説明

塗布装置及び塗布方法

【課題】易酸化性の金属を含む塗布膜の膜質の低下を抑えることができる塗布装置及び塗布方法を提供すること。
【解決手段】易酸化性の金属を含む液状体を基板に塗布する塗布部と、前記塗布部によって前記液状体の塗布を行う塗布空間及び前記液状体の塗布された前記基板の塗布後移動空間を囲むチャンバと、前記チャンバ内の酸素濃度及び湿度のうち少なくとも一方を調整する調整部と、前記チャンバ内への異物の侵入に応じて前記塗布部の動作を停止させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置及び塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Cu、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ga、In、Ti、およびこれらの組合せなどの金属と、S、Se、Te、およびこれらの組合せなどの元素カルコゲンとを含む半導体材料を用いたCIGS型太陽電池は、高い変換効率を有する太陽電池として注目されている(例えば特許文献1〜特許文献2参照)。例えば、CIGS型太陽電池は、光吸収層(光電変換層)として上記、Cu、In、Ga、Seの4種類の半導体材料からなる膜を用いる構成になっている。
【0003】
CIGS型太陽電池は、従来型の太陽電池に比べて光吸収層の厚さを薄くすることができるため、曲面への設置や運搬が容易となる。このため、高性能でフレキシブルな太陽電池として、広い分野への応用が期待されている。光吸収層を形成する手法として、従来、例えば蒸着法やスパッタリング法などを用いて形成する手法が知られていた(例えば、特許文献2〜特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−340482号公報
【特許文献2】特開2005−51224号公報
【特許文献3】特開平1−231313号公報
【特許文献4】特開平11−273783号公報
【特許文献5】特開2005−175344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、本発明者は、光吸収層を形成する手法として、上記半導体材料を液状体で基板上に塗布する手法を提案する。光吸収層を液状体の塗布によって形成する場合、以下の課題が挙げられる。
【0006】
上記の半導体のうちCuやInなどは酸化しやすい性質を有する(易酸化性)金属である。当該易酸化性の金属を含む液状体を塗布する場合、塗布環境における酸素濃度や湿度が高いと、易酸化性の金属が酸化してしまい、塗布膜の膜質が低下してしまう虞がある。この問題点は、CIGS型太陽電池の半導体膜を塗布形成する場合に限られず、一般に易酸化性の金属を含む液状体を塗布する場合において想定されうる。
【0007】
上記問題を解決するためには、例えば、特許文献5に示されるような、窒素循環型クリーンユニットで、メインチャンバー内を密閉し、高性能フィルターを介して窒素循環とすることでクリーン環境に維持することが考えられるが、対象薬液がフォトレジストのような有機材料の塗布を目的としており、金属を主成分とするものではないため、上記問題を解決することは困難であった。
また、上記に加えて、例えば装置をメンテナンスする際の作業の安全性等についても、従来同様に求められている。
【0008】
上記のような事情に鑑み、本発明は、作業の安全性を確保すると共に易酸化性の金属を含む塗布膜の膜質の低下を抑えることができる塗布装置及び塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る塗布装置は、易酸化性の金属を含む液状体を基板に塗布する塗布部と、前記塗布部によって前記液状体の塗布を行う塗布空間及び前記液状体の塗布された前記基板の塗布後移動空間を囲むチャンバと、前記チャンバ内の酸素濃度及び湿度のうち少なくとも一方を調整する調整部と、前記チャンバ内への異物の侵入に応じて前記塗布部の動作を停止させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、チャンバ内への異物の侵入に応じて塗布部の動作を停止させることができるので、例えばチャンバ内に直接アクセスして塗布部の管理(例えばメンテナンスなど)を行う場合の安全性を確保することができる。また、異物の侵入によってチャンバ内の雰囲気が変化する場合であっても、液状体がチャンバ内の雰囲気に接触するのを防ぐことができ、液状体に含まれる易酸化性の金属が酸化するのを防ぐことができるため、塗布膜の膜質の低下を抑えることができるという利点もある。
【0011】
上記の塗布装置は、前記チャンバは、前記塗布部を管理する管理領域を有し、前記制御部は、前記管理領域内への前記異物の侵入に応じて前記塗布部の動作を停止させることを特徴とする。
本発明によれば、管理領域への異物の侵入に応じて塗布部の動作を停止させることとしたので、例えば管理領域に直接アクセスして塗布部の管理を行う場合の安全性を確保することができる。加えて、チャンバの管理領域に侵入する異物によってチャンバ内の雰囲気が変化する場合であっても、チャンバ内の液状体の酸化を防ぐことができる。
【0012】
上記の塗布装置は、前記チャンバは、前記異物の侵入を検出する検出装置を有することを特徴とする。
