天然油及び/または合成精油の水中分散体

本発明は、水系液体を、非水系液体混合物と組み合わせて組合せ物を形成すること、該水系液体及び該非水系液体混合物の両方から溶存ガスを除去すること、そして、該組合せ物を充分に攪拌してエマルジョンを形成することを含むエマルジョンの生産方法に関する。非水系液体混合物は水系液体と混じり合わない。また、組合せ物からエマルジョン安定剤がない状態で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然油及び/または合成精油を水中に分散させる方法、並びに、天然および/または合成精油の水中分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の研究では、添加物を使用せずに、純粋な炭化水素油を微小滴として水中に分散させることが可能であることが示されている。炭化水素と水との界面張力が高いことが、分離操作中に油滴間でキャビテーションが生じる原因となっていると考えられている。このキャビテーションは、油と水との両方での溶存大気によって促進される。それらを除去することによって、油滴が水中に容易に分散することができる。
【0003】
この方法の欠点は、油と水とに高い界面張力が存在する系である必要がある点にある。類似のプロセスを用いて天然油及び/または合成精油の水中エマルジョンを容易に形成できるならば、利点となるであろう。しかし、天然油及び合成精油は、油中の極性成分に起因して、通常水との界面張力がきわめて低い。従って、上記のメカニズムが適用できないと考えられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の欠点を実質的に克服し、あるいは少なくとも改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様は、
水系液体を、該水系液体とは通常混じり合わない非水系液体混合物と組み合わせて組合せ物を形成すること;
前記水系液体及び前記非水系液体混合物の両方から溶存ガスを除去すること;そして、
前記組合せ物を充分に攪拌してエマルジョンを形成すること
を含むエマルジョンの製造方法を提供する。
この非水系液体混合物は、水とは界面張力が異なる少なくとも2つの成分を含むことがで
き、この少なくとも2つの成分を混合物で含んでいてもよい。非水系液体混合物は、空気
中の理論上の水接触角が約90°より小さいものがよい。本明細書において、前記理論上の水接触角は、非水系液体混合物と同じ濡れ特性を持つ等価の固体との水接触角である。非水系液体混合物は、空気より極性が大きいものがよい。非水系液体は、水との界面張力が空気との界面張力よりも低いものがよい。非水系液体混合物は、無極性液体がよい。それは、疎水性の液体がよく、低極性の液体でもよい。非水系液体混合物は、天然油がよい。それは、1種類の天然フレグラントオイル、または少なくとも2種類の天然フレグラントオイルの混合物(例えば、2〜20、2〜15、2〜10、2〜5、2〜4、2〜3もしくは2種類の天然起源のフレグラントオイルの混合物)を含むか、あるいは、これらから成るものがよい。非水系液体混合物は、天然精油がよいが、合成精油でもよい。それは、1種類の精油、また
は2、3 4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20種類以
上の精油の混合物を含むか、あるいは、これらから成るものがよいが、これらは天然精油でも合成精油でもよい。この混合物は、1種類以上の合成精油と1種類以上の天然精油とを組み合わせた混合物でもよく、2種類以上の天然精油の混合物でもよく、2種類以上の合成精油の混合物でもよい。天然精油は、植物材料由来の水と混じり合わない液体である。精油は、揮発油またはエーテル油のいずれかで呼ばれている。非水系液体混合物は、大豆油ではないものがよい。非水系液体混合物は、例えば、ユーカリ油、ラベンダー油、チャノ
キ油、ベルガモット油、乳香油、パチョリ油、シーダー油、ライム油、ペパーミント油、カモミール油、グレープフルーツ油、マンダリン油、薔薇油、イランイラン油、クラリーセージ油、ジャスミン油、マヨラナ油、イトスギ油、ビャクシンベリー油、ネロリ油、紫檀油、パルマローザ油、白檀油、松油、ミント油、シナモン油、カユプテ油、ウイキョウ油、ゼラニウム油、クローブ油(girofle oil)、レモン油、スペアミント油、ギンバイ
カ油、オレガノ油、ruse oil、ローズマリー油、サリエット油、タイム油、ハイペリカム油(hypericum oil)、スターアニスシード油、桜、オレンジ、パイナップル若しくはオ
レンジ由来の油、ブライアー油、バイオレット油またはニンニク油がよいが、あるいは、これらのうちのいずれか2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、20種類以上の混合物を含むものでもよい。精油は、アロマチックオイル(例えば、ラベンダー油、ジャスミン油若しくはカモミール油、またはそれらの任意の混合物)がよい。精油としては、その中の揮発性成分(例えばvanillinまたはcoumarin)の蒸発速度を減少させる物質を含むものがよい。非水系液体混合物は、少なくとも一つの揮発性成分を含むものがよい。この揮発性成分は、エステル アルデヒド アルコール、ケトン及びテルペンのうち一つ以上を含み、あるいは、これらから成るものがよく、また、これらの任意の2以上の混合物を含むものがよい。揮発性成分は、植物性のものがよい。前記非水系液体混合物は、粘度が低いものがよく、15℃で約70 cP未満、例えば15℃で約65、60、55、50、45、40
、35、30、25、20、15、10若しくは5 cP未満、例えば15℃で約1 cPと約70 cPとの間、例
えば5と70、10と70、20と70、5と50、10と50、10と40、30と70、40と70、20と50、20と30若しくは30と50 cPとの間、例えば15℃で約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65若しくは70 cPであるとよい。
【0006】
非水系液体混合物は、非重合体成分を含むもの、あるいはそれから成るものがよい。それは、重合体成分もオリゴマー成分も含ないものがよい。非水系液体は、界面活性剤ではないものがよく、界面活性剤特性がほとんど若しくは全くないものがよい。
