説明

基板処理装置

【課題】基板搬送を効率良く行うことで、基板処理のスループットを向上する技術を提供する。
【解決手段】基板9を処理する基板処理装置100である。基板処理装置100は、外部から基板を受け入れる基板受入部1と、基板9に処理液を塗布する塗布部2と、処理液が塗布された基板9を乾燥させる乾燥部3と、基板9を外部に払い出す基板払出部4とを備えている。また、基板処理装置100は、基板受入部1にある複数の基板9を同時に塗布部2に搬送する搬送機構5と、塗布部2において処理液が塗布された複数の基板9を同時に乾燥部3へ搬送する搬送機構6と、乾燥部3にて乾燥された複数の基板9を同時に基板払出部4へ搬送する搬送機構7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーフィルターや半導体ウェハに対して、レジスト等の処理液を塗布処理する基板処理装置が知られている。
【0003】
このような基板処理装置においては、基板処理のスループットを向上するために、複数の塗布装置または複数の乾燥装置を設けることが提案されている(例えば特許文献1および特許文献2)。
【0004】
より具体的に、特許文献1では、処理液を塗布する複数の回転系ユニットが搬送装置の搬送経路に沿って並設され、また、処理液が塗布された基板を乾燥させる複数の熱型ユニットが多段に積み重ねて配置される基板処理装置が開示されている。また特許文献2では、一方向に延びる吐出口を有する塗布液吐出装置を複数台備えた塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−351852号公報
【特許文献2】特開平10−216599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の基板処理装置では、塗布装置または乾燥装置への各処理部への基板の搬送が1枚ずつ行われる。したがって、同時に複数の基板を各処理部に対して搬送することができないため、基板処理のスループットが低下する虞があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板搬送を効率良く行うことで、基板処理のスループットを向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、基板を処理する基板処理装置において、外部から基板を受け入れる基板受入部と、前記基板に処理液を塗布する塗布部と、前記基板受入部にある複数の前記基板を同時に前記塗布部に搬送する搬送機構を含む搬送系統とを備える。
【0009】
また、第2の態様は、第1の態様に係る基板処理装置において、前記塗布部は、前記複数の基板に対して同時に処理液を塗布する。
【0010】
また、第3の態様は、第1または2の態様に係る基板処理装置において、前記塗布部において前記処理液が塗布された基板を乾燥させる乾燥部、をさらに備える。
【0011】
また、第4の態様は、第3の態様に係る基板処理装置において、前記乾燥部は、複数の前記基板を同一空間内に保持するチャンバーを備えており、前記チャンバー内において、前記処理液が塗布された複数の前記基板が同時に乾燥される。
【0012】
また、第5の態様は、第3または4の態様に係る基板処理装置において、前記搬送系統は、複数の前記基板を同時に前記乾燥部へ搬送する搬送機構をさらに含む。
【0013】
また、第6の態様は、第1から5までのいずれか1項の態様に係る基板処理装置において、前記塗布部は、一方向に延びるスリット状の吐出口から処理液を吐出するスリットノズルと、前記スリットノズルを前記基板に対して相対的に移動させる相対移動機構とを備える。
【0014】
また、第7の態様は、第6の態様に係る基板処理装置において、前記スリットノズルには、前記吐出口が複数形成されており、前記スリットノズルの複数の前記吐出口の間に、凹部が形成されている。
【0015】
また、第8の態様は、第1から7までのいずれか1項の態様に係る基板処理装置において、前記搬送系統は、複数の前記基板の上方を移動するための移動機構と、複数の前記基板を上方から接近して支持する基板支持部とを有する搬送機構を含む。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様に係る基板処理装置によると、複数の基板を同時に塗布部に搬入することによって、基板を効率的に搬送することができる。したがって、基板処理装置による基板処理のスループットを向上することができる。
【0017】
また、第2の態様に係る基板処理装置によると、複数の基板に処理液を同時に塗布することで、基板処理のスループットを向上することができる。
【0018】
また、第3の態様に係る基板処理装置によると、処理液が塗布された基板を効率的に乾燥させることができる。
【0019】
また、第4の態様に係る基板処理装置によると、複数の基板を同時に乾燥させることで、スループットを向上することができる。
【0020】
また、第5の態様に係る基板処理装置によると、複数の基板を乾燥部へ搬送することができるため、基板処理のスループットを向上することができる。
【0021】
また、第6の態様に係る基板処理装置によると、スリット状の吐出口から処理液を吐出しながらスリットノズルを基板に対して移動させることにより、効率的に基板に処理液を塗布することができる。
【0022】
また、第7の態様に係る基板処理装置によると、複数の吐出口が形成されているスリットノズルを用いることによって、一度に複数の基板に処理液を塗布することができる。また、複数形成されている吐出口の間に凹部が形成されていることにより、吐出口間で処理液が連通することを抑制することができる。したがって、吐出口周辺に処理液が留まることを抑制できると共に、吐出口周辺を清浄に保つことができる。
【0023】
また、第8の態様に係る基板処理装置によると、搬送機構が基板の上方を移動するため、搬送機構が装置内に占める面積を小さくすることができる。したがって、基板処理装置が占める面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る基板処理装置の概略平面図である。
【図2】第1実施形態に係る塗布部を(+X)側から見たときの概略正面図である。
【図3】第1実施形態に係るスリットノズルの下端側の一部分を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の変形例に係る塗布部を(+X)側から見たときの概略正面図である。
【図5】第1実施形態に係る基板処理装置における基板処理のタイムチャートを示す図である。
【図6】第2実施形態に係る基板処理装置の概略平面図である。
【図7】第2実施形態に係る搬送機構の概略側面図である。
【図8】第2実施形態に係る基板処理装置の変形例を示す概略平面図である。
【図9】第3実施形態に係る基板処理装置の概略平面図である。
【図10】第4実施形態に係る基板処理装置の概略平面図である。
【図11】第4実施形態に係る基板受入部の2枚の基板を搬送する搬送シャトル5Cの概略平面図である。
【図12】図11に示したXII−XII線断面図である。
【図13】第5実施形態に係る基板処理装置の概略平面図である。
【図14】第5実施形態に係る基板処理装置を(+X)側から見た概略側面図である。
【図15】2枚の基板を塗布処理する第5実施形態に係るスリットノズルの移動軌跡を示す塗布部の概略側面図である。
【図16】2枚の基板を塗布処理する第5実施形態に係るスリットノズルのその他の移動軌跡を示す塗布部の概略側面図である。
【図17】第6実施形態に係る基板処理装置の概略平面図である。
【図18】第6実施形態に係る基板処理装置を(+X)側から見たときの概略側面図である。
【図19】第7実施形態に係る基板処理装置の概略平面図である。
【図20】第7実施形態に係る基板処理装置を(+X)側から見たときの概略側面図である。
【図21】第8実施形態に係る基板処理装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る基板処理装置100の概略平面図である。基板処理装置100は、半導体基板、フォトマスク用基板、カラーフィルター用基板、光ディスク用基板、太陽電池用基板などの各種基板(以下、単に「基板」と称する)9にレジスト液などの各種処理液を塗布した後、該基板9を乾燥することにより、基板9の表面に薄膜を形成する装置として構成されている。なお、本実施形態では、基板9は、長方形(正方形を含む。)であるものとするが、形状はこれに限定されるものではなく、例えば円形(楕円形を含む)などその他の形状であってもよい。
