説明

座席ヒータ

【課題】座席に着座している人の位置や動きを検出することによって温度を調整することができる座席ヒータを提供する。
【解決手段】本座席ヒータ1は、座席2に設けられるヒータ11と、座席を支持する複数の支持部23a、bにそれぞれ配設される荷重センサ11a〜dと、各荷重センサ及びヒータと接続される制御回路13と、を備え、制御回路は、各荷重センサによって着座者の位置及び体動の少なくとも一方を検知し、その検知結果に基づいてヒータの発熱を制御する。これにより、座席に座る着座者の座席上の位置や体動に対応してヒータの発熱制御が行われ、人が着座しているか否かによってヒータを制御するのみならず、着座者の座席上の位置や体動に基づいて、その着座者の状態に最適な温度となるようにヒータの発熱を自動的に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席に着座している人の位置や動きを検出してヒータの温度を調整することができる座席ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の座席の座面や背もたれに、着座している乗員を暖めるための座席ヒータが設けられることがある。このような座席ヒータは、ヒータ素子のほか、温度を検知するための温度センサが備えられ、一定の温度を保つようにヒータ素子が制御される。
また、着座の有無を検知するための荷重センサと、温度設定用の釦を設けたヒータ内蔵座席が提案されている(特許文献1を参照。)。このようなヒータ内蔵座席は、着座している間のみ温度設定用の釦で設定した温度で発熱することができる。また、荷重センサの代わりに遠隔操作でヒータの発熱の制御を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−136039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示すヒータ内蔵座席は、着座を荷重センサが検出して発熱を開始しても、座席ヒータの温度は温度設定用の釦で手動調整する必要があった。
また、着座する人の腿部、臀部、背部等に対応するように分割された複数のヒータ素子を設けた座席ヒータが知られている。このような座席ヒータは、分割された部位毎にヒータの温度を制御することができる。しかし、着座者が着座している位置は常に同じとは限られず、また同じ姿勢で座っているとも限られない。通常、着座者は身体を動かしたり、座席上で身体の位置を前後左右に変えたりする。このような着座者の位置の変化や体動により、設定された各部位のヒータの温度が着座者にとって適さなくなったり、着座者が接していない部位を暖めるなど電力を無駄に使用したりする問題があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、座席に着座している人の位置や動きを検出することによって温度を調整することができる座席ヒータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、本第1発明の座席ヒータは、座席に設けられるヒータと、前記座席を支持する複数の支持部にそれぞれ配設される荷重センサと、各前記荷重センサ及び前記ヒータと接続される制御回路と、備え、前記制御回路は、各前記荷重センサによって着座者の位置及び体動の少なくとも一方を検知し、その検知結果に基づいて前記ヒータの発熱を制御することを要旨とする。
本第2発明の座席ヒータは、前記第1発明において、前記ヒータは前記座席の異なる部位に配設された複数のヒータ素子からなり、前記制御回路は、前記着座者の位置及び体動の少なくとも一方に基づいて前記ヒータ素子毎に発熱を制御することを要旨とする。
本第3発明の座席ヒータは、前記第1発明又は前記第2発明において、前記制御回路は前記座席が置かれた環境の温度を取得し、該環境温度と前記着座者の位置及び体動の少なくとも一方とに基づいて前記ヒータの発熱を制御することを要旨とする。
本第4発明の座席ヒータは、前記第1発明乃至前記第3発明のいずれかにおいて、前記座席は車両用座席であって、車両の振動を検出する振動センサを更に具備し、前記制御回路は、前記振動センサによって検知される前記車両の振動と前記着座者の位置及び体動の少なくとも一方とに基づいて前記ヒータの発熱を制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の座席ヒータによれば、座席の各支持部に着座を検出するための荷重センサを設けることによって、座席に座る着座者の座席上の位置や体動が検出され、それに対応してヒータの発熱制御が行われる。このため、人が着座しているか否かによってヒータを制御するのみならず、着座者の座席上の位置や体動に基づいて、その着座者の状態に最適な温度となるようにヒータの発熱を自動的に制御することができる。これによって、着座者が設定温度を変更するためにスイッチ等を操作する煩わしさを減らすことができる。また、着座者の状態に応じてヒータを発熱させるため、ヒータへ供給する無駄な電力を低減することが可能になる。
