建屋管理装置
【課題】 外部からの侵入に対して、セキュリティレベルの高い建屋を実現するための、建屋管理装置を得る。
【解決手段】 許可された建屋の利用者にICタグを携帯させ、建屋内の複数の監視ポイントでICタグを読取る。監視ポイントで、ICタグを携帯しないものを不審被疑者と判断する。また、ICタグに記載された情報に対応して、セキュリティレベルを変え、一時訪問者の行動範囲を規制する。
【解決手段】 許可された建屋の利用者にICタグを携帯させ、建屋内の複数の監視ポイントでICタグを読取る。監視ポイントで、ICタグを携帯しないものを不審被疑者と判断する。また、ICタグに記載された情報に対応して、セキュリティレベルを変え、一時訪問者の行動範囲を規制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建屋管理装置に係り、特にセキュリティに配慮した建屋管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の犯罪件数増加から、集合住宅ではエントランスのドアを昼夜を問わず閉じた状態にしておき、エントランス外部の端末で開放操作(部屋番号と暗証番号の入力、鍵による開錠操作等)をして、一定時間エントランスドアを開け、集合住宅の共有部分に入ることが、一般的になっている。しかしながら、住人の中には高齢者もいることから、エントランスドアの開放時間は、20秒程度必要であり、この時間中に、開放操作をした住人の後から、住人を装った不審者が侵入することがある。集合住宅内の住居への来客は、エントランス外部の端末かで部屋番号を入力し、住居内の端末からエントランスドアを開ける。宅配便業者は、ドアが開いている間にエントランス内に入る必要がある。このため、複数の住居に配達する場合も、最初に在宅が確認されたときに、全ての配達先への荷物を持って、エントランスに入る不便がある。
また、オフィスビル、倉庫等でも、セキュリティレベルを上げる要望が強い。
【0003】
上述した不審者の監視について、特許文献1には、個別住宅の玄関ドアの開閉情報と集合住宅のエントランスの開放要求情報とに基づいて、通路で検出した人物が不審者か否かを判定する集合住宅の不審者監視装置が記載されている。
【0004】
一方、主に物流管理に使われるICタグは、情報を記録するICチップと無線通信用のアンテナを組み合わせた装置であり、アンテナで受信した電波のエネルギで、情報をICタグ読取装置に送信する。非特許文献1には、ICタグに関する記事が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−029925号公報
【非特許文献1】「特集ICタグ35の疑問」、日経コンピュータ、日経BP社、2004年10月4日、pp52−77
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の不審者監視装置では、正規な手続きによりエントランスドアを開けて共有部分に入った人に続けて侵入した不審者を、監視時間の設定によっては検出できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、許可された建屋の利用者にICタグを携帯させ、建屋内の複数の監視ポイントでICタグを読取る。監視ポイントで、ICタグを携帯しない者、ICタグ情報が異常な者を不審被疑者と判断する。また、ICタグに記載された情報に対応して、セキュリティレベルを変え、一時訪問者の行動範囲を規制する。
【発明の効果】
【0008】
本発明を適用することによって、不審者による建屋への侵入を難しくし、仮に不審者が侵入した場合も行動を規制し、不審者の存在を通報することが可能である。また、一時許可を受けて建屋に入った者の行動を規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態を、実施例を用いて図面を参照しながら説明する。なお、実施例では建屋として集合住宅について説明するが、本発明の適用範囲は集合住宅に限られず、オフィスビル、倉庫等いかなる形態の建屋にも適用可能である。この場合、実施例の住人は、オフィスビル・倉庫に勤務する人にあたる。
【実施例1】
【0010】
