多層配線基板
【課題】配線間での銅のマイグレーションを防止して高集積化を図ることができる多層配線基板を提供すること。
【解決手段】多層配線基板10の配線積層部30において、上面31側には複数の開口部35,36を有するソルダーレジスト25が配設され、ソルダーレジスト25に接している最外層の樹脂絶縁層23にICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42が埋設されている。ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は、主体をなす銅層44と銅層44の外面を覆うめっき層46とにより構成される。ソルダーレジスト25と樹脂絶縁層23との界面に存在する導体層26は、銅層27と銅層27の外面を覆うニッケルめっき層28とにより構成される。
【解決手段】多層配線基板10の配線積層部30において、上面31側には複数の開口部35,36を有するソルダーレジスト25が配設され、ソルダーレジスト25に接している最外層の樹脂絶縁層23にICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42が埋設されている。ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は、主体をなす銅層44と銅層44の外面を覆うめっき層46とにより構成される。ソルダーレジスト25と樹脂絶縁層23との界面に存在する導体層26は、銅層27と銅層27の外面を覆うニッケルめっき層28とにより構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体部を交互に積層して多層化した積層構造体を有する一方で、両面にビルドアップ層を順次形成していくいわゆるコア基板を製品として有しない多層配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
【0003】
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した多層配線基板が実用化されている。この多層配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成されている。つまり、この多層配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るための配線(具体的には、スルーホール導体など)が貫通形成されている。
【0004】
ところで近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。この場合、コア基板を貫通する配線が大きなインダクタンスとして寄与し、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、多層配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。特許文献1,2に記載の多層配線基板は、比較的に厚いコア基板を省略することにより全体の配線長を短くしたものであるため、高周波信号の伝送ロスが低減され、半導体集積回路素子を高速で動作させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4146864号公報
【特許文献2】特開2009−141121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記多層配線基板では、マザーボードの接続面側よりもICチップの搭載面側ほど配線パターンがファインピッチで形成されており、その搭載面に形成される接続端子の間隔は非常に狭くなっている。また、配線パターンや接続端子を形成する銅は、マイグレーションを起こしやすい金属である。このため、ICチップの搭載面において接続端子に加えて配線パターンを形成して多層配線基板の高集積化を図ると、接続端子や配線間で銅のマイグレーションが発生してしまい、多層配線基板の信頼性を確保することが困難となる。
【0007】
因みに、特許文献1に記載の従来の多層配線基板において、ICチップと接続するための接続端子101は絶縁層102側に埋設されており、端子外面101aの外周部がソルダーレジスト103により覆われている(図16参照)。この接続端子101には、主体をなす銅層104の表面にニッケルめっき層105a及び金めっき層105bの2層のめっき層が形成されている。このように接続端子101の表面にめっき層105a,105bを形成すると、接続端子101間での銅のマイグレーションの発生が抑えられる。しかしながら、接続端子101上にはんだ110を形成する場合、接続端子101の表層側に存在する金が溶融したはんだ110中に拡散してしまい、端子外面101aの外周部においてソルダーレジスト103との間に隙間が生じてしまう。この場合、ソルダーレジスト103と接続端子101とが密着しなくなるため、接続端子101の密着強度が低下してしまう。従って、このような場合には信頼性の高い配線基板とすることが困難になる。
【0008】
また、特許文献1の多層配線基板において、ICチップの搭載面には接続端子101のみが形成されている。このICチップの搭載面に配線パターンを形成して配線基板の高集積化を図る場合、従来の配線パターンは銅層のみにて形成されているため、配線間での銅のマイグレーションが問題となってしまう。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配線間での銅のマイグレーションを防止して高集積化を図ることができる多層配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体部を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体部は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、前記積層構造体の前記第1主面側または前記第2主面側には、複数の開口部を有するレジスト用樹脂絶縁層が配設され、前記複数の第1主面側接続端子または前記複数の第2主面側接続端子は、主体をなす銅層と前記銅層の外面を覆う被覆金属層とにより構成されるとともに、前記レジスト用樹脂絶縁層に接している最外層の樹脂絶縁層に少なくとも一部が埋設され、前記被覆金属層の少なくとも一部が前記レジスト用樹脂絶縁層に覆われており、前記レジスト用樹脂絶縁層と前記最外層の樹脂絶縁層との界面に存在する最外層の配線導体部は、主体をなす銅層と前記銅層の外面を覆う導電金属層とにより構成され、前記導電金属層は、金、クロム、タングステン、白金、パラジウム、スズ、鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、タンタル及びチタンから選択される少なくとも1種の導電金属からなることを特徴とする多層配線基板がある。
【0011】
従って、手段1に記載の発明によると、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層され、コアを含まないコアレス配線基板として多層配線基板が形成されている。この多層配線基板において、複数の第1主面側接続端子または複数の第2主面側接続端子は、レジスト用樹脂絶縁層に接している最外層の樹脂絶縁層に少なくとも一部が埋設されているので、各接続端子の絶縁信頼性を高めることができる。また、第1主面側接続端子または第2主面側接続端子は、主体をなす銅層と銅層の外面を覆う導電金属層とにより構成され、その被覆金属層の一部がレジスト用樹脂絶縁層に覆われているので、各接続端子にはんだを確実に形成することができる。さらに、本発明では、銅よりもマイグレーションを起こしにくい金、クロム、タングステン、白金、パラジウム、スズ、鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、タンタル及びチタンから選択される少なくとも1種の導電金属からなる導電金属層によって、配線導体部を構成する銅層の外面が覆われている。このようにすると、配線導体部間で発生する銅のマイグレーションを確実に防止することができるため、多層配線基板の高集積化を図ることができる。
【0012】
最外層の配線導体部は、最外層の樹脂絶縁層側に埋設されていることが好ましい。この場合、複数の第1主面側接続端子または複数の第2主面側接続端子と同一界面に配線導体部が存在することとなる。そして、配線導体部が各接続端子と同様に最外層の樹脂絶縁層側に埋まっているので、配線パターンなどの配線導体部間や各接続端子との絶縁性を十分に確保することができる。従って、配線パターンを比較的狭いピッチで設けることできるため、多層配線基板の高集積化を図ることができる。
【0013】
レジスト用樹脂絶縁層が積層構造体の第1主面側に配置され、第1主面側には、接続対象がICチップである複数のICチップ接続端子が、複数の第1主面側接続端子として存在していることが好ましい。この場合、積層構造体の第1主面側において、比較的狭いピッチで形成されるICチップ接続端子や配線間でのマイグレーションを確実に防止することができるため、多層配線基板の高集積化を図ることができる。なお、レジスト用樹脂絶縁層は、ICチップが搭載される第1主面側の反対側、具体的には、母基板が接続される第2主面側に設けられてもいてよい。
【0014】
複数の第1主面側接続端子または複数の第2主面側接続端子を構成している被覆金属層、及び最外層の配線導体部を構成している導電金属層は、共通の導電金属を用いて形成されていることが好ましい。この場合、各接続端子の被覆金属層と配線導体部の導電金属層とを同一の製造工程(例えば、めっき工程)で形成することができ、多層配線基板の製造コストを抑えることができる。
【0015】
被覆金属層、及び導電金属層はいずれもニッケルを主体とすることが好ましい。このように、各接続端子及び配線導体部を構成する銅層の外面をニッケルで覆うことにより、銅のマイグレーションを確実に防止することができる。また、ニッケルは、接続端子を覆うめっき層として従来から用いられている信頼性の高い導電金属である。このため、ニッケルからなる金属層を接続端子や配線導体部に設けた場合でも、多層配線基板における電気特性を十分に確保することができる。
【0016】
