説明

太陽電池モジュール用止水テープ

【課題】 本発明は、 本発明は、優れた初期止水性を有し且つ回復性にも優れ、コの字状に屈曲させて用いた場合にも優れた止水性を維持し、作業性に優れた太陽電池モジュール用止水テープを提供する。
【解決手段】 本発明の太陽電池モジュール用止水テープAは、太陽電池ユニット1を支持部材2の固定溝21内に挿入して固定させる際に上記太陽電池ユニット1の端部とこれに対向する上記支持部材2の固定溝21の内面との間に介在させて用いられる止水テープであって、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1と、このエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の一面に積層一体化されたゴム系粘着剤層A2とを有し、上記ゴム系粘着剤層A2の厚みが上記止水テープA全体の厚みの5〜30%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール用止水テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽電池モジュールを構成している太陽電池ユニットは、受光面となるガラス板とこのガラス板の裏面に一体的に設けられた封止層とからなり、この封止層内に太陽電池セルが封止されている。そして、封止層には防水性や絶縁性が強く求められている。
【0003】
そこで、特許文献1には、太陽電池モジュール本体の外形に沿って端面封止部材を設けて止水する技術が開示されている。そして、端面封止部材としては、エチレンビニルアセテートと、耐熱性ゴム系材料の積層体が好適である旨が記載されている。
【0004】
このような端面封止材を用いると、太陽電池モジュール本体と一体化することができ、止水性が向上する旨が記載されている。更に、モジュール本体を枠体に嵌め込む際に生じるずれの問題を解決できる旨が記載されている。
【0005】
又、特許文献2、3には、エチレン・酢酸ビニル樹脂にシランカップリング剤を配合した封止シートが記載されている。そして、このような封止シートは、柔軟性、耐候性及び絶縁性に優れる旨が記載されている。
【0006】
更に、特許文献4には、太陽電池パネルの周縁部に接着テープを貼付けたものを、断面コ字状のフレームに挿入した太陽電池構造体が開示されている。接着テープとしては、実施例において、EPDM発泡体の一面にブチルゴム系の粘着剤層を設けたものが開示されている。そして、このような接着テープを使用することにより、周縁部の水密性がよく、雨水が侵入しにくくなる旨が記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、特に外部で使用する際の止水性を充分に確保できるものではなく、耐候性も充分でないという問題があった。一般的に、ゴム系材料の止水性は圧縮率に大きく依存することから、コ字状に形成された端面封止部材は、その角部において負荷がかかりやすいためにへたりやすく、長期間に亘る使用によって止水性が著しく低下してしまうといった問題があった。
【0008】
又、特許文献2、3に記載の封止シートも止水性が充分でなく、絶縁性についても、例えば、落雷などの影響を考えると充分ではなかった。特許文献4に記載の接着テープは、耐候性が充分でなく、使用中にへたってしまい水密性が経時で低下するといった問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開2005−347395号公報
【特許文献2】特開2005−126708号公報
【特許文献3】特開2006−036875号公報
【特許文献4】特開2000−226909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、優れた初期止水性を有し且つ回復性にも優れ、コの字状に屈曲させて用いた場合にも優れた止水性を維持し、作業性に優れた太陽電池モジュール用止水テープを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の太陽電池モジュール用止水テープAは、太陽電池ユニットを支持部材の固定溝内に挿入して固定させる際に上記太陽電池ユニットの端部とこれに対向する上記支持部材の固定溝の内面との間に介在させて用いられる止水テープであって、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートと、このエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に積層一体化されたゴム系粘着剤層とを有し、上記ゴム系粘着剤層の厚みが上記止水テープ全体の厚みの5〜30%であることを特徴とする。
【0012】
上記エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1は、柔軟性及び回復性に優れていると共に、耐加水分解性に優れており、更に、耐候性にも優れており光が長期間に亘って照射されても長期間に亘って優れた弾性を維持し、長期間に亘って優れた止水性を維持することができる。このエーテル系ウレタン樹脂発泡シートを構成しているエーテル系ウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオールとジイソシアネート化合物とを反応させて得られた合成樹脂である。
【0013】
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールの他に、これらの多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド或いはアリルオキサイドを付加重合したものが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0014】