座席の異なる部位に複数のヒータ素子が配設され、位置及び体動の少なくとも一方に基づいてヒータ素子毎に発熱を制御する場合は、座席上の着座者の位置や体動に基づいて部位毎にヒータの発熱を制御を行うことができるため、着座者に快適な温熱感を与えることができる。また、着座者が接していない部位の発熱を抑え、更に消費電力の少ない座席ヒータとすることができる。
環境温度を取得して、環境温度と位置及び体動の少なくとも一方とに基づいてヒータ素子の発熱を制御する場合は、室温や外気温と連動させてヒータの発熱制御を行うことができるため、より快適な温熱感を着座者に与えるとともに、不必要な温度制御を防止してより低消費電力の座席ヒータとすることができる。
振動センサによって検知される車両の振動と着座者の位置及び体動の少なくとも一方とに基づいて前記ヒータの発熱を制御する場合は、検出された振動によって荷重センサの検出値を補正等することができ、適正なヒータの発熱制御を行うことができる。車の振動を着座者の体動と誤検知することによって生じる不要な発熱制御を防止することができるため、着座者に安定した温熱感を与えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述によって更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】本実施例に係る座席ヒータを設けた自動車用の座席を示す斜視図である。
【図2】本実施例に係る座席ヒータを設けた自動車用の座席を示す側面図である。
【図3】着座者が前寄りに座っているときの各ヒータの状態を説明するための側面図である。
【図4】荷重センサの検出荷重の変動を説明するための模式グラフである。
【図5】着座者が活動しているときの荷重センサの検出荷重の変動を説明するための模式グラフである。
【図6】着座者が眠っているときの荷重センサの検出荷重の変動を説明するための模式グラフである。
【図7】座席の左右に分割されたヒータ素子を備える自動車用の座席を示す側面図である。
【図8】着座者が図における左寄りに座っているときの各ヒータの状態を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1〜8を参照しながら本発明の座席ヒータを詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0009】
本発明の座席ヒータは、座席に設けられるヒータと、座席を支持する複数の支持部にそれぞれ配設された荷重センサと、各荷重センサ及びヒータと接続された制御回路と、を備え、制御回路は、各荷重センサによって着座者の位置及び体動の少なくとも一方を検知し、その検知結果に基づいてヒータの発熱を制御することを特徴とする。
前記「着座者の位置」は、本座席ヒータを配設した座席に着座した人である着座者の座席上の位置である。着座者が座面の何処に座っているかによって座面各部にかかる荷重の大きさが変わるため、各部に荷重センサを設けることにより着座者の座面上の位置を検知し得る。例えば、着座者が浅く座っている場合には座面前方(膝側)にかかる荷重が大きくなり、着座者が右側に寄って座っている場合には座面右側にかかる荷重が大きくなる。
前記「体動」とは、着座者が座席上で動くことをいう。着座者の姿勢の変化や動作によって座面各部にかかる荷重の大きさが変動するため、各部に荷重センサを設けることにより着座者の体動を検知し得る。すなわち、体動は、荷重の変化の方向、荷重の変化の大きさ、荷重の変化の速さや周期性等として検知される情報である。例えば、着座者が席を揺らすような動き、頻繁に姿勢を変えるような動き、睡眠等による静止等を検知することができる。
このような着座者の位置や体動は、例えば、任意の周期で各荷重センサから荷重を検出し、その変化を求めることで検知することができる。荷重は、例えば図4〜6に表わされるように変動する。
【0010】
本座席ヒータは、図1に例示するように、座席2に設けられて着座した着座者を暖めるヒータ11と、座席2の支持部23(23a、23b)に設けられる複数の荷重センサ12(12a〜12d)と、ヒータ11及び荷重センサ12に接続される制御回路13とを備えている。ヒータ11は、自動車の座席2の表層部である座面21及び背もたれの全体に設けられており、本例では臀部、腿部及び背中部の3つのヒータ素子(11a、11b、11e)に分割されている。そのヒータ素子ごとに、制御回路13に接続される。
