説明

多孔質テンプレートを用いたCS粒子およびマイクロカプセルの製造方法、CS粒子およびマイクロカプセル、およびそれらの使用

【解決手段】CS粒子(10)およびマイクロカプセル(12)の製造方法を記載するものであり、少なくとも一つの活性化合物(4)を多孔質テンプレート(2)(A)に吸着させ、その結果、活性化合物を充填したテンプレート(5)が存在する。続いて、テンプレート(2)に、カプセル殻(9)のその後の構築を容易にする目的で、プライマー層(6)が施される。カプセル殻は、(C)交互に荷電する高分子電解質層(8)を適用することによって形成される。充填したCS粒子(10)が得られる。続くテンプレート(2)の溶解によって、活性化合物(4)が(D)テンプレートからマイクロカプセルの内部に放出される。活性化合物(4)はそこに封入されたままであるか、(E)カプセルから徐々に溶出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロイド技術の分野におけるものであり、多孔質テンプレートを使用したCS粒子および充填されたマイクロカプセルの製造方法、およびCS粒子およびマイクロカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
交互に吸着された高分子電解質層で形成されるマイクロカプセル(レイヤー・バイ・レイヤー(Layer by Layer)、LbL)が、例えば、[1]から、および独国特許DE 198 12 083 A1号、独国特許DE 199 07 552 A1号、欧州特許EP 0 972 563 A1号、国際特許WO 99/47252号および米国特許US 6,479,146号に記載され、知られており、それらの開示内容は、ここに完全に包含される。それらの半透過性は調節可能であるため、このようなカプセル系は、微小反応器、薬物送達系等として適用可能性が高い。必要条件は、適当な活性化合物、酵素、ポリマーまたは触媒で充填することである。
【0003】
さらに、物質透過性であり、かつ高分子電解質層でコートされた複合材料の分離膜が、独国特許DE 100 31 281 A1号から知られている。
【0004】
これまで、LbLマイクロカプセルは、外側と同一の媒質(溶媒)を内部に含有するものが主として製造されてきた。しかしながら、大部分の適用において、機能性高分子は、その機能性を維持するために、永久的に固定化され、溶解形態で存在するべき内部で必要とされる。このような充填されたカプセルの知られている製造方法は、一部の条件下でのみ使用することができる。特に傷つきやすい生体分子については、知られている方法によれば、充填に伴い問題が発生する。
【0005】
これまで、高分子の充填には4つの可能性が開発されている。
a)ボトル合成における積載[2]
モノマーをカプセルの存在下で重合する。小型の開始剤およびモノマー分子がカプセル内部に浸透する。重合後、溶液中で合成されたポリマーを洗い流し、一方、カプセル内部で形成されたポリマーはもはやカプセル壁を通って拡散することはできず、内部に固定化される。しかしながら、この方法は、合成分子に制限される。
【0006】
b)透過性の切り替え[3,4]
ここで、カプセルは、その透過性が溶液のpHまたはイオン強度の変化に伴って変化するものが使用される。カプセルは、高分子の溶液に添加され、塩の添加またはpHの変化によって透過性の状態に切り替えられる。ポリマーの浸透後、pHを再度切り替え戻すか、または、塩を洗い流し、高分子を内部に固定化する。不利点は、特別の切り替え可能なカプセルの使用を要することである。さらに、これまでは、低濃度のみ封入可能である。
【0007】
c)沈殿制御[5]
この方法において、充填剤は、LbL殻をテンプレートへ適用する前に沈殿させる。この目的のため、特定の溶媒中で溶解性が低いこと、または、高分子の助剤との複合化を利用する。続いて、標準的LbLコーティングを沈殿層に適用する。テンプレートを溶解する。溶解度の変化または複合体の分解によって、高分子をカプセルの内部表面からカプセル内部に溶解する。この方法は、それぞれの充填材料に非常に特定的に最適化しなければならず、これまでは選ばれた例でのみ成功している。しばしば沈殿層は、特定のLbLカプセルに適用するためには十分均一でない(表面が粗い)。さらに、生体高分子の場合、テンプレートの分解は、緩やかな条件下で実施しなければならず、通常用いられる、メラミン−ホルムアルデヒド(pH1)、赤血球(pH12、NaOCl)およびポリスチレン粒子(テトラヒドロフラン)は適当ではない。
【0008】
d)多孔質CaCO3テンプレート[9]
このアプローチでは、多孔質CaCO3テンプレートを使用する。テンプレートは交互に荷電する高分子電解質の溶液中に懸濁する。この工程において、多孔質テンプレートの外側および内側表面を高分子電解質でコートする。EDTAを用いてCaCO3テンプレートを溶解した後、高分子電解質の内部骨格を有するマイクロカプセルが残り、これは閉じていない高分子電解質殻で囲まれている。続いて、高分子をマイクロカプセルの内部骨格に加える。CaCO3テンプレートの孔は相対的に大きいので、この工程を用いて、閉じたカプセル殻を製造することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、封入される活性化合物を簡単に、かつカプセル内部に高濃度に濃縮できる、物質または活性化合物を封入する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、CS粒子および/またはマイクロカプセルの製造方法であって、以下の工程:
−封入される少なくとも1つの活性化合物を多孔質テンプレートに吸着させる工程
−交互に荷電した高分子電解質および/またはナノ粒子層を適用することによって、カプセル殻を多孔質テンプレートの周囲に形成する工程
を含む方法によって達成される。
【0011】
その結果、最初に、吸着された活性化合物を含有するコアとして多孔質テンプレートをなお含有するCS粒子が形成される。続いて、多孔質テンプレートはCS粒子の外に溶解することができ、活性化合物が充填されたマイクロカプセルが形成される。カプセル殻の形成の前に、少なくとも1つのプライマー層を多孔質テンプレートに適用することができる。適切な場合、実際のカプセル殻の形成前に、高分子電解質および/またはナノ粒子のさらに追加の層がプライマー層に適用される。典型的には、カプセル殻は、交互に荷電する高分子電解質の連続的吸着によって製造される(「LbL工程」)。典型的には、コロイド溶液として製造される多くのテンプレートは同時にコートされるので、それぞれのテンプレートはカプセル殻を備える。その結果、CS粒子のコロイド溶液、または、テンプレートの溶解後、マイクロカプセルのコロイド溶液が得られ、これは任意にさらに処理することができる。
