説明

塗工装置

【課題】塗工品質の向上を図りつつ、塗工スピードの高速化によって生産性の向上を図った塗工装置を提供する。
【解決手段】塗工ヘッド3からスラリ状の活物質を吐出して、基材である集電体上に間歇的に塗布する装置である。塗工ヘッド3は、ヘッド本体3aに開口形成されたスリット状の吐出口16と、ヘッド本体3aのうち吐出口16の奥部側に形成された弁室17と、この弁室17に回転可能に収容配置されたカムシャフト20とを備えている。カムシャフト20の一回転につき一回の割合で、そのカムロブ22にて吐出口16を直接的に閉じるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上にスラリ状物質を間歇的に塗布する塗工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオン二次電池の製造工程では、基材としての箔状の集電体の上にスラリ状の活物質を塗布して乾燥させることで活物質層を形成することが行われる。活物質の塗布にはコーターと称される塗工装置が用いられ、例えば特許文献1,2に記載された技術では、下面が塗料吐出部としてスリット状に開口した塗布ヘッドの塗料貯留部にシャッター部材を配設し、このシャッター部材の開閉動作をもって上記スリット状の開口部を開閉して、いわゆる自由落下の状態で塗料を間歇的に吐出して基材に塗布するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−10061号公報
【特許文献2】特開平11−197572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載された技術では、シャッター部材の先端部が頻繁な閉動作の際の衝撃によって摩耗することが危惧され、機能上最も重要なシャッター部材の耐久性の面で改善の余地を残しているほか、シャッター部材の塗布幅方向での平行度不足のために塗布膜厚が均一とならず、塗布品質の向上が図れないという問題がある。
【0005】
また、特許文献1,2に記載された技術では、いわゆる自由落下の状態で塗料を間歇的に吐出しているだけでなく、サーボモータの回転を直線運動変換ユニットによってシャッター部材の直線往復運動に変換してスリット状の開口部を開閉しているため、塗布スピードの高速化に限界があり、生産性の向上が望めないという不具合がある。
【0006】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、塗工品質の向上を図りつつ、塗工スピードの高速化によって生産性の向上を図った塗工装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スラリ状物質を塗布すべき基材と近接配置されるとともにスラリ状物質供給源からスラリ状物質が圧送される塗工ヘッドを備え、基材と塗工ヘッドとを相対移動させることで塗工ヘッドからスラリ状物質を吐出して基材上に間歇的に塗布する塗工装置である。
【0008】
この場合において、塗工ヘッドは、ヘッド本体に開口形成されたスリット状の吐出口と、ヘッド本体のうち上記吐出口の奥部側に回転可能に収容配置されたカム部材とを備えているものとし、このカム部材の一回転につき一回の割合で吐出口を直接的または間接的に閉じるようになっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スラリ状物質供給源からスラリ状物質が圧送されてくる塗工ヘッドのヘッド本体内にあるカム部材が回転し、そのカム部材の一回転につき一回の割合で吐出口を直接的または間接的に閉じるため、スラリ状物質の塗布状態がきわめて安定化し、塗布品質の向上が図れる。また、塗布スピードの高速化にも十分に追従できるため、生産性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、リチウムイオン二次電池の製造工程において、箔状の集電体の上にスラリ状の活物質を間歇的に塗布する装置の全体の概略説明図。
【図2】図1の要部の拡大説明図。
【図3】図2における塗工ヘッドの詳細を示す図で、図4のB−B線に沿う断面説明図。
【図4】図2における塗工ヘッドの詳細を示す図で、図3のA−A線に沿う断面説明図。
【図5】図3の要部拡大図。
【図6】図3,4に示した塗工ヘッドの要部分解斜視図。
【図7】塗工ヘッドによる塗工形状と塗工バルブ、リターンバルブおよびカムシャフトのそれぞれの開閉タイミングを示すタイムチャート。
