説明

外壁パネルと外壁パネルの連結構造

【課題】室内居住環境を良好にし、外装施工を安全で容易に行うことが可能な外壁パネルと、この外壁パネルの連結構造を提供する。
【解決手段】所要の強度を備えた室内側壁部16および室外側壁部17により断面形状が矩形の枠体状に形成された保持部18を有し、室外側壁部17の外面には外装材12が固定され、室外側壁部17の室内側面には断熱材20が取り付けられていて、保持部18の内部空間のうち、断熱材20を除く領域には炭粒層22が収容されていて、保持部18の外表面に設けられ、外壁パネル10どうしを連結する際における連結端面には、連結端面から突出する突出部14が保持部18の厚さ方向の中心線位置から所要間隔をあけた部位に形成されていることを特徴とする外壁パネル10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装材と断熱材とを一体に設けた外壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家屋等の建築物の外壁を施工する際、外装材と断熱材とを一体に設けた外壁パネルを張り付ける工法が提案されている(特許文献1参照)。図7は、特許文献1にかかる外壁パネルの一例を示す構造断面図である。
図7に示した特許文献1にかかる外壁パネル100は、所定大きさの断熱材102と遮熱層104と合成樹脂シート106とを、室内側から室外側に順に接着剤により貼り合わせ、合成樹脂シート106の室外側の側面にタイル108を貼り付けて一体に形成したものである。このように、外装部材であるタイル108と断熱部材である断熱材102、遮熱層104と合成樹脂シート106の接着体とが一体に形成された外壁パネル100は、予め工場等で製造可能であり、家屋を建てる際に、間柱に配設するだけで簡単に外壁を施工することができる。
【0003】
近年、内装材を貼り付ける接着剤の一部に含まれているホルムアルデヒド等の有害化学物質が健康を害するといった問題がある。これは、接着剤に含まれる有害化学物質がわずかに気化し続け、徐々に汚染されることで発生するものである。特に、近年の建物は気密性が高いことからこのような汚染による健康上の不具合の発生が顕著になるという問題がある。
【0004】
そこで出願人は、内装材に含まれる有害物質の清浄化を目的として、特許文献2にあるような外壁パネルの提案を行った。図8は、特許文献2にかかる外壁パネルの構造を示す断面図である。図8に示した特許文献2にかかる外壁パネル200は、鋼板により枠体状に形成され、室外側壁部117の外面に外装材112が固定され、室内側壁部116に通気孔124が設けられた保持部118の内部に室内側壁部116に沿って炭粒層122と薄鋼板からなる網板128が設けられ、炭粒層122を除く領域に断熱材120を充てんしてなるものである。このように形成された外壁パネル200は、下端面111および上端面113にそれぞれ凸部111a,113aが形成されており、互いの凸部111a,113aを互い違いの配列にして嵌合させることにより、外壁パネル200を上下方向に連結する構造が採用されている。このような外壁パネル200により、気密性の高い建物であっても建物内の空気を常に清浄化し、健康的な生活をすることができる建物の構築の提供が可能になった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−93289号公報
【特許文献2】特開2005−126904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
出願人は特許文献2を提案した後も引き続き鋭意研究を進めた結果、特許文献2で提案した外壁パネルには更なる軽量化の余地があるという課題と、凹凸嵌合させる部分は精細な加工精度が要求されるため、製造コストが高くなること、および、外壁パネルを上下方向に連結するためには、作業足場が必要であり、しかも外壁パネルを持ち上げながらの作業になるため、作業が危険で非効率になってしまうといった課題を見出した。
【0007】
