説明

帯状部材の成形方法及びその装置

【課題】互いに幅方向に近接または接触している複数の帯状部材を無用に変形させることなく幅方向に分離することができ、しかも各帯状部材の幅寸法を変更する場合の段取り作業を容易に行うことのできる帯状部材の成形方法及びその装置を提供する。
【解決手段】互いに周方向に並ぶように配置されるとともにそれぞれ拡幅ローラ40の軸方向に伸縮可能な複数の伸縮部材44によって外周面が構成され、且つ、各伸縮部材44が周方向所定位置から他の周方向所定位置に向かって徐々に伸張するように構成された拡幅ローラ40を用い、切断装置30によって連続成形された各帯状部材BMを拡幅ローラ40の外周面における各伸縮部材44が徐々に伸張する範囲に巻掛けることにより、各帯状部材BMを互いに分離するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばホースや電線等の長尺状部材の製造や自動車用空気入りタイヤの製造に用いる未加硫ゴム材料から成る帯状部材を成形する帯状部材の成形方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の帯状部材の成形装置としては、未加硫ゴム材料から成るシート状部材を連続成形する成形装置と、成形装置によって連続成形されたシート状部材を幅方向複数個所で切断してそれぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材を連続成形する切断装置と、切断装置によって連続成形された各帯状部材を互いに幅方向に分離する分離装置とを備え、分離装置を、それぞれ外周面における軸方向中央側が凸面状に形成されるとともに、互いに軸方向に所定間隔をおいて配置された複数の太鼓ローラから構成し、切断装置によって連続成形された各帯状部材がそれぞれ各太鼓ローラの外周面に巻掛けられるとともに、太鼓ローラの外周面における軸方向端部側と中央側との周長差によって各帯状部材が各太鼓ローラの中央側に位置決めされ、各帯状部材が各太鼓ローラの配置された間隔に応じて互いに幅方向に分離されるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5−84850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記帯状部材の成形装置では、切断装置によってシート状部材を幅方向複数箇所で切断して各帯状部材を成形すると、各帯状部材が互いに幅方向に近接または接触した状態となり、また、各帯状部材が近接または接触していると、各帯状部材が互いに粘着する可能性があることから、各帯状部材をそれぞれ各太鼓ローラの外周面に巻掛け、各帯状部材を互いに幅方向に分離するようにしている。
【0004】
ここで、前記帯状部材の成形装置では、切断装置においてシート状部材を切断する幅方向位置を変更し、各帯状部材の幅寸法を変える場合には、各太鼓ローラの大きさや配置間隔を変更する必要があり、各太鼓ローラの大きさや配置間隔を変更する分だけ段取り作業に手間がかかるという問題点があった。
【0005】
また、各太鼓ローラは外周面における軸方向中央側が凸面状に形成されているので、各太鼓ローラの外周面に巻掛けられた各帯状部材も太鼓ローラの外周面に沿って変形し、各帯状部材が無用に変形するという問題点があった。特に、帯状部材が太鼓ローラの中央に位置決めされず、例えば帯状部材が太鼓ローラの軸方向一方側にずれて巻掛けられる場合は、帯状部材の幅方向他方側が一方側よりも伸ばされることになり、太鼓ローラを通過した帯状部材が幅方向一方側に湾曲するという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、互いに幅方向に近接または接触している複数の帯状部材を無用に変形させることなく幅方向に分離することができ、しかも各帯状部材の幅寸法を変更する場合の段取り作業を容易に行うことのできる帯状部材の成形方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、未加硫ゴム材料から成るシート