説明

塗布装置及び塗布方法

【課題】塗布膜の終端部分における膜厚の落ち込みを防止することができる塗布装置及び塗布方法を提供する。
【解決手段】基板を載置するステージと、前記ステージに載置された基板に対し相対的に移動しつつ塗布液を吐出することにより前記基板上に塗布膜を形成する塗布ユニットと、前記塗布ユニットに塗布液を供給し、塗布ユニットから塗布液を吐出させる塗布液ポンプと、前記塗布液ポンプを駆動制御することにより前記塗布ユニットから吐出される塗布液の吐出量を制御する制御装置とを有しており、前記制御装置は、前記塗布ユニットから、塗布膜を一定厚さに形成する一定膜厚形成吐出量の塗布液を吐出させるとともに、塗布液ポンプを停止させる前に一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させるように前記塗布液ポンプを駆動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布液を吐出する塗布ユニットと基板とを相対的に移動させて、基板上に塗布膜を形成する塗布装置及び塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、ガラス等からなる基板上にレジスト液等の塗布液が塗布されたもの(塗布基板という)が使用されている。この塗布基板は、塗布膜が均一に形成されている必要があり、塗布液を均一に塗布する塗布装置によって形成されている。すなわち、塗布装置は、基板を載置するステージと、塗布液を吐出する塗布ユニットと、この塗布ユニットに塗布液を供給するポンプとを有しており、塗布ユニットのスリットノズルから塗布液を吐出させながら、基板と塗布ユニットとを相対的に移動させることにより、均一厚さの塗布膜が形成された基板が形成されるようになっている。
【0003】
この均一厚さの塗布膜の形成は、塗布ユニットを一定速度で移動させつつ、スリットノズルから吐出される塗布液の吐出量を一定に制御することによって行われる。すなわち、基板の塗布領域には、有効領域と、製品に直接影響しない領域である初期領域及び終端領域が設けられている。そして、初期領域内において、スリットノズルから一定量の塗布液を吐出させながら一定速度になるまで塗布ユニットを加速させ、有効領域を一定速度で移動させ、終端領域内で減速させる。これにより、有効領域では、塗布ユニットの移動速度変化と吐出量の変化が一致するため、均一膜厚の塗布膜が形成される。そして、塗布ユニットが終端領域に入った後、塗布液の液切り工程が行われる。すなわち、終端領域で塗布液の供給を停止させた後、塗布ユニットを移動させつつ、塗布ユニットの口金部を上昇させることにより、スリットノズルと基板とを連結していた塗布液(ビード膜)が引き延ばされて最終的に切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−288387
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、液切り工程を行うと塗布膜の終端部分から所定距離までの膜厚の均一性が損なわれるという問題があった。すなわち、液切り工程では、塗布液の供給を停止した後、口金部を上昇させると、スリットノズルと基板とを連結していた塗布液(ビード膜)がスリットノズルに追従することにより、ビード膜が引張力を受ける。これに伴って、塗布液の供給がない状態でビード膜が引張力を受けることにより、ビード膜近傍領域のすでに塗布されている塗布膜も同時に引張力を受け、この領域の塗布膜もスリットノズルに追従するように変位する。この状態で、ビード膜が切断されると、引張力を受けた塗布膜の塗布液が元に戻り切らず、その結果、ビード膜近傍の膜厚が僅かに薄くなる現象(膜厚落ち込み現象)が発生するという問題があった。
【0006】
また、液切り工程後、塗布膜を乾燥させるが、乾燥が塗布膜の周囲から進行するため、塗布膜の終端部分には乾燥による膜厚落ち込みも同時に発生する。
【0007】
そして、近年では、生産効率を向上させるため、塗布ユニットの移動速度の高速化がなされており、液切り工程の際、スリットノズルが基板から離れる速度が速くなっている。その結果、膜厚落ち込み領域が、ビード膜近傍からある程度離れた位置まで広範囲に形成されてしまうため、従来では、終端領域に収まっていた膜厚落ち込み現象が有効領域にまで発生してしまうことにより、この膜厚落ち込み現象による問題が顕著になってきた。