【0007】
組合せ物は、エマルジョン安定剤がない状態で形成するものがよい。本発明の製法により製造されるエマルジョンは、1時間〜何週間もの間安定なものがよい。
溶存ガスを除去する工程は、組合せ物、水系液体または非水系液体混合物中の溶存ガスの少なくとも90パーセントを除去することを含むものがよく、組合せ物を減圧することを含むものがよい。この工程は、先ず組合せ物を凍結し、次いでこの凍結した組合せ物を減圧すること(すなわち凍結融解(freeze-thaw)サイクル)を含むものがよく、複数の連
続した凍結融解サイクルを含むものがよい。減圧を、約20 Torr未満の絶対圧で行うとよ
い。
【0008】
非水系液体混合物は、トリグリセリド及び/または天然油を含むもの、あるいはこれらから成るものがよい。
本発明はまた、第一の態様による製法によって製造して得られるエマルジョンを提供する。エマルジョンは、その小滴の平均粒径が約10ミクロン未満であるとよい。
【0009】
本発明の第二の態様は、水系液体に分散した水とは界面張力が異なる少なくとも2つの成分を含む非水系液体混合物を含み、エマルジョン安定剤を有さないエマルジョンを提供する。このエマルジョンは、少なくとも1時間安定している。このエマルジョンは、小滴の平均粒径が約10ミクロン未満であるとよい。
【0010】
本発明の第三の態様は、個人の衛生状態の維持もしくは改善のために用いられる調合剤を提供する。ここで、前記調合剤は、本発明の第一の態様による製法により製造されたエマルジョンを含むか、あるいは、本発明の第二の態様によるエマルジョンを含む。
【0011】
本発明の第四の態様は、水系液体中の非水系液体混合物のエマルジョンを調製する装置
を提供する。ここで、前記装置は、
水系液体を非水系液体混合物と組み合わせて組合せ物を形成する混合チャンバー;
水系液体及び非水系液体混合物の両方から溶存気体を除去する少なくとも1つの脱気装置;及び、
前記組合せ物を攪拌してエマルジョンを形成する攪拌装置
を含む。
【0012】
本発明の好ましい実施態様を、添付図面を参照しながら、例示のみを目的としてここに記述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、天然油のように2成分または多成分であって水とは混じり合わない液体の分散体における脱気の効果に関する。これらの天然の混合油として、例えばユーカリ油、ラベンダー油及びチャノキ油が挙げられる。これらの油は混合物であり、また、以前の研究で使いた油ほど疎水性ではない場合があるものの、脱気の効果によってそれらの分散性がかなり向上し、添加物を必要とすることなくミクロンサイズの小滴が生み出される。純水中へのこれらの油の分散体は、例えば、皮膚洗浄製品及び経口スプレーなどの、純度が利点となる広範囲の用途がある。
【0014】
このように、本発明は、水系液体と、この水系液体とは通常混じり合わない非水系液体混合物を組み合わせて組合せ物を形成すること;この水系液体及びこの非水系液体混合物の両方から溶存ガスを除去すること;そして、この組合せ物を充分に攪拌してエマルジョンを形成することを含むエマルジョンの製造方法を開示する。この非水系液体混合物は、通常は水系液体とは混じり合わず、水とは界面張力が異なる少なくとも2つの成分を含む。
【0015】
ほとんどの液体は、ある程度はほとんどの他の液体と混じり合うと考えられる。体積の等しいこの2つの液体を活発に攪拌し、その後攪拌することなく完全に平衡に置いたとき、この2つの液体のどちらも約10%を超える、例えば約1、1、0.5、0.2または0.1%を超える濃度で他の液体中に存在しないならば、本明細書において、この2つの液体は混じり合わないものとする。
【0016】
エマルジョンは、水中油滴(O/W)エマルジョンがよい。O/Wエマルジョン中では、非水系液体混合物はエマルジョンの分散相であり、水系液体はエマルジョンの連続相である。
非水系液体混合物に対する水系液体の比率は、約1と約1000との間(すなわち、約1:1と約1000:1との間)、例えば、約5と1000、10と1000、20と1000、30と1000、40と1000、50
と1000、60と1000、70と1000、80と1000、90と1000、200と1000、300と1000、400と1000
、500と1000、1と500、1と200、1と100、1と50、1と20、1と10、10と500、20と200、50と200、50と150、80と120若しくは90と110との間、例えば、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4
、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、450、50、60、70、80、90、95、100、105、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900若しくは1000がよいが、1未満若しくは1000より大き
い値でもよい。エマルジョン中の非水系液体混合物の割合は、約0.1と約50%との間、例えば、約0.5と50、1と50、10と50、20と50、0.1と20、0.1と10、0.1と5、0.1と2、0.1と1、0.1と0.5、0.5と20、0.5と10、0.5と5、0.5と2若しくは0.5と1.5%との間がよく、また、
約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45若しくは50% (w/wまたはw/v)がよい。
【0017】
本発明に従ってエマルジョンを形成したときには、このエマルジョン中の非水系液体混
合物の割合を増やすために、例えば蒸発によって水を除去するのがよい。これは、約20%
未満、例えば約10、5、2または1%未満もの相当の粒径の(例えば、平均粒径の増加、または、最大粒径、数平均粒径、重量平均粒径若しくはZ-平均粒径の増加を伴う)変化を起こすことなく行うのがよい。水の除去を、エマルジョンの最終の水含量が体積で約10と約70%との間、例えば、約10と50、10と30、30と70、50と70、30と60、または40と60%との間、例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65または70%に到達するよう