【0027】
図1に示したように、基板処理装置100は、基板受入部1、塗布部2、乾燥部3、基板払出部4、搬送機構5,6,7および制御部8を備えている。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく、必要に応じて(−Z)軸方向を鉛直方向としXY平面を水平面とする左手系のXYZ直交座標系が付されている。また基板処理装置100においては、基板9の処理の段階が進むにつれて、基板9が一方向へ搬送される。本実施形態では、この基板9の搬送される方向を(+Y)方向とする。また、塗布部2が備えるスリットノズル21は、基板9に対して一方向へ移動して処理液を塗布する。本実施形態では、このスリットノズル21の移動方向を(+X)方向とする。また本実施形態では、鉛直方向上向きが(+Z)方向とされている。ただしこれらの方向関係は、基板処理装置100の構成の配置関係を説明するために便宜上定義されたものあり、本願発明を限定する趣旨のものではない。
【0028】
{基板受入部1}
基板受入部1は、塗布部2に搬入する複数の基板9を外部から受け入れて、一時的に取り置く場所を提供する装置である。基板処理装置100においては、処理すべき複数の基板9が、図示しない搬送機構によって、外部から基板受入部1に搬入される。このとき、1枚ずつ基板9が搬入されるようにしてもよいし、同時に複数の基板9が搬入されるようにしてもよい。本実施形態に係る基板受入部1は、2枚の基板9,9をY方向並べて同時に保持できる程度の広さの保持面を有するステージ11を備えている。
【0029】
基板受入部1から基板9を搬出する場合、ステージ11の保持面から複数のリフトピン111が突出することにより、基板9が上方に持ち上げられる。そして、搬送機構5が(−X)方向へ移動することにより、基板9の下方に搬送機構5が備える複数の支持部材511が進入する。そして、リフトピン111が下降する(または支持部材511が上昇する)ことによって、基板9がリフトピン111から複数の支持部材511に受け渡される。このようにして搬送機構5は、塗布処理前の2枚の基板9,9を同時に持ち上げ、(+Y)方向へ移動して2枚の基板9,9を同時に塗布部2に搬入する。ここで、2枚の基板9,9を同時に搬送するとは、2枚の基板9,9が少なくとも同一のタイミングで塗布部2等への移動が開始されるということを意味するものとする。
【0030】
{塗布部2}
図2は、第1実施形態に係る塗布部2を(+X)側から見たときの概略正面図である。また図3は、第1実施形態に係るスリットノズル21の下端側の一部分を示す斜視図である。スリットノズル21は、架橋構造22に取り付けられている。架橋構造22は、(+Y)側および(−Y)側に配置される2枚の支柱部221,221と、これらの支柱部221,221に架け渡されており、スリットノズル21を支持する支持部222とを備えている。架橋構造22は、2枚の基板9,9が載置されるステージ23の上方をY軸に関して跨ぐように設けられている。
【0031】
架橋構造22の両側の支柱部221,221の下端部には、移動子と支持台24に固定された固定子(ステーター)とで構成される一対のACコアレスリニアモータ(以下、単に「リニアモータ」と称する。)25を備えている。リニアモータ25を駆動することによって架橋構造22がX軸に沿って移動する。これにより、塗布部2は、ステージ23に載置された基板9,9に対して、スリットノズル21をX軸に沿って相対移動させることができる。つまり、リニアモータ25は、相対移動機構を構成する。
【0032】
また、支柱部221,221は、支持部222をZ軸に沿って上下に昇降させるための昇降機構26を備えている。昇降機構26は、例えば、ボールネジとボールネジを回転させるモータと、ボールネジに螺合するネジ孔が形成されたナット部材とで構成されている。昇降機構26は、モータによりボールネジを回転させることによって、ナット部材をZ軸に沿って昇降させる。支持部222の両端部は、支柱部221,221に内蔵された昇降機構26のナット部材に連結されているため、ナット部材の昇降に応じて支持部222も上下に昇降する。これにより、塗布部2は、スリットノズル21をZ軸に沿って上下に昇降させることができる。なお、その他の構成によって昇降機構26が実現されていてもよい。
【0033】
スリットノズル21は、ステージ23上にY軸沿って並列配置された2枚の基板9,9の幅よりも若干長く延在する長尺部材である。スリットノズル21は、導管271を介して、処理液を供給する処理液供給ポンプ27に接続されている。処理液供給ポンプ27から処理液がスリットノズル21に供給されると、処理液がスリットノズル21の内部を通って、スリットノズル21の下端部に形成されている2つの吐出口211,211からそれぞれ処理液が吐出される。
【0034】
吐出口211はY軸に沿って延在しており、基板9に処理液を塗布する塗布領域の大きさに対応する長さとなっている。なお、この塗布領域は、一般的には、基板9の表面のうち、周縁の一部分を除いた領域とされる。昇降機構26がスリットノズル21を(−Z)方向に下降させることによって、スリットノズル21の吐出口211,211を基板9,9のそれぞれに近接させることができる。
【0035】
スリットノズル21の吐出口211,211の間には、(+Z)方向に切り欠かれた凹部213が形成されている。吐出口211が形成されているスリットノズル21の下端面は、リップ面214を形成している。両側の吐出口211,211から処理液が吐出されると、それぞれのリップ面214,214に処理液が付着する。このとき、凹部213が形成されていない場合、両側のリップ面214,214に付着した処理液が相互につながる場合がある。このような状態で、塗布処理を行うと、ステージ23に載置された基板9,9の間の位置に処理液が付着してしまう虞がある。これに対して、スリットノズル21では、凹部213によってスリットノズル21の下端面が2つのリップ面214,214に分断される。このため、凹部213にて処理液を分断させることができるため、同時に2枚の基板9,9に対して良好に処理液を塗布することができる。
【0036】
塗布部2において基板9,9に処理液を塗布する場合、上述したように基板受入部1から2枚の基板9,9を受け取った搬送機構5が、基板9,9をステージ23上に搬送する。このとき、ステージ23の上面から、複数のリフトピン231が上方へ突出する。そして搬送機構5が複数の支持部材511を下降させる(または、複数のリフトピン231を上昇させる)ことによって、基板9,9が複数のリフトピン231の上端部へ受け渡される。その後、搬送機構5は、(+X)方向へ後退し、複数のリフトピン231が下降することで、基板9,9がステージ23上に載置される。このようにして、塗布部2に複数の基板9が同時に搬入される。
【0037】
そして、基板9,9がステージ23に載置される際、ステージ23の上面に形成された図示しない吸着孔を介して、基板9,9がステージ23に吸着固定される。この状態でスリットノズル21が基板9,9の(+X)側(または−X側)の塗布領域端部の上方に配置される。そして、処理液供給ポンプ27から処理液を供給しつつ、かつ、リニアモータ25を駆動することによって、基板9,9の塗布領域に処理液を塗布する。このように、スリットノズル21がステージ23に載置された基板9,9上を走査することによって、同時に2枚の基板9,9に対して処理液が塗布される。
【0038】
塗布処理が完了すると、塗布部2は再び複数のリフトピン231を上昇させることで、基板9をステージ23から持ち上げる。そして搬送機構6の複数の支持部材611が基板9の下側に進入して、該複数の支持部材611が上昇(または、リフトピン231が下降)する。これにより、基板9,9が搬送機構6に受け渡される。
【0039】
