説明

基板割れ検出装置および基板処理装置

【課題】簡素、かつ安価な構成で、搬送中の基板の割れをより確実に検出する。
【解決手段】コンベア5により搬送される基板Bの割れを検出する装置であって、基板検知センサ30A,30Bおよび制御部38を有する。基板検知センサ30A,30Bは、センサヘッド32およびセンサアンプ36を有し、前記ヘッド32により基板Bに対して光を照射しつつその反射光を受光し、その受光状態に応じた信号をセンサアンプ36から出力する。制御部38は、光の照射位置を基板Bが通過する間に、センサアンプ36から出力される信号に基づき基板の割れを検知する。なお、センサアンプ36は、光の受光状態が基板有りの状態から無しの状態に変化するときに、前記信号として、制御部38により処理可能な最小時間幅よりも常に大きい時間幅をもつ信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示デバイス(LCD)やプラズマ表示デバイス(PDP)用ガラス基板などの基板を搬送しながら各種処理を施す基板処理装置に適した基板割れ検出装置およびこの検出装置が組み込まれた基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、処理対象となる基板に生じた割れ、欠け等(以下、単に割れという)を検出する装置として種々のものが考えられており、例えば、特許文献1には、投光器と受光器とを備えた光学式センサを用い、半導体基板の欠片(かけら)が当該センサの光経路を通過するときの受光器における受光レベルの変化に基づいて基板に割れが生じているか否かを検出する基板割れ検出器が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、導電膜が形成されたガラス基板に対し、一対の電極を使って前記導電膜が形成された部分の抵抗値を検出することにより、当該抵抗値の変化に基づいてガラス基板の割れを検出する技術が提案されている。
【特許文献1】特許第2953850号公報
【特許文献2】特開2005−100330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、LCDやPDP用ガラス基板などの処理装置では、効率化の観点から基板を搬送しながら各種処理を施すことが行われており、特許文献1のような装置を用いて基板の割れを検出することが有効となるが、ここに次のような課題がある。
【0005】
すなわち、基板の搬送速度が速い場合、あるいは割れが微細なものである場合には、割れに対応する受光レベルの変化が微細(時間的に短い)なものとなるため割れの検出が難しくなる。これは例えば受光信号のサンプリング周期(検出周期)との関係で、受光レベルの変化が微細化すると自ずと当該変化を検出できない可能性が高くなるためである。
【0006】
そこで、センサの位置で一時的に基板の搬送速度を落とすか、あるいは受光信号のサンプリング周期を短期化することにより割れの検出信頼性を高めることが考えられるが、前者の場合には、基板の処理効率を下落させることとなり、また、後者の場合には、より高性能の制御装置が求められる分コスト高になるといった問題があり、いずれも得策とは言えない。
【0007】
なお、特許文献2の技術を適用することも考えられるが、この場合には導電膜が形成された部分以外の割れを検知するのは困難である。また、CCD(Charge-Coupled Devices)等の撮像装置を用いて基板を撮像し、その画像に基づいて基板の割れを検出することも考えられるが、この場合はコスト高を招き、また画像処理等の制御負担が大きくなるため有効策とは言えない。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、簡素、かつ安価な構成で、搬送中の基板の割れ(割れ、欠け等)をより確実に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、搬送路に沿って搬送される基板の割れを検出するための装置であって、前記搬送路に沿って搬送される基板に対して光を照射可能な照射手段と前記光の受光手段とを含み、この受光手段による光の受光状態に基づき信号を出力する信号出力手段と、前記基板が前記照射手段による光の照射位置を通過する間に、これに対応して前記信号出力手段から出力される信号に基づき基板の割れを検知する割れ検知手段とを有し、前記信号出力手段は、前記受光手段による光の受光状態が基板有りの状態から無しの状態に変化するときに、前記割れ検知手段により処理可能な最小時間幅よりも常に大きい時間幅をもつ前記信号を出力するように構成されているものである(請求項1)。
【0010】
この装置よれば、照射手段により光が照射されつつその照射位置を基板が通過する間に、受光手段による光の受光状態に応じた信号が信号出力手段から出力され、この信号に基づき割れ検知手段により割れが検知される。つまり、基板に割れがある場合には、光の受光状態が基板有りの状態から無しの状態に変化し、これに対応した信号が信号出力手段から出力されるため、この信号に基づき割れ検知手段において割れが検知されることとなる。その際、信号出力手段は、割れ検知手段により処理可能な最小時間幅よりも常に大きい時間幅をもつ信号を出力するように構成されているので、基板の搬送速度が速い場合や割れが極微細なものであっても、割れ検知手段は確実に当該信号に基づき割れを検知することが可能となる。
【0011】
なお、「基板に対して光を照射可能な照射手段と前記光の受光手段とを含み」とは、照射手段から光を基板に対して照射しつつその反射光を受光手段により受光する構成、および照射手段から基板に対して光を照射しつつその透過光を受光する構成の双方を意味するものである。
【0012】
上記の構成においては、複数の前記信号出力手段を有し、これら信号出力手段の前記照射手段による光の照射位置が前記搬送路の幅方向に並んでいるのが好適である(請求項2)。
【0013】
この構成によれば、基板のより広い範囲にわたって割れを検知することが可能となり、割れ検出の信頼性が向上する。
【0014】
なお、信号出力手段は、受光手段による光の受光状態が基板有りの状態から無しの状態に変化するときに信号を出力するものであるため、基板先端に割れがある場合には割れを検知できない場合も考えられる。