ヒータ11が設けられる座席2は、例えば自動車等の車両に用いられる乗員用の座席を挙げることができるが、これに限られず、屋内に設置される座席等にも本座席ヒータを適用することができる。また、図2に例示するように、座席2は、支持部23において床面に支持固定されている。支持部23においては、座席側と床面側との間に荷重センサ12が挟持されている。すなわち、着座者3が座席2に着座したとき、その荷重は各荷重センサ12によって検出される構造となっている。
荷重センサ12は、座席2に座る着座者3の位置や動きによって生じる荷重を検出可能に配設されればよい。例えば、図2に示すように、荷重センサ12a及び12bを、座席の底面に設けられた支持部231aと当該座席を固定するための支持部24aとの間に介装して、着座者3による荷重が荷重センサ12a、12b及び図示されない荷重センサ12c、12dにかかるようにすることができる。また、座席2を固定するための支持部の上に荷重センサを介して座席を載せるような簡単な構造であってもよい。
【0011】
また、ヒータ11は、1又は2以上のヒータ素子を備える。このヒータ素子の種類、材料、形状、大きさ、構造等は特に限定されず、例えば、抵抗線や抵抗皮膜等の既存の発熱素子を用いて構成することができる。また、ヒータ11は、ヒータ素子ととともに温度センサを備え、発熱温度の制御に用いてもよい。温度センサとしてサーミスタや熱電対等の既存の温度計測素子を用いることができる。
ヒータ素子を座席に設ける位置は任意に選択することができる。例えば、図1及び2に示すように、臀部を乗せる座面21、背中を預ける背もたれ面22、後頭部を預けるヘッドレストの表面25、足かけの表面(図示せず)等を挙げることができる。
【0012】
ヒータ素子を複数設ける場合、任意の位置に配設することができ、例えば、座席の座面と背もたれ部とにそれぞれヒータ素子を備えた座席ヒータとすることができる。また、図1に示すように座面の前側(膝側)、後側(臀部側)の2箇所に分けて、それぞれにヒータ素子11a、11bを備えるものとすることができる。更に、背もたれ部において上側(頭側)、中央、下側(臀部側)に分けて、それぞれにヒータ素子を備えるようにすることができる。また、ヒータ素子は、図7に示すように、右側(右半身側)と左側(左半身側)とに分けて設けられてもよい。このように、座席の各面にヒータ素子を設けることによって、着座する乗員の体格や着座姿勢を荷重センサによって検出し、ヒータ素子毎に異なるヒータの発熱制御を行い、必要な場所に最適な温度制御を行うことができる。
【0013】
荷重センサ12は、座席2の支持部23に設けられ、座席2上の着座者3によって生じる荷重を検出するためのセンサである。このようなセンサの種類は任意に選択することができ、例えば、歪みゲージ、圧電素子等の圧力センサを挙げることができる。荷重センサの数及び配設場所は、着座者の座席上の位置や動きが分かる数及び位置であればよく、例えば、図1に例示するように座席底部の四隅付近の支持部23a、23bにそれぞれ荷重センサ12a〜12dを設けることを挙げることができる。また、着座者が座面上の前後方向のどの位置に座っているかを検出するのみであれば、座席の前部及び後部にそれぞれ荷重センサを設けるだけでもよい。
尚、荷重センサは、他の用途に用いることができる。例えば、荷重が一定の重さ(例えば5kg)未満である場合は着座していないと判断することができる。これにより、非着座時には、エアバックの展開を禁止したりすることができる。非着座時は座席ヒータの電源を遮断することとできる。
【0014】
制御回路13は任意の場所に配設することができ、例えば、図1に示すように座席2と異なる場所とするほか、座席本体内部に配設したり、ヒータ11と一体に構成されたりしてもよい。また、座席制御用等のECUに含んで構成されてもよい。制御回路13は、ハードウェアのみで構成されてもよいし、マイクロプロセッサ等を使用してハードウェアとソフトウェアとによって構成されてもよい。
尚、制御回路及びヒータ素子の電源として、車両のバッテリ等から必要な電力を供給するようにすることができる。
【0015】
具体的に、制御回路13は、荷重センサからの荷重の信号を受け取る入力部131、入力部により得た荷重の信号から着座者の位置及び体動の少なくとも一方を検知する算出部132、算出した位置等から各ヒータ素子の発熱温度を決定する温度決定部133、及び温度決定部で決定した温度となるヒータ素子を発熱させるための通電制御を行う通電制御部134を備えて構成することができる。