図4は、第1実施形態の変形例に係る塗布部2aを(+X)側から見たときの概略正面図である。塗布部2aは、図1または図2に示した塗布部2に設けられているスリットノズル21の代わりに、2つのスリットノズル21a,21aを備えたものとなっている。塗布部2aにおいては、図4に示したように、ステージ23に載置された基板9,9のそれぞれに対応する位置に、スリットノズル21a,21aがそれぞれ設けられている。そして、処理液供給ポンプ27からスリットノズル21a,21aのそれぞれに処理液が供給されることで、2枚の基板9,9に同時に処理液が塗布される。このような塗布部2aを基板処理装置100に適用することが可能である。
【0040】
{乾燥部3}
再び図1に戻って、乾燥部3は、基板9に塗布された処理液を乾燥させて、基板9に薄膜を形成させる。乾燥部3は、2枚の基板9,9を同時に収納する略直方体状のチャンバー31を備えている。チャンバー31は、図示しないフレームで支持された蓋部によってその上部が覆われている。該蓋部を上下方向(Z軸)に上昇させることによって、チャンバー31が開放され、その内部に2枚の基板9,9を収納することが可能となる。
【0041】
チャンバー31内部には、チャンバー31内の温度を上昇させるヒーターが設けられており、また、チャンバー31内部を減圧する真空ポンプなどの減圧手段が接続されている。チャンバー31内の載置台(図示せず。)に基板9,9が載置されると、蓋部を下降させることでチャンバー31が略密閉される。この状態で減圧手段を駆動させることによって、チャンバー31内が減圧され、また、ヒーターを駆動させることによって基板9,9が加熱される。これにより、基板9の表面に塗布された処理液を乾燥させることができる。
【0042】
乾燥部3の場合、チャンバー31によって複数の基板9(ここでは2枚の基板9,9)を同一空間内に同時に収納して減圧乾燥する。このため、1枚ずつ基板9を乾燥処理する場合に比べて効率よく基板を処理することができる。また、乾燥部3の場合、チャンバー31や真空ポンプなど減圧手段を少なくとも1台分設けることで複数の基板9を同時に処理できる。したがって、1枚ずつ乾燥処理するチャンバーを複数台用意する場合に比べて、装置コストの抑制や装置サイズの縮小化を図ることができる。ただし、乾燥部3の代わりに、基板9を1枚ずつ乾燥させるチャンバーを複数台備えた乾燥部を基板処理装置100に適用することは妨げられない。
【0043】
乾燥部3への基板9,9の搬送は、搬送機構6によって行われる。塗布部2にて塗布処理が完了した基板9,9を受け取った搬送機構6は、(+Y)方向へ移動し、基板9,9をチャンバー31内に搬送する。そして、チャンバー31内の基板を載置する載置面から突出させた複数のリフトピン311に基板9,9が渡される。さらに、搬送機構6が(+X)方向へ後退し、複数のリフトピン311が下降することで、チャンバー31内に基板9,9が載置される。
【0044】
また乾燥処理が完了した基板9,9は、複数のリフトピン311によって持ち上げられ、搬送機構7が備える複数の支持部材711に受け渡される。そして搬送機構7が(+Y)方向に移動することで、基板9,9が基板払出部4に搬送される。
【0045】
{基板払出部4}
基板払出部4は、2枚の基板9,9が同時に載置されるステージ41を備えている。乾燥部3にて乾燥処理を終えた基板9,9は、一旦基板払出部4に載置され、図示しない搬送手段によって、外部に払い出される。このとき、基板9,9が1枚ずつ払い出されるようにしてもよいし、同時に2枚の基板9,9が払い出されるようにしてもよい。
【0046】
搬送機構7は、乾燥部3から受け取った基板9,9を基板払出部4に搬送する。このとき、複数のリフトピン411がステージ41の上面から上方に突出する。そして搬送機構7が複数の支持部材711を下降させることによって(または、複数のリフトピン411を上昇させることによって)、基板9,9が複数の支持部材711から複数のリフトピン411の上端部へと受け渡される。そして搬送機構7が(+X)方向に後退し、リフトピン411が下降することで基板9,9がステージ41に載置される。
【0047】
{搬送機構5,6,7}
搬送機構5,6,7は、基板処理装置100において基板9を搬送するための基板搬送系統を構成する。搬送機構5,6,7は、2枚の基板9,9を同時に保持して、これらを各処理部間で搬送する。搬送機構5,6,7は、基板受入部1,塗布部2,乾燥部3および基板払出部4の(+X)側に配置されている。搬送機構5,6,7は、X軸およびY軸に沿って移動するための移動機構を備えている。
【0048】
搬送機構5,6,7は、基板9,9を保持する長尺の支持部材511,611,711を複数備えている。図1に示した例では、各搬送機構5,6,7は、支持部材511,611,711をそれぞれ4本ずつ備えており、2本の支持部材511,611,711にて1枚の基板9を搬送する。なお、支持部材511,611,711の数量は、適宜変更することができる。
【0049】
既に述べたように、搬送機構5は、基板受入部1に載置された基板9,9を搬出して、塗布部2に搬入する。また、搬送機構6は、塗布部2にて塗布処理が完了した基板9,9を搬出して、乾燥部3に搬入する。そして搬送機構7は、乾燥部3にて減圧乾燥が完了した基板9,9を搬出して、基板払出部4に搬入する。
【0050】
{制御部8}
制御部8は、CPUおよびRAMを備えた一般的なコンピュータとして構成されている。制御部8は、基板受入部1、塗布部2、乾燥部3、基板払出部4および搬送機構5,6,7と電気的に接続されている。制御部8は、これら各部に制御信号を送信の動作を制御する。制御部8の制御に基づいて、基板処理装置が備える各要素が動作する。
【0051】
本実施形態では、制御部8は例えば搬送機構5,6,7に対して制御信号を出力する。つまり、1台分の制御信号を搬送機構5,6,7のそれぞれに送信することで、各搬送機構5,6,7は同時に2枚の基板9,9を搬送する。
【0052】
以上が、基板処理装置100の構成および機能についての説明である。次に、基板処理装置100における基板処理のフローについて説明する。
【0053】
図5は、第1実施形態に係る基板処理装置100における基板処理のタイムチャートを示す図である。なお、図5においては、左側の列に基板処理装置100の各動作項目が示されており、横軸は時間を示している。また、1マス分が1処理単位時間に相当する。なお、この1処理単位時間の具体的な時間の長さは、基板9の処理条件(処理液の種類や形成する薄膜の厚さなど)や各処理部の処理能力(架橋構造22の移動速度やスリットノズル21の単位時間当たりの処理液の吐出量、またはチャンバー31の加熱能力など)、または、搬送機構の基板搬送速度等を考慮して適宜に設定されるものである。
【0054】
ここで、「基板受入(1)」〜「基板受入(4)」は、基板処理装置100が1枚目〜4枚目の基板9のそれぞれを外部から基板受入部1に受け入れる動作を示す。「塗布部への搬入」は、搬送機構5が基板受入部1に載置された2枚の基板9,9を塗布部2に搬入する動作を示す。「塗布処理」は、塗布部2が2枚の基板9,9に塗布処理を行う動作を示す。「塗布部から搬出」は、搬送機構6が塗布処理を終えた2枚の基板9,9を塗布部2から搬出して、乾燥部3に搬送する動作を示す。「減圧乾燥」は、乾燥部3において2枚の基板9,9を同時に減圧乾燥する動作を示す。「乾燥部から搬出」は、搬送機構7が乾燥処理を終えた2枚の基板9,9を乾燥部3から搬出して、基板払出部4に基板9,9を搬送する動作を示す。
【0055】
基板処理装置100においては、「基板受入(1)」〜「基板受入(4)」、「塗布部へ搬入」、「塗布部から搬出」、「乾燥部から搬出」の各動作に要する時間が、1マス分の処理単位時間(つまり1処理単位時間)とされ、「塗布処理」および「減圧乾燥」の動作時間については、2マス分の処理単位時間(つまり2処理単位時間)とされている。
【0056】
また、基板処理装置100では、1枚目の基板9と2枚目の基板9が、塗布部2にて塗布処理されているときに(「塗布処理」)、基板受入部1に3つ目の基板9および4つ目の基板9がそれぞれ搬入される(「基板受入(3)」、「基板受入(4)」)。このようなタイミングで、処理すべき基板9が外部から基板処理装置100に順次搬入される。
【0057】