本発明によれば、検出装置によって異物の侵入を検知することができるため、チャンバ内に直接アクセスして管理を行う場合の安全性を確保することができる。
【0013】
上記の塗布装置は、前記チャンバは、前記塗布部にアクセス可能なグローブ部を有し、前記管理領域は、前記グローブのアクセス可能な領域であることを特徴とする。
本発明によれば、グローブのアクセス可能な領域に直接アクセスしてメンテナンスなど管理を行う場合の安全性を確保することができる。加えて、当該領域の雰囲気が変化する場合であっても、液状体の酸化を防ぐことができる。
【0014】
上記の塗布装置は、前記制御部は、前記グローブの非アクセス領域については、前記塗布部の動作の停止を除外することを特徴とする。
本発明によれば、塗布部の全動作が停止されるのではなくグローブの非アクセス領域については塗布部の動作の停止が除外されることとしたので、管理時の安全性を確保しつつ塗布装置における動作を効率的に行うことができる。これにより、作業安全性の確保及びスループット低下の抑制を図ることができる。
【0015】
上記の塗布装置は、前記制御部は、前記塗布部の動作の停止後、少なくとも前記塗布部に供給される電力を遮断することを特徴とする。
本発明によれば、塗布部の動作の停止後、少なくとも当該塗布部に供給される電力が遮断されるため、確実に塗布部の駆動を停止させることができる。これにより、例えば塗布部においてメンテナンスなど管理を行う場合の安全性を確保することができる。なお、本発明においては、塗布部の駆動部に供給される電力が遮断される態様であれば、他の態様であっても構わない。
【0016】
本発明に係る塗布方法は、易酸化性の金属を含む液状体を基板に塗布する塗布ステップと、前記塗布ステップによって前記液状体の塗布される塗布空間及び前記液状体の塗布された前記基板の塗布後移動空間を囲むチャンバ内の酸素濃度及び湿度のうち少なくとも一方を調整する調整ステップと、前記チャンバ内への異物の侵入に応じて前記塗布ステップを停止させる停止ステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、チャンバ内への異物の侵入に応じて塗布ステップが停止されるため、例えばチャンバ内に直接アクセスして塗布部の管理(例えばメンテナンスなど)を行う場合の安全性を確保することができる。また、異物の侵入によってチャンバ内の雰囲気が変化する場合であっても、異物の侵入時に液状体がチャンバ内の雰囲気に接触するのを防ぐことができ、液状体に含まれる易酸化性の金属が酸化するのを防ぐことができるため、塗布膜の膜質の低下を抑えることができるという利点もある。
【0018】
上記の塗布方法は、前記チャンバは、前記塗布部を管理する管理領域を有し、前記停止ステップは、前記管理領域内への前記異物の侵入に応じて前記塗布部の動作を停止させることを特徴とする。
本発明によれば、停止ステップにおいて、管理領域への異物の侵入に応じて塗布部の動作を停止させることとしたので、例えば管理領域に直接アクセスして塗布部の管理を行う場合の安全性を確保することができる。加えて、チャンバの管理領域に侵入する異物によってチャンバ内の雰囲気が変化する場合であっても、チャンバ内の液状体の酸化を防ぐことができる。
【0019】
上記の塗布方法は、前記異物の侵入を検出する検出ステップを更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、検出ステップによって異物の侵入を検出することができるため、チャンバ内に直接アクセスして管理を行う場合の安全性を確保することができる。
【0020】
上記の塗布方法は、前記チャンバは、前記塗布部にアクセス可能なグローブ部を有し、前記管理領域は、前記グローブのアクセス可能な領域であることを特徴とする。
本発明によれば、グローブのアクセス可能な領域に直接アクセスしてメンテナンスなど管理を行う場合の安全性を確保することができる。加えて、当該領域の雰囲気が変化する場合であっても、液状体の酸化を防ぐことができる。
【0021】
上記の塗布方法は、前記停止ステップは、前記グローブの非アクセス領域については、前記塗布部の動作の停止を除外することを特徴とする。
本発明によれば、塗布部の全動作が停止されるのではなくグローブの非アクセス領域については塗布部の動作の停止が除外されることとしたので、管理時の安全性を確保しつつ塗布装置における動作を効率的に行うことができる。これにより、作業安全性の確保及びスループット低下の抑制を図ることができる。
【0022】
上記の塗布方法は、前記停止ステップは、前記塗布部の動作の停止後、少なくとも前記塗布部に供給される電力を遮断することを特徴とする。
本発明によれば、塗布部の動作の停止後、少なくとも当該塗布部に供給される電力が遮断されるため、確実に塗布部の駆動を停止させることができる。これにより、例えば塗布部においてメンテナンスなど管理を行う場合の安全性を確保することができる。なお、本発明においては、塗布部の駆動部に供給される電力が遮断される態様であれば、他の態様であっても構わない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、作業の安全性を確保すると共に塗布膜の膜質の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る塗布装置の構成を示す図。