に行うのがよい。
【0018】
攪拌の時間及び強さは、エマルジョンを形成するのに充分でなければならない。これらを、水系液体及び非水系液体混合物の性質、それらの間の界面張力、それぞれの体積比、及び組合せ物の総体積によって変えるのがよい。攪拌の強さによって時間を変えるのがよい。例えば、少なくとも1秒、例えば、少なくとも約2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50若しくは55秒、少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7
、8、9、10、15、20、25、30、40若しくは50分、または少なくとも約1、1.5、2,m 2.5、3、3.5、4、4.5若しくは5時間がよく、また、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35
、40、45、50若しくは55秒、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40若しくは50分、または約1、1.5、2,m 2.5、3、3.5、4、4.5若しくは5
時間がよい。攪拌は、中程度に、活発に、非常に活発に、または激しく行うのがよく、また、振とう、旋回、攪拌、音波処理、超音波処理または他の適当な攪拌方法がよく、あるいはこれらのうちの2つ以上の組合せであってもよい。
【0019】
水系液体は、水、または一つ以上の溶質の水溶液がよい。この溶質は、塩または他の適当な溶質がよい。溶質の濃度及び性質は、この工程を行う温度において水系液体が非水系液体混合物と混じり合わないようなものとすべきである。温度は、水系液体及び非水系液体混合物が液体であり且つこれらが混じり合わない温度であれば、いかなる温度でもよい。この2つの液体の性質によって変わるものの、好適な温度としては、約0と約100℃との間、例えば、約1と80、0と60、0と40、0と20、0と10、10と100、20と100、40と100、60と100、10と60、10と40または15と30℃との間、例えば約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100℃がよい。水系液体は、エマルジョン安定剤を含まないものがよい。水系液体に存在してはいけない具体的なエマルジョン安定剤としては、界面活性剤(イオン性、非イオン性または両性イオン性)、粒子状エマルジョン安定剤、ポリマー性エマルジョン安定剤などが挙げられる。これらは、また、非水系液体混合物にも存在しない状態になければならない。このように、本明細書に記載の組合せ物は、エマルジョン安定剤がない状態で形成するのがよい。
【0020】
油が混合物であるとき、これらは、所要の目的に好適な任意の比率にあることがよい。例えば、2つの油が互いに組み合わさっている場合、範囲内のいかなる比率でも所望の最終使用に適するならば、1:99 v/v〜99:1 v/vの範囲の比率がよい。
【0021】
非水系液体混合物は、水とは界面張力が異なる少なくとも2つの化合物を含むものがよ
い。界面張力の差は、少なくとも約2、4、6、8または10 mN/mがよく、また、例えば約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20 mN/mがよい。
【0022】
非水系液体混合物は、水との界面張力が低いものがよい。非水系液体混合物は、水との界面張力が低い成分を、水との界面張力が低くなるに充分な量含むのがよい。非水系液体混合物と水との界面張力は、約40 mN/m未満、例えば、約35、30、25または20mN/m未満が
よく、あるいは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35または40 mN/mがよい。空気中の非水系液体混合物の理論上の水接触角は、約90°、
例えば89、88、87、86または85°未満がよく、また、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88または89°がよい。非水系液体混合物は、空気より極性が高い
ものがよい。非水系液体は、水との界面張力が空気との界面張力より低いものがよい。
【0023】
本発明のプロセスにより製造されるエマルジョンは、1時間〜何週間もの間安定なもの
がよい。それは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、9、12、15または18時間、あるいは、
少なくとも約1、1.5、2、2.5、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12または13日、あるいは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10週間安定なものがよい。本明細書において、「安定な」とは、示した期間エマルジョンを静置した場合に、あるいは示した期間エマルジョンを穏やかに攪拌した場合におおまかな分離が生じない状況をいう。エマルジョンは、上述の期間の後に、濁度比率が少なくとも約2、例えば少なくとも約2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10であるものがよい。本明細書において、濁度の比率
は、脱気したときの濁度を得るエマルジョンの濁度と、脱気しないときの濁度を得るために水系液体、非水系液体混合物若しくは組合せ物を脱気しないことを除いては同様の成分及び手法を用いて得られたエマルジョンの濁度とを決定し、その後、脱気しないときの濁度で脱気したときの濁度を割ることにより得られる。2つの相が存在する場合には、水の含量がより高い相の濁度を測定しなければならない。濁度は、90°散乱で測定することができる。
【0024】
溶存ガスを除去する工程は、組合せ物、水系液体または非水系液体混合物に溶存するガスの少なくとも約90パーセントを除去することを含むものがよい。この工程は、溶存ガスの少なくとも約95、96、97、98、99、99.5、99.9、99.95、99.99、99.995または99.999%
