説明

多孔質合成樹脂製成形体の製造方法

【課題】生産性に富んだ、浸透印面などに用いて好ましい多孔質合成樹脂製成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】基材である熱可塑性樹脂組成物に、水溶性化合物からなる粒状多孔形成体と、多価アルコールからなる多孔形成助剤と、有機過酸化物からなる架橋剤とを混合して成形材料を得る混合工程ST1と、前記成形材料を成形型に注入し、140〜170℃×4〜10分の熱プレス成形を行って架橋反応と印面の成形加工とを同時に進行させて成形物を得る架橋成形工程ST2と、前記架橋成形工程で得られた成形物から前記粒状多孔成形体を抽出して多孔質成形体を得る抽出工程ST3と、前記抽出工程で得られた多孔質成形体を乾燥させる乾燥工程ST4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透印などに用いて好ましい多孔質合成樹脂製成形体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の多孔質合成樹脂製成形体として、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂よりなり、気孔率40〜95%、デュロメータ硬度50以上の多孔質体からなる浸透性印鑑の印面材料が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−150780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には基材となる熱可塑性樹脂に有機過酸化物などの架橋剤を混合して紫外線や放射線を照射することで架橋することもできることが開示されているが、こうして得られたシート状の印面用材料をレーザ光にて彫刻して印面を形成するものである。したがって、印面用材料を製造したのちさらに彫刻工程が必要となる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、浸透印面などに用いて好ましい、別途の彫刻工程が不要となる多孔質合成樹脂製成形体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基材である熱可塑性樹脂組成物に、水溶性化合物からなる粒状多孔形成体と、多価アルコールからなる多孔形成助剤と、有機過酸化物からなる架橋剤とを混合した成形材料を、成形型に注入し、140〜170℃×4〜10分の直圧成形(圧縮成形、コンプレッション成形、熱プレス成形ともいう。)を行って架橋反応と印面の成形加工とを同時に進行させることにより、上記課題を解決する。
【0007】
上記発明において、前記架橋成形工程で得られた成形物を70〜100℃の温水に浸漬することで前記粒状多孔成形体を抽出して多孔質成形体を得る抽出工程を設けることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、直圧成形により架橋反応と印面の成形加工とが同時に進行するため、別途の彫刻工程が不要となる、浸透印面などに用いて好ましい多孔質合成樹脂製成形体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態を適用した浸透印面の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態を適用した浸透印面の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0011】
本例の浸透印面の製造方法は、基材である熱可塑性樹脂組成物に、水溶性化合物からなる粒状多孔形成体と、多価アルコールからなる多孔形成助剤と、有機過酸化物からなる架橋剤とを混合して成形材料を得る混合工程ST1と、前記成形材料を成形型に注入し、140〜170℃×4〜10分の直圧成形(圧縮成形、コンプレッション成形、熱プレス成形)を行って架橋反応と印面の成形加工とを同時に進行させて成形物を得る架橋成形工程ST2と、前記架橋成形工程で得られた成形物から前記粒状多孔成形体を抽出して多孔質成形体を得る抽出工程ST3と、前記抽出工程で得られた多孔質成形体を乾燥させる乾燥工程ST4と、を備える。