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、塗布膜の終端部分における膜厚の落ち込みを防止することができる塗布装置及び塗布方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の塗布装置は、基板を載置するステージと、前記ステージに載置された基板に対し相対的に移動しつつ塗布液を吐出することにより前記基板上に塗布膜を形成する塗布ユニットと、前記塗布ユニットに塗布液を供給し、塗布ユニットから塗布液を吐出させる塗布液ポンプと、前記塗布液ポンプを駆動制御することにより前記塗布ユニットから吐出される塗布液の吐出量を制御する制御装置と、を有しており、前記制御装置は、前記塗布ユニットに塗布膜を一定厚さに形成する一定膜厚形成吐出量の塗布液を吐出させるとともに、塗布液ポンプを停止させる前に一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させるように前記塗布液ポンプを駆動制御することを特徴としている。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明の塗布方法は、ステージに載置された基板に対し、塗布ユニットを相対的に移動させつつ、塗布液ポンプから供給された塗布液を吐出させることにより、基板上に塗布膜を形成する塗布方法であって、一定膜厚形成吐出量の塗布液を吐出させて一定厚さの塗布膜を形成する定常膜厚形成工程と、一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させて終端部分の膜厚を一定厚さに調整する終端膜厚補正工程と、を有することを特徴としている。
【0011】
上記塗布装置及び塗布方法によれば、塗布液ポンプを停止させる前に一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させるように前記塗布液ポンプを駆動制御するため、塗布膜の終端部分における膜厚の落ち込みを防止することができる。すなわち、塗布膜の終端部分における膜厚の落ち込み量を予め計測しておくことで、有効領域では、一定膜厚の塗布膜を形成するために、一定膜厚形成吐出量の塗布液を基板上に吐出し、膜厚落ち込みが発生する領域において、この膜厚落ち込み量に応じた塗布液(膜厚補正吐出量)を吐出する。これにより、塗布液の供給を停止し、口金部を上昇させることにより、ビード膜及びビード膜近傍の塗布液がスリットノズルに追従し、ビード膜近傍の膜厚が減少しても、一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量を吐出させているため、膜厚補正吐出量の一定膜厚形成吐出量に対する余分量とスリットノズルに追従する減少量及び乾燥による減少量とが釣り合って、膜厚落ち込みの影響を受ける有効領域の膜厚を一定にすることができる。これにより、塗布膜の終端部分における膜厚の落ち込みを防止することができる。
【0012】
また、前記膜厚補正吐出量は、塗布液ポンプの停止に近づくにしたがって、次第に増量される構成としてもよい。
【0013】
この構成によれば、より一層、塗布膜の終端部分まで均一厚さの膜厚を維持することができる。すなわち、膜厚落ち込み量は、ビード膜近傍でより多量に落ち込み、ビード膜から離れるにしたがって膜厚落ち込み量は小さくなるという傾向がある。したがって、この膜厚落ち込みの特性に応じて、膜厚補正吐出量を塗布液ポンプの停止に近づくにしたがって、次第に増量させることで、より精度よく膜厚落ち込みの影響を受ける有効領域の膜厚を一定にすることができる。なお、次第に増量させる点については、単調増加や、段階的な増加であってもよく、予め膜厚の落ち込み量を計測した結果から、位置と落ち込み量との関係を算出し、その算出結果に応じて増加させるものであってもよい。
【0014】
また、前記膜厚補正吐出量の塗布液は、予め基板上に形成した塗布膜の膜厚落ち込み開始位置から吐出される構成とすることができる。
【0015】
この構成により、膜厚補正吐出量の塗布液を膜厚落ち込みの影響を受ける領域に確実に吐出させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の塗布装置及び塗布方法によれば、塗布膜の終端部分における膜厚の落ち込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の塗布装置における塗布装置本体を示す斜視図である。
【図2】塗布ユニットの脚部付近を示す図である。
【図3】塗布装置の配管経路、信号経路の概略を示す構成図である。
【図4】基板と塗布領域との関係を概念的に示す図である。
【図5】塗布装置の制御系を示すブロック図である。
【図6】試験塗布工程における膜厚とポンプ速度と口金高さとの関係を示すタイムチャートである。
【図7】本番塗布工程における膜圧とポンプ速度と口金高さとの関係を示すタイムチャートである。
【図8】塗布装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】補正ポンプ速度波形の演算工程を示すフローチャートである。
