説明

導電性高分子合成用分散剤兼ドーパント、それを用いて合成した導電性高分子、上記導電性高分子を含有する導電性組成物、上記導電性高分子または導電性組成物の分散液および上記導電性高分子または導電性組成物の応用物

【課題】 導電性、透明性が高く、かつ耐熱性が優れた導電性高分子を提供し、かつ、その導電性高分子の有する優れた特性を生かして帯電防止材や固体電解コンデンサなどの応用物を提供することを目的とする。
【解決手段】 数平均分子量が5万〜100万で、臭素と塩素の合計残存量が500ppm以下であり、かつスチレンスルホン酸モノマーの残存量が1質量%以下であるポリスチレンスルホン酸で導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成し、それと、過硫酸塩と第二鉄塩とからなる酸化剤とを用いて重合成モノマーを化学酸化重合させて導電性高分子を合成し、その導電性高分子を導電体として帯電防止材を構成し、固体電解質として固体電解コンデンサを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリスチレンスルホン酸からなる導電性高分子合成用分散剤兼ドーパント、それを用いて合成した導電性高分子、上記導電性高分子を含有する導電性組成物、上記導電性高分子または導電性組成物の分散液および上記導電性高分子または導電性組成物を導電体として用いた帯電防止フィルム、帯電防止樹脂、帯電防止布などの帯電防止材や、上記導電性高分子または導電性組成物を固体電解質として用いた固体電解コンデンサなどの導電性高分子または導電性組成物の応用物に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性高分子は、その高い導電性により、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサ、アルミニウム固体電解コンデンサなどの固体電解コンデンサの固体電解質や帯電防止材の導電体として用いられている。
【0003】
そして、この用途における導電性高分子としては、例えば、チオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーを化学酸化重合または電解酸化重合することによって合成したものが用いられている。それらの酸化重合法のうち、電解酸化重合には高価な装置を必要とすることから、工業的には、そのような高価な装置を要しない化学酸化重合が向いていると言われていて、工業化は一般に化学酸化重合で行われている。
【0004】
上記チオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーの化学酸化重合を行う際のドーパントとしては、主として有機スルホン酸が用いられ、その中でも、芳香族スルホン酸が適しているといわれており、酸化剤としては遷移金属が用いられ、その中でも、第二鉄が適しているといわれていて、通常、芳香族スルホン酸の第二鉄塩がチオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーの化学酸化重合にあたっての酸化剤兼ドーパント剤として用いられている。
【0005】
そして、その芳香族スルホン酸の第二鉄塩の中でも、トルエンスルホン酸第二鉄塩やメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩などが特に有用であるとされていて、それらを用いた導電性高分子の合成は、それらの酸化剤兼ドーパントをチオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーと混合することにより行うことができ、簡単で、工業化に向いていると報告されている(特許文献1、特許文献2)。
【0006】
しかしながら、トルエンスルホン酸第二鉄塩を酸化剤兼ドーパントとして用いて得られた導電性高分子は、初期抵抗値や耐熱性において、充分に満足できる特性を有さず、また、メトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩を酸化剤兼ドーパントとして用いて得られた導電性高分子は、トルエンスルホン酸第二鉄塩を用いた導電性高分子に比べて、初期抵抗値が低く、耐熱性にも優れているが、それでも、充分に満足できる特性は得られなかった。
【0007】
これは、トルエンスルホン酸第二鉄塩やメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩は、固体であるため、一般にアルコールに溶解された状態で用いられるが、これらの溶液は、保存している間に沈殿が生じるからである。
【0008】
すなわち、沈殿が生じてしまったトルエンスルホン酸第二鉄塩やメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩のアルコール溶液を用いると、均一性が低下して、得られた導電性高分子を用いた固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)や高温安定性などが低下するためである。
【0009】
また、得られた導電性高分子を、固体電解コンデンサの固体電解質として用いる場合、化学酸化重合法で合成した導電性高分子は、通常、溶剤に対する溶解性がないため、タンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属の多孔体からなる陽極と、前記弁金属の酸化皮膜からなる誘電体層とを有する素子の上に直接導電性高分子を形成する必要がある。
【0010】
しかしながら、このように素子上に直接導電性高分子を形成することは、条件的に非常に難しい作業を強いられることになり、再現性が乏しく、工程管理が非常に難しくなるという問題があった。
【0011】
このような状況をふまえ、可溶化導電性高分子が積極的に検討されている(例えば、特許文献3)。この特許文献3によれば、ポリスチレンスルホン酸、過硫酸アンモニウム、鉄塩、エチレンジオキシチオフェンなどを混合して、反応すれば、導電性高分子の分散液が得られると報告されている。しかしながら、それによって得られる導電性高分子は、固体電解コンデンサの固体電解質や帯電防止材の導電体として用いるには、導電率のさらなる向上が必要と考えられる。
【0012】
【特許文献1】特開2003−160647号公報
【特許文献2】特開2004−265927号公報
【特許文献3】特許第2636968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、導電性、透明性が高く、かつ耐熱性が優れた導電性高分子を提供し、かつ、その導電性高分子の有する優れた特性を生かして帯電防止フィルム、帯電防止樹脂、帯電防止布、固体電解コンデンサなどの応用物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、まず、上記のような特性を有する導電性高分子を合成することができるドーパントについて鋭意研究を重ねた結果、数平均分子量が5万〜100万で、臭素と塩素の合計残存量が500ppm(質量基準)以下であり、かつスチレンスルホン酸モノマーの残存量が1質量%以下であるポリスチレンスルホン酸が、導電性高分子の合成にあたり、分散剤兼ドーパントとして働き、上記ポリスチレンスルホン酸を分散剤兼ドーパントとして用い、酸化剤として過硫酸塩と第二鉄塩との混合物を用いて、重合性モノマーを化学酸化重合するときは、上記のように透明性や導電性が高く、かつ耐熱性が優れた導電性高分子が得られることを見出し、それに基づいて本発明を完成するにいたった。
【0015】
すなわち、本発明の第1は、数平均分子量が5万〜100万で、臭素と塩素の合計残存量が500ppm以下であり、かつスチレンスルホン酸モノマーの残存量が1質量%以下であるポリスチレンスルホン酸からなることを特徴とする導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントに関する。
