説明

導電性組成物および配線基板

【課題】導電体粒子同士の3次元的接合を積極的に推進し、全体としての導電性を向上させることのできる導電性組成物および配線基板を提供する。
【解決手段】導電性組成物4は、加熱により硬化する樹脂バインダ1と、この樹脂バインダ1の硬化開始温度より低い変態開始温度を有し、変態開始温度以上で形状が伸張する導電性の第1形状記憶粒子2と、上記樹脂バインダ1の硬化開始温度より低い変態開始温度を有し、変態開始温度以上で形状が収縮する導電性の第2形状記憶粒子3とを少なくとも含有した組成を有する。
この構成によって、形状記憶粒子が互いに絡み合い、低抵抗の導体配線やビア導体を形成することができ、それを用いて配線基板および多層配線基板を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に配線パターンを形成するための導電性組成物に関し、特に耐熱性の低い樹脂基板上に低抵抗の配線パターンを形成するための導電性組成物および配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品の実装や印刷による導体配線の形成において、銀(Ag)、パラジウム(Pd)等の金属粉を樹脂に分散させた導電性ペーストや導電性接着剤等が用いられている。しかしながら、近年、電子機器の小型化、薄型化に伴って回路の微細化や高密度化がますます要求されるようになっている。
【0003】
これらの点を解決するために、電子部品実装時の接合抵抗や導体配線形成時のシート抵抗を下げる試みがなされている。例えば、変態開始温度前後で形状が変形する形状記憶合金を導電体粒子として用いた例もある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6は、形状記憶合金を用いた上記の導電性接合材料による接合方法を説明するための断面図であり、図6(a)は熱処理および硬化前の状態、図6(b)は熱処理後の状態を示している。なお、図6は、導電性接合材料を用いて電子部品を基板に接着した例であるが、基板および電子部品を省略し、双方の電極および導電性接合材料のみを示している。なお、説明の都合上、導電体粒子等は全体の寸法に比較して大きく表現している。
【0005】
まず、図6(a)に示すように、基板側電極40と電子部品側電極42との間に導電性接続材料44が塗布されている。導電性接続材料44は、樹脂バインダ46、導電体粒子48および溶融導電粒子50から構成されている。また、溶融導電粒子50は、変態開始温度以上で変形するコア54と、コア54を包含する低融点金属52とで構成されている。なお、基板および電子部品は、上記したように図示していない。
【0006】
樹脂バインダ46としては、熱硬化性のエポキシ樹脂が多くの場合に用いられるが、他にフェノール系、ポリエステル系等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド系、ポリエステル系の熱可塑性樹脂等でもよい。
【0007】
導電体粒子48としては、銅(Cu)に代表される高導電率の金属からなる微粒子が用いられる。
【0008】
溶融導電粒子50を構成するコア54としては、変態開始温度が200℃以下の銅(Cu)系の形状記憶合金が用いられる。その形状は、常温ではV字型に折れ曲がっており、変態開始温度以上で略直線状に伸びた形状となる。コア54を包含する低融点金属52としては、ガリウム−アルミニウム(Ga−Al)合金が用いられ、常温では図6(a)に示すようにコア54を覆っている。
【0009】
なお、これらのそれぞれの温度特性については、低融点金属52の溶融点を第1温度、コア54である形状記憶合金の変態開始温度を第2温度およびバインダ樹脂の硬化開始温度を第3温度としたとき、下記のように設定されている。
【0010】
第1温度 < 第2温度 < 第3温度
基板を熱処理する場合、最初に基板を第1温度に保持して低融点金属52を溶融させる。つぎに、基板を第2温度に保持するとコア54が展開変形する。つぎに、基板を第3温度に保持することによって樹脂バインダ46を硬化させる。すなわち、樹脂バインダ46が硬化することによって、拡大したコア54の形状がそのまま保持されることになる。
【0011】
このようにして、図6(b)に示すように、コア54が略直線状に伸びるとともに、低融点金属52が溶融して周辺の導電体粒子48と金属間接合も生じる。その結果、高価な金属を用いることなく電気的導通性能を向上させることができるとされている。
【0012】
また、形状記憶部材を導電性粉末として用い、変態開始温度以上で拡大した形状となって固定され、端子間を接続する導電性接着剤も提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−345017号公報
【特許文献2】特開平4−1287号公報