状部材を連続成形する成形工程と、成形工程によって連続成形されたシート状部材を幅方向複数個所で切断してそれぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材を連続成形する切断工程と、切断工程によって連続成形された各帯状部材を互いに幅方向に分離する分離工程とを含む帯状部材の成形方法において、前記分離工程に、互いに周方向に並ぶように配置されるとともにそれぞれ軸方向に伸縮自在な複数の伸縮部材によって外周面が構成され、各伸縮部材が周方向所定位置から他の周方向所定位置に向かって徐々に伸張するように構成された拡幅ローラを用い、分離工程を、拡幅ローラの外周面における各伸縮部材が徐々に伸張する範囲に切断工程によって連続成形された各帯状部材を巻掛けることにより、各帯状部材を互いに幅方向に分離するようにしている。
【0008】
また、本発明は、未加硫ゴム材料から成るシート状部材を連続成形可能な成形手段と、成形手段によって連続成形されたシート状部材を幅方向複数個所で切断してそれぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材を連続成形する切断手段と、切断手段によって連続成形された各帯状部材を互いに幅方向に分離する分離手段とを備えた帯状部材の成形装置において、前記分離手段に、互いに周方向に並ぶように配置されるとともにそれぞれ軸方向に伸縮自在な複数の伸縮部材によって外周面が構成され、各伸縮部材が周方向所定位置から他の周方向所定位置に向かって徐々に伸張するように構成された拡幅ローラを設け、拡幅ローラの外周面における各伸縮部材が徐々に伸張する範囲に切断手段によって連続成形された各帯状部材が巻掛けられるように構成している。
【0009】
これにより、互いに周方向に並ぶように配置されるとともにそれぞれ軸方向に伸縮可能な複数の伸縮部材によって外周面が構成され、且つ、各伸縮部材が周方向所定位置から他の周方向所定位置に向かって徐々に伸張するように構成された拡幅ローラを用い、切断工程によって連続成形された各帯状部材を拡幅ローラの外周面における各伸縮部材が徐々に伸張する範囲に巻掛けることにより、各帯状部材を互いに幅方向に分離するようにしたので、各帯状部材が拡幅ローラの外周面に巻掛けられて移動する際に、各帯状部材が各伸縮部材の伸張に応じて互いに幅方向に分離される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各帯状部材が拡幅ローラの外周面に巻掛けられて移動する際に、各帯状部材が各伸縮部材の伸張に応じて互いに幅方向に分離されるので、互いに幅方向に近接または接触している複数の帯状部材を無用に変形させることなく幅方向に分離することができる。特に、各帯状部材が軟らかい未加硫ゴム材料から成る場合や薄く成形されている場合でも、各帯状部材を無用に変形させずに分離することができるので、帯状部材の寸法精度を確保する上で極めて有利である。また、各伸縮部材の伸張によって各帯状部材が互いに幅方向に分離されるようになっているので、シート状部材を切断する幅方向位置を変更し、各帯状部材の幅寸法を変える場合でも、各帯状部材を拡幅ローラの外周面に巻掛けることができれば、拡幅ローラの変更や調整を要することなく各帯状部材を幅方向に分離することができる。即ち、各帯状部材の幅寸法を変更する場合の段取り作業を容易に行うことができ、生産性の向上を図る上で極めて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1乃至図5は本発明の一実施形態を示すもので、図1は帯状部材の成形装置の側面図、図2は拡幅ローラの一部断面下面図、図3及び図5は下方から見た拡幅ローラの動作説明図である。
【0012】
