説明

少なくとも一つの電気伝導性フィルムを基板上へ蒸着させる方法

本発明は、少なくとも一つの電気伝導性があるフィルム20を基板30上に蒸着するための方法に関する。当該方法は − フィルム材料の層10であって、当該層10はマスク部40を前面11に有し、当該層10と当該マスク部40とは一つの部分である、フィルム材料の層10を選択するステップと、 − 前記層10の前面11を基板30上に位置決めするステップと、 − 溶解液滴110が前記基板30の方へと推進され、当該基板30上に蒸着されて前記フィルム20を形成し、前記マスク部40にある少なくとも一つの溝45が前記溶解液滴110の飛散を制限するよう前記層10の少なくとも一部を溶解し蒸発させるために、少なくとも1回のレーザパルス120を前記層10の背面12上へ印加するステップと、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの電気伝導性があるフィルムを基板上へ蒸着させる方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
半導体製造及びミクロ機械加工の多くの加工ステップが、制御され精度の高い態様で金属薄膜が表面へと蒸着されることを必要とする。薄い電気伝導性フィルム − 相互接続体とも呼ばれる − は、OLED技術においては基板の全表面のほぼ10%を覆っている。薄い金属フィルムを蒸着する一つの方法は、有機金属化合物ガスの、基板表面上でのレーザ熱又は光による分解を用いる。この連続したレーザ熱による方法が、いくつかの金属化のアプリケーションのために現在用いられているが、にもかかわらず実際には、当該方法は少なくとも3つの短所をもっている。第1に、基板上のガス相に生成された金属原子が、蒸着領域よりも外の表面に広がる傾向がある。第2に、プロセスが比較的遅い。第3に、適切な有機金属化合物ガスをもつ金属のみが使用されることができる。これらの課題が、多くのマイクロエレクトロニクス及びミクロ構造をもつアプリケーションに対して、この方法による迅速で正確な金属化を非実用的にしている。更にまた、この方法は本質的に、安全な操作と幾つかの中毒性の有機金属化合物のガス及び構築物の処分とを必要とする、付随する環境的な課題がある。別の方法では、スパッタ法を用いて基板表面全体が電気伝導性フィルム材料でコーティングされる。次に、湿式の化学エッチング法又は切除レーザ法が、所望の薄膜のジオメトリ(回路パターン)を基板上に露出させるために用いられる。しかしながら、使用されたエッチングの溶剤は毒性理論及び環境保護の態様の下で問題を含み、ちょうど機械部品上に蒸着された相互接続材の一部と同様、ほとんど再利用されることができない。
【0003】
電気相互接続部を表面に生じさせる他の方法は、インクジェット法で分散の際に使用されているナノ粒子のレーザ焼結である。構造体の大きさ及びジオメトリばかりでなく、この方法の備えている加工速度もまた、OLED技術の産業的な大量生産に対してこれまでは適切ではなかった。加えて、レーザ加工の際に熱的に誘発された亀裂によって、基板が損傷を受けることがある。
【0004】
このように本発明は、目的として上述の欠点を除去することがある。特に、大量生産で100μm未満の幅と、数100 mmの長さとを有するこれらの構造の作成を可能にする電気伝導性フィルム(のパターン)を基板上に作り出す方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的が、本発明の請求項1により教示される方法により達成される。本方法の有利な実施例が、従属請求項、以下の説明、又は例示的な実施例において規定されている。本発明は、少なくとも一つの電気伝導性のフィルムを基板上に蒸着するための方法を開示しており、当該方法は、
− フィルム材料の層であって、当該層はマスク部を前面に有し、当該層とマスク部とは一つの部分であり、当該層の前面が基板上に位置決めされている、フィルム材料の層を選択するステップと、
− 溶解した液滴が前記基板の方へと推進し、蒸着してフィルムを形成するよう、前記層の少なくとも一部を溶解且つ蒸発させるために、少なくとも一回のレーザパルスを前記層の背面へ印加するステップと、を含み、前記マスク部にある少なくとも一つの溝が、前記溶解液滴の飛散を制限する。
【0006】
本発明の主要な着想は、マスク部を有するフィルム材料の層を使用することであり、当該層とマスク部とは一つの部分である。マスク部は、溶解液滴の飛散を制限するために用いられ、これ故、基板上へ蒸着される電気伝導性フィルムのサイズを限定する。マスク部が層の前面を形成する。本発明の目的を実現するために、マスク部は接触領域と溝とを有する。層が基板上に位置決めされているので、接触領域は基板と直接接触している。前記溶解液滴の飛散を制限するために、溝が層中へ形成される。溶解及び蒸発自体は、背面から層へと印加されるレーザパルスにより成される。層の背面へのレーザパルスの印加によるエネルギ伝達に起因して当該層は溶解され蒸発し、これ故内部に形成された衝撃波によって溶解液滴を基板の方へと推進させる。蒸発の際の圧力波の形成のために、適切なエネルギ密度が層に堆積されねばならない。本発明におけるフィルムとは、基板上にある電気伝導性材料の構造体又はテクスチャを意味する。
