説明

塗布装置

【課題】メンテナンスの効率性を向上させると共に基板搬送部上に塵や埃などが付着するのを防ぐことができる塗布装置を提供すること。
【解決手段】基板搬送部によって基板を搬送させつつ当該基板に液状体を塗布する塗布部を備える塗布装置であって、前記塗布部は、前記液状体を吐出するノズルを有し、前記ノズルに対して作業者がアクセス可能な領域まで前記塗布部を前記基板の搬送方向もしくは基板の搬送方向とは逆の方向に移動させる移動機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどの表示パネルを構成するガラス基板上には、配線や電極、カラーフィルタなどの微細なパターンが形成されている。一般的にこのようなパターンは、例えばフォトリソグラフィなどの手法によって形成される。フォトリソグラフィ法では、ガラス基板上にレジスト膜を形成する工程、このレジスト膜をパターン露光する工程、その後に当該レジスト膜を現像する工程がそれぞれ行われる。
【0003】
基板の表面上にレジスト膜を塗布する装置として、スリットノズルを固定し、当該スリットノズルの下を移動するガラス基板にレジストを塗布する塗布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えばレジストがスリットノズルの先端に固化して付着すると塗布ムラが発生するなど塗布性能が悪化するため、メンテナンス時にスリットノズルの先端を清掃する必要がある。
【0004】
スリットノズル先端の清掃は、通常、当該スリットノズル先端に付着した異物を作業者が手作業で拭き取ることによって行われる。スリットノズルは基板を搬送するステージ上に設けられているため、従来、作業者がステージ上に登ってスリットノズルにアクセスしていた。
【特許文献1】特開2005−236092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ステージは基板の搬送のために設計されたものであり、本来作業者の立ち入りは想定されていない。このため、作業者がステージ上で安全に作業を行おうとするとメンテナンスの工程が煩雑になってしまう。また、作業者がステージ上に登ることでステージ上に塵や埃などが付着する可能性もある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、メンテナンスの効率性を向上させると共に基板搬送部上に塵や埃などが付着するのを防ぐことができる塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る塗布装置は、基板搬送部によって基板を搬送させつつ当該基板に液状体を塗布する塗布部を備える塗布装置であって、前記塗布部は、前記液状体を吐出するノズルを有し、前記ノズルに対して作業者がアクセス可能な領域まで前記塗布部を前記基板の搬送方向もしくは基板の搬送方向とは逆の方向に移動させる移動機構を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、基板搬送部によって基板を搬送させつつ当該基板に液状体を塗布する塗布部を備える塗布装置の当該塗布部が液状体を吐出するノズルを有し、ノズルに対して作業者がアクセス可能な領域まで塗布部を基板の搬送方向もしくは基板の搬送方向とは逆の方向に移動させる移動機構を備えることとしたので、作業者が基板搬送部上に直接登ることなくノズルの清掃などのメンテナンスが可能となる。これにより、メンテナンスの効率性を向上させると共に基板搬送部上に塵や埃などが付着するのを防ぐことができる。
【0009】
上記の塗布装置は、前記移動機構は、前記基板搬送部上であって前記基板の搬送方向の基板搬入側及び基板搬出側のうち少なくとも一方の端部を前記領域として前記塗布部を移動させることを特徴とする。
本発明によれば、移動機構が基板搬送部上であって基板の搬送方向の基板搬入側及び基板搬出側のうち少なくとも一方の端部を上記作業者がアクセス可能な領域として塗布部を移動させることとしたので、作業者がノズルにアクセスするのを一層容易にすることができる。
【0010】
上記の塗布装置は、前記移動機構は、前記基板の搬送方向の基板搬入側及び基板搬出側のうち少なくとも一方の前記基板搬送部の端部を超える部分を前記領域として前記塗布部を移動させることを特徴とする。
本発明によれば、移動機構が基板の搬送方向の基板搬入側及び基板搬出側のうち少なくとも一方の基板搬送部の端部を超える部分を上記作業者がアクセス可能な領域として塗布部を移動させることとしたので、作業者が基板搬送部上から外れた位置においてノズルにアクセスすることができる。これにより、基板搬送部上に塵や埃などが付着するのをより確実に防ぐことができる。
【0011】
上記の塗布装置は、前記塗布部を前記基板搬送部上の所定の位置に保持する保持機構を更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、塗布部を基板搬送部上の所定の位置に保持する保持機構を更に備えることとしたので、塗布部の位置をより安定させることができる。これにより、作業者が一層ノズルにアクセスしやすくなる。
【0012】
上記の塗布装置は、前記基板搬送部上に設けられ前記ノズルの状態を管理する管理部を更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、基板搬送部上に設けられノズルの状態を管理する管理部を更に備えることとしたので、管理部によってノズルの状態を管理するのに加えて、作業者によって効率的にノズルが清掃されることとなるので、メンテナンス性の高い塗布装置を得ることができる。
【0013】
上記の塗布装置は、前記基板搬入側及び前記基板搬出側のうち少なくとも一方に前記管理部を移動させる管理部移動機構を更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、基板搬入側及び基板搬出側のうち少なくとも一方に管理部を移動させる管理部移動機構を更に備えることとしたので、ノズルの移動位置に合わせて管理部の位置を移動させることができる。これにより、作業者によるノズルのメンテナンスを一層効率的に行うことができる。さらに、管理部移動機構によって管理部を移動させることで、管理部もノズルと同様にメンテナンスすることができる。
【0014】
上記の塗布装置は、前記管理部は前記領域上に配置され、前記移動機構は、前記管理部上に前記塗布部を移動させることを特徴とする。
本発明によれば、管理部が上記作業者がアクセス可能な領域上に配置され、移動機構が管理部上に塗布部を移動させることとしたので、ノズルのメンテナンスの際にノズルの下方に管理部を移動させることができる。ノズルと基板搬送部との間に管理部が配置されることにより、例えばノズル清掃などのメンテナンス中にノズルから基板搬送部上に固化した液状体などが落下するのを防ぐことができ、基板搬送部上を清浄に保持することができる。
