塗工ノズル、塗工方法、及び内容積制御弁
【課題】基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出するためのスロット部が形成された塗工ノズルを提供する。
【解決手段】液体供給弁から供給される液体を受け入れる入口開口と、液体を吐出する出口開口とを有するノズル本体11と、ノズル本体に隣接して配置され、出口開口から吐出される液体を分配する溝穴を有する分配板12と、分配板に隣接して配置され、分配板の溝穴と連通する切り取り部が設けられたシム板13と、シム板に隣接して配置され、シム板の切り取り部を覆う遮蔽板14とを有する塗工ノズル10において、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出するためのスロット部は、分配板と遮蔽板との間でシム板の切り取り部により形成されている。
【解決手段】液体供給弁から供給される液体を受け入れる入口開口と、液体を吐出する出口開口とを有するノズル本体11と、ノズル本体に隣接して配置され、出口開口から吐出される液体を分配する溝穴を有する分配板12と、分配板に隣接して配置され、分配板の溝穴と連通する切り取り部が設けられたシム板13と、シム板に隣接して配置され、シム板の切り取り部を覆う遮蔽板14とを有する塗工ノズル10において、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出するためのスロット部は、分配板と遮蔽板との間でシム板の切り取り部により形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の複数の面に一度に液体を塗工することができる塗工ノズル及び塗工方法、及び塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池パネルは、接着剤又はシール材としてのホットメルトを介して金属性外枠に嵌め込まれている。太陽電池パネルは、例えば、受光面側のガラス板の裏に透明電極が設けられ、透明電極と裏面電極との間に、アモルファスシリコン及び薄膜多結晶シリコンが配置されている。金属性外枠には、太陽電池パネルを嵌め込むための溝形状の嵌合部分が設けられている。従来の方法によれば、外枠の嵌合部分にホットメルトを塗工し、その後、嵌合部分に太陽電池パネルを嵌め込んで太陽電池パネルを外枠に組み込んでいた(特許文献1を参照。)。
【0003】
しかし、外枠の嵌合部分には、設置用の穴などが設けられているため、外枠の嵌合部に流動性のあるホットメルトを塗工することが好ましくない場合があった。
また、太陽電池パネルと外枠との間に水が浸入することを確実に防止するために、嵌合部分へ塗工するホットメルトの量を多くすることがあった。この場合に、余分なホットメルトが嵌合部分からはみ出すため、はみ出したホットメルトを除去する工程が必要となった。
このような外枠へのホットメルトの塗工の問題点を解決するために、太陽電池パネルにホットメルトを塗工する方法が考えられている。太陽電池パネルにホットメルトを塗工することにより、設置用の穴が設けられた外枠と太陽電池パネルとを組み立てる際にも、流動性のあるホットメルトを使用することができる。また、太陽電池パネルへ直接ホットメルトを塗工するので、太陽電池パネルへの水の浸入をより確実に防止することができる。さらにまた、より安価な外枠を使用することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−243998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の塗工装置を使用して太陽電池パネルなどの基板の外周部へホットメルトなどの液体を塗工するためには、基板の端面と、端面に隣接する基板の上面と、端部に隣接する基板の下面とに、3つの塗工装置からそれぞれ液体を塗工する必要があった。3つの塗工装置のそれぞれには、ノズルと、ノズルへ液体を供給する液体供給弁と、液体供給源から液体供給弁へ液体を供給するための液体通路が設けられている。
このように、複数のノズル、複数の液体供給弁、及び複数の液体供給通路を設けるために、費用がかかるという問題があった。
また、構造部品の数が増大するため、複数の塗工ノズルを設置するための大きな空間が必要であるという問題があった。
さらにまた、液体供給源から複数の塗工ノズルへの複数の液体供給通路を設ける必要があるため、複数の液体供給通路の配管が煩雑になるという問題があった。
さらにまた、基板に対して複数の塗工ノズルをそれぞれ位置決めする作業に時間がかかり、また、それぞれの塗工ノズルの吐出開始及び吐出停止のタイミングを調整する作業にも時間がかかるという問題があった。
さらにまた、複数の塗工ノズルにより形成される塗膜間の継ぎ目の仕上りがよくない。すなわち、継ぎ目が盛り上がったり、膨らみが発生したりするという問題があった。
そこで、本発明は、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出することができる塗工ノズル及び塗工方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する為に本発明では次のような塗工ノズルとした。
すなわち、液体供給弁から供給される液体を受け入れる入口開口と、液体を吐出する出口開口とを有するノズル本体と、
前記ノズル本体に隣接して配置され、前記出口開口から吐出される液体を分配する溝穴を有する分配板と、
前記分配板に隣接して配置され、前記分配板の前記溝穴と連通する切り取り部が設けられたシム板と、
前記シム板に隣接して配置され、前記シム板の前記切り取り部を覆う遮蔽板とを有し、
基板の端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を吐出するためのスロット部は、前記分配板と前記遮蔽板との間で前記シム板の前記切り取り部により形成されている塗工ノズルとした。
【0007】
また、前述した課題を解決する為に本発明では次のような塗工方法とした。
すなわち、前記塗工ノズルを基板の縁部に沿って移動させながら、前記基板の端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する塗工方法とした。
【0008】
また、前述した課題を解決する為に本発明では次のような内容積制御弁とした。
すなわち、液体供給弁から供給される液体を受け入れる一つの入口開口と、液体を吐出する複数の出口開口と、前記複数の出口開口と前記一つの入口開口との間に設けられたシリンダー部とを有する塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁であって、
前記シリンダー部内を往復動して前記シリンダー部内の複数の位置で停止することができる第一プランジャーと、
前記第一プランジャーに固定された第一ピストンと、
前記第一プランジャーを前記複数の位置で停止させるために前記第一ピストンに作用する一又は二以上の第二プランジャー及び第二ピストンとを有し、
前記液体が吐出される出口開口の数を変更するために、前記複数の位置から前記第一プランジャーが停止する位置を選択する内容積制御弁とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出することができる塗工ノズル及び塗工方法を提供することができる。
また、本発明によれば、塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁を提供することができる。
本発明の塗工ノズルは、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出することができるので、複数のノズル、液体供給弁、及び液体供給通路を設けるための費用を低減することができる。
また、本発明の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、構造部品の数を低減し、塗工ノズルを設置するための空間を減少させることができる。
さらにまた、本発明の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、液体供給源から塗工ノズルへの液体供給通路の数を減少させることができる。
さらにまた、本発明の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、塗工ノズルの取付位置調整、吐出開始及び吐出停止のタイミング調整にかかる時間を低減することができる。
さらにまた、本発明の塗工ノズルは、基板の端面の塗膜と端面に隣接する基板の面の塗膜との間に継ぎ目のない塗工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による塗工システムを示す図。
【図2】実施例1の三面塗工ノズルの分解斜視図。
【図3】三面塗工ノズルと内容積制御弁の平面図。
【図4】図3の線IV−IVに沿って取ったノズル本体の断面図。
【図5】ノズル本体の正面図。
【図6】ノズル本体の側面図。
【図7】ノズル本体の斜視図。
【図8】ノズル本体のホットメルト通路を示すためにノズル本体を透かして描いた説明図。
【図9】分配板の正面図。
【図10】分配板の側面図。
【図11】ノズル本体に取り付けられた分配板の正面図。
【図12】ノズル本体に取り付けられた分配板の側面図。
【図13】ノズル本体に取り付けられた分配板の斜視図。
【図14】シム板の正面図。
【図15】シム板の側面図。
【図16】分配板に隣接して取り付けられたシム板の正面図。
【図17】分配板に隣接して取り付けられたシム板の側面図。
【図18】分配板に隣接して取り付けられたシム板の斜視図。
【図19】遮蔽板の正面図。
【図20】遮蔽板の側面図。
【図21】三面塗工ノズルのノズル先端部の説明図。
【図22】ノズル先端部の拡大図。
【図23】シム板に隣接して取り付けられた遮蔽板の正面図。
【図24】シム板に隣接して取り付けられた遮蔽板の側面図。
【図25】シム板に隣接して取り付けられた遮蔽板の斜視図。
【図26】代替例1の遮蔽板の側面図。
【図27】代替例2の遮蔽板の側面図。
【図28】取付板の正面図。
【図29】遮蔽板に隣接して取り付けられた取付板の正面図。
【図30】遮蔽板に隣接して取り付けられた取付板の側面図。
【図31】遮蔽板に隣接して取り付けられた取付板の斜視図。
【図32】ねじにより固定された三面塗工ノズルを示す図。
【図33】図32の線XXXIIIA−XXXIIIA及び線XXXIIIB−XXXIIIBに沿って取った三面塗工ノズルの断面側面図。
【図34】図32の線XXXIIIA−XXXIIIA及び線XXXIIIB−XXXIIIBに沿って取った三面塗工ノズルの断面斜視図。
【図35】塗工前及び塗工後の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図36】塗工時の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図37】実施例1の三面塗工ノズルにより太陽電池パネルに塗工されたホットメルトの塗膜の断面図。
【図38】ホットメルトの塗工方法を示す説明図。
【図39】実施例2の三面塗工ノズルの分解斜視図。
【図40】分散板の正面図。
【図41】分配板に隣接して取り付けられた分散板の正面図。
【図42】分配板に隣接して取り付けられた分散板の側面図。
【図43】分配板に隣接して取り付けられた分散板の斜視図。
【図44】分散板に隣接して取り付けられたシム板の正面図。
【図45】分散板に隣接して取り付けられたシム板の側面図。
【図46】分散板に隣接して取り付けられたシム板の斜視図。
【図47】実施例2の三面塗工ノズルのホットメルト流路を示す説明図。
【図48】実施例3の二面塗工ノズルのための分配板の正面図。
【図49】実施例3の二面塗工ノズルのためのシム板の正面図。
【図50】実施例1〜3によりホットメルトが塗工された太陽電池パネルを示す図。
【図51】実施例4の三面塗工ノズルの分解図。
【図52】ノズル本体の正面図。
【図53】ノズル本体の側面図。
【図54】分配板の正面図。
【図55】シム板の正面図。
【図56】実施例4の内容積制御弁の動作を示す説明図。
【図57】ノズル本体の第一及び第二出口開口と第一プランジャーとの位置関係を示す図。
【図58】実施例4の第一プランジャーとホットメルト供給弁との動作を示す説明図。
【図59】塗工前及び塗工後の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図60】三面塗工時の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図61】一面塗工時の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図62】一つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する方法を示す説明図。
【図63】一つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する別の方法を示す説明図。
【図64】一つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する別の方法を示す説明図。
【図65】二つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する方法を示す説明図。
【図66】四つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0012】
(塗工システム)
図1は、本発明による塗工システムを示す図である。本実施例において、多面塗工装置の例として三面塗工装置を挙げて説明する。三面塗工装置1は、ロボットアーム100に取り付けられている。ロボットアーム100は、三面塗工装置1を被塗物(基板)である太陽電池パネル(ソーラーパネル)2の縁部に沿って移動させる。太陽電池パネル2は、太陽光発電に使用されるパネルである。三面塗工装置1は、矢印A1、A2、A3、及びA4で示すノズル移動方向に移動しながら、接着剤やシーラントなどの液体としてのホットメルトを太陽電池パネル2の縁部の端面、端面に隣接する上面(上側周面)、及び端面に隣接する下面(裏側周面)に塗工する。本実施例においては、太陽電池パネル2に対して三面塗工装置1を移動させる構成を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、三面塗工装置1に対して太陽電池パネル2を移動させてもよい。したがって、ノズル移動方向は、太陽電池パネル2に対する三面塗工装置1の相対移動方向を示している。
三面塗工装置1は、塗工ノズルとしての三面塗工ノズル10と、内容積制御弁20と、ホットメルト供給弁(液体供給弁)30と、ガン40とからなる。三面塗工ノズル10は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部10rが形成されている。三面塗工ノズル10は、太陽電池パネル2を通す部分がコの字形状をしている。内容積制御弁20は、空気通路51、52を介して弁空気制御回路60に接続されている。内容積制御弁20と空気通路51、52との間には、スピードコントローラ21、22が設けられている。弁空気制御回路60は、空気通路53を介して空気供給源70に接続されている。弁空気制御回路60は、制御装置110の空気制御信号111により制御される。ガン40は、ホットメルト通路(液体通路)54を介してホットメルト供給源80に接続されている。ガン40は、また、空気通路55を介してガン空気制御回路90に接続されている。ガン空気制御回路90は、空気通路56を介して空気供給源70に接続されている。ガン空気制御回路90は、制御装置110の空気制御信号112により制御される。
【0013】
(三面塗工ノズル)
図2は、三面塗工ノズル10の分解斜視図である。三面塗工ノズル10は、内容積制御弁20の一端部に取り付けられている。三面塗工ノズル10は、ノズル本体11と、分配板12と、シム板13と、遮蔽板14と、取付板15とからなる。
【0014】
(ノズル本体)
図3は、三面塗工ノズル10と内容積制御弁20を示す平面図である。図4は、図3の線IV−IVに沿って取ったノズル本体11の断面図である。ノズル本体11には、太陽電池パネル2を通すための切り取り部11rが設けられている。切り取り部11rは、幅W1と長さL1を有する。ノズル本体11は、ナット31によりホットメルト供給弁30に取り付けられている。ノズル本体11は、ホットメルト供給弁30に直接取り付けられているので、本実施例のホットメルト通路の長さは、短い。もし、ホットメルト通路の長さが長いと、塗工作業の初めにテーパー状の塗膜が発生したり、塗工作業の終わりにホットメルトのカットオフが良好でなくなったりする。本実施例においては、ホットメルト通路の長さを短くしたので、塗工作業の初めのテーパー状の塗膜の発生、及び塗工作業の終わりのホットメルトのカットオフの不良を低減できる。ノズル本体11には、ホットメルト供給弁30から供給されるホットメルトを受け入れる入口開口11aが設けられている。ノズル本体11には、入口開口11aに連通するホットメルト通路(液体通路)11bが設けられている。また、ノズル本体11には、ホットメルト通路11bと交差し、ホットメルト通路11bと連通するシリンダー部11cが設けられている。シリンダー部11cは、ホットメルト通路11bに関して切り取り部11rと反対の側に設けられている。ノズル本体11には、内容積制御弁20が装着される装着孔11dが設けられている。シリンダー部11cは、装着孔11dに開口している。シリンダー部11cには、内容積制御弁20のプランジャー23が挿入される。プランジャー23は、シリンダー部11c内で往復動する。
【0015】
図5は、ノズル本体11の正面図である。分配板12が取り付けられるノズル本体11の取付面11eには、ホットメルトの出口開口11fが設けられている。ノズル本体11には、温調ヒーター17と温度センサー18が設けられている。ノズル本体11が周囲空気及び太陽電池パネル2により冷却されノズル本体11の温度が低下すると、ホットメルト塗工終了時のカットオフが良好でなくなることがある。そこで、ノズル本体11を加熱して適切な温度に維持するために温調ヒーター17がノズル本体11に設けられている。温度センサー18は、ノズル本体11の温度を検知する。制御装置110は、温度センサー18の検知温度に基づいて、温調ヒーター17を制御し、ノズル本体11を適切な温度に保持する。これによって、ホットメルト塗工終了時のカットオフを良好にする。図6は、ノズル本体11の側面図である。ノズル本体11には、出口開口11fとホットメルト通路11bとを連通するホットメルト通路(液体通路)11gが設けられている。本実施例においては、ホットメルト通路11gは、三面塗工ノズル10が太陽電池パネル2に対して相対的に移動する方向Aと平行に延在している。また、ホットメルト通路11bは、ホットメルト通路11gに対して垂直に延在している。シリンダー部11cは、ホットメルト通路11bとホットメルト通路11gとの結合部11hにおいて、ホットメルト通路11bに連通している。
図7は、ノズル本体11の斜視図である。図8は、ノズル本体11のホットメルト通路を示すためにノズル本体11を透かして描いた説明図である。ホットメルト供給源30がノズル本体11にナット31により取り付けられているときに、ホットメルトは、ノズル本体11の入口開口11aへ供給される。ホットメルトは、入口開口11aからホットメルト通路11bを通り結合部11hへ流れる。このとき、シリンダー部11c内のプランジャー23の先端部は、結合部11hの近傍にある。ホットメルトは、結合部11hからホットメルト通路11gを通して出口開口11fへ流れる。
【0016】
(分配板)
図9は、分配板12の正面図である。分配板12は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部12rが設けられている。切り取り部12rは、幅W2と長さL2を有する。切り取り部12rの上辺と側辺との間及び下辺と側辺との間は、半径Rの円弧で結ばれている。分配板12の切り取り部12rの幅W2は、ノズル本体11の切り取り部11rの幅W1に等しいかそれよりも小さい。また、図4のノズル本体11の左端部と図9の分配板12の左端部を合わせて取り付けた場合に、分配板12の切り取り部12rの長さL2は、ノズル本体11の切り取り部11rの長さL1に等しいかそれよりも小さい。所望の塗工形状及び塗膜厚さに応じて、分配板12の幅W2、長さL2、及び半径Rの寸法を設定することができる。
分配板12には、切り取り部12rの周りに沿ってコの字形状の溝穴12a(12a1,12a2,12a3)が設けられている。溝穴12aは、図9に示すように縦溝穴12a1と、縦溝穴12a1の一端部から切り取り部12rの上辺に沿って水平に延在する上横溝穴12a2と、縦溝穴12a1の他端部から切り取り部12rの下辺に沿って水平に延在する下横溝穴12a3とからなる。溝穴12aは、幅W3を有する。幅W3の寸法は、ホットメルトの流量や分配の均一性に影響を与える。切り取り部12rと溝穴12aとの間の距離D1は、ホットメルトを吐出するスロット部の流路長さを決定する。
分配板12には、取付ねじを通すための孔12bが6つ設けられている。
図10は、分配板12の側面図である。分配板12は、厚さT1を有する。分配板12の厚さT1は、三面塗工ノズル10内のホットメルト溜まりの容積を決定する。厚さT1を小さくすることによりホットメルト溜まりの容積を小さくすることができる。
【0017】
以下に、分配板12におけるホットメルトの流れを説明する。
図11、図12、及び図13は、それぞれ、ノズル本体11に取り付けられた分配板12の正面図、側面図、及び斜視図である。ホットメルト供給弁30から供給されたホットメルトは、ノズル本体11の入口開口11aからホットメルト通路11b、結合部11h、ホットメルト通路11gを通り、出口開口11fへ流れ、出口開口11fから吐出される。出口開口11fから吐出されたホットメルトは、分配板12の縦溝穴12a1の上方及び下方へ分配されて流れる。上方へ流れたホットメルトは、上横溝穴12a2内を流れて上横溝穴12a2内を満たす。下方へ流れたホットメルトは、下横溝穴12a3内を流れて下横溝穴12a3内を満たす。
分配板12により、ホットメルトは、太陽電池パネル2の端面に対応する吐出口と、上面に対応する吐出口と、下面に対応する吐出口へ分配される。分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3は、ホットメルト溜まりを形成する。
【0018】
(シム板)
図14は、シム板13の正面図である。シム板13は、太陽電池パネル2を通すための第一切り取り部13rが設けられている。第一切り取り部13rは、幅W2と長さL3を有する。第一切り取り部13rの幅W2は、分配板12の切り取り部12rの幅W2に等しい。しかし、これに限定されるわけではない。第一切り取り部13rの長さL3は、図9に示す分散板12の左端部12cから上横溝穴12a2及び下横溝穴12a3の端部との距離D2に等しい。しかし、これに限定されるわけではない。
シム板13は、第二切り取り部13aが設けられている。第二切り取り部13aは、第一切り取り部13rと連通している。第二切り取り部13aは、幅W4と長さL4を有する。第二切り取り部13aの幅W4は、分配板12の縦溝穴12a1の長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。第二切り取り部13aの長さL4は、上横溝穴12a2又は下横溝穴12a3の長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。分配板12に隣接してシム板13を配置したときに、シム板13の第二切り取り部13aは、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3と連通する。本実施例においては、シム板13の第二切り取り部13aは、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3をぴったり取り囲む寸法である。しかし、これに限定されるわけではない。シム板13の第二切り取り部13aは、太陽電池パネル2へホットメルトを吐出するための複数のスロット部を画成する。本実施例において、複数のスロット部は、連続して形成される。所望の塗工形状及び塗膜厚さに応じて、第一切り取り部13rの幅W2と長さL3、及び第二切り取り部13aの幅W4と長さL4を設定することができる。