【特許文献3】特開平4−207100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記従来の第1の例は、導電体粒子と内部に形状記憶合金からなるコアを含んだ溶融導電粒子とを樹脂バインダ中に分散させた導電性接合部材である。この導電性接合部材は、製造段階では溶融導電粒子の体積が小さいために混練が容易であり、熱処理段階では、コアが略直線状に拡大するとともに低融点金属が溶融して導電体粒子との金属間結合を促進するように構成されている。しかしながら、導電体粒子が溶融した低融点金属に引き寄せられて、コアの周囲に集合することになる。この方法は、例えば基板上の配線と電子部品の電極端子間とを接合する等のように接合間隔が狭い場合には有効な方法と思われる。しかし、配線パターン形成等のように基板に平行な方向の配線抵抗を小さくすることが要求される場合には必ずしも有効な方法ではない。
【0014】
また、上記従来の第2の例は、形状記憶合金からなる導電体粒子を1種類含んだ導電性接着剤である。この場合、構成が簡単であるが、単に屈曲した形状から略直線状になることを利用したものであって、導電体粒子の形状程度の狭い間隔で接合する場合には効果を発揮するが、上記と同様に配線パターン形成のような場合には有効な方法ではない。
【0015】
また、上記従来の第3の例においても、常温で収縮した形状の形状記憶合金を用いており、樹脂バインダ中への充填量を大きくすることはできるが、上記と同様に配線パターン形成のような場合には有効な方法ではない。
【0016】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、導電体粒子同士の3次元的接合を積極的に推進し、全体としての導電性を向上させることのできる導電性組成物およびそれを用いた配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するために本発明の導電性組成物は、加熱により硬化する樹脂バインダと、この樹脂バインダの硬化開始温度より低い変態開始温度を有し、変態開始温度以上で形状が伸張する導電性の第1形状記憶粒子と、上記樹脂バインダの硬化開始温度より低い変態開始温度を有し、変態開始温度以上で形状が収縮する導電性の第2形状記憶粒子とを含有した組成を有する。
【0018】
また、上記組成において、第1形状記憶粒子および第2形状記憶粒子の少なくとも一方は表面に導電金属層が形成された形状記憶樹脂としてもよい。さらに、第1形状記憶粒子は変態開始温度以上でその形状が伸張したときに1つ以上の屈曲部または湾曲部を有し、第2形状記憶粒子は変態開始温度以上でその形状が収縮したときに1つ以上の屈曲部または湾曲部を有してもよい。
【0019】
このような組成とすることにより、導電性組成物を変態開始温度以上に加熱すると、第1形状記憶粒子が伸張し、第2形状記憶粒子は逆に収縮するため、第1形状記憶粒子と第2形状記憶粒子との絡まり合いが生じて直接接触する割合が増加し、その結果として導電性が向上する。
【0020】
また、本発明の導電性組成物は、加熱により硬化する樹脂バインダと、表面に複数の突起を有し、かつ少なくとも表面が導電性である導電体粒子と、樹脂バインダの硬化開始温度より低い変態開始温度を有し、変態開始温度以上で形状が伸張する導電性の第1形状記憶粒子とを含有した組成からなる。
【0021】
この組成において、第1形状記憶粒子は表面に導電金属層が形成された形状記憶樹脂であってもよい。さらに、第1形状記憶粒子は変態開始温度以上でその形状が伸張したときに1つ以上の屈曲部または湾曲部を有してもよい。さらに、上記樹脂バインダの硬化開始温度より低い変態開始温度を有し、変態開始温度以上で形状が収縮する導電性の第2形状記憶粒子を含有させてもよい。
【0022】
このような組成とすることにより、樹脂バインダへの導電体粒子と第1形状記憶粒子の混合が容易になるとともに、変態開始温度以上での処理で第1形状記憶粒子が伸長することで導電体粒子との接触が生じやすくなり導電性を向上させることができる。
【0023】
また、本発明の配線基板は、基板と、基板の主面に形成された導体配線とを有し、導体配線が上記のいずれかの導電性組成物を用いて形成されたものである。この構成によって、回路の微細化や高密度化を実現でき、電子機器の小型化、薄型化に対応できる配線基板を提供することができる。
【0024】
また、本発明の他の配線基板は、基板に形成された導体配線と、貫通孔に形成された導電体とを有し、導体配線および導電体の少なくとも一方が上記の導電性組成物で形成されたものである。この構成によって、基板の両面に形成された導体配線間を低抵抗で接続できるため、低抵抗回路を実現できる。
【0025】
また、本発明の他の配線基板は、基板の対向する主面に導体配線が形成され、かつ導体配線間が基板を貫通して形成された第1導電体によって接続された回路基板要素と、複数の回路基板要素を互いに接着し、かつ回路基板要素に形成された導体配線を接続するための第2導電体を有する接着層とからなる配線基板であって、導体配線、第1導電体および第2導電体の少なくとも1つが上記の導電性組成物で形成されたものである。この構成によって、低抵抗導体配線を有する多層配線基板を実現できる。
【0026】