【0016】
本発明の第2は、上記特定のポリスチレンスルホン酸からなる導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントと、重合性モノマーと、過硫酸塩と第二鉄塩とからなる酸化剤とを用いて化学酸化重合することにより得られたことを特徴とする導電性高分子に関する。
【0017】
本発明の第3は、上記導電性高分子と硫酸を含有することを特徴とする導電性組成物に関し、さらに、それにベンゼン環、ナフタレン環、テトラリン環およびアントラキノン環よりなる群から選ばれる少なくとも1種の環状構造部を有し、かつ環状構造部に少なくとも1個のスルホン酸基を有する芳香族スルホン酸や、ポリアリルスルホン酸などを含有させた導電性組成物に関する。
【0018】
本発明の第4は、上記導電性高分子または導電性組成物が水に分散していることを特徴とする導電性高分子または導電性組成物の分散液に関する。
【0019】
さらに、本発明は、上記導電性高分子または導電性組成物の応用物、すなわち、上記導電性高分子または導電性組成物を導電体として使用したことを特徴とする帯電フィルム、帯電防止樹脂、帯電防止布や、上記導電性高分子または導電性組成物を固体電解質として用いた固体電解コンデンサなどに関し、また、上記導電性高分子または導電性組成物の分散液を用いた固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の上記特定のポリスチレンスルホン酸からなる導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを用いることにより、透明性が高く、導電性が高く、かつ耐熱性が優れた導電性高分子を合成することができる。また、上記導電性高分子および上記導電性高分子を含む導電性組成物を導電体として用いることにより、透明性が高く、導電率が高く、かつ耐熱性が優れた帯電防止フィルム、帯電防止樹脂、帯電防止布などを提供することができ、さらには、上記導電性高分子や導電性組成物を固体電解質として用いることにより、低ESRで、高温条件下における信頼性が高い固体電解コンデンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明においては、導電性高分子の合成にあたって、数平均分子量が5万〜100万で、臭素と塩素の合計残存量(合計含有量)が500ppm以下であり、かつスチレンスルホン酸モノマーの残存量(含有量)が1質量%以下のポリスチレンスルホン酸を分散剤兼ドーパントとして用いるが、このポリスチレンスルホン酸は、導電性高分子の合成時、つまり、化学酸化重合時に、優れた分散剤として機能し、酸化剤や重合性モノマーを均一に分散させ、かつ合成される導電性高分子中にドーパントとして取り込まれ、優れた導電性を発揮する。そして、上記ポリスチレンスルホン酸が、優れた分散剤として機能することが、透明性が高く、導電率が高く、かつ耐熱性が優れている導電性高分子を合成できる要因になっているものと考えられる。
【0022】
上記導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸において、その数平均分子量を5万〜100万に特定しているのは、下記の理由によるものである。
【0023】
すなわち、上記ポリスチレンスルホン酸の数平均分子量が5万より小さい場合は、得られる導電性高分子の導電率が低くなり、また、透明性も悪くなり、上記ポリスチレンスルホン酸の数平均分子量が100万より大きい場合は、粘度が高くなり、実質上使用できないからである。そして、このポリスチレンスルホン酸としては、その数平均分子量が上記範囲内で、10万以上のものが好ましく、15万以上のものがより好ましく、また、90万以下のものが好ましく、80万以下のものがより好ましい。
【0024】
また、本発明において、上記ポリスチレンスルホン酸中の臭素と塩素の合計残存量を500ppm以下にし、スチレンスルホン酸モノマーの残存量を1質量%以下に特定しているのは、下記の理由によるものである。
【0025】
ポリスチレンスルホン酸を得る方法としては、ポリスチレンをスルホン化する方法とスチレンスルホン酸ナトリウムを高分子化する方法が知られている。
【0026】
前者のポリスチレンをスルホン化する方法は、純度の高いスルホン化物が得られにくいという問題があり、それによって得られたポリスチレンスルホン酸を導電性高分子の合成にあたって用いても、特性の優れた導電性高分子が得られない。
【0027】
これに対して、後者のスチレンスルホン酸ナトリウムを高分子化する方法は、前者のポリスチレンをスルホン化する方法に比べて、純度の高いポリスチレンスルホン酸ナトリウムが得られやすい。そこで、このポリスチレンスルホン酸ナトリウムから陽イオン交換樹脂でナトリウムを除くことによって、ポリスチレンスルホン酸が得られる。しかしながら、この方法で得られたポリスチレンスルホン酸も、臭素や塩素がその合計で500ppm以上存在し、またスチレンスルホン酸モノマーが1質量%以上存在する。そのため、このポリスチレンスルホン酸と酸化剤を用いて重合性モノマーを化学酸化重合しても、合成される導電性高分子は、導電率が低く、透明性が悪いものしか得られない。
【0028】
本発明の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸も、スチレンスルホン酸ナトリウムを高分子化する方法によって得られるが、その方法は以下に示すように行われる。
【0029】
まず、スチレンスルホン酸ナトリウムを例えば純水に溶解し、過酸化水素、過硫酸塩、遷移金属のような酸化剤と共存させた状態で常法により高分子化することによってポリスチレンスルホン酸ナトリウムを得る。この高分子化時に上記のような酸化剤を共存させることにより得られるポリスチレンスルホン酸ナトリウムの分子量を調整することができる。
【0030】
上記のようにして得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウムには臭素や塩素が多量に存在するが、それをアンモニアや水酸化ナトリウムなどのアルカリにより処理することによって、ポリスチレンスルホン酸を分解させることなく、臭素や塩素を遊離状態にする。その後、遊離の臭素や塩素、未反応のスチレンスルホン酸ナトリウムを、エタノール沈澱法や限外濾過法により取り除き、臭素や塩素、未反応のスチレンスルホン酸ナトリウムを取り除いたポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液を得ることができる。そして、そのポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で処理してナトリウムを取り除き、本発明の数平均分子量が5万〜100万で、臭素と塩素との合計残存量が500ppm以下で、スチレンスルホン酸モノマーの残存量が1質量%以下のポリスチレンスルホン酸を得ることができる。
【0031】
本発明において、導電性高分子を合成するための重合性モノマーとしては、例えば、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体、イソチアナフテンまたはその誘導体などが用いられるが、導電率が高く、かつ耐熱性が優れた導電性高分子が得られることからチオフェンまたはその誘導体が好ましい。
【0032】
上記チオフェンまたはその誘導体におけるチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンなどが挙げられ、そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数は1〜16が適しているが、特に3,4−エチレンジオキシチオフェンが好ましい。
