説明

廃石膏ボードのリサイクル装置

【課題】廃石膏ボードを効率的に石膏と紙に分離してそれぞれをリサイクルできるようにする。
【解決手段】廃石膏ボードのリサイクル装置1は、投入口12から投入された紙付きの廃石膏ボードWを破砕部10で破砕し、生じた破片及び石膏粉末を搬送部20で供給されて来る紙/粉末分離部30で紙片と石膏粉末とに分離する。紙/粉末分離部は、一端部に紙片及び石膏粉末の混合物の受け入れ口32を、他方端部に紙片排出口33を、下部に石膏粉末の排出部38を有した筒状ケーシング31と、その内部に間隔をとって固定状態で収容され、一端部で統合された受け入れ口32を、他方端部で統合された紙片排出口33を有し、1.4mm幅の細長いスリットを周壁に多数形成した円筒状スクリーン35と、その内部で回転駆動されて受け入れ口側から排出口側へ紙片搬送風を発生する螺旋羽根42、44を有した分離回転体40とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、建設廃材の一部として排出される廃石膏ボードのリサイクル装置に関し、特に廃石膏ボードを破砕し、破片状態で石膏と紙の分離を効率的に行うようにした廃石膏ボードのリサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃石膏ボードは、その大部分が硫酸カルシウムの鉱物である為に、安定型廃棄物として扱われていて、埋立処理されていた。しかし、石膏ボードは、板状の石膏を両側から紙で挟んで破損しにくく構成されている為に、廃棄されて埋立処理された後に紙や接着剤が雨水等を吸って腐食し、悪臭を発生する事態を招いていた。石膏は、天然鉱物で再利用が可能であり、また紙も分離後に再生紙にリサイクルされ得るものである。
【0003】
そこで、近年幾つかの廃石膏ボードのリサイクル装置が開発され、提案されている。例えば下記特許文献に開示されている石膏ボードの粉砕選別機は、一端部に石膏ボードの投入口を有し、内側の中間部から他方端部にかけて多数の透孔を形成した水平筒体と、その内部で回転可能に支持され、回転駆動されて投入石膏ボードを内側の他方端部に粉砕、搬送するスクリューコンベヤと、水平筒体の内側他方端部の多数の透孔を被うように水平に回転可能に機台及び若しくは水平筒体に支持され、回転駆動装置によって回転駆動されて石膏粉を多孔から落下させ且つ内面の螺旋体でシート片を一端部の開口へ送って落下させる多孔ケーシングとから構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−5615
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献に開示されている石膏ボードの粉砕選別機は、コンパクトにまとまった構造で設置面積が少ないと言う長所を持っているが、石膏粉の分離が自然落下によって行っているだけであり、分離作業効率が低いものであり、また紙に連れて石膏粉が排出されてしまい、石膏粉/紙の分離が不十分であると言う短所も持っている。
【0006】
本発明は前記のような従来の事情に鑑み提案されたものであって、その目的は、石膏粉末/紙片の分離作業が速く、廃石膏ボードを高い分離性能で石膏粉末と紙片とに分離とリサイクルができるものであり、また破砕粉砕をより確実に実施でき、また破砕粉砕の負荷を分散できるようにも構成できる廃石膏ボードのリサイクル装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために本発明に係る廃石膏ボードのリサイクル装置は、投入口から投入された紙付きの廃石膏ボードを破砕する破砕手段と、破砕された廃石膏ボードの破片及び石膏粉末を紙/粉末分離手段へ搬送する搬送手段と、搬送されてくる破片及び石膏粉末を紙片と石膏粉末とに分離する紙/粉末分離手段とを有しており、前記紙/粉末分離手段が、一端部に破片及び石膏粉末の受け入れ口を有すると共に他方端部に紙片排出口を有し、下部に石膏粉末の排出部を有した筒状ケーシングと、該筒状ケーシング内に収容され、一端部に破片及び石膏粉末の受け入れ口を有すると共に他方端部に紙片排出口を有し、好ましくは1mmから7mm幅の細長いスリットを周囲壁に多数形成した筒状スクリーンと、該筒状スクリーン内に回転可能に軸承され、紙片搬送風を発生する螺旋羽根を有した分離回転体と、該分離回転体を回転させる駆動手段とを有しており、螺旋羽根の回転による遠心力によって破片及び石膏粉末を筒状スクリーンに当てて破片を更に破砕して石膏粉末をスリットを通してスクリーンの外に分離し、搬送風によって紙片を排出口に搬送して分離して行くことを特徴としている。
