説明

安否確認システムで使用される携帯端末装置及びサーバ装置

【課題】専用の携帯端末を用意することなく、高齢者や子供などの情報機器の取り扱いに不慣れな監視対象者の安否情報を確実に送信又は収集することを可能にする。
【解決手段】携帯端末MS1〜MSnにおいて筐体の開操作を検出し、その検出情報を端末の状態変化を表す他の情報と共にログデータに含めてログサーバSVへ通知する。ログサーバSVでは、上記携帯端末MS1〜MSnから送られるログデータを受信してログデータベースに記憶し、この記憶されたログデータと端末状態テーブルとをもとに端末の状態変化を表すグラフ情報を作成して、このグラフ情報を利用者の安否の状況を表す情報としてセンタ端末TMに表示するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば高齢者や子供などの監視対象者の安否を遠隔的に確認する安否確認システムで使用される携帯端末装置及びサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者を遠隔監視するシステムとしては、例えば次のようなシステムが知られている。すなわち、高齢者の部屋又は住居にカメラ等のセンサを設置し、このセンサにより得られた検出データを通信ネットワークを介してサーバに送信し蓄積する。そしてサーバが、上記検出データをもとに高齢者の在室状況を判定して、その判定結果を上記高齢者の家族が所持する携帯端末にメールにより通知する。このようなシステムであれば、家族はいつでもまたどこにいても高齢者の在室状況を把握することができる(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0003】
【非特許文献1】松下電工「みまもりネット」http://www.mewloc.co.jp/mimamori/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来のシステムでは、家族は監視対象の高齢者の在室状況については確認できるものの、高齢者の外出中の状況については確認することができない。そこで、高齢者に携帯端末を持たせ、この携帯端末を利用して高齢者の安否確認を行う福祉系サービスシステムが提案されている。
【0005】
しかしながらこの種のシステムは、高齢者に対し定期的に、通話のための発着信操作やメールの送信操作と云った通信操作を要求するものであるため、情報機器の取り扱いに不慣れな高齢者にとっては敷居が高く、一部の高齢者にしか適用できないという問題点がある。
【0006】
また、操作を簡略化した高齢者や子供向けの携帯端末も開発されている。しかしこの種の端末においても、監視対象者の明確な意思に基づく通信操作が依然として必要であり、また専用の携帯端末を開発しなければならないため、サービス提供側又は利用者側の費用負担が大きくなると云う問題点がある。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、専用の携帯端末を用意することなく、高齢者や子供などの情報機器の取り扱いに不慣れな監視対象者の安否情報を確実に送信又は収集することを可能にした、安否確認システムで使用される携帯端末装置及びサーバ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、待ち受けモードとして、表示器の表示動作が停止された第1のモードと、前記表示器の表示動作が活性化された第2のモードとを有する携帯端末装置において、上記待ち受けモードが上記第1のモードから上記第2のモードに変化したことを検出し、この第1のモードから第2のモードへの変化が検出された場合に、その検出情報を当該携帯端末装置の利用者の安否の状況を表す一つの要素情報として送信するように構成したものである。
【0009】
したがって、利用者が通信を目的とする明確な操作を行わなくても、目的を持たない無意味な操作を行うだけで、この操作が待ち受けモードの変化として検出されてその検出情報が利用者の安否の状況を表す一つの要素情報として送信される。すなわち、今までまったく着目されていなかった携帯端末装置における無意味な操作が、利用者の安否を確認する一つの要素情報として使用されることになる。このため、高齢者や子供等の情報機器の取り扱いに不慣れな監視対象者であっても、当該監視対象者の安否の状況を表す情報を送信することが可能となる。また、高齢者や子供専用の携帯端末装置を用意する必要がなくなるので、サービス提供側又は利用者側の費用負担も軽減される。
【0010】
この発明は、さらに次のような各種構成を備えることも特徴とする。
第1の構成は、複数の筐体を形態変化が可能な状態に接続した構造を備える場合に、上記複数の筐体の形態変化を第1のモードから前記第2のモードへの変化として検出するものである。