【図2】本実施形態に係る塗布装置の一部の構成を示す図。
【図3】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図4】同、動作図。
【図5】同、動作図。
【図6】同、動作図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る塗布装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
以下の各図において、本実施形態に係る塗布装置の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。当該XYZ座標系においては、図中左右方向をX方向と表記し、平面視でX方向に直交する方向をY方向と表記する。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0026】
[第1実施形態]
[塗布装置]
図1は、本発明の第1実施形態に係る塗布装置CTRの構成を示す概略図である。
図1に示すように、塗布装置CTRは、チャンバCB、塗布部CT、塗布環境調整部AC、乾燥部DR、基板搬送部TR及び制御装置CONTを備えている。塗布装置CTRは、チャンバCB内で基板S上に液状体を塗布する装置である。
【0027】
本実施形態では、液状体として、例えばヒドラジンなどの溶媒に、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)といった易酸化性の金属材料を含有する液状組成物を用いている。この液状組成物は、CIGS型太陽電池の光吸収層(光電変換層)を構成する金属材料を含んでいる。勿論、液状体として、他の易酸化性の金属を分散させた液状体を用いる構成としても構わない。本実施形態では、基板Sとして、例えばガラスや樹脂などからなる板状部材を用いている。
【0028】
(チャンバ)
チャンバCBは、筐体10、基板搬入口11及び基板搬出口12を有している。筐体10は、内部に基板Sを収容可能に設けられている。基板搬入口11及び基板搬出口12は、筐体10に形成された開口部である。基板搬入口11は、例えば筐体10の−X側端部に形成されている。基板搬出口12は、例えば筐体10の+X側端部に形成されている。基板搬入口11及び基板搬出口12は、例えば不図示のロードロックチャンバに接続されている。
【0029】
基板搬入口11には、シャッタ部材11aが設けられている。シャッタ部材11aは、Z方向に移動可能に設けられており、基板搬入口11を開閉可能に設けられている。基板搬出口12には、シャッタ部材12aが設けられている。シャッタ部材12aは、シャッタ部材11aと同様、Z方向に移動可能に設けられており、基板搬出口12を開閉可能に設けられている。シャッタ部材11a及びシャッタ部材12aを共に閉状態にすることにより、チャンバCB内が密閉されるようになっている。図1においては、シャッタ部材11a及びシャッタ部材12aがそれぞれ閉状態になっている状態が示されている。
【0030】
チャンバCBの基板搬入口11側には、グローブ部Gが設けられている。グローブ部Gは、例えば作業者がチャンバCB内にアクセスする部分である。チャンバCBの基板搬入口11側の壁部には、開口部13aが設けられている。グローブ部Gは、当該開口部13aをチャンバCBの内側からシールするように取り付けられている。したがって、開口部13aはグローブ部Gによって塞がれた状態になっている。
【0031】
グローブ部Gは、袋状に形成されており、作業者がグローブ部G内に例えば手を挿入することにより、チャンバCB内のアクセス領域Ga内のメンテナンス動作などを行うことができるようになっている。アクセス領域Gaは、例えば塗布部CTを含んだ空間に設定されている。したがって、作業者は、グローブ部Gを介して塗布部CTにアクセスできるようになっている。チャンバCB内には、開口部13aの内側に検出機構60が設けられている。検出機構60は、グローブ部G内に作業者が手を入れたときに、検出信号を制御装置CONTに送信するようになっている。
【0032】
(塗布部)
塗布部CTは、チャンバCBの筐体10内に収容されている。塗布部CTは、長尺状に形成されたスリットノズルNZを有している。スリットノズルNZは、チャンバCB内の例えば基板搬入口11の近傍に設けられている。スリットノズルNZは、例えばY方向に長手になるように形成されている。
【0033】
図2は、スリットノズルNZの構成を示す図である。図2においては、スリットノズルNZの−Z側から+Z側を見たときの構成を示している。
同図に示すように、スリットノズルNZは、ノズル開口部21を有している。ノズル開口部21は、液状体を吐出する吐出口である。ノズル開口部21は、例えばスリットノズルNZの長手方向に沿ってY方向に形成されている。ノズル開口部21は、例えば長手方向が基板SのY方向の寸法とほぼ同一となるように形成されている。
【0034】
スリットノズルNZは、例えば上記のCu、In、Ge、Seの4種類の金属が所定の組成比で混合された液状体を吐出する。スリットノズルNZは、接続配管(不図示)などを介して、それぞれ液状体の供給源(不図示)に接続されている。スリットノズルNZは、内部に液状体を保持する保持部を有している。スリットノズルNZは、保持部に保持された液状体の温度を調整する温調機構(不図示)を有している。