本発明は、室内居住環境を良好にすることはもちろんのこと、外装施工を安全で容易に行うことが可能な外壁パネルと、この外壁パネルの連結に用いて好適な外壁パネルの連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本願発明は、建築物の外壁部を構成する構造体として使用される外壁パネルであって、所要の強度を備えた室内側壁部および室外側壁部により断面形状が矩形の枠体状に形成された保持部を有し、前記室外側壁部の外面には外装材が固定され、前記室外側壁部の室内側面には断熱材が取り付けられていて、前記保持部の内部空間のうち、前記断熱材を除く領域には炭粒層が収容されていて、前記保持部の外表面に設けられ、外壁パネルどうしを連結する際における連結端面には、当該連結端面から突出する突出部が前記保持部の厚さ方向の中心線位置から所要間隔をあけた部位に形成されていることを特徴とする外壁パネルである。
【0009】
また、本願発明にかかる外壁パネルを連結状態に配設した際に、前記突出部どうしが前記保持部の厚さ方向において互い違いの配列、かつ、前記突出部の先端部が隣接する他の外壁パネルの対向端面に非接触状態に配設され、前記突出部間に形成された空間内には、隣接する外壁パネルの対向端面のそれぞれに当接する連結部用断熱材が配設されていて、さらに前記突出部の室内側および室外側のうち少なくとも室外側には、間詰め材が充てんされていることを特徴とする外壁パネルの連結構造の発明もある。
【発明の効果】
【0010】
本発明における外壁パネルの構成を採用することにより、室内居住環境を良好にすることはもちろんのこと、外壁パネルを大幅に軽量化することができ、作業足場を不要とし、容易に外壁パネルどうしを連結することができる。これにより外装施工を容易かつ低コストにて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる外壁パネルの一実施形態の構成を示す正面図および背面図である。
【図2】図1に示す外壁パネルを水平方向に並べて配置した際の状態を示す断面図である。
【図3】図1に示す外壁パネルの取り付け状態を示す拡大図である。
【図4】外壁パネルを連結する際の各工程における概略状態を示す断面図である。
【図5】外壁パネルが家屋に取り付けられた状態を示す概念図である。
【図6】外壁パネルの他の実施形態の一例を示す断面図である。
【図7】特許文献1にかかる外壁パネルの構成を示す断面図である。
【図8】特許文献2にかかる外壁パネルの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる外壁パネルの好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明にかかる外壁パネルの一実施形態の構成を示す正面図および背面図であり、図2は、図1に示す外壁パネルを水平方向に並べて配置した際の状態を示す断面図である。また、図3は、図1に示す外壁パネルを家屋に設置した状態を示す概略図である。図2の断面位置は図1(A)におけるA−A線位置であり、図3の断面位置は、図1(B)におけるB−B線位置に相当する位置である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の外壁パネル10は、建築物の外壁部を構成する構造体として使用され、外装材12と、外装材12よりも室内側に配設される保持部18とを貼り合わせて一体に形成したものである。
保持部18は、所要の強度を備えた室内側壁部16および室外側壁部17により断面矩形の枠体状に形成されている。図2に示すように、保持部18の内部には断熱作用をなす断熱材20と、空気浄化作用をなす炭粒層22とが収容されている。本実施形態における室内側壁部16はパネル体に形成され、室外側壁部17は、断面コの字状に形成されたパネル体に形成されている。室内側壁部16と室外側壁部17とは、断熱材20と炭粒層22の配設を終えた後に溶接等により保持部18として一体化される。
【0014】
本実施形態においては、保持部18の外側に取り付けられる外装材12として、平板状のパネルが用いられている。この外装材12は、接着剤により保持部18の室外側壁部17の室外側面に接着剤で接着されて保持部18と一体に設けられ、外壁パネル10が形成される。この外装材12の一例として、薄片に切り分けされた自然石を貼り付けたパネル体を用いることもできるが、合成樹脂製の模造石パネルを用いれば、外壁パネル10の軽量化の点においてさらに好都合である。
【0015】