この帯状部材の成形装置は、押出機10と、押出機10から押出された未加硫ゴム材料から成るシート状部材SH1を所定の厚さに圧延する圧延ローラ20と、圧延ローラ20によって圧延されたシート状部材SH2を幅方向複数箇所で切断してそれぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材BMを成形する切断装置30と、切断装置30によって切断されて成る各帯状部材BMを互いに幅方向に分離する拡幅ローラ40と、拡幅ローラ40を通過した各帯状部材BMに粘着防止剤PWを付着させる粘着防止処理装置50と、粘着防止処理装置50を通過した各帯状部材BMをその長手方向に搬送する搬送装置60と、搬送装置60から送り出された各帯状部材BMを案内するための案内装置70と、上面を開口するように形成された上面開口容器80と、上面開口容器80を搬送する容器搬送装置90とを備えている。
【0013】
押出機10は未加硫ゴム材料を所定形状の口金から押出す周知の機構を有しており、未加硫ゴム材料が押出機10から押出されることにより、未加硫ゴム材料が所定の幅寸法及び厚さ寸法を有するシート状部材SH1となる。
【0014】
圧延ローラ20は一対のローラ21を有し、各ローラ21の回転速度や間隙を調整可能な周知の構成を有している。押出機10から押出されたシート状部材SE1が各ローラ21の間を通過することにより、シート状部材SH1が所定の厚さに圧延され、シート状部材SH2となる。即ち、押出機10及び圧延ローラ20によってシート状部材SH2が連続成形される。
【0015】
切断装置30は、シート状部材SH2が巻掛けられるとともにシート状部材SH2を長手方向に搬送する搬送ローラ31と、搬送ローラ31の外周面に当接している複数のカッター32とを有する。搬送ローラ31は図示しない電動モータによって回転自在である。シート状部材SH2がローラ31に巻掛けられるとともに、シート状部材SH2が長手方向に搬送されている状態で、シート状部材SH2の幅方向複数個所に各カッター32が配置されることにより、シート状部材SH2が幅方向複数個所で切断され、それぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材BMが成形される。即ち、切断装置30によって各帯状部材BMが連続成形される。また、切断装置30によって成形された各帯状部材BMは互いに幅方向に近接または接触している。
【0016】
拡幅ローラ40は、回転可能な中心軸41と、中心軸41の両端側に中心軸41とともに回転するように取り付けられた一対の円板状部材42と、各円板状部材42の間に配置されるとともに中心軸41とともに回転するように設けられた円筒状部材43と、互いに拡幅ローラ40の周方向に並ぶように配置されるととともに、それぞれ拡幅ローラ40の軸方向に延びるように形成され、拡幅ローラ40の外周面を構成する複数の伸縮部材44と、各円板状部材42にそれぞれ拡幅ローラ40の軸方向外側から当接する当接部材45と、中心軸41を回転駆動する周知の電動モータから成る回転駆動装置46とを有する。
【0017】
中心軸41は拡幅ローラ40の軸方向に延びるように設けられ、図示しない支持機構によって回転可能に支持されている。
【0018】
各円板状部材42はそれぞれ中心軸42に対して傾動可能に構成されている。また、各当接部材45は拡幅ローラ40の周方向所定位置に配置され、拡幅ローラ40の回転方向に位置が変わらないようになっている。また、各当接部材45は拡幅ローラ40の軸方向に移動自在に設けられている。各当接部材45が各円板状部材42に軸方向外側から当接すると、各円板状部材42が中心軸41に対して傾斜した状態となり(図2〜図5参照)、各円板状部材42と各当接部材45との当接が解除されると、各円板状部材42が図示しない付勢部材によって中心軸42に対して直交する状態となる。即ち、各当接部材45が各円板状部材42に当接している状態で、中心軸41を回転駆動装置46によって回転させると、各円板状部材42が中心軸41とともに回転するとともに、各円板状部材42が各当接部材45に当接する前記周方向位置で拡幅ローラ40の軸方向内側に位置するように傾斜する。また、各当接部材45を拡幅ローラ40の軸方向に移動することにより、各円板状部材42の傾斜角度を調整することが可能である(図4及び図5参照)。
【0019】