【0007】
この方法の付加的な性質に起因して、材料が節約される。使用されなかった材料は再利用できる。本方法は大気中にて実施されることができ、高真空のプロセスは必要とされない。更にまた、エッチングの溶剤が使用される必要がないので、処分のための経費が節約される。相互接続部の作成の際にレーザ光線の高い送り速度及び高い走査速度が可能になるので、本方法は、このように大量生産に対して省資源及び費用効果のある態様で使用されることができる。提案された方法は電気伝導性のフィルムを作るために用いられることが可能であるだけでなく、他のタイプの材料の線を作るためにも用いられることが可能である。以下では、電気伝導性フィルムを引用して、本発明がより詳細に説明されている。しかしながら本方法が斯様な導電性フィルムに限定されることはない。本方法は、電気伝導性材料が線材料として限定されることはないことが明らかである。好都合な実施例では、本方法が適用されるステップは更に、前記層の少なくとも一部分を溶解し蒸発させるステップと、衝撃波を発生させるステップと、基板へ向けて膨張させ、層へと向かう内部圧力波を形成させるステップと、溶解液滴を前記基板に向かって推進させるステップと、を含む。
【0008】
層材料は、誘発されたレーザ光線のエネルギによって部分的に溶解され蒸発する。層材料が蒸発するときに、熱した表面の方へと向かう逆向きの内部圧力波を誘発する衝撃波が溶解表面から現れ、溶解槽上に真空を残す。衝撃で、液滴は熱した層から明らかな一撃を加えられ、部分的に基板の表面に投げつけられ、当該表面上で液滴は瞬時に固まる。層の前面構造が、例えば基板の表面にある導電線のような所望の規定された構造体(回路パターン)を形成するために、蒸発し融解した流れを導くマスク部を形成する。この構造体はマスキング・パターンの直接の転写であるので、幅100μm未満の微細な導電性のテクスチャが基板上に再現されることができる。レーザ出力、ビーム直径、パルス幅、パルス繰返し度、走査速度等などのレーザの加工パラメータを調整することによって、切断面は、レーザ照射光が基板表面に当たり当該表面を破壊するのを阻止する特定の角度に設定される。
【0009】
好ましい実施例では、本方法は衝撃波がフィルム材の蒸発した層により形成されるステップを更に含む。レーザパルスは層の一部を蒸発させ、基板の方へと膨張する衝撃波を発生させる。当該蒸発は蒸発した層のガスの放出に至り、このガスが膨張し、これ故衝撃波を形成する。衝撃波の境界内部に真空が発生し、当該真空自身が、衝撃波の出発点の方へと導かれる圧力波を発生させる。
【0010】
好ましい実施例は、複数のレーザパルスが順番に隣接して印加されることを特徴とし、好ましくは複数のレーザパルスが層に沿って溝の上を移動することを特徴とする。レーザパルスは、規定された送り速度で層に沿って移動する。
【0011】
好ましい実施例は、レーザ光線の印加及び/又は層への複数のレーザパルスが切削縁を形成することを特徴とし、当該切削縁は、層の背面に対して30°<θ<70°の切削角θを有する。
【0012】
層は溝を具備しており、当該層は前面が基板上に置かれ、後で行われるレーザ加工の間、基板上へ押圧される。フィルムの層材料が局所的に溶解するよう、レーザ光線及び/又は複数のレーザパルスが、次に背面から当該層に印加される。電気伝導性フィルムを基板上へ蒸着するプロセスの間、レーザパルスの位置は層上を移動する。レーザパルスの位置が変化する速度は送り速度と呼ばれており、1 mm/sと10,000 mm/sとの間にある。このレーザパルス及び/又はレーザ光の動きによって切削縁が構築される。レーザパルスの層への印加が層材料の溶解及び/又は蒸発を生じ、同時に生じるレーザパルスの前方への動きが切削縁の角度を生じる。この角度は、レーザパルスが基板を破壊せぬよう、且つ推進した溶解液滴が基板に当たるよう選択されなければならない。
【0013】
測定が示したように、より好ましい実施例の切削縁は、層の背面に対して45°<θ<60°の切削角θを有する。
【0014】
提案された方法では、電気的な相互接続部をフィルムとして作成するために、層材料が基板上に提供されている。これ故層材料は、一つ又は複数の溝を形成する構造化された前面をもつマスク部を有する。層及び/又はマスク部及び/又は溝の構築は、例えば機械的なツールで行われることができる。しかしながら明らかに本発明は、これらの溝の作成のタイプに制限されることはない。溝及び/又はマスク部自身は、優先的に矩形の断面をもつ。