を除去することを含むものがよい。この工程は、組合せ物を減圧することを含むものがよく、まず組合せ物を凍結し、その後、凍結した組合せ物を減圧する(すなわち凍結融解サイクル)ことを含むものがよい。この工程は、複数の連続した凍結融解サイクル(例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10回)を含むものがよい。減圧は、絶対圧が約20 Torr未
満、例えば約10、5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01、0.005、0.002または0.001 Torr未満、あるいは約20、10、5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01、0.005、0.002または0.001 Torrで行うものがよい。凍結融解サイクルは、周知の脱気手段である。これは、液体を凍結し、減圧を行い、中に入っている液体で容器を封じ、その凍結した液体を融解させることにより脱気し、(好ましくは最小限の攪拌を行いながら)その液体を再凍結し、そのサイクルを所要の回数繰り返すことを含んでいる。用いることのできる他の脱気方法としては、膜脱気と液体への溶解度の低い気体の散布とが挙げられる。
【0025】
本発明のプロセスを、フレグラントオイル、アロマチックオイル、天然精油または合成精油に、またはフレグランス成分若しくはその任意の混合物に応用するのがよい。これらの油は、脱気、特に減圧を用いた脱気の段階の間に潜在的に失われることのある揮発性物質の物質を有している。したがって、本発明をそのような油に適用することができ、これによって得られるエマルジョンが、検出可能な油のフレグラント特性及び/またはアロマチック特性を有していることは、驚くべきである。
【0026】
脱気工程は、組合せ物を形成する工程の前、その間、またはその後のいずれにおいて行ってもよい。このように、水系液体と非水系液体混合物とを組み合わせて組合せ物を形成し、この組合せ物を脱気するのがよい。またはこれに代えて、水系液体と非水系液体混合物とを脱気してから、(望ましくはこの脱気した液体が気体を取り込むことを防止しまたは取り込むことができない条件下で)これらを組み合わせて脱気した組合せ物を形成してもよく、あるいは、これらの液体のうちの一方を脱気し、次いで他方の液体と組合せて組合せ物を形成し、その後この組合せ物を脱気してもよい。脱気は、攪拌してエマルジョンを形成する工程の前またはその工程の間に行わなければならない。
【0027】
非水系液体混合物は、トリグリセリド及び/または天然油を含むものがよい。
本発明の製法によって製造されるエマルジョンは、水系液体中に分散した非水系液体混
合物を含む。ここで、この非水系液体混合物は水とは界面張力が異なる少なくとも2つの成分を含み、このエマルジョンはエマルジョン安定剤を含まない。また、このエマルジョンは、少なくとも1時間は安定である。平均粒径は、約10ミクロン未満、例えば約9、8、7、6、5、4、3、2または1ミクロン未満がよい。本発明のエマルジョン中における非水系
液体の小滴の平均ゼータ電位は、約-50 mVより大きいものがよく、また、例えば約-49、-48、-47、-46、-45、-44、-43、-42、-41、-40、-39、-38、-36、-36または-35 mVがよい。
【0028】
本発明によるエマルジョンは、個人の衛生の維持若しくは改善のために用いられる調合剤中の成分であるのがよい。この調合剤は、例えば皮膚洗浄製品(石鹸、液体石鹸、ボディーローション、スキンクレンザーなど)、オーラルスプレー、シェービングクリーム、保湿クリーム若しくはローション、化粧調合剤、または若干の他の種類の調合剤がよい。
【0029】
本発明はまた、エマルジョンを調製する装置を提供する。この装置は、
水系液体を非水系液体混合物と組み合わせて組合せ物を形成する混合チャンバー;
水系液体及び非水系液体混合物の両方から溶存気体を除去する少なくとも1つの脱気装置;及び、
前記組合せ物を攪拌してエマルジョンを形成する攪拌装置
を含む。
【0030】
攪拌装置は、混合チャンバー内に位置しているものがよいが、別の攪拌チャンバー内に位置していてもよい。ここで、この攪拌チャンバーは、混合チャンバーからこの攪拌チャンバーに通過する液体または組合せ物が気体を取り込むのを防ぎ、あるいは取り込むことができなくするようにこの混合チャンバーと通じている。脱気装置は、混合チャンバーからこの攪拌チャンバーを通過する液体または組合せ物を脱気するために、この混合チャンバーとこの攪拌チャンバーとの間に設置するものがよい。代わりに、あるいはさらに、脱気装置は混合チャンバー中に設置してもよく、あるいは、混合チャンバーに設置してもよい。代わりに、あるいはさらに、混合チャンバーに入る液体を脱気するために一つ以上の脱気装置を設けるのがよい。混合チャンバーは、中に液体を入れるための一つ以上の流入ポートを含むものがよい。攪拌装置は、攪拌器、ブレンダー、ソニケーター(sonicator)
、ウルトラソニケーター(ultrasonicator)、シェーカー、分散器、剪断刃または他の適当な攪拌装置を含むものがよい。脱気装置は、例えば膜脱気ユニットを含むものがよく、あるいは、凍結融解脱気を行うために適当な真空ポンプ、弁及び冷却装置を含むものがよい。
【0031】
最近の研究から、ミクロンサイズの油の微小滴は、ミクロンサイズの微小滴として水中に分散したとき、特定の状況下で安定な場合があることが示されている。油滴が、水酸イオンの吸着のために水中で自然と帯電することが理論づけられている。これらの帯電した小滴は、小滴間の弱いファンデルワールス力のため、その後安定している。水中での疎水性の微小滴は、水中の疎水性表面の分離に関係する熱力学プロセスの分析から予測されるキャビテーションプロセスによって水中への分散が阻害されることが示唆されている。そのとき、炭化水素と水との界面張力は、炭化水素と空気または蒸気との界面張力より高い。これが、水中のこれらの表面が分離することによってキャビテーションが生じる原因となる基本的な理由である。さらに、キャビテーションは、分離している小滴を一緒にし小滴が分散していることを阻害する表面間の何種類かの力を生み出す。これらの力としては、小滴が分離して存在しようとするときに、蒸気キャビティが架橋しながら拡張することに対抗する力だけではなく、ラプラス(Laplace)圧及びファンデルワールス力も挙げら