第1主面側接続端子または第2主面側接続端子を構成する被覆金属層は、ニッケルめっき層と金めっき層とからなり、ニッケルめっき層は銅層の外面を覆うように設けられるとともに、金めっき層はレジスト用樹脂絶縁層が有する開口部から露出するニッケルめっき層の露出部分のみを覆うように設けられていてもよい。この場合、レジスト用樹脂絶縁層は、ニッケルめっき層の外周部分に接触することとなる。このようにすると、レジスト用樹脂絶縁層との界面に金めっき層が介在しないので、従来のようにはんだ接続時にてレジスト用樹脂絶縁層と端子外面の外周部との間に隙間が生じるといった問題を回避することができる。このため、レジスト用樹脂絶縁層と接続端子との密着強度を十分に確保することができる。
【0017】
第1主面側接続端子または第2主面側接続端子の端子外面は、最外層の樹脂絶縁層の表面よりも内層側に位置するように形成されていてもよい。このようにすると、レジスト用樹脂絶縁層の密着面積が増加するため、多層配線基板の強度をより高めることができる。
【0018】
複数の樹脂絶縁層に形成されたビア導体は、いずれも第1主面側から第2主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。また逆に、複数の樹脂絶縁層に形成されたビア導体は、いずれも第2主面側から第1主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。このようにすると、コア基板を有さないコアレス配線基板を確実に製造することができる。
【0019】
複数の樹脂絶縁層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。なお、本発明において、「同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層」とは、例えば熱硬化性樹脂に含浸させる上記有機繊維等の添加物に違いがあったとしても、主体となる熱硬化性樹脂が同じであれば、その具体例に該当する。
【0020】
レジスト用樹脂絶縁層は、はんだ付け作業の際にはんだが付かないようにする絶縁層であり、耐熱性被覆材料を用いて形成される。なお、レジスト用樹脂絶縁層と複数の樹脂絶縁層とは同じ樹脂絶縁材料を主体として構成されていてもよい。このようにすると、各絶縁層が別の樹脂絶縁材料で形成される場合と比較して、熱膨張係数差が抑えられる。この結果、多層配線基板の反りを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図。
【図2】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図3】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図4】第1の実施の形態におけるICチップ接続端子の構成を示す拡大断面図。
【図5】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】第2の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図。
【図14】第2の実施の形態におけるICチップ接続端子の構成を示す拡大断面図。
【図15】別の実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図。
【図16】従来の配線基板を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
以下、本発明を多層配線基板に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図である。また、図2は、上面側から見た多層配線基板の平面図であり、図3は、下面側から見た多層配線基板の平面図である。
【0023】
図1に示されるように、多層配線基板10は、コア基板を含まずに形成されたコアレス配線基板であって、同じ樹脂絶縁材料を主体とした樹脂絶縁層21,22,23と銅からなる導体層26(配線導体部)とを交互に積層して多層化した配線積層部30(積層構造体)を有している。各樹脂絶縁層21〜23は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成されている。多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側(第1主面側)には、複数の接続端子41,42(第1主面側接続端子)が配置されている。
【0024】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に配置される複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサであるコンデンサ接続端子42とが存在している。配線積層部30の上面31側において、複数のICチップ接続端子41は、基板中央部に設けられたチップ搭載領域43にてアレイ状に配置されている。また、コンデンサ接続端子42は、ICチップ接続端子41よりも面積の大きい接続端子であり、チップ搭載領域43よりも外周側に配置されている。
【0025】
一方、図1及び図3に示されるように、配線積層部30の下面32側(第2主面側)には、接続対象がマザーボード(母基板)であるLGA(ランドグリッドアレイ)用の複数の接続端子45(第2主面側接続端子としての母基板接続端子)がアレイ状に配置されている。これら母基板接続端子45は、上面31側のICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42よりも面積の大きな接続端子である。
【0026】
樹脂絶縁層21,22,23には、それぞれビア穴33及びフィルドビア導体34が設けられている。各ビア導体34は、いずれも同一方向に(図1では上面側から下面側に向かうに従って)拡径した形状を有し、各導体層26、ICチップ接続端子41、コンデンサ接続端子42、及び母基板接続端子45を相互に電気的に接続している。
【0027】
配線積層部30の上面31側において、最外層の樹脂絶縁層23の表面はソルダーレジスト25(レジスト用樹脂絶縁層)によってほぼ全体的に覆われており、ソルダーレジスト25には、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42を露出させる複数の開口部35,36が形成されている。本実施の形態のソルダーレジスト25は、光硬化性を付与した樹脂材料の硬化物を主体として構成されている。
【0028】
図1及び図4に示されるように、ICチップ接続端子41は、主体をなす銅層44と銅層44の外面を覆うめっき層46(被覆金属層)とにより構成されている。コンデンサ接続端子42も、主体をなす銅層44と銅層44の外面を覆うめっき層46(被覆金属層)とにより構成されている。めっき層46は、ニッケルめっき層46a及び金めっき層46bからなる。本実施の形態において、ニッケルめっき層46aは、各接続端子41,42の端子外面41a,42a全体(銅層44の外面全体)を覆うように設けられており、ソルダーレジスト25の開口部35,36内にて露出する中央部分が外周部分よりも厚くなっている。また、金めっき層46bは、開口部35,36にて露出するニッケルめっき層46aの中央部分(露出部分)を覆うように設けられている。
【0029】
ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は、ソルダーレジスト25に接している最外層の樹脂絶縁層23に埋設されており、めっき層46を構成する金めっき層46bがソルダーレジスト25の開口部35,36を介して露出している。また、各接続端子41,42の端子外面41a,42aにおいて、めっき層46を構成するニッケルめっき層46aの外周部分がソルダーレジスト25に接触している。つまり、各接続端子41,42におけるソルダーレジスト25との接触部分には、ニッケルめっき層46aのみが介在しており、金めっき層46bは介在していない。
【0030】
本実施の形態では、ソルダーレジスト25と最外層の樹脂絶縁層23との界面にICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42が存在しており、その同一界面に導体層26(配線導体部)が形成されている。この最外層に形成されている導体層26は、各接続端子41,42と同様に最外層の樹脂絶縁層23側に埋設されている。また、最外層の導体層26は、主体をなす銅層27と銅層27の外面を覆うニッケルめっき層28(導電金属層)とにより構成されている。一方、内層の樹脂絶縁層21,22側に設けられている導体層26は、銅層27のみにて形成されている。
【0031】
配線積層部30の下面32側において、最外層の樹脂絶縁層21の表面はソルダーレジスト29によってほぼ全体的に覆われており、ソルダーレジスト29には、母基板接続端子45を露出させる開口部37が形成されている。ソルダーレジスト29は、光硬化性を付与した樹脂材料の硬化物を主体として構成されている。母基板接続端子45は、銅層44を主体として構成されている。母基板接続端子45において、銅層44の主面側外周部がソルダーレジスト29により覆われており、開口部37にて露出する中央部には、銅以外の金属からなるめっき層48(具体的には、ニッケルめっき層48a及び金めっき層48b)が形成されている。そして、母基板接続端子45上に、図示しないはんだを介してマザーボードが接続されるようになっている。
【0032】
上記構成の多層配線基板10は例えば以下の手順で作製される。
【0033】
先ず、十分な強度を有する支持基板(ガラスエポキシ基板など)を準備し、その支持基板上に、樹脂絶縁層21〜23及び導体層26をビルドアップして配線積層部30を形成する。
【0034】
詳述すると、図5に示されるように、支持基板50上に、エポキシ樹脂からなるシート状の絶縁樹脂基材を貼り付けて下地樹脂絶縁層51を形成することにより、支持基板50及び下地樹脂絶縁層51からなる基材52を得る。そして、基材52の下地樹脂絶縁層51の上面に、積層金属シート体54を配置する。ここで、下地樹脂絶縁層51上に積層金属シート体54を配置することにより、以降の製造工程で積層金属シート体54が下地樹脂絶縁層51から剥がれない程度の密着性が確保される。積層金属シート体54は、2枚の銅箔55,56(一対の金属箔)を剥離可能な状態で密着させてなる。具体的には、金属めっき(例えば、クロムめっき、ニッケルめっき、チタンめっき、またはこれらの複合めっき)を介して銅箔55、銅箔56が配置された積層金属シート体54が形成されている。
【0035】
