説明

基板検査装置及び基板検査方法

【課題】検査対象となる半導体ウェハに対し、同一の光軸上において、表裏両面の外観検査を簡単且つ的確に行う。
【解決手段】対物レンズ20−1による半導体ウェハ1の表面1Aの観察点と、対物レンズ20−2による裏面1Bの観察点とは、同一の光軸上に位置出しされており、その表面1Aの画像と裏面1Bの画像とが画像処理装置40により合成されたモニタ画像41を観察することで、同時に半導体ウェハ1の表裏を簡単且つ精度良く観察することができる。更に、半導体ウェハ1における表面1Aの異常、及び裏面1Bの異常、それぞれが確認されたダイ1aに対して、それらのダイ1a上にマーキング装置30によりインクをマーキングすることができる。この時、マーキング装置30のマーキング位置は、同一の光軸上になるようにアライメントされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置等の電子機器を形成するための複数のダイが配列形成される被検査基板(例えば、半導体ウェハ)において、表裏両面の外観検査を行うための基板検査装置及び基板検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、以下「IGBT」という。)、ダイオード等の半導体装置の製造方法では、半導体ウェハの表面側において多数のダイ毎に回路部パターンが形成され、裏面側において多数のダイ毎に電極部パターンが形成される。これらパターンの形成後、半導体ウェハの表裏の外観検査を行い、不良箇所があるダイには、不良マークをインク等で付すためのマーキングを行う。更に、電気特性検査を行い、不良箇所があるダイには、同じく、マーキングを行う。その後、半導体ウェハにおいて半導体装置がそれぞれ形成された多数のダイを切断してチップとして分離し、不良品のチップを廃棄し、良品のチップのみを使用(例えば、半導体メーカの場合は、出荷)する。
【0003】
従来、外観検査に関する技術としては、例えば、次のような文献に記載されるものがあった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−14654号公報
【特許文献2】特開2006−128504号公報
【特許文献3】特開2006−310551号公報
【0005】
特許文献1は、基板の表裏面を検査(モニタ)し、そのモニタ結果に基づいて不良チップにマーキングを行う技術が記載されている(段落0006、0020等参照)。又、特許文献2、3には、モニタした表裏の画像を重ね合わせてモニタ画面に表示することが記載されている(特許文献2の場合は段落0023、0044等参照、特許文献3の場合は段落0049、0056等を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、半導体製造工程における半導体ウェハの外観検査では、通常、半導体ウェハ表面の回路部パターンの検査が主である。しかし、IGBT、ダイオード等のように裏面を電極として使用する半導体装置(デバイス)の場合、裏面の欠陥(例えば、回路パターンの欠損、傷、コレクタメタル成膜時のパターン欠損、半導ウェハに付着した異物等)により、電極として使用した際にスパークが生じ、突起が発生し、正常な電気特性の計測ができなくなったり、半導体ウェハをセットした際に突起により半導体ウェハが破損したりする不具合が発生するので、裏面検査をしている。裏面検査において異常が確認された場合、例えば、裏面の異物、被検査対象の半導体ウェハを廃棄あるいはピンセットで異常個所を挟むようにしてデバイス表面に傷をつけ、振り分け(スクリーニング)している。
【0007】
しかしながら、従来の特許文献1の技術では、半導体ウェハの表裏両面をモニタして不良部分にマーキングを行っているが、表面側のモニタと裏面側のモニタとを別々に行って不良部分にマーキングを行っているので、半導体ウェハにおける同一箇所の表面側と裏面側との不良解析が困難である。これに対し、従来の特許文献2、3の技術では、表裏別々にモニタした表面側のモニタ画像と裏面側のモニタ画像とを単に合成し、この合成画像から、半導体ウェハにおける同一箇所の表面側と裏面側との不良解析を行うことが可能であるが、表面側のモニタ画像と裏面側のモニタ画像とを正確に位置合わせして精度良く合成するためには、処理が複雑で手数を要し、その結果、半導体ウェハにおける同一箇所の表面側と裏面側との不良解析が煩雑になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基板検査装置では、電子機器形成用の被検査基板と第1のマークが付される透明基板とのいずれか一方を着脱自在に保持する基板ホルダと、前記基板ホルダに対して上側に配置され、前記基板ホルダに保持された前記透明基板の前記第1のマークを撮像すると共に、前記透明基板に代えて前記基板ホルダに保持された前記被検査基板の表面画像における所定箇所の表面画像情報を取得する第1の撮像装置と、前記基板ホルダに対して下側に配置され、前記基板ホルダに保持された前記透明基板の前記第1のマークを撮像して前記第1の撮像装置に対して光軸を一致させ、前記透明基板に代えて前記基板ホルダに保持された前記被検査基板における前記表面画像の所定箇所に対して同一の光軸上に位置する裏面画像の所定箇所の裏面画像情報を取得する第2の撮像装置と、前記基板ホルダの近傍に配置され、前記基板ホルダに保持された前記透明基板に対して前記第1のマークを付すと共に、前記基板ホルダに保持された前記被検査基板に対して、前記第1及び第2の撮像装置の光軸上に位置する不良箇所に第2のマークを付すマーキング装置と、前記表面画像情報と前記裏面画像情報とを合成して前記表面画像と前記裏面画像とを透視可能に重ねて画面に表示する画像処理装置とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の基板検査方法では、基板ホルダによって透明基板を着脱自在に保持する工程と、前記基板ホルダの近傍に配置されたマーキング装置により、前記透明基板の所定箇所に第1のマークを付す工程と、前記基板ホルダに対して上側に配置された第1の撮像装置により、前記基板ホルダに保持された前記透明基板の前記第1のマークの画像情報を取得すると共に、前記基板ホルダに対して下側に配置された第2の撮像装置により、前記第1のマークの画像情報を取得し、前記第1及び第2の撮像装置の光軸を一致させる工程と、前記透明基板に代えて電子機器形成用の被検査基板を着脱自在に前記基板ホルダに保持させ、前記第1の撮像装置により、前記被検査基板における表面画像の所定箇所を撮像して表面画像情報を取得すると共に、前記第2の撮像装置により、前記被検査基板における前記表面画像の所定箇所に対して同一の光軸上に位置する裏面画像の所定箇所を撮像して裏面画像情報を取得する工程と、前記表面画像情報と前記裏面画像情報とを合成して前記表面画像と前記裏面画像とを透視可能に重ねて画面に表示する工程と、前記画面に重ねて表示された前記表面画像及び前記裏面画像の異常箇所を検出し、前記被検査基板における前記異常箇所に対して、前記マーキング装置により不良箇所を示す第2のマークを付す工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の基板検査装置及び基板検査方法によれば、被検査基板の表面側の撮像と裏面側の撮像とを同一の光軸上で行うようにしているので、マーキング位置も同一の光軸上に位置する場所にマーキングされるよう位置出しできる。つまり、被検査基板の表裏の同軸上に撮像装置を配置させ、表裏から得られたそれぞれの画像情報を合成し同時に観察することができる。しかも、表裏の同一の光軸上の画像情報を同時に取り込めることより、被検査基板の製造工程内において表裏パターン形成、検査を効率良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
基板検査装置は、電子機器形成用の被検査基板(例えば、半導体ウェハ)と第1のマークが付される透明基板(例えば、ガラス基板)とのいずれか一方を着脱自在に保持する基板ホルダと、前記基板ホルダに対して上側に配置され、前記基板ホルダに保持された前記透明基板の前記第1のマークを撮像すると共に、前記透明基板に代えて前記基板ホルダに保持された前記被検査基板の表面画像における所定箇所の表面画像情報を取得する第1の撮像装置(例えば、対物レンズ及びカメラ)と、前記基板ホルダに対して下側に配置され、前記基板ホルダに保持された前記透明基板の前記第1のマークを撮像して前記第1の撮像装置に対して光軸を一致させ、前記透明基板に代えて前記基板ホルダに保持された前記被検査基板における前記表面画像の所定箇所に対して同一の光軸上に位置する裏面画像の所定箇所の裏面画像情報を取得する第2の撮像装置(例えば、対物レンズ及びカメラ)とを有している。
【0012】
更に、前記基板ホルダの近傍に配置され、前記基板ホルダに保持された前記透明基板に対して前記第1のマークを付すと共に、前記基板ホルダに保持された前記被検査基板に対して、前記第1及び第2の撮像装置の光軸上に位置する不良箇所に第2のマークを付すマーキング装置と、前記表面画像情報と前記裏面画像情報とを合成して前記表面画像と前記裏面画像とを透視可能に重ねて画面に表示する画像処理装置とが設けられている。
【実施例1】
【0013】
(実施例1の基板検査装置の構成)