れる。しかし、大気条件下での水のキャビテーションは、多くのエネルギー入力を必要とする。実際のところ、水中の溶存ガスがこのようなキャビテーションプロセスの生成サイトとして作用するため、これらのガスの除去を行うことによりキャビテーションをなくす
と分散の度合いが向上するようである。
【0032】
約20mlの大気が標準的な温度及び圧力条件のもとで1リットルの水に溶解することは注
目に値する。これらのガスは、例えば減圧下での凍結及び融解によって、ほとんど完全に除去することができる。炭化水素またはフルオロカーボン油の分散体は、安定化のための界面活性剤及び重合体を必要とすることなく、脱気によって容易に形成することができる。分散体における脱気の効果についての従前の研究は、純粋な液体炭化水素及びフルオロカーボン化合物について行われた。鍵となる必要条件は、油が、水に不溶でかつ疎水性でなければならず、それによって、例えば水との界面張力が高くなることであるように考えられる。このように、炭化水素と水との高い界面張力は、分離が生じる間、油滴間にキャビテーションが生じる原因となると考えられている。これは、空気または蒸気中の油の表面張力が炭化水素と水との界面張力より低いためであると考えられている。このようなキャビテーションは、油及び水中に存在する溶存大気によって促進される場合がある。それらを除去することによって、油滴が水中に容易に分散することができるようになる。
【0033】
本発明は、他のタイプの水とは混じり合わない油、例えば、ユーカリ、ラベンダー及びチャノキ油のような天然油に拡張できる。これらの各天然油の水中分散体において脱気効果がかなりあることは注目すべきことであり、特に、空気及び水とのこれらの油の界面張力の点に関して興味深い。水中に分離した純粋な炭化水素またはフルオロカーボンの油滴、例えばドデカンでは、キャビテーションが起こると思われる。これは、ドデカンの表面張力が低く(25.4 mN/m)、またドデカンの水との界面張力が高い(52.9 mN/m)からである。いいかえると、キャビテーションによって、エネルギーのより高い油/水界面ではな
く、エネルギーのより低い油/空気界面が作り出される。しかし、より疎水性の少ない油
を脱気しても、これらの油の分散性を高めることにならないと思われる。これは、それらの表面張力が、水との対応する界面張力より高いからである。従って、油/水界面の方が
空気/水界面よりエネルギーが高いようなので、空気/水界面に優先して油/水界面を形成
するような駆動力が存在しないものと思われる。
【0034】
これについての別の考察として、空気中の油と同一の濡れ特性を有する等価固体表面上の理論上の水接触角の概念によるもの(すなわち、そのような固体表面上の水の小滴を用いるもの)がある。例えば、ドデカン上の水滴についてYoung式を用いると、この理論上
の接触角は、112°である。このように90°より大きいという大きな角度であったことは
、空気の方が水よりも油表面をよりよく『濡らす』ことを示している。この油は、非常に疎水性である。チャノキ油、ユーカリ及びラベンダー油という無極性の度合いのより低い3つの油に同じ分析を行うと、理論上の水接触角度についてそれぞれ82°、79°及び80°と計算することができる。そのため、これらの油は、疎水性ではあるけれども、空気よりは疎水性でないので脱気を行っても効果がないと考えられる。このため、空気/油界面は
、水/油界面よりエネルギーが高い。
【0035】
野菜油は、水との界面張力は低いものの、脱気した水中でより容易に分散することが判明している。本発明の発明者は、このことは、大豆油は分子量が高く、また3つのエステル基がわずかに両親媒性の性質を有することによって説明することができる、との仮説を立てた。このように、表面及び界面張力を測定すると、大きい分子は、張力がより近くなるように配向する可能性がある。しかし、活発に振とうを行っている間は、分散プロセスが迅速に生じるために、迅速に形成される新しい小滴表面において分子量の高い分子が配向することができないので、系はより純粋な液体炭化水素のような挙動を示す。従って、本発明において使われる油は、平衡界面張力が比較的低いが、過渡的な界面張力はかなり高いものがよく、また、油の過渡的な表面張力より大きいものがよく、それにより、脱気を行うことによってエマルジョン化を容易に起こすことができる。
【0036】
この効果は、一部の天然油の高分子量成分、例えば樟脳について起こる場合がある。ほとんど無極性の液体、例えばα-ピネン及びテルピネン中に、シネオール (cineole) のようなわずかに極性の成分の分子が存在する場合には、そのような分子の存在によって第二の効果ももたされると考えられている。静的平衡状態における測定では、極性成分は、表面または界面に拡散して張力を低下させる場合がある。しかし、急速且つ活発に振とうを行っている間は、新たに形成される表面への拡散はありえないであろう。それゆえに、この場合もまた、多成分油は、ここで述べたような条件のもとでは純粋な炭化水素に近い挙動を取ると思われる。この第二の効果は、また、油と水系液体との間に過渡的で比較的高い界面張力が存在することとも関連がある。このことから、分散体におけるキャビテーションの効果を予測する上で、界面張力の値は有用ではあるが、純粋な無極性液体の場合にしか有用ではないことが示唆される。このように本発明では、油の多くは分子量が比較的低いものの、混合物である。その成分は、分子量が約1200未満、例えば、約1100、1000、900、800、700、600、500、400、300または200未満のものがよい。非水系液体混合物は、分子量が約1200より大きい(例えば、約1100、1000、900、800、700、600、500、400、300若しくは200より大きい)物質を約10%未満、例えばそのような物質を約5%、2%または1%
未満有するものがよい。非水系液体混合物は、分子量が約200より大きい物質を約10、5または2%有するものがよい。
【0037】
混合物の成分の中には、極性が中程度のものがある。このため、この極性成分が選択的に吸着されることによって水との界面張力を減少する効果が現れる。しかし、活発に振とうを行っている間は、このような吸着過程を行うための時間が充分にはないので、これらの天然油混合物は、むしろ疎水性の純粋な油のような挙動を取ることができる。
