説明

安定な模様付き多相パーソナルケア組成物

第1の視覚的に区別可能な構造化相及び第2の視覚的に区別可能な構造化相を含む多相パーソナルケア組成物を記載する。第1の視覚的に区別可能な構造化相は、洗浄相の約2重量%〜約23.5重量%の界面活性剤構成成分を包含する洗浄相を含む。好ましくは界面活性剤構成成分は、少なくとも1つの分枝状アニオン性界面活性剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの分枝状アニオン性界面活性剤を好ましくは含む、構造化多相パーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア組成物は周知であり、広く使用されている。望ましいパーソナルケア組成物は、幾つかの基準を満たさなければならない。例えば、消費者に受け入れられるためには、パーソナルケア組成物は、良好な洗浄特性を示さなければならず、良好な発泡の特徴を示さなければならず、皮膚に低刺激性でなくてはならず(乾燥又は炎症を起こさない)、好ましくはコンディショニング効果を皮膚に提供することさえ必要である。多相パーソナル洗浄組成物は、こうした利益を提供し、構造化界面活性剤相と、保湿のための有益相との組み合わせにより製造され得る。これらの種類の多相組成物は、視覚的に区別することさえ可能である。
【0003】
低刺激性及び安定な、視覚的に区別可能な組成物を消費者にとって妥当な価格で製造することが望まれている。費用効率が高い低刺激性組成物を製造する1つの方法は、界面活性剤濃度を最小化することである。低刺激性組成物を製造する別の方法は、疎水性の有益相を加えることである。非常に低刺激性のパーソナルケア組成物が、界面活性剤の低濃度と疎水性有益相の存在との組み合わせにより調製され得る。しかしながら、界面活性剤濃度を最小化することは、界面活性剤相の不安定性を生じる可能性があり、これは疎水性有益剤を加えることにより更に悪化し、構造を失うことにつながる可能性がある。その上、パーソナルケア組成物の発泡体積は、より少ない界面活性剤と疎水性構成成分の存在との組み合わせにより低減される。したがって、疎水性有益相存在下で界面活性剤の低濃度を有する、低刺激性で安定な高発泡性パーソナル洗浄組成物を作り出すことは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、組成物中に存在する低濃度の界面活性剤と共に、延長した発泡寿命及び改善した発泡の特徴、並びに皮膚の利益、例えば改善した臨床治療の乾燥肌、絹のような肌触り、改善した柔らかい肌触り、並びに改善した滑らかな肌触りを提供する、構造化多相パーソナルケア組成物への要求がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、洗浄相を含む第1の視覚的に区別可能な構造化相及び第2の視覚的に区別可能な相を含む、構造化多相パーソナルケア組成物である。洗浄相は、洗浄相の約2〜約23.5重量%の界面活性剤構成成分を含む。好ましくは、界面活性剤構成成分は、少なくとも1つの分枝状アニオン性界面活性剤を含む。好ましくは、分枝状アニオン性界面活性剤は、モノメチル分枝状界面活性剤を含む。
【0006】
パーソナル洗浄組成物中のアニオン性界面活性剤は、発泡体積、構造、低刺激性又は高刺激性への傾向を生み出すために使用されることが既知である。そのため、低減した濃度で使用できるが、疎水性有益剤の存在下で同等の安定構造、並びに発泡体積を有するアニオン性界面活性剤を選択することが望ましい。本発明者達は、パーソナルケア組成物中に分枝状アニオン性界面活性剤を使用することにより、構造、安定性及び発泡体積が、より低い界面活性剤濃度で達成でき、皮膚への低刺激性を、消費者にとって妥当な価格で普及できると考えている。幾つかの好ましい界面活性剤構成成分は、疎水性有益相の存在下での低刺激性、発泡、構造及び構造の安定性をもたらす、モノメチル分枝状アニオン性界面活性剤の十分な濃度を含む。他の好ましい界面活性剤は、疎水性有益相の存在下での低刺激性、発泡、構造及び構造の安定性をもたらす他の種類の分枝を有するアニオン性界面活性剤の十分な濃度を含む。更に他の好ましい界面活性剤は、分枝状及び直鎖アニオン性界面活性剤の混合物、並びにアニオン性界面活性剤と補助界面活性剤との混合物を含み、特性の最適なバランスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書で使用するとき、用語「周囲条件」は、1気圧、相対湿度50%、25℃における周辺条件を指す。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「多相」又は「多相」は、本発明の組成物の相が、それらが貯蔵されるパッケージ内部の別個であるが区別可能な物理的空間を占有するが、互いに直接接触している(即ち、それらは障壁により分離されるのではなく、それらはいかなる顕著な程度まで乳化又は混合されることはない))ことを意味する。本発明の1つの好ましい実施形態では、「多相」パーソナルケア組成物は、視覚的に区別可能な模様として容器中に存在する少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含む。模様は、本明細書に記載されるプロセスによる、「多相」組成物の組み合わせから結果として生じる。「模様」又は「模様付き」には、これらに限定されないが次の例が挙げられる:縞模様、大理石模様、直線状、破線状縞模様、格子縞模様、斑状、脈状、集合的(clustered)、斑点状、幾何学的、点状、リボン状、らせん状(helical)、渦巻き状、配列型、斑入り状、織り目加工型、溝付き、うね状、波形状、正弦波状、らせん状(spiral)、ねじれ状、曲線状(curved)、周期的、筋状、線状、曲線状(contoured)、異方性、レース状、編み模様又は織り模様、かご織り、点状、及びモザイク模様。好ましくは、模様は、縞模様、幾何学模様、大理石模様、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0009】
好ましい実施形態では、縞模様は、パッケージの寸法にわたって相対的に均一であってもよい。あるいは、縞模様は、一様でなくてもよく、即ち波形であってもよいし、又は寸法において均一でなくてもよい。縞模様は、必ずしもパッケージ寸法全体にわたって伸びている必要はない。縞の大きさは、パッケージ外部から測定されるとき、幅が少なくとも約0.1mm、長さが10mm、好ましくは、幅が少なくとも約1mm、長さが少なくとも20mmであり得る。相は、様々な異なる色であってもよく、及び/又は存在する他の相(類)からその外観を補うために、少なくとも1つの相の中に粒子、グリッター又はパールエッセンス剤を包含することが可能である。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「多相パーソナルケア組成物」は、皮膚又は毛髪への局所適用を意図する組成物を指す。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「安定な」は、特に指定のない限り、少なくとも約180日の期間、周囲条件において、他から影響を受けない物理的接触の中に置かれたとき、少なくとも2つの「別個の」相を維持する組成物を指し、その際、パッケージ中の異なる位置において2相の分布は、時間と共に著しく変化することがない。本発明の組成物は、好ましくは、本明細書に開示されるTバー法(T-Bar method)によって、向上した安定性を示す。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「構造化」は、多相組成物に安定性を与えるレオロジーを有することを意味する。構造の程度は、降伏応力及びゼロずり粘度法(Yield Stress and Zero Shear Viscosity Method)により、並びに超遠心分離法により決定され、両方共この後に記載される。相が構造化相であるとき、この後に記載される降伏応力及びゼロずり粘度法により測定されるとき、典型的には、それは約0.1パスカル(Pa)を超える、より好ましくは約0.5Paを超える、更により好ましくは約1.0Paを超える、なおより好ましくは約2.0Paを超える、なお更により好ましくは約3Paを超える、更になお、更により好ましくは約5Paを超える降伏応力を有する。相が構造化相であるとき、それはまた、典型的には、少なくとも約500パスカル秒(Pa−s)、好ましくは少なくとも約1,000Pa−s、より好ましくは少なくとも約1,500Pa−s、更により好ましくは少なくとも約2,000Pa−sのゼロずり粘度を有してもよい。それ故に、本発明の多相組成物の洗浄相又は界面活性剤相が構造化されるとき、この後に記載される超遠心分離法により測定され、約40%を超える、好ましくは少なくとも約45%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約55%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、更により、好ましくは少なくとも約85%の構造化ドメイン体積比(Structured Domain Volume Ratio)を有する。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「界面活性剤構成成分」は、相中のアニオン性、非イオン性、両性、双極性、及びカチオン性界面活性剤の合計を意味する。計算が界面活性剤構成成分に基づくとき、水及び電解質は、界面活性剤構成成分を伴う計算から除外されるが、これは、界面活性剤は製造時には典型的に希釈及び中和されるためである。本明細書で使用するとき、用語「視覚的に区別可能な相」は、異なる平均的組成を有する別の領域から区別可能であるような1つの平均組成を有する多相パーソナルケア組成物の領域を指し、その際、これらの領域は裸眼で見ることができる。これは、区別可能な領域が、2つの同様の相を含み、その場合に1つの相が、顔料、染料、粒子、及び様々な任意成分を含むことができ、そのため異なる平均組成の領域となることを除外しない。相は一般に、それが含むコロイド状又は半コロイド状(sub-colloidal)の構成成分より大きい寸法を有する空間又は空間類を占有する。相はまた、構成要素となってもよく、又は再構成されてもよく、集結されてもよく、又はその特性を観測するために、例えば遠心分離、濾過、又は同様なものによりバルク相に分離されてもよい。
【0014】
製品形態:
本発明の多相パーソナルケア組成物は、典型的には、パッケージから押出可能又は分配可能である。多相パーソナルケア組成物は、同時係属出願番号10/841174、名称「多相パーソナルケア組成物(Mulit-phase Personal Care Compositions)」(2004年5月7日出願)に記載されるような粘度法により測定されるとき、典型的には、約1.5〜約1000Pa・s(約1,500〜約1,000,000センチポアズ(cP))の粘度を示す。
【0015】
構造化多相パーソナルケア組成物を、本明細書に記載される方法により評価するとき、個々の方法論において指示がない限り、好ましくは組み合わす前に各個々の相が評価される。しかしながら、相が組み合わされている場合、各相は、遠心分離、超遠心分離、ピペットによる採取、濾過、洗浄、希釈、濃縮、又はこれらの組み合わせにより分離することができ、次いで別個の構成成分又は相が評価され得る。好ましくは、分離手段は、結果として生じる評価されるべき分離された構成成分が破壊されず、それが構造化多相パーソナルケア組成物中に存在するときの構成成分を代表するものであるように、即ち、その中の構成成分のその組成及び分布が分離手段により実質的に変更されないように選択される。一般に、多相組成物は、相の中の構成成分のコロイド状の又は顕微鏡的分布を保持しながら、相のバルクへの分離が相対的に容易に達成されるように、コロイド状の寸法より著しく大きいドメインを含む。好ましくは、本発明の組成物はリンスオフ型の処方であり、これは、製品が皮膚又は毛髪に局所的に適用され、その後(即ち、数分以内に)皮膚又は毛髪は水ですすぎ落とされるか、ないしは別の方法で、組成物の一部の付着を、基材又は他の好適な除去手段を使用して拭き取られることを意味する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、構造化多相パーソナルケア組成物は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含み、その際第1相は第2相から視覚的に区別可能である。好ましくは、視覚的に区別可能な相は互いに物理的接触をしながら詰められて安定する。好ましくは、視覚的に区別可能な相は模様を形成する。
【0017】
相:
本発明の多相パーソナルケア組成物は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含み、その際組成物は第1構造化相、第2相、第3相、第4相などを有することができる。第1相の第2相に対する比は、好ましくは、約1:99〜約99:1、好ましくは約90:10〜約10:90、より好ましくは約80:20〜約20:80、更により好ましくは約70:30〜約30:70、なお更により好ましくは約60:40〜約40:60、更になお、更により好ましくは約50:50である。各相は、次の非限定例のうちの1以上であり得、それには、洗浄相、有益相、及び非発泡性構造化水相が挙げられ、これらは下文でより詳細に記載される。洗浄相が第2相と共に存在するとき、洗浄相の第2相に対する比は、相の体積により、典型的には、約99:1〜約1:99、好ましくは約90:10〜約10:90、より好ましくは約80:20〜約20:80、更により好ましくは約70:30〜約30:70、なお、更により好ましくは約50:50である。