【0008】
前記破砕手段は、上部に廃石膏ボードの投入口を有すると共に一方端部に排出口を有した横長の筒状ケーシングと、その内部に一対の間で上から下に噛み込む方向に回転駆動され、投入された廃石膏ボードを好ましくは約2cm平方から約12cm平方程度の破片に破砕すると共に破片及び石膏粉末を前記排出口に搬送する螺旋体と、該螺旋体を好ましくは5から30RPMで回転駆動する駆動手段とを有し、前記筒状ケーシングは、その内面に長手方向に延びた複数の条材を周方向に固定刃として隔設した第一部と、下流側の内面に内側に突出した櫛歯を長手方向に複数固定刃として隔設した第二部と、更に下流側に設けられて第一部と第二部で破砕されて生じた破片及び石膏粉末を収集する第三部とから構成されており、前記螺旋体は、前記筒状ケーシングの第一部に対応してそこの条材固定刃と干渉しないように周囲に複数の刃物を突設した第一部分と、前記筒状ケーシングの第二部に対応してそこの櫛歯固定刃と干渉しないように螺旋羽根を有した第二部分と、前記筒状ケーシングの第三部に対応して固定刃も螺旋羽根も無い軸のみの第三部分とから構成される。
【0009】
前記筒状ケーシングの第三部は、前記筒状ケーシングの第二部との連通開口部に錘によって閉じるように付勢された邪魔板を内部に有することができる。
【0010】
前記螺旋体の第一部分の刃物は、同じ位相に揃わないように90度よりも若干大きいピッチで、好ましくは92.5度から95度の範囲のピッチで螺旋羽根に取り付けられる。
【0011】
前記搬送手段は、前記破砕手段の前記螺旋体から構成されたり、又は前記破砕手段の前記螺旋体と、前記横長の筒状ケーシングの一方端部の排出口に受け入れ口を接続すると共に前記紙/粉末分離手段の筒状ケーシング及び筒状スクリーンの受け入れ口に破片及び石膏粉末を搬送するスクリューコンベヤと、該スクリューコンベヤの回転駆動手段とからも構成される。
【0012】
前記紙/粉末分離手段の回転体は、約10m/秒から約30m/秒の周速度で回転する複数の螺旋羽根を有し、それら螺旋羽根は、交互に受け入れ口側と紙排出口側にずれて配置される。
【0013】
前記紙/粉末分離手段の石膏粉末の排出部は、スクリューコンベヤから構成される。
また、前記投入口は、開閉可能な蓋を有し、該蓋の開閉をスイッチで検出して、該蓋の開放時には少なくとも前記破砕手段の運転を停止し、該蓋の閉鎖時に本リサイクル装置の運転が可能になるように構成される。
更に、 前記破砕手段の一対の螺旋体は、互いに干渉しないように離れて配置され、また各々個別の可逆転の駆動手段によって回転駆動され、所定の回転抵抗を受けると所定回転数だけ逆転できるように構成される。
【発明の効果】
【0014】
従って、本発明に係る廃石膏ボードのリサイクル装置によれば、投入口から投入された紙付きの廃石膏ボードが破砕手段によって破砕された破片及び石膏粉末は紙/粉末分離手段に搬送手段によって搬送され、そこで紙片と石膏粉末とに連続的に分離されることになる。その際に、破片及び石膏粉末は、受け入れ口から筒状スクリーン内に搬送されて、内部で回転駆動されている分離回転体の螺旋羽根によって遠心力が与えられて1mmから7mm幅の細長いスリットを多数形成した周囲壁の内側に衝突して更に粉砕され、粉砕と同時に石膏粉末がスリットを通して筒状ケーシング内に排出され、下部の石膏粉末の排出部に集まってから排出されて行く。他方、周囲壁の内側への衝突による粉砕で同時に分離された紙片は、筒状スクリーン内で螺旋羽根の回転によって起こされている紙片排出口へ向