【0012】
本例で用いられる熱可塑性樹脂は浸透印面の基材であり、その加工温度は110℃以下であることが望ましい。このような熱可塑性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA、熱可塑性エラストマーTPE、低密度ポリエチレンLDPE、鎖状低密度ポリエチレンLLDPEなどを例示できる。これらのなかでも、融点が低く、柔軟性が高く、良好な物性値を持つエチレン・アルファ−オレフィン共重合体で、メタロセン触媒で合成されるメタロセンプラストマーが望ましい。
【0013】
本例で用いられる粒状多孔形成体は、浸透印面の連続気泡を形成するための中子であって、多孔形成体の抽出工程ST3で用いる溶媒との関係から、水溶性化合物であることが望ましい。このような水溶性化合物としては、ペンタエリスリトールやポリエリレングリコールなどの多価アルコール類、ブドウ糖,カ糖,麦芽糖などの糖類、塩化カリウム,塩化ナトリウム,硫酸ナトリウム,硝酸カリウムなどの水溶性塩類を例示でき、これらの中から単独または組み合わせて使用できる。
【0014】
粒状多孔形成体に用いられるペンタエリスリトールは、モノペンタエリスリトールが95%以上、水酸基が47%以上、融点(融け始め温度)が180℃以上である。粒状多孔形成体の粒度は、浸透印面に求められる品質と目的により適宜選択すればよいが、本例の浸透印面では微細で均一な孔が望ましいことから、10%径が10〜12ミクロン程度の粒径のものが望ましい。
【0015】
本例で用いられる架橋剤は、用いられる熱可塑性樹脂を架橋することができる架橋剤であればよい。合成樹脂を架橋することができる架橋剤としては、ジアルキルパーオキサイド系、パーオキシケタール系、ヒドロペルオキシド系、ペルオキシエステル系、ジアルキルペルオキシド系などがあるが、成形素材を混練加工する段階で100℃前後に加熱されるため、架橋剤の分解温度が高い方が望ましい。
【0016】
ただし、分解温度が高すぎると架橋温度が高くなり、架橋時間も長くなるので好ましくない。一方で、架橋剤の分解温度が低すぎると混練加工中に架橋剤の分解が始まり、良好な成形物を得ることができない。したがって、最高混練温度が100℃以上であること、標準架橋温度が150℃前後(140〜170℃)である架橋剤が望ましい。こうした架橋剤として、パーオキシケタール系の架橋剤を用いることがより好ましい。なお、架橋剤によっては分解生成物が異臭を発生するものもあるので注意を要する。
【0017】
本例で用いられる多孔形成体を抽出するための助剤としては、多価アルコールを使用することができる。具体的には、2価と3価のアルコールを併用することが望ましい。
【0018】
2価アルコールとしては、ポリエチレングリコールが挙げられ、なかでも平均分子量が1,000以上のものが使用しやすい。ポリエチレングリコールは、抽出助剤でとしての効果だけでなく、熱可塑性合成樹脂に、多孔形成体として使用されるペンタエリスリトールを混練・分散させる工程で、分散剤としも機能する。
【0019】
3価アルコールとしては、グリセリンが挙げられる。グリセリンは、抽出助剤としての効果もあるが、抽出物(多孔質成形体)の引き裂き強度を強くする役割が大きい。ポリエチレングリコールのみで抽出したものは、引き裂き強度が弱かったり、膨潤して寸法安定性が悪くなったりするのでグリセリンを用いることが望ましい。このように、2価と3価のアルコールを併用してバランスを取ることで、抽出性・物性・インキの吸収性に優れた成形物を得ることができる。
【0020】
本例で用いられる成形材料には、上述した熱可塑性樹脂、架橋剤、多孔形成体、多孔形成助剤の他に、可塑剤、界面活性剤、顔料、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃材、老化防止剤など必要に応じて使用することができる。こうした添加物は、熱可塑性合成樹脂100重量部に対して50重量部以下の割合で添加することが望ましい。
【0021】
