説明

導電性膜、ハロゲン化銀感光材料、ハロゲン化銀感光材料の製造方法、導電性膜の製造方法、プラズマディスプレイパネル用光学フィルタ及びプラズマディスプレイパネル

【課題】導電性フイルムとNDフィルタフイルムの機能を1枚のフイルムに持たせることができるようにする。
【解決手段】導電性膜10は、支持体12と、該支持体12の一方の面上に該支持体12側から順にNDフィルタ層14と導電性層16とが形成されて構成されている。導電性膜10を製造する場合、露光、現像処理を行うことによってNDフィルタ層14となる第1ハロゲン化銀塩乳剤層18と、露光、現像、めっき処理を行うことによって導電性層16となる第2ハロゲン化銀塩乳剤層20とを有するハロゲン化銀感光材料22を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化銀感光材料、これを用いて形成された導電性膜、該導電性膜からなる電磁波シールドフイルム、該シールドフイルムを有する光学フィルタ及びプラズマディスプレイパネルに関するものである。本発明における電磁波シールドフイルムは、CRT(陰極線管)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、液晶、ELP(エレクトロルミネッセンスパネル(ELともいう。))、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等のディスプレイの前面、電子レンジ、電子機器、プリント配線板等から発生する電磁波を遮蔽するのに有効である。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電気設備や電子応用設備の利用の増加に伴い、電磁波障害(Electro−Magnetic Interference:EMI)が急増している。EMIは、電子、電気機器の誤動作、障害の原因になるほか、これらの装置のオペレータにも健康障害を与えることが指摘されている。このため、電子電気機器では、電磁波放出の強さを規格又は規制内に抑えることが要求されている。
【0003】
上記EMIの対策には電磁波をシールドする必要があるが、それには金属の電磁波を貫通させない性質を利用すればよいことは自明である。例えば、筐体を金属体又は高導電体にする方法や、回路基板と回路基板との間に金属板を挿入する方法、ケーブルを金属箔で覆う方法等が採用されている。しかし、CRT、PDP等ではオペレータが画面に表示される文字等を認識する必要があるため、ディスプレイにおける透明性が要求される。このため、前記の方法では、いずれもディスプレイ前面が不透明になることが多く、電磁波のシールド法としては不適切なものであった。
【0004】
特に、PDPは、CRT等と比較すると多量の電磁波を発生するため、より強い電磁波シールド能が求められている。電磁波シールド能は、簡便には表面抵抗値で表すことができ、CRT用の透光性電磁波シールド材料では、表面抵抗値は凡そ300オーム/sq以下であることが要求されるのに対し、PDP用の透光性電磁波シールド材料では、2.5オーム/sq以下が要求され、PDPを用いた民生用プラズマテレビにおいては、1.5オーム/sq以下とする必要性が高く、より望ましくは0.1オーム/sq以下という極めて高い導電性が要求されている。
【0005】
また、透明性に関する要求レベルは、CRT用として凡そ70%以上、PDP用として80%以上が要求されており、さらにより高い透明性が望まれている。
【0006】
上記の問題を解決するために、以下に示されるように、開口部を有する金属メッシュを利用して電磁波シールド性と透明性とを両立させる種々の材料・方法がこれまで提案されている。
【0007】
(1)導電性繊維
例えば、特許文献1には、導電性繊維からなる電磁波シールド材が開示されている。しかし、このシールド材はメッシュ線幅が太くディスプレイ画面をシールドすると、画面が暗くなり、ディスプレイに表示された文字が見えにくいという欠点があった。さらに、電解めっき処理を枚葉処理で、且つ、バッチ処理により行っているため、電流を流した側に近い部分で多くめっきされる等、不均一を生じやすく、生産性に劣っていた。
【0008】
(2)無電解めっき加工メッシュ
無電解めっき触媒をスクリーン印刷等の印刷法で格子状パターンとして形成し、次いで無電解めっきを行う方法が提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、印刷される線幅は60μm程度と太く、ディスプレイの用途としては不適切であった。また、スクリーン又は凹版等のサイズ単位でメッシュが途切れるため、ロスが多いという問題があった。
【0009】
さらに、無電解めっき触媒を含有するフォトレジストを塗布して露光と現像を行うことにより無電解めっき触媒のパターンを形成した後、無電解めっきする方法が提案されている(例えば、特許文献3)。しかし、透明性が不十分なことに加えて。触媒として極めて高価なパラジウムを用いる必要があることから製造コストの面でも問題があった。
【0010】
(3)フォトリソグラフィ法により形成されたメッシュ
フォトリソグラフィ法を利用したエッチング加工により、透明基体上に金属薄膜のメッシュを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献4)。この方法では、微細加工が可能であるため、高開口率(高透過率)のメッシュを作成することができ、強力な電磁波が放出されても遮蔽できるという利点を有する。しかし、その製造工程は煩雑、且つ、複雑で、生産コストが高価になるという間題点があった。また、露光方式が枚葉のフォトマスクであるために露光マスクサイズ単位にメッシュが途切れることも生産性を落とす原因となっていた。さらには、格子模様の交点部が直線部分の線幅より太いことやモアレの問題も指摘され、改善が要望されていた。
【0011】
(4)ハロゲン化銀を現像する方法により形成されたメッシュ
ハロゲン化銀を現像して得られる導電性金属銀で導電性メッシュを形成する方法、あるいは該導電性メッシュにさらに金属銅をめっきしてメッシュを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献5)。この方法は30μm以下の微細なメッシュ線幅が達成できるだけでなく、ハロゲン化銀感光材料の作成からめっきまでロールで作成することができ、メッシュも途切れることがなく、高い生産性が期待できる。
【0012】
他方、CRTやLCD。PDP等のディスプレイは明るい部屋で観察されることが多い。この場合、蛍光灯等の照明の灯りがディスプレイで反射し、明室コントラストの低下を引き起こす。これに対し、PDPはニュートラルデンシティフィルタ(NDフィルタ)等を用いることでこのコントラストの減少を抑えている(例えば特許文献6参照)。通常、NDフィルタは、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の基材上に塗設されたフイルムであり、電磁波シールドフイルムや反射防止フイルム等、他の機能性フイルムと貼り合せてディスプレイにセットされる。これら複数の機能性フイルムを別々に作製し貼り合せるため、製造コストが高いことが問題となっていた。
【0013】
【特許文献1】特開平5−327274号公報
【特許文献2】特開平11−170420号公報
【特許文献3】特開平11−170421号公報
【特許文献4】特開2003−46293号公報
【特許文献5】特開2004−207001号公報
【特許文献6】特開2007−207963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、導電性フイルムとNDフィルタフイルムの機能を1枚のフイルムに持たせ、生産性、低コスト性に優れ、さらには導電性メッシュの細線形状も良化させた導電性膜とその製造方法及び導電性膜を形成しうるハロゲン化銀感光材料とその製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、高い電磁波シールド性と明室コントラスト、視認性に優れるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ及びプラズマディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題は、以下の発明により解決された。
【0017】
[1] 本発明に係る導電性膜は、支持体の一方の側に該支持体側から順にニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層が形成されていることを特徴とする。
【0018】
[2] [1]の導電性膜において、前記導電性層がハロゲン化銀塩乳剤層を露光、現像処理、めっき処理を行うことにより形成されることを特徴とする。
【0019】
[3] [1]又は[2]の導電性膜において、前記ニュートラルデンシティフィルタ層が金属銀を含有することを特徴とする。
【0020】
[4] [1]〜[3]のいずれかの導電性膜において、前記ニュートラルデンシティフィルタ層がハロゲン化銀塩乳剤層を露光、現像処理を行うことにより形成されていることを特徴とする。
【0021】
[5] [1]〜[4]のいずれかの導電性膜において、前記ニュートラルデンシティフィルタ層の光学濃度が0.1以上0.7以下であることを特徴とする。このような光学濃度のニュートラルデンシティフィルタ層を設けることで、明室コントラストに優れた画質を提供できる画像表示装置を提供することができる。
【0022】
[6] [1]〜[5]のいずれかの導電性膜において、前記ニュートラルデンシティフィルタ層と前記導電性層の間に中間層が設けられていることを特徴とする。
【0023】
[7] ここで、中間層とはニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層が互いに影響を及ぼし合うのを防止したり、導電性層の細線形状や感光材料の保存性を向上させるような添加剤を導入するために設置される。これらの機能の中でも、ニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層を電気的に絶縁する絶縁層であることが好ましい。
【0024】
[8] この絶縁層は非導電性バインダを含有することが好ましく、ゼラチンからなる層であることが特に好ましい。この絶縁層が存在することで、導電性膜の製造過程のめっき処理で導電層に通電した場合に導電層からニュートラルデンシティ層に電気が逃げ、めっきが不十分となることを防止できる。このような観点から、この絶縁層は表面抵抗が非常に大きなものであることが好ましい。
【0025】
[9] 本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、ニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層とを有する導電性膜を得るための材料であって、露光、現像処理を行うことによって前記ニュートラルデンシティフィルタ層となる第1層と、露光、現像、めっき処理を行うことによって前記導電性層となる第2層とを有することを特徴とする。
【0026】
[10] [9]のハロゲン化銀感光材料において、前記第1層のハロゲン化銀と、前記第2層のハロゲン化銀とがそれぞれ異なる分光感度を有することを特徴とする。
【0027】
[11] [9]又は[10]のハロゲン化銀感光材料において、前記第1層のハロゲン化銀が分光増感色素で分光増感されていることを特徴とする。
【0028】
[12] [9]のハロゲン化銀感光材料において、前記第1層の金属銀がコロイド銀であることを特徴とする。
【0029】
[13] 本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法は、ニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層とを有する導電性膜を得るためのハロゲン化感光材料の製造方法であって、露光、現像処理を行うことによって前記ニュートラルデンシティフィルタ層となる第1層と、露光、現像、めっき処理を行うことによって前記導電性層となる第2層とを同時に重層塗布することを特徴とする。
【0030】
[14] 本発明に係る導電性膜の製造方法は、ニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層を形成し得るハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を露光、現像、めっき処理を行うことにより導電性膜を得ることを特徴とする。
【0031】
[15] 本発明に係るプラズマディスプレイパネル用光学フィルタは、[1]〜[8]のいずれかの導電性膜を有することを特徴とする。
【0032】
[16] 本発明に係るプラズマディスプレイパネルは、[1]〜[8]のいずれかの導電性膜を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明に係る導電性膜、ハロゲン化銀感光材料、導電性膜の製造方法、ハロゲン化銀感光材料の製造方法によれば、導電性フイルムとニュートラルデンシティフィルタフイルムの機能を1枚のフイルムに持たせることができ、生産性、低コスト性に優れ、さらには導電性メッシュの細線形状も良化させることができる。
【0034】
また、本発明に係るプラズマディスプレイ用光学フィルタ及びプラズマディスプレイパネルによれば、高い電磁波シールド性と明室コントラスト、視認性に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0036】
また、本明細書で、「連続メッシュパターン」等における「メッシュ」とは、当業界の用例に従って複数の細線からなる網目パターン又は複数の細線からなる網を指す。さらに「連続」の意味は、ロール状等の長尺フイルムを指し、且つ、メッシュパターンが途切れずに連続していることを意味する。
【0037】
また、「電磁波シールド膜」は、フイルム状の透明支持体に担持されているので、積層される他の構成要素(構成フイルム)との混乱がない限り「電磁波シールドフイルム」又は単に「フイルム」と呼ぶこともある。
【0038】
先ず、本実施の形態に係る導電性膜10は、図1に示すように、支持体12と、該支持体12の一方の面上に該支持体12側から順にニュートラルデンシティフィルタ層(以下、NDフィルタ層14と記す)と導電性層16とが形成されて構成されている。
【0039】
本実施の形態に係る導電性膜10を製造する場合、例えば図2に示すように、露光、現像処理を行うことによってNDフィルタ層14となる第1ハロゲン化銀塩乳剤層18と、露光、現像、めっき処理を行うことによって導電性層16となる第2ハロゲン化銀塩乳剤層20とを有するハロゲン化銀感光材料22を用いることができる。
【0040】
第1ハロゲン化銀塩乳剤層18は、第1ハロゲン化銀24(例えば臭化銀粒子、塩臭化銀粒子や沃臭化銀粒子)をゼラチン26に混ぜることで構成され、第2ハロゲン化銀塩乳剤層20は、第2ハロゲン化銀28(例えば臭化銀粒子、塩臭化銀粒子や沃臭化銀粒子)をゼラチン26に混ぜることで構成されている。なお、第1ハロゲン化銀24及び第2ハロゲン化銀28を「粒々」として表記してあるが、あくまでも本発明の理解を助けるために誇張して示したものであって、大きさや濃度等を示したものではない。
【0041】
このハロゲン化銀感光材料22を製造する場合、例えば図3に示すように、同時重層塗布装置30が使用される。この同時重層塗布装置30はダイ32を有する。ダイ32は、搬送過程にある支持体12の一方の面と対向する摺動面34を有する。ダイ32の内部には、摺動面34に形成された開口に向けて塗布液を供給する少なくとも2つのスロット(第1スロット36A及び第2スロット36B)が形成されている。第1スロット36Aは支持体12の搬送方向に対して上流側に形成され、第2スロット36Bは下流側に形成されている。また、第1スロット36Aには、第1供液系38Aを介して第1ハロゲン化銀塩乳剤層18を形成するための第1乳剤液40が供給され、第2スロット36Bには、第2供液系38Bを介して第2ハロゲン化銀塩乳剤層20を形成するための第2乳剤液42が供給される。
【0042】
従って、支持体12を一定速度で搬送させることで、先ず、支持体12の一方の面に第1スロット36Aを介して第1乳剤液40が塗布され、塗布された第1乳剤液40上に第2スロット36Bを介して第2乳剤液42が塗布されることになる。すなわち、1回の支持体12の搬送で第1乳剤液40と第2乳剤液42が同時重層塗布されることになる。
【0043】
そして、第1乳剤液40及び第2乳剤液42が塗布された支持体12を乾燥することによって、支持体12上に第1乳剤液40による第1ハロゲン化銀塩乳剤層18と第2乳剤液42による第2ハロゲン化銀塩乳剤層20が重層されたハロゲン化銀感光材料22(図2参照)が完成することになる。
【0044】
ここで、本実施の形態に係るハロゲン化銀感光材料22は、第1ハロゲン化銀塩乳剤層18の第1ハロゲン化銀24と、第2ハロゲン化銀塩乳剤層20の第2ハロゲン化銀28とがそれぞれ異なる分光感度を有する。例えば図4に示すように、第1ハロゲン化銀塩乳剤層18における第1ハロゲン化銀24の分光感度は第1波長λ1においてピークとなり、第2ハロゲン化銀塩乳剤層20における第2ハロゲン化銀28の分光感度は第2波長λ2(≠第1波長λ1)においてピークとなるように設定されている。異なる分光感度を有するには、、第1ハロゲン化銀塩乳剤層18の第1ハロゲン化銀24と、第2ハロゲン化銀塩乳剤層20の第2ハロゲン化銀28のハロゲン組成を変える方法と、一方、もしくは両方のハロゲン化銀乳剤層を分光増感色素にて分光増感させる方法がある。特に、第1ハロゲン化銀24を分光増感色素で分光増感させる場合も好ましく採用される。例えば第1ハロゲン化銀24及び第2ハロゲン化銀28の分光感度が共に第2波長λ2においてピークをとる場合を想定したとき、第1ハロゲン化銀24を分光増感色素で分光増感させて第1波長λ1(≠第2波長λ2)でもピークをとるように設定する。
【0045】
次に、本実施の形態に係る導電性膜10を製造する方法について図5A〜図6Bを参照しながら説明する。
【0046】
先ず、図5Aに示すように、例えば第1ハロゲン化銀塩乳剤層18の全面に対して第1波長λ1の光で露光を行う(全面露光)。このとき、第1ハロゲン化銀24は、光エネルギーを受けると感光して「潜像」と称される肉眼では観察できない微小な銀核を生成する。
【0047】
その後、図5Bに示すように、第2ハロゲン化銀塩乳剤層20に対して予め設定しておいたメッシュパターンに沿って第2波長λ2の光で露光を行う(局所露光)。この場合も、第2ハロゲン化銀28は、光エネルギーを受けると感光して「潜像」と称される肉眼では観察できない微小な銀核を生成する。
【0048】
その後、潜像を肉眼で観察できる可視化された画像に増幅するために、図5Cに示すように、現像処理を行う。具体的には、潜像が形成された第1ハロゲン化銀塩乳剤層18及び第2ハロゲン化銀塩乳剤層20を現像液(アルカリ性溶液と酸性溶液のどちらもあるが通常はアルカリ性溶液が多い)により現像処理を行う。この現像処理とは、ハロゲン化銀粒子ないし現像液から供給された銀イオンが現像液中の現像主薬と呼ばれる還元剤により潜像銀核を触媒核として金属銀に還元されて、その結果として潜像銀核が増幅されて可視化された銀画像(第1現像銀44及び第2現像銀46)を形成する。
【0049】
現像処理を終えたあとに第2ハロゲン化銀塩乳剤層20中には光に感光できる第2ハロゲン化銀28が残存するのでこれを除去するために図6Aに示すように定着処理液(酸性溶液とアルカリ性溶液のどちらもあるが通常は酸性溶液が多い)により定着処理を行う。
【0050】
この定着処理を行うことによって、露光された部位には第1金属銀部48及び第2金属銀部50が形成され、露光されていない部位にはゼラチン26のみが残存する。すなわち、第2ハロゲン化銀塩乳剤層に対する全面露光によって第1金属銀部48によるNDフィルタ層14が形成され、さらにこのNDフィルタ層14上に第2金属銀部50によるメッシュパターン52が形成されることになる。この段階で被めっき材49が完成する。
【0051】
ところで、第2ハロゲン化銀塩乳剤層20の第2ハロゲン化銀28として臭化銀を用い、チオ硫酸塩で定着処理した場合の定着処理の反応式は以下のようである。
AgBr(固体)+2個のS23イオン → Ag(S232
(易水溶性錯体)
【0052】
すなわち、2個のチオ硫酸イオンS23とゼラチン26中の銀イオン(AgBrからの銀イオン)が、チオ硫酸銀錯体を生成する。チオ硫酸銀錯体は水溶性が高いのでゼラチン26中から溶出されることになる。その結果、第2現像銀46が第2金属銀部50として定着されて残ることになる。
【0053】
従って、現像工程は、潜像に対し還元剤を反応させて第2現像銀46を析出させる工程であり、定着工程は、第2現像銀46にならなかった第2ハロゲン化銀28を水に溶出させる工程である。詳細は、T.H.James, The Theory of the Photographic Process, 4th ed., Macmillian Publishing Co.,Inc, NY,Chapter15, pp.438−442. 1977を参照されたい。
【0054】
なお、現像処理は多くの場合アルカリ性溶液で行われることから、現像処理工程から定着処理工程に入る際に、現像処理にて付着したアルカリ溶液が定着処理溶液(多くの場合は酸性溶液である)に持ち込まれるため、定着処理液の活性が変わるといった問題がある。また、現像処理槽を出た後、膜に残留した現像液により意図しない現像反応がさらに進行する懸念もある。そこで、現像処理後で、定着処理工程に入る前に、酢酸(酢)溶液等の停止液で第1ハロゲン化銀塩乳剤層18及び第2ハロゲン化銀塩乳剤層20を中和もしくは酸性化することが好ましい。
【0055】
そして、図6Bに示すように、例えばめっき処理(無電解めっきや電気めっきを単独ないし組み合わせる)を行って、第2金属銀部50の表面のみに金属層54を担持させることによって、支持体12上に第1金属銀部48によるNDフィルタ層14と、該NDフィルタ層14上に第2金属銀部50によるメッシュパターン52と該第2金属銀部50に担持された金属層54とによる導電性層16が形成されることになる。金属層54としては、Cu(銅)やNi(ニッケル)等の態様がある。なお、支持体12の他方の面に易接着層を設けるようにしてもよい。
【0056】
ここで、上述した第2ハロゲン化銀塩乳剤層20を用いた方法(銀塩写真技術)と、フォトレジストを用いた方法(レジスト技術)との違いを説明する。