シム板13には、取付ねじを通すための孔13bが6つ設けられている。
図15は、シム板13の側面図である。シム板13は、厚さT2を有する。シム板13の厚さT2は、ホットメルトを吐出するスロット部の幅を決定する。
【0019】
図16、図17、及び図18は、それぞれ、分配板12に隣接して取り付けられたシム板13の正面図、側面図、及び斜視図である。ホットメルトは、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3からスロット部13a1、13a2、及び13a3のそれぞれへ流れる。
【0020】
(遮蔽板)
図19は、遮蔽板14の正面図である。図20は、遮蔽板14の側面図である。遮蔽板14は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部14rが設けられている。切り取り部14rは、幅W2と長さL2を有する。切り取り部12の上辺と側辺との間及び下辺と側辺との間は、半径Rの円弧で結ばれている。本実施例において、遮蔽板14の切り取り部14rの幅W2は、分配板12の切り取り部12rの幅W2と等しい。また、遮蔽板14の切り取り部14rの長さL2は、分配板12の切り取り部12rの長さL2と等しい。しかし、これらに限定されるものではない。所望の塗工形状及び塗膜厚さに応じて、遮蔽板14の幅W2、長さL2、及び半径Rの寸法を設定することができる。
遮蔽板14には、取付ねじを通すための孔14bが6つ設けられている。
図20は、遮蔽板14の側面図である。遮蔽板14は、厚さT3を有する。遮蔽板14の厚さT3は、ノズルのリップ部の長さを決定する。切り取り部14rは、平行部14r1と傾斜部14r2とからなる。平行部14r1は、ノズル移動方向Aと平行である。傾斜部14r2は、ノズル移動方向Aに対して傾斜して、ノズル移動方向Aの上流側へ拡がっている。切り取り部14rの形状は、塗工の均一性、塗膜の外観の美しさ、キレのよさに影響を与える。塗工スピードや接着剤の種類に応じて、最適の塗工が得られるように、切り取り部14rの形状が選択される。
【0021】
次に、切り取り部14rの形状が、塗工のキレのよさに与える影響を説明する。
図21は、三面塗工ノズル10のノズル先端部の説明図である。三面塗工ノズル10は、ロボットアーム100により、太陽電池パネル2に対してノズル移動方向Aへ移動される。ノズル本体11の出口開口11fから吐出されたホットメルトは、分配板12の縦溝穴12a1を通り、スロット部13a1へ流れる。スロット部13a1は、分配板12と遮蔽板14との間でシム板13の第二切り取り部13aにより形成されている。スロット部13a1から吐出されたホットメルトは、太陽電池パネル2の端面2e上に塗膜3を形成する。
図22は、ノズル先端部の拡大図である。遮蔽板14の平行部14r1は、長さL5を有し、ノズル移動方向Aと平行な平面からなる。平行部14r1に連続して、平行部14r1からノズル移動方向Aの上流側に傾斜部14r2が設けられている。遮蔽板14の傾斜部14r2は、平行部14r1に対して角度θの傾斜を有する傾斜面に面取り逃がし加工されている。傾斜部14r2は、太陽電池パネル2から離れる方向へ傾斜している。スロット部13a1から吐出されたホットメルトは、平行部14r1により均されて、均一化される。平行部14r1と傾斜部14r2との接線14pにおいて、遮蔽板14の切り取り部14rは、理論上、吐出されたホットメルトと縁切れとなる。しかしながら、吐出されたホットメルトが傾斜面14r2へまわり込むことがある。まわり込んだホットメルト3aは、糸引きの原因となる。
遮蔽板14の切り取り部14rの形状は、吐出されるホットメルトのキレに影響を与える。切り取り部14rの平行部14r1の長さL5が短いほど、平行部14r1とホットメルトとの接触が少なくなるので、まわり込んで傾斜面14r2へ付着するホットメルトの量が少なくなり、キレがよい。しかし、ホットメルトの粘度、塗工スピード、及び塗工量に応じて、適切な長さL5を選択する。傾斜部14r2は、まわり込んで付着する残留ホットメルトの量を少なくし、糸引きを少なくする。傾斜部14r2の角度θは、ホットメルトの粘度、塗工スピード、及び塗工量に応じて、適切な値を選択する。
【0022】
図23、図24、及び図25は、それぞれ、シム板13に隣接して取り付けられた遮蔽板14の正面図、側面図、及び斜視図である。
遮蔽板14は、シム板13の第二切り取り部13aを覆って取り付けられる。分散板12と遮蔽板14との間でシム板13の第二切り取り部13aは、太陽電池パネル2の端面2e上にホットメルトを塗工する第一スロット部13a1と、上面にホットメルトを塗工する第二スロット部13a2と、下面にホットメルトを塗工する第三スロット部13a3とを形成する。第一スロット部13a1と第二スロット部13a2とは連続している。また、第一スロット部13a1と第三スロット部13a3とは連続している。したがって、太陽電池パネル2の端部の上面2t、端面2e、及び下面2bを連続して塗工することができる。
【0023】
次に、遮蔽板14の代替例を示す。
図26は、代替例1の遮蔽板114の側面図である。遮蔽板114の切り取り部114rは、円弧形状断面を有する面で形成されている。ノズル移動方向Aの上流側が開いた形状である。
図27は、代替例2の遮蔽板214の側面図である。遮蔽板214の切り取り部214rは、ノズル移動方向Aに平行な平面の平行部214r1と、ノズル移動方向Aに対して角度を有する傾斜部214r2と、平行部214r1と傾斜部214r2とをつなぐ凹形状のくぼみ部214r3とからなる。傾斜部214r2は、ノズル移動方向Aの上流側に拡がっている。
遮蔽板の切り取り部の形状は、吐出されるホットメルトのキレに影響を与えるので、ホットメルトの粘度、塗工スピード、及び塗工量に応じて、適切な形状を選択する。
なお、本実施例においては、遮蔽板を使用しているが、本発明においては、遮蔽板を必ずしも使用する必要はない。例えば、遮蔽板を省略して、以下に説明する取付板をシム板に隣接して取り付けてもかまわない。
【0024】
(取付板)
図28は、取付板15の正面図である。取付板15は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部15rが設けられている。切り取り部15rは、幅W5と長さL6とを有する。幅W5は、遮蔽板14の切り取り部14rの幅W2に、傾斜部14r2の幅の二倍を加えたものと等しいかそれよりも長い。長さL6は、遮蔽板14の切り取り部14rの長さL2に、傾斜部14r2の幅を加えたものと等しいかそれよりも長い。
取付板15には、ねじ4の頭を収納する座ぐり孔15bが6つ設けられている。
【0025】
図29、図30、及び図31は、それぞれ、遮蔽板14に隣接して取り付けられた取付板15の正面図、側面図、及び斜視図である。第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、及び13a3を形成する分散板12、シム板13、及び遮蔽板14は、ノズル本体11及び取付板15よりも切り取り部内へ突き出している。
【0026】
(ホットメルト流路)
図32は、ねじ4により固定された三面塗工ノズル10を示す図である。分配板12、シム板13、遮蔽板14、及び取付板15は、6つのねじ4によりノズル本体1に取り付けられている。図33及び図34は、それぞれ、図32の線XXXIIIA−XXXIIIA及び線XXXIIIB−XXXIIIBに沿って取った三面塗工ノズル10の断面側面図及び断面斜視図である。ねじ4は、省略されている。
ホットメルトは、ノズル本体11にナット31により取り付けられたホットメルト供給弁30からノズル本体11の入口開口11aへ供給される。ホットメルトは、ホットメルト通路11bを通り、ホットメルト通路11bと11gとの結合部11hへ至る。ホットメルトは、結合部11hからホットメルト通路11gを通り、出口開口11fから分散板12の縦溝穴12a1へ吐出される。ホットメルトは、縦溝穴12a1から上横溝穴12a2(不図示)と下横溝穴12a3へ流れる。ホットメルトは、縦溝穴12a1、上横溝穴12a2(不図示)、及び下横溝穴12a3からシム板13の第二切り取り部13aを通り、分散板12と遮蔽板14との間に形成される第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、及び13a3から吐出される。
【0027】
(三面塗工装置の動作)
以下に、三面塗工装置1の動作を説明する。
(塗工前及び塗工後)
図35は、ホットメルト塗工前及び塗工後における内容積制御弁20とホットメルト供給弁30とを示す図である。
内容積制御弁20は、ノズル本体11にねじなどの締結部材(不図示)により固定されている。内容積制御弁20には、プランジャー23が往復動可能に設けられている。プランジャー23の一端部は、ノズル本体11のシリンダー部11cに挿入されている。プランジャー23の他端部には、ピストン24が固定されている。ピストン24は、内容積制御弁20のピストン室25内で往復動可能に設けられている。ピストン24は、ピストン室25を第一室25aと第二室25bとに分割している。
【0028】
空気供給源70は、空気通路53を介して空気を弁空気制御回路60へ供給する。ホットメルト塗工前及び塗工後において、弁空気制御回路60は、空気通路52及びスピードコントローラ22を介して空気をピストン室25の第一室25aへ供給する。一方、ピストン室25の第二室25b内の空気は、スピードコントローラ21及び空気通路51を介して弁空気制御回路60へ送られ、弁空気制御回路60から大気中へ排気される。第一室25a内の圧力は、第二室25b内の圧力よりも高くなるので、ピストン24は、第二室25bを収縮し第一室25aを拡大するように移動する。ピストン24の移動によりプランジャー23の先端部は、ノズル本体11の結合部11hから離れる方向へシリンダー部11c内を退避位置まで移動する。このとき、プランジャー23は、ホットメルト通路11g内にあるホットメルトを結合部11hを介してシリンダー部11cへ吸込む。これは、通常、サックバック機能と呼ばれている。サックバック機能は、ノズル本体11内部のホットメルト通路の容積を大きくすることにより、ホットメルトの塗工停止時の切れを改善する。
【0029】
なお、絞り弁としてのスピードコントローラ21及び22は、空気の流量を調整して、ピストン24の移動速度を制御する。
【0030】
ホットメルト供給弁30は、ナット31によりノズル本体11に固定されている。ホットメルト供給弁30には、ホットメルト室32が設けられている。ホットメルト室32は、ホットメルトが流入する入口33と、ホットメルトを吐出する吐出口34とに連通している。ガン40は、ホットメルト供給弁30に固定されている。ガン40は、ホットメルト通路(液体通路)41が設けられている。ホットメルト通路41の一端部は、ホットメルト供給弁30の入口33に連通し、他端部は、ホットメルト供給源80に接続されたホットメルト通路54に連通している。ホットメルトは、ホットメルト供給源80からホットメルト通路54、ガン40のホットメルト通路41、及び入口33を介してホットメルト室32へ供給される。ホットメルト供給弁30には、ホットメルト室32内を往復動する弁棒35が設けられている。弁棒35の一端部は、吐出口34の近傍に設けられた弁座36と当接及び離間する。弁棒35の他端部は、ピストン37に固定されている。ピストン37は、ピストン室38を第一室38aと第二室38bに分割している。第一室38aは、ガン40の空気通路42の一端部に連通している。空気通路42の他端部は、ガン空気制御回路90に接続された空気通路55に連通している。ホットメルト塗工前及び塗工後において、ガン空気制御回路90は、空気通路55及びガン40の空気通路42を介してピストン室38の第一室38aを大気圧に開放する。ピストン室38の第二室38bには、ピストン37を付勢するばね(付勢部材)39が設けられている。ばね39の付勢力によりピストン37が押されて、弁棒35の一端部を弁座36に当接し、吐出口34を閉じている。したがって、ホットメルト室32内のホットメルトが吐出口34から吐出されることを阻止する。
【0031】
(塗工時)
図36は、ホットメルト塗工時における内容積制御弁20とホットメルト供給弁30とを示す図である。
ホットメルト塗工時には、制御装置110は、空気制御信号111により弁空気制御回路60を制御して、空気供給源70からの空気を空気通路51へ供給する。空気は、空気通路51及びスピードコントローラ21を介してピストン室25の第二室25bへ供給される。一方、ピストン室25の第一室25aは、弁空気制御回路60により大気に開放される。したがって、第二室25bが膨張し第一室25aが収縮してピストン24が移動する。ピストン24の移動により、プランジャー23の先端部は、結合部11cの近傍の突き出し位置まで移動する。これによって、シリンダー部11cの内容積が小さくなる。
【0032】
制御装置110は、空気制御信号112によりガン空気制御回路90を制御して、空気供給源70からの空気を空気通路42へ供給する。空気は、ピストン室38の第一室38aへ供給され、第二室38b内のばね39の付勢力に抗して第一室38aを膨張させる。第一室38aの膨張により、ピストン37が移動する。ピストン37の移動により、弁棒35は、弁座36から離間して、吐出口34を開く。ホットメルト室32内のホットメルトは、吐出口34からノズル本体11の入口開口11aへ吐出される。ホットメルトは、ノズル本体の出口開口11fから分配板12の縦溝孔12a、上横溝穴12a2、下横溝穴12a3を通り、第一スロット部13a1、第二スロット部13a2、及び第三スロット部13a3から吐出される。
【0033】
図37は、実施例1の三面塗工ノズル10により太陽電池パネル2に塗工されたホットメルトの塗膜3の断面図であり、図38の線XXXVII−XXXVIIに沿って取った断面図である。
三面塗工ノズル10は、スロット部が形成されている部分の断面がコの字形状をしている。三面塗工ノズル10の第一スロット部13a1から吐出されたホットメルトは、太陽電池パネル2の端面2e上に塗工される。同様に、第二スロット部13a2から吐出されたホットメルトは、太陽電池パネル2の端部の上面2t上に塗工される。また、第三スロット部13a3から吐出されたホットメルトは、太陽電池パネル2の端部の下面2b上に塗工される。第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、13a3は、連続しているので、太陽電池パネル2の端部の上面2t、端面2e、及び下面2b上に塗工される塗膜3は、連続している。従って、塗膜3は、継ぎ目のない塗膜である。
【0034】
(塗工方法)
図38は、ホットメルトの塗工方法を示す説明図である。
太陽電池パネル2は、ベルトコンベアー(不図示)などの搬送装置により所定位置へ搬送されて、固定装置(不図示)により所定位置に固定される。三面塗工ノズル10により、太陽電池パネル2の4辺(4つの縁部)にホットメルトを塗工する。三面塗工ノズル10は、ノズル移動方向Aへ移動しながらホットメルトを塗工する。ホットメルトは、図37に示すように、第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、13a3から吐出されて、太陽電池パネル2の端部の端面2e、上面2t、及び下面2b上に塗工される。太陽電池パネル2の角部2cを塗工する場合に、二つの塗工方法がある。一つ目の塗工方法(1)において、三面塗工ノズル10をノズル移動方向A1に移動して角部2cを一旦通過させる。このとき、ホットメルトの吐出は、一旦停止される。次に、三面塗工ノズル10を90°左回転させる。三面塗工ノズルをノズル移動方向A2に移動させ、パネル2の角部2cでホットメルトの吐出を再開する。二つ目の塗工方法(2)において、三面塗工ノズル10は、角部2cでホットメルトを塗工しながら、パネル2から離されずに矢印Bで示すように90°左回転される。
前記塗工方法(1)又は(2)を繰り返して、パネル2の4つの縁部をホットメルトで塗工する。塗工終了後、パネル2は、搬送装置により搬出される。連続して塗工する場合には、次のパネル2が搬送装置により所定位置へ搬送され、固定装置により固定される。前記同様の動作を繰り返して、連続して複数のパネル2の4つの縁部にホットメルトを塗工する。
本実施例によれば、パネルの一縁部に一工程でコの字形状の塗工(三面塗工)をすることができるので、生産ラインの高速化及び生産量の増大に寄与することができる。
【0035】
(寸法の変更)
従来のノズルにおいては、ホットメルトの塗工幅や基板の寸法が変更になったときに、ノズル自体を作り直さなければならなかった。これに対して、本実施例によれば、ホットメルトの塗工幅や基板の寸法が変更になったときでも、ノズル本体を作り直さずに、分配板及びシム板の寸法を変更するだけで対応できる範囲が従来のノズルよりも広くなる。すなわち、一つの塗工ノズルを多品種の基材へのホットメルト塗工に適用できるので、経済的メリットがある。
本実施例の塗工ノズルは、コの字形状に限らず、複雑な曲面の形状にも適用できる。
【0036】
以上に述べたように、本実施例の塗工ノズルは、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出することができるので、複数のノズル、複数の液体供給弁、及び複数の液体供給通路を設けるための費用を削減することができる。
また、本実施例の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、構造部品の数を低減し、塗工装置を設置するための空間を減少させることができる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、液体供給源から塗工装置への液体供給通路の数を低減することができる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、塗工ノズルの取付位置調整、吐出開始及び吐出停止のタイミング調整にかかる時間を低減することができる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、基板の端面の塗膜と端面に隣接する基板の面の塗膜との間に継ぎ目のない塗工を行うことができる。よって、外観の美しい塗工を実現できる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、内容積制御弁を使用しているので、塗工終わりの「キレ」を良くすることができる。また、塗工終わり後のホットメルトの糸引きを軽減することができる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、温調ヒーター及び温度センサーを設けたので、低温から高温まで幅広い材料の特性に合わせた塗工ができる。
【実施例2】
【0037】
図39は、実施例2の三面塗工ノズル210の分解斜視図である。図2に示す実施例1の三面塗工ノズル10においては、分配板12に隣接してシム板13が取り付けられていた。実施例2においては、分配板12とシム板13との間に、分散板16を設けた。実施例2の三面塗工ノズル210は、分散板16を除き実施例1の三面塗工ノズル10の構成と同様の構成を有しているので、同様の構成に付いては、同様の参照符号を付して説明を省略する。
【0038】
(分散板)
図40は、分散板16の正面図である。分散板16は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部16rが設けられている。切り取り部16rは、幅W2と長さL2を有する。切り取り部16rの上辺と側辺との間及び下辺と側辺との間は、半径Rの円弧で結ばれている。切り取り部16rの幅W2、長さL2、及び半径Rは、分配板12の幅W2、長さL2、及び半径Rと等しい。
分散板16には、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3に対応した部分に複数の貫通孔16aが設けられている。実施例2においては、8つの貫通孔16aが設けられている。分散板16の複数の貫通孔16aは、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3からシム板13の第二切り取り部13aへ流れるホットメルトの分散をよくする。分散板16により、分配板12からシム板13へのホットメルトの流れが均一化される。
分散板16には、取付ねじ4を通すための孔16bが6つ設けられている。
【0039】
図41、図42、及び図43は、それぞれ、分配板12に隣接して取り付けられた分散板16の正面図、側面図、及び斜視図である。ノズル本体11の出口開口11fから吐出されたホットメルトは、分配板12の縦溝穴12a1を介して上横溝穴12a2及び下横溝穴12a3へ流れる。分散板13により、ホットメルトは、上横溝穴12a2及び下横溝穴12a3の末端部まで十分に流れることができる。
【0040】
図44、図45、及び図46は、それぞれ、分散板16に隣接して取り付けられたシム板13の正面図、側面図、及び斜視図である。ホットメルトは、分散板16に設けられた8つの貫通孔16aからシム板13の第二切り取り部13aへ流れる。その結果、分散板16と遮蔽板14との間でシム板13の第二切り取り部13aにより形成される第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、及び13a3を流れるホットメルトは、均一化される。
【0041】
(ホットメルト流路)
図47は、実施例2の三面塗工ノズル210のホットメルト流路を示す説明図である。図47(a)は、ノズル本体11のホットメルト流路を示す図である。ホットメルトは、入口開口11aからホットメルト通路11bを通り結合部11hへ流れる。このとき、内容積制御弁20のプランジャー23の先端部は、結合部11hの近傍にある。ホットメルトは、結合部11hからホットメルト通路11gを通って出口開口11fへ流れる。図47(b)は、分配板12のホットメルト流路を示す図である。ホットメルトは、出口開口11fから分配板12の縦溝穴12a1へ吐出される。ホットメルトは、縦溝穴12a1の上方及び下方へ分配される。上方へ分配されたホットメルトは、上横溝穴12a2内を流れて上横溝穴12a2内を満たす。下方へ分配されたホットメルトは、下横溝穴12a3内を流れて下横溝穴12a3を満たす。図47(c)は、分散板16のホットメルト流路を示す図である。分散板16により、ホットメルトは、上横溝穴12a2及び下横溝穴12a3の末端部まで十分に流れることができる。ホットメルトは、縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3から分散板16の複数の貫通孔16aを通ってシム板13の第二切り取り部13aへ流れる。図47(d)は、シム板13のホットメルト流路を示す図である。分散板16の複数の貫通孔16aから吐出されたホットメルトは、シム板13の第二切り取り部13a内に均一に拡がっていく。図47(e)は、遮蔽板14によりシム板13の第二切り取り部13aを覆った状態を示す図である。ホットメルトは、分散板16と遮蔽板14との間でシム板13の第二切り取り部13aにより形成される第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、及び13a3から吐出される。図47(f)は、取付板15を取り付けた状態を示す図である。