【0033】
また、ピロールまたはその誘導体におけるピロールの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシピロール、3−アルキルピロール、3−アルコキシピロール、3−アルキル−4−アルコキシピロール、3,4−アルキルピロール、3,4−アルコキシピロールなどが用いられ、アニリンまたはその誘導体におけるアニリンの誘導体としては、例えば、m−アルキルアニリン、m−アルコキシアニリンなどが用いられ、イソチアナフテンまたはその誘導体におけるイソチアナフテンの誘導体として、例えば、3,4−エチレンジオキシイソチアナフテン、3−アルキルイソチアナフテン、3−アルコキシイソチアナフテン、3−アルキル−4−アルコキシイソチアナフテン、3,4−アルキルイソチアナフテン、3,4−アルコキシイソチアナフテンなどが用いられる。
【0034】
酸化剤としては、過硫酸塩と第二鉄塩との混合物が用いられるが、これらはあらかじめ混合しておくことは必ずしも必要ではなく、導電性高分子の合成時に混合状態になっていればよい。
【0035】
上記過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸カルシウム、過硫酸バリウムなどが用いられ、また、第二鉄塩としては、例えば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、トルエンスルホン酸第二鉄、ドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄などが用いられるが、それらの中でも過硫酸アンモニウムと硫酸第二鉄の組み合せが好ましい。そして、この過硫酸塩と第二鉄塩との比率としては、モル比で、1:1〜5000:1が好ましく、特に5:1〜100:1が好ましい。
【0036】
導電性高分子の合成にあたっての化学酸化重合は、分散剤兼ドーパントとして用いるポリスチレンスルホン酸が水に対して溶解性を有していることから、通常、水系で行われる。
【0037】
上記ポリスチレンスルホン酸からなる導電性高分子合成用分散剤兼ドーパント、重合性モノマー、酸化剤の使用量は、特に限定されることはないが、例えば、導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントとして、ポリスチレンスルホン酸を用い、重合成モノマーとして3,4−エチレンジオキシチオフェンを用い、酸化剤として、過硫酸アンモニウムと硫酸第二鉄を用いた場合、それらの使用比率としては、質量比でポリスチレンスルホン酸:3,4−エチレンジオキシチオフェン:酸化剤=1:0.1〜10:0.1〜10が好ましく、特に、ポリスチレンスルホン酸:3,4−エチレンジオキシチオフェン:酸化剤=1:0.2〜4:0.2〜4が好ましい。また、化学酸化重合時の温度としては、5〜95℃が好ましく、特に10〜30℃が好ましく、また、重合時間としては、1時間〜72時間が好ましく、特に8時間〜24時間が好ましい。導電性高分子の粒子径としては、10μm以下のものが好ましく、特に3μm以下のものが好ましい。
【0038】
上記のようにして得られる導電性高分子は、重合直後、水に分散した状態で得られ、酸化剤として用いた過硫酸塩や第二鉄塩やその分解物などを含んでいる。そこで、その不純物を含んでいる導電性高分子の水分散液を超音波ホモジナイザーや遊星ボールミルなどの分散機にかけて不純物を分散させた後、陽イオン交換樹脂で金属成分を除去する。その後、エタノール沈澱法や限外濾過法により、酸化剤の分解により生成した硫酸などを除去する。ただし、この硫酸の除去時、完全に硫酸を除去することなく、硫酸の一部を残しておく方がよい。
【0039】
上記のように得られた導電性高分子は、その分散液から液成分を乾燥その他の手段で除去することにより、導電性高分子そのもので得られるが、その際、この導電性高分子中には、酸化剤に由来する金属成分が500ppm以下になっていることが好ましい。つまり、導電性高分子中に金属成分が500ppmより多く残存していると、導電性高分子の導電性や耐熱性を低下させるだけでなく、固体電解コンデンサの固体電解質として用いた場合に、固体電解コンデンサの耐電圧を低下させ、かつ、漏れ電流不良を増加させるおそれがある。そのため、前記のように金属成分を陽イオン交換樹脂で除去する際に、除去を充分にやっておくことが好ましい。
【0040】
そして、得られた導電性高分子の導電性を高めるには、硫酸を添加するのが好ましい。ただし、この硫酸の添加は、導電性高分子が水中に分散した分散液の状態で行うことが好ましい。従って、前記のように、反応後の導電性高分子の分散液中から硫酸を除去する際に、硫酸を完全に除去する必要はなく、むしろ、硫酸を一部残しておく方が導電性の向上が高くなる、
【0041】
その硫酸を添加して、導電性高分子と硫酸を含む導電性組成物とした、導電性組成物中における硫酸の含有量としては、導電性高分子に対して質量基準で0.1〜20%(すなわち、導電性高分子100質量部に対して硫酸が0.1〜20質量部)が好ましい。硫酸の含有量が導電性高分子に対して質量基準で0.1%より少ない場合は、硫酸の添加による導電性の向上が充分に発現せず、また、硫酸の含有量が導電性高分子に対して質量基準で20%より多くなっても、硫酸の増加に伴なう導電性向上効果の増加が期待できず、また、導電性組成物の分散液を乾燥して液成分を除去しようとしたときに、導電性組成物が充分に乾かず、べたついたものになる。
【0042】
また、上記導電性高分子と硫酸を含む導電性組成物に、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラリン環およびアントラキノン環よりなる群から選ばれる少なくとも1種の環状構造部を有し、かつ該環状構造部に少なくとも1個のスルホン酸基を有する芳香族スルホン酸を添加すると、導電性がさらに向上するので好ましい。この芳香族スルホン酸の添加も、導電性高分子と硫酸を含む導電性高分子が水に分散した分散液の状態で行うことが好ましい。
【0043】
このような芳香族スルホン酸において、ベンゼン環を有する芳香族スルホン酸としては、例えば、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、カテコールスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、スルホイソフタル酸、スルホイソフタル酸ジアルキル、アルコキシベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などが好ましく、ナフタレン環を有する芳香族スルホン酸としては、例えば、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ジアルキルナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンジスルホン酸、アルコキシナフタレンスルホン酸などが好ましい。そして、テトラリン環を有する芳香族スルホン酸としては、例えば、テトラリンスルホン酸、テトラリンジスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸などが好ましく、アントラキノン環を有する芳香族スルホン酸としては、例えば、アントラキノンスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、アントラキノントリスルホン酸などが好ましい。これら芳香族スルホン酸のうち、特に、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、テトラリンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸が、導電性を向上させる効果が大きく好ましい。