本発明の実施例1を、図1ないし図7を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の実施例を説明する建屋管理装置のブロック図である。図2は、本発明の実施例を説明するシステム管理部のブロック図である。図3は、本発明の実施例を説明するICタグデータベースの構成図である。図4は、本発明の実施例1を説明するエントランス制御部のブロック図である。図5は、本発明の実施例1を説明するICタグ発行装置の正面図である。図6は、本発明の実施例1を説明する住人端末の正面図である。図7は、本発明の実施例1を説明するICタグ回収装置の正面図である。
【0011】
図1に戻って、本実施例の集合住宅用建屋管理装置100は、ネットワーク4にそれぞれ接続したシステム管理部5と、エントランス制御部2と、複数の不審者監視部と、エレベータの数だけ設けたエレベータ停止階制御部6と、住居数だけ設けた住人端末3とから構成されている。
【0012】
図2に示すシステム管理部5は、バスによって接続した中央処理装置51とメモリ52と、図示しないインターフェースを介して接続されたハードディスク53と、網接続部(Network Interface Card)54と、キーボード55と、表示部56と、モデム57と、図示しないプリンタとで構成されている。ネットワーク4とは、網接続部54とで接続され、外部の警備会社通報システムとは、モデム57とで接続されている。
【0013】
ハードディスク53には、ICタグ発行管理プログラム531、エントランス管理プログラム532、不審者管理プログラム533、エレベータ停止階管理プログラム534、ICタグデータベース535が記憶されている。これらのプログラムとデータベースは、システム管理部5の電源ONと同時にメモリ52に書き込まれ、プログラムの実行、データベースの更新が行われる。
【0014】
ICタグデータベース535の構成について、図3を用いて説明する。ID No 70のコラムには、ICタグのIDを記録する。住人/来客71のコラムには、ICタグの保持者が、住人(Resident)であるか来客(Guest)であるかを、RまたはGを記録して区別する。停止階72のコラムには、エントランス階以外の立ち入り階を記録する。具体的には、住人であれば居住階であり、来客であれば訪問階を記録する。有効期限73のコラムには、ICタグの有効期限を記録する。住人であれば別途定めた長期間であり、来客であればICタグ発行から20分または3時間である。立入許可者74は、来客に立ち入り許可を与えた部屋番号である。立入許可者74の情報は、来客用の一時許可ICタグが返却されない場合の、課金先情報でもある。
【0015】
図4を用いてエントランス制御部2の構成を説明する。エントランス制御端末20には、エントランスドアの外側のICタグ発行装置24とICタグ読取装置12-1と、エントランスドアの内側のICタグ回収装置23とICタグ読取装置12-2と、ドア開閉部21とが接続されている。なお、エントランス制御端末24の構成は、図2に示したシステム管理部と概ね同じである。
【0016】
図5ないし図7を用いて、ICタグ発行装置24、住人端末3、ICタグ回収装置23の外観と機能を説明する。
集合住宅のエントランスドアは、セキュリティのため、常に鍵がかかった状態である。来客は、図5のICタグ発行装置24の受話器77を取り上げ(オフフック)訪問先の部屋番号をテンキー76に入力し、表示部75に表示された部屋番号を確認のうえ呼び出しボタンを押す。呼出しを受けた住人は、図6の住人端末3の受話器32を取り上げ、図5のカメラ78が撮影した来客の顔をモニタ31で確認する。会話と顔確認によって、正当な訪問者と判断した住人は、ICタグ発行ボタン33または34を押すことによって、図5のスロット79からICタグカードが発行される。ここで、住人は来客が宅配便業者なら有効期間20分のICタグ発行ボタン33を押し、例えば子供の遊び相手なら有効期間3時間のICタグ発行ボタン34を押下げる。システム管理部5は、このICタグ発行ボタンの押下によって、発行したICタグのIDの有効期限等をICタグデータベース535に書き込む。
【0017】
宅配便の配達業者は、集合住宅内の複数の住人に荷物を届けるとき、エントランスの外で、まとめて住人の在/不在を確認する。したがって、配達業者によっては、複数のICタグを持っても良い。このため、ICタグ発行装置24は、ICタグ読取装置12-1の検出エリア外に設置する。
【0018】
来客は、発行されたICタグカードを保持した状態で、ICタグ読取装置12-1の読取りエリアに入れば、エントランス制御端末20からの参照要求により、ICタグデータベース535を参照し、有効期限内であることを確認して、ドア開閉部21を制御して、ドアを開ける。また、ICタグ読取装置12-2の読取りエリアに入ったことを確認して、ドアを閉める。このようにして、ICタグの保持者が、歩行速度の速い若者ならドアの開閉時間を短く、歩行速度の遅い高齢者ならドアの開閉時間を長くできる。なお、UHF帯のICタグを用いれば、ICタグの読取りエリアは、読取装置から8m程度である。