【0042】
実施例2においては、分配板12とシム板13の間に、多数の貫通孔16aを設けた分散板16を配置したので、三面塗工ノズル210内におけるホットメルトの分散が均一になる。その結果、太陽電池パネル2に塗工されるホットメルトの塗膜厚さが均一になる。
【実施例3】
【0043】
実施例1及び実施例2においては、三面塗工ノズル10及び210を説明した。本発明によれば、分配板及びシム板を交換するだけで、三面塗工ノズル10及び210を二面塗工ノズルに変更することができる。図48及び図49は、それぞれ、二面塗工ノズルのための分配板312及びシム板313の正面図である。
【0044】
分配板312は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部312rが設けられている。切り取り部312rは、図9に示す実施例1の分配板12と同様に、幅W2と長さL2を有する。分配板312には、切り取り部312rの周りに、L字形状の溝穴312aが設けられている。分配板312には、分配板312がノズル本体11に取り付けられたときに、ノズル本体11の出口開口11fに対向する位置から上方へ延在する縦溝穴312a1が設けられている。また、分配板312には、縦溝穴312a1の上端部から切り取り部312rの上辺に沿って延在する上横溝穴312a2が設けられている。溝穴312a(312a1,312a2)は、幅W3を有する。切り取り部312rと溝穴312aとの間の距離D1は、ホットメルトを吐出するスロット部の流路長さを決定する。
分配板312には、取付ねじを通すための孔312bが6つ設けられている。
【0045】
シム板313は、太陽電池パネル2を通すための第一切り取り部313rが設けられている。第一切り取り部313rは、幅W2、上辺長さL3、及び下辺長さL2を有する。第一切り取り部313rの幅W2及び下辺長さL2は、分配板312の切り取り部312rの幅W2及び長さL2に等しい。しかし、これに限定されるわけではない。第一切り取り部313rの上辺長さL3は、分散板312の左端部312cから上横溝穴312a2の端部との距離D2に等しい。しかし、これに限定されるわけではない。
シム板313は、第二切り取り部313aが設けられている。第二切り取り部313aは、第一切り取り部313rと連通している。第二切り取り部313aは、幅W6と長さL4を有する。幅W6は、分配板312の縦溝穴312a1の長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。長さL4は、分配板312の上横溝穴312a2の長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。本実施例において、分配板312に隣接してシム板313を配置した時に、第二切り取り部313aは、縦溝穴312a1及び上横溝穴312a2を含む寸法である。
第一切り取り部313rと第二切り取り部313aとの間には、段部313sが設けられている。段部313sは、幅W7と長さL7を有する。幅W7は、太陽電池パネル2の端面2eへホットメルトを吐出するスロット部の長さを決定する要素である。長さL7は、分配板312の切り取り部312rと溝穴312aとの距離D1に溝穴312aの幅W3を加えた長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。
シム板313には、取付ねじを通すための孔313bが6つ設けられている。
【0046】
ノズル本体11に、分配板312、シム板313、遮蔽板14、及び取付板15をねじ4により固定して、二面塗工ノズルを構成する。二面塗工ノズルには、太陽電池パネル2の端面2eと上面2t(又は下面2b)を塗工するためのスロット部が形成される。なお、実施例2の分散板16を分配板312とシム板313との間に設けてもよい。
このように、本発明によれば、分配板及びシム板を交換するだけで、三面塗工ノズルを二面塗工ノズルに変更することができる。
【実施例4】
【0047】
実施例1〜3の塗工ノズルを使用して、図38に示す塗工方法(1)又は(2)により、太陽電池パネル2の端面2e及び上面2t及び/又は下面2bにホットメルトが塗工される。図50は、実施例1〜3によりホットメルトが塗工された太陽電池パネル2を示す図である。太陽電池パネル2の上面2t及び/又は下面2bに塗工されたホットメルトの塗膜3は、パネル2の角部2cにおいて塗膜の重なり部分3bを生じる。塗膜の重なり部分3bは、塗膜を不均一にし、また、ホットメルトの余分な消費につながる。以下に説明する実施例4の多面塗工装置は、塗膜の重なり部分3bの発生を防止する。
【0048】
実施例4の多面塗工装置は、塗工ノズル及び内容積制御弁を除き実施例1の多面塗工装置1の構成と同様の構成を有しているので、同様の構成に付いては、同様の参照符号を付して説明を省略する。図51は、実施例4の三面塗工ノズル410の分解図である。三面塗工ノズル410は、ノズル本体411と、分配板412と、シム板413と、取付板415とからなる。実施例4の取付板415は、実施例1の遮蔽板の作用を兼用している。しかし、シム板413と取付板415との間に、遮蔽板を設けてもよい。また、実施例2と同様に、分配板412とシム板413との間に分散板を設けてもよい。
【0049】
(ノズル本体)
図51に示すように、ノズル本体411には、ホットメルトが供給される入口開口411aが設けられている。図52及び図53は、それぞれ、ノズル本体411の正面図及び側面図である。ノズル本体411には、太陽電池パネル2を通すための切り取り部411rが設けられている。ノズル本体411には、入口開口411aに連通するホットメルト通路(液体通路)411bが設けられている。また、ノズル本体411には、ホットメルト通路411bと交差し、ホットメルト通路411bと結合部411hで連通するシリンダー部411cが設けられている。シリンダー部411cは、ホットメルト通路411bに関して切り取り部411rと反対の側に設けられている。分配板412が取り付けられるノズル本体411の取付面411eには、ホットメルトの第一出口開口411fと第二出口開口411kが設けられている。第一出口開口411fの中心と第二出口開口411kの中心とは、距離D3だけ離れている。第一出口開口411fの中心と切り取り部411rの側辺とは、距離D4だけ離れている。第一出口開口411fは、ホットメルト通路(液体通路)411gを介して結合部411hに連通している。第二出口開口411kは、ホットメルト通路(第二液体通路)411mを介してシリンダー部411cに連通している。
【0050】
(分配板)
図54は、分配板412の正面図である。分配板412は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部412rが設けられている。切り取り部412rは、幅W2及び長さL2を有する。分配板412には、切り取り部412rの周りに沿ってコの字形状の第二溝穴412a(412a1,412a2,412a3)が設けられている。第二溝穴412aは、図54に示すように縦溝穴412a1と、縦溝穴412a1の一端部から切り取り部412rの上辺に沿って水平に延在する上横溝穴412a2と、縦溝穴412a1の他端部から切り取り部412rの下辺に沿って水平に延在する下横溝穴412a3とからなる。第二溝穴412a(412a1,412a2,412a3)は、幅W3を有する。切り取り部412rの上辺と上横溝穴412a2とは、距離D1だけ隔たっている。同様に、切り取り部412rの下辺と下横溝穴412a3とは、距離D1だけ隔たっている。切り取り部412rの側辺と縦溝穴412a1とは、距離D5だけ隔たっている。上横溝穴412a2の端部及び下横溝穴412a3の端部と分配板412の左端部412cとは、距離D2だけ隔たっている。切り取り部412rの側辺と縦溝穴412a1との間に、第一縦溝穴(第一溝穴)412dが設けられている。第一縦溝穴412dは、幅W3を有する直線形状の溝穴である。第一縦溝穴412dの長さは、切り取り部412rの幅W2と等しい。しかし、これに限定されるものではない。切り取り部412rの側辺と第一縦溝穴412dとは、距離D1だけ隔たっている。第一縦溝穴412dの中心と縦溝穴412a1の中心とは、距離D3だけ離れている。第一縦溝穴412dの中心と切り取り部412rの側辺とは、距離D4だけ離れている。したがって、ノズル本体411に分配板412を取り付けたときに、第一縦溝穴412dの中心と第一出口開口411fの中心とが一致し、縦溝穴412a1の中心と第二出口開口411kの中心とが一致する。第一縦溝穴412dは、第一出口開口411fに連通し、縦溝穴412a1は、第二出口開口411kに連通する。
【0051】
(シム板)
図55は、シム板413の正面図である。シム板413は、太陽電池パネル2を通すための第一切り取り部413r1が設けられている。第一切り取り部413r1は、幅W2と長さL2を有する。しかし、後述する他の切り取り部と連通しているため、幅W2の部分は、シム板413の左端部413eから距離D2だけである。距離D2は、上横溝穴412a2の端部及び下横溝穴412a3の端部と分配板412の左端部412cとの距離D2と等しい。しかし、これに限定されるものではない。シム板413には、第二切り取り部413r2、第三切り取り部413r3、及び第四切り取り部413r4が設けられている。第二切り取り部413r2、第三切り取り部413r3、及び第四切り取り部413r4は、それぞれ、第一切り取り部413r1に連通している。第二切り取り部413r2は、幅W2及び長さL8を有する。幅W2は、第一切り取り部413r1の幅W2と等しい。また、長さL8は、分配板412の切り取り部412rの側辺と第一縦溝穴412dとの距離D1に第一縦溝穴412dの幅W3を加えたものに等しい。しかし、これに限定されるものではない。第二切り取り部413r2は、分配板412及び取付板415と協働して太陽電池パネル2の端面2eへホットメルトを吐出するための第一スロット部413a1を形成する。第三切り取り部413r3は、幅W8及び長さL8を有する。幅W8は、第一切り取り部413r1の幅L2から距離D2を引いたものと等しい。また、長さL8は、分配板412の切り取り部412rの上辺と上横溝穴412a2との距離D1に上横溝穴412a2の幅W3を加えたものに等しい。しかし、これに限定されるものではない。第三切り取り部413r3は、分配板412及び取付板415と協働して太陽電池パネル2の上面2tへホットメルトを吐出するための第二スロット部413a2を形成する。同様に、第四切り取り部413r4は、幅W8及び長さL8を有する。幅W8は、第一切り取り部413r1の幅L2から距離D2を引いたものと等しい。また、長さL8は、分配板412の切り取り部412rの下辺と下横溝穴412a3との距離D1に下横溝穴412a3の幅W3を加えたものに等しい。しかし、これに限定されるものではない。第四切り取り部413r4は、分配板412及び取付板415と協働して太陽電池パネル2の下面2bへホットメルトを吐出するための第三スロット部413a3を形成する。
第二切り取り部413r2と第三切り取り部413r3との間、及び第二切り取り部413r2と第四切り取り部413r4との間には、一辺の長さがL8の正方形の遮蔽部413sが形成されている。
分配板412にシム板413を隣接して取り付けたときに、第二切り取り部413r2、第三切り取り部413r3、及び第四切り取り部413r4は、それぞれ、分配板412の第一縦溝穴412d、上横溝穴412a2、及び下横溝穴412a3と直接連通する。分配板412の縦溝穴412a1は、シム板413の第一切り取り部413r1、第二切り取り部413r2、第三切り取り部413r3、及び第四切り取り部413r4のいずれとも直接連通しない。
【0052】
(内容積制御弁)
次に、ノズル本体411に取り付けられる内容積制御弁420について説明する。図56は、実施例4の内容積制御弁420の動作を示す説明図である。実施例1の内容積制御弁20は、プランジャー23の先端部の突き出し位置と退避位置との2点位置制御であった。これに対して、実施例4の内容積制御弁420は、第一プランジャー423の3点位置制御をすることができる。内容積制御弁420には、第一プランジャー423が往復移動可能に設けられている。第一プランジャー423の一端部は、ノズル本体411のシリンダー部411cに挿入される。第一プランジャーの他端部には、第一ピストン424が固定されている。第一ピストン424は、内容積制御弁420の第一ピストン室425内で往復動可能に設けられている。第一ピストン424は、第一ピストン室425を第一室425aと第二室425bとに分割している。内容積制御弁420には、第二プランジャー426がプランジャー室427内で往復移動可能に設けられている。第二プランジャー426の一端部は、第一ピストン424に当接可能である。第二プランジャー426の他端部には、第二ピストン428が固定されている。第二ピストン428は、内容積制御弁420の第二ピストン室429内で往復動可能に設けられている。第二ピストン428は、第二ピストン室429を第一室429aと第二室429bとに分割している。第一ピストン室425の第二室425bは、プランジャー室427と連通している。第一ピストン室425の第二室425bとプランジャー室427との間には、第一ピストン428が当接する肩部430が形成されている。内容積制御弁420には、第一出入口431、第二出入口432、及び第三出入口433が設けられている。第一出入口431は、第一ピストン室425の第一室425aに連通して、第一室425aへの空気の注入及び排気を行う。第二出入口は、プランジャー室427に連通している。プランジャー室427は、第一ピストン室425の第二室425bに連通しているので、第二出入口432は、第一ピストン室425の第二室425bへの空気の注入及び排気を行う。第三出入口433は、第二ピストン室429の第二室429bに連通して、第二室429bへの空気の注入及び排気を行う。第二ピストン室429の第一室429aは、常時排気口434に連通して大気に開放されている。
【0053】
図56(a)は、第二出入口432から第一ピストン室425の第二室425bへ空気を注入し、第一出入口431から第一ピストン室425の第一室425aの空気を排気し、第三出入口433から第二ピストン室429の第二室429bの空気を排気した状態を示す。第一ピストン室425の第一室425aと第二室425bとの差圧により、第一ピストン424は第一室425aを収縮し第二室425bを膨張させるように移動する。第一ピストン424の移動により第一プランジャー423の先端部は、突出して、第一位置P1にある。
【0054】
図56(b)は、第三出入口433から第二ピストン室429の第二室429bへ空気を注入し、第一出入口431から第一ピストン室425の第一室425aの空気を排気し、第二出入口432から第一ピストン室425の第二室425bの空気を排気した状態を示す。第二ピストン室429の第一室429aと第二室429bとの差圧により、第二ピストン428は第一室429aを収縮し第二室429bを膨張させるように移動する。第二ピストン428の移動により第二プランジャー426は、突出する。第一ピストン室425の第一室425aと第二室425bは、排気されているので第一ピストン424には、差圧がかからない。しかし、ノズル本体411のシリンダー部411cに挿入された第一プランジャー423にはホットメルトの圧力がかかっているので、第一プランジャー423は第一ピストン424が第二プランジャー426に当接するまで移動する。第一プランジャー423の先端部は、第一位置P1から距離D6だけ退避して、第二位置P2にある。第二位置P2は、第二出口開口411kとシリンダー部411cとを連通するホットメルト通路411mがシリンダー部411cと結合する第二結合部の近傍である。
【0055】
図56(c)は、第一出入口431から第一ピストン室425の第一室425aへ空気を注入し、第二出入口432から第一ピストン室425の第二室425bの空気を排気し、第三出入口433から第二ピストン室429の第二室429bの空気を排気した状態を示す。第一ピストン室425の第一室425aと第二室425bとの差圧により、第一ピストン424は第一室425aを膨張し第二室425bを収縮させるように移動する。第一ピストン424の移動に伴い、第一ピストン424に当接している第二プランジャー426も移動する。第一プランジャー423の先端部は、第二位置P2から距離D7だけ退避して、第三位置P3にある。このとき、第一ピストン424は、肩部430に当接している。
【0056】
図57は、ノズル本体411の第一出口開口411f及び第二出口開口411kと第一プランジャー423との位置関係を示す図である。
図57(a)は、第一プランジャー423が突出して第一位置P1にある状態を示す図である。第一プランジャー423が第一位置P1にあるとき、第一プランジャー423は、第二出口開口411kを遮断して、第一出口開口411fのみへのホットメルトの流れを許容する。ホットメルトは、第一出口開口411fからのみ吐出される。第一出口開口411fは、分配板412の第一縦溝穴412dを介して、シム板413の第二切り取り部413r2に連通している。したがって、ホットメルトを第一スロット部413a1から太陽電池パネル2の端面2eのみへ塗工することができる。すなわち、一面塗工を行うことができる。
【0057】
図57(b)は、第一プランジャー423が第一位置P1から距離D6だけ退避して第二位置P2にある状態を示す図である。距離D6は、第一出口開口411fの中心と第二出口開口411kの中心との距離にほぼ等しい。しかし、これに限定されるものではない。距離D6は、第一出口開口411fと第二出口開口411kとの距離以上であるとよい。ホットメルトは、第一出口開口411f及び第二出口開口411kから吐出される。第二出口開口411kは、分配板412の縦溝穴412a1、上横溝穴412a2、及び下横溝穴412a3を介して、シム板413の第三切り取り部413r3及び第四切り取り部413r4に連通している。したがって、第二出口開口411kからのホットメルトは、第二スロット部413a2及び第三スロット部413a3から太陽電池パネル2の上面2t及び下面2bへ塗工することができる。第一出口開口411fからのホットメルトは、端面2eへ塗工されるので、三面塗工を行うことができる。
【0058】
図57(c)は、第一プランジャー423が第二位置P2から距離D7だけ退避して第三位置P3にある状態を示す図である。ノズル本体411に取り付けられたホットメルト供給弁30の弁棒35が弁座36に当接して吐出口34が閉じられ、ホットメルトの吐出が阻止されている。この状態で、第一プランジャー423が第二位置P2から第三位置P3へ退避される。第一プランジャー423は、ホットメルトをシリンダー部411cへ吸込むこと(サックバック機能)により、ホットメルトの塗工停止時の切れを改善する。距離D7は、ホットメルト通路の容積を適切な量だけ拡げるように設定される。
【0059】
(ホットメルト供給弁と内容積制御弁の動作)
図58は、実施例4の内容積制御弁420の第一プランジャー423とホットメルト供給弁30との動作を示す説明図である。図58は、説明のためにホットメルト供給弁30とノズル本体411を模式的に描いた図である。
【0060】
図58(a)は、ホットメルトの塗工開始前及び塗工終了後の状態を示す図である。ホットメルト供給弁30の弁棒35の一端部が弁座36に当接して吐出口34を閉じている。従って、ホットメルト室32内のホットメルトが吐出口34から吐出されることを阻止している。内容積制御弁420の第一プランジャー423は、一番引っ込んだ状態の第三位置P3にある。
【0061】
図58(b)は、ホットメルトの三面塗工時の状態を示す図である。ホットメルト供給弁30の弁棒35は、弁座36から離間して吐出口34を開く。同時に、第一プランジャー423は、第二位置P2まで突出して、シリンダー部411c内の容積を小さくする。ホットメルト室32内のホットメルトは、吐出口34からノズル本体411の入口開口411aへ吐出される。ホットメルトは、ホットメルト通路411b、結合部411h、及びホットメルト通路411gを通って、第一出口開口411fから吐出される。同様に、ホットメルトは、通路411b、結合部411h、シリンダー部411c、及びホットメルト通路411mを通って、第二出口開口411kから吐出される。したがって、ホットメルトは、第一、第二、及び第三スロット部413a1、413a2、及び413a3から太陽電池パネル2の端面2e、上面2t、及び下面2bへそれぞれ塗工される。
図58(a)に示す塗工開始前の状態から三面塗工を開始するときは、弁棒35を弁座36から離間して吐出口34を開くと同時に、第一プランジャー423を第三位置P3から第二位置P2まで突出する。
図58(b)に示す三面塗工の状態から塗工を終了するときは、弁棒35を弁座36に当接して吐出口34を閉じると同時に、第一プランジャー423を第三位置P3まで退避してシリンダー部411cの容積を大きくしてホットメルト通路内のホットメルトをシリンダー部411c内へ吸込む。これによって、塗工終了時のキレを良くする。
【0062】
図58(c)は、ホットメルトの一面塗工時の状態を示す図である。ホットメルト供給弁30の弁棒35は、弁座36から離間して吐出口34を開く。同時に、第一プランジャー423は、第一位置P1まで突出して、シリンダー部411c内の容積を小さくする。ホットメルト室32内のホットメルトは、吐出口34からノズル本体411の入口開口411aへ吐出される。ホットメルトは、ホットメルト通路411b、結合部411h、及びホットメルト通路411gを通って、第一出口開口411fから吐出される。しかし、ホットメルト通路411mは、第一プランジャー423により閉じられているので、第二出口開口411kからホットメルトは吐出されない。
図58(a)に示す塗工開始前の状態から一面塗工を開始するときは、弁棒35を弁座36から離間して吐出口34を開くと同時に、第一プランジャー423を第三位置P3から第一位置P1まで突出する。
図58(b)に示す三面塗工の状態から一面塗工を開始するときは、第一プランジャー423を第二位置P2から第一位置P1まで突出する。
図58(c)に示す一面塗工の状態から三面塗工を開始するときは、第一プランジャー423を第一位置P1から第二位置P2まで退避させる。
図58(c)に示す一面塗工の状態から塗工を終了するときは、弁棒35を弁座36に当接して吐出口34を閉じると同時に、第一プランジャー423を第三位置P3まで退避してシリンダー部411cの容積を大きくしてホットメルト通路内のホットメルトをシリンダー部411c内へ吸込む。これによって、塗工終了時のキレを良くする。
【0063】
(塗工範囲可変機能付三面塗工装置の動作)
実施例4の多面塗工装置は、塗工範囲可変機能付三面塗工装置である。以下に、塗工範囲可変機能付三面塗工装置401の動作を説明する。
【0064】
(塗工前及び塗工後、すなわち塗工停止状態)
図59は、実施例4の塗工範囲可変機能付三面塗工装置401のホットメルト塗工前及び塗工後、すなわち、塗工停止状態における内容積制御弁420とホットメルト供給弁30とを示す図である。実施例1の三面塗工装置1と同様の構成については、同様の参照符号を付して説明を省略する。
【0065】