【0015】
そこで、上記の構成においては、前記信号出力手段を第1信号出力手段としたときに、さらに、前記搬送路に沿って搬送される基板に対して光を照射可能な照射手段と前記光の受光手段とを含み、この受光手段による光の受光状態に基づき基板の有無に対応した信号を出力する複数の第2信号出力手段を有し、これら第2信号出力手段の前記照射手段による光の照射位置が前記搬送路の幅方向に並び、前記割れ検知手段が、第1および第2信号出力手段から出力される信号に基づき前記割れを検知するように構成されているのが好適である(請求項3)。
【0016】
この構成によれば、基板先端に割れがある場合には、基板先端が第2信号出力手段の照射手段による光の照射位置に到達した時、各第2信号出力手段から出力される信号のうち、割れに対応するものの信号状態だけが他の信号状態と異なるものとなる。そのため、基板先端の割れを検知することが可能となる。
【0017】
この構成においては、第1信号出力手段および第2信号出力手段の前記照射手段および受光手段として共通の照射手段および受光手段が設けられているのが好適である(請求項4)。
【0018】
この構成によると、第1信号出力手段および第2信号出力手段の照射手段および受光手段を共通化した合理的で、安価な構成が達成される。また、第1信号出力手段および第2信号出力手段の照射手段による光の照射位置が同じ位置となるので、基板幅方向(搬送路の幅方向に同じ)の特定の位置において、基板の先端(搬送方向先端)から後端までその全体にわたって割れを検知することが可能となる。
【0019】
なお、上記の構成においては、前記搬送路に沿って搬送される基板に対して光を照射可能な照射手段と前記光の受光手段とを含み、この受光手段による光の受光状態に基づき基板の有無に対応した信号を出力する第3信号出力手段をさらに有し、この第3信号出力手段の前記照射手段による光の照射位置が前記搬送路の幅方向中央であって、かつ前記第2信号出力手段の各照射手段による光の照射位置よりも基板搬送方向下流側の位置にあり、前記割れ検知手段が、第3信号出力手段から出力される信号に基づき基板の先端を検知し、当該検知後に第1および第2信号出力手段から出力される信号に基づき前記割れを検知するように構成されているのが好適である(請求項5)。
【0020】
また、前記搬送路に沿って搬送される基板に対して光を照射可能な照射手段と前記光の受光手段とを含み、この受光手段による光の受光状態に基づき基板の有無に対応した信号を出力する第4信号出力手段を有し、この第4信号出力手段の前記照射手段による光の照射位置が前記搬送路の幅方向中央であって、かつ前記第2信号出力手段の各照射手段による光の照射位置よりも基板搬送方向上流側の位置に設定され、前記割れ検知手段が、第4信号出力手段から出力される信号に基づき基板の後端を検知し、当該検知後に第1および第2信号出力手段から出力される信号を無視するように構成されているのが好適である(請求項6)。
【0021】
これらの構成によると、発明を実施するための最良の形態で詳しく説明するように、基板が搬送方向に対して斜めになる、いわゆる斜め搬送が生じた場合の基板先端、基板後端における割れの誤検出を有効に回避して、割れの検出信頼性を高めることが可能となる。
【0022】
一方、本発明に係る基板処理装置は、基板の搬送路と、この搬送路に沿って搬送される基板に対して所定の処理を施す処理手段と、前記搬送路に沿って搬送される基板の割れを検出する基板割れ検出装置とを備えた基板処理装置であって、前記基板割れ検出装置として上記何れかに記載の基板割れ検出装置を備えているものである(請求項7)。
【0023】
このような基板処理装置によると、上記の基板割れ検出装置が組み込まれているので、基板の搬送速度が速い場合や割れが極微細なものであっても、基板の割れをより確実に検出することが可能となる。
【0024】
なお、この基板処理装置において、前記基板割れ検出装置は、基板の搬送を開始する搬送開始地点と前記処理手段との間、又は前記処理手段と処理後の基板の搬送終了地点との間の少なくとも一方に設けられているのが好適である(請求項8)。
【0025】
この構成によれば、割れの検出位置を搬送開始地点と前記処理手段との間に設定した場合には、処理手段による処理前に事前に基板の割れを検出してラインアウトさせることが可能となり、また、割れの検出位置を処理手段と搬送終了地点との間に設定した場合には、処理手段による処理後、当該基板が次工程の装置に搬出される前に基板の割れを検出してラインアウトさせることが可能となる。なお、「搬送終了地点」とは、処理対象となる基板の終点位置を意味するものであって、この地点で基板を停止させるものであることを限定する趣旨ではない。つまり、搬送終了地点で基板を一旦停止させるもの、あるいは通過させるものの何れであってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る基板割れ検出装置によると、照射手段の光の照射位置を基板が通過する際の受光手段による光の受光状態に応じた信号を信号出力手段から出力させ、この信号に基づいて割れ検知手段において基板の割れを検知するようにした上で、信号出力手段について、さらに光の受光状態が基板有りの状態から無しの状態に変化する際に、割れ検知手段により処理可能な最小時間幅よりも常に大きい時間幅をもつ信号を出力するように構成したので、基板の搬送速度が速い場合や割れが極微細なものであっても確実に割れを検知させることができる。しかも、割れ検知手段において処理可能な最小時間幅が大きくなっても、それ以上に信号出力手段から出力される上記信号の時間幅を大きく設定すれば微細な割れを検知可能なため、装置をより簡単に、かつ安価に構成することが可能となる。
【0027】
一方、本発明に係る基板処理装置によると、上記のような基板割れ検出装置を備えているので、搬送中の基板の割れをより確実に検出してラインアウトさせることが可能となる。そのため、割れを伴う基板が引き続き処理に供されることに因るトラブル等の発生を未然に防止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る基板処理装置(本発明に係る基板割れ検出装置が組み込まれた基板処理装置)の第1の実施形態を概略的に示している。
【0030】