また、本発明の他の配線基板は、基板と、基板上に形成された第1導体配線と、第1導体配線を覆って基板上に形成された絶縁層と、絶縁層に形成された貫通孔と、貫通孔に形成された導電体と、絶縁層上に形成され、かつ導電体を介して第1導体配線に接続された第2導体配線とを有し、第1導体配線、第2導体配線、および導電体の少なくとも1つが上記の導電性組成物を用いて形成されたものである。この構成において、導体配線および導電体の少なくとも1つを上記の導電性組成物を用いて形成することによって、低抵抗回路を形成した多層配線基板を実現できる。
【0027】
また、本発明の導体配線の形成方法は、上記の導電性組成物を用いて基板上に配線パターンを形成する工程と、変態開始温度以上で、かつ樹脂バインダの硬化開始温度より低い温度で基板を加熱して上記導電性組成物中の第1形状記憶粒子または第1形状記憶粒子と第2形状記憶粒子とを変形させる工程と、樹脂バインダの硬化開始温度以上に加熱して樹脂バインダを硬化する工程とを有する方法からなる。
【0028】
この方法により、樹脂等の基板で、比較的耐熱性の低い基板を用いても低抵抗の導体配線を形成することができる。なお、この方法は、単層配線、両面配線、ビルドアップ方式の多層配線あるいは貼り合せ方式の多層配線等に用いることができる。
【0029】
また、本発明の貫通孔への導電体の形成方法は、上記の導電性組成物を用いて基板に設けた貫通孔に充填する工程と、変態開始温度以上で、かつ樹脂バインダの硬化開始温度より低い温度で基板を加熱して上記導電性組成物中の第1形状記憶粒子または第1形状記憶粒子と第2形状記憶粒子とを変形させる工程と、樹脂バインダの硬化開始温度以上に加熱して樹脂バインダを硬化する工程とを有する方法からなる。
【0030】
この方法により、樹脂等の基板で、比較的耐熱性の低い基板を用いても貫通孔の導電体を低抵抗にすることができる。なお、この方法は、両面配線における上下の導通を取るための貫通孔に設ける導電体、ビルドアップ方式の多層配線で層間絶縁膜に設けるビアである貫通孔に充填する導電体、あるいは貼り合せ方式の多層配線における貫通孔に設ける導電体等、いずれの場合にも用いることができる。
【0031】
上記の配線基板に共通する技術は、形状記憶粒子の変形力により相互の絡まり合いが生じた後に、樹脂バインダによりその絡まり状態を固定することであって、導電性の高い導体配線や貫通孔用の導電体を形成することができるものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明による導電性組成物は、製造工程における混練作業を容易にでき、かつ導電性樹脂材料でありながら低抵抗の導体配線またはビア導体を形成することができ、耐熱性の低い樹脂基板上にも低抵抗の導体配線を形成することができるという大きな効果を奏する。
【0033】
また、この導電性組成物を用いて基板上に低抵抗回路を形成することができ、そのことによって回路の微細化、高密度化を容易に実現できる。その結果、電子機器の薄型化、小型化および低コスト化を実現できるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素については同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる導電性組成物および配線基板について、配線パターンを形成して導体配線を作製する場合の導電性組成物の変形過程を説明する断面図である。図1(a)は導電性組成物を用いて所定の配線パターン形状に印刷した状態を示し、図1(b)は印刷した導電性組成物を熱処理し、硬化した後の状態、すなわち導体配線となった状態を示す。
【0036】
図1(a)は、加熱により硬化する樹脂バインダ1の中に、変態開始温度以上でその形状が伸長する導電性の第1形状記憶粒子2および変態開始温度以上でその形状が収縮する導電性の第2形状記憶粒子3を分散させた導電性組成物4を基板5上に所定のパターンで印刷した状態を示している。
【0037】
樹脂バインダ1は、例えば室温でペースト状のエポキシ系の熱硬化性樹脂を用いることができる。さらに、樹脂バインダ1としては、他にフェノール系、ポリエチレン系、ポリスチレン系等の一般の熱硬化性樹脂を用いてもよい。
【0038】
本実施の形態においては、塗布した状態ではリング状で、変態開始温度以上に加熱されると伸長する第1形状記憶粒子2と、塗布状態ではほぼ棒状で、変態開始温度以上に加熱されると湾曲するように収縮する第2形状記憶粒子3とが樹脂バインダ1中に分散された導電性組成物を用いた例を示した。
【0039】
これらの形状記憶粒子の材料としては、銅(Cu)−マンガン(Mn)−アルミニウム(Al)系形状記憶合金、銅(Cu)−亜鉛(Zn)−アルミニウム(Al)系形状記憶合金、銅(Cu)−アルミニウム(Al)−ニッケル(Ni)系形状記憶合金、チタン(Ti)−ニッケル(Ni)系形状記憶合金、銀(Ag)−カドミニウム(Cd)系形状記憶合金、インジウム(In)−タリウム(Tl)系形状記憶合金が用いられる。あるいは形状記憶樹脂等で、その変態開始温度が樹脂バインダ1の硬化開始温度より低いものであれば特に制約なく使用可能である。なお、形状記憶樹脂の場合には、表面を金(Au)等の金属材料によりコーティングして導電性を付与して用いる。