【0057】
レジスト技術では、露光処理により光重合開始剤が光を吸収して反応が始まりフォトレジスト膜(樹脂)自体が重合反応して現像液に対する溶解性の増大又は減少させ、現像処理により露光部分又は未露光部分の樹脂を除去する。なおレジスト技術で現像液とよばれる液は還元剤を含まず、未反応の樹脂成分を溶解する例えばアルカリ性溶液である。一方、本発明の銀塩写真技術の露光処理では上記に記載したように、光を受けた部位の第2ハロゲン化銀28内において発生した光電子と銀イオンからいわゆる「潜像」と呼ばれる微小な銀核が形成され、その潜像銀核が現像処理(この場合の現像液は必ず現像主薬と呼ばれる還元剤を含む)により増幅されて可視化された銀画像になる。このように、レジスト技術と銀塩写真技術とでは、露光処理から現像処理での反応が全く異なる。
【0058】
レジスト技術の現像処理では露光部分又は未露光部分の重合反応しなかった樹脂部分が除去される。一方、銀塩写真技術の現像処理では、潜像を触媒核にして現像液に含まれる現像主薬と呼ばれる還元剤により還元反応がおこり、目に見える大きさまで第2現像銀46が成長するものであって、未露光部分のゼラチン26の除去は行われない。このように、レジスト技術と銀塩写真技術とでは、現像処理での反応も全く異なる。
【0059】
なお、未露光部分のゼラチン26に含まれる第2ハロゲン化銀28は、その後の定着処理によって溶出されるものであって、ゼラチン26自体の除去は行われない(図6A参照)。
【0060】
このように、銀塩写真技術では反応(感光)主体がハロゲン化銀であるのに対し、レジスト技術では光重合開始剤である。また、現像処理では、銀塩写真技術ではバインダ(ゼラチン26)は残存するが(図6A参照)、レジスト技術ではバインダがなくなる。このような点で、銀塩写真技術とフォトレジスト技術は大きく相違する。
【0061】
このように、本実施の形態に係る導電性膜10においては、支持体12上にNDフィルタ層14と導電性層16とを積層するようにしたので、NDフィルタ機能と導電性機能を1枚のフイルムに持たせることができ、生産性、低コスト性に優れ、さらには導電性メッシュの細線形状も良化させることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、露光、現像処理を行うことによってNDフィルタ層14となる第1ハロゲン化銀塩乳剤層18と、露光、現像、めっき処理を行うことによって導電性層16となる第2ハロゲン化銀塩乳剤層20とを有するハロゲン化銀感光材料22を用いるようにしたので、NDフィルタ機能と導電性機能を1枚のフイルムに持たせることができる導電性膜10を簡単に製造することが可能となる。
【0063】
通常、支持体12上に第1ハロゲン化銀塩乳剤層18を形成した後に、該第1ハロゲン化銀塩乳剤層18に対して露光、現像処理を行ってNDフィルタ層14を形成し、その後、NDフィルタ層14上に第2ハロゲン化銀塩乳剤層20を形成し、さらに、第2ハロゲン化銀塩乳剤層20に対してメッシュパターン52に沿った露光と現像処理並びにめっき処理を行って導電性層16を形成することが考えられるが、本実施の形態では、第1ハロゲン化銀24と、第2ハロゲン化銀28とがそれぞれ異なる分光感度を有するようにし、あるいは、第1ハロゲン化銀24を分光増感色素で分光増感するようにしたので、第1ハロゲン化銀塩乳剤層18と第2ハロゲン化銀塩乳剤層20とを積層した状態での選択的な露光が可能となる。その結果、同時重層塗布法等の効率的な塗布方法を採用することが可能となり、製造工程の簡略化、導電性膜10の生産性の向上を図ることができる。
【0064】
次に、本発明の詳細について説明する。
【0065】
(1)感光材料
(1−1)支持体
本発明に用いられる感光材料の支持体としては、透明支持フイルムを用いることが好ましく、プラスチックフイルム、プラスチック板、及びガラス板等を用いることができる。上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
【0066】
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさ及び価格の点から、上記プラスチックフイルムはポリエチレンテレフタレートフイルム又はトリアセチルセルロース(TAC)であることが好ましい。
【0067】
ディスプレイ用の電磁波シールド膜では透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフイルム又はプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフイルム及びプラスチック板として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
【0068】
本発明におけるプラスチックフイルム及びプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フイルムとして用いることも可能である。
【0069】
(1−2)保護層
用いられる感光材料は、後述する銀塩乳剤層(以下、単に乳剤層ということもある)上に保護層を設けていてもよい。本発明において「保護層」とは、ゼラチンや高分子材料等のバインダからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために乳剤層上に形成される。上記保護層はめっき処理する上では設けない方が好ましく、設けるとしても薄い方が好ましい。その厚みは0.2μm以下が好ましい。上記保護層の形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
【0070】
(1−3)乳剤層(導電性前駆体層)
本発明に用いられる感光材料は、支持体上に、光センサとして銀塩乳剤層を有する。本発明における乳剤層には、銀塩のほか、必要に応じて染料、バインダ、溶媒等を含有することができる。
【0071】
<染料>
乳剤層には染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルタ染料として、もしくはイラジエーション防止その他種々の目的で乳剤層に含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。本発明に好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
【0072】
このほか、本発明に使用することができる染料としては、現像又は定着の処理時に脱色する固体微粒子分散状の染料として、特開平3−138640号公報記載のシアニン染料、ピリリウム染料及びアミニウム染料が挙げられる。また、処理時に脱色しない染料として、特開平9−96891号公報記載のカルボキシル基を有するシアニン染料、特開平8−245902号公報記載の酸性基を含まないシアニン染料及び同8−333519号公報記載のレーキ型シアニン染料、特開平1−266536号公報記載のシアニン染料、特開平3−136038号公報記載のホロポーラ型シアニン染料、特開昭62−299959号公報記載のピリリウム染料、特開平7−253639号公報記載のポリマー型シアニン染料、特開平2−282244号公報記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開昭63−131135号公報記載の光散乱粒子、特開平9−5913号公報記載のYb3+化合物及び特開平7−113072号公報記載のITO粉末等が挙げられる。
【0073】
また、上記染料としては、水溶性染料を含有することもできる。このような水溶性染料としては、オキソノール染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、シアニン染料及びアゾ染料が挙げられる。中でも本発明においては、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料及びベンジリデン染料が有用である。本発明に用い得る水溶性染料の具体例としては、英国特許584,609号明細書、同1,177,429号明細書、特開昭48−85130号公報、同49−99620号公報、同49−114420号公報、同52−20822号公報、同59−154439号公報、同59−208548号公報、米国特許2,274,782号明細書、同2,533,472号明細書、同2,956,879号明細書、同3,148,187号明細書、同3,177,078号明細書、同3,247,127号明細書、同3,540,887号明細書、同3,575,704号明細書、同3,653,905号明細書、同3,718,427号明細書に記載されたものが挙げられる。
【0074】
上記乳剤層中における染料の含有量は、イラジエーション防止等の効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
【0075】
<銀塩>
本発明で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩が挙げられる。本発明においては、光センサとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
【0076】
本発明で好ましく用いられるハロゲン化銀について説明する。
【0077】
本発明では、光センサとして機能させるためにハロゲン化銀を使用することが好ましく、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においても用いることができる。
【0078】
ハロゲン化銀は、露光された部分が現像処理後に黒化する、いわゆるネガ型を用いてもよいし、露光された部分以外が黒化する、いわゆるポジ型を用いてもよい。
【0079】
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrやAgClを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
【0080】
なお、ここで、「AgCl(塩化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める塩化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgClを主体としたハロゲン化銀粒子は、塩化物イオンのほかに沃化物イオン、臭化物イオンを含有していてもよい。
【0081】
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成されるパターン状の金属銀部の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、10〜800nmであることがより好ましく、5〜400nmであることがさらに好ましい。
【0082】
なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
【0083】
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状等)、八面体状、14面体状等、様々な形状であることができ、立方体、14面体が好ましい。
【0084】
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部或いは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
【0085】
本発明に用いられる乳剤層用塗布液であるハロゲン化銀乳剤は、P.Glafkides著 Chimie etPhysique Photographique (Paul Montel 社刊、1967年)、G. F. Dufin 著Photographic Emulsion Chemistry (The Forcal Press刊、1966年)、V. L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion (The ForcalPress 刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
【0086】
すなわち、上記ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、酸性法、中性法等のいずれでもよく、又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩とを反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせ等のいずれを用いてもよい。
【0087】
また、銀粒子の形成方法としては、粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。さらに、同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0088】
また、アンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることも好ましい。係る方法としてより好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号等の各公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物としてはテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオン等が挙げられる。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類及び目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10-5〜10-2モルが好ましい。
【0089】
上記コントロールド・ダブルジェット法及びハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に好ましく用いることができる。
【0090】
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において速く銀を成長させることが好ましい。本発明における乳剤層の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
【0091】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
【0092】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、周期律表のVIII族、VIIB族に属する金属元素を含有してもよい。特に、高コントラスト及び低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物等を含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってよく、配位子として例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオン等の擬ハロゲンリガンド、アンモニアのほか、アミン類(メチルアミン、エチレンジアミン等)、ヘテロ環化合物(イミダゾール、チアゾール、5−メチルチアゾール、メルカプトイミダゾール等)、尿素、チオ尿素等の有機分子を挙げることができる。
【0093】
また、高感度化のためにはK4〔Fe(CN)6〕やK4〔Ru(CN)6〕、K3〔Cr(CN)6〕のごとき六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
【0094】
上記ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、K3Rh2Br9等が挙げられる。
【0095】
これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、予めロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0096】
上記イリジウム化合物としては、K2IrCl6、K3IrCl6等のヘキサクロロイリジウム錯塩、ヘキサブロモイリジウム錯塩、ヘキサアンミンイリジウム錯塩、ペンタクロロニトロシルイリジウム錯塩等が挙げられる。上記ルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウム、K4〔Ru(CN)6〕等が挙げられる。上記鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0097】
上記ルテニウム化合物、オスミニウム化合物は特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加され、特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6-n
(ここで、MはRu、又はOsを表し、nは0、1、2、3又は4を表す。)
【0098】
この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また、好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0099】
〔RuCl6-3、〔RuCl4(H2O)2-1、〔RuCl5(NO)〕-2、〔RuBr5(NS)〕-2、〔Ru(CO)3Cl3-2、〔Ru(CO)Cl5-2、〔Ru(CO)Br5-2、〔OsCl6-3、〔OsCl5(NO)〕-2、〔Os(NO)(CN)5-2、〔Os(NS)Br5-2、〔Os(CN)6-4、〔Os(O)2(CN)5-4
【0100】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当り10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
【0101】
その他、本発明では、Pd(II)イオン及び/又はPd元素を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。
【0102】
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加する等の方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
【0103】
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解めっきの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解めっき触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
【0104】
本発明において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオン及び/又はPd金属元素の含有率は、ハロゲン化銀の、銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。使用するPd化合物の例としては、PdCl4や、Na2PdCl4等が挙げられる。
【0105】
本発明では、さらに光センサとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感の方法としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感等のカルコゲン増感、金増感等の貴金属増感、及び還元増感等を用いることができる。これらは、単独又は組み合わせて用いられる。上記化学増感の方法を組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法等の組み合わせが好ましい。
【0106】
上記硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさ等の種々の条件の下で変化し、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-5〜10-3モルである。
【0107】
上記セレン増感に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、上記セレン増感は、通常、不安定型及び/又は非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)及び(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0108】
上記テルル増感剤に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面又は内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。具体的には、米国特許US第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635頁(1980)、同1102頁(1979)、同 645頁(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1巻,2191頁(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Selenium and Tellunium Compounds)、1巻(1986)、同 2巻(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平5−313284号公報中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0109】
本発明で用いることのできるセレン増感剤及びテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
【0110】
また、上記貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられ、特に金増感が好ましい。金増感に用いられる金増感剤としては、具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、チオグルコース金(I)、チオマンノース金(I)等が挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2モル程度を用いることができる。本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成又は物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩等を共存させてもよい。