【0015】
上記の塗布装置は、前記移動機構は、前記管理部を超えて前記塗布部を移動させることを特徴とする。
本発明によれば、移動機構が管理部を超えて塗布部を移動させることとしたので、管理部の位置に関わらず塗布部の移動位置を設定することができる。これにより、作業者がノズルのメンテナンスを一層容易に行うことができる。
【0016】
上記の塗布装置は、前記管理部移動機構は、前記塗布部の移動に連動して前記管理部を移動させることを特徴とする。
本発明によれば、管理部移動機構が塗布部の移動に連動して管理部を移動させることとしたので、塗布部の移動及び管理部の移動を別個に行う場合に比べて移動時間の短縮化を図ることができると共に、移動制御を一層容易に行うことができる。
【0017】
上記の塗布装置は、前記塗布部は複数設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、塗布部が複数設けられていることとしたので、例えば複数の塗布部のうち一の塗布部によって液状体の塗布を行っている間に残りの塗布部についてノズルのメンテナンスを行うことができる。これにより、処理タクトを短縮することができ、塗布性能が高く、メンテナンス性の良好な塗布装置を得ることができる。
【0018】
上記の塗布装置は、前記移動機構は、一部の前記塗布部を前記搬送方向の基板搬入側へ移動させ、残りの前記塗布部を前記基板搬出側へ移動させることを特徴とする。
本発明によれば、塗布部が複数設けられている場合において、一部の塗布部を搬送方向の基板搬入側へ移動させ、残りの塗布部を基板搬出側へ移動させることとしたので、複数の塗布部について基板搬入側及び基板搬出側の両側で同時にノズルのメンテナンスを行うことができる。これにより、メンテナンスに要する時間を短縮することができる。また、複数の塗布部について分担してメンテナンスを行うことができるので、作業者の負担を軽減することができる。
【0019】
上記の塗布装置は、前記ノズルは、前記領域側に傾くように回転可能に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、ノズルが領域側に傾くように回転可能に設けられていることとしたので、作業者がノズルにアクセスする際にノズルを作業者の方へ向けることができる。これにより、作業者はノズルのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0020】
上記の塗布装置は、前記基板搬送部は、前記基板を浮上させる浮上機構を更に備えることを特徴とする。
作業者が基板搬送部上に直接登って作業を行うと基板搬送部上に塵や埃などが付着しやすくなる。基板搬送部が基板を浮上させる浮上機構を備える場合、当該塵や埃が基板に付着し、基板の品質を低下させる虞がある。本発明によれば、作業者が直接基板搬送部上に登って作業を行う必要が無いため、基板搬送部上に塵や埃が付着するのを抑えることができる。これにより、基板の品質の低下を回避することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板搬送部によって基板を搬送させつつ当該基板に液状体を塗布する塗布部を備える塗布装置の当該塗布部が液状体を吐出するノズルを有し、ノズルに対して作業者がアクセス可能な領域まで塗布部を基板の搬送方向もしくは基板の搬送方向とは逆の方向に移動させる移動機構を備えることとしたので、作業者が基板搬送部上に直接登ることなくノズルの清掃などのメンテナンスが可能となる。これにより、メンテナンスの効率性を向上させると共に基板搬送部上に塵や埃などが付着するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態に係る塗布装置1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置1は、例えば液晶パネルなどに用いられるガラス基板上にレジストを塗布する塗布装置であり、基板搬送部2と、塗布部3と、管理部4とを主要な構成要素としている。この塗布装置1は、基板搬送部2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、管理部4によって塗布部3の状態が管理されるようになっている。
【0023】
図2は塗布装置1の正面図、図3は塗布装置1の平面図、図4は塗布装置1の側面図である。これらの図を参照して、塗布装置1の詳細な構成を説明する。以下、塗布装置1の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、図中の方向をXYZ座標系を用いて説明する。基板搬送部2の長手方向であって基板の搬送方向をX方向と表記する。平面視でX方向(基板搬送方向)に直交する方向をY方向と表記する。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとする。
【0024】
(基板搬送部)
まず、基板搬送部2の構成を説明する。
基板搬送部2は、基板搬入領域20と、塗布処理領域21と、基板搬出領域22と、搬送機構23と、これらを支持するフレーム部24とを有している。この基板搬送部2では、搬送機構23によって基板Sが基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22へと順に搬送されるようになっている。基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22は、基板搬送方向の上流側から下流側へこの順で配列されている。搬送機構23は、基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22の各部に跨るように当該各部の一側方に設けられている。
【0025】
基板搬入領域20は、装置外部から搬送されてきた基板Sを搬入する領域であり、搬入側ステージ25と、リフト機構26とを有している。
搬入側ステージ25は、フレーム部24上のY方向中央部に設けられており、例えばSUSなどからなる平面視で矩形の板状部材である。この搬入側ステージ25は、X方向が長手になっている。搬入側ステージ25には、エア噴出孔25aと、昇降ピン出没孔25bとがそれぞれ複数設けられている。これらエア噴出孔25a及び昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25を貫通するように設けられている。
【0026】
エア噴出孔25aは、搬入側ステージ25のステージ表面25c上にエアを噴出する孔であり、例えば搬入側ステージ25のうち基板Sの通過する領域に平面視マトリクス状に配置されている。このエア噴出孔25aには図示しないエア供給源が接続されている。この搬入側ステージ25では、エア噴出孔25aから噴出されるエアによって基板Sを+Z方向に浮上させることができるようになっている。
