説明

布帛を積層してなるホットメルトシートおよびテープ

【課題】裏地を有する透湿防水布帛よりなる衣料製品の縫い目からの漏水を防ぐことのできる高い目止め機能を持ち、かつ縫い目部分の透湿性能の低下を防止し、透湿防水衣料製品が本来もつべき透湿性能を達成することのできるシートおよびテープを提供する。
【解決手段】繊維布帛上に透湿性および耐水性を有するポリウレタンフィルムを積層させ、このポリウレタンフィルム上に透湿性を有するホットメルト接着剤層を積層させてなる三層構造積層体を少なくとも含み、ホットメルト接着剤層が表面に凹部と凸部とを有し、この凸部は前記縫目への水の侵入を阻止しうる連続的な凸条を含み、上記三層構造積層体が、耐水圧が50kPa以上である防水性を有し、かつ透湿度がB−1法で3,000g/m・24H以上である透湿性を有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透湿防水機能を有する衣料製品の縫い目等からの漏水を阻止すべく目止め機能を有し、かつ透湿性を有するシート及びシームテープに関する。より詳細には、スポーツ衣料用途、例えばスキー、登山、ライダー、ハンティング用途などの縫製部目止めテープあるいは補修用のシート等に広く応用することのできる止水性能をもち、かつ目止め部の蒸れを防止する透湿機能をも有するシートおよびシームテープに関する。
【背景技術】
【0002】
スキー、登山、ライダー、ハンティング等に使用される透湿防水衣料製品の縫製部には、縫い目からの漏水を阻止するためにシームテープを用いて目止めを行っていた。しかし、従来のシームテープには透湿性能がないため、シームテープ部分に添って無透湿部分が存在し、テーピング部分に結露が発生し、透湿防水衣料製品が本来もつべき性能を大きく低下させていた。この問題のため、本来の透湿防水性能を有する衣料製品を製造することは極めて困難であった(特許文献1、特許文献2)。
【特許文献1】特開平08−302292号公報
【特許文献2】特開2002−121514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、裏地を有する透湿防水布帛よりなる衣料製品の縫い目からの漏水を防ぐことのできる高い目止め機能を持ち、かつ縫い目部分の透湿性能の低下を防止し、透湿防水衣料製品が本来もつべき透湿性能を達成することのできるシートおよびテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、繊維布帛上に透湿フィルムを介し表面に凹凸形状を有する透湿性ホットメルト接着剤を積層させることによりシームテープの透湿性を向上させることが可能となることを見出し、本発明の完成に至った。
【0005】
本発明は、上記の目的を達成するために下記の構成を採用する。すなわち、本発明の防水透湿性ホットメルトシートは、防水加工布の縫目のシーリングに使用されるホットメルトシートであって、繊維布帛上に透湿性および耐水性を有するポリウレタンフィルムを積層させ、このポリウレタンフィルム上に透湿性を有するホットメルト接着剤層を積層させてなる三層構造積層体を少なくとも含み、上記ホットメルト接着剤層が表面に凸部と凹部とを有し、この凸部は上記縫目への水の侵入を防止しうる連続的な凸条を含み、上記三層構造積層体が、耐水圧が50kPa以上である防水性を有し、かつ透湿度がB−1法で3,000g/m・24H以上である透湿性を有するものとする。
【0006】
上記防水透湿性ホットメルトシートにおいて、繊維布帛としては、ポリエステル、ナイロン、又はレーヨンのいずれかである合成繊維、綿又はウールである天然繊維、又はこれらの混紡の中から選ばれた繊維からなる、織物、編物又は不織布を用いることができる。
【0007】
上記透湿性および耐水性を有するポリウレタンフィルムは、厚み10〜100μの多孔質又は無孔質ポリウレタンフィルムであることが好ましい。
【0008】
また、透湿性を有するホットメルト接着剤層は、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン又はそれらの混合物からなることが好ましい。
【0009】
上記凸部は、ほぼ一定の方向に並ぶように配列された複数の凸条部とこれらの凸条部に対して交わるように配列された複数の凸条部とからなり、凹部がこれらの凸条部以外の部分であることが好ましい。
【0010】
例えば、複数の凸条部がほぼ格子状をなしているものとすることができる。
【0011】
上記の場合において、ほぼ一定の方向に並ぶように配列された複数の凸条部の密度が5〜50本/inchであり、かつ凸条部の巾が0.5〜5mmであり、凹部の巾が0.5〜5mmであることが好ましい。
【0012】