次に、積層金属シート体54の上面にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。その結果、各接続端子41,42や導体層26に対応した箇所に開口部を有する所定のパターンのめっきレジスト57を形成する(図6参照)。そして、めっきレジスト57を形成した状態で選択的に電解ニッケルめっき及び電解銅めっきを順次行い、開口部内に各接続端子41,42及び導体層26のニッケルめっき層46a,28となるめっき部と銅層44,27となるめっき部とを形成した後、めっきレジスト57を剥離する(図7参照)。また、樹脂絶縁層23との密着性を高めるために銅層44,27の表面の粗化(CZ処理)を行う。
【0036】
その後、基材52上において、各接続端子41,42及び導体層26のめっき部が形成された積層金属シート体54を包むようにシート状の樹脂絶縁層23を配置し、樹脂絶縁層23を貼り付ける。この樹脂絶縁層23は、積層金属シート体54や各接続端子41,42及び導体層26のめっき部と密着するとともに、積層金属シート体54の周囲領域において下地樹脂絶縁層51と密着することで、積層金属シート体54を封止する。そして、例えばエキシマレーザーやUVレーザーやCO2レーザーなどを用いてレーザー加工を施すことによって樹脂絶縁層23の所定の位置(接続端子41の上部の位置)にビア穴33を形成する(図8参照)。
【0037】
次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴33内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばO2プラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴33内にビア導体34を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂絶縁層23上に導体層26をパターン形成する。
【0038】
また、他の樹脂絶縁層21,22及び導体層26についても、上述した樹脂絶縁層23及び導体層26と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層23上に積層していく。そして、最外層の樹脂絶縁層21上に母基板接続端子45を形成する。さらに、最外層の樹脂絶縁層21上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト29を形成する。そして、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト29に開口部37をパターニングする。この結果、母基板接続端子45における中央部がソルダーレジスト29の開口部37から露出される(図9参照)。
【0039】
上述したビルドアップ工程によって、基材52上に積層金属シート体54、樹脂絶縁層21〜23及び導体層26を積層した配線積層体60を形成する。なお図9に示されるように、配線積層体60において積層金属シート体54上に位置する領域が、多層配線基板10の配線積層部30となる部分である。
【0040】
ビルドアップ工程後、配線積層体60をダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する。この際、図9に示すように、配線積層部30とその周囲部64との境界(図9では矢印で示す境界)において、配線積層部30の下方にある基材52(支持基板50及び下地樹脂絶縁層51)ごと切断する。この切断によって、樹脂絶縁層23にて封止されていた積層金属シート体54の外縁部が露出した状態となる。つまり、周囲部64の除去によって、下地樹脂絶縁層51と樹脂絶縁層23との密着部分が失われる。この結果、配線積層部30と基材52とは積層金属シート体54のみを介して連結した状態となる。
【0041】
ここで、図10に示されるように、積層金属シート体54における一対の銅箔55,56の界面にて剥離することで、配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層23)の下面上にある銅箔55を露出させる。さらに、配線積層部30の下面側において、露出した銅箔55をエッチング除去する(基材除去工程)。
【0042】
具体的には、配線積層部30の上面において、エッチングレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、表面全体を覆うエッチングレジスト66を形成する(図11参照)。この状態で、配線積層部30に対してエッチングを行うことで、銅箔55を全体的に除去する。また、エッチング後に、配線積層部30の上面に形成したエッチングレジスト66を除去する。この結果、樹脂絶縁層23の表面が露出されるとともにICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42や導体層26の表面(ニッケルめっき層46a,28の表面)が露出される(図12参照)。なおこのとき、各接続端子41,42や導体層26において銅層44,27の表面側にあるニッケルめっき層46a,28は、銅よりもエッチングレートが低いため、エッチングストップ層として機能し、各銅層44,27の表面に残る。
【0043】
次に、樹脂絶縁層23上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト25を形成する。そして、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト25に開口部35,36をパターニングする。この結果、各接続端子41,42における主面側中央部がソルダーレジスト25の開口部35,36から露出される。
【0044】
その後、各開口部35〜37から露出している各接続端子41,42,45の表面(上面)に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、めっき層46,48を形成する(めっき工程)。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10が製造される。
【0045】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0046】
(1)本実施の形態の多層配線基板10において、複数のICチップ接続端子41及び複数のコンデンサ接続端子42は、ソルダーレジスト25に接している最外層の樹脂絶縁層23側に埋設されるとともに、最外層の導体層26も、その樹脂絶縁層23側に埋設されている。このようにすると、配線パターンを形成する導体層26間や接続端子41,42間に、絶縁性の高い樹脂絶縁層23が介在されることとなり、導体層26や接続端子41,42の絶縁性を十分に確保することができる。また、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は、主体をなす銅層44と銅層44の外面を覆うめっき層46とにより構成され、めっき層46の外周部がソルダーレジスト25により覆われているので、各接続端子41,42にはんだを確実に形成することができる。さらに、銅よりもマイグレーションを起こしにくいニッケルめっき層28にて、銅層27の外面が覆われているので、導体層26間での銅のマイグレーションの発生を防止することができる。この結果、配線パターンを比較的狭いピッチで設けることできるため、多層配線基板10の高集積化を図ることができる。
【0047】
(2)本実施の形態では、複数のICチップ接続端子41及び複数のコンデンサ接続端子42を構成しているめっき層46のニッケルめっき層46aと、最外層の導体層26を構成しているニッケルめっき層28とが共通の導体金属であるニッケルを用いて形成されている。この場合、各接続端子41,42のニッケルめっき層46aと導体層26のニッケルめっき層28とを同一のめっき工程で形成することができるため、多層配線基板10の製造コストを抑えることができる。また、ニッケルめっき層は、接続端子を覆うめっき層として従来から用いられている信頼性の高い導電金属層である。このため、最外層の導体層26の表面にニッケルめっき層28を設けた場合でも、多層配線基板10における電気特性を十分に確保することができる。
【0048】
(3)本実施の形態の多層配線基板10では、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42における端子外面41a,42aの外周部がソルダーレジスト25によって覆われているので、各接続端子41,42の強度を十分に高めることができる。また、ソルダーレジスト25は、各接続端子41,42において、銅層44を覆うニッケルめっき層46aの外周部分に接触している。つまり、各接続端子41,42の端子外面41a,42aとソルダーレジスト25との界面に金めっき層46bが介在していない。このようにすると、めっき層46の金が溶融したはんだ中に拡散して端子外面41a,42aとソルダーレジスト25との界面に隙間が形成されるといった問題は解消される。この結果、各接続端子41,42にはんだを形成した後においても、ソルダーレジスト25と各接続端子41,42とを確実に密着させることができ、各接続端子41,42の密着強度を十分に確保することができる。
[第2の実施の形態]
【0049】
次に、本実施の形態を具体化した第2の実施の形態を図13及び図14に基づき説明する。図13及び図14に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10Aにおいて、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は、端子外面41a,42aが最外層の樹脂絶縁層23の表面23aよりも内層側に位置するように形成されている。また、ソルダーレジスト25と樹脂絶縁層23との界面に存在する最外層の導体層26も、最外層の樹脂絶縁層23の表面23aよりも内層側に位置するように形成されている。なお、多層配線基板10Aにおける他の構成は、上記第1の実施の形態の多層配線基板と同じである。
【0050】
本実施の形態では、各接続端子41,42及び導体層26を構成する銅層44,27及びニッケルめっき層46a,28のめっき部の形成工程が上記第1の実施の形態と異なる。すなわち、基材52に配置された積層金属シート体54の上面に各接続端子41,42や導体層26に対応した箇所に開口部を有するめっきレジスト57を形成した状態(図6参照)で、電解銅めっき、電解ニッケルめっき、及び電解銅めっきを順次行う。第1の実施の形態では、この工程で電解ニッケルめっき、及び電解銅めっきを行って、ニッケルめっき層46a,28となるめっき部と銅層44,27となるめっき部とを形成した。本実施の形態では、これらめっき部に加えて銅めっき部をニッケルめっき層46a,28と積層金属シート体54との間に介在させる。以降は、第1の実施の形態と同様にビルドアップ工程や基材除去工程を行う。