このような構成であるから、例えば折り畳み型の携帯端末やスライド型の携帯端末において、筐体の開操作等の形態変化が第1のモードから前記第2のモードへの変化として検出され、これが利用者の安否を確認する一つの要素情報として送信される。
【0011】
第2の構成は、利用者の安否を管理するサーバ装置に対し定期的又は任意のタイミングで問い合わせ要求を送信して、この問い合わせ要求に対し上記サーバ装置から配信されるメッセージ情報を受信する。そして、メッセージ情報が受信された場合に、上記第1のモードを第2のモードに変化させる利用者の操作を誘導するための報知動作を行うものである。
このような構成であるから、上記メッセージ情報の報知に対し利用者は携帯端末装置を何らかのかたちで操作することになり、この操作が第1のモードから第2のモードへの変化として検出されて送信される。このため、無意味な操作を行わない利用者についても、当該利用者の安否の状況を表す要素情報を送信することが可能となる。
【0012】
一方、この発明の第2の観点は、上記第1の観点で述べた構成を備える携帯端末装置に対し通信回線を介して接続可能なサーバ装置において、携帯端末装置から送信された検出情報を受信し、この受信された検出情報を送信元の携帯端末装置の利用者を識別する情報に対応付けて記憶する。そして、上記第1の記憶手段から検出情報を読み出し、この読み出された検出情報をもとに該当する利用者の安否の状況を表す情報を生成して表示するものである。
【0013】
したがって、サーバ装置では、携帯端末装置から送られる、待ち受けモードが第1のモードから第2のモードに変化したことを表す検出情報が、利用者の安否の状況を表す一つの要素情報として利用されて、利用者の安否の状況を表す情報が生成され表示される。このため、携帯端末装置における利用者の目的を持たない無意味な操作をもとに、当該利用者の安否を確認することが可能となる。したがって、高齢者や子供等の情報機器の取り扱いに不慣れな監視対象者についても、その安否を遠隔監視することが可能となる。
【0014】
この発明はさらに、次のような各種構成を備えることも特徴とする。
第1の構成は、携帯端末装置が待ち受けモード以外に複数種類の動作モードを有し、この複数種類の動作モードの変化を表す情報を送信する手段をさらに備える場合に、上記複数種類の動作モードの変化及び上記待ち受けモードにおける第1のモードから第2のモードへの変化にそれぞれ対応付けて、当該各変化が利用者の安否判断に及ぼす影響度を表す重み情報を第2の記憶手段に予め記憶しておき、携帯端末装置から受信した検出情報に対応する重み情報を上記第2の記憶手段から読み出して、この重み情報を利用者の安否の状況を表す情報に含めて表示させるものである。
このように構成すると、携帯端末装置における各種動作モードの変化をもとに利用者の安否の状況を表す情報を生成して表示する際に、待ち受けモードの変化(第1のモードから第2のモードへの変化)を含む各種動作モードの変化の重要度を表す重み情報が共に表示されるので、監視者は利用者の安否に止まらず安否の程度を的確に把握することが可能となる。
【0015】
第2の構成は、携帯端末装置の待ち受けモードを第1のモードから第2のモードに変化させるための利用者の操作を誘導するメッセージ情報を生成し、この生成されたメッセージ情報を携帯端末装置へ送信するものである。
このような構成であるから、携帯端末装置において利用者が何らかの操作を行うように誘導することが可能となり、これにより利用者が目的を持たない無意味な操作さえも行わない携帯端末装置からも、当該利用者の安否の状況を表す要素情報を取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
要するにこの発明によれば、携帯端末装置における目的を持たない無意味な操作を利用者の安否確認に使用するようにしたことによって、専用の携帯端末を用意することなく、高齢者や子供などの情報機器の取り扱いに不慣れな監視対象者の安否情報を確実に送信又は収集することを可能にした、安否確認システムで使用される携帯端末装置及びサーバ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
図1は、この発明に係わる安否確認システムの一実施形態を示す概略構成図である。
本実施形態のシステムは、安否確認センタにサーバ(ログサーバ)SV及びセンタ端末TMを設置すると共に、安否確認の対象となる複数の利用者にはそれぞれ携帯端末MS1〜MSnを所持させ、これらの携帯端末MS1〜MSnを通信ネットワークNWを介して上記ログサーバSVに接続可能としたものである。
【0018】
先ず携帯端末MS1〜MSnは次のように構成される。図2はその機能構成を示すブロック図である。