多価アルコールにエチレンオキサイドを付加重合する場合、その付加モル率は8モル%未満が好ましく、5モル%以下がより好ましい。付加モル率が8モル%以上となると、気泡が大きくなりやすくなり、太陽電池モジュール用止水テープの止水性やエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの厚みの回復率が低下することがあるからである。
【0015】
ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)が好ましく、MDI系イソシアネートを10モル%未満含有したトリレンジイソシアネート(TDI)がより好ましい。
【0016】
MDI系イソシアネートは、汎用のものが用いられ、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カルボジイミド変性した液状MDIとよばれているもの、ポリオールと予め反応させたウレタン変性MDIと呼ばれているものなどが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0017】
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1には、止水性を向上させるために、石油樹脂や石油ワックスなどを配合してもよい。石油樹脂や石油ワックスの配合量としては、エーテル系ウレタン樹脂100重量部に対して5〜30重量部が好ましい。
【0018】
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1には、更に絶縁性を向上させるために絶縁フィラーが含有されていてもよい。絶縁フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、合成樹脂微粒子などが挙げられ、ウレタン樹脂との分散性に優れており、熱に比較的強いことから、シリカ粒子が好ましい。
【0019】
そして、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1中に含有させる絶縁フィラーの平均粒子径は、小さいと、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートに充分な絶縁性を付与することができないことがあり、大きいと、支持部材の固定溝の内面との密着性が低下し、或いは、ゴム系粘着剤層との密着性が低下するので、10〜150μmが好ましい。なお、本発明において、絶縁フィラーの平均粒子径は、沈降法による光散乱方式により測定されたものをいう。
【0020】
又、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1中における絶縁フィラーの含有量は、少ないと、絶縁フィラーを添加した効果が発現しないことがあり、多いと、支持部材の固定溝の内面との密着性が低下し、或いは、ゴム系粘着剤層との密着性が低下するので、エーテル系ウレタン樹脂100重量部に対して20〜200重量部が好ましい。
【0021】
又、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1には、耐熱性向上のために老化防止剤や耐候性向上のために紫外線吸収剤などの添加剤、カーボンブラックなどの着色剤、炭酸カルシウムなどのフィラーなどが含有していてもよい。
【0022】
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1は、少なくとも一面にスキン層を有することが好ましい。スキン層を有することにより、止水性を向上させることができる。
【0023】
又、スキン層は、後述するように、発泡倍率が低い層であるので、スキン層のないエーテル系ウレタン樹脂発泡シートを用いる場合と比較して絶縁性が向上する。
【0024】
スキン層の厚さは10μm以下と薄いほど曲面への施工でエーテル系ウレタン樹脂発泡シートに皺が発生せず密着性を高めることができる。
【0025】
ここで、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1のスキン層とは、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートを製造する過程において発泡シートの表面に形成される発泡倍率の低い層をいう。なお、スキン層は、エーテル系樹脂発泡シートA1をその表面から厚み方向に切った場合に、断面図を目視することで判別できる。
【0026】
上記エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の製造方法としては、特に限定されず、スラブストック法、スプレー塗布やロールによる塗布などのキャスチング法、型内で成形するモールド法、細いノズルからキャストするディスペンサー法などが挙げられ、得られるエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の表面にスキン層を形成することができる点で、キャスチング法、モールド法が好ましい。
【0027】
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1を製造する際に、架橋剤として、多価アルコール、ジアミン又はアミノアルコールなどのイソシアネート基と反応する活性水素を有する化合物を用いることが好ましく、多価アルコールが好ましい。
【0028】
多価アルコール、ジアミン又はアミノアルコールなどを架橋剤として用いると、広い安定発泡領域や発泡シーリング材の持つ代表的な特性の軟らかさ・伸びを満足することができる。
【0029】
多価アルコールとしては、アルコール性水酸基の数が2〜4で且つ水酸基価が600mgKOH/g以上の多価アルコールが好ましい。多価アルコールとして、アルコール性水酸基の数が2であるグリコール又はそのアルキレンオキサイド付加物を用いると、得られるエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの柔軟性が優れており好ましい。
【0030】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられ、ジアミンとしては、例えば、ジフェニルメタンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノフェニルメタンなどが挙げられ、アミノアルコールとしては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0031】
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1を得るために用いる発泡剤としては、特に限定されず、例えば、水、モノフッ化トリ塩化メタン、ジ塩化メタンなどのハロゲン化アルカン、ブタン、ペンタンなどの低沸点アルカン、分解窒素を発生するアゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられ、水が好ましい。
【0032】
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1を得るにあたっては、反応性シリコーン整泡剤を使用することが好ましい。反応性シリコーン整泡剤を使用することにより、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートの止水性と回復性とを両立させることができる。反応性シリコーン整泡剤の反応性基としては、水酸基又はアミノ基が好ましい。反応性シリコーン整泡剤の分子構造は公知のものでよく、ポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキサイド共重合体が代表的である。
【0033】
反応性シリコーン整泡剤のジメチルシロキサン成分の含有率は、低いと、水との相溶性が高まり、得られるエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの圧縮歪みが低下することがあり、高いと、水との相溶性が低下してセルが粗大化し、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートの止水性が低下することがあるので、20〜30重量%が好ましい。
【0034】
反応性シリコーン整泡剤の重量平均分子量は、低いと、整泡力が低下しセルの粗大化を引き起こし、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートの止水性が低下することがあり、高いと、水及びポリオールとの相溶性のバランスが取れず、安定したエーテル系ウレタン樹脂発泡シートを得ることができないことがあるので、1500〜3000が好ましい。
【0035】
反応性シリコーン整泡剤としては、水酸基を有する反応性シリコーンと、エポキシ基、カルボキシ基、メルカプト基又はアミノ基を有する反応性シリコーンとの混合物が好ましく、水酸基を有する反応性シリコーンと、エポキシ基、カルボキシ基、メルカプト基又はアミノ基を有する反応性シリコーンとの混合物であって、水酸基を有する反応性シリコーンを10重量%以上含有する反応性シリコーン整泡剤が好ましい。
【0036】
側鎖のポリオールのEO/POにおけるEO含量は一般的に軟質ウレタンフォームで使用される40〜60が好ましく、この範囲を外れると、反応性シリコーン整泡剤とポリエーテル/水との相溶性のバランスが壊れてセルの粗大化や得られるエーテル系ウレタン樹脂発泡シートが収縮し正常な発泡シートが安定して得られないなどの問題を生じる場合がある。
【0037】
また、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の製造時に触媒を用いてもよい。このような触媒としては、例えば、3級アミン又は有機金属化合物が挙げられ、有機金属触媒が好ましい。なお、触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0038】
3級アミンとしては、特に限定はされず、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、n−メチルモルホリン、n−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミンなどが挙げられる。
【0039】
有機金属触媒の好ましい金属としては、スズ、鉛、銅、鉄、チタン、ジルコニウム、ニッケル、ビスマス、コバルト、ナトリウム、カリウム、亜鉛などが挙げられ、スズが好ましい。そして、有機金属触媒としては、オクチル酸第1スズ、ジブチルラウリン酸第2スズなどの有機スズ化合物が挙げられる。
【0040】
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の密度は、低いと、太陽電池モジュール用止水テープの止水性が低下することがあり、高いと、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートの柔軟性が低下して太陽電池モジュール用止水テープの止水性が低下することがあるので、35〜70kg/m3が好ましく、40〜65kg/m3がより好ましい。なお、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートの密度は、JIS K6401に準拠して測定されたものをいう。
【0041】