【0018】
洗浄相:
本発明の多相パーソナルケア組成物は、洗浄相を含むことができる。洗浄相は、好ましくは、少なくとも1つの分枝状アニオン性界面活性剤を含む。好ましくは、界面活性剤構成成分は、界面活性剤の混合物を含む。構造化多相パーソナルケア組成物は、典型的には、組成物の約1重量%〜約99重量%の前記洗浄相を含む。
【0019】
界面活性剤構成成分:
界面活性剤構成成分は、好ましくは、発泡性界面活性剤又は発泡性界面活性剤の混合物を含む。界面活性剤構成成分は好ましくは、少なくとも1つの分枝状アニオン性界面活性剤を含む。界面活性剤構成成分は、皮膚又は毛髪への適用に好適な界面活性剤を含む。本明細書への使用に好適な界面活性剤には、皮膚への適用に好適ないずれかの既知の、さもなければ有効な洗浄界面活性剤が挙げられ、それらは、他の点では、水を包含する、構造化多相パーソナルケア組成物中の他の必須成分と適合性がある。これらの界面活性剤には、アニオン性、非イオン性、カチオン性、双極性、両性界面活性剤、石鹸、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、界面活性剤構成成分の少なくとも40%、より好ましくは界面活性剤構成成分の約45%〜約95%を構成し、更により好ましくは界面活性剤構成成分の約50%〜約90%、なおより好ましくは約55%〜約85%、及び更になお最も好ましくは、少なくとも約60%はアニオン性界面活性剤を含む。
【0020】
多相パーソナルケア組成物は、好ましくは、洗浄相の約2重量%〜約23.5重量%、より好ましくは約3重量%〜約21重量%、更により好ましくは約4重量%〜約20.4重量%、なおより好ましくは5重量%〜約20重量%、なお更により好ましくは約13重量%〜約18.5重量%、更になお、更により好ましくは約14重量%〜約18重量%の範囲の濃度で界面活性剤構成成分を含む。
【0021】
界面活性剤構成成分を含む洗浄相は、好ましくは、界面活性剤を含む構造化ドメインである。構造化ドメインは、組成物中で乳化されない、個別相中への有益構成成分の高濃度の組み込みを可能にする。好ましい実施形態では、構造化ドメインは、不透明な構造化ドメインである。不透明な構造化ドメインは好ましくは層状相である。層状相は、層状ゲル網状組織を生成する。層状相は、それが熱力学的に安定であるために、剪断力への抵抗をもたらし、十分な降伏を提供して、粒子及び液滴を懸濁することができ、同時に長期間の安定性を提供する。層状相は、より高い粘度を有する傾向があり、したがって、粘度調整剤の必要性を最小化する。
【0022】
洗浄相は、この後に記載される発泡体積試験により測定されるとき、典型的には、少なくとも約600ml、好ましくは約800mlを超える、より好ましくは約1000mlを超える、更により好ましくは約1200mlを超える、なおより好ましくは約1500mlを超える合計発泡体積を提供する。洗浄相は、この後に記載される発泡体積試験により測定されるとき、好ましくは、少なくとも約300ml、好ましくは約400mlを超える、更により好ましくは約500mlを超える瞬間発泡体積を有する。
【0023】
好適な界面活性剤は、マカッチャン(McCutcheon)の「洗剤及び乳化剤、北アメリカ版(Detergents and Emulsifiers, North American edition)」(1986年)、アルレッド・パブリッシング・コーポレーション(allured Publishing Corporation)出版;及びマカッチャンの「機能材料、北アメリカ版(Functional Materials, North American Edition)」(1992年);及び米国特許第3,929,678号(ローリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)に記載されている。
【0024】
洗浄相の界面活性剤構成成分に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤の非限定例には、平均約8〜約24の炭素原子を有するアルキル及びアルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルカルボキシレート、及びアルキルホスフェートが挙げられる。好ましいアルキルエーテルサルフェートは、脂肪アルコール当たり、平均0(即ち、サルフェート)〜約15モルのエチレンオキシドを有する、エチレンオキシド(EO)と脂肪アルコールとの縮合生成物である。洗浄相に使用されてもよいアルキルエーテルサルフェートの具体例は、ココナッツアルキルトリエチレングリコールエーテルサルフェート及びタローアルキルトリエチレングリコールエーテルサルフェートのナトリウム、カリウム、TEA、DEA、及びアンモニウム塩である。極めて好ましいアルキルエーテルサルフェートは、個々の化合物の混合物を含むものであり、前記混合物は、約10〜約16個の炭素原子の平均アルキル鎖長、及び約1〜約4モルのEOの平均エトキシル化度を有する。
【0025】
洗浄相の界面活性剤構成成分に使用するのに好ましい直鎖アニオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい分枝状アニオン性界面活性剤は、以下に記載される。
【0026】
アニオン性界面活性剤の混合物は、幾つかの実施形態において使用されてもよく、それには、直鎖及び分枝状界面活性剤の混合物、並びにアニオン性界面活性剤と非イオン性、両性、及び/又は双極性界面活性剤との混合物が挙げられる。
【0027】
両性、双極性、カチオン性、及び/又は非イオン性界面活性剤の部類からの追加の界面活性剤は、洗浄相の界面活性剤構成成分の中に組み込まれてもよい。
【0028】
また、アンホアセテート及びジアンホアセテートを使用してもよい。幾つかの実施形態では、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸二ナトリウム、及びココジアンホ酢酸二ナトリウムが好ましい。
【0029】
また、カチオン性界面活性剤も、洗浄相で使用することができるが、一般的にはあまり好ましくなく、組成物の約5重量%未満に相当することが好ましい。
【0030】
水性洗浄相に使用するのに好適な非イオン性界面活性剤には、アルキレンオキシド基(性質上親水性)と有機疎水性化合物との縮合生成物が挙げられ、これらは性質上脂肪族又はアルキル芳香族であってもよく、及び直鎖又は分枝状炭化水素部分を含有してもよい。
【0031】
本発明の1つの実施形態では、洗浄相は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、少なくとも1つの両性界面活性剤の混合物を含む界面活性剤構成成分、並びに電解質を含む。
【0032】
分枝状アニオン性界面活性剤:
本発明のアニオン性界面活性剤分子を含む少なくとも1つのアニオン性界面活性剤は、好ましくは分枝状である。メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル側鎖が炭化水素主鎖から伸びるように、界面活性剤分子の炭化水素尾部が少なくとも1つの第三級又は第四級炭素原子を含むとき、界面活性剤分子は分枝状である。炭化水素主鎖は、炭化水素尾部の中の最長の炭化水素長により表される。界面活性剤分子の分枝状炭化水素中の側鎖は、親水性の原子に結合した第1の炭素を炭素番号1と数え、主鎖上の隣接炭素は炭素番号2であるというように数えて、主鎖上のその位置によって記載することができる。側鎖はまたそれらの長さによって記載され、単一の炭素側鎖はメチルを表し;2−炭素長はエチルを表すなどである。それら自体の分枝を有する側鎖は、従来の命名法技術により、例えばイソプロピルのように表されるが、あまり一般的でない。分枝を持たないアニオン性界面活性剤分子は、直鎖アニオン性界面活性剤分子であり、この後に示されるように、直鎖アニオン性界面活性剤分子を優勢に含む界面活性剤は、直鎖アニオン性界面活性剤である。ココナッツ及びヤシのような一般的天然供給源から得られる大部分のアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムのような直鎖アニオン性界面活性剤である。直鎖アニオン性界面活性剤はまた、合成を包含する他の供給源から得ることもできる。
【0033】
アニオン性界面活性剤は典型的には、異なる種類の界面活性剤分子の混合物を含むために、アニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤を構成する異なる種類の個々の界面活性剤分子の相対量に依存して、直鎖又は分枝状と呼ばれ得る。例えば、トリデシル硫酸ナトリウム及びトリデセス硫酸ナトリウムは、それらが典型的には、ほとんどすべて(>95%)分枝状界面活性剤分子を含むために、分枝状界面活性剤と呼ぶことができる。本発明の目的上、アニオン性界面活性剤は、その炭化水素鎖の少なくとも10%が分枝状分子であるとき、分枝状界面活性剤であると看做される。
【0034】
分枝状アニオン性界面活性剤は、異なる種類の分枝を有する界面活性剤分子を含む。幾つかの分枝状アニオン性界面活性剤、例えばトリデセス硫酸ナトリウムのようなトリデカノール系サルフェートは、高度の分枝を含み、80%を超える界面活性剤分子が少なくとも2つの分枝を含み、幾つかのトリデセス硫酸ナトリウムでは、1分子当たり平均約2.7の分枝を有する。他の分枝状アニオン性界面活性剤、例えば、サフォール(Safol)(商標)23アルコール(米国テキサス州ヒューストン(Houston)のサソール社(Sasol, Inc))から得られるC12〜13アルキルサルフェートは、約50〜55%の直鎖アニオン性界面活性剤分子と約15〜30%の分枝状界面活性剤分子との混合物を含む。本発明の目的上、10%を超える分枝状界面活性剤分子を含むが、1分子当たり平均2.0未満の分枝を有するアニオン性界面活性剤は、モノメチル分枝状アニオン性界面活性剤であると看做される。
【0035】
多くの界面活性剤についての分枝情報は、典型的には既知であるか、又は分枝状アルコール原料の供給元から得られる。例えば、サソール(Sasol)は、サフォール(Safol)(商標)23第一級アルコールに関する次の情報を公開している。
直鎖アルコール異性体50%
モノメチルアルコール異性体30%
その他の第一級アルコール異性体<20%
合計100%
【0036】
サフォール(Safol)(商標)23アルコールは、例えばSO3/空気流の流下薄膜反応装置中で硫酸化されることができ、その後水酸化ナトリウムにより迅速に中和されて、C12〜13アルキル硫酸ナトリウムを生成し、このプロセスは当該技術分野において既知である。硫酸化プロセスは、炭化水素主鎖の再配列を伴わないために、C12〜13アルキルサルフェートの主鎖は、サフォール(Safol)(商標)23アルコールと同じ構造を有し、分枝状アニオン性界面活性剤であり、またモノメチル分枝状アニオン性界面活性剤である。アルコールの他の供給元は、それらの第一級アルコールについて同様な情報を提供し、例えば、シェル・ケミカル(Shell Chemical)はネオドール(Neodol)(商標)第一級アルコールについて同様な情報を提供する。界面活性剤の分枝又はその原料アルコールについての材料供給元からの確立された方法によって公開された分析情報がない場合には、当業者に既知の分析技術を使用して分枝を決定することができる。例えば、炭化水素尾部の構造があまり複雑ではない(即ち、約12未満の主要構成成分である)とき、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)技術を使用でき、それは、3.3MのH2CRO4ジョーンズ試薬(Jones Reagent)による、アセトン(共溶媒)中のアルコールの脂肪酸への酸化、その後の2−アミノ、2−メチル、1−プロパノールを用いる200Cで2時間のオキサゾリン誘導体化、CHCl3による希釈、蒸留水によるその後の洗浄、スプリット注入(280C)又はオンカラム注入への注入前の硫酸ナトリウムによる乾燥を伴う。典型的なGCプログラムは、30m×0.25mmのDB−1(0.25uM膜)カラムについて、5C/分の速度で80〜320Cであり、アニオン性界面活性剤の炭化水素尾部の大部分の分枝の位置について具体的な情報を与えることができる。種の共溶出及び/又は未知の構成成分の溶出が生じるとき、GC−MSは、分枝状構成成分の量を得ることができ、これは溶出したn−C12及びn−C13の合計を100%から引いたものとして解釈される。典型的には、n−C11、n−C12、及びn−C13の溶出時間はカラムについて既知であり、及び/又は入手可能である標準物質を単に実行することにより得ることができる。われわれの発明の慣例により、発明者達は、n−C11とn−C12との間のGC表示のすべてのオキサゾリンのピークを合計し、前記ピークは、分枝状C12のピークであり;n−C12とn−C13との間のGC表示のすべてのオキサゾリンのピークを合計し、前記ピークは、分枝状C13のピークであり;得られたピーク面積を、直鎖C12及び直鎖C13を包含する得られた合計面積で割り算して、各構成成分の部分量を得る。慣例により、分枝状C12及び分枝状C13表示の、共に加算されたピーク分率の合計は、分枝状分子の分率であり、これは百分率として表すことができる。各GCピーク下の積分面積は、計算に使用されるピーク情報である。必要であれば、界面活性剤は、例えば交差流濾過法のような濾過により、組成物からの抽出により最初に得ることさえできる。GCデータから、炭化水素鎖当たりの分枝点の数が合計され、識別された各々の種について1分子当たりの分枝の数をモル分率により掛け算することにより、界面活性剤について、1分子当たりの平均分枝度を得る。例えば、50%直鎖分子と共に、1分枝点を有する50%の分子は、平均分枝度0.5である。トリデセス硫酸ナトリウムのような、高度分枝状分子(>1.25平均分枝度)については、GCスペクトルから分枝度を決定することは困難である可能性があり、特殊な機器を必要とするため、代わりに、平均分枝度を決定するために炭化水素尾部内の第三級と第二級の炭素−炭素結合との比を使用して、従来のNMR技術から決定される。
