説明

平面基板検査装置および平面基板の検査方法

【課題】ウェハ裏面を検査し、検出した欠陥が、搬送手段の接触による汚染であるかの判定と、発生源の特定ができるような平面基板検査装置および平面基板の検査方法を提供する。
【解決手段】ウェハ搬送部20等により保持されるウェハ1の保持面(例えば、ウェハ裏面1b)の表面状態を検査する平面基板検査装置を、ウェハ裏面1bを照明する光ファイバー3,4およびコンデンサレンズ5,6と、照明されたウェハ裏面1bの像を結像する受光レンズ7と、結像された像を検出して被検査面情報として出力する撮像素子8および画像処理部9と、接触位置情報を記憶する接触位置情報記憶部13と、被検査面情報と接触位置情報とを比較照合する比較照合部12とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面基板検査装置および平面基板の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC製造装置で用いられる半導体ウェハは、ウェハそのものの製作、研磨にはじまり、露光、プロセス処理、検査など、非常に多くの製造工程を経る。これらの工程は個々の装置で自動的に行われる。通常、ウェハは25枚収納可能な枚葉式のウェハケースに入れられて装置間を移動し、個々の装置では、ロボットアーム等の搬送手段でウェハケースから自動的に1枚ずつウェハが取り出されて装置内に搬送される。装置内でも、別の搬送手段でウェハは処理部へ受け渡され、ステージ等に載置される。ウェハは表面側がプロセス処理されるので、ウェハの搬送や載置は、必ず裏面側に接触するように行われる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−26549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような製造過程において、一つの装置の搬送手段に、異物等の汚れがあったときには、搬送時の接触により、ウェハの裏面に転移し、そのウェハがさらに、清浄な搬送手段の接触面を汚すことがある。このような、搬送手段の汚れは、その装置の搬送部材に留まることなく、ウェハの処理が進むにしたがい、次の処理装置へ汚染が拡大していく。あるいは、搬送手段が清浄に保たれていても、各種薬液がウェハ表面から裏面に回りこみ、一つの装置の搬送手段に転写されて汚すだけではなく、ウェハの処理にともない、他の装置も汚染していく。このような汚染の拡大は、ロット不良を引き起こすだけではなく、汚染拡大防止と清浄化対応のために、製造ラインを止めるような事態に発展することがある。
【0004】
汚染された装置は直ちに清掃等の処置がなされるが、再発防止のためには、どの装置で汚染が発生したかを特定しなければならない。しかしながら、現状は、そのウェハが処理された経過を遡って、汚染発生の可能性のある装置をひとつひとつ調査していくしかなく、多くの時間を要するという課題があった。その理由は、ウェハ裏面を検査する自動装置が、まだ十分に普及していないことと、ウェハ裏面を自動検査しても、異物等の欠陥を検出表示し、その欠陥サイズや欠陥個数を出力するのみであったので、発生源に関して何も情報出力していなかったからである。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ウェハ裏面を検査するだけではなく、検出した欠陥が、搬送手段の接触による汚染であるかの判定ができるような平面基板検査装置および平面基板の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る平面基板検査装置は、保持手段(例えば、実施形態におけるウェハ搬送部20やウェハ固定部30〜60)により保持される平面基板(例えば、実施形態におけるウェハ1)の保持面を被検査面(例えば、実施形態におけるウェハ裏面1b)とし、当該被検査面の表面状態を検査するものであって、被検査面を照明する照明手段(例えば、実施形態における光ファイバー3,4およびコンデンサレンズ5,6)と、照明された被検査面の像を結像する結像手段(例えば、実施形態における受光レンズ7)と、結像手段により結像された像を検出して被検査面情報として出力する検出手段(例えば、実施形態における撮像素子8および画像処理部9)と、保持手段が平面基板の被検査面に接触する位置に対応した接触位置情報を記憶する接触位置情報記憶手段(例えば、実施形態における接触位置情報記憶部13)と、検出手段により検出された被検査面情報と、接触位置情報記憶手段に記憶された接触位置情報とを比較照合する比較照合手段(例えば、実施形態における比較照合部12)とを有する。
【0007】