【0111】
また、本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物等を用いることができる。上記ハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許(EP)293917号明細書に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。本発明に用いられる感光材料の作製に用いられるハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるもの)の併用であってもよい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0112】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光又は赤外光に分光増感されてもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
【0113】
本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item18341X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
【0114】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
【0115】
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500号公報、同43−4933号公報、特開昭59−19032号公報、同59−192242号公報等に記載されている。
【0116】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0117】
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水又は親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号公報、同44−27555号公報、同57−22091号公報等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸又は塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号公報、同58−105141号公報に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号公報に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0118】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号明細書、同第3,628,960号明細書、同第4,183,756号明細書、同第4,225,666号明細書、特開昭58−184142号公報、同60−196749号公報等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程又は/及び脱塩前の時期、脱銀工程中及び/又は脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号公報等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前又は工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4225666号明細書、特開昭58−7629号公報等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、又は異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中又は化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前又は工程中と完了後とに分ける等して分割して添加してもよく、分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0119】
本発明の増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、カブリ防止剤の種類等により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり、4×10-6〜8×10-3molで用いることができる。例えばハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2あたり、2×10-7〜3.5×10-6molの添加量が好ましく、6.5×10-7〜2.0×10-6molの添加量がより好ましい。
【0120】
<バインダ>
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、且つ、乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダを用いることができる。本発明において上記バインダとしては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれもバインダとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
【0121】
上記バインダとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
【0122】
乳剤層中に含有されるバインダの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。なお、銀塩含有層中のバインダの含有量は、Ag/バインダ体積比で1/4〜100(/1)であることが好ましく、1/3〜10(/1)であることがより好ましく、1/2〜2(/1)であることがさらに好ましい。1/1〜2(/1)であることが最も好ましい。銀塩含有層中にバインダをAg/バインダ体積比で高い銀比率を有すれば、物理現像及び/又はめっき処理工程において金属粒子同士が互いに接触しやすく、高い導電性を得ることが容易である、また、導電性にムラを生じにくい点で、好ましい。
【0123】
<溶媒>
上記乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0124】
本発明の乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、前記乳剤層に含まれる銀塩、バインダ等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0125】
<硬膜剤>
本発明に係る感光材料の乳剤層及びその他の親水性コロイド層は、硬膜剤によって硬膜されることが好ましい。
【0126】
硬膜剤としては、無機又は有機のゼラチン硬化剤を単独又は組合せて用いることができる。例えば活性ビニル化合物(1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテル、N,N′−メチレンビス−〔β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド〕等)活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジン等)、ムコハロゲン酸類(ムコクロル酸等)、N−カルバモイルピリジニウム塩類、ハロアミジニウム塩類(1−(1−クロロ−1−ピリジノメチレン)ピロリジニウム−2−ナフタレンスルホナート等)を単独又は組合せて用いることができる。なかでも、特開昭53−41220号、同53−57257号、同59−162546号、同60−80846号等の各公報に記載の活性ビニル化合物及び米国特許3,325,287号明細書に記載の活性ハロゲン化合物が好ましい。以下にゼラチン硬化剤の代表的な化合物例を示す。
【0127】
【化1】

【0128】
【化2】

【0129】
【化3】

【0130】
乳剤層の硬膜剤の添加量等を調製することにより、乳剤層の膨潤率を任意にコントロールすることができる。乳剤層の膨潤率は、150%以上が好ましく、さらに好ましくは170〜500%である。乳剤層の膨潤率が150%以上であることにより、現像銀の導電性が向上するという効果を奏する。
【0131】
膨潤率は、乾燥時のサンプルの切片を走査型電子顕微鏡で観察することにより乾燥時の乳剤層の膜厚(a)を求め、25℃の蒸留水に1分間浸漬した後液体窒素により凍結乾燥したサンプルの切片を走査型電子顕微鏡で観察することにより膨潤時の乳剤層の膜厚(b)を求め、次式から算出した値である。
膨潤率(%)=100×((b)−(a))/(a)
【0132】
乳剤層へ添加する硬膜剤量の好ましい範囲は、硬膜剤添加後の感光材料の保存温湿度、保存期間、感光材料の膜pH及び感光材料に含まれるバインダ量等によって異なるため、一概には決まらない。特に硬膜剤はバインダと反応する前に感光材料の同一面側に位置する全層にわたって拡散し得るため、硬膜剤の好ましい添加量は乳剤層を含む感光材料の同一面側の全バインダ量に依存する。本発明の感光材料の、好ましい硬膜剤の含有量は、乳剤層を含む感光材料の同一面側の総バインダ量に対して0.2質量%〜15質量%の範囲であり、より好ましくは0.5質量%〜6質量%の範囲である。
【0133】
また前述のように硬膜剤は拡散し得るため、硬膜剤の添加位置は乳剤層である必要は無く、乳剤層と同一面側のいずれの層にも好ましく添加でき、また複数の層に分割して添加することも好ましい。本発明のハロゲン化銀感光材料において、前記銀塩乳剤層は最外層にあることが好ましい。
【0134】
(1−4)NDフィルタ層(NDフィルタ前駆体層)
本発明の感光材料はNDフィルタ層を有する。
【0135】
NDフィルタ層は感光性ハロゲン化銀乳剤、もしくはコロイド銀乳剤からなる。感光性ハロゲン化銀乳剤からなる場合は、露光現像することでハロゲン化銀が黒色の金属銀になり、NDフィルタ層となる。感光性ハロゲン化銀乳剤を始めとする含有物は、導電性前駆体層と同様のものを用いることができるが、感光性ハロゲン化銀乳剤の分光感度は異なっていなければならない。これにより、異なる波長の光で2回露光することにより、均一なNDフィルタ層とメッシュ状の導電性層を作り分けることができる。異なる分光感度にするには、感光性ハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成を変えてもよいし、前述の分光増感色素を用いてもよい。NDフィルタ前駆体層のハロゲン化銀乳剤の分光感度は、導電性前駆体層よりも長波であることが好ましい。NDフィルタ前駆体層のハロゲン化銀乳剤の塗布銀量はハロゲン組成や粒子サイズにより異なるが、露光現像処理後のグレーの光学濃度で0.1から0.7の範囲になるように設定するのが好ましい。
【0136】
NDフィルタ層がコロイド銀からなる場合、コロイド銀は可視光領域での吸収が実質的に変化しないような黒色コロイド銀であることが好ましい。コロイド銀の製法は、従来から知られている方法、例えば、米国特許第2,688,601号にみられるようにゼラチン溶液中で可溶性銀塩をハイドロキノンによって還元する方法、ドイツ国特許第1,096,193号に記載されている難溶性銀塩をヒドラジンによって還元する方法、米国特許第2,921,914号に記載されているようにタンニン酸により銀に還元する方法、特開平5−134358に記載されているように無電解メッキによって銀粒子を形成する方法等を用いることが可能である。コロイド銀は感光性ハロゲン化銀乳剤とは異なり、感光性が無く、露光現像を行っても色味や濃度はほとんど変化しない。コロイド銀の塗布量はグレーの光学濃度で0.1から0.7の範囲になるように設定するのが好ましい。
【0137】
NDフィルタ層は、導電性を担う乳剤層よりも支持体側に設置される。乳剤層と直接接してもよいし、乳剤粒子を含まない中間層を介していてもよいが、中間層を有することが好ましい。
【0138】
(2)露光・現像処理
(2−1)露光
本発明では、支持体上に設けられた乳剤層にパターン形成用、すなわち照射部がパターン状又は非照射部がパターン状(反転)露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0139】
上記光源としては、必要に応じて可視スペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
【0140】
また本発明では、露光は種々のレーザービームを用いて行うことが好ましい。例えば、本発明における露光は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー又は半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことがより好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが最も好ましい。
【0141】
露光のエネルギーとしては、ハロゲン化銀を用いる場合には、照射エネルギー量は1mJ/cm2以下が好ましく、100μJ/cm2以下がより好ましく、50μJ/cm2以下がさらに好ましい。
【0142】
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)等が好ましく用いられる。
【0143】
乳剤層をパターン状に露光する方法は、レーザービームによる走査露光が好ましい。特に特開2000−39677号公報記載のキャプスタン方式のレーザー走査露光装置が好ましく、さらには該キャプスタン方式においてポリゴンミラーの回転によるビーム走査の代わりに特開2004−1244号公報記載のDMDを光ビーム走査系に用いることも好ましい。
【0144】
NDフィルタ層に感光性ハロゲン化銀乳剤を用いる場合、本発明の感光材料は異なる波長の光源によって、2回露光される。パターン露光により導電性前駆体層を感光させ、均一露光により、NDフィルタ前駆体層を感光させる。それぞれの光源の波長は任意に選ぶことができるが、均一露光の方がより長波な光源であることが好ましい。パターン露光と均一露光の順序はどちらが先でもよい。
【0145】
(2−2)現像処理
本発明では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の各現像液、又はそれらのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
【0146】
リス現像液としては、KODAK社処方のD85等を用いることができる。本発明では、上記の露光及び現像処理を行うことにより露光部に金属銀部、好ましくはパターン状金属銀部が形成されると共に、未露光部に後述する光透過性部が形成される。
【0147】
金属銀部は本発明においては導電性を具備するように形成されるので導電性金属銀部であり、これと光透過性部とによって透光性電磁波シールド膜が形成される。
【0148】
なお、本発明の銀塩法での現像処理液は、ハロゲン化銀を感光させて生成した潜像を触媒核として還元された現像銀からなる画像を形成する還元剤(現像主薬と呼ばれる)を必須に含む。一方、フォトリソグラフィー法での現像処理液は、光重合されなかった樹脂を溶解するアルカリ性溶液であり両者は全く異なるものである。
【0149】
本発明においては、上記現像液としてジヒドロキシベンゼン系現像主薬を用いることができる。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩等が挙げられるが、特にハイドロキノンが好ましい。上記ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と超加成性を示す補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン類やp−アミノフェノール類が挙げられる。本発明の製造方法において用いる現像液としては、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と1−フェニル−3−ピラゾリドン類との組合せ;又はジヒドロキシベンゼン系現像主薬とp−アミノフェノール類との組合せが好ましく用いられる。
【0150】
補助現像主薬として用いられる1−フェニル−3−ピラゾリドン又はその誘導体と組み合わせられる現像主薬としては、具体的に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等がある。
【0151】
上記p−アミノフェノール系補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は、通常0.05〜0.8モル/リットルの量で用いられるのが好ましいが、本発明においては、0.23モル/リットル以上で使用するのが特に好ましい。さらに好ましくは、0.23〜0.6モル/リットルの範囲である。また、ジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類若しくはp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には、前者を0.23〜0.6モル/リットル、さらに好ましくは0.23〜0.5モル/リットル、後者を0.06モル/リットル以下、さらに好ましくは0.03モル/リットル〜0.003モル/リットルの量で用いるのが好ましい。
【0152】
本発明においては、現像開始液及び現像補充液の双方が、「該液1リットルに0.1モルの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.5以下」である性質を有することが好ましい。使用する現像開始液ないし現像補充液がこの性質を有することを確かめる方法としては、試験対象の現像開始液ないし現像補充液のpHを10.5に合わせ、ついでこの液1リットルに水酸化ナトリウムを0.1モル添加し、この際の液のpH値を測定し、pH値の上昇が0.5以下であれば上記に規定した性質を有すると判定する。本発明の製造方法では、特に、上記試験を行った時のpH値の上昇が0.4以下である現像開始液及び現像補充液を用いることが好ましい。
【0153】
現像開始液及び現像補充液に上記の性質を与える方法としては、緩衝剤を使用した方法によることが好ましい。上記緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報に記載のホウ酸、特開昭60−93433号公報に記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)等を用いることができ、好ましくは炭酸塩、ホウ酸が用いられる。上記緩衝剤(特に炭酸塩)の使用量は、好ましくは、0.25モル/リットル以上であり、0.25〜1.5モル/リットルが特に好ましい。
【0154】
本発明においては、上記現像開始液のpHが9.0〜11.0であることが好ましく、9.5〜10.7の範囲であることが特に好ましい。上記現像補充液のpH及び連続処¥理時の現像タンク内の現像液のpHもこの範囲である。pH設定のために用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)を用いることができる。
【0155】
本発明において、感光材料1平方メートルを処理する際に、現像液中の現像補充液の含有量は323ミリリットル以下、好ましくは323〜30ミリリットル、特に225〜50ミリリットルである。現像補充液は、現像開始液と同一の組成を有していてもよいし、現像で消費される成分について開始液よりも高い濃度を有していてもよい。
【0156】
本発明で感光材料を現像処理する際の現像液(以下、現像開始液及び現像補充液の双方をまとめて単に「現像液」という場合がある)には、通常用いられる添加剤(例えば、保恒剤、キレート剤)を含有することができる。上記保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩が挙げられる。該亜硫酸塩は、0.20モル/リットル以上用いられることが好ましく、さらに好ましくは0.3モル/リットル以上用いられるが、余りに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2モル/リットルとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7モル/リットルである。また、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用してアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。ここでアスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸、及び、その立体異性体であるエリソルビン酸やそのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩)等を包含する。上記アスコルビン酸誘導体としては、エリソルビン酸ナトリウムを用いることが素材コストの点で好ましい。上記アスコルビン酸誘導体の添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。上記保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0157】
上記以外に現像剤に用いることのできる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムの如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドの如き有機溶剤;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、イミダゾール又はその誘導体等の現像促進剤や、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤又は黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。上記ベンゾイミダゾール系化合物としては、具体的に、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロベンズトリアゾール、4−〔(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ〕ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾール等を挙げることができる。これらベンゾイミダゾール系化合物の含有量は、通常、現像液1リットル当り0.01〜10mmolであり、より好ましくは、0.1〜2mmolである。