【0019】
集合住宅の居住者(住人)は、常時許可用のICタグを支給されているので、エントランスドアが閉じている状態で、ICタグ読取装置12-1の読取りエリアに入ればドアが開き、ICタグ読取装置12-2の読取りエリアに入ればドアが閉まる。逆に、ドアが閉じている状態で、常時許可用のICタグ保持者が、ICタグ読取装置12-2の読取りエリアに入ればドアが開き、エントランスドア外のICタグ読取装置12-1の読取りエリアに入ればドアが閉まる。つまり、住人にとってはエントランスドアは自動ドアである。自動ドアの安全のため、ドアを閉じる場合は、自動ドアの近傍を図示しない赤外線センサで監視し、人や小動物がいるときには、ドアは閉じないことはいうまでも無い。
【0020】
一方、一時許可用のICタグを保持した来客の集合住宅からの退出については、自動でドアを開けず、図7に示すICタグ回収装置23の表示パネル80に記載されているように、来客カード(一時許可用ICタグカード)の返却を求め、スロット81に挿入された一時許可用ICタグをICタグ回収装置23内部で読取り、ID情報をシステム管理部5に送信する。システム管理部5は、ICタグデータベース535について、回収したICタグのIDの停止階情報、有効期限情報、立入許可者情報をリセットする。システム管理部5は、エントランス制御部2に対し、ドアを開ける指示を出すことで、ドアを開け、一定時間後にドアを閉める。なお、宅配便業者のように、複数の住居を訪問する場合、複数の一時許可用ICタグを持つ場合がある。この場合は、ICタグ読取装置12-2の読取りエリアに、一時許可用ICタグがある限り、ドアを開けず、ICタグの回収を要求する。図7の受話器82は、操作が分からない来客用に設けたもので、警備会社に接続されている。ICタグの発行を受けずに建屋内に入った者は、この受話器82で警備会社に連絡して、ドアを開けてもらうことができる。
【0021】
住人が、ICタグを落としてしまうことも考えられる。この場合は、ICタグ発行装置で部屋番号と暗証番号を入力し、一時許可用のICタグを受け取り、後日、常時許可用のICタグに切り換える。この際、落としたICタグの有効期限を、紛失した日とすることで、無効とする。また、一時許可用ICタグカードを保有する来客が、住人の外出と同時にICタグカードを返却することなく、建屋の外に出るケースもある。この場合は、図3で当該来客に立ち入り許可を与えた立入許可74の部屋にICタグカード費用を課金する。課金された住人は、システム管理部5が作成するドア開閉のログから来客を特定し、ICタグの返却を受け、返金してもらうことができる。
上述した実施例では、ICタグ回収装置23は内部にICタグ読取り機能を有し、しかもICタグ読取装置12-2の読取りエリアに設けているので、両者を一体としたICタグ読取・回収装置とすることができる。このICタグ読取・回収装置は、電波を遮蔽する筐体で覆い、内部用アンテナと外部用アンテナとをタイムシェアして切り換えればよい。また、ICタグ発行装置24とICタグ回収装置23を一体化して、ドアを設けた壁を貫通する形で設置しても良い。このように一体化すれば、ICタグカードを回収装置から発行装置に還流できる。
【0022】
実施例1によれば、住人にとっては自動ドアとまったく同様に通行でき、しかも外部からの進入に対するセキュリティに優れた建屋管理装置を得ることができる。また、宅配便業者にとってもエントランスの外で、配達先の在/不在が確認でき、余分な荷物を持って住居を回る必要が無い。さらに、出入り回数の多い住人については、ドアの開時間を最小にすることができ、住人に追随して立ち入る不審者の進入機会を減らしている。
【実施例2】
【0023】
本発明の実施例2について図1ないし図3、図8および図9を用いて説明する。ここで、図8は、本発明の実施例2の不審者監視部のブロック図である。また、図9は、不審者判定のフロー図である。
【0024】
図8において、図1のネットワーク4とは、不審者監視制御端末14が接続されている。不審者監視制御端末14には、人感センサ11と、ICタグ読取装置12と、監視カメラ13とが接続され、それぞれのセンス方向は監視エリア15に向けられている。監視エリアは、各階のエレベータ前、非常階段への出入り口等である。ここで、人感センサ11とは、人の体から発する赤外線を感知する赤外線センサである。