【図10】試験塗布工程の動作を示すフローチャートである。
【図11】本番塗布工程の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態における塗布装置における塗布装置本体の外観を概略的に示す斜視図であり、図2は、塗布ユニットの脚部付近を示す図である。また、図3は、塗布装置の配管経路、信号経路の概略を示す構成図である。
【0019】
図1〜図3に示すように、塗布装置は、塗布装置本体1と、塗布装置本体1に塗布液を供給する塗布液ポンプ8と、塗布液を貯留する塗布液タンクTと、これらを統括的に制御する制御装置90とを有しおり、これら塗布装置本体1と塗布液ポンプ8と塗布液タンクTとは配管87によって連結接続されている。そして、塗布液ポンプ8を駆動制御することにより、塗布液タンクTの塗布液が塗布装置本体1に供給されるようになっている。
【0020】
塗布装置本体1は、基板10上に薬液やレジスト液等の液状物(以下、塗布液と称す)の塗布膜を形成するものであり、基台2と、基板10を載置するためのステージ21と、このステージ21に対し特定方向に移動可能に構成される塗布ユニット30とを備えている。そして、ステージ21に基板10が供給されると、基板10上を塗布ユニット30が移動し、塗布ユニット30から塗布液が吐出されると基板10上に均一厚さの塗布膜が形成される。
【0021】
基板10には、塗布膜の形成において、図4に示すように、初期領域と有効領域と終端領域が設けられており、有効領域が製品として使用される部分に相当する。そして、初期領域で塗布ユニット30の長手方向に亘って塗布液を吐出させた後、塗布液を吐出させつつ塗布ユニット30を移動させ、終端領域で塗布液を停止させて塗布ユニット30から吐出している塗布液の液切り工程が行われることによって、有効領域に均一厚さの塗布膜が形成される。
【0022】
なお、以下の説明では、この塗布ユニット30が移動する方向をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0023】
前記基台2には、その中央部分にステージ21が配置されている。このステージ21は、搬入された基板10を載置するものである。このステージ21には、基板保持手段が設けられており、この基板保持手段により基板10が保持されるようになっている。具体的には、ステージ21の表面に形成された複数の吸引孔が形成されており、この吸引孔に吸引力を発生させることにより基板10をステージ21の表面に吸着させて保持できるようになっている。
【0024】
また、ステージ21には、基板10を昇降動作させる基板昇降機構が設けられている。具体的には、ステージ21の表面には複数のピン孔が形成されており、このピン孔にはZ軸方向に昇降動作可能なリフトピン(不図示)が埋設されている。すなわち、ステージ21の表面からリフトピンを突出させた状態で基板10が搬入されるとリフトピンの先端部分が基板10に当接して基板10を保持することができる。そして、その状態からリフトピンを下降させてピン孔に収容させることにより、基板10をステージ21の表面に載置することができるようになっている。
【0025】
また、塗布ユニット30は、基板10上に塗布液を吐出して塗布膜を形成するものである。この塗布ユニット30は、図1,図2に示すように、基台2と連結される脚部31とY軸方向に延びる口金部34とを有しており、基台2上をY軸方向に跨いだ状態でX軸方向に移動可能に取り付けられている。具体的には、基台2のY軸方向両端部分にはそれぞれX軸方向に延びるレール22が設置されており、脚部31がこのレール22にスライド自在に取り付けられている。そして、脚部31にはリニアモータ33が取り付けられており、このリニアモータ33を駆動制御することにより、塗布ユニット30がX軸方向に移動し、任意の位置で停止することができる。具体的には、脚部31には、エンコーダー38(図5参照)が取付けられており、このエンコーダー38からの位置情報により、塗布ユニット30の位置を把握することができる。そして、エンコーダー38と後述の制御装置90とが接続されており、エンコーダー38からの出力信号を受信した制御装置90により、塗布ユニット30の位置、及び、塗布ユニット30の移動速度(基板10に対する塗布ユニット30の相対速度)が計測されるようになっている。なお、本実施形態では、走行速度計測部としてエンコーダー38を使用する例について説明するが、エンコーダー38に代えてリニアスケール等を用いてもよい。
【0026】