図5に示した例では、1枚目および2枚目の基板9,9の塗布処理が開始されてから(時間T1)、次の3つ目および4つ目の基板9,9の塗布処理が開始されるまで(時間T2)、3マス分の処理単位時間(3処理単位時間)となっている。つまり、基板処理装置100では、3処理単位時間毎に、2枚の基板9,9を塗布処理されることとなる。したがって、基板処理装置100は、1.5処理単位時間毎に1枚の基板9を処理することができることとなる。つまり、基板処理装置100においては、1枚ずつ基板9を処理する場合に比べて、半分のタクトタイムで基板9を処理することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る基板処理装置100によると、搬送機構5、搬送機構6または搬送機構7のそれぞれが、複数の基板9を保持する。このため、基板受入部1から塗布部2への基板搬送、塗布部2から乾燥部3への基板搬送、または、乾燥部3から基板払出部4への基板搬送において、同時に複数の基板9を搬送することができる。このように基板処理装置100においては、基板搬送を効率良く行うことができるため、基板処理のスループットを向上することができる。
【0059】
仮に搬送機構5,6,7を1枚ずつ搬送する搬送機構で代用した場合、複数の基板9を同時に搬送するためには、多数の搬送機構を用意する必要がある。このような場合、搬送機構の装置コストが増大するとともに、制御対象が増大してしまうこととなる。これに対して、搬送機構5,6,7のように、1台の搬送機構で複数の基板9を搬送することで、移動機構などの装置構成を単一化でき、また、搬送系統に関する制御を単純化できる。したがって、基板処理装置のトータルコストを抑えることができる。
【0060】
<2. 第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る基板処理装置100Aの概略平面図である。なお、以下の説明において、第1実施形態の場合と同様の機能を有する要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
基板処理装置100Aは、基板受入部1A、基板払出部4A、搬送機構5Aを備えている。基板処理装置100Aにおいても、第1実施形態に係る基板処理装置100と同様に、2枚の基板9,9が同時に塗布部2,乾燥部3などに搬送される。しかしながら、塗布部2または乾燥部3への基板搬送が1台の搬送機構5Aで実現されている点が、基板処理装置100と異なり、また、搬送機構5Aの搬送態様に合わせて基板受入部1A,塗布部2、乾燥部3および基板払出部4Aの配置位置が設定されている。
【0062】
基板受入部1Aは、塗布部2に搬送する2枚の基板9,9を外部から受け入れて一時的に取り置く機能を有する。基板受入部1Aの(−Y)側は、基板9の搬入を受ける領域(受入領域R11)となっており、基板受入部1Aの(+Y)側は、基板9を搬送機構5Aに受け渡す領域(受渡領域R12)となっている。基板受入部1Aの受入領域R11には、X軸に関して所要間隔をあけて配置された複数の搬送ローラ12が設けられている。また、基板受入部1Aの受入領域R11および受渡領域R12の双方に、Y軸に関して所要間隔をあけて配置された複数の搬送ローラ13が設けられている。
【0063】
搬送ローラ12は、Y軸に沿って延びる回転軸121と、回転軸121に分散して固定された複数の円板状部材123とで構成されている。図示しないモータによって回転軸121が回転することによって、円板状部材123が回転する。これにより、搬送ローラ12は、円板状部材123にて支持している基板9をX軸に沿う方向(ここでは、+X方向)に搬送する。
【0064】
搬送ローラ13は、X軸に沿って延びる回転軸131と、回転軸131に分散して固定された複数の円板状部材133とで構成されている。回転軸131が図示しないモータからの駆動力によってX軸周りに回転することで、円板状部材133が方向に回転する。これにより、搬送ローラ13は、円板状部材133にて支持七得る基板9をY軸に沿う方向(ここでは、+Y方向)に搬送する。
【0065】
また、搬送ローラ12は、図示しない昇降機構に接続されており、搬送ローラ13に対して、Z軸に沿って上下に昇降するように構成されている。搬送ローラ12によって基板9を(+X)方向へ搬送する場合には、搬送ローラ12を所要の高さ位置に上昇させる。これにより、基板9を搬送ローラ13の円板状部材133に接触させずに、(+X)方向へ移動させることができる。また、搬送ローラ13で基板9を(+Y)方向へ搬送する場合には、搬送ローラ12を所要位置に下降させる。これにより、基板9を搬送ローラ12の円板状部材123に接触させずに、(+Y)方向へ移動させることができる。
【0066】
基板受入部1Aにおいては、受入領域R11の(−X)側に、基板9が搬入される。この基板9は、搬送ローラ12によって(+X)方向の所要位置へ搬送される。これにより、受入領域R11の(−X)側に、次の基板9を受け入れるスペースを設けることができる。このようにして基板受入部1Aは、1枚ずつ基板9を受け入れて、最終的に2枚の基板9を受入領域R11にて保持する。なお、受入領域R11の(+X)側に基板9が搬入される場合には、搬送ローラ12によって、基板9を(−X)方向へ搬送すればよい。
【0067】
基板受入部1Aは、2枚の基板9,9を受け入れると、搬送ローラ13を駆動することによって、これらの基板9,9を受渡領域R12に移動させる。受渡領域R12は、図6に示したように、搬送機構5Aに基板9,9を渡す領域となっている。
【0068】
なお、搬送ローラ12の代わりに、基板9を(+X)方向および(+Y)方向の両成分を持つ斜め方向へ搬送する搬送コンベアを設けてもよい。この場合、基板受入部1Aは、1枚目の基板9を上記斜め方向へ搬送し、もう1枚の基板9については搬送ローラ13によって(+Y)方向へ搬送する。この場合においても、2枚の基板9,9をX軸に沿って並列させた状態で、受渡領域R12に配置することができる。
【0069】
また、外部から基板受入部1Aに基板9を搬入する際に、1枚目と2枚目とで搬入位置が変更されるようにしてもよい。例えば1枚目の基板9が基板受入部1Aの(−X)側に搬入された後、2枚目の基板9が基板受入部1Aの(+X)側に搬入されるようにしてもよい。この場合、搬送ローラ12を省略することができる。
【0070】
基板払出部4Aは、基板払出部4と同様に、基板処理装置100Aにおいて処理が完了した基板9を外部に払い出すための基板9の載置場所を提供する。本実施形態に係る基板払出部4Aは、乾燥部3(より具体的には、チャンバー31)の下部に配置されている。つまり本実施形態では、乾燥部3と基板払出部4Aとが多段に重ねられて配置されている。
【0071】
基板払出部4Aの(−Y)側は、乾燥部3において減圧乾燥された複数の基板9,9を受け取る受取領域R41となっており、(+Y)側は、外部に基板9,9を払い出す払出領域R42となっている。受取領域41Rおよび払出領域42Rの双方には、複数の搬送ローラ13がY軸に沿って所要間隔をあけて設けられており、払出領域42Rには、搬送ローラ12がX軸に沿って所要間隔をあけて設けられている。
【0072】
基板払出部4Aに設けられている搬送ローラ12,13の構成は、基板受入部1Aに設けられている搬送ローラ12,13と略同一である。なお、搬送ローラ13は、Y軸に沿って並列された2枚の基板9,9を、払出領域R42まで搬送する。搬送ローラ12は、基板9をX軸に沿う方向(ここでは、−X方向)に搬送する。
【0073】
基板払出部4Aにおいては、払出領域R42の(−X)側から、1枚ずつ基板9が外部に払い出される。つまり、払出領域R42に搬送された2枚の基板9,9のうち、(−X)側の基板9がまず外部に払い出される。その後、搬送ローラ12によって(+X)側の基板9が(−X)側の空いたスペースに搬送され、そして外部に払い出される。
【0074】
なお、払出領域R42の(+X)側から基板9が外部に払い出されるようにしてもよい。この場合は、搬送ローラ12が払出領域R42の(−X)側の基板9を(+X)側に搬送するようにすればよい。
【0075】
また基板払出部4Aから基板を払い出す機構として、搬送ローラ12などのようにローラを利用する搬送機構、または、搬送機構5などのように基板9を持ち上げて運ぶ搬送機構などを採用することができる。
【0076】
図7は、第2実施形態に係る搬送機構5Aの概略側面図である。搬送機構5Aは、基板9保持する上ハンド51Aおよび下ハンド52Aと、上ハンド51Aおよび下ハンド52AをZ軸周りに一体的に旋回させる旋回機構53と、上ハンド51Aおよび下ハンド52Aを一体的に昇降させる昇降機構54とを備えている。