また、上記凸条部の厚みが50〜200μであり、凹部の最薄部の厚みが5〜100μであることが好ましい。
【0013】
凹部の最薄部の厚みの凸条部の厚みに対する比率は1〜50%であることが好ましい。
【0014】
縫目シーリング性を有するムテープは、上記した本発明の防水透湿性ホットメルトシートをスリットして得られ、透湿防水布の縫目をシームしたときの耐水圧がJIS−L−1092の静水圧法で2,000mm水柱以上であり、かつ2,000mm水柱の耐水圧で1分間加圧して漏水がないものとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシート及びテープは、繊維布帛上に透湿防水フィルムを積層させ、この透湿防水フィルム上にさらに凹凸形状を有する透湿性ホットメルト接着剤を積層させたものとすることにより、防水性と共に優れた透湿性能をも有するものとなる。従って、スキー、登山、ライダー、ハンティングなどの防水透湿性スポーツ衣料の縫い目箇所等において使用すると高い止水性と透湿性を発揮し、シートやシームテープ部も含めた衣料製品全体での透湿性の向上が要求される防水透湿性スポーツ衣料用途にて特に顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のシートは、繊維布帛と、布帛に積層された透湿防水フィルムと、この透湿防水フィルムにさらに積層された表面に凹凸形状を有する透湿性ホットメルト接着剤層とからなる三層構造のシートであり、本発明のテープはこのシートを所定の巾にスリットすることにより得られるものである。
【0017】
本発明に使用される繊維布帛の例としては織物、編物及び不織布が挙げられ、そのテープに求める風合い、性能等に応じていずれを用いてもよい。また、繊維布帛に使用する繊維材料としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の合成繊維、綿、ウール等の天然繊維およびそれらの混紡といったものが挙げられるが、これもその使用目的に応じて適宜選択すればよい。
【0018】
また、透湿性および耐水性を有するポリウレタンフィルムとしては、無孔質透湿性ポリウレタンフィルムと多孔質透湿性ポリウレタンフィルムとが挙げられ、要求される透湿性能が発現されるのであればいずれを用いてもよい。
【0019】
上記ポリウレタンフィルムの厚みについては、要求される透湿性を確保しつつシートおよびシームテープとした際の風合いを維持するために100μ以下にすることが好ましく、さらに好ましくは80μ以下とする。厚みが薄くなり過ぎると膜強度が低下し防水性の低下を招く。防水衣料製品に通常要求される防水性を確保するためには、膜の厚みが10μ以上であることが好ましい。
【0020】
本発明で用いるホットメルト接着剤層は、透湿性を有し、かつ表面に凹凸形状を有するものとする。
【0021】
透湿性能のないホットメルト接着剤を使用した場合、繊維布帛と透湿防水フィルムとの積層体に優れた透湿性能が付与されている場合においてもホットメルト接着剤層部分にて湿分移動が遮断され、透湿性能がなくなるので好ましくない。透湿性能を有するホットメルト接着剤を使用した場合、ホットメルト接着剤層においても湿分移動が起こるため、シートおよびシームテープ全体に透湿性能が付与され、好ましい。
【0022】
透湿性能を有するホットメルト接着剤層の原料は特に限定されず、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロンおよびそれらの混合物などから用途に応じたものを使用すればよい。
【0023】
本発明においては、ホットメルト接着剤層の表面に凹凸形状が存在することにより、凸部で接着性を確保でき、凹部で透湿性能を確保することが可能となる。すなわち、表面が平らで層の厚みがどの部分でもほぼ均一な透湿性ホットメルト接着剤層を使用した場合、ホットメルト接着剤層の厚みが薄いと、透湿性能は向上するが接着性能が低下する。また、ホットメルト接着剤層の厚みが厚いと、接着性は向上するが透湿性能が低下する。
【0024】
凹凸形状を有するホットメルト接着剤の凸部の平面形状としては、縫目への水の侵入を阻止しうる連続的な凸条を少なくとも含むことが必要である。すなわち、この連続的な凸条部は水の侵入を防ぐ防護壁として機能するものであって、凸部の平面形状が例えばドット状のような不連続な形状のみからなる場合や一部に不連続箇所がある場合、不連続箇所より漏水し、防水性が低下する原因となる。個々の凸条部の形状は直線状でも、曲線状でもよく、曲線状の場合、規則的な波線のような形状でもよく、防水性が確保される範囲内であれば不規則な形状でもよい。また、同じく防水性が確保される範囲内であれば、部分的に不連続な凸部が混在していてもよい。
【0025】
