説明

少なくとも一のオキサゾリンを活性成分として含有する、色素消失用又は光沢化粧品組成物

本発明は、色素消失用組成物における、色素消失活性成分としての少なくとも一つのオキサゾリンの、化粧品上の使用、及びそれに付随する化粧品上の処置方法に関するものである。本発明は、色素消失剤としての活性を有する医薬の調製のための、少なくとも一つのオキサゾリンの使用、及び少なくとも一つのオキサゾリンを色素消失活性成分として含有する色素消失用化粧品組成物にも又、関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一のオキサゾリンを活性成分として含有する、色素消失用又は美白用化粧品組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の色は、いくつかの物質、即ち、血管性ヘモグロビン、真皮性カロテノイド(dermal carotenoid)、及び最も重要となる表皮性メラニンによって決定される。このメラニンは、チロシナーゼ、銅、及び酸素の作用の下、基底層メラニン細胞によって産生される。
【0003】
皮膚中のメラニンは、ユーメラニン及びフェオメラニンの複合体会合物により形成される。
【0004】
ユーメラニン/フェオメラニンの生合成は、ドーパキノン(チロシナーゼ、キャプラ蛋白酵素によるチロシンの二重酸化)まで一致し、その後これらの経路は分岐する。
【0005】
化合物フェオメラニン(これは、赤褐色の原因となる)は、ほぼ10%の硫黄を含み、そしてシステイニルドーパの重合体構造を有しているのに対し、褐色ユーメラニンは、インドール−5−6−キノン重合体である。
【0006】
チロシナーゼ以外の酵素、即ちドパクロム酸化還元酵素、α-グルタミルペプチド転移酵素、グルタチオン系(還元酵素−ペルオキシダーゼ)、及びドパクロムトウトメラーゼがメラニンの発生及び制御に関与する。
【0007】
外因性又は内因性の刺激の影響の下、皮膚の変化が起こり得る。;このような変色は、ディスクロミア(ハイパークロミア及びヒポクロミア)と呼ばれる。
【0008】
これらの変化は、真皮又は表皮において基本形成され得、メラニンの量又はメラニン細胞数の変化に由来し得る。
【0009】
ハイパークロミアは、メラニン色素又は外因性のカロテノイド又は色素の蓄積である。
【0010】
ハイパークロミアの例としては、後天性顔面過剰黒色症として定義付けられる黒皮症;黒皮症は、両性において、及び全人種において観察される。黒皮症は、経口避妊薬を使用している女性、及び妊娠中の女性(妊娠黒皮症、褐色斑)に、より頻繁に現れる。
【0011】
妊娠黒皮症、又は褐色斑は、高レベルで女性ホルモンを有し、かつ皮膚を太陽光に曝している女性の間で現れる。従って、主に妊娠した女性および避妊薬を使用している女性が影響を受ける。褐色斑は、しばしば対称性の、多少は均一形の褐色の色素性の斑点の形態をとる。
【0012】
皮膚の加齢は又、色素斑の出現によって特徴付けられる。これらとしては、最も頻繁に太陽光に露出した領域(顔、手、首、及び肩)における肝斑、並びに高齢者の手、顔、及び腕に現れる、老年性黒子、ある程度広範な色素斑が挙げられる。
【0013】
色素消失用又は美白用薬剤は、組織レベル、細胞レベル、又は細胞下レベルにおいて作用し得る化学的化合物である。それらは、メラニン自体の形成化、輸送、及び色、並びにメラニン細胞の生存性(メラニン細胞毒性)に対し作用する。
【0014】
加えて、高度な色素沈着を誘発する因子(紫外線、香水、エストロゲンプロゲステロン)を検知及び排除し、その後これを処置すること、及びアフタケアを通じ、最大防御太陽光防御を施すことが必要となる。
【0015】
最後に、メラニンを含有する角質細胞の表層を排除することが出来、それ故、身体表面の色素消失、色素消失用薬剤の浸透をも幇助する処置の達成が可能である。
【0016】
皮膚を美白化するための様々な刺激が存在する。美白化は、サハラ以南のアフリカで、皮膚外観及び(皮膚)構造に非常に有害な伝統的又は化学的溶液の使用を通じ探索されている。極東では、より低毒な分子(アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸)を用い、美白化が達成されている。
【0017】
コーカサス被験者において、高度な色素沈着斑の治療に、様々な分子が用いられている。主要なものの一つであるヒドロキノンは、高度なモニタリングを必要とし、そして化粧品中の2%に制限されている。
【0018】
従って、皮膚により十分に寛容される、色素消失用又は美白用活性を示す組成物が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
これが、本発明が、一つの目的として、少なくとも一のオキサゾリンを色素消失用又は美白用活性成分として含有するように特徴付けられた、皮膚科学用及び/又は化粧品組成物を有する理由である。
【0020】
仏国特許出願FR2,834,216の中で、発明者らは、ランゲルハンス細胞遊走の阻害におけるオキサゾリンの用途を開示した。従って、この出願は、少なくとも一のオキサゾリンを皮膚及び/又は粘膜におけるアレルギー反応、及び/又は炎症反応、及び/又は刺激反応を処置又は予防するための活性成分として含有する薬剤を開示する。
【0021】
仏国出願FR2,856,294の中で、発明者らは、ヒト脂肪細胞における脂質生成を阻害するオキサゾリンの用途を開示する。従って、この出願は、少なくとも一のオキサゾリンを、活性成分として、スリム化組成物として並びに/或いは蜂巣炎を予防及び/又は処置するために、含有する組成物の用途を開示するものである。
【0022】
特許出願US4,876,249は、オキサゾリンを含有する組成物であって、当該組成物において、当該オキサゾリンが、活性な生理学的薬剤の皮膚角質層を横切る浸透を促進する組成物を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
驚くべきことに、現在、本発明者らは、オキサゾリンが色素消失用作用もまた示すことを実証している。従って、本発明者らは、少なくとも一のオキサゾリンを色素消失用活性成分として含有する、化粧品及び/又は皮膚科学用の、色素消失用及び/又は化粧品組成物を開発した。
【0024】
従って、本発明は一つの目的として、色素消失用組成物中に、少なくとも一つのオキサゾリンの、色素消失用活性成分としての用途を有している。色素消失組成物は、有利に色素沈着斑を減少及び/又は排除及び/又は予防するための、あるいは生まれついて色素沈着した皮膚を美白化するためのものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は又、一つの目的として、少なくとも一のオキサゾリンを色素消失用活性成分として含有する色素消失用化粧品組成物をも有する。
【0026】
本発明に従うオキサゾリンは、以下の一般式が有利である:
【0027】
【化1】