【0025】
監視カメラ13の捕らえた映像は、不審者監視制御端末14の図示しないハードディスクに蓄えられ、一定期間保存された後、上書きされる。なお、図8では、人感センサ11の監視エリアと、ICタグ読取装置12の監視エリアと、監視カメラ13の監視エリアは、同一に描いているが、ICタグ読取装置12の監視エリアは、人感センサ11の監視エリアより広く設定して誤検出を防止する必要がある。監視カメラ13の監視エリアは、さらに広く設定しておくことが好ましい。なお、図8では監視エリアを平面で示しているが、監視領域(監視空間)は立体である。
【0026】
不審者監視の手順について、図9を用いて説明する。図8の監視エリア15に人が立ち入ると、人感センサ11が赤外線を検出する。この検出が0.5秒程度継続すると、ICタグ読取装置12が、ICタグのIDを読取りを開始する。ICタグのIDが読取れない場合、不審被疑者検出と判断する(S201)。続いて、読取ったIDを、図1のシステム管理部5に送り、ICタグデータベース535と突合せ、住人または来客で無い場合、不審被疑者検出と判断する(S202)。また、来客の場合許可フロア(許可階)か確認し、許可フロアでないとき、不審被疑者検出と判断する(S203)さらに、ICタグの有効期限の確認を行い、期限を経過している場合、不審被疑者検出と判断する(S204)。なお、人感センサ11の検出ディレイ0.5秒は、鳥等による誤検出防止のためである。
【0027】
不審被疑者検出と判断した不審者監視部1は、不審被疑者検出情報と、人感センサ11が人を検出している時間範囲の前後10秒程度の時間範囲の、監視カメラ13が捕らえた映像とを、システム管理部1に送信し、図2のモデム57を経由して、集合住宅名称、不審者検出場所を加えて警備会社の通報システムに転送する。警備会社では、送信された映像により、不審者の最終判断を行う。また、必要に応じて、警備担当者を当該集合住宅に派遣・調査させる。
【0028】
なお、ストーカ行為の被害者が集合住宅に住んでいない限り、不審者が進入することは、事実上少ないと思われる。ICタグを保持しない不審被疑者についても、大半はICタグの持参を忘れた住人と考えられる。したがって、図示しないスピーカを不審者監視制御端末14に備え、検出した不審被疑者に「住居から出る時には、住人カードをお忘れなく」等の案内を送出することも、セキュリティ意識高揚に有効である。この案内は、真の不審者にとっては警告にも等しい。
【0029】
また、IDカード情報が異常なときには「カード情報が異常です」、許可階またはエントランス階以外で一時許可ICタグを検出した場合には「ここは許可階ではありません」、有効期限の切れたICタグを検出した場合には「有効期限が切れています」等の、検知レベルに応じた案内を検出エリアに送出して、不審被疑者に聞かせることも有効である。
【0030】
本実施例によればICタグを保持しているかいないかで、住人/来客とそれ以外の人を区別でき、不審者監視に有効な建屋管理装置を得ることができる。また、ICタグの持参を忘れた住人にICタグ持参を思い出させる効果もある。さらに、検出レベルに応じた案内を不審被疑者に聞かせることができる。
【実施例3】
【0031】
本発明の実施例3について図1ないし図3、図10および図11を用いて説明する。ここで、図10は、本発明の実施例3のエレベータ停止階制御部のブロックとエレベータ制御部を説明する図である。また、図11は、エレベータの操作パネルの正面図である。
【0032】
図10において図1のネットワーク4とは、エレベータ停止階制御端末61が接続されている。エレベータ停止階制御端末61には、ICタグ読取装置12と、監視カメラ13とが接続され、それぞれエレベータ室内62全域をセンス域とする。エレベータ停止階端末61は、エレベータ制御部8にも接続され、エレベータの停止階および停止しない階の情報を渡す。監視カメラ13の捕らえた映像は、エレベータ停止階制御端末61の図示しないハードディスクに蓄えられ、一定期間保存された後、上書きされる。
【0033】
図11に示すエレベータの操作パネルの概観図である。操作パネル9には、通常の停止階ボタン91と開継続ボタン92と閉継続ボタン93以外に、誤操作防止用の割り蓋付非常ボタン94、連絡ボタン95、リセットボタン96、再セットボタン97を設けている。
【0034】