【0044】
この芳香族スルホン酸を含有する導電性組成物における芳香族スルホン酸の含有量としては、導電性高分子に対して質量基準で5〜50%(すなわち、導電性高分子100質量部に対して芳香族スルホン酸が5〜50質量部)であることが好ましく、特に10〜30%が好ましい。この芳香族スルホンの含有量が導電性高分子に対して質量基準で5%より少ない場合は、芳香族スルホン酸の添加による導電性の向上が充分に発現せず、また、芳香族スルホン酸の含有量が導電性高分子に対して質量基準で50%より多くなっても、芳香族スルホン酸の増加に伴なう導電性向上効果の増加が期待できず、また、導電性組成物を水に分散させて分散液とした場合、分散液を乾燥して液成分を除去しようとしたときに、導電性組成物が充分に乾かず、べたついたものになったり、結晶が析出したりするおそれがあるからである。
【0045】
さらに、上記導電性高分子と硫酸を含む導電性組成物や導電性高分子と硫酸と芳香族スルホン酸を含む導電性組成物に、ポリアリルスルホン酸を添加すると、導電性がさらに向上するので好ましい。これは、添加したポリアリルスルホン酸が導電性高分子と導電性高分子とをつなぐ接着剤のような働きをすることによるものと考えられる。このポリアリルスルホン酸の添加も前記導電性組成物が分散液の状態にあるときに行うのが好ましい。
【0046】
そして、このポリアリルスルホン酸を含む導電性高分子におけるポリアリルスルホン酸の含有量としては、導電性高分子に対して質量基準で1〜10%(すなわち、導電性高分子100質量部に対してポリアリルスルホン酸が1〜10質量部)が好ましい。ポリアリルスルホン酸の含有量が導電性高分子に対して質量基準で1%より少ない場合は、ポリアリルスルホン酸の添加による導電性の向上が充分に発現せず、ポリアリルスルホン酸の含有量が導電性高分子に対して質量基準で10%より多くなっても、ポリアリルスルホン酸の含有量の増加に伴なう導電性向上効果の増加が認められず、逆にポリアリルスルホン酸の含有量の増加に伴ない導電性が悪くなるおそれがある。
【0047】
本発明の導電性高分子やその導電性高分子を主材(主要材料)として含有する導電性組成物は、透明性が優れており、導電率が高く、耐熱性が優れていることから、帯電防止フィルム、帯電防止布、帯電防止樹脂などの帯電防止材の導電体として好適に使用することができる。また、本発明の導電性高分子や導電性組成物は、導電率が高く、かつ、耐熱性が優れていることから、アルミニウム固体電解コンデンサをはじめ、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサなどの固体電解コンデンサの固体電解質として好適に用いられ、高温条件下における信頼性が高い固体電解コンデンサを提供することができる。
【0048】
また、本発明の導電性高分子や導電性組成物は、その導電率が高く、かつ、耐熱性が優れているという特性を利用して、上記の固体電解コンデンサの固体電解質や帯電防止材の導電体以外にも、バッテリーの正極活物質、耐腐食用塗料の基材樹脂などとしても好適に用いることができる。
【0049】
上記のように、本発明の導電性高分子や導電性組成物を帯電防止材の導電体や固体電解コンデンサの固体電解質として用いる際は、それらをそのままでも使用することができるが、それらの導電性高分子や導電性組成物が水に分散した分散液の状態で使用し、その後、乾燥して導電体や固体電解質とする方が使用しやすい。
【0050】
そして、その導電性組成物の分散液の使用にあたって、該分散液に、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン、γ−ブチロラクトンなどの高沸点溶媒を添加しておくと、導電性組成物の導電性を向上させるので好ましい。すなわち、上記高沸点溶媒を添加した導電性組成物の分散液を乾燥して液成分を除去したときに、得られる導電性組成物の導電性が向上するので好ましい。そして、それらの高沸点溶媒の添加量としては、分散液中の導電性高分子に対して質量基準で5〜3,000%(すなわち、導電性高分子100質量部に対して高沸点溶媒が5〜3,000質量部)が好ましく、特に20〜700%が好ましい。
【0051】
本発明の導電性高分子や導電性組成物を導電体として用いる帯電防止フィルムや帯電防止布を作製するには、フィルムや布に前記の導電性高分子または導電性組成物の分散液を塗布するか、あるいはフィルムや布を導電性高分子または導電性組成物の分散液に浸漬した後、乾燥することが行われるが、その際、上記導電性高分子または導電性組成物の分散液にバインダ樹脂を添加しておくと、フィルムや布に対する導電性高分子または導電性組成物の密着性が向上するので好ましい。
【0052】
そのようなバインダ樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック樹脂などが挙げられ、特にポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂などが好ましい。
【0053】
そして、このバインダ樹脂あるいはその他の樹脂に、前記導電性高分子または導電性組成物を混入させることによって、帯電防止樹脂が得られる。
【0054】
また、本発明の導電性高分子や導電性組成物をタンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサ、アルミニウム積層型固体電解コンデンサなどの固体電解質として用いる場合、タンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属の多孔体からなる陽極と、それらの弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子を本発明の導電性高分子または導電性組成物の分散液に浸漬し、引き出した後、乾燥する工程を繰り返すことによって、導電性高分子または導電性組成物からなる固体電解質層を形成した後、カーボンペースト、銀ペーストを付け、乾燥した後、外装することによって、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサ、アルミニウム積層型固体電解コンデンサなどの固体電解コンデンサを作製することができる。
【0055】
また、本発明のポリスチレンスルホン酸からなる分散剤兼ドーパント、重合性モノマー、酸化剤を含む液に、前記のコンデンサ素子を浸漬し、引き出した後、室温で重合を行い、水に浸漬し、引き上げる操作により、洗浄した後、乾燥することで導電性高分子を合成した後、本発明の導電性高分子または導電性組成物の分散液に浸漬し、引き上げて乾燥する操作を繰り返して固体電解質層を形成しても良く、また、その逆の形態をとってもよい。このようにして導電性高分子または導電性組成物で覆われた素子をカーボンペースト、銀ペーストで覆った後、外装することによって、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサ、アルミニウム積層型固体電解コンデンサなどを作製することもできる。
【0056】
また、本発明の導電性高分子または導電性組成物をアルミニウム巻回型固体電解コンデンサの固体電解質として用いる場合は、アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行って誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して作製したコンデンサ素子を本発明の導電性高分子または導電性組成物の分散液に浸漬し、引き出した後、数分から数時間乾燥した後、アルミニウム箔のエッチングされた細孔に入っていない導電性高分子または導電性組成物を取り除くため、純水に含浸し、引き出した後、乾燥する。この操作を何度も繰り返したのち、外装材で外装して、アルミニウム巻回型固体電解コンデンサを作製することができる。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例などにおいて濃度や使用量を示す際の%は特にその基準を付記しないかぎり、質量基準による%である。