すなわち、携帯端末MS1〜MSnは、例えば上部筐体と下部筐体とをヒンジ部を介して開閉可能に接続した折り畳み型の携帯電話機からなり、アンテナ11を有する無線ユニット12と、信号処理ユニット13と、音声処理ユニット14とを備える。無線ユニット12は、通信ネットワークNWから送られた無線信号を受信し復調することにより受信パケットを再生し、この受信パケットを信号処理ユニット13へ出力する。
【0019】
信号処理ユニット13は、上記無線ユニット12から出力された受信パケットをデパケットしたのち、誤り訂正及びデータ伸長のための復号処理を行う。そして、復号処理後のデータが音声データであれば音声処理ユニット14へ出力し、一方画像データ又はテキストデータであれば制御ユニット17へ出力する。音声処理ユニット14は、上記信号処理ユニット13から出力された音声データをアナログ信号に変換してスピーカ15から音声として出力させる。
【0020】
制御ユニット17は、上記信号処理ユニット13から出力された画像データ及びテキストデータを記憶ユニット21に記憶させる。そして、入力デバイス18において利用者が表示操作を行った場合に、上記記憶ユニット21から該当する画像データ及びテキストデータを読み出して表示デバイス19に表示させる。また制御ユニット17は、上記入力デバイス18において利用者がメールの作成操作を行った場合に電子メールを作成し、送信操作に応じて上記作成された電子メールを信号処理ユニット13へ出力する。さらに、テレビジョン電話モードが設定されている場合には、図示しないカメラにより撮像された画像データを上記信号処理ユニット13へ出力する。
【0021】
上記音声処理ユニット14は、マイクロホン16から出力された音声信号をディジタル信号に変換して音声データを生成する。信号処理ユニット13は、上記音声データを符号化する。また信号処理ユニット13は、制御ユニット17から電子メール等のテキストデータ及び画像データが供給された場合にもこれらを符号化する。そして、これらの符号化データをパケット化する。無線ユニット12は、上記信号処理ユニット13から出力された送信パケットにより無線信号を変調し、この変調された無線信号をアンテナ11から送信する。
なお、図中22は電源回路であり、電池23の出力をもとに動作電圧Vccを生成して上記各ユニットに給電する。また、充電回路24は上記電池23を充電するために用いられる。
【0022】
ところで、上記制御ユニット17は例えばマイクロコンピュータからなり、この発明に係わる制御機能として、開閉状態検出機能17aと、ログデータ生成機能17bと、ログデータ送信制御機能17cとを備えている。これらの機能はいずれも、アプリケーション・プログラムを中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)に実行させることにより実現される。
【0023】
制御ユニット17は、待ち受けモードとして、第1のモードと、第2のモードとを有している。上記第1のモードは、通信機能をはじめ携帯端末が備える種々の機能に対応するアプリケーション・プログラムが実行を休止させるバッテリセーブモードであり、表示デバイス19の表示動作も停止させる。これに対し第2のモードは、上記種々機能のアプリケーション・プログラムを実行させるイベントが発生した時点で起動される初期動作モードであり、表示デバイス19の表示動作を活性化させる。
【0024】
開閉状態検出機能17aは、例えばヒンジ部に設けられた開閉センサ20から出力される検出信号を監視することにより、筐体が開状態に変化したか閉状態に変化したかを検出する。制御ユニット17は、待ち受けモードにおいて筐体が閉状態のときには第1のモードに設定し、閉状態から開状態に変化した場合に第2のモードに設定する。
【0025】
ログデータ生成機能17bは、上記開閉状態検出機能17aにより筐体が閉状態から開状態に変化したことが検出された場合に、この検出情報を端末状態の変化を表すログデータに含める。なお、端末状態の変化の種類としては複数種類が予め定義されており、ログデータ生成機能17bは上記定義された複数種の端末状態変化が検出された場合に、その検出情報をログデータに含める処理を行う。
【0026】
ログデータ送信制御機能17cは、後述するログサーバSVが管理している端末状態との整合性をとるため、つまりサーバ同期をとるためにログサーバSVに対し定期的に問い合わせを行う。そして、この問い合わせをトリガとしてログサーバSVから告知メッセージが送られた場合に、その旨を報知して利用者による筐体の開操作を誘導する。また、上記ログサーバSVに対するアクセスをトリガとして、上記ログデータ生成機能17bにより生成されたログデータをログサーバSVへ送信する処理を行う。さらに、上記開閉状態検出機能17aにより筐体の閉状態から開状態への変化が検出されたときにも、上記ログサーバSVに対するアクセスと、このアクセスをトリガとする告知メッセージの受信及びログデータの送信処理を実行する。