混合・分散工程における各成分の混合比は次のとおりである。まず、熱可塑性合成樹脂100重量部に対する多孔形成体及び多孔形成材助剤の割合は、150〜500重量部の範囲である。多孔形成体とその助剤の混合量が多くなるほど、多孔質成形体の孔数が多くなり、柔軟な成形体を得ることができる。逆に多孔形成体とその助剤の混合量が少ないほど、多孔質成形体の孔数が少なくなり、硬い成形体を得ることができる。こうした孔数と硬さの設定は使用目的により変わるため、その用途に応じて多孔形成体及び多孔形成助剤の混合量を調整すればよい。
【0022】
熱可塑性合成樹脂100重量部に対する架橋剤の割合は、1〜5重量部が望ましく、1〜2重量部がより望ましい。
【0023】
《混合・分散工程》本例の混合・分散工程ST1では、上記の熱可塑性樹脂組成物、粒状多孔形成体、多孔形成助剤、架橋剤、および必要に応じて使用される添加材を配合し、均質に混合することにより得られる。混合・分散工程ST1では、オープンロール、加熱・加圧ニーダー、インテシブミキサー、単軸押出機、2軸押出機、インタナルミキサー、コニーダー、2軸ローター付き連続混練機などが適宜使用される。
【0024】
《架橋・成形工程》
本例の架橋成形工程は、上記混合・分散工程で得られた成形材料を、浸透印面の形状のキャビティを有する成形型に充填し、以下の条件で直圧成形(圧縮成形、コンプレッション成形、熱プレスともいう。)することで架橋反応と印面の成形加工とを同時進行させる。
【0025】
架橋・成形する温度と時間は、熱可塑性樹脂組成物が溶融軟化して、多孔形成助剤が溶融または軟化する温度であり、かつ架橋剤が分解して架橋物ができる140〜170℃の範囲である。時間は、予熱・エアー抜き・ガス抜きを含めて4〜10分である。架橋・成形温度が180℃を超えると架橋反応が速くなるため、予熱段階で架橋反応が進みすぎて良好な成形物が得られない。また、架橋・成形温度が140℃未満になると架橋反応が充分に成立しないため、成形型から離型しない部分が出来たりして良好な成形物が得られない。架橋・成形時間については、4分より短いと架橋反応が終了していない状態である場合が発生して、良好な成形物が得られないことがある。また、架橋・成形時間が10分を超えると生産性が低くなりコスト高になる。
【0026】
なお、架橋・成形工程で用いられる成形型は、アルミニウムや鉄などの金属製成形型と、フェノール樹脂やエボナイトなどの合成樹脂製成形型のいずれでもよい。市販されている樹脂型材(富士フィルム社製の富士トレリーフ(商標)や東京応化社製のリジロン(登録商標))が使用できる。ただし、金属製成形型で銅やその合金である真鍮製の成形型は、銅が架橋反応を阻止するため、本例の使用には適していない点に留意すべきである。特に本例の成形型は、印面の文字、図形、模様に応じた凹凸が形成され、これにより印面の成形加工が行われるので、別途の彫刻工程が不要となる。
【0027】
架橋・成形工程で用いられる直圧成形機は、ゴムの架橋に一般使用されている加熱式のプレス機で、加圧能力が10〜50トン程度のものであればよい。温度は200℃程度昇温できればよいが、温度制御は正確であることが必要とされる。
【0028】
架橋・成形工程での手順は、使用する成形型を成形温度まで予備加熱した後に、ペレット状の成形材料を成形型に均一に充填し、予熱、加圧、エアー抜き、ガス抜きの順にトータル4〜10分の加圧・加熱状態で成形する。成形物は、その表面温度が30〜50℃まで冷却した後に取り出す。なお、成形材料は、架橋されない多孔形成体やその多孔成形助剤が含まれ、特に多孔成形助剤は融点が50〜60℃であるため、その融点以下に冷却してから離型することで、成形物の形状を安定させることができる。
【0029】
《多孔成形体の抽出工程》
上述した架橋・成形工程にて得られた成形物には多孔成形体及びその助剤が残留しているため、これらを除去する。本工程で用いられる溶媒は、低コストで後処理が比較的簡単な水を使用することが有利である。抽出溶媒としての水に成形物を浸漬することで、成形物から多孔形成材及びその助剤を抽出することができる。
【0030】
本例の成形物は架橋されているため熱安定性に優れている。そのため、常温から100℃、好ましくは70〜100℃の温度の水で抽出しても成形物の孔は損なわれない。基材を構成する熱可塑性樹脂の種類に応じて水の温度を適宜選択すればよい。本例のように架橋されている成形物と、同じ組成の架橋されていない成形物とを、多孔形成体の抽出時間で比較すると、加温効果により数倍速い時間で抽出を完了することができる。したがって抽出工程にかかる時間を短縮することができ、特に短納期の商品には有利に働く。熱可塑性樹脂組成物の処方や成形物の大きさや厚さにより異なるが、浸透印面の用途に関する一般的処方で、厚さ3mm程度の成形物の場合で、70℃×3時間で93%以上の抽出物を得ることができた。
