説明

塗料塗布システム、塗料塗布装置、およびプリント配線板の製造方法

【課題】製造するプリント配線板の信頼性を向上させる塗料塗布システム、塗料塗布装置、およびプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線板9の一方の面を覆う第1のメッシュシート122aと、前記第1のメッシュシート122aと対向して配置されるとともに、前記プリント配線板9の一方の面とは反対側の面を覆う第2のメッシュシート122bと、前記第1のメッシュシート122a上を移動可能に設けられ、前記プリント配線板9の一方の面に塗料を塗布する第1の塗布ロール12aと、前記第1の塗布ロール12aに追従するとともに前記第2のメッシュシート122b上を移動可能に設けられ、前記第1の塗布ロール12aにより塗料が塗布された面とは反対側の前記プリント配線板9の面に塗料を塗布する第2の塗布ロール12bと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料塗布システム、塗料塗布装置、およびプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板の製造方法における絶縁層及びソルダーレジスト層の形成方法としてロールコート法が広く普及している。
例えば、特許文献1には、配線板の配線パターンの面積比率の小さい側の面に対する塗布圧力を、配線パターンの面積比率の大きい側の面に対する塗布圧力よりも小さくすることによって、表裏面で配線パターン面積比率の異なる配線板においても表裏面で均一な膜厚を有する絶縁層やソルダーレジスト層を形成可能とした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−144419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の技術を用いて、貫通孔が形成されたプリント配線板に塗料を塗布した場合、当該貫通孔に空隙が発生することがあった。このような空隙が発生したプリント配線板に熱ストレスを加えると、当該空隙内にある気体の熱膨張により近傍の配線層が断線する可能性があり、製造するプリント配線板の信頼性に欠ける。
【0005】
そこで、本発明は、製造するプリント配線板の信頼性を向上させる塗料塗布システム、塗料塗布装置、およびプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プリント配線板の一方の面を覆う第1のメッシュシートと、前記第1のメッシュシートと対向して配置されるとともに、前記プリント配線板の一方の面とは反対側の面を覆う第2のメッシュシートと、前記第1のメッシュシート上を移動可能に設けられ、前記第1のメッシュシートに塗料を浸透させることで前記プリント配線板の一方の面に塗料を塗布する第1の塗布ロールと、前記第1の塗布ロールに追従するとともに前記第2のメッシュシート上を移動可能に設けられ、前記第2のメッシュシートに塗料を浸透させることで、前記第1の塗布ロールにより塗料が塗布された面とは反対側の前記プリント配線板の面に塗料を塗布する第2の塗布ロールと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、プリント配線板の両面に塗料を塗布する塗料塗布装置であって、本体と、前記本体に回動可能に設けられ、前記プリント配線板の一方の面に塗料を塗布する第1の塗布ロールと、前記プリント配線板を介して前記第1の塗布ロールに並設されるとともに、前記本体に回動可能に設けられ、前記第1の塗布ロールにより塗料が塗布された前記プリント配線板の面とは反対側の面に塗料を塗布する第2の塗布ロールと、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、配線パターンを有するとともに、貫通孔が形成されたプリント配線板の両面側に、一対のロールを有するロールコータを用いて塗料を塗布する塗料塗布工程を含むプリント配線板の製造方法であって、前記塗料塗布工程は、前記プリント配線板を介して対向しないように設けられた前記一対のロールのそれぞれを、所定方向に回転させながら前記プリント配線板の各面に当接させることで、当該一対のロール間を通過する前記プリント配線板の各面側に前記塗料を塗布する工程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
製造するプリント配線板の信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る塗料塗布システムの外観を示す概略図である。
【図2】本実施例におけるロールの外観を示した図である。
【図3】本実施例におけるロールの構成を示した図である。
【図4】本実施例におけるスクリーン122a,122bの外観を示した図である。
【図5】本実施例におけるコア材を示した図である。
【図6】本実施例における両面配線板を示した図である。
【図7】本実施例における絶縁性樹脂インクの塗布方法を示す図である。