【0028】
【化2】

【0029】
【化3】

【0030】
式中、Rは、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、C−C40アルキル基を表し、これらは、随意に、一以上のエチレン不飽和、並びにヒドロキシ(OH)及びC−C(OC−C)から形成される群より選択される一以上の置換基を含み;R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシラジカル又は直鎖若しくは分枝鎖の、飽和若しくは不飽和の、C−C30アルキル基を表し、これらは、随意に、一以上のエチレン不飽和並びにヒドロキシ(OH)、C−C(OC−C)アルコキシ及びC−Cアルコキシカルボニル(COOC−C)ラジカルから形成される群より選択される一以上の置換基を含む。本発明の意義において、「C1−C6(OC1−C6)アルコキシ」は、アルキル基が1つから6つの炭素原子を有するアルコキシラジカルを意味する。
【0031】
は、有利には、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、C−C30アルキル基を、より一層有利には、C−C20を表し、これらは、随意に、一以上のエチレン不飽和並びにヒドロキシ(OH)及びC−C(OC−C)アルコキシラジカルより形成される群より選択される一以上の置換基を含む。
【0032】
有利には、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシラジカル又は直鎖若しくは分枝鎖の、飽和若しくは不飽和の、C−C10アルキル基を、より一層有利にはC−Cを表し、これらは、随意に、一以上のエチレン不飽和並びにヒドロキシ(OH)、C−C(OC−C)アルコキシラジカル及びC−Cアルコキシカルボニル(COOC−C)ラジカルより形成される群より選択される一以上の置換基を含む。本発明の有利な実施形態に従えば、当該オキサゾリンは、2−ウンデシル−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1,3−オキサゾリン;2−ウンデシル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン;(E)−4,4−ジメチル−2−ヘプタデカ−8−エニル−1,3−オキサゾリン;4−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−ヘプタデシル−1,3−オキサゾリン;(E)−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−ヘプタデカ−8−エニル−1,3−オキサゾリン;及び2−ウンデシル−4−エチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−オキサゾリンからなる群より選択される1型のオキサゾリンである。有利には、当該オキサゾリンは、2−ウンデシル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリンであり、これは、OX100と呼ばれ、式:
【0033】
【化4】