【0035】
スリットノズルNZには、例えば不図示の移動機構が設けられており、例えばチャンバCB内の待機位置(例えば図6に示す位置)と塗布位置(図1に示す位置)との間で移動可能になっている。スリットノズルNZの待機位置には、例えば液状体をダミー吐出するダミー吐出機構DDが設けられている。ダミー吐出機構には、例えば液状体の気泡を検出する不図示の気泡センサが設けられている。
【0036】
(塗布環境調整部)
図1に戻って、塗布環境調整部ACは、酸素濃度センサ31、圧力センサ32、不活性ガス供給部33、排気部34を有している。
酸素濃度センサ31は、チャンバCB内の酸素濃度を検出し、検出結果を制御装置CONTに送信する。圧力センサ32は、チャンバCB内の圧力を検出し、検出結果を制御装置CONTに送信する。酸素濃度センサ31及び圧力センサ32は、それぞれ複数設けられている構成であっても構わない。図1においては、酸素濃度センサ31及び圧力センサ32は、チャンバCBの筐体10の天井部分に取り付けられた構成が示されているが、他の部分に設けられている構成であっても構わない。
【0037】
不活性ガス供給部33は、チャンバCBの筐体10内に例えば窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを供給する。不活性ガス供給部33は、ガス供給源33a、配管33b及び供給量調整部33cを有している。ガス供給源33aは、例えばガスボンベなどを用いることができる。
【0038】
配管33bは、一端がガス供給源33aに接続されており、他端がチャンバCBの筐体10内に接続されている。配管33bのうちチャンバCBに接続された端部が、チャンバCBにおける不活性ガス供給口となる。この不活性ガス供給口は、筐体10の+Z側に配置されている。
【0039】
供給量調整部33cは、筐体10内に供給する不活性ガスの供給量を調整する部分である。供給量調整部33cとしては、例えば電磁弁や手動で開閉させるバルブなどを用いることができる。供給量調整部33cは、例えば配管33bに設けられている。供給量調整部33cについては、配管33bに配置する構成の他、例えばガス供給源33aに直接設置する構成としても構わない。
【0040】
排気部34は、チャンバCBの筐体10内の気体を筐体10外部に排出する。排気部34は、排気駆動源34a、配管34b、配管34c及び除去部材34dを有している。排気駆動源34aは、配管34bを介して筐体10の内部に接続されている。排気駆動源34aとしては、例えばポンプなどが用いられている。配管34bは、筐体10の内部に設けられる端部に排気口を有している。この排気口は、筐体10の−Z側に配置されている。
【0041】
このように、不活性ガス供給口が筐体10の+Z側に配置され、排気口が筐体10の−Z側に配置されていることにより、筐体10内において気体が−Z方向に流通するようになっている。このため、筐体10内において気体の巻き上げの発生が抑えられた状態になっている。
【0042】
配管34cは、一端が排気駆動源34aに接続されており、他端が不活性ガス供給部33の配管33bに接続されている。配管34cは、排気駆動源34aによって排気された筐体10内の気体を供給経路に循環させる循環経路となる。このように、排気部34は、筐体10内の気体を循環させる循環機構を兼ねている。配管34cの接続先としては、不活性ガス供給部33の配管33bに限られず、例えば直接筐体10内に接続されている構成であっても構わない。配管34cには、例えば除去部材34dの上流側及び下流側にそれぞれバルブが設けられている。
【0043】
除去部材34dは、配管34c内に設けられている。除去部材34dとしては、例えば配管34c内を流通する気体のうち酸素成分及び水分を吸着させる吸着剤が用いられている。このため、循環させる気体を清浄化させることができるようになっている。除去部材34dは、配管34c内の一箇所に配置させる構成であっても構わないし、配管34cの全体に亘って配置された構成であっても構わない。
【0044】
(乾燥部)
乾燥部DRは、基板S上に塗布された液状体を乾燥させる部分である。乾燥部DRは、内部に赤外線装置などの加熱機構を有している。乾燥部DRは、当該加熱機構を用いることにより、液状体を加熱させて乾燥させるようになっている。乾燥部DRは、平面視でスリットノズルNZに重ならない位置に設けられている。具体的には、乾燥部DRは、スリットノズルNZの+X側に配置されている。このため、乾燥部DRの作用(例えば赤外線の照射)がスリットノズルNZに及びにくくなっており、スリットノズルNZ内の液状体が乾燥しにくい構成となっている。このように乾燥部DRをスリットノズルNZの+Z側に配置しない構成にすることで、スリットノズルNZに形成されるノズル開口部21の目詰まりを防止することができ、易酸化性の金属材料を含有する液状組成物の変質を防止することができるようになっている。
【0045】
(基板搬送部)