【0027】
昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25のうち基板Sの搬入される領域に設けられている。当該昇降ピン出没孔25bは、ステージ表面25cに供給されたエアが漏れ出さない構成になっている。
【0028】
この搬入側ステージ25のうちY方向の両端部には、アライメント装置25dが1つずつ設けられている。アライメント装置25dは、搬入側ステージ25に搬入された基板Sの位置を合わせる装置である。各アライメント装置25dは長孔と当該長孔内に設けられた位置合わせ部材を有しており、搬入ステージ25に搬入される基板を両側から機械的に挟持するようになっている。
【0029】
リフト機構26は、搬入側ステージ25の基板搬入位置の裏面側に設けられている。このリフト機構26は、昇降部材26aと、複数の昇降ピン26bとを有している。昇降部材26aは、図示しない駆動機構に接続されており、当該駆動機構の駆動によって昇降部材26aがZ方向に移動するようになっている。複数の昇降ピン26bは、昇降部材26aの上面から搬入側ステージ25へ向けて立設されている。各昇降ピン26bは、それぞれ上記の昇降ピン出没孔25bに平面視で重なる位置に配置されている。昇降部材26aがZ方向に移動することで、各昇降ピン26bが昇降ピン出没孔25bからステージ表面25c上に出没するようになっている。各昇降ピン26bの+Z方向の端部はそれぞれZ方向上の位置が揃うように設けられており、装置外部から搬送されてきた基板Sを水平な状態で保持することができるようになっている。
【0030】
塗布処理領域21は、レジストの塗布が行われる部位であり、基板Sを浮上支持する処理ステージ27が設けられている。
処理ステージ27は、ステージ表面27cが例えば硬質アルマイトを主成分とする光吸収材料で覆われた平面視で矩形の板状部材であり、搬入側ステージ25に対して+X方向側に設けられている。処理ステージ27のうち光吸収材料で覆われた部分では、レーザ光などの光の反射が抑制されるようになっている。この処理ステージ27は、Y方向が長手になっている。処理ステージ27のY方向の寸法は、搬入側ステージ25のY方向の寸法とほぼ同一になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27c上にエアを噴出する複数のエア噴出孔27aと、ステージ表面27c上のエアを吸引する複数のエア吸引孔27bとが設けられている。これらエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bは、処理ステージ27を貫通するように設けられている。また、処理ステージ27の内部には、エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bを通過する気体の圧力に抵抗を与えるための図示しない溝が複数設けられている。この複数の溝は、ステージ内部においてエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bに接続されている。
【0031】
処理ステージ27では、エア噴出孔27aのピッチが搬入側ステージ25に設けられるエア噴出孔25aのピッチよりも狭く、搬入側ステージ25に比べてエア噴出孔27aが密に設けられている。このため、この処理ステージ27では他のステージに比べて基板の浮上量を高精度で調節できるようになっており、基板の浮上量が例えば100μm以下、好ましくは50μm以下となるように制御することが可能になっている。
【0032】
基板搬出領域22は、レジストが塗布された基板Sを装置外部へ搬出する部位であり、搬出側ステージ28と、リフト機構29とを有している。この搬出側ステージ28は、処理ステージ27に対して+X方向側に設けられており、基板搬入領域20に設けられた搬入側ステージ25とほぼ同様の材質、寸法から構成されている。搬出側ステージ28には、搬入側ステージ25と同様、エア噴出孔28a及び昇降ピン出没孔28bが設けられている。リフト機構29は、搬出側ステージ28の基板搬出位置の裏面側に設けられており、例えばフレーム部24に支持されている。リフト機構29の昇降部材29a及び昇降ピン29bは、基板搬入領域20に設けられたリフト機構26の各部位と同様の構成になっている。このリフト機構29は、搬出側ステージ28上の基板Sを外部装置へと搬出する際に、基板Sの受け渡しのため昇降ピン29bによって基板Sを持ち上げることができるようになっている。
【0033】
搬送機構23は、搬送機23aと、真空パッド23bと、レール23cとを有している。搬送機23aは内部に例えばリニアモータが設けられた構成になっており、当該リニアモータが駆動することによって搬送機23aがレール23c上を移動可能になっている。この搬送機23aは、所定の部分23dが平面視で基板Sの−Y方向端部に重なるように配置されている。この基板Sに重なる部分23dは、基板Sを浮上させたときの基板裏面の高さ位置よりも低い位置に設けられている。
【0034】
真空パッド23bは、搬送機23aのうち上記基板Sに重なる部分23dに複数配列されている。この真空パッド23bは、基板Sを真空吸着させる吸着面を有しており、当該吸着面が上方を向くように配置されている。真空パッド23bは、吸着面が基板Sの裏面端部を吸着することで当該基板Sを保持可能になっている。各真空パッド23bは搬送機23aの上面からの高さ位置が調節可能になっており、例えば基板Sの浮上量に応じて真空パッド23bの高さ位置を上下させることができるようになっている。
【0035】
レール23cは、フレーム部24の−Y方向側の側部24a上に設けられており、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の側方に各ステージに跨って延在している。当該レール23cを摺動することで搬送機23aが当該各ステージに沿って移動できるようになっている。
【0036】
(塗布部)
次に、塗布部3の構成を説明する。
塗布部3は、基板S上にレジストを塗布する部分であり、門型フレーム31と、ノズル32とを有している。
【0037】
門型フレーム31は、支柱部材31aと、架橋部材31bとを有しており、処理ステージ27をY方向に跨ぐように設けられている。支柱部材31aは処理ステージ27のY方向側に1つずつ設けられており、各支柱部材31aがフレーム部24のY方向側の両側面にそれぞれ支持されている。各支柱部材31aは、上端部の高さ位置が揃うように設けられている。架橋部材31bは、各支柱部材31aの上端部の間に架橋されており、当該支柱部材31aに対して昇降可能となっている。