【0038】
上述の両方の効果において重要なことは、過渡的な高い界面張力が充分に長く続くので、攪拌によって、平衡時の高い界面張力に緩和する前にエマルジョンを形成させることができる、ということである。したがって、水系液体を非水系液体混合物と攪拌した後において、非水系液体混合物と水系液体との界面張力が、攪拌停止後少なくとも約10ms、例えば、少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900または1000 msの間、非水系液体混合物の表面張力より大きい状態を維持することが望ましい。
【0039】
水に不溶の、広範囲の天然油または合成精油を、凍結融解脱気プロセスとその後の活発な振とうを用いることにより、ミクロンサイズの小滴として純粋な水中に分散させることができる。これらの分散体は、天然香水、皮膚洗浄混合物などの広範囲にわたる用途に用いることができる。密封容器(望ましくは気密容器)に保管したときには、重力沈降の後分離が起こった場合でも、単に振とうを行うだけで分散体を再生させることができる。この分散体は、エマルジョンとして安定化するためによく用いられる添加物を除く必要がある多くの用途において、上記天然油の不純物のない原料となる。必要であれば、粒径分布を正確に制御し且つ維持するために、形成後に連続的な攪拌または凍結を行うことにより分散体の重力沈降を防ぐことができる。脱気プロセスをおこなうと、密封容器に保存した場合に、溶存酸素が存在しないのでこれらの天然油が劣化する速度を低下させることもできる。
【実施例】
【0040】
〔導入〕
実施例で評価した天然油に存在する主な化学成分を、以下に示す:
ユーカリ油:1,8-シネオール (cineole) 〜55%、α-ピネン 20〜30%、β-ピネン 〜20〜30%。
ラベンダー油:1,8-シネオール 30〜35%、リナロオール (linalool) 30〜40%、樟脳10〜25%。
チャノキ油:テルピネン-4-オール、1,8-シネオール、α-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、シス-サビネン (sabinene) 水和物の複雑混合物。
【0041】
これらの油混合物のそれぞれにおける有機化合物としては、主として環状の非芳香族炭化水素、及び線状分岐鎖を有し部分的に不飽和な炭化水素が挙げられる。一般に、それらは、極性基がないかあるいは弱い極性基を1つ含む。これらの油混合物は、疎水性であり且つ水に不溶性であるので、水中への分散において脱気による影響を受ける可能性がある。この実施例では、これらの共通の、天然油の分散に関する脱気プロセスの効果を評価した。
【0042】
水中における油滴の分散性向上の程度は、濁度測定法を用いて、最も簡単にモニターされる。このような分散性向上の程度は、活発な振とうを行った後、新規の系(脱気)と脱気しないブランクとの差によって測ることができる。それぞれの場合において、脱気しないブランクは脱気したサンプルと同じ組成の組合せ物ではあるが、このブランクについては、清浄なパスツールピペットを用いて窒素ガスで10分間パージした。濁度は、所定の相中に分散した小滴の数を示す測定値であり、NTU(比濁計濁度単位)で測定した。ここに
示す結果のNTU値は光散乱によって測定した。これらの濁度の値の大きさについてみると
、蒸留水の濁度は0.02 NTUである一方、水道水の濁度は1〜5 NTUである。NTU測定は、有
用ではあるものの限られた数値であり、また、分散した相の屈折率が分散を生じさせる相の屈折率に近い場合には、その測定結果が不正確となる場合がある。例えば、見た目に濁っているサンプルの場合、そのサンプルが不透明である原因が散乱というよりはむしろ光吸収によるものであるために、NTUの値が低くなることがある。加えて、特に脱気を行わ
ないサンプルについては、しばしば容器の壁に大きな滴がこびり付くために、濁度の値が人為的に高くなる。したがって、場合によっては、油滴の電荷に加えて粒径分布を得るために動的光散乱法(DLS)を用いた。DLSの結果を慎重に解釈することはまた、多分散サンプルについても必要である。単分散サンプルは、体積グラフ(後記参照のこと)による粒径分布がZ-平均(直径)と類似の粒径範囲を上回っていることを示し、PDI数値(多分散
インデックス)が小さい。PDIの大きさは、多分散性の尺度であり、多分散サンプルにつ
いては、Z-平均は平均粒径についての最適な評価方法として一般に認められている。PDI
値が1.0であることは、サンプルの多分散性が非常に高く且つそのサンプルが大きな滴を
多く含むことを意味する。
〔物質及び方法〕
水は、活性炭及び逆浸透濾過を行うことにより調製し、その後、蒸留を行い、層流濾過型エアーキャビネット中のパイレックス(登録商標)容器中に保管した。各天然油は、市販の『最も純粋な』形態のものをスーパーマーケットから入手し、更なる精製を行うことなく使用した。これらの実験用の物質の調製及び取り扱いは、全て、汚染を減らすために層流キャビネット中で行った。
【0043】
各天然油の表面張力値は、ロッド-イン-フリー-サーフェス (rod-in-free-surface (RIFS)) 法を用いて測定した(Pashley, R. M.; Karaman, M. E. Applied Colloid and Surface Chemistry, J. Wiley, New York, 2004)。RIFS法を用いると、一般的に約+/-0.1 mN/mの精度で値が得られる。天然油と水との界面張力は、各々の油に懸濁させた水滴プロフィールの分析から得た。この手法を用いると、約+/-1mN/mの精度で値が得られた。これらの油の密度は、全て水より小さい。チャノキ油、ユーカリ及びラベンダー油については、その密度範囲は、それぞれ、0.89〜0.90、0.91〜0.93及び、0.875〜0.888 g/mlである。
【0044】
様々な天然油(一般には約1%)と水との混合物、及び分離した液体は、全て、テフロン(登録商標)・タップによって封をしたチューブに入れて液体窒素中で繰り返し凍結させ
、引き続き(タップを開いた状態で)0.01 mbarの圧力になるまで排気を行い、それから
、チューブを目標の圧力に排気した後タップを閉じて融解させることを繰り返すプロセス