【0037】
分枝状アニオン性界面活性剤には、これらに限定されないが次の界面活性剤が挙げられる:トリデセス硫酸ナトリウム、トリデシル硫酸ナトリウム、C12〜13アルキル硫酸ナトリウム、C12〜15アルキル硫酸ナトリウム、C11〜15アルキル硫酸ナトリウム、C12〜18アルキル硫酸ナトリウム、C10〜16アルキル硫酸ナトリウム、C12〜13パレス硫酸ナトリウム、C12〜13パレスn−硫酸ナトリウム、及びC12〜14パレスn−硫酸ナトリウム。すべての前述の界面活性剤の他の塩、例えばTEA、DEA、アンモニア、カリウム塩も有用である。有用なアルコキシラートには、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びEO/PO混合アルコキシラートが挙げられる。分枝状アルコールから調製されるホスフェート、カルボキシレート、及びスルホネートもまた、有用なアニオン性分枝状界面活性剤である。分枝状界面活性剤は、合成アルコール、例えば、フィッシャー−トロプシュ(Fischer-Tropsch)濃縮合成ガスにより製造された液体炭化水素からの第一級アルコール、例えば、テキサス州ヒューストン(Houston)のサソール・ノース・アメリカ(Sasol North America)から入手可能なサフォール(Safol)(商標)23アルコールから;合成アルコール、例えば、米国のシェル・ケミカルズ(Shell Chemicals)から入手可能なネオドール(Neodol)(商標)23アルコールから;合成的に製造されたアルコール、例えば米国特許第6,335,312号(コフィンダッファー(Coffindaffer)ら、2002年1月1日に発行)に記載されるものから得ることができる。好ましいアルコールは、サフォール(Safol)(商標)23及びネオドール(Neodol)(商標)23である。好ましいアルコキシル化アルコールは、サフォール(Safol)(商標)23−3及びネオドール(Neodol)(商標)23−3である。サルフェートは、従来のプロセスにより、高純度にまで、イオウ系SO3空気流プロセス、クロロスルホン酸プロセス、硫酸プロセス、又は発煙硫酸プロセスから調製することができる。流下薄膜反応装置中でのSO3空気流を介しての調製は、好ましい硫酸化プロセスである。
【0038】
モノメチル分枝状アニオン性界面活性剤には、前述のようにサフォール(Safol)(商標)23−n及びネオドール(Neodol)(商標)23−nから得られる分枝状アニオン性サルフェートが挙げられるが、これらに限定されず、この場合nは1〜約20の整数である。結果として生じる分子の組み合わせは実際には常にアルコキシラートの分布であるため、例えば、存在するアルコールのモルに基づいて約0.3モルのEO、又は1.5モルのEO、又は2.2モルのEOのみを、化学量論的に加えることにより、部分的アルコキシル化もまた有用であり、その結果整数としてのnの表現は単に平均的表現である。好ましいモノメチル分枝状アニオン性界面活性剤には、サフォール(Safol)(商標)23の硫酸化から得られるC12〜13アルキルサルフェートが挙げられ、これは約28%の分枝状アニオン性界面活性剤分子を有し;及びネオドール(Neodol)(商標)23−3から得られるC12〜13パレスサルフェートが挙げられ、これは約10〜18%の分枝状アニオン性界面活性剤分子を有する。
【0039】
アニオン性界面活性剤が、分枝状アニオン性第一級サルフェートであるとき、それは次の分枝状アニオン性界面活性剤分子の幾つかを含有してもよく、それらは:4−メチルウンデシルサルフェート、5−メチルウンデシルサルフェート、7−メチルウンデシルサルフェート、8−メチルウンデシルサルフェート、7−メチルドデシルサルフェート、8−メチルドデシルサルフェート、9−メチルドデシルサルフェート、4,5−ジメチルデシルサルフェート、6,9−ジメチルデシルサルフェート、6,9−ジメチルウンデシルサルフェート、5−メチル−8−エチルウンデシルサルフェート、9−メチルウンデシルサルフェート、5,6,8−トリメチルデシルサルフェート、2−メチルドデシルサルフェート、及び2−メチルウンデシルサルフェートである。アニオン性界面活性剤が第一級アルコキシル化サルフェートであるとき、これらの同じ分子は、n=0の未反応アルコールサルフェートとして、アルコキシル化から結果として生じる典型的なアルコキシル化付加物に加えて存在してもよい(例えば、シェル・ケミカルズ(Shell Chemicals)技術文献「ネオドールエトキシレート付加物の典型的分布(Typical Distributions of NEODOL Ethoxylate Adducts)」によると、ネオドール(Neodol)(商標)23−3モルEOは、典型的には16%の未反応ネオドール(Neodol)(商標)23を、反応した1〜5EO分子を有する57%の分子と共に保持する)。
【0040】
非イオン性界面活性剤
本発明の別の実施形態では、多相パーソナルケア組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含むことができる。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、約1.0〜約15.0、好ましくは約3.4〜約15.0、より好ましくは約3.4〜約9.5、更により好ましくは約3.4〜約5.0のHLBを有する。多相パーソナルケア組成物は、好ましくは、界面活性剤構成成分の約0.01重量%〜約50重量%、より好ましくは約0.10重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.5重量%〜約5.0重量%の範囲の濃度で非イオン性界面活性剤を含む。
【0041】
本明細書に使用するための好ましい非イオン性界面活性剤の非限定例は、C8〜C14グルコースアミド、C8〜C14アルキルポリグルコシド、スクロースココエート、スクロースラウレート、アルカノールアミド、エトキシル化アルコール、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものである。好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、グリセリルモノヒドロキシステアレート、ステアレス−2、イソステアレス−2、ヒドロキシステアリン酸、プロピレングリコールステアレート、PEG−2ステアレート、モノステアリン酸ソルビタン、グリセリルステアレート、グリセリルラウレート、ラウレス−2、コカミドモノエタノールアミン、ラウラミドモノエタノールアミン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ステアレス−2、ラウレス−2、及びイソステアレス−2から選択される。
本明細書でまた有用な非イオン性界面活性剤には、ラウラミンオキシド、ココアミンオキシドが挙げられる。
【0042】
両性及び双極性界面活性剤:
本発明の1つの実施形態では、多相パーソナルケア組成物は、少なくとも1つの両性界面活性剤を含むことができる。洗浄相で使用するのに好適な両性界面活性剤には、脂肪族第二級及び第三級アミンの誘導体として広く記述されるものであって、その脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができ、その脂肪族置換基のうちの1つが約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つがアニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有するものが挙げられる。この定義の範囲内に入る化合物の例は、3−ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウム、3‐ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、及びN−アルキルタウリン、例えば米国特許第2,658,072号(コスミン(Kosmin)らに発行)の教示にしたがってドデシルアミンとイセチオン酸ナトリウムを反応させることにより調製されるものである。
【0043】
洗浄相で使用するのに好適な双極性界面活性剤には、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述されるものであって、その脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができ、その脂肪族置換基のうちの1つが約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つがアニオン性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有するものが挙げられる。洗浄相で使用するのに好適な他の双極性界面活性剤には、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルαカルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ−カルボキシプロピルベタイン、及びラウリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)α−カルボキシエチルベタインのような高級アルキルベタインを包含するベタインが挙げられる。スルホベタインは、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタインなどで代表されてもよく、RCONH(CH23ラジカルがベタインの窒素原子に結合しているアミドベタイン及びアミドスルホベタインもまた本発明で有用である。
【0044】
電解質:
使用される場合、電解質はそれ自体が、多相パーソナルケア組成物に加えられることができるか、又はそれは原材料の1つの中に包含される対イオンを介してその場で形成され得る。電解質は、好ましくは、ホスフェート、クロライド、サルフェート又はシトレートを含むアニオン、及びナトリウム、アンモニウム、カリウム、マグネシウム又はこれらの混合物を含むカチオンを包含する。一部の好ましい電解質は、塩化ナトリウム若しくは塩化アンモニウム、又は硫酸ナトリウム若しくは硫酸アンモニウムである。好ましい電解質は、塩化ナトリウムである。電解質は好ましくは組成物の界面活性剤構成成分に加えられる。
【0045】
電解質は、存在するときには、安定な組成物の形成を促進する量で存在するべきである。一般に、この量は、多相パーソナルケア組成物の約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約1重量%〜約6重量%であるが、必要ならば変更されてもよい。
【0046】
本発明の別の1つの実施形態では、洗浄相に使用するための界面活性剤は、界面活性剤の混合物であることができる。好適な界面活性剤混合物は、水、前述のように少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、前述のように電解質、少なくとも1つのアルカノールアミドを含むことができる。
組成物中のアルカノールアミドの量は、典型的には、洗浄相の約0.1重量%〜約10重量%であり、及び幾つかの実施形態では、好ましくは洗浄相の約2重量%〜約5重量%である。
【0047】
有益相:
本発明の多相パーソナルケア組成物は、有益相を含むことができる。本発明における有益相は、好ましくは無水である。有益相は、典型的には疎水性物質を含む。有益相は、有益相の約1重量%〜約100重量%、好ましくは少なくとも約35重量%、最も好ましくは少なくとも約50重量%の疎水性物質を含む。本発明に使用するのに好適な疎水性物質は、好ましくは約5〜約15(cal/cm31/2のボーガン溶解度パラメータ(Vaughan Solubility Parameter)を有する。疎水性組成物は、好ましくは、選択された稠度値(K)及び剪断指数(n)を包含する、下文に記載されるような定義されたレオロジー特性を有するものから選択される。これらの好ましいレオロジー特性は、疎水性物質の改善された付着を有する多相パーソナルケア組成物を提供する際に特に有用である。
【0048】
ボーガン溶解度パラメータ値(VSP):
多相パーソナルケア組成物の有益相は、典型的には、約5〜約15(cal/cm31/2、好ましくは約5〜約10(cal/cm31/2、より好ましくは約6〜約9(cal/cm31/2のボーガン溶解度パラメータ(VSP)を有する疎水性物質を含む。これらの溶解度パラメーターは、配合分野では周知であり、ボーガン(Vaughan)の、化粧品及び洗面用品(Cosmetics and Toiletries)、103巻において定義されている。
【0049】
約5〜約15の範囲のVSP値を有する疎水性物質の非限定例には次のものが挙げられ、それらは:「溶解度、並びに製品、包装、浸透及び保存への効果(Solubility, Effects in Product, Package, Penetration and Preservation)」、C.D.ボーガン(C. D. Vaughan)、化粧品及び洗面用品(Cosmetics and Toiletries)、103巻、1988年10月に報告されるように、シクロメチコン5.92、スクアレン6.03、ペトロラタム7.33、イソプロピルパルミテート7.78、イソプロピルミリステート8.02、ヒマシ油8.90、コレステロール9.55である。