【図8】本実施例におけるスルーホールに絶縁性樹脂インクを塗布する方法を示す図である。
【図9】本実施例における絶縁性樹脂インク塗布後の両面配線板表面を製面する方法を示す図である。
【図10】本実施例における絶縁性樹脂インク塗布後の両面配線板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(塗料塗布システム及び塗料塗布装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る塗料塗布システムの外観を示す概略図である。本実施例の塗料塗布システムは、塗料塗布装置として機能するロールコータ10aと、当該ロールコータ10aに取り付け可能に設けられ、両面配線板9を挟み込む一対のスクリーン122a,122bとを有するシステム10からなる。
【0012】
図1に示すように、本実施例のロールコータ10aは、一対のロール12a,12bと、一対のスキージ121a,121bと、絶縁性樹脂インク11を溜めておくための貯蔵部14a,14bと、一対のスクリーン122a,122bに挟み込まれた両面配線板9を把持する保持部15aと、一対のロール12a,12bを移動させるロール移動手段301と、一対のスキージ121a,121bを移動させるスキージ移動手段302と、を有している。
【0013】
また、ロール12a及び貯蔵部14aからなるロール部16aと、ロール12b及び貯蔵部14bからなるロール部16bとは、それぞれを接離する方向に移動させる駆動手段(図示せず)と接続されている。
【0014】
本実施のロール移動手段301は、両面配線板9のスルーホール4の内部に絶縁性樹脂インク11を空隙が発生しないように充填するために、ロール12aとロール12bとを互いに両面配線板9に対して対向しない位置で保持・移動させる。即ち、ロール12aとロール12bとは、一方のロールより進行方向に対して先行する位置に存在するように他方のロールが保持される。このような構成にすることで、本実施例では、先行するロールが先に両面配線板9の一方の面に絶縁性樹脂インク11を塗布するため、スルーホール4内部に空隙を形成せずに当該絶縁性樹脂インク11を埋め込むことができる。尚、この絶縁性インク11の塗布工程については図7及び図8を参照しながら後述する。
【0015】
また、本実施例では、両面配線板9を挟み込んだ一対のスクリーン122a,122bに一対のロール12a,12bをそれぞれ当接させながら移動させることにより、両面配線板9に絶縁性樹脂インク11を塗布する方法を採用する。具体的には、本実施例のスクリーン122a,122bはメッシュ状のシートにより形成される。従って、スクリーン122a,122bにロール12a,12bをそれぞれ当接させ、当該スクリーン122a,122bに絶縁性樹脂インク11を浸透させた場合、各網目から絶縁性樹脂インク11が漏れ出して両面配線板9に付着する。このような構成にすることで、両面配線板9表面上に絶縁性樹脂インク11を斑なく一様に塗布させることが可能となる。尚、ロール12a,12b、及びスクリーン122a,122bの構成については、図2乃至図4を参照しながら後述する。
【0016】
更に、本実施例では、両面配線板9表面上に絶縁性樹脂インク11を塗布した後、スキージ移動手段302により、スキージ121a,121bをスクリーン122a,122b上で移動させて両面配線板9表面上を製面することができる。尚、この製面工程については図9を参照しながら後述する。
【0017】
ここで、本実施例のロール移動手段301およびスキージ移動手段302は、ロールコータ10aの接地面に対して略直行する方向に一対のロール12a,12b、および一対のスキージ121a,121bをそれぞれ移動可能に支持する。尚、ロールコータ10aの接地面に対して略直行する方向とは、重力に逆らって上昇する方向又は重力に従って下降する方向を示し、ロールコータ10aの接地面と直行する方向に対して一定の傾斜を有していても良いものとする。このような構成にすることで、両面配線板9表面上に絶縁性樹脂インク11を斑なく一様に塗布させることが可能となる。
【0018】
また、ロール移動手段301を両面配線板9に対して平行方向に移動可能にすると共に任意の位置で固定するようにしてもよい。尚、本実施例では、両面配線板9に対してロール移動手段301によりロール12a,12bを移動させるが、これに限らず両面配線板9をロール12a,12bに対して移動させても良いものとする。
【0019】
次に、上述した一対のロール12a,12bについて、図2及び図3を用いて説明する。図2は、本実施例におけるロール12a,12bの外観を示した図である。図3は、本実施例におけるロール12a,12bの構成を示した図である。
【0020】
図2及び図3に示すように、本実施例における一対のロール12a,12bは、それぞれが円柱形状であり、ロール12aの外周部には周方向に延在する溝17aが一定のピッチ(開口幅に相当する)Laで複数形成されており、ロール12bの外周部には周方向に延在する溝17bが一定のピッチ(開口幅に相当する)Lbで複数形成されている。
【0021】