また、塗布ユニット30の脚部31には、図2に示すように、塗布液を塗布する口金部34が取り付けられている。具体的には、この脚部31にはZ軸方向に延びるレール37と、このレール37に沿ってスライドするスライダ35が設けられており、これらのスライダ35と口金部34とが連結されている。そして、スライダ35にはサーボモータ36により駆動されるボールねじ機構が取り付けられており、このサーボモータ36を駆動制御することにより、スライダ35がZ軸方向に移動するとともに、任意の位置で停止できるようになっている。すなわち、口金部34が、ステージ21に保持された基板10に対して接離可能に支持されている。
【0027】
口金部34は、塗布液を吐出して基板10上に塗布膜を形成するものである。この口金部34は、一方向に延びる形状を有する柱状部材であり、塗布ユニット30の走行方向とほぼ直交するように設けられている。この口金部34には、長手方向に延びるスリットノズル34aが形成されており、口金部34に供給された塗布液がスリットノズル34aから長手方向に亘って一様に吐出されるようになっている。したがって、このスリットノズル34aから塗布液を吐出させた状態で塗布ユニット30をX軸方向に走行させることにより、スリットノズル34aの長手方向に亘って基板10上に一定厚さの塗布膜が形成されるようになっている。
【0028】
この口金部34の上流側には、塗布液を貯留する塗布液タンクTと塗布液ポンプ8とが備えられており、これら塗布液タンクT、塗布液ポンプ8及び口金部34は、それぞれ配管87で連結されている。そして、塗布液ポンプ8が、塗布液タンクTの塗布液を口金部34に圧送するとともに、塗布液に所定の圧力を付加することにより、口金部34内の塗布液がスリットノズル34aを通じて吐出されるようになっている。
【0029】
前記塗布液ポンプ8は、本実施形態ではシリンジポンプが用いられており、図3に示すように、シリンダ81とプランジャ82とポンプ駆動部83とを有している。プランジャ82は、シリンダ81内に収容されるヘッド部82aと、ヘッド部82aと連結される軸部82bとを有しており、ヘッド部82aに設けられた膜状のシール部材82cが、その外周部分でシリンダ81に固定されている。すなわち、シリンダ81とシール部材82cとによって塗布液を収容する液室が形成されている。そして、ポンプ駆動部83によりプランジャ82を軸方向に駆動させることにより、塗布液の吸入及び排出ができるようになっている。すなわち、ポンプ駆動部83を駆動させてヘッド部82aを軸部82b側(図3において下側)に変位させると、液室が広がることにより、液室内に塗布液タンクTの塗布液が吸入され、ヘッド部82aを軸部82bの反対側(図3において上側)に変位させると、液室が狭められることにより、液室内の塗布液が口金部34に移送される。そして、さらにヘッド部82aを軸部82bの反対側(図3において上側)に変位させることにより、塗布液に所定の圧力が付加されて口金部34のスリットノズル34aから塗布液が吐出される。
【0030】
また、塗布液ポンプ8と口金部34との間には、圧力計85が設けられており、この圧力計85は、配管87内の塗布液の圧力を計測するものである。図3の例では、口金部34付近に取付けられている。この圧力計85の取付位置は、口金部34の近くに取付けられているため、この圧力計85の計測値は、口金部34の圧力値と見なすことができる。すなわち、圧力計85の取付位置が口金部34付近であるため、圧力計85の計測値は配管87等の圧力損失に影響されることなく計測することができる。したがって、この圧力計85により、口金部34のスリットノズル34aから吐出される塗布液の吐出圧力を計測することができる。本実施形態では、圧力計85と後述の制御装置90とが接続されており、圧力計85からの出力信号を受信した制御装置90により、圧力計85の計測値を吐出圧力として認識されるようになっている。
【0031】
次に、上記塗布装置の制御系の構成について図5に示すブロック図を用いて説明する。
【0032】
図5は、この実装装置に設けられた制御装置90の制御系を示すブロック図である。図5に示すように、この塗布装置には、上述した各種ユニットの駆動を制御する制御装置90が設けられている。この制御装置90は、制御本体部91、駆動制御部92、位置検出部93、ポンプ速度制御部94、圧力検知部95、入出力装置制御部96とを有している。そして、制御本体部91は、主制御部91a、速度演算部91b、ポンプ速度演算部91c、ポンプ速度波形演算部91d、記憶部91eとを有している。なお、本実施形態では、これらの構成が制御装置90に統合されている例について説明するが、これらの構成がメインコントローラ、サブコントローラに適宜分かれて構成されているものであってもよい。
【0033】
主制御部91aは、予め記憶されたプログラムに従って一連の塗布動作を実行すべく、駆動制御部92を介して各ユニットのサーボモータ36、リニアモータ33等の駆動装置を駆動制御するとともに塗布動作に必要な各種演算を行うものである。具体的には、塗布液の吐出量を制御すべく、塗布液ポンプ8のプランジャ82を駆動制御してスリットノズル34aから吐出される塗布液の吐出量を制御することができる。