【0027】
一方、ログサーバSVは例えばWebサーバからなり、記憶部として、利用者の属性情報を記憶する利用者データベースと、ログデータを記憶するためのログデータベースと、告知メッセージを記憶するメッセージデータベースとを備える。さらに、制御機能として、告知メッセージの配信制御機能と、ログデータの収集制御機能と、ログデータの編集制御機能とを備える。なお、これらの制御機能はいずれもアプリケーション・プログラムを中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)に実行させることにより実現される。
【0028】
告知メッセージの配信制御機能は、センタ端末TMにより作成された告知メッセージをセンタ端末TMから通信ネットワークNWを介して受信して上記メッセージデータベースに更新記憶させる。またそれと共に、携帯端末MS1〜MSnからのアクセスに応じ、配信対象の告知メッセージを上記メッセージデータベースから読み出して当該携帯端末MS1〜MSnへ配信する。なお、上記告知メッセージの配信タイミングは、上記携帯端末MS1〜MSnからのアクセスタイミングに限らず、センタ端末TMにおいて任意に設定することも可能である。
【0029】
ログデータの収集制御機能は、上記アクセスをトリガとして携帯端末MS1〜MSnからアップロードされるログデータを通信部を介して受信し、この受信されたログデータを送信元の携帯端末MS1〜MSnに対応する利用者識別情報(利用者ID)に対応付けて上記ログデータベースに記憶させる。
【0030】
ログデータ編集制御機能は、上記ログデータベースに記憶されたログデータと、予め記憶してある端末状態テーブルとをもとに、利用者別の端末状態の変化を表すグラフ情報を作成する。そして、センタ端末TMからの表示要求に応じて、上記作成された端末状態の変化を表すグラフ情報を、利用者の安否の状況を確認するための情報として要求元のセンタ端末TMへ送信する処理を実行する。端末状態テーブルは、予め定義された複数種の端末状態の変化に対応付けて、当該変化が安否の判断に及ぼす影響度を表す重みと、意味と、表示色を記憶したものである。図5にその一例を示す。
【0031】
センタ端末TMは、例えばパーソナル・コンピュータからなり、上記ログサーバSVとの間で通信ネットワークNWを介して通信を行う機能と、告知メッセージを作成して上記ログサーバSVから携帯端末MS1〜MSnに対し配信させる機能と、上記ログサーバSVから安否確認用のグラフ情報をダウンロードして表示する閲覧表示機能とを備える。
【0032】
なお、通信ネットワークNWは、例えばインターネットに代表されるIP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするための複数のアクセス網とから構成される。アクセス網としては、例えばDSL(Digital Subscriber Line)や光伝送路を使用する有線加入者網、LAN、無線LAN(Local Area Network)、移動通信網、専用線網が用いられる。
【0033】
次に、以上のように構成された安否確認システムの動作を説明する。
なお、ここでは携帯端末MS1の利用者の安否をセンタが遠隔監視する場合を例にとって説明する。図3は携帯端末MS1〜MSnによる制御手順と制御内容を示すフローチャート、図4はログサーバSVによる制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
【0034】
待ち受け状態において、携帯端末MS1は第1のモード、つまり通信機能をはじめ携帯端末が備える種々の機能のアプリケーション・プログラムが実行を休止したバッテリセーブ状態になっている。この状態では、バックライトの点灯を含む表示デバイス19における表示動作は停止している。
【0035】
この第1のモードによる待ち受け状態において携帯端末MS1の制御ユニット17は、図3に示すようにステップS31、ステップS32及びステップS33においてそれぞれ、筐体の開操作、問い合わせタイミングの到来、その他の正規操作を監視している。そして、所定の周期に設定された定期問い合わせのタイミングになると、制御ユニット17はステップS34に移行し、ログサーバSVに対しアクセスして告知メッセージの問い合わせ要求を送信する。なお、上記定期問い合わせの周期は例えば10分に設定される。この周期を短くすればするほど後述するログデータの送信頻度を高めて定期的な安否確認の周期を短くできる。これに対し周期を長くすると、定期的な安否確認の周期は長くなるが、端末の消費電力を低減して電池23の寿命を延ばすことができる。
【0036】