防水性の向上のためには、凸条部が交差して、隣接する凹部から独立した凹部を形成しているのが好ましく、なるべく多数の点で交差して凹部が細分されているのが好ましい。ここで「交差する」とは、直線状又は曲線状の複数の凸条部が相互に交差している場合のほか、1本又は複数の凸条部が屈曲して自己と交わる場合も含む。
【0026】
以下では、ホットメルト接着剤層の凹凸形状が、直線状又はほぼ直線状の凸条部がほぼ直角に交差してなる格子状である場合を例にとり説明する。
【0027】
図1は格子状の凹凸形状を有するホットメルト接着剤層の表面形状の例を示す平面図であり、図2は図1におけるA−A線における凹凸形状を示す断面図である。これらの図において符号1は凸部を示し、符号2は凹部を示す。また、aは凹部の厚み、bは凸部の厚み、cは凸部の巾、dは凹部の巾、eは傾斜部の巾を示す。
【0028】
本例では図1に示すように、凸部1はシートのタテ方向に平行に並ぶ直線条の凸条とシートのヨコ方向に平行に並ぶ直線条の凸条とが直行して交わる格子状であり、これの凸部1間に形成された凹部2は平面形状がほぼ正方形である。
【0029】
上記において格子を構成するホットメルト接着剤凸部の密度(一方向に並ぶ凸条の単位巾当たりの本数)は5〜50本/inchであることが好ましく、10〜30本/inchであるのがさらに好ましい。
【0030】
また、この凸部1の巾(図2におけるc)は0.5〜5mmであることが好ましく、1〜3mmであることがより好ましい。また、凹部2の巾(図2におけるd)は0.5〜5mmであることが好ましく、1〜3mmであるのがより好ましい。傾斜部は製造の便宜上設けられるものであって透湿機能確保のためにはなくてもよいが、通常は巾(e)が0.05〜0.5mm程度である。
【0031】
凸部の密度が少なく又は凸部の巾(c)が狭く、結果として凸部面積が小さくなりすぎると接着性および防水性が低下し、これに対し凸部の密度が大きく又は凸部の巾が広く、結果として凸部面積が大きくなりすぎると、透湿性能が低下する。
【0032】
また、凹部2の最薄部の厚み(図2におけるa)は5〜100μであることが好ましく、10〜70μであることがより好ましい。ホットメルト接着剤の断面形状においてホットメルト接着剤凹部の厚みが分厚いと透湿性能が低下するので好ましくなく、薄すぎるとホットメルト接着剤の膜強度が低下し、防水性が低下するので好ましくない。また、ホットメルト接着剤凸部1の厚み(図2におけるb)は、50〜200μであることが好ましく、さらに好ましくは70〜150μである。凸部1の厚み(b)が厚すぎるとシートおよびシームテープそのものの風合いが硬くなり、薄すぎると接着性の確保が困難となる。
【0033】
凹部の厚みの凸部の厚みに対する比率は1〜50%であることが好ましく、10〜40%であるのがより好ましい。凸部の厚みに対する凹部の厚みの比率が大きすぎる場合、凹部を薄くしたとき凸部も薄くなり、充分な接着性が確保できず、凸部を厚くしたとき凹部も厚くなり、透湿性能が確保できないので好ましくない。また、この比率が大きすぎると凸部を薄くした場合に凹部も薄くなりすぎ止水性が確保できなくなり、凹部を厚くした場合に凸部も分厚くなりすぎて風合いが硬くなるという難点も生じる。
【0034】
ここで凹部の凸部に対するホットメルト接着剤の厚みの比率(%)とは、
[(凹部の厚み)/(凸部の厚み)]×100
の式で定義され、この値が小さくなるとホットメルト接着剤の凹凸度合いが大きくなり、また、この値が大きくなるとホットメルト接着剤がより平らになることを意味する。
【0035】
本発明の透湿性シートおよびシームテープにおける透湿性能の評価としては、シートおよびシームテープ部に結露する汗の排出を評価するB−1透湿度によって評価するのが適切であり、B−1透湿度が低いとシートおよびシームテープ部に汗が結露してくるため好ましくない。したがって本発明の透湿性シートおよびシームテープにおける透湿性としてはB−1透湿度で3,000g/m・24H以上であることが好ましく、5,000g/m・24H以上であることがより好ましく、8,000g/m・24H以上であることがさらに好ましい。
【0036】
また、透湿性シートおよびシームテープの耐水圧が低いと、透湿防水衣料製品の縫製部を目止めした際の止水性が確保できなくなる。したがって本発明のシート及びテープにおける耐水圧としては、シート状では50kPa以上であることが好ましく、100kPa以上であるのがより好ましい。シームテープとしては、透湿・防水布の縫目をシームしたときの耐水圧がJIS−L−1092の静水圧法で2,000mm水柱以上であるのが好ましく、かつ、2,000mm水柱の耐水圧での止水時間が1分間以上であることが好ましく、3分間以上であるのがより好ましい。
【実施例】