各伸縮部材44はゴム材料や弾性樹脂材料等のゴム状弾性を有する材料から成り、拡幅ローラ40の軸方向に延びる板状に形成されている。各伸縮部材44の両端はそれぞれ接続部材44aによって各円板状部材42の外周面側に接続されており、各接続部剤44aは伸張しないように形成されている。即ち、各当接部材45が各円板状部材42に当接している状態で、回転駆動装置46によって中心軸41を回転させると、各伸縮部材44が中心軸41とともに回転する。また、前記周方向所定位置で各収縮部材44が最も短くなり、前記周方向所定位置と180°ずれた他の周方向所定位置に向かって各収縮部材44が徐々に伸張する。図3〜図5は拡幅ローラ40を下方から見た場合の動作説明図である。また、各伸縮部材44は円筒状部材43によって径方向内側への変形を規制されている。
【0020】
切断装置30によって連続成形された各帯状部材BMは拡幅ローラ40に下方から巻掛けられ、拡幅ローラ40は各帯状部材BMをその長手方向に搬送するようになっている。また、各帯状部材BMが巻掛けられた範囲において各伸縮部材44が徐々に伸張するようになっている(図3及び図4参照)。
【0021】
粘着防止処理装置50は、粉状である周知の粘着防止剤PWを収容する容器51と、容器51内に設けられた駆動軸52とを有する。容器51は上面を開口するように形成され、駆動軸52が埋まるまで粘着防止剤PWを収容するようになっている。駆動軸52には下方から各帯状部材BMが巻掛けられ、各帯状部材BMをその長手方向に搬送するようになっている。即ち、各帯状部材BMが駆動軸52に巻掛けられるとともに、長手方向に搬送されることにより、各帯状部材BMが粘着防止剤PW内を通過し、各帯状部材BMの表面に粘着防止剤PWが付着する。
【0022】
搬送装置60は例えば周知のベルトコンベヤから成り、粘着防止処理装置50を通過した各帯状部材BMが載置されるとともに、各帯状部材BMを長手方向に搬送するようになっている。
【0023】
案内装置70は、案内部材71と、案内部材71を例えば搬送装置60による各帯状部材BMの搬送方向(以下、部材搬送方向と称する)に往復動させる移動機構72とを有する。また、案内部材71は、互いに部材搬送方向に対向するように設けられた一対の案内板71aと、各案内板71aを固定する一対の固定板71bとを有する。各案内板71aはそれぞれ平板状に形成され、上方から下方に向かって徐々に互いの間隔が狭くなるように配置されている。移動機構72は案内部材71を支持するとともに、例えばモータやボールネジ等の周知の機構によって案内部材71を往復動させるようになっている。また、案内部材71は搬送装置60の先端の下方に配置され、搬送装置60から送り出された各帯状部材BMが案内部材61の各案内板61aの間を通過するようになっている。
【0024】
上面開口容器80は、平板状の底面板81と、底面板81における部材搬送方向の両端部から上方に向かって延びる一対の側面板82とを有する。
【0025】
容器搬送装置90は例えば周知のローラコンベヤやベルトコンベヤから成り、複数の上面開口容器80を載置可能に構成されている。また、各上面開口容器80のうち何れか1つの上面開口容器80が案内装置70の下方に配置されるようになっている。
【0026】
以上のように構成された帯状部材の成形装置において、帯状部材を成形する場合は、先ず、押出機10及び圧延ローラ20によってシート状部材SH2を連続成形するとともに、そのシート状部材SHを幅方向複数個所で切断してそれぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材BMを連続成形する。
【0027】
続いて、各帯状部材BMを拡幅ローラ40に巻掛けるとともに、拡幅ローラ40を回転駆動装置46によって回転駆動し、各帯状部材BMをその長手方向に搬送する。
【0028】
ここで、拡幅ローラ40は互いに周方向に並ぶように配置されるとともにそれぞれ軸方向に伸縮可能な複数の伸縮部材44によって外周面が構成され、各伸縮部材44が前記周方向所定位置から前記他の周方向所定位置に向かって徐々に伸張するように構成されており、また、各帯状部材BMは拡幅ローラ40において各伸縮部材44が徐々に伸張する範囲に巻掛けられるようになっているので、各帯状部材BMが拡幅ローラ40に巻掛けられて周方向に移動する際に、各帯状部材BMが各伸縮部材44の伸張に応じて互いに幅方向に分離される。