本実施例の、建屋管理装置では、エントランス階以外のエレベータの停止階ボタンはデフォルトでは無効状態(押しても点灯せず、エレベータも動かない)とする。エントランス階に停止したエレベータ室内62に、常時許可用ICタグを保持した住人が入るとICタグ読取装置12がICタグのIDを読取り、読取ったID(ABCD)を、図1のシステム管理部5に送り、ICタグデータベース535と突合せ、6階の住人であることを、エレベータ停止階制御端末61に知らせる。エレベータ停止階制御端末61は、エレベータ制御部8から現在の停止階がエントランス階であることを知り、エレベータ制御部8に6階に停止し、その他の停止階ボタン91も有効であるとの設定を行う。すなわち、住人は停止階ボタンを押すことなく居住階に移動できる。逆に、この住人が6階からエレベータに乗った場合、同様の手順を踏み、現在の停止階が6階であることから、エントランス階にエレベータを移動する。なお、その他の停止階ボタン91も有効であるので他の階にも移動できる。
【0035】
この住人が、例えば3階からエレベータに乗った場合、エレベータ前の呼び出しボタンの方向で移動する階を判断する。また、この住人が8階からエレベータに乗った場合、6階とエントランス階とに自動で止まる。6階に止まりたくない場合は、リセットボタン96を押すことによって、停止階情報をリセットする。住人は、この後停止階ボタンを押してエントランス階に直接停止させることができる。
【0036】
エントランス階に停止したエレベータ室内62に、一時許可用ICタグを保持したが入るとICタグ読取装置12がICタグのIDを読取り、読取ったID(EFGH)を、図1システム管理部5に送り、ICタグデータベース535と突合せ、8階への来客であることを、エレベータ停止階制御端末61に知らせる。エレベータ停止階制御端末61は、エレベータ制御部8から現在の停止階がエントランス階であることを知り、エレベータ制御部8に8階に停止しする設定を行う。このとき、停止階ボタン91はデフォルトの無効なので、この来客は8階とエントランス階とにしか移動できない。もちろん、住人と同時にエレベータに乗り合わせた場合、停止階ボタン91は有効なので、どの階で降りることも可能である。また、非常階段での移動も可能であるが、不要な階へ移動させない抑止力が働く。
【0037】
配達業者によっては、複数の一時許可用ICタグを持っても良いことは、これまで説明した通りである。この場合、業者は下の階から順に配達して行けばよい。しかし、配達が終わって上の階から降りる場合、それまで配達した階に一旦止まる設定になっている。この場合、リセットボタン96を押した後、エントランス階のボタンを押して、移動する。
【0038】
なお、再セットボタン93は、誤ってリセットボタン92を押した場合の、停止階再設定(ICタグ再読み込み)に用いる。
最後に、連絡ボタン95はエレベータ保守会社への連絡用に用い、非常ボタン94は警備会社へ連絡する(ともに図示しないマイクとスピーカを用いる。)。後者の場合、実施例2と同様に非常ボタン94を押す10秒前程度からの監視カメラ13の画像を警備会社に転送する。
【0039】
本実施例に拠れば、エレベータのユーザは行く先ボタンを押す必要も無く、スムーズにエレベータに乗り込める。集合住宅は同じ玄関の外観であり、酩酊者による自宅間違えが散見される。本実施例では、この自宅間違えという迷惑行為を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例を説明する建屋管理装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施例を説明するシステム管理部のブロック図である。
【図3】本発明の実施例を説明するICタグデータベースの構成図である。
【図4】本発明の実施例1を説明するエントランス制御部のブロック図である。
【図5】本発明の実施例1を説明するICタグ発行装置の正面図である。
【図6】本発明の実施例1を説明する住人端末の正面図である。
【図7】本発明の実施例1を説明するICタグ回収装置の正面図である。
【図8】本発明の実施例2の不審者監視部のブロック図である。
【図9】本発明の実施例2の不審者判定のフロー図である。
【図10】本発明の実施例3のエレベータ停止階制御部のブロックとエレベータ制御部を説明する図である。
【図11】本発明の実施例3のエレベータの操作パネルの正面図である。
【符号の説明】
【0041】