図1は、本発明の実施例1を示す基板検査装置の概略の構成図である。図2(a)〜(c)は、図1における合成データS40のモニタ画面の表示例を示す図であり、同図(a)はダイ1aの表面図、同図(b)はダイ1aの裏面図、及び同図(c)は表面図に対して裏面図を透かしにして重ねて表示した合成図である。
【0014】
本実施例1の基板検査装置は、被検査基板(例えば、半導体ウェハ)1等の外縁をX軸及びこれに直交するY軸からなる水平方向に着脱自在に保持し、且つ、図示しない制御装置によってX軸及びY軸からなる水平方向に移動可能であり、その半導体ウェハ1等の表裏が上下から見える枠形の基板ホルダ10を有している。半導体ウェハ1の表面側には、電子機器(例えば、IGBT、ダイオード等の半導体装置)2がそれぞれ形成された複数の方形のダイ1aが配列形成されており、その裏面側に、複数のダイ1a毎に回路部パターン3が形成されている。基板ホルダ10に保持された半導体ウェハ1に対して、垂直のZ軸方向の光軸上において、半導体ウェハ1の上側に、第1の撮像装置(例えば、同一の光軸上の対物レンズ20−1、及びカメラ21−1)が配設されると共に、半導体ウェハ1の下側に、第2の撮像装置(例えば、同一の光軸上の対物レンズ20−2、及びカメラ21−2)が配設されている。
【0015】
上側の対物レンズ20−1は、半導体ウェハ1の表面を観察してカメラ21−1へ集光するためのレンズである。カメラ21−1は、例えば、電荷結合素子(以下「CCD」という。)により構成され、受光した半導体ウェハ1の表面画像を電気信号の表面画像情報である画像データS21−1に変換するものである。同様に、下側の対物レンズ20−2は、半導体ウェハ1の裏面を観察してカメラ21−2へ集光するためのレンズである。カメラ21−2は、例えば、CCDにより構成され、受光した半導体ウェハ1の裏面画像を電気信号の裏面画像情報である画像データS21−2に変換するものである。対物レンズ20−1の近傍には、半導体ウェハ1に対してインクを吹き付けてマーキングするためのマーキング装置30が配設されている。インクマーキング位置は、Z軸方向の光軸上になるようにアライメント(整列)可能である。
【0016】
カメラ21−1及び21−2の出力端子は、画像処理装置40に接続され、この画像処理装置40にモニタ画面41、及びデータ処理装置42が接続されている。画像処理装置40は、画像データS21−1及びS21−2を合成して合成データS40を生成し、この合成データS40をモニタ画面41に表示させる装置である。即ち、モニタ画面41では、図2に示すように、複数の半導体装置2が形成されたダイ1aの表面の画像が表示され、この上に、ダイ1aの裏面側における傷3aを有する回路部パターン3が透かしにして重ねて表示される。
【0017】
データ処理装置42は、合成データS40等を入力して欠陥情報である欠陥データS42を生成し、これをデータ解析制御手段(例えば、特許文献2等に記載されたデータ解析制御装置)50へ出力する装置である。データ解析制御装置50は、欠陥データS42から半導体ウェハ1に対する外観の欠陥状態を解析すると共に、電気特性測定装置51及びマーキング装置30を制御する装置であり、マイクロプロセッサ等により構成されている。
【0018】
(実施例1の基板検査方法)
図3は、図1の基板検査装置を用いた基板検査方法を示す概略の工程図である。
先ず、検査対象となる半導体ウェハ1に代えて、これと同一サイズの透明基板(例えば、ガラス基板)6を基板ホルダ10にセットする(ステップP1)。マーキング装置30からインクを出射してガラス基板6上に第1のマーク6aをマーキングする(ステップP2)。
【0019】
次に、例えば、上下の各対物レンズ20−1,20−2に十字ターゲットを取り付け、この十字ターゲットの中心に、ガラス基板6上のマーク6aが来るように、上下の対物レンズ20−1,20−2の位置出しを行い、上下の対物レンズ20−1,20−2の光軸合わせを行う(ステップP3)。即ち、ガラス基板6上のマーク6aが、上下の対物レンズ20−1,20−2及びカメラ21−1,21−2を通してモニタ画面41上に表示されている状態になるので、表示されているマーク6aの位置がモニタ画面41上で重なるように対物レンズ20−1,20−2の位置出しを行う。この時、マーキング装置30のマーキング位置は、Z軸方向の光軸上になるようにアライメントされている。これにより、容易に同一の光軸上に、対物レンズ20−1,20−2、及びマーキング装置30の位置出しを行うことができる。
【0020】
位置出し後、ガラス基板6を基板ホルダ10から取り外し、検査対象となる半導体ウェハ1を基板ホルダ10にセットする。上側の対物レンズ20−1と下側の対物レンズ20−2は、同一の光軸上に位置するため、カメラ21−1から入力された半導体ウェハ1の表面1Aの画像と、カメラ21−2から入力された半導体ウェハ1の裏面1Bの画像とは、位置関係が一致している。そこで、半導体ウェハ1の表面1Aと裏面1Bを対物レンズ20−1,20−22により観察し、カメラ21−1,21−2を通して画像処理装置40で、表面1A及び裏面1Bの画像データS21−1及びS21−2を合成する。