【0012】
本発明の文脈において、多孔質テンプレートは、多数の孔または内部空洞を有するような粒子を意味するものと理解される。多孔質テンプレートにLbL層を適用した後、かつ、適切な場合はプライマー層を適用した後、コア−殻(CS)粒子が得られ、これをCS粒子と呼ぶ。元の多孔質テンプレートを溶解した後、なお殻のみが存在し、即ち、適切な場合は内部プライマー層を有するカプセルの殻であって、最も単純な場合は、外部溶媒または含有される活性化合物の溶液または懸濁液で充填されるカプセル殻のみが存在する。これらの充填された殻をカプセルまたはマイクロカプセルと呼ぶ。CS粒子またはマイクロカプセルは、活性化合物で充填され、即ち、カプセル殻は活性化合物の拡散障壁となるので、活性化合物はCS粒子またはマイクロカプセル中に残存する。多孔質粒子を充填するため、またはLbL殻を構築するために用いられ、そのため一般に100nmより小さいコロイド粒子は、ナノ粒子と呼ばれる。
【0013】
知られている方法の文脈において、ここに記載される本発明は、CS粒子またはマイクロカプセル(一層ずつ重ねた(Layer by Layer)高分子電解質カプセル)中に、実に高濃度で物質を封入するための、新規で簡単かつ一般的な方法を提供する。活性化合物を充填したLbL CS粒子およびマイクロカプセルは、ここでは多孔質テンプレートを用いて製造される。このため、多孔質テンプレートは、LbLコーティングの前に、1つ以上の活性化合物で充填される。活性化合物が孔中に不十分にしか吸着されない場合、特別な助剤(メディエーター)またはpH変化を、充填物を改善するために使用することができる。充填されたテンプレートは、孔内に浸透しないが、その後のコーティングのためにプライマーを密閉する、特別なプライマーで被覆される。その後、カプセルの殻または壁の構築が、ポリカチオンおよびポリアニオンの交互の吸着によって起こり、それによって、充填されたCS粒子が得られる。マイクロカプセルの製造のためには、溶媒を使用して多孔質テンプレートを除去することができる。特にシリカ粒子(SiO2)の場合、例えば生物活性化合物を使用しないように、pH4を超える穏やかな条件下で実施することができる。
【0014】
使用されるテンプレートは、好ましくは100μm未満の大きさの多孔質微粒子である。微粒子は、例えば、孔幅が0.3nm〜100nm、好ましくは1nm〜30nm、特に好ましくは6nm〜10nmの孔を含有する。多数の適用において、孔幅の下限は1nm〜6nm、例えば2nmまたは4nmであってもよく、かつ、孔幅の上限は10nm〜40nm、例えば15nmまたは30nmであってもよい。原理上は、孔幅は、封入される活性化合物が孔に浸透し、孔に沈着できる、即ち、特に孔の内部に吸着できるような大きさであるべきである。従って、大きな内部表面を有する多孔質テンプレートが好ましく、内部表面は、孔の内壁から形成される。特に、活性化合物の吸着に有効に利用できる内部表面は大きくあるべきである。有効な内部表面とは、特定の大きさの活性化合物の吸着に実際に利用できる表面の部分を意味するとここでは理解される。テンプレートはしばしば異なる幅の孔を含有するので、高分子量の活性化合物のみが、好適に大きな孔に浸透することができ、一方、より小さな分子は、より小さな孔も利用可能である。従って、孔の大きさもまた、孔になお浸透することができる、ナノ粒子または分子またはその分子量の大きさによって記述することができる。分子量の下限は、好ましくは100g/molである。上限は約5×106g/molの分子量に対応する。この方法において、浸透する分子の形状(線状または球状)もまた重要な役割を演じる。
【0015】
さらに、孔の空洞の表面を、好ましくはLbL技術を使用して、交互に荷電する高分子電解質および/またはナノ粒子の多数の層でコートすることが可能であり、即ち、高分子電解質および/またはナノ粒子層を多孔質テンプレートの「内部」表面に形成する。ナノ粒子の大きさまたは高分子電解質の分子量は、概ね孔幅に適合する。テンプレートの溶解後、カプセルを機械的に安定化しそれらの内部表面を大きく増加させる、高分子電解質複合体および/または高分子電解質/ナノ粒子複合体の不溶性複合体の元の孔構造(内部骨格)は、繊細で否定的印象である。封入される活性化合物は、この場合、内部骨格の物質である。加えて、コーティング前または多孔質テンプレートの溶解後、さらなる活性化合物を内部骨格に挿入および/または沈着させることができ(例えば、沈殿および/または吸着によって)、次に、活性物質は、例えば内部骨格に結合する。機械的安定化に加えて、内部骨格の有利点は、マイクロカプセルの内部面積が著しく増加することである。
【0016】
さらに、上記の目的は、
−直径100μm未満;
−少なくとも1つの活性化合物が吸着される多孔質コア;および
−交互に荷電する高分子電解質および/またはナノ粒子層の多数の層のカプセル殻
を有するCS粒子によって達成される。
【0017】
多孔質コアは、前述の多孔質テンプレートである。任意に、多孔質コアとカプセル殻の間に、プライマー層を配置することができ、これはコアを囲み、カプセル殻の構造の改良に貢献する。
【0018】
さらに、上記の目的は、
−直径100μm未満;
−交互に荷電する高分子電解質および/またはナノ粒子層の多数の層のカプセル殻
−カプセル殻の内側のプライマー層;および
−マイクロカプセルの内部に入れられる少なくとも1つの活性化合物
を有するマイクロカプセルによって達成される。
【0019】
これらのマイクロカプセルにおいて、多孔質テンプレートまたは多孔質コアは除去される。
【0020】
さらに、以下の工程:
−少なくとも1つの多孔質テンプレートを製造する工程;
−多孔質テンプレートの孔の空洞の表面を、交互に荷電する高分子電解質および/またはナノ粒子の多数の層でコートする工程;および
−多孔質テンプレートを溶解し、高分子電解質および/またはナノ粒子層から成る微小テンプレートを残す工程
を用いて微小テンプレートを製造することも本発明の範囲内である。
【0021】