ホットメルト塗工停止状態、すなわち、ホットメルト塗工前及び塗工後において、弁空気制御回路60は、空気通路52、スピードコントローラ22、及び第一出入口431を介して、空気を第一ピストン室425の第一室425aへ供給する。一方、第一ピストン室425の第二室425b内の空気は、第二出入口432、スピードコントローラ421、及び空気通路451を介して弁空気制御回路60へ送られ、弁空気制御回路60から大気中へ排気される。第一室425a内の圧力は、第二室425b内の圧力よりも高いので、第一ピストン424は、第一室425aを拡大し第二室425bを収縮するように移動する。第一ピストン424は、第二ピストン428の第二プランジャー426に当接する。第二ピストン室429の第二室429b内の空気は、第三出入口433、スピードコントローラ21、及び空気通路51を介して弁空気制御回路60へ送られ、弁空気制御回路60から大気中へ排気される。したがって、第一ピストン424の移動により、第二ピストン428は、第二ピストン室429の第一室429aを拡大し第二室429bを収縮するように移動する。また、第一ピストン424の移動により、第一プランジャー423は、ノズル本体411のシリンダー部411c内を第三位置P3まで退避する。このとき、第一プランジャー423は、ホットメルト通路411b、411g、411m内にあるホットメルトをシリンダー部411cへ吸込む。
【0066】
なお、絞り弁としてのスピードコントローラ22及び421は、空気の流量を調整して第一ピストン424の移動速度を制御する。スピードコントローラ21は、空気の流量を調整して第二ピストン428の移動速度を制御する。
【0067】
ホットメルト塗工前及び塗工後において、ガン空気制御回路90は、空気通路55及びガン40の空気通路42を介してピストン室38の第一室38aを大気圧に開放する。ばね39の付勢力によりピストン37が押されて、弁棒35の一端部を弁座36に当接し、吐出口34を閉じている。したがって、ホットメルト室32内のホットメルトが吐出口34から吐出されることを阻止する。
【0068】
(三面塗工時)
図60は、実施例4の塗工範囲可変機能付三面塗工装置401の三面塗工時における内容積制御弁420とホットメルト供給弁30とを示す図である。
三面塗工時には、制御装置110は、空気制御信号111により弁空気制御回路60を制御して、空気供給源70からの空気を空気通路51へ供給する。空気は、空気通路51、スピードコントローラ21、及び第三出入口433を介して第二ピストン室429の第二室429bへ供給される。一方、第二ピストン室429の第一室429aは、常時排気口434を介して大気に開放されている。したがって、第一室429aが収縮し第二室429bが膨張して第二ピストン428が移動する。また、弁空気制御回路60は、第一ピストン室425の第一室425a及び第二室425bを大気に開放する。したがって、第二ピストン428の移動により、第二プランジャー426が第一ピストン424を押して、第一プランジャー423は、第二位置P2まで突出する。
【0069】
制御装置110は、空気制御信号112によりガン空気制御回路90を制御して、弁棒35を弁座36から離間し、吐出口34を開く。ホットメルト室32内のホットメルトは、吐出口34からノズル本体411の入口開口411aへ吐出される。ホットメルトは、ホットメルト通路411bを通って、第一出口開口411f及び第二出口開口411kから吐出される。したがって、ホットメルトは、第一スロット部413a1、第二スロット部413a3、及び第三スロット部413a3から太陽電池パネル2の端面2e、上面2t、及び下面2bへそれぞれ塗工される。
【0070】
(一面塗工時)
図61は、実施例4の塗工範囲可変機能付三面塗工装置401の一面塗工時における内容積制御弁420とホットメルト供給弁30とを示す図である。
一面塗工時には、制御装置110は、空気制御信号111により弁空気制御回路60を制御して、空気供給源70からの空気を空気通路41へ供給する。空気は、空気通路451、スピードコントローラ421、及び第二出入口432を介して第一ピストン室425の第二室425bへ供給される。一方、第一ピストン室425の第一室425aは、弁空気制御回路60により大気に開放されている。したがって、第一室425aが収縮し第二室425bが膨張して第一ピストン424が移動する。第一ピストン424の移動により、第一プランジャー423は、第一位置P1まで突出する。第一プランジャー423は、ノズル本体411の第二出口開口411kへのホットメルト通路411mを塞ぐので、第二出口開口411kからのホットメルトの吐出が阻止される。ホットメルトは、第一出口開口411fのみから吐出される。したがって、ホットメルトは、第一スロット部413a1のみから太陽電池パネル2の端面2eへ塗工される。
【0071】
(塗工方法)
図62〜図64は、ロボットアームに取り付けた一つの塗工範囲可変機能付三面塗工装置(以下、塗工装置という。)401により太陽電池パネル2を塗工する方法を示す説明図である。
【0072】
図62に示す塗工方法において、塗工装置401は、パネル2の角部2c1において、図59に示す塗工停止状態から図60に示す三面塗工状態になる。塗工装置401は、ロボットアームにより矢印A1で示す方向に移動させられながら角部2c1から角部2c2までパネル2の上面、端面、下面の三面をホットメルト403aで塗工する。角部2c2で塗工装置401を、一旦、塗工停止状態にする。次に、角部2c2から角部2c3までホットメルト403bで塗工するときに、角部2c2の上面と下面に重複してホットメルトを塗工しないように、角部2c2の端面2eを距離W8だけ一面塗工する。距離W8は、上面及び下面に塗工されたホットメルトの塗膜の幅であり、シム板413の第三及び第四切り取り部413r3、413r4の幅W8である。角部2c2において、塗工装置401は、塗工停止状態から図61に示す一面塗工状態になる。塗工装置401は、矢印A2で示す方向に移動させられながら、パネル2の端面2eを距離W8だけ一面塗工する。続いて、塗工装置401は、三面塗工状態になり、角部2c3まで三面塗工する。角部2c3で塗工装置401を、一旦、塗工停止状態にする。同様にして、角部2c3から角部2c4まで、矢印A3で示す方向に移動させられながら、塗工装置401は、ホットメルト403cで一面塗工と三面塗工をする。角部2c4から角部2c1までの塗工において、塗工装置401は、矢印A4で示す方向に移動させられながら、角部2c4から距離W8だけホットメルト403dで一面塗工を行い、その後、三面塗工を行い、角部2c1の手前で一面塗工に切り替わり、距離W8だけ角部2c1まで一面塗工をする。塗工装置401を使用することにより、角部2c1、2c2、2c3、及び2c4において、ホットメルトが上面及び下面に重複して塗工されることを防止できる。
【0073】
図63及び図64は、別の塗工方法を示す。
図63に示す塗工方法において、塗工装置401は、パネル2の角部2c1において、図59に示す塗工停止状態から図61に示す一面塗工状態になる。塗工装置401は、ロボットアームにより矢印A1で示す方向に移動させられながら角部2c1から距離W8だけパネル2の端面2eをホットメルト403aで塗工する。これは、角部2c1の上面及び下面を重複して塗工しないようにするためである。角部2c1から距離W8をすぎると、塗工装置401は、一面塗工状態から図60に示す三面塗工状態になり、パネル2の上面、端面、及び下面をホットメルト403aで塗工する。角部2c2で塗工装置401を、一旦、塗工停止状態にする。次に、角部2c2から角部2c3までホットメルト403bで塗工するときに、角部2c2の上面と下面に重複してホットメルトを塗工しないように、角部2c2の端面2eを距離W8だけホットメルト403bで一面塗工する。距離W8をすぎると、塗工装置401は三面塗工状態になる。同様にして、角部2c3から角部2c4までをホットメルト403cで塗工するときに、角部2c3から距離W8までは一面塗工を行い、残りは三面塗工を行う。角部2c4から角部2c1までをホットメルト403dで塗工するときも、同様にして、角部2c4から距離W8まで一面塗工を行い、残りは三面塗工を行う。このようにして、パネルの角部2c1、2c2、2c3、及び2c4において、ホットメルトがパネルの上面及び下面に重複して塗工されることを防止できる。
【0074】
図64に示す塗工方法において、塗工装置401は、パネル2の角部2c1において、図59に示す塗工停止状態から図60に示す三面塗工状態になる。塗工装置401は、ロボットアームにより矢印A1で示す方向に移動させられながら角部2c1から角部2c2の手前の距離W8までパネル2の上面、端面、下面の三面をホットメルト403aで塗工する。角部2c2の手前の距離W8で、塗工装置401は、三面塗工状態から図61に示す一面塗工状態になり、角部2c2までパネル2の端部2eのみをホットメルト403aで塗工する。角部2c2で塗工装置401を、一旦、塗工停止状態にする。次に、塗工装置401は、同様にして、矢印A2で示す方向に移動させられながら角部2c2から角部2c3の手前の距離W8まで、ホットメルト403bで三面塗工を行い、角部2c3までの距離W8の間をホットメルト403bで一面塗工を行う。同様にして、塗工装置401は、矢印A3で示す方向に移動させられながら角部2c3から角部2c4の手前の距離W8まで、ホットメルト403cで三面塗工を行い、角部2c4までの距離W8の間をホットメルト403cで一面塗工を行う。同様にして、塗工装置401は、矢印A4で示す方向に移動させられながら角部2c4から角部2c1の手前の距離W8まで、ホットメルト403dで三面塗工を行い、角部2c4までの距離W8の間をホットメルト403dで一面塗工を行う。このようにして、パネルの角部2c1、2c2、2c3、及び2c4において、ホットメルトがパネルの上面及び下面に重複して塗工されることを防止できる。
【0075】
図65は、二つの塗工範囲可変機能付三面塗工装置(以下、塗工装置という。)401A及び401Bを使用した塗工方法を示す説明図である。太陽電池パネル2の対向する両縁部に、二つの塗工装置401A及び401Bにより同時にホットメルト403を塗工する。これによって、生産性を高めることができる。二つの塗工装置401A及び401Bのそれぞれは、ホットメルト通路(ホットメルトホース)54によりホットメルト供給源80に接続されている。塗工装置401A及び401Bの内容積制御弁及びホットメルト供給弁には、弁空気制御回路60及びガン空気制御回路90がそれぞれ接続されている。弁空気制御回路60及びガン空気制御回路90は、それぞれ空気通路53及び56により空気供給源70に接続されている。
図65(a)に示すように、太陽電池パネル2の対向する両縁部を二つの塗工装置401A及び401Bのそれぞれに通過させる。太陽電池パネル2を矢印C1で示す方向(第一方向)へ移動させながら、二つの塗工装置401A及び401Bからホットメルト403をパネル2の対向する両縁部へ塗工する。
パネル2の二つの端部への塗工が終了すると、パネル2を図65(b)に示すように矢印C2で示す時計方向へ90度回転させる。このとき、パネル2が回転するための空間を確保するために、塗工装置401Bを矢印B1で示す方向へ移動して退避させてもよい。
次に、図65(c)に示すように、パネル2を矢印C3で示す方向(第二方向)へ移動させる。矢印C3で示す方向は、矢印C1で示す方向と反対である。パネル2を矢印C3で示す方向へ移動させながら二つの塗工装置401A及び401Bからホットメルト403をパネル2の別の対向する両縁部へ塗工する。
このように、2回の塗工工程と、1回のパネル回転工程とでパネルへの塗工が終了するので、生産性を向上することができる。
なお、パネル2の別の対向する両縁部にホットメルトを塗工する工程は、パネルの一方の角部からパネルの面に塗工されたホットメルトの幅W8だけ離れた第一位置まで、パネルの端面のみにホットメルトを一面塗工し、続いて、第一位置とパネルの他方の角部から幅W8だけ手前の第二位置との間で三面塗工し、続いて、第二位置からパネルの他方の角部まで、パネルの端面のみにホットメルトを一面塗工する。
【0076】
図66は、四つの塗工範囲可変機能付三面塗工装置(以下、塗工装置という。)401A、401B、401C、及び401Dを使用した塗工方法を示す説明図である。太陽電池パネル2の対向する両縁部に、二つの塗工装置401A及び401Bにより同時にホットメルト403を塗工する。次に、パネル2の別の対向する両縁部に、二つの塗工装置401C及び401Dにより同時にホットメルト403を塗工する。これによって、生産性を高めることができる。
四つの塗工装置401A、401B、401C、及び401Dのそれぞれは、ホットメルト通路(ホットメルトホース)54によりホットメルト供給源80に接続されている。塗工装置401A、401B、401C、及び401Dの内容積制御弁及びホットメルト供給弁には、弁空気制御回路60及びガン空気制御回路90がそれぞれ接続されている。弁空気制御回路60及びガン空気制御回路90は、それぞれ空気通路53及び56により空気供給源70に接続されている。
図66に示すように、太陽電池パネル2を矢印C4で示す方向(第一方向)へ第一経路に沿って移動させながら、パネル2の対向する両縁部を二つの塗工装置401A及び401B(第一の一対の塗工装置)のそれぞれに通過させ、二つの塗工装置401A及び401Bからホットメルト403をパネル2の対向する両縁部へ塗工する。パネル2の二つの端部への塗工が終了すると、パネル2を矢印C4で示す方向に直交する矢印C5で示す方向(第二方向)へ第二経路に沿って移動する。第二経路は、第一経路と直交している。パネル2を矢印C5で示す方向へ移動させながら、パネル2の別の対向する両縁部に二つの塗工装置401C及び401D(第二の一対の塗工装置)からホットメルト403を塗工する。
このように、パネルの移動方向を変えるだけで、2回の塗工工程によりパネルへの塗工が終了するので、生産性を向上することができる。
なお、パネル2の別の対向する両縁部にホットメルトを塗工する工程は、パネルの一方の角部からパネルの面に塗工されたホットメルトの幅W8だけ離れた第一位置まで、パネルの端面のみにホットメルトを一面塗工し、続いて、第一位置とパネルの他方の角部から幅W8だけ手前の第二位置との間で三面塗工し、続いて、第二位置からパネルの他方の角部まで、パネルの端面のみにホットメルトを一面塗工する。
【実施例5】
【0077】
実施例4においては、三面塗工ノズル410を例に挙げて、3点位置制御可能な内容積制御弁420を使用した塗工装置を説明した。しかし、実施例3に示した二面塗工ノズルに3点位置制御可能な内容積制御弁420を使用してもよい。この場合も、パネルの端面への一面塗工と、パネルの上面及び端面への二面塗工とを切り替えることができる。これによって、パネルの角部におけるホットメルトの重複した塗工を防止することができる。
また、3点位置制御可能な内容積制御弁420に、二以上の第二プランジャーを直列的に配置することにより、4点又は5点以上の位置制御可能な内容積制御弁とすることができる。この場合に、ノズル本体、分配板、及びシム板を適切に構成すれば、多数のスロット部からのホットメルトの吐出を選択的に制御することが可能になる。
【0078】
本発明の実施例によれば、太陽電池パネルのような板材の端面及び端面に隣接する上側周面及び/又は裏側周面などの2つ又は3つの面上に接着剤やシーラントなどの液体を塗工することができる多面塗工ノズルを提供することができる。
【0079】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その特徴事項から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0080】
2…太陽電池パネル(基板)、2b…下面、2e…端面、2t…上面、10,210,410…三面塗工ノズル、11,411…ノズル本体、11a,411a…入口開口、11f…出口開口、12,412…分配板、12a…コの字形状の溝穴、13,413…シム板、13a…第二切り取り部、13a1…第一スロット部、13a2…第二スロット部、13a3…第三スロット部、14…遮蔽板、30…ホットメルト供給弁(液体供給弁)、411f…第一出口開口、411k…第二出口開口、412a…コの字形状の第二溝穴、412d…第一縦溝穴、413r1…第一切り取り部、413a1…第一スロット部、413a2…第二スロット部、413a3…第三スロット部、413r2…第二切り取り部、413r3…第三切り取り部、413r4…第四切り取り部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の複数の面に一度に液体を塗工することができる塗工ノズル及び塗工方法、及び塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池パネルは、接着剤又はシール材としてのホットメルトを介して金属性外枠に嵌め込まれている。太陽電池パネルは、例えば、受光面側のガラス板の裏に透明電極が設けられ、透明電極と裏面電極との間に、アモルファスシリコン及び薄膜多結晶シリコンが配置されている。金属性外枠には、太陽電池パネルを嵌め込むための溝形状の嵌合部分が設けられている。従来の方法によれば、外枠の嵌合部分にホットメルトを塗工し、その後、嵌合部分に太陽電池パネルを嵌め込んで太陽電池パネルを外枠に組み込んでいた(特許文献1を参照。)。
【0003】
しかし、外枠の嵌合部分には、設置用の穴などが設けられているため、外枠の嵌合部に流動性のあるホットメルトを塗工することが好ましくない場合があった。
また、太陽電池パネルと外枠との間に水が浸入することを確実に防止するために、嵌合部分へ塗工するホットメルトの量を多くすることがあった。この場合に、余分なホットメルトが嵌合部分からはみ出すため、はみ出したホットメルトを除去する工程が必要となった。
このような外枠へのホットメルトの塗工の問題点を解決するために、太陽電池パネルにホットメルトを塗工する方法が考えられている。太陽電池パネルにホットメルトを塗工することにより、設置用の穴が設けられた外枠と太陽電池パネルとを組み立てる際にも、流動性のあるホットメルトを使用することができる。また、太陽電池パネルへ直接ホットメルトを塗工するので、太陽電池パネルへの水の浸入をより確実に防止することができる。さらにまた、より安価な外枠を使用することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−243998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の塗工装置を使用して太陽電池パネルなどの基板の外周部へホットメルトなどの液体を塗工するためには、基板の端面と、端面に隣接する基板の上面と、端部に隣接する基板の下面とに、3つの塗工装置からそれぞれ液体を塗工する必要があった。3つの塗工装置のそれぞれには、ノズルと、ノズルへ液体を供給する液体供給弁と、液体供給源から液体供給弁へ液体を供給するための液体通路が設けられている。
このように、複数のノズル、複数の液体供給弁、及び複数の液体供給通路を設けるために、費用がかかるという問題があった。
また、構造部品の数が増大するため、複数の塗工ノズルを設置するための大きな空間が必要であるという問題があった。
さらにまた、液体供給源から複数の塗工ノズルへの複数の液体供給通路を設ける必要があるため、複数の液体供給通路の配管が煩雑になるという問題があった。
さらにまた、基板に対して複数の塗工ノズルをそれぞれ位置決めする作業に時間がかかり、また、それぞれの塗工ノズルの吐出開始及び吐出停止のタイミングを調整する作業にも時間がかかるという問題があった。
さらにまた、複数の塗工ノズルにより形成される塗膜間の継ぎ目の仕上りがよくない。すなわち、継ぎ目が盛り上がったり、膨らみが発生したりするという問題があった。
そこで、本発明は、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出することができる塗工ノズル及び塗工方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する為に本発明では次のような塗工ノズルとした。
すなわち、液体供給弁から供給される液体を受け入れる入口開口と、液体を吐出する出口開口とを有するノズル本体と、
前記ノズル本体に隣接して配置され、前記出口開口から吐出される液体を分配する溝穴を有する分配板と、
前記分配板に隣接して配置され、前記分配板の前記溝穴と連通する切り取り部が設けられたシム板と、
前記シム板に隣接して配置され、前記シム板の前記切り取り部を覆う遮蔽板とを有し、
基板の端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を吐出するためのスロット部は、前記分配板と前記遮蔽板との間で前記シム板の前記切り取り部により形成されている塗工ノズルとした。
【0007】
また、前述した課題を解決する為に本発明では次のような塗工方法とした。
すなわち、前記塗工ノズルを基板の縁部に沿って移動させながら、前記基板の端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する塗工方法とした。
【0008】
また、前述した課題を解決する為に本発明では次のような内容積制御弁とした。
すなわち、液体供給弁から供給される液体を受け入れる一つの入口開口と、液体を吐出する複数の出口開口と、前記複数の出口開口と前記一つの入口開口との間に設けられたシリンダー部とを有する塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁であって、
前記シリンダー部内を往復動して前記シリンダー部内の複数の位置で停止することができる第一プランジャーと、
前記第一プランジャーに固定された第一ピストンと、
前記第一プランジャーを前記複数の位置で停止させるために前記第一ピストンに作用する一又は二以上の第二プランジャー及び第二ピストンとを有し、
前記液体が吐出される出口開口の数を変更するために、前記複数の位置から前記第一プランジャーが停止する位置を選択する内容積制御弁とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出することができる塗工ノズル及び塗工方法を提供することができる。
また、本発明によれば、塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁を提供することができる。
本発明の塗工ノズルは、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出することができるので、複数のノズル、液体供給弁、及び液体供給通路を設けるための費用を低減することができる。
また、本発明の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、構造部品の数を低減し、塗工ノズルを設置するための空間を減少させることができる。
さらにまた、本発明の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、液体供給源から塗工ノズルへの液体供給通路の数を減少させることができる。
さらにまた、本発明の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、塗工ノズルの取付位置調整、吐出開始及び吐出停止のタイミング調整にかかる時間を低減することができる。
さらにまた、本発明の塗工ノズルは、基板の端面の塗膜と端面に隣接する基板の面の塗膜との間に継ぎ目のない塗工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による塗工システムを示す図。
【図2】実施例1の三面塗工ノズルの分解斜視図。
【図3】三面塗工ノズルと内容積制御弁の平面図。
【図4】図3の線IV−IVに沿って取ったノズル本体の断面図。
【図5】ノズル本体の正面図。
【図6】ノズル本体の側面図。
【図7】ノズル本体の斜視図。
【図8】ノズル本体のホットメルト通路を示すためにノズル本体を透かして描いた説明図。
【図9】分配板の正面図。
【図10】分配板の側面図。
【図11】ノズル本体に取り付けられた分配板の正面図。
【図12】ノズル本体に取り付けられた分配板の側面図。
【図13】ノズル本体に取り付けられた分配板の斜視図。
【図14】シム板の正面図。