【0031】
《乾燥工程》
抽出物(成形体)の乾燥は、自然乾燥でもよいが、長時間を要するため、温風乾燥機や除湿乾燥機を使用すると数時間で乾燥することができる。乾燥温度は、20〜100℃の範囲あれば問題ないが、適温は50〜60℃で1〜2時間程度がよい。
成形物の厚さが3mm程度であれば、60℃・2時間で乾燥することができる。
【0032】
以上のとおり、本例の製造方法では、架橋剤を含む成形材料を直圧成形することにより架橋反応と印面の成形加工とを同時進行させるため、別途の彫刻工程が不要となる。また、多孔成形体及びその助剤を抽出する際に、沸騰水に近い高温水に浸漬するため、抽出時間を短縮することができる。
【0033】
また、以上の工程で得られる多孔質合成樹脂製成形体は、成形材料に配合した多孔形成体の量に応じた多孔率を有し、また均質な連続気泡体となる。また、基材となる熱可塑性樹脂成分が架橋されているため、耐熱性・耐摩耗性・耐引っ張り強度など、物理的特性が、原料である熱可塑性樹脂組成物より強化される。このため、従来適用が困難であった耐熱・耐摩耗性が必要な用途にも使用が期待される。
【実施例】
【0034】
《試料の作製》
鎖状低密度ポリエチレンLLDPE100部に対して、微粉末ペンタエリスリトール200部、粉末タイプポリエチレングリコール25部、グリセリン10部、赤色有機顔料0.1部、架橋剤5部を高速混合機スーパーミキサーで5分混合して均一な混合物を得た。この混合物を2軸押出機で混練加工して、成形材料を得た。
【0035】
この成形材料を、直圧成型機を使用して架橋・成形した。成形温度は140〜170℃の範囲、時間は5分とした。なお、成形温度及び時間は、樹脂型の文字・記号・紋様の大きさで最適条件を設定した。概して云えば、文字・記号・紋様が大きいサイズマークのような場合は、上記温度範囲のうちのやや低めの145〜155℃、それが小さい住所印やボールマーク・キャラクター印の場合は、上記温度範囲のうちの155〜165℃程度の設定とすることが好ましい。この成形物を70℃の温水に3時間浸漬した(抽出工程)のち、温風乾燥機で2時間乾燥した(乾燥工程)。
【0036】
《耐熱性評価》
多孔質合成樹脂製成形体の耐熱性を評価するために、得られた多孔質成形体から、厚さ2.7mm、30mm角の浸透印面のチップを切り出し、このチップを沸騰水に浸漬して、5分・10分・20分・30分処理してから、それぞれを乾燥してサンプルとした。また、比較例として沸騰水に浸漬しない試料(0分)と、非架橋の同じ組成物の多孔質成形体をそれぞれ作製し、同サイズのチップを作製した。
【0037】
連続発泡体の成立と熱による破壊を確認するため、市販品の油性顔料黒インキ(タイヨートマー社製)をチップの裏面より吸収させ、その表面の全面が黒くなるまでの時間を調べた。サンプル数N=3とした。この結果を表1に示す。
【表1】

【0038】
比較例としての非架橋のチップは、沸騰水に3分処理で収縮して小さくなったため取り出して裏面よりのインキの吸収を試みたが、チップの表面にインキが浸透しなかった。この結果から非架橋のチップは、連続発泡が破壊されたものと推察される。また、沸騰水に浸漬処理をしないもの(0分)は13〜18分であった。以上の結果から、沸騰水で処理したもの(5,10,20,30分)と、しないもの(0分)のインキ吸収時間に有意差はなく、連続発泡が確実に成立していることと、この連続発泡が破壊されなかったことが確認された。
【0039】
《連続捺印性》
樹脂製成形型を用いて上記と同じ条件でボールマーク印面を作製した。得られた多孔成形体に油性黒インキを充分に吸収させたものが、白紙に対し途中でインキを補充しないで連続何回捺印できるかを試験した。同様に、樹脂製成形型を用いて上記と同じ条件でサイズマーク印面を作製した。この多孔成形体にアルコール系青色染料インキを充分に吸収させたものが、ポリエチレン袋に対し途中でインキを補充しないで、連続何回捺印できるかを試験した。