【0051】
そして、基材除去工程後において、銅箔55とニッケルめっき層46a,28との間に介在する銅めっき部を銅箔55とともにエッチング除去する。この結果、樹脂絶縁層23に凹部が形成されその内側に銅層44,27及びニッケルめっき層46a,28からなる各接続端子41,42や導体層26が埋まり込んだ状態となる。この後、樹脂絶縁層23上にソルダーレジスト25を形成するとともに、そのソルダーレジスト25に開口部35,36を形成してそれら接続端子41,42の表面を露出させる。
【0052】
そして、各開口部35〜37から露出している各接続端子41,42,45の表面(上面)に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、めっき層46,48を形成する。以上の工程を経ることで図13の多層配線基板10Aが製造される。
【0053】
このように多層配線基板10Aを形成すると、ソルダーレジスト25と最外層の樹脂絶縁層23との密着面積が増すため、多層配線基板10Aの強度を十分に高めることができる。また、多層配線基板10Aでも、上記第1の実施の形態と同様に、最外層の導体層26における銅層27の外面がニッケルめっき層28で覆われているので、導体層26間での銅のマイグレーションの発生を防止することができる。特に、導体層26は、絶縁性の高い樹脂絶縁層23の内側に入り込んだ状態で設けられるので、マイグレーションをより確実に防止することができる。
【0054】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0055】
・上記各実施の形態の多層配線基板10,10Aにおいて、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42を構成するニッケルめっき層46aは、ビルドアップ工程での電解ニッケルめっきと基板除去工程後の無電解ニッケルめっきとの2回のめっき工程で形成されるものであったが、これに限定されるものではない。具体的には、基板除去工程後の無電解ニッケルめっきを省略し、基板除去工程後には無電解金めっきのみを施すようにしてもよい。図15には、その手法で作製した多層配線基板10Bの具体例を示している。図15の多層配線基板10Bでは、各接続端子41,42の銅層44を覆うニッケルめっき層46aがほぼ均一の厚さで形成されており、ニッケルめっき層46aの表面が最外層の樹脂絶縁層23の表面23aと面一になっている。この多層配線基板10Bでも、各接続端子41,42や導体層26が最外層の樹脂絶縁層23に埋まり込んでいるので、多層配線基板10Bの絶縁信頼性を高めることができる。また、最外層の樹脂絶縁層23に形成される導体層26の外面がニッケルめっき層28で覆われているので、配線間での銅のマイグレーションを確実に防止することができ、多層配線基板10Bの高集積化を図ることができる。
【0056】
・上記各実施の形態の多層配線基板10,10A,10Bにおいて、最外層の導体層26が樹脂絶縁層23側に埋まり込むように設けられていたが、ソルダーレジスト25側に埋まり込むようにして導体層26を設けてもよい。この場合、導体層26を構成する銅層44の外面(側面及び上面)に導電金属層としてのニッケルめっき層28を形成する。なお、導電金属層としては、めっき層に限定されるものではなく、スパッタリング等の他の手法によって形成される金属層であってもよい。このようにしても、導体層26間での銅のマイグレーションを防止することができる。
【0057】
・上記各実施の形態の多層配線基板10,10A,10Bにおいて、ソルダーレジスト25は、光硬化性を付与した樹脂材料の硬化物を主体として構成されていたがこれに限定されるものではない。内層側の樹脂絶縁層21〜23と同じ樹脂絶縁材料、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いてソルダーレジスト25を形成してもよい。この場合、内層側の樹脂絶縁層21〜23と同じ絶縁性に優れた樹脂材にてソルダーレジスト25を形成することにより、多層配線基板の絶縁信頼性を十分に高めることができる。また、多層配線基板における熱膨張係数差を小さくすることができ、基板の反りを抑えることができる。
【0058】
・上記各実施の形態では、ICチップ接続端子41やコンデンサ接続端子42が形成される上面31(第1主面)側から樹脂絶縁層21〜23及び導体層26を積層して多層配線基板10,10A,10Bを製造したが、これに限定されるものではない。母基板接続端子45が形成される下面32(第2主面)側から樹脂絶縁層21〜23及び導体層26を積層して多層配線基板を製造してもよい。この場合、ソルダーレジスト29と接する最外層の樹脂絶縁層21側に母基板接続端子45が埋設される。また、ソルダーレジスト29と樹脂絶縁層21との界面に導体層26が設けられ、その導体層26も最外層の樹脂絶縁層21側に埋設される。そして、最外層の導体層26は、主体をなす銅層27と銅層27の外面を覆うニッケルめっき層28とにより構成される。さらに、複数の樹脂絶縁層21〜23に形成される複数の導体層26は、下面32側から上面31側に向かうに従って拡径したビア導体34により互いに接続される。このように多層配線基板を構成した場合でも、導体層26を構成する銅層27の外面がニッケルめっき層28で覆われるため、導体層26間での銅のマイグレーションの発生を防止することができ、多層配線基板の高集積化が可能となる。
【0059】
・上記各実施の形態では、各接続端子41,42,45を被覆するめっき層46,48(被覆金属層)は、ニッケル−金めっき層であったが、銅以外のめっき層であればよく、例えば、ニッケル−パラジウム−金めっき層などの他のめっき層に変更してもよい。また、導体層26の銅層27の外面を覆う導電金属層として、ニッケルめっき層28が形成されていたが、これに限定されるものではない。この導電金属層としては、銅よりもマイグレーションを起こしにくい金属を用いればよく、例えば、金、クロム、タングステン、白金、パラジウム、スズ、鉛、コバルト、モリブデン、タンタル、チタンなどを主体として形成された金属層に変更してもよい。
【0060】
次に、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0061】
(1)手段1乃至5のいずれかの多層配線基板において、前記第1主面側接続端子または前記第2主面側接続端子を構成する前記被覆金属層は、ニッケルめっき層と金めっき層とからなり、前記ニッケルめっき層は前記銅層の外面を覆うように設けられるとともに、前記金めっき層は前記レジスト用樹脂絶縁層が有する開口部から露出する前記ニッケルめっき層の露出部分のみを覆うように設けられることを特徴とする多層配線基板。
【0062】
(2)技術的思想(1)の多層配線基板において、前記第1主面側接続端子または前記第2主面側接続端子の端子外面は、前記最外層の樹脂絶縁層の表面よりも内層側に位置することを特徴とする多層配線基板。
【0063】
(3)技術的思想(1)または(2)の多層配線基板において、前記レジスト用樹脂絶縁層は、前記銅層を覆う前記ニッケルめっき層の外周部分に接触していることを特徴とする多層配線基板。
【0064】
(4)手段1乃至5のいずれかの多層配線基板において、前記複数の樹脂絶縁層に形成された前記ビア導体は、いずれも前記第1主面側から前記第2主面側に向うに従って拡径した形状を有することを特徴とする多層配線基板。
【0065】
(5)手段1乃至5のいずれかの多層配線基板において、前記レジスト用樹脂絶縁層と前記最外層の樹脂絶縁層とは同じ樹脂絶縁材料を主体として構成されることを特徴とする多層配線基板。
【符号の説明】
【0066】
10,10A,10B…多層配線基板
21〜23…樹脂絶縁層
25…レジスト用樹脂絶縁層としてのソルダーレジスト
26…配線導体部としての導体層
27…銅層
28…導電金属層としてのニッケルめっき層
30…積層構造体としての配線積層部
31…第1主面としての上面
32…第2主面としての下面
34…ビア導体
35,36…開口部
41…第1主面側接続端子としてのICチップ接続端子
42…第1主面側接続端子としてのコンデンサ接続端子
44…銅層
45…第2主面側接続端子としての母基板接続端子
46,48…被覆金属層としてのめっき層
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体部を交互に積層して多層化した積層構造体を有する一方で、両面にビルドアップ層を順次形成していくいわゆるコア基板を製品として有しない多層配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
【0003】
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した多層配線基板が実用化されている。この多層配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成されている。つまり、この多層配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るための配線(具体的には、スルーホール導体など)が貫通形成されている。
【0004】
ところで近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。この場合、コア基板を貫通する配線が大きなインダクタンスとして寄与し、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、多層配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。特許文献1,2に記載の多層配線基板は、比較的に厚いコア基板を省略することにより全体の配線長を短くしたものであるため、高周波信号の伝送ロスが低減され、半導体集積回路素子を高速で動作させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4146864号公報