一方ログサーバSVは、待ち受け状態において図4に示すようにステップS51により携帯端末MS1〜MSnからの問い合わせ要求の到来を監視している。この状態で、携帯端末MS1から上記問い合わせ要求が到来すると、ログサーバSVはステップS52に移行して端末認証を行う。この端末認証は、問い合わせ元の携帯端末MS1から送られる端末又は利用者のID情報を、利用者データベースに予め登録されているID情報と照合することにより行われる。
【0037】
上記認証の結果、携帯端末MS1の正当性が確認されると、ログサーバSVは次にステップS53によりメッセージデータベースのチェックを行う。そして、新たな告知メッセージが記憶されているなど、メッセージデータベースの記憶内容が更新されていると、ステップS54からステップS56に移行して上記更新後の新たな告知メッセージを要求元の携帯端末MS1に向け送信する。なお、告知メッセージとしては、例えば天気予報やニュース、お買い得情報、行政からのお知らせ等が考えられる。また告知メッセージは、テキストデータ、音声データ、画像データを任意に組み合わせることで構成される。一方、メッセージデータベースの記憶内容が更新されていなければ、上記ステップS54からステップS55に移行して、更新されていない旨のメッセージを要求元の携帯端末MS1に向け送信する。
【0038】
上記問い合わせ処理後において携帯端末MS1の制御ユニット17は、ステップS35において告知メッセージの到来を監視する。そして、告知メッセージが到来すると、この告知メッセージを受信して記憶ユニット21に格納したのち、ステップS36において告知メッセージが受信されたことを利用者に知らせるための報知処理を行う。この報知処理では、積極的に筐体を開く操作を利用者に行わせるような報知が行われる。例えば、通常の着信報知とは異なるメロディ音や音声メッセージをスピーカ15から出力するか、又は通常の着信報知とは異なる周期でバイブレータ(図示せず)を間欠的に駆動する。
【0039】
また、上記ログサーバSVへの問い合わせが行われた状態で、制御ユニット17は利用者による緊急操作の有無をステップS37で監視する。そして、緊急操作が行われなければそのままステップS39に移行し、現時点での端末の状態変化を表す情報を取得して、この情報を含めたログデータを生成する。そして、制御ユニット17はステップS40により、上記生成されたログデータをログサーバSVに向け送信する。
【0040】
これに対し、利用者が入力デバイス18を操作して緊急連絡用のメニュー画面を表示させ、この状態で「警察」、「救急」、「センタ」に対応する数字ボタンのいずれかを押下したとする。例えば、「救急」に対応する「9」を押下したとする。そうすると、制御ユニット17はステップS37からステップS38に移行し、ここで表示デバイス19における表示データを、例えば図6に示すように「救急に手配中です」に更新する。そして、ステップS39により救急の手配を依頼する情報を上記ログデータに追加し、このログデータをステップS40によりログサーバSVに向け送信する。そして、この送信終了後に第1のモードによる待ち受け状態に復帰する。
【0041】
ところで、上記告知メッセージの受信報知に応じて、受信された告知メッセージを確認するべく利用者が筐体を開くか、或いは第1のモードによる待ち受け状態において特に目的を持たずに利用者が筐体を開いたとする。そうすると制御ユニット17は、筐体が開いたことを開閉センサ20の検出信号をもとに上記ステップS31で検出する。そして、筐体の開閉ごとに検出情報をログサーバSVに通知するモードが設定されているか否かをステップS41において判定する。
【0042】
この判定の結果、いま筐体の開閉ごとに検出情報を通知するモードが設定されていたとすると、制御ユニット17はステップS41から上記ステップS34に移行して問い合わせ処理を実行する。そして、先に述べた告知メッセージの受信確認、告知メッセージが受信された場合の受信報知、緊急操作の有無の確認、緊急操作された場合の表示更新処理をそれぞれ行ったのち、ステップS39により現時点での端末の状態変化を表す情報を取得し、この情報を含めたログデータを生成する。したがって、いま上記したように筐体が開状態になっていれば、この開状態に変化したことを表す検出情報が利用者の安否の状況を表す一つの要素情報としてログデータに挿入される。そして、制御ユニット17はステップS40により、上記生成されたログデータをログサーバSVに向け送信する。
【0043】
これに対し、筐体の開閉ごとに検出情報を通知しないモードが設定されていたとすると、制御ユニット17はステップS41からステップS42に移行して、ここで現時点での端末の状態変化を表す情報を取得し、この情報を含めたログデータを生成する。したがって、この場合にも上記筐体が開状態に変化したことを表す検出情報が利用者の安否の状況を表す一つの要素情報としてログデータに含められる。なお、このとき制御ユニット17は上記生成されたログデータを制御ユニット17内のメモリに保存する。
【0044】