【図15】シム板の側面図。
【図16】分配板に隣接して取り付けられたシム板の正面図。
【図17】分配板に隣接して取り付けられたシム板の側面図。
【図18】分配板に隣接して取り付けられたシム板の斜視図。
【図19】遮蔽板の正面図。
【図20】遮蔽板の側面図。
【図21】三面塗工ノズルのノズル先端部の説明図。
【図22】ノズル先端部の拡大図。
【図23】シム板に隣接して取り付けられた遮蔽板の正面図。
【図24】シム板に隣接して取り付けられた遮蔽板の側面図。
【図25】シム板に隣接して取り付けられた遮蔽板の斜視図。
【図26】代替例1の遮蔽板の側面図。
【図27】代替例2の遮蔽板の側面図。
【図28】取付板の正面図。
【図29】遮蔽板に隣接して取り付けられた取付板の正面図。
【図30】遮蔽板に隣接して取り付けられた取付板の側面図。
【図31】遮蔽板に隣接して取り付けられた取付板の斜視図。
【図32】ねじにより固定された三面塗工ノズルを示す図。
【図33】図32の線XXXIIIA−XXXIIIA及び線XXXIIIB−XXXIIIBに沿って取った三面塗工ノズルの断面側面図。
【図34】図32の線XXXIIIA−XXXIIIA及び線XXXIIIB−XXXIIIBに沿って取った三面塗工ノズルの断面斜視図。
【図35】塗工前及び塗工後の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図36】塗工時の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図37】実施例1の三面塗工ノズルにより太陽電池パネルに塗工されたホットメルトの塗膜の断面図。
【図38】ホットメルトの塗工方法を示す説明図。
【図39】実施例2の三面塗工ノズルの分解斜視図。
【図40】分散板の正面図。
【図41】分配板に隣接して取り付けられた分散板の正面図。
【図42】分配板に隣接して取り付けられた分散板の側面図。
【図43】分配板に隣接して取り付けられた分散板の斜視図。
【図44】分散板に隣接して取り付けられたシム板の正面図。
【図45】分散板に隣接して取り付けられたシム板の側面図。
【図46】分散板に隣接して取り付けられたシム板の斜視図。
【図47】実施例2の三面塗工ノズルのホットメルト流路を示す説明図。
【図48】実施例3の二面塗工ノズルのための分配板の正面図。
【図49】実施例3の二面塗工ノズルのためのシム板の正面図。
【図50】実施例1〜3によりホットメルトが塗工された太陽電池パネルを示す図。
【図51】実施例4の三面塗工ノズルの分解図。
【図52】ノズル本体の正面図。
【図53】ノズル本体の側面図。
【図54】分配板の正面図。
【図55】シム板の正面図。
【図56】実施例4の内容積制御弁の動作を示す説明図。
【図57】ノズル本体の第一及び第二出口開口と第一プランジャーとの位置関係を示す図。
【図58】実施例4の第一プランジャーとホットメルト供給弁との動作を示す説明図。
【図59】塗工前及び塗工後の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図60】三面塗工時の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図61】一面塗工時の内容積制御弁とホットメルト供給弁とを示す図。
【図62】一つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する方法を示す説明図。
【図63】一つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する別の方法を示す説明図。
【図64】一つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する別の方法を示す説明図。
【図65】二つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する方法を示す説明図。
【図66】四つの塗工装置により太陽電池パネルを塗工する方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0012】
(塗工システム)
図1は、本発明による塗工システムを示す図である。本実施例において、多面塗工装置の例として三面塗工装置を挙げて説明する。三面塗工装置1は、ロボットアーム100に取り付けられている。ロボットアーム100は、三面塗工装置1を被塗物(基板)である太陽電池パネル(ソーラーパネル)2の縁部に沿って移動させる。太陽電池パネル2は、太陽光発電に使用されるパネルである。三面塗工装置1は、矢印A1、A2、A3、及びA4で示すノズル移動方向に移動しながら、接着剤やシーラントなどの液体としてのホットメルトを太陽電池パネル2の縁部の端面、端面に隣接する上面(上側周面)、及び端面に隣接する下面(裏側周面)に塗工する。本実施例においては、太陽電池パネル2に対して三面塗工装置1を移動させる構成を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、三面塗工装置1に対して太陽電池パネル2を移動させてもよい。したがって、ノズル移動方向は、太陽電池パネル2に対する三面塗工装置1の相対移動方向を示している。
三面塗工装置1は、塗工ノズルとしての三面塗工ノズル10と、内容積制御弁20と、ホットメルト供給弁(液体供給弁)30と、ガン40とからなる。三面塗工ノズル10は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部10rが形成されている。三面塗工ノズル10は、太陽電池パネル2を通す部分がコの字形状をしている。内容積制御弁20は、空気通路51、52を介して弁空気制御回路60に接続されている。内容積制御弁20と空気通路51、52との間には、スピードコントローラ21、22が設けられている。弁空気制御回路60は、空気通路53を介して空気供給源70に接続されている。弁空気制御回路60は、制御装置110の空気制御信号111により制御される。ガン40は、ホットメルト通路(液体通路)54を介してホットメルト供給源80に接続されている。ガン40は、また、空気通路55を介してガン空気制御回路90に接続されている。ガン空気制御回路90は、空気通路56を介して空気供給源70に接続されている。ガン空気制御回路90は、制御装置110の空気制御信号112により制御される。
【0013】
(三面塗工ノズル)
図2は、三面塗工ノズル10の分解斜視図である。三面塗工ノズル10は、内容積制御弁20の一端部に取り付けられている。三面塗工ノズル10は、ノズル本体11と、分配板12と、シム板13と、遮蔽板14と、取付板15とからなる。
【0014】
(ノズル本体)
図3は、三面塗工ノズル10と内容積制御弁20を示す平面図である。図4は、図3の線IV−IVに沿って取ったノズル本体11の断面図である。ノズル本体11には、太陽電池パネル2を通すための切り取り部11rが設けられている。切り取り部11rは、幅W1と長さL1を有する。ノズル本体11は、ナット31によりホットメルト供給弁30に取り付けられている。ノズル本体11は、ホットメルト供給弁30に直接取り付けられているので、本実施例のホットメルト通路の長さは、短い。もし、ホットメルト通路の長さが長いと、塗工作業の初めにテーパー状の塗膜が発生したり、塗工作業の終わりにホットメルトのカットオフが良好でなくなったりする。本実施例においては、ホットメルト通路の長さを短くしたので、塗工作業の初めのテーパー状の塗膜の発生、及び塗工作業の終わりのホットメルトのカットオフの不良を低減できる。ノズル本体11には、ホットメルト供給弁30から供給されるホットメルトを受け入れる入口開口11aが設けられている。ノズル本体11には、入口開口11aに連通するホットメルト通路(液体通路)11bが設けられている。また、ノズル本体11には、ホットメルト通路11bと交差し、ホットメルト通路11bと連通するシリンダー部11cが設けられている。シリンダー部11cは、ホットメルト通路11bに関して切り取り部11rと反対の側に設けられている。ノズル本体11には、内容積制御弁20が装着される装着孔11dが設けられている。シリンダー部11cは、装着孔11dに開口している。シリンダー部11cには、内容積制御弁20のプランジャー23が挿入される。プランジャー23は、シリンダー部11c内で往復動する。
【0015】
図5は、ノズル本体11の正面図である。分配板12が取り付けられるノズル本体11の取付面11eには、ホットメルトの出口開口11fが設けられている。ノズル本体11には、温調ヒーター17と温度センサー18が設けられている。ノズル本体11が周囲空気及び太陽電池パネル2により冷却されノズル本体11の温度が低下すると、ホットメルト塗工終了時のカットオフが良好でなくなることがある。そこで、ノズル本体11を加熱して適切な温度に維持するために温調ヒーター17がノズル本体11に設けられている。温度センサー18は、ノズル本体11の温度を検知する。制御装置110は、温度センサー18の検知温度に基づいて、温調ヒーター17を制御し、ノズル本体11を適切な温度に保持する。これによって、ホットメルト塗工終了時のカットオフを良好にする。図6は、ノズル本体11の側面図である。ノズル本体11には、出口開口11fとホットメルト通路11bとを連通するホットメルト通路(液体通路)11gが設けられている。本実施例においては、ホットメルト通路11gは、三面塗工ノズル10が太陽電池パネル2に対して相対的に移動する方向Aと平行に延在している。また、ホットメルト通路11bは、ホットメルト通路11gに対して垂直に延在している。シリンダー部11cは、ホットメルト通路11bとホットメルト通路11gとの結合部11hにおいて、ホットメルト通路11bに連通している。
図7は、ノズル本体11の斜視図である。図8は、ノズル本体11のホットメルト通路を示すためにノズル本体11を透かして描いた説明図である。ホットメルト供給源30がノズル本体11にナット31により取り付けられているときに、ホットメルトは、ノズル本体11の入口開口11aへ供給される。ホットメルトは、入口開口11aからホットメルト通路11bを通り結合部11hへ流れる。このとき、シリンダー部11c内のプランジャー23の先端部は、結合部11hの近傍にある。ホットメルトは、結合部11hからホットメルト通路11gを通して出口開口11fへ流れる。
【0016】
(分配板)
図9は、分配板12の正面図である。分配板12は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部12rが設けられている。切り取り部12rは、幅W2と長さL2を有する。切り取り部12rの上辺と側辺との間及び下辺と側辺との間は、半径Rの円弧で結ばれている。分配板12の切り取り部12rの幅W2は、ノズル本体11の切り取り部11rの幅W1に等しいかそれよりも小さい。また、図4のノズル本体11の左端部と図9の分配板12の左端部を合わせて取り付けた場合に、分配板12の切り取り部12rの長さL2は、ノズル本体11の切り取り部11rの長さL1に等しいかそれよりも小さい。所望の塗工形状及び塗膜厚さに応じて、分配板12の幅W2、長さL2、及び半径Rの寸法を設定することができる。
分配板12には、切り取り部12rの周りに沿ってコの字形状の溝穴12a(12a1,12a2,12a3)が設けられている。溝穴12aは、図9に示すように縦溝穴12a1と、縦溝穴12a1の一端部から切り取り部12rの上辺に沿って水平に延在する上横溝穴12a2と、縦溝穴12a1の他端部から切り取り部12rの下辺に沿って水平に延在する下横溝穴12a3とからなる。溝穴12aは、幅W3を有する。幅W3の寸法は、ホットメルトの流量や分配の均一性に影響を与える。切り取り部12rと溝穴12aとの間の距離D1は、ホットメルトを吐出するスロット部の流路長さを決定する。
分配板12には、取付ねじを通すための孔12bが6つ設けられている。
図10は、分配板12の側面図である。分配板12は、厚さT1を有する。分配板12の厚さT1は、三面塗工ノズル10内のホットメルト溜まりの容積を決定する。厚さT1を小さくすることによりホットメルト溜まりの容積を小さくすることができる。
【0017】
以下に、分配板12におけるホットメルトの流れを説明する。
図11、図12、及び図13は、それぞれ、ノズル本体11に取り付けられた分配板12の正面図、側面図、及び斜視図である。ホットメルト供給弁30から供給されたホットメルトは、ノズル本体11の入口開口11aからホットメルト通路11b、結合部11h、ホットメルト通路11gを通り、出口開口11fへ流れ、出口開口11fから吐出される。出口開口11fから吐出されたホットメルトは、分配板12の縦溝穴12a1の上方及び下方へ分配されて流れる。上方へ流れたホットメルトは、上横溝穴12a2内を流れて上横溝穴12a2内を満たす。下方へ流れたホットメルトは、下横溝穴12a3内を流れて下横溝穴12a3内を満たす。
分配板12により、ホットメルトは、太陽電池パネル2の端面に対応する吐出口と、上面に対応する吐出口と、下面に対応する吐出口へ分配される。分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3は、ホットメルト溜まりを形成する。
【0018】
(シム板)
図14は、シム板13の正面図である。シム板13は、太陽電池パネル2を通すための第一切り取り部13rが設けられている。第一切り取り部13rは、幅W2と長さL3を有する。第一切り取り部13rの幅W2は、分配板12の切り取り部12rの幅W2に等しい。しかし、これに限定されるわけではない。第一切り取り部13rの長さL3は、図9に示す分散板12の左端部12cから上横溝穴12a2及び下横溝穴12a3の端部との距離D2に等しい。しかし、これに限定されるわけではない。
シム板13は、第二切り取り部13aが設けられている。第二切り取り部13aは、第一切り取り部13rと連通している。第二切り取り部13aは、幅W4と長さL4を有する。第二切り取り部13aの幅W4は、分配板12の縦溝穴12a1の長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。第二切り取り部13aの長さL4は、上横溝穴12a2又は下横溝穴12a3の長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。分配板12に隣接してシム板13を配置したときに、シム板13の第二切り取り部13aは、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3と連通する。本実施例においては、シム板13の第二切り取り部13aは、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3をぴったり取り囲む寸法である。しかし、これに限定されるわけではない。シム板13の第二切り取り部13aは、太陽電池パネル2へホットメルトを吐出するための複数のスロット部を画成する。本実施例において、複数のスロット部は、連続して形成される。所望の塗工形状及び塗膜厚さに応じて、第一切り取り部13rの幅W2と長さL3、及び第二切り取り部13aの幅W4と長さL4を設定することができる。
シム板13には、取付ねじを通すための孔13bが6つ設けられている。
図15は、シム板13の側面図である。シム板13は、厚さT2を有する。シム板13の厚さT2は、ホットメルトを吐出するスロット部の幅を決定する。
【0019】
図16、図17、及び図18は、それぞれ、分配板12に隣接して取り付けられたシム板13の正面図、側面図、及び斜視図である。ホットメルトは、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3からスロット部13a1、13a2、及び13a3のそれぞれへ流れる。
【0020】
(遮蔽板)
図19は、遮蔽板14の正面図である。図20は、遮蔽板14の側面図である。遮蔽板14は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部14rが設けられている。切り取り部14rは、幅W2と長さL2を有する。切り取り部12の上辺と側辺との間及び下辺と側辺との間は、半径Rの円弧で結ばれている。本実施例において、遮蔽板14の切り取り部14rの幅W2は、分配板12の切り取り部12rの幅W2と等しい。また、遮蔽板14の切り取り部14rの長さL2は、分配板12の切り取り部12rの長さL2と等しい。しかし、これらに限定されるものではない。所望の塗工形状及び塗膜厚さに応じて、遮蔽板14の幅W2、長さL2、及び半径Rの寸法を設定することができる。
遮蔽板14には、取付ねじを通すための孔14bが6つ設けられている。
図20は、遮蔽板14の側面図である。遮蔽板14は、厚さT3を有する。遮蔽板14の厚さT3は、ノズルのリップ部の長さを決定する。切り取り部14rは、平行部14r1と傾斜部14r2とからなる。平行部14r1は、ノズル移動方向Aと平行である。傾斜部14r2は、ノズル移動方向Aに対して傾斜して、ノズル移動方向Aの上流側へ拡がっている。切り取り部14rの形状は、塗工の均一性、塗膜の外観の美しさ、キレのよさに影響を与える。塗工スピードや接着剤の種類に応じて、最適の塗工が得られるように、切り取り部14rの形状が選択される。
【0021】
次に、切り取り部14rの形状が、塗工のキレのよさに与える影響を説明する。
図21は、三面塗工ノズル10のノズル先端部の説明図である。三面塗工ノズル10は、ロボットアーム100により、太陽電池パネル2に対してノズル移動方向Aへ移動される。ノズル本体11の出口開口11fから吐出されたホットメルトは、分配板12の縦溝穴12a1を通り、スロット部13a1へ流れる。スロット部13a1は、分配板12と遮蔽板14との間でシム板13の第二切り取り部13aにより形成されている。スロット部13a1から吐出されたホットメルトは、太陽電池パネル2の端面2e上に塗膜3を形成する。
図22は、ノズル先端部の拡大図である。遮蔽板14の平行部14r1は、長さL5を有し、ノズル移動方向Aと平行な平面からなる。平行部14r1に連続して、平行部14r1からノズル移動方向Aの上流側に傾斜部14r2が設けられている。遮蔽板14の傾斜部14r2は、平行部14r1に対して角度θの傾斜を有する傾斜面に面取り逃がし加工されている。傾斜部14r2は、太陽電池パネル2から離れる方向へ傾斜している。スロット部13a1から吐出されたホットメルトは、平行部14r1により均されて、均一化される。平行部14r1と傾斜部14r2との接線14pにおいて、遮蔽板14の切り取り部14rは、理論上、吐出されたホットメルトと縁切れとなる。しかしながら、吐出されたホットメルトが傾斜面14r2へまわり込むことがある。まわり込んだホットメルト3aは、糸引きの原因となる。
遮蔽板14の切り取り部14rの形状は、吐出されるホットメルトのキレに影響を与える。切り取り部14rの平行部14r1の長さL5が短いほど、平行部14r1とホットメルトとの接触が少なくなるので、まわり込んで傾斜面14r2へ付着するホットメルトの量が少なくなり、キレがよい。しかし、ホットメルトの粘度、塗工スピード、及び塗工量に応じて、適切な長さL5を選択する。傾斜部14r2は、まわり込んで付着する残留ホットメルトの量を少なくし、糸引きを少なくする。傾斜部14r2の角度θは、ホットメルトの粘度、塗工スピード、及び塗工量に応じて、適切な値を選択する。
【0022】
図23、図24、及び図25は、それぞれ、シム板13に隣接して取り付けられた遮蔽板14の正面図、側面図、及び斜視図である。
遮蔽板14は、シム板13の第二切り取り部13aを覆って取り付けられる。分散板12と遮蔽板14との間でシム板13の第二切り取り部13aは、太陽電池パネル2の端面2e上にホットメルトを塗工する第一スロット部13a1と、上面にホットメルトを塗工する第二スロット部13a2と、下面にホットメルトを塗工する第三スロット部13a3とを形成する。第一スロット部13a1と第二スロット部13a2とは連続している。また、第一スロット部13a1と第三スロット部13a3とは連続している。したがって、太陽電池パネル2の端部の上面2t、端面2e、及び下面2bを連続して塗工することができる。
【0023】
次に、遮蔽板14の代替例を示す。
図26は、代替例1の遮蔽板114の側面図である。遮蔽板114の切り取り部114rは、円弧形状断面を有する面で形成されている。ノズル移動方向Aの上流側が開いた形状である。
図27は、代替例2の遮蔽板214の側面図である。遮蔽板214の切り取り部214rは、ノズル移動方向Aに平行な平面の平行部214r1と、ノズル移動方向Aに対して角度を有する傾斜部214r2と、平行部214r1と傾斜部214r2とをつなぐ凹形状のくぼみ部214r3とからなる。傾斜部214r2は、ノズル移動方向Aの上流側に拡がっている。
遮蔽板の切り取り部の形状は、吐出されるホットメルトのキレに影響を与えるので、ホットメルトの粘度、塗工スピード、及び塗工量に応じて、適切な形状を選択する。
なお、本実施例においては、遮蔽板を使用しているが、本発明においては、遮蔽板を必ずしも使用する必要はない。例えば、遮蔽板を省略して、以下に説明する取付板をシム板に隣接して取り付けてもかまわない。
【0024】
(取付板)
図28は、取付板15の正面図である。取付板15は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部15rが設けられている。切り取り部15rは、幅W5と長さL6とを有する。幅W5は、遮蔽板14の切り取り部14rの幅W2に、傾斜部14r2の幅の二倍を加えたものと等しいかそれよりも長い。長さL6は、遮蔽板14の切り取り部14rの長さL2に、傾斜部14r2の幅を加えたものと等しいかそれよりも長い。
取付板15には、ねじ4の頭を収納する座ぐり孔15bが6つ設けられている。
【0025】
図29、図30、及び図31は、それぞれ、遮蔽板14に隣接して取り付けられた取付板15の正面図、側面図、及び斜視図である。第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、及び13a3を形成する分散板12、シム板13、及び遮蔽板14は、ノズル本体11及び取付板15よりも切り取り部内へ突き出している。
【0026】
(ホットメルト流路)
図32は、ねじ4により固定された三面塗工ノズル10を示す図である。分配板12、シム板13、遮蔽板14、及び取付板15は、6つのねじ4によりノズル本体1に取り付けられている。図33及び図34は、それぞれ、図32の線XXXIIIA−XXXIIIA及び線XXXIIIB−XXXIIIBに沿って取った三面塗工ノズル10の断面側面図及び断面斜視図である。ねじ4は、省略されている。
ホットメルトは、ノズル本体11にナット31により取り付けられたホットメルト供給弁30からノズル本体11の入口開口11aへ供給される。ホットメルトは、ホットメルト通路11bを通り、ホットメルト通路11bと11gとの結合部11hへ至る。ホットメルトは、結合部11hからホットメルト通路11gを通り、出口開口11fから分散板12の縦溝穴12a1へ吐出される。ホットメルトは、縦溝穴12a1から上横溝穴12a2(不図示)と下横溝穴12a3へ流れる。ホットメルトは、縦溝穴12a1、上横溝穴12a2(不図示)、及び下横溝穴12a3からシム板13の第二切り取り部13aを通り、分散板12と遮蔽板14との間に形成される第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、及び13a3から吐出される。
【0027】
(三面塗工装置の動作)
以下に、三面塗工装置1の動作を説明する。
(塗工前及び塗工後)
図35は、ホットメルト塗工前及び塗工後における内容積制御弁20とホットメルト供給弁30とを示す図である。