また、この溝17a,17bは、一定のピッチ(開口幅に相当する)La,Lbで周方向にスパイラル状に延在するように形成してもよい。実施例では、例えば一対のロール12a,12bとして、各直径Ra,Rbが約110mm、材質がエチレンプロピレンゴム(EPTともいう)、硬度Hvが60のロールを用いる。
【0022】
また、ロール12aの溝17aは、ピッチ(開口幅)Laが120μm、深さtaが60μm、開口角θaが90度であり、ロール12bの溝17bは、ピッチ(開口幅)Lbが120μm、深さtbが60μm、開口角θbが90度である。
【0023】
また、上述したロール12a,12bの溝17a,17bの形状及び寸法は実施例に限定されるものではないが、例えば、両面配線板に非貫通孔(有底穴ともいう)が形成されている場合、この非貫通孔の有する開口径よりも開口幅La,Lbを狭くすることが好ましい。非貫通孔の有する開口径よりも開口幅La,Lbを狭くすることにより、絶縁性樹脂インク11を両面配線板に塗布した際に非貫通孔内の空気が抜けやすくなるので、非貫通孔内に発生する空隙を抑制することができる。
【0024】
次に、上述した一対のスクリーン122a,122bについて、図4を用いて説明する。図4は、本実施例におけるスクリーン122a,122bの外観を示した図である。図4に示すように、本実施例における一対のスクリーン122a,122bは、それぞれがメッシュ状のシート400a,400bと、当該シートを保持するための外枠401a,401bとから成る。外枠401a,401bには、係合部402a,402bがそれぞれ設けられている。これにより、本実施例のスクリーン122aとスクリーン122bとは互いにずれがないように一定位置で合わせることが可能となる。
【0025】
本実施例における一対のスクリーン122a,122bは、両面配線板9の両面にメッシュ状の400a,400bが対向するように両面配線板9を挟み込んだ状態で、保持部15aによってシステム10内に保持される。
【0026】
(プリント配線板の製造方法)
次に、本発明のプリント配線板の製造方法の実施例について、以下に説明する。なお、ここではプリント配線板の製造方法として、2層の配線層を有するプリント配線板の製造方法を例に挙げて説明するが、これに限らず、本実施例は両面側に塗料を塗布して成るプリント配線板であればよい。
【0027】
本実施例は、ロールコート法を用いて絶縁層及びソルダーレジスト層を形成する工程において、配線板に絶縁性樹脂インク及びソルダーレジストインクを塗布する際に、当該配線板に設けられたスルーホールやIVH(InterstitialVia Hole)等の孔部内で空隙が形成されることを抑制するものである。以下、図5乃至図10を用いて本実施例における各工程を説明する。図5は、本実施例におけるコア材を示した図である。図6は、本実施例における両面配線板を示した図である。図7は、本実施例における絶縁性樹脂インクの塗布方法を示す図である。図8は、本実施例におけるスルーホールに絶縁性樹脂インクを塗布する方法を示す図である。図9は、本実施例における絶縁性樹脂インク塗布後の両面配線板表面を製面する方法を示す図である。図10は、本実施例における絶縁性樹脂インク塗布後の両面配線板を示す図である。
【0028】
(第1工程)
ここでは、図5に示すように、例えば長さ340mm、幅510mm、板厚0.4mmの樹脂基板であるコア材1を例に用いて説明する。先ず、コア材1の表裏面に厚さ12μmの銅箔2a,2bがそれぞれ貼り合わせられた両面銅張り板3の所定位置に、銅箔2a,2b間を電気的に接続するためのスルーホール4を貫通孔として形成する。
【0029】
このスルーホール4は、ドリル加工やレーザ加工により形成することができる。実施例では、ドリル加工により、その直径が約0.2mmであるスルーホール4を形成した。なお、コア材1及び銅箔2a,2bの厚さやスルーホール4の直径は、実施例に限定されるものではない。
【0030】
(第2工程)
次に、スルーホール4の内面及び銅箔2a,2bの表面に、例えば、銅からなる第1めっき層5a,5bを形成する。このめっき層5a,5bは、例えば、無電解銅めっきを行った後さらに電解銅めっきを行うことで形成される。
【0031】
めっき層5a,5bの形成後、フォトリソ法により、所定の配線パターン8aが得られるようにめっき層5a及び銅箔2aを選択的にエッチングして配線層6を形成し、所定の配線パターン8bが得られるようにめっき層5b及び銅箔2bを選択的にエッチングして第2配線層7を形成する。上述の工程を経ると、図6に示すように両面銅張り板3を両面配線板9が形成される。
【0032】
次に、この両面配線板9の表裏面上に、ロールコート法を用いて絶縁層を形成する。この絶縁層の形成方法は、両面配線板9の両面に、絶縁性樹脂インク11をロールコータ10aを用いて塗布して樹脂インク層18a,18bを形成する塗布工程と、この樹脂インク層18a,18bを、硬化させて絶縁層20,21とする硬化工程とからなる。
【0033】
塗布工程は、主としてスルーホール4内に空隙の発生を抑制しながらスルーホール4内部に絶縁性樹脂インク11を充填することを目的とした工程である。以降、塗布工程を第3工程、硬化工程を第4工程として説明する。