【0034】
を有する。
【0035】
本発明に従うオキサゾリンを調整するための多くの合成経路が公知である。従って、当該オキサゾリンは、脂肪酸(又はメチルエステル)及びアミノアルコールの反応による化学合成によって、非常にしばしば共沸剤の存在下で、形成された水(及びメタノール)の排除を促進して、調製され得る。別の可能性ある合成経路は、強塩基(strong basis)又は炭酸ナトリウムの存在下、ハロゲンアミドを濃縮する工程からなる(R.M.Lusskin,J.Amer.Chem.Soc.,72,(1950),5577)。オキサゾリンは、エポキシドとニトリルとの反応、塩化チオニルとヒドロキシアミドとの反応、又はアジリジニルホスフィンに対する酸の作用によっても又、合成され得る。
【0036】
本発明の、化粧品及び/又は皮膚科用組成物におけるオキサゾリン濃度は、組成物の全重量に対し、有利には、約0.01重量%と約10重量%との間、より有利には、約0.01重量%と約5重量%との間、更により有利には、約0.05重量%と約3%重量との間にある。
【0037】
使用される本発明の組成物は、他の色素消失用活性成分を含有し得、相補的又は相乗的効果を導き得る。オキサゾリンは、当業者に公知の色素消失用薬剤(例えば、甘草又はホワイトマルベリー抽出物の、ヒドロキノン及びその誘導体、アルブチン、レチノイン酸、レチノール、レチナール、コウジ酸、アゼライン酸、ビタミンB3又はPP、レゾルシノール及びリスベラトロール誘導体、アルファリポ酸、リノール酸、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)といったカチオンキレート剤、及び大豆抽出物)と組み合わせられ得る。
【0038】
オキサゾリンは、抗酸化物質とも又組み合わせられ得、相補的又は相乗的効果を導き得る。抗酸化剤の具体例としては、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール(特に、グリーンティ、ブドウ、マツ抽出物由来のもの)及び硫黄誘導体が挙げられる。
【0039】
オキサゾリンは、Sepiwhite(登録商標)(N-ウンデシレノイル-L-フェニルアラニン,Seppic)といった色素消失用薬剤とも又組み合わせられ得、相補的又は相乗的効果を導き得る。
【0040】
本発明のもう一つの局面に従って、本発明の、化粧品及び/又は皮膚科用組成物は、随意に相乗的効果を有し、少なくとも一つの、UVB及びUVA太陽光フィルター又は遮蔽物を含有し;このような無機及び/又は有機の遮蔽物又はフィルターは、当業者に公知であり、当業者は、これらの選択及び濃度を、得ようとする防御の程度に従って変更する。
【0041】
最後に、本発明の化粧品及び/又は皮膚科用の組成物は、角質除去剤(例えばアルファヒドロキシ及びサリチル酸及びエステル誘導体)も又含有し得る。
【0042】
最後に、本発明の化粧品及び/又は皮膚科用組成物はまた、抗炎症剤又は無痛化剤、皮膚脱感作剤(例えば、NSAID(非ステロイド抗炎症剤)、皮膚コルチコイド、甘草由来のPPAR(ペルオキシソーム増殖活性化受容体)アゴニスト、ビサボロール、(例えば、大豆由来の)グリコシル化イソフラボン若しくは非グリコシル化イソフラボン、パルミトイルエタノールアミド、植物ステロール及びビタミンEを含むケン化不能物質、(シクロオキシゲナーゼ及び/又はリポキシダーゼを阻害する)抗COX及び/又は抗LOX、並びに温泉水(thermal water)、海水、又は外因性微量元素から再構成された水を含有し得る。
