説明

外装部材の取付構造及びクリップ

【課題】固定箇所の数が増えても、取付作業性を改善でき、しかもクリップと対応する取付枠、及び取付枠と挿入片との相対的な位置精度を緩和し易くする。
【解決手段】外装部材1を被取付部材2の定位置に固定する外装部材の取付構造において、前記被取付部材2に突設された取付枠23と、前記外装部材1の裏面に突設されて前記取付枠23に遊挿(所定量の遊びを持って挿入されること)される挿入片10と、前記取付枠23に前記挿入片10を遊挿した状態でその取付枠内に形成される隙間Lに圧入されるクリップ3とを備え、前記クリップを前記隙間Lに圧入操作することにより、前記挿入片10の取付枠内から抜け及び取付枠内でのがたつきが阻止されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、外装部材を被取付部材にクリップ等を介して固定する態様に好適な外装部材の取付構造及びそれに用いられるクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
図10において、(a)は車両用ドアに設けられているアームレストの前部分を示し、符号6は車両用ドアのドアトリム、符号7はそのドアトリム6に突設されているアームレスト、符号8はアームレスト7の前棚部に埋設状態に配置されている不図示のパワーウインドユニットを覆っている外装部材としてのガーニッシュである。なお、ドアトリム及びアームレストは特許文献1に開示されているような構成である。ガーニッシュ8には、複数の小さな開口が設けられ、該開口からパワーウインドユニット9側のスイッチ等を操作可能に露出している。(b)は被取付部材としてのパワーウインドユニット9に対するガーニッシュ8の取付構造を示している。この取付構造では、パワーウインドユニット9の外周囲に突設された取付片部90と、ガーニッシュ8の裏面に突設されて取付片部90を受け止めるボス部80と、ねじ部材5とを備え、両部材8,9が取付片部90を対応するボス部80に位置決め配置した状態から、ねじ部材5が取付片部側の穴90aからボス部側穴80aに螺入される。この取付構造では、以上のねじ部材5で固定する箇所が例えば10以上と多くなると、各ねじ部材5を電動工具により順に締め付けたとしても作業工数が大きくなる。
【0003】
以上の対策としては、外装部材であるガーニッシュを被取付部材に対し固定する取付構造として、特許文献1に示されているようにクリップ(クリップ片)と係合孔との係合構造が考えられる。すなわち、この取付構造では、ガーニッシュ側に一体に形成された取付用ボス部と、該ボス部に装着されたクリップと、アームレスト側に設けられて前記クリップと係合する係合孔とを備え、ガーニッシュが押し移動によりクリップを対応する係合孔に係合することにより複数箇所を同時に固定して作業工数を軽減できるようにする。また、そのクリップの構造及びボス部への取付構造としては、例えば特許第4256541号公報等に開示のごとく色々工夫されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3631055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した取付構造では、クリップを対応する外装部材側のボス部に装着しなくてはならないため固定箇所の数に比例して作業工数も増大し、またクリップ自体の支持力つまり外装部材に対するクリップの支持力も充足しなくてはならない。しかも、従来の取付構造では、固定箇所ないしはクリップが増えると、各クリップと対応する係合孔との位置精度も高く要求される。
【0006】
そこで、本発明の目的は、以上のような課題を解消して、固定箇所の数が増えても、取付作業性を改善でき、しかもクリップと対応する取付枠、及び取付枠と挿入片との相対的な位置精度を緩和し易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、図1〜図7の例で特定すると、外装部材1を被取付部材2の定位置に固定する外装部材の取付構造において、前記被取付部材2に突設された取付枠23と、前記外装部材1の裏面に突設されて前記取付枠23に遊挿(所定量の遊びを持って挿入されること)される挿入片10と、前記取付枠23に前記挿入片10を遊挿した状態でその取付枠内に形成される隙間Lに圧入されるクリップ3とを備え、前記クリップを前記隙間Lに圧入操作することにより、前記挿入片10の前記取付枠内から抜け及び取付枠内でのがたつきが阻止されることを特徴としている。
【0008】
以上の発明は、請求項2〜5のよう構成することがより好ましいものとなる。即ち、(1)前記取付枠23は略コ字形であるとともに、被取付部材2は取付枠23のコ字形の中間片部24と対向するよう設けられた突起を有している構成である(請求項2)。