【0034】
(第3工程):塗布工程
この塗布工程は、ロールコータ10aを用いて、絶縁性樹脂インク11を両面配線板9の両面側に塗布する際、スルーホール4の内部、及び配線パターン8a,8bの間隙がこの絶縁性樹脂インク11で充填されることを目的にしている。
【0035】
まず、図7及び図8を参照しながら絶縁性樹脂インク11の塗布方法について説明する。本実施例では、絶縁性樹脂インク11を、所定の粘度、例えば、3〜6Pa・sの範囲内の粘度になるように粘度調整した後、貯蔵部14a,14bに供給する。
【0036】
ここで、一対のロール12a,12bを、図示しない駆動手段により回転させると、貯蔵部14a,14bに溜められた絶縁性樹脂インク11が一対のロール12a,12bの溝17a,17bに入り込む。
【0037】
次に、第2工程で作製した両面配線板9を挟み込んだ一対のスクリーン122a,122bを保持部15aに固定し、その後、図7に示すようにロール移動手段301により、両面配線板9を挟み込んだ一対のスクリーン122a,122bに一対のロール12a,12bをそれぞれ当接させながら移動させることにより、両面配線板9の表裏面に絶縁性樹脂インク11を転写していく。上述したとおり、本実施例のロール12aと、ロール12bとは進行方向に対して、回転軸をずらして設けられる。具体的には、図8に示すように、進行方向に対してロール12aがロール12bより前に位置するように配置される。即ち、本実施例の塗料塗布工程では両面配線板9におけるスクリーン122a側と当接する面に初めに絶縁性インク11が塗布された後、スクリーン122a側と当接する面とは反対側にある、スクリーン122b側と当接する他方の面に絶縁性インク11が塗布されることとなる。
【0038】
図8に示すように、両面配線板9に形成されたスルーホール4に対してスクリーン122a側と当接する面から絶縁性インク11が詰め込まれる。スルーホール4に一方向から流入された絶縁性インク11は、塞き止められることなく他方の面まで到達することができる。これによって本実施例では、スルーホール4内に空隙を形成することなく絶縁性インク11を流入させることが出来る。
【0039】
一対のロール12a,12bが両面配線板9を完全に通過し終わった後、図9に示すようにスキージ移動手段302により、両面配線板9を挟み込んだ一対のスクリーン122a,122bに一対のスキージ121a,121bをそれぞれ当接させながら移動させることにより、両面配線板9の表裏面を製面する。これにより、本実施例では両面配線板9に塗布された絶縁性インク11を斑無く広げるとともに、絶縁性インク11の厚みを均一化することが出来る。この製面工程が終了した後、保持部15aから両面配線板9を取り外す。
【0040】
以上の工程により、図10に示すように、両面配線板9の両面側の所定領域に、絶縁性樹脂インク11からなる樹脂インク層18a,18bを形成する。本実施例の構成により、スルーホール4の内部及び配線パターン間は絶縁性樹脂インク11で充填され、従来問題となっていた空隙抑制を実現することができる。
【0041】
(第4工程):硬化工程
上述の工程を経た両面配線板9を、例えば150℃で1時間程度加熱することによって、樹脂インク層18a,18b中の溶剤を蒸発させると共に、樹脂インク層18a,18bを硬化させて、絶縁層20を得る。
【0042】
表面が略平坦な面であるプリント配線板に電子部品等を実装する際、電子部品を精度良くこのプリント配線板に実装することができる。具体的には、プリント配線板の外層に位置基準パターンを形成し、この位置基準パターンを電子部品等を実装するための実装機の画像認識部で認識する際、表面が略平坦な面であると光の屈折による認識画像の歪みが小さいことにより、位置基準パターンを認識する認識精度が向上するため、電子部品を精度良くこのプリント配線板に実装することができる。
【0043】
このように本実施例における塗料塗布システム、塗料塗布装置、およびプリント配線板の製造方法では、製造するプリント配線板の信頼性を向上させることができる。尚、プリント配線板の信頼性とは、当該プリント配線板の製造工程や実施状況下での信頼性を指し、具体的には、例えば上述した熱硬化工程や、当該プリント配線板が実装された後の電子機器の使用中に発熱部品等の熱を受けた過程において、スルーホール内の空隙に存在する気体の膨張に伴い、プリント配線板の表面に凹凸が発生することを抑制したり、空隙が破裂して粉塵が発生することを抑制したりすることを防止することを示す。
【0044】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。例えば、実施例では、各工程とをそれぞれ独立した工程として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ロールコータと硬化(乾燥)炉とからなる一体型の塗布硬化装置を用いて、塗布工程と硬化工程とを連続して行ってもよい。
【0045】