【0034】
速度演算部91bは、塗布ユニット30の走行速度を演算するものである。具体的には、エンコーダー38からの信号に基づいて塗布ユニット30の位置情報を得、この位置情報と時間から塗布ユニット30の走行速度を演算する。これにより、塗布ユニット30の実際の走行速度を得ることができる。
【0035】
ポンプ速度演算部91cは、所定の吐出量を吐出するのに必要なプランジャ82の駆動速度(ポンプ速度)を演算するものである。例えば、キーボード98やタッチパネル99等の入力手段から入力された膜厚データに対して、その膜厚を形成するのに必要なポンプ速度が演算される。
【0036】
通常、本番の塗布動作を行う前に塗布膜の形成状態を確認するために試験塗布工程が行われる。この試験塗布工程により形成される塗布膜は、初期領域から終端領域に亘って一定の膜厚(基準膜厚Db)で形成されるのが好ましい。ところが、終端領域における液切り工程により、塗布液の供給を停止して口金部34を上昇させると、スリットノズル34aと基板10とを連結していた塗布液(ビード膜)がスリットノズル34aに追従するため、ビード膜近傍領域のすでに塗布されている塗布膜も同時に引張力を受け、この領域の塗布膜もスリットノズル34aに追従するように変位する。そのため、図6に示すように、当初、塗布膜が均一な膜厚で形成されていても上述の引張力を受けることにより、塗布膜の終端部分には基準膜厚Dbよりも薄い膜厚の膜厚落ち込みが発生する。この試験塗布工程が行われた後、膜厚計測器(不図示)により複数箇所に亘って乾燥後の塗布膜の膜厚が計測される。すなわち、液切り工程と乾燥による膜厚保落ち込み量が計測される。そして、この膜厚落ち込み部分の膜厚データが入力されると、基準膜厚Dbに対する不足量De(図6参照)の膜厚が演算される。そして、この不足量Deの膜厚を基準膜厚Dbに加算した塗布膜を形成するのに必要な吐出量(膜厚補正吐出量)が演算され、この膜厚補正吐出量が吐出されるポンプ速度(補正ポンプ速度Vpc、図7参照)が演算される。この演算された補正ポンプ速度Vpcは、記憶部91eに位置情報と共に記憶される。ここで、膜厚補正吐出量に対して、基準膜厚Dbを形成するのに必要な吐出量を基準膜厚Db形成吐出量と呼び、この基準膜厚Db形成吐出量を吐出するポンプ速度を基準ポンプ速度Vpbと呼ぶことにする。
【0037】
ポンプ速度波形演算部91dは、上述のポンプ速度演算部91cで演算された補正ポンプ速度Vpcデータからプランジャ82の駆動信号波形となるポンプ速度波形を演算するものである。具体的には、各位置情報とこれに対応する補正ポンプ速度データからポンプ速度波形(補正ポンプ速度Vpc波形、図7参照)を演算する。例えば、各位置における補正ポンプ速度Vpcを連結して形成する場合や、図7に示すように、膜厚落ち込み開始位置と塗布液停止位置とこれらの間の代表位置とを連結して形成することによって求められる。そして、求められたポンプ速度波形によって形成される塗布膜の膜厚波形を演算する。この演算には、本実施形態では、膜厚に対するポンプ速度の応答特性を示す伝達関数が用いられている。そして、図7における補正ポンプ速度Vpc波形に対する補正膜厚Dc波形が、基準ポンプ速度Vpb波形に対する基準膜厚Db波形とのずれ量が比較され、このずれ量が所定範囲内か否かが判断される。具体的には、記憶部91eには基準膜厚Dbに対する閾値が記憶されており、補正膜厚Dcのずれ量が、この閾値の範囲内か否かが判断される。仮に、補正膜厚Dc波形が基準膜厚Db波形の閾値の範囲内である場合には、補正膜厚Dc波形を形成する補正ポンプ速度Vpc波形を本番塗布工程を行う最終的な補正ポンプ速度Vpc波形として設定され、記憶部91eに記憶される。また、補正膜厚Dc波形が基準膜厚Db波形の所定範囲から外れる場合には、基準膜厚Db波形の範囲内になるまで補正ポンプ速度Vpc波形が調整される。すなわち、2次曲線的に変化している形状の膜厚落ち込みに対して、各位置における補正ポンプ速度Vpcを連結して形成する補正ポンプ速度Vpc波形の変曲点をずらしたり、変曲点の数を増減することによって調整される。そして、最終的な補正ポンプ速度Vpc波形が記憶部91eに記憶される。なお、本実施形態では、図7に示すように膜厚落ち込み開始位置と塗布液停止位置との間でポンプ速度の切替え点(変曲点)が1つ存在する補正ポンプ速度Vpc波形が記憶されている。
【0038】
記憶部91eは、様々な各種データが格納されているとともに、演算結果等を一時的に格納するためのものである。具体的には、塗布ユニット30の走行駆動情報や、基準ポンプ速度Vpb、補正ポンプ速度Vpc、さらに補正膜厚Dc波形が基準膜厚Db波形の所定範囲内か否かを判断する閾値等が記憶されている。