【0077】
上ハンド51Aは、先端に長尺の支持部材511が取り付けられた屈曲アーム512を備えている。また下ハンド52Aについても、先端に長尺の支持部材521が複数取り付けられた屈曲アーム522を備えている。屈曲アーム512,522は、2本のアーム部材で構成されている。2本のアーム部材は、相互の端部において、Z軸を回転軸として回転可能に連結されている。この連結部分を軸にして一方のアーム部材を他方のアーム部材に対して回転させることによって、2本のアーム部材が水平方向(XY平面に平行な方向)に関して延伸したり、屈曲したりする。これにより、搬送機構5Aは、屈曲アーム512,522の先端に取り付けられている複数の支持部材511または複数の支持部材521を前後に進退させる。
【0078】
搬送機構5Aは、基板受入部1Aの受渡領域R12から2枚の基板9,9を上ハンド51A(または下ハンド52A)で受け取り、90度旋回して(−X)側にある塗布部2に基板9,9を搬入する。このとき、塗布処理を終えた基板9が塗布部2にある場合は、基板9を保持していない下ハンド52A(または上ハンド51A)によってこれを搬出すればよい。
【0079】
また、搬送機構5Aは、塗布部2から基板9,9を受け取ると、90度旋回して(+Y)側にある乾燥部3に基板9,9を搬入する。このとき、既に乾燥処理を終えた基板9が乾燥部3にある場合は、基板9を保持していない上ハンド51A(または下ハンド52A)によってこれを搬出すればよい。
【0080】
また、搬送機構5Aは、乾燥処理後の2枚の基板9,9を塗布部2から取り出した後、基板9,9を下降させて基板払出部4Aの受取領域R41にこれを受け渡す。
【0081】
以上のように搬送機構5Aにより基板搬送を行うことにより、搬送時間を大幅に短縮することができるため、基板処理のスループットを向上することができる。また、1台の搬送機構5で複数の基板9の搬送を行うため、装置コストを抑制し得る。
【0082】
なお、搬送機構5Aは、上ハンド51Aおよび下ハンド52Aのうち一方だけを備えるようにしてもよい。この場合においても、2枚の基板9,9を同時に搬送することができるため、基板9を1枚ずつ運ぶよりも搬送効率が改善される。また基板9を1枚ずつ搬送する搬送機構を2台設ける場合よりも、装置コストを低く抑えることが可能である。
【0083】
図8は、第2実施形態に係る基板処理装置100Aの変形例を示す概略平面図である。図6に示した基板処理装置100Aでは、乾燥部3と基板払出部4Aとを多段に構成し、基板払出部4Aに搬送ローラ12,13を設けることで基板9を外部に払い出すようにしていた。これに対して、図8に示した変形例では、乾燥部3と基板払出部4AaとがY軸に沿って配置されている。そして、乾燥部3と基板払出部4Aaとの間に搬送機構5Aaが設けられている。
【0084】
基板払出部4Aaは、第1実施形態に係る基板払出部4とほぼ同様の構成を備えており、2枚の基板9,9を載置するステージ41を備えている。搬送機構5Aaは、搬送機構5Aとほぼ同様の構成を備えているが、上ハンド51Aおよび下ハンド52Aのうち、いずれか一方のみを備えている点で異なっている。ただし、搬送機構5Aaは、上ハンド51Aおよび下ハンド52Aの両方を備えていてもよい。搬送機構5Aaは、乾燥部3において乾燥処理が完了した2枚の基板9,9を、チャンバー31から受け取り、180度旋回した後、基板払出部4Aaに基板9,9を搬送する。
【0085】
基板処理装置100Aを図8に示した構成にすることで、塗布部2と基板払出部4Aaとの間の基板9の搬送を搬送機構5Aaに担わせることができる。したがって、搬送機構5Aの負担を減らすことができるため、基板搬送をより円滑に行うことができる。したがって、基板処理のスループットを向上することができる。
【0086】
<3. 第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る基板処理装置100Bの概略平面図である。基板処理装置100Bは、2枚の基板9,9を同時に搬送する搬送機構5Bを1台備えており、その周囲に基板受入部1B、塗布部2B、乾燥部3Bが配置されている。この点においては、基板処理装置100Bは、第2実施形態に係る基板処理装置100Aと類似している。ただし、搬送機構5Bは、支持部材511よりも長い支持部材511Bを複数備えている。搬送機構5Bは、この支持部材511Bの延在方向に沿って2枚の基板9,9を並列させた状態で保持しつつ搬送する。
【0087】
また、基板受入部1B、塗布部2Bおよび乾燥部3Bは、搬送機構5Bが搬送する基板9,9の配置に併せて基板9,9を載置できるように構成されている。具体的には、基板受入部1Bは、Y軸に沿って2枚の基板9,9を配置させるステージ11Bを備えている。また塗布部2Bは、X軸に沿って2枚の基板9,9を配置させるステージ23Bを備えている。また乾燥部3Bは、Y軸に沿って2枚の基板9,9を配置させるチャンバー31Bを備えている。
【0088】
また塗布部2Bには、2枚の基板9,9上をY軸に沿って移動しながら処理液を吐出することにより、基板9,9のそれぞれに同時に処理液を塗布するスリットノズル21Bが設けられている。なお、スリットノズル21Bの代わりに、図4に示したスリットノズル21aのように基板9,9のそれぞれに個別に処理液を塗布するスリットノズルを設けてもよい。
【0089】
また、塗布部2Bには、ステージ23Bを挟んでスリットノズル21Bと対向する位置に、スリットノズル21Baが設けられている。このスリットノズル21Baには、スリットノズル21Bとは異なる処理液が供給される。このため、スリットノズル21Baは、スリットノズル21Bとは種類の異なる処理液を基板9,9に吐出する。このようなスリットノズル21Baを設けておくことにより、処理液の種別を選択して基板9に塗布することができる。これにより、例えば、特定の基板9にのみ他とは異なる処理液を塗布するといった要求に対しても容易に対応することができる。また、同一の基板9に異なる2種類の処理液を塗布するといった要求に対しても容易に対応することができる。なお、スリットノズル21Bに供給する処理液と同一の処理液をスリットノズル21Baに供給してもよい。この場合、スリットノズル21Bおよびスリットノズル21Baのうちどちらか一方をメンテナンスしている間に、他方を塗布処理に使用するといったことができる。
【0090】
図示を省略するが、基板払出部4Aのように基板払出部を乾燥部3Bの下側に多段状に設けてもよい。また、基板払出部4Aaのように、乾燥部3Bの(+Y)側に基板払出部を設け、乾燥部3Bと該基板払出部との間で図示しない搬送機構により基板9が搬送されるようにしてもよい。
【0091】
<4. 第4実施形態>
図10は、第4実施形態に係る基板処理装置100Cの概略平面図である。また、図11は、第4実施形態に係る基板受入部1の2枚の基板9,9を搬送する搬送シャトル5Cの概略平面図である。さらに、図12は、図11に示したXII−XII線断面図である。
【0092】
本実施形態に係る基板処理装置100Cは、基板受入部1、塗布部2および乾燥部3がY軸に沿ってこの順に配列されている。また、基板処理装置100Cは、2枚の基板9,9を同時に搬送する搬送シャトル5C,6Cを備えている。搬送シャトル5Cは、外部から基板受入部1に搬入された基板9,9を塗布部2に搬送する。また搬送シャトル6Cは、塗布部2にて塗布処理された基板9,9を乾燥部3に搬送する。搬送シャトル5C,6Cは、ほぼ同一の構成を備えており、ここでは搬送シャトル5Cの構成について説明する。
【0093】
搬送シャトル5Cは、Y軸に沿って配設されたレール51C上を移動するリニアモータ等で構成される移動部52C(移動機構)と、X軸に沿って延びており、移動部52CとともにY軸に沿って移動する支持体53Cとを備えている。支持体53Cの(+Y)側および(−Y)側には、基板支持部54C,基板支持部54Cが設けられている。
【0094】
基板支持部54Cは、基板9の端部を支持する横断面(長手方向と直角をなす平面に沿って切った切り口)略L字状の支持部材541,542,543,544を備えている。なお、支持部材541,542,543は、支持体53Cに接続されている延伸アーム551,552,553の先端に取り付けられている。延伸アーム551,552は、Y軸に沿って延びることにより、支持部材541,542を、基板9の互いに対向するX軸に沿った2つの側辺部中央付近にそれぞれ配置させる。また延伸アーム553は、Y軸に沿って延びることにより、支持部材543を、基板9のY軸に沿う側辺部中央付近に配置させる。