基板搬送部TRは、筐体10内で基板Sを搬送する部分である。基板搬送部TRは、複数のローラ部材50を有している。ローラ部材50は、基板搬入口11から基板搬出口12にかけてX方向に配列されている。各ローラ部材50は、Y軸方向を中心軸方向としてY軸周りに回転可能に設けられている。
【0046】
複数のローラ部材50は、それぞれ等しい径となるように形成されており、Z方向上の位置が等しくなるように配置されている。複数のローラ部材50は、+Z側の上端において基板Sを支持するようになっている。このため、各ローラ部材50の支持位置は同一面上に形成され、複数のローラ部材50によって基板Sの搬送面50aが形成されることになる。
【0047】
基板Sの搬送面50aは、基板搬入口11における基板Sの搬入位置及び基板搬出口12における基板Sの搬出位置との間でZ方向上の位置が等しくなるように形成されている。このため、基板Sは、基板搬入口11から基板搬出口12に至るまで、Z方向上の位置が変化することなく、安定して搬送されるようになっている。
【0048】
チャンバCB内の基板搬送面50a上の空間のうち、スリットノズルNZの−Z側は、基板Sに液状体の塗布が行われる塗布空間R1となる。チャンバCB内の基板搬送面50a上の空間のうち、スリットノズルNZの+X側の空間は、基板Sの塗布後搬送空間R2となる。
【0049】
(制御装置)
制御装置CONTは、塗布装置CTRを統括的に制御する部分である。具体的には、制御装置CONTは、チャンバCBのシャッタ部材11a及び12aの開閉動作、基板搬送部TRの搬送動作、塗布部CTによる塗布動作、乾燥部DRによる乾燥動作、塗布環境調整部ACによる調整動作などを制御する。調整動作の一例として、制御装置CONTは、酸素濃度センサ31及び圧力センサ32による検出結果に基づいて、不活性ガス供給部33の供給量調整部33cの開度を調整する。
【0050】
[塗布方法]
次に、本実施形態に係る塗布方法を説明する。本実施形態では、上記のように構成された塗布装置CTRを用いて基板S上に塗布膜を形成する。塗布装置CTRの各部で行われる動作は、制御装置CONTによって制御される。
【0051】
制御装置CONTは、チャンバCB内の雰囲気を不活性ガス雰囲気に調整させる。具体的には、不活性ガス供給部33を用いてチャンバCB内に不活性ガスを供給させる。この場合、制御装置CONTは、適宜排気部34を作動させることによってチャンバCB内の圧力を調整させるようにしても構わない。
【0052】
加えて、制御装置CONTは、スリットノズルNZの保持部に液状体を保持させる。制御装置CONTは、スリットノズルNZ内の温調機構を用いて、保持部に保持された液状体の温度を調整させる。このように、制御装置CONTは、基板Sに液状体を吐出させる状態を整えておく。
【0053】
塗布装置CTRの状態が整ったら、制御装置CONTは、ロードロックチャンバからチャンバCB内に基板Sを搬入させる。具体的には、制御装置CONTは、基板搬入口11のシャッタ部材11aを上昇させ、基板搬入口11から基板SをチャンバCB内に搬入させる。
【0054】
基板Sの搬入後、制御装置CONTは、基板搬送部TRのローラ部材50を回転させ、基板Sを+X方向に移動させる。基板Sの+X側の端辺がZ方向視でスリットノズルNZのノズル開口部21に重なる位置に到達したら、図3に示すように、制御装置CONTはスリットノズルNZを作動させてノズル開口部21から液状体Qを吐出させる。
【0055】
制御装置CONTは、スリットノズルNZの位置を固定させた状態でノズル開口部21から液状体Qを吐出させながらローラ部材50を回転させる。この動作により、基板Sの移動と共に基板Sの+X側から−X側へ液状体が塗布され、図4に示すように、基板Sの所定領域上に当該液状体の塗布膜Lが形成される(塗布ステップ)。塗布膜Lの形成後、制御装置CONTは、ノズル開口部21からの液状体の吐出動作を停止させる。
【0056】
吐出動作を停止後、制御装置CONTは、図5に示すように、乾燥部DRを作動させて基板S上の塗布膜を乾燥させる。制御装置CONTは、例えばローラ部材50の回転動作を停止させ、基板Sの移動を停止させた状態で乾燥部DRを作動させるようにする。例えば基板S上の塗布膜Lが乾燥するまでの時間や乾燥温度などを予め記憶させておくようにし、制御装置CONTが当該記憶させた値を用いて乾燥時間及び乾燥温度などを調整することで塗布膜Lの乾燥動作を行わせる。
【0057】
上記易酸化性の金属を含有する液状体Qを基板S上に塗布して光吸収層の一部を形成する場合、例えばCuやInなどは酸化しやすい性質を有する(易酸化性)金属であるため、チャンバCB内における酸素濃度が高いと、易酸化性の金属が酸化してしまう。これらの金属が酸化してしまうと、基板S上に形成される塗布膜の膜質が低下してしまう虞がある。
【0058】
そこで、本実施形態では、制御装置CONTは、塗布環境調整部ACを用いてチャンバCB内の酸素濃度を調整させるようにしている。具体的には、制御装置CONTは、不活性ガス供給部33を用いることにより、チャンバCB内に不活性ガスを供給する。この場合、制御装置CONTは、まず酸素濃度センサ31によってチャンバCB内の酸素濃度を検出させ、検出結果に基づき、供給量調整部33cを用いて不活性ガスの供給量を調整させつつ、チャンバCB内に不活性ガスを供給させる。
【0059】