【0029】
ここで、各当接部材45を拡幅ローラ40の軸方向に移動し、各円板状部材42の傾斜角度を調整することにより、各伸縮部材44の伸張率を任意に変化させることが可能であり、各伸縮部材44の伸張率を変化させることにより、拡幅ローラから送り出される各帯状部材44同士の間隔を任意に調整することが可能である(図4及び図5参照)。
【0030】
拡幅ローラ40によって各帯状部材BMを分離した後、各帯状部材BMに粘着防止処理装置40によって粘着防止剤PWを付着させる。また、粘着防止処理装置40によって粘着防止剤PWを付着させた各帯状部材BMを搬送装置60によって搬送し、搬送装置60から送り出された各帯状部材BMが案内部材71における各案内板71aの間を通過するように、移動機構72によって案内部材71を位置決めする。
【0031】
ここで、容器搬送装置90上の各上面開口容器80のうち何れか1つの上面開口容器80が案内装置70の案内部材71の下方に配置されているので、各案内板71aの間を通過した各帯状部材BMは上面開口容器80内に収容される。この状態において、案内装置70の移動機構72は案内部材71を往復動させるようになっている。即ち、案内部材71の各案内板71aの間を各帯状部材BMが連続的に通過している状態で、案内部材71が部材搬送方向に往復動するので、各帯状部材BMは上面開口容器80内につづら折り状に収容される(図1参照)。
【0032】
このように、本実施形態によれば、互いに周方向に並ぶように配置されるとともにそれぞれ軸方向に伸縮可能な複数の伸縮部材44によって外周面が構成され、且つ、各伸縮部材44が周方向所定位置から他の周方向所定位置に向かって徐々に伸張するように構成された拡幅ローラ40を用い、切断装置30によって連続成形された各帯状部材BMを拡幅ローラ40の外周面における各伸縮部材44が徐々に伸張する範囲に巻掛けることにより、各帯状部材BMを互いに分離するように構成したので、各帯状部材BMが拡幅ローラ40の外周面に巻掛けられて移動する際に、各帯状部材BMが各伸縮部材44の伸張に応じて互いに幅方向に分離され、切断装置30を通過した段階で互いに近接または接触している各帯状部材BMを無用に変形させることなく幅方向に分離することができる。特に、各帯状部材BMが軟らかい未加硫ゴム材料から成る場合や薄く成形されている場合でも、各帯状部材BMを無用に変形させずに分離することができるので、各帯状部材BMの寸法精度を確保する上で極めて有利である。
【0033】
また、各伸縮部材44の伸張によって各帯状部材BMが互いに幅方向に分離されるようになっているので、切断装置40によるシート状部材SH2の切断位置を変更し、各帯状部材BMの幅寸法を変える場合でも、各帯状部材BMを拡幅ローラ40の外周面に巻掛けることができれば、拡幅ローラ40の変更や調整を要することなく各帯状部材BMを幅方向に分離することができる。即ち、各帯状部材BMの幅寸法を変更する場合の段取り作業を容易に行うことができ、生産性の向上を図る上で極めて有利である。
【0034】
また、拡幅ローラ40を回転駆動装置46によって回転駆動するようにしたので、各帯状部材BMが軟らかい未加硫ゴム材料から成る場合や薄く成形されている場合でも、切断装置30や粘着防止処理装置40による各帯状部材BMの搬送速度に応じて拡幅ローラ40を回転駆動することができ、各帯状部材BMに無用な張力を加えることがない。即ち、各帯状部材BMの寸法精度を確保する上でより有利である。
【0035】
尚、本実施形態では、押出機10から押出されたシート状部材SH1を圧延ローラ20によって圧延してシート状部材SH2を成形するようにしたものを示した。これに対し、図5に示すように、押出機10の代わりに一対の熱入れローラ11を設け、各熱入れローラ11によって成形されたシート状部材SH1を圧延ローラ20によって圧延してシート状部材SH2を成形することも可能である。図6では、圧延ローラ20の各ローラ21が斜めに配置され、圧延ローラ20を通過したシート状部材BM2が冷却ローラ22を通過した後に切断装置30で切断されるようになっている。