内容積制御弁20は、ノズル本体11にねじなどの締結部材(不図示)により固定されている。内容積制御弁20には、プランジャー23が往復動可能に設けられている。プランジャー23の一端部は、ノズル本体11のシリンダー部11cに挿入されている。プランジャー23の他端部には、ピストン24が固定されている。ピストン24は、内容積制御弁20のピストン室25内で往復動可能に設けられている。ピストン24は、ピストン室25を第一室25aと第二室25bとに分割している。
【0028】
空気供給源70は、空気通路53を介して空気を弁空気制御回路60へ供給する。ホットメルト塗工前及び塗工後において、弁空気制御回路60は、空気通路52及びスピードコントローラ22を介して空気をピストン室25の第一室25aへ供給する。一方、ピストン室25の第二室25b内の空気は、スピードコントローラ21及び空気通路51を介して弁空気制御回路60へ送られ、弁空気制御回路60から大気中へ排気される。第一室25a内の圧力は、第二室25b内の圧力よりも高くなるので、ピストン24は、第二室25bを収縮し第一室25aを拡大するように移動する。ピストン24の移動によりプランジャー23の先端部は、ノズル本体11の結合部11hから離れる方向へシリンダー部11c内を退避位置まで移動する。このとき、プランジャー23は、ホットメルト通路11g内にあるホットメルトを結合部11hを介してシリンダー部11cへ吸込む。これは、通常、サックバック機能と呼ばれている。サックバック機能は、ノズル本体11内部のホットメルト通路の容積を大きくすることにより、ホットメルトの塗工停止時の切れを改善する。
【0029】
なお、絞り弁としてのスピードコントローラ21及び22は、空気の流量を調整して、ピストン24の移動速度を制御する。
【0030】
ホットメルト供給弁30は、ナット31によりノズル本体11に固定されている。ホットメルト供給弁30には、ホットメルト室32が設けられている。ホットメルト室32は、ホットメルトが流入する入口33と、ホットメルトを吐出する吐出口34とに連通している。ガン40は、ホットメルト供給弁30に固定されている。ガン40は、ホットメルト通路(液体通路)41が設けられている。ホットメルト通路41の一端部は、ホットメルト供給弁30の入口33に連通し、他端部は、ホットメルト供給源80に接続されたホットメルト通路54に連通している。ホットメルトは、ホットメルト供給源80からホットメルト通路54、ガン40のホットメルト通路41、及び入口33を介してホットメルト室32へ供給される。ホットメルト供給弁30には、ホットメルト室32内を往復動する弁棒35が設けられている。弁棒35の一端部は、吐出口34の近傍に設けられた弁座36と当接及び離間する。弁棒35の他端部は、ピストン37に固定されている。ピストン37は、ピストン室38を第一室38aと第二室38bに分割している。第一室38aは、ガン40の空気通路42の一端部に連通している。空気通路42の他端部は、ガン空気制御回路90に接続された空気通路55に連通している。ホットメルト塗工前及び塗工後において、ガン空気制御回路90は、空気通路55及びガン40の空気通路42を介してピストン室38の第一室38aを大気圧に開放する。ピストン室38の第二室38bには、ピストン37を付勢するばね(付勢部材)39が設けられている。ばね39の付勢力によりピストン37が押されて、弁棒35の一端部を弁座36に当接し、吐出口34を閉じている。したがって、ホットメルト室32内のホットメルトが吐出口34から吐出されることを阻止する。
【0031】
(塗工時)
図36は、ホットメルト塗工時における内容積制御弁20とホットメルト供給弁30とを示す図である。
ホットメルト塗工時には、制御装置110は、空気制御信号111により弁空気制御回路60を制御して、空気供給源70からの空気を空気通路51へ供給する。空気は、空気通路51及びスピードコントローラ21を介してピストン室25の第二室25bへ供給される。一方、ピストン室25の第一室25aは、弁空気制御回路60により大気に開放される。したがって、第二室25bが膨張し第一室25aが収縮してピストン24が移動する。ピストン24の移動により、プランジャー23の先端部は、結合部11cの近傍の突き出し位置まで移動する。これによって、シリンダー部11cの内容積が小さくなる。
【0032】
制御装置110は、空気制御信号112によりガン空気制御回路90を制御して、空気供給源70からの空気を空気通路42へ供給する。空気は、ピストン室38の第一室38aへ供給され、第二室38b内のばね39の付勢力に抗して第一室38aを膨張させる。第一室38aの膨張により、ピストン37が移動する。ピストン37の移動により、弁棒35は、弁座36から離間して、吐出口34を開く。ホットメルト室32内のホットメルトは、吐出口34からノズル本体11の入口開口11aへ吐出される。ホットメルトは、ノズル本体の出口開口11fから分配板12の縦溝孔12a、上横溝穴12a2、下横溝穴12a3を通り、第一スロット部13a1、第二スロット部13a2、及び第三スロット部13a3から吐出される。
【0033】
図37は、実施例1の三面塗工ノズル10により太陽電池パネル2に塗工されたホットメルトの塗膜3の断面図であり、図38の線XXXVII−XXXVIIに沿って取った断面図である。
三面塗工ノズル10は、スロット部が形成されている部分の断面がコの字形状をしている。三面塗工ノズル10の第一スロット部13a1から吐出されたホットメルトは、太陽電池パネル2の端面2e上に塗工される。同様に、第二スロット部13a2から吐出されたホットメルトは、太陽電池パネル2の端部の上面2t上に塗工される。また、第三スロット部13a3から吐出されたホットメルトは、太陽電池パネル2の端部の下面2b上に塗工される。第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、13a3は、連続しているので、太陽電池パネル2の端部の上面2t、端面2e、及び下面2b上に塗工される塗膜3は、連続している。従って、塗膜3は、継ぎ目のない塗膜である。
【0034】
(塗工方法)
図38は、ホットメルトの塗工方法を示す説明図である。
太陽電池パネル2は、ベルトコンベアー(不図示)などの搬送装置により所定位置へ搬送されて、固定装置(不図示)により所定位置に固定される。三面塗工ノズル10により、太陽電池パネル2の4辺(4つの縁部)にホットメルトを塗工する。三面塗工ノズル10は、ノズル移動方向Aへ移動しながらホットメルトを塗工する。ホットメルトは、図37に示すように、第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、13a3から吐出されて、太陽電池パネル2の端部の端面2e、上面2t、及び下面2b上に塗工される。太陽電池パネル2の角部2cを塗工する場合に、二つの塗工方法がある。一つ目の塗工方法(1)において、三面塗工ノズル10をノズル移動方向A1に移動して角部2cを一旦通過させる。このとき、ホットメルトの吐出は、一旦停止される。次に、三面塗工ノズル10を90°左回転させる。三面塗工ノズルをノズル移動方向A2に移動させ、パネル2の角部2cでホットメルトの吐出を再開する。二つ目の塗工方法(2)において、三面塗工ノズル10は、角部2cでホットメルトを塗工しながら、パネル2から離されずに矢印Bで示すように90°左回転される。
前記塗工方法(1)又は(2)を繰り返して、パネル2の4つの縁部をホットメルトで塗工する。塗工終了後、パネル2は、搬送装置により搬出される。連続して塗工する場合には、次のパネル2が搬送装置により所定位置へ搬送され、固定装置により固定される。前記同様の動作を繰り返して、連続して複数のパネル2の4つの縁部にホットメルトを塗工する。
本実施例によれば、パネルの一縁部に一工程でコの字形状の塗工(三面塗工)をすることができるので、生産ラインの高速化及び生産量の増大に寄与することができる。
【0035】
(寸法の変更)
従来のノズルにおいては、ホットメルトの塗工幅や基板の寸法が変更になったときに、ノズル自体を作り直さなければならなかった。これに対して、本実施例によれば、ホットメルトの塗工幅や基板の寸法が変更になったときでも、ノズル本体を作り直さずに、分配板及びシム板の寸法を変更するだけで対応できる範囲が従来のノズルよりも広くなる。すなわち、一つの塗工ノズルを多品種の基材へのホットメルト塗工に適用できるので、経済的メリットがある。
本実施例の塗工ノズルは、コの字形状に限らず、複雑な曲面の形状にも適用できる。
【0036】
以上に述べたように、本実施例の塗工ノズルは、基板の端面及び端面に隣接する基板の面に液体を吐出することができるので、複数のノズル、複数の液体供給弁、及び複数の液体供給通路を設けるための費用を削減することができる。
また、本実施例の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、構造部品の数を低減し、塗工装置を設置するための空間を減少させることができる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、液体供給源から塗工装置への液体供給通路の数を低減することができる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、複数の従来の塗工ノズルを使用した塗工装置と比較して、塗工ノズルの取付位置調整、吐出開始及び吐出停止のタイミング調整にかかる時間を低減することができる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、基板の端面の塗膜と端面に隣接する基板の面の塗膜との間に継ぎ目のない塗工を行うことができる。よって、外観の美しい塗工を実現できる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、内容積制御弁を使用しているので、塗工終わりの「キレ」を良くすることができる。また、塗工終わり後のホットメルトの糸引きを軽減することができる。
さらにまた、本実施例の塗工ノズルは、温調ヒーター及び温度センサーを設けたので、低温から高温まで幅広い材料の特性に合わせた塗工ができる。
【実施例2】
【0037】
図39は、実施例2の三面塗工ノズル210の分解斜視図である。図2に示す実施例1の三面塗工ノズル10においては、分配板12に隣接してシム板13が取り付けられていた。実施例2においては、分配板12とシム板13との間に、分散板16を設けた。実施例2の三面塗工ノズル210は、分散板16を除き実施例1の三面塗工ノズル10の構成と同様の構成を有しているので、同様の構成に付いては、同様の参照符号を付して説明を省略する。
【0038】
(分散板)
図40は、分散板16の正面図である。分散板16は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部16rが設けられている。切り取り部16rは、幅W2と長さL2を有する。切り取り部16rの上辺と側辺との間及び下辺と側辺との間は、半径Rの円弧で結ばれている。切り取り部16rの幅W2、長さL2、及び半径Rは、分配板12の幅W2、長さL2、及び半径Rと等しい。
分散板16には、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3に対応した部分に複数の貫通孔16aが設けられている。実施例2においては、8つの貫通孔16aが設けられている。分散板16の複数の貫通孔16aは、分配板12の縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3からシム板13の第二切り取り部13aへ流れるホットメルトの分散をよくする。分散板16により、分配板12からシム板13へのホットメルトの流れが均一化される。
分散板16には、取付ねじ4を通すための孔16bが6つ設けられている。
【0039】
図41、図42、及び図43は、それぞれ、分配板12に隣接して取り付けられた分散板16の正面図、側面図、及び斜視図である。ノズル本体11の出口開口11fから吐出されたホットメルトは、分配板12の縦溝穴12a1を介して上横溝穴12a2及び下横溝穴12a3へ流れる。分散板13により、ホットメルトは、上横溝穴12a2及び下横溝穴12a3の末端部まで十分に流れることができる。
【0040】
図44、図45、及び図46は、それぞれ、分散板16に隣接して取り付けられたシム板13の正面図、側面図、及び斜視図である。ホットメルトは、分散板16に設けられた8つの貫通孔16aからシム板13の第二切り取り部13aへ流れる。その結果、分散板16と遮蔽板14との間でシム板13の第二切り取り部13aにより形成される第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、及び13a3を流れるホットメルトは、均一化される。
【0041】
(ホットメルト流路)
図47は、実施例2の三面塗工ノズル210のホットメルト流路を示す説明図である。図47(a)は、ノズル本体11のホットメルト流路を示す図である。ホットメルトは、入口開口11aからホットメルト通路11bを通り結合部11hへ流れる。このとき、内容積制御弁20のプランジャー23の先端部は、結合部11hの近傍にある。ホットメルトは、結合部11hからホットメルト通路11gを通って出口開口11fへ流れる。図47(b)は、分配板12のホットメルト流路を示す図である。ホットメルトは、出口開口11fから分配板12の縦溝穴12a1へ吐出される。ホットメルトは、縦溝穴12a1の上方及び下方へ分配される。上方へ分配されたホットメルトは、上横溝穴12a2内を流れて上横溝穴12a2内を満たす。下方へ分配されたホットメルトは、下横溝穴12a3内を流れて下横溝穴12a3を満たす。図47(c)は、分散板16のホットメルト流路を示す図である。分散板16により、ホットメルトは、上横溝穴12a2及び下横溝穴12a3の末端部まで十分に流れることができる。ホットメルトは、縦溝穴12a1、上横溝穴12a2、及び下横溝穴12a3から分散板16の複数の貫通孔16aを通ってシム板13の第二切り取り部13aへ流れる。図47(d)は、シム板13のホットメルト流路を示す図である。分散板16の複数の貫通孔16aから吐出されたホットメルトは、シム板13の第二切り取り部13a内に均一に拡がっていく。図47(e)は、遮蔽板14によりシム板13の第二切り取り部13aを覆った状態を示す図である。ホットメルトは、分散板16と遮蔽板14との間でシム板13の第二切り取り部13aにより形成される第一、第二、及び第三スロット部13a1、13a2、及び13a3から吐出される。図47(f)は、取付板15を取り付けた状態を示す図である。
【0042】
実施例2においては、分配板12とシム板13の間に、多数の貫通孔16aを設けた分散板16を配置したので、三面塗工ノズル210内におけるホットメルトの分散が均一になる。その結果、太陽電池パネル2に塗工されるホットメルトの塗膜厚さが均一になる。
【実施例3】
【0043】
実施例1及び実施例2においては、三面塗工ノズル10及び210を説明した。本発明によれば、分配板及びシム板を交換するだけで、三面塗工ノズル10及び210を二面塗工ノズルに変更することができる。図48及び図49は、それぞれ、二面塗工ノズルのための分配板312及びシム板313の正面図である。
【0044】
分配板312は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部312rが設けられている。切り取り部312rは、図9に示す実施例1の分配板12と同様に、幅W2と長さL2を有する。分配板312には、切り取り部312rの周りに、L字形状の溝穴312aが設けられている。分配板312には、分配板312がノズル本体11に取り付けられたときに、ノズル本体11の出口開口11fに対向する位置から上方へ延在する縦溝穴312a1が設けられている。また、分配板312には、縦溝穴312a1の上端部から切り取り部312rの上辺に沿って延在する上横溝穴312a2が設けられている。溝穴312a(312a1,312a2)は、幅W3を有する。切り取り部312rと溝穴312aとの間の距離D1は、ホットメルトを吐出するスロット部の流路長さを決定する。
分配板312には、取付ねじを通すための孔312bが6つ設けられている。
【0045】
シム板313は、太陽電池パネル2を通すための第一切り取り部313rが設けられている。第一切り取り部313rは、幅W2、上辺長さL3、及び下辺長さL2を有する。第一切り取り部313rの幅W2及び下辺長さL2は、分配板312の切り取り部312rの幅W2及び長さL2に等しい。しかし、これに限定されるわけではない。第一切り取り部313rの上辺長さL3は、分散板312の左端部312cから上横溝穴312a2の端部との距離D2に等しい。しかし、これに限定されるわけではない。
シム板313は、第二切り取り部313aが設けられている。第二切り取り部313aは、第一切り取り部313rと連通している。第二切り取り部313aは、幅W6と長さL4を有する。幅W6は、分配板312の縦溝穴312a1の長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。長さL4は、分配板312の上横溝穴312a2の長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。本実施例において、分配板312に隣接してシム板313を配置した時に、第二切り取り部313aは、縦溝穴312a1及び上横溝穴312a2を含む寸法である。
第一切り取り部313rと第二切り取り部313aとの間には、段部313sが設けられている。段部313sは、幅W7と長さL7を有する。幅W7は、太陽電池パネル2の端面2eへホットメルトを吐出するスロット部の長さを決定する要素である。長さL7は、分配板312の切り取り部312rと溝穴312aとの距離D1に溝穴312aの幅W3を加えた長さに等しい。しかし、これに限定されるわけではない。
シム板313には、取付ねじを通すための孔313bが6つ設けられている。
【0046】
ノズル本体11に、分配板312、シム板313、遮蔽板14、及び取付板15をねじ4により固定して、二面塗工ノズルを構成する。二面塗工ノズルには、太陽電池パネル2の端面2eと上面2t(又は下面2b)を塗工するためのスロット部が形成される。なお、実施例2の分散板16を分配板312とシム板313との間に設けてもよい。
このように、本発明によれば、分配板及びシム板を交換するだけで、三面塗工ノズルを二面塗工ノズルに変更することができる。
【実施例4】
【0047】
実施例1〜3の塗工ノズルを使用して、図38に示す塗工方法(1)又は(2)により、太陽電池パネル2の端面2e及び上面2t及び/又は下面2bにホットメルトが塗工される。図50は、実施例1〜3によりホットメルトが塗工された太陽電池パネル2を示す図である。太陽電池パネル2の上面2t及び/又は下面2bに塗工されたホットメルトの塗膜3は、パネル2の角部2cにおいて塗膜の重なり部分3bを生じる。塗膜の重なり部分3bは、塗膜を不均一にし、また、ホットメルトの余分な消費につながる。以下に説明する実施例4の多面塗工装置は、塗膜の重なり部分3bの発生を防止する。
【0048】
実施例4の多面塗工装置は、塗工ノズル及び内容積制御弁を除き実施例1の多面塗工装置1の構成と同様の構成を有しているので、同様の構成に付いては、同様の参照符号を付して説明を省略する。図51は、実施例4の三面塗工ノズル410の分解図である。三面塗工ノズル410は、ノズル本体411と、分配板412と、シム板413と、取付板415とからなる。実施例4の取付板415は、実施例1の遮蔽板の作用を兼用している。しかし、シム板413と取付板415との間に、遮蔽板を設けてもよい。また、実施例2と同様に、分配板412とシム板413との間に分散板を設けてもよい。
【0049】
(ノズル本体)
図51に示すように、ノズル本体411には、ホットメルトが供給される入口開口411aが設けられている。図52及び図53は、それぞれ、ノズル本体411の正面図及び側面図である。ノズル本体411には、太陽電池パネル2を通すための切り取り部411rが設けられている。ノズル本体411には、入口開口411aに連通するホットメルト通路(液体通路)411bが設けられている。また、ノズル本体411には、ホットメルト通路411bと交差し、ホットメルト通路411bと結合部411hで連通するシリンダー部411cが設けられている。シリンダー部411cは、ホットメルト通路411bに関して切り取り部411rと反対の側に設けられている。分配板412が取り付けられるノズル本体411の取付面411eには、ホットメルトの第一出口開口411fと第二出口開口411kが設けられている。第一出口開口411fの中心と第二出口開口411kの中心とは、距離D3だけ離れている。第一出口開口411fの中心と切り取り部411rの側辺とは、距離D4だけ離れている。第一出口開口411fは、ホットメルト通路(液体通路)411gを介して結合部411hに連通している。第二出口開口411kは、ホットメルト通路(第二液体通路)411mを介してシリンダー部411cに連通している。
【0050】
(分配板)
図54は、分配板412の正面図である。分配板412は、太陽電池パネル2を通すための切り取り部412rが設けられている。切り取り部412rは、幅W2及び長さL2を有する。分配板412には、切り取り部412rの周りに沿ってコの字形状の第二溝穴412a(412a1,412a2,412a3)が設けられている。第二溝穴412aは、図54に示すように縦溝穴412a1と、縦溝穴412a1の一端部から切り取り部412rの上辺に沿って水平に延在する上横溝穴412a2と、縦溝穴412a1の他端部から切り取り部412rの下辺に沿って水平に延在する下横溝穴412a3とからなる。第二溝穴412a(412a1,412a2,412a3)は、幅W3を有する。切り取り部412rの上辺と上横溝穴412a2とは、距離D1だけ隔たっている。同様に、切り取り部412rの下辺と下横溝穴412a3とは、距離D1だけ隔たっている。切り取り部412rの側辺と縦溝穴412a1とは、距離D5だけ隔たっている。上横溝穴412a2の端部及び下横溝穴412a3の端部と分配板412の左端部412cとは、距離D2だけ隔たっている。切り取り部412rの側辺と縦溝穴412a1との間に、第一縦溝穴(第一溝穴)412dが設けられている。第一縦溝穴412dは、幅W3を有する直線形状の溝穴である。第一縦溝穴412dの長さは、切り取り部412rの幅W2と等しい。しかし、これに限定されるものではない。切り取り部412rの側辺と第一縦溝穴412dとは、距離D1だけ隔たっている。第一縦溝穴412dの中心と縦溝穴412a1の中心とは、距離D3だけ離れている。第一縦溝穴412dの中心と切り取り部412rの側辺とは、距離D4だけ離れている。したがって、ノズル本体411に分配板412を取り付けたときに、第一縦溝穴412dの中心と第一出口開口411fの中心とが一致し、縦溝穴412a1の中心と第二出口開口411kの中心とが一致する。第一縦溝穴412dは、第一出口開口411fに連通し、縦溝穴412a1は、第二出口開口411kに連通する。
【0051】
(シム板)