【0039】
駆動制御部92は、制御本体部91からの制御信号に基づいて、リニアモータ33、サーボモータ36等を駆動制御するものである。具体的には、リニアモータ33及びサーボモータ36を制御することにより、塗布ユニット30の移動、口金部34の昇降動作等が駆動制御されるようになっている。
【0040】
位置検出部93は、エンコーダー38からの信号に基づいて塗布ユニット30の位置情報を検知するものである。この得られた位置情報により制御本体部91で塗布ユニット30の実際の走行速度が演算される。すなわち、駆動制御部92からの制御信号に基づいて、塗布ユニット30が設定された速度で走行しているか否かが監視される。
【0041】
ポンプ速度制御部94は、プランジャ82の軸方向速度(ポンプ速度)を制御するものである。具体的には、制御本体部91からの基準ポンプ速度Vpb波形、補正ポンプ速度Vpc波形の指令に基づいて、ポンプ速度が制御される。これにより、基準ポンプ速度Vpbに応じた基準膜厚Db形成吐出量、補正ポンプ速度Vpcに応じた膜厚補正吐出量がスリットノズル34aから吐出される。
【0042】
圧力検知部95は、圧力計85からの信号に基づいて口金部34の吐出圧力を検知するものである。
【0043】
入出力装置制御部96は、キーボード98、タッチパネル99等の各入出力装置を制御するものである。具体的には、試験塗布工程後に基板10上に形成された塗布膜の膜厚計測値が位置情報と共に入力される。
【0044】
次にこの塗布装置における動作について、図8〜図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
まず、ステップS1において、試験塗布工程を行うための基板の搬入が行われる。具体的には、ステージ21の表面から複数のリフトピンが突出した状態で待機されており、これらのリフトピンの先端部分に搬送された基板10が載置される。そして、リフトピンを下降させて基板10をステージ21の表面に載置し、図示しない位置決め装置により、基板10が所定の位置に位置決めされる。そして、この状態で真空ポンプを作動させて吸引孔に吸引力を発生させることにより、基板10が精度よく位置決めされた状態でステージ21の表面上に吸着されて保持される。なお、基板10は、試験塗布工程と本塗布工程によらず、常に同じ位置に位置決めされる。
【0046】
次に、ステップS2において、試験塗布工程が行われる。この試験塗布工程は、製品を作製する本番塗布工程を行う前に予め塗布条件の条件出しを行うものであり、本発明では膜厚落ち込みが生じる位置と、基準膜厚Dbに対する不足量Deを認識するために行われる。具体的には、図10に示すフローチャートによって行われる。
【0047】
まず、ステップS21において、ビード膜の形成が行われる。具体的には、基板10の初期領域に所定量の塗布液を吐出し、基板10と口金部34のスリットノズル34aとが塗布液で連結される状態を形成する。このとき、スリットノズル34aの長手方向に亘って均一厚さのビード膜が形成されていることが確認される。
【0048】
次に、ステップS22において、定常膜厚形成工程が行われる。具体的には、ビード膜が形成された後、塗布液ポンプ8のプランジャ82を基準ポンプ速度Vpb波形に基づいて駆動させることによりスリットノズル34aから一定量である基準膜厚Db形成吐出量の塗布液を吐出させつつ、塗布ユニット30を一定速度で走行させる。すなわち、一定量の塗布液が吐出させながら塗布ユニット30が一定速度で走行させるため、基板10には一定膜厚の塗布膜が形成される。
【0049】
次に、ステップS23において、液切り工程が行われる。具体的には、塗布ユニット30が有効領域を越えて終端領域に入ると塗布液の供給を停止させる。このとき、塗布ユニット30は未だ一定速度で走行しており、所定距離走行した地点で基板10から離れるように上昇させる。その結果、スリットノズル34aと基板10とを連結していたビード膜がスリットノズル34aの上昇に伴って追従するため、ビード膜近傍領域のすでに塗布されている塗布膜も同時に引張力を受け、ビード膜近傍領域、ひいては有効領域に至る塗布膜もスリットノズル34aに追従するように変位する。そのため、図6に示すように、塗布膜の終端部分に基準膜厚Dbよりも薄い膜厚の膜厚落ち込みが発生する。
【0050】
このようにして、ステップS2における試験塗布工程が終了すると、本番塗布工程での塗布液ポンプ8を駆動制御する補正ポンプ速度Vpc波形を設定する(ステップS3)。この補正ポンプ速度Vpc波形設定工程は、図9に示すフローチャートに基づいて行われる。
【0051】