【0021】
合成する理由は、半導体ウェハ1の表面1Aには半導体装置2がレイアウトされているが、裏面1Bは、例えば電極として使用するためにデバイスレイアウトがわからない状態になっているため、裏面観察時に表面1Aの半導体装置2のどの位置に相当するのかを認識するために、画像を合成する。そして、画像処理装置40では、合成された表面1Aの画像をモニタ画面41に表示すると共に、裏面1の画像を透かし処理して表面1Aの画像に重ねてモニタ画面41に表示する(ステップP4)。
【0022】
これにより、裏面1Bにダイレイアウトがない異常位置(傷3a)を表のダイ位置に変換することができる。裏面1Bの異常位置に対する表面1Aのダイ位置と表自身の異常位置のダイ位置とを、合成データS40の形で、データ処理装置42を介してデータ解析制御装置50へ転送する(ステップP5)。データ解析制御装置50では、他の表面検査の異常のあるダイ1aとマージし、マーキングデータとしてマーキング装置30へ出力してマーキングを行う(ステップP6)。データ処理装置42では、半導体ウェハ1の全てのダイ1aの外観検査が終了しているか否かを判定する(ステップP7)。
【0023】
全てのダイ1aの外観検査が終了していないときには、基板ホルダ10を水平のX軸及びY軸方向へ移動して、他のダイ1aの異常箇所に移動してステップP5の処理へ戻る(ステップP8)。全てのダイ1aの外観検査が終了していれば、外観検査が終了する(ステップP9)。
【0024】
その後、データ解析制御装置50の制御により、電気特性測定装置51が動作し、半導体ウェハ1における各ダイ1aの電気特性の測定が行われ、不良箇所のダイ1aに対して、マーキング装置30により第2のマークを付けるマーキングが行われる。そして、半導体ウェハ1において半導体装置2がそれぞれ形成された多数のダイ1aを切断してチップとして分離し、不良品のチップを廃棄し、良品のチップのみを使用(例えば、半導体メーカの場合は、出荷)する。
【0025】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、次の(1)〜(3)のような効果がある。
【0026】
(1) 検査対象である半導体ウェハ1の裏面検査での異常個所を例えば表面のダイ位置にマーキングすることができるため、半導体ウェハ1を廃棄することなく出荷できる。マニュアルで傷をつけることが無いため、不良ダイ1aのみを効率よく抽出でき、効率良く製品を製造できる。
【0027】
(2) 対物レンズ20−1による半導体ウェハ1の表面1Aの観察点と、対物レンズ20−2による裏面1Bの観察点とは、同一の光軸上に位置出しされており、その表面1Aの画像と裏面1Bの画像とが画像処理装置40により合成されたモニタ画像41を観察することで、同時に半導体ウェハ1の表裏を簡単且つ精度良く観察することができる。
【0028】
(3) 半導体ウェハ1における表面1Aの異常、及び裏面1Bの異常、それぞれが確認されたダイ1aに対して、それらのダイ1a上にマーキング装置30によりインクをマーキングすることができる。この時、マーキング装置30のマーキング位置は、光軸上になるようにアライメントされている。そのため、半導体ウェハ1における裏面1Bの異常部に相対する表面1aのダイ1aに、簡単且つ正確に、不良のマーキングを実施することが可能になる。これにより、生産効率が向上し、電気特性では検査できない異常ダイの流出を防止することができる。
【実施例2】
【0029】
(実施例2の基板検査方法)
図4は、図1の基板検査装置を用いた本発明の実施例2の基板検査方法を示す概略の工程図である。
【0030】
本実施例2の基板検査方法が実施例1の基板検査方法と異なる点は、図1の半導体ウェハ1中のダイ1aに対する欠陥判定の方法等が異なることである。以下、図4を参照しつつ説明する。
【0031】
例えば、図1の検査対象となる半導体ウェハ1に対する検査レシピ(recipe(手法)、例えば、並行出し、ダイレイアウト、検査条件等)をデータ処理装置42へロード(転送)する(ステップP10)。半導体ウェハ1をロードして基板ホルダ10にセットし(ステップP11)、半導体ウェハ1をX軸及びY軸からなる水平方向に対して平行にする(ステップP12)。Z軸方向にある同一の光軸上に配置した上下の対物レンズ20−1,20−2及びカメラ21−1,21−2により、半導体ウェハ1の各ダイ1a毎に、表面1A及び裏面1Bを同時に撮影し、この上下の画像データS21−1,S21−2を画像処理装置40により合成して、表裏が合成された合成データS40からなる合成画像を生成する。