により脱気を行った。各融解サイクルで生成したすべての溶存気体を、再凍結及び排気により除去した。このプロセスを5回行ったが、一般的には、3〜4サイクル行った後には融
解時にさらに泡立つ様子は観察されなかった。凍結/融解/排気を数サイクル行った後に到達する最終圧力を最終の凍結した液体との平衡圧から求めるとすると、0.01 mbarでの減
圧は約99.999%の脱気レベルに相当する。そして、この凍結した液体を融解させる際には
、泡立ちも気体放出も見られない。
【0045】
通常の場合、密封したパイレックス(登録商標)・チューブ中で混合物を8秒間活発に振とうすることにより、水に油を分散させることができた。濁度は、HF Scientific Micro 100 Turbidimeterを用いて測定した。粒径及びゼータ電位は、Malvern Zetasizerを用い
て測定した。
〔チャノキ油〕
購入したチャノキ油の表面張力は26.4 mN/mであることがわかった。また、水との界面
張力は16 mN/mであった。25mlの水中0.2〜0.5 mlの範囲でのチャノキと水との分散体の評価を、脱気後に活発な振とうを行った後で、あるいは窒素によりガス処理を行った状態(どちらの混合物もpH = 7)で行った。図1に示した濁度の結果から、脱気プロセスによっ
て分散性が向上したことは明らかである。ブランクの濁度は、サンプルを保存するのに用いられるガラスチューブの内壁に大きな油滴がこびり付くことがよくあるために、人為的に高くなることがよくある。図2及び3に示す粒径の測定値は、脱気により分散した微小滴の平均半径が約0.8μmであることを示す。この分散体は適度に単分散性があるのに対し、脱気しない(ブランク)場合では、大きい小滴を多く含み且つ明らかに多分散性であることから、粒径の測定を行うことができない。光散乱を用いたところ、チャノキ油の脱気した分散小滴の平均ゼータ電位は-35 mVであった。
〔ユーカリ油〕
購入したユーカリ油の表面張力は、25.5 mN/mであることがわかった。また、水との界
面張力は12 mN/mであった。脱気しない条件(ブランク)及び脱気した条件下で、水中に
分散させたユーカリ油の濁度の値を測定し、その結果を図4に示した。チャノキ油の結果
については、脱気した混合物では、分散が有意に改善された。脱気しない場合については、このときもまた、混合物を振とうしたガラスチューブの内部に一部の大きな小滴がこびり付いたので、粒径分布の測定も行った(図5)。脱気した分散体では、粒径の範囲が1〜2μmであった。これに対して、脱気しないサンプルからは、多分散性のサンプルが得られたが、粒径についての値を検知することができなかった。脱気した分散小滴のゼータ電位は-47 mVであることがわかったが、これは純粋な炭化水素について報告された値に近い。〔ラベンダー油〕
購入したラベンダー油の表面張力は、25.6 mN/mであることがわかった。また、水との
界面張力は13 mN/mであった。ラベンダー油と水とを振とうした混合物についての、濁度
における脱気の効果を図6に示す。明らかに、このときも、脱気によって、水中のこの天
然油の分散が有意に増大する。結果として得られる粒径分布の光散乱測定による測定結果を、図7に示す。油滴は適度に単分散性があり、平均粒径が約1.5μmである。これらの粒
子の平均ゼータ電位は-41 mVであったが、これは炭化水素液体について得られた結果に相当する。これに対して、調査した他の油に関しては、脱気しない場合には高度に多分散性のサンプルが得られたが、粒径についてのデータを検出することができなかった。これらの分散体における脱気の効果を示した写真を、図8に示す。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】水中で脱気したチャノキ油及び脱気しない(ブランク)チャノキ油についての、振とう後の時間の関数としての濁度測定のグラフを示す(油の屈折率:1.4769)。
【図2】25 mlの水に0.2 mlのチャノキ油を含む脱気した分散体における粒径データを示す(粒径(nm):1800,Z-平均サイズ(nm):1600,PDI(多分散度):0.123)。
【図3】25 mlの水に0.2 mlのチャノキ油を含む、脱気しない(ブランク)チャノキ油分散体における粒径データを示す。滴が大きく且つ多分散性であった(粒径(nm):0.00,Z-平均サイズ(nm):1.13×104,PDI:1.000)ので、脱気しない(ブランク)サンプルから検知できた値がないことを示している。
【図4】脱気しない(ブランク)状態及び脱気した状態での、水中に分散したユーカリ油の濁度の測定値を示す(ユーカリ油の屈折率: 1.4603)。
【図5】脱気した状態における、水に分散したユーカリ油についての粒径の測定値を示す(粒径(nm):2220,Z-平均サイズ(nm):3590,PDI:0.330)。
【図6】脱気した状態及び脱気しない状態(屈折率:1.4690)での、ラベンダー油の濁度の測定値を示す。
【図7】ラベンダー油と水とからなる脱気サンプルについての粒径の測定値を示す(粒径(nm):3180,Z-平均サイズ(nm):2880,PDI:0.194)。
【図8】振とうから数分後に撮影したラベンダー油及び水の写真を示す。この図において、脱気した組合せは左側にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系液体を、該水系液体とは通常混じり合わない非水系液体混合物と組み合わせて組合せ物を形成すること;
前記水系液体及び前記非水系液体混合物の両方から溶存ガスを除去すること;そして、
前記組合せ物を充分に攪拌してエマルジョンを形成すること
を含み、かつ、
前記組合せ物からエマルジョン安定剤がない状態で形成されることを特徴とするエマルジョンの製造方法。
【請求項2】
前記組み合わせる工程が、前記水系液体を、水とは界面張力が異なる少なくとも2つの
成分を含む前記非水系液体混合物と組み合わせることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記攪拌工程が、前記組合せ物を充分に攪拌して1時間から数週間安定な前記エマルジ