このような本発明に係る平面基板検査装置において、接触位置情報記憶手段は、少なくとも2以上の接触位置情報を記憶し、比較照合手段は、撮像情報と少なくとも2以上の接触位置情報の各々とを比較照合し、相関性が高い接触位置情報に対応する保持手段を判定するように構成されることが好ましい。
【0008】
また、このような本発明に係る平面基板検査装置において、比較照合手段は、接触位置情報が平面基板の中心に対して回転対称でない場合に、被検査面情報若しくは接触位置情報のいずれか一方を回転座標変換して比較照合するように構成されることが好ましい。
【0009】
また、このような本発明に係る平面基板検査装置において、比較照合手段は、被検査面情報を2値化した情報に基づいて、接触位置情報と比較照合するように構成されることが好ましい。
【0010】
さらに、このような本発明に係る平面基板検査装置は、比較照合手段で比較照合した結果を表示する表示手段(例えば、実施形態における表示部16)を有することが好ましい。なお、この表示手段は、相関性の高い保持手段の接触位置情報及び撮像情報を表示するように構成されることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る平面基板の検査方法は、保持手段により保持される平面基板の保持面を被検査面とし、当該被検査面の表面状態を検査する方法であって、照明された被検査面を撮像して得られた撮像情報と、保持手段が平面基板の被検査面に接触する位置に対応した接触位置情報とを比較照合するように構成される。
【0012】
このような本発明に係る平面基板の検査方法は、撮像情報と少なくとも2以上の接触位置情報の各々とを比較照合し、相関性が高い接触位置情報に対応する保持手段を判定するように構成されることが好ましい。
【0013】
また、このような本発明に係る平面基板の検査方法は、接触位置情報が平面基板の中心に対して回転対称でない場合に、撮像情報若しくは接触位置情報のいずれか一方を回転座標変換して比較照合するように構成されることが好ましい。
【0014】
また、このような本発明に係る平面基板の検査方法は、撮像情報を2値化した情報に基づいて、接触位置情報と比較照合するように構成されることが好ましい。
【0015】
さらに、このような本発明に係る平面基板の検査方法において、接触位置情報が、保持手段が接触する位置を含む電子情報から作成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る平面基板検査装置および平面基板の検査方法を以上のように構成すると、ウェハ裏面の欠陥検査を行うとともに、その欠陥の分布状態から搬送手段と相関があるか否かを判定できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて平面基板検査装置の構成について説明する。本実施例においては、平面基板としてIC製造装置で用いられる半導体ウェハを例に説明する。ウェハ1は、表面1a(プロセス処理される面)を上方に、裏面1b(搬送・載置するときの接触面)を下方にして、載置台2a,2bに載置される。載置台2a,2bは、ウェハ1の裏面1bの検査に支障のないように、この裏面1bの外周に対して必要最小限の面積で接触してこのウェハ1を保持している。不図示のハロゲンランプ等の光源から発せられた光は、光ファイバー3,4で誘導されたのち、コンデンサレンズ5,6を介して集光されて、ウェハ裏面1bの全面を照明する。ウェハ裏面1bに付着した異物等の欠陥からは全方位的に散乱光が発生するが、異物の形状によっては、たとえば線状の異物などからは、特定の方向に強く散乱光が発生することがあり、このような指向性のある異物に対しては、複数方向から光を照射したほうが、確実に検出できるため、本実施例においては、2方向から光を照射するような構成とした。なお、3方向以上から光を照射するように構成することも可能である。
【0018】
ウェハ裏面1bの異物等の欠陥から発生した散乱光は、このウェハ裏面1bに対し垂直な軸を光軸Lとした受光レンズ7を介して集光されたのち、2次元CCD等の撮像素子8の撮像面にウェハ裏面1bの像が結像され、この撮像措置8で受光されて検出される。撮像素子8で検出された撮像信号は、画像処理部9に入力されて画像処理される。このとき、画像処理部9では、ウェハ裏面1b上の位置と信号強度に対応した画像信号10と、この信号を2値化した2値化信号11とが出力される。そして、この画像処理部9から出力される信号のうち、2値化信号11は、比較照合部12に入力される。比較照合部12には、接触位置情報(詳細は後述)が記憶されている接触位置情報記憶部13が接続されており、2値化信号11と接触位置情報記憶部13に記憶されている接触位置情報とを比較し、ウェハ裏面1bの欠陥の検出と、その欠陥に関連する搬送部を特定するための情報を出力する。なお、この比較照合部12の比較結果(以降においては「相関値データ14」と呼ぶ)は、画像処理部9から出力された画像信号10とともに判定部15に入力されて欠陥の判定が行われ、表示部16に判定結果が表示される。