同図に示すように、基板処理装置1は、基板導入部2、処理部3(本発明に係る処理手段に相当する)および基板導出部4を直列に備えるとともに基板Bを搬送する搬送機構とを有しており、前記基板導入部2に導入される基板Bを前記搬送機構により搬送しつつ処理部3において各種処理を施した後、基板導出部4から次工程へと導出するように構成されている。なお、搬送機構は、例えばローラコンベア5から構成されている。
【0031】
前記基板導入部2には、上流側引き継ぎ装置10と、基板割れ検出装置12とが配置されている。上流側引き継ぎ装置10は、基板Bを基板導入部2に導入するもので、前工程からコンベア等により搬送されてくる基板Bを上記ローラコンベア5(以下、コンベア5と略す)上に移載するようになっている。
【0032】
基板割れ検出装置12は、基板導入部2に導入された基板Bの割れを検出するもので、所定の搬送開始地点、すなわち基板Bの導入地点と処理部3との間に固定的に配置されており、コンベア5の駆動により処理部3に向かって搬送される基板Bの割れ(欠けを含む)を非接触で検知するように構成されている。なお、この基板割れ検出装置12については後に詳述する。
【0033】
上記処理部3は、当実施形態においては、薬洗部3A、水洗部3Bおよび乾燥部3Cから構成されおり、これら各部3A〜3Cがこの順番で基板Bの搬送方向上流(以下、単に上流側という)から順に配置されている。
【0034】
薬洗部3Aは、コンベア5によって搬送される基板Bの表裏に所定の薬液を供給して基板Bを洗浄(薬洗)するもので、コンベア5を挟んでその上下両側に複数の薬液供給ノズル21を有するとともにブラッシング処理用のブラシ22を備えている。
【0035】
水洗部3Bは、コンベア5によって搬送される基板Bに洗浄水を供給して洗浄(水洗)するもので、その内部は、上流側から順に低圧水供給部24、高圧水供給部25、超音波洗浄水供給部26および純水供給部27に区分されており、各供給部24〜27には、それぞれコンベア5の上下両側に洗浄水供給用のノズル24a〜27a等が配置されている。
【0036】
乾燥部3Cは、水洗部3B(純水供給部27)から導出された基板Bに乾燥処理を施すもので、その内部にはコンベア5を挟むように、上下一対のエアーナイフ28が配置されている。
【0037】
前記基板導出部4には、下流側引き継ぎ装置14と、基板割れ検出装置12とが配置されている。下流側引き継ぎ装置14は、基板Bを基板導出部4に導出するもので、ローラコンベア5上の基板Bを次工程に移載するものである。
【0038】
基板割れ検出装置12は、乾燥部3Cから基板導出部4に導出された基板Bの割れを検出するもので、基板導入部2に設けられるものと基本的に同一のものである。基板導出部4の基板割れ検出装置12は、乾燥部3Cと所定の搬送終了地点、すなわち下流側引き継ぎ装置14による基板Bの導出地点との間に固定的に配置されており乾燥部3Cから搬出された基板Bの割れを検知するように構成されている。
【0039】
以上のような基板処理装置1において、基板導入部2に導入された基板Bは、前記コンベア5により搬送され、薬洗部3Aでの薬洗処理、水洗部3Bでの水洗処理および乾燥部3Cでの乾燥処理が順次施された後、基板導入部2から次工程へと搬出される。そして、このような一連の処理において、基板導入部2、又は基板導出部4の各基板割れ検出装置12により割れが検出された場合には、直ちにラインアウトされるようになっている。
【0040】
図2は、基板導入部2および基板導出部4に設けられる前記基板割れ検出装置12の構成をブロック図で示している。
【0041】
この図に示すように、基板割れ検出装置12は、第1基板検知センサ30A、第2基板検知センサ30Bおよび制御部38を有している。
【0042】
各基板検知センサ30A,30Bは、それぞれセンサアンプ36とこれに光ファイバ35を介して接続されるセンサヘッド32とを有し、コンベア5により搬送される基板Bに対してそれぞれ光を照射しつつその反射光を受光し、その受光状態に応じた所定の信号を前記制御部38に出力するように構成されている。なお、各基板検知センサ30A,30Bのセンサヘッド32を区別する必要がある場合には、それぞれ第1センサヘッド32a、第2センサヘッド32bと称する。
【0043】
図3は、基板検知センサ30A,30Bの具体的な構成を示している。同図に示すように、基板検知センサ30A,30Bのセンサアンプ36には、LED(Light Emitting Diode)等からなる発光部40と受光部42とが設けられており、発光部40からの光を、光ファイバ35を介してセンサヘッド32に導光しつつ基板Bに照射し、基板Bで反射した反射光を再度センサヘッド32および光ファイバ35を介して受光部42に導光し受光するように構成されている。
【0044】
センサヘッド32は、ファイバヘッド部33とスポットレンズ34とから構成されており、同図に示すように、発光部40から導光された光を、コンベア5上の基板Bに対してその真上からピンポイント(当実施形態では投光スポット径が0.5mm程度)で照射するようになっている。
【0045】
なお、第1センサヘッド32aおよび第2センサヘッド32bは、図4に示すように、搬送路の幅方向(搬送方向と直交する方向;同図では上下方向)両端であって、かつ同方向に一列に並ぶように配置されている。これにより光の照射位置が、それぞれ搬送される基板Bに対してその幅方向両端の部分に位置するようになっている。
【0046】
図3に戻って、センサアンプ36にはさらに信号出力回路44が設けられている。この信号出力回路44は、その機能構成として信号出力部46とタイマ部48とを含んでいる。
【0047】
信号出力部46は、受光部42による光の受光状態に応じて制御部38に信号を出力するもので、受光部42の受光レベルが予め設定された受光レベルよりも低いときにオン信号を出力し、当該受光レベルを超えるときにオフ信号を出力するように構成されている。つまり、図5に示すように、センサヘッド32に対向する位置に基板Bが存在していない場合にはオン信号を出力し、基板Bが存在しているときにはオフ信号を出力するようになっている。
【0048】