かった搬送風によって搬送されて排出されて行く。かくして確実に粉砕と分離がスクリーンへの衝突によって行われると共に、石膏粉末/紙片の分離作業が速く、廃石膏ボードを高い分離性能で石膏粉末と紙片とに分離することができる。1mmから7mm幅の細長いスリットは、絶えず内側から遠心力で飛んでくる破片及び石膏粉末によって衝撃を受けており、詰まることが無く、分離作業の速さ向上に寄与している。分離の不十分な破片は、重く遠心力が作用し、搬送風によって搬送される前にスクリーンに衝突させられることになり、石膏粉末と紙片の分離が促進され、混合排出が防止され分離精度が向上される。
【0015】
破砕手段の上部の投入口から投入される廃石膏ボードは、横長の筒状ケーシングの内部において、駆動手段によって5から30RPMで回転駆動される一対の螺旋体によってそれらの間で上から下に噛み込まれ、紙/粉末分離手段のスクリーンに当てるのに好適な約2cm平方から約12cm平方程度の破片に連続的に破砕され、また破砕で生じる破片及び石膏粉末が螺旋体によって排出口に連続的に搬送される。
【0016】
搬送手段が破砕手段の螺旋体から構成されると、破砕手段にすぐ紙/粉末分離手段に接続して廃石膏ボードのリサイクル装置をコンパクトに構成することができる。また搬送手段を、破砕手段の螺旋体と、横長の筒状ケーシングの一方端部の排出口に受け入れ口を接続すると共に紙/粉末分離手段の筒状ケーシング及び筒状スクリーンの受け入れ口に破片及び石膏粉末を搬送するスクリューコンベヤと、該スクリューコンベヤの回転駆動手段とから構成することで、破砕手段と紙/粉末分離手段が互いに水平方向に及び/又は垂直方向に離れていても連続的に廃石膏ボードのリサイクル装置の運転を行うことができる。
【0017】
筒状ケーシングでは、その内面に長手方向に延びた複数の条材を周方向に固定刃として隔設した第一部において、そこの条材固定刃と干渉しないように周囲に複数の刃物を突設した螺旋体の第一部分によって効果的に廃石膏ボードを破砕して紙と石膏粉とを分離することができる。更に、下流側の内面に内側に突出した櫛歯を長手方向に複数固定刃として隔設した筒状ケーシングの第二部において櫛歯と螺旋羽根とによって廃石膏ボード破片を粉砕して紙片と石膏粉末とに分離するのを促進することができる。更に下流側に設けられて第一部と第二部で破砕されて生じた紙片及び石膏粉末を筒状ケーシングの固定刃も螺旋羽根も無い軸だけの第三部に紙/粉末分離手段への搬送のために収集できる。
【0018】
筒状ケーシングの第三部では、筒状ケーシングの第二部との連通開口部に錘によって閉じるように付勢された邪魔板によって破片が楽に第二部から流入して来るのが邪魔され、第一部及び第二部で繰り返し粉砕されると共に、石膏ボード破片は、螺旋体によって互いに擦りあわされてほぼ完全に紙片と石膏粉末とに分離されるようになる。
【0019】
螺旋体の第一部分の刃物が、同じ位相に揃わないように90度より若干大きい、好ましくは92.5度から95度の範囲のピッチで螺旋羽根に取り付けられることで、刃物が同時に廃石膏ボードを噛みこまずに順次噛みこむことで、回転中における破砕負荷を分散して均一化でき、比較的小さな電力で長時間にわたって繰り返し破砕も可能になる。92.5度から95度の範囲の刃物の取り付けピッチであれば、略一周すると10度から20度のずれが生じて同じ位相に揃うことが無く、また余り噛みこみ間隔が長くもならず、適切な間隔で刃物は順次廃石膏ボードを噛みこむことができる。
【0020】
紙/粉末分離手段の回転体は、約10m/秒から約30m/秒の周速度で回転する複数の螺旋羽根によって廃石膏ボードの破片に比較的大きな遠心力を作用させることができ、スクリーンに衝突させて石膏の粉砕と紙片の分離を促進することができ、また衝突による小さな振動でスクリーンのスリットの詰まりを防ぐことができる。螺旋羽根は、交互に受け入れ口側と紙排出口側にずれて配置されると、受け入れ口側に寄った螺旋羽根によって受け入れ口から入ってくる破片と石膏粉末を筒状スクリーン内の奥にも取り込んで、受け入れ口側に多く滞留するのを防ぎ、効率的な粉砕と分離を行うことができる。また各螺旋羽根の複数の開口によって軽量化が計られると共に破片を解して事前に紙片から石膏粉末を分離することができる。突起も破片を解して事前に紙片から石膏粉末を分離することができる。
【0021】
紙/粉末分離手段の石膏粉末の排出部は、スクリューコンベヤから構成されることで、紙搬送風による分離石膏粉末の舞い上がりを防いで、まとめて強制的に排出することができる。
また、前記投入口は、開閉可能な蓋を有し、該蓋の開閉をスイッチで検出して、該蓋の開放時には少なくとも前記破砕手段の運転を停止し、該蓋の閉鎖時に本リサイクル装置の運転が可能になるように構成されると、破砕作業中に破砕粉塵が作業場に立ちのぼるのを防ぐことができ、作業環境を良好に維持できる。
更に、 前記破砕手段の一対の螺旋体は、互いに干渉しないように離れて配置され、また各々個別の可逆転の駆動手段によって回転駆動され、所定の回転抵抗を受けると所定回転数だけ逆転できるように構成されることで、石膏ボード破片を螺旋体によって互いに擦りあわしてほぼ完全に紙片と石膏粉末とに分離している過程で、電気モータなどの駆動手段に過大な回転抵抗が掛かると駆動手段を逆転させて過大な回転抵抗を解除して、繰り返し破砕と擦りあわせを実行できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の代表的な実施形態の廃石膏ボードのリサイクル装置を添付図を参照にして以下に詳細に説明する。
図1の(a)は本発明に係る代表的な実施例の廃石膏ボードのリサイクル装置の全体を説明する概略縦断面図であり、(b)は破砕部の側面図、図2の(a)は破砕部の螺旋体の正面図であり、(b)は螺旋体の横断面図であり、(c)は螺旋体の斜視図、図3の(a)は破砕部の第三部の縦断面図であり、(b)はその側面図、図4は本リサイクル装置の紙/粉末分離手段の筒状スクリーンの部分拡大図、図5は本リサイクル装置の紙/粉末分離手段の回転体の斜視図である。
【0023】
図1から図5において、代表実施例の廃石膏ボードのリサイクル装置1は、投入口12から投入された紙付きの廃石膏ボードWを破砕する破砕部10と、破砕された廃石膏ボードWの破片及び石膏粉末を紙/粉末分離部30へ搬送する搬送部20と、搬送されてくる破片及び石膏粉末を紙片W1と石膏粉末W2とに分離する紙/粉末分離部30とから構成されている。
【0024】
破砕部10は、上部にホッパー形状の廃石膏ボード投入口12を有すると共に一方端部に排出口13を有した横長の筒状ケーシング11と、その内部に一対の間で上から下に噛み込む方向に回転駆動され、互いに干渉しないように隔設され、間で投入された廃石膏ボードWを約5cm平方程度の破片に破砕すると共に破片及び石膏粉末を排出口13に搬送する螺旋体14A、14Bと、該螺旋体を約20RPMで個別に回転駆動する減速機付きの可逆転ギヤードモータM1、M1'とを有している。石膏ボードを破砕して破片を互いに擦りあわしてほぼ完全に紙片と石膏粉末とに分離している過程で、モータM1,M1‘は過大な回転抵抗が掛かると過大電流検出器や過大トルク検出器によって例えば5回転ほど逆転して過大な回転抵抗を解除するようになっている。螺旋体14A、14Bの螺旋方向は、搬送手段も兼ねるように破片を排出口13に搬送するように選択されている。投入口12は、破砕作業中の粉塵の立ちのぼりを防ぐためにシリンダーCYによって開閉駆動される蓋12aを有し、該蓋12aの開閉をスイッチSWで検出して、該蓋の開放時には破砕部10の運転又は本リサイクル装置全体の運転を停止し、該蓋の閉鎖時に破砕部10の運転はもとより、本リサイクル装置1の全体の運転が可能になる。
【0025】