【0032】
生成された合成画像を表面1Aのダイ1a毎にパターン比較し、相違点があった場合、欠陥と判断する(ステップP13)。例えば、生成された合成画像を正常な基準パターンと比較(照合)検査したり、又は、隣り合うダイ1a,・・・の同位置を3つ以上パターン比較検査し(パターンマッチング)、相違点のある箇所を異常箇所と判定する。これにより、表裏自動外観検査が可能となる。
【0033】
欠陥位置等は、モニタ画面41に表示すると共に、データ処理装置42から欠陥データS42が出力されてデータ解析制御装置50へ転送される(ステップP14)。データ解析制御装置50により、欠陥データの解析や電気特性検査の制御が行われて検査が終了する(ステップP15)。検査終了後、データ解析制御装置50の制御により、マーキング装置30により不良箇所へマーキングが行われた後、半導体ウェハ1が基板ホルダ10から外される(アンロード、ステップP16)。
【0034】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、次の(1)、(2)のような効果がある。
【0035】
(1) 欠陥の表裏判断は、対物レンズ20−1,20−2及びカメラ21−1,21−2から入力された画像データS21−1,S21−2より、半導体ウェハ1の表裏どちらの面にあるかを判断することができる。又、両面検査だけでなく、図示しないスイッチで表面画像と裏面画像とを切り替えることにより、それぞれの面のみを検査することも可能であり、半導体ウェハ1の表裏自動外観検査としてフレキシブルに検査が可能となる。
【0036】
(2) データ処理装置42から、自動外観検査した欠陥データS42をデータ解析制御装置50へ転送して解析することにより、異常発生工程の絞込み、不良ダイの市場への流出防止データとして活用することができる。
【実施例3】
【0037】
本実施例3の基板検査装置では、例えば、半導体ウェハ1の表裏面にたいする欠陥検出の他に、半導体ウェハ表面の回路(例えば、加速度センサのゲート、コンタクト、配線等)に対して、半導体ウェハ裏面にパターン(例えば、加速度センサにおけるセンサ部の錘形成のためのパターン)を形成するためのアライメント機構として使用することにより、精度の高い表裏のパターン成形を行うことができるようになっている。
【0038】
(実施例3の構成)
図5は、本発明の実施例3を示す基板検査装置の概略の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。及び、図6は、図5における半導体ウェハ1の合わせマークとマスク60の合わせマークとの一例を示す図である。
【0039】
本実施例3の基板検査装置では、X軸及びY軸の水平方向に移動可能な基板ホルダ10の下に、パターン形成用のマスク60を保持するための図示しないマスクホルダが設けられている。このマスクホルダは、図示しない駆動装置により、基板ホルダ10とは独立してX軸及びY軸の水平方向に移動可能な構造になっている。
【0040】
基板ホルダ10の上下には、実施例1と同様に、Z軸方向における同一の第2の光軸上に、第2の撮像装置(例えば、上側の対物レンズ20−1及びカメラ21−1)と第4の撮像装置(例えば、下側の対物レンズ20−2及びカメラ21−2)とが設けられている。更に、第2の光軸に対して所定間隔隔てた第1の光軸上にも、第1の撮像装置(例えば、上側の対物レンズ20−3及びカメラ21−3)と第3の撮像装置(例えば、下側の対物レンズ20−4及びカメラ21−4)とが設けられている。なお、基板ホルダ10に保持される半導体ウェハ1の表面には、右(以下「R」という。)側の合わせマーク4と左(以下「L」という。)側の合わせマーク5が形成されている。同様に、マスクホルダに保持されるマスク60にも、R側の合わせマーク64とL側の合わせマーク65が形成されている。マスク60の下方からは、紫外線等の露光光Hが照射される。
【0041】
各カメラ21−1〜21−4から出力される画像データS21−1〜S21−4は、それぞれ画像処理装置40へ与えられ、モニタ画面41上において、R視野41R、及びL視野41Lの画像が表示可能な構成になっている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0042】
(実施例3のパターン形成方法)
図7(a)、(b)は、図5における半導体ウェハ1の位置合わせの説明図、図8(a)〜(c)は、図5におけるマスク60と半導体ウェハ1の重ね合わせの一例を示す説明図である。及び、図9は、図5の基板検査装置を用いたパターン形成方法を示す工程図である。