一方、タイマ部48は、例えばワンショットタイマから構成されており、信号出力部46から出力される信号の変化に応じて制御部38にパルス信号を出力するもので、具体的には、図5に示すように、通常はオフ信号を出力し、信号出力回路44の出力信号がオフ信号からオン信号に変化したときに所定パルス幅T1(時間幅)のオン信号を出力するように構成されている。なお、タイマ部48は、当該オン信号のパルス幅T1が、制御部38により処理可能な最小時間幅より大きくなるようにタイマ値が設定されており、当実施形態では、処理部38における信号のサンプリング周期(検出周期)よりもパルス幅が大きくなるようにタイマ値が設定されている。
【0049】
すなわち、この基板割れ検出装置12では、センサヘッド32およびセンサアンプ36が本発明に係る第1信号出力手段に相当し、センサヘッド32およびセンサアンプ36のうちタイマ部48を除く部分が本発明に係る第2信号出力手段に相当する。
【0050】
なお、以下の説明においては、信号出力部46から出力される信号をタイマ無出力信号と呼び、タイマ部48から出力される信号をタイマ有出力信号と呼ぶことにする。
【0051】
上記制御部38は、基板割れ検出装置12を制御するもので、論理演算を実行する周知のCPU等から構成されており、各基板検知センサ30A,30Bから出力される信号を予め設定されたサンプリング周期(検出周期)で検出することにより、基板Bの割れを検知するように構成されている。すなわち、当実施形態では、この制御部38が本発明に係る割れ検知手段に相当する。
【0052】
なお、制御部38は、図示を省略するが基板処理装置1を統括的に制御するコントローラに接続されており、基板Bの割れを検知した場合にはその旨の信号(割れ検知信号)をコントローラに出力するようになっている。この場合、コントローラは、基板Bの搬送を停止すべくコンベア5の駆動を制御するとともに、オペレータに報知すべく図外のアラーム装置等を駆動制御するようになっている。
【0053】
次に、基板割れ検出装置12の上記制御部38による基板の割れ検知制御について図6のフローチャートに従って説明する。なお、ここでは基板導入部2における基板割れ検出装置12を例に説明することにする。
【0054】
基板導入部2に基板Bが搬入され、コンベア5が駆動されて基板Bの搬送が開始されると、制御部38は、各基板検知センサ30A,30Bから出力されるタイマ無出力信号がオフ信号になるのを待って、何れか一方でもオフ信号になると基板Bの監視を開始する(ステップS1,S2)。つまり、基板Bの先端がセンサヘッド32の位置(すなわち光の照射位置)に到達すると、上記サンプリング周期で各基板検知センサ30A,30Bから出力される信号の検出を開始する。
【0055】
次いで、各基板検知センサ30A,30Bのタイマ無信出力信号が両方ともオフ信号か否かを判断し(ステップS3)、ここでNOと判断した場合には、基板Bの先端に割れが有ると判断し(ステップS7)、ステップS9に移行して前記コントローラに割れ検知信号を出力する。これにより基板Bの搬送を停止させるとともに各種アラーム装置を作動させてオペレータに報知する。
【0056】
これに対して、ステップS3でYESと判断した場合には、さらに各基板検知センサ30A,30Bのタイマ有出力信号のうち少なくとも一方がオン信号か否かを判断する(ステップ4)。そして、ここでNOと判断した場合には、さらに各基板検知センサ30A,30Bのタイマ無出力信号が両方ともオン信号か否か、つまり基板Bが両センサヘッド32の位置を通過したか否かを判断し(ステップS5)、ここでYESと判断した場合には、基板Bの監視を終了する(ステップS6)。
【0057】
これに対して、ステップS4でYESと判断した場合には、基板Bに割れが有るものと判断し(ステップS8)、詳しくは基板Bのうち先端以外の部分に割れがあると判断してステップS9に移行し、前記コントローラに割れ検知信号を出力する。
【0058】
次に、このような制御部38の制御に基づく割れ検知動作の具体例について図7〜図9を用いつつ作用効果と共に説明する。
【0059】
図7は、基板Bが割れを伴わない正常な基板である場合の各基板検知センサ30A,30Bからの信号出力状態を示すタイミングチャートである。
【0060】
この図に示すように、まず基板Bが正常なものである場合には、基板Bの搬送に伴いその先端がセンサヘッド32a,32bの位置に到達すると、各基板検知センサ30A,30Bのタイマ無出力信号がオン信号からオフ信号に変わり、これにより制御部38による割れの監視が開始される(t1時点)。この際、双方のタイマ無出力信号が同時にオフ信号に変わるため、制御部38は基板Bの先端には割れがないと判断する。
【0061】
そして、さらに基板Bが搬送されて、基板Bが各センサヘッド32a,32bの位置を通過すると、各基板検知センサ30A,30Bのタイマ無出力信号がオフ信号からオン信号に同時に変わり、これにより制御部38による割れの監視が終了する(t2時点)。
【0062】
この間(t1〜t2時点)、タイマ無出力信号は何れもオフ信号からオン信号に変わることがないので、各基板検知センサ30A,30Bのタイマ有出力信号がオフ信号からオン信号に変わることはなく、従って、制御部38は基板Bに割れがないと判断する。
【0063】
なお、基板Bが各センサヘッド32a,32bの位置を通過すると、タイマ無出力信号がオフ信号からオン信号に変わり、その結果、各基板検知センサ30A,30Bのタイマ有出力信号がオフ信号からオン信号に変わるが、この時点では割れの監視は終了しているため制御部38は当該信号を無視する。従って、割れがあると誤検知されることはない。
【0064】
これに対して、例えば図8(a)に示すように基板Bの途中部分であってその幅方向一端(第2センサヘッド32b側)に割れがある基板Bが搬送されてきた場合には、図8(b)に示すように、制御部38による割れの監視が開始された後(t1時点)、第2基板検知センサ30Bのタイマ無出力信号がオフ信号からオン信号に変わる(t2時点)。つまり、割れにより反射光が低減することによって受光部42の受光レベルが低下し、第2基板検知センサ30Bのタイマ無出力信号がオフ信号からオン信号に変わることとなる。
【0065】