【図8】塗工バルブとリターンバルブおよびカムシャフトのそれぞれの開閉タイミングを同期させるための駆動系の説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態として図5の変形例を示す断面説明図。
【図10】本発明の第3の実施の形態として図5の変形例を示す断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1以下の図面は本発明を実施するためのより具体的な第1の形態を示し、例えばリチウムイオン二次電池の製造工程において、基材としての箔状の集電体の上にスラリ状の活物質を間歇的に塗布して、当該活物質の塗膜をもって正極または負極としての電極を形成する場合の例を示している。そして、特に図1は塗工装置を含むシステム全体の概略構造を示し、図2は上記塗工装置を中心とした図1の要部の詳細を示している。
【0012】
図1のシステムでは、概略的には、送り出しロール部1と巻き取りロール部2、塗工ヘッド3を主要素とする塗工装置4および乾燥部5を備えている。送り出しロール部1から引き出された基材としての集電体Wは、バックアップロール6やガイドローラ7〜9に巻き掛けられるようにして案内される。そして、その巻き掛け状態をもって集電体Wに所定の張力が付与されながら所定速度で走行して、巻き取りロール部2に巻き取られる。
【0013】
塗工装置4の塗工ヘッド3はバックアップロール6による集電体Wの巻掛部位に近接するように配置される。集電体Wがバックアップロール6にバックアップされながら走行する過程で、後述する塗工ヘッド3の吐出口からスラリ状物質としてのスラリ状の活物質が吐出されて、集電体Wに塗布される。集電体Wに塗布された活物質は乾燥部5を通過する過程で乾燥されて活物質層の塗膜として集電体Wに定着し、最終的には集電体Wとともに巻き取りロール部2に巻き取られる。
【0014】
図2は図1の塗工装置4の詳細を示している。塗工装置4は塗工ヘッド3のほか、スラリ状の活物質が貯留されたスラリ状物質供給源としてのスラリタンク10を有しており、塗工ヘッド3にはスラリタンク10内のスラリ状の活物質がポンプ11にて圧送される。スラリタンク10と塗工ヘッド3とを結ぶ供給経路12には、ポンプ11の下流側にメインとなる開閉バルブとしての塗工バルブ13を設けてあるほか、ポンプ11と並列にリターンバルブ14を設けてある。
【0015】
塗工バルブ13とリターンバルブ14は互いに同期して反転動作するようになっていて、塗工バルブ13が開状態であればリターンバルブ14は閉状態となり、逆に塗工バルブ13が閉状態であればリターンバルブ14は開状態となるように設定される。これは、ポンプ11の連続運転中において塗工バルブ13を閉じた際に、代わってリターンバルブ14を開くことでポンプ11から圧送される活物質をスラリタンク10に戻すためである。また、後述するように塗工ヘッド3側の吐出口の開閉も塗工バルブ13の開閉に同期して行われる。なお、ポンプ11からの塗工ヘッド3への活物質の供給は、スラリ状の活物質の特性や塗布条件にもよるが、例えば0.1〜1.0MPa程度の圧力で行われる。
【0016】
そして、集電体Wがバックアップロール6に巻き掛けられた状態で連続して走行する過程で、塗工ヘッド3の吐出口からスラリ状物質としてのスラリ状の活物質Pが吐出されて、その集電体Wには塗工ヘッド3によりスラリ状の活物質Pが所定間隔で且つ所定膜厚で間歇的に塗布されることになる。
【0017】
図3〜6は上記塗工装置4における塗工ヘッド3の詳細を示している。
【0018】
図3,4に示すように、塗工ヘッド3は断面形状が台形状で長尺な二つ一組の分割片15a,15b同士を突き合わせた上で図示外のボルト等にて締結したものをヘッド本体3aとするもので、ヘッド本体3aの先端部にはスリット状の長尺な吐出口16を長手方向に沿って開口形成してある。また、吐出口16よりも奥部側には当該吐出口16に連通する断面円形の弁室17を形成してあるとともに、さらに弁室17よりも奥部側には当該弁室17に連通路18をもって連通しつつ弁室17よりも断面積の大きなチャンバー部19を形成してある。そして、図2に基づいて先に述べたように、スラリタンク10から供給経路12を介してチャンバー部19にスラリ状の活物質が供給されることから、チャンバー部19および弁室17ともに供給経路12の一部として機能することになる。なお、図3のほかその拡大図である図5に示すように、弁室17の直径の延長線上に吐出口16および連通路18が共に位置している。
【0019】