【0095】
支持部材541,542,543は、延伸アーム551,552,553との連結部分を軸にして回転可能に取り付けられており、支持部材544は、支持体53Cとの連結部分を軸に回転可能に取り付けられている。
【0096】
搬送シャトル5Cによって2枚の基板9,9を搬送する場合、まず移動部52Cによって搬送シャトル5Cが基板受入部1に支持されている基板9,9の略中間位置に移動する。そして図11に示したように、延伸アーム551,552,553が延伸する。これにより、支持部材541,542,543が所定位置に配置される。この状態で、図12に示したように、支持部材541〜544の端部が下方に転倒することで、各支持部材541〜544の基板9を支持する支持面56が基板9の下方に配置される。
【0097】
図12に示したように、基板9は複数のリフトピン111によってステージ11の上方に配置されている。したがって、複数のリフトピン111が下降することによって、基板9が支持部材541〜544に支持される。搬送シャトル5Cは、2枚の基板9,9を受け取ると(+Y)方向へ移動することで、基板9,9を塗布部2へと搬送する。そして塗布部2のステージ23上で停止すると、複数のリフトピン231が上昇する。リフトピン231の上端が支持部材541〜544の支持面56よりも高くなると、基板9,9が上昇するリフトピン231によって上方に押し上げられ支持されることとなる。この状態で搬送シャトル5Cは支持部材541〜544を回転させることで基板9の下方から支持面56を上側へ退避させる。
【0098】
本実施形態においても、2枚の基板9,9を同時に搬送シャトル5C,6Cに塗布部2または乾燥部3に搬送することができる。したがって、効率良く基板搬送を行うことができるため、基板処理のスループットを向上することができる。
【0099】
また、搬送シャトル5C,6Cは、基板受入部1、塗布部2または乾燥部3の設置領域外に2枚の基板9,9を出さずに、上方の空間にて搬送することができる。したがって、基板処理装置100などのように、基板9を外側領域に出して搬送する場合に比べて、装置のフットプリントを小さくすることができる。
【0100】
<5. 第5実施形態>
図13は、第5実施形態に係る基板処理装置100Dの概略平面図である。基板処理装置100Dは、基板受入部1D、塗布部2D、乾燥部3Dおよび基板払出部4DがY軸に沿って配列されている。
【0101】
図14は、第5実施形態に係る基板処理装置100Dを(+X)側から見た概略側面図である。基板受入部1D、塗布部2D、乾燥部3Dおよび基板払出部4Dのそれぞれには、複数の搬送ローラ13DがY軸に関して所要間隔をあけて設けられている。搬送ローラ13Dは、図6に示した搬送ローラ13と同様に、X軸周りに回転する複数枚の円板状部材をX軸に沿って所要間隔をあけて備えており、それらの上端部にて基板9を支持しつつ(+Y)方向に搬送する。基板処理装置100Dにおいては、基板9の基板受入部1Dから基板払出部4Dまでの移動が、複数の搬送ローラ13Dによって実現されている。
【0102】
基板受入部1Dは、外部から1枚の基板9を(−X)側の領域にて受け取り、その基板9を(+X)側の領域へ搬送する。この(+X)方向への基板搬送は、図示を省略するが、図6に示した搬送ローラ12を適用することによって実現される。そしてもう1枚の基板9が、外部から搬入されることで、基板受入部1Dに2枚の基板9,9が用意される。その後、複数の搬送ローラ13Dにより、基板9,9が同時に塗布部2Dへ向けて搬送される。なお、基板受入部1Dにおいて、(+X)側の領域に基板9が1枚ずつ搬入されるようにしてもよい。また、(+X)側および(−X)側の領域のそれぞれに基板9が同時に搬入されるようにしてもよい。
【0103】
塗布部2Dは、2枚の基板9,9を同時に保持するステージ23Dと、Y軸に沿って所要間隔をあけて配置される複数の昇降ローラ231Dとを備えている。昇降ローラ231Dは、ステージ23の上面から突出したり、上面より下側に埋没したりするように設けられている。塗布部2Dにおいては、昇降ローラ231DがX軸周りに回転することで基板9,9を(+Y)側へ搬送して、塗布処理に適した塗布位置まで搬送する。そして昇降ローラ231Dが回転を停止して、下降することにより、基板9,9がステージ23Dに載置される。このとき、ステージ23Dに設けられた吸着孔を介して基板9,9をステージ23Dに吸着させるようにしてもよい。
【0104】
なお、本実施形態においても、スリットノズル21Dが基板9上を走査することにより、基板9に処理液を塗布する。ここで、スリットノズル21Dは、1枚の基板9の横幅(Y軸に沿う側辺部の長さ)に対応する長さを有しており、1枚の基板9に処理液を塗布する。
【0105】
図15は、2枚の基板9,9を塗布処理する第5実施形態に係るスリットノズル21Dの移動軌跡を示す塗布部2Dの概略側面図である。図15示したように、塗布部2Dにおいて2枚の基板9,9を塗布するために、スリットノズル21Dは、メンテナンス位置L10から移動を開始する。メンテナンス位置L10は、メンテナンス部28においてスリットノズル21Dをメンテナンス(初期化)するときに、スリットノズル21Dが配置される位置である。本実施形態では、メンテナンス位置L10は、例えばメンテナンス部28が備えるプリディスペンスローラ281の直上の位置とされる。
【0106】
メンテナンス部28は、スリットノズル21Dから吐出される処理液を受け止めるプリディスペンスローラ281を備えている。プリディスペンスローラ281は、スリットノズル21Dの長手方向(ここでは、Y軸に沿う方向)に延在する円筒状部材であり、Y軸に沿う回転軸心を備えている。図示しない駆動原の動力がこの回転軸心に伝達されることによって、プリディスペンスローラ281がY軸周りに回転する。
【0107】
ローラバット282は、プリディスペンスローラ281の下方に設けられており、内部に所定の洗浄液が貯蔵されている。さらにプリディスペンスローラ281の下端部分がローラバット283内に貯蔵された洗浄液に浸されている。したがって、プリディスペンスローラ281が回転することにより洗浄され、その表面に付着した処理液除去される。
【0108】
ローラバット282の内部には、液切りブレード283が備えられている。液切りブレード283は、(−Y)側から見て、プリディスペンスローラ281の表面に向けて突出した突起形状を有しており、Y軸に沿う方向にその長手方向を有している。また、液切りブレード283の突起形状の先端部は、Y軸に沿うプリディスペンスローラ281表面の幅全体に渡って接触している。プリディスペンスローラ281を回転させることで、液切りブレード283により、プリディスペンスローラ281表面に付着した処理液または洗浄液が掻き取られる。
【0109】
ノズルクリーナー284は、スリットノズル21Dの吐出口付近(ノズルリップ)を洗浄する。ノズルクリーナー284は、上部がスリットノズル21Dの下端の形状(ここでは、XZ平面で切断したときの断面が略三角形状となる略三角柱状)に対応する凹部を有している。ノズルクリーナー284には、洗浄液や窒素ガスが供給される。ノズルクリーナー284は、その上面の凹部にスリットノズル21Dの吐出口が挿入された状態で、図示しない移動機構によりY軸に沿って移動しつつ、スリットノズル21Dのノズルリップに洗浄液を吹き付けて洗浄を行う。また、ノズルクリーナー284は、窒素ガスを吹き付けることにより、ノズルリップを乾燥させる。
【0110】
図15に示した例では、塗布部2に基板9,9がステージ23Dに載置されると、スリットノズル21Dがメンテナンス位置L10から所要高さまで上昇し、(−X)側に載置された基板9の(−X)側端部まで(+X)方向に移動した後、下降して位置L11に移動する。この位置L11は、(−X)側の基板9に対する塗布を開始する塗布開始位置である。スリットノズル21Dは、処理液を吐出しながら(+X)方向に移動し、(−X)側の基板9に対する塗布を終了する塗布終了位置(位置L12)まで移動する。
【0111】