そして、これに伴い第2基板検知センサ30Bのタイマ有出力信号がオン信号に変り(t2〜t3時点)、これによって制御部38は、基板Bの途中部分に割れがあると判断する。この際、タイマ有出力信号(オン信号)のパルス幅T1は、上記の通り処理部38のサンプリング周期よりも大きい値に設定されているため、割れが微細な場合、あるいは基板Bの搬送速度が速い場合であっても制御部38は確実に当該タイマ有出力信号(オン信号)を検出することが可能であり、従って、基板Bの割れが確実に検知されることとなる。
【0066】
また別の例として、例えば図9(a)に示すように基板Bの先端であってその幅方向一端(第1センサヘッド32a側)に割れがある基板Bが搬送されてきた場合には、図9(b)に示すように、第2基板検知センサ30Bのタイマ無出力信号がオン信号からオフ信号に変わることにより制御部38による割れの監視が開始される(t1時点)。そして、その後、遅れて第1基板検知センサ30Aのタイマ無出力信号がオン信号からオフ信号に変わる(t2時点)。つまり、割れの部分で受光部42の受光レベルが低下する結果、第1基板検知センサ30Aのタイマ無出力信号の切り替わりタイミングが遅れることとなる。従って、制御部38は、その間(t1時点〜t2時点)の各タイマ無出力信号の信号状態に基づき基板Bの先端に割れがあると判断する。
【0067】
なお、図8(b)中の時点t4、図9(b)中の時点t3はそれぞれ制御部38による基板Bの割れ監視が終了した時点を示している。
【0068】
以上説明したように、この基板処理装置1では、基板導入部2および基板導出部4に基板割れ検出装置12を設け、基板Bが割れを伴うものである場合には、その割れを検知して基板Bの搬送を停止させるとともにアラーム装置を作動させてオペレータに報知するように構成されているので、割れを伴う基板Bを早期に検知してラインアウトさせることができる。従って、割れを伴う基板Bが処理部3に搬入されたり、あるいは処理部3での処理中に割れが生じた基板Bが次工程に搬出されるといった事態を未然に回避し、これにより本来不要な処理が基板Bに施されたり、あるいは設備故障を招くといったトラブルの発生を未然に防止することができるようになる。
【0069】
特に、基板割れ検出装置12については、反射型の基板検知センサ30A,30Bを使った基板Bの有無検出に基づき基板Bの割れを検知するように構成する一方で、基板Bに割れがある場合には基板検知センサ30A,30Bから上記のようなタイマ有出力信号(オン信号)、すなわち処理部38のサンプリング周期よりも大きいパルス幅T1をもつ信号を常に出力させるようにし、これによって基板Bの搬送速度が速い場合や割れが微細な場合でも制御部38において確実に割れを検知できるように構成しているので、基板の割れ検知の信頼性が極めて高い。従って、上記のようなトラブルをより一層確実に防止することができるという利点がある。
【0070】
しかも、上記のように処理部38のサンプリング周期よりも大きいパルス幅をもつタイマ有出力信号(オン信号)を生成、出力させることで、制御部38として見れば、そのサンプリング周波数を高く設定することなく微細な割れを高い精度で検知することが可能となる。従って、例えば処理速度の速いCPU等を制御部38に用いることなく微細な割れを検知することが可能となり、その結果、基板割れ検出装置12をより簡素に、かつ安価に構成することができるようになるという利点もある。
【0071】
次に、本発明に係る基板処理装置1の第2の実施形態について説明する。
【0072】
第2の実施形態の基板処理装置1は、第1の実施形態のものと基本的に共通の構成を有しているが、基板割れ検出装置12の構成が以下の点で相違している。なお、以下の説明において第1の実施形態と共通するものについては同一符号を付して説明を省略し、相違点についてのみ詳細に説明することにする。
【0073】
図10は、第2の実施形態に係る基板割れ検出装置12の構成をブロック図で示している。この図に示すように、第2の実施形態に係る基板割れ検出装置12は、第1の実施形態のものにさらに先端検知センサ30C(本発明に係る第3信号出力手段)および後端検知センサ30D(本発明に係る第4信号出力手段)を備えた構成となっており、制御部38は、これらセンサ30A〜30Dから出力される信号に基づいて基板Bの割れを検知するように構成されている。
【0074】
先端検知センサ30Cおよび後端検知センサ30Dの構成は、基本的には前記基板検知センサ30A,30Bと共通するが、センサアンプ36にはタイマ部48が設けられておらず、この点で基板検知センサ30A,30Bと構成が相違している。つまり、先端検知センサ30Cおよび後端検知センサ30Dは、受光部42の光の受光状態に対応した信号を信号出力部46から出力するだけの構成となっている。
【0075】
先端検知センサ30Cのセンサヘッド32(必要に応じて先端側センサヘッド32cという)は、図11に示すように、基板検知センサ30A,30Bの各センサヘッド32a,32bの並び方向のほぼ中央(搬送路の幅方向中央)であって、これらセンサヘッド32a,32bよりも僅かに下流側に配置されている。一方、後端検知センサ30Dのセンサヘッド32(必要に応じて後端側センサヘッド32dという)は、先端側センサヘッド32cと同様に前記各センサヘッド32a,32bの中央であるが、各センサヘッド32a,32bよりも僅かに上流側に配置されている。
【0076】
次に、第2実施形態の上記基板割れ検出装置12の制御部38による基板の割れ検知制御について図12のフローチャートに従って説明する。なお、ここでは基板導入部2における基板割れ検出装置12を例に説明することにする。
【0077】
基板導入部2に基板Bが搬入され、コンベア5が駆動されて基板Bの搬送が開始されると、制御部38は、先端検知センサ30Cにより基板Bが検知されるのを待って、つまり先端検知センサ30Cのタイマ無出力信号がオフ信号に変わるのを待って基板Bの監視を開始する(ステップS21,S22)。
【0078】
次いで、各基板検知センサ30A,30Bのタイマ無信出力信号が両方ともオフ信号に変わったか否かを判断し(ステップS23)、ここでNOと判断した場合には、基板Bの先端に割れが有るものと判断し(ステップS27)、ステップS29に移行して前記コントローラに割れ検知信号を出力し、基板Bの搬送を停止させるとともに各種アラーム装置を作動させてオペレータに報知する。
【0079】