【0158】
さらに上記現像液中には、各種の有機・無機のキレート剤を併用することができる。上記無機キレート剤としては、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。一方、上記有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸及び有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
【0159】
上記有機カルボン酸としては、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0160】
上記アミノポリカルボン酸としては、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号、同55−67747号、同57−102624号の各公報、及び特公昭53−40900号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0161】
有機ホスホン酸としては、米国特許US第3214454号、同3794591号の各明細書、及び西独特許公開2227639号公報等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)第181巻、Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
【0162】
上記アミノホスホン酸としては、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170号、特開昭57−208554号、同54−61125号、同55−29883号の各公報及び同56−97347号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0163】
有機ホスホノカルボン酸としては、特開昭52−102726号、同53−42730号、同54−121127号、同55−4024号、同55−4025号、同55−126241号、同55−65955号、同55−65956号等の各公報、及び前述のリサーチ・ディスクロージャー18170号等に記載の化合物を挙げることができる。これらのキレート剤はアルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。
【0164】
これらキレート剤の添加量としては、現像液1リットル当り好ましくは、1×10-4〜1×10-1モル、より好ましくは1×10-3〜1×10-2モルである。
【0165】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、特開昭56−24347号、特公昭56−46585号、特公昭62−2849号、特開平4−362942号の各公報記載の化合物を用いることができる。また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。さらに現像液には、必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。現像処理温度及び時間は相互に関係し、全処理時間との関係において決定されるが、一般に現像温度は約20℃〜約50℃が好ましく、25〜45℃がさらに好ましい。また、現像時間は5秒〜2分が好ましく、7秒〜1分30秒がさらに好ましい。
【0166】
現像液の搬送コスト、包装材料コスト、省スペース等の目的から、現像液を濃縮化し、使用時に希釈して用いるようにする態様も好ましい。現像液の濃縮化のためには、現像液に含まれる塩成分をカリウム塩化することが有効である。
【0167】
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
【0168】
上記定着工程で使用する定着液の好ましい成分としては、以下が挙げられる。すなわち、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、必要により酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、タイロン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸これらの塩等を含むことが好ましい。近年の環境保護の観点からは、ホウ酸は含まれない方が好ましい。本発明に用いられる定着液の定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム等が挙げられ、定着速度の点からはチオ硫酸アンモニウムが好ましいが、近年の環境保護の観点からチオ硫酸ナトリウムが使われてもよい。これら既知の定着剤の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜約2モル/リットルである。特に好ましくは、0.2〜1.5モル/リットルである。定着液には所望により、硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫酸)、キレート剤、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤を含むことができる。
【0169】
上記界面活性剤としては、例えば硫酸化物、スルホン化物等のアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6740号公報記載の両性界面活性剤等が挙げられる。また、上記定着液には、公知の消泡剤を添加してもよい。
【0170】
上記湿潤剤としては、例えば、アルカノールアミン、アルキレングリコール等が挙げられる。また、上記定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号の各公報に記載のチオ尿素誘導体;分子内に3重結合を持つアルコール;米国特許US第4126459号明細書記載のチオエーテル化合物;特開平4−229860号公報記載のメソイオン化合物等が挙げられ、特開平2−44355号公報記載の化合物を用いてもよい。また、上記pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸等の有機酸や、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩等の無機緩衝剤が使用できる。上記pH緩衝剤として好ましくは、酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、好ましくは0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。定着液のpHは4.0〜6.5が好ましく、特に好ましくは4.5〜6.0の範囲である。また、上記色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号公報記載の化合物を用いることもできる。
【0171】
本発明の定着液中の硬膜剤としては、水溶性アルミニウム塩、クロム塩が挙げられる。上記硬膜剤として好ましい化合物は、水溶性アルミニウム塩であり、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明バン等が挙げられる。上記硬膜剤の好ましい添加量は0.01モル〜0.2モル/リットルであり、さらに好ましくは0.03〜0.08モル/リットルである。
【0172】
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
【0173】
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。このため、節水処理が可能となるのみならず、自現機設置の配管を不要とすることができる。水洗水の補充量を少なくする方法としては、古くから多段向流方式(例えば2段、3段等)が知られている。この多段向流方式を本発明の製造方法に適用した場合、定着後の感光材料は徐々に正常な方向、すなわち、定着液で汚れていない処理液の方向に順次接触して処理されていくので、さらに効率のよい水洗がなされる。また、水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−287252号各公報等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のためには、種々の酸化剤添加やフィルタ濾過を組み合わせてもよい。さらに、上記方法においては、水洗浴又は安定化浴に防黴手段を施した水を、処理に応じて補充することによって生じた水洗浴又は安定化浴からのオーバーフロー液の一部又は全部を、特開昭60−235133号公報に記載されているようにその前の処理工程である定着能を有する処理液に利用することもできる。また、少量水洗時に発生し易い水泡ムラ防止及び/又はスクイズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフイルムに転写することを防止するために、水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。
【0174】
また、上記水洗処理又は安定化処理においては、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗槽に設置してもよい。また、水洗処理に続いて安定化処理においては、特開平2−201357号、同2−132435号、同1−102553号、特開昭46−44446号の各公報に記載の化合物を含有した浴を、感光材料の最終浴として使用してもよい。この際、必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防かび剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。水洗工程又は安定化工程に用いられる水としては水道水のほか脱イオン処理した水やハロゲン、紫外線殺菌灯や各種酸化剤(オゾン、過酸化水素、塩素酸塩等)等によって殺菌された水を使用することが好ましい。また、特開平4−39652号、特開平5−241309号公報記載の化合物を含む水洗水を使用してもよい。水洗処理又は安定化温度における浴温度及び時間は0〜50℃、5秒〜2分であることが好ましい。
【0175】
本発明に用いられる現像液や定着液等の処理液の保存には、特開昭61−73147号公報に記載された酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。また、補充量を低減する場合には処理槽の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。
【0176】
本発明の電磁波シールド膜はロール状等の連絡パターンを担持した形状で得られることが生産性や光学フィルタ作製の容易さの点で好ましいので、ロール用現像機を用いることが有利であり、とくにローラー搬送型自動現像機を用いることが好ましい。
【0177】
ローラー搬送型の自動現像機については米国特許US第3025779号明細書、同第3545971号明細書等に記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。また、ローラー搬送型自動現像機は現像、定着、水洗及び乾燥の四工程からことが好ましく、本発明においても、他の工程(例えば、停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。また、水洗工程の代わりに安定工程による四工程でも構わない。
【0178】
上記各工程においては、現像液や定着液の組成から水を除いた成分を固形にして供給し、使用に当たって所定量の水で溶解して現像液や定着液として使用してもよい。このような形態の処理剤は固形処理剤と呼ばれる。固形処理剤は、粉末、錠剤、顆粒、粉末、塊状又はペースト状のものが用いられる。上記処理剤の、好ましい形態は、特開昭61−259921号公報記載の形態或いは錠剤である。該錠剤の製造方法は、例えば特開昭51−61837号、同54−155038号、同52−88025号の各公報、英国特許1,213,808号明細書等に記載される一般的な方法で製造できる。さらに顆粒の処理剤は、例えば特開平2−109042号、同2−109043号、同3−39735号各公報及び同3−39739号公報等に記載される一般的な方法で製造できる。また、粉末の処理剤は、例えば特開昭54−133332号公報、英国特許725,892号、同729,862号各明細書及びドイツ特許3,733,861号明細書等に記載される一般的な方法で製造できる。
【0179】
上記固形処理剤の嵩密度は、その溶解性の観点と、0.5〜6.0g/cm3のものが好ましく、特に1.0〜5.0g/cm3のものが好ましい。
【0180】
上記固形処理剤を調製するに当たっては、処理剤を構成する物質の中の、少なくとも2種の相互に反応性の粒状物質を、反応性物質に対して不活性な物質による少なくとも一つの介在分離層によって分離された層になるように層状に反応性物質を置き、真空包装可能な袋を包材とし、袋内から排気しシールする方法を採用してもよい。ここにおいて、「不活性」とは、物質が互いに物理的に接触されたときにパッケージ内の通常の状態下で反応しないこと若しくは何らかの反応があっても著しくないことを意味する。不活性物質は、二つの相互に反応性の物質に対して不活性であることは別にして、二つの反応性の物質が意図される使用において不活発であればよい。さらに不活性物質は二つの反応性物質と同時に用いられる物質である。例えば、現像液においてハイドロキノンと水酸化ナトリウムは直接接触すると反応してしまうので、真空包装においてハイドロキノンと水酸化ナトリウムの間に分別層として亜硫酸ナトリウム等を使うことで、長期間パッケージ中に保存できる。また、ハイドロキノン等をブリケット化して水酸化ナトリウムとの接触面積を減らす事により保存性が向上し混合して用いることもできる。これらの真空包装材料の包材として用いられるのは不活性なプラスチックフイルム、プラスチック物質と金属箔のラミネートから作られたバッグである。
【0181】
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
【0182】
本発明における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンの感光性ハロゲン化銀粒子へのドープが挙げられる。
【0183】
(2−3)物理現像及びめっき処理
本発明では、前記露光及び現像処理により形成された導電性膜前駆体における金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行うことができる。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。尚、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを「導電性金属部」と称する。
【0184】
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
【0185】
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
【0186】
本発明において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。
【0187】
<無電解めっき>
本発明では、露光及び現像処理後の導電性膜前駆体の金属銀部を、さらに無電解めっき用溶液で処理することもできる。無電解めっきには、パラジウム化合物水溶液で処理する方法、還元剤又は銀イオン配位子あるいはその両方で処理する方法が好ましい。
【0188】
前者については、導電性膜前駆体の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することによって行われる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解めっき又は物理現像速度を促進させることができる。パラジウムによる無電解めっきは、日本科学会編、化学便覧応用化学編の「無電解めっき」の章に詳記されている。
【0189】
本発明で好ましく用いられる還元剤又は銀イオン配位子による処理について説明する。
【0190】
本発明においては、還元剤又は銀イオン配位子による処理を行うことが好ましい。
【0191】
還元剤としては、銀イオンを金属銀に還元可能であればよく、例えば、二酸化チオ尿素、ロンガリット、塩化錫(II)、水素化ホウ素ナトリウム、ソジウムトリアセトキシボロハイドライド、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン、ピリジンボラン、ボラン等が挙げられる。
【0192】
銀イオン配位子としては、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等のハロゲンイオン、チオシアネートイオン等の擬ハロゲンイオン、ピリジン、ビピリジン等の含窒素ヘテロ環化合物、亜硫酸イオン、また、1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート類(例えば、1,2,4−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)等のメソイオン化合物、3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール等のチオエーテル化合物等が挙げられる。
【0193】
<電解めっき>
以下に電解めっき処理方法の好ましい態様について図面を参照して具体的に説明する。上記の電解めっき処理を好適に実施するためのめっき装置は、乳剤層を露光し、現像処理したフイルムが巻き付けられた繰り出し用リール(図示せず)から、順次繰り出されたフイルムを電気めっき槽に送り込み、めっき後のフイルムを巻取り用リール(図示せず)に順次巻き取る構成となっている。
【0194】
図7に、上記電解めっき処理に好適に用いられる電解めっき槽の一例を示す。この電解めっき槽60は、長尺のフイルムF(上記の露光、現像処理を施したもの:図6Aの被めっき材49参照)に連続してめっき処理を施すことができるものである。矢印はフイルムFの搬送方向を示している。電解めっき槽60は、めっき液62を貯留するめっき浴64を備えている。めっき浴62内には、一対のアノード板66a及び66bが平行に配設され、一対のアノード板66a及び66bの内側には、一対のガイドローラ68a及び68bが一対のアノード板66a及び66bと平行に回動可能に配設されている。一対のガイドローラ68a及び68bは垂直方向に移動可能で、これにより、フイルムFのめっき処理時間を調整できる。
【0195】
めっき浴64の上方には、被めっき材49をめっき浴64に案内するとともに被めっき材49に電流を供給する給電ローラ(カソード)70a、70bがそれぞれ回転自在に配設されている。また、めっき浴64の上方には、出口側の給電ローラ70bの下方に液切りローラ72が回動可能に配設されており、この液切りローラ72と出口側の給電ローラ70bとの間には、フイルムFからめっき液を除去するための水洗用スプレー(図示せず)が設置されている。
【0196】
一対のアノード板66a及び66bは、電線(図示せず)を介して電源装置(図示せず)のプラス端子に接続され、給電ローラ70a,70bは、電源装置(図示せず)のマイナス端子に接続されている。
【0197】
上記の電解めっき槽60において、例えば、めっき浴64のサイズが10×10×10cm〜100×200×300cmである場合は、入り口側の給電ローラ70aとフイルムFとが接している面の最下部とめっき液面との距離(図7に示す距離La)は、0.5〜15cmとすることが好ましく、1〜10cmとすることがより好ましく、1〜7cmとすることがさらに好ましい。また、出口側の給電ローラ70bとフイルムFとが接している面の最下部とめっき液面との距離(図7に示す距離Lb)は、0.5〜15cmとすることが好ましい。
【0198】
次に、上記電解めっき槽10を備えためっき装置を使用して、フイルムのメッシュ状銀細線パターンに銅めっき層を形成させて導電性を強化する方法を説明する。
【0199】
先ず、めっき浴64にめっき液62を貯留する。めっき液62としては、銅めっきの場合は、硫酸銅5水塩を30g/リットル〜300g/リットル、硫酸を30g/リットル〜300g/リットルを含むものを用いることができる。なお、ニッケルめっきの場合は、硫酸ニッケル、塩酸ニッケル等、鉄銀めっきの場合は、シアン化銀等を含むものを用いることができる。また、めっき液には、界面活性剤、硫黄化合物、窒素化合物等の添加剤を添加してもよい。
【0200】
フイルム16を繰り出しリール(図示せず)に巻かれた状態でセットして、フイルムFのめっきを形成すべき側の面が給電ローラ70a,70bと接触するように、フイルムFを搬送ローラ(図示せず)に巻き掛ける。なお、電解めっき直前のフイルムFの表面抵抗は、1〜1000オーム/sqであることが好ましく、5〜500オーム/sqであることがより好ましく、さらに好ましい範囲は10〜100オーム/sqである。
【0201】
一対のアノード板66a及び66b、給電ローラ70a,70bに電圧を印加し、フイルムFを給電ローラ70a,70bに接触させながら搬送する。フイルムFをめっき浴64に導入し、めっき液62に浸せきして銅めっきを形成する。液切りローラ72間を通過する際に、フイルムFに付着しためっき液62を拭い取り、めっき浴64に回収する。これを複数の電解めっき槽60で繰り返し、最後に水洗した後、巻取りリール(図示せず)に巻き取る。
【0202】
フイルムFの搬送速度は、1〜30m/分の範囲で設定される。フイルムFの搬送速度は、好ましくは、1〜10m/分の範囲であり、より好ましくは、2〜5m/分の範囲である。
【0203】