【0037】
次に、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
[三層構造積層体の製造]
表1に示す配合にて透湿性ポリウレタンフィルム用調合樹脂を調製し、離型紙(EV130TPD:リンテック株式会社製)上にコンマコーターにて200μ・wetの塗布厚にて塗工し、厚み20μの透湿性ポリウレタンフィルムを得た。
【表1】

【0039】
この透湿性ポリウレタンフィルム上に、表2に示す配合にて調製した接着剤用調合樹脂を用い、コンマコーターにて150μ・wetにて塗工し、ドライラミネート技法にて経編構造のハーフトリコット生地と貼り合わせて硬化させた後、離型紙を剥がし、ハーフトリコット生地と厚み20μの透湿防水フィルムとが積層された積層体を得た。
【表2】

【0040】
得られた透湿防水フィルム積層体のフィルム面に、透湿性を有するポリエーテル系ポリウレタンペレットを120μの厚みに設定されたTダイ押し出し装置より押し出すことにより作製された、厚み120μの透湿性能を有するホットメルト接着剤を熱ラミネートにて貼り合わせ、ハーフトリコット生地、厚み20μの透湿防水フィルムおよび厚み120μの透湿性ホットメルト接着剤層からなる三層構造積層体を得た。
【0041】
[実施例1〜3]
上記により得られた、ハーフトリコット生地、厚み20μの透湿防水フィルム及び厚み120μの透湿性ホットメルト接着剤からなる三層構造積層体のホットメルト接着剤層面にエンボスロールにて型押しを行い、ホットメルト接着剤層の表面状態が図1に示すような格子状凸部を有するものとした。各部の寸法は、図2に示す各寸法が表3に示した数値となるようにした。このようにして得られた布帛/透湿防水フィルム/凹凸形状透湿性ホットメルト接着剤の三層構造体であって、シート状のもののB−1透湿度および耐水圧を測定した。
【0042】
また、22mm巾にスリットしたシームテープを、あらかじめ十文字に縫い目を入れておいた透湿防水加工布A(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品のコーティング面にハーフトリコットを貼り合わせたもの:B−1法による透湿度8,000g/m・24H)の縫い目部分に、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工業株式会社QHP−778L:ノズル温度650℃、ノズルエアー圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール押さえ圧290kPa、スピード3m/分)を用いてシーリングし、このシール部分において、静止法による耐水圧すなわち2000mm水柱に加圧して1分間耐水圧をホールドして漏水の有無を確認した。
【0043】
[比較例1]
ホットメルト接着剤層の表面に凹凸を形成したなかった以外は実施例1と同様にして、ハーフトリコット生地、20μの透湿防水フィルムおよび120μの透湿性ホットメルト接着剤の三層構造積層体を作成し、このシート状のもののB−1透湿度および耐水圧を測定した。
【0044】
また、実施例1と同様に、22mm巾にスリットしたシームテープを作製し、あらかじめ十文字に縫い目を入れておいた透湿防水加工布Aの縫い目部分に熱風式のテーピングマシンを用いて実施例1と同じシーリング条件にてシーリングした。このシール部分について、静止法による耐水圧すなわち2000mm水柱に加圧して1分間耐水圧をホールドして漏水の有無を確認した。
【0045】
[比較例2]
ポリエステル系ポリウレタンペレットを120μの厚みに設定されたTダイ押し出し装置より押し出した以外は実施例1と同様にして、ハーフトリコット生地、20μの透湿防水フィルムおよび120μの透湿性のないホットメルト接着剤からなる三層構造積層体を作成した。このシート状のもののB−1透湿度および耐水圧を測定した。
【0046】
また、実施例1と同様に、22mm巾にスリットしたシームテープを作製し、あらかじめ十文字に縫い目を入れておいた透湿防水加工布Aの縫い目部分に熱風式のテーピングマシンを用いて実施例1と同じシーリング条件にてシーリングした。このシール部分について、静止法による耐水圧すなわち2000mm水柱に加圧して1分間耐水圧をホールドして漏水の有無を確認した。
【0047】
実施例1〜3、比較例1、及び比較例2のそれぞれの結果を表3に示す。
【表3】

【0048】