微小テンプレートの安定性を高めるために、テンプレートの溶解の前または後に、任意に、高分子電解質および/またはナノ粒子層を付加的に架橋することができる(例えば共有結合で)。その結果、主としてテンプレートの内部孔構造の否定的印象に相当し、ここで微小テンプレートを表す、繊細な骨格が再度存在する。孔表面のコーティングにおいて、テンプレートの外側に、テンプレートの溶解後にも残存する高分子電解質および/またはナノ粒子層が形成されることも、勿論起こり得る。使用される高分子電解質および/またはナノ粒子の大きさに依存して、このように形成される殻は、部分的にのみ、または、かなりの程度まで完全に構築される。形成される微小テンプレートは、ここでさらなる微粒子の製造の出発点となり得、例えば、活性化合物は骨格に沈着することができる。微小テンプレートは、小容量であることと、比較的大きな表面であることによって区別され、従って、沈着する活性化合物に多数の結合部位を提供する。内部骨格を有するマイクロカプセルと比較して、微小テンプレートの場合、テンプレートに高分子電解質および/またはナノ粒子層を塗りこんだ後に、任意のプライマー層を有するカプセル殻は形成されない。しかしながら、内部骨格を有する微小テンプレートおよびマイクロカプセルの製造は、同一の材料を使用し、同一の条件下で実施することができる。微小テンプレートの大きさは、使用するテンプレートの大きさに対応し、従って上述の範囲内である。
【0022】
製造される、活性化合物を充填したCS粒子および/またはマイクロカプセルは、多くの分野に、例えば、
−診断、センサーの分野における物質の封入のため;および/または
−水精製、診断、核化学等における適用のための溶液からの物質の選択的蓄積のため;および/または
−化学または生化学反応の触媒のための触媒作用を有する物質、特に、金属および/または金属酸化物および/または酵素の包含のため、;および/または
−診断または医療適用のための、ナノ粒子の封入のため、特に、蛍光または磁性マイクロカプセルの製造のため;および/または
−医薬品または化粧品産業における活性化合物の封入および放出のため;および/または
−例えば、クロマトグラフィーにおける分離のため;および/または
−食品産業および農業および林業における適用のため
有利に使用することができる。
【0023】
本発明のさらに有利な具体例は、方法、CS粒子またはマイクロカプセルが関係するかどうかにかかわらず、図を用いて以下に記述される。
【0024】
個々の方法工程を、図1を用いて説明する。好ましくは、規定の多孔質を有するコロイド粒子(テンプレート)を使用するが、これは封入される物質(以下、活性化合物と言う)を所望の濃度で充填することができる。図1Aは、時間内の後の時点で内部に永久的に固定化されるか、または、壁の透過性が適切な場合に従量制で放出される、活性化合物による充填を示す。相対的に、内部骨格を有するマイクロカプセルの形成を図1Bに示す。
【0025】
活性化合物は、
1.多孔質テンプレートの内部に蓄積することができ、かつ、
2.LbL殻によって特定期間、保持され得る
あらゆる物質であってもよい。
【0026】
活性化合物は、分子の形態で、凝集して、複合体として、またはコロイド形態で存在してもよい。特に、封入される活性化合物は、ポリマーおよび/またはタンパク質および/または分子量が100g/molを超える有機分子および/またはナノ粒子である。特に、この場合、活性化合物は、酵素および/または触媒および/または色素および/または医薬品または化粧品活性化合物および/または植物保護剤であってもよい。封入される複数の活性化合物は、孔における沈着に関して、異なる親和性または結合定数を有してもよい。活性化合物は、それらの結合定数によって、内部表面上の利用可能な結合部位を占拠する。この異なる親和性は、多数の活性化合物をテンプレートに装填する際に利用することができる。
【0027】
多孔質テンプレート2は、100nm〜100μm、特に500nm〜15μmまたは30μmの、LbLカプセルに好適な大きさの範囲の、コロイド状の無機または有機粒子である。これらのテンプレート2の孔の大きさの分布は、ここではできるだけ小さいことが好ましく、即ち、孔は好ましくは殆どが同じ孔幅を有するべきである。特に、多孔質コロイド状シリカ粒子および/またはゼオライトおよび/または有機ポリマー粒子が、孔幅の分布が十分に狭いものを製造することができるので、テンプレートとして好適である。この場合の多孔質ゼオライト粒子は、特に0.3nm〜10nmの孔幅を有する。
【0028】
テンプレートの充填(工程A)
一つ以上の活性化合物4での多孔質テンプレート2の充填は、引力相互作用で媒介してもよく、例えば、静電気および/またはH結合および/または特別な相互作用および/またはファン・デル・ワールス相互作用によって、溶液中(例えば水性媒体)に存在する活性化合物およびテンプレート2の吸着によって充填が起こってもよい。使用される活性化合物は、有機または無機物質であってもよく、そのため層を重ねた(Layer by Layer)フィルムは不透過性であるか、またはあまり透過性がない。これらの物質は、固体の骨格として、またはナノ粒子としてコロイド形態で、溶解して存在してもよい。荷電した物質もまた、その後のLbLコーティング工程のために良好な外面を形成するので、静電相互作用は多孔質テンプレートにおける吸着に特に好適である。孔またはテンプレート表面に逆帯電した分子を充填しても問題は起きないが、同一の荷電を有する物質は、特別な処理を要する。以下に記した3つの変形は、そのために特に好適である:
【0029】
1.pHのシフトによって、活性化合物自体またはテンプレート表面の荷電は反転する。その結果、引力相互作用が起こる。従って、特に等電点を有する生体高分子は、テンプレートにおいて比較的簡単に吸着され得る。
【0030】
2.活性化合物の吸着は、好適な助剤(メディエーター)によって媒介される。助剤は、例えば、孔の表面の荷電を反転するか、あるいは活性化合物(例えばタンパク質、ペプチド、さらなる活性化合物)と孔表面との間の特別な相互作用を可能にする。助剤を使用することによって、特に、その後の同一に荷電した活性化合物の吸着に伴い、表面の荷電の反転が可能になる。このような助剤は、ある条件下(即ち、あるpHおよび/またはイオン強度)で吸着される物質と複合体を形成し、他の条件下(即ち、他のpHおよび/またはイオン強度)で再び除去することができる、多価の、特に2〜5価の物質(例えば、金属3+またはポリアミン類(NR4+)n、n=2〜5、またはSO42-、PO43-、R-(COO-)n、n=2〜5)であってもよい。[5]
【0031】