筒状ケーシング11は、その内面に長手方向に延びた複数の条材11aを周方向に固定刃として隔設した第一部Aと、下流側の内面に内側に突出した櫛歯11bを長手方向に複数固定刃として隔設した第二部Bと、更に下流側に設けられて第一部Aと第二部Bで破砕されて生じた破片及び石膏粉末を収集する第三部Cとから構成されている。他方で、螺旋体14A,14Bは、筒状ケーシングの第一部Aに対応してそこの条材固定刃11aと干渉しないように周囲に複数の平刃や剣先刃の刃物15を突設した第一部分A‘と、筒状ケーシングの第二部Bに対応してそこの櫛歯固定刃11bと干渉しないように螺旋羽根16を有した第二部分B’と、筒状ケーシングの第三部Cに対応し、固定刃も螺旋羽根も無い軸17のみの第三部分C‘とから構成されている。筒状ケーシングの第三部Cは、第二部Bとの連通開口部11cに錘19aによって閉じるように付勢され、破片が楽に第二部Bから流入して来ないようにして第一部A及び第二部Bで繰り返し粉砕されると共に破片が互いに擦りあって紙と石膏粉とが効果的に分離できるようにする揺動可能な邪魔板19bを内部に有している。螺旋体の第一部分A’の刃物15は、同じ位相に揃わないように90度よりも若干大きいピッチで、好ましくは92.5度から95度の範囲のピッチで螺旋羽根16に取り付けられている。図2(c)に示すように刃物15のピッチを93.5度にすることで左右の螺旋体14A,14Bの対応位相の刃物15はスムーズに互いに中間側に寄ってきて石膏ボードを順次互いの間に噛みこむようになる。
【0026】
搬送部20には、破砕部10の螺旋体14A、14Bも含まれ、他に破砕部10の横長の筒状ケーシングの排出口13に受け入れ口22を接続すると共に紙/粉末分離部30の統合された筒状ケーシング31及び円筒状スクリーン35用の受け入れ口32に破片及び石膏粉末を搬送するスクリューコンベヤ21と、該スクリューコンベヤの回転駆動モータM2とが含まれる。本実施例では、コンベヤ5による廃石膏ボードWの投入を容易にするように破砕部10を低く設置しているために低くなっている受け入れ口22から、分離した石膏粉末W2の袋詰めやトラック積み込みを楽にするように高く設置されているために高くなっている紙/粉末分離部30の受け入れ口32にかけてスクリューコンベヤ21は斜めに設置されている。
【0027】
紙/粉末分離部30は、外部の横長筒状ケーシング31と、その内部に間隔をとって固定状態で収容された内部の円筒状スクリーン35と、その内部で回転駆動される分離回転体40と、その回転駆動モータM3と、外部の横長筒状ケーシング31の下部の石膏粉末排出用スクリューコンベヤ38と、その回転駆動モータM4とを有している。外部の横長筒状ケーシング31及び円筒状スクリーン35は、内部点検ができるように上半分を開閉可能に構成されており、また搬送されて来る破片及び石膏粉末の受け入れ口32を一端部に有すると共に他方端部に紙片排出口33を有し、下部に石膏粉末の排出部としてのスクリューコンベヤ38を有している。この外部の筒状ケーシング31内に間隔をとって両端で固定されて収容された円筒状スクリーン35は、一端部に前記の一体的に統合された破片及び石膏粉末の受け入れ口32を有すると共に他方端に前記の一体的に統合された紙片排出口33を有し、1.4mm幅で10cm長さの細長いスリット37を周囲壁36に多数長手方向及び周囲方向に形成している。スリット37は、スクリーン周壁を形成すると共に先端をスクリーン外側に向けた楔状横断面の隣接した多数の横長の棧36の間に形成されており、ぶつかって来る紙片の排出を阻止して石膏粉の外側への排出を促進できるようにしており、詰まり防止構造になっている。乾燥した石膏粉は詰まることがないが、湿度が高くて湿り気がある場合にスリット37に一時的に詰まっても、横長のために次々とぶつかってくる粉末によってどこかが部分的に崩落し、その後は直ぐに詰りの全体が崩落することになる。棧36は、長手方向において、10cm間隔で補強用リング35Aで補強され仕切られている。ケーシング31とスクリーン35との間の間隔は、スリット37から分離されて出てくる石膏粉末を収集する空間を形成している。スリット37は、横長の他に斜めや、周囲方向にも長く形成される。
【0028】