また制御ユニット17は、ステップS43で入力デバイス18におけるボタン操作を監視しながらステップS47で筐体の閉操作を監視しており、ボタン操作が行われずに筐体が閉じられれば、そのまま第1のモードによる待ち受け状態に復帰する。これに対し何らかのボタン操作が行われると、ステップS45で操作内容を識別する。この識別の結果、操作内容が緊急操作だったとすると、ステップS46に移行して表示デバイス19における表示データを例えば図6に示すように「救急に手配中です」に更新する。
【0045】
制御ユニット17は続いてステップS34に移行し、問い合わせ処理を実行する。そして、先に述べた告知メッセージの受信確認、告知メッセージが受信された場合の受信報知、緊急操作の有無の確認、緊急操作された場合の表示更新処理をそれぞれ行ったのち、ステップS39により現時点での端末の状態変化を表す情報を取得する。このとき、内部メモリにまだログサーバSVに通知していないログデータが保存されていれば、制御ユニット17はこのログデータを読み出してその内容を含む新たなログデータを生成する。したがって、この場合にも筐体が開状態になったことを表す検出情報を含むログデータが生成され、ログサーバSVに向け送信される。
【0046】
すなわち、筐体の開閉ごとに検出情報を通知するモードが設定されている場合には、筐体の開閉状態の変化を表す検出情報が即時ログサーバSVに通知される。一方、筐体の開閉ごとに検出情報を通知しないモードが設定されている場合には、筐体の開閉状態の変化を表す検出情報は一旦内部メモリに保存され、次の定期問い合わせタイミングのとき或いはその他の目的を持った操作が行われたときに、読み出されたログサーバSVへ通知される。
【0047】
一方、携帯端末MS1からログデータが送信されるとログサーバSVは、図4に示すようにステップS57からステップS58に移行してここでログデータを受信し、受信したログデータをログデータベースに格納する。そして、ステップS61においてログデータの編集処理を含む管理データの更新処理を次のように実行する。
【0048】
すなわち、ログデータベースに記憶されたログデータと、予め記憶されている端末状態テーブルとをもとに、利用者別の端末状態の変化を表すグラフ情報を作成する。例えば、いま携帯端末MS1から救急通知及び筐体を開いたことを表す検出情報等を含むログデータが到来し、端末状態テーブルに図5に示すような端末状態の変化の種類とその重み、及び表示色が定義されているものとすると、図8に示すように端末の状態変化をその種類又はそのグループ別に表示色を異ならせ、さらに種類又はそのグループに応じて重み付けした棒グラフを午前と午後に分けて表示したグラフ情報を作成する。
【0049】
そして、センタ端末TMからの表示要求に応じて、上記作成されたグラフ情報を、利用者の安否の状況を確認するための情報として要求元のセンタ端末TMへ送信する。したがって、センタ端末TMでは、オペレータが上記グラフ情報により利用者の安否の状況を日ごとに午前と午後に分けて確認することが可能となる。また、端末状態の変化の重要度を表す重み、つまり棒グラフの長さから、利用者の安否の状況のレベルを把握することができる。
【0050】
またログサーバSVは、上記受信されたログデータに携帯端末MS1からの緊急通知が含まれていると、ステップS59からステップS60に移行してその緊急内容を表す情報をセンタ端末TMに通知する。この結果センタ端末TMでは、先に述べた利用者別の端末状態の変化グラフ上における該当する利用者の、上記通知された緊急内容に対応するインジケータが点灯又は点滅する。図8中のXはその表示例を示している。この状態で、オペレータが上記点灯又は点滅しているインジケータをクリックすると、例えば図7に示すように該当する利用者に関する緊急通知ウィンドウが表示される。したがって、オペレータは上記端末状態の変化グラフにより利用者の安否を確認しながら、緊急通知が発生するとその時点で緊急の内容を認識して迅速に適切な対応を指示することが可能となる。
【0051】
以上述べたようにこの実施形態では、携帯端末MS1〜MSnにおいて筐体の開操作を検出し、その検出情報を端末の状態変化を表す他の情報と共にログデータに含めてログサーバSVへ通知する。ログサーバSVでは、上記携帯端末MS1〜MSnから送られるログデータを受信してログデータベースに記憶し、この記憶されたログデータと端末状態テーブルとをもとに端末の状態変化を表すグラフ情報を作成して、このグラフ情報を利用者の安否の状況を表す情報としてセンタ端末TMに表示するようにしている。
【0052】
したがって、従来ではまったく着目されていなかった筐体の開操作を当該利用者の安否を確認する一つの要素情報として利用することができ、これにより高齢者や子供等の情報機器の取り扱いに不慣れな利用者であっても、当該利用者の安否の状況を確認することが可能となる。また、高齢者や子供専用の携帯端末を用意する必要がなくなるので、サービス提供側又は利用者側の費用負担も軽減される。