3.助剤はまた、価数n>5を有する高分子14(図1B)であってもよく、この高分子は、コアが溶解除去された後、溶解した分子または固体の骨格構造としてマイクロカプセル中に残存する。固体の骨格構造の製造のために、比較的低分子量の高分子電解質の吸着を次々に行うことによって、LbL構造が孔の中に製造される。形成される構造は、存在する孔の否定的印象に相当し、一般に、その後はもはや溶解することはできない。元のテンプレートの溶解除去後、その構造は、非常に大きな表面を有する繊細な網状組織または内部骨格16(図1B)として、マイクロカプセルの内部に残存する。このような構造は、マイクロカプセルの機械的な安定化のために使用されるか、大表面による他の物質の蓄積または触媒適用のために働くことができる。
【0032】
多数の活性化合物を封入する場合、活性化合物の吸着は、連続的または同時に実施することができる。活性化合物の充填には、充填される分子の大きさに関連する大きさの孔が用いられる。特に、シリカ粒子の場合、0.1〜5000kDa(100g/mol〜5,000,000g/mol)の分子が、4〜30nmの大きさの孔に挿入することができる。同程度の結合係数を有する多数の活性化合物もまた同時に挿入することができ、または異なる結合係数の場合は連続的に挿入することができる。ここでは、高い結合係数を有する活性化合物は十分に充填されず、即ち、その濃度は、この活性化合物が全ての利用可能な結合部位を占拠しないように選択される。その後、不完全に充填された粒子は、溶液中で、吸着によって第二の活性化合物で充填される。その結果、テンプレート4は、活性化合物4で大部分は充填される。
【0033】
プライミング(工程B)
例えば高分子電解質またはナノ粒子のプライマー層6は、充填されたテンプレート5に任意に適用される。プライマー物質は、以下のようなものが選択され、適合される:
1.物質自体、充填された孔に浸透しない
2.続くLbLカプセル殻の構築において用いられる物質が内部に浸透するのを防ぐ。
【0034】
孔の大きさに適合した高分子量のまたは/および分枝した高分子電解質およびナノ粒子は特に好適である。プライマー物質6は、代表的には、続いて適用される殻の物質と異なる。しかしながら、適切な場合、プライマー物質は、LbLカプセル殻物質よりも、より大きな分子量および/またはより分枝した構造および/またはよりよい架橋を有する、高分子電解質であってもよい。この目的のため、特別の架橋工程を、例えばアミノ基を有する高分子電解質の場合にはグルタルアルデヒドによって、実施してもよい。
【0035】
コーティング(工程C)
続いて、封入した物質のLbLカプセル殻9に対する所望の半透過性または不透過性を達成するまで、カチオン性またはアニオン性荷電物質(高分子電解質)の交代性層8、好ましくはポリマーを、このプライマー層6に適用する。LbLカプセルの透過性は、層の数・物質の選択、アニーリングによる後処理、またはさらなる物質のカプセル壁中への実施により[8]、封入される特別の物質のため、ここでは特別に調整してもよい。カプセル壁の構築の後、充填された多孔質コアを有するCS粒子10が存在する。カプセル壁の形成に好適な物質および好適な方法過程は、既に記した文献、独国特許DE 198 12 083 A1号、独国特許DE 199 07 552 A1号、欧州特許EP 0 972 563 A1号、国際特許WO 99/47252号および米国特許US 6,479,146号より推測することができる。
【0036】
コアの溶解(工程D)
続く、CS粒子10のコア(テンプレート)の任意の溶解除去は、好適な溶媒を使用して実施される。溶解産物は、溶媒および水による洗浄によってカプセル内部から除去され、より大きな分子量の充填された活性化合物4が内部に残存する。有機テンプレートの場合、溶媒は、例えばポリスチレンの場合のテトラヒドロフラン等の有機液体、または、例えばメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の場合のHCl等の酸性または塩基性水溶液であってもよい[6]。特に、シリカ粒子は、1mol/lのHFを使用すると、得られる産物(SiF62-)がカプセル壁を損傷することなくカプセル膜を通って容易に外に拡散するので、容易に溶解することができる[7]。しかしながら、1モルのHFは多くの物質にとって問題がないわけではない。
【0037】
従って、特に傷つきやすい活性化合物またはカプセル壁物質には、pH3〜6.5で、シリカテンプレートを緩やかに溶解することが好ましい。ここで、濃度1〜5mol/lのフッ化物塩を、1〜5mol/lの緩衝液を使用して、所望のpH3〜6に調節する。特に、多孔質シリカテンプレートは、この反応混合物中、十分な反応時間により残渣なく溶解する。ヘキサフルオロケイ酸アニオンもまた、厚いLbL層を通って、問題なくカプセルの外に拡散する。好ましいpH範囲は、3または3.5(下限)から6または6.5である。
【0038】
テンプレートを溶解するために述べた方法は、多孔質または非多孔質の微粒子が関係し、好適であるかどうかにかかわらず、特に、多孔質および非多孔質のシリカおよびゼオライト粒子を溶解するために使用することができる。この方法は、原理上、このような物質を溶解するのにさらに好適であり、これらの物質は、緩衝液、特に酢酸塩/酢酸緩衝液の存在下、フッ化物塩により、3.5〜6のpH範囲で溶解される。この溶解法は、酸−感受性物質に特に好適であり、それらの物質はカプセル壁を形成するか、または内部に包含される。このことは、例えばタンパク質、酵素、DNA等の多くの生体高分子や、例えばマグネタイトまたは量子ドット(蛍光ナノ粒子)等の酸−感受性ポリマーまたはナノ粒子にも関連する。
【0039】
活性化合物の任意の放出(工程E)
テンプレートの除去後、活性化合物を充填したマイクロカプセル12(図1A)または内部骨格16を備えたマイクロカプセル13が存在する。設けられたカプセル壁の透過性および包含される活性化合物の大きさ次第で、活性化合物はマイクロカプセルの内部に永久的に固定化されるか、または規定の時間内に放出される。
【実施例】
【0040】
1.正に電荷したポリマー:直径10μmおよび孔の大きさが7nmの球形の多孔質シリカテンプレート10mgを、100μlの水(pH6.5)中に懸濁する。そこに、分子量70,000g/molのローダミンで標識したポリアリルアミン(PAH−Rho;PAH=ポリ(塩酸アリルアミン))の1g/lの溶液500μlを添加し、混合物を12時間インキュベートする。上澄を緩衝液で洗い流す。次に、0.5mol/l NaClを含む分子量>300,000g/molの蛍光標識したキトサン(キトサン−Flu)の溶液をテンプレートに加え、表面に吸着させる。共焦点照射が示す通り、キトサン−Fluは表面に均一な層を形成し、テンプレート中にほとんど浸透しない(図2b)。プライミング後、PSS(ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム))および7層のPAHを、0.5mol/lの塩を含む1g/lのポリマー溶液を用いて、交互に適用する。コーティング工程の合間に、水洗を3回実施する。得られたCS粒子の分析により、内部に7g/lの濃度のPAH/Rhoが示された(図2a)。CS粒子/カプセル内部の活性化合物の濃度は、比較溶液を用い、共焦点顕微鏡を使用して蛍光によって定量した。この方法において、カプセル内部の高濃度の色素により自己消光を起こすことができ、これはより低い濃度をシュミレートする。