(2)前記クリップ3は、弧状部分31aを一部に形成して前記隙間Lに弾性変位を伴って圧入される差込板部30と、前記差込板部30の両側に設けられて前記取付枠23を構成しているコ字形の両片部22,22と係合する凹部34と、前記差込板部30の一端側に設けられた掴み部35とを有している構成である(請求項3)。
【0009】
(3)前記クリップ3Aは、図8と図9に例示されるごとく略レ字形の弾性係合部分37を先端側に形成して前記隙間L1に弾性変位を伴って圧入される差込板部30と、前記差込板部30の両側に設けられて前記取付枠23を構成しているコ字形の両片部22,22と係合する凹部(34)と、前記差込板部30の一端側に設けられた掴み部35とを有している構成である(請求項4)。
(4)以上の取付構造の用途ないしは適用例として、前記被取付部材は車両用ドアに設けられたアームレスト7の棚部に配置されるパワーウインドユニット2であり、前記外装部材は前記パワーウインドユニット2の上面側を覆うように配置されるガーニッシュ1である(請求項5)。
(5)これに対し、請求項6の発明は、請求項1から5の何れかの外装部材の取付構造に用いられるクリップ、換言すると請求項1から5の何れかに記載されているクリップを特定したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、外装部材と被取付部材とが図3(a)に例示されるごとく取付枠内に挿入片を遊挿した状態で位置だしされた後、同(b)に例示されるごとくクリップを取付枠内の隙間に圧入操作することにより固定されるため、固定箇所が多くなっても作業性を良好に保って作業工数を低減できる。他の利点は、挿入片、取付枠が共に単純な形状でよく、外装部材に挿入片を、被取付部材に取付枠をそれぞれ一体形成容易なため製造費を抑えることができる。
【0011】
請求項2の発明では、図3から推察されるごとく被取付部材が取付枠のコ字形の中間片部と対向する突起を有していると、同(b)に示されるごとくクリップが取付枠内にあって挿入片と突起との間の隙間に圧入されるとき、クリップが部分的に弾性変位し易くなって圧接力を増大し挿入片の抜け及びがたつきを確実に阻止できる。
【0012】
請求項3の発明では、クリップが弧状部分を持つ差込板部、両側の凹部、一端側の掴み部からなるため簡易な形状を維持しながら、差込片部の弧状部分により弾性変位を伴って前記隙間に圧入され、両側の凹部が取付枠を構成しているコ字形の両片部と係合することから、請求項2と同様に、挿入片の抜け及びがたつきをより確実に阻止できる。
【0013】
請求項4の発明では、クリップが略レ字形の弾性係合部分を持つ差込板部、両側の凹部、一端側の掴み部からなるため簡易な形状を維持しながら、差込片部の係合部分により弾性変位を伴って前記隙間に圧入され、かつ両側の凹部が取付枠を構成しているコ字形の両片部と係合することから、請求項3と同じく挿入片の抜け及びがたつきをより確実に阻止できる。
【0014】
請求項5の発明では、パワーウインドユニットに対するガーニッシュの取付構造として、上記した各請求項に対応した利点を具備でき、特に固定箇所が多くなるほど作業効率を向上できる。
【0015】
請求項6の発明では、外装部材の取付構造に用いられるクリップとして、上記した各請求項に対応した利点を得る上で有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明形態の外装部材の取付構造を示している要部外観図である。
【図2】図1の取付構造を示し、(a)は一端側より見た側面図、(b)は手前側より見た正面図である。
【図3】上記取付構造を図2のA−A線断面に対応して示し、(a)はクリップの圧入初期段階での構成図、(b)はクリップの圧入を完了した態様での構成図である。
【図4】(a)は上記クリップの上面図、(b)は上記クリップの正面図、(c)は上記クリップの側面図である。
【図5】上記クリップの外観を示す概略斜視図である。
【図6】上記外装部材であるガーニッシュの要部を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は下面図である。
【図7】被取付部材であるパワーウインドユニットの要部を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は下面図である。
【図8】上記取付構造の変形例1を示し、(a)は図3(a)に対応した構成図、(b)は図3(b)に対応した構成図である。
【図9】上記取付構造の変形例2を示し、(a)は図3(a)に対応した構成図、(b)は図3(b)に対応した構成図である。