これに対して、ステップS23でYESと判断した場合には、さらに各基板検知センサ30A,30Bのタイマ有出力信号のうち少なくとも一方がオン信号か否かを判断する(ステップ24)。そして、ここで、NOと判断した場合には、後端検知センサ30Dにより基板Bの後端通過が検知されたか、つまり後端検知センサ30Dのタイマ無出力信号がオン信号に変わったか否かを判断し(ステップS25)、ここでYESと判断した場合には、基板Bの監視を終了する(ステップS26)。
【0080】
これに対して、ステップS24でYESと判断した場合には、基板Bのうちその先端以外の部分に割れが有ると判断し(ステップS28)、ステップS29に移行して前記コントローラに割れ検知信号を出力する。
【0081】
次に、このような第2の実施形態における制御部38の制御に基づく割れ検知動作について図13〜図15を用いて説明する。
【0082】
図13は、基板Bが割れを伴わない正常な基板である場合の各センサ30A〜30Dからの信号出力状態を示すタイミングチャートである。
【0083】
この図に示すように、基板Bが正常なものである場合には、基板Bの搬送に伴い、後端検知センサ30D、両基板検知センサ30A,30B、先端検知センサ30Cの順でこれらのタイマ無出力信号がオン信号からオフ信号に変わる。そして、先端検知センサ30からのタイマ無出力信号がオフ信号に変わった時点で制御部38による割れの監視が開始される(t2時点)。この際、基板検知センサ30A,30Bの双方のタイマ無出力信号がオフ信号であるため、制御部38は、基板Bの先端には割れがないと判断する。
【0084】
そして、さらに基板Bが搬送されて、基板Bが後端側センサヘッド32dの位置を通過すると、後端検知センサ30Dのタイマ無出力信号がオフ信号からオン信号に変わり、これにより制御部38による割れの監視が終了する(t3時点)。
【0085】
この間(t2〜t3時点)、基板検知センサ30A,30Bのタイマ無出力信号は何れもオフ信号からオン信号に変わることがないので、各基板検知センサ30A,30Bのタイマ有出力信号がオフ信号からオン信号に変わることはなく、従って、制御部38は基板Bに割れがないと判断する。
【0086】
これに対して、例えば図14(a)に示すように基板Bの途中部分であってその幅方向一端(第2センサヘッド32b側)に割れがある基板Bが搬送されてきた場合には、図14(b)に示すように、制御部38による割れの監視が開始された後(t2時点)、割れのために第2基板検知センサ30Bのタイマ無出力信号がオフ信号からオン信号に変わり(t3時点)、これに伴い第2基板検知センサ30Bのタイマ有出力信号が一定期間T1だけオン信号に変わる(t3〜t4時点)。従って、制御部38は、基板Bの途中部分に割れがあると判断する。
【0087】
さらに別の例として、例えば図15(a)に示すように基板Bの先端であってその幅方向一端(第1センサヘッド32a側)に割れがある基板Bが搬送されてきた場合には、図15(b)に示すように、例えば制御部38による基板Bの割れの監視が開始された時点(t2時点)よりも後に第1基板検知センサ30Aのタイマ無出力信号がオフ信号に変わる(t3時点)。従って、制御部38は、その間(t2時点〜t3時点)の各基板検知センサ30A,30Bのタイマ無出力信号の信号状態に基づき基板Bの先端に割れがあると判断する。
【0088】
なお、図14(b)中の時点t5、図15(b)中の時点t4はそれぞれ制御部38による基板Bの割れ監視が終了した時点を示している。
【0089】
以上のように、第2の実施形態に係る基板割れ検出装置12では、先端検知センサ30Cによる基板Bの先端検出に基づき制御部38による割れの監視を開始し、後端検知センサ30Dによる基板Bの通過検出に基づき制御部38による割れの監視を終了するように構成されており、この点で第1の実際形態のものと構成および制御内容が相違している。そして、このような相違を有する結果、第2の実施形態の基板割れ検出装置12によると、基板Bの先端や後端での割れ検知の精度をより一層高めることができるという利点がある。
【0090】
すなわち、図11に示すような矩形の基板Bを搬送する場合、通常は、その先端が搬送方向とほぼ直交するように基板Bの姿勢が保たれた状態で搬送されるが、例えば図11に一点鎖線で示すように、基板Bが若干斜めに傾いた姿勢のまま搬送されるいわゆる斜め搬送が発生するケースもある。この場合、第1の実施形態の基板割れ検出装置12の構成であると、基板Bの搬送に伴い、まず、第2基板検知センサ30Bのタイマ無出力信号がオフ信号に変わった後に、第1基板検知センサ30Aのタイマ無出力信号がオフ信号に変わる結果、図9(b)に示した場合と同様の信号出力状態となり、これによって制御部38が基板Bの先端に割れが有ると誤認することが考えられる。同様に、基板Bの後端についても、第2基板検知センサ30Bのタイマ無出力信号がオン信号に変わった後に、第1基板検知センサ30Aのタイマ無出力信号がオン信号に変わる結果、制御部38が基板Bの後端に割れが有ると誤認することが考えられる。
【0091】
これに対して、第2の実施形態の基板割れ検出装置12によると、予め発生し得る基板Bの傾きを想定し、この傾きに応じ、基板Bの先端が両センサヘッド32a,32bの位置に到達した後、当該先端が常に先端側センサヘッド32cに到達するように先端側センサヘッド32cの位置を両センサヘッド32a,32bに対して下流側にオフセットしておくことで、上記のような基板Bの斜め搬送に伴う割れの誤検知を防止することが可能となる。この点は、基板Bの後端側についても同様である。従って、この第2の実施形態の構成によると、基板Bの先端や後端での割れ検知の精度を高めることができ、その分、割れ検知の信頼性をより一層高めることができる。
【0092】
なお、この第2の実施形態では、先端側センサヘッド32cおよび後端側センサヘッド32dが、上記の通り各センサヘッド32a,32bに対して搬送方向にオフセットされている結果、各基板検知センサ30A,30Bのタイマ無出力信号がオフ信号に切り替わってから基板Bの監視が開始されるまでの間(例えば図13のt1時点〜t2時点)、基板Bの先端に未監視部分が発生し、また同様に、基板Bの監視が終了してから各基板検知センサ30A,30Bのタイマ無出力信号がオン信号に切り替わるまで(例えば図13のt3時点〜t4時点)、基板Bの後端に未監視部分が生じることとなる。しかし、このような未監視部分が発生しても、基板Bの先端および後端に発生し得る割れの大きさを想定して先端側センサヘッド32cおよび第2センサヘッド32bの配置位置を予め設定しておけば、実質的な検出精度に影響を与えることはない。