例えば、検出された酸素濃度が予め設定された閾値を超えた場合にチャンバCB内に不活性ガスを供給させることができる。当該閾値については、予め実験やシミュレーションなどによって求めておき、制御装置CONTに記憶させておくことができる。また、例えば、塗布動作及び乾燥動作の間、常時一定量の不活性ガスをチャンバCB内に供給させた状態にしておき、酸素濃度センサ31の検出結果に基づいて、供給量を多くしたり少なくしたりさせることもできる。
【0060】
酸素濃度の検出に加えて、制御装置CONTは、圧力センサ32によってチャンバCB内の気圧を検出させる。制御装置CONTは、圧力センサ32の検出結果に基づき、供給量調整部33cを用いて不活性ガスの供給量を調整しつつ、チャンバCB内に不活性ガスを供給させる。
【0061】
例えば、チャンバCB内の気圧が予め設定された閾値を超えた場合に、排気部34を用いてチャンバCB内を排気させる。この閾値についても、予め実験やシミュレーションなどによって求めておき、制御装置CONTに記憶させておくことができる。また、例えば、塗布動作及び乾燥動作の間、チャンバCB内を常時一定量排気させた状態にしておき、圧力センサ32の検出結果に基づいて、排気量を多くしたり少なくしたりさせることもできる。
【0062】
排気部34から排気された気体は、配管34b及び配管34cを流通して不活性ガス供給部33の配管33bに循環される。配管34cを流通する際、この気体は除去部材34dを通過する。気体が除去部材34dを通過する際、気体中の酸素成分が除去部材34dに吸着されて除去される。このため、酸素濃度が低い状態の不活性ガスが配管33bに循環されることになる。チャンバCB内の気体を循環させることにより、温度などが安定化された状態で不活性ガスが供給されることになる。
【0063】
このような塗布装置CTRをメンテナンスする場合、作業者は、例えばグローブ部Gに手を挿入してチャンバCBの内部にアクセスすることができる。例えば図6に示すように、作業者がグローブ部Gに手を挿入した場合、検出装置60はチャンバCB内に侵入物があったものとして当該作業者の動作を検出し、検出信号を制御装置CONTに送信する(検出ステップ)。
【0064】
制御装置CONTは、検出装置60からの検出信号を受信した後、グローブ部Gのアクセス領域Ga内の動作を停止させる(停止ステップ)。アクセス領域Ga内には、塗布部CT、搬送機構TR(一部)、ダミー吐出機構DDが含まれている。制御装置CONTは、これら塗布部CT、搬送機構TRの一部、ダミー吐出機構DDの動作を一時的に停止させる。停止後、制御装置CONTは、少なくとも塗布部CTの駆動部の電源をオフにし、塗布部CTの駆動部に供給される電力を遮断する。このように制御装置CONTは、塗布部CTの駆動を停止させる。
【0065】
このとき、制御装置CONTは、アクセス領域Gaに含まれる各構成要素の駆動部の電源をオフにしても構わない。例えばチャンバCBのアクセス領域Ga内の複数箇所に検出機構60を配置させ、塗布部CTの駆動部のみ電源をオフにするかアクセス領域Ga内の各構成要素の駆動部の電源についても電源をオフにするかの判断を、例えばグローブGのアクセス位置(検出機構60による検出位置)に応じて行うようにしても構わない。
【0066】
作業者は、アクセス領域Ga内の駆動が停止している間、安全にチャンバCB内のメンテナンス動作を行うことができる。作業者がメンテナンス動作を終了し、グローブ部Gから手を抜き出した後、例えば作業者が塗布装置CTRの駆動部の電源を入れなおすことにより、塗布装置CTRの駆動が再開される。なお、検出装置60によって作業者の手を抜き出す動作を検出し、制御装置CONTに検出信号を送信するようにしても構わない。この場合、制御装置CONTは、この検出信号を受信した後、アクセス領域Ga内に含まれる各部の電源をオンにする。このように自動的に塗布装置CTRの動作を再開させるようにしても構わない。
【0067】
作業者は、塗布部CTによる駆動の途中であっても、グローブ部Gに手を挿入してメンテナンスを行うことができる。この場合においても、検出機構60は、同様に検出信号を制御装置CONTに送信する。制御装置CONTは、検出機構60からの検出信号を受信した後、駆動の途中であっても当該駆動を中断させ、アクセス領域Ga内の駆動部についての電源をオフにする。このように、例えば駆動の途中においてメンテナンスが必要な状況が発生した場合であっても、迅速な対応が可能となる。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、チャンバCB内への異物の侵入に応じて塗布部CTの動作を停止させることができるので、例えばグローブ部Gを介してチャンバCB内に直接アクセスして塗布部CT等の管理(例えばメンテナンスなど)を行う場合の安全性を確保することができる。また、また、異物の侵入によってチャンバCB内の雰囲気が変化する場合であっても、異物の侵入時に液状体がチャンバCB内の雰囲気に接触するのを防ぐことができる。これにより、液状体に含まれる易酸化性の金属が酸化するのを防ぐことができるため、塗布膜Lの膜質の低下を抑えることができる。