【0016】
入力部131は、座席支持部の各所に配設された荷重センサと接続され、各荷重センサの荷重を検出する。検出された各荷重は算出部132に送られ、算出部132により、各荷重の大きさ、荷重の分布・偏り、重心の位置、荷重変化の大きさ・向き・速さ等から着座者の位置や体動が判定される。
【0017】
温度決定部133は、算出部132により得られた検知結果に基づいて、各部位のヒータ素子の目標温度を決定する。各ヒータ素子の目標温度は、例えば、環境温度や着座者によって設定された温度(以下で、「通常温度」ともいう。)を基準とし、着座者の位置や体動に基づく変更を加えることによって決定することができる。これらのため、温度決定部133には、環境温度センサ14、温度調整スイッチ16等の信号入力手段を適宜備えることができる。
まず、温度決定部133は、環境温度を取得するように構成することができる。「環境温度」は、座席が配設されている場所の室内の温度や室外の温度である。環境温度と着座者の位置及び体動の少なくとも一方とを参照することで、ある環境温度における着座者の状態、例えば寒くて縮こまっている等の関連づけを行うことが可能であり、その状態に適した温度制御を行うことができる。このため、温度決定部133に環境温度を計測するための環境温度センサ14及び温度計測回路を備えてもよいし、別の装置によって得られた環境温度情報を取得するように受信回路等を備えてもよい。温度決定部133は、室温や室外温等の環境温度と、着座者の位置及び体動の少なくとも一方とに基づいて各ヒータ素子の発熱温度を決定することができる。
【0018】
温度決定部133は、着座者が温度を設定するための温度調整スイッチ16の信号入力回路を備えて構成することができる。これによって、着座者の設定温度を基準とし、且つ着座者の位置及び体動の少なくとも一方に基づいて、各ヒータ素子の発熱温度を決定することができる。
【0019】
通電制御部134は、温度決定部133で決定された温度となるように、各ヒータ素子の通電を制御する。各ヒータ素子部に温度センサが設けられている場合には、その温度センサによってヒータ素子の発熱温度を計測し、温度決定部133で決定した温度となるようにヒータ素子の通電制御を行うように構成することができる。
【0020】
本座席ヒータを備える座席が車両用座席である場合、車両の振動を検出する振動センサ15を更に備えることができる。振動センサは、車体の振動を検出できるように車体等に設けられたセンサであり、圧電素子等の任意の圧力センサなどを用いて構成することができる。この振動センサによって検出された振動の大きさや特徴により前記荷重センサの検出値を補正等することで、車体の振動に由来する成分を除去し、着座者の荷重のみをより正確に検知することができる。これによって、車の振動を着座者の体動と誤検知することによって生じる不要な通電制御を防止することができ、着座者に安定した温熱感を与えることができる。
【0021】
前記ヒータとして座席の異なる部位に配設された複数のヒータ素子を備える場合には、前記制御回路のヒータ発熱制御は、着座者の位置及び体動の少なくとも一方に基づいてヒータ素子毎に発熱を制御することができる。この発熱制御の方法は任意に選択することができ、例えば、(1)着座者の位置がヒータ素子上にあるときは通常の発熱制御、すなわち設定された温度を維持するように制御を行い、着座者の位置がヒータ素子上から離れたときは、通常の設定温度よりも低温にする発熱制御又は発熱を止める制御を行うことができる。着座者の位置は、各荷重センサによって検出される荷重の分布(偏り)によって判定するようにすることができる。
【0022】
具体的には、図2及び以下の表1に示すように、着座者が座席2に深く座っている状態、すなわち、ヒータ素子の部位11a上に座っていると判断されるときは、各ヒータ素子11a、11b、11eが全て通常温度に制御される。また、着座者が図3に示すように座席2に浅く座っているときは、荷重センサ12aの検出荷重が小さく、荷重センサ12bの検出荷重が大きくなっているため、着座者が座席2の前側に座っていると判断され、ヒータ素子11bは通常温度に制御されるが、座席の奥側に位置するヒータ素子11a及び11eは、通常よりも低温にするように制御される。
【0023】
【表1】

【0024】
また、座席2の左右にそれぞれヒータ素子11a〜11fが設けられている例を、図7及び8に示す。図7に示す座席ヒータ1Aは、座席2の表層部である座面21を左右の領域に分け、それぞれの臀部にヒータ素子11a、11c、腿部にヒータ素子11b、11d、背もたれには、ヒータ素子11e、11fが設けられている。制御回路13は、各ヒータ素子11a〜11fに対して個別に行っている。制御回路13は、複数の荷重センサ12a〜12dによって荷重を逐次検出して、各荷重センサの荷重の違いから座面上の着座者の位置を求める。