電解めっき槽60の数は、特に限定されないが、2〜10槽が好ましく、3〜6槽がより好ましい。
【0204】
印加電圧は、1〜100Vの範囲であることが好ましく、2〜60Vの範囲であることがより好ましい。電解めっき槽60が複数設置されている場合は、電解めっき槽60の印加電圧を段階的に下げることが好ましい。また、第1槽目の入り口側の電流量としては、1〜30Aが好ましく、2〜10Aがより好ましい。
【0205】
給電ローラ70a,70bはフイルム全面(接触している面積のうちの実質的に電気的に接触している部分が80%以上)と接触していることが好ましい。
【0206】
なお、電解めっき槽60においてめっき処理を行う前に、水洗及び酸洗浄を行うことが好ましい。酸洗浄の際に用いる処理液には、硫酸等が含まれるものを用いることができる。
【0207】
上記めっき処理によりめっきされる導電性金属部の厚さは、ディスプレイの電磁波シールド材の用途としては、薄いほどディスプレイの視野角が広がるため好ましい。さらに、導電性配線材料の用途としては、高密度化の要請から薄膜化が要求される。このような観点から、めっきされた導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
【0208】
また、本発明のめっき処理においては、上記のめっき処理を行う直前のフイルムの表面抵抗が1〜10000オーム/sqのフイルムであれば、その前に無電解めっき処理を行ってもよい。
【0209】
無電解めっきを行う場合は、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0210】
無電解銅めっき液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤として、ホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子として、EDTA,トリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やめっき皮膜の平滑性向上の為の添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。
【0211】
また、フイルム上の導電性パターンは連続している(電気的に途切れていない)ことが好ましい。一部でも繋がっていればよく、導電性パターンが途切れると第1槽目の電解めっき槽でめっきがつかない部分ができたり、ムラになったりするおそれがある。
【0212】
めっき処理時のめっき速度は、緩やかな条件で行うことができ、さらに5μm/hr以上の高速めっきも可能である。めっき処理において、めっき液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTA等の配位子等、種々の添加剤を用いることができる。
【0213】
(2−4)酸化処理
本発明では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
【0214】
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理等、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。上述の通り、酸化処理は、乳剤層の露光及び現像処理後、或いは物理現像又はめっき処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像又はめっき処理後のそれぞれで行ってもよい。
【0215】
本発明では、さらに露光及び現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解めっき又は物理現像速度を促進させることができる。
【0216】
(3)導電性金属部
本発明における、「導電性金属部」とは、導電性膜の導電性層中にパターン状に形成された金属部分のことを示す。導電性金属部のパターンは、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形等の(正)n角形、円、楕円、星形等を組み合わせた幾何学図形であることが好ましく、これらの幾何学図形からなるメッシュ状であることがさらに好ましい。EMIシールド性の観点からは三角形の形状が最も有効であるが、可視光透過性の観点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり可視光透過性が大きくなるので有利である。モアレを生じにくくする観点ではこれらの幾何学模様をランダムに配置したり、ライン幅を周期性なしに変化させることも好ましい。
【0217】
上記導電性金属部のメッシュ状の細線の線幅は1μm以上40μm以下であることが好ましく、好ましくは5μm以上30μm以下、最も好ましくは10μm以上25μm以下である。線間隔は50μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは200μm以上400μm以下、最も好ましくは250μm以上350μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。
【0218】
本発明における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、メッシュをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅15μm、ピッチ300μmの正方形の格子状メッシュの開口率は、90%である。
【0219】
(4)光透過性部
本発明における「光透過性部」とは、導電性膜の導電性層中のうち導電性金属部以外の部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
【0220】
本発明におけるメッシュ状の細線は導電性膜の長手方向に3m以上連続していることが好ましく、該細線の連続長が多いほど、例えば光学フィルタ材料を生産する場合の損失が低減できるためより好ましい態様であるといえる。一方、連続長が長すぎるとロール状にした場合にロール径が大きくなる、ロールの質量が重くなる、ロールの中心部の圧力が強くなり接着や変形等の問題を生じ安くなる等の理由で2000m以下であることが好ましい。好ましくは100m以上1000m以下であり、さらに好ましくは200m以上800m以下であり、最も好ましくは300m以上500m以下である。同様の理由により支持体の厚みは200μm以下が好ましく、さらに好ましくは20μm以上180μm以下、最も好ましくは50μm以上120μm以下である。
【0221】
本発明においてメッシュが実質的に平行である直線状細線の交差するパターンとは、いわゆる格子模様を意味し、格子を構成する隣り合う直線が平行又は平行±2°以内の場合をいう。
【0222】
該光ビームの走査方法としては、搬送方向に対して実質的に垂直な方向に配列したライン状の光源又は回転ポリゴンミラーによって露光する方法が好ましい。この場合、光ビームは2値以上の強度変調を行う必要があり、直線はドットの連続としてパターニングされる。ドットの連続であるため一ドットの細線の縁は階段状になるが、細線の太さはくびれた部分の一番狭い長さを意味する。
【0223】
該光ビームの走査方法のもう一つの方式として、格子パターンの傾きに合わせて搬送方向に対して走査方向を傾かせたビームを走査することも好ましい。この場合、2つの走査光ビームを直交するように配列することが好ましく。光ビームは露光面状では実質的に1値の強度をとる。
【0224】
本発明においてメッシュパターンは透光性電磁波シールド膜の長手方向に対して30°から60°傾かせることが好ましい。より好ましくは40°から50°であり、最も好ましくは43°から47°である。これはメッシュパターンが枠に対して45°程度の傾きとなるマスクの作成が一般的に難しく、ムラが出やすい或いは価格が高い等の問題を生じやすいのに対して、本方式はむしろ45°付近にてムラが出にくいため、本発明の効果がマスク密着露光方式のフォトリソグラフィーやスクリーン印刷によるパターニング対してより顕著な効果がある。
【0225】
[易接着層]
本発明では銀塩乳剤層と支持体をはさんで反対側の最表面に合成樹脂からなる易接着層を設けることが好ましい。以下、好ましい易接着層について説明する。易接着層は一層で構成されていてもよいが、好ましくは下記のような二層以上で構成されているのがよい。その場合は最表面層が合成樹脂からなる層である。
【0226】
(組成)
1層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、カルボジイミド化合物及び導電性粒子(特に、導電性金属酸化物粒子)を必須成分とした帯電防止層(第1の易接着層)。
【0227】
2層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、及び架橋剤を必須成分とした表面層(他の部材の構成層と積層することによって表面層ではなくなることがある場合もあるが、易接着層の最上層という意味(第2の易接着層))。
【0228】
易接着層としては、支持体上に合成樹脂及び導電性粒子を含有する帯電防止層と導電性粒子を含有しない表面層がこの順で設けられる構成のものが好ましい。本発明の帯電防止層においては、支持体上に帯電防止層を設けて得られる低帯電性支持体のヘイズが3%以下にあり、そして得られる感材の側面抵抗が107〜1×1012オームの範囲にあるように、導電性が付与されている。帯電防止層を付与することで、プラスチック支持体をハンドリングする製造プロセスにおいて発生する静電気起因のゴミ付き故障の発生、及び感光材料のスタチック放電カブリの発生を抑制することができる。易接着層を帯電防止層と表面層の2層で形成した場合には、帯電防止層の導電粒子が易接着層の外部に析出することを防止することができる。
【0229】
なお、本明細書でいうヘイズは、25℃,60%RHの測定条件において、ヘイズメーター(NDH−2000、日本電色製)を用い、JIS K−7105に従って測定した値である。
【0230】
上記帯電防止層は、導電性金属酸化物粒子を含む層であり、一般にさらに結合剤を含んでいる。上記導電性金属酸化物粒子としては、針状粒子であり、その短軸に対する長軸の比(長軸/短軸)が3〜50の範囲にあるものを使用することが好ましい。特に長軸/短軸が10〜50の範囲のものが好ましい。このような針状粒子の短軸は、0.001〜0.1μmの範囲にあることが好ましく、特に0.01〜0.02μmの範囲にあることが好ましい。またその長軸は、0.1〜5.0μmの範囲にあることが好ましく、特に0.1〜2.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0231】
導電性金属酸化物粒子の量は感光材料1m2に対して、0.01〜30gが好ましく、より好ましくは、0.05〜10gである。これよりも少なすぎると、目標とする導電性が得られない。また、多すぎるとヘイズの上昇や透過率の減少を生じる。
【0232】
上記導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO及びMoO3及びこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物にさらに異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al23、TiO2、In23、及びMgOが好ましく、さらにSnO2、ZnO、In22及びTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはTa、In23に対してSn、及びSnO2に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素等の異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物又は複合酸化物に充分な導電性を付与することができず、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため感光材料(以下感材ともいう)用としては適さない。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物又は複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物粒子としては、アンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされたSnO2粒子が好ましい。従って、本発明では前記短軸、長軸の寸法を有するアンチモンドープSnO2等の金属酸化物粒子を使用することが、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を形成するのに有利である。これにより、ヘイズが3%以下にある低帯電性支持体を有し、感材の側面抵抗が107〜1012オームの範囲にある感材を得ることができる。
【0233】
前記短軸、長軸の寸法を有する針状の金属酸化物粒子(例、アンチモンドープSnO2)を使用することにより、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を有利に形成できる理由については、次のように考えられる。上記針状の金属酸化物粒子は、帯電防止層内では、長軸方向が帯電防止層の表面に平行に、長く伸びているが、層の厚さ方向には短軸の径の長さ分だけ占めているに過ぎない。このような針状の金属酸化物粒子は、上記のように長軸方向に長いため、通常の球状の粒子に比べて、互いに接触し易く、少ない量でも高い導電性が得られる。従って、透明性を損なうことなく、表面電気抵抗を低下させることができる。また、上記針状の金属酸化物粒子では、短軸の径は、通常、帯電防止層の厚さより小さいか、ほぼ同じであり、表面に突出することは少なく、仮に突出してもその突出部分はわずかなため、帯電防止層上に設けられる表面層によりほぼ完全に覆われることになる。従って、感材作成用の支持体の搬送中、露光、現像のための感材搬送中に、層より突出部分の脱離である粉落ちの発生がほとんどないとの優位性も得られる。さらに、感材の現像処理前後の表面電気抵抗の変化が、球状の粒子の場合比較的大きいのに比べて、上記針状の金属酸化物を用いた場合は極めて小さく、特に現像処理後の搬送性が格段に向上しているということもできる。これは、球状の粒子の場合には、現像処理による膜の膨潤、収縮により、針状の粒子の場合よりその配列状態が変化し、互いに接触する部分が減少するためではないかと推測される。
【0234】
本発明における帯電防止層は、導電性金属酸化物粒子を分散、支持する結合剤を、一般に含んでいる。結合剤の材料としては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができる。粉落ちを防止する観点から、ポリマー(好ましくは、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂)とカルボジイミド化合物との硬化物であることが好ましい。本発明では、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、ポリマーもカルボジイミド化合物も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。また、ポリマーは、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有する。水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
【0235】
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
【0236】
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。上記ビニル樹脂は、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより架橋可能なポリマーとする。
【0237】
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
【0238】
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加してもよい。
【0239】
上記ポリマーの中で、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。
【0240】
本発明で使用されるカルボジイミド化合物としては、分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物を使用することが好ましい。
【0241】
ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。
【0242】
合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
【0243】
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。
【0244】
具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。
【0245】
また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)等の市販品としても入手可能である。カルボジイミド系化合物はバインダに対して1〜200質量%、より好ましくは5〜100質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0246】
本発明における帯電防止層を形成するには、まず、例えば前記導電性金属酸化物粒子をそのままあるいは水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に分散させた分散液を、上記結合剤(例、ポリマー、カルボジイミド化合物及び適当な添加剤)を含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合(必要に応じて分散)して帯電防止層形成用塗布液を調製する。上記帯電防止層は、上記帯電防止層形成用塗布液をポリエステル等のプラスチックフイルムの表面(感光層が設けられない側)に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等により塗布することができる。塗布されるポリエステル等のプラスチックフイルムは、逐次二軸延伸前、同時二軸延伸前、一軸延伸後で再延伸前、あるいは二軸延伸後のいずれであってもよい。帯電防止層形成用塗布液を塗布するプラスチック支持体の表面は、あらかじめ紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理等の表面処理を施しておくことが好ましい。
【0247】
本発明における帯電防止層(導電性粒子を含有する易接着層)の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超える場合は、帯電防止性能や耐傷性が劣る場合がある。導電性粒子(例えば、導電性金属酸化物粒子)は、帯電防止層中に、結合剤(例、上記ポリマー及びカルボジイミド化合物の合計)に対して10〜1000質量%の範囲で含まれていることが好ましく、さらに100〜500質量%の範囲が好ましく、特に、150〜400質量%の範囲が好ましい。
【0248】
10質量%未満の場合は、充分な帯電防止性が得られない傾向があり、1000質量%を超えた場合はヘイズが高くなり過ぎる傾向がある。また、400質量%を超えた場合は、接着剤を介してガラスと貼り合わせた後の剥離強度が弱まる傾向がある。また導電性粒子の含有量を合成樹脂(例えば、アクリル樹脂(溶媒を含む)又はアクリル樹脂の分散物)30質量部を基準とした場合には、導電性粒子の含有量は、10〜500質量部が好ましく、50〜150質量部がさらに好ましい。
【0249】
本発明における帯電防止層及び下記の表面層には必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤等の添加剤を併用して使用することができる。マット剤としては、0.001〜10μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の酸化物の粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等の粒子をあげることができる。界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等があげることができる。滑り剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
【0250】
本発明においては、帯電防止層の上に表面層が設けられ得る。表面層は、主として接着剤層との接着性付与、及び帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能を補助するために設けられる。表面層の材料には、一般にアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができ、上記帯電防止層中の結合剤として記載したポリマーが好ましい。中でも好ましくは、帯電防止層と接着し易いという理由からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びスチレンブタジエンゴムからなる群から選択された少なくとも1種である。
【0251】
表面層に用いられる架橋剤は、製造プロセス中のロール巻取り形態時にコンタクトする感光材料層の感光特性に影響を与えないエポキシ化合物が好ましい。エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類及びトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えばデナコールEX−521やEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0252】
また、感光特性に影響を与えない添加量の範囲では、他の架橋性化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Meers及びT.H.James著「The Theory of the Photographic Process」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、並びに英国特許994869号及び同1167207号の各明細書等に記載されている硬化剤等があげられる。