【特許文献2】特開2009−141121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記多層配線基板では、マザーボードの接続面側よりもICチップの搭載面側ほど配線パターンがファインピッチで形成されており、その搭載面に形成される接続端子の間隔は非常に狭くなっている。また、配線パターンや接続端子を形成する銅は、マイグレーションを起こしやすい金属である。このため、ICチップの搭載面において接続端子に加えて配線パターンを形成して多層配線基板の高集積化を図ると、接続端子や配線間で銅のマイグレーションが発生してしまい、多層配線基板の信頼性を確保することが困難となる。
【0007】
因みに、特許文献1に記載の従来の多層配線基板において、ICチップと接続するための接続端子101は絶縁層102側に埋設されており、端子外面101aの外周部がソルダーレジスト103により覆われている(図16参照)。この接続端子101には、主体をなす銅層104の表面にニッケルめっき層105a及び金めっき層105bの2層のめっき層が形成されている。このように接続端子101の表面にめっき層105a,105bを形成すると、接続端子101間での銅のマイグレーションの発生が抑えられる。しかしながら、接続端子101上にはんだ110を形成する場合、接続端子101の表層側に存在する金が溶融したはんだ110中に拡散してしまい、端子外面101aの外周部においてソルダーレジスト103との間に隙間が生じてしまう。この場合、ソルダーレジスト103と接続端子101とが密着しなくなるため、接続端子101の密着強度が低下してしまう。従って、このような場合には信頼性の高い配線基板とすることが困難になる。
【0008】
また、特許文献1の多層配線基板において、ICチップの搭載面には接続端子101のみが形成されている。このICチップの搭載面に配線パターンを形成して配線基板の高集積化を図る場合、従来の配線パターンは銅層のみにて形成されているため、配線間での銅のマイグレーションが問題となってしまう。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配線間での銅のマイグレーションを防止して高集積化を図ることができる多層配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体部を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体部は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、前記積層構造体の前記第1主面側または前記第2主面側には、複数の開口部を有するレジスト用樹脂絶縁層が配設され、前記複数の第1主面側接続端子または前記複数の第2主面側接続端子は、主体をなす銅層と前記銅層の外面を覆う被覆金属層とにより構成されるとともに、前記レジスト用樹脂絶縁層に接している最外層の樹脂絶縁層に少なくとも一部が埋設され、前記被覆金属層の少なくとも一部が前記レジスト用樹脂絶縁層に覆われており、前記レジスト用樹脂絶縁層と前記最外層の樹脂絶縁層との界面に存在する最外層の配線導体部は、主体をなす銅層と前記銅層の外面を覆う導電金属層とにより構成され、前記導電金属層は、金、クロム、タングステン、白金、パラジウム、スズ、鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、タンタル及びチタンから選択される少なくとも1種の導電金属からなることを特徴とする多層配線基板がある。
【0011】
従って、手段1に記載の発明によると、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層され、コアを含まないコアレス配線基板として多層配線基板が形成されている。この多層配線基板において、複数の第1主面側接続端子または複数の第2主面側接続端子は、レジスト用樹脂絶縁層に接している最外層の樹脂絶縁層に少なくとも一部が埋設されているので、各接続端子の絶縁信頼性を高めることができる。また、第1主面側接続端子または第2主面側接続端子は、主体をなす銅層と銅層の外面を覆う導電金属層とにより構成され、その被覆金属層の一部がレジスト用樹脂絶縁層に覆われているので、各接続端子にはんだを確実に形成することができる。さらに、本発明では、銅よりもマイグレーションを起こしにくい金、クロム、タングステン、白金、パラジウム、スズ、鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、タンタル及びチタンから選択される少なくとも1種の導電金属からなる導電金属層によって、配線導体部を構成する銅層の外面が覆われている。このようにすると、配線導体部間で発生する銅のマイグレーションを確実に防止することができるため、多層配線基板の高集積化を図ることができる。
【0012】
最外層の配線導体部は、最外層の樹脂絶縁層側に埋設されていることが好ましい。この場合、複数の第1主面側接続端子または複数の第2主面側接続端子と同一界面に配線導体部が存在することとなる。そして、配線導体部が各接続端子と同様に最外層の樹脂絶縁層側に埋まっているので、配線パターンなどの配線導体部間や各接続端子との絶縁性を十分に確保することができる。従って、配線パターンを比較的狭いピッチで設けることできるため、多層配線基板の高集積化を図ることができる。
【0013】
レジスト用樹脂絶縁層が積層構造体の第1主面側に配置され、第1主面側には、接続対象がICチップである複数のICチップ接続端子が、複数の第1主面側接続端子として存在していることが好ましい。この場合、積層構造体の第1主面側において、比較的狭いピッチで形成されるICチップ接続端子や配線間でのマイグレーションを確実に防止することができるため、多層配線基板の高集積化を図ることができる。なお、レジスト用樹脂絶縁層は、ICチップが搭載される第1主面側の反対側、具体的には、母基板が接続される第2主面側に設けられてもいてよい。
【0014】
複数の第1主面側接続端子または複数の第2主面側接続端子を構成している被覆金属層、及び最外層の配線導体部を構成している導電金属層は、共通の導電金属を用いて形成されていることが好ましい。この場合、各接続端子の被覆金属層と配線導体部の導電金属層とを同一の製造工程(例えば、めっき工程)で形成することができ、多層配線基板の製造コストを抑えることができる。
【0015】
被覆金属層、及び導電金属層はいずれもニッケルを主体とすることが好ましい。このように、各接続端子及び配線導体部を構成する銅層の外面をニッケルで覆うことにより、銅のマイグレーションを確実に防止することができる。また、ニッケルは、接続端子を覆うめっき層として従来から用いられている信頼性の高い導電金属である。このため、ニッケルからなる金属層を接続端子や配線導体部に設けた場合でも、多層配線基板における電気特性を十分に確保することができる。
【0016】
第1主面側接続端子または第2主面側接続端子を構成する被覆金属層は、ニッケルめっき層と金めっき層とからなり、ニッケルめっき層は銅層の外面を覆うように設けられるとともに、金めっき層はレジスト用樹脂絶縁層が有する開口部から露出するニッケルめっき層の露出部分のみを覆うように設けられていてもよい。この場合、レジスト用樹脂絶縁層は、ニッケルめっき層の外周部分に接触することとなる。このようにすると、レジスト用樹脂絶縁層との界面に金めっき層が介在しないので、従来のようにはんだ接続時にてレジスト用樹脂絶縁層と端子外面の外周部との間に隙間が生じるといった問題を回避することができる。このため、レジスト用樹脂絶縁層と接続端子との密着強度を十分に確保することができる。
【0017】
第1主面側接続端子または第2主面側接続端子の端子外面は、最外層の樹脂絶縁層の表面よりも内層側に位置するように形成されていてもよい。このようにすると、レジスト用樹脂絶縁層の密着面積が増加するため、多層配線基板の強度をより高めることができる。
【0018】
複数の樹脂絶縁層に形成されたビア導体は、いずれも第1主面側から第2主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。また逆に、複数の樹脂絶縁層に形成されたビア導体は、いずれも第2主面側から第1主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。このようにすると、コア基板を有さないコアレス配線基板を確実に製造することができる。
【0019】
複数の樹脂絶縁層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。なお、本発明において、「同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層」とは、例えば熱硬化性樹脂に含浸させる上記有機繊維等の添加物に違いがあったとしても、主体となる熱硬化性樹脂が同じであれば、その具体例に該当する。
【0020】
レジスト用樹脂絶縁層は、はんだ付け作業の際にはんだが付かないようにする絶縁層であり、耐熱性被覆材料を用いて形成される。なお、レジスト用樹脂絶縁層と複数の樹脂絶縁層とは同じ樹脂絶縁材料を主体として構成されていてもよい。このようにすると、各絶縁層が別の樹脂絶縁材料で形成される場合と比較して、熱膨張係数差が抑えられる。この結果、多層配線基板の反りを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図。
【図2】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図3】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図4】第1の実施の形態におけるICチップ接続端子の構成を示す拡大断面図。
【図5】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】第1の実施の形態における多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】第2の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図。
【図14】第2の実施の形態におけるICチップ接続端子の構成を示す拡大断面図。
【図15】別の実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図。
【図16】従来の配線基板を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