【0058】
まず、下記の実施例1〜2および比較例1〜2で、導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸の製造例を示す。
【0059】
実施例1(ポリスチレンスルホン酸の製造例1)
スチレンスルホン酸ナトリウム100gを水2,000mlに添加し、50℃に加熱しながら、スターラーで攪拌して溶解した。そこに過硫酸アンモニウム500mgを添加し、60℃に加熱しながら、スターラーで攪拌して24時間反応を行った。次いで、オルガノ社製の陽イオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を200g添加した後、1時間攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過を行い、陽イオンを除去する操作を5回繰り返した。その後、上記濾液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕にかけ、低分子成分を除去したのち、濃度を5%に調整した。
【0060】
得られたポリスチレンスルホン酸についてGPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル濾過クロマトグラフィー)カラムを用いたHPLC(High performance liquid chromatography:高速液体クロマトグラフィー)システムを用いて分析を行った結果、スチレンスルホン酸は検出されなかった。また、昭和電工社製デキストランを標品として見積もった数平均分子量は、600,000であった。
【0061】
また、硝酸銀滴定により塩素量を測定したところ、塩素量は全固形分中50ppm以下(検出限界)であり、また、ICP−AES(Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry:誘導結合プラズマ発光分光分析)により臭素量を測定したところ、臭素量は全固形分中50ppm以下(検出限界以下)であった。
【0062】
なお、上記の全固形分とは、105℃で2時間乾燥させた時の乾燥残量を意味し、この乾燥残量はすべてポリスチレンスルホン酸であると考えられるので、このポリスチレンスルホン酸中の臭素と塩素の合計残存量は、100ppm以下であった。
【0063】
上記のようにして得られたポリスチレンスルホン酸は、数平均分子量が60万で、臭素と塩素の合計残存量が100ppm以下で、かつスチレンスルホン酸モノマーの残存量が0%であって、本発明において、導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸に関して規定する要件を満たしていることから、このポリスチレンスルホン酸を実施例1の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸とする。
【0064】
実施例2(ポリスチレンスルホン酸の製造例2)
スチレンスルホン酸ナトリウム400gを水2,000mlに添加し、50℃に加熱しながら、スターラーで攪拌して溶解した。そこに過硫酸アンモニウム1.5gを添加し、60℃に加熱しながら、スターラーで攪拌して24時間反応を行った。その後、上記反応液に窒素ガスを吹き込みながら、濃度5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH13にした後、5時間攪拌した。次いで、オルガノ社製の陽イオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を200g添加した後、1時間攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過を行い、陽イオンを除去する操作を5回繰り返した。その後、この濾液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕にかけ、低分子成分を除去した後、濃度を5%に調整した。
【0065】
得られたポリスチレンスルホン酸についてGPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、スチレンスルホン酸は検出されなかった。また、昭和電工社製デキストランを標品として見積もった数平均分子量は、200,000であった。
【0066】
また、硝酸銀滴定により塩素量を測定したところ、塩素量は全固形分中50ppm以下(検出限界)であり、また、ICP−AESにより臭素量を測定したところ、臭素量は全固形分中50ppm以下(検出限界以下)であった。
【0067】
上記のようにして得られたポリスチレンスルホン酸は、数平均分子量が20万で、臭素と塩素の合計残存量が100ppm以下で、かつスチレンスルホン酸モノマーの残存量が0%であって、本発明において、導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸に関して規定する要件を満たしていることから、このポリスチレンスルホン酸を実施例2の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸とする。
【0068】
比較例1(ポスチレンスルホン酸の製造例3)
スチレンスルホン酸ナトリウム100gを水2,000mlに添加し、50℃に加熱しながら、スターラーで攪拌して溶解した。そこに過硫酸アンモニウム500mgを添加し、60℃に加熱しながら、スターラーで攪拌して24時間反応を行った。次いで、上記反応液にオルガノ社製の陽イオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を200g添加した後、1時間攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過を行い、陽イオンを除去する操作を3回繰り返した。その後、この濾液を濃度を5%に調整した。
【0069】
得られたポリスチレンスルホン酸についてGPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、スチレンスルホン酸がポリスチレンスルホン酸中に2%残存していた。また、昭和電工社製デキストランを標品として見積もった数平均分子量は、600,000であった。
【0070】
また、硝酸銀滴定により塩素量を測定したところ、塩素量は全固形分に対し800ppmであり、ICP−AESにより臭素量を測定したところ、臭素量は全固形分に対し9,000ppm検出された。
【0071】
上記のようにして得られたポリスチレンスルホン酸は、臭素と塩素の合計残存量が9,800ppmもあり、しかも、スチレンスルホン酸モノマーが2%も残存していることから、本発明において、導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸に関して規定する要件を満たしていないので、このポリスチレンスルホン酸を比較例1の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸とする。
【0072】
比較例2(ポリスチレンスルホン酸の製造例4)