図1および図2に示すように、本実施形態の外壁パネル10は、外壁パネル10を水平方向に並べて配設する際に、外壁パネル10どうしを容易にかつ確実に連結することができる構造が採用されている。具体的には、外壁パネル10の連結端面(すなわち、外壁パネル10の側面)に、連結対象の外壁パネル10側に突出する突出部14が外壁パネル10の板厚の中心位置(中心線位置)から所要間隔をあけた(図2内のe)部位に設けられている。
【0016】
外壁パネル10の一方の連結端面に設けられた突出部14は、外壁パネル10の厚さ方向における中心線位置から室外側に離間した部位に、他方の連結端面に設けられた突出片14は外壁パネル10の厚さ方向における中心線位置から室内側に離間した部位にそれぞれ配設されている。外壁パネル10を連結した際に両端位置に配設される外壁パネル10においては、一方の連結端面にのみ突出部14を設けているのはもちろんである。
このような突出部14は、アルミ材を引き抜き加工することにより室外側壁部17と一体形成することができる。また、室外側壁部17とは別体のアルミ板を突出部14として室外側壁部17に溶接等によって取り付けすることもできる。
【0017】
また、外壁パネル10(保持部18)の下端部分には壁面固定用のプレート15が取り付けられている。このプレート15には長手方向に所要間隔をあけて板厚方向に貫通する貫通孔15aが形成されている。このプレート15は予め貫通孔15aを形成したものを溶接等により保持部18に取り付けられる。外壁パネル10は、構造材36に取り付けられた取付用金具60にプレート15を固定することで構造材36に装着されることになる。
【0018】
本実施形態において保持部18を構成する室内側壁部16および室外側壁部17は、地震や風等による外力に対する十分な強度を有するアルミ板で形成されている。保持部18の室外側壁部17の室内側面には、リブ17A(図1(A)参照)が設けられている。このリブ17Aは、室外側壁部17を正面視した際の平面領域において内接する菱形を形成するとともに、この菱形の対向頂点どうしを連結する(菱形の対角線を形成する)配列となるように配設されている。このようなリブ17Aを配設することにより、外壁パネル10の保持部18を構成する室外側壁部17を薄肉化しても風荷重等に対して十分な強度を待たせることが可能になる。リブ17Aは溶接等により室外側壁部17に配設することができる。
【0019】
保持部18に収容されている断熱材20としては真空断熱材が好適に用いられる。断熱材20は、保持部18の室外側壁部17の室内側面に接着剤を塗布した後、断熱材20を圧着させることにより一体に取り付けられている。すなわち室外側壁部17の室内側表面は、断熱材20により被覆された状態になっている。
【0020】
保持部18の内部空間には、図2に示すように、断熱材20と室内側壁部16との間の領域(保持部18の内部空間において断熱材20が取り付けられている部分を除く領域)には備長炭に代表される木炭の粒(粒径が5mm〜8mm程度)が充てんされた炭粒層22が設けられている。このように、外壁パネル10の室内側壁面16に沿わせた状態で炭粒層22を設けることにより、炭の吸着力によって空気内に含まれる有害化学物質を吸着して室内の空気を浄化することができる。そして、保持部18内を層構成にして室内側に炭粒層22を設けることによって、炭粒層22の浄化が有効に作用するように設けられている。
【0021】
また保持部18の室内側壁部16には、孔径が約10mmの通気孔24が多数並んで設けられている(図1(B)参照)。この通気孔24は、所定幅の外周縁部16aよりも内側領域に設けられている。これは、後述する外壁パネル10の取り付けの際、室内側壁部16の外周縁部16aが、柱や桁材等の構造材36に当接して取り付けられることから、空気が出入りする範囲のみに通気孔24を設けたためである。
室内の空気は、室内側壁部16に設けられた通気孔24から保持部18内に入り込むと、空気の通過しにくい断熱材20内には入り込まず、炭粒層22内を通って通気孔24から室内側に戻ることから、空気は炭に効率よく触れ、炭の浄化作用が有効に作用する。
【0022】
本実施形態においては、断熱材20の作用効果を軽減させることなく、かつ十分な空気浄化作用をもたせるため、断熱材20の厚さと炭粒層22の厚さとの比を、おおむね1対3の割合となるように設けている。具体的には、断熱材20の厚さを5〜8mmとし、炭粒層22の厚さを約20mmとしている。
なお、室内側壁部16と炭粒層22との間には、木炭粒が通気孔24から外部に排出されないよう合成樹脂製の網板28が設けられている。