まず、ステップS31において、試験塗布工程で形成された塗布膜の膜厚が入力される。具体的には、塗布膜を乾燥させた後、膜厚計測装置によって塗布膜の膜厚落ち込み部分を含む膜厚が複数箇所計測される。そして、その膜厚計測値が位置情報と共に入力され、記憶部91eに記憶される。
【0052】
次に、ステップS32において補正ポンプ速度Vpc波形が取得される。具体的には、入力された膜厚データについて、基準膜厚Dbに対する不足量Deが演算され、膜厚落ち込み分を考慮した膜厚補正吐出量が演算される。そして、この膜厚補正吐出量を吐出するのに必要な補正ポンプ速度Vpcが演算され、これら複数の補正ポンプ速度Vpcと位置情報に基づいて、補正ポンプ速度Vpc波形が演算される。本実施形態では、図7に示すように、膜厚落ち込み開始位置から一定の傾きで吐出量が増量し、所定の位置で先の傾きよりも大きな傾きで吐出量が増量するように補正ポンプ速度Vpc波形が調整される。すなわち、膜厚落ち込み量は、膜厚落ち込み開始位置から増加し始め、塗布膜終端部分に近づくにつれて2次曲線的に増加しているため、この膜厚落ち込み量の変化による不足量Deを打ち消すように調整されている。なお、この補正ポンプ速度Vpc波形は、位置情報も有しており、膜厚落ち込み開始位置が第1ポンプ速度切替え位置として設定され、速度が変化する位置が第2ポンプ速度切替え位置として設定される。
【0053】
次に、ステップS33により、補正膜厚Dc波形が取得される。具体的には、ステップS32により求められた補正ポンプ速度Vpc波形に基づいて塗布動作を行った場合の補正膜厚Dc波形が求められる。そして、求められた補正膜厚Dc波形と基準膜厚Db波形とが比較される(ステップS34)。すなわち、補正膜厚Dcと基準膜厚Dbとが比較され、基準膜厚Dbに対する補正膜厚Dcのずれ量が許容範囲内であるか否かが判断される(ステップS35)。具体的には、ずれ量が閾値の範囲から外れる場合には、ステップS35においてNOの方向に進み、ステップS32における補正ポンプ速度Vpc波形が再度調整し演算される。そして、ずれ量が閾値の範囲内である場合には、ステップS35においてYESの方向に進み、求められた補正ポンプ速度Vpc波形が決定される(ステップS36)。
【0054】
このようにして、ステップS3において補正ポンプ速度Vpc波形が設定されると、本番塗布工程を行うために、ステップS4において基板10の搬入が行われる。このステップS4における基板10の搬入は上述のステップS1と同様であるため、説明は省略する。
【0055】
次に、ステップS5において本番塗布工程が行われる。本番塗布工程は、図11のフローチャートに基づいて行われる。まず、ステップS51においてビード膜形成工程が行われる。このビード膜形成工程は、試験塗布工程におけるステップS21と同様である。このビード膜形成工程が完了した後、ステップS52において定常膜厚形成工程が行われる。すなわち、スリットノズル34aから一定量である基準膜厚Db形成吐出量の塗布液を吐出させつつ、塗布ユニット30を一定速度で走行させる。これにより、基板10には一定膜厚の塗布膜が形成される。
【0056】
次に、ステップS53において終端膜厚補正工程が行われる。基準膜厚Db形成吐出量の塗布液を吐出し一定速度で走行している塗布ユニット30が第1ポンプ速度切替え位置に達すると、ポンプ速度が切替えられる。すなわち、基準膜厚Db形成吐出量を吐出していたポンプ速度(基準ポンプ速度Vpb)を上昇させて、基準膜厚Db形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させる。本実施形態では、図7に示すように、膜厚補正吐出量が塗布ユニット30の移動に伴って単調増加的に変化するように増加させる。この間、塗布ユニット30には、一定速度の走行を維持させる。そして、塗布ユニット30が第2ポンプ速度切替え位置に達すると、さらに吐出量を増加させ、先の単調増加よりもさらに増加量が多い膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させる。これにより、第1ポンプ速度切替え位置以降の領域には、基準膜厚Dbよりも厚く塗布液が塗布されていることになる。
【0057】
次に、ステップS54において液切り工程が行われる。具体的には、塗布ユニット30が有効領域を越えて終端領域に入ると塗布液の供給が停止される。このとき、塗布ユニット30は未だ一定速度で走行しており、所定距離走行した地点で基板10から離れるように上昇させる。その結果、スリットノズル34aと基板10とを連結していたビード膜がスリットノズル34aの上昇に伴って追従し、ビード膜近傍領域、ひいては有効領域に至る塗布膜もスリットノズル34aに追従するように変位する。しかし、試験塗布工程で膜厚落ち込みが発生した第1ポンプ速度切替え位置以降には、ステップS53の終端膜厚補正工程において基準膜厚Dbよりも多量の塗布液が吐出されており、膜厚落ち込みによる不足量Deの塗布液が塗布されているため、塗布膜がスリットノズル34aに追従するように変位しても、余分の塗布液が引き延ばされて結果として塗布膜の終端部分も基準膜厚Dbに形成される。すなわち、終端膜厚補正工程において、一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させることにより、液切り工程における膜厚落ち込みを抑えることができる。