スチレンスルホン酸ナトリウム400gを水2,000mlに添加し、50℃に加熱しながら、スターラーで攪拌して溶解した。そこに過硫酸アンモニウム7.5gを添加し、60℃に加熱しながら、スターラーで攪拌して24時間反応を行った。次いで、反応液に窒素ガスを吹き込みながら、濃度5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH13にした後、5時間攪拌し、次いで、オルガノ社製の陽イオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を200g添加した後、1時間攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過を行い、陽イオンを除去する操作を5回繰り返した。その後、その濾液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow50(商品名)、分子量分画5,000〕にかけ、低分子成分を除去したのち、濃度を5%に調整した。
【0073】
得られたポリスチレンスルホン酸についてGPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、スチレンスルホン酸は検出されなかった。また、昭和電工社製デキストランを標品として見積もった数平均分子量は、20,000であった。
【0074】
また、硝酸銀滴定により塩素量を測定したところ、塩素量は全固形分に対し50ppm(検出限界)であり、ICP−AESにより臭素量を測定したところ、臭素量は全固形分に対し50ppm以下(検出限界以下)であった。
【0075】
上記のようにして得られたポリスチレンスルホン酸は、数平均分子量が2万であって、本発明において、導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸に関して規定する要件を満たしていないので、このポリスチレンスルホン酸を比較例2の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸とする。
【0076】
表1に、上記実施例1〜2および比較例1〜2の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸の製造例番号、数平均分子量、臭素と塩素の合計残存量およびスチレンスルホン酸モノマーの残存量を表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
つぎに、上記実施例1〜2の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを用いて合成した導電性高分子を主材(主要材料)とする導電性組成物について以下の実施例3〜12で示す。また、上記比較例1〜2の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを用いて合成した導電性高分子を主材とする導電性組成物について以下の比較例3〜4で示す。なお、以下の実施例3〜12および比較例3〜4では、実施例1の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸を簡略化して「実施例1のポリスチレンスルホン酸」で示し、実施例2の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸を簡略化して「実施例2のポリスチレンスルホン酸」で示し、比較例1の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸を簡略化して「比較例1のポリスチレンスルホン酸」で示し、比較例2の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントを構成するポリスチレンスルホン酸を簡略化して「比較例2のポリスチレンスルホン酸」で示す。
【0079】
実施例3
実施例1のポリスチレンスルホン酸の5%水溶液280gを内容積2Lのビーカーに入れ、過硫酸アンモニウム15g添加した後、スターラーで攪拌して溶解した。次いで、硫酸第二鉄の40%水溶液5gを添加し、水で1,000gに調整した後、スターラーで攪拌して、溶解した。この溶液を攪拌しながら、その中に3,4−エチレンジオキシチオフェン7mlをゆっくり滴下し、24時間かけて、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。
【0080】
上記重合後、超音波ホモジナイザー(日本精機社製、US−T300)で30分間分散処理を行った後、オルガノ社製の陽イオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を200g添加し、1時間スターラーで攪拌した。次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過する操作を3回繰り返して、陽イオン成分をすべて除去した。
【0081】
上記濾液を孔径が0.45μmのメンフランフィルターを通し、通過液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕により、遊離の低分子成分を除去した。この液を蒸発乾固すれば導電性高分子が得られるが、この実施例3では、そのようにせず、濃度を1.6%に調整した後、硫酸を前記液に対し0.02%添加し、さらにナフタレンスルホン酸を前記液に対し0.3%添加し、攪拌後、孔径が1μmのガラスフィルターを通して、導電性高分子を主材として含有する導電性組成物の分散液を得た。
【0082】
この導電性組成物の分散液を150℃に加熱し、水分を除去した後、硝酸で分解した後、孔径が0.2μmのフィルターを通した液をICP−AES測定を行うことにより、Fe,Ce,Ag,Cu量を測定したところ、それらの総元素量は全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であった。このFe,Ce,Ag,Cuの総元素量を導電性高分子に対する量に換算しても20ppm以下であった。
【0083】
上記孔径が0.2μmのフィルターを通した液の硫酸含有量をイオンクロマトグラフィーにより測定したところ、硫酸含有量は導電性高分子に対して2.0%であった。また、ナフタレンスルホン酸量をHPLCにより測定したところ、ナフタレンスルホン酸の含有量は導電性高分子に対して14%であった。
【0084】
実施例4
実施例3において、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合後、濾過、限外濾過装置による低分子成分の除去、濃度調整を行った液に対して、硫酸を0.02%添加せず、かつナフタレンスルホン酸も添加せず、それらに代えて、γ−ブチロラクトンを5%添加した以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0085】
この実施例4におけるFe,Ce,Ag,Cuの総元素の含有量は実施例3と同様に全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であり、硫酸の含有量をイオンクロマトグラフィーで測定したところ、硫酸の含有量は導電性高分子に対して0.3%であり、γ−ブチロラクトンの含有量をガスクロマトグラフィーで測定したところ、γ−ブチロラクトンンの含有量は導電性高分子に対して300%であった。
【0086】
実施例5
ナフタレンスルホン酸に代えてアントラキノンスルホン酸を添加した以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0087】
この実施例5におけるFe,Ce,Ag,Cuの総元素の含有量は実施例3と同様に全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であり、硫酸の含有量も実施例3と同様に導電性高分子に対して2.0%であり、アントラキノン酸の含有量は導電性高分子に対して12%であった。