【0043】
図5の基板検査装置を用いて、例えば、半導体ウェハ1の裏面にマスクパターンを形成する場合には、先ず、所定距離離れた2つの合わせマーク64,65が形成された回路パターンのマスク60を図示しないマスクホルダにセットすると共に(ステップP20)、表面に所定距離離れた2つの合わせマーク4,5が形成され、裏面にホトレジストを塗布した半導体ウェハ1を基板ホルダ10にセットする(ステップP21)。
【0044】
上側の2組の対物レンズ20−1,20−3及びカメラ21−1,21−3で撮影した半導体ウェハ表面の合わせマーク4,5の画像データS21−1,S21−3を、画像処理装置40により処理してモニタ画面41のR視野41RとL視野41Lに表示する。例えば、図7(a)では、R視野41R内の合わせマーク4とL視野41L内の合わせマーク5とがX軸方向及びY軸方向にずれているので、基板ホルダ10をX軸及びY軸方向に移動すると共に回転させて、図7(b)及び図8(b)に示すように、合わせマーク4,5をR視野41R及びL視野41Lの中心に合わせる。更に、下側の2組の対物レンズ20−2,20−4及びカメラ21−2,21−4で撮影したマスク60の2点の合わせマーク64,65の画像データS21−2,S21−4を、画像処理装置40により処理してモニタ画面41のR視野41RとL視野41Lに表示する。図示しないマスクホルダをX軸及びY軸方向に移動すると共に回転させて、図6及び図8(a)に示すように、マスクの合わせマーク64,65を半導体ウェハ表面の合わせマーク4,5内に入るように位置合わせを行う(ステップP22)。
【0045】
基板ホルダ10及び図示しないマスクホルダを固定した後(ステップP23)、マスク側より露光光Hを照射してホトレジストを感光させ、図8(c)に示すように、半導体ウェハ裏面にマスク60の回路パターンを転写する(ステップP24)。転写後、半導体ウェハ1を基板ホルダ10から取り外し(アンロード、ステップP25)、半導体ウェハ裏面を現像すれば、半導体ウェハ表面のパターンに対してアライメントされたマスクパターンが形成され、パターン形成作業が終了する(ステップS26)。
【0046】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、上下各2組の対物レンズ20−1〜20−4及びカメラ21−1〜21−4を用い、上下各2点の合わせマーク4,5及び64,65により位置合わせを行ってマスク60の回路パターンを半導体ウェハ裏面に転写しているので、精度の高い表裏のパターン成形を行うことができる。
【実施例4】
【0047】
(実施例4の構成)
本実施例4は、図5に示す基板検査装置を用いたパターン形成方法である。
【0048】
(実施例4のパターン形成方法)
図10は、図5の基板検査装置を用いた本発明の実施例4のパターン形成方法を示す工程図であり、実施例3を示す図9中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0049】
実施例3では、図5の基板検査装置を表裏のパターン成形時の位置出し機能として使用し、ステップP20〜P26を実行している。これに対し、本実施例4のパターン形成方法では、実施例3のステップP20〜P26に、ステップP27及びP28を追加している。即ち、実施例3のマスクパターン形成後に(ステップP26)、半導体ウェハ裏面に転写されたマスクパターンと、半導体ウェハ表面の回路パターンとのアライメントの検証として、半導体ウェハ裏面に転写されたパターンを、対物レンズ20−4及びカメラ21−4により取り込み、半導体ウェハ表面の合わせマーク5に対して転写されたマスク側の合わせマーク65のX軸及びY軸方向のずれ量を、画像処理装置40を通してデータ処理装置42により計測(算出)する。同様に、半導体ウェハ表面の合わせマーク4に対して転写されたマスク側の合わせマーク64のX軸及びY軸方向のずれ量を計測(算出)する(ステップP27)。
【0050】
ステップP24において、半導体ウェハ裏面にマスクパターンを転写する際、正確に半導体ウェハ1に対してマスクパターンが転写されているか否かは、半導体ウェハ裏面に転写されたホトレジストを現像し、転写されたマスクパターンが正確に位置出しされているか否かを確認することが必要になる。図8(c)に示すように、マスクパターンを半導体ウェハ裏面に重ね合わせた時点では位置出しができていたとしても、観察光学系の収差や微小なずれと露光光Hを照射しているときの振動により、実際に転写されたマスクパターンはその通りに転写されているとはいえない。そのため、ステップP27において、転写された半導体ウェハ裏面のマスクパターンと半導体ウェハ表面の回路パターンとの位置関係を計測し、X軸、Y軸、及び回転のマスク60と半導体ウェハ1とのずれを計測し、中心が一致するように補正をかけることが必要になる。