【0050】
レオロジー:
レオロジーは、構造化多相パーソナルケア組成物が皮膚上に付着されたときに皮膚が潤うように感じるが、重く、べたつく、又は不快には感じないように、有益相の好ましい肌触りの特性を決定するために用いられる。有益相の肌触りの程度は、稠度値(K)及び剪断指数(n)により定義することができる。有益相は、約20〜約2,000Pa−s、好ましくは約25〜約500Pa−s、より好ましくは約30〜約450Pa−s、なおより好ましくは約30〜約400Pa−s、更になおより好ましくは約30〜約350Pa−sの稠度値(K)を有する。有益相は、約0.025〜約0.99、好ましくは約0.05〜約0.70、より好ましくは約0.09〜約0.60の剪断指数を有する。値は、25℃で、以下の試験方法の節において決定される。
【0051】
有益相は、上記の範囲により定義されるような稠度値(K)及び剪断指数(n)値を特徴とすることができ、その際これらの定義された範囲は、減少したべたつきを、多相パーソナルケア組成物の毛髪又は皮膚上への適用中及び適用後に提供するように選択される。
【0052】
本明細書での使用に好適な疎水性物質の非限定例には、多様な炭化水素、油及びろう、シリコーン、脂肪酸誘導体、コレステロール、コレステロール誘導体、ジグリセリド、トリグリセリド、植物油、植物油誘導体、アセトグリセリドエステル、アルキルエステル、アルケニルエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ラノリン及びその誘導体、ろうエステル、蜜蝋誘導体、ステロール及びリン脂質、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0053】
本明細書での使用に好適な炭化水素油及びろうの非限定例には、ペトロラタム、鉱油、微晶性ろう、ポリアルケン、パラフィン、ケラシン、オゾケライト、ポリエチレン、ペルヒドロスクアレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
本明細書の疎水性物質として使用するのに好適なシリコーン油の非限定例には、ジメチコンコポリオール、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、混合C1〜C30アルキルポリシロキサン、フェニルジメチコン、ジメチコノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ジメチコン、ジメチコノール、混合C1〜C30アルキルポリシロキサン、及びこれらの組み合わせから選択される不揮発性シリコーンが好ましい。本明細書で有用なシリコーン油の非限定例は、米国特許第5,011,681号(チオッティ(Ciotti)らに発行)に記載されている。
【0055】
本明細書の疎水性物質として使用するのに好適なジグリセリド及びトリグリセリドの非限定例には、ヒマシ油、大豆油、マレエート化大豆油のような誘導体化した大豆油、ベニバナ油、トウモロコシ油、アーモンド油、パーム油及びゴマ油、植物油及び誘導体、ヒマワリ種子油、ココナッツ油及び誘導体、綿実油及び誘導体化した綿実油、ホホバ油、カカオバター、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
本明細書の疎水性物質としての使用に好適なアルキルエステルの非限定例には、脂肪酸のイソプロピルエステル、及び長鎖(即ち、C10〜C24)脂肪酸の長鎖エステル、例えばセチルリシノレエートが挙げられ、その非限定例には、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、セチルリコノレエート(cetyl riconoleate)、及びステアリルリコノレエート(stearyl riconoleate)が挙げられる。その他の例は:ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、ミリスチルミリステート、イソヘキシルパルミテート、デシルオレエート、及びこれらの組み合わせである。
【0057】
本明細書の疎水性物質としての使用に好適なアルケニルエステルの非限定例には、オレイルミリステート、オレイルステアレート、オレイルオレエート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
本明細書の疎水性物質としての使用に好適なポリグリセリン脂肪酸エステルの非限定例には、デカグリセリルジイソステアレート、デカグリセリルモノラウレート、ヘキサグリセリルモノオレエート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
本明細書の疎水性物質としての使用に好適なラノリン及びラノリン誘導体の非限定例には、ラノリン油、ろう、エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
なお他の好適な疎水性物質には、ろうエステルが挙げられ、その非限定例には、蜜蝋及びその誘導体、鯨蝋、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。また有用なのは、カルナウバ及びキャンデリラろうのような植物ろう;コレステロールのようなステロール、並びにこれらの組み合わせである。
【0061】
組成物の有益相は、好ましくは1以上の疎水性物質を含むことができ、その際疎水性物質の少なくとも1重量%は、ペトロラタム、鉱油、ヒマワリ種子油、アルキルシロキサン、ポリメチルシロキサン、及びメチルフェニルポリシロキサン、及びこれらの組み合わせから選択される。より好ましくは、疎水性物質の少なくとも約20重量%は、ペトロラタム、鉱油、パラフィン、ポリエチレン、ポリデセン、ジメチコン、アルキルシロキサン、ラノリンから成る群から選択される。より好ましくは、疎水性物質の少なくとも約50重量%は、ペトロラタム、鉱油、パラフィン、ポリエチレン、ポリデセン、ジメチコン、アルキルシロキサン、ラノリンから成る群から選択される。
【0062】
構造化水相:
本発明の多相パーソナルケア組成物は、構造化水相を含むことができる。組成物の構造化水相は、水構造化剤及び水を含む。構造化水相は、親水性であり得、好ましい実施形態では、構造化水相は、親水性の非発泡性ゲル化水相である。加えて、構造化水相は、典型的には、構造化水相の約5重量%未満、好ましくは約3重量%未満、より好ましくは約1重量%未満の界面活性剤を含む。本発明の1つの実施形態では、構造化水相は発泡性界面活性剤を処方の中に含まない。
【0063】
本発明の構造化水相は、構造化水相の約30重量%〜約99重量%の水を含むことができる。構造化水相は、一般に、構造化水相の約50重量%を超える、好ましくは約60重量%を超える、更により好ましくは約70重量%を超える、なおより好ましくは約80重量%を超える水を含む。
構造化水相は、典型的には、約5〜約9.5、より好ましくは約7のpHを有する。構造化水相は、適切なpH範囲を容易にするために、任意にpH調整剤を含むことができる。
構造化水相のための水構造化剤は、正味カチオン電荷、正味アニオン電荷、又は中性電荷を有することができる。
本発明の組成物の構造化水相は、下記に記載されるもののような任意成分を更に含むことができる。構造化水相の好ましい任意成分には、顔料、pH調整剤、及び防腐剤が挙げられる。1つの実施形態では、構造化水相は、水構造化剤、水、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン)、並びに防腐剤を含む。
【0064】
水構造化剤:
構造化水相は、構造化水相の約0.1重量%〜約30重量%、好ましくは約0.5重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の水構造化剤を含むことができる。
水構造化剤は、典型的には、無機水構造化剤、荷電ポリマー水構造化剤、水溶性ポリマー構造化剤、結合性水構造化剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0065】
多相パーソナルケア組成物に使用するための無機水構造化剤の非限定例には、シリカ、ポリマーゲル化剤、例えばポリアクリレート、ポリアクリルアミド、デンプン、変性デンプン、架橋ポリマーゲル化剤、コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
多相パーソナルケア組成物に使用するための荷電ポリマー水構造化剤の非限定例には、アクリレート/ビニルイソデカノエートクロスポリマー(3Vからのスタビレン(Stabylen)30)、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー(ペムレン(Pemulen)TR1及びTR2)、カルボマー、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマー(クラリアント(Clariant)からのアリストフレックス(Aristoflex)AVC)、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ベヘネス−25メタクリレートクロスポリマー(クラリアントからのアリストフレックスHMB)、アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマー(ナショナル・スターチ(National Starch)からのストラクチャー(Structure)3001)、ポリアクリルアミド(セピック(SEPPIC)からのセピゲル(Sepigel)305)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
多相パーソナルケア組成物に使用するための水溶性ポリマー構造化剤の非限定例には、セルロースガム及びゲル、並びにデンプンが挙げられる。
多相パーソナルケア組成物に使用するための結合性水構造化剤の非限定例には、キサンタンガム(xanthum gum)、ジェランガム(gellum gum)、ペクチン、アルギネート、例えばプロピレングリコールアルギネート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
追加成分:
ポリマー相構造化剤:
多相パーソナルケア組成物の相、好ましくは洗浄相は、ポリマー相構造化剤を更に含むことができる。本発明の組成物は、相の約0.05重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約4重量%、及びより好ましくは約0.2重量%〜約2重量%のポリマー相構造化剤を含むことができる。ポリマー相構造化剤の非限定例には、これらに限定されないが次の例が挙げられる:解膠ポリマー、天然由来ポリマー、合成ポリマー、架橋ポリマー、ブロックポリマー、ブロックコポリマー、コポリマー、親水性ポリマー、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、疎水性ポリマー、疎水性変性化ポリマー、結合ポリマー、オリゴマー、及びそれらのコポリマー。
【0069】
ポリマー相構造化剤はまた、例えば、組成物の安定性を高めるために洗浄相又は有益相の中に区別可能なポリマーに富む副相を形成するために、組成物の低刺激性を改善するために、組成物から皮膚上への付着を増加するために、洗浄相、有益相、又は非発泡性構造化水相の他の構成成分と共に有益に作用する場合がある。こうした相は、それらが組成物又は洗浄相の希釈の際に形成して、単純な希釈及び観測、例えば軽く遠心分離され得る水中での洗浄相の5〜10%希釈により観測できる場合には、コアセルベート及び/又はフロックと広く看做され得る。コアセルベートは、ポリマー−界面活性剤相互作用を含むことができる。
【0070】
好ましくは、ポリマー相構造化剤は、第1モノマー及び第2モノマーを含み、その際第1モノマーは、アクリル酸、アクリル酸の塩、C1〜C4アルキル置換アクリル酸、C1〜C4アルキル置換アクリル酸の塩、アクリル酸のC1〜C4アルキルエステル、C1〜C4アルキル置換アクリル酸のC1〜C4アルキルエステル、無水マレイン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択され;モノマーは、アクリル酸のC10〜C30アルキルエステル、C1〜C4アルキル置換アクリル酸のC10〜C30アルキルエステル、及びこれらの混合物から成る群から選択される長鎖エステルモノマーである。前文に記載された酸の塩は、アルカリ金属(alkali metal)塩、アルカリ金属(alkaline metal)塩、アンモニウム塩、並びにモノー、ジ−、トリー、及びテトラ−アルキルアンモニウム塩から成る群から選択される。この段落の第1文に記載された、C1〜C4アルキル置換アクリル酸には、メタクリル酸、エタクリル酸などが挙げられ、その際アルキル置換基は、酸の分子のC2又はC3の位置のいずれかの上に存在し得る。この段落の第1文に記載された、C1〜C4アルキルエステルには、メチル及びエチルエステル、並びに分枝状C3及びC4エステルが挙げられる。
【0071】
好ましくはポリマー相構造化剤は、架橋されることができ、更に架橋を含むことができる。本発明に有用なこれらのポリマー相構造化剤は、米国特許第5,087,445号(ハフェイ(Haffey)ら、1992年2月11日発行);米国特許第4,509,949号(ファン(Huang)ら、1985年4月5日発行)、米国特許第2,798,053号(ブラウン(Brown)、1957年7月2日発行)に、より完全に記載されている。またCTFA国際化粧品成分辞典(CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary)、第4版、1991年、12ページ及び80ページを参照のこと。
