前記搬送装置に接続されている複数の永久マグネットと、
前記複数の永久マグネットのうちの少なくとも1つの磁界に曝されている複数の固定巻線と、
前記固定巻線に電圧を加えて前記搬送装置に磁力を提供する制御システムと、
前記搬送装置の少なくとも片側に近接して設けられて、前記搬送装置の浮揚、ピッチ及びロールの受動的安定化をもたらす強磁性コンポーネントの配列と、
を含むことを特徴とする駆動システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動システムであって、前記強磁性コンポーネントの配列が、前記複数の永久マグネットの他の少なくとも1つ及び1または複数の強磁性エレメントを含むことを特徴とする駆動システム。
【請求項3】
請求項1に記載の駆動システムであって、前記1または複数の強磁性エレメントが、前記複数の固定巻線の一部として形成されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項4】
請求項1に記載の駆動システムであって、前記固定巻線が前記搬送装置の片側に近接していることを特徴とする駆動システム。
【請求項5】
請求項1に記載の駆動システムであって、前記固定巻線が前記搬送装置の互いに反対にある側部に近接していることを特徴とする駆動システム。
【請求項6】
請求項1に記載の駆動システムであって、前記複数の永久マグネットは、前記搬送装置の第1及び第2の互いに反対にある側部に配されている磁性プラテンを含んでいることを特徴とする駆動システム。
【請求項7】
請求項6に記載の駆動システムであって、前記磁性プラテンが、前記巻線と向き合っている交互に配された磁極を有するマグネットの配列を含むことを特徴とする駆動システム。
【請求項8】
請求項6に記載の駆動システムであって、前記固定巻線が、
前記搬送装置の前記第1及び第2の対向側部に近接した推進巻線と、
前記搬送装置の前記第1及び第2の対向側部に近接した浮揚巻線と、
を含むことを特徴とする駆動システム。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動システムであって、前記搬送装置の前記第1の対向側部に近接している前記推進及び浮揚巻線が、前記搬送装置の前記第2の対向側部に近接している推進及び浮揚巻線の各々からオフセットしていることを特徴とする駆動システム。
【請求項10】
請求項8に記載の駆動システムであって、前記制御システムが、前記推進巻線を駆動して前記搬送装置の前記互いに反対にある側部に平行な推進力を生成し、かつ前記浮揚巻線を駆動して前記推進力と垂直な浮揚力を生成する制御電子機器を含むことを特徴とする駆動システム。
【請求項11】
請求項8に記載の駆動システムであって、前記制御システムが、前記推進巻線を駆動して前記推進及び浮揚力と直交している第1の案内力を生成し、かつ前記浮揚巻線を駆動して前記第1の案内力と反対方向の第2の案内力を生成する制御電子機器を含むことを特徴とする駆動システム。
【請求項12】
請求項8に記載の駆動システムであって、前記制御システムが、前記推進巻線を駆動して前記推進及び浮揚力と直交する第1及び第2の対向する案内力を生成する制御電子機器を含むことを特徴とする駆動システム。
【請求項13】
請求項8に記載の駆動システムであって、前記制御システムが、前記推進及び浮揚巻線を駆動して、ローレンツ力として推進及び浮揚力を生成する制御電子機器を含むことを特徴とする駆動システム。
【請求項14】
請求項8に記載の駆動システムであって、前記制御システムが、前記推進及び浮揚巻線を駆動して、マクスウェル力として案内力を生成する制御電子機器を含むことを特徴とする駆動システム。
【請求項15】
処理装置であって、
搬送チャンバと、
前記搬送チャンバと連通結合している少なくとも1つの処理モジュールと、
前記搬送チャンバと前記処理モジュールとの間でワークピースを搬送する搬送装置と、
前記搬送チャンバを通して前記搬送装置を移動させるために磁力を提供する駆動システムと、を含み、
前記駆動システムが、
前記搬送装置に接続されている複数の永久マグネットと、
前記複数の永久マグネットのうちの少なくとも1つの磁界に曝されている複数の固定巻線と、
前記固定巻線に電圧を加えて前記搬送装置に磁力を提供する制御システムと、
前記搬送装置の少なくとも片側に近接して設けられて、前記搬送装置の浮揚、ピッチ及びロールの受動的安定化をもたらす強磁性コンポーネントの配列と、
を含むことを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図25】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図28D】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図34C】
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【図34D】
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【図35A】
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【図35B】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【図40】
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【図41】
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【図42A】
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【図42B】
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【図43A】
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【図43B】
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【図43C】
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【公表番号】特表2012−511812(P2012−511812A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539806(P2011−539806)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/067309
【国際公開番号】WO2010/077727
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(398029692)ブルックス オートメーション インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】