【図10】(a)は車両用ドアのアームレストの前棚部に埋設状態に配置されているパワーウインドユニットを覆っているガーニッシュ部分を示す説明図、(b)は従来のガーニッシュの取付構造を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。この説明では、図1〜図7に示した形態の取付構造、取付操作、図8に示した変形例1の変更点、図9に示した変形例2の変更点の順に言及する。
【0018】
(形態の取付構造)図1〜図7において、符号1は外装部材としてのガーニッシュ、符号2は被取付部材としてのパワーウインドユニットである。ガーニッシュ1及びパワーウインドユニット2は、図10に示したガーニッシュ8及びパワーウインドユニット9に対応するもので、パワーウインドユニット2が車両用ドアに設けられているアームレスト7の前棚部に配置され、ガーニッシュ1がそのパワーウインドユニット2に対して本発明の取付構造により固定される関係である。
【0019】
すなわち、この取付構造は、パワーウインドユニット2の外周囲20に突設された取付枠23と、ガーニッシュ1の裏面に突設されて取付枠23に余裕を持って遊挿される挿入片10と、取付枠23に挿入片10を遊挿した状態でその取付枠内に形成される隙間に圧入されるクリップ3とを備えていて、クリップ3を前記隙間に圧入操作することにより、挿入片10の取付枠23内からの抜け及び該取付枠内でのがたつきが阻止されるようにしたものである。
【0020】
なお、ガーニッシュ1は、樹脂成形品である点、複数の小さな開口を有し該開口からパワーウインドユニット2側のスイッチ等を操作可能に露出している点で従来と同じ。パワーウインドユニット2は、ウインド用開閉駆動機構等をボックス20に内蔵している点、ボックス20が図示しない各種スイッチ類をボックス上面に有している点、ボックス20の材質が金属製であるが樹脂製でも差し支えない点で従来と同じ。次に、従来と異なる構成について詳述する。
【0021】
ガーニッシュ1は、図6に示されるごとくパワーウインドユニット2及びアームレスト7の前棚部に対応した形状をなし、裏面側の縁部に沿って間隔を保って設けられている複数の挿入片10を有している。各挿入片10は、ガーニッシュ裏面に下設された片部11と、片部11の先端に設けられた爪部11aと、片部11の基部両側にスリット13を介在して並設された短片部12とを有している。爪部11aは片部11の先端にあって片面に突出している。このため、片部11の内面は先端から基端付近までほぼ平坦面となっている。
【0022】
また、一方の短片部12には、外側面に沿って該短片部との間で略T形となるよう規制部10aが連設されている。他方の短片部12には、外側面に沿って該短片部との間で略L形となるよう規制部10bが連設されている。各規制部10a,10bは、挿入片10の片部11がパワーウインドユニット2側の取付枠23に挿入されたときに、該取付枠の対応部に当接することにより片部11の取付枠内への挿入量を規制する。
【0023】
パワーウインドユニット2のボックス20は、図7に示されるごとくその周囲面21の複数(通常は10〜15)箇所に突設された略コ形状の取付枠23を有している。各取付枠23は、両側で互いに対向している両側片部24と、両片部24の先端を繋いでいる中間片部25とからなる。また、ボックス周囲面21には、中間片部25と対向している突起26と、突起26の両側に延びているガイド突起22とが設けられている。各ガイド突起22は、ボックス20の上面側より下向きに延びており、取付枠23内にあって突起26の両側を通っている。突起26の突出量は、各ガイド突起22の張出量とほぼ同じであり、取付枠23に挿入片10の片部11を遊挿した状態で、図3(a)のごとく片部11との間に隙間Lを保つ寸法である。この隙間Lは次のクリップ3の差し込み用の空間である。
【0024】
クリップ3は、図3と図4に示されるごとく側面視で概略L形状となっており、前記隙間Lに弾性変位を伴って圧入される差込板部30と、差込板部30の両側に設けられた凹部34と、差込板部30の一端側に設けられた掴み部35とを一体に有している。
【0025】
ここで、差込板部30は、先端30aが先細に形成され、基端30bが掴み部35に連結されている。先端30aと基端30bとの間にあって、左右の側部33は、外側に前記凹部34を形成しているとともに、長手方向に設けられた対応するスリット32を介して左右ないしは板幅方向に弾性変位可能となっている。また、スリット32とスリット32との間は中間部31として区画されている。この中間部31は、中央が手前側に張り出した弧状部分31aを形成している。
【0026】