【0019】
次に、接触位置情報記憶部13に格納されている、接触位置情報に関して、図2〜図6を用いて説明する。この接触位置情報記憶部13は、本実施例におけるIC製造装置で使用される搬送手段(搬送装置)毎に、その搬送手段がウェハ裏面に接触する時の位置の情報(接触位置情報)を記憶するものである。図2〜図6は、ウェハ1を上面から見た図である。図2において、破線で示したウェハ搬送部20は、吸着部21a,21b,21cによって、ウェハ裏面1bと接触する。ウェハ搬送部20のようなコの字形状の搬送部は、ウェハを複数枚収納したウェハキャリアから、ウェハを出し入れする際に多く使用され、通常は不図示の搬送ロボットの先端に設けられている。図3は、吸着部31a,31bによって、ウェハ裏面1bと接触するウェハ固定部30を示している。このウェハ固定部30のような、小さい円形状の固定部は、ウェハキャリアから取り出されたウェハを、回転(図3の紙面内でウェハ固定部中心を回転中心として回転)させて、回転方向の位置出しや回転の偏心ずれを補正するプリアライメント部と呼ばれる部分や、ウェハホルダーに受け渡すときの、中継部分に使われることが多い。
【0020】
図4は、吸着部41a,41b,41c,41dによって、ウェハ裏面と接触するウェハ固定部40を示している。このウェハ固定部40のような、大きい円形状の固定部は、露光機や測定・検査機等のウェハステージに使われることが多く、ウェハの平面度を維持するために大きい面積でウェハ裏面を支持固定するようになっている。図5は、吸着部51a,51bによって、ウェハ裏面1bと接触するウェハ固定部50を示している。このウェハ固定部50のような、ウェハ裏面外周の一部のみを支持する固定部は、ウェハを収納するウェハキャリアや、温度処理するプロセス装置、本実施例のようなウェハ裏面を検査する装置など、必要最小限の接触面積に留めたいときに用いられることが多い。図6は、吸着部61a,61b,61cによって、ウェハ裏面1bと接触するウェハ固定部60を示している。このウェハ固定部60のような、ウェハ裏面の一部のみを支持する固定部は、温度処理するプロセス装置などに用いられることが多い。
【0021】
ウェハ1には方位角を特定するため、図7に示すようなノッチ70が設けられている。ノッチ70は1mmの切り欠きであり、プリアライメント部では、このノッチ70の位置を検出して、ウェハの方位を合わせる。露光機や測定・検査機では、ノッチ70の向きに対して、露光箇所や測定場所が特定されるので、たとえば図4に示したウェハ固定部40を備えるようなウェハステージにおいては、いつもウェハの方位は揃っている。一方、プロセス装置や、図2に示すウェハ搬送部20では、ウェハキャリア内でノッチ方向が揃っているとは限らない。そこで、図2〜図6に示した接触位置情報は、図7のように、まず、ノッチ70を基準にして、ウェハ中心Oを原点としてX軸、Y軸を定めることが好ましく、接触部の位置情報を(X、Y)の座標値として、接触位置情報記憶部13に記憶する。
【0022】
接触部の形状と寸法は、CAD等の設計データから直接入力できるようにすることが好ましい。一般に、半導体製造会社では、多くの装置会社から装置を購入し、使用している。そこで、本実施例の装置を使用する半導体製造会社は、各装置会社から、ウェハ裏面1bの接触位置情報を、ノッチ70を基準とした、図7の座標系に基づいたCAD用の電子データとして入手し、接触位置情報記憶部13に入力する。
【0023】
それでは、以上のような平面基板検査装置の比較照合部12、判定部15及び表示部16による平面基板の検査方法について説明する。この平面基板の検査方法は、図8に示すように4つのステップから構成される。
【0024】
まず第1ステップとして、比較照合部12は、画像処理部9で出力された2値化信号11を受け取ると、接触位置情報記憶部13から接触位置情報を取り出して、この2値化信号11との相関値を算出する(ステップS100)。ここで、IC製造装置における半導体ウェハの加工過程においては、上述のように複数の搬送手段が用いられているが、各搬送手段が接触する位置はウェハ毎に異なっている。例えば、偏芯していることや、左右方向にずれていることがあるため、2値化信号11と接触位置情報との相関値を算出する際には、これらの誤差を補正しなければならない。この補正方法は、接触位置情報がウェハ中心Oに対して、回転対称(図3、図4のような場合)か、回転対称でない(図2、図5、図6のような場合)かによって異なるので、以下にそれぞれの場合について説明する。