1…不審者監視部、2…エントランス制御部、3…住人端末、4…ネットワーク、5…システム管理部、6…エレベータ停止階制御部、8…エレベータ制御部、9…エレベータ・パネル、11…人感センサ、12…ICタグ読取装置、13…監視カメラ、14…不審者監視制御端末、15…監視エリア、20…エントランス制御端末、21…ドア開閉部、23…ICタグ回収装置、24…ICタグ発行装置、31…モニタ、32…受話器、33…ICタグ発行ボタン(短時間)、34…ICタグ発行ボタン(長時間)、51…中央処理装置、52…メモリ、53…ハードディスク、54…網接続部、55…キーボード、56…表示部、57…モデム、61…エレベータ停止階制御端末、70…ID Noコラム、71…住人/来客コラム、72…停止階コラム、73…有効期限コラム、74…立入許可者コラム、75…表示部、76…テンキー、77…受話器、78…カメラ、79…ICカード発行スロット、80…表示パネル、81…ICカード回収スロット、82…受話器、91…停止階ボタン、92…開継続ボタン、93…閉継続ボタン、94…非常ボタン、95…連絡ボタン、96…リセットボタン、97…再セットボタン、100…建屋管理装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は建屋管理装置に係り、特にセキュリティに配慮した建屋管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の犯罪件数増加から、集合住宅ではエントランスのドアを昼夜を問わず閉じた状態にしておき、エントランス外部の端末で開放操作(部屋番号と暗証番号の入力、鍵による開錠操作等)をして、一定時間エントランスドアを開け、集合住宅の共有部分に入ることが、一般的になっている。しかしながら、住人の中には高齢者もいることから、エントランスドアの開放時間は、20秒程度必要であり、この時間中に、開放操作をした住人の後から、住人を装った不審者が侵入することがある。集合住宅内の住居への来客は、エントランス外部の端末かで部屋番号を入力し、住居内の端末からエントランスドアを開ける。宅配便業者は、ドアが開いている間にエントランス内に入る必要がある。このため、複数の住居に配達する場合も、最初に在宅が確認されたときに、全ての配達先への荷物を持って、エントランスに入る不便がある。
また、オフィスビル、倉庫等でも、セキュリティレベルを上げる要望が強い。
【0003】
上述した不審者の監視について、特許文献1には、個別住宅の玄関ドアの開閉情報と集合住宅のエントランスの開放要求情報とに基づいて、通路で検出した人物が不審者か否かを判定する集合住宅の不審者監視装置が記載されている。
【0004】
一方、主に物流管理に使われるICタグは、情報を記録するICチップと無線通信用のアンテナを組み合わせた装置であり、アンテナで受信した電波のエネルギで、情報をICタグ読取装置に送信する。非特許文献1には、ICタグに関する記事が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−029925号公報
【非特許文献1】「特集ICタグ35の疑問」、日経コンピュータ、日経BP社、2004年10月4日、pp52−77
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の不審者監視装置では、正規な手続きによりエントランスドアを開けて共有部分に入った人に続けて侵入した不審者を、監視時間の設定によっては検出できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、許可された建屋の利用者にICタグを携帯させ、建屋内の複数の監視ポイントでICタグを読取る。監視ポイントで、ICタグを携帯しない者、ICタグ情報が異常な者を不審被疑者と判断する。また、ICタグに記載された情報に対応して、セキュリティレベルを変え、一時訪問者の行動範囲を規制する。
【発明の効果】
【0008】
本発明を適用することによって、不審者による建屋への侵入を難しくし、仮に不審者が侵入した場合も行動を規制し、不審者の存在を通報することが可能である。また、一時許可を受けて建屋に入った者の行動を規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態を、実施例を用いて図面を参照しながら説明する。なお、実施例では建屋として集合住宅について説明するが、本発明の適用範囲は集合住宅に限られず、オフィスビル、倉庫等いかなる形態の建屋にも適用可能である。この場合、実施例の住人は、オフィスビル・倉庫に勤務する人にあたる。
【実施例1】
【0010】