【0053】
また、携帯端末MS1〜MSnからの定期問い合わせに対しログサーバSVから携帯端末MS1〜MSnに告知メッセージを配信して、この告知メッセージの配信を利用者に報知するようにしている。このため、利用者による筐体の開操作を誘導することができ、これにより自主的な開操作をそれほど行わない利用者についても、当該利用者の安否の状況を表す要素情報を収集することができる。
【0054】
さらに、ログサーバSVにおいて、上記筐体の開閉操作を含む複数種の端末状態変化に対応付けて、安否を判断する上での重要度を表す重みと表示色をそれぞれ定義して端末状態テーブルに記憶しておき、ログデータと上記端末状態テーブルをもとに端末の状態変化の有無とその重要性をグラフ化してセンタ端末PCに表示するようにしている。このため、利用者の安否に止まらず安否の程度を的確に把握することが可能となる。
【0055】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、待ち受け状態において表示器の表示動作が停止された第1のモードから表示器の表示動作が活性化された第2のモードへの変化を検出する手段として、筐体の閉状態から開状態への変化を検出する手段を用いた。しかし、それに限定されるものではなく、携帯端末のタイプが筐体をスライドさせる場合には、筐体のスライド操作を検出する手段を用いてもよい。また、筐体の形態変化に限らず、入力デバイスにおける任意のボタンの押下や、端末に加えられる振動や衝撃に応じて、待ち受け状態が第1のモードから第2のモードに変化するように構成されている場合には、上記ボタンの押下や、振動や衝撃を検出する手段を用いてもよい。
【0056】
また前記実施形態では、筐体の開操作が行われるごとにその検出情報を含むログデータをログサーバSVへ送信するモードと、筐体の開操作が行われたときにその検出情報を保存しておき、定期問い合わせのとき又はその他の正規の操作が行われたときに、上記保存された検出情報をログデータに含めて送信するモードの両方を備えたが、これらのモードのいずれか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0057】
さらに前記実施形態では、ログサーバSVにおいて、端末状態の変化を表すグラフ情報を作成する際に、日にちごとに午前と午後に分けて端末状態の変化をグラフ化した。しかし、例えば図9のYに示すように、一日のうちの監視対象時間帯を時間或いは分単位に分けて端末状態の変化をグラフ化するようにしてもよい。このようにすると、さらに時間軸においてさらに精密に安否確認を行うことが可能となる。
【0058】
その他、携帯端末装置の種類やその構成、サーバ装置の機能、携帯端末装置及びサーバ装置による制御手順と制御内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明に係わる安否確認システムの概略構成図。
【図2】図1に示した安否確認システムで使用される携帯端末の機能構成を示すブロック図。
【図3】図2に示した携帯端末による制御手順と制御内容を示すフローチャート。
【図4】図1に示した安否確認システムで使用されるログサーバによる制御手順と制御内容を示すフローチャート。
【図5】ログサーバで端末状態の変化を表すグラフ情報を作成するために使用される端末状態テーブルの一例を示す図。
【図6】携帯端末に表示される緊急操作画面の一例を示す図。
【図7】センタ端末に表示される救急通知画面の一例を示す図。
【図8】ログサーバで作成される端末状態の変化を表すグラフ情報の一例を示す図。
【図9】ログサーバで作成される端末状態の変化を表すグラフ情報の他の例を示す図。
【符号の説明】
【0060】
SV…ログサーバ、MS1〜MSn…携帯端末、TM…センタ端末、NW…通信ネットワーク、11…アンテナ、12…無線ユニット、13…信号処理ユニット、14…音声処理ユニット、15…スピーカ、16…マイクロホン、17…制御ユニット、17a…開閉状態検出機能、17b…ログデータ生成機能、17c…ログデータ送信制御機能、18…入力デバイス、19…表示デバイス、20…開閉センサ、21…記憶ユニット、22…電源回路、23…バッテリ、24…充電回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
待ち受けモードとして、表示器の表示動作が停止された第1のモードと、前記表示器の表示動作が活性化された第2のモードとを有する携帯端末装置において、
前記待ち受けモードが前記第1のモードから前記第2のモードに変化したことを検出するモード変化検出手段と、
前記モード変化検出手段により前記第1のモードから前記第2のモードへの変化が検出された場合に、その検出情報を前記携帯端末装置の利用者の安否の状況を表す一つの要素情報として送信する送信手段と