弁室17にはカム部材としてのカムシャフト20を長手方向に沿って収容配置してある。カムシャフト20は軸部21と所定のプロフィール形状のカムロブ22とを備えていて、カムロブ22の両端から突出する軸部21をヘッド本体3aに対して回転可能に両持ち支持させてある。カムシャフト20の軸受部は図6に示すようにシール部材23にてシールしてあるとともに、ヘッド本体3aからの軸部21の突出端にはタイミングギヤ24をナット25にて固定してある。そして、タイミングギヤ24に巻き掛けられる図示外のタイミングチェーンあるいはタイミングベルトを入力側としてカムシャフト20が回転駆動されることになる。
【0020】
ここで、図5に示すように、カムシャフト20の軸部21は弁室17の中心に対して偏心しているととともに、カムロブ22はそれ自体が弁体を兼ねていて、カムロブ22のノーズ部22aが吐出口16に合致する位置でのみ弁室17の内壁面に内接してその吐出口16を閉止するように設定してある。すなわち、カムシャフト20の一回転につき一回の割合でカムロブ22のノーズ部22aが吐出口16を直接的に閉止するように設定してあり、しかも、図5から明らかなように、カムシャフト20の一回転中の開区間(弁室17の周長から吐出口16開口幅を除いた部分の長さ)よりも、弁室17の円周方向での吐出口16の開口幅に相当する閉区間が極端に短いものとなっている。
【0021】
なお、吐出口16からのスラリ状の活物質の吐出を許容したり遮断するものはあくまで塗工バルブ13であって、弁体を兼ねたカムシャフト20による吐出口16の開閉は、例えば塗工バルブ13の閉動作後に塗工バルブ13から吐出口16までの間に残った残圧やタイムラグにてスラリ状の活物質が吐出口16から漏洩するのを防止するために補助的に行われる。
【0022】
ここで、集電体Wに対するスラリ状の活物質Pの塗布形状と、塗工バルブ13とリターンバルブ14の開閉タイミングのほか、塗工ヘッド3でのカムシャフト20による吐出口16の開閉タイミングのタイムチャートを示せば図7のとおりである。
【0023】
図7から明らかなように、スラリ状の活物質の塗布始端部が塗工バルブ13の開弁タイミングおよびリターンバルブ14の閉弁タイミングとそれぞれ一致しているとともに、スラリ状の活物質の塗布終端部が塗工バルブ13の閉弁タイミングおよびリターンバルブ14の開弁タイミングとそれぞれ一致している。さらに、塗工ヘッド3でのカムシャフト20による吐出口16の少なくとも瞬間的な閉弁タイミングが、先に述べた塗工バルブ13の閉弁タイミングおよびリターンバルブ14の開弁タイミングとそれぞれ一致している。そして、先に図2に基づいて説明したように、集電体Wがバックアップロール6に巻き掛けられた状態で連続して走行する過程で、その集電体Wには塗工ヘッド3によりスラリ状の活物質Pが所定間隔で間歇的に塗布されることになる。
【0024】
図8は、先に述べた塗工バルブ13やリターンバルブ14のほか、カムシャフト20による吐出口16の開閉タイミングを同期化させる例を示している。ここでは、塗工スピードに比例するバックアップロール6の回転を基準として、これに塗工バルブ13やリターンバルブ14の開閉タイミングおよびカムシャフト20による吐出口16の開閉タイミングをそれぞれ同期させるものとする。そのために、本実施の形態では、塗工バルブ13およびリターンバルブ14としては、カムプレート38または39によって操作されるメカニカル操作式のものとなっている。さらに、バックアップロール6と同軸一体のタイミングギヤ26とは別に、小径、中径および大径のそれぞれのタイミングギヤ27〜29が同軸化されている歯車列30のほか、歯車列30のうち大径のタイミングギヤ29と噛み合うアイドルギヤ31を設けてある。アイドルギヤ31はタイミングギヤ32と同軸一体のものとされている。
【0025】
バックアップロール6側のタイミングギヤ26と歯車列30における中径のタイミングギヤ28との間にはタイミングチェーン33を巻き掛けてあり、バックアップロール6の回転に同期して歯車列30が増速されて同期回転する。また、アイドルギヤ31と同軸一体のタイミングギヤ32と図3〜5に示したカムシャフト20側のタイミングギヤ24との間にはタイミングチェーン34を巻き掛けてあり、結果としてカムシャフト20はバックアップロール6の回転に同期して回転駆動されることになる。
【0026】
塗工バルブ13を駆動するカムプレート38は小径および大径のタイミングギヤ35,36と同軸一体のものとされ、同様にリターンバルブ14を駆動するためのカムプレート39はタイミングギヤ37と同軸一体のものとされている。歯車列30における小径のタイミングギヤ27とカムプレート38側のタイミングギヤ36との間にはタイミングチェーン40を巻き掛けてあり、結果としてカムプレート38は歯車列30よりも増速されて同期回転することになる。また、カムプレート38側のタイミングギヤ35ともう一方のカムプレート39側のタイミングギヤ37との間にはタイミングチェーン41を巻き掛けてあり、双方のカムプレート38,39は等速にて同期して回転することになる。