ョンを形成することを含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶存ガスの除去工程が、前記組合せ物、前記水系液体または前記非水系液体混合物に存在する溶存ガスを少なくとも90%除去することを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記溶存ガスの除去工程が、前記組合せ物、前記水系液体または前記非水系液体混合物に存在する溶存ガスを少なくとも97%除去することを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶存ガスの除去工程が、前記組合せ物を減圧することを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記溶存ガスの除去工程が、先ず前記組合せ物を凍結し、次いで凍結した該組合せ物を減圧することを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記減圧する工程が、前記組合せ物を絶対圧で約20 Torr未満に減圧することを含む請
求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記減圧する工程が、前記組合せ物を絶対圧で約0.02 Torr未満に減圧することを含む
請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記水系液体を前記非水系液体混合物と組み合わせる工程が、該水系液体を、トリグリセリドと天然油とからなる群より選択される少なくとも1つの物質を含む非水系液体混合
物と組み合わせることを含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記水系液体を前記非水系液体混合物と組み合わせる工程が、該水系液体を、大豆油を含まない非水系液体混合物と組み合わせることを含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記水系液体を前記非水系液体混合物と組み合わせる工程が、該水系液体を、少なくとも1つの天然香油を含む非水系液体混合物と組み合わせることを含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記水系液体を前記非水系液体混合物と組み合わせる工程が、該水系液体を、少なくとも1つの、エステル、アルデヒド、アルコール、ケトン及びテルペンからなる群より選択
される揮発性構成成分を含む非水系液体混合物と組み合わせることを含む請求項1〜11の
いずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記水系液体を前記非水系液体混合物と組み合わせる工程が、該水系液体を、ユーカリ油、ラベンダー油、チャノキ油、ベルガモット油、乳香油、パチョリ油、シーダー材油、ライム油、ペパーミント油、カモミール油、グレープフルーツ油、マンダリン油、薔薇油、イランイラン油、クラリーセージ油、ジャスミン油、マヨラナ油、イトスギ油、ビャクシンベリー油、ネロリ油、紫檀油、パルマローザ油、白檀油、松油、ミント油、シナモン油、カユプテ油、ウイキョウ油、ゼラニウム油、クローブ油(girofle oil)、レモン油
、スペアミント油、ギンバイカ油、オレガノ油、ローズマリー油、サリエット油、タイム油、ハイペリカム油(hypericum oil)、スターアニスシード油、ニンニク油及びこれら
のうちの任意の2以上の混合物からなる群より選択される油を含む非水系液体混合物と組み合わせることを含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記水系液体と前記非水系液体混合物とを組み合わせる工程が、該水系液体を、水との界面張力が空気との界面張力よりも低い非水系液体混合物とを組み合わせることを含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
非水系液体混合物の割合を増やすため、前記エマルジョンから水を除去する工程をさらに含む請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
エマルジョン安定剤を有さずに少なくとも1時間安定している、水系液体に分散した非
水系液体混合物を含むエマルジョン。
【請求項18】
水系液体を、該水系液体とは通常混じり合わない非水系液体混合物と組み合わせて組合せ物を形成すること;
前記水系液体及び前記非水系液体混合物の両方から溶存ガスを除去すること;そして、
前記組合せ物を充分に攪拌してエマルジョンを形成すること
を含む方法によって生産され、かつ、
前記組合せ物からエマルジョン安定剤がない状態で形成されることを特徴とするエマルジョン。
【請求項19】
小滴の平均粒径が約10ミクロン未満である請求項17または18に記載のエマルジョン。
【請求項20】
非水系液体混合物の割合が約0.1〜約50% (w/wまたはw/v) である請求項17〜19のいずれかに記載のエマルジョン。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれか1項に記載のエマルジョンを含む、個人の衛生状態の維持もし
くは改善のために用いられあるいは化粧品として用いられる調合剤。
【請求項22】
水系液体を非水系液体混合物と組み合わせて組合せ物を形成する混合チャンバー;
水系液体及び非水系液体混合物の両方から溶存気体を除去する少なくとも1つの脱気装
置;及び
前記組合せ物を攪拌して水系液体中に非水系液体混合物のエマルジョンを形成する攪拌装置
を含むことを特徴とする、該エマルジョンの調製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−509978(P2009−509978A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532540(P2008−532540)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001425
【国際公開番号】WO2007/035996
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(507192415)マードック ユニバーシティ (3)
【Fターム(参考)】