【0015】
好ましい実施例では、層の背面でのレーザ光線の直径及び/又はレーザ出力のパラメータは、基板への直接照射が回避されるよう調節される。したがって、レーザによる基板の直接照射が防止される。これ故、基板がレーザパルスにより破壊されることはない。レーザ光線の直径及び/又はレーザ出力のパラメータを調節することによって、レーザ光線が基板上へ蒸着するエネルギをフィルムに注入することが防止される。これによって、フィルムが再び蒸発し、当該フィルムの構造が破壊されることが防止される。好ましい実施例では、基板はOLED用の基板である。導電性フィルムが効果を発揮するOLEDが基板として用いられた場合、本方法は特に効果的であった。
【0016】
本発明の目的がフィルム材料の層により解決され、ここで、層はマスク部を有し、当該層は説明された方法の何れによっても使用可能である。本方法に関して説明された特徴及び詳細はシステムにも適用し、逆も同様である。
【0017】
本発明の目的は、少なくとも一つの電気伝導性フィルムを基板上へ蒸着させるシステムによっても解決される。当該システムはレーザとフィルム材料の層とを有し、システムは、説明された方法の何れによっても機能する。
【0018】
本方法に関して説明された特徴及び詳細がシステムにも適用し、逆も同様である。
【0019】
好ましい実施例ではシステムは、パルス化されたNd:YVO4(ネオジウムをドーピングしたイットリウム・オルト・バナジウム酸塩)レーザを有する。好ましくはNd:YVO4レーザは、1064 nmの波長を有する光を発する。別の有利な実施例では、システムは、レーザが10 Wと100 Wとの間、好ましくは20 Wと60 Wとの間の平均出力を有することを特徴とする。別の好ましい実施例ではシステムは、レーザが20 KHzと200 KHzとの間、好ましくは110 KHzと170 KHzとの間のレーザパルス繰返し率、及び10μmと100μmとの間、好ましくは20μmと50μmとの間のレーザビーム直径を有することを特徴とする。各々のレーザパルスの長さは、40 nsと60 nsとの間である。
【0020】
上述した方法、及び/又はフィルムの層、及び/又はシステムは、請求項に記載のコンポーネント、及び説明された実施例中にある本発明にしたがって用いられるコンポーネントと同様、サイズ、形状、及び材料の選択に関する何らかの特別な例外に従属することはない。選択基準などの技術的な概念が関連する分野で知られており、制限されることなく適用されることができる。本発明の追加の詳細、特性、及び目的の長所が、従属請求項及び本方法の以下の複数の好ましい実施例、及び/又はフィルムの層、及び/又は本発明によるシステムを − 例示的な態様に過ぎないが - 示しているそれぞれの図の説明中で開示されている。
【0021】
提案された方法が、図面に関連する例示的な実施例を用いて、以下でより詳細に再度説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】溝が作られている層の例を示す。
【図2】溝を有し、マスク部を備えた図1の層の例を示す。
【図3】表面に印加されたレーザの説明である。
【図4】切削縁が明白に示されている図3の立断面図である。
【図5】発明された方法のステップの図解である。
【図6】基板上に適用されるフィルムの、平面図と横断面図とによる図解である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、銅のフィルムがガラスの基板30に付与される例を用いて、提案された方法が再度説明されている。
【0024】
図1ではフィルム材料の層10が示されている。このフィルム材料の少なくとも一部を基板30上へ蒸着することが本方法の目的である。この目的を達成するために、溝45が層10に挿入される(図2)。この例では厚さ45μmの銅の層10が使われている。この銅の層10は、当該銅の層の前面に形成されねばならないフィルムの幅とパターンとをもつ溝45を作るために、機械的なツール140、例えばダイヤモンドの先端を備えたツールで、後の工程で加工される。この例において溝45は、80μmの溝幅46と、25μmの溝深さとを有する。本願明細書ではフィルムとは、基板上にある電気伝導性の材料のテクスチャ又は構造体のことも意味する。図2では、埋め込まれた溝45を有する層10が示されている。図2の左側には層10の正面図11が示されている。層10の中央に、溝45が当該層10へと施行された。図2の右側には当該溝45を有する層10の断面図が示されている。層10は前面11を有する。機械的なツール140によって削り取られてはいない当該前面11の一部が、マスク部40を形成している。このマスク部40が、導電性のフィルム20が付与されねばならない基板30の上に置かれる(図3)。溝45の好ましい矩形の断面形状が、断面図で明らかである。