【0069】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、チャンバCB内に塗布部CT及び乾燥部DRが複数設けられている点で、第1実施形態とは異なっている。したがって、以下、当該相違点を中心に説明する。本実施形態では、第1実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0070】
図7は、本実施形態に係る塗布装置CTR2の態様を示す図である。同図に示すように、チャンバCB内には、塗布部CTと乾燥部DRとが、基板搬送方向(+X方向)に沿って交互に設けられている。塗布部CT及び乾燥部DRは、例えば2つずつ設けられている。本実施形態においても、塗布部CTのスリットノズルNZと乾燥部DRとがZ方向視で重ならない位置に配置されている。
【0071】
本実施形態では、グローブ部Gのアクセス領域Gaは基板搬送方向の上流側に配置される塗布部CT1を含んだ空間に設定されており、基板搬送方向の下流側に配置される塗布部CT2はアクセス領域Gaには含まれていない。したがって、作業者は、2つの塗布部CT1、CT2のうち基板搬送方向の上流側に配置される塗布部CT1についてのみグローブ部Gを介してアクセスできるようになっている。チャンバCB内には、開口部13aの内側に検出機構60が設けられている。検出機構60は、グローブ部G内に作業者が手を入れたときに、検出信号を制御装置CONTに送信するようになっている。
【0072】
上記の塗布装置CTR2を用いて塗布動作を行う場合、例えば塗布部CT1と塗布部CT2とによる重ね塗りが可能となる。制御装置CONTは、まず塗布部CT1に設けられるスリットノズルNZ1を用いた塗布動作を行わせ、基板搬送方向の上流側の乾燥部DRによって塗布膜Lを乾燥させる。その後、制御装置CONTは、基板Sを+X側へ搬送させ、スリットノズルNZ2を用いて塗布膜L上に液状体Qを吐出させる。このように、塗布部CT1及び塗布部CT2を用いて基板Sに複数層の塗布膜Lを形成することができる。
【0073】
上記の塗布装置CTR2をメンテナンスする場合も、第1実施形態と同様、作業者は、例えばグローブ部Gに手を挿入してチャンバCBの内部にアクセスすることができる。作業者がグローブ部Gに手を挿入した場合、検出装置60はチャンバCB内に侵入物があったものとして当該作業者の動作を検出し、検出信号を制御装置CONTに送信する。
【0074】
制御装置CONTは、検出装置60からの検出信号を受信した後、グローブ部Gのアクセス領域Ga内の動作を停止させる。このとき、アクセス領域Ga内の塗布部CT1において塗布動作が行われている場合には、制御装置CONTは、当該塗布動作を停止させる。一方、グローブGのアクセス領域Gaの外側(非アクセス領域)の塗布部CT2において塗布動作が行われている場合には、当該塗布動作を停止させないようにする。塗布部CT2での塗布動作が終了した後、アクセス領域Gaに基板Sを搬送する必要がない場合には、制御装置CONTは、そのまま基板搬出口12から基板Sを搬出させる。一方、アクセス領域Ga内に基板Sを搬送する必要がある場合(例えば、再度塗布部CT1にて塗布動作を行わせる場合など)には、制御装置CONTは、基板Sをアクセス領域Gaまで基板Sを搬送させた後、動作を停止させる。
【0075】
以上のように、本実施形態によれば、作業者がグローブ部Gを介してチャンバCB内に侵入した場合であっても、グローブ部Gのアクセス領域Gaの外側に設けられ侵入物の影響が比較的少ない塗布部CT2においては塗布動作が停止されずに済むため、塗布動作を効率的に行うことができる。これにより、作業安全性を確保しつつ、スループットの低下を抑制することができる。
【0076】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、グローブ部Gの配置を基板Sの搬入側の位置に1箇所設け、塗布部CT(又は塗布部CT1)にアクセスしてメンテナンスすることが可能な構成を挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えばグローブGを基板Sの搬出側の位置に設けるようにし、乾燥部DR(又は塗布部CT2)のメンテナンスが可能な構成としても構わない。また、例えば図1及び図7の紙面手前側又は奥側、すなわち、チャンバCBのうち基板Sの搬送方向の側方の壁部にグローブ部Gを配置し、チャンバCB内の全箇所にアクセス可能となるように構成しても構わない。
【0077】
また、上記実施形態では、チャンバCB内の酸素濃度を検出し、当該検出結果に基づいて不活性ガスの供給を行わせる構成としたが、これに限られることは無く、例えばチャンバCB内の湿度を検出し、当該検出された湿度に基づいて不活性ガスの供給を行わせる構成としても構わない。この場合、例えばチャンバCB内には、酸素濃度センサ31の他、湿度センサを別途配置させるようにする。酸素濃度センサ31の代わりに当該湿度センサを配置させる構成であっても構わない。
【0078】
また、上記実施形態においては、塗布部CTの構成として、スリットノズルNZを用いた構成としたが、これに限られることは無く、例えばディスペンサ型の塗布部を用いても構わないし、インクジェット型の塗布部を用いても構わない。また、例えば基板S上に配置される液状体をスキージなどを用いて拡散させて塗布する構成であっても構わない。
【0079】