【0088】
実施例6
ナフタレンスルホン酸に代えてテトラリンスルホン酸を添加した以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0089】
この実施例6におけるFe,Ce,Ag,Cuの総元素の含有量は実施例3と同様に全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であり、硫酸の含有量も実施例3と同様に導電性高分子に対して2.0%であり、テトラリンスルホン酸の含有量は導電性高分子に対して14%であった。
【0090】
実施例7
ナフタレンスルホン酸に代えてフェノールスルホン酸を添加した以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0091】
この実施例7におけるFe,Ce,Ag,Cuの総元素の含有量は実施例3と同様に全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であり、硫酸の含有量も実施例3と同様に導電性高分子に対して2.0%であり、フェノールスルホン酸の含有量は導電性高分子に対して15%であった。
【0092】
実施例8
ナフタレンスルホン酸を添加することなく、そのぶん硫酸を増量した以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0093】
この実施例8におけるFe,Ce,Ag,Cuの総元素の含有量は実施例3と同様に全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であり、硫酸の含有量は導電性高分子に対して17%であった。
【0094】
実施例9
ナフタレンスルホン酸を添加することなく、アントラキノンスルホン酸を0.7%添加した以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0095】
この実施例9におけるFe,Ce,Ag,Cuの総元素の含有量は実施例3と同様に全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であり、硫酸の含有量も実施例3と同様に導電性高分子に対して2.0%であり、アントラキノンスルホン酸の含有量は導電性高分子に対して26%であった。
【0096】
実施例10
実施例1のポリスチレンスルホン酸に代えて実施例2のポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0097】
この実施例10におけるFe,Ce,Ag,Cuの総元素の含有量は実施例3と同様に全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であり、硫酸の含有量も実施例3と同様に導電性高分子に対して2.0%であり、ナフタレンスルホン酸の含有量も実施例3と同様には導電性高分子に対して15%であった。
【0098】
実施例11
高沸点化合物としてジメチルスルホキシドを0.5%添加した以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0099】
この実施例11におけるFe,Ce,Ag,Cuの総元素の含有量は実施例3と同様に全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であり、硫酸の含有量も実施例3と同様に導電性高分子に対して2.0%であり、ナフタレンスルホン酸の含有量も実施例3と同様に導電性高分子に対して14%であり、ガスクロマトグラフィーで測定したジメチルスルホキシドの含有量は導電性高分子に対して15%であった。
【0100】
実施例12
数平均分子量が1,000のポリアリルスルホン酸の水溶液を導電性組成物の分散液に対し0.1%添加した以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0101】
この実施例12におけるFe,Ce,Ag,Cuの総元素の含有量は実施例3と同様に全固形分に対して20ppm以下(検出限界以下)であり、硫酸の含有量も実施例3と同様に導電性高分子に対して2.0%であり、ナフタレンスルホン酸の含有量も実施例3と同様に導電性高分子に対して14%であり、ポリアリルスルホン酸の含有量は導電性高分子に対して5%であった。
【0102】
比較例3
実施例1のポリスチレンスルホン酸に代えて比較例1のポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0103】
比較例4
実施例1のポリスチレンスルホン酸に代えて比較例2のポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、実施例3と同様にして導電性高分子を主材とする導電性組成物の分散液を得た。
【0104】
[導電性組成物としての評価]
上記実施例3〜12および比較例3〜4の導電性組成物の分散液を2.8cm×4.8cmのガラスプレートの上にそれぞれ50μlずつ滴下し、No.8のバーコーターで均一にしたのち、60℃で10分間乾燥し、続いて150℃で10分間乾燥して、ガラスプレート上に導電性組成物のシートを形成し、その導電性組成物のシートの導電率を室温(約25℃)下でJIS K 7194に準じて4探針方式の電導度測定器〔三菱化学製MCP−T600(商品名)〕により測定し、かつ波長400nm〜700nmの可視光透過率をUV−VIS−NIR RECORDING SPECTROPHOTOMETER〔島津社製UV3100(商品名)〕により測定した。その結果を表2に示す。なお、測定は、各試料とも、5点ずつについて行い、表2に示す数値はその5点の平均値を求め、少数点以下を四捨五入して示したものである。
【0105】
【表2】

【0106】
表2に示すように、実施例3〜12は、比較例3〜4に比べて、導電率が高く、導電性が優れているとともに、可視光透過率が高く、透明性も優れていた。
【0107】
次に、上記実施例3〜6、10〜12および比較例3の導電性組成物の各シートについて、導電率を測定した後、各シートを150℃の恒温槽中に100時間静置した後、取り出し、それぞれの導電率と可視光透過率を前記と同様に測定した。その結果を表3に示す。ただし、導電率に関しては150℃で100時間静置後の導電率の保持率で示す。
【0108】
なお、導電率の保持率は、150℃で100時間経過後の導電率を初期導電率(表2記載の導電率)で割り、パーセント(%)表示したものである。これを式で表すと、次のようになる。保持率の高い方が、熱に対する導電率の低下が起りにくいことになり、耐熱性が優れていることを示す。
【0109】
【化1】

【0110】
【表3】

【0111】
表3に示すように、実施例3〜6、10〜12は、比較例3に比べて、導電率の保持率が高く、耐熱性が優れていることを示しており、また、可視光透過率も高かった。
【0112】
[帯電防止フィルムとしての評価]
実施例13〜18および比較例5〜6
前記実施例3〜5、10〜12および比較例3〜4の導電性組成物の分散液に対し、水溶性ポリエチレン樹脂〔互応化学工業社製プラスコート(Z−561)〕を樹脂分が導電性高分子に対し、それぞれ約100%になるように添加し、攪拌後、その水溶性ポリエチレン樹脂入りの分散液を2.8cm×4.8cmのポリエチレンシートの上に50μl滴下し、No.8のバーコーターで均一にした後、60℃で10分間乾燥し、続いて150℃で10分間乾燥して、それぞれの導電性組成物を導電体とする帯電防止フィルムを形成した。そして、その帯電防止フィルムの表面抵抗を室温(約25℃)下でJIS K 7194に準じて4探針方式の電導度測定器〔三菱化学社製MCP−T600(商品名)〕により測定するとともに、可視光透過率を前記と同様に測定した。その結果を使用した導電性組成物の種類とともに表4に示す。なお、測定は、各試料とも、5点ずつについて行い、表4に示す数値はその5点の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。