【0027】
塗工バルブ13およびリターンバルブ14を駆動するカムプレート38,39のプロフィール形状は、図7に示したような開閉タイミングを実現するために互いに逆位相の関係にあり、両者が等速にて同期回転することで、カムプレート38,39の一回転につき塗工バルブ13およびリターンバルブ14のそれぞれが四回開閉駆動される。そして、先に図7のタイムチャートに基づいて説明したように、塗工バルブ13とリターンバルブ14は互いに同期して反転動作するようになっていて、塗工バルブ13が開状態であればリターンバルブ14は閉状態となり、逆に塗工バルブ13が閉状態であればリターンバルブ14は開状態となるようにそのプロフィール形状が設定されている。
【0028】
ここで、図8では図示していないが、タイミングチェーン33を介してバックアップロール6と同期回転するタイミングギヤ28とそれ以外のタイミングギヤ27,29、特に塗工ヘッド3側のカムシャフト20を駆動するためのタイミングギヤ29との間での回転伝達を任意のタイミングで断接するためのクラッチを設けてあるほか、それらのタイミングギヤ27,29を独立して回転駆動させるためのサーボモータ等の回転駆動手段を設けてある。
【0029】
また、図8に示すように、それぞれのタイミングギヤとそれらに巻き掛けられるタイミングチェーンには合マーク42を付しておき、タイミングずれの有無をを管理するものとする。
【0030】
したがって、このように構成されたシステムによれば、図2に示すように、集電体Wがバックアップロール6に巻き掛けられて走行する過程で、そのバックアップロール6の回転に同期して塗工バルブ13およびリターンバルブ14がそれぞれ開閉動作することから、塗工ヘッド3の吐出口16から活物質Pが吐出されて、集電体W上にその活物質Pが間歇的に塗布される。
【0031】
より詳しくは、図7に示すように、塗工バルブ13の開タイミングとリターンバルブ14の閉タイミングはほぼ同時であることから、塗布される活物質Pの始端部では塗布膜厚が厚膜化するように徐変し、やがては一定厚みとなるように塗布される。同様に、塗工バルブ13の閉タイミングとリターンバルブ14の開タイミングもほぼ同時であることから、塗布される活物質Pの終端部では塗布膜厚が薄膜化するように徐変し、やがては活物質の塗布が途切れることになる。このように集電体Wの上に塗布された活物質Pの塗膜の始終端部ではその塗布膜厚が徐変したものとなって、形状的に好ましいものとなる。
【0032】
そして、塗工バルブ13の閉タイミングに同期して、図5に示すように、塗工ヘッド3に収容されているカムシャフト20を一回転させる。このカムシャフト20の同期回転は、例えば先に述べたクラッチの断接によって行う。すなわち、塗工バルブ13の閉タイミングに同期して、図5の位相位置S1を回転の始端部および終端部として、カムシャフト20を同図の矢印方向に一回転させる。なお、カムシャフト20が位相位置S1にあるかぎりは吐出口16は開いたままである。
【0033】
これにより、カムシャフト20におけるカムロブ22のノーズ部22aがその回転途中において同図の実線で示すように吐出口16を通過することから、カムシャフト20はごく短時間だけまたは瞬間的にその吐出口16(弁室17に臨んでいる吐出口16の開口部)を閉止する。その結果として、塗工バルブ13の閉動作後に塗工バルブ13から吐出口16までの間に残った残圧やタイムラグにて活物質Pが吐出口16から漏洩するのを未然に防止することができて、活物質Pの塗布品質が安定且つ良好なものとなる。
【0034】
また、塗工バルブ13およびリターンバルブ14の開閉タイミングやカムシャフト20による吐出口16の開閉タイミングもバックアップロール6の回転に機械的に同期しているため、同期ずれ等の発生がなく、これによっても塗布品質の向上に寄与できるほか、活物質Pの塗布スピードの高速化にも追従することができて、生産性の向上も図れるようになる。
【0035】
図9は本発明の第2の実施の形態を示す図で、図5の変形例を示している。
【0036】
図9では、図5と比較すると明らかなように、吐出口16および連通路18が弁室17の直径上になく弁室17の接線方向に近い位置に形成されているともに、カムシャフト43の軸部21を弁室17と同心状のものとして、カムロブ22のノーズ部22aがどの位置でも弁室17に内接するようになっている。そして、第1の実施の形態と同様に、塗工バルブ13の閉タイミングに同期して、カムシャフト43を一回転させる際には、位相位置S2を回転の始端部および終端部として同図の矢印方向に一回転させることになる。