【0040】
上記ボールマーク印面は、A4サイズのコピー紙に1000回連続して捺印したところ少しインキの色がうすくなったが、まだ判読できる捺印であった。また、上記サイズマーク印面は、ポリエチレン製袋に700回連続して捺印したところ少しインキの色がうすくなったが、まだ判読できる捺印であった。
【0041】
《耐有機溶剤性》
多孔質合成樹脂製成形体の耐有機溶剤性を評価するために、得られた多孔成形体から、厚さ2.7mm、30mm角の浸透印面のチップを切り出し、このチップを常温のエチルアルコール、イソプロピルアルコールIPA、n−ヘキサン、トルエンにそれぞれ5時間浸漬し、その後、溶媒を除去した。
【0042】
上記各有機溶剤に浸漬したチップの連続気泡が破壊したか否かを確認するため、裏面より油性黒インキを吸収させ、表面すべてが黒くなるまでの時間を計測した。比較例として有機溶剤に浸漬しないもの(処理なし)の時間も計測した。
【0043】
その結果、有機溶剤に浸漬しないチップのインキ吸収時間が9分であったのに対し、エチルアルコールは7分、イソプロピルアルコールが6分、n−ヘキサンが7分、トルエンが11分であった。また、nヘキサンに浸漬したチップとトルエンに浸漬したチップは膨潤して大きくなったが、有機溶剤を除去すると元の大きさに戻った。エチルアルコールやイソプロピルアルコールに浸漬したものは、変化しなかった。この結果から、有機溶剤による連続気泡体の破壊はないことが確認された。
【符号の説明】
【0044】
ST1…混合・分散工程
ST2…架橋成形工程
ST3…抽出工程
ST4…乾燥工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材である熱可塑性樹脂組成物に、水溶性化合物からなる粒状多孔形成体と、多価アルコールからなる多孔形成助剤と、有機過酸化物からなる架橋剤とを混合して成形材料を得る混合工程と、
前記成形材料を成形型に注入し、140〜170℃×4〜10分の直圧成形を行って架橋反応と印面の成形加工とを同時に進行させて成形物を得る架橋成形工程と、
前記架橋成形工程で得られた成形物から前記粒状多孔成形体を抽出して多孔質成形体を得る抽出工程と、
前記抽出工程で得られた多孔質成形体を乾燥させる乾燥工程と、を備える多孔質合成樹脂製成形体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の多孔質合成樹脂製成形体の製造方法において、
前記混合工程は、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、気孔率に応じた150〜500重量部の粒状多孔形成体及び多孔形成助剤と、1〜5重量部の架橋剤とを混合する多孔質合成樹脂製成形体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多孔質合成樹脂製成形体の製造方法において、
前記熱可塑性樹脂組成物がメタロセンプラストマーからなり、前記架橋剤がパーオキシケタールからなる多孔質合成樹脂製成形体の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の多孔質合成樹脂製成形体の製造方法において、
前記多孔形成体がペンタエリスリトールからなり、前記多孔形成助剤がポリエチレングリコールとグリセリンとの混合物からなる多孔質合成樹脂製成形体の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の多孔質合成樹脂製成形体の製造方法において、
前記抽出工程は、70〜100℃の温水に前記架橋成形工程で得られた成形体を浸漬する多孔質合成樹脂製成形体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−167978(P2011−167978A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35007(P2010−35007)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(501125013)
【出願人】(510047177)
【出願人】(510047188)
【Fターム(参考)】