【0025】
図3若しくは図4に示すウェハ固定部30,40のように接触位置情報がウェハ中心Oに対して回転対称の場合は、2値化された検査画像(2値化信号11)と、接触位置情報との間で生じる誤差は、ほとんどがX方向、Y方向の成分のみで、かつその量は小さい。そこで、たとえば±1mmの範囲内で、接触位置情報をわずかにずらしながら、2値化信号11との画像相関をとる。ここで、回転対称な接触位置情報が複数、たとえば接触位置情報A1,A2,A3,A4,A5と5つある場合には、接触位置情報A1に対して、±1mmの範囲内で画像相関をとり、相関値a1を求め、次いで接触位置情報A2以降に対して、同様のことを順次行う。こうして、それぞれの相関値a1,a2,a3,a4,a5を求める。このように、2値化信号11を用いる理由は、接触位置情報との相関をとるには、裏面1bの異物の付着位置と形状が必要な情報であって、異物からの信号の大小は関係ないので、処理を簡略・高速化するために、2値化信号の方が有効だからである。
【0026】
一方、図2、図5、図6に示すウェハ搬送部20やウェハ固定部50,60のように接触位置情報がウェハ中心Oに対して回転対称でない場合は、接触部がどのような方位でウェハ裏面1bと接触しているかを特定できないため、比較照合する際には、ウェハ1の向きを考慮しなければならない。そこで、接触位置情報を回転変換しながら、かつ、たとえば±1mmの範囲内で、接触位置情報をわずかにずらしながら、2値化信号11との画像相関をとる(2値化信号11を回転変換して接触位置情報との画像相関をとる構成とすることも可能である)。回転変換は、たとえば接触位置情報の座標(x,y)に対して次式(1)に示す回転行列を積算して、方位角θを0度から360度にわたって、例えば1度刻みで、回転変換を行い、かつ、各角度で(X,Y)を±1mmの範囲内で画像相関をとり、画像相関値の最も大きかったときのθにおける相関値を比較結果とする。
【0027】
【数1】

【0028】
回転非対称な接触位置情報が複数、たとえば接触位置情報B1,B2,B3,B4,B5と5つある場合には、接触位置情報B1に対して、相関値b1を求め、次いで接触位置情報B2以降に対して、同様のことを順次行う。こうして、それぞれの相関値b1,b2,b3,b4、b5を求める。なお、動作としては回転変換を先に行い、相関値が最も大きくなる方位角θを求め、次にこの方位角θにおいて、座標(X,Y)を±1mmの範囲内における相関値最大のところを求めるようにしてもよい。これによって、相関処理時間の短縮が図られる。また、プリアライメントにおいて、ウェハ1の方位が合わされた後は、各搬送装置においてノッチ70の向きに対して吸着面の角度に関する情報を合わせて記憶しておくことにより、上述の処理をより簡略化することができる。
【0029】
上記において画像相関を取る際には、あらかじめ2値化信号11に対し、特徴を抽出しておくことが好ましい。すなわち、接触部は、接触部材の機械加工の都合、円形や直線形状、あるいはこれらの組み合わせ形状のものが圧倒的に多い。したがって、接触位置情報も、円形形状成分や直線形状成分が多いので、2値化信号11の中で、欠陥検出した各点のうち、近接する点同士に対し、円や直線を当てはめて、同一円状、同一直線状になるものは、偶発的に付着・発生した欠陥ではなく、接触部材によって、異物等の欠陥が転写された可能性が高い。従って、円や直線でフィッティング処理した2値化信号と、接触位置情報を比較照合すると、より短時間で画像相関処理を行うことができる。
【0030】
次に第2ステップでは、以上の第1ステップS100で得られた相関値a1,a2,a3,a4,a5,b1,b2,b3,b4,b5が、相関値データ14(図1に示す)として、判定部15に入力され、搬送手段に起因する異物か否かが判定される(ステップS200)。比較照合部12で算出された画像相関の結果、すべての接触位置情報と比較照合しても、相関性が低い場合がある。すなわち、ウェハ裏面1bに付着していた異物数が少なかったり、搬送手段による異物転写が原因ではなく付着した異物であったりした場合である。従って、判定部15では、相関値データ14に対し、しきい値を設けて、搬送手段起因の異物か、そうでないかを判定する。具体的には、たとえば、相関値0.5以下(相関値は値1が最大で、相関性高としている)の相関データは、搬送手段起因の異物はなかったと判定する。
【0031】