【0043】
本発明の有利な改変に従うと、組成物は、色素消失用活性成分としてオキサゾリンを、Sepiwhite(登録商標)といったような別の色素消失活性成分と共に含有する。加えて、組成物は、有利に抗ラジカル作用を提供し及び一酸化窒素(NO)抑制を促進するビタミン(C及びE)の混合物を含有する。
【0044】
確実に、NOは色素沈着の調節に関与している。
【0045】
本発明の皮膚科用及び/又は化粧品組成物は、皮膚科上及び/又は化粧品上受け入れられるようなビヒクル、即ち皮膚に適合性のビヒクルを含有する。それは、局所的適用に関し典型的に用いられる全ての生薬形態、特に水性溶液の、ヒドロアルコール溶液の又は油性溶液の形態で;水中油型乳剤、油中水型乳剤又は複合乳剤;水性又は油性のゲル;液体ペースト又は固型無水物、小球(ナノ粒子、ナノカプセル、脂質小胞)を用いた水相中油の分散物、経皮デバイス、又は局所的適用に対する他のあらゆる形態において、有利に提供され得る。
【0046】
この組成物は、多少は流動体であり得、そして白色の又は着色されたクリーム、ポマード、乳液、ローション、セラム、ペースト、泡、又はゲルといった外観を有し得る。それは、随意に、エアロゾールの形態として皮膚に対して適用され得る。それは又、固体の形態、例えば棒状の形態で供与され得る。それは、パッチといった手段によってもまた適用され得る。
【0047】
本発明の組成物は、安定剤、保存剤、抗酸化剤、溶剤、香料、キレート剤、消臭剤、化学的又は無機的フィルター、無機顔料、界面活性剤、ポリマー、シリコンオイル及び顔料といったような化粧品領域に用いられる典型的な添加剤をもまた含有し得る。
【0048】
本発明は、一つの目的として、色素沈着斑を減少及び/又は排除するための化粧品処置の方法をもまた有し、少なくとも一つのオキサゾリンを含有する組成物が、局所的経路により適用されることで特徴付けられる。この化粧品処置方法のために、皮膚発色(skin coloring)を標準化することが可能になる。この組成物は、有利には、例えば、上に定義したものである。
【0049】
色素沈着斑としては、加齢斑、UV誘導斑、光毒症斑(香水、医薬、外因性毒素、火傷)及び褐色斑が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本発明は、一つの目的として、皮膚を美白化するための化粧品処置の方法をもまた有し、少なくとも一つのオキサゾリンを含有する組成物が、局所的な経路により、適用されることで特徴付けられる。本組成物は、有利には、上記のように定義付けられるようなものである。
【0051】
オキサゾリンの色素消失用特性は、本発明の別の局面に従い、少なくとも一つのオキサゾリンの、色素消失用薬剤として活性な医薬の調製のための活性成分としての用途を導く。
【0052】
医薬の製造のために用いられるオキサゾリンは、有利には上記のように定義付けられるようなものである。それは、前記に定義した少なくとも一つの他の色素消失剤、及び/又は少なくとも一つの有機又は無機物の太陽光フィルター、及び/又は一つの抗炎症薬剤と組み合わせて、随意の相乗効果を伴い、使用され得る。
【0053】
本発明の化合物及び組成物の最適な投与様式、投与計画及び生薬形態は、例えば患者の皮膚のタイプに適合した、化粧品及び/又は皮膚科用の処置の達成を一般的に考慮した基準に従って決定され得る。
以下の実施例は、本発明を例示する。
【実施例】
【0054】
実施例1:色素消失用スキンクリーム no.1
【0055】
【表1】