【0041】
CS粒子を、1mol/lの酢酸緩衝液(pH4)中の2mol/lのフッ化ナトリウム溶液100mlと共にインキュベートした。3時間後、テンプレート(コア)は完全に溶解し、PAH樹脂を充填したカプセルが残る(図2c)。幾度も水洗した後、カプセル内部においてPAH/Rhoの濃度は6.3g/lと定量されたが、これは幾週間保管しても変化しなかった。
【0042】
図2は、内部で正に荷電したポリマーを用いて製造したCS粒子およびカプセルを示す;a)PAH/Rhoを充填した粒子の共焦点画像であり、キトサン−Fluで下塗りし、7層のPAH/PSSでコートされている(ローダミンチャンネルPMT2 600V、画像サイズ80μm×80μm);b)CS粒子の共焦点画像(フルオレセインチャンネルPMT1 750V、画像サイズ80μm×80μm);c)SiO2テンプレートを溶解除去した後の、PAH/Rhoを充填したキトサン(PSS/PAH)3PSSのカプセルの共焦点画像(ローダミンチャンネルPMT2 600V、画像サイズ80μm×80μm)。
【0043】
2.負に荷電したポリマー:直径10μmおよび孔の大きさが7nmの球形の多孔質シリカテンプレート10mgを、100μlの水(pH6.5)中に懸濁する。次に、テンプレートをFeCl3の0.1mol/lの溶液中でインキュベートする。3回水洗した後、ローダミンで標識したポリスチレン硫酸塩(PSS、分子量130,000g/mol、キャプシュレーション・ナノサイエンス(Capsulation Nanoscience)AG)の1g/lの溶液500μlを添加し、混合物を12時間インキュベートする。アニオン性に荷電したPSS−RhoはFe3+により孔の表面上に吸着した。PSS上澄を水で洗い流す。次に、0.5mol/l NaClを含む分子量>300,000g/molのキトサン−Fluの溶液をテンプレートに加え、表面に吸着させる。プライミング後、7層のPSSおよびPAHを、0.5mol/lの塩を含む1g/lのポリマー溶液を用いて、交互に適用する。コーティング工程の合間に、水洗を3回実施する。次に、このようにして得られたCS粒子の内部に、2.3g/lの濃度のPSS−Rhoが定量された(図3a)。壁上のPSSの濃度は特に高く、このことは、キトサンプライマーの内部表面上の吸着が増加しているためであろう。シリカテンプレートを、pH4の1mol/lの酢酸緩衝液中の2mol/lのフッ化ナトリウム溶液100mlを用いて溶解除去する。3時間後、テンプレートは完全に溶解し、PSSを充填したカプセルが残る(図3b)。カプセル内部においてPSS/Rhoの濃度は1.8g/lと定量されたが、これは幾週間か保管したところ、わずかに減少した。
【0044】
図3は、内部で負に荷電したポリマーを使用して製造されたカプセルを示す;a)PSS/Rhoを充填したCS粒子の共焦点画像であり、キトサン(PSS/PAH)3PSSでコートされている(ローダミンチャンネルPMT2 800V、画像サイズ80μm×80μm);b)SiO2テンプレートを溶解除去した後の、PSS−Rhoを充填したキトサン(PSS/PAH)3PSSのカプセルの共焦点画像(ローダミンチャンネルPMT2 850V、画像サイズ80μm×80μm)。
【0045】
3.両性イオン性タンパク質アルブミン
直径10μmおよび孔の大きさが7nmの球形の多孔質シリカテンプレート10mgを、100μlの水(pH6.5)中に懸濁する。そこに、酢酸緩衝液(0.1M、pH5)中の、ローダミンで標識したウシ血清アルブミン(TRITC−BSA、シグマ(Sigma);BSA=ウシ血清アルブミン)の1g/lの溶液500μlを添加し、混合物を12時間インキュベートする。上澄を緩衝液で洗い流し、アルブミンはテンプレート内部に著しく蓄積した。次に、0.5mol/lのNaClを含む分子量>300,000g/molのキトサン−Fluの溶液をテンプレートに加え、表面に吸着させる。プライミング後、7層のPSSおよびPAHを、0.5mol/lの塩を含む1g/lのポリマー溶液を用いて、交互に適用する。コーティング工程の合間に、水洗を3回実施する。得られたCS粒子の内部に、1.2g/lの濃度のBSAが定量された(図4a)。シリカテンプレートを、pH5の1mol/lの酢酸緩衝液中の2mol/lのフッ化ナトリウム溶液100ml中で溶解除去した。12時間後、テンプレートは完全に溶解し、アルブミンを充填したカプセルが残る(図4b)。カプセル内部においてBSAの濃度は1.4g/lと定量されたが、これは幾週間か保管したが、変化しなかった。CS粒子と比較してカプセル中のより高い値は、第一の実施例において記した自己消光による減少か、または内部の壁からのBSAの脱離に起因する。
【0046】
図4は、内部においてタンパク質を使用して製造されたカプセルを示す;a)BSA/Rho(ローダミンで標識したBSA)を充填したCS粒子の共焦点画像であり、キトサン(PSS/PAH)3PSSでコートされている(ローダミンチャンネルPMT 850V、画像サイズ80μm×80μm);b)SiO2テンプレートを溶解除去した後の、BSA−Rhoを充填したキトサン(PSS/PAH)3PSSのカプセルの共焦点画像(ローダミンチャンネルPMT 900V、画像サイズ80μm×80μm)。
【0047】
4.2つの異なる化合物の連続的挿入