【0093】
なお、以上説明した基板処理装置1は、本発明に係る基板処理装置1(本発明に係る基板割れ検出装置12が適用された基板処理装置)の好ましい実施形態の一例であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、以下のような構成を採用することも可能である。
【0094】
(1) 第1の実施形態の基板割れ検出装置12では、2つの基板検知センサ30A,30Bを設け、これらのセンサヘッド32a,32bを基板Bの幅方向両端に対向する位置に配設する(すなわち各センサヘッド32a,32bの光の照射位置が幅方向両端に位置する)ようにしているが、これは、基板Bの割れの多くがその幅方向両端で発生するため、少ない基板検知センサの数で効率的に基板Bの割れを検知するための工夫であり、勿論、より多くの基板検知センサを設け、図16に示すように、これらのセンサヘッド32を基板の幅方向に並べるようにしてもよい。なお、この点は、第2の実施形態についても同様である。
【0095】
(2) 上記実施形態では、基板検知センサ30A,30Bとして反射型のものを用いているが、例えば、図17に示すように、光ファイバ35を介して発光部40に接続される投光側ヘッド32a(32b)と、同じく光ファイバ35を介して受光部42に接続される受光側ヘッド32a′(32b′)とを備えた透過型センサを用いるようにしてもよい。
【0096】
(3) 上記実施形態では、受光部42の光の受光状態に基づきタイマ無出力信号とタイマ有出力信号の双方を出力するように基板検知センサ30A,30Bが構成されているが、勿論、光の照射手段および受光手段(センサヘッド32、発光部40,受光部42)を持ち、タイマ有出力信号だけを出力する専用のセンサ(第1信号出力手段)を設ける一方、これとは別に光の照射手段および受光手段をもちタイマ無出力信号だけを出力する専用のセンサ(第2信号出力手段)を設けるようにしてもよい。但し、上記のように、タイマ無出力信号とタイマ有出力信号を出力する手段として照射手段および受光手段を共通化した構成によれば、合理的で、安価に基板割れ検出装置12を構成することができるという利点がある。
【0097】
(4) 上記実施形態の各基板検知センサ30A,30Bでは、タイマ部48がワンショットタイマから構成され、信号出力部46か出力される信号の変化(オフ信号からオン信号への変化)に基づき所定パルス幅T1のオン信号を出力するように構成されているが、例えばタイマ部48をオフディレイタイマから構成し、信号出力部46か出力される信号を、タイマ部48を経由して出力させることにより、タイマ無出力信号のうちオン信号からオフ信号への変化時点だけを一定期間遅延させた信号(タイマ有出力信号)を生成して出力させるようにしてもよい。つまり、例えば基板Bの途中部分(搬送方向の途中部分)に割れがあると、当該割れに対応してタイマ無出力信号がオフ信号からオン信号に変った後、再度オフ信号に変わるため(図8(b)参照)、オフディレイタイマからなるタイマ部48を経由させて、この割れに対応する部分の信号のうちオン信号からオフ信号へ変化時点を遅延させるようにする。この際、割れに対応する部分の信号の時間幅が、制御部38により処理可能な最小時間幅よりも常に大きい時間幅となるように上記遅延期間(すなわちタイマ部48のタイマ値)を設定するようにしておけば、上記実施形態の場合と同様に、制御部38はタイマ有出力信号のうち割れに対応する部分の信号を確実に検出することが可能となり、その結果、微細な割れをより確実に検出できるようになる。
【0098】
(5) 上記実施形態中では特に説明していないが、例えば受光部42の受光レベルの変化量(微分値)を演算する演算回路を各基板検知センサ30A,30Bに組み込み、その変化量が一定値を超えた場合に、一定のパルス信号、すなわち処理部38により処理可能な最小時間幅よりも大きい時間幅をもつ信号を出力させるようにしてもよい。すなわち、ひび等、完全な割れや欠けに至っていない損傷箇所に光を照射すると、光の受光レベルが短時間で大きく変化するため、上記のような構成によると、びひ等の損傷についてもその検出精度を高めることが可能となる。
【0099】
(6) 上記実施形態の各センサ30A〜30Dは、いずれも基板Bが無い状態でオン信号を、有る状態でオフ信号をそれぞれ出力するように論理設定されているが、勿論、逆の論理設定であっても構わない。すなわち、基板が有る状態でオン信号を、無い状態でオフ信号を出力するようにしてもよい。
【0100】
(7) 上記実施形態の各センサ30A〜30Dは、いずれもセンサヘッド32(32a〜32d)にスポットレンズ34を備えているがこれは必須ではない。但し、微細な割れをより確実に検出する上ではスポットレンズ34を設けるのが好ましい。
【0101】
(8) 上記実施形態では、基板割れ検出装置12の制御部38と、基板処理装置1のコントローラとが別構成となっているが、勿論、基板処理装置1のコントローラが制御部38の機能を兼ねるものであってもよい。つまり、上記コントローラが本発明の割れ検知手段として機能する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置(本発明に係る基板割れ検出装置を備えた基板処理装置)を示す模式図である。
【図2】基板割れ検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】基板割れ検出装置の構成を示すブロック図(詳細図)である。
【図4】第1,第2基板検知センサの各センサヘッドの配置を説明する模式図である。
【図5】基板検知センサからの出力信号を示すタイミングチャートである。
【図6】制御部による割れ検知動作制御の一例を示すフローチャートである。
【図7】割れの無い基板の場合の基板検知センサからの信号出力状態を示すタイミングチャートである。
【図8】(a)は、割れの有る基板の一例を示す平面図、(b)は、(a)に示す基板の場合の各基板検知センサからの信号出力状態を示すタイミングチャートである。