【0253】
代表的な例としては、二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基及びアルコキシメチル基の少なくとも一方を含有するメラミン化合物又はそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂、さらにはムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物及びその誘導体;ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン等の活性ビニル系化合物;2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素及びビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0254】
上記表面層の形成には、まず、例えば水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に上記ポリマー、エポキシ化合物、及び適当な添加剤を添加、混合(必要に応じて分散)して表面層塗布液を調製する。
【0255】
上記表面層は、本発明における帯電防止層上に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等により上記表面層塗布液を塗布することにより形成することができる。上記表面層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能が不十分で、1μmを超える場合は、塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすい。
【0256】
[接着剤層]
本発明に好ましく用いられる接着剤層について説明する。
【0257】
本発明に係る導電性膜は、光学フィルタや、液晶表示板、プラズマディスプレイパネル、その他の画像表示パネル等に組み込まれる際には、接着剤層を介して接合される。
【0258】
本発明で用いる接着剤の屈折率は1.40〜1.70のものを使用することが好ましい。これは本発明で使用するプラスチックフイルム等の支持体と接着剤の屈折率との関係で、その差を小さくして、可視光透過率が低下するのを防ぐためであり、屈折率が1.40〜1.70であると可視光透過率の低下が少なく良好である。
【0259】
本発明で用いられる接着剤は、また、加熱又は加圧により流動する接着剤であることが好ましく、特に、200℃以下の加熱又は1kgf/cm2(0.098MPa)以上の加圧により流動性を示す接着剤であることが好ましい。流動できるので接着剤層を設けた導電性膜を被着体にラミネートや加圧成形、特に加圧成形により貼りあわせることができる。また曲面、複雑形状を有する被着体にも容易に接着することができる。このためには、接着剤の軟化温度が200℃以下であると好ましい。電磁波シールド性接着フイルムの用途から、使用される環境が通常80℃未満であるので接着剤層の軟化温度は、80℃以上が好ましく、加工性から80〜120℃が最も好ましい。軟化温度は、粘度が1012ポイズ(1013Pa・s)以下になる温度のことで、通常その温度では1〜10秒程度の時間のうちに流動が認められる。
【0260】
上記のような加熱又は加圧により流動する接着剤としては、主に以下に示す熱可塑性樹脂が代表的なものとしてあげられる。たとえば天然ゴム(屈折率n=1.52)、ポリイソプレン(n=1.521)、ポリ−1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.513)、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1,3−ブタジエン(n=1.515)等の(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.456)、ポリオキシプロピレン(n=1.450)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.459)、ポリビニルブチルエーテル(n=1.456)等のポリエーテル類、ポリビニルアセテート(n=1.467)、ポリビニルプロピオネート(n=1.467)等のポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリエチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメチレン(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.487)、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレート(n=1.489)等のポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使用することも可能である。
【0261】
さらにアクリル樹脂とアクリル以外との共重合樹脂としてはエポキシアクリレート(n=1.48〜1.60)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテルアクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレート(n=1.48〜1.54)等も使うこともできる。特に接着性の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレート等のように分子内に水酸基を有するポリマーは接着性向上に有効である。これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。これらの接着剤となるポリマーの軟化温度は、取扱い性から200℃以下が好適で、150℃以下がさらに好ましい。電磁波シールド性接着フイルムの用途から、使用される環境が通常80℃以下であるので接着剤層の軟化温度は、加工性から80〜120℃が最も好ましい。一方、ポリマーの質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの、以下同様)は、500以上のものを使用することが好ましい。分子量が500以下では接着剤組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下するおそれがある。本発明で使用する接着剤には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤や粘着付与剤等の添加剤を配合してもよい。接着剤の層の厚さは、10〜80μmであることが好ましく、導電層の厚さ以上で20〜50μmとすることが特に好ましい。
【0262】
また、易接着層上に設けられる接着剤は、支持体及び前記易接着層との屈折率の差が0.14以下とされる。この屈折率の差を満たすことにより、可視光透過率の低下が少なく良好となる。そのような要件を満たす接着剤の材料としては、支持体がポリエチレンテレフタレート(n=1.575;屈折率)の場合、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリアルコール・ポリグリコール型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂、脂環式やハロゲン化ビスフェノール等のエポキシ樹脂(いずれも屈折率が1.55〜1.60)を使うことができる。エポキシ樹脂以外では天然ゴム(n=1.52)、ポリイソプレン(n=1.521)、ポリ1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.5125)、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1,3−ブタジエン(n=1.515)等の(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.4563)、ポリオキシプロピレン(n=1.4495)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.4591)、ポリビニルブチルエーテル(n=1.4563)等のポリエーテル類、ポリビニルアセテート(n=1.4665)、ポリビニルプロピオネート(n=1.4665)等のポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)等を挙げることができる。これらは、好適な可視光透過率を発現する。
【0263】
また、経時で変色し難いものとしてアクリル樹脂がよく知られており、本発明に好ましく用いられる。例としては、ポリエチルアクリレート(n=1.4685)、ポリブチルアクリレート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.4638)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.4728)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.4746)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.4868)、ポリテトラカルバニルメタクリレート(n=1.4889)、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.4889)、ポリメチルメタクリレート(n=1.4893)等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、また、アクリル酸、メタクリル酸が使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使うこともできる。分子量の異なる複数種類のアクリルポリマーをブレンドすることにより、接着剤の粘弾性を所望の性質に調整することが可能である。
【0264】
さらにアクリル樹脂とアクリル化合物以外との共重合樹脂としてはエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート等も使うこともできる。特に接着性の点から、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレートは分子内に水酸基を有するため接着性向上に有効であり、これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。接着剤の主成分となるポリマーの質量平均分子量は、1,000以上のものが使われる。分子量が1,000以下だと組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下する。
【0265】
接着剤の硬化剤としてはトリエチレンテトラミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等のアミン類、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシルコハク酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の酸無水物、ジアミノジフェニルスルホン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、エチルメチルイミダゾール等を使うことができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらの架橋剤の添加量は上記ポリマー100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部の範囲で選択するのがよい。この添加量が、0.1質量部未満であると硬化が不十分となり、50質量部を越えると過剰架橋となり、接着性に悪影響を与える場合がある。本発明で使用する接着剤の樹脂組成物には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤や粘着付与剤等の添加剤を配合してもよい。そして、この接着剤の樹脂組成物は、支持体上の易接着層の表面の一部又は全面を被覆するために、塗布され、溶媒乾燥、加熱硬化工程をへたのち、電磁波シールド性接着フイルムにする。上記で得られた電磁波シ−ルド性と透明性を有する電磁波シールド性接着フイルムは、CRT、PDP、液晶、EL等のディスプレイに直接貼り付け使用したり、アクリル板、ガラス板等の板やシートに貼り付けてディスプレイに使用する。また、この電磁波シールド性接着フイルムは、電磁波を発生する測定装置、測定機器や製造装置の内部をのぞくための窓や筐体に上記と同様にして使用する。さらに、電波塔や高圧線等により電磁波障害を受ける恐れのある建造物の窓や自動車の窓等に設ける。そして、金属銀部にはアース線を設けることが好ましい。
【0266】
支持体が凸凹を有していて、光を散乱するためにヘイズを有する場合でも、その凹凸面に支持体と屈折率が近い樹脂が平滑に塗布又は、樹脂シートが貼合わされると乱反射が最小限に押さえられ、透明性が発現するようになる。また本発明におけるメッシュ状の細線は、ライン幅が非常に小さいため肉眼で視認されない。またピッチも十分に大きいため見掛け上透明性を発現すると考えられる。一方、遮蔽すべき電磁波の波長に比べて、ピッチは十分に小さいため、優れたシールド性を発現すると考えられる。
【0267】
一般的には、ディスプレイの表面はガラス製であるので、接着剤を用いて貼り合わせるのは支持体とガラス板との貼り合わせであり、その接着面に気泡が生じたり剥離が生じたりすると画像が歪んだり、表示色がディスプレイ本来のものと異なって見える等の問題が発生する。また、気泡及び剥離の問題はいずれの場合でも接着剤が支持体又はガラス板より剥離することにより発生する。この現象は、支持体側、ガラス板側ともに発生する可能性が有り、より密着力の弱い側で剥離が発生する。従って、高温での接着剤と支持体、ガラス板との密着力が高いことが必要となる。具体的には、支持体及びガラス板と接着剤層との密着力は80℃においてISO8225準拠の試験方法において10g/cm(10N/m)以上であることが好ましい。20g/cm(20N/m)以上であることがさらに好ましく、30g/cm(30N/m)以上であることがとくに好ましい。ただし、2000g/cm(2kN/m)を超えるような接着剤は貼り合わせ作業が困難と成るために好ましくない場合がある。ただし、かかる問題点が発生しない場合は問題なく使用できる。さらに、この接着剤の支持体と面していない部分に不必要に他の部分に接触しないように合い紙(セパレータ)を設けることも可能である。
【0268】
接着剤は透明であるものが好ましい。具体的には全光線透過率が70%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましく、85〜92%が最も好ましい。さらに、霞度が低いことが好ましい。具体的には、0〜3%が好ましく、0〜1.5%がさらに好ましい。本発明で用いる接着剤は、ディスプレイ本来の表示色を変化させないために無色であることが好ましい。ただし、樹脂自体が有色であっても接着剤の厚みが薄い場合には実質的には無色とみなすことが可能である。また、後述のように意図的に着色を行なう場合も同様にこの範囲ではない。
【0269】
上記の特性を有する接着剤としては例えば、アクリル系樹脂、α−オレフィン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル共重合物系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン−ビニルアセテート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの内、アクリル系樹脂が好ましい。同じ樹脂を用いる場合でも、接着剤を重合法により合成する際に架橋剤の添加量を下げること、粘着性付与材を加えること、分子の末端基を変化させること等の方法によって、粘着性を向上させることも可能である。また、同じ接着剤を用いても、接着剤を貼り合わせる面、すなわち、支持体又はガラス板の表面改質を行なうことにより密着性を向上させることも可能である。このような表面の改質方法としては、コロナ放電処理、プラズマグロー処理等の物理的手法、密着性を向上させるための下地層を形成する等の方法が挙げられる。
【0270】
透明性、無色性、ハンドリング性の観点から、接着剤層の厚みは、5〜50μm程度であることが好ましい。接着剤層を接着剤で形成する場合は、その厚みは上記範囲内で薄くするとよい。具体的には1〜20μm程度である。ただし、上記のようにディスプレイ自体の表示色を変化させず、透明性も上記の範囲に入っている場合には、厚みが上記範囲を超えてもよい。
【0271】
[導電性膜]
次に、本発明の導電性膜について説明する。
【0272】
本発明の導電性膜における支持体の厚みは200μm以下が好ましく、さらに好ましくは20μm以上180μm以下、最も好ましくは50μm以上120μm以下である。この範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
【0273】
物理現像及び/又はめっき処理前の導電性膜前駆体の金属銀部の厚さは、支持体上に塗布されるハロゲン化銀感光材料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。このようにして形成された多層構造のパターン状金属銀部を含む導電性膜は、高密度なプリント配線板として利用することができる。
【0274】
導電性金属部の厚さは、ディスプレイの電磁波シールド材の用途としては、薄いほどディスプレイの視野角が広がるため好ましい。さらに、導電性配線材料の用途としては、高密度化の要請から薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
【0275】
本発明では、上述した導電性前駆体層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する透光性電磁波シールド膜であっても容易に形成することができる。
【0276】
なお、従来のエッチングを用いた方法では、金属薄膜の大部分をエッチングで除去、廃棄する必要があったが、本発明では必要な量だけの導電性金属を含むパターンを支持体上に設けることができるため、必要最低限の金属量だけを用いればよく、製造コストの削減及び金属廃棄物の量の削減という両面から利点がある。
【0277】
(剥離強度)
本発明の導電性膜とガラス基板との密着強度は、以下のようなものであることが好ましい。
【0278】
フイルム試料をガラスに貼り付け、引っ張り速度100mm/minで接合方向に対して−180°方向に引っ張って剥離強度を測定した場合に、20N/m以上の剥離強度であることが好ましい。さらには、60℃の温度で相対湿度90%のもとで72時間経時した後の上記剥離強度で、20N/m以上の剥離強度であることが好ましい。
【0279】
[導電性膜の作製方法]
本発明の導電性膜は、好ましくは支持体上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する導電性前駆体層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって露光部及び未露光部に、それぞれ金属銀部及び光透過性部を形成して得られる。さらに必要に応じて前記金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって前記金属銀部に導電性金属を担持させてもよい。
【0280】
本発明の透光性電磁波シールド膜の形成方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
【0281】
(I)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる方法
(II)物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる方法
(III)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる方法
上記(I)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に金属銀が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
【0282】
上記(II)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に金属銀が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面は小さい球形である。
【0283】
上記(III)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に金属銀が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0284】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
【0285】
ここでいう化学現像、熱現像、及び溶解物理現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 第4版」(Mcmillan社、1977刊行)に解説されている。本件は液処理であるが、その他の出願については現像方式として、熱現像方式も適用される。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号、特願2004−244080号、同2004−085655号等の各公報が適用できる。
【0286】
(剥離可能な保護フイルム)
本発明の導電性膜は、剥離可能な保護フイルムを設けることができる。保護フイルムは、導電性膜の両面に設ける必要はなく、金属銀部あるいは導電性金属部上のみ、あるいはその逆側のみに設けることもできる。保護フイルムは、金属銀部あるいは導電性金属部上に設けた場合は、いわゆる剥離可能であることが望ましい。
【0287】