表3に示されたように、実施例のシートは、優れた耐水性を有するのみならず、比較例のものに比べて透湿性が顕著に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のシートおよびシームテープは、繊維布帛に透湿防水フィルムを積層させ、この透湿防水フィルムにさらに凹凸形状を有する透湿性ホットメルト接着剤を積層してなる三層構造とすることにより、透湿防水布帛よりなる衣料製品の縫い目の優れたシーム性能を発揮し、かつ透湿防水衣料布帛よりなる衣料製品本来の透湿性能を生かすことを可能にする。従って、裏地を有する三層構造の布帛のような、縫い目部分における止水が従来は困難であった透湿防水製品全般に用いることができ、製品全体としての透湿性能の向上が要求される透湿性スポーツ衣料用途に特に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ホットメルト接着剤層の表面の凹凸形状の例を示す平面図である。
【図2】図1の凹凸形状のA−A線における断面図である。
【符号の説明】
【0051】
A……ホットメルト接着剤層
1……凸部
2……凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水加工布の縫目のシーリングに使用されるホットメルトシートであって、
繊維布帛上に透湿性および耐水性を有するポリウレタンフィルムを積層させ、
このポリウレタンフィルム上に透湿性を有するホットメルト接着剤層を積層させてなる三層構造積層体を少なくとも含み、
前記ホットメルト接着剤層が表面に凸部と凹部とを有し、この凸部は前記縫目への水の侵入を阻止しうる連続的な凸条を含み、
前記三層構造積層体が、耐水圧が50kPa以上である防水性を有し、かつ透湿度がB−1法で3,000g/m・24H以上である透湿性を有する
ことを特徴とする防水透湿性ホットメルトシート。
【請求項2】
前記繊維布帛が、ポリエステル、ナイロン、又はレーヨンのいずれかである合成繊維、綿又はウールである天然繊維、又はこれらの混紡の中から選ばれた繊維からなる、織物、編物又は不織布であることを特徴とする、請求項1に記載の防水透湿性ホットメルトシート。
【請求項3】
前記透湿性および耐水性を有するポリウレタンフィルムが厚み10〜100μの多孔質又は無孔質ポリウレタンフィルムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の防水透湿性ホットメルトシート。
【請求項4】
前記透湿性を有するホットメルト接着剤層が、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン又はそれらの混合物からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防水透湿性ホットメルトシート。
【請求項5】
前記凸部が、ほぼ一定の方向に並ぶように配列された複数の凸条部とこれらの凸条部に対して交わるように配列された複数の凸条部とからなり、前記凹部がこれらの凸条部以外の部分であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防水透湿性ホットメルトシート。
【請求項6】
前記複数の凸条部がほぼ格子状をなしていることを特徴とする、請求項5に記載の防水透湿性ホットメルトシート。
【請求項7】
前記ほぼ一定の方向に並ぶように配列された複数の凸条部の密度が5〜50本/inchであり、かつ凸条部の巾が0.5〜5mmであり、凹部の巾が0.5〜5mmであることを特徴とする、請求項5又は6に記載の防水透湿性ホットメルトシート。
【請求項8】
前記凸条部の厚みが50〜200μであり、凹部の最薄部の厚みが5〜100μであることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の防水透湿性ホットメルトシート。
【請求項9】
前記凹部の最薄部の厚みの凸条部の厚みに対する比率が1〜50%であることを特徴とする、請求項8に記載の防水透湿性ホットメルトシート。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の防水透湿性ホットメルトシートをスリットして得られ、透湿防水布の縫目をシームしたときの耐水圧がJIS−L−1092の静水圧法で2,000mm水柱以上であり、かつ2,000mm水柱の耐水圧で1分間加圧して漏水がない縫目シーリング性を有することを特徴とする、防水透湿性シームテープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−255267(P2008−255267A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100496(P2007−100496)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(591086407)東レコーテックス株式会社 (29)
【Fターム(参考)】