【0051】
そこで、ステップP27において、得られたX軸、Y軸のずれ量、オフセット、及び回転補正値をデータ処理装置42から出力し、図示しない回路パターン転写装置にフィードバックすることで、ずれ量の補正が可能となる(ステップP28、P22)。
【0052】
(実施例4の効果)
本実施例4によれば、次の(1)、(2)のような効果がある。
【0053】
(1) 半導体ウェハ1の両面にパターンを成形する際の重ね合わせ精度を計測することができ、ずれ量をパターン転写装置等にフィードバックすることにより、半導体ウェハ1の表裏のパターン精度の高い合わせ精度を得ることができる。
【0054】
(2) 図5の基板検査装置を、転写された後の合わせマークの位置(即ち、半導体ウェハ表面の合わせマーク5に対してマスク側の合わせマーク65の位置と、半導体ウェハ表面の合わせマーク4に対してマスク側の合わせマーク64の位置とがずれているの)を補正するための検査として使用している。これにより、より精度の高い表裏のパターン成形を行うことが可能になる。
【0055】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、例えば、図5に示す実施例3において、実施例1に示すマーキング装置30を設けたり、或いは、データ処理装置42の出力側に接続されるデータ解析制御装置50等を他の装置に置き換える等、種々の利用形態や変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例1を示す基板検査装置の概略の構成図である。
【図2】図1における合成データのモニタ画面の表示例を示す図である。
【図3】図1の基板検査装置を用いた基板検査方法を示す概略の工程図である。
【図4】図1の基板検査装置を用いた本発明の実施例2の基板検査方法を示す概略の工程図である。
【図5】本発明の実施例3を示す基板検査装置の概略の構成図である。
【図6】図5における半導体ウェハの合わせマークとマスクの合わせマークとの一例を示す図である。
【図7】図5における半導体ウェハの位置合わせの説明図である。
【図8】図5におけるマスクと半導体ウェハの重ね合わせの一例を示す説明図である。
【図9】図5の基板検査装置を用いたパターンの形成方法を示す工程図である。
【図10】図5の基板検査装置を用いたパターンの形成方法を示す工程図である。
【符号の説明】
【0057】
1 半導体ウェハ
1a ダイ
10 基板ホルダ
20−1〜20−4 対物レンズ
21−1〜21−4 カメラ
30 マーキング装置
40 画像処理装置
41 モニタ画面
42 データ処理装置
50 データ解析制御装置
60 マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器形成用の被検査基板と第1のマークが付される透明基板とのいずれか一方を着脱自在に保持する基板ホルダと、
前記基板ホルダに対して上側に配置され、前記基板ホルダに保持された前記透明基板の前記第1のマークを撮像すると共に、前記透明基板に代えて前記基板ホルダに保持された前記被検査基板の表面画像における所定箇所の表面画像情報を取得する第1の撮像装置と、
前記基板ホルダに対して下側に配置され、前記基板ホルダに保持された前記透明基板の前記第1のマークを撮像して前記第1の撮像装置に対して光軸を一致させ、前記透明基板に代えて前記基板ホルダに保持された前記被検査基板における前記表面画像の所定箇所に対して同一の光軸上に位置する裏面画像の所定箇所の裏面画像情報を取得する第2の撮像装置と、
前記基板ホルダの近傍に配置され、前記基板ホルダに保持された前記透明基板に対して前記第1のマークを付すと共に、前記基板ホルダに保持された前記被検査基板に対して、前記第1及び第2の撮像装置の光軸上に位置する不良箇所に第2のマークを付すマーキング装置と、
前記表面画像情報と前記裏面画像情報とを合成して前記表面画像と前記裏面画像とを透視可能に重ねて画面に表示する画像処理装置と、
を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
電子機器形成用の被検査基板と透明基板とのいずれか一方を着脱自在に保持する基板ホルダと、
前記基板ホルダに対して上側に所定間隔隔てて左右に配置され、前記基板ホルダに保持された前記被検査基板の表面画像における2箇所の表面画像情報をそれぞれ取得する左側の第1の撮像装置及び右側の第2の撮像装置と、