直径10μmおよび孔の大きさが7nmの球形の多孔質シリカテンプレート10mgを、100μlの水(pH6.5)中に懸濁する。そこに、ローダミンで標識した、分子量70,000g/molのポリアリルアミン(PAH)の1g/lの溶液100μlを添加し、混合物を12時間インキュベートする。粒子内部にはカチオン性に荷電したPAH/Rhoが蓄積した。PAHは上澄中にはもやは見られない。次の工程において、分子量50,000〜300,000のフルオレセインで標識したキトサンの溶液500μlを粒子に加え、混合物をさらに12時間インキュベートする。キトサン上澄を洗い流した後、0.5mol/lのNaClを含む分子量>300,000g/molのキトサン溶液を粒子に加え、表面に吸着させる。プライミング後、7層のPSSおよびPAHを、0.5mol/lの塩を含む1g/lのポリマー溶液を用いて、交互に適用する。コーティング工程の合間に、水洗を3回実施する。共焦点の照射が示す通り(図5a、b)、2.5g/lのRAH/Rhoおよび7g/lの低分子量のキトサン−Fluが、CS粒子の内部に検出される。シリカテンプレートを、pH4の1mol/lの酢酸緩衝液中の2mol/lのフッ化ナトリウム溶液100mlで溶解除去した。3時間後、テンプレートは完全に溶解し、PAHおよびキトサンを充填したカプセルが残る(図5c、d)。カプセル内部において、PAH/Rhoの濃度は1.7g/lおよびキトサン−Fluは7g/lと定量されたが、これは幾週間か保管したが、変化しなかった。
【0048】
図5は、2つの正に荷電したポリマーPAH/Rhoおよび低分子量のキトサン−Fluを充填し、キトサン(PSS/PAH)3PSSを用いて封入した、CS粒子およびカプセルの共焦点画像を示す;a)ローダミンチャンネルPMT2 600VにおけるCS粒子、画像サイズ80μm×80μm;b)フルオレセインチャンネルPMT1 500VにおけるCS粒子、画像サイズ80μm×80μm;c)ローダミンチャンネルPMT2 700Vにおけるカプセル、画像サイズ80μm×80μm、d)フルオレセインチャンネルPMT1 550Vにおけるカプセル、画像サイズ80μm×80μm。
【0049】
5.ナノ粒子の充填
直径10μmおよび孔の大きさが10nmの球形の多孔質シリカテンプレート10mgを、100μlの水(pH6.5)中に懸濁する。そこに、pH5.2の酢酸緩衝液中の、直径5〜10nmの正に荷電したマグネタイト・ナノ粒子の1g/lの溶液100μlを添加する。12時間のインキュベートの後、上澄を洗い流す。多孔質テンプレートは、際立った超常磁性活性を示す。0.5mol/lのNaClを含む分子量>300,000g/molのキトサン溶液をテンプレートに加え、表面に吸着させる。プライミング後、7層のPSSおよびPAHを、0.5mol/lの塩を含む1g/lのポリマー溶液を用いて、交互に適用する。コーティング工程の合間に、水洗を3回実施する。コーティングの後、磁性活性は変化しなかった。シリカテンプレートを、pH4.5の1mol/lの酢酸緩衝液中の2mol/lのフッ化ナトリウム溶液100mlを用いて溶解除去した。12時間後、テンプレートは完全に溶解し、マグネタイトを充填したカプセルが残る(図6a)。磁性活性は、溶解の間、ほとんど減少しなかった(図6b)。
【0050】
図6は、正に荷電したマグネタイト・ナノ粒子を充填し、キトサン(PSS/PAH)3PSSを用いて封入した、カプセルの共焦点画像を示す(80μm×80μm)。図6bは、頂部の磁石を用いてエッペンドルフ管にカプセルを集める方法を示す。
【0051】
6.内部に固体の構造骨格を有するマイクロカプセル
直径10μmおよび孔の大きさが10nmの球形の多孔質シリカテンプレート10mgを、100μlの水(pH6.5)中に懸濁する。そこに、0.5mol/lのNaClを含む、ローダミンで標識し分子量15,000g/molのポリアリルアミン(PAH)の1g/lの溶液100μlを添加し、混合物を一時的に超音波を適用して、60分間インキュベートする。カチオン性に荷電したPAH/RHoが粒子内部に蓄積した。過剰のPAH/Rhoを洗い流す。その後、混合物を0.5mol/lの塩を含むPSS20,000g/molと共にインキュベートし、上澄を洗い流す。この工程は4回実施する(8層)。その後、0.5mol/lのNaClを含む分子量>300,000g/molのキトサン溶液を粒子に加え、表面に吸着させる。プライミング後、7層のPSSおよびPAH70,000(色素Cy5で標識)を、0.5mol/lの塩を含む1g/lのポリマー溶液を用いて、交互に適用する。コーティング工程の合間に、水洗を実施する。共焦点照射が示す通り(図7a、b)、PAH/RhoがCS粒子の内部に検出され、一方Cy5で標識したPAHが殻を形成する。21.5g/lの濃度のPAH/Rhoが定量された。シリカテンプレートを、pH4の1mol/lの酢酸緩衝液中の2mol/lのフッ化ナトリウム溶液100mlを用いて溶解除去した。3時間後、テンプレートは完全に溶解し、PSS/PAH−Rhoを充填したカプセルが残る(図7c)。カプセル内部に、16.9g/lの濃度のPAH/Rhoが定量されたが、これは複合体骨格に起こる自己消光のため、著しく高いことが保障される。慣用のカプセルと比較して、これらのカプセルは、安定な骨格のため、乾燥中に崩壊しない(図7d、e)。さらに、内部の繊細な骨格の位置の安定性が、領域の漂白(中央の左右の2点)および続く共焦点顕微鏡によるスキャンニング(図7c)によって実証された。
【0052】
図7は、PAH−Rho/PSS複合体を充填し、キトサン(PSS/PAH)3PSSで囲んだCS粒子およびカプセルの共焦点画像を示す;a)ローダミンチャンネルPMT2 600VにおけるCS粒子、画像サイズ40μm×40μm;b)Cy5チャンネルPMT1 500VにおけるCS粒子、画像サイズ40μm×40μm;c)多層構造のローダミンおよびCy5チャンネルにおけるカプセル。位置安定な2つの穴が、高レーザー力でカプセル内で燃焼した。画像サイズ80μm×80μm;d)乾燥後の、実施例1で製造されたカプセル(PAH−Rho充填)、画像サイズ40μm×40μm;e)乾燥後の、PAH−Rho/PSS骨格を有するカプセル、画像サイズ40μm×40μm。
【0053】
図8は、微小テンプレート16の製造のための個々の方法工程を示し、ここでは、高分子電解質および/またはナノ粒子層14の微細な骨格からなる。このため、交互に荷電する高分子電解質および/またはナノ粒子層14を有する多孔質テンプレート2が充填され、即ち、これらの物質はテンプレート2の内部表面(孔表面)および任意にテンプレートの外部表面もコートする。テンプレート2の溶解後、微小テンプレート16が残るが、これは部分的またはほとんど閉じた高分子電解質および/またはナノ粒子層によって囲むことができる。
【0054】
文献
[1]E.ドナス(Donath)、G.B.シュコルコフ(Sukhorukov)、F.カルソ(Caruso)、S.A.デービス(Davis)、H.ムーワルド(Moehwald)、アンゲバンド・ケミエ−インターナショナル・エディション(Angewandte Chemie-International Edition)、1998年、37巻、2202-2205頁.