【0038】
この門型フレーム31は移動機構34に接続されている。移動機構34は、レール部材35及び駆動機構36を有している。レール部材35はフレーム24のうち−Y方向側の側部24a及び+Y方向側の側部24b上に1本ずつ設けられており、それぞれX方向に延在している。2本のレール部材35の−X方向の端部は、それぞれフレーム24の側部24a及び24bの−X方向の端部まで設けられている。駆動機構36は、門型フレーム31に接続され塗布部3をレール部材35に沿って移動させるアクチュエータである。
【0039】
レール部材35がフレーム24の側部24a及び24bの−X方向の端部まで設けられていることにより、塗布部3は搬入側ステージ25の−X方向の端部まで移動可能になっている。塗布部3の移動に伴って、当該塗布部3に設けられたノズル32についても搬入側ステージ25の−X方向の端部まで移動可能になっている。また、この門型フレーム31は、図示しない移動機構によりZ方向にも移動可能になっている。
【0040】
ノズル32は、一方向が長手の長尺状に構成されており、門型フレーム31の架橋部材31bの−Z方向側の面に設けられている。このノズル32のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部32aが設けられており、当該開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。ノズル32は、開口部32aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部32aが処理ステージ27に対向するように配置されている。開口部32aの長手方向の寸法は搬送される基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。ノズル32の内部にはレジストを開口部32aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部32aへと押し出すことで開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。支柱部材31aには不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によって架橋部材31bに保持されたノズル32がZ方向に移動可能になっている。ノズル32には不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によってノズル32が架橋部材31bに対してZ方向に移動可能になっている。門型フレーム31の架橋部材31bの下面には、ノズル32の開口部32a、すなわち、ノズル32の先端32cと当該ノズル先端32cに対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサ33が取り付けられている。このセンサ33はY方向に沿って例えば3つ設けられている。
【0041】
(管理部)
管理部4の構成を説明する。
管理部4は、基板Sに吐出されるレジスト(液状体)の吐出量が一定になるようにノズル32を管理する部位であり、基板搬送部2のうち塗布部3に対して−X方向側に設けられている。この管理部4は、予備吐出機構41と、ディップ槽42と、ノズル洗浄装置43と、これらを収容する収容部44と、当該収容部を保持する保持部材45とを有している。
【0042】
予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43は、−X方向側へこの順で配列されている。予備吐出機構41は、レジストを予備的に吐出する部分である。当該予備吐出機構41は塗布部3が塗布処理領域21上に配置されている状態でノズル32に最も近くなる位置に設けられている。ディップ槽42は、内部にシンナーなどの溶剤が貯留された液体槽である。ノズル洗浄装置43は、ノズル32の開口部32a近傍をリンス洗浄する装置であり、Y方向に移動する図示しない洗浄機構と、当該洗浄機構を移動させる図示しない移動機構とを有している。この移動機構は、洗浄機構よりも−X方向側に設けられている。ノズル洗浄装置43は、移動機構が設けられる分、予備吐出機構41及びディップ槽42に比べてX方向の寸法が大きくなっている。なお、予備吐出機構41、ディップ槽42、ノズル洗浄装置43の配置については、本実施形態の配置に限られず、他の配置であっても構わない。
【0043】
収容部44のY方向の寸法は上記門型フレーム31の支柱部材31a間の距離よりも小さくなっており、上記門型フレーム31が収容部44を超えてX方向に移動できるようになっている。また、門型フレーム31は、収容部44内に設けられる予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43について、これらの各部を跨ぐようにアクセスできるようになっている。
【0044】
保持部材45は、管理部移動機構46に接続されている。管理部移動機構46は、レール部材47及び駆動機構48を有している。レール部材47は、フレーム24のうち−Y方向側の側部24a及び+Y方向側の側部24b上に1本ずつ設けられており、それぞれX方向に延在している。各レール部材47は、塗布部3の門型フレーム31に接続される2本のレール部材35の間に配置されている。2本のレール部材47の−X方向の端部は、それぞれフレーム24の側部24a及び24bの−X方向の端部まで設けられている。駆動機構48は、保持部材45に接続され管理部4をレール部材47上に沿って移動させるアクチュエータである。
【0045】
このレール部材47がフレーム24の側部24a及び24bの−X方向の端部まで設けられていることにより、管理部4が搬入側ステージ25の−X方向の端部まで移動可能になっている。また、各レール部材47がレール部材35の間に配置されているため、管理部4は塗布部3の門型フレーム31をくぐるように移動することになる。
【0046】
(塗布動作)
次に、上記のように構成された塗布装置1の動作を説明する。
図5〜図8は、塗布装置1の動作過程を示す平面図である。各図を参照して、基板Sにレジストを塗布する動作を説明する。この動作では、基板Sを基板搬入領域20に搬入し、当該基板Sを浮上させて搬送しつつ塗布処理領域21でレジストを塗布し、当該レジストを塗布した基板Sを基板搬出領域22から搬出する。図5〜図8には門型フレーム31及び管理部4の輪郭のみを破線で示し、ノズル32及び処理ステージ27の構成を判別しやすくした。以下、各部分における詳細な動作を説明する。
【0047】