【0040】
このような導電性組成物4を基板5上に塗布した後、基板5を第1形状記憶粒子2と第2形状記憶粒子3の変態開始温度以上に加熱する。この加熱により、図1(b)に示すように、第1形状記憶粒子2は、その形状が伸長して両端部に屈曲部を有する形状となる。一方、第2形状記憶粒子3は、逆に形状が収縮して、湾曲形状となる。このような変形が生じると、第1形状記憶粒子2と第2形状記憶粒子3とは互いに絡まり、直接接触する割合が増加する。
【0041】
このように第1形状記憶粒子2と第2形状記憶粒子3とが、それぞれ変形し互いに絡まった状態で、樹脂バインダ1の硬化開始温度まで上昇させて一定時間保持し、樹脂バインダ1を硬化させる。第1形状記憶粒子2と第2形状記憶粒子3は変形し、樹脂バインダ1の硬化により互いに絡まり接触した状態が固定される。
【0042】
このように、一方の形状記憶粒子が伸長し、他方の形状記憶粒子が収縮することによってそれぞれの形状記憶粒子の移動や絡み合いが活発になる結果、互いの接触が良好となり、配線抵抗を低減させることができる。
【0043】
基本的には、高温でオーステナイト相の形状記憶合金を所定の形状に保持したまま変態開始温度以下に冷却する。このとき、形状記憶合金はマルテンサイト相に変態する。この状態で、外部応力を加えて成型加工することにより、室温での形状が決まる。このように加工した形状記憶合金を加熱して逆変態開始温度以上にすると再びオーステナイト相に変態し、高温での形状に変化する。
【0044】
このような特性を有する第1形状記憶粒子2と第2形状記憶粒子3とは、例えば以下のようにして作製することができる。
【0045】
第1形状記憶粒子2の場合には、以下のようにして作製する。最初に、変態開始温度以上で平板状の形状を記憶させる。その後、室温に戻し、平板を円筒状に加工する。つぎに、円筒の軸に垂直に切断すれば、図1(a)に示す第1形状記憶粒子2を作製することができる。
【0046】
また、第2形状記憶粒子3の場合には、以下のようにして作製する。最初に、変態開始温度以上で湾曲形状とした板を作製し、湾曲形状を記憶させる。その後、室温に戻し、引き伸ばして平板状にする。このように平板状にした後、最初の湾曲形状の湾曲面に対して垂直に切断すれば、図1(a)に示す第2形状記憶粒子3を作製することができる。
【0047】
例えば、チタン(Ti)−ニッケル(Ni)系形状記憶合金の場合では、まずスパッタ法によって、銅板の表面にチタン(Ti)−ニッケル(Ni)合金膜を形成する。つぎに、銅板を溶解してチタン(Ti)−ニッケル(Ni)薄板を作製する。この薄板を2枚の板で挟んで円筒形に加工し、その状態で700℃、30分の熱処理を行う。その後、500℃、4時間の時効処理を行うことによって形状記憶粒子を製造するための円筒が得られる。これを切断する。
【0048】
なお、第1形状記憶粒子2および第2形状記憶粒子3の粒子サイズはともに小さいので、一定のピッチで切断する刃を設けた切断型を用いれば、一度に大量の形状記憶粒子を作製することができる。
【0049】
このような作製方法であれば、さらに複雑な形状、例えば、室温ではゼンマイ状であり、変態開始温度以上で直線状になる形状記憶粒子等も容易に作製することができる。また、伸長したときや収縮したときの形状が異なる形状記憶粒子も容易に作製することができる。
【0050】
なお、上記のような形状記憶合金ではなく、形状記憶樹脂を用いる場合には、上記のようにして個々の粒子とした後に、表面に金(Au)メッキ等を行えばよい。さらに、本発明の第1形状記憶粒子と第2形状記憶粒子とは上記の作製方法だけでなく、例えば射出成型、線状とした形状記憶合金や形状記憶樹脂を所定の形状に加工して作製する方法等であってもよい。
【0051】
なお、本実施の形態では、第1形状記憶粒子2は1つ以上の屈曲部を有する形状に伸長し、第2形状記憶粒子3は湾曲状に収縮する場合を例として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、樹脂バインダ1が軟化している状態で、第1形状記憶粒子2が伸長し、第2形状記憶粒子3が収縮して、双方が絡まりやすくなるように屈曲部と湾曲部とを有するように変形すれば、その変形した形状については特に制約はない。絡まることで導電性を向上させることができればよい。
【0052】
また、第1形状記憶粒子2および第2形状記憶粒子3の変態開始温度は、必ずしも同じである必要はなく、両方が樹脂バインダ1の硬化開始温度より低ければ、変態開始温度に差があってもよい。
【0053】
さらに、本実施の形態では、樹脂バインダ1中に分散含有させる導電粒子としては、第1形状記憶粒子2と第2形状記憶粒子3のみとしたが、本発明はこれに限定されない。これらに加えて、従来の球状あるいは燐片状の導電体粒子を分散させてもよい。
【0054】
なお、本発明の導電性組成物は低抵抗の導体配線を比較的低温で形成する場合に有効であるが、基板上の電極と半導体素子を含む種々の電子部品との接続にも使用可能である。