一方、相関値データ14のうち、相関値0.5以上のものが存在したときには、搬送手段起因の異物転写があったと判定し、かつ、相関値の高い順に候補(原因となる装置)を判断する。たとえば、相関値a1,a2,a3,a4,a5,b1,b2,b3,b4,b5のうち、相関値0.5以上のものが、a1,a3,b3,b5であったとき、相関値が高い順にならべ、それが、b3,a3,a1,b5であったとき、相関値b3に該当する接触位置情報B3が、異物発生の原因として最も可能性が高いと判断する。ただし、相関値b3,a3が近い値同士の場合もあるので、相関値最大のb3のみを判断するのではなく、相関値自体もオペレータにわかるように表示部16で表示するのが好ましく、詳細は第4ステップにおいて説明する。なお、しきい値は、オペレータにより設定変更可能な構成にすることが好ましい。こうすることで、実際の検出能力・発生頻度等の実情にあわせた本方法の運用が可能になる。
【0032】
判定部15は、上述の相関値データ14により疑わしい接触部を判断するだけではなく、第3ステップとして、ウェハ裏面1bの生画像(画像信号10)から、欠陥の付着状態を判断する機能も併せ持つ(ステップS300)。すなわち、画像信号10の欠陥信号の個数・大小・面積から、ウェハ裏面の汚染状態を判断する。たとえば、欠陥個数が20個以上の場合は、不良と判断する。孤立している欠陥は異物と判断する。1個の異物でも、信号が大きい(明るく光って検出された)異物は、大きなサイズの異物と判断する。大きな面積にわたった欠陥は、塵埃のような異物ではなく、プロセス処理によって生じた異常(例えば、薬液が裏面にまで回り込んだもの)と判断する。長く連なった欠陥は、スクラッチ(傷)と判断する。このような、ウェハ裏面1bの生画像(画像信号10)を用いる理由は、付着状態の判断には、2値化信号11では、信号の大小はわからないからである。このような、欠陥の種類の判定や、程度の判定には、それぞれ、個数しきい値、信号しきい値、面積しきい値、また面積を有した欠陥の個数など、それぞれの状態に応じた判断基準を設けられるようにしておくことが好ましい。そして、それぞれの判断基準のひとつでも超えた場合は、不良品として最終判断するようにすることが好ましい。
【0033】
最後に、第4ステップとして、コンピュータディスプレイ等から構成される表示部16では、検査結果が表示される(ステップS400)。図9は表示部16の表示例で、表示画面80には、まず、検査したウェハの情報81として、ロットIDやスロット番号等のウェハ1を特定する情報が表示される。これらは、オンライン等を用いて、ホストコンピュータから入力されてもよい。検査結果画像82は、検査した生画像(画像信号10)が表示される。もし、搬送部起因の欠陥があった場合は、搬送部起因情報83が、相関値の高い順に表示される。ここでは、上述したように、相関値も表示し、あわせて、各々に対応した接触位置情報84が、接触位置情報記憶部13から読み出されて表示される。これにより、オペレータが、検査結果画像82と接触位置情報84を比較して確認できる。欠陥種別とそれぞれの個数は、検査結果85として表示される。ここでは、あわせて、欠陥種別ごとに、判定基準値(しきい値)を表示すると、欠陥種別ごとに、どの欠陥で不良判定されたかがわかるのでよい。総合判定結果86では、こうして得られた結果から、そのウェハが不良か良品かを判定表示する。なお、トレンドチャート87として、検査したウェハの全数や、ロットごとの結果をグラフ表示すると、例えば、ある時期から不良率が多くなったとか、この欠陥種類の発生頻度が多いなどの解析が可能となる。これらの表示に関わる判定やトレンドチャート処理は、判定部15において行われる。
【0034】
なお、本発明の実施例においては、ウェハ裏面1bに対し、斜入射で光を照射し、ウェハ1に対し垂直方向から撮像する構成としているが、光学配置はこれに限るものではない。例えば、垂直に光を照射し、斜めから撮像するようにしてもよい。また、集束した光ビームをウェハ裏面1bに対し走査し、光電子増倍管等の光電変換手段で受光して、ウェハ全面の光走査データを得るようにしてもよい。さらに、撮像素子を設けた明視野顕微鏡とウェハステージを組み合わせ、ウェハステージの移動により、ウェハ全面の撮像信号を得るようにしてもよい。
【0035】
また、本実施例の検査対象は、半導体ウェハに限るものではなく、光ディスク等の記録媒体など、検査対象物を自動搬送し、かつ、異物等の付着や汚染を管理しなければならないようなものにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る平面基板検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】3つの吸着部により平面基板の裏面と接触する搬送手段のこの平面基板との接触状態を示す平面図である。
【図3】同心円状に配置された吸着部が平面基板の中心近傍で裏面と接触する搬送手段のこの平面基板との接触状態を示す平面図である。