掴み部35は、差込板部基端30bから手前に突出している水平部35aと、差込板部の基端付近で両側から手前に突出している垂直部35bとからなる。この掴み部35は、作業者やロボットハンドがクリップ3を動かす際、把持し易い形状であればよい。符号30cは、差込板部30の基端側にあって各スリット32の下側に隣接して設けられている低いガイドリブである。両側のガイドリブ30cは、挿入片10の片部11の先端側を左右から挟むことでクリップ3の不用意な揺動を防ぐものである。なお、図3ではガイドリブ30cを省略している。
【0027】
(取付操作)図1及び図2は、以上の取付構造によりガーニッシュ1がパワーウインドユニット2に固定された状態を示している。以下、この取付操作について述べる。
(1)この取付操作では、まず、ガーニッシュ1及びパワーウインドユニット2を互いに接近移動するか、パワーウインドユニット2をガーニッシュ1に接近移動するか、逆にガーニッシュ1をパワーウインドユニット2に接近移動することにより、挿入片10の片部11が対応する取付枠23に遊挿されるとともに、ガーニッシュ1とパワーウインドユニット2とがその遊挿した状態で位置出し可能となる。なお、挿入片10は、片部11が取付枠23に挿入されると、上記した各規制部10a,10bが取付枠23を構成している対応する側片部24に当接して挿入量が規制される。
【0028】
(2)すなわち、この操作では、図3(a)のごとく挿入片10を構成している片部11が取付枠23に遊挿された後、爪部11aが取付枠23の中間片部25の下縁に引っ掛かるようガーニッシュ1又は/及びパワーウインドユニット2を動かすことで、ガーニッシュ1及びパワーウインドユニット2が互いに位置出しされる。この取付構造では、その位置出しによりボックス周囲面に設けられたガイド突起22及び突起26の各突出面と、挿入片10ないしは片部11との間に隙間Lが形成される。
【0029】
(3)次に、クリップ3が図3(b)のごとく前記隙間Lに挿入操作される。この場合、クリップ3は、作業者やロボットのハンドが掴み部35を利用して把持され、前記隙間Lに対し差込板部30が圧入される。この圧入過程では、中間部31の弧状部分31aが弧状を押し延ばすよう弾性変位して圧接力を増大し、同時に、左右の各側部33がスリット32側への弾性変位を伴って各凹部34が取付枠23を構成している対応する片部24と係合する。この取付構造では、弧状部分31aの圧接力と片部24に対する凹部34の係合も加わり、挿入片10の取付枠23から抜け及び該取付枠内でのがたつきを阻止し、それによりガーニッシュ1とパワーウインドユニット2とが弧状部分31aの圧接力と、中間片部25に対する爪部11aの係合力とに比例した強さで固定される。
【0030】
(変形例1)図8(a),(b)は以上の取付構造を変形したもので、図3に対応して示している。この説明では、上記形態と同じ部材に同一符号を付し、重複した記載を極力省く。すなわち、この変形例1において、パワーウインドユニット2は、上記形態に比べてガイド突起22及び突起26を省略しており、それ以外は同じ。ガーニッシュ1は、上記形態に比べて挿入片を構成している片部を除いて同じ。クリップ3Aはクリップ30に比べて差込板部30の形状を除いてほぼ同じ。
【0031】
符号10Aは、上記形態の挿入片10に対応するガーニッシュ1の裏面側に設けられた挿入片である。該挿入片10Aは片部14が上記した片部11に対応している。この片部14は、先端に設けられた爪部14aと共に、略上下中間に設けられた係止穴15を有している。これに対し、符号37は、上記形態の差込板部30の先端を延長するとともに、掴み部35側へ折り曲げた略レ字形の弾性係合部分である。この係合部分37は、図8(a)のごとく取付枠23に挿入片10Aの片部14を遊挿した状態で、片部14との間に形成される隙間L1に弾性縮径しながら圧入される角度に設定されている。また、係合部分37の先端には段差状の突当部38が設けられている。
【0032】
以上の取付構造では、上記(1)〜(3)のうち(3)が次のように変更される。すなわち、クリップ3Aが図8(b)のごとく前記隙間L1に挿入操作される。この場合、クリップ3Aは、前記隙間L1に対し係合部分37が圧入される過程において、係合部分37が弾性縮小しながら片部側の係止穴15を通り過ぎる手前で、係止穴15に対し穴上縁に係合部分37の対応部を係止し、穴下縁に突当部38を係止する。これにより、この取付構造でも、上記形態と同様に、係止穴15に対する係合部分37の圧接力と上記した片部24に対する凹部34の係合も加わって、挿入片10Aの取付枠23から抜け及び該取付枠内でのがたつきを阻止し、それによりガーニッシュ1とパワーウインドユニット2とが係合部分37の圧接力と、中間片部25に対する爪部11aの係合力とに比例した強さで固定されることになる。
【0033】