又、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の厚みは、薄いと、太陽電池モジュール用止水テープの止水性が低下することがあり、厚いと、太陽電池ユニットの端部に沿って円滑に変形させることができずに止水性が低下することがあるので、1〜6mmが好ましく、1.5〜5mmがより好ましい。
【0042】
なお、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1としては、例えば、日本発条社から商品名「スーパーシートHP」、「スーパーシートHPU」、「スーパーシートH3U」などで市販され、イノアック社から商品名「ポロンSRS24P」で市販されている。
【0043】
本発明の太陽電池モジュール用止水テープAは、図1に示したように、上記エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の一面にゴム系粘着剤層A2が積層一体化されている。エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の表面にスキン層が形成されている場合、スキン層は平滑性に優れておりゴム系粘着剤層A2との密着性を向上させて、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1とゴム系粘着剤層A2との界面における止水性をより向上させることができるので、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1のスキン層上にゴム系粘着剤層A2が積層一体化されていることが好ましい。
【0044】
粘着剤層A2がゴム系粘着剤を含有していることによって、太陽電池モジュール用止水テープAは絶縁性に優れている。ゴム系粘着剤を構成しているゴム系樹脂としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、スチレン−イソプレンゴム(SIS)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられ、優れた絶縁性、耐候性及び耐熱性を得ることができるので、ブチルゴムが好ましい。
【0045】
ゴム系粘着剤A2を構成しているゴム系樹脂の重量平均分子量は、2000〜100万という点で、好ましくは3000〜50万、さらに好ましくは4000〜30万である。なお、ゴム系樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算分子量として測定されたものをいう。
【0046】
又、ゴム系粘着剤層A2の絶縁性を向上させるために、ゴム系粘着剤層中に絶縁フィラーを含有させてもよい。絶縁フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、合成樹脂微粒子などが挙げられ、ゴム系樹脂との分散性に優れており、熱に比較的強いことから、シリカ粒子が好ましい。
【0047】
そして、ゴム系粘着剤層A2中に含有させる絶縁フィラーの平均粒子径は、小さいと、ゴム系粘着剤層に充分な絶縁性を付与することができないことがあり、大きいと、太陽電池モジュール用止水テープの柔軟性が低下することがあるので、10〜200μmが好ましい。
【0048】
更に、ゴム系粘着剤層A2中における絶縁フィラーの含有量は、少ないと、絶縁フィラーを含有させた効果が発現しないことがあり、多いと、太陽電池パネルやエーテル系ウレタン樹脂発泡シートとの密着性が低下し、太陽電池パネルやエーテル系ウレタン樹脂発泡シートと、ゴム系粘着剤層との密着性が低下してこれらの界面において止水性が低下することがあるので、ゴム系樹脂100重量部に対して20〜200重量部が好ましい。
【0049】
又、ゴム系粘着剤層A2には必要に応じて粘着付与樹脂が添加されてもよい。このような粘着付与樹脂としては、例えば、ペンタエリスリトールなどのエステル化合物、α−ピネン、β−ピネンなどのテルペン類の重合体若しくはそれらの共重合体などのテルペン樹脂類、テルペンフェノール樹脂などのテルペン変性体、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂などの石油樹脂及びこれらの水素化物、クマロン−インデン樹脂、アルキルフェノール−アセチレン樹脂などのフェノール樹脂類などが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されもよい。
【0050】
そして、ゴム系粘着剤層A2中における粘着付与樹脂の含有量は、多いと、ゴム系粘着剤層の凝集力が低下することがあるので、ゴム系粘着剤層を構成しているゴム系樹脂100重量部に対して30重量部未満が好ましい。
【0051】
又、ゴム系粘着剤層A2の厚みは、厚いと、太陽電池モジュール用止水テープに占めるエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの厚み割合が低下してエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの弾性復元力が低下し、支持部材の固定溝の内面に対する太陽電池モジュール用止水テープの密着性が低下して止水性が低下し、薄いと、太陽電池モジュール用止水テープの絶縁性が低下するので、太陽電池モジュール用止水テープ全体の厚みの5〜30%に限定され、6〜25%が好ましい。具体的なゴム系粘着剤層の厚みとしては、200〜1000μmが好ましい。
【0052】
更に、太陽電池モジュール用止水テープAの絶縁性を向上させるために、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1とゴム系粘着剤層A2との間に合成樹脂製絶縁フィルムを介在させることが好ましい。
【0053】