【図4】同心円状に配置された吸着部が平面基板の裏面全体と接触する搬送手段のこの平面基板との接触状態を示す平面図である。
【図5】平面基板の裏面端部と接触する搬送手段のこの平面基板との接触状態を示す平面図である。
【図6】3つの点状の吸着部により平面基板の裏面と接触する搬送手段のこの平面基板との接触状態を示す平面図である。
【図7】平面基板に形成されたノッチとこの平面基板を中止とする座標を説明するための説明図である。
【図8】本発明に係る平面基板の検査方法の処理を示すフローチャートである。
【図9】表示部の表示状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ウェハ 1b ウェハ裏面(被検査面)
3,4 光ファイバー(照明手段) 5,6 コンデンサレンズ(照明手段)
7 受光レンズ(集光手段) 8 撮像素子(検出手段)
9 画像処理部(検出手段) 12 比較照合部(比較照合手段)
13 接触位置情報記憶部(接触位置情報記憶手段) 16 表示部(表示手段)
20 ウェハ搬送部(接触手段) 30,40,50,60 ウェハ固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持手段により保持される平面基板の保持面を被検査面とし、当該被検査面の表面状態を検査する平面基板検査装置であって、
前記被検査面を照明する照明手段と、
前記照明された前記被検査面の像を結像する結像手段と、
前記結像手段により結像された前記像を検出して被検査面情報として出力する検出手段と、
前記保持手段が前記平面基板の前記被検査面に接触する位置に対応した接触位置情報を記憶する接触位置情報記憶手段と、
前記検出手段により検出された前記被検査面情報と、前記接触位置情報記憶手段に記憶された前記接触位置情報とを比較照合する比較照合手段とを有する平面基板検査装置。
【請求項2】
前記接触位置情報記憶手段は、少なくとも2以上の前記接触位置情報を記憶し、
前記比較照合手段は、前記撮像情報と前記少なくとも2以上の接触位置情報の各々とを比較照合し、相関性が高い前記接触位置情報に対応する前記保持手段を判定するように構成された請求項1に記載の平面基板検査装置。
【請求項3】
前記比較照合手段は、前記接触位置情報が前記平面基板の中心に対して回転対称でない場合に、前記被検査面情報若しくは前記接触位置情報のいずれか一方を回転座標変換して比較照合するように構成された請求項1または2に記載の平面基板検査装置。
【請求項4】
前記比較照合手段は、前記被検査面情報を2値化した情報に基づいて、前記接触位置情報と比較照合するように構成された請求項1〜3のいずれか一項に記載の平面基板検査装置。
【請求項5】
前記比較照合手段で比較照合した結果を表示する表示手段を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の平面基板検査装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記相関性の高い保持手段の前記接触位置情報及び前記撮像情報を表示するように構成された請求項5に記載の平面基板検査装置。
【請求項7】
保持手段により保持される平面基板の保持面を被検査面とし、当該被検査面の表面状態を検査する平面基板の検査方法であって、
照明された前記被検査面を撮像して得られた撮像情報と、前記保持手段が前記平面基板の前記被検査面に接触する位置に対応した接触位置情報とを比較照合する平面基板の検査方法。
【請求項8】
前記撮像情報と少なくとも2以上の接触位置情報の各々とを比較照合し、相関性が高い前記接触位置情報に対応する前記保持手段を判定するように構成された請求項7に記載の平面基板の検査方法。
【請求項9】
前記接触位置情報が前記平面基板の中心に対して回転対称でない場合に、前記撮像情報若しくは前記接触位置情報のいずれか一方を回転座標変換して比較照合するように構成された請求項7または8に記載の平面基板の検査方法。
【請求項10】
前記撮像情報を2値化した情報に基づいて、前記接触位置情報と比較照合するように構成された請求項7〜9のいずれか一項に記載の平面基板の検査方法。
【請求項11】
前記接触位置情報は、前記保持手段が接触する位置を含む電子情報から作成される請求項7〜10のいずれか一項に記載の平面基板の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−25004(P2009−25004A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185157(P2007−185157)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】