また、上記実施形態においては、塗布部CTを構成するスリットノズルNZを固定させた構成としたが、これに限られることは無く、例えばスリットノズルNZを移動させる移動機構を備える構成とし、スリットノズルNZを移動させるようにすることも可能である。
【0080】
また、上記実施形態においては、基板搬送部TRとしてローラ部材50を用いた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば基板Sを浮上させる浮上機構を用いて基板Sを搬送させる構成としても構わない。この場合、チャンバCB内のうちスリットノズルNZが配置された領域に浮上機構を選択的に配置する構成にすることができる。この構成により、基板Sに形成する塗布膜の膜厚の制御を精密に行うことができる。
【0081】
また、上記実施形態においては、チャンバCB内に侵入する異物として、グローブ部Gに挿入する作業者の手を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、他の侵入物を検出して塗布動作を停止させる構成としても構わない。
【符号の説明】
【0082】
CTR…塗布装置 CB…チャンバ CT…塗布部 AC…塗布環境調整部 DD…ダミー吐出機構 DR…乾燥部 TR…基板搬送部 CONT…制御装置 S…基板 Q…液状体 L…塗布膜 NZ…スリットノズル R1…塗布空間 R2…塗布後搬送空間 10…筐体 21〜23…ノズル開口部 31…酸素濃度センサ 32…圧力センサ 33…不活性ガス供給部 33c…供給量調整部 34…排気部 34c…配管 34d…除去部材 50…ローラ部材 G…グローブ部 Ga…アクセス領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
易酸化性の金属を含む液状体を基板に塗布する塗布部と、
前記塗布部によって前記液状体の塗布を行う塗布空間及び前記液状体の塗布された前記基板の塗布後移動空間を囲むチャンバと、
前記チャンバ内の酸素濃度及び湿度のうち少なくとも一方を調整する調整部と、
前記チャンバ内への異物の侵入に応じて前記塗布部の動作を停止させる制御部と
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記チャンバは、前記塗布部を管理する管理領域を有し、
前記制御部は、前記管理領域内への前記異物の侵入に応じて前記塗布部の動作を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記チャンバは、前記異物の侵入を検出する検出装置を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記チャンバは、前記塗布部にアクセス可能なグローブ部を有し、
前記管理領域は、前記グローブのアクセス可能な領域である
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記グローブの非アクセス領域については、前記塗布部の動作の停止を除外する
ことを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記塗布部の動作の停止後、少なくとも前記塗布部に供給される電力を遮断する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項7】
易酸化性の金属を含む液状体を基板に塗布する塗布ステップと、
前記塗布ステップによって前記液状体の塗布される塗布空間及び前記液状体の塗布された前記基板の塗布後移動空間を囲むチャンバ内の酸素濃度及び湿度のうち少なくとも一方を調整する調整ステップと、
前記チャンバ内への異物の侵入に応じて前記塗布ステップを停止させる停止ステップと
を備えることを特徴とする塗布方法。
【請求項8】
前記チャンバは、前記塗布部を管理する管理領域を有し、
前記停止ステップは、前記管理領域内への前記異物の侵入に応じて前記塗布部の動作を停止させる
ことを特徴とする請求項7に記載の塗布方法。
【請求項9】
前記異物の侵入を検出する検出ステップを更に備える
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の塗布方法。
【請求項10】
前記チャンバは、前記塗布部にアクセス可能なグローブ部を有し、
前記管理領域は、前記グローブのアクセス可能な領域である
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の塗布方法。
【請求項11】
前記停止ステップは、前記グローブの非アクセス領域については、前記塗布部の動作の停止を除外する
ことを特徴とする請求項10に記載の塗布方法。
【請求項12】
前記停止ステップは、前記塗布部の動作の停止後、少なくとも前記塗布部に供給される電力を遮断する
ことを特徴とする請求項7から請求項11のうちいずれか一項に記載の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−56359(P2011−56359A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207141(P2009−207141)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】