【0055】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態にかかる導電性組成物および配線基板について、配線パターンを形成して導体配線を作製する場合の導電性組成物の変形過程を説明する断面図である。図2(a)は導電性組成物を用いて所定の配線パターン形状に印刷した状態を示し、図2(b)は印刷した導電性組成物を熱処理し、硬化した後の状態、すなわち導体配線となった状態を示す。
【0056】
本実施の形態では、第1形状記憶粒子12は変態開始温度以下ではS字形状であるが、その大きさが異なる3種類を用いている。これらは、変態開始温度以上に加熱されると、それぞれS字形状が伸長するが、変態開始温度以下で小さな形状のものは変態後も小さく、変態開始温度以下で大きな形状であったものは変態後も大きい。
【0057】
また、第2形状記憶粒子13は変態開始温度以下では、ほぼ棒状に近いS字形状であるが、同様にその大きさが異なる3種類を用いている。これらは、変態開始温度以上に加熱されると、それぞれ収縮してよりS字に近い形状となるが、変態開始温度以下で小さな形状のものは変態後も小さく、変態開始温度以下で大きな形状であったものは変態後も大きい。
【0058】
このように初期の形状の異なるそれぞれ3種類からなる第1形状記憶粒子12と第2形状記憶粒子13とを混合させることにより、変態後の相互の絡まり合いがさらに増すことになり、この結果配線抵抗をさらに低減できる。
【0059】
図2(a)は、上記の第1形状記憶粒子12と第2形状記憶粒子13とが樹脂バインダ1に分散された導電性組成物14を基板5上に印刷した状態を示す。樹脂バインダ1は第1の実施の形態と同様に、例えばエポキシ系の熱硬化性樹脂を用いることができる。さらに、第1の実施の形態と同様に、樹脂バインダ1としては、他にフェノール系、ポリエチレン系、ポリスチレン系等の一般の熱硬化性樹脂を用いてもよい。
【0060】
これら第1形状記憶粒子12および第2形状記憶粒子13も、第1の実施の形態で説明した材料および作製方法を用いれば容易に作製できるので説明を省略する。
【0061】
つぎに、図2(b)に示すように、基板5を導電性組成物14の第1形状記憶粒子12および第2形状記憶粒子13の変態開始温度以上に加熱する。この加熱により、第1形状記憶粒子12は初期のS字形状に対して、それぞれが伸長する。また、第2形状記憶粒子13は初期のS字形状に対して、それぞれが収縮する。このような変形が生じることにより、第1形状記憶粒子12および第2形状記憶粒子13は、互いに絡まり合い接触する。
【0062】
つぎに、このように変形した状態を保持したまま、樹脂バインダ1の硬化開始温度まで加熱して一定時間保持する。この加熱により、樹脂バインダ1が硬化し、第1形状記憶粒子12および第2形状記憶粒子13の変形後の形状が固定される。第1形状記憶粒子12および第2形状記憶粒子13は、互いに絡まり接触した状態を保持する結果として、配線抵抗を小さくすることができる。
【0063】
なお、図2においては、第1形状記憶粒子12および第2形状記憶粒子13のいずれもが初期形状および変形後の形状がS字型の場合について説明したが、一方のみがS字型で、他方が棒状または湾曲状等であってもよい。また、その大きさも上記のように3種類でなく、1種類のみでもよい。あるいは、2種類、4種類等としてもよい。
【0064】
さらに、本実施の形態では、樹脂バインダ1中に分散含有させる導電粒子としては、第1形状記憶粒子12と第2形状記憶粒子13のみとしたが、本発明はこれに限定されない。これらに加えて、従来の球状あるいは燐片状の導電体粒子を分散させてもよい。
【0065】
なお、本発明の導電性組成物は低抵抗の導体配線を比較的低温で形成する場合に有効であるが、基板上の電極と半導体素子を含む種々の電子部品との接続にも使用可能である。
【0066】
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の第3の実施の形態にかかる導電性組成物および配線基板について、配線パターンを形成して導体配線を作製する場合の導電性組成物の変形過程を説明する断面図である。図3(a)は導電性組成物を用いて所定の配線パターン形状に印刷した状態を示し、図3(b)は印刷した導電性組成物を熱処理し、硬化した後の状態、すなわち導体配線となった状態を示す。本実施の形態の導電性組成物24は、第2の実施の形態の導電性組成物14のうちの第2形状記憶粒子13にかえて、表面に複数の突起を有し、かつ少なくとも表面が導電性である導電体粒子23を用いたことが特徴である。
【0067】
まず、図3(a)に示すように、樹脂バインダ1中に、表面に多数の突起を有する導電体粒子23と第1形状記憶粒子12とを分散含有させた導電性組成物24を用いて基板5の表面上に配線パターンを印刷する。なお、表面に多数の突起を有する導電体粒子23としては、例えば酸化亜鉛のウイスカーの表面に金属メッキしたもの、デンドライト状あるいは球面に近い形状の表面から複数の突起が出ている銀(Ag)粒子等を用いることができる。さらに、フレーク状、またはその他の形状で、表面に複数の突起を有する導電性の粒子であれば、特に制約なく使用することができる。
【0068】