を具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
複数の筐体を形態変化が可能な状態に接続した構造と、
前記複数の筐体の形態変化に応じて、前記待ち受けモードを前記第1のモードから第2のモードに変化させる手段と
を、さらに具備し、
かつ前記モード変化検出手段は、前記複数の筐体の形態変化を、前記第1のモードから前記第2のモードへの変化として検出することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
利用者の安否を管理するサーバ装置に対し、定期的又は任意のタイミングで問い合わせ要求を送信する手段と、
前記問い合わせ要求に対し前記サーバ装置から配信されるメッセージ情報を受信する手段と、
前記メッセージ情報が受信された場合に、前記第1のモードを第2のモードに変化させる利用者操作を誘導するための報知動作を行う手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記請求項1記載の携帯端末装置に対し通信回線を介して接続可能なサーバ装置であって、
前記携帯端末装置から送信された検出情報を受信し、この受信された検出情報を送信元の携帯端末装置の利用者を識別する情報に対応付けて記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段から検出情報を読み出し、この読み出された検出情報をもとに該当する利用者の安否の状況を表す情報を生成して表示する表示手段と
を具備することを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
前記携帯端末装置が、前記待ち受けモード以外に複数種類の動作モードを有し、この複数種類の動作モードの変化を表す情報を送信する手段をさらに備える場合に、
前記表示手段は、
前記複数種類の動作モードの変化及び前記待ち受けモードにおける第1のモードから第2のモードへの変化にそれぞれ対応付けて、当該各変化が利用者の安否判断に及ぼす影響度を表す重み情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段から読み出された検出情報に対応する重み情報を前記第2の記憶手段から読み出し、この重み情報を利用者の安否の状況を表す情報に含めて表示させる手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項4記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記携帯端末装置の待ち受けモードを第1のモードから第2のモードに変化させるための利用者の操作を誘導するメッセージ情報を生成する手段と、
前記生成されたメッセージ情報を前記携帯端末装置へ送信する手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項4記載のサーバ装置。
【請求項7】
待ち受けモードとして、表示器の表示動作が停止された第1のモードと、前記表示器の表示動作が活性化された第2のモードとを有し、かつ通信部及びコンピュータを備えた携帯端末装置で使用されるプログラムであって、
前記待ち受けモードが前記第1のモードから前記第2のモードに変化したことを検出する処理と、
前記第1のモードから前記第2のモードへの変化が検出された場合に、その検出情報を前記利用者の安否の状況を表す一つの要素情報として前記送信部から送信させる処理と
を、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記請求項1記載の携帯端末装置に対し通信回線を介して接続される通信部と、情報を記憶する記憶部と、表示部と、コンピュータとを備えたサーバ装置で使用されるプログラムあって、
前記携帯端末装置から送信された検出情報を前記通信部に受信させる処理と、
前記通信部により受信された検出情報を送信元の携帯端末装置の利用者を識別する情報に対応付けて前記記憶部に記憶させる処理と、
前記記憶部から検出情報を読み出し、この読み出された検出情報をもとに該当する利用者の安否の状況を表す情報を生成する処理と、
前記生成された利用者の安否の状況を表す情報を前記表示部に表示させる処理と
を、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−282111(P2007−282111A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108974(P2006−108974)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】