保護フイルムの剥離強度は前記の試験条件で5mN/25mm幅〜5N/25mm幅であることが好ましく、より好ましくは10mN/25mm幅〜100mN/25mm幅である。下限未満では、剥離が容易過ぎ、取扱い中や不用意な接触により保護フイルムが剥離する恐れがあり、好ましくなく、また上限を超えると、剥離のために大きな力を要する上、剥離の際に、金属銀部あるいは導電性金属部が支持体から剥離する恐れがあり、やはり好ましくない。
【0288】
保護フイルムを構成するフイルムとしては、ポリオレフィン系樹脂であるポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、もしくはアクリル樹脂等の樹脂フイルムを用いることが好ましく、また、保護フイルムの接着される面にはコロナ放電処理を施しておくことが好ましい。
【0289】
また、保護フイルムを構成する接着剤としては、アクリル酸エステル系、ゴム系、もしくはシリコーン系のものを使用することができる。
【0290】
[黒化層]
本発明のロール状導電性膜や、それを組み込んだ光学フイルムは、黒化処理を施したものであってもよい。
【0291】
黒化処理については、例えば特開2003−188576号公報に開示されている。黒化処理により形成さえた黒化層は、防錆効果に加え、反射防止性を付与することができる。黒化層は、例えば、Co−Cu合金めっきによって形成され得るものであり、金属箔の表面の反射を防止することができる。さらにその上に防錆処理としてクロメート処理をしてもよい。クロメート処理は、クロム酸もしくは重クロム酸塩を主成分とする溶液中に浸漬し、乾燥させて防錆被膜を形成するもので、必要に応じ、金属箔の片面もしくは両面に行なうことができるが、市販のクロメート処理された銅箔等を利用してもよい。なお、予め黒化処理された金属箔を用いることもできるが、後の適宜な工程において、黒化処理してもよい。黒化層の形成は、レジスト層となり得る感光性樹脂層を、黒色に着色した組成物を用いて形成し、エッチングが終了した後に、レジスト層を除去せずに残留させることによっても形成できるし、黒色系の被膜を与えるめっき法によってもよい。
【0292】
また、黒化層を含む構成の別の例としては、特開平11−266095号公報に示した構成であってもよい。すなわち、導電性金属部上に第1の黒化層を設け、この第1の黒化層上に上記の電解めっきを施した後、さらにこのめっき上に第2の黒化層を有する構成である。第1の黒化層上に電解めっきを行うには、少なくとも第1の黒化層が導電性である必要がある。上記の導電性黒化層は、一般に、導電性金属化合物、例えば、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)等の化合物を使用して形成することができ、あるいは、電着性イオン性高分子材料、例えば、電着塗装材料等を使用して形成することができる。
【0293】
本発明において、上記の黒化材料を含有する電解液の浴(黒色めっき浴)は、硫酸ニッケル塩を主成分とする黒色めっき浴を使用することができ、さらに、市販の黒色めっき浴も同様に使用することができ、具体的には、例えば、株式会社シミズ製の黒色めっき浴(商品名、ノ−ブロイSNC、Sn−Ni合金系)、日本化学産業株式会社製の黒色めっき浴(商品名、ニッカブラック、Sn−Ni合金系)、株式会社金属化学工業製の黒色めっき浴(商品名、エボニ−クロム85シリ−85シリ−ズ、Cr系)等を使用することができる。また、本発明においては、上記の黒色めっき浴としては、Zn系、Cu系、その他等の種々の黒色めっき浴を使用することができる。次に、前記の導電性めっきを施し、導電性メッシュパターンを形成した後、この上に第2の黒化層を形成する。例えば、電界めっきの金属がCuの場合、硫化水素(H2 S)液処理して、Cuの表面を硫化銅(CuS)として黒化し、第2の黒化層が形成される。メッシュ状の導電性パタ−ンを構成する材料としては、前述の良導電性物質としての金属が最も有利な材料として使用することがでる。而して、上記の金属電着層を形成する場合には、汎用金属の電解液を使用することができるので、多種類の、安価な金属電解液が存在し、目的に適った選択を自由に行うことができるという利点がある。一般に、安価な良導電性金属としては、Cuが多用されており、本発明においても、Cuを使用することが、その目的にも合致して有用なものであり、勿論、その他の金属も同様に用いることができるものである。次にまた、本発明において、メッシュ状の導電性パタ−ン4は、単一金属層のみで構成する必要はなく、例えば、図示しないが、上記の例のCuからなるメッシュ状の導電性パタ−ンは、比較的に柔らかく傷がつき易いので、その保護層として、NiやCr等の汎用の硬質金属を用いて2層からなる金属電着層とすることもできる。なお、第2の黒化層のための黒化処理剤としては、硫化物系化合物を用いて容易に製造でき、さらにまた、市販品も多種類の処理剤があり、例えば、商品名・コパ−ブラックCuO、同CuS、セレン系のコパ−ブラックNo.65等(アイソレ−ト化学研究所製)、商品名・エボノ−ルCスペシャル(メルテックス株式会社製)等を使用することができる。
【0294】
[導電性膜の電磁波シールド以外の機能層]
本発明では、必要に応じて、別途、機能性を有する機能層を設けていてもよい。この機能層は、用途ごとに種々の仕様とすることができる。例えば、ディスプレイ用電磁波シールド材用途としては、屈折率や膜厚を調整した反射防止機能を付与した反射防止層や、ノングレア層又はアンチグレア層(共にぎらつき防止機能を有する)、近赤外線を吸収する化合物や金属からなる近赤外線吸収層、特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層、指紋等の汚れを除去しやすい機能を有した防汚層、傷のつき難いハードコート層、衝撃吸収機能を有する層、ガラス破損時のガラス飛散防止機能を有する層等を設けることができる。これらの機能層は、金属銀部あるいは導電性金属部と支持体とを挟んで反対側の面に設けてもよく、さらに同一面側に設けてもよい。これらの機能層を設けた材料を光学フィルタ(又は単にフィルタ)と呼ぶ。
【0295】
<機能性フイルム>
本発明の導電性膜をディスプレイ(特にプラズマディスプレイ)に用いる場合には、以下に説明する機能層(機能性フイルム)を貼付することにより、各機能性を付与することが好ましい。機能性フイルムは接着剤等を介して導電性膜に直接又は間接的に貼付することができる。機能性フイルムは、適当な透明基材上に反射防止性・防眩性を有する機能層を設けることにより形成することができる。
【0296】
(反射防止性・防眩性)
本発明の導電性膜には、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性、又は、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性、又はその両特性を備えた反射防止防眩(ARAG)性のいずれかの機能性を付与することが好ましい。
【0297】
これらの性能により、照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうのを防止できる。また、膜表面の可視光線反射率が低くすることにより、映り込み防止だけではなく、コントラスト等を向上させることができる。反射防止性・防眩性を有する機能性フイルムを透光性電磁波シールド膜に貼付した場合の可視光線反射率は、2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
【0298】
反射防止層としては、例えば、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物又はシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したもの等で形成することができる。
【0299】
防眩性層としては、0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する層から形成することができる。具体的には、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂に、シリカ、有機珪素化合物、メラミン、アクリル等の無機化合物又は有機化合物の粒子を分散させインキ化したものを塗布、硬化することにより形成することが可能である。粒子の平均粒径は、1〜40μm程度が好ましい。
【0300】
また、防眩性層としては、上記の熱硬化型又は光硬化型樹脂を塗布した後、所望のグロス値又は表面状態を有する型を押しつけ硬化することによっても形成することができる。
【0301】
防眩性層を設けた場合の導電性膜の光透過の際に生じるヘイズは0.5%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると防眩性が不十分であり、ヘイズが大きすぎると透過像鮮明度が低くなる傾向がある。
【0302】
(ハードコート性)
本発明の導電性膜に耐擦傷性を付加するために、機能性フイルムがハードコート性を有していることも好適である。ハードコート層としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。ハードコート層の厚さは、1〜50μm程度であることが好ましい。ハードコート層上に上記の反射防止層及び/又は防眩層を形成すると、耐擦傷性・反射防止性及び/又は防眩性を有する機能性フイルムが得られ好適である。
【0303】
ハードコート性が付与された導電性膜の表面硬度は、JIS(K―5400)に従った鉛筆硬度が少なくともHであることが好ましく、より好ましくは2H、さらに好ましくは3H以上である。
【0304】
(帯電防止性)
静電気帯電によるホコリの付着や、人体との接触による静電気放電を防止するため、導電性膜には、帯電防止性が付与されることが好ましい。
【0305】
帯電防止性を有する機能性フイルムとしては、導電性の高いフイルムを用いることができ、例えば導電性が面抵抗で1011オーム/sq程度以下であればよい。
【0306】
導電性の高いフイルムは、透明基材上に帯電防止層を設けることにより形成することができる。帯電防止層に用いる帯電防止剤としては、具体的には、商品名ペレスタット(三洋化成社製)、商品名エレクトロスリッパー(花王社製)等が挙げられる。他に、ITOをはじめとする公知の透明導電膜やITO超微粒子や酸化スズ超微粒子をはじめとする導電性超微粒子を分散させた導電膜で帯電防止層を形成してもよい。上述のハードコート層、反射防止層、防眩層等に、導電性微粒子を含有させる等して帯電防止性を付与してもよい。
【0307】
(防汚性)
本発明の導電性膜が防汚性を有していると、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるので好適である。
【0308】
防汚性を有する機能性フイルムは、例えば透明基材上に防汚性を有する化合物を付与することにより得られる。防汚性を有する化合物としては、水及び/又は油脂に対して非濡性を有する化合物であればよく、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。フッ素化合物として具体的には商品名オプツール(ダイキン社製)等が挙げられ、ケイ素化合物としては、商品名タカタクォンタム(日本油脂社製)等が挙げられる。
【0309】
(紫外線カット性)
本発明の導電性膜には、後述する色素や支持体の劣化等を防ぐ目的で紫外線カット性を付与することが好ましい。紫外線カット性を有する機能性フイルムは、支持体自体に紫外線吸収剤を含有させる方法や支持体上に紫外線吸収層を設けることにより形成することができる。
【0310】
色素を保護するのに必要な紫外線カット能としては、波長380nmより短い紫外線領域の透過率が、20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。紫外線カット性を有する機能性フイルムは、紫外線吸収剤や紫外線を反射又は吸収する無機化合物を含有する層を透明基材上に形成することにより得られる。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等、従来公知のものを使用でき、その種類・濃度は、分散又は溶解させる媒体への分散性・溶解性、吸収波長・吸収係数、媒体の厚さ等から決まり、特に限定されるものではない。
【0311】
なお、紫外線カット性を有する機能性フイルムは、可視光線領域の吸収が少なく、著しく可視光線透過率が低下したり黄色等の色を呈することがないことが好ましい。
【0312】
また、機能性フイルムに後述する色素を含有する層が形成されている場合は、その層よりも外側に紫外線カット性を有する層が存在することが望ましい。
【0313】
(ガスバリア性)
導電性膜を常温常湿よりも高い温度・湿度環境化で使用すると、水分により後述する色素が劣化したり、貼り合せに用いる接着剤中や貼合界面に水分が凝集して曇ったり、水分による影響で接着剤が相分離して析出して曇ったりすることがあるので、本発明の導電性膜はガスバリア性を有していることが好ましい。
【0314】
このような色素劣化や曇りを防ぐためには、色素を含有する層や接着剤層への水分の侵入を防ぐことが肝要であり、機能性フイルムの水蒸気透過度が10g/m2・day以下、好ましくは5g/m2・day以下であることが好適である。
【0315】
(その他の光学特性)
プラズマディスプレイは強度の近赤外線を発生するため、本発明の導電性膜を特にプラズマディスプレイに用いる場合は、近赤外線カット性を付与することが好ましい。
【0316】
近赤外線カット性を有する機能性フイルムとしては、波長領域800〜1000nmにおける透過率を25%以下であるものが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
【0317】
また、本発明の導電性膜をプラズマディスプレイに用いる場合、その透過色がニュートラルグレー又はブルーグレーであることが好ましい。これは、プラズマディスプレイの発光特性及びコントラストを維持又は向上させるためであり、また、標準白色より若干高めの色温度の白色が好まれる場合があるからである。
【0318】
さらに、カラープラズマディスプレイはその色再現性が不十分と言われており、特に、赤色表示の発光スペクトルは、波長580nmから700nm程度までにわたる数本の発光ピークを示しており、比較的強い短波長側の発光ピークにより赤色発光がオレンジに近い色純度の良くないものとなってしまう問題がある。そこで、機能性フイルムはその原因である蛍光体又は放電ガスからの不要発光を選択的に低減させる機能を有することが好ましい。
【0319】
これら光学特性は、色素を用いることによって制御できる。つまり、近赤外線カットには近赤外線吸収剤を用い、また、不要発光の低減には不要発光を選択的に吸収する色素を用いて、所望の光学特性とすることができ、また、光学フィルタの色調も可視領域に適当な吸収のある色素を用いて好適なものとすることができる。
【0320】
色素としては、可視領域に所望の吸収波長を有する一般の染料又は顔料や、近赤外線吸収剤として知られている化合物を用いることができ、その種類は特に限定されるものではないが、例えばアントラキノン系、フタロシアニン系、メチン系、アゾメチン系、オキサジン系、イモニウム系、アゾ系、スチリル系、クマリン系、ポルフィリン系、ジベンゾフラノン系、ジケトピロロピロール系、ローダミン系、キサンテン系、ピロメテン系、ジチオール系化合物、ジイミニウム系化合物等の一般に市販もされている有機色素が挙げられる。
【0321】
プラズマディスプレイはパネル表面の温度が高く、環境の温度が高いときは導電性膜の温度も上がるため、色素は、例えば80℃程度で劣化しない耐熱性を有していることが好適である。
【0322】
また、色素によっては耐光性に乏しいものもあるが、このような色素を用いることでプラズマディスプレイの発光や外光の紫外線・可視光線による劣化が問題になる場合は、前述のように機能性フイルムに紫外線吸収剤を含有させたり、紫外線を透過しない層を設けることによって、紫外線や可視光線による色素の劣化を防止することが好ましい。
【0323】
熱、光に加えて、湿度や、これらの複合した環境においても同様である。劣化すると光学フィルタの透過特性が変わってしまい、色調が変化したり近赤外線カット能が低下する場合がある。
【0324】
また、支持体を形成するための樹脂組成物や、塗布層を形成するための塗布組成物中に溶解又は分散させるために、色素は溶媒への溶解性や分散性も高いことが好ましい。
【0325】
また、色素の濃度は、色素の吸収波長・吸収係数、導電性膜に要求される透過特性・透過率、そして分散させる媒体又は塗膜の種類・厚さから適宜設定することができる。
【0326】
機能性フイルムに色素を含有させる場合、支持体の内部に含有していてもよいし、支持体表面に色素を含有する層をコーティングしてもよい。また、異なる吸収波長を有する色素2種類以上を混合して一つの層中に含有させてもよいし、色素を含有する層を2層以上有していてもよい。
【0327】
また、色素は金属との接触によっても劣化する場合があるため、このような色素を用いる場合、色素を含有する機能性フイルムは、色素を含有する層が導電性膜上の金属銀部或いは導電性金属部と接触しないように配置することがさらに好ましい。
【0328】
機能性フイルムを貼付した導電性膜をディスプレイに装着する際には、通常、機能性フイルムが外側、接着剤層がディスプレイ側となるように装着する。
【0329】
ここで、導電性膜の電磁波シールド能が低下させないために、金属銀部或いは導電性金属部にアースをとることが望ましい。このため、透光性電磁波シールド膜上にアースをとるための導通部を形成し、この導通部がディスプレイ本体のアース部に電気的に接触するようにすることが望ましい。導通部は、導電性膜の周縁部に沿って金属銀部或いは導電性金属部の周りに設けられていることが好適である。
【0330】
導通部はメッシュパターンにより形成されていてもよいし、パターニングされていない、例えば金属箔ベタにより形成されていてもよいが、ディスプレイ本体のアース部との電気的接触を良好とする為には、金属箔ベタのようにパターニングされていないことが好ましい。
【0331】
導通部はメッシュパターン層であっても、パターニングされていない、例えば金属箔ベタの層であってもよいが、ディスプレイ本体のアース部との電気的接触を良好とする為には、金属箔ベタ層のようにパターニングされていない導通部であることが好ましい。
【0332】
導通部が、例えば金属箔ベタのようにパターニングされていない場合、及び/又は、導通部の機械的強度が十分強い場合は、導通部そのままを電極として使用できて好適である。
【0333】
導通部の保護のため、及び/又は、導通部がメッシュパターン層である場合にアース部との電気的接触を良好とするために、導通部に電極を形成することが好ましい場合がある。電極形状は特に限定しないが、導通部をすべて覆うように形成されている事が好適である。
【0334】
電極に用いる材料は、導電性、耐触性及び透明導電膜との密着性等の点から、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、カーボン等の単体もしくは2種以上からなる合金や、合成樹脂とこれら単体又は合金の混合物、もしくは、ホウケイ酸ガラスとこれら単体又は合金の混合物からなるペーストを使用できる。ペーストの印刷、塗工には従来公知の方法を採用できる。また市販の導電性テープも好適に使用できる。導電性テープは両面ともに導電性を有するものであって、カーボン分散の導電性接着剤を用いた片面接着タイプ、両面接着タイプが好適に使用できる。電極の厚さは、これもまた特に限定されるものではないが、数μm〜数mm程度である。
【0335】
本発明によれば、プラズマディスプレイの輝度を著しく損なわずに、その画質を維持又は向上させることができる、光学特性に優れた光学フィルタを得ることが出来る。また、プラズマディスプレイから発生する健康に害をなす可能性があることを指摘されている電磁波を遮断する電磁波シールド能に優れ、さらに、プラズマディスプレイから放射される800〜1000nm付近の近赤外線線を効率よくカットするため、周辺電子機器のリモコン、伝送系光通信等が使用する波長に悪影響を与えず、それらの誤動作を防ぐことができる光学フィルタを得ることができる。さらにまた、耐候性にも優れた光学フィルタを低コストで提供することができる。
【実施例1】
【0336】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0337】
(実施例1)
(乳剤Aの調製)
・1液:
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3.0g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005% KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001% NaCl 20%水溶液) 7ml
【0338】
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液)及びヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl20% 水溶液)は、粉末をそれぞれKCl 20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0339】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.18μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.20μmまで粒子を成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0340】
・4液
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
【0341】
その後、常法に従ってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、下記に示すアニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた。(pH3.2±0.2の範囲であった)次に上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン6gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.20μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=60μS/m、密度=1.28×103kg/m3、粘度=60mPa・sとなった)。