以下、本発明を多層配線基板に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図である。また、図2は、上面側から見た多層配線基板の平面図であり、図3は、下面側から見た多層配線基板の平面図である。
【0023】
図1に示されるように、多層配線基板10は、コア基板を含まずに形成されたコアレス配線基板であって、同じ樹脂絶縁材料を主体とした樹脂絶縁層21,22,23と銅からなる導体層26(配線導体部)とを交互に積層して多層化した配線積層部30(積層構造体)を有している。各樹脂絶縁層21〜23は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成されている。多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側(第1主面側)には、複数の接続端子41,42(第1主面側接続端子)が配置されている。
【0024】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に配置される複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサであるコンデンサ接続端子42とが存在している。配線積層部30の上面31側において、複数のICチップ接続端子41は、基板中央部に設けられたチップ搭載領域43にてアレイ状に配置されている。また、コンデンサ接続端子42は、ICチップ接続端子41よりも面積の大きい接続端子であり、チップ搭載領域43よりも外周側に配置されている。
【0025】
一方、図1及び図3に示されるように、配線積層部30の下面32側(第2主面側)には、接続対象がマザーボード(母基板)であるLGA(ランドグリッドアレイ)用の複数の接続端子45(第2主面側接続端子としての母基板接続端子)がアレイ状に配置されている。これら母基板接続端子45は、上面31側のICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42よりも面積の大きな接続端子である。
【0026】
樹脂絶縁層21,22,23には、それぞれビア穴33及びフィルドビア導体34が設けられている。各ビア導体34は、いずれも同一方向に(図1では上面側から下面側に向かうに従って)拡径した形状を有し、各導体層26、ICチップ接続端子41、コンデンサ接続端子42、及び母基板接続端子45を相互に電気的に接続している。
【0027】
配線積層部30の上面31側において、最外層の樹脂絶縁層23の表面はソルダーレジスト25(レジスト用樹脂絶縁層)によってほぼ全体的に覆われており、ソルダーレジスト25には、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42を露出させる複数の開口部35,36が形成されている。本実施の形態のソルダーレジスト25は、光硬化性を付与した樹脂材料の硬化物を主体として構成されている。
【0028】
図1及び図4に示されるように、ICチップ接続端子41は、主体をなす銅層44と銅層44の外面を覆うめっき層46(被覆金属層)とにより構成されている。コンデンサ接続端子42も、主体をなす銅層44と銅層44の外面を覆うめっき層46(被覆金属層)とにより構成されている。めっき層46は、ニッケルめっき層46a及び金めっき層46bからなる。本実施の形態において、ニッケルめっき層46aは、各接続端子41,42の端子外面41a,42a全体(銅層44の外面全体)を覆うように設けられており、ソルダーレジスト25の開口部35,36内にて露出する中央部分が外周部分よりも厚くなっている。また、金めっき層46bは、開口部35,36にて露出するニッケルめっき層46aの中央部分(露出部分)を覆うように設けられている。
【0029】
ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は、ソルダーレジスト25に接している最外層の樹脂絶縁層23に埋設されており、めっき層46を構成する金めっき層46bがソルダーレジスト25の開口部35,36を介して露出している。また、各接続端子41,42の端子外面41a,42aにおいて、めっき層46を構成するニッケルめっき層46aの外周部分がソルダーレジスト25に接触している。つまり、各接続端子41,42におけるソルダーレジスト25との接触部分には、ニッケルめっき層46aのみが介在しており、金めっき層46bは介在していない。
【0030】
本実施の形態では、ソルダーレジスト25と最外層の樹脂絶縁層23との界面にICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42が存在しており、その同一界面に導体層26(配線導体部)が形成されている。この最外層に形成されている導体層26は、各接続端子41,42と同様に最外層の樹脂絶縁層23側に埋設されている。また、最外層の導体層26は、主体をなす銅層27と銅層27の外面を覆うニッケルめっき層28(導電金属層)とにより構成されている。一方、内層の樹脂絶縁層21,22側に設けられている導体層26は、銅層27のみにて形成されている。
【0031】
配線積層部30の下面32側において、最外層の樹脂絶縁層21の表面はソルダーレジスト29によってほぼ全体的に覆われており、ソルダーレジスト29には、母基板接続端子45を露出させる開口部37が形成されている。ソルダーレジスト29は、光硬化性を付与した樹脂材料の硬化物を主体として構成されている。母基板接続端子45は、銅層44を主体として構成されている。母基板接続端子45において、銅層44の主面側外周部がソルダーレジスト29により覆われており、開口部37にて露出する中央部には、銅以外の金属からなるめっき層48(具体的には、ニッケルめっき層48a及び金めっき層48b)が形成されている。そして、母基板接続端子45上に、図示しないはんだを介してマザーボードが接続されるようになっている。
【0032】
上記構成の多層配線基板10は例えば以下の手順で作製される。
【0033】
先ず、十分な強度を有する支持基板(ガラスエポキシ基板など)を準備し、その支持基板上に、樹脂絶縁層21〜23及び導体層26をビルドアップして配線積層部30を形成する。
【0034】
詳述すると、図5に示されるように、支持基板50上に、エポキシ樹脂からなるシート状の絶縁樹脂基材を貼り付けて下地樹脂絶縁層51を形成することにより、支持基板50及び下地樹脂絶縁層51からなる基材52を得る。そして、基材52の下地樹脂絶縁層51の上面に、積層金属シート体54を配置する。ここで、下地樹脂絶縁層51上に積層金属シート体54を配置することにより、以降の製造工程で積層金属シート体54が下地樹脂絶縁層51から剥がれない程度の密着性が確保される。積層金属シート体54は、2枚の銅箔55,56(一対の金属箔)を剥離可能な状態で密着させてなる。具体的には、金属めっき(例えば、クロムめっき、ニッケルめっき、チタンめっき、またはこれらの複合めっき)を介して銅箔55、銅箔56が配置された積層金属シート体54が形成されている。
【0035】
次に、積層金属シート体54の上面にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。その結果、各接続端子41,42や導体層26に対応した箇所に開口部を有する所定のパターンのめっきレジスト57を形成する(図6参照)。そして、めっきレジスト57を形成した状態で選択的に電解ニッケルめっき及び電解銅めっきを順次行い、開口部内に各接続端子41,42及び導体層26のニッケルめっき層46a,28となるめっき部と銅層44,27となるめっき部とを形成した後、めっきレジスト57を剥離する(図7参照)。また、樹脂絶縁層23との密着性を高めるために銅層44,27の表面の粗化(CZ処理)を行う。
【0036】
その後、基材52上において、各接続端子41,42及び導体層26のめっき部が形成された積層金属シート体54を包むようにシート状の樹脂絶縁層23を配置し、樹脂絶縁層23を貼り付ける。この樹脂絶縁層23は、積層金属シート体54や各接続端子41,42及び導体層26のめっき部と密着するとともに、積層金属シート体54の周囲領域において下地樹脂絶縁層51と密着することで、積層金属シート体54を封止する。そして、例えばエキシマレーザーやUVレーザーやCO2レーザーなどを用いてレーザー加工を施すことによって樹脂絶縁層23の所定の位置(接続端子41の上部の位置)にビア穴33を形成する(図8参照)。
【0037】
次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴33内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばO2プラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴33内にビア導体34を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂絶縁層23上に導体層26をパターン形成する。
【0038】
また、他の樹脂絶縁層21,22及び導体層26についても、上述した樹脂絶縁層23及び導体層26と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層23上に積層していく。そして、最外層の樹脂絶縁層21上に母基板接続端子45を形成する。さらに、最外層の樹脂絶縁層21上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト29を形成する。そして、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト29に開口部37をパターニングする。この結果、母基板接続端子45における中央部がソルダーレジスト29の開口部37から露出される(図9参照)。
【0039】
上述したビルドアップ工程によって、基材52上に積層金属シート体54、樹脂絶縁層21〜23及び導体層26を積層した配線積層体60を形成する。なお図9に示されるように、配線積層体60において積層金属シート体54上に位置する領域が、多層配線基板10の配線積層部30となる部分である。
【0040】
ビルドアップ工程後、配線積層体60をダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する。この際、図9に示すように、配線積層部30とその周囲部64との境界(図9では矢印で示す境界)において、配線積層部30の下方にある基材52(支持基板50及び下地樹脂絶縁層51)ごと切断する。この切断によって、樹脂絶縁層23にて封止されていた積層金属シート体54の外縁部が露出した状態となる。つまり、周囲部64の除去によって、下地樹脂絶縁層51と樹脂絶縁層23との密着部分が失われる。この結果、配線積層部30と基材52とは積層金属シート体54のみを介して連結した状態となる。