【0056】
実施例2:色素消失用スキンクリーム no.2
【0057】
【表2】

【0058】
実施例3:色素消失用スプレー、SPF(太陽光防御因子)30
【0059】
【表3】

【0060】
実施例4:SPF 50 色素消失用クリーム
【0061】
【表4】

【0062】
実施例5:色素消失用クリーム no.3
【0063】
【表5】

【0064】
実施例6:OX100の色素消失用効果の評価
【0065】
志願者
分析結果は、下表1に特徴が示された21人の成人女性志願者のパネルに示されている。
【0066】
【表6】

【0067】
これら志願者の中で、14%は北アフリカ出身で、86%(フォトタイプIVが76%、及びフォトタイプVが10%を含む)は地中海沿岸地域の人であった。これら志願者は、全員が手に、大半が顔に、黒子色素沈着斑を有していた。
【0068】
結果及び考察
【0069】
比色分析測定(ChromameterTM):全ての症例において分散均一性及び分布正規性が立証された。
⇒斑のない領域で
手の色素沈着斑のない領域に関して測定する。結果は、平均SEMに関しては平均値及び偏差に相当する。これらは、次の表2及び3で示される。
【0070】
【表7】

【0071】
【表8】

【0072】
値が0.05未満であった時間効果結果及び生成物効果結果は、統計的に有意である。時間効果及び生成物効果の両方に相応する結果は、一対の組(a paired series)(両側有意性試験、p<0.05)におけるスチューデントt-検定により、差Δ(T=6週間マイナスT0)の確率値を与える。
【0073】
色度座標Lにおける統計的に有意な+2%(p=0.017)の増加はITAにおける+13%(p=0.008)と同様、初期の値及びコントロールの手から得られた値と比較して、6週間適用し処置した手について観察される。
⇒斑のある領域(前識別された色素沈着斑を測定)
手において色素沈着斑の領域で測定を行う。結果は、平均SMEに関して、平均値及び偏差に相当する。これらは、次の表4及び5で示される。
【0074】
【表9】

【0075】
値が0.05未満の時間効果結果及び生成物効果結果は、統計的に有意である。時間効果及び生成物効果の両方に相応する結果は、一対の組(a paired series)(両側有意性試験、p<0.05)におけるスチューデントt-検定により、差Δ(T=6週間マイナスT0)の確率値を与える。
【0076】
【表10】

【0077】
値が0.05未満の時間効果結果及び生成物効果結果は、統計的に有意である。時間効果及び生成物効果の両方に相応する結果は、一対の組(a paired series)(両側有意性試験、p<0.05)におけるスチューデントt-検定により、差Δ(T=6週間マイナスT0)の確率値を与える。
【0078】
色度座標Lにおける統計的に有意な+2%(p=0.048)の増加は、初期値及びコントロールの手から得られた値と比較して、6週間適用し処置した手から観察される。
【0079】
臨床的評価
⇒手
適用6週間後の、いくつかの評価基準における、統計的に有意な変化の結果が下記表6に示される:
【0080】
【表11】

【0081】
上記パーセンテージは、初期評価に関して変化に対応し、上記p値は、初期評価に関して確率pに対応する(Wilcoxon試験、両側有意試験、p<0.05)。色素沈着斑鮮明度の測定のために、この斑の鮮明度を事前に確認する。
【0082】
⇒顔
適用6週間後における、いくつかの評価基準の統計的に有意な変化の結果が下記表7に示される:
【0083】
【表12】