【0023】
ところで、上記外壁パネル10は、炭粒層22に室内空気が通過するので、寒い日などには炭粒層22内が結露することがある。また、外壁パネル10の使用期間が所定期間(目安として10〜20年)を経過した後には、炭粒層22を洗浄する必要がある。そこで本実施形態においては、図5に示すように、保持部18内部に、炭粒層22の下端部22aから外壁パネル10の底面11を貫く水抜き孔19が設けている。
【0024】
水抜き孔19は外壁パネル10の上面の室外側位置と、外壁パネル10の下面の室内側位置にそれぞれ配設されているので、上方の水抜き孔19から注入された洗浄用の水は、炭粒層22内を斜め方向に横断しながら流下することになり、炭粒層22を効率的に洗浄処理することができる。このように結露水や洗浄排水は、炭粒層22の炭粒の間を通って下端部22aに落ちた後水抜き孔19により室外に排出される。よって炭粒層22内に水が溜まって外壁パネル10内がかびたり朽ちたりすることを防止され、季節を問わず長期にわたって良好な状態で炭粒層22を使用することができる。
【0025】
次に、本実施形態の外壁パネル10を家屋30に施工する際の取り付け方法、および家屋30に取り付けられた外壁パネル10の作用効果について説明する。
図3に示すように、外壁パネル10は、建築物である家屋30の構造材(柱や桁材、土台など)36・・により形成された枠部に、室外側から枠部に取り付けられる大きさに予めつくられており、この外壁パネル10を取付用金具60により構造材36に固定することで簡単に取り付けることができる。構造材36と外壁パネル10との間には透湿防水シート38(図4,5参照)を配設することが好ましい。
【0026】
隣接する外壁パネル10どうしを連結する際について具体的に説明する。図4は、外壁パネルを連結する際の各工程における概略状態を示す断面図である。なお、図4の断面位置は、図1(A)内のA−A線に相当する断面位置である。
まず、構造材36には外壁パネル10を取り付ける側の面に透湿防水シート38を貼付しておく(図5参照)。次に、図4(A)に示すように、互いに隣接する外壁パネル10の連結端面に設けられている突出部14の先端位置が、連結対象の外壁パネル10の連結端面との間にすき間S(すき間Sの寸法は5〜10mm程度が好ましい)を持たせる位置となるように位置決めして配設する。
【0027】
次に、図4(B)に示すように、互いの突出部14,14との間に形成された空間内に連結部用断熱材である真空断熱材50を収容する。真空断熱材50は、真空断熱材50の外壁パネル10の連結方向における両端部が外壁パネル10の連結端面にそれぞれ当接した状態で配設され、真空断熱材50の厚さ方向が突出部14,14により挟持された状態で収容されている。
続いて図4(C)に示すように、突出部14が露出する部分(連結目地部分)に、断熱材(例えば、断熱用ウレタン材)からなる間詰め材52を充てんする。突出部14が露出する部分(連結目地部分)のうち室外側は、間詰め材52の種類に係らず耐候性コーキング材54を充てんすることにより、連結目地仕上げ処理を施すことが好ましい。
【0028】
このように、本発明においては、断熱材20と外装材12とが一体となった外壁パネル10を、所定の大きさに予め工場等でつくっておくことができる。本実施形態においては軽量化により、高さ方向には階数分の外壁パネル10を用いれば家屋30の外壁を形成することができるようになっており、2人の作業者での運搬が可能になっている。このように形成された外壁パネル10を用いれば、パーティションを構築する際の要領で外壁パネル10どうしを連結すれば、家屋30の外壁を簡単に施工することができるのである。
【0029】
以上に説明したように、本実施形態にかかる外壁パネル10を採用することにより、断熱材と外装材とが別々に設けられたモルタルやサイディングなどによって張り付ける従来の外壁パネルを用いた施工方法に比べ、施工品質にばらつきをなくすことができる。
また、外壁パネル10は、内部が断熱材20と炭粒層22の2層に設けられ、アルミ製の保持部18や合成樹脂製の網板28を採用していることから、従来の外壁パネルに比べて軽量である。このため、作業員が2人であっても取り付け作業は容易であり、しかも、家屋30の外壁施工の際における作業足場の使用を不要または短期間にすることができ、仮設工事に要する費用を節約することができる。また、外壁施工の際には、外壁パネル10を持ち上げながらの施工が不要になり、施工の安全性や効率を向上させることができ、高品質で低価格な家屋30の提供に貢献する。