【0058】
本番塗布工程が終了すると、ステージ21上の基板10が排出され(ステップS6)、均一厚さに形成された塗布膜を有する基板10が次工程に搬送される。
【0059】
以上、上記実施形態における塗布装置及び塗布方法によれば、塗布液ポンプ8を停止させる前に一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させるように前記塗布液ポンプ8を駆動制御するため、塗布膜の終端部分における膜厚の落ち込みを防止することができる。すなわち、塗布膜の終端部分における膜厚の落ち込み量を予め計測しておくことで、一定膜厚の塗布膜を形成するために、一定膜厚形成吐出量の塗布液を基板上に吐出し、膜厚落ち込みが発生する領域において、この膜厚落ち込み量に応じた塗布液(膜厚補正吐出量)を吐出する。これにより、塗布液の供給を停止し、口金部34を上昇させることにより、ビード膜及びビード膜近傍の塗布液がスリットノズル34aに追従し、ビード膜近傍の膜厚が減少しても、一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量を吐出させているため、膜厚補正吐出量の余分量とスリットノズルに追従する減少量とが釣り合って、膜厚落ち込みの影響を受ける有効領域の膜厚を一定にすることができる。これにより、塗布膜の終端部分における膜厚の落ち込みを防止することができる。
【0060】
また、本発明では、上記実施形態のように、液切り工程における膜厚落ち込み量の補正が必要な場合について説明したが、液切り工程における膜厚落ち込み量が許容範囲内であり、塗布後の乾燥による膜厚落ち込みのみを補正する場合であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 塗布装置本体
8 塗布液ポンプ
10 基板
21 ステージ
30 塗布ユニット
34 口金部
34a スリットノズル
90 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置するステージと、
前記ステージに載置された基板に対し相対的に移動しつつ塗布液を吐出することにより前記基板上に塗布膜を形成する塗布ユニットと、
前記塗布ユニットに塗布液を供給し、塗布ユニットから塗布液を吐出させる塗布液ポンプと、
前記塗布液ポンプを駆動制御することにより前記塗布ユニットから吐出される塗布液の吐出量を制御する制御装置と、
を有しており、
前記制御装置は、前記塗布ユニットから、塗布膜を一定厚さに形成する一定膜厚形成吐出量の塗布液を吐出させるとともに、塗布液ポンプを停止させる前に一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させるように前記塗布液ポンプを駆動制御することを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記膜厚補正吐出量は、塗布液ポンプの停止に近づくにしたがって、次第に増量されることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記膜厚補正吐出量の塗布液は、予め基板上に形成した塗布膜の膜厚落ち込み開始位置から吐出されることを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
ステージに載置された基板に対し、塗布ユニットを相対的に移動させつつ、塗布液ポンプから供給された塗布液を吐出させることにより、基板上に塗布膜を形成する塗布方法であって、
一定膜厚形成吐出量の塗布液を吐出させて一定厚さの塗布膜を形成する定常膜厚形成工程と、
一定膜厚形成吐出量よりも多量の膜厚補正吐出量の塗布液を吐出させて終端部分の膜厚を一定厚さに調整する終端膜厚補正工程と、
を有することを特徴とする塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−101860(P2011−101860A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258092(P2009−258092)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】