前記基板ホルダに対して下側に配置され、且つ、前記基板ホルダに保持された前記透明基板を通して前記第1の撮像装置に対して同一の第1の光軸上に配置され、前記透明基板に代えて前記基板ホルダに保持された前記被検査基板の裏面画像における裏面画像情報を取得する左側の第3の撮像装置と、
前記第3の撮像装置に対して右側に所定間隔隔てて配置され、且つ、前記基板ホルダに保持された前記透明基板を通して前記第2の撮像装置に対して同一の第2の光軸上に配置され、前記透明基板に代えて前記基板ホルダに保持された前記被検査基板の裏面画像における裏面画像情報を取得する右側の第4の撮像装置と、
前記基板ホルダの近傍に配置され、前記基板ホルダに保持された前記被検査基板に対して、前記第1の光軸上及び/又は前記第2の光軸上に位置する不良箇所にマークを付すマーキング装置と、
前記表面画像情報と前記裏面画像情報とを合成して前記表面画像と前記裏面画像とを透視可能に重ねて画面に表示する画像処理装置と、
を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の基板検査装置は、更に、
前記画像処理装置により合成された前記画像情報を処理して欠陥情報を出力するデータ処理装置を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項4】
請求項3記載の基板検査装置は、更に、
前記データ処理装置から出力される前記欠陥情報を解析して、前記被検査基板に対する電気特性の測定を制御すると共に前記マーキング装置を制御するデータ解析制御手段を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項5】
基板ホルダによって透明基板を着脱自在に保持する工程と、
前記基板ホルダの近傍に配置されたマーキング装置により、前記透明基板の所定箇所に第1のマークを付す工程と、
前記基板ホルダに対して上側に配置された第1の撮像装置により、前記基板ホルダに保持された前記透明基板の前記第1のマークの画像情報を取得すると共に、前記基板ホルダに対して下側に配置された第2の撮像装置により、前記第1のマークの画像情報を取得し、前記第1及び第2の撮像装置の光軸を一致させる工程と、
前記透明基板に代えて電子機器形成用の被検査基板を着脱自在に前記基板ホルダに保持させ、前記第1の撮像装置により、前記被検査基板における表面画像の所定箇所を撮像して表面画像情報を取得すると共に、前記第2の撮像装置により、前記被検査基板における前記表面画像の所定箇所に対して同一の光軸上に位置する裏面画像の所定箇所を撮像して裏面画像情報を取得する工程と、
前記表面画像情報と前記裏面画像情報とを合成して前記表面画像と前記裏面画像とを透視可能に重ねて画面に表示する工程と、
前記画面に重ねて表示された前記表面画像及び前記裏面画像の異常箇所を検出し、前記被検査基板における前記異常箇所に対して、前記マーキング装置により不良箇所を示す第2のマークを付す工程と、
を有することを特徴とする基板検査方法。
【請求項6】
基板ホルダによって透明基板を着脱自在に保持する工程と、
前記基板ホルダに対して上側に配置された左側の第1の撮像装置と、前記基板ホルダに対して下側に配置された左側の第2の撮像装置とを、前記基板ホルダに保持された前記透明基板を通して同一の第1の光軸上に配置すると共に、前記第1の撮像装置に対して所定間隔隔てて右側に配置された第3の撮像装置と、前記第2の撮像装置に対して所定間隔隔てて右側に配置された第4の撮像装置とを、前記透明基板を通して同一の第2の光軸上に配置する工程と、
前記透明基板に代えて電子機器形成用の被検査基板を着脱自在に前記基板ホルダに保持させ、前記第1及び第3の撮像装置により、前記被検査基板における表面画像の2箇所を撮像して2つの表面画像情報を取得すると共に、前記第2及び第4の撮像装置により、前記被検査基板における前記表面画像の2箇所に対して前記第1及び第2の光軸上に位置する裏面画像の2箇所を撮像して2つの裏面画像情報を取得する工程と、
前記表面画像情報と前記裏面画像情報とを合成して前記表面画像と前記裏面画像とを透視可能に重ねて画面に表示する工程と、
前記画面に重ねて表示された前記表面画像及び前記裏面画像の異常箇所を検出し、前記被検査基板の前記異常箇所に対する欠陥情報を出力する工程と、
を有することを特徴とする基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−261667(P2008−261667A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103123(P2007−103123)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(390008855)宮崎沖電気株式会社 (151)
【Fターム(参考)】