このような合成樹脂製絶縁フィルムを構成している合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられ、柔軟性に優れていることから、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルが好ましい。
【0054】
合成樹脂製絶縁フィルムの厚みは、薄いと、絶縁フィルムの絶縁性が低下することがあり、厚いと、絶縁フィルムの柔軟性が低下して、太陽電池モジュール用止水テープの太陽電池ユニットや支持部材の固定溝に対する追従性が低下するので、10〜200μmが好ましい。
【0055】
そして、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の一面にゴム系粘着剤層A2を積層一体化させる要領としては、汎用の要領が用いられ、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に、ゴム系粘着剤溶液又は分散液を、ロールコーター、マイヤーバーコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、トップフィードリバースコーターなどを用いて直接塗布して乾燥させてゴム系粘着剤層を形成する方法、離型フィルムの離型処理面に、ゴム系粘着剤溶液又は分散液を上述の要領で直接塗布して乾燥させてゴム系粘着剤層を形成した後、この離型フィルムをそのゴム系粘着剤層がエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に対向した状態にエーテル系ウレタン樹脂発泡シート上に重ね合わせて、ゴム系粘着剤層をエーテル系ウレタン樹脂発泡シートに転写して積層一体化させる方法などが挙げられる。なお、ゴム系粘着剤溶液又は分散液は、ゴム系粘着剤を溶剤に汎用の要領で溶解させ或いは分散させればよい。溶剤としては、例えば、トルエン、n−ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0056】
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1とゴム系粘着剤A2との間に合成樹脂製絶縁フィルムを介在させる場合には、例えば、合成樹脂製絶縁フィルム上にキャスチング法によってエーテル系ウレタン樹脂発泡シートを作製し、合成樹脂製絶縁フィルム上に上述と同様の要領でゴム系粘着剤層を積層一体化させる方法、エーテル系ウレタン樹脂発泡シート上に合成樹脂製絶縁フィルムを構成する合成樹脂をグラビアロールなどによって塗布した後に乾燥させて合成樹脂製絶縁フィルムを作製し、この合成樹脂製絶縁フィルム上に上述と同様の要領でゴム系粘着剤層を積層一体化させる方法、エーテル系ウレタン樹脂発泡シート上に、予め作製しておいた合成樹脂製絶縁フィルムを接着剤を介して或いは熱融着によって積層一体化し、この合成樹脂製絶縁フィルム上に上述と同様の要領でゴム系粘着剤層を積層一体化させる方法などが挙げられる。
【0057】
又、ゴム系粘着剤層A2内に布状体を含有させてもよい。ゴム系粘着剤層A2内に布状体を含有させることによってゴム系粘着剤層A2の保形性を向上させることができ、太陽電池モジュール用止水テープAの止水性を長期間に亘って安定的に保持することができる。布状体としては、例えば、不織布、織布、網布などが挙げられる。
【0058】
ゴム系粘着剤層A2内に布状体を含有させる方法としては、(1)上述の要領でエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の一面に第一ゴム系粘着剤層を形成した後、この第一ゴム系粘着剤層上に布状体を積層し、この布状体上に同様の要領で第二ゴム系粘着剤層を形成し、第一、第二ゴム系粘着剤層を一体化させてゴム系粘着剤層を形成する方法、(2)上述の要領でエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の一面にゴム系粘着剤層を形成した後、このゴム系粘着剤層上に布状体を配設し、布状体をエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1方向に押圧することによって布状体をゴム系粘着剤層内に埋没させる方法などが挙げられる。なお、上記(1)の方法でゴム系粘着剤層を形成した場合、「ゴム系粘着剤層の厚み」とは、第一、第二ゴム系粘着剤層の厚みの合計をいう。
【0059】
次に、上記太陽電池モジュール用止水テープAの使用要領について説明する。太陽電池モジュール用止水テープAは、太陽電池ユニット1を支持部材2の固定溝21内に挿入して固定させる際に用いられる。
【0060】
太陽電池ユニット1は、受光面となる一定厚みを有するガラス板と、このガラス板の裏面に積層一体化された合成樹脂からなる封止層とからなる平面矩形状の一定厚みを有する板状に形成されてなり、封止層内に太陽電池セルが封止されている。図2では、太陽電池ユニットの層構成は省略した。
【0061】
そして、太陽電池ユニット1は、その外周部に支持部材2を固着一体化させた上でこの支持部材2を利用して屋外の所望箇所に配設、固定される。この支持部材2は、太陽電池ユニット1の外周部を挿入可能な固定溝21を有しており、この固定溝21は、太陽電池ユニット1の厚みよりも幅が広く且つ太陽電池ユニット1の一辺と略同一長さを有する溝底部21aと、この溝底部21aの上下端の全長から同一方向に延設された側壁部21b、21cとから断面コ字状に形成されている。
【0062】
このように構成された固定溝21内に太陽電池ユニット1の端部を挿入し固定させるにあたっては、太陽電池ユニット1の四方外周縁部のうちの何れか一つの外周縁部の全長に、一定幅を有する太陽電池モジュール用止水テープAをそのゴム系粘着剤層A2によって貼着して、太陽電池ユニット1の外周縁部を太陽電池モジュール用止水テープAで被覆する。
【0063】