本発明の実施例1を、図1ないし図7を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の実施例を説明する建屋管理装置のブロック図である。図2は、本発明の実施例を説明するシステム管理部のブロック図である。図3は、本発明の実施例を説明するICタグデータベースの構成図である。図4は、本発明の実施例1を説明するエントランス制御部のブロック図である。図5は、本発明の実施例1を説明するICタグ発行装置の正面図である。図6は、本発明の実施例1を説明する住人端末の正面図である。図7は、本発明の実施例1を説明するICタグ回収装置の正面図である。
【0011】
図1に戻って、本実施例の集合住宅用建屋管理装置100は、ネットワーク4にそれぞれ接続したシステム管理部5と、エントランス制御部2と、複数の不審者監視部と、エレベータの数だけ設けたエレベータ停止階制御部6と、住居数だけ設けた住人端末3とから構成されている。
【0012】
図2に示すシステム管理部5は、バスによって接続した中央処理装置51とメモリ52と、図示しないインターフェースを介して接続されたハードディスク53と、網接続部(Network Interface Card)54と、キーボード55と、表示部56と、モデム57と、図示しないプリンタとで構成されている。ネットワーク4とは、網接続部54とで接続され、外部の警備会社通報システムとは、モデム57とで接続されている。
【0013】
ハードディスク53には、ICタグ発行管理プログラム531、エントランス管理プログラム532、不審者管理プログラム533、エレベータ停止階管理プログラム534、ICタグデータベース535が記憶されている。これらのプログラムとデータベースは、システム管理部5の電源ONと同時にメモリ52に書き込まれ、プログラムの実行、データベースの更新が行われる。
【0014】
ICタグデータベース535の構成について、図3を用いて説明する。ID No 70のコラムには、ICタグのIDを記録する。住人/来客71のコラムには、ICタグの保持者が、住人(Resident)であるか来客(Guest)であるかを、RまたはGを記録して区別する。停止階72のコラムには、エントランス階以外の立ち入り階を記録する。具体的には、住人であれば居住階であり、来客であれば訪問階を記録する。有効期限73のコラムには、ICタグの有効期限を記録する。住人であれば別途定めた長期間であり、来客であればICタグ発行から20分または3時間である。立入許可者74は、来客に立ち入り許可を与えた部屋番号である。立入許可者74の情報は、来客用の一時許可ICタグが返却されない場合の、課金先情報でもある。
【0015】
図4を用いてエントランス制御部2の構成を説明する。エントランス制御端末20には、エントランスドアの外側のICタグ発行装置24とICタグ読取装置12-1と、エントランスドアの内側のICタグ回収装置23とICタグ読取装置12-2と、ドア開閉部21とが接続されている。なお、エントランス制御端末24の構成は、図2に示したシステム管理部と概ね同じである。
【0016】
図5ないし図7を用いて、ICタグ発行装置24、住人端末3、ICタグ回収装置23の外観と機能を説明する。
集合住宅のエントランスドアは、セキュリティのため、常に鍵がかかった状態である。来客は、図5のICタグ発行装置24の受話器77を取り上げ(オフフック)訪問先の部屋番号をテンキー76に入力し、表示部75に表示された部屋番号を確認のうえ呼び出しボタンを押す。呼出しを受けた住人は、図6の住人端末3の受話器32を取り上げ、図5のカメラ78が撮影した来客の顔をモニタ31で確認する。会話と顔確認によって、正当な訪問者と判断した住人は、ICタグ発行ボタン33または34を押すことによって、図5のスロット79からICタグカードが発行される。ここで、住人は来客が宅配便業者なら有効期間20分のICタグ発行ボタン33を押し、例えば子供の遊び相手なら有効期間3時間のICタグ発行ボタン34を押下げる。システム管理部5は、このICタグ発行ボタンの押下によって、発行したICタグのIDの有効期限等をICタグデータベース535に書き込む。
【0017】
宅配便の配達業者は、集合住宅内の複数の住人に荷物を届けるとき、エントランスの外で、まとめて住人の在/不在を確認する。したがって、配達業者によっては、複数のICタグを持っても良い。このため、ICタグ発行装置24は、ICタグ読取装置12-1の検出エリア外に設置する。
【0018】