つぎに、第1形状記憶粒子12の変態開始温度以上に加熱する。これにより、図3(b)に示すように、第1形状記憶粒子12が伸長し、導電体粒子23の突起と絡まり合い、接触する。
【0069】
このような状態とした後、樹脂バインダ1の硬化開始温度以上に一定時間加熱する。この加熱により樹脂バインダ1が硬化し、伸長した第1形状記憶粒子12と導電体粒子23とは互いに接触した状態を保持して固定される。この結果、導電体粒子23と第1形状記憶粒子12とが直接接触する接触点が大幅に増加し、配線抵抗を低減することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、第1形状記憶粒子12が伸長する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1の実施の形態の第2形状記憶粒子3や第2の実施の形態の第2形状記憶粒子13を用いてもよい。さらに、第1形状記憶粒子2、12と第2形状記憶粒子3、13を両方含むようにしてもよい。
【0071】
以上のように、本実施の形態の導電性組成物を用いて配線パターンを形成すると、比較的低温で低抵抗の配線パターンを得ることができ、耐熱性の低い樹脂基板、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等にも低抵抗の配線を形成することができる。
【0072】
なお、本発明の導電性組成物は低抵抗の導体配線を比較的低温で形成する場合に有効であるが、基板上の電極と半導体素子を含む種々の電子部品との接続にも使用可能である。
【0073】
(第4の実施の形態)
図4は、本発明の第4の実施の形態にかかる配線基板の断面図である。なお、説明のために、部分的に厚さを拡大して示している。図4(a)は、本実施の形態の導電性組成物を用いて導体配線を形成した単層構成の配線基板を示す。また、図4(b)は本実施の形態の導電性組成物を用いて、基板に設けた貫通孔に充填した導電体により両面に形成された導体配線間を接続した両面配線構成の配線基板を示している。
【0074】
図4(a)では、基板5に導体配線6が形成されている。なお、図4(a)は、本発明の第1の実施の形態で説明した導電性組成物4を用いて形成した例であるが、第2の実施の形態および第3の実施の形態において説明した導電性組成物14、24を用いてもよい。
【0075】
このような配線基板は、つぎのようにして形成することができる。まず、基板5の主面に、本発明の導電性組成物を用いて配線パターンを形成する。この配線パターンは、例えば、導電ペーストのスクリーン印刷によって形成することができる。その後に、導電性組成物の変態開始温度以上かつ樹脂バインダの硬化開始温度より低い温度で熱処理し、導電性組成物中の形状記憶粒子を変形させる。しかる後、硬化開始温度以上に加熱して、樹脂を硬化させる。本実施の形態では、熱処理工程で変形した形状記憶粒子が、導体配線6内で互いに絡み合って低抵抗化することができる。
【0076】
図4(b)では、基板25に貫通孔7が形成されており、貫通孔7内に形成された導電体8を介して、基板25の両面に形成された導体配線6、16が相互接続されている。この導体配線6、16および導電体8は、第1の実施の形態1で説明した導電性組成物4を用いて形成した例であるが、第2の実施の形態および第3の実施の形態において説明した導電性組成物14、24を用いてもよい。
【0077】
このような配線基板は、つぎのようにして形成することができる。まず、基板25に貫通孔7を形成し、この貫通孔7に本発明の導電性組成物を充填する。つぎに、基板25の両面に、本発明の導電性組成物を用いて導体配線6、16を形成する。その後に、導電性組成物を変態開始温度以上かつ樹脂バインダの硬化開始温度より低い温度で熱処理し、導電性組成物中の形状記憶粒子を変形させる。しかる後、硬化開始温度以上に加熱して、樹脂を硬化させる。本実施の形態では、熱処理工程で変形した形状記憶粒子が、導体配線6、16内、導電体8内、および導体配線6、16と導電体8の接合部分で互いに絡み合って低抵抗化することができる。
【0078】
図5は、本実施の形態における2種類の多層配線基板の構成を説明する断面図である。図5(a)は、第1の例の多層配線基板の構成を説明する断面図、図5(b)は、第2の例の多層配線基板を説明する断面図である。
【0079】
図5(a)に示すように、第1の例の多層配線基板は、第1回路基板要素15aと第2回路基板要素15bが接着層5cを介して、接着・積層されている。第1回路基板要素15aは、基板25aの両面に導体配線6aが形成されており、導体配線6a間は貫通孔に形成された導電体8aで接続されている。また、第2回路基板要素15bは、基板25bの両面に導体配線6bが形成されており、導体配線6b間は貫通孔に形成された導電体8bで接続されている。なお、第1回路基板要素15aの導体配線6aと第2回路基板要素15bの導体配線6bとは、接着層5cに形成された貫通孔の導電体8cによって、電気的に接続されている。
【0080】
このような、多層配線基板は以下のようにして形成される。
【0081】