具体的には、太陽電池モジュール用止水テープAを太陽電池ユニット1の外周縁部1aにおける上面11から順次、端面12及び下面13に沿って変形させながら貼着させて、太陽電池ユニット1の外周縁部1aを断面コ字状に屈曲された太陽電池モジュール用止水テープAで全面的に被覆した状態とする。
【0064】
この際、太陽電池モジュール用止水テープAのゴム系粘着剤層A2は適度な柔軟性を有していることから、ゴム系粘着剤層A2は、太陽電池ユニット1の外周縁部に沿って円滑に変形、追従し、太陽電池モジュール用止水テープAは、太陽電池ユニット1の表面に優れた密着性でもって貼着することができる。
【0065】
しかる後、太陽電池モジュール用止水テープAを貼着した太陽電池ユニット1の外周縁部1aを支持部材2の固定溝21内に押し込む。すると、太陽電池モジュール用止水テープAのエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1は柔軟性に優れていることから、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1が支持部材2の固定溝21の形状に沿って圧縮、変形されながら、太陽電池ユニット1の外周縁部1aが太陽電池モジュール用止水テープAと共に支持部材2の固定溝21内に円滑に挿入される。
【0066】
この状態では、太陽電池ユニット1の外周縁部1aは支持部材2の固定溝21内に太陽電池モジュール用止水テープAを介して挿入された状態、即ち、太陽電池ユニット1の外周縁部1aとこれに対向する支持部材2の固定溝21の溝底部21a及び側壁部21b、21cとの間に太陽電池モジュール用止水テープAが介在した状態となっている。
【0067】
そして、太陽電池モジュール用止水テープAは、そのエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1が柔軟性及び圧縮回復性に優れていることから、支持部材2の固定溝21内において固定溝21の形状に合致した状態に回復し、太陽電池ユニット1の外周縁部1aと支持部材2の固定溝21との間に形成された隙間を隙間なく埋める。しかも、ゴム系粘着剤層A2も柔軟性に優れていることから、太陽電池ユニット1の外周縁部1aと支持部材2の固定溝21との間に形成された隙間を埋めるのを補助し、太陽電池ユニット1の外周縁部1aと支持部材2の固定溝21との間の隙間は確実に太陽電池モジュール用止水テープAによって埋められる。
【0068】
このように、太陽電池モジュール用止水テープAは、優れた柔軟性及び圧縮回復性を有しているので、太陽電池ユニット1の外周縁部1aを支持部材2の固定溝21内に挿入するに際しても、太陽電池ユニット1の外周縁部1aを支持部材2の固定溝21内に無理に押し込むことなく容易に挿入することができ、そして、太陽電池ユニット1の外周縁部1aを支持部材2の固定溝21内に挿入した後は、太陽電池モジュール用止水テープAのエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1が速やかに回復して、太陽電池ユニット1の外周縁部1aと支持部材2の固定溝21との間に形成された隙間を隙間なく埋め、支持部材2の固定溝21の開口部を通じて太陽電池ユニット1の外周縁部1aに雨水などの水が進入するのを確実に防止する。
【0069】
又、太陽電池ユニット1を支持部材2の固定溝21内に挿入する際に、太陽電池モジュール用止水テープAにズレ応力が加えられるが、このズレ応力をエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1及びゴム系粘着剤層A2が円滑に吸収し、支持部材2の固定溝21内に太陽電池ユニット1の外周縁部1aを挿入した後も、太陽電池ユニット1の外周縁部1aに対する太陽電池モジュール用止水テープAの貼着位置を確実に維持することができ、よって、太陽電池ユニット1の止水を確実なものとすることができる。
【0070】
そして、太陽電池モジュール用止水テープAは、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1と、このエーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1の一面に積層一体化されたゴム系粘着剤層A2とが優れた密着性でもって強固に積層一体化していることから、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートA1と粘着剤層A2との間から雨水などの水が進入することはなく、優れた止水性を発揮する。
【0071】
更に、太陽電池モジュール用止水テープAの粘着剤層A2は、ゴム系粘着剤を含有しているので、適度な柔軟性を有しながら強固な粘着力及び密着性を有し且つ優れた絶縁性をも有しており、太陽電池モジュール用止水テープAの粘着剤層A2とこれに対向する固定溝21の内面との間に隙間を生じさせるようなことはなく、長期間に亘って優れた止水性及び絶縁性を維持する。
【0072】
加えて、太陽電池モジュール用止水テープAのゴム系粘着剤層A2は優れた柔軟性及び弾性を有しているので、太陽電池ユニット1の外周縁部1aに太陽電池モジュール用止水テープAを貼着するに際しても、太陽電池ユニット1の外周縁部1aの形状に円滑に追従する。そして、太陽電池ユニット1の外周縁部1aを支持部材2の固定溝21内に挿入する際に太陽電池モジュール用止水テープAに加えられるズレ応力をゴム系粘着剤層A2が円滑に吸収し、太陽電池ユニット1の外周縁部1aを支持部材2の固定溝21内に挿入した後も太陽電池モジュール用止水テープAを太陽電池ユニット1の外周縁部1aの所定位置に貼着させておくことができ、止水性及び絶縁性を確実に発揮させることができる。
【0073】