【0084】
上記パーセンテージは、初期評価に関して変化に対応し、上記p値は、初期評価に関して確率pに対応する(Wilcoxon試験、両側有意試験、p<0.05)。色素沈着斑鮮明度の測定のために、この斑の鮮明度を事前に確認する。
【0085】
志願者による生成物の許容性及び有効性の総合的評価
志願者の57%は、生成物が十分な〜非常に十分な許容性を有していることを報告しており、志願者の29%は、生成物がある程度十分な許容性を有することを報告している。
志願者の38%は、生成物が、色素消失用/美白用製品として、ある程度十分な〜十分な有効性を有していることを報告している。
【0086】
志願者による皮膚の許容性評価
95%の志願者は皮膚の症状発現を訴えず、100%の志願者が眼の症状発現を訴えなかった。
【0087】
従って、OX100は、効果的で、皮膚科学的に十分許容性のある色素消失用活性成分である。
【0088】
実施例7:本発明の組成物における色素消失用効果の評価
本発明の化粧品処方物の、化粧品色素消失用効果及び臨床用皮膚の適合性を顔面黒色症の枠組みにおいて、調査した。
【0089】
生成物:
色素消失の理想:
実施例1の組成物
本生成物を洗顔後、乾いた皮膚において、褐色の斑に昼夜使用する。試験した被験者の皮膚は、SPF60全遮蔽物の適用によって、日射から防御される。
調査の間、他の色素消失用製品(化粧品又は局所医薬)は、関連領域に対し、局所的な適用はしない。
【0090】
I-調査方法
−皮膚科学的モニタリング下、60日間の視覚的アナログ評価スケール(visual analog scale)を用いた自己評価、及び
−Mexameter、標準写真および紫外線写真を用いたメラニン指標の測定による開示生物気象学(open biometeorological study)
【0091】
これらの評価及び測定を生成物を使用する前、及びその60日後に行った。
【0092】
この調査は、黒色症の様々な要素の進行と比較することにより、実施例1の色素消失用化粧品処方物における化粧品色素消失用効果を示す。
【0093】
特に高度に色素沈着した領域において色の強度の減少に対する効果に関して、皮膚の状態の改善に貢献するために血色素増加を獲得した黒色症型(melasma-type acquired hyperchromias)の枠組み内においてこの処方物を用いた。
【0094】
処方物の十分な化粧品許容性、及びアレルギー学的耐性を同時に調査した。
【0095】
パネルの主な特性
【0096】
調査に参加した20歳から61歳(平均42.7歳)の範囲の20人の女性志願者たちを、10歳ごとのグループに分けた:
【0097】
顔貌
・ 平均 5被験者
・ 艶のない 14被験者
・ アフリカン 1被験者
皮膚のタイプ
・ 標準〜乾燥性 5被験者
・ 乾燥老化性 2被験者
・ 乾燥性 1被験者
・ 混合脂性 3被験者
・ 混合性 8被験者
・ 脂性 1被験者
皮膚の反応性
・ 増加 3被験者
・ 増加+紅皮症 1被験者
・ 標準 16被験者
フォトタイプ
・ IV 5被験者
・ V 14被験者
・ アフリカン 1被験者
【0098】
本調査においては、顔面に6ヶ月より多く10年未満の間、高度な色素沈着を顔面に発現させた黒色症病変のみを選択した。被験者の内、9人は黒色症病変におけるホルモンが原因であることが明白であり;10人の被験者がほぼ確実にそうであり;1人の被験者が炎症性起因であることがほぼ確実である。
【0099】
臨床的調査
処置の開始において(D0)、そして次いで処置60日後(D60)、臨床的状態を、Kimbrough-Greenら、Arch Dermatol 1994;130:727-733により記載されたとおりにして、MASI(melasma area and severity index)採点法を用い、評価した。
用いた計算は、簡略化されたMASIであった。即ち:
(m MAST)=(D+H)A(Eq 1)
【0100】
生物気象学的測定
皮膚のメラニン指標は、測定表面の直径が5mmのMexameterを用い測定した。
メラニン指標(MI)は、以下の式に従って計算した:
MI=(500/log5)(log(infrared reflection/red reflection)+log5)(Eq2)
【0101】
生成物を使用する前、及びその60日後に、右及び左の試験領域において、メラニン指標を測定した。
測定領域:各々の側における2つの高度に色素沈着した領域及び2つの健康な領域、生成物を受け取った高度に色素沈着した領域、及び各々の高度に色素沈着した領域の周辺の健康な皮膚領域。
【0102】
標準写真及び紫外線写真
標準写真、右側面像及び左側面像は、両調査時点で撮影した。
【0103】
紫外線写真、右側面像及び左側面像は、両調査時点で撮影し、色彩分布を明らかにするためにコンピュター加工した。これらを用いて、正確に高度色素沈着領域を決定した。
【0104】
耐性
総合的耐性の評価は、4つのレベルの重篤度基準に従ってD60で実行した。
有効性の総合的評価
【0105】
D60で、生成物の色素消失用有効性を、以下の基準を用いて決定した:全く良好ではない、やや良好、良好、非常に良好。
【0106】
自己評価
D60で、被験者らに試験用生成物の化粧品品質に関するアンケートを行った。生成物の化粧品許容性およびその使用条件についての主観的な精神知覚評価を、D60における各志願者に実施したアンケートを用いて実行した。
【0107】
II)結果分析(第60日=T1):
A)MASI採点法を用いた臨床的調査