(変形例2)図9(a),(b)は図8の取付構造を更に変形したもので、図8に対応して示している。この説明では、変形例1と同じ部材に同一符号を付し、重複した記載を極力省く。すなわち、この変形例2では、変形例1に比べてパワーウインドユニット2及びクリップ3Aが同じであり、ガーニッシュ1の挿入片だけが変更されている。
【0034】
すなわち、符号10Bは、変形例1の挿入片10Aに対応するガーニッシュ1の裏面側に設けられた挿入片である。該挿入片10Bは片部16が上記した片部11や14に対応している。この片部16は、先端16aが単純な平板状に形成されているとともに、先端16aの少し手前にあって外側へ水平に突設された当て部17を有している。
【0035】
以上の取付構造では、上記(1)〜(3)のうち(2)が次のように変更される。すなわち、挿入片10Bは、図9(a)のごとく片部16が取付枠23に遊挿されると、当て部17が中間片部25の上面に当たって保持され、その状態でガーニッシュ1又は/及びパワーウインドユニット2を動かすことにより、先端16aが中間片部25の内面に当接しガーニッシュ1及びパワーウインドユニット2が互いに位置出しされる。この取付構造では、その位置出しによりボックス周囲面と挿入片10Bないしは片部16との間に隙間L2が形成される。
【0036】
なお、本発明は、請求項で特定される技術要素を備えておればよく、細部については必要に応じて種々変更可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…ガーニッシュ(外装部材)
2…パワーウインドユニット(被取付部材)
3…クリップ(30は差込板部、31aは弧状部分、34は凹部、35は掴み部)
3A…クリップ(30は差込板部、37は係合部分、38は突当部、35は掴み部)
6…車両用ドアのドアトリム
7…アームレスト
10…挿入片(11は片部、11aは爪部、10a,10bは規制部)
10A…挿入片(14は片部、14aは爪部、15は係止穴)
10B…挿入片(16は片部、16aは先端、17は当て部、18は係止穴)
20…ボックス(21は周囲面、26は突起)
23…取付枠(24は中間片部、25は両側の片部)
L,L1,L2…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装部材を被取付部材の定位置に固定する外装部材の取付構造において、
前記被取付部材に突設された取付枠と、前記外装部材の裏面に突設されて前記取付枠に遊挿される挿入片と、前記取付枠に前記挿入片を遊挿した状態でその取付枠内に形成される隙間に圧入されるクリップとを備え、
前記クリップを前記隙間に圧入操作することにより、前記挿入片の前記取付枠内から抜け及び取付枠内でのがたつきが阻止されることを特徴とする外装部材の取付構造。
【請求項2】
前記取付枠は略コ字形であるとともに、前記被取付部材は前記取付枠のコ字形の枠中間部と対向するよう設けられた突起を有していることを特徴とする請求項1に記載の外装部材の取付構造。
【請求項3】
前記クリップは、弧状部分を一部に形成して前記隙間に弾性変位を伴って圧入される差込板部と、前記差込板部の両側に設けられて前記取付枠を構成しているコ字形の両片部と係合する凹部と、前記差込板部の一端側に設けられた掴み部とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の外装部材の取付構造。
【請求項4】
前記クリップは、略レ字形の弾性係合部分を先端側に形成して前記隙間に弾性変位を伴って圧入される差込板部と、前記差込板部の両側に設けられて前記取付枠を構成しているコ字形の両片部と係合する凹部と、前記差込板部の一端側に設けられた掴み部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の外装部材の取付構造。
【請求項5】
前記被取付部材は車両用ドアに設けられたアームレストの棚部に配置されるパワーウインドユニットであり、前記外装部材は前記パワーウインドユニットの上面側を覆うように配置されるガーニッシュであることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の外装部材の取付構造。
【請求項6】
請求項1から5の何れかの外装部材の取付構造に用いられるクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−17350(P2011−17350A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160449(P2009−160449)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】