図55は、シム板413の正面図である。シム板413は、太陽電池パネル2を通すための第一切り取り部413r1が設けられている。第一切り取り部413r1は、幅W2と長さL2を有する。しかし、後述する他の切り取り部と連通しているため、幅W2の部分は、シム板413の左端部413eから距離D2だけである。距離D2は、上横溝穴412a2の端部及び下横溝穴412a3の端部と分配板412の左端部412cとの距離D2と等しい。しかし、これに限定されるものではない。シム板413には、第二切り取り部413r2、第三切り取り部413r3、及び第四切り取り部413r4が設けられている。第二切り取り部413r2、第三切り取り部413r3、及び第四切り取り部413r4は、それぞれ、第一切り取り部413r1に連通している。第二切り取り部413r2は、幅W2及び長さL8を有する。幅W2は、第一切り取り部413r1の幅W2と等しい。また、長さL8は、分配板412の切り取り部412rの側辺と第一縦溝穴412dとの距離D1に第一縦溝穴412dの幅W3を加えたものに等しい。しかし、これに限定されるものではない。第二切り取り部413r2は、分配板412及び取付板415と協働して太陽電池パネル2の端面2eへホットメルトを吐出するための第一スロット部413a1を形成する。第三切り取り部413r3は、幅W8及び長さL8を有する。幅W8は、第一切り取り部413r1の幅L2から距離D2を引いたものと等しい。また、長さL8は、分配板412の切り取り部412rの上辺と上横溝穴412a2との距離D1に上横溝穴412a2の幅W3を加えたものに等しい。しかし、これに限定されるものではない。第三切り取り部413r3は、分配板412及び取付板415と協働して太陽電池パネル2の上面2tへホットメルトを吐出するための第二スロット部413a2を形成する。同様に、第四切り取り部413r4は、幅W8及び長さL8を有する。幅W8は、第一切り取り部413r1の幅L2から距離D2を引いたものと等しい。また、長さL8は、分配板412の切り取り部412rの下辺と下横溝穴412a3との距離D1に下横溝穴412a3の幅W3を加えたものに等しい。しかし、これに限定されるものではない。第四切り取り部413r4は、分配板412及び取付板415と協働して太陽電池パネル2の下面2bへホットメルトを吐出するための第三スロット部413a3を形成する。
第二切り取り部413r2と第三切り取り部413r3との間、及び第二切り取り部413r2と第四切り取り部413r4との間には、一辺の長さがL8の正方形の遮蔽部413sが形成されている。
分配板412にシム板413を隣接して取り付けたときに、第二切り取り部413r2、第三切り取り部413r3、及び第四切り取り部413r4は、それぞれ、分配板412の第一縦溝穴412d、上横溝穴412a2、及び下横溝穴412a3と直接連通する。分配板412の縦溝穴412a1は、シム板413の第一切り取り部413r1、第二切り取り部413r2、第三切り取り部413r3、及び第四切り取り部413r4のいずれとも直接連通しない。
【0052】
(内容積制御弁)
次に、ノズル本体411に取り付けられる内容積制御弁420について説明する。図56は、実施例4の内容積制御弁420の動作を示す説明図である。実施例1の内容積制御弁20は、プランジャー23の先端部の突き出し位置と退避位置との2点位置制御であった。これに対して、実施例4の内容積制御弁420は、第一プランジャー423の3点位置制御をすることができる。内容積制御弁420には、第一プランジャー423が往復移動可能に設けられている。第一プランジャー423の一端部は、ノズル本体411のシリンダー部411cに挿入される。第一プランジャーの他端部には、第一ピストン424が固定されている。第一ピストン424は、内容積制御弁420の第一ピストン室425内で往復動可能に設けられている。第一ピストン424は、第一ピストン室425を第一室425aと第二室425bとに分割している。内容積制御弁420には、第二プランジャー426がプランジャー室427内で往復移動可能に設けられている。第二プランジャー426の一端部は、第一ピストン424に当接可能である。第二プランジャー426の他端部には、第二ピストン428が固定されている。第二ピストン428は、内容積制御弁420の第二ピストン室429内で往復動可能に設けられている。第二ピストン428は、第二ピストン室429を第一室429aと第二室429bとに分割している。第一ピストン室425の第二室425bは、プランジャー室427と連通している。第一ピストン室425の第二室425bとプランジャー室427との間には、第一ピストン428が当接する肩部430が形成されている。内容積制御弁420には、第一出入口431、第二出入口432、及び第三出入口433が設けられている。第一出入口431は、第一ピストン室425の第一室425aに連通して、第一室425aへの空気の注入及び排気を行う。第二出入口は、プランジャー室427に連通している。プランジャー室427は、第一ピストン室425の第二室425bに連通しているので、第二出入口432は、第一ピストン室425の第二室425bへの空気の注入及び排気を行う。第三出入口433は、第二ピストン室429の第二室429bに連通して、第二室429bへの空気の注入及び排気を行う。第二ピストン室429の第一室429aは、常時排気口434に連通して大気に開放されている。
【0053】
図56(a)は、第二出入口432から第一ピストン室425の第二室425bへ空気を注入し、第一出入口431から第一ピストン室425の第一室425aの空気を排気し、第三出入口433から第二ピストン室429の第二室429bの空気を排気した状態を示す。第一ピストン室425の第一室425aと第二室425bとの差圧により、第一ピストン424は第一室425aを収縮し第二室425bを膨張させるように移動する。第一ピストン424の移動により第一プランジャー423の先端部は、突出して、第一位置P1にある。
【0054】
図56(b)は、第三出入口433から第二ピストン室429の第二室429bへ空気を注入し、第一出入口431から第一ピストン室425の第一室425aの空気を排気し、第二出入口432から第一ピストン室425の第二室425bの空気を排気した状態を示す。第二ピストン室429の第一室429aと第二室429bとの差圧により、第二ピストン428は第一室429aを収縮し第二室429bを膨張させるように移動する。第二ピストン428の移動により第二プランジャー426は、突出する。第一ピストン室425の第一室425aと第二室425bは、排気されているので第一ピストン424には、差圧がかからない。しかし、ノズル本体411のシリンダー部411cに挿入された第一プランジャー423にはホットメルトの圧力がかかっているので、第一プランジャー423は第一ピストン424が第二プランジャー426に当接するまで移動する。第一プランジャー423の先端部は、第一位置P1から距離D6だけ退避して、第二位置P2にある。第二位置P2は、第二出口開口411kとシリンダー部411cとを連通するホットメルト通路411mがシリンダー部411cと結合する第二結合部の近傍である。
【0055】
図56(c)は、第一出入口431から第一ピストン室425の第一室425aへ空気を注入し、第二出入口432から第一ピストン室425の第二室425bの空気を排気し、第三出入口433から第二ピストン室429の第二室429bの空気を排気した状態を示す。第一ピストン室425の第一室425aと第二室425bとの差圧により、第一ピストン424は第一室425aを膨張し第二室425bを収縮させるように移動する。第一ピストン424の移動に伴い、第一ピストン424に当接している第二プランジャー426も移動する。第一プランジャー423の先端部は、第二位置P2から距離D7だけ退避して、第三位置P3にある。このとき、第一ピストン424は、肩部430に当接している。
【0056】
図57は、ノズル本体411の第一出口開口411f及び第二出口開口411kと第一プランジャー423との位置関係を示す図である。
図57(a)は、第一プランジャー423が突出して第一位置P1にある状態を示す図である。第一プランジャー423が第一位置P1にあるとき、第一プランジャー423は、第二出口開口411kを遮断して、第一出口開口411fのみへのホットメルトの流れを許容する。ホットメルトは、第一出口開口411fからのみ吐出される。第一出口開口411fは、分配板412の第一縦溝穴412dを介して、シム板413の第二切り取り部413r2に連通している。したがって、ホットメルトを第一スロット部413a1から太陽電池パネル2の端面2eのみへ塗工することができる。すなわち、一面塗工を行うことができる。
【0057】
図57(b)は、第一プランジャー423が第一位置P1から距離D6だけ退避して第二位置P2にある状態を示す図である。距離D6は、第一出口開口411fの中心と第二出口開口411kの中心との距離にほぼ等しい。しかし、これに限定されるものではない。距離D6は、第一出口開口411fと第二出口開口411kとの距離以上であるとよい。ホットメルトは、第一出口開口411f及び第二出口開口411kから吐出される。第二出口開口411kは、分配板412の縦溝穴412a1、上横溝穴412a2、及び下横溝穴412a3を介して、シム板413の第三切り取り部413r3及び第四切り取り部413r4に連通している。したがって、第二出口開口411kからのホットメルトは、第二スロット部413a2及び第三スロット部413a3から太陽電池パネル2の上面2t及び下面2bへ塗工することができる。第一出口開口411fからのホットメルトは、端面2eへ塗工されるので、三面塗工を行うことができる。
【0058】
図57(c)は、第一プランジャー423が第二位置P2から距離D7だけ退避して第三位置P3にある状態を示す図である。ノズル本体411に取り付けられたホットメルト供給弁30の弁棒35が弁座36に当接して吐出口34が閉じられ、ホットメルトの吐出が阻止されている。この状態で、第一プランジャー423が第二位置P2から第三位置P3へ退避される。第一プランジャー423は、ホットメルトをシリンダー部411cへ吸込むこと(サックバック機能)により、ホットメルトの塗工停止時の切れを改善する。距離D7は、ホットメルト通路の容積を適切な量だけ拡げるように設定される。
【0059】
(ホットメルト供給弁と内容積制御弁の動作)
図58は、実施例4の内容積制御弁420の第一プランジャー423とホットメルト供給弁30との動作を示す説明図である。図58は、説明のためにホットメルト供給弁30とノズル本体411を模式的に描いた図である。
【0060】
図58(a)は、ホットメルトの塗工開始前及び塗工終了後の状態を示す図である。ホットメルト供給弁30の弁棒35の一端部が弁座36に当接して吐出口34を閉じている。従って、ホットメルト室32内のホットメルトが吐出口34から吐出されることを阻止している。内容積制御弁420の第一プランジャー423は、一番引っ込んだ状態の第三位置P3にある。
【0061】
図58(b)は、ホットメルトの三面塗工時の状態を示す図である。ホットメルト供給弁30の弁棒35は、弁座36から離間して吐出口34を開く。同時に、第一プランジャー423は、第二位置P2まで突出して、シリンダー部411c内の容積を小さくする。ホットメルト室32内のホットメルトは、吐出口34からノズル本体411の入口開口411aへ吐出される。ホットメルトは、ホットメルト通路411b、結合部411h、及びホットメルト通路411gを通って、第一出口開口411fから吐出される。同様に、ホットメルトは、通路411b、結合部411h、シリンダー部411c、及びホットメルト通路411mを通って、第二出口開口411kから吐出される。したがって、ホットメルトは、第一、第二、及び第三スロット部413a1、413a2、及び413a3から太陽電池パネル2の端面2e、上面2t、及び下面2bへそれぞれ塗工される。
図58(a)に示す塗工開始前の状態から三面塗工を開始するときは、弁棒35を弁座36から離間して吐出口34を開くと同時に、第一プランジャー423を第三位置P3から第二位置P2まで突出する。
図58(b)に示す三面塗工の状態から塗工を終了するときは、弁棒35を弁座36に当接して吐出口34を閉じると同時に、第一プランジャー423を第三位置P3まで退避してシリンダー部411cの容積を大きくしてホットメルト通路内のホットメルトをシリンダー部411c内へ吸込む。これによって、塗工終了時のキレを良くする。
【0062】
図58(c)は、ホットメルトの一面塗工時の状態を示す図である。ホットメルト供給弁30の弁棒35は、弁座36から離間して吐出口34を開く。同時に、第一プランジャー423は、第一位置P1まで突出して、シリンダー部411c内の容積を小さくする。ホットメルト室32内のホットメルトは、吐出口34からノズル本体411の入口開口411aへ吐出される。ホットメルトは、ホットメルト通路411b、結合部411h、及びホットメルト通路411gを通って、第一出口開口411fから吐出される。しかし、ホットメルト通路411mは、第一プランジャー423により閉じられているので、第二出口開口411kからホットメルトは吐出されない。
図58(a)に示す塗工開始前の状態から一面塗工を開始するときは、弁棒35を弁座36から離間して吐出口34を開くと同時に、第一プランジャー423を第三位置P3から第一位置P1まで突出する。
図58(b)に示す三面塗工の状態から一面塗工を開始するときは、第一プランジャー423を第二位置P2から第一位置P1まで突出する。
図58(c)に示す一面塗工の状態から三面塗工を開始するときは、第一プランジャー423を第一位置P1から第二位置P2まで退避させる。
図58(c)に示す一面塗工の状態から塗工を終了するときは、弁棒35を弁座36に当接して吐出口34を閉じると同時に、第一プランジャー423を第三位置P3まで退避してシリンダー部411cの容積を大きくしてホットメルト通路内のホットメルトをシリンダー部411c内へ吸込む。これによって、塗工終了時のキレを良くする。
【0063】
(塗工範囲可変機能付三面塗工装置の動作)
実施例4の多面塗工装置は、塗工範囲可変機能付三面塗工装置である。以下に、塗工範囲可変機能付三面塗工装置401の動作を説明する。
【0064】
(塗工前及び塗工後、すなわち塗工停止状態)
図59は、実施例4の塗工範囲可変機能付三面塗工装置401のホットメルト塗工前及び塗工後、すなわち、塗工停止状態における内容積制御弁420とホットメルト供給弁30とを示す図である。実施例1の三面塗工装置1と同様の構成については、同様の参照符号を付して説明を省略する。
【0065】
ホットメルト塗工停止状態、すなわち、ホットメルト塗工前及び塗工後において、弁空気制御回路60は、空気通路52、スピードコントローラ22、及び第一出入口431を介して、空気を第一ピストン室425の第一室425aへ供給する。一方、第一ピストン室425の第二室425b内の空気は、第二出入口432、スピードコントローラ421、及び空気通路451を介して弁空気制御回路60へ送られ、弁空気制御回路60から大気中へ排気される。第一室425a内の圧力は、第二室425b内の圧力よりも高いので、第一ピストン424は、第一室425aを拡大し第二室425bを収縮するように移動する。第一ピストン424は、第二ピストン428の第二プランジャー426に当接する。第二ピストン室429の第二室429b内の空気は、第三出入口433、スピードコントローラ21、及び空気通路51を介して弁空気制御回路60へ送られ、弁空気制御回路60から大気中へ排気される。したがって、第一ピストン424の移動により、第二ピストン428は、第二ピストン室429の第一室429aを拡大し第二室429bを収縮するように移動する。また、第一ピストン424の移動により、第一プランジャー423は、ノズル本体411のシリンダー部411c内を第三位置P3まで退避する。このとき、第一プランジャー423は、ホットメルト通路411b、411g、411m内にあるホットメルトをシリンダー部411cへ吸込む。
【0066】
なお、絞り弁としてのスピードコントローラ22及び421は、空気の流量を調整して第一ピストン424の移動速度を制御する。スピードコントローラ21は、空気の流量を調整して第二ピストン428の移動速度を制御する。
【0067】
ホットメルト塗工前及び塗工後において、ガン空気制御回路90は、空気通路55及びガン40の空気通路42を介してピストン室38の第一室38aを大気圧に開放する。ばね39の付勢力によりピストン37が押されて、弁棒35の一端部を弁座36に当接し、吐出口34を閉じている。したがって、ホットメルト室32内のホットメルトが吐出口34から吐出されることを阻止する。
【0068】
(三面塗工時)
図60は、実施例4の塗工範囲可変機能付三面塗工装置401の三面塗工時における内容積制御弁420とホットメルト供給弁30とを示す図である。
三面塗工時には、制御装置110は、空気制御信号111により弁空気制御回路60を制御して、空気供給源70からの空気を空気通路51へ供給する。空気は、空気通路51、スピードコントローラ21、及び第三出入口433を介して第二ピストン室429の第二室429bへ供給される。一方、第二ピストン室429の第一室429aは、常時排気口434を介して大気に開放されている。したがって、第一室429aが収縮し第二室429bが膨張して第二ピストン428が移動する。また、弁空気制御回路60は、第一ピストン室425の第一室425a及び第二室425bを大気に開放する。したがって、第二ピストン428の移動により、第二プランジャー426が第一ピストン424を押して、第一プランジャー423は、第二位置P2まで突出する。
【0069】
制御装置110は、空気制御信号112によりガン空気制御回路90を制御して、弁棒35を弁座36から離間し、吐出口34を開く。ホットメルト室32内のホットメルトは、吐出口34からノズル本体411の入口開口411aへ吐出される。ホットメルトは、ホットメルト通路411bを通って、第一出口開口411f及び第二出口開口411kから吐出される。したがって、ホットメルトは、第一スロット部413a1、第二スロット部413a3、及び第三スロット部413a3から太陽電池パネル2の端面2e、上面2t、及び下面2bへそれぞれ塗工される。
【0070】
(一面塗工時)
図61は、実施例4の塗工範囲可変機能付三面塗工装置401の一面塗工時における内容積制御弁420とホットメルト供給弁30とを示す図である。
一面塗工時には、制御装置110は、空気制御信号111により弁空気制御回路60を制御して、空気供給源70からの空気を空気通路41へ供給する。空気は、空気通路451、スピードコントローラ421、及び第二出入口432を介して第一ピストン室425の第二室425bへ供給される。一方、第一ピストン室425の第一室425aは、弁空気制御回路60により大気に開放されている。したがって、第一室425aが収縮し第二室425bが膨張して第一ピストン424が移動する。第一ピストン424の移動により、第一プランジャー423は、第一位置P1まで突出する。第一プランジャー423は、ノズル本体411の第二出口開口411kへのホットメルト通路411mを塞ぐので、第二出口開口411kからのホットメルトの吐出が阻止される。ホットメルトは、第一出口開口411fのみから吐出される。したがって、ホットメルトは、第一スロット部413a1のみから太陽電池パネル2の端面2eへ塗工される。
【0071】
(塗工方法)
図62〜図64は、ロボットアームに取り付けた一つの塗工範囲可変機能付三面塗工装置(以下、塗工装置という。)401により太陽電池パネル2を塗工する方法を示す説明図である。
【0072】
図62に示す塗工方法において、塗工装置401は、パネル2の角部2c1において、図59に示す塗工停止状態から図60に示す三面塗工状態になる。塗工装置401は、ロボットアームにより矢印A1で示す方向に移動させられながら角部2c1から角部2c2までパネル2の上面、端面、下面の三面をホットメルト403aで塗工する。角部2c2で塗工装置401を、一旦、塗工停止状態にする。次に、角部2c2から角部2c3までホットメルト403bで塗工するときに、角部2c2の上面と下面に重複してホットメルトを塗工しないように、角部2c2の端面2eを距離W8だけ一面塗工する。距離W8は、上面及び下面に塗工されたホットメルトの塗膜の幅であり、シム板413の第三及び第四切り取り部413r3、413r4の幅W8である。角部2c2において、塗工装置401は、塗工停止状態から図61に示す一面塗工状態になる。塗工装置401は、矢印A2で示す方向に移動させられながら、パネル2の端面2eを距離W8だけ一面塗工する。続いて、塗工装置401は、三面塗工状態になり、角部2c3まで三面塗工する。角部2c3で塗工装置401を、一旦、塗工停止状態にする。同様にして、角部2c3から角部2c4まで、矢印A3で示す方向に移動させられながら、塗工装置401は、ホットメルト403cで一面塗工と三面塗工をする。角部2c4から角部2c1までの塗工において、塗工装置401は、矢印A4で示す方向に移動させられながら、角部2c4から距離W8だけホットメルト403dで一面塗工を行い、その後、三面塗工を行い、角部2c1の手前で一面塗工に切り替わり、距離W8だけ角部2c1まで一面塗工をする。塗工装置401を使用することにより、角部2c1、2c2、2c3、及び2c4において、ホットメルトが上面及び下面に重複して塗工されることを防止できる。
【0073】
図63及び図64は、別の塗工方法を示す。
図63に示す塗工方法において、塗工装置401は、パネル2の角部2c1において、図59に示す塗工停止状態から図61に示す一面塗工状態になる。塗工装置401は、ロボットアームにより矢印A1で示す方向に移動させられながら角部2c1から距離W8だけパネル2の端面2eをホットメルト403aで塗工する。これは、角部2c1の上面及び下面を重複して塗工しないようにするためである。角部2c1から距離W8をすぎると、塗工装置401は、一面塗工状態から図60に示す三面塗工状態になり、パネル2の上面、端面、及び下面をホットメルト403aで塗工する。角部2c2で塗工装置401を、一旦、塗工停止状態にする。次に、角部2c2から角部2c3までホットメルト403bで塗工するときに、角部2c2の上面と下面に重複してホットメルトを塗工しないように、角部2c2の端面2eを距離W8だけホットメルト403bで一面塗工する。距離W8をすぎると、塗工装置401は三面塗工状態になる。同様にして、角部2c3から角部2c4までをホットメルト403cで塗工するときに、角部2c3から距離W8までは一面塗工を行い、残りは三面塗工を行う。角部2c4から角部2c1までをホットメルト403dで塗工するときも、同様にして、角部2c4から距離W8まで一面塗工を行い、残りは三面塗工を行う。このようにして、パネルの角部2c1、2c2、2c3、及び2c4において、ホットメルトがパネルの上面及び下面に重複して塗工されることを防止できる。
【0074】
図64に示す塗工方法において、塗工装置401は、パネル2の角部2c1において、図59に示す塗工停止状態から図60に示す三面塗工状態になる。塗工装置401は、ロボットアームにより矢印A1で示す方向に移動させられながら角部2c1から角部2c2の手前の距離W8までパネル2の上面、端面、下面の三面をホットメルト403aで塗工する。角部2c2の手前の距離W8で、塗工装置401は、三面塗工状態から図61に示す一面塗工状態になり、角部2c2までパネル2の端部2eのみをホットメルト403aで塗工する。角部2c2で塗工装置401を、一旦、塗工停止状態にする。次に、塗工装置401は、同様にして、矢印A2で示す方向に移動させられながら角部2c2から角部2c3の手前の距離W8まで、ホットメルト403bで三面塗工を行い、角部2c3までの距離W8の間をホットメルト403bで一面塗工を行う。同様にして、塗工装置401は、矢印A3で示す方向に移動させられながら角部2c3から角部2c4の手前の距離W8まで、ホットメルト403cで三面塗工を行い、角部2c4までの距離W8の間をホットメルト403cで一面塗工を行う。同様にして、塗工装置401は、矢印A4で示す方向に移動させられながら角部2c4から角部2c1の手前の距離W8まで、ホットメルト403dで三面塗工を行い、角部2c4までの距離W8の間をホットメルト403dで一面塗工を行う。このようにして、パネルの角部2c1、2c2、2c3、及び2c4において、ホットメルトがパネルの上面及び下面に重複して塗工されることを防止できる。
【0075】