[2]L.デーネ(Daehne)、S.レポラッティ(Leporatti)、E.ドナス(Donath)、H.ムーワルド(Moehwald)、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)、2001年、123巻、5431-5436頁.
[3]A.A.アンティポフ(Antipov)、G.B.シュコルコフ(Sukhorukov)、S.レポラッティ(Leporatti)、I.L.ラドチェンコ(Radtchenko)、E.ドナス(Donath)、H.ムーワルド(Moehwald)、コロイドおよび表面 a−物理化学的および工学的様相(Colloids and Surfaces a-Physicochemical and Engineering Aspects)、2002年、198巻、535-541頁.
[4]G.イバルツ(Ibarz)、L.デーネ(Daehne)、E.ドナス(Donath)、H.ムーワルド(Moehwald)、アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)、2001年、13巻、1324-1327頁.
[5]I.L.ラドチェンコ(Radtchenko)、G.B.シュコルコフ(Sukhorukov)、H.ムーワルド(Moehwald)、コロイドおよび表面 a−物理化学的および工学的様相(Colloids and Surfaces a-Physicochemical and Engineering Aspects)、2002年、202巻、127-133頁.
[6]H.ムーワルド(Moehwald)、E.ドナス(Donath)、G.シュコルコフ(Sukhorukov)、多層薄層フィルム(Multilayer Thin Films)(J.B.シュレノフ(Schlenoff)編)、ウィレイ(Wiley)VCH、ニューヨーク/ベイスル(Basle)、2003年、363-391頁.
[7]L.デーネ(Daehne)、C.ペイラトートマーセル・デッカー社、ニューヨーク、2004年
[8]D.G.シュチュキン(Shchukin)、G.B.シュコルコフ(Sukhorukov)、H.ムーワルド(Moehwald)、アンゲバンド・ケミエ−インターナショナル・エディション(Angewandte Chemie-International Edition)、2003年、42巻、4472-4475頁.
[9]D.V.ヴォロドキン(Volodkin)、A.I.ペトロフ(Petrov)、M.プレヴォット(Prevot)、G.B.シュコルコフ(Sukhorukov)、ラングムイル(Langmuir)、2004年、20巻、3398-3406頁.
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明による方法の個々の方法工程、およびこの方法で得られるCS粒子またはマイクロカプセルを示す。
【図2】図2は、封入された陽性ポリマーを含有する、a)およびb)CS粒子およびc)マイクロカプセルを示す。
【図3】図3は、封入された陰性ポリマーを含有する、a)CS粒子およびb)マイクロカプセルを示す。
【図4】図4は、封入された両性イオン性タンパク質を含有する、a)CS粒子およびb)マイクロカプセルを示す。
【図5】図5は、多数の封入された活性化合物を含有する、a)およびb)CS粒子およびc)およびd)マイクロカプセルを示す。
【図6】図6は、a)ナノ粒子を充填したカプセル、b)ナノ粒子を充填したカプセル中の超常磁性を示す。
【図7】図7は、PAH−Rho/PSS複合体骨格を充填したa)およびb)CS粒子およびc)およびd)マイクロカプセルを示す。
【図8】図8は、微小テンプレートの製造のための方法工程を示す。
【符号の説明】
【0056】
2 多孔質テンプレート
4 活性化合物
5 活性化合物を充填したテンプレート
6 プライマー層
8 カプセル殻の層
9 カプセル殻
10 CS粒子
12、13 マイクロカプセル
14 高分子電解質/ナノ粒子
16 内部骨格/微小テンプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CS粒子および/またはマイクロカプセルの製造方法であって、
−直径100μm未満の多孔質の有機および/または無機の微粒子である、多孔質テンプレート(2)を製造する工程;
−封入される少なくとも1つの活性化合物(4)を多孔質テンプレート(2)に吸着させる工程;
−少なくとも1つのプライマー層を多孔質テンプレート(2)に適用する工程;および
−交互に荷電した高分子電解質および/またはナノ粒子層を多孔質テンプレートに適用することによって、カプセル殻(8)をプライマー層を備えた多孔質テンプレート(2)の周囲に形成する工程;
−多孔質テンプレート(2)の孔を閉じ、カプセル殻の製造に使用されるコーティング材料に概して不浸透性の材料で、プライマー層(6)を形成する工程
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、多孔質テンプレート(2)が、孔幅0.3nm〜100nm、好ましくは1nm〜30nmの孔を含有する方法。
【請求項3】
前記の請求項のうちの1項に記載の方法であって、テンプレート(2)が、多孔質シリカ粒子および/または多孔質ゼオライト粒子および/または多孔質ポリスチレン粒子である方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、多孔質シリカ粒子が、100nm〜100μm、好ましくは500nm〜30μmの範囲の大きさである方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、多孔質ゼオライト粒子が、孔幅0.3nm〜10nmである方法。
【請求項6】
前記の請求項のうちの1項に記載の方法であって、封入される少なくとも1つの活性化合物(4)が、少なくとも1つのポリマーおよび/またはタンパク質および/または分子量100g/molを超える有機分子および/またはナノ粒子、特に1つの酵素および/または触媒および/または色素および/または医薬品または化粧品活性化合物である方法。