そして、太陽電池ユニット1は、屋外において使用されることが多く、外部温度は−20〜70℃程度の範囲で変化し、この温度変化に伴って太陽電池ユニット1や支持部材2が膨張、収縮するが、この太陽電池ユニット1や支持部材2の膨張、収縮を太陽電池モジュール用止水テープAの粘着剤層A2が円滑に吸収し、太陽電池モジュール用止水テープAの太陽電池ユニット1に対する貼着位置がずれるようなことはなく、よって、太陽電池ユニット1への止水性を長期間に亘って確実に維持することができる。
【発明の効果】
【0074】
本発明の太陽電池モジュール用止水テープは、太陽電池ユニットを支持部材の固定溝内に挿入して固定させる際に上記太陽電池ユニットの端部とこれに対向する上記支持部材の固定溝の内面との間に介在させて用いられる止水テープであって、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートと、このエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に積層一体化されたゴム系粘着剤層とを有し、上記ゴム系粘着剤層の厚みが上記止水テープ全体の厚みの5〜30%であることを特徴とするので、太陽電池ユニットを支持部材の固定溝内に挿入、固定した状態において、太陽電池モジュール用止水テープは優れた止水性を発揮し、太陽電池ユニットの端部から雨水などの水が進入するのを確実に防止すると共に、優れた絶縁性を発揮し、屋外などでの使用時に落雷などが生じた場合にあっても太陽電池ユニットに影響が及ぶのを確実に防止することできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
(実施例1)
ブチルゴム粘着剤(古藤社製、重量平均分子量:20万)に溶剤としてトルエンを加えて混合してゴム系粘着剤溶液を作製した。
【0076】
予め一面にシリコーン処理が施されたポリエチレンテレフタレートシートのシリコーン処理面に上記ゴム系粘着剤溶液をアプリケーターを用いて塗布した後、ゴム系粘着剤溶液を110℃で5分間に亘って乾燥させて、ポリエチレンテレフタレートシートの一面に厚み0.5mmのゴム系粘着剤層が積層されてなる積層シートを得た。
【0077】
次に、厚みが3mmで且つ一面にスキン層が形成されたエーテル系ウレタン樹脂発泡シート(日本発条社製 商品名「スーパーHP」、密度:48g/cm3)のスキン層上に積層シートをそのゴム系粘着剤層がエーテル系ウレタン樹脂発泡シートに対向した状態に重ね合わせ、ゴム系粘着剤層をエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に転写して積層一体化させて、厚みが3mmのエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に厚みが0.5mmのゴム系粘着剤層が積層一体化されてなる太陽電池モジュール用止水テープを得た。
【0078】
(実施例2)
ゴム系粘着剤層の厚みを0.5mmの代わりに1mmとしたこと以外は実施例1と同様にして、厚みが3mmのエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に厚みが1mmのゴム系粘着剤層が積層一体化されてなる太陽電池モジュール用止水テープを得た。
【0079】
(実施例3)
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートとして、日本発条社製から商品名「スーパーHPU」で市販されているエーテル系ウレタン樹脂発泡シート(密度:60g/cm3、厚み:3.5mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚みが3.5mmのエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に厚みが0.5mmのゴム系粘着剤層が積層一体化されてなる太陽電池モジュール用止水テープを得た。
【0080】
(比較例1)
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートの代わりに、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−メチレンゴム)シート(住友化学社製 商品名「エスプレン」、厚み:3.3mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚みが3.3mmのEPDMシートの一面に厚みが0.5mmのゴム系粘着剤層が積層一体化されてなる太陽電池モジュール用止水テープを得た。
【0081】
(比較例2)
エーテル系ウレタン樹脂発泡シートの代わりに、厚みが3.0mmのエステル系ウレタン樹脂発泡シート(東洋クオリティワン社製 商品名「Cライト」)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚みが3.0mmのエステル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に厚みが0.5mmのゴム系粘着剤層が積層一体化されてなる太陽電池モジュール用止水テープを得た。
【0082】
(比較例3)
ポリエチレンテレフタレートシート上にゴム系粘着剤層をその厚みが0.5mmの代わりに0.1mmとなるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、厚みが3mmのエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に厚みが0.1mmのゴム系粘着剤層が積層一体化されてなる太陽電池モジュール用止水テープを得た。
【0083】
(比較例4)