【0025】
フィルム20を作るために、この例では単なる直線のパターンをもつ溝45が示されている。しかしながら、どのような溝構造も本方法を用いて層10の前面に作ることができ、したがってどのようなフィルム構造も作り出せることが明らかである。
【0026】
層10は前面11が、フィルムが作られねばならないガラス基板30上に置かれる。次に、レーザパルス120及び/又はレーザ光線が溝45に沿って層10の背面に印加され、層10の銅の材料がガラス基板30へと転写される。転写されたフィルム20の形状、即ち本プロセスでの幅及びパターンは、マスク部40として機能する層10の前面11にある溝45の形状により規定される。このことが図3に概観的に示されている。
【0027】
フィルム20を基板30上に形成するために、以下のステップが適用される。即ち、
− 前面11にマスク部40を有する層10であって、当該層10と当該マスク部とが1つの部分である、層10を使用するステップと、
− 当該層10の前面11を基板30の上に位置決めするステップと、
− 前記層10の少なくとも一部分を溶解させ、及び/又は蒸発させ、及び/又は気化させるステップと、
− 基板30の方へと膨張する衝撃波150を発生させるステップと、
− 内部圧力波155を層10へ向けて形成するステップと、
− 溶解液滴110を前記基板30の方へと推進させるステップと、
− 前記溶解液滴110を前記基板30上で蒸着させ、フィルム20を形成するステップであって、マスク部40の少なくとも一つの溝45が前記溶解液滴110の飛散を制限するステップと、である。
【0028】
この方法は、当該方法が大気中において実施されることができる長所がある。したがって、層の電気伝導性フィルムを蒸着するために真空を必要としない。
【0029】
図4は、レーザ光線による除去プロセスが明示されている、溝45を有する層10の断面描写を示す。レーザパルス120は、矢印で示される方向に移動する。したがって、送り速度、平均レーザ出力パラメータ、及びビーム直径の適切な設定によって、切削縁130が層10の表面に作られ、本例では約45°の切削角θをもつ。この切削角131があると、レーザ光線120がガラス基板の表面を破壊することはない。
【0030】
フィルム材料をガラス基板30に貼り付ける原理が、図5の概観的な描写を用いて更に詳細に説明されている。図5は、図4の層10の切取図を表しており、層10の切削縁130と平行な部分が示されている。部分図5aに示されているように、層材料10はレーザパルス120により誘発された光エネルギによって溶解する。これは図4にも示されている。更に、溶解槽100の表面が蒸発温度まで加熱される。蒸発した材料によって生じた衝撃波150が材料面上に真空部を作り(図5bを参照)、逆戻りする圧力波155が当該真空中に形成される(図5c)。前記圧力波155が溶融槽100に衝突すると、溶解液滴110が層10の表面に噴出する(図5d)。これらの溶解液滴110は、基板の表面で凝固してフィルム20を形成するために、基板30の表面と接着接続する導電性の接合体を形成する。層10と一体化されているマスク部40によってフィルム20は自身のジオメトリが規定され、100μm未満の幅に調節されることができる。
【0031】
これに関し、図6は蒸着されたフィルム20を平面図と断面図とで示している。本例では、波長1064 nmで高いパルス安定性があるパルス化されたNd:YVO4レーザが使用された。約40 Wの平均レーザ出力、130 KHzのパルス繰返し率、及び30μmの焦点の設定で銅のフィルムを作るために、1300 mm/s乃至1400 mm/sの送り速度を実現することが可能であった。結果として生じたフィルムのエリア抵抗は0.05 Ω/sqとなり、したがってOLED用のアプリケーションには充分である。厚さが約35μmのアルミニウムの層が使われた場合、平均レーザ出力を約40 W、及びパルス繰返し率を150 KHzにセットすることが好ましかった。フィルムを作るために、2400 mm/s乃至2700 mm/sの送り速度を実現することが可能であった。
【0032】
明らかに、上述の平均レーザ出力、パルス繰返し率、焦点でのビーム直径、及び送り速度のパラメータは層材料及び層厚さに依存し、特定の条件下では、層材料の位置合わせ及びマスク部/溝のジオメトリにも依存する。
【符号の説明】
【0033】
10 層
11 層の前面
12 層の背面
20 電気伝導性があるフィルム
30 基板
40 マスク部
45 溝
46 溝幅
100 溶解槽
110 溶解液滴
120 レーザパルス
125 レーザ光線の直径
130 切削縁
131 切削角
140 機械的なツール