【0030】
家屋30に取り付けられた外壁パネル10は、外壁パネル10内に収容されている断熱材20により、室内の気温を保つとともに、外壁パネル10の通気孔24から外壁パネル10内に入り込んだ空気に含まれている有害化学物質等を炭粒層22に吸着させることにより、常に室内の空気をクリーンに保つことができる。
このため、本実施形態においては、外壁パネル10を設けておくことで自然に室内をクリーンに保つことができるので空気清浄器を設置する必要がない。
【0031】
上記外壁パネル10は、居室空間に空気対流扇34が設けられている場合、特に顕著な効果を奏する。以下に、その作用について説明する。
図5に示す家屋30には、居室空間32内に空気を対流させるための空気対流扇34が設けられている。この空気対流扇34には、回転方向の正逆を切り換える制御部が備えられ、制御部は、所定時間おきに空気対流扇34の回転方向を切り換えるように設定されている。
これにより、室内の空気を一方向のみに流すのではなく、空気を対流させることができるので、より外壁パネル10の炭粒層22内に空気を通過させ、室内の空気をクリーンにすることができる。
【0032】
本実施形態においては、内装材40に呼吸性のある材料が用いられていることから、居室空間32内の空気対流扇34を回転させると、室内の空気は内装材40を通り抜け、内装材40と外壁パネル10との間の空気を対流させる。
空気対流扇34を正方向に回転させた場合、図5に示す矢印Aのように、外壁パネル10の室内側壁部16に風が当たるように作用することから、室内側壁部16には、空気を保持部18内に押し入れようとする正の圧力がかかる。反対に、空気対流扇34を逆回転させた場合には、図5に示す矢印Bのように、外壁パネル10の室内側壁部16の空気が空気対流扇34に吸引する作用をなすことから、室内側壁部16には、保持部18内の空気を吸い出そうとする負の圧力がかかる。
このように、空気対流扇34は、回転方向を変更することにより外壁パネル10の室内側壁部16に供給される風の向きを切り替えすることができる。このため、本実施形態においては、空気対流扇34の回転方向を所定時間おきに切り替えることで、室内の空気をより効率よくクリーンにすることができる。
【0033】
ただし、本発明においては、内装材40は呼吸性を有する材料であることに限定するものではなく、無呼吸性の材料により形成されている構成を採用してもよい。ただ、その場合には、内装材40の上縁部40aおよび/または幅木43に、空気が通過する網体スリット等の通気孔を設けることで、空気対流扇34の上記作用が生じるように設けることができる。
【0034】
なお、本発明にかかる外壁パネル10においては、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、外装材12として模造石パネルを用いているが、これに限定されるものではなく、タイルやレンガ、吹き付け、左官仕上げ等であっても良い。また、外装材12として、太陽光発電パネルや太陽熱吸収パネルを装着することももちろん可能である。
【0035】
また、保持部18も、アルミ板により形成されていることにのみ限定されるものではなく、炭素繊維により補強された炭素繊維入り合成樹脂等により形成すれば、外壁パネル10の軽量化、高強度化、結露発生の防止の点において好都合である。
さらには、断熱材20にリブ17Aの突出高さ以上の厚さ寸法を有するパネル状の第2の断熱材(図示せず)を貼着し、第2の断熱材をリブ17Aに食い込ませることにより、接着剤を用いることなく確実に室外側壁部17に断熱材20を密着させた状態で保持させることも可能である。
【0036】
また、外壁パネル10の連結端面に設ける突出部14の配設位置を、図6に示すように、外壁パネル10の厚さ方向の中心線からの偏心量eを、断熱材20の厚さ寸法(T)の半分以上にすることが好適である。この構成を採用することにより、突出部14,14に挟持させる連結部用断熱材(実施形態では真空断熱材50)の厚さ寸法を外壁パネル10内の断熱材20の厚さ寸法以上にすることができる。これにより外壁パネル10どうしの連結目地部分における断熱性能の低下を防ぐことができ、より快適な家屋30(建築物)の提供が可能になる。