まず、第1回路基板要素15aと第2回路基板要素15bを作製する。これらの回路基板要素は、基板25a、25bにそれぞれ所定の位置に貫通孔を形成し、貫通孔に本発明の導電性組成物を充填する。つぎに、基板25a、25bのそれぞれの両面に、導体配線6a、6bをそれぞれ形成した後、熱処理すると、第1回路基板要素15aと第2回路基板要素15bとを作製できる。
【0082】
つぎに、第1回路基板要素15aと第2回路基板要素15bの間に、別途用意した接着層5cを挟み、加熱加圧して積層する。このとき、接着層5cの貫通孔に充填された上記と同様の導電性組成物が熱処理されて形状記憶粒子が変形し、さらに樹脂バインダが硬化して導電体8cが形成されるとともに、第1回路基板要素15aと第2回路基板要素15bとの間も接着される。
【0083】
なお、接着層5cの貫通孔に充填する導電性組成物としては、第2の実施の形態および第3の実施の形態で説明した導電性組成物のいずれかを使用してもよい。
【0084】
また、図5(a)においては、貫通孔に形成した導電体のみを、本発明の導電性組成物で構成した例を示したが、導体配線のみを本発明の導電性組成物で形成するか、または導電体と導体配線の両方を本発明の導電性組成物で形成してもよい。
【0085】
また、第2の例の多層配線基板は、図5(b)に示すように、基板5の主面に第1導体配線6c、絶縁層9および第2導体配線6dをそれぞれ形成し、第1導体配線6cと第2導体配線6dとを絶縁層9の貫通孔であるビアに設けた導電体8dで接続したものである。このように、絶縁層9と導体配線を交互に積層し、絶縁層9の貫通孔であるビアに導電体8dを充填することによって導体配線間を接続しており、2層以上の導体配線を有する多層配線基板を形成することができる。
【0086】
なお、図5(b)においては、導体配線および導電体の両方を本発明の導電体組成物で形成した例を示したが、少なくともいずれかを本発明の導電性組成物で形成することにしてもよい。
【0087】
さらに、基板5の裏面にも多層配線を形成する場合には、基板5に貫通孔を設け、そこに本発明の導電性組成物または一般に用いられている導電性ペーストを充填することで、両面多層配線基板を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の導電性組成物は、樹脂バインダ中に一方が伸長し、他方が収縮する2種類の導電性の形状記憶粒子を分散含有させるか、あるいは一方がその表面に突起を有する導電体粒子と他方が形状記憶粒子と分散含有した組成からなり、基板上に形成する配線パターンを比較的低温の熱処理で低抵抗にすることができる。
【0089】
また、これらの導電性組成物を用いて配線基板、多層配線基板を構成することができる。この結果、耐熱性の低いPET基板等でも配線抵抗を低くできるので種々の電子機器分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる導電性組成物および配線基板について、配線パターンを形成する場合の導電性組成物の変形過程を説明する断面図
【図2】本発明の第2の実施の形態にかかる導電性組成物および配線基板について、配線パターンを形成する場合の導電性組成物の変形過程を説明する断面図
【図3】本発明の第3の実施の形態にかかる導電性組成物および配線基板について、配線パターンを形成する場合の導電性組成物の変形過程を説明する断面図
【図4】本発明の第4の実施の形態にかかる配線基板の断面図
【図5】本発明の第4の実施の形態における多層配線基板を説明する断面図
【図6】従来の形状記憶合金を用いた導電性接合材料による接合方法を説明するための断面図
【符号の説明】
【0091】
1,46 樹脂バインダ
2,12 第1形状記憶粒子
3,13 第2形状記憶粒子
4,14,24 導電性組成物
5,25,25a,25b 基板
5c 接着層
6,6a,6b,16 導体配線
6c 第1導体配線
6d 第2導体配線
7 貫通孔
8,8a,8b,8c,8d 導電体
9 絶縁層
15a 第1回路基板要素
15b 第2回路基板要素
23,48 導電体粒子
40 基板側電極
42 電子部品側電極
44 導電性接続材料
50 溶融導電粒子
52 低融点金属
54 コア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱により硬化する樹脂バインダと、
前記樹脂バインダの硬化開始温度より低い変態開始温度を有し、前記変態開始温度以上で形状が伸張する導電性の第1形状記憶粒子と、
前記樹脂バインダの硬化開始温度より低い前記変態開始温度を有し、前記変態開始温度以上で形状が収縮する導電性の第2形状記憶粒子とを含有したことを特徴とする導電性組成物。
【請求項2】
前記第1形状記憶粒子および前記第2形状記憶粒子の少なくとも一方は、表面に導電金属層が形成された形状記憶樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項3】
前記第1形状記憶粒子は、前記変態開始温度以上でその形状が伸張したときに1つ以上の屈曲部または湾曲部を有し、