【0037】
この第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、カムシャフト43が一回転する際にサックバック効果、すなわち、カムロブ22のノーズ部22aが吐出口16の開口部を通過する際に、吐出口16側に残存している活物質Pを弁室17側に引き込む効果が期待でき、吐出口16からの活物質Pの余分な漏洩を一段と防止することが可能となる。
【0038】
図10は本発明の第3の実施の形態を示す図で、同様に図5の変形例を示している。
【0039】
図10の形態では、図5と比較すると明らかなように、吐出口16と連通路18とを同一平面上に形成するも、弁室17からは離間させてあり、両者にまたがるように弁体45を出没可能に配置してある。弁室17内には偏心させてカムシャフト44を配置してあり、このカムシャフト44の回転を弁体45の直線運動に変換して当該弁体45を出没させるようにしてある。また、カムシャフト44は位相位置S3を一回転の始端部および終端部とし、実線で示すように、カムロブ22のノーズ部22aにて弁体45を押し上げたタイミングで吐出口16を閉止するようになっている。なお、弁体45はシール部材46にてシールされている。
【0040】
この第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が得られることになる。
【符号の説明】
【0041】
3…塗工ヘッド
3a…ヘッド本体
4…塗工装置
6…バックアップロール
10…スラリタンク(スラリ状物質供給源)
12…供給経路
13…塗工バルブ(開閉バルブ)
16…吐出口
17…弁室
20…カムシャフト(カム部材)
22…カムロブ(弁体)
43…カムシャフト(カム部材)
44…カムシャフト(カム部材)
45…弁体
P…スラリ状の活物質(スラリ状物質)
W…集電体(基材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリ状物質を塗布すべき基材と近接配置されるとともにスラリ状物質供給源からスラリ状物質が圧送される塗工ヘッドを備え、基材と塗工ヘッドとを相対移動させることで塗工ヘッドからスラリ状物質を吐出して基材上に間歇的に塗布するようにした塗工装置であって、
上記塗工ヘッドは、
ヘッド本体に開口形成されたスリット状の吐出口と、
ヘッド本体のうち上記吐出口の奥部側に回転可能に収容配置されたカム部材と、
を備えていて、
上記カム部材の一回転につき一回の割合で吐出口を直接的または間接的に閉じるようになっていることを特徴とする塗工装置。
【請求項2】
上記カム部材の一回転につき一回の割合で、その一回転中の開区間よりも短い閉区間だけ吐出口を直接的または間接的に閉じるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の塗工装置。
【請求項3】
上記カム部材が弁体を兼ねていて、この弁体を兼ねたカム部材のプロフィール形状によって直接的に吐出口を開閉するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の塗工装置。
【請求項4】
上記カム部材に近接して当該カム部材によって開閉駆動される弁体を備えていて、この弁体にて吐出口を開閉するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の塗工装置。
【請求項5】
上記スラリ状物質供給源と塗工ヘッドとを結ぶ供給経路にメインとなる開閉バルブが介装されていて、
この開閉バルブの開閉タイミングと上記弁体の開閉タイミングとが機械的に同期するようになっていることを特徴とする請求項3または4に記載の塗工装置。
【請求項6】
上記基材はバックアップロールに巻き掛けられた状態で走行するようになっているとともに、
このバックアップロールによる巻掛部位に塗工ヘッドが近接配置されていて、
上記弁体の開閉タイミングはこのバックアップロールの回転に機械的に同期するようになっていることを特徴とする請求項5に記載に塗工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−22527(P2013−22527A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160393(P2011−160393)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】