【0037】
さらに、本実施形態においては建築物である家屋30がいわゆる平屋建ての構造について説明しているが、2階建て以上の家屋30(建築物)にも本願発明にかかる外壁パネル10を用いることができるのは当然である。このとき、外壁パネル10の上下方向における連結は、下方の外壁パネル10の上端面と上方の外壁パネル10の下端面との間にプレート15の突出高さに相当する隙間が生じることになる。しかしながら本願発明にかかる外壁パネル10は、1枚あたりの高さ寸法が家屋30の1階の外壁の高さ寸法に相当していることもあり、上下の外壁パネル10,10の連結部分の隙間は防水性および耐候性に優れた目地処理剤を充てんすれば仕上げ後の外観に不都合が生じることはない。
【符号の説明】
【0038】
10 外壁パネル
12 外装材
14 突出部
15 プレート
16 室内側壁部
17 室外側壁部
17A リブ
18 保持部
19 水抜き孔
20 断熱材
22 炭粒層
24 通気孔
30 家屋
32 居室空間
34 空気対流扇
36 構造材
40 内装材
50 真空断熱材
52 間詰め材
54 耐候性コーキング
60 取付用金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の外壁部を構成する構造体として使用される外壁パネルであって、
所要の強度を備えた室内側壁部および室外側壁部により断面形状が矩形の枠体状に形成された保持部を有し、
前記室外側壁部の外面には外装材が固定され、前記室外側壁部の室内側面には断熱材が取り付けられていて、
前記保持部の内部空間のうち、前記断熱材を除く領域には炭粒層が収容されていて、
前記保持部の外表面に設けられ、外壁パネルどうしを連結する際における連結端面には、当該連結端面から突出する突出部が前記保持部の厚さ方向の中心線位置から所要間隔をあけた部位に形成されていることを特徴とする外壁パネル。
【請求項2】
前記室外側壁部には、当該室外側壁部の壁面領域内に内接する菱形形状を形成する位置と、当該菱形形状内の対向頂点どうしを連結する位置と、にそれぞれリブが立設されていることを特徴とする請求項1記載の外壁パネル。
【請求項3】
前記保持部の底面には、炭粒層内の水を排出するための水抜き孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の外壁パネル。
【請求項4】
前記保持部がアルミ板からなることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の外壁パネル。
【請求項5】
前記保持部が炭素繊維により補強された合成樹脂製板からなることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の外壁パネル。
【請求項6】
建築物の外壁部を構成する構造体として使用される外壁パネルの連結構造であって、
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の外壁パネルを連結状態に配設した際に、前記突出部どうしが前記保持部の厚さ方向において互い違いの配列、かつ、前記突出部の先端部が隣接する他の外壁パネルの対向端面に非接触状態に配設され、
前記突出部間に形成された空間内には、隣接する外壁パネルの対向端面のそれぞれに当接する連結部用断熱材が配設されていて、
さらに前記突出部の室内側および室外側のうち少なくとも室外側には、間詰め材が充てんされていることを特徴とする外壁パネルの連結構造。
【請求項7】
前記連結部用断熱材に真空断熱材が用いられていることを特徴とする請求項6記載の外壁パネルの連結構造。
【請求項8】
前記間詰め材に断熱用ウレタン材が用いられていることを特徴とする請求項6または7記載の外壁パネルの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−252283(P2011−252283A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125204(P2010−125204)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(303053459)株式会社エル・アイ・シー (6)
【Fターム(参考)】