分離回転体40は、円筒状スクリーン35内に回転可能に軸承され、受け入れ口32から紙排出口33へ紙片搬送風を発生する4枚の螺旋羽根42、44と、それらの外辺縁部に取り付けられたゴム板45とを有している。4枚の螺旋羽根の内の180度ピッチの2枚の螺旋羽根42は受け入れ口側に寄っており、また他の180度ピッチの2枚の螺旋羽根44は、紙排出口側に寄っている。回転駆動の可変速モータM3は、約10m/秒から約30m/秒の周速度で、好ましくは15m/秒の周速度で螺旋羽根42、44を回転駆動し、スクリーン35内で分離した紙片を搬送する搬送風を発生させると共に、受け入れ口側に寄った螺旋羽根42が受け入れた破片及び石膏粉末を奥の紙片排出口側に搬送する方向に回転させる。螺旋羽根42、44によって加えられる遠心力によって破片及び石膏粉末は、円筒状スクリーン35の内側に当てられて更に破砕され、石膏粉末がスリット37を通してスクリーンの外に分離し行き、残った紙片が搬送風によって紙排出口33に搬送されて分離して行く。分離した石膏粉末W2は、そのまま外部の横長筒状ケーシング31の下部から落下排出させることもできるが、前記搬送風の影響で舞い上がるのを防ぐためにスクリューコンベヤ38でまとめて強制排出するようにしている。紙排出口側に寄っている螺旋羽根44の受け入れ口側には、受け入れた紙片と石膏粉末を撹拌して散らす散らし棒47と、それらを取り込む小さな三角羽根46が設けられている。
【0029】
螺旋羽根42、44には、各々複数の開口43が形成されており、それら開口43によって軽量化が計られると共に破片を解して事前に紙片から石膏粉末を分離することができる。更に、突起も螺旋羽根に形成され、破片を解して事前に紙片から粉末を分離することができる。螺旋羽根の先端部に取り付けられたゴム板45は、万が一スクリーン35の内面に接触した場合にスクリーンを傷めないように防護するためのものである。
【0030】
前記代表実施例の廃石膏ボードのリサイクル装置1の他に、搬送手段のスクリューコンベヤ21を省いて、破砕部10の排出口13と紙/粉末分離部30の受け入れ口32とをほぼ同じ高さにして、それらを直接接続した構成も採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明に係る代表的な実施例の廃石膏ボードのリサイクル装置の全体を説明する概略縦断面図であり、(b)は破砕部の側面図である。
【図2】(a)は同実施例の破砕部の螺旋体の正面図であり、(b)は螺旋体の横断面図であり、(c)は螺旋体の斜視図である。
【図3】(a)は同実施例の破砕部の第三部の縦断面図であり、(b)はその側面図である。
【図4】本リサイクル装置の紙/粉末分離手段の筒状スクリーンの部分拡大図である。
【図5】本リサイクル装置の紙/粉末分離手段の回転体の斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 廃石膏ボードのリサイクル装置
10 破砕手段
11 筒状ケーシング
11a 条材固定刃
11b 櫛歯固定刃
12 投入口
12a 蓋
13 排出口
14A、B 螺旋体
15 刃物
16 螺旋羽根
17 軸
19a 錘
19b 邪魔板
20 搬送手段
21 スクリューコンベヤ
22 受け入れ口
30 紙/粉末分離手段
31 筒状ケーシング
32 受け入れ口
33 紙片排出口
35 筒状スクリーン
36 周囲壁
37 スリット
38 石膏粉末の排出部
40 分離回転体
42 螺旋羽根(受け入れ口側螺旋羽根)
43 開口
44 螺旋羽根(紙排出口側螺旋羽根)
A 筒状ケーシングの第一部
B 筒状ケーシングの第二部
C 筒状ケーシングの第三部
A‘ 螺旋体の第一部分
B‘ 螺旋体の第二部分
C‘ 螺旋体の第三部分
M1 破砕手段の駆動手段
M2 スクリューコンベヤの回転駆動手段
SW スイッチ
W 紙付きの廃石膏ボード
W1 紙片
W2 石膏粉末



【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口から投入された紙付きの廃石膏ボードを破砕する破砕手段と、
破砕された廃石膏ボードの破片及び石膏粉末を紙/粉末分離手段へ搬送する搬送手段と、
搬送されてくる破片及び石膏粉末を紙片と石膏粉末とに分離する紙/粉末分離手段とを有しており、