150 衝撃波
155 圧力波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの電気伝導性があるフィルムを基板上に蒸着する方法であって、
− 前記フィルムの材料の層であって、マスク部を当該層の前面に有し、当該層と前記マスク部とが一つの部分である、フィルムの材料の層を選択するステップと、
− 前記層の前面を前記基板上に位置決めするステップと、
− 溶解液滴が前記基板の方へと推進され、当該基板上に蒸着され、前記フィルムを形成し、前記マスク部にある少なくとも一つの溝が前記溶解液滴の飛散を制限するよう前記層の少なくとも一部を溶解し蒸発させるために、少なくとも1回のレーザパルスを前記層の背面上へ印加するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記層の少なくとも一部を溶解し、蒸発させるステップと、
衝撃波を発生させるステップと、
前記基板へと向かって膨張し、前記層に向かう内部圧力波を形成するステップと、
前記溶解液滴を前記基板の方へと推進させるステップと、
を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記衝撃波は、前記フィルム材料が蒸発した層により形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複数のレーザパルスが順次隣接して印加され、当該複数のレーザパルスが前記層に沿って前記溝の上を移動することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザパルスを前記層に印加するステップが切削縁を形成し、
当該切削縁は、前記層の背面に対して30°<θ<70°の切削角θを有することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マスク部及び/又は前記溝が、機械的なツールで前記層の前面に作られることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記マスク部及び/又は前記溝が、矩形断面を有することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記層の背面でのレーザビーム直径及び/又はレーザ出力が、前記基板への直接照射を回避する態様に調整されることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記基板がOLED用の基板であることを特徴とする、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記層がマスク部を有し、当該層が請求項1乃至8の何れか一項による方法のうちの少なくとも一つに従って使用可能であることを特徴とする、フィルム材料の層。
【請求項11】
少なくとも一つの電気伝導性のフィルムを基板上に蒸着するためのシステムであって、レーザとフィルム材料の層とを有し、請求項1乃至8の何れか一項によって働く、システム。
【請求項12】
前記レーザがパルス化されたNd:YVO4レーザであることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記レーザが、10 Wと100 Wとの間の出力、好ましくは20 Wと60 Wとの間の出力を有することを特徴とする、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記レーザが20 KHzと200 KHzとの間の、好ましくは110 KHzと170 KHzとの間のレーザパルス繰返し率を有し、当該レーザが10μmと100μmとの間の、好ましくは20μmと50μmとの間のレーザビーム直径を有することを特徴とする、請求項11乃至13の何れか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−515256(P2012−515256A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544961(P2011−544961)
【出願日】平成22年1月11日(2010.1.11)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050083
【国際公開番号】WO2010/082151
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【出願人】(506184093)フラオンホフェル ゲゼルシャフト ツル フォルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング イー ヴィ (4)
【Fターム(参考)】