また、本実施例では、2層の配線層からなるプリント配線板の製造方法について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、本実施例は、4層以上の多層の配線層からなるプリント配線板の製造方法においても、同様の効果を得ることができる。
【0046】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…コア材
2a,2b…銅箔
3…両面銅張り板
4…スルーホールIVH、
5a,5b…めっき層
6,7…配線層
8a,8b…配線パターン
9…両面配線板
10…塗料塗布システム
10a…ロールコータ
11…絶縁性樹脂インク
12a、12b…ロール
14a、14b…貯蔵部
15…保持部
18a,18b…樹脂インク層
20…絶縁層
La、Lb…ピッチ(開口部)
Ra、Rb…直径
ta、tb…深さ
θa、θb…開口角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の一方の面を覆う第1のメッシュシートと、
前記第1のメッシュシートと対向して配置されるとともに、前記プリント配線板の一方の面とは反対側の面を覆う第2のメッシュシートと、
前記第1のメッシュシート上を移動可能に設けられ、前記第1のメッシュシートに塗料を浸透させることで前記プリント配線板の一方の面に塗料を塗布する第1の塗布ロールと、
前記第1の塗布ロールに追従するとともに前記第2のメッシュシート上を移動可能に設けられ、前記第2のメッシュシートに塗料を浸透させることで、前記第1の塗布ロールにより塗料が塗布された面とは反対側の前記プリント配線板の面に塗料を塗布する第2の塗布ロールと、
を備えたことを特徴とする塗料塗布システム。
【請求項2】
前記第2の塗布ロールは、前記第1の塗布ロールと同方向へ移動可能に設けられるとともに、前記第1の塗布ロールの回転軸に対して進行方向に向かって後側に位置する回転軸を中心に回動することを特徴とする請求項1記載の塗料塗布システム。
【請求項3】
前記第1の塗布ロールと前記第2の塗布ロールとの間に、前記第1のメッシュシートと前記第2のメッシュシートとで覆われた前記プリント配線板を起立させて保持する保持部を更に備え、
前記第1の塗布ロールと前記第2の塗布ロールとは、上方へ移動するとともに塗料を塗布することを特徴とする請求項2記載の塗料塗布システム。
【請求項4】
前記第1のメッシュシート上を移動可能に設けられ、前記第1の塗布ロールにより塗料が塗布された前記プリント配線板の一方の面を製面する第1のスキージと、
前記第1のスキージに並設されるとともに、前記第2のメッシュシート上を移動可能に設けられ、前記第2の塗布ロールにより塗料が塗布された前記プリント配線板の一方の面とは反対側の面を製面する第2のスキージとを更に具備したことを特徴とする請求項3記載の塗料塗布システム。
【請求項5】
前記第1のスキージと前記第2のスキージとは、下方へ移動するとともに前記プリント配線板表面を製面することを特徴とする請求項4記載の塗料塗布システム。
【請求項6】
プリント配線板の両面に塗料を塗布する塗料塗布装置であって、
本体と、
前記本体に回動可能に設けられ、前記プリント配線板の一方の面に塗料を塗布する第1の塗布ロールと、
前記プリント配線板を介して前記第1の塗布ロールに並設されるとともに、前記本体に回動可能に設けられ、前記第1の塗布ロールにより塗料が塗布された前記プリント配線板の面とは反対側の面に塗料を塗布する第2の塗布ロールと、
を具備することを特徴とする塗料塗布装置。
【請求項7】
前記第1の塗布ロールの回転の中心位置と、前記第2の塗布ロールの回転の中心位置とは、前記プリント配線板を介して対向しないように設けられたことを特徴とする請求項6記載の塗料塗布装置。
【請求項8】
前記第1の塗布ロールと前記第2の塗布ロールとの間に、前記プリント配線板を起立させて保持する保持部を更に備え、
前記第1の塗布ロールと前記第2の塗布ロールとは、上方へ移動するとともに塗料を塗布することを特徴とする請求項7記載の塗料塗布装置。
【請求項9】
配線パターンを有するとともに、貫通孔が形成されたプリント配線板の両面側に、一対のロールを有するロールコータを用いて塗料を塗布する塗料塗布工程を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記塗料塗布工程は、
前記プリント配線板を介して対向しないように設けられた前記一対のロールを、所定方向に回転させながら前記プリント配線板の各面に当接させることで、当該一対のロール間を通過する前記プリント配線板の各面側に前記塗料を塗布する工程であることを特徴とするプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−225665(P2010−225665A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68660(P2009−68660)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】