試験生成物の使用の60日後、皮膚科医によって、皮膚の状態はモニターされ、調査の初めに書き留められた初期状態から開始された。
【0108】
当初、解析された全志願者の平均MASIスコアは、20.8である。使用60日後、平均MASIスコアは、13.3である。
【0109】
MASI統計的解析:対応サンプル(matched sample)についてのWilcoxon等価性試験を実行して、各調査時点間に観察される平均値が統計的に異なるかを決定した。
【0110】
従って、統計的に有意な差(p=0.0006)が、使用第60日において臨床的MASIスコアの36.06%の減少を伴い観察される。
【0111】
総合的な高度色素沈着減少を、皮膚科医が、60日後に、種々の臨床的基準に従って評価した。
【0112】
60日後、皮膚科医は、症例の42.1%の「重篤」又は「非常に重篤」な状態において、高度色素沈着が減少したと判断した。
【0113】
B)メラニン指標の変化
処置された各側に対し、メラニン指標を各生成物の色素消失用効果を調査するために、高度な色素沈着を示す対称的領域又は類似した領域について測定した。さらに、基準となる値を得るために、メラニン指標を健康な皮膚の正常に色素沈着した領域について測定した。
【0114】
各被験者の各調査時点における測定の結果を、領域(処置した領域、健康な皮膚の領域)によって平均化した。
【0115】
D0において、高度に色素沈着した領域について、及び健康な皮膚について測定したメラニン指標は、統計的に有意な差(p<0.0001)があり、二つの測定値の差は、20.29(任意単位)である。
【0116】
健康なコントロールの皮膚について観察された平均結果は、以下の通りである:
−T0においてメラニン指標の平均値は500.89であり、
−T1においてメラニン指標の平均値は500.08である。
【0117】
健康な皮膚におけるT0とT1との間のメラニン指標値の比較では、有意差は観察されていない(p=0.6149)。
【0118】
高度に色素沈着し、処置が施された領域について観察された平均結果は、以下のようである:
−T0においてメラニン指標の平均値は521.18であり、
−T1においてメラニン指標の平均値は513.92である。
【0119】
T0とT1との間で有意差(p=0.0066)は、高度に色素沈着した領域について測定したメラニン指標の値の間において観察されている:T0における測定値とT1における測定値との間の差は7.26(任意単位)であり、メラニン指標値は1.39%だけ減少している。
【0120】
他方で、T1において、高度に色素沈着した部分について測定したメラニン指標と健康な皮膚について測定したメラニン指標との間で、有意差が依然として存在する(p=0.0003)。T1における測定値間の差は、13.84(任意単位)である一方、T0においては20.29であった。
【0121】
C)耐性
顔面の各側の機能的徴候、即ち、引っ張り感、チクチク感、又はヒリヒリ感についての調査は、顕著な変動は示していない。
【0122】
D)志願者自己評価:
T0とT1(60日)との間において、以下の自己評価徴候(Wilcoxon試験)につき、統計的に有意な差が存在している:
褐色の斑の色の強度、これは28.1%だけ減少
皮膚がより美白になったもの、63.1%の増加
色がより薄くなったともの、90.7%の増加
色がより均一になったもの、73.9%の増加
色がより透明になったもの、83.4%の増加
【0123】
従って、色素消失用活性成分としてOX100を含有する、本発明の色素消失用化粧品組成物は、肝斑型の高度に色素沈着した病変に対し、皮膚科学的に効果があり、十分認容される。
【0124】
実施例8:皮膚色素沈着に対するOX100の効果
OX100の効果を、共培養(NHEM−NHEK;M/K)における、照射を受けた又は受けていない標準ヒトメラノーマ細胞によるメラニンの産生につき調査した。
【0125】
試験の原理およびプロトコール:
【0126】
原理:
メラノーマ細胞/ケラチン生成細胞共培養(NHEM−NHEK;M/K)をOX100の非存在下又は存在下、240時間インキュベートする。インキュベーション後、細胞内に存在するメラニンの量を分光光度法によって測定する。
【0127】
プロトコール:
1)試験のために、M/K共培養を、PMA(酢酸ミリスチン酸ホルボール)フリーの培地中に接触し、60-80%コンフルエンスの状態に至らせる。
2)3つの同一培養シリーズを以下の測定のために調整する:
−MTT(テトラゾリウム塩)試験及び細胞の形態学的観察による細胞毒性
−メラニン量
−総蛋白量(総蛋白質に対するメラニンの比を決定するために)
3)処理条件は以下の通りである:
−3つの濃度でのOX100:2×10-6、10-5、2×10-5
−コウジ酸(色素消失用分子)
−IBMX(3-イソブチル-1-メチルキサンチン、色素沈着促進基準分子)
各処理条件は、3部構成で実行する。共培養を、上記化合物の存在下又は非存在下において、240時間インキュベートする。
【0128】
紫外線による照射(紫外線Bの25mJ/cm2+紫外線Aの300mJ/cm2)は、4日間継続して1日ごとに4回行う。
【0129】
処置の終わりにおいて、細胞単層を洗う。細胞を可溶化後、メラニン結晶を抽出し、可溶化する。メラニンは450nmのOD(光学密度)による測定及びメラニン標準の範囲との比較により定量する。
【0130】
結果:
【0131】
生存能力の調査:
OX100は3つの試験濃度において、M/K共培養に毒性を示さず(基準分子に関しても同一の所見)、結果は以下、表8に示す。
【0132】
【表13】