【0041】
ここで、図10に示されるように、積層金属シート体54における一対の銅箔55,56の界面にて剥離することで、配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層23)の下面上にある銅箔55を露出させる。さらに、配線積層部30の下面側において、露出した銅箔55をエッチング除去する(基材除去工程)。
【0042】
具体的には、配線積層部30の上面において、エッチングレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、表面全体を覆うエッチングレジスト66を形成する(図11参照)。この状態で、配線積層部30に対してエッチングを行うことで、銅箔55を全体的に除去する。また、エッチング後に、配線積層部30の上面に形成したエッチングレジスト66を除去する。この結果、樹脂絶縁層23の表面が露出されるとともにICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42や導体層26の表面(ニッケルめっき層46a,28の表面)が露出される(図12参照)。なおこのとき、各接続端子41,42や導体層26において銅層44,27の表面側にあるニッケルめっき層46a,28は、銅よりもエッチングレートが低いため、エッチングストップ層として機能し、各銅層44,27の表面に残る。
【0043】
次に、樹脂絶縁層23上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト25を形成する。そして、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト25に開口部35,36をパターニングする。この結果、各接続端子41,42における主面側中央部がソルダーレジスト25の開口部35,36から露出される。
【0044】
その後、各開口部35〜37から露出している各接続端子41,42,45の表面(上面)に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、めっき層46,48を形成する(めっき工程)。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10が製造される。
【0045】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0046】
(1)本実施の形態の多層配線基板10において、複数のICチップ接続端子41及び複数のコンデンサ接続端子42は、ソルダーレジスト25に接している最外層の樹脂絶縁層23側に埋設されるとともに、最外層の導体層26も、その樹脂絶縁層23側に埋設されている。このようにすると、配線パターンを形成する導体層26間や接続端子41,42間に、絶縁性の高い樹脂絶縁層23が介在されることとなり、導体層26や接続端子41,42の絶縁性を十分に確保することができる。また、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は、主体をなす銅層44と銅層44の外面を覆うめっき層46とにより構成され、めっき層46の外周部がソルダーレジスト25により覆われているので、各接続端子41,42にはんだを確実に形成することができる。さらに、銅よりもマイグレーションを起こしにくいニッケルめっき層28にて、銅層27の外面が覆われているので、導体層26間での銅のマイグレーションの発生を防止することができる。この結果、配線パターンを比較的狭いピッチで設けることできるため、多層配線基板10の高集積化を図ることができる。
【0047】
(2)本実施の形態では、複数のICチップ接続端子41及び複数のコンデンサ接続端子42を構成しているめっき層46のニッケルめっき層46aと、最外層の導体層26を構成しているニッケルめっき層28とが共通の導体金属であるニッケルを用いて形成されている。この場合、各接続端子41,42のニッケルめっき層46aと導体層26のニッケルめっき層28とを同一のめっき工程で形成することができるため、多層配線基板10の製造コストを抑えることができる。また、ニッケルめっき層は、接続端子を覆うめっき層として従来から用いられている信頼性の高い導電金属層である。このため、最外層の導体層26の表面にニッケルめっき層28を設けた場合でも、多層配線基板10における電気特性を十分に確保することができる。
【0048】
(3)本実施の形態の多層配線基板10では、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42における端子外面41a,42aの外周部がソルダーレジスト25によって覆われているので、各接続端子41,42の強度を十分に高めることができる。また、ソルダーレジスト25は、各接続端子41,42において、銅層44を覆うニッケルめっき層46aの外周部分に接触している。つまり、各接続端子41,42の端子外面41a,42aとソルダーレジスト25との界面に金めっき層46bが介在していない。このようにすると、めっき層46の金が溶融したはんだ中に拡散して端子外面41a,42aとソルダーレジスト25との界面に隙間が形成されるといった問題は解消される。この結果、各接続端子41,42にはんだを形成した後においても、ソルダーレジスト25と各接続端子41,42とを確実に密着させることができ、各接続端子41,42の密着強度を十分に確保することができる。
[第2の実施の形態]
【0049】
次に、本実施の形態を具体化した第2の実施の形態を図13及び図14に基づき説明する。図13及び図14に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10Aにおいて、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は、端子外面41a,42aが最外層の樹脂絶縁層23の表面23aよりも内層側に位置するように形成されている。また、ソルダーレジスト25と樹脂絶縁層23との界面に存在する最外層の導体層26も、最外層の樹脂絶縁層23の表面23aよりも内層側に位置するように形成されている。なお、多層配線基板10Aにおける他の構成は、上記第1の実施の形態の多層配線基板と同じである。
【0050】
本実施の形態では、各接続端子41,42及び導体層26を構成する銅層44,27及びニッケルめっき層46a,28のめっき部の形成工程が上記第1の実施の形態と異なる。すなわち、基材52に配置された積層金属シート体54の上面に各接続端子41,42や導体層26に対応した箇所に開口部を有するめっきレジスト57を形成した状態(図6参照)で、電解銅めっき、電解ニッケルめっき、及び電解銅めっきを順次行う。第1の実施の形態では、この工程で電解ニッケルめっき、及び電解銅めっきを行って、ニッケルめっき層46a,28となるめっき部と銅層44,27となるめっき部とを形成した。本実施の形態では、これらめっき部に加えて銅めっき部をニッケルめっき層46a,28と積層金属シート体54との間に介在させる。以降は、第1の実施の形態と同様にビルドアップ工程や基材除去工程を行う。
【0051】
そして、基材除去工程後において、銅箔55とニッケルめっき層46a,28との間に介在する銅めっき部を銅箔55とともにエッチング除去する。この結果、樹脂絶縁層23に凹部が形成されその内側に銅層44,27及びニッケルめっき層46a,28からなる各接続端子41,42や導体層26が埋まり込んだ状態となる。この後、樹脂絶縁層23上にソルダーレジスト25を形成するとともに、そのソルダーレジスト25に開口部35,36を形成してそれら接続端子41,42の表面を露出させる。
【0052】
そして、各開口部35〜37から露出している各接続端子41,42,45の表面(上面)に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、めっき層46,48を形成する。以上の工程を経ることで図13の多層配線基板10Aが製造される。
【0053】
このように多層配線基板10Aを形成すると、ソルダーレジスト25と最外層の樹脂絶縁層23との密着面積が増すため、多層配線基板10Aの強度を十分に高めることができる。また、多層配線基板10Aでも、上記第1の実施の形態と同様に、最外層の導体層26における銅層27の外面がニッケルめっき層28で覆われているので、導体層26間での銅のマイグレーションの発生を防止することができる。特に、導体層26は、絶縁性の高い樹脂絶縁層23の内側に入り込んだ状態で設けられるので、マイグレーションをより確実に防止することができる。
【0054】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0055】
・上記各実施の形態の多層配線基板10,10Aにおいて、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42を構成するニッケルめっき層46aは、ビルドアップ工程での電解ニッケルめっきと基板除去工程後の無電解ニッケルめっきとの2回のめっき工程で形成されるものであったが、これに限定されるものではない。具体的には、基板除去工程後の無電解ニッケルめっきを省略し、基板除去工程後には無電解金めっきのみを施すようにしてもよい。図15には、その手法で作製した多層配線基板10Bの具体例を示している。図15の多層配線基板10Bでは、各接続端子41,42の銅層44を覆うニッケルめっき層46aがほぼ均一の厚さで形成されており、ニッケルめっき層46aの表面が最外層の樹脂絶縁層23の表面23aと面一になっている。この多層配線基板10Bでも、各接続端子41,42や導体層26が最外層の樹脂絶縁層23に埋まり込んでいるので、多層配線基板10Bの絶縁信頼性を高めることができる。また、最外層の樹脂絶縁層23に形成される導体層26の外面がニッケルめっき層28で覆われているので、配線間での銅のマイグレーションを確実に防止することができ、多層配線基板10Bの高集積化を図ることができる。
【0056】