前記第2形状記憶粒子は、前記変態開始温度以上でその形状が収縮したときに1つ以上の屈曲部または湾曲部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性組成物。
【請求項4】
加熱により硬化する樹脂バインダと、
表面に複数の突起を有し、かつ少なくとも表面が導電性である導電体粒子と、
前記樹脂バインダの硬化開始温度より低い変態開始温度を有し、前記変態開始温度以上で形状が伸張する導電性の第1形状記憶粒子とを含有したことを特徴とする導電性組成物。
【請求項5】
前記第1形状記憶粒子は、表面に導電金属層が形成された形状記憶樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の導電性組成物。
【請求項6】
前記第1形状記憶粒子は、前記変態開始温度以上でその形状が伸張したときに1つ以上の屈曲部または湾曲部を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の導電性組成物。
【請求項7】
前記樹脂バインダの硬化開始温度より低い変態開始温度を有し、前記変態開始温度以上で形状が収縮する導電性の第2形状記憶粒子をさらに含有することを特徴とする請求項4に記載の導電性組成物。
【請求項8】
基板と、前記基板の主面に形成された導体配線とを有する配線基板であって、
前記導体配線が、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の導電性組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする配線基板。
【請求項9】
基板と、前記基板に形成された導体配線と、貫通孔に形成された導電体とを有する配線基板であって、
前記導体配線および前記導電体の少なくとも一方が、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の導電性組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする配線基板。
【請求項10】
基板の対向する主面に導体配線が形成され、かつ前記導体配線間が前記基板を貫通して形成された第1導電体によって接続された回路基板要素と、
複数の前記回路基板要素を互いに接着し、かつ前記回路基板要素に形成された前記導体配線を接続するための第2導電体を有する接着層とからなる配線基板であって、
前記導体配線、前記第1導電体および前記第2導電体の少なくとも1つが、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の導電性組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする配線基板。
【請求項11】
基板と、前記基板上に形成された第1導体配線と、前記第1導体配線を覆って前記基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層に形成された貫通孔と、
前記貫通孔に形成された導電体と、前記絶縁層上に形成され、前記導電体を介して前記第1導体配線に接続された第2導体配線とを有する配線基板であって、
前記第1導体配線、前記第2導体配線および前記導電体の少なくとも1つが、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の導電性組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする配線基板。
【請求項12】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の導電性組成物を用いて基板上に配線パターンを形成する工程と、
前記変態開始温度以上で、かつ前記樹脂バインダの硬化開始温度より低い温度で前記基板を加熱して前記導電性組成物中の前記第1形状記憶粒子または前記第1形状記憶粒子と前記第2形状記憶粒子とを変形させる工程と、
前記樹脂バインダの硬化開始温度以上に加熱して前記樹脂バインダを硬化する工程とを有する導体配線の形成方法。
【請求項13】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の導電性組成物を用いて基板に設けた貫通孔に充填する工程と、
前記変態開始温度以上で、かつ前記樹脂バインダの硬化開始温度より低い温度で前記基板を加熱して前記導電性組成物中の前記第1形状記憶粒子または前記第1形状記憶粒子と前記第2形状記憶粒子とを変形させる工程と、
前記樹脂バインダの硬化開始温度以上に加熱して前記樹脂バインダを硬化する工程とを有する貫通孔への導電体の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−260783(P2006−260783A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72521(P2005−72521)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】