図65は、二つの塗工範囲可変機能付三面塗工装置(以下、塗工装置という。)401A及び401Bを使用した塗工方法を示す説明図である。太陽電池パネル2の対向する両縁部に、二つの塗工装置401A及び401Bにより同時にホットメルト403を塗工する。これによって、生産性を高めることができる。二つの塗工装置401A及び401Bのそれぞれは、ホットメルト通路(ホットメルトホース)54によりホットメルト供給源80に接続されている。塗工装置401A及び401Bの内容積制御弁及びホットメルト供給弁には、弁空気制御回路60及びガン空気制御回路90がそれぞれ接続されている。弁空気制御回路60及びガン空気制御回路90は、それぞれ空気通路53及び56により空気供給源70に接続されている。
図65(a)に示すように、太陽電池パネル2の対向する両縁部を二つの塗工装置401A及び401Bのそれぞれに通過させる。太陽電池パネル2を矢印C1で示す方向(第一方向)へ移動させながら、二つの塗工装置401A及び401Bからホットメルト403をパネル2の対向する両縁部へ塗工する。
パネル2の二つの端部への塗工が終了すると、パネル2を図65(b)に示すように矢印C2で示す時計方向へ90度回転させる。このとき、パネル2が回転するための空間を確保するために、塗工装置401Bを矢印B1で示す方向へ移動して退避させてもよい。
次に、図65(c)に示すように、パネル2を矢印C3で示す方向(第二方向)へ移動させる。矢印C3で示す方向は、矢印C1で示す方向と反対である。パネル2を矢印C3で示す方向へ移動させながら二つの塗工装置401A及び401Bからホットメルト403をパネル2の別の対向する両縁部へ塗工する。
このように、2回の塗工工程と、1回のパネル回転工程とでパネルへの塗工が終了するので、生産性を向上することができる。
なお、パネル2の別の対向する両縁部にホットメルトを塗工する工程は、パネルの一方の角部からパネルの面に塗工されたホットメルトの幅W8だけ離れた第一位置まで、パネルの端面のみにホットメルトを一面塗工し、続いて、第一位置とパネルの他方の角部から幅W8だけ手前の第二位置との間で三面塗工し、続いて、第二位置からパネルの他方の角部まで、パネルの端面のみにホットメルトを一面塗工する。
【0076】
図66は、四つの塗工範囲可変機能付三面塗工装置(以下、塗工装置という。)401A、401B、401C、及び401Dを使用した塗工方法を示す説明図である。太陽電池パネル2の対向する両縁部に、二つの塗工装置401A及び401Bにより同時にホットメルト403を塗工する。次に、パネル2の別の対向する両縁部に、二つの塗工装置401C及び401Dにより同時にホットメルト403を塗工する。これによって、生産性を高めることができる。
四つの塗工装置401A、401B、401C、及び401Dのそれぞれは、ホットメルト通路(ホットメルトホース)54によりホットメルト供給源80に接続されている。塗工装置401A、401B、401C、及び401Dの内容積制御弁及びホットメルト供給弁には、弁空気制御回路60及びガン空気制御回路90がそれぞれ接続されている。弁空気制御回路60及びガン空気制御回路90は、それぞれ空気通路53及び56により空気供給源70に接続されている。
図66に示すように、太陽電池パネル2を矢印C4で示す方向(第一方向)へ第一経路に沿って移動させながら、パネル2の対向する両縁部を二つの塗工装置401A及び401B(第一の一対の塗工装置)のそれぞれに通過させ、二つの塗工装置401A及び401Bからホットメルト403をパネル2の対向する両縁部へ塗工する。パネル2の二つの端部への塗工が終了すると、パネル2を矢印C4で示す方向に直交する矢印C5で示す方向(第二方向)へ第二経路に沿って移動する。第二経路は、第一経路と直交している。パネル2を矢印C5で示す方向へ移動させながら、パネル2の別の対向する両縁部に二つの塗工装置401C及び401D(第二の一対の塗工装置)からホットメルト403を塗工する。
このように、パネルの移動方向を変えるだけで、2回の塗工工程によりパネルへの塗工が終了するので、生産性を向上することができる。
なお、パネル2の別の対向する両縁部にホットメルトを塗工する工程は、パネルの一方の角部からパネルの面に塗工されたホットメルトの幅W8だけ離れた第一位置まで、パネルの端面のみにホットメルトを一面塗工し、続いて、第一位置とパネルの他方の角部から幅W8だけ手前の第二位置との間で三面塗工し、続いて、第二位置からパネルの他方の角部まで、パネルの端面のみにホットメルトを一面塗工する。
【実施例5】
【0077】
実施例4においては、三面塗工ノズル410を例に挙げて、3点位置制御可能な内容積制御弁420を使用した塗工装置を説明した。しかし、実施例3に示した二面塗工ノズルに3点位置制御可能な内容積制御弁420を使用してもよい。この場合も、パネルの端面への一面塗工と、パネルの上面及び端面への二面塗工とを切り替えることができる。これによって、パネルの角部におけるホットメルトの重複した塗工を防止することができる。
また、3点位置制御可能な内容積制御弁420に、二以上の第二プランジャーを直列的に配置することにより、4点又は5点以上の位置制御可能な内容積制御弁とすることができる。この場合に、ノズル本体、分配板、及びシム板を適切に構成すれば、多数のスロット部からのホットメルトの吐出を選択的に制御することが可能になる。
【0078】
本発明の実施例によれば、太陽電池パネルのような板材の端面及び端面に隣接する上側周面及び/又は裏側周面などの2つ又は3つの面上に接着剤やシーラントなどの液体を塗工することができる多面塗工ノズルを提供することができる。
【0079】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その特徴事項から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0080】
2…太陽電池パネル(基板)、2b…下面、2e…端面、2t…上面、10,210,410…三面塗工ノズル、11,411…ノズル本体、11a,411a…入口開口、11f…出口開口、12,412…分配板、12a…コの字形状の溝穴、13,413…シム板、13a…第二切り取り部、13a1…第一スロット部、13a2…第二スロット部、13a3…第三スロット部、14…遮蔽板、30…ホットメルト供給弁(液体供給弁)、411f…第一出口開口、411k…第二出口開口、412a…コの字形状の第二溝穴、412d…第一縦溝穴、413r1…第一切り取り部、413a1…第一スロット部、413a2…第二スロット部、413a3…第三スロット部、413r2…第二切り取り部、413r3…第三切り取り部、413r4…第四切り取り部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給弁から供給される液体を受け入れる入口開口と、液体を吐出する出口開口とを有するノズル本体と、
前記ノズル本体に隣接して配置され、前記出口開口から吐出される液体を分配する溝穴を有する分配板と、
前記分配板に隣接して配置され、前記分配板の前記溝穴と連通する切り取り部が設けられたシム板と、
前記シム板に隣接して配置され、前記シム板の前記切り取り部を覆う遮蔽板とを有し、
基板の端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を吐出するためのスロット部は、前記分配板と前記遮蔽板との間で前記シム板の前記切り取り部により形成されていることを特徴とする塗工ノズル。
【請求項2】
前記遮蔽板は、前記基板と前記塗工ノズルとの相対移動方向と平行な平面からなる平行部と、前記平行部に接続し前記基板から離れる方向へ傾斜した傾斜部とを有することを特徴とする請求項1に記載の塗工ノズル。
【請求項3】
さらに、前記遮蔽板に隣接して配置され、前記ノズル本体、前記分配板、前記シム板、及び前記遮蔽板をねじにより固定するための取付板を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工ノズル。
【請求項4】
前記遮蔽板は、前記ノズル本体、前記分配板、及び前記シム板をねじにより固定するための取付板として機能することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工ノズル。
【請求項5】
さらに、前記分配板と前記シム板との間に配置され、前記分配板の溝穴と前記シム板の切り取り部とを連通する複数の貫通孔が設けられた分散板を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項6】
前記分配板の前記溝穴は、コの字形状に形成されており、前記スロット部は、前記基板の前記端面、前記端面に隣接する前記基板の上面、及び前記端面に隣接する前記基板の下面に液体を吐出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項7】
前記分配板の前記溝穴は、L字形状に形成されており、前記スロット部は、前記基板の前記端面及び前記端面に隣接する前記基板の前記面に液体を吐出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項8】
前記ノズル本体は、前記入口開口と前記出口開口とを連通する液体通路と、前記液体通路と結合部で連通するシリンダー部とを有し、
前記塗工ノズルは、さらに、前記ノズル本体の前記シリンダー部内を往復動するプランジャーが設けられた内容積制御弁を有し、
前記プランジャーの先端部は、前記シリンダー部内の容積を小さくする前記結合部の近傍の突き出し位置と、前記シリンダー部内の容積を大きくする前記結合部から離れた退避位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項9】
前記ノズル本体は、第二出口開口を有することを特徴とする請求項1乃至5に記載の塗工ノズル。
【請求項10】
前記ノズル本体の前記出口開口と連通する前記分配板の前記溝穴は、直線形状に形成されており、
前記分配板は、さらに、前記ノズル本体の前記第二出口開口と連通するコの字形状の第二溝穴が設けられており、
前記スロット部は、前記基板の前記端面、前記端面に隣接する前記基板の上面、及び前記端面に隣接する前記基板の下面に液体を吐出することを特徴とする請求項9に記載の塗工ノズル。
【請求項11】
前記ノズル本体の前記出口開口と連通する前記分配板の前記溝穴は、直線形状に形成されており、
前記分配板は、さらに、前記ノズル本体の前記第二出口開口と連通するL字形状の第二溝穴が設けられており、
前記スロット部は、前記基板の前記端面及び前記端面に隣接する前記基板の前記面に液体を吐出することを特徴とする請求項9に記載の塗工ノズル。
【請求項12】
前記ノズル本体は、前記入口開口と前記出口開口とを連通する液体通路と、前記液体通路と結合部で連通するシリンダー部と、前記第二出口開口と前記シリンダー部とを連通する第二液体通路とを有し、
前記塗工ノズルは、さらに、前記ノズル本体の前記シリンダー部内を往復動するプランジャーが設けられた内容積制御弁を有し、
前記プランジャーの先端部は、前記第二出口開口を遮断して前記出口開口のみへの液体の流れを許容する前記結合部の近傍の第一位置と、前記出口開口及び前記第二出口開口への液体の流れを許容する前記第二液体通路と前記シリンダー部との第二結合部の近傍の第二位置と、前記シリンダー部内の容積を大きくする前記第二結合部から退避した第三位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の塗工ノズルを基板の縁部に沿って移動させながら、前記基板の端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工することを特徴とする塗工方法。
【請求項14】
請求項12に記載の塗工ノズルを基板の縁部に沿って移動させながら、前記基板の端面と、前記端面及び前記端面に隣接する前記基板の面とを、選択して液体を塗工することを特徴とする塗工方法。
【請求項15】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の二つの塗工ノズルを対向して配置し、前記二つの塗工ノズルの間に基板を第一方向に通過させながら、前記基板の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程と、
前記基板を90度回転させる工程と、
前記二つの塗工ノズルの間に前記基板を前記第一方向とは反対の第二方向に通過させながら、前記基板の別の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程とを有することを特徴とする塗工方法。
【請求項16】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の二つの塗工ノズルを第一の対の塗工ノズルとして第一の経路を挟んで対向して配置し、且つ、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の二つの塗工ノズルを第二の対の塗工ノズルとして第一の経路に直交する第二の経路を挟んで対向して配置し、
基板を前記第一の経路に沿って移動させて前記第一の対の塗工ノズルの間を通過させながら、前記基板の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程と、
前記基板を前記第二の経路に沿って移動させて前記第二の対の塗工ノズルの間を通過させながら、前記基板の別の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程とを有することを特徴とする塗工方法。
【請求項17】
前記基板の別の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程は、
前記基板の一方の角部から前記基板の前記面に塗工された液体の幅だけ離れた第一位置まで、前記端面のみに液体を塗工する工程と、
前記第一位置と、前記基板の他方の角部から前記幅だけ手前の第二位置との間で、前記端面及び前記端面に隣接する前記基板の前記面に液体を塗工する工程と、
前記第二位置から前記基板の前記他方の角部まで、前記端面のみに液体を塗工する工程とを有することを特徴とする請求項15又は16に記載の塗工方法。
【請求項18】
液体供給弁から供給される液体を受け入れる一つの入口開口と、液体を吐出する複数の出口開口と、前記複数の出口開口と前記一つの入口開口との間に設けられたシリンダー部とを有する塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁であって、
前記シリンダー部内を往復動して前記シリンダー部内の複数の位置で停止することができる第一プランジャーと、
前記第一プランジャーに固定された第一ピストンと、
前記第一プランジャーを前記複数の位置で停止させるために前記第一ピストンに作用する一又は二以上の第二プランジャー及び第二ピストンとを有し、
前記液体が吐出される出口開口の数を変更するために、前記複数の位置から前記第一プランジャーが停止する位置を選択することを特徴とする内容積制御弁。
【請求項1】
液体供給弁から供給される液体を受け入れる入口開口と、液体を吐出する出口開口とを有するノズル本体と、
前記ノズル本体に隣接して配置され、前記出口開口から吐出される液体を分配する溝穴を有する分配板と、
前記分配板に隣接して配置され、前記分配板の前記溝穴と連通する切り取り部が設けられたシム板と、
前記シム板に隣接して配置され、前記シム板の前記切り取り部を覆う遮蔽板とを有し、
基板の端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を吐出するためのスロット部は、前記分配板と前記遮蔽板との間で前記シム板の前記切り取り部により形成されていることを特徴とする塗工ノズル。
【請求項2】
前記遮蔽板は、前記基板と前記塗工ノズルとの相対移動方向と平行な平面からなる平行部と、前記平行部に接続し前記基板から離れる方向へ傾斜した傾斜部とを有することを特徴とする請求項1に記載の塗工ノズル。
【請求項3】
さらに、前記遮蔽板に隣接して配置され、前記ノズル本体、前記分配板、前記シム板、及び前記遮蔽板をねじにより固定するための取付板を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工ノズル。
【請求項4】
前記遮蔽板は、前記ノズル本体、前記分配板、及び前記シム板をねじにより固定するための取付板として機能することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工ノズル。
【請求項5】
さらに、前記分配板と前記シム板との間に配置され、前記分配板の溝穴と前記シム板の切り取り部とを連通する複数の貫通孔が設けられた分散板を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項6】
前記分配板の前記溝穴は、コの字形状に形成されており、前記スロット部は、前記基板の前記端面、前記端面に隣接する前記基板の上面、及び前記端面に隣接する前記基板の下面に液体を吐出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項7】
前記分配板の前記溝穴は、L字形状に形成されており、前記スロット部は、前記基板の前記端面及び前記端面に隣接する前記基板の前記面に液体を吐出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項8】
前記ノズル本体は、前記入口開口と前記出口開口とを連通する液体通路と、前記液体通路と結合部で連通するシリンダー部とを有し、
前記塗工ノズルは、さらに、前記ノズル本体の前記シリンダー部内を往復動するプランジャーが設けられた内容積制御弁を有し、
前記プランジャーの先端部は、前記シリンダー部内の容積を小さくする前記結合部の近傍の突き出し位置と、前記シリンダー部内の容積を大きくする前記結合部から離れた退避位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項9】
前記ノズル本体は、第二出口開口を有することを特徴とする請求項1乃至5に記載の塗工ノズル。
【請求項10】
前記ノズル本体の前記出口開口と連通する前記分配板の前記溝穴は、直線形状に形成されており、
前記分配板は、さらに、前記ノズル本体の前記第二出口開口と連通するコの字形状の第二溝穴が設けられており、
前記スロット部は、前記基板の前記端面、前記端面に隣接する前記基板の上面、及び前記端面に隣接する前記基板の下面に液体を吐出することを特徴とする請求項9に記載の塗工ノズル。
【請求項11】
前記ノズル本体の前記出口開口と連通する前記分配板の前記溝穴は、直線形状に形成されており、
前記分配板は、さらに、前記ノズル本体の前記第二出口開口と連通するL字形状の第二溝穴が設けられており、
前記スロット部は、前記基板の前記端面及び前記端面に隣接する前記基板の前記面に液体を吐出することを特徴とする請求項9に記載の塗工ノズル。
【請求項12】
前記ノズル本体は、前記入口開口と前記出口開口とを連通する液体通路と、前記液体通路と結合部で連通するシリンダー部と、前記第二出口開口と前記シリンダー部とを連通する第二液体通路とを有し、
前記塗工ノズルは、さらに、前記ノズル本体の前記シリンダー部内を往復動するプランジャーが設けられた内容積制御弁を有し、
前記プランジャーの先端部は、前記第二出口開口を遮断して前記出口開口のみへの液体の流れを許容する前記結合部の近傍の第一位置と、前記出口開口及び前記第二出口開口への液体の流れを許容する前記第二液体通路と前記シリンダー部との第二結合部の近傍の第二位置と、前記シリンダー部内の容積を大きくする前記第二結合部から退避した第三位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の塗工ノズル。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の塗工ノズルを基板の縁部に沿って移動させながら、前記基板の端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工することを特徴とする塗工方法。
【請求項14】
請求項12に記載の塗工ノズルを基板の縁部に沿って移動させながら、前記基板の端面と、前記端面及び前記端面に隣接する前記基板の面とを、選択して液体を塗工することを特徴とする塗工方法。
【請求項15】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の二つの塗工ノズルを対向して配置し、前記二つの塗工ノズルの間に基板を第一方向に通過させながら、前記基板の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程と、
前記基板を90度回転させる工程と、
前記二つの塗工ノズルの間に前記基板を前記第一方向とは反対の第二方向に通過させながら、前記基板の別の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程とを有することを特徴とする塗工方法。
【請求項16】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の二つの塗工ノズルを第一の対の塗工ノズルとして第一の経路を挟んで対向して配置し、且つ、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の二つの塗工ノズルを第二の対の塗工ノズルとして第一の経路に直交する第二の経路を挟んで対向して配置し、
基板を前記第一の経路に沿って移動させて前記第一の対の塗工ノズルの間を通過させながら、前記基板の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程と、
前記基板を前記第二の経路に沿って移動させて前記第二の対の塗工ノズルの間を通過させながら、前記基板の別の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程とを有することを特徴とする塗工方法。
【請求項17】
前記基板の別の対向する両縁部のそれぞれの端面及び前記端面に隣接する前記基板の面に液体を塗工する工程は、
前記基板の一方の角部から前記基板の前記面に塗工された液体の幅だけ離れた第一位置まで、前記端面のみに液体を塗工する工程と、
前記第一位置と、前記基板の他方の角部から前記幅だけ手前の第二位置との間で、前記端面及び前記端面に隣接する前記基板の前記面に液体を塗工する工程と、
前記第二位置から前記基板の前記他方の角部まで、前記端面のみに液体を塗工する工程とを有することを特徴とする請求項15又は16に記載の塗工方法。
【請求項18】
液体供給弁から供給される液体を受け入れる一つの入口開口と、液体を吐出する複数の出口開口と、前記複数の出口開口と前記一つの入口開口との間に設けられたシリンダー部とを有する塗工ノズルと共に使用される内容積制御弁であって、
前記シリンダー部内を往復動して前記シリンダー部内の複数の位置で停止することができる第一プランジャーと、
前記第一プランジャーに固定された第一ピストンと、
前記第一プランジャーを前記複数の位置で停止させるために前記第一ピストンに作用する一又は二以上の第二プランジャー及び第二ピストンとを有し、
前記液体が吐出される出口開口の数を変更するために、前記複数の位置から前記第一プランジャーが停止する位置を選択することを特徴とする内容積制御弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図23】
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【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【公開番号】特開2011−36733(P2011−36733A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183451(P2009−183451)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
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