【0133】
有効性調査:
メラニン産生に対する生成物の効果を照射したM/K共培養及び照射なしのM/K共培養にて、評価した(表9)。
【0134】
【表14】

【0135】
OX100は、非照射共培養において、2.10-5Mで約12%抑制し、有意にメラニンの合成を減少させる(p<0.01)。
【0136】
従って、OX100は、標準的な皮膚において美白用効果を有し得る。
【0137】
照射した調査モデルにおいて、OX100は、紫外線の影響を中和する。事実、コントロールと試験生成物によって処置されたものとの間において有意差は見られない。紫外線下においてメラニンの増加は無く、皮膚は非照射コントロールと同一の色を有する。
【0138】
結論:
紫外線によって誘導されるメラニンの過生成を中和するその能力によって、及び非照射条件下、メラニン合成を阻害することによっても、OX100は、皮膚の高度な色素沈着の処置における色素消失用生成物として、皮膚化粧品上興味のあるものとなり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一のオキサゾリンの、色素消失用組成物中の色素消失用活性成分としての化粧品使用。
【請求項2】
請求項1に記載の化粧品使用であって、前記組成物が、色素沈着班を減少及び/又は排除及び/又は予防するためのものであることにより特徴付けられる、化粧品使用。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の化粧品使用であって、前記組成物が、皮膚色彩均一性及び美白を改善するためのものであることにより特徴付けられる、化粧品使用。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の化粧品使用であって、前記オキサゾリンが、以下の一般式:
【化1】

【化2】

【化3】

に属することにより特徴付けられ、
式中、Rが、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和のC−C40アルキル基であって、これらが、随意に、一以上のエチレン不飽和並びにヒドロキシ(OH)及びC−C(OC−C)アルコキシラジカルより形成される群より選択される一以上の置換基を含む、C−C40アルキル基を表し;R、R、R及びRが、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシラジカル又は直鎖若しくは分枝鎖の、飽和若しくは不飽和のC−C30アルキル基であって、随意に、一以上のエチレン不飽和並びにヒドロキシ(OH)、C−C(OC−C)アルコキシ及びC−Cアルコキシカルボニル(COOC−C)ラジカルより形成される群より選択される一以上の置換基を含む、C−C30アルキル基を表す、化粧品使用。
【請求項5】
前述の請求項のいずれかに記載の化粧品使用であって、前記オキサゾリンが、2−ウンデシル−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1,3−オキサゾリン;2−ウンデシル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン;(E)−4,4−ジメチル−2−ヘプタデク−8−エニル−1,3−オキサゾリン;4−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−ヘプタデシル−1,3−オキサゾリン;(E)−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−ヘプタデク−8−エニル−1,3−オキサゾリン;及び2−ウンデシル−4−エチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−オキサゾリンからなる群より選択される1型のオキサゾリンであることにより特徴付けられる、化粧品使用。
【請求項6】
前述の請求項のいずれかに記載の化粧品使用であって、前記オキサゾリンが、式:
【化4】

の前記2−ウンデシル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリンであることにより特徴付けられる、化粧品使用。
【請求項7】
前述の請求項のいずれかに記載の使用であって、前記組成物が、該組成物の総重量に比較して、0.01重量%と10重量%との間のオキサゾリン、及び化粧品上受容可能な媒体を含有する、使用。
【請求項8】
前述の請求項のいずれかに記載の使用であって、前記組成物が、別の色素消失用活性成分をも含有することにより特徴付けられる、使用。
【請求項9】
前述の請求項のいずれかに記載の使用であって、前記組成物が、少なくとも一の有機太陽光フィルター又は無機太陽光フィルターをさらに含有することにより特徴付けられる、使用。
【請求項10】
色素沈着斑を減少及び/又は排除するための化粧品処置の方法であって、少なくとも一のオキサゾリンが、局所経路により適用される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記色素沈着斑が、加齢斑、太陽光線斑若しくは光毒症斑又は褐色斑であることにより特徴付けられる、方法。
【請求項12】
前記皮膚を美白化するための化粧品処置の方法であって、少なくとも一のオキサゾリンを含有する組成物が、局所経路により適用される、方法。
【請求項13】
少なくとも一のオキサゾリンの、活性医薬の色素消失用活性成分としての調製のための使用。
【請求項14】
少なくとも一のオキサゾリンを、色素消失用活性成分として含有する色素消失用化粧品組成物。

【公表番号】特表2008−539206(P2008−539206A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508231(P2008−508231)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061902
【国際公開番号】WO2006/114443
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(503028525)ラボラトワール エクスパンシアンス (12)
【Fターム(参考)】