【0113】
【表4】

【0114】
表4に示すように、実施例13〜18は、比較例5〜6に比べて、表面抵抗が小さく、この結果から、実施例13〜18は、比較例5〜6に比べて、導電率が高く、また、透明性も高く、帯電防止フィルムとして優れた特性を示し得ることがわかる。
【0115】
[固体電解コンデンサとしての評価]
実施例19
タンタル焼結体を濃度が0.1%のリン酸水溶液に浸漬した状態で、20Vの電圧を印加することによって化成処理を行い、タンタル焼結体の表面に酸化皮膜を形成して誘電体層を構成した。次に、濃度が35%の3,4−エチレンジオキシチオフェン溶液のエタノール溶液に上記タンタル焼結体を浸漬し、1分後に取り出し、5分間放置した。その後、あらかじめ用意しておいた濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)と濃度が30%の過硫酸アンモニウム水溶液を混合した混合物からなる酸化剤兼ドーパント溶液中に浸漬し、30秒後に取り出し、室温で30分間放置した後、50℃で10分間加熱して、重合を行った。その後、水中に上記タンタル焼結体を浸漬し、30分間放置した後、取り出して70℃で30分間乾燥した。この操作を6回繰り返した後、実施例3の導電性組成物の分散液に浸漬し、30秒後に取り出し、70℃で30分間乾燥した。この操作を5回繰り返した後、150℃で60分間放置して、導電性組成物からなる固体電解質層を形成した。その後、カーボンペースト、銀ペーストで上記導電性組成物で形成された固体電解質層を覆ってタンタル固体電解コンデンサを作製した。
【0116】
実施例20
実施例3の導電性組成物の分散液に代えて実施例4の導電性組成物の分散液を用いた以外は、実施例19と同様にしてタンタル固体電解コンデンサを作製した。
【0117】
実施例21
実施例3の導電性組成物の分散液に代えて実施例12の導電性組成物の分散液を用いた以外は、実施例19と同様にしてタンタル固体電解コンデンサを作製した。
【0118】
比較例7
実施例3の導電性組成物の分散液に代えて比較例3の導電性組成物の分散液を用いた以外は、実施例19と同様にしてタンタル固体電解コンデンサを作製した。
【0119】
比較例8
実施例3の導電性組成物の分散液に代えて比較例4の導電性組成物の分散液を用いた以外は、実施例19と同様にしてタンタル固定電解コンデンサを作製した。
【0120】
上記のように作製した実施例19〜21および比較例7〜8のタンタル固体電解コンデンサについて、そのESRおよび静電容量を測定した。その結果を表5に示す。なお、ESRおよび静電容量の測定方法は以下に示す通りであり、測定は、各試料とも、20個ずつについて行い、表5に示すESR値および静電容量値は、その20個の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。
【0121】
【表5】

【0122】
表5に示すように、実施例19〜21のタンタル固体電解コンデンサは、比較例7〜8のタンタル固体電解コンデンサに比べて、ESRが小さく、かつ静電容量が大きく、優れた電気特性を示すことがわかる。
【0123】
つぎに、上記実施例19〜21および比較例7〜8のタンタル固体電解コンデンサをそれぞれ20個ずつ、125℃で200時間貯蔵した後、前記と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を表6に示す。
【0124】
【表6】

【0125】
表6に示すように、実施例19〜21のタンタル固体電解コンデンサは、125℃で200時間貯蔵したことによるESRの増加や静電容量の減少が少なく、耐熱性が優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が5万〜100万で、臭素と塩素の合計残存量が500ppm以下であり、かつスチレンスルホン酸モノマーの残存量が1質量%以下であるポリスチレンスルホン酸からなることを特徴とする導電性高分子合成用分散剤兼ドーパント。
【請求項2】
請求項1記載の導電性高分子合成用分散剤兼ドーパントと、重合性モノマーと、過硫酸塩と第二鉄塩とからなる酸化剤とを用いて化学酸化重合することにより得られたことを特徴とする導電性高分子。
【請求項3】
重合性モノマーが、チオフェンまたはその誘導体である請求項2記載の導電性高分子。
【請求項4】
請求項2または3記載の導電性高分子と硫酸を含有することを特徴とする導電性組成物。
【請求項5】
硫酸の含有量が、導電性高分子に対して質量基準で0.1〜20%である請求項4記載の導電性組成物。
【請求項6】
ベンゼン環、ナフタレン環、テトラリン環およびアントラキノン環よりなる群から選ばれる少なくとも1種の環状構造部を有し、かつ該環状構造部に少なくとも1個のスルホン酸基を有する芳香族スルホン酸を含有する請求項4または5記載の導電性組成物。
【請求項7】
芳香族スルホン酸が、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、テトラリンスルホン酸またはアントラキノンスルホン酸である請求項6記載の導電性組成物。
【請求項8】
芳香族スルホン酸の含有量が、導電性高分子に対して質量基準で5〜50%である請求項6または7記載の導電性組成物。
【請求項9】
ポリアリルスルホン酸を含有する請求項4〜8のいずれかに記載の導電性組成物。
【請求項10】
ポリアリルスルホン酸の含有量が、導電性高分子に対して質量基準で1〜10%である請求項9記載の導電性組成物。
【請求項11】
請求項2〜3のいずれかに記載の導電性高分子または請求項4〜10のいずれかに記載の導電性組成物が水に分散していることを特徴とする導電性高分子または導電性組成物の分散液。
【請求項12】
バインダーを添加した請求項11記載の導電性高分子または導電性組成物の分散液。
【請求項13】
高沸点化合物を添加した請求項11または12記載の導電性高分子または導電性組成物の分散液。
【請求項14】
請求項2〜3のいずれかに記載の導電性高分子または請求項4〜10のいずれかに記載の導電性組成物を導電体として用いたことを特徴とする帯電防止フィルム。
【請求項15】
タンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属の多孔体からなる陽極と、前記弁金属の酸化皮膜からなる誘電体層と、請求項2〜3のいずれかに記載の導電性高分子または請求項4〜10のいずれかに記載の導電性組成物からなる固体電解質層を有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項16】
タンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属の多孔体からなる陽極と、前記弁金属の酸化皮膜からなる誘電体層とを有する素子を、請求項11〜13のいずれかに記載の導電性高分子または導電性組成物の分散液に浸漬し、引き出した後、乾燥する操作を2回以上繰り返して固体電解質層を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

【公開番号】特開2009−1624(P2009−1624A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162023(P2007−162023)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000215800)テイカ株式会社 (108)
【Fターム(参考)】