【図9】(a)は、割れの有る基板の一例を示す平面図、(b)は、(a)の場合の各基板検知センサからの信号出力状態を示すタイミングチャートである。
【図10】第2実施形態に係る基板割れ検出装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第1,第2基板検知センサ、先端検知センサ、後端検知センサの各センサヘッドの配置を説明する模式図である。
【図12】制御部による割れ検知動作制御の一例を示すフローチャートである。
【図13】割れの無い基板の場合の基板検知センサからの信号出力状態を示すタイミングチャートである。
【図14】(a)は、割れの有る基板の一例を示す平面図、(b)は、(a)に示す基板の場合の各基板検知センサからの信号出力状態を示すタイミングチャートである。
【図15】(a)は、割れの有る基板の一例を示す平面図、(b)は、(a)の場合の各基板検知センサからの信号出力状態を示すタイミングチャートである。
【図16】基板検知センサのセンサヘッドの配置例を示す模式図である。
【図17】基板割れ検出装置の別の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0103】
1 基板処理装置
2 基板導入部
3 処理部
4 基板導出部
12 基板割れ検出装置
30A,30B 基板検知センサ
32(32a〜32d) センサヘッド
36 センサアンプ
38 制御部
40 発光部
42 受光部
44 信号出力回路
46 信号出力部
48 タイマ部
B 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って搬送される基板の割れを検出するための装置であって、
前記搬送路に沿って搬送される基板に対して光を照射可能な照射手段と前記光の受光手段とを含み、この受光手段による光の受光状態に基づき信号を出力する信号出力手段と、
前記基板が前記照射手段による光の照射位置を通過する間に、これに対応して前記信号出力手段から出力される信号に基づき基板の割れを検知する割れ検知手段とを有し、
前記信号出力手段は、前記受光手段による光の受光状態が基板有りの状態から無しの状態に変化するときに、前記割れ検知手段により処理可能な最小時間幅よりも常に大きい時間幅をもつ前記信号を出力する
ことを特徴とする基板割れ検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板割れ検出装置において、
複数の前記信号出力手段を有し、これら信号出力手段の前記照射手段による光の照射位置が前記搬送路の幅方向に並んでいる
ことを特徴とする基板割れ検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の基板割れ検出装置において、
前記信号出力手段を第1信号出力手段としたときに、さらに、前記搬送路に沿って搬送される基板に対して光を照射可能な照射手段と前記光の受光手段とを含み、この受光手段による光の受光状態に基づき基板の有無に対応した信号を出力する複数の第2信号出力手段を有し、
これら第2信号出力手段の前記照射手段による光の照射位置が前記搬送路の幅方向に並び、
前記割れ検知手段は、第1および第2信号出力手段から出力される信号に基づき前記割れを検知する
ことを特徴とする基板割れ検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板割れ検出装置において、
前記第1信号出力手段および第2信号出力手段の前記照射手段および受光手段として共通の照射手段および受光手段が設けられている
ことを特徴とする基板割れ検出装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の基板割れ検出装置において、
前記搬送路に沿って搬送される基板に対して光を照射可能な照射手段と前記光の受光手段とを含み、この受光手段による光の受光状態に基づき基板の有無に対応した信号を出力する第3信号出力手段を有し、
この第3信号出力手段の前記照射手段による光の照射位置が前記搬送路の幅方向中央であって、かつ前記第2信号出力手段の各照射手段による光の照射位置よりも基板搬送方向下流側の位置にあり、
前記割れ検知手段は、第3信号出力手段から出力される信号に基づき基板の先端を検知し、当該検知後に第1および第2信号出力手段から出力される信号に基づき前記割れを検知する
ことを特徴とする基板割れ検出装置。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れかに記載の基板割れ検出装置において、
前記搬送路に沿って搬送される基板に対して光を照射可能な照射手段と前記光の受光手段とを含み、この受光手段による光の受光状態に基づき基板の有無に対応した信号を出力する第4信号出力手段を有し、
この第4信号出力手段の前記照射手段による光の照射位置が前記搬送路の幅方向中央であって、かつ前記第2信号出力手段の各照射手段による光の照射位置よりも基板搬送方向上流側の位置に設定され、
前記割れ検知手段は、第4信号出力手段から出力される信号に基づき基板の後端を検知し、当該検知後に第1および第2信号出力手段から出力される信号を無視する
ことを特徴とする基板割れ検出装置。
【請求項7】
基板の搬送路と、この搬送路に沿って搬送される基板に対して所定の処理を施す処理手段と、前記搬送路に沿って搬送される基板の割れを検出する基板割れ検出装置とを備えた基板処理装置であって、
前記基板割れ検出装置として請求項1乃至6の何れかに記載の基板割れ検出装置を備えている
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置において、
前記基板割れ検出装置は、基板の搬送を開始する搬送開始地点と前記処理手段との間、又は前記処理手段と処理後の基板の搬送終了地点との間の少なくとも一方に設けられている
ことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−225323(P2007−225323A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44163(P2006−44163)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】