基板搬入領域20に基板を搬入する前に、塗布装置1をスタンバイさせておく。具体的には、搬入側ステージ25の基板搬入位置の−Y方向側に搬送機23aを配置させ、真空パッド23bの高さ位置を基板の浮上高さ位置に合わせておくと共に、搬入側ステージ25のエア噴出孔25a、処理ステージ27のエア噴出孔27a、エア吸引孔27b及び搬出側ステージ28のエア噴出孔28aからそれぞれエアを噴出又は吸引し、各ステージ表面に基板が浮上する程度にエアが供給された状態にしておく。
【0048】
この状態で、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から図5に示す基板搬入位置に基板Sが搬送されてきたら、昇降部材26aを+Z方向に移動させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25bからステージ表面25cに突出させる。この昇降部材26aの動作により、基板Sが昇降ピン26bに持ち上げられ、当該基板Sの受け取りが行われる。また、アライメント装置25dの長孔から位置合わせ部材をステージ表面25cに突出させておく。
【0049】
基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容する。このとき、ステージ表面25cにはエアの層が形成されているため、基板Sは当該エアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。基板Sがエア層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Y方向側に配置された搬送機23aの真空パッド23bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させる。基板Sの−Y方向側端部が吸着された状態を図5に示す。真空パッド23bによって基板Sの−Y方向側端部が吸着された後、搬送機23aをレール23cに沿って移動させる。基板Sが浮上した状態になっているため、搬送機23aの駆動力を比較的小さくしても基板Sはレール23cに沿ってスムーズに移動する。
【0050】
基板Sの搬送方向先端がノズル32の開口部32aの位置に到達したら、図6に示すように、ノズル32の開口部32aから基板Sへ向けてレジストを吐出する。レジストの吐出は、ノズル32の位置を固定させ搬送機23aによって基板Sを搬送させながら行う。基板Sの移動に伴い、図7に示すように基板S上にレジスト膜Rが塗布されていく。基板Sがレジストを吐出する開口部32aの下を通過することにより、基板Sの所定の領域にレジスト膜Rが形成される。
【0051】
レジスト膜Rの形成された基板Sは、搬送機23aによって搬出側ステージ28へと搬送される。搬出側ステージ28では、ステージ表面28cに対して浮上した状態で、図8に示す基板搬出位置まで基板Sが搬送される。
【0052】
基板Sが基板搬出位置に到達したら、真空パッド23bの吸着を解除し、リフト機構29の昇降部材29aを+Z方向に移動させる。昇降部材29aの移動により、昇降ピン29bが昇降ピン出没孔28bから基板Sの裏面へ突出し、基板Sが昇降ピン29bによって持ち上げられる。この状態で、例えば搬出側ステージ28の+X方向側に設けられた外部の搬送アームが搬出側ステージ28にアクセスし、基板Sを受け取る。基板Sを搬送アームに渡した後、搬送機23aを再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻し、次の基板Sが搬送されるまで待機させる。
【0053】
次の基板Sが搬送されてくるまでの間、塗布部3では、ノズル32の吐出状態を保持するための予備吐出が行われる。図9に示すように、レール部材35によって門型フレーム31を管理部4の位置まで−X方向へ移動させる。
【0054】
管理部4の位置まで門型フレーム31を移動させた後、門型フレーム31の位置を調整してノズル32の先端をノズル洗浄装置43にアクセスさせ、当該ノズル洗浄装置43によってノズル先端32cを洗浄する。
【0055】
ノズル先端32cの洗浄後、当該ノズル32を予備吐出機構41にアクセスさせる。予備吐出機構41では、開口部32aと予備吐出面との間の距離を測定しながらノズル32の先端の開口部32aをZ方向上の所定の位置に移動させ、ノズル32を−X方向へ移動させながら開口部32aからレジストを予備吐出する。
【0056】
予備吐出動作を行った後、門型フレーム31を元の位置に戻す。次の基板Sが搬送されてきたら、図10に示すようにノズル32をZ方向上の所定の位置に移動させる。このように、基板Sにレジスト膜Rを塗布する塗布動作と予備吐出動作とを繰り返し行わせることで、基板Sには良質なレジスト膜Rが形成されることになる。
【0057】
なお、必要に応じて、例えば管理部4に所定の回数アクセスする毎に、当該ノズル32をディップ槽42内にアクセスさせても良い。ディップ層42では、ノズル32の開口部32aをディップ槽42に貯留された溶剤(シンナー)の蒸気雰囲気に曝すことでノズル32の乾燥を防止する。
【0058】
(メンテナンス)
次に、ノズル32のメンテナンスについて説明する。本実施形態では、ノズル32のメンテナンスのうちノズル32の清掃について説明する。ノズル32の清掃は、作業者がノズル32を手作業にて拭き取ることによって行われる。
【0059】
まず、図11に示すように、塗布部3の門型フレーム31に接続された駆動機構36を駆動させ、基板搬送部2の塗布処理領域21上に配置されていた塗布部3を、基板搬送部2の基板搬入領域20の−X方向の端部まで移動させる。このとき、塗布部3は管理部4を超えて移動することになる。
【0060】
次に、図12に示すように、管理部4の保持部材45に接続された駆動機構48を駆動させ、管理部4を基板搬送部2の基板搬入領域20の−X方向の端部まで移動させる。管理部4の当該動作により、門型フレーム31の直下、すなわち、ノズル32の直下に管理部4が配置されることになる。塗布部3の移動及び管理部4の移動については、それぞれ別々に移動させても良いし、塗布部3と管理部4とが連動するように駆動機構36及び駆動機構48を同時に駆動させても良い。
【0061】
次に、図13に示すように、フレーム24の−X方向側に作業台60を設置する。この作業台60は、Y方向の寸法が少なくともノズル32のY方向の寸法よりも大きくなるように設けられており、ノズル32をY方向にカバーする範囲に設置する。なお、作業台60については、フレーム24内に予め配置しておき必要に応じて出没させるようにしても良いし、外部から運んできて設置するようにしても良い。
【0062】