【0036】
また、本実施形態では、各伸縮部材44を板状に形成したものを示したが、各伸縮部材44を拡幅ローラ40の軸方向に延びる円柱状や多角柱状に形成することも可能であり、拡幅ローラ40の軸方向に延びるように形成されたその他の形状にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明における一実施形態を示す帯状部材の成形装置の側面図
【図2】拡幅ローラの一部断面図下面図
【図3】下方から見た拡幅ローラの動作説明図
【図4】下方から見た拡幅ローラの動作説明図
【図5】下方から見た拡幅ローラの動作説明図
【図6】本実施形態の変形例を示す帯状部材の成形装置の要部側面図
【符号の説明】
【0038】
10…押出機、20…圧延ローラ、21…ローラ、30…切断装置、31…搬送ローラ、32…カッター、40…拡幅ローラ、41…中心軸、42…円板状部材、43…円筒状部材、44…伸縮部材、44a…接続部材、45…当接部材、46…回転駆動装置、50…粘着防止処理装置、51…容器、52…駆動軸、60…搬送装置、70…案内装置、71…案内部材、71a…案内板、71b…固定板、72…移動機構、80…上面開口容器、81…底面板、82…側面板、90…容器搬送装置、SH1…シート状部材、SH2…シート状部材、BM…帯状部材、PW…粘着防止剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫ゴム材料から成るシート状部材を連続成形する成形工程と、成形工程によって連続成形されたシート状部材を幅方向複数個所で切断してそれぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材を連続成形する切断工程と、切断工程によって連続成形された各帯状部材を互いに幅方向に分離する分離工程とを含む帯状部材の成形方法において、
前記分離工程に、互いに周方向に並ぶように配置されるとともにそれぞれ軸方向に伸縮自在な複数の伸縮部材によって外周面が構成され、各伸縮部材が周方向所定位置から他の周方向所定位置に向かって徐々に伸張するように構成された拡幅ローラを用い、
分離工程を、拡幅ローラの外周面における各伸縮部材が徐々に伸張する範囲に切断工程によって連続成形された各帯状部材を巻掛けることにより、各帯状部材を互いに幅方向に分離するようにした
ことを特徴とする帯状部材の成形方法。
【請求項2】
前記拡幅ローラを回転駆動する
ことを特徴とする請求項1記載の帯状部材の成形方法。
【請求項3】
未加硫ゴム材料から成るシート状部材を連続成形可能な成形手段と、成形手段によって連続成形されたシート状部材を幅方向複数個所で切断してそれぞれ所定の幅寸法を有する複数の帯状部材を連続成形する切断手段と、切断手段によって連続成形された各帯状部材を互いに幅方向に分離する分離手段とを備えた帯状部材の成形装置において、
前記分離手段に、互いに周方向に並ぶように配置されるとともにそれぞれ軸方向に伸縮自在な複数の伸縮部材によって外周面が構成され、各伸縮部材が周方向所定位置から他の周方向所定位置に向かって徐々に伸張するように構成された拡幅ローラを設け、
拡幅ローラの外周面における各伸縮部材が徐々に伸張する範囲に切断手段によって連続成形された各帯状部材が巻掛けられるように構成した
ことを特徴とする帯状部材の成形装置。
【請求項4】
前記拡幅ローラを回転駆動する回転駆動装置を備えた
ことを特徴とする請求項3記載の帯状部材の成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−113278(P2009−113278A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287333(P2007−287333)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】