【請求項7】
前記の請求項のうちの1項に記載の方法であって、少なくとも1つの助剤を少なくとも1つの活性化合物(4)の吸着の媒介に使用する方法。
【請求項8】
前記の請求項のうちの1項に記載の方法であって、高分子電解質および/またはナノ粒子を活性化合物として使用し、かつ、孔の空洞の表面を交互に荷電した高分子電解質および/またはナノ粒子の多数の層でコートする方法。
【請求項9】
前記の請求項のうちの1項に記載の方法であって、多孔質テンプレート(2)が溶液中で製造され、かつ、助剤に付加的に、または、助剤の代わりに、少なくとも1つの活性化合物(4)の吸着を該溶液のpHを変えることによって制御する方法。
【請求項10】
前記の請求項のうちの1項に記載の方法であって、カプセル殻(8)の形成後に、マイクロカプセルが形成された結果として、多孔質テンプレート(2)を溶解する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、シリカおよび/またはゼオライトテンプレートをpH3.5〜6の緩衝溶液の存在下、フッ化物塩で溶解する方法。
【請求項12】
CS粒子であって、
−直径100μm未満;
−少なくとも1つの活性化合物(4)が吸着される、多孔質コア(2);
−多孔質コア(2)を囲む、プライマー層(6);および
−交互に荷電する高分子電解質および/またはナノ粒子層の多数の層のカプセル殻(8);
−多孔質コア(4)の孔を閉じ、カプセル殻(8)を成すコーティング材料に概して不浸透性の材料より成るプライマー層(6)
を有するCS粒子。
【請求項13】
請求項12に記載のCS粒子であって、多孔質コア(2)が、孔幅0.3nm〜100nm、好ましくは1nm〜30nmの孔を含有するCS粒子。
【請求項14】
請求項12または13に記載のCS粒子であって、コア(2)が、直径100μm未満の多孔質有機および/または無機微粒子であるCS粒子。
【請求項15】
請求項12〜14のうちの1項に記載のCS粒子であって、コア(2)が多孔質シリカ粒子および/または多孔質ゼオライト粒子および/または多孔質ポリスチレン粒子であるCS粒子。
【請求項16】
請求項12〜15のうちの1項に記載のCS粒子であって、コア(2)が100nm〜100μm、好ましくは500nm〜30μmの範囲の大きさの多孔質シリカ粒子であるCS粒子。
【請求項17】
請求項12〜16のうちの1項に記載のCS粒子であって、コア(2)が孔幅0.3nm〜10nmの多孔質ゼオライト粒子であるCS粒子。
【請求項18】
マイクロカプセルであって、
−直径100μm未満;
−交互に荷電する高分子電解質および/またはナノ粒子層の多数の層のカプセル殻(8);
−カプセル殻の内側のプライマー層(6);および
−プライマー層およびカプセル殻で囲まれる、高分子電解質複合体および/または高分子電解質/ナノ粒子複合体の内部骨格(16)
を有するマイクロカプセル。
【請求項19】
請求項12〜18のうちの1項に記載のCS粒子またはマイクロカプセルであって、プライマー層(6)およびカプセル殻(8)が異なる材料から成る、CS粒子またはマイクロカプセル。
【請求項20】
請求項12〜19のうちの1項に記載のCS粒子またはマイクロカプセルであって、少なくとも1つの活性化合物(4)が、タンパク質および/またはポリマーおよび/または酵素および/または触媒および/または色素および/またはナノ粒子である、CS粒子またはマイクロカプセル。
【請求項21】
マイクロカプセルの製造方法であって、
−少なくとも1つの多孔質テンプレート(2)を製造する工程であって、テンプレート(2)は直径100μm未満の多孔質の有機および/または無機の微粒子である;
−多孔質テンプレート(2)の孔の空洞の表面を、交互に荷電した高分子電解質(14)および/またはナノ粒子(14)の多数の層でコートする工程;
−少なくとも1つのプライマー層(6)を多孔質テンプレート(2)に適用する工程;
−交互に荷電した高分子電解質および/またはナノ粒子層を多孔質テンプレートに適用することによって、カプセル殻(8)をプライマー層(6)を備えた多孔質テンプレート(2)の周囲に形成し、多孔質テンプレート(2)の孔を閉じ、カプセル殻の製造に使用されるコーティング材料に概して不浸透性の材料で、プライマー層(6)を形成する工程;および
−多孔質テンプレート(2)を溶解する工程
を含む方法。
【請求項22】
請求項12〜20のうちの1項に記載のCS粒子および/またはマイクロカプセルの使用、および/または、請求項1〜11および21のうちの1項に記載の通り製造されたCS粒子および/またはマイクロカプセルの使用であって、
−診断、センサーの分野における物質の封入のため;および/または
−水精製、診断、核化学等における適用のための溶液からの物質の選択的蓄積のため;および/または
−化学または生化学反応の触媒のための触媒作用を有する物質、特に、金属および/または金属酸化物および/または酵素の包含のため、;および/または
−診断または医療適用のための、ナノ粒子の封入のため、特に、蛍光または磁性マイクロカプセルの製造のため;および/または
−医薬品または化粧品産業における活性化合物の封入および放出のため;および/または
−例えば、クロマトグラフィーにおける分離のため;および/または
−食品産業および農業および林業における適用のため
の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−529303(P2007−529303A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503286(P2007−503286)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002810
【国際公開番号】WO2005/089727
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(505040121)カプサルーション ナノサイエンス アクチェン ゲゼルシャフト (7)
【Fターム(参考)】