【0342】
【化4】

【0343】
(乳剤Bの調製)
3液のヘキサクロロロジウム酸アンモニウムを除去し、水洗・脱塩後に加えるゼラチン量40gとした以外は乳剤Aと同様にして乳剤Bを調製した。
【0344】
(ハロゲン化銀感光材料1の作成)
下記に示すポリエチレンテレフタレートフイルム支持体上に、UL層/NDフィルタ前駆体層/中間層/導電性前駆体層の構成となるように塗布してハロゲン化銀感光材料1を作成した。以下に各層の調製方法、塗布量及び塗布方法を示す。
【0345】
<導電性前駆体層>
乳剤Aに増感色素(SD−1)5.7×10-4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10-4モル/モルAg、化合物(Cpd−3)8.0×10-4モル/モルAgを加え、良く混合した。
【0346】
次いで1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、界面活性剤(Sa―1)、(Sa−2)、(Sa―3)を各々塗布量が60mg/m2、40mg/m2、2mg/m2になるように添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。このようにして調製した乳剤層塗布液を支持体上にAg7.6g/m2、ゼラチン1.0g/m2になるように塗布した。なお、銀/バインダ(体積比)は、約1/0.9であった。
【0347】
<中間層>
ゼラチン 0.20g/m2
防腐剤(プロキセル) 1.3mg/m2
<NDフィルタ層>
乳剤Bに増感色素(SD−2)5.7×10-4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10-4モル/モルAgを加え、良く混合した。
【0348】
次いで1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAgを添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整し、Ag0.25g/m2、ゼラチン0.1g/m2になるように塗布した。
【0349】
<UL層>
ゼラチン 0.23g/m2
化合物(Cpd−7) 50mg/m2
化合物(Cpd−YF) 7mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
【0350】
なお、各層の塗布液は、下記構造(Z)で表される増粘剤を加え、粘度調整した。
【0351】
【化5】

【0352】
<支持体>
三酸化アンチモンを主触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート樹脂を含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒーター温度が280〜300℃設定の押し出し機内で溶融させた。
【0353】
溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得る。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.3倍に延伸後、巾方向に3.8倍に延伸し、厚さ96μmの支持体をロール形態で製造した。
【0354】
<易接着層:バック層(銀塩乳剤層と支持体をはさんで逆側に位置する易接着層)>
支持体上に下記組成の塗布液を下記塗布条件にて、逐次、塗工、乾燥し、バック層(易接着層1)を形成した。
【0355】
二軸延伸した上記ポリエチレンテレフタレート支持体を、搬送速度105m/分条件で搬送した状態で、概支持体表面を印加エネルギー727J/m2条件でコロナ放電処理を行ったのち、下記組成からなる帯電防止層用塗布液を塗布量、7.1cc/m2でバーコート法により塗布した。続いてエアー浮上乾燥ゾーンで180℃1分乾燥することで帯電防止層を得た。
【0356】
(1層目塗布液 (帯電防止層用))
蒸留水 781.7質量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET−410:日本純薬製)
(固形分30%) 30.9質量部
針状構造酸化スズ粒子(FS−10D:石原産業製)
(固形分20%) 表1の量
カルボジイミド化合物(カルボジライトV−02−L2:日清紡製)
(固形分40%) 6.4質量部
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製)
(固形分44.6%) 1.4質量部
界面活性剤(ナロアクティーHN−100:三洋化成工業製)
(固形分100%) 0.7質量部
シリカ微粒子分散液(シーホスターKE−W30:日本触媒製)
(0.3μm 固形分20%) 5.0質量部
【0357】
搬送速度105m/分を保ったまま、上記帯電防止層上に、引き続き、下記組成からなる表面層用塗布液をバーコート法により塗布量5.05cc/m2で塗布した。続いてエアー浮上乾燥ゾーンで160℃1分乾燥することで2層構成のバック層を得た。
【0358】
(2層目塗布液 (表面層用))
蒸留水 941.0質量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET−410:日本純薬製)
(固形分30%) 57.3質量部
エポキシ化合物(デナコールEX−521:ナガセ化成工業製)
(固形分100%) 1.2質量部
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製)
(固形分44.6%) 0.5質量部
【0359】
<乳剤層用 下塗層>
上記支持体のバック層を形成する面とは反対面に、下記組成の下塗層塗布液を、バック層塗工時に同時塗工することで、乳剤層用の下塗層とした。
【0360】
すなわち、搬送速度105m/分条件で支持体を搬送した状態で、該支持体の表面を467J/m2条件でコロナ放電処理を行い、下記組成からなる下塗層1層目用塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、5.05cc/m2とし、バック層帯電防止層乾燥ゾーンと同じ、エアー浮上乾燥ゾーンで180℃1分乾燥することで下塗層1層目を得た。
【0361】
<下塗層1層目>
蒸留水 823.0質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(Nipol Latex LX407C5:日本ゼオン製)
固形分40% 151.5質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩
25.0質量部
ポリスチレン微粒子(平均粒径2μ)
(Nipol UFN1008:日本ゼオン製)
固形分10%) 0.5質量部
【0362】
搬送速度105m/分を保ったまま、上記下塗層1層目上に、引き続き、下記組成からなる下塗層第2層用塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、8.7cc/m2とし、エアー浮上乾燥ゾーンで160℃1分乾燥することで2層構成の下塗層を得た。
【0363】
<下塗層第2層>
蒸留水 982.4質量部
ゼラチン(アルカリ処理) 14.8質量部
メチルセルロース(TC−5:信越化学工業製) 0.46質量部
化合物(Cpd−21) 0.33質量部
プロキセル(Cpd−22:固形分3.5%) 2.0質量部
【0364】
【化6】

【0365】
【化7】

【0366】
【化8】

【0367】
【化9】

【0368】
<塗布方法>
上記下塗層を施した支持体上に、まず乳剤層面側として支持体に近い側よりUL層、NDフィルタ前駆体層、中間層、導電性前駆体層の順に4層を、35℃に保ちながらスライドビードコーター方式により同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。ここで、硬膜剤であるCpd−7は塗布直前にUL層へ前述の量添加し、UL層から拡散させることにより乳剤層へ含有させた。そして、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。各々のセットゾーンを通過した時点では、塗布液は充分なセット性を示した。引き続き乾燥ゾーンにて両面を同時に乾燥した。これによりハロゲン化銀感光材料1を得た。
【0369】
(ハロゲン化銀感光材料2〜10)の作製
表1に示したNDフィルタ層の光学濃度、中間層のゼラチン量になるようにNDフィルタ前駆体層、中間層の塗布量を変えたこと以外はハロゲン化銀感光材料1と同様にして、ハロゲン化銀感光材料2〜10を作製した。
【0370】
(露光・現像処理)
各サンプルにSC−48フィルタ(富士フイルム(株)製)を介したタングステン光源を用いて均一露光を行った。この時の露光量はNDフィルタ層のハロゲン化銀の90%以上が現像処理後に金属銀になるように設定した。さらに、青色半導体レーザを搭載したイメージセッタ(ESCHER−GRAD社製Cobalt8、レーザー波長410nm)を用いて、線幅15μm、ピッチ300μmのメッシュパターン状の露光を与えた。
【0371】
このとき露光量は各試料に合わせて最適となるよう調節した。
【0372】
露光後の試料に対し、続いて現像処理を施し、引き続き、めっき処理を施すことにより、NDフィルタ層と導電性層を有する導電性膜101〜110を作成した。なお。導電性層のライン/スペース幅はいずれの試料においても15μm/285μmであった。
【0373】
・現像処理
処理工程 温 度 時 間
黒白現像 30℃ 40秒
定着 35℃ 40秒
リンス1* 35℃ 60秒
リンス2* 35℃ 60秒
乾 燥 50℃ 60秒
・めっき処理
酸洗浄 35℃ 20秒
水洗 3
電解めっき1 35℃ 20秒 電圧 15V
電解めっき2 35℃ 20秒 電圧 14V
電解めっき3 35℃ 20秒 電圧 13V
電解めっき4 35℃ 20秒 電圧 12V
電解めっき5 35℃ 20秒 電圧 10V
電解めっき6 35℃ 60秒 電圧 8V
電解めっき7 35℃ 60秒 電圧 7V
電解めっき8 35℃ 60秒 電圧 6V
電解めっき9 35℃ 60秒 電圧 5V
電解めっき10 35℃ 60秒 電圧 4V
水洗 4* 35℃ 30秒
水洗 5* 25℃ 30秒
黒化処理 50℃ 120秒 電圧 4V
水洗 6 25℃ 60秒
防錆液 25℃ 30秒
水洗 7 25℃ 60秒
乾 燥 50℃ 60秒
* 水洗過程は、2から1、5から4への2タンク向流方式とした。上記水洗工程は、全て井水を使用し、流量は5リットル/分であった。
【0374】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0375】
〔黒白現像液 1リットル処方〕
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール1000 2 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.6に調整
【0376】
〔定着液 1リットル処方〕
ATS 1.2 モル
沃化アンモニウム 5 g
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
【0377】
〔酸洗浄液 1リットル処方〕
硫酸 190 g
塩酸(35%) 0.06 ml
カパーグリームPCM 5 ml
(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)
純水を加えて 1 リットル
【0378】
〔電解めっき液 1リットル処方〕
・電解銅めっき液組成(補充液も同組成)
硫酸銅五水塩 75 g
硫酸 190 g
塩酸(35%) 0.06 ml
カパーグリームPCM 5 ml
(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)
純水を加えて 1 リットル
【0379】
(黒化処理液 1リットル処方)
硫酸ニッケル 70g/リットル
硫酸ニッケルアンモニウム 35g/リットル
硫酸亜鉛 25g/リットル
チオシアン酸ナトリウム 20g/リットル
pH 4.8に調整
【0380】
(防錆液 1リットル処方)
硝酸ナトリウム 15g
ベンゾトリアゾール 0.2g。
【0381】
〔リンス液 1リットル処方(リンス1〜6は共通)〕
脱イオン水(導電率5μS/cm以下) 1000ml
pH 6.5に調整
【0382】
なお、黒白現像液の酸化還元電位は、回転白金電極を現像液中に浸漬してめた浸浴電位で表示すると−340mVvsSCEであった。
【0383】
(評価)
(1:表面抵抗)
三菱化学(株)低抵抗率計ロレスターGP/ASPプローブを用いて、JIS7194に従い表面抵抗を測定した。
【0384】
(2.明室コントラスト)
プラズマディスプレイ(TH−42PD2 松下電器産業(株)製)の前面板を取り外し、先に作成した導電性膜の易接着層側にアクリル系の粘着剤を厚さ30μmの厚さで塗布し、PDP表面に直貼りした。その後、明室コントラストを目視評価した。
【0385】
◎:NDフィルタ無しより明らかに明室コントラストが良い
○:NDフィルタ無しよりやや明室コントラストが良い
△:NDフィルタ無しと同等の明室コントラストである
【0386】
(3.パターン細線形状)
視認性の評価に関しては、光学顕微鏡を用い、拡大倍率1000倍にてメッシュパターンの細線の形状を目視評価した。なお、○以上がOKレベルである。
【0387】
◎:細線がまっすぐしている
○:細線に多少凹凸がある
△:細線に大きな凹凸がある
得られた結果を表1に示した。
【0388】
なお、NDフィルタ層の光学濃度は、タングステン光源を用いた露光のみを行ったサンプルを現像処理した後、マクベスTD904濃度計を用いて測定した。
【0389】
【表1】

【0390】
表1から明らかなように、本発明の導電性膜は電磁波シールドの指標となる表面抵抗が低く、明室コントラストに優れ、細線の画質もよい。
【0391】
[実施例2]
(ハロゲン化銀感光材料11〜20の作製)
NDフィルタ層のハロゲン化銀をコロイド銀に変えた以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化銀感光材料11〜20を作成した。
【0392】
(導電性膜:試料No.111〜120の作製)
(露光・現像処理)
各サンプルに青色半導体レーザを搭載したイメージセッタ(ESCHER−GRAD社製Cobalt8、レーザ波長410nm)を用いて、線幅15μm、ピッチ300μmのメッシュパターン状の露光を与えた。このとき露光量は各試料に合わせて最適となるよう調節した。
【0393】
露光後の試料に対し、実施例1と同様の現像処理を施した。引き続き、無電解銅めっき液(硫酸銅0.06モル/リットル,ホルマリン0.22モル/リットル,トリエタノールアミン0.12モル/リットル,ポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α、α’−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解銅めっき液)を用い無電解めっき処理を施した後、実施例1の電解めっき6以降の工程を行い、NDフィルタ層と導電性層を有する導電性膜(試料No.111〜110)を作製した。なお。導電性層のライン/スペース幅はいずれの試料においても15μm/285μmであった。
【0394】
(評価)
実施例1と同様にして各項目の評価を行った。
【0395】
得られた結果を表2に示した。
【0396】
【表2】

【0397】
表2から明らかなように、NDフィルタ層にコロイド銀を用いた場合でも、本発明の導電性膜は表面抵抗が低く、明室コントラストに優れ、細線の画質もよい。
【0398】
[実施例3]
(光学フィルタの作製)
上記導電性膜(試料No.101)を用い、外縁部20mmを除いた内側の透光性電磁波シールド膜上に、厚さ25μmのアクリル系透光性粘着材を介して、ガラス板を貼り合わせた。該アクリル系透光性粘着材層中には光学フィルタの透過特性を調整する調色色素(三井化学製PS−Red−G、PS−Violet−RC)を含有させた。さらに、該ガラス板の反対の主面には、粘着材を介して近赤外線カット能を有する反射防止フイルム(日本油脂(株)製 商品名リアルック772UV)を貼り合わせ、光学フィルタを作製した。
【0399】
得られた光学フィルタは、金属メッシュが黒色であり、これをプラズマディスプレイパネルに用いたところ、ディスプレイ画像が金属色を帯びることがなく、また、実用上問題ない電磁波遮蔽能及び近赤外線カット能を有し、反射防止層により視認性に優れていた。また、色素を含有させることによって、調色機能を付与できており、プラズマディスプレイ等の光学フィルタとして好適に使用できる。
【0400】
なお、本発明に係る導電性膜、ハロゲン化銀感光材料、ハロゲン化銀感光材料の製造方法、導電性膜の製造方法、光学フィルタ及びプラズマディスプレイパネルは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0401】
【図1】本実施の形態に係る導電性膜を一部省略して示す断面図である。
【図2】本実施の形態に係るハロゲン化銀感光材料を一部省略して示す断面図である。
【図3】支持体上に第1ハロゲン化銀塩乳剤層及び第2ハロゲン化銀塩乳剤層を同時重層塗布する例を示す説明図である。
【図4】第1ハロゲン化銀塩乳剤層の第1ハロゲン化銀及び第2ハロゲン化銀塩乳剤層の第2ハロゲン化銀の分光感度特性の一例を示す図である。
【図5】図5Aは第1ハロゲン化銀塩乳剤層に対する全面露光を示す工程図であり、図5Bは第2ハロゲン化銀塩乳剤層に対する局所露光を示す工程図であり、図5Cは現像処理を示す工程図である。
【図6】図6Aは定着処理を示す工程図であり、図6Bはめっき処理を示す工程図である。
【図7】電解めっき槽を示す構成図である。
【符号の説明】
【0402】
10…導電性膜 12…支持体
14…NDフィルタ層 16…導電性層
18…第1ハロゲン化銀塩乳剤層 20…第2ハロゲン化銀塩乳剤層
22…ハロゲン化銀感光材料 24…第1ハロゲン化銀
26…ゼラチン 28…第2ハロゲン化銀
44…第1現像銀 46…第2現像銀
48…第1金属銀部 50…第2金属銀部
52…メッシュパターン 54…金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の一方の側に該支持体側から順にニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層が形成されていることを特徴とする導電性膜。
【請求項2】
請求項1記載の導電性膜において、
前記導電性層がハロゲン化銀塩乳剤層を露光、現像処理、めっき処理を行うことにより形成されることを特徴とする導電性膜。
【請求項3】
請求項1又は2記載の導電性膜において、
前記ニュートラルデンシティフィルタ層が金属銀を含有することを特徴とする導電性膜。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性膜において、
前記ニュートラルデンシティフィルタ層がハロゲン化銀塩乳剤層を露光、現像処理を行うことにより形成されていることを特徴とする導電性膜。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性膜において、
前記ニュートラルデンシティフィルタ層の光学濃度が0.1以上0.7以下であることを特徴とする導電性膜。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性膜において、
前記ニュートラルデンシティフィルタ層と前記導電性層の間に中間層が設けられていることを特徴とする導電性膜。
【請求項7】
請求項6記載の導電性膜において、
前記中間層が絶縁層であることを特徴とする導電性膜。
【請求項8】
請求項7記載の導電性膜において、
前記絶縁層がゼラチンを含有することを特徴とする導電性膜。
【請求項9】
ニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層とを有する導電性膜を得るための材料であって、
露光、現像処理を行うことによって前記ニュートラルデンシティフィルタ層となる第1層と、露光、現像、めっき処理を行うことによって前記導電性層となる第2層とを有することを特徴とするハロゲン化銀感光材料。
【請求項10】
請求項9記載のハロゲン化銀感光材料において、
前記第1層のハロゲン化銀と、前記第2層のハロゲン化銀とがそれぞれ異なる分光感度を有することを特徴とするハロゲン化銀感光材料。
【請求項11】
請求項9又は10記載のハロゲン化銀感光材料において、
前記第1層のハロゲン化銀が分光増感色素で分光増感されていることを特徴とするハロゲン化銀感光材料。
【請求項12】
請求項9記載のハロゲン化銀感光材料において、
前記第1層の金属銀がコロイド銀であることを特徴とするハロゲン化銀感光材料。
【請求項13】
ニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層とを有する導電性膜を得るためのハロゲン化感光材料の製造方法であって、
露光、現像処理を行うことによって前記ニュートラルデンシティフィルタ層となる第1層と、露光、現像、めっき処理を行うことによって前記導電性層となる第2層とを同時に重層塗布することを特徴とするハロゲン化銀感光材料の製造方法。
【請求項14】
ニュートラルデンシティフィルタ層と導電性層を形成し得るハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を露光、現像、めっき処理を行うことにより導電性膜を得ることを特徴とする導電性膜の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれかに記載の導電性膜を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれかに記載の導電性膜を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−94197(P2009−94197A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261882(P2007−261882)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】