作業台60の設置後、図14に示すように、作業者Pが作業台60上に登る。作業者Pが作業台60上に登った状態において、作業者Pのアクセス可能な範囲Qは、作業者Pの手の届く空間、すなわち、基板搬送部2上の空間のうち−X方向の端部を含んだ空間及び作業台60上の空間となる。門型フレーム31は基板搬送部2の−X方向の端部に移動してきているため、作業者Pのアクセス可能な範囲Qに含まれることになる。作業者Pは、アクセス可能な範囲Q内に位置するノズル32にアクセスし、ノズル先端を拭き取る作業を行う。拭き取り後、門型フレーム32及び管理部4の位置を元の位置に戻し、塗布動作を行うようにする。
【0063】
このように、本実施形態によれば、ノズル32に対して作業者Pがアクセス可能な領域Qまで塗布部3を基板Sの搬送方向もしくは基板Sの搬送方向とは逆の方向に移動させる移動機構34を備えることとしたので、作業者Pが基板搬送部2上に直接登ることなくノズル32の拭き取りなどのメンテナンスが可能となる。これにより、メンテナンスの効率性を向上させると共に基板搬送部2上に塵や埃などが付着するのを防ぐことができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、基板搬入側及び基板搬出側のうち少なくとも一方に管理部4を移動させる管理部移動機構46を更に備えることとしたので、ノズル32の移動位置に合わせて管理部4の位置を移動させることができる。これにより、作業者Pによるノズル32のメンテナンスを一層効率的に行うことができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、管理部4が上記作業者がアクセス可能な領域Q上に配置され、移動機構34及び管理部移動機構46によって塗布部3を管理部4上に移動させることとしたので、ノズル32のメンテナンスの際にノズル32の下方に管理部4を移動させることができる。ノズル32と基板搬送部2との間に管理部4が配置されることにより、例えばノズル32の清掃などのメンテナンス中にノズル32から基板搬送部2の搬入側ステージ25上に固化したレジストなどが落下するのを防ぐことができ、基板搬送部2上を清浄に保持することができる。
【0066】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態と同様、以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。また、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、フレーム24の構成及びレール部材35、レール部材47の構成が第1実施形態と異なっているため、この点を中心に説明する。
【0067】
図15は、本実施形態に係る塗布装置1の構成を示す斜視図であり、第1実施形態における図1に対応している。本実施形態では、フレーム24の側部24a及び24bにおける−X方向の端部T1が、基板搬送部2の搬入側ステージ25における−X方向の端部T2よりも−X方向側にはみ出した状態になっている。また、レール部材35及びレール部材47がフレーム24の側部24a及び24bの端部T1まで設けられた構成になっている。他の構成は、第1実施形態と同一である。
【0068】
図15に示す構成においては、塗布部3及び管理部4が基板搬送部2の搬入側ステージ25における−X方向の端部T2を超えた位置まで移動することができるようになっている。例えば、図15に示すように、フレーム24の側部24a及び24bにおける−X方向の端部T1に合わせて作業台60を設置した場合、作業者のアクセス可能な領域Qはフレーム24の側部24a及び24b上の空間のうち−X方向の端部を含んだ空間及び作業台60上の空間となる。したがって、塗布部3及び管理部4は作業者のアクセス可能な領域Qまで移動可能に設けられていることになる。
【0069】
このように、本実施形態によれば、基板搬送部2の−X方向の端部T2を超える部分を上記作業者がアクセス可能な領域Qとして、レール部材35に沿って塗布部3を移動させることとしたので、基板搬送部2上から外れた位置において作業者にメンテナンスを行わせることができる。これにより、基板搬送部2上に塵や埃、レジストなどが付着するのをより確実に防ぐことができる。なお、本実施形態においては、レール部材35のみが基板搬送部2の−X方向の端部T2を超えて延在する構成であっても、同様の効果を得ることができる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第1実施形態と同様、以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。また、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、レール部材35及びレール部材47の構成が第1実施形態と異なっているため、この点を中心に説明する。
【0071】
図16は、本実施形態に係る塗布装置1の構成を示す斜視図であり、第1実施形態における図1に対応している。本実施形態では、レール部材35及びレール部材47がフレーム24の側部24a及び24bの−X方向側の端部から+X方向側の端部まで設けられた構成になっている。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0072】
図16に示す構成においては、塗布部3及び管理部4が基板搬送部2の搬入側ステージ25における−X方向側の端部及び搬出側ステージ28における+X方向側の端部まで移動可能に設けられている。例えば、図16に示すように、搬入側ステージ25の−X方向側端部に沿って作業台60を設置する場合、作業者のアクセス可能な領域Q1は、基板搬送部2上の空間のうち−X方向の端部を含んだ空間及び作業台60上の空間である。また、例えば搬出側ステージ28の+X方向側端部に沿って作業台61を設置した場合、作業者のアクセス可能な領域Q2は、基板搬送部2上の空間のうち+X方向の端部を含んだ空間及び作業台61上の空間である。したがって、塗布部3及び管理部4は作業者のアクセス可能な領域Q1及びQ2まで移動可能に設けられていることになる。
【0073】
このように、本実施形態によれば、塗布部3及び管理部4が作業者のアクセス可能な2つの領域Q1及びQ2に移動可能に設けられることとしたので、ノズル32の清掃などのメンテナンスの際には塗布装置1の基板搬入側及び基板搬出側のどちらからでもノズル32にアクセスすることができる。これにより、塗布装置1の設置される環境に応じて塗布部3の移動位置を柔軟に設定することが可能となる。
【0074】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第1実施形態と同様、以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。また、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、塗布部3の構成、レール部材35及びレール部材47の構成が第1実施形態と異なっているため、この点を中心に説明する。