・上記各実施の形態の多層配線基板10,10A,10Bにおいて、最外層の導体層26が樹脂絶縁層23側に埋まり込むように設けられていたが、ソルダーレジスト25側に埋まり込むようにして導体層26を設けてもよい。この場合、導体層26を構成する銅層44の外面(側面及び上面)に導電金属層としてのニッケルめっき層28を形成する。なお、導電金属層としては、めっき層に限定されるものではなく、スパッタリング等の他の手法によって形成される金属層であってもよい。このようにしても、導体層26間での銅のマイグレーションを防止することができる。
【0057】
・上記各実施の形態の多層配線基板10,10A,10Bにおいて、ソルダーレジスト25は、光硬化性を付与した樹脂材料の硬化物を主体として構成されていたがこれに限定されるものではない。内層側の樹脂絶縁層21〜23と同じ樹脂絶縁材料、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いてソルダーレジスト25を形成してもよい。この場合、内層側の樹脂絶縁層21〜23と同じ絶縁性に優れた樹脂材にてソルダーレジスト25を形成することにより、多層配線基板の絶縁信頼性を十分に高めることができる。また、多層配線基板における熱膨張係数差を小さくすることができ、基板の反りを抑えることができる。
【0058】
・上記各実施の形態では、ICチップ接続端子41やコンデンサ接続端子42が形成される上面31(第1主面)側から樹脂絶縁層21〜23及び導体層26を積層して多層配線基板10,10A,10Bを製造したが、これに限定されるものではない。母基板接続端子45が形成される下面32(第2主面)側から樹脂絶縁層21〜23及び導体層26を積層して多層配線基板を製造してもよい。この場合、ソルダーレジスト29と接する最外層の樹脂絶縁層21側に母基板接続端子45が埋設される。また、ソルダーレジスト29と樹脂絶縁層21との界面に導体層26が設けられ、その導体層26も最外層の樹脂絶縁層21側に埋設される。そして、最外層の導体層26は、主体をなす銅層27と銅層27の外面を覆うニッケルめっき層28とにより構成される。さらに、複数の樹脂絶縁層21〜23に形成される複数の導体層26は、下面32側から上面31側に向かうに従って拡径したビア導体34により互いに接続される。このように多層配線基板を構成した場合でも、導体層26を構成する銅層27の外面がニッケルめっき層28で覆われるため、導体層26間での銅のマイグレーションの発生を防止することができ、多層配線基板の高集積化が可能となる。
【0059】
・上記各実施の形態では、各接続端子41,42,45を被覆するめっき層46,48(被覆金属層)は、ニッケル−金めっき層であったが、銅以外のめっき層であればよく、例えば、ニッケル−パラジウム−金めっき層などの他のめっき層に変更してもよい。また、導体層26の銅層27の外面を覆う導電金属層として、ニッケルめっき層28が形成されていたが、これに限定されるものではない。この導電金属層としては、銅よりもマイグレーションを起こしにくい金属を用いればよく、例えば、金、クロム、タングステン、白金、パラジウム、スズ、鉛、コバルト、モリブデン、タンタル、チタンなどを主体として形成された金属層に変更してもよい。
【0060】
次に、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0061】
(1)手段1乃至5のいずれかの多層配線基板において、前記第1主面側接続端子または前記第2主面側接続端子を構成する前記被覆金属層は、ニッケルめっき層と金めっき層とからなり、前記ニッケルめっき層は前記銅層の外面を覆うように設けられるとともに、前記金めっき層は前記レジスト用樹脂絶縁層が有する開口部から露出する前記ニッケルめっき層の露出部分のみを覆うように設けられることを特徴とする多層配線基板。
【0062】
(2)技術的思想(1)の多層配線基板において、前記第1主面側接続端子または前記第2主面側接続端子の端子外面は、前記最外層の樹脂絶縁層の表面よりも内層側に位置することを特徴とする多層配線基板。
【0063】
(3)技術的思想(1)または(2)の多層配線基板において、前記レジスト用樹脂絶縁層は、前記銅層を覆う前記ニッケルめっき層の外周部分に接触していることを特徴とする多層配線基板。
【0064】
(4)手段1乃至5のいずれかの多層配線基板において、前記複数の樹脂絶縁層に形成された前記ビア導体は、いずれも前記第1主面側から前記第2主面側に向うに従って拡径した形状を有することを特徴とする多層配線基板。
【0065】
(5)手段1乃至5のいずれかの多層配線基板において、前記レジスト用樹脂絶縁層と前記最外層の樹脂絶縁層とは同じ樹脂絶縁材料を主体として構成されることを特徴とする多層配線基板。
【符号の説明】
【0066】
10,10A,10B…多層配線基板
21〜23…樹脂絶縁層
25…レジスト用樹脂絶縁層としてのソルダーレジスト
26…配線導体部としての導体層
27…銅層
28…導電金属層としてのニッケルめっき層
30…積層構造体としての配線積層部
31…第1主面としての上面
32…第2主面としての下面
34…ビア導体
35,36…開口部
41…第1主面側接続端子としてのICチップ接続端子
42…第1主面側接続端子としてのコンデンサ接続端子
44…銅層
45…第2主面側接続端子としての母基板接続端子
46,48…被覆金属層としてのめっき層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体部を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体部は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、
前記積層構造体の前記第1主面側または前記第2主面側には、複数の開口部を有するレジスト用樹脂絶縁層が配設され、
前記複数の第1主面側接続端子または前記複数の第2主面側接続端子は、主体をなす銅層と前記銅層の外面を覆う被覆金属層とにより構成されるとともに、前記レジスト用樹脂絶縁層に接している最外層の樹脂絶縁層に少なくとも一部が埋設され、前記被覆金属層の少なくとも一部が前記レジスト用樹脂絶縁層に覆われており、
前記レジスト用樹脂絶縁層と前記最外層の樹脂絶縁層との界面に存在する最外層の配線導体部は、主体をなす銅層と前記銅層の外面を覆う導電金属層とにより構成され、
前記導電金属層は、金、クロム、タングステン、白金、パラジウム、スズ、鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、タンタル及びチタンから選択される少なくとも1種の導電金属からなる
ことを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
前記最外層の配線導体部は、前記最外層の樹脂絶縁層側に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記レジスト用樹脂絶縁層が前記積層構造体の前記第1主面側に配置され、前記第1主面側には、接続対象がICチップである複数のICチップ接続端子が、前記複数の第1主面側接続端子として存在していることを特徴とする請求項1または2に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記複数の第1主面側接続端子または前記複数の第2主面側接続端子を構成している前記被覆金属層、及び前記最外層の配線導体部を構成している前記導電金属層は、共通の導電金属を主体としていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記被覆金属層、及び前記導電金属層はいずれもニッケルを主体とすることを特徴とする請求項4に記載の多層配線基板。
【請求項1】
同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体部を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体部は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、
前記積層構造体の前記第1主面側または前記第2主面側には、複数の開口部を有するレジスト用樹脂絶縁層が配設され、
前記複数の第1主面側接続端子または前記複数の第2主面側接続端子は、主体をなす銅層と前記銅層の外面を覆う被覆金属層とにより構成されるとともに、前記レジスト用樹脂絶縁層に接している最外層の樹脂絶縁層に少なくとも一部が埋設され、前記被覆金属層の少なくとも一部が前記レジスト用樹脂絶縁層に覆われており、
前記レジスト用樹脂絶縁層と前記最外層の樹脂絶縁層との界面に存在する最外層の配線導体部は、主体をなす銅層と前記銅層の外面を覆う導電金属層とにより構成され、
前記導電金属層は、金、クロム、タングステン、白金、パラジウム、スズ、鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、タンタル及びチタンから選択される少なくとも1種の導電金属からなる
ことを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
前記最外層の配線導体部は、前記最外層の樹脂絶縁層側に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記レジスト用樹脂絶縁層が前記積層構造体の前記第1主面側に配置され、前記第1主面側には、接続対象がICチップである複数のICチップ接続端子が、前記複数の第1主面側接続端子として存在していることを特徴とする請求項1または2に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記複数の第1主面側接続端子または前記複数の第2主面側接続端子を構成している前記被覆金属層、及び前記最外層の配線導体部を構成している前記導電金属層は、共通の導電金属を主体としていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記被覆金属層、及び前記導電金属層はいずれもニッケルを主体とすることを特徴とする請求項4に記載の多層配線基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−243714(P2011−243714A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113853(P2010−113853)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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