【0072】
洗浄相又は有益相に使用できる天然に得られるポリマーの具体例は、デンプン及びデンプン誘導体、例えばアミロース及びアミロペクチン、デンプンヒドロキシプロピルホスフェート、デンプンオクテニルスクシナート;海洋のガム、例えばアルギネート及びプロピレングリコールアルギネートのようなアルギン誘導体;ペクチン、例えば高メトキシペクチン;食品及び植物のガム、例えばカラギーナン(carageenans)、アラビアガム又はアカシアガム、グアーガム、ローカストビーンガム;バイオ糖、例えばキサンタンガム;甲殻類の糖、例えばキトサン及びその誘導体;セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びその他のセルロース誘導体;ゼラチン、カゼイン、並びにその他のタンパク質である。
洗浄又は有益相で使用できる親水性ポリマーの非限定例は、デンプン、セルロース、架橋ポリアクリレートを包含するポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミドを包含するポリアクリルアミド、キサンタンガム及びコポリマー、結合性増粘剤、例えばアクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマーである。
【0073】
液晶相誘発構造化剤:
本発明の組成物の相、好ましくは洗浄相は、任意に更に液晶相誘発構造化剤を含むことができ、これは存在するときには、相の約0.3重量%〜約15重量%の範囲、より好ましくは相の約0.5重量%〜約5重量%の範囲の濃度である。理論に束縛されるものではないが、液晶相誘発構造化剤は、組成物中では、熱力学的ドメイン、好ましくは層状(構造化)ドメインを形成するように機能する。層状ドメインが本発明の組成物の相間の境界面の安定性を向上させると考えられている。
【0074】
好適な液晶相誘発構造化剤には、脂肪酸又はそれらのエステル誘導体、脂肪アルコール、トリヒドロキシステアリン(レオックス社(Rheox, Inc.)から商標名チキシン(THIXCIN)(登録商標)Rにより入手可能)が挙げられる。使用されてもよい脂肪酸の非限定例は、C10〜C22酸、例えば次のもの:ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エライジン酸、アラキドン酸(arichidonic acid)、ミリストレイン及びパルミトレイン酸などである。エステル誘導体には、プロピレングリコールイソステアレート、プロピレングリコールオレエート、グリセリルイソステアレート、グリセリルオレエート、プロピレングリコールジラウレート、及びポリグリセリルジイソステアレート、ラウリルベヘネートなどが挙げられる。好ましくは、液晶相誘発構造化剤は、ラウリン酸、トリヒドロキシステアリン、ラウリルピロリドン、及びトリデカノールから選択される。
【0075】
有機カチオン沈着ポリマー:
本発明の構造化多相パーソナルケア組成物は、本明細書に記載される有益剤の付着助剤として、1以上の相中に有機カチオン沈着ポリマーを追加的に含むことができる。本発明の構造化多相パーソナルケア組成物中での使用に好適なカチオン沈着ポリマーは、第四級アンモニウム又はカチオン性プロトン化アミノ部分のようなカチオン性窒素含有部分を含有する。カチオン性プロトン化アミンは、構造化多相パーソナルケア組成物の特定の種及び選択されたpHに依存して、第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン(好ましくは第二級又は第三級)であることができる。本発明の組成物に有用である好適なカチオン沈着ポリマーは、同時係属及び同一出願人による米国特許出願60/628,036、名称「沈着可能固体(Depositable Solids)」(ワグナー(Wagner)ら、2003年11月15日出願)に開示されている。
【0076】
構造化多相パーソナルケア組成物中に使用されるカチオン沈着ポリマーの非限定例には、カチオン性セルロース誘導体のような多糖類ポリマーが挙げられる。好ましいカチオン性セルロースポリマーはトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であり、業界(CTFA)ではポリクオタニウム(Polyquaternium)10と呼ばれ、これはアマコール社(Amerchol Corp.)(米国ニュージャージー州エディソン(Edison))より、ポリマーのポリマー(Polymer)KG、JR及びLRシリーズとして入手可能であり、最も好ましいものはKG−30Mである。
【0077】
ポリマーが、水中、構造化多相パーソナルケア組成物中、又は構造化多相パーソナルケア組成物のコアセルベート相中で可溶性を維持する限り、並びに対イオンが構造化多相パーソナルケア組成物の必須構成成分と物理的及び化学的に適合性があるか、さもなければ製品性能、安定性又は審美性を過度に損なわない限り、いずれのアニオン性対イオンも、カチオン沈着ポリマーと会合することができる。このような対イオンの非限定例としては、ハロゲン化物(例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)、サルフェート及びメチルサルフェートが挙げられる。
【0078】
粒子:
本発明の構造化多相パーソナルケア組成物は、粒子を含むことができる。様々な形状及び密度の非水溶性粒子が有用である。好ましい実施形態では、粒子は、球形、楕円形、不規則形状、又は最大寸法の最小寸法に対する比(アスペクト比として定義される)が約10未満、好ましくは約8未満、及びなおより好ましくは粒子のアスペクト比が約5未満であるいずれかの他の形状を有する傾向がある。好ましくは、粒子はまた、組成物の典型的な加工により著しく影響されない物理的特性を有する。
【0079】
剥離剤粒子:
本発明の構造化多相パーソナルケア組成物は、剥離剤粒子を含むことができる。好ましい粒子は、多相パーソナルケア組成物の少なくとも1つの相中のポリエチレン、微晶性ろう、ホホバエステル、非晶質(amourphors)シリカ、タルク、トリカルシウムオルトホスフェート(tracalcium orthophosphate)、又はそれらのブレンドなどから成る群から選択される。剥離剤粒子は、好ましくは組成物の約10重量%未満の濃度で存在する。
【0080】
光沢粒子:
本発明の構造化多相パーソナルケア組成物は、多相パーソナルケア組成物の少なくとも1つの相に光沢粒子を含むことができる。光沢粒子の非限定例には次のものが挙げられ、それらは:干渉顔料、多層顔料、金属粒子、固体結晶及び液晶、並びにこれらの組み合わせである。干渉顔料は、粒子基材物質の表面を薄膜でコーティングすることにより調製される真珠光沢を有する顔料である。粒子基材物質は、一般に小板状体の形状である。薄膜は高屈折率を有する透明又は半透明な物質である。高屈折率物質は、小板状体基材/コーティング層の境界面からの入射光線の反射と、コーティング層の表面からの入射光線の反射との間の相互干渉作用の結果として生じる真珠光沢を示す。顔料が、同時係属出願番号60/469,075(2003年5月8日出願)に記載されているような顔料付着テープストリップ法(Pigment Deposition Tape Strip Method)に記載されているように、適用され、濯がれるとき、皮膚に付着した顔料は、好ましくは、少なくとも0.5μg/cm2、より好ましくは少なくとも1μg/cm2、更により好ましくは少なくとも5μg/cm2である。本発明の組成物に使用するのに好適な干渉顔料は、米国特許第6,395,691号(リョウ・シェン・ツァウル(Liang Sheng Tsaur)、2002年5月28日発行)、米国特許第6,645,511号(アロンソン(Aronson)らに発行)、米国特許第6,759,376号(チャン(Zhang)ら、2004年7月6日発行)、米国特許第6,780,826号(2004年8月24日発行)、米国特許出願2003/0054019(アロンソン(Aronson)ら、2002年5月21日出願、2003年3月21日公開)、並びに米国特許出願60/469,570、名称「光沢粒子を付着するパーソナルケア組成物(Personal Care Compositions That Deposit Shiny Particles)」(クラップ(Clapp)ら、2003年5月9日出願)として係属中及び同一出願人によるもの、米国特許出願60/515,029、名称「光沢粒子を含有するパーソナルケア組成物を使用する方法(Methods for Using Personal Care Compositions Containing Shiny Particles)」(クラップ(Clapp)ら、2003年10月28日出願)に開示されるものである。
【0081】
干渉顔料表面の一部は、疎水性物質によりコーティングされ得る。本発明の組成物に使用するのに好適な疎水性変性化干渉顔料は、米国特許出願10/841,173、名称「疎水性変性化干渉顔料を含有するパーソナルケア組成物(Personal Care Compositions Containing Hydrophobically Modified Interference Pigments)」(クラップ(Clapp)ら、2004年5月7日出願)として係属中及び同一出願人によるものに開示されるものである。
【0082】
美白剤:
本発明の構造化多相パーソナルケア組成物は、美白剤を含むことができる。
【0083】
ビーズ:本発明の構造化多相パーソナルケア組成物は、ビーズを含むことができる。ビーズはいずれの色であってもよく、多相パーソナルケア組成物の1つの相、又は複数の相の中に配置されてもよい。好適なビーズには、柔らかいビーズ及び堅いビーズを包含する当該技術分野において既知のものが挙げられる。柔らかいビーズの好適な例には、インダケム(Induchem)により製造される均一球(unispheres)、ユニスフェアズNT−2806(Unispheres NT-2806)(ピンク)が挙げられる。堅いビーズの好適な例には、ポリエチレン又は酸化ポリエチレン、好ましくはアキュテック(Accutech)により製造されるものが挙げられる。
【0084】
任意成分:
構造化多相パーソナルケア組成物は、多様な追加的任意成分を含むことができる。こうした任意成分とは、最も典型的には、化粧品での使用が認可され、CTFA化粧品成分ハンドブック(CTFA Cosmetic Ingredient Handbook)、第2版、化粧品工業会(The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.)、1988、1992のような参考文献に記載されている物質である。これらの任意物質は、本明細書に記載されるような各相を包含する、本発明の組成物のあらゆる態様で使用することができる。
【0085】
非限定的な任意成分には、保湿剤及び溶質が挙げられる。好ましい保湿剤はグリセリンである。その他の有用な水溶性有機物質は、ポリオール、C2〜C10アルカンジオール、グアニジン、グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び第四級アルキルアンモニウム)、乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び第四級アルキルアンモニウム)、多価アルコール、例えばソルビトール、グリセロール、ヘキサントリオール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなど、ポリエチレングリコール、糖及びデンプン、糖及びデンプン誘導体(例えば、アルコキシル化グルコース)、パンテノール(D−、L−、及びD,L−形態を包含する)、ピロリドンカルボン酸、ヒアルロン酸、ラクタミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミン、尿素、及びエタノールアミンから成る群から選択される。
【0086】
非イオン性のポリエチレン/ポリプロピレングリコールポリマーが、皮膚コンディショニング剤として使用できる。特に好ましい、本明細書で有用なポリマーは、PEG−2M(その際、xは2に等しく、nは約2,000の平均値を有する)(PEG−2Mはまたユニオンカーバイド(Union Carbide)からのポリオックスWSR(Polyox WSR)(登録商標)N−10として、PEG−2,000として既知である);PEG−5M(その際、xは2に等しく、nは約5の平均値を有する);PEG−7M(その際、xは2に等しく、nは約7の平均値を有する);PEG−9M(その際、xは2に等しく、nは約9の平均値を有する);PEG−14M(その際、xは2に等しく、nは約14の平均値を有する);PEG−90M(その際、xは2に等しく、nは約90,000の平均値を有する)である。
【0087】
これらの任意成分の他の非限定例には、ビタミン及びそれらの誘導体(例えば、アスコルビン酸、ビタミンE、トコフェリルアセテートなど);日焼け止め剤;増粘剤(例えば、ポリオールアルコキシエステル、クローダ(Croda)からクロシックス(Crothix)として入手可能);洗浄組成物の抗菌保全性を維持する防腐剤;抗ニキビ薬剤(レゾルシノール、サリチル酸など);酸化防止剤;アロエベラ抽出物、アラントインなどのような皮膚沈静及び皮膚治癒剤;キレート化剤及び金属イオン封鎖剤;並びに審美的目的に好適な剤、例えば芳香剤、精油、皮膚感覚剤、顔料、パールエッセンス剤(例えば、雲母及び二酸化チタン)、レーキ、着色剤など(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、及びオイゲノール)が挙げられる。