(−X)側の基板9の塗布を終了すると、スリットノズル21Dは、(+X)側にある基板9の塗布を続けて行う。このため、スリットノズル21Dは、位置L12から所要の高さまで上昇した後、(+X)側の基板9の(−X)側端部の位置に移動し、位置L13まで下降する。この位置L13は、(+X)側の基板9に対する塗布を開始する塗布開始位置に相当する。スリットノズル21Dは、処理液を吐出しながら位置L13から(+X)方向に移動し、(+X)側の基板9に対する塗布を終了する塗布終了位置(位置L14)まで移動する。
【0112】
(+X)側の基板9に対する塗布が完了すると、スリットノズル21Dは位置L14から所要高さまで上昇し、(−X)方向へ移動してプリディスペンスローラ281の上方まで移動する。そしてスリットノズル21Dは、メンテナンス位置L10まで下降することで、ノズルリップのメンテナンスが再び行われる。なお、次の塗布処理前の基板9,9がステージ23Dに搬送されるまでの間、スリットノズル21Dがメンテナンスされずに、メンテナンス位置L10に単に待機させておくようにしてもよい。また、スリットノズル21Dの待機位置は、メンテナンス位置L10以外であってもよい。また、スリットノズル21Dの上下の移動に関しては、プリディスペンスローラ281の高さ位置や基板9,9の高さ位置に応じて適宜変更される。
【0113】
図16は、2枚の基板9,9を塗布処理する第5実施形態に係るスリットノズル21Dのその他の移動軌跡を示す塗布部2Dの概略側面図である。図16に示した例では、スリットノズル21Dが(−X)側の基板9を処理した後、位置L12からメンテナンス位置L10に戻ってメンテンナンスが行われ、(+X)側の基板9に処理液を塗布するために位置L13へ移動する。このように1枚の基板9を処理する度に、スリットノズル21Dのメンテナンスが行われるようにしてもよい。
【0114】
なお、図15および図16に示した例では、(−X)側の基板9から塗布処理が行われている。しかしながら、(+X)側の基板9から塗布処理が開始するようにしてもよい。また、図15および図16に示した例では、基板9に対してスリットノズル21Dが(+X)側へ移動することで塗布処理が行われており、塗布方向(走査方向)が(+X)方向となっている。しかしながら、この塗布方向は逆方向(つまり、−X方向)であってもよい。
【0115】
図14に戻って、乾燥部3Dは、2枚の基板9,9を同時に収納するチャンバー31Dを備えている。なお、チャンバー31Dは、その内部に、基板9,9を(+Y)方向に搬送する搬送ローラ13Dを内蔵している点でチャンバー31と異なるが、2枚の基板9,9を同時に減圧乾燥する点ではチャンバー31と共通する機能を備えている。
【0116】
基板払出部4Dにおいては、(−X)側の領域にて、基板9が1枚ずつ外部に払い出される。より具体的には、乾燥部3Dから搬送された2枚の基板9,9うち、まず、(−X)側の基板9が外部に払い出される。そして(+X)側の基板9が、空いた(−X)側の領域に搬送され、その後、該基板9が外部に払い出される。この(−X)方向への基板搬送は、図示を省略するが、図6に示した搬送ローラ12を適用することによって実現できる。なお、(+X)側の領域から基板9が外部に払い出されるようにしてもよい。無論、2枚の基板9,9が同時に払い出されるようにしてもよい。また、(+X)側および(−X)側の領域のそれぞれから、基板9,9が同時に払い出されるようにしてもよい。
【0117】
本実施形態においても、複数の基板9,9を同時に塗布部2Dまたは乾燥部3Dに搬入することができるため、基板処理のスループットを向上することができる。
【0118】
また、基板処理装置100Dにおいては、搬送ローラ13Dまたは昇降ローラ231Dによって基板9の搬送が行われる。搬送ローラ13Dまたは昇降ローラ231Dによると、基板受入部1D、塗布部2D、乾燥部3Dまたは基板払出部4Dの設置領域外(ここでは、+X側および−X側の外側領域)に2枚の基板9,9を出さずに搬送することができる。したがって、基板処理装置100などのように、基板9を外側領域に出して搬送するような場合に比べて、装置のフットプリントを小さくすることができる。
【0119】
<6. 第6実施形態>
図17は、第6実施形態に係る基板処理装置100Eの概略平面図である。また図18は、第6実施形態に係る基板処理装置100Eを(+X)側から見たときの概略側面図である。基板処理装置100Eは、図13または図14に示した基板処理装置100Dとほぼ同様の構成を備えているが、塗布部2Dの代わりに以下に説明する塗布部2Eを備えている点で異なっている。
【0120】
塗布部2Eは、Y軸に沿って延在するスリットノズル21Eを備えている。スリットノズル21Eは、処理液を吐出しながらY軸に沿って移動することで、X軸に沿って並列に並べられた2枚の基板9,9に対して、同時に塗布処理を行う。なお、塗布部2Eは、基板9の搬送経路(複数の搬送ローラ13Dまたは複数の昇降ローラ231Dによって搬送されるときに基板9が通る道)の上側に、スリットノズル21Eのノズルリップをメンテナンスするメンテナンス部28Eが設けられている。メンテナンス部28Eは、メンテナンス部28Dとほぼ同様の構成を備えているが、スリットノズル21Eの長さや延在方向に対応するように構成されている点でメンテンナンス部28Dとは異なっている。
【0121】
図18に示したように、塗布部2Eにおいて、2枚の基板9,9に対して塗布処理が行われる場合、スリットノズル21Eは、メンテナンス位置L20から(+Y)方向へ移動し、ステージ23Eに載置されている基板9の(−Y)側端部の位置まで移動する。そしてスリットノズル21Eは、基板9,9に塗布処理を開始する位置L21まで下降する。そしてスリットノズル21Eは、処理液を吐出しながら、位置L21から(+Y)方向に移動して、塗布を終了する位置L22まで移動する。ここで、スリットノズル21Eが(−Y)方向に移動する(つまり、位置L22から位置L21へ移動する)ことによって、塗布処理が行われるようにしてもよい。
【0122】
基板処理装置100Eによると、スリットノズル21Eを設けることによって、2枚の基板9,9を同時に塗布処理することができるため、基板処理のスループットを向上することができる。
【0123】
<7. 第7実施形態>
図19は、第7実施形態に係る基板処理装置100Fの概略平面図である。また図20は、第7実施形態に係る基板処理装置100Fを(+X)側から見たときの概略側面図である。基板処理装置100Fは、図13または図14に示した基板処理装置100Dとほぼ同様の構成を備えているが、塗布部2Dの代わりに以下に説明する塗布部2Fを備えている点で異なっている。
【0124】
塗布部2Fは、スリットノズル21Eと同様にY軸に沿って延在するスリットノズル21Fを備えている。塗布部2Fにおいては、図20に示したように、(+Y)方向に搬送される2枚の基板9,9に向けて、所要位置に固定されたスリットノズル21Fから処理液が吐出されることにより塗布処理が行われる。塗布部2Fにおいては、搬送ローラ13Dおよび後述の塗布用搬送ローラ231Fによって基板9をスリットノズル21Fに対して相対的に移動させる。したがって、本実施形態では、搬送ローラ13Dおよび塗布用搬送ローラ231Fが、相対移動機構を構成している。
【0125】
塗布用搬送ローラ231Fは、基板9,9に処理液を塗布するときのスリットノズル21Fが配置される位置の直下に設けられている。塗布用搬送ローラ231Fの基板9を支持する円板状部材は、他の搬送ローラ13Dのものに比べて、径が大きく、また、X軸に沿う方向に関して厚く形成されている。したがって、塗布用搬送ローラ231Fによって、基板9を安定的に支持することができるため、塗布処理を適切に行うことができる。なお、塗布用搬送ローラ231Fの円板状部材を円筒状に長く形成してもよい。この場合、基板9を安定的に支持しつつ搬送することができる。また塗布用搬送ローラ231Fの基板9に接する部分を、ゴム、シリコンまたは合成樹脂素材等の弾性素材で形成することによって、基板9に生じる振動を適宜吸収するようにしてもよい。
【0126】
基板処理装置100Fによると、複数の基板9,9を搬送しながら塗布処理を行うことにより、基板処理のスループットを向上することができる。また、塗布処理のために基板9を載置しておくスペースを大幅に省略することができるため、装置のフットプリントを小さくすることができる。