【0075】
図17は、本実施形態に係る塗布装置1の構成を示す斜視図であり、第1実施形態における図1に対応している。本実施形態では、塗布部が複数、例えば2つ設けられた構成になっており、基板搬入領域20側には塗布部3aが、基板搬出領域22側には塗布部3bがそれぞれ設けられている。
【0076】
また、本実施形態では、第3実施形態と同様に、レール部材35及びレール部材47がフレーム24の側部24a及び24bの−X方向側の端部から+X方向側の端部まで設けられた構成になっている。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0077】
図17に示す構成においては、塗布部3aが基板搬送部2の搬入側ステージ25における−X方向側の端部に移動可能に設けられており、塗布部3bが搬出側ステージ28における+X方向側の端部まで移動可能に設けられている。例えば、図17に示すように、搬入側ステージ25の−X方向側端部に沿って作業台60を設置する場合、作業者のアクセス可能な領域Q1は、第3実施形態と同様、基板搬送部2上の空間のうち−X方向の端部を含んだ空間及び作業台60上の空間である。また、例えば搬出側ステージ28の+X方向側端部に沿って作業台61を設置した場合、作業者のアクセス可能な領域Q2は、第3実施形態と同様、基板搬送部2上の空間のうち+X方向の端部を含んだ空間及び作業台61上の空間である。したがって、塗布部3aは作業者のアクセス可能な領域Q1まで移動可能に設けられていることになり、塗布部3bは作業者のアクセス可能な領域Q2まで移動可能に設けられていることになる。
【0078】
このように、本実施形態によれば、塗布部が複数設けられている場合において、塗布部3aを基板搬入領域20側へ移動させ、塗布部3bを基板搬出領域22側へ移動させることとしたので、塗布部3a及び3bを基板搬入側及び基板搬出側の両側において同時にノズル32のメンテナンスを行うことができる。これにより、メンテナンスに要する時間を短縮することができる。また、基板搬入領域20側に設置された作業台60、基板搬出領域側22に設置された作業台61において各作業者が塗布部3a及び3bに対して分担してノズル32のメンテナンスを行うことができるため、メンテナンスの効率を向上させることができる。
【0079】
なお、本実施形態においては、塗布部が2つ設けられた構成としたが、これに限られることは無く、例えば塗布部が3つ以上設けられた構成としても、本発明の適用は可能である。この場合、複数の塗布部のうち一部を基板搬入領域20側に移動させ、残りを基板搬出領域22側に移動させるようにすることが好ましい。
【0080】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、塗布部3を作業者がアクセス可能な領域まで移動させる手段として、サーボで動かし、エンコーダー(リニアスケール)での位置決めを行ってもよく、さらにリミットセンサを付加するなどしても良い。また塗布部3を移動させた後に、メカニカル的に保持する保持機構を設けても良く、当該保持機構として、図18に示すようなクランプ機構62を設けるようにしても構わない。このクランプ機構62は支柱部材31bのうちレール部材35に対向する位置に設けられており、例えばレール部材35の図中左右方向の両側、すなわち、塗布部3の移動方向の側方に設けられている。塗布部3が所望の位置に移動した後、クランプ機構62が突出してレール部材35に当接し、両側からレール部材35を挟持することで塗布部3の位置を保持するようになっている。
【0081】
このように、塗布部3を基板搬送部2上の所定の位置に保持するクランプ機構62を有することで、塗布部3の位置をより安定させることができる。これにより、作業者が一層ノズル32のメンテナンスを行いやすくなる。クランプ機構62を管理部4の保持部材45に設けるようにしても構わない。また、クランプ機構62の構成については、図18に示す構成に限られず、他の構成であっても勿論構わない。
【0082】
また、例えば図19に示すように、ノズル32が作業者P側に傾くように回転可能に設けられた構成であっても構わない。この構成によれば、ノズル32の先端32cが作業者Pの方を向くため、作業者Pはノズル32に容易にアクセスすることが可能となる。これにより、メンテナンスの効率が向上することになる。
【0083】
また、塗布装置1の全体構成については、上記実施形態では、搬送機構23を各ステージの−Y方向側に配置する構成としたが、これに限られることは無い。例えば、搬送機構23を各ステージの+Y方向側に配置する構成であっても構わない。また、図20に示すように、各ステージの−Y方向側には上記の搬送機構23(搬送機23a、真空パッド23b、レール23c)を配置し、+Y方向側には当該搬送機構23と同一の構成の搬送機構53(搬送機53a、真空パッド53b、レール53c)を配置して、搬送機構23と搬送機構53とで異なる基板を搬送できるように構成しても構わない。例えば、同図に示すように搬送機構23には基板S1を搬送させ、搬送機構53には基板S2を搬送させるようにする。この場合、搬送機構23と搬送機構53とで基板を交互に搬送することが可能となるため、スループットが向上することになる。また、上記の基板S、S1、S2の半分程度の面積を有する基板を搬送する場合には、例えば搬送機構23と搬送機構53とで1枚ずつ保持し、搬送機構23と搬送機構53とを+X方向に並進させることによって、2枚の基板を同時に搬送させることができる。このような構成により、スループットを向上させることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、移動機構34のレール部材35及び移動機構46のレール部材47がそれぞれフレーム24の側部24a及び24bの上面に設けられた構成としたが、これに限られることは無く、例えば図21に示すように、レール部材35及びレール部材47がそれぞれフレーム24の側部24a及び24bの内部に設けられた構成としても構わない。
【0085】
図21では、フレーム24の側部24a及び24bに溝部24c及び溝部24dがX方向に沿って設けられると共に、レール部材35が溝部24c内に設けられレール部材47が溝部24dに設けられた構成になっている。また、塗布部3の支柱部材31aの−Z方向の端部が溝部24c内に挿入された状態で支柱部材31aがレール35上に配置されており、管理部4の保持部材45の−Z方向の端部が溝部24d内に挿入された状態で保持部材45がレール部材47上に配置されている。
【0086】
なお、図21においては、溝部24cのZ方向の寸法が溝部24dのZ方向の寸法よりも大きくなっているが、勿論これに限られることは無く、例えば溝部24dのZ方向の寸法が溝部24cのZ方向の寸法よりも大きくなっていても構わないし、溝部24cと溝部24dとでZ方向の寸法が同一になっていても構わない。