構造化多相パーソナルケア組成物の好ましいpH範囲は、約5〜約8である。
【0088】
試験方法:
降伏応力及びゼロずり粘度法:
本発明の組成物の相の降伏応力及びゼロずり粘度は、組成物中への配合前又は組成物中への配合後のいずれかにおいて、遠心分離、ピペット採取、機械的切除、すすぎ、濾過、又は他の分離手段のような好適な物理的分離手段により相を分離することにより測定できる。
【0089】
TAインスツルメンツAR2000レオメーター(TA Instruments AR2000 Rheometer)のような応力制御レオメーターが、降伏応力及びゼロずり粘度を決定するために用いられる。測定は、4cm直径の平行プレート測定システム及び1mmの間隙を用いて25℃で実行される。その幾何学構造は、得られたトルクを応力に変換するために、79580m-3の剪断応力係数を有する。
【0090】
第1に、相の試料が取得され、レオメーターの基準プレート上の適所に設置され、測定用幾何学構造(上部プレート)が基準プレートの1mm上の位置に移動する。幾何学構造の端における余剰相は、幾何学構造を固定した後で削ることにより除去される。数平均直径が約150μより大きい、目又は感触により識別可能な粒子(例えば、ビーズ)を相が含む場合、基準プレートと上部プレートとの間の間隙設定は、4mmか、又は95体積パーセンタイル粒径(volume percentile particle diameter)の直径の8倍かのどちらか小さい方にまで増加される。いずれかの寸法が5mmより大きい任意の粒子を相が有する場合には、その粒子は測定前に取り除かれる。
【0091】
測定は、対数による漸進、即ち測定点が対数尺上に均等の間隔で並んだものを使用して、5分の時間間隔により、0.1Pa〜1,000Paの漸増する連続的剪断応力のプログラム化された適用を介して実行される。10の応力増加当たり三十(30)の測定点が得られる。応力、ひずみ、そして粘度を記録する。測定結果が不完全である場合、例えば、物質が間隙から流れる場合には、得られた結果を審査し不完全なデータ点を排除する。降伏応力は次のように決定する。応力(Pa)及びひずみ(単位なし)データは、それらの対数(基数10)を取ることにより変形する。応力0.2Pa〜2.0Paで得られたデータのみ、約30点について、log(応力)をlog(ひずみ)に対してグラフ化する。1Paの応力での粘度が、500Pa−s未満であるが、75Pa−sより大きい場合、0.2Pa〜1.0Paのデータのみについて、log(応力)をlog(ひずみ)に対してグラフ化し、その後次の数学的手順を行う。1Paの応力での粘度が75Pa−s未満である場合、ゼロずり粘度は、試験において得られる4つの最も高い粘度値(即ち個々の点)のメジアンであり、降伏応力は0であり、及び次の数学的手順は使用されない。数学的手順は次のようである。指示された応力領域において対数に変形されたデータを用いて、結果について、最小二乗法による直線回帰が実行され、次の形式の方程式が得られる:
(1)Log(ひずみ)=m*Log(応力)+b
0.1〜1,000Paの測定での各応力値(即ち、個々の点)について得られる回帰を用いて、log(ひずみ)の予測値を、得られた係数m及びb、並びに実際の応力を使用し、方程式(1)を用いて得る。予測されたlog(ひずみ)から、各応力での予測されたひずみを、真数(即ち、各xについて、10x)を取ることにより得る。予測されたひずみを、各測定点での実際のひずみと比較して、方程式(2)を用いて、各点での偏差%を得る。
【0092】
(2)偏差%=100*(測定されたひずみ−予測されたひずみ)/測定されたひずみ
降伏応力は、偏差%が10%を超える最初の応力(Pa)であり、及びその後(より高い)応力は、流れの開始又は構造の変形のために10%より更に大きい偏差を結果として生じる。0.1Paと降伏応力とを包含し及びこれらの間で得られる粘度データについて、パスカル−秒(Pa−s)による粘度の第1メジアン値を取ることによりゼロずり粘度を得る。第1メジアン粘度を取った後、第1メジアン値の5倍より大きく、0.2×メジアン値より小さいすべての粘度の値が排除され、同じ粘度データの第2メジアン粘度値を、指示されたデータ点を排除して得る。そのようにして得られた第2メジアン粘度は、ゼロずり粘度である。
【0093】
発泡体積試験:
構造化多相パーソナルケア組成物の洗浄相、界面活性剤構成成分、又は構造化ドメインの発泡体積が、メスシリンダー及び回転装置を用いて測定される。10mlの増分毎に印が付けられ、その基部の内側から1,000mlの印までの高さが36.8cm(14.5インチ)の1,000mlメスシリンダー(例えば、パイレックス番号(Pyrex No.)2982)を使用する。蒸留水(25℃で100g)がメスシリンダーに加えられる。このシリンダーは、回転装置内にクランプ固定されるが、これにより、メスシリンダーの中心を横断する回転軸にシリンダーがクランプ固定される。0.50gの界面活性剤構成成分又は洗浄相を注射器(適切な投与を確実にするために秤量する)からメスシリンダーの中に、水の線の上のシリンダー側面上に注入してシリンダーに蓋をする。試料が評価されるときには、0.25ccだけを使用し、その他はすべてを同じに保つ。シリンダーは、18秒当たり約10回転の速度で20回完全に回転し、第1の回転シ−ケンスを完了するために垂直位にて停止する。生成された泡を15秒間水きりするためのタイマーを設定する。15秒のこうした水切りの後に、基部から上の泡の高さをmlで記録することによって、第1の発泡体積を10ml目盛りの単位で測定する(その上部に泡が浮いている底部へと水切りされたあらゆる水を包含する)。
【0094】
泡の上面が平らでない場合、メスシリンダー断面の中途に見える最も低い高さを、第1の発泡体積(ml)にする。泡が粗すぎて、泡(「バブル(bubbles)」)を含む単一又はほんのわずかなフォームセル(foam cells)しかシリンダー断面全体に広がらない場合、空間を満たすのに少なくとも10個のフォームセルが必要になる高さが、同様に基部からのmlによる第1の発泡体積になる。いずれの寸法においても2.5cm(1インチ)より大きいフォームセルは、どこで発生しようとも、泡ではなく、中身のない空気として指定される。メスシリンダーの上部に集まるが水切りされないフォームもまた、その上部のフォームがそれ自体連続的な層である場合、定規を使用して層の厚さを測定し、そこに集まったフォームのmlを基部から測定されたフォームのmlに加えることによって、測定に組み入れる。最大発泡高さは(全発泡の高さがメスシリンダー上の1,000mlの印を超える場合でも)1,000mlである。第1の回転が完了してから30秒後に、第1の回転シーケンスと速度及び持続時間が同一である第2の回転シーケンスが開始される。第2の発泡体積は、第1と同じ方式で、同様に15秒の水きり時間の後に記録される。第3のシーケンスが完了したら、各水切りと測定値取得との間に同一の休止時間をおいて、第3の発泡体積を同じ方式で測定する。
【0095】
各シーケンスの後の泡の結果が合算され、全発泡体積が、3つの測定値の合計としてミリリットル(「ml」)で決定される。瞬間発泡体積は、第1の回転シーケンスのみの後のmlでの結果、即ち、第1の発泡体積である。本発明による組成物は、この試験において、従来のエマルション形態をした類似の組成物よりも著しく良好な性能を示す。
【0096】
超遠心分離法:
超遠心分離法は、界面活性剤構成成分を含む洗浄相を含む構造化多相パーソナルケア組成物中に存在する構造化ドメイン又は不透明な構造化ドメインの百分率を決定するために使用される。方法は、超遠心分離による、組成物の別個ではあるが区別可能な層への分離を伴う。本発明の構造化多相パーソナルケア組成物は、複数の区別可能な層、例えば、非構造化界面活性剤層、構造化界面活性剤層、有益層を有することができる。
【0097】
最初に、約4gの多相パーソナルケア組成物をベックマン遠心管(Beckman Centrifuge Tube)(11×60mm)の中に分配する。次に、遠心管を超遠心分離機(ベックマンモデルL8−M(Beckman Model L8-M)又は同等なもの)の中に設置し、並びに次の条件:50,000rpm、18時間、25℃を使用して超遠心分離する。
18時間、超遠心分離した後、相対的な相の体積を、各層の高さを、電子デジタルキャリパー(Electronic Digital Caliper)(0.01mm以内)を使用して、視覚的に測定することにより決定する。第1に、超遠心分離管の中のすべての物質を包含する合計の高さを、Haとして測定する。第2に、有益層の高さを、Hbとして測定する。第3に、構造化界面活性剤層を、Hcとして測定する。有益層を、その低水分含有量(カール・フィッシャー滴定(Karl Fischer Titration)により測定されるとき、10%未満の水)により決定する。それは一般に、遠心管の最上部に存在する。界面活性剤層の合計の高さ(Hs)がこの方程式により計算され得る:
s=Ha−Hb
【0098】
構造化界面活性剤層構成成分は、幾つかの層又は単一層を含んでもよい。超遠心分離の際に、一般に、超遠心分離管の底部に又は底部に隣接して等方性層が存在する。この透明な等方性層は、典型的には、非構造化ミセル界面活性剤層を表す。等方性相の上の層は、一般には、より高い規則性の構造体(例えば、液晶)を有するより高い界面活性剤濃度を含む。これらの構造化層は時には、肉眼には不透明であるか、又は半透明、又は透明である。構造化層と非構造化等方性層との間には、区別可能な界面が一般に存在する。構造化界面活性剤層の物理的性質は、偏光下での顕微鏡使用により決定され得る。構造化界面活性剤層は、典型的には、偏光下で、独特の質感を示す。構造化界面活性剤層を特徴付ける別の方法は、X線回折技術を使用することである。構造化界面活性剤層は、主として液晶構造の長い間隔に、多くの場合関連する複数の線を示す。幾つかの構造化層が存在してもよく、その結果Hcは、個々の構造化層の合計である。コアセルベート相又はポリマー−界面活性剤相のいずれかの種類が存在する場合、それは構造化相であると看做す。
【0099】
最後に、構造化ドメインの体積比を次のように計算する:
構造化ドメイン体積比=Hc/Hs*100%
有益相が存在しない場合には、合計の高さを界面活性剤層の高さとして使用する、Hs=Ha
【0100】
剪断指数(n)及び稠度値(K):
剪断指数(n)及び稠度値(K)は周知であり、及び指数法則モデルを使用して、適用された剪断速度により変わる粘度を有する物質の粘度特性を報告するために認められている手段である。本明細書で使用するとき、用語「稠度値」又は「K」は、粘度の尺度であり、及びその粘度が剪断速度の関数である物質の粘度を定義するため、剪断指数と組み合わせて使用される。稠度値及び剪断指数の測定は、25℃で行なう。「稠度値」又は「K」の単位はパスカル秒である。「剪断指数」の単位は、無次元である。
【0101】
相の粘度は、剪断応力を適用し、及びTAインスツルメンツAR2000(TA Instruments AR2000)(米国19720デラウェア州ニューキャッスル(New Castle)のTAインスツルメンツ(TA Instruments))のようなレオメーターを使用して剪断速度を測定することにより測定することができる。粘度は、異なる剪断速度で、次の方式により決定される。最初に、有益相が取得される。例えば、シリコーンオイル相及び炭化水素相のような、1を超える区別可能な(例えば、不混和性の)有益相が組成物中に存在する場合、それらは好ましくは別個に調製されるか、並びに/又は互いに分離され、互いに別個に評価されるが、エマルションのような混合物である特定の有益相は、個々の有益相を個々に評価することに加えて、混合物として評価され得る。
【0102】
測定については、1mmの間隙を有する40mm直径の平行プレート幾何学構造が、0.25mmを超える粒子が存在しない限り使用され、存在する場合は2mmの間隙が使用される。レオメーターは、標準平行プレート仕様を使用して、端における剪断速度を試験の剪断速度として報告し、トルクを係数2/(πR3)を使用して応力に変換する。スパチュラを使用して、少し余剰の有益相を含む試料が、25℃であるレオメーター基準プレート上に載せられ、間隙が取得され、最上部測定用幾何学構造の外側の余剰組成物が取り除かれ、最上部プレートを適所に、余剰試料を取り除く間に固定する。試料は、基準プレート温度に2分間平衡化される。予備剪断(preshear step)工程が、50秒の逆数(1/秒)の剪断速度での15秒間の剪断を含んで実行される。当業者に既知であるように、平行プレート幾何学構造による剪断速度は、端における剪断速度として表され、これはまた最大剪断速度である。予備剪断工程の後に測定が実行され、これは応力を10Paから1,000Paまで、25℃で2.0分間隔において漸増させながら、均等の間隔に並んだ直線回帰中の60の粘度データ点を収集することを含む。少なくとも500 1/秒の剪断速度が試験中に得られるか、又はより高い最終応力値を用いて、同じ構成成分の新しい試料を用いて、時間あたりの応力増加の同じ速度を維持して、少なくとも500 1/秒の剪断速度が測定期間中に得られるまで、試験は繰り返される。測定中は、最上部平行プレート下の区域はいずれの端の位置においても測定中は試料を観測して試料がなくならないように確かめるか、或いは試験の持続時間中、試料が残っている間は測定が繰り返される。幾つかの試行後、端の試料がなくなったために結果を得ることができない場合には、物質の余剰蓄積を端に残しながら(削られない)測定を繰り返す。試料がなくなることをなお回避できない場合には、同心円筒形の幾何学構造が、装填中の空洞域を避けるために多量の余剰試料と共に使用される。結果は、25〜500 1/秒の剪断速度の間のデータ点のみ、Pa−sによる粘度、1/秒による剪断速度を選択することにより、及び指数法則の方程式にしたがってK及びnの値を得るために、粘度の対数対剪断速度の対数の最小二乗回帰を使用することにより、指数法則のモデルに適合される:
μ=K(γ’)(n-1)
log−logの傾きについて得られる値が(n−1)であり、その場合nは剪断指数であり、Kについて得られる値が、Pa−sの単位で表される稠度値である。
【0103】
脂質の存在下での構造化界面活性剤の安定性を評定するためのTバー法(T-Bar Method)
脂質の存在下での洗浄相の安定性が、Tバー粘度法(T-Bar Viscosity Method)を使用して評定され得る。Tバー測定のための装置は、ヘリパス付属品(Helipath Accessory)付きブルックフィールドDV−II+プロ粘度計(Brookfield DV-II+ Pro Viscometer);つかみ具、おもり、及びTバー取り付けのための閉鎖機構;TバースピンドルD(T-bar Spindle D)、ブルックフィールド(Brookfield)からのレオカルク(Rheocalc)ソフトウェアを有するパーソナルコンピュータ、及びブルックフィールド粘度計(Brookfield Viscometer)をコンピュータに接続するケーブルから成る。最初に、40gの洗浄相を、4オンスのガラス瓶の中に秤量する。瓶を2000rpmで20分間遠心分離して洗浄相を脱気するが、これはまた沈殿又は浮揚により大きい粒子を取り除くことも可能である。洗浄相の高さHsurfを、電子キャリパー(Electronic Caliper)を使用して0.01mmの精度により測定する。Tバースピンドル(T-Bar Spindle)を瓶の内底に注意深く落とすことにより、初期Tバー粘度を測定し、ヘリパス(Helipath)スタンドを上方に移動するように設定する。レオカルク(Rheocalc)ソフトウェアを開き、及び次のデータ取得パラメータを設定する:速度(Speed)を5rpmに設定し、トルクの待ち時間(Time Wait for Torque)を00:01(1秒)に設定し、ループ開始カウント(Loop Start Count)を40に設定する。データ取得を開始し、ヘリパス(Helipath)スタンドを作動させて、上方に22mm/分の速度で移動させる。初期Tバー粘度、Tiniは、6番目の読みと35番目の読みとの間(最初の5回及び最後の5回の読みは、平均のTバー粘度の計算には使用されない)の平均のTバー粘度の読みである。瓶に蓋をし、周囲温度で保存する。容器を82℃(180°F)に加熱し、70部のペトロラタム(ウィトコ(WITCO)からのG2218)及び30部のハイドロブライト1000(Hydrobrite 1000)白色鉱油を共に加えることにより脂質ブレンドを調製する。ゆっくりと攪拌しながら(200rpm)容器を43℃(110°F)に冷却する。攪拌を停止し、容器を周囲温度に一夜冷却する。40gの脂質ブレンド(70/30のペトロラタム/鉱油)を、洗浄相を含有する瓶に加える。洗浄相及び脂質を共にスパチュラを使用して5分間かき回す。瓶を113°Fで5日間置く。5日後、瓶を2000rpmで20分間遠心分離する(瓶を最初に冷却しない)。
【0104】
遠心分離後、瓶及び内容物を周囲温度に一夜冷却する。瓶の内容物を観測する。安定な洗浄相は均一な層を瓶の底に、密度がより低いペトロラタム/油相の下に示す。不安定な洗浄相は、もともと遠心分離した洗浄相(即ち、等方性相)には存在しない層を、底又は洗浄相−脂質の間の界面のいずれかに形成する可能性がある。1を超える層が洗浄相の中に存在する場合、新しく形成された各層の高さ、Hnewを電子キャリパー(Electronic Caliper)を使用して測定する。すべての新しく形成された層の高さを合算する。新しい相の体積比が、Hnewとしての、すべての新しい層の合算された高さを使用して、Hnew/Hsurf*100%として計算される。好ましくは、安定な構造化洗浄相は、10%未満の新しい相の体積を形成する。より好ましくは、安定な構造化洗浄相は、5%未満の新しい相の体積を形成する。最も好ましくは、安定な構造化洗浄相は、0%の新しい相の体積を形成する。
【0105】
遠心分離された瓶の内容物のTバー粘度を次に、上記のTバー法(T-Bar method)を使用して測定する。レオカルク(Rheocalc)ソフトウェアを開き、次のデータ取得パラメータを設定する:速度(Speed)を5rpmに設定し、トルクの待ち時間(Time Wait for Torque)を00:01(1秒)に設定し、ループ開始カウント(Loop Start Count)を80に設定する。データ取得を開始し、ヘリパス(Helipath)スタンドを作動させて、上方に22mm/分の速度で移動させる。洗浄相の層と脂質層との間には、通常、顕著な粘度の急上昇がある。脂質暴露後の洗浄相Tバー粘度、Taftは、6番目のTバー粘度と脂質の急上昇前の最後のTバー粘度の読みとの間の平均の読みである。洗浄相と脂質相との間に、顕著なTバー粘度の急上昇が存在しない場合には、単に6番目のTバー粘度の読みと15番目の読みとの間の平均の読みを、平均の洗浄相Tバー粘度、Taftとして使用する。好ましくは、安定な構造化洗浄相は、10Pa・s(10,000cP)より高いTaftを有する。より好ましくは、安定な構造化洗浄相は、15Pa・s(15,000cP)より高いTaftを有する。最も好ましくは、安定な構造化洗浄相は、20Pa・s(20,000cP)より高いTaftを有する。
【0106】
粘度保持は、Taft/Tini*100%として計算される。好ましくは、安定な構造化洗浄相は、>50%の粘度保持を有する。より好ましくは、安定な構造化洗浄相は、>70%の粘度保持を有する。最も好ましくは、安定な構造化洗浄相は、>80%の粘度保持を有する。
【0107】
使用方法
本発明の多相パーソナルケア組成物は、好ましくは、適用される表面への皮膚洗浄剤、疎水性物質、及び粒子の有効な送達を提供するのに十分な量で、皮膚又は毛髪の所望の区域に局所適用される。組成物は、皮膚に直接適用することもできるし、又は洗浄パフ、洗い布、スポンジ若しくは他の道具を用いて間接的に適用することもできる。組成物は、好ましくは、局所適用の前、その間、又はその後に水で希釈され、次に皮膚又は毛髪を濯ぐか又は拭き取り、好ましくは、水を使用して、若しくは非水溶性基材と水とを組み合わせて使用して、適用された表面からすすぎ落とす。
【0108】
そのため、本発明はまた、上述した本発明の組成物の適用を通じて皮膚を洗浄する方法も対象とする。また、本発明の方法は、上述した本発明の組成物の適用を通じて、適用された表面に、所望の皮膚活性剤の有効な送達を提供する方法、及び本明細書に記載のそのような有効な送達によってもたらされる利益を提供する方法も対象とする。
【0109】
製造方法
本発明の多相パーソナルケア組成物は、所望の多相製品形態を作製及び配合するのに好適なあらゆる既知の技術、ないしは別の有効な技術によって調製されてもよい。練り歯磨きチューブでの充填技術を回転台設計と組み合わせることが有効である。更に、本発明は、米国特許第6,213,166号(テイビアント(Thibiant)ら、2001年4月10日発行)に開示されているような方法及び装置により調製することができる。この方法及び装置は、2以上の組成物が単一容器中にらせん状配置により充填されることを可能にする。この方法では、容器に充填するために少なくとも2つのノズルを用いることが必要となる。容器が静的ミキサー上に置かれ、組成物を容器の中に導入しながら回転させる。
【0110】
あるいは、ポンプとホースが取り付けられた別個の保存タンク中に別個の組成物を最初に設置することにより、少なくとも2つの相を組み合わせることが有効である。次に相は、予め定められた量で単一の組み合わせセクションにポンプで送られる。次に、相は組み合わせセクションからブレンドセクションに移動され、相は、得られる単一の製品が相の区別可能な模様を示すようにブレンドセクションで混合される。模様は、縞模様、大理石模様、幾何学模様及びこれらの混合したものから成る群から選択される。次の工程は、ブレンドセクションで混合された製品をホースを介して単一ノズル中にポンプで送り、次に、ノズルを容器の中に設置し、容器を得られた製品で充填することを伴う。本発明の具体的な実施形態に適用されるときのそのような方法の具体的な非限定例が、以下の実施例で記載される。
【0111】
多相パーソナルケア組成物が様々な色の模様を含有する場合、消費者がパッケージを通してその模様を見ることができるように、これらの組成物を透明又は半透明のパッケージに詰めることが望ましい可能性がある。また、対象組成物の粘度のため、分配を容易にするために、パッケージを上下逆に、キャップを下にして保管させるための、消費者への指示書を包含することが望ましい場合もある。
【0112】
本明細書を通じて与えられるあらゆる最大数の限定は、あらゆるより小さい数値の限定を、そのようなより小さい数値の限定が本明細書にはっきりと表現されているかのように包含すると理解されなければならない。本明細書を通じて与えられるあらゆる最小数の限定は、それより大きいあらゆる数値の限定を、そのようなより大きい数値の限定が本明細書にはっきりと表現されているかのように包含する。本明細書を通じて与えられるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内にあるあらゆるより狭い数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が本明細書にはっきりと表現されているかのように包含する。
【0113】
特に指定がない限り、本明細書の明細、実施例、及び請求の範囲におけるすべての部、比、及び百分率は重量基準であり、すべての数値限定は、当該技術分野により提供される通常の程度の精度で使用される。
【実施例】
【0114】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に記載し及び実証する。これらの実施例は、説明の目的で提示されているに過ぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの変形が可能であるため、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0115】
実施例1は、本発明の洗浄相の比較実施例である。実施例2〜29は、本発明の多相組成物に使用できる本発明の実施例である。実施例30は、本発明の比較実施例である。実施例31〜39は、別のポリマー構造化剤を有する洗浄相の実施例である。実施例40〜41は、構造化水相の実施例である。実施例42〜44は、有益相の実施例である。洗浄相、構造化水相、及び有益相の実施例は、本明細書に記載される方法を使用して組み合わせることができる。
【0116】
実施例1は、請求した範囲外である界面活性剤構成成分を有する洗浄相の比較実施例であり、これは構造及び安定性を、少なくとも部分的には界面活性剤のその高濃度によって示し、13.8Paの降伏応力を有する。実施例30は、低界面活性剤濃度を有する組成物に典型的に生じることについての比較実施例であり、実施例30が900Pa−sの低いゼロずり粘度、及び−79%のTバー粘度変化%、及び5%の第3相を有するという点で、本発明の実施例の構造の特徴も又は安定性も示していない。
【0117】
【表1−1】

【0118】
【表1−2】

【0119】
【表2】

【0120】
【表3】

【0121】
【表4】

【0122】
【表5−1】

【0123】
【表5−2】

*ネオドール(Neodol)(商標)23、サフォール(Safol)(商標)23、及びサフォール(Safol)(商標)23−3の95%完了を超える硫酸化が、米国オハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のプロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Co)、アイボリーデール・テクニカルセンター(Ivorydale Technical Center)により、流下薄膜管反応装置中で連続SO3/空気プロセスを使用し、生成物を水酸化ナトリウムで中和し、2.5%以下の未反応アルコールを残して実行された。コカミドプロピルベタイン(ココベタイン)は、常にデグサ社(DeGussa, Inc.)からのテゴベタイン(Tegobetaine)Fである。ラウリル硫酸アンモニウム(ALS)及びラウレス硫酸アンモニウム(AES)は、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Co.)からであり、AESは、3モルエトキシル化されている。SLS及びSLESは、ナトリウム塩である。LAAナトリウムは、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ミラノールL−32ウルトラ(Miranol L-32 Ultra)(ローディア(Rhodia))である。
【0124】