着座者が座席2の真ん中に座っていると判断される場合は、図7に示す全てのヒータ素子11a〜11fが通常温度に制御される。また、図8に示すように、座席2の右側に着座者3が座っている場合は、左右の荷重センサ12a〜dかかる荷重のかかり方に変化が生じることにより検知される。すなわち、座席右側の荷重センサ12c及び12dにかかる荷重が、左側の荷重センサ12a及び12bにかかる荷重よりも大きい。そこで、座席の右側のヒータ素子(11c、11d、11f)が通常温度に制御され、左側のヒータ素子(11a、11b、11e)は、通常よりも低温の状態に制御される。
【0025】
また、図5に示すように荷重の変化量を体動として検知し、図6に示すように長時間にわたり荷重が変化しないときは、眠っている状態と判断して、通常よりも低温にする制御を行うことができる。これにより、低温やけどの防止を図ることができる。更に、位置及び体動の両方を検知して制御を行ってもよい。
更に、環境温度センサを備える場合は、環境温度の高低と着座者の位置及び体動の少なくとも一方とに基づいて通電制御を行うことができる。例えば、図4及び表2に示すように、環境温度が任意に設定される所定の低温であるときに、体動として検知する荷重の変動量(b)が通常の変動量(a)よりも小さいときは、寒さに耐えてじっとしている状態と想定される。このような場合、通常よりも高温になるように発熱を制御することができる。また、環境温度が任意に設定される所定の高温であるとき、体動として検知する荷重の変動量(c)が通常の変動量(a)より大きいときは、暑さに耐えて身じろぎをしている状態と想定される。このような場合、通常よりも低温になるように発熱を制御することができる。
【0026】
【表2】

【0027】
以上の他、本座席ヒータにより種々の発熱制御が可能である。例えば、荷重により着座を検出したとき、ヒータによる暖房が必要な環境温度(例えば、15℃以下)である場合にはヒータを発熱させ、ヒータが不要な環境温度(例えば、25℃以上)である場合には発熱させないという制御とすることもできる。
【0028】
尚、本発明においては、前記実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した態様とすることができる。
【符号の説明】
【0029】
1、1A;座席ヒータ、11a〜11f;ヒータ素子、111;温度センサ、12a〜12d;荷重センサ、13;制御回路、131;入力部、132;算出部、133;温度決定部、134;通電制御部、14;環境温度センサ、15;振動センサ、16;温度調整スイッチ、2;座席、21;座面、22;背もたれ、23a、23b;支持部、3;着座者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席に設けられるヒータと、
前記座席を支持する複数の支持部にそれぞれ配設される荷重センサと、
各前記荷重センサ及び前記ヒータと接続される制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、各前記荷重センサによって着座者の位置及び体動の少なくとも一方を検知し、その検知結果に基づいて前記ヒータの発熱を制御することを特徴とする座席ヒータ。
【請求項2】
前記ヒータは前記座席の異なる部位に配設された複数のヒータ素子からなり、
前記制御回路は、前記着座者の位置及び体動の少なくとも一方に基づいて前記ヒータ素子毎に発熱を制御する請求項1記載の座席ヒータ。
【請求項3】
前記制御回路は前記座席が置かれた環境の温度を取得し、該環境温度と前記着座者の位置及び体動の少なくとも一方とに基づいて前記ヒータの発熱を制御する請求項1又は2に記載の座席ヒータ。
【請求項4】
前記座席は車両用座席であって、車両の振動を検出する振動センサを更に具備し、
前記制御回路は、前記振動センサによって検知される前記車両の振動と前記着座者の位置及び体動の少なくとも一方とに基づいて前記ヒータの発熱を制御する請求項1乃至3のいずれかに記載の座席ヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−157651(P2012−157651A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21131(P2011−21131)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】