【0087】
また、上記実施形態では、基板Sを浮上させて搬送する塗布装置1を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、基板を搬送させつつ塗布を行う塗布装置であれば、浮上搬送型以外の塗布装置、例えば搬送ローラなどの搬送機構によって基板を搬送する塗布装置であっても本発明の適用は可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、作業者がノズル32のメンテナンスを行う構成のみを説明したが、これに限られることは無く、例えば管理部4をアクセス可能な領域Qへ移動させ当該管理部4のメンテナンスを行うようにしても構わない。また、例えば塗布部3及び管理部4を作業者のアクセス可能な領域Qへ移動させ、ノズル32の直下に管理部4が配置された状態でまずノズル32のメンテナンスを行い、ノズル32のメンテナンス終了後に塗布部3を塗布処理領域21に移動させ、その後管理部4のメンテナンスを行うようにしても構わない。これにより、塗布装置1のメンテナンスの効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態に係る塗布装置の構成を示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す正面図。
【図3】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す平面図。
【図4】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す側面図。
【図5】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図6】同、動作図。
【図7】同、動作図。
【図8】同、動作図。
【図9】同、動作図。
【図10】同、動作図。
【図11】本実施形態に係る塗布装置のメンテナンスの工程を示す図。
【図12】同、工程図。
【図13】同、工程図。
【図14】同、工程図。
【図15】本発明の第2実施形態に係る塗布装置の構成を示す斜視図。
【図16】本発明の第3実施形態に係る塗布装置の構成を示す斜視図。
【図17】本発明の第4実施形態に係る塗布装置の構成を示す斜視図。
【図18】本発明に係る塗布装置の他の構成を示す図。
【図19】本発明に係る塗布装置の他の構成を示す図。
【図20】本発明に係る塗布装置の他の構成を示す図。
【図21】本発明に係る塗布装置の他の構成を示す図。
【符号の説明】
【0090】
1…塗布装置 2…基板搬送部 3…塗布部 4…管理部 24…フレーム 24a、24b…側部 25…搬入側ステージ 28…搬出側ステージ 31…門型フレーム 34…移動機構 45…保持部材 46…移動機構 60、61…作業台 62…クランプ機構 P…作業者 Q、Q1、Q2…領域 T1、T2…端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搬送部によって基板を搬送させつつ当該基板に液状体を塗布する塗布部を備える塗布装置であって、
前記塗布部は、前記液状体を吐出するノズルを有し、
前記ノズルに対して作業者がアクセス可能な領域まで前記塗布部を前記基板の搬送方向もしくは基板の搬送方向とは逆の方向に移動させる移動機構を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記基板搬送部上であって前記基板の搬送方向の基板搬入側及び基板搬出側のうち少なくとも一方の端部を前記領域として前記塗布部を移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記基板の搬送方向の基板搬入側及び基板搬出側のうち少なくとも一方の前記基板搬送部の端部を超える部分を前記領域として前記塗布部を移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記塗布部を前記基板搬送部上の所定の位置に保持する保持機構を更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記基板搬送部上に設けられ前記ノズルの状態を管理する管理部を更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記基板搬入側及び前記基板搬出側のうち少なくとも一方に前記管理部を移動させる管理部移動機構を更に備える
ことを特徴とする請求項5に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記管理部は前記領域上に配置され、
前記移動機構は、前記管理部上に前記塗布部を移動させる
ことを特徴とする請求項5に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記移動機構は、前記管理部を超えて前記塗布部を移動させる
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記管理部移動機構は、前記塗布部の移動に連動して前記管理部を移動させる
ことを特徴とする請求項7又は請求項8のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記塗布部は複数設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項11】
前記移動機構は、一部の前記塗布部を前記搬送方向の基板搬入側へ移動させ、残りの前記塗布部を前記基板搬出側へ移動させる
ことを特徴とする請求項10に記載の塗布装置。
【請求項12】
前記ノズルは、前記領域側に傾くように回転可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項11のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項13】
前記基板搬送部は、前記基板を浮上させる浮上機構を更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項12のうちいずれか一項に記載の塗布装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2009−267022(P2009−267022A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113849(P2008−113849)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】