ポリエチレンテレフタレートシート上にゴム系粘着剤層をその厚みが0.5mmの代わりに2mmとなるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、厚みが3mmのエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に厚みが2mmのゴム系粘着剤層が積層一体化されてなる太陽電池モジュール用止水テープを得た。
【0084】
得られた太陽電池モジュール用止水テープの初期絶縁性、高温放置後絶縁性、アルミニウム板保持力、吸水率及び耐冷熱サイクル性を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0085】
(初期絶縁性)
太陽電池モジュール用止水テープから一辺が200mmの平面正方形状の試験片を切り出した。交流電流を用いて試験片に3kVの電圧を60秒間に亘って印加し、初期絶縁性を以下の基準で評価した。同様の要領で試験片を作製し、電圧を5kVとしたこと以外は同様にして初期絶縁性を評価した。
○:絶縁性を保持していた。
×:絶縁破壊が生じていた(10mA以上の電流が流れた)
【0086】
(高温放置後絶縁性)
太陽電池モジュール用止水テープから一辺が200mmの平面正方形状の試験片を切り出した。試験片をその全体の厚みが1mmとなるように圧縮しその状態に固定した。この状態で試験片を85℃、相対湿度85%の雰囲気下に2000時間に亘って放置した。しかる後、交流電源を用いて試験片に5kVの電圧を60秒間に亘って印加し、初期絶縁性を以下の基準で評価した。
○:絶縁性を保持していた。
×:絶縁破壊が生じていた(10mA以上の電流が流れた)
【0087】
しかる後、試験片上に2kgのゴムローラを300mm/分の速度で一往復させることによって、アルミニウム板上に試験片をその一端から25mmだけ貼着させた後、23℃で24時間に亘って静置することにより試験体を作製した。
【0088】
次に、上記試験体を60℃に維持したオーブン内に入れ、試験体の試験片における長さ方向の他端に、この試験片の貼着面に対して垂直方向に負荷がかかるように100gの錘を取り付けて24時間に亘って静置した。試験片がアルミニウム板から剥離した部分の最大長さL(mm)を測定し、その結果を表1に示した。なお、試験片が落下した場合は「落下」と表記した。
【0089】
(吸水率)
得られた太陽電池モジュール用止水テープから幅が50mmで且つ長さが50mmの短冊状の試験片を切り出し、この試験片の重量W1を測定した。次に、試験片を40℃の温水中に24時間に亘って浸漬し、浸漬後の試験片の重量W2を測定し、下記式に基づいて吸水率を算出した。
吸水率(%)=100×(W2−W1)/W1
【0090】
(耐冷熱サイクル性後の止水性)
太陽電池モジュール用止水テープから正方形の枠状の試験片を切り出した。なお、試験片の外形寸法は80mm、内径寸法は50mm、幅は25mmに形成されていた。
【0091】
次に、アクリル樹脂板とアルミニウム板を用意した。アクリル樹脂板とアルミニウム板は共に一辺が100mmで且つ厚みが5mmの平面正方形状に形成されていた。そして、アクリル樹脂板とアルミニウム板とをこれらの対向面間に試験片が介在した状態にして重ね合わせた。なお、試験片の粘着剤層がアクリル樹脂板の中央部に貼着した状態とした。
【0092】
そして、アクリル樹脂板とアルミニウム板とを互いに接近させて試験片をその発泡シートの厚みが元の厚みの40%となるまで厚み方向に圧縮させて試験体を形成した。
【0093】
しかる後、冷熱サイクル試験機(ESTEC社製)を用いて、試験体を−20℃にて2時間に亘って冷却した後、80℃にて2時間に亘って加熱した。この試験体の冷却・加熱工程を1サイクルとして30サイクル繰返し行った。
【0094】
30サイクルの後、試験体をそのアクリル樹脂板及びアルミニウム板が水平状態となるようにして40℃の水中に上方側の板が深さ20cmとなる位置まで浸漬し、この状態で24時間放置した。次に、試験体を取り出し、アクリル樹脂板を透して試験片の中央に形成した貫通孔内に水の進入があるか否かを目視観察し、水が進入していた場合を「×」、水が進入していなかった場合を「○」として評価した。
【0095】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の太陽電池モジュール用止水テープを示した縦断面図である。
【図2】本発明の太陽電池モジュール用止水テープの使用状態を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 太陽電池ユニット
1a 外周縁部
2 支持部材
21 固定溝
A 太陽電池モジュール用止水テープ
A1 エーテル系ウレタン樹脂発泡シート
A2 ゴム系粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池ユニットを支持部材の固定溝内に挿入して固定させる際に上記太陽電池ユニットの端部とこれに対向する上記支持部材の固定溝の内面との間に介在させて用いられる止水テープであって、エーテル系ウレタン樹脂発泡シートと、このエーテル系ウレタン樹脂発泡シートの一面に積層一体化されたゴム系粘着剤層とを有し、上記ゴム系粘着剤層の厚みが上記止水テープ全体の厚みの5〜30%であることを特徴とする太陽電池モジュール用止水テープ。
【請求項2】
ゴム系粘着剤層がブチルゴム粘着剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用止水テープ

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−67695(P2010−67695A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230970(P2008−230970)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】