前記紙/粉末分離手段が、一端部に破片及び石膏粉末の受け入れ口を有すると共に他方端部に紙片排出口を有し、下部に石膏粉末の排出部を有した筒状ケーシングと、該筒状ケーシング内に収容され、一端部に破片及び石膏粉末の受け入れ口を有すると共に他方端部に紙片排出口を有し、スリットを周囲壁に多数形成した筒状スクリーンと、該筒状スクリーン内に回転可能に軸承され、紙片搬送風を発生する螺旋羽根を有した分離回転体と、該分離回転体を回転させる駆動手段とを有しており、螺旋羽根の回転による遠心力によって破片及び石膏粉末を筒状スクリーンに当てて破片を更に破砕して石膏粉末をスリットに通してスクリーンの外に分離し、搬送風によって紙片を排出口に搬送して分離して行くことを特徴とする廃石膏ボードのリサイクル装置。
【請求項2】
前記破砕手段は、上部に廃石膏ボードの投入口を有すると共に一方端部に排出口を有した横長の筒状ケーシングと、その内部に一対の間で上から下に噛み込む方向に回転駆動され、投入された廃石膏ボードを破片に破砕すると共に破片及び石膏粉末を前記排出口に搬送する螺旋体と、該螺旋体を回転駆動する駆動手段とを有しており、
前記筒状ケーシングは、その内面に長手方向に延びた複数の条材を周方向に固定刃として隔設した第一部と、下流側の内面に内側に突出した櫛歯を長手方向に複数固定刃として隔設した第二部と、更に下流側に設けられて第一部と第二部で破砕されて生じた破片及び石膏粉末を収集する第三部とから構成されており、
前記螺旋体は、前記筒状ケーシングの第一部に対応してそこの条材固定刃と干渉しないように周囲に複数の刃物を突設した第一部分と、前記筒状ケーシングの第二部に対応してそこの櫛歯固定刃と干渉しないように螺旋羽根を有した第二部分と、前記筒状ケーシングの第三部に対応して固定刃も螺旋羽根も無い軸のみの第三部分とから構成されている請求項1記載のリサイクル装置。
【請求項3】
前記筒状ケーシングの第三部は、前記筒状ケーシングの第二部との連通開口部に錘によって閉じるように付勢された邪魔板を内部に有している請求項2記載のリサイクル装置。
【請求項4】
前記螺旋体の第一部分の刃物は、同じ位相に揃わないように90度よりも若干大きいピッチで、好ましくは92.5度から95度の範囲のピッチで螺旋羽根に取り付けられている請求項2記載のリサイクル装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、前記破砕手段の前記螺旋体から構成されている請求項1記載のリサイクル装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、前記破砕手段の前記螺旋体と、前記横長の筒状ケーシングの一方端部の排出口に受け入れ口を接続すると共に前記紙/粉末分離手段の筒状ケーシング及び筒状スクリーンの受け入れ口に破片及び石膏粉末を搬送するスクリューコンベヤと、該スクリューコンベヤの回転駆動手段とを有している請求項1記載のリサイクル装置。
【請求項7】
前記紙/粉末分離手段の回転体は、約10m/秒から約30m/秒の周速度で回転する複数の螺旋羽根を有しており、それら螺旋羽根は、交互に受け入れ口側と紙排出口側にずれて配置されている請求項1記載のリサイクル装置。
【請求項8】
前記大螺旋羽根は、各々複数の開口及び/突起を有している請求項5記載のリサイクル装置。
【請求項9】
前記紙/粉末分離手段の石膏粉末の排出部は、スクリューコンベヤから構成されている請求項1記載のリサイクル装置。
【請求項10】
前記投入口は、開閉可能な蓋を有しており、該蓋の開閉をスイッチで検出して、該蓋の開放時には少なくとも前記破砕手段の運転を停止し、該蓋の閉鎖時に本リサイクル装置の運転が可能になるように構成されている請求項1記載のリサイクル装置。
【請求項11】
前記破砕手段の一対の螺旋体は、互いに干渉しないように離れて配置されており、また各々個別の可逆転の駆動手段によって回転駆動され、所定の回転抵抗を受けると所定回転数だけ逆転できるように構成されている請求項2記載のリサイクル装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−245023(P2007−245023A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72746(P2006−72746)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】