洗浄相は、従来の混合技術により調製され得る。最初に、混合容器に水、皮膚有益構成成分及び増粘剤を加えて、均質な分散体が形成されるまで攪拌する。その後、次の順序で加える:界面活性剤、EDTA二ナトリウム、防腐剤、及び塩化ナトリウムの半分、並びに、芳香剤及び与えなかった塩化ナトリウムを除くすべての他の防腐剤及び微量成分。コカミドモノエタノールアミン(CMEA)が使用される場合は、65〜70℃に加熱し、さもなければ攪拌しながら周囲温度で維持する。加熱を使用した場合は、45℃に冷却する。更なる安定性のために、エクスパンセル(Expancel)091 DE 40 d30(ジョージア州ダルース(Duluth)のエクスパンセル社(Expancel, Inc.)から)のような、約30kg/m3の密度を有する気体充填ミクロスフェアが、バッチの約0.1〜0.5%で任意に使用され得る。−別個の容器中で、構造化ポリマーを芳香剤と共に予備湿潤し、攪拌しながら、残りの塩化ナトリウムと同時に混合容器に加える。均質になるまで攪拌する。クエン酸及び/又はNaOHを使用して、特に指定のない限り、pHを5.8〜6.2に調整し、次にいずれの塊も分散させるために、ポンプで静的混合要素を通してバッチを完成する。23mlの蒸留水と2mlの界面活性剤を25mlのメスシリンダー(例えば、パイレックス番号(Pyrex No.)3255)中で完全に混合(振盪)し、それを75°Fで1週間静置させ、底の混濁相の量を観測し、mlで測定するか、又は1ml未満である場合には底からの高さを測ることによりコアセルベートの量を測定する。
【0125】
実施例31〜39
次の実施例31〜39のために、実施例1の洗浄相を、芳香剤を組成物から差し引くことを除いて、調製する。組成物は、次の実施例において、芳香剤を含まない洗浄相1(Fragrance Free Cleansing Phase 1)と表示され、化学的重量ではなく合算された合計重量で示される。実施例21〜26は、ポリマー構成成分を芳香剤と共に予備湿潤し、ポリマー−芳香剤混合物を、等しい重量の芳香剤を含まない洗浄相とスパチュラを使用して手でブレンドしてペーストを調製し、残りの洗浄相を加えて攪拌し、追加の水を最後に加えて手で攪拌することにより、少量を調製する(例えば、約5分間で合計75mgを調製する)。調製後、実施例が検査されたが、目及び感触により検出可能な塊は見出されない。実施例27〜29は、ポリマーを高剪断力により塊がなくなるまで水中に分散し、次に混合物を、芳香剤を含まない洗浄相及び芳香剤と共に均質になるまで約2分間手で激しく攪拌して調製する。実施例の組成物は次に軽く遠心分離されて脱気される(混合瓶の中で2,500rpm、3分間)。
【0126】
【表6】

【0127】
【表7】

【0128】
構造化水相
ポリマーを水中に高剪断力により分散し、塩、及びペトロラタムと鉱油を除いた残りの成分を加え、トリエタノールアミンによりpH7.0に中和し(およそのTEA濃度が示される)、50℃まで加熱し、80℃で液体としてのペトロラタムと鉱油を加え、高剪断力なしに均質になるまで攪拌することにより、実施例40〜41の構造化水相を調製することができる。水溶性構成成分を有しない顔料が好ましくは使用される。ペトロラタム構成成分について約5〜100μの粒径が、粒子の大部分として得られる。
【0129】
【表8】

【0130】
有益相
有益相が次の成分を有して調製され得る。有益相は、ペトロラタムを混合容器に加えることにより調製することができる。88℃(190°F)に加熱する。鉱油及び粒子を加える。良好な顔料の分散を確実にするために、バッチを剪断する。バッチを攪拌し、ゆっくりと周囲温度に冷却する。水溶性構成成分を有しない顔料が好ましくは使用される。ペトロラタム構成成分について約5〜100μの粒径が、粒子の大部分として得られる。
【0131】
【表9】

【0132】
ペトロラタムは、クロンプトン社(Crompton Corporation)(米国ペンシルベニア州ペトロリア(Petrolia))のウィトコ(Witco)部門から得ることができる。G2218ペトロラタムは、約59℃(139°F)の完全な融点、99℃(210°F)で約75〜86SUSのセーボールド(Saybold)粘度、192〜205dmmの浸透、約0.53の剪断指数と共に約42Pa−sの稠度値、370Paの構造剛性、及び43.2℃(109.8°F)の流動開始温度を有する。ペトロラタムのガスクロマトグラムは、C20〜C120の炭化水素の存在を示唆する。C22〜28、C44〜50、及びC94〜116の偶数の鎖長を有する炭化水素についての平均のピークの高さの比を取ると、ペトロラタムは、約0.72:1.0:0.32のピークの高さの比を有する。ハイドロブライト(Hydrobrite)1000は、ほとんどすべての鉱油と比べて高い粘度を有する。
【0133】
組成物
多相パーソナルケア組成物を次の手順により調製できる。有益相が、例えば実施例33、34、及び35からの連続的脂質であるとき、有益相は80℃で別個の槽中に維持され、これは45℃の出口温度を有する掻き取り式熱交換器を通って再循環される。45℃の脂質は、充填操作にポンプで送られるか、又は再循環槽にポンプで戻されるかのいずれかである。構造化水相が有益相の代わりに使用されるとき、相は水が途切れずにホッパーの中に維持されて充填操作に重力送りされる。洗浄相を、充填機の上の重力送り槽の中に周囲温度で維持する。洗浄相と有益相又は構造化水相は、80:20、70:30、50:50、及び40:60を包含する指定された体積比で同時にポンプで送られる。洗浄相:有益相及び/又は洗浄相:構造化水相は、1、2、3又は4要素の静的ミキサー(コーシュ(Koch)/SMX型)を含有する3/4インチ(1.9センチ)直径のパイプを通り、単一パイプは、回転台の上の10オンス(296mL)瓶の中を出口とする。台は325rpmの回転速度、約2.0秒で315mlの組成物充填に設定されて、充填が底から最上部まで層化方式で進行するように回転台は充填中下げられる。均等な相対的に水平の縞模様が得られる。相の温度及び粘度、静的ミキサー要素の種類及び要素の数、パイプ直径、回転速度などを調整することにより、多種多様な模様を得ることができる。
【0134】
更に、本発明は、米国特許第6,213,166号(テイビアント(Thibiant)ら、2001年4月10日発行)に開示されているような方法及び装置により調製することができ、これらの方法及び装置は、少なくとも2つのノズルを使用して、組成物が単一容器の中にらせん状配置により充填されることを可能にする。
【0135】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲内においては、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0136】
本発明の特定の実施形態を説明し記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。そのため、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相パーソナルケア組成物であって、
i)構造化された洗浄相を含む、第1に区別可能な相、
を含み、前記洗浄相が、2重量%〜23.5の視覚的に区別可能な相;及び
ii)有益構成成分を含む、第2の視覚的重量%の界面活性剤構成成分を含む多相パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記洗浄相が、3重量%〜21重量%の前記界面活性剤構成成分を含む、請求項1に記載の多相パーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤構成成分が、少なくとも1つの分枝状アニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の多相パーソナルケア組成物。
【請求項4】
前記分枝状アニオン性界面活性剤が、トリデセス硫酸ナトリウム、トリデシル硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸アンモニウム、トリデシル硫酸アンモニウム、モノメチル分枝状界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項3に記載の多相パーソナルケア組成物。
【請求項5】
前記分枝状アニオン性界面活性剤が、モノメチル分枝状界面活性剤を含む、請求項4に記載の多相パーソナルケア組成物。
【請求項6】
前記洗浄相が、本明細書に記載されるような降伏応力及びゼロずり粘度法(Yield Stress and Zero Shear Viscosity Method)を使用して測定されるとき、1.5パスカルを超える降伏応力を提供する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多相パーソナルケア組成物。
【請求項7】
前記組成物が、ポリマー相構造化剤を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多相パーソナルケア組成物。
【請求項8】
前記ポリマー相構造化剤が、解膠ポリマー、天然由来ポリマー、合成ポリマー、架橋ポリマー、ブロックポリマー、ブロックコポリマー、コポリマー、親水性ポリマー、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、疎水性ポリマー、疎水性変性化ポリマー、結合ポリマー、オリゴマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項7に記載の多相パーソナルケア組成物。
【請求項9】
前記多相パーソナルケア組成物が、前記洗浄相の0.05重量%〜10重量%の前記ポリマー相構造化剤を含む、請求項7に記載の多相パーソナルケア組成物。
【請求項10】
前記第2の視覚的に区別可能な相が、洗浄相、有益相、非発泡性構造化水相、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項11】
前記第2の視覚的に区別可能な相が、5〜15のボーガン溶解度パラメータ(Vaughan Solubility Parameter)を有する疎水性物質を含む有益相である、請求項10に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項12】
前記有益相が、25℃で1mmの間隙を有する40mm直径の平行プレート幾何学構造でTAインスツルメンツAR2000(TA Instruments AR2000)レオメーターを使用して測定されるとき、30〜350Pa−sの稠度値(K)を有する、請求項10に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項13】
前記第1の視覚的に区別可能な相及び前記第2の視覚的に区別可能な相が、模様を形成する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項14】
前記模様が、縞模様、幾何学模様、大理石模様、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項13に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項15】
前記組成物が容器の中に詰められ、その結果前記模様が前記容器を通して目に見える、請求項13に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項16】
前記洗浄相が:
(i)少なくとも1つの電解質;
(ii)少なくとも1つのアルカノールアミド;及び
(iii)水、
を更に含み、前記洗浄相が、非ニュートン性のずり減粘であり、前記洗浄相が、25℃で1mmの間隙を有する40mm直径の平行プレート幾何学構造でTAインスツルメンツAR2000(TA Instruments AR2000)レオメーターを使用して測定されるとき、3000cpsに等しいかまたはそれを越える粘度を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項17】
前記界面活性剤構成成分が:
(i)3.4〜15.0のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤;及び
(ii)少なくとも1つの両性界面活性剤、
を更に含み、前記組成物が電解質を更に含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項18】
前記洗浄相が、液晶相誘発構造化剤を更に含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項19】
前記液晶相誘発構造化剤が、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、トリヒドロキシステアリン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項18に記載の構造化多相パーソナルケア組成物。
【請求項20】
前記組成物が、任意の有益構成成分を更に含み、前記有益構成成分が、皮膚軟化剤、粒子、ビーズ、美白剤、芳香剤、着色剤、ビタミン及びそれらの誘導体、日焼け止め剤、防腐剤、抗ニキビ薬剤、酸化防止剤、キレート化剤、精油、皮膚感覚剤、抗菌剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の構造化多相パーソナル洗浄組成物。

【公表番号】特表2008−515922(P2008−515922A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535873(P2007−535873)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/036315
【国際公開番号】WO2006/042182
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
2.PYREX
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】