【0127】
<8. 第8実施形態>
図21は、第8実施形態に係る基板処理装置100Gの概略平面図である。基板処理装置100Gは、Y軸に沿って配列されている基板受入部1G、塗布部2G、乾燥部3Gおよび基板払出部4Gを備えている。基板処理装置100Gにおいては、図14に示した基板処理装置100Dと同様に、各部に設けられている複数の搬送ローラによって基板9が(+Y)方向に移動することで各部に順次搬送される。
【0128】
基板処理装置100Gにおいては、図21に示したように、Y軸に関して、基板9が一列になって搬送される。ただし、基板処理装置100Gでは、2枚の基板9を1組として、塗布部2Gまたは乾燥部3Gに搬入するように構成されている。より具体的には、基板処理装置100Gは、基板受入部1Gにおいて、基板9を1枚ずつ、または、2枚同時に外部から受け取りY軸に沿って並列させる。そして、2枚の基板9,9が揃った段階で、搬送ローラの駆動によって、2枚の基板9,9が一緒になって塗布部2Gに向けて同時に搬送される。同様に、塗布部2Gにて塗布処理を終えた2枚の基板9,9は、搬送ローラの駆動によって、共に乾燥部3Gへと搬送される。
【0129】
塗布部2Gでは、スリットノズル21Gが同時に2枚の基板9,9に向けて処理液を吐出しながらX軸に沿って移動することで、塗布処理が行われる。なお、2枚同時に塗布処理するスリットノズル21Gの代わりに、1枚ずつ処理液を塗布するスリットノズル(例えば、図13に示したスリットノズル21Dなど)によって、塗布処理を行うようにしてもよい。
【0130】
乾燥部3Gは、2枚の基板9,9をY軸に沿って並列させた状態で乾燥させるチャンバー31Gを備えている。このチャンバー31Gによって、2枚の基板9,9を一度に減圧乾燥することができる。乾燥部3Gにて乾燥処理を終えた2枚の基板9,9は、搬送ローラによって基板払出部4Gに搬送されて、外部に払い出される。
【0131】
以上のように基板処理装置100Gにおいても、2枚の基板9を同時に塗布部2Gまたは乾燥部3Gに搬送することによって、基板処理のスループットを向上することができる。
【0132】
<9. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0133】
例えば上記実施形態では、同時に2枚の基板を塗布部または乾燥部に搬送するようにしているが、3枚以上の基板を搬送するようにしてもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、2枚の基板に対して同時に塗布処理、または、乾燥処理する例について説明した。しかしながら、3枚以上の基板を同時に処理できるようにしてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、スリット状に開口する吐出口から処理液を線状に吐出するようにしている。しかしながら、例えば、円形状の複数の吐出口を一方向に沿って配列することによって、処理液を略線状に吐出するようにしてもよい。また、上記実施形態では、スリットノズルを基板に対して相対的に一方向へ移動させるいわゆるスリットコート法によって塗布処理が行われている。しかしながら、基板を回転させて処理液を塗布するスピンコート法によって塗布処理が行われてもよい。
【0136】
また、上記実施形態(例えば、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態または第8実施形態)では、搬送ローラ13Dによって、塗布部から直接乾燥部へ基板9を搬送している。しかしながら、塗布部と乾燥部との間に、基板9を一時的に待機させておく待機部を設けてもよい。このような待機部は、例えば、基板9が載置可能な領域を、いくつかの搬送ローラによって形成することで実現できる。搬送ローラの回転を停止させることで、基板9を待機させることができるし、搬送ローラを回転させることで、基板9を乾燥部へ搬送することができる。このような待機部を設けることによって、塗布部での塗布処理時間よりも乾燥部での乾燥時間の方が長い場合であっても、塗布処理が終わった基板9を待機部へ搬送して待機させることができる。つまり、先行する基板9の乾燥処理が終わるまで、塗布処理後の基板9を塗布部に待機させずに済み、次の塗布処理前の基板9を塗布部に迅速に搬入することができる。したがって、基板処理装置による基板処理のスループットを向上することができる。
【0137】
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、または省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0138】
100,100A〜100G 基板処理装置
1,1A,1B,1D、1G 基板受入部
11,11B ステージ
12,13,13D 搬送ローラ
121 回転軸
123 円板状部材
2,2a,2B,2D〜2G 塗布部
21,21a,21B,21Ba,21D〜21G スリットノズル
211 吐出口
213 凹部
214 リップ面
22 架橋構造
23,23B,23D ステージ
231,231D 昇降ローラ
231F 塗布用搬送ローラ(相対移動機構)
25 リニアモータ(相対移動機構)
26 昇降機構
27 処理液供給ポンプ
28,28D,28E メンテナンス部
3、3B,3D,3G 乾燥部
31,31B,31D,31G チャンバー
4,4A,4Aa,4D,4G 基板払出部
5,5A,5Aa,5B,6,7 搬送機構
5C,6C 搬送シャトル
51C レール
52C 移動部(移動機構)
53 旋回機構
54 昇降機構
541〜544 支持部材
54C 基板支持部
551,552,553 延伸アーム
56 支持面
61 搬送アーム
8 制御部
9 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置において、
外部から基板を受け入れる基板受入部と、
前記基板に処理液を塗布する塗布部と、
前記基板受入部にある複数の前記基板を同時に前記塗布部に搬送する搬送機構を含む搬送系統と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記塗布部は、前記複数の基板に対して同時に処理液を塗布する基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記塗布部において前記処理液が塗布された基板を乾燥させる乾燥部、
をさらに備える基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記乾燥部は、
複数の前記基板を同一空間内に保持するチャンバーを備えており、前記チャンバー内において、前記処理液が塗布された複数の前記基板が同時に乾燥される基板処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の基板処理装置において、
前記搬送系統は、複数の前記基板を同時に前記乾燥部へ搬送する搬送機構をさらに含む基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記塗布部は、
一方向に延びる吐出口から処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動させる相対移動機構と、
を備える基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置において、
前記ノズルには、前記吐出口が複数形成されており、
前記ノズルの複数の前記吐出口の間に、凹部が形成されている基板処理装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記搬送系統は、
複数の前記基板の上方を移動するための移動機構と、複数の前記基板を上方から接近して支持する基板支持部と、を有する搬送機構を含む基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−51275(P2013−51275A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187578(P2011−187578)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】