来客は、発行されたICタグカードを保持した状態で、ICタグ読取装置12-1の読取りエリアに入れば、エントランス制御端末20からの参照要求により、ICタグデータベース535を参照し、有効期限内であることを確認して、ドア開閉部21を制御して、ドアを開ける。また、ICタグ読取装置12-2の読取りエリアに入ったことを確認して、ドアを閉める。このようにして、ICタグの保持者が、歩行速度の速い若者ならドアの開閉時間を短く、歩行速度の遅い高齢者ならドアの開閉時間を長くできる。なお、UHF帯のICタグを用いれば、ICタグの読取りエリアは、読取装置から8m程度である。
【0019】
集合住宅の居住者(住人)は、常時許可用のICタグを支給されているので、エントランスドアが閉じている状態で、ICタグ読取装置12-1の読取りエリアに入ればドアが開き、ICタグ読取装置12-2の読取りエリアに入ればドアが閉まる。逆に、ドアが閉じている状態で、常時許可用のICタグ保持者が、ICタグ読取装置12-2の読取りエリアに入ればドアが開き、エントランスドア外のICタグ読取装置12-1の読取りエリアに入ればドアが閉まる。つまり、住人にとってはエントランスドアは自動ドアである。自動ドアの安全のため、ドアを閉じる場合は、自動ドアの近傍を図示しない赤外線センサで監視し、人や小動物がいるときには、ドアは閉じないことはいうまでも無い。
【0020】
一方、一時許可用のICタグを保持した来客の集合住宅からの退出については、自動でドアを開けず、図7に示すICタグ回収装置23の表示パネル80に記載されているように、来客カード(一時許可用ICタグカード)の返却を求め、スロット81に挿入された一時許可用ICタグをICタグ回収装置23内部で読取り、ID情報をシステム管理部5に送信する。システム管理部5は、ICタグデータベース535について、回収したICタグのIDの停止階情報、有効期限情報、立入許可者情報をリセットする。システム管理部5は、エントランス制御部2に対し、ドアを開ける指示を出すことで、ドアを開け、一定時間後にドアを閉める。なお、宅配便業者のように、複数の住居を訪問する場合、複数の一時許可用ICタグを持つ場合がある。この場合は、ICタグ読取装置12-2の読取りエリアに、一時許可用ICタグがある限り、ドアを開けず、ICタグの回収を要求する。図7の受話器82は、操作が分からない来客用に設けたもので、警備会社に接続されている。ICタグの発行を受けずに建屋内に入った者は、この受話器82で警備会社に連絡して、ドアを開けてもらうことができる。
【0021】
住人が、ICタグを落としてしまうことも考えられる。この場合は、ICタグ発行装置で部屋番号と暗証番号を入力し、一時許可用のICタグを受け取り、後日、常時許可用のICタグに切り換える。この際、落としたICタグの有効期限を、紛失した日とすることで、無効とする。また、一時許可用ICタグカードを保有する来客が、住人の外出と同時にICタグカードを返却することなく、建屋の外に出るケースもある。この場合は、図3で当該来客に立ち入り許可を与えた立入許可74の部屋にICタグカード費用を課金する。課金された住人は、システム管理部5が作成するドア開閉のログから来客を特定し、ICタグの返却を受け、返金してもらうことができる。
上述した実施例では、ICタグ回収装置23は内部にICタグ読取り機能を有し、しかもICタグ読取装置12-2の読取りエリアに設けているので、両者を一体としたICタグ読取・回収装置とすることができる。このICタグ読取・回収装置は、電波を遮蔽する筐体で覆い、内部用アンテナと外部用アンテナとをタイムシェアして切り換えればよい。また、ICタグ発行装置24とICタグ回収装置23を一体化して、ドアを設けた壁を貫通する形で設置しても良い。このように一体化すれば、ICタグカードを回収装置から発行装置に還流できる。
【0022】
実施例1によれば、住人にとっては自動ドアとまったく同様に通行でき、しかも外部からの進入に対するセキュリティに優れた建屋管理装置を得ることができる。また、宅配便業者にとってもエントランスの外で、配達先の在/不在が確認でき、余分な荷物を持って住居を回る必要が無い。さらに、出入り回数の多い住人については、ドアの開時間を最小にすることができ、住人に追随して立ち入る不審者の進入機会を減らしている。
【実施例2】
【0023】
本発明の実施例2について図1ないし図3、図8および図9を用いて説明する。ここで、図8は、本発明の実施例2の不審者監視部のブロック図である。また、図9は、不審者判定のフロー図である。
【0024】
図8において、図1のネットワーク4とは、不審者監視制御端末14が接続されている。不審者監視制御端末14には、人感センサ11と、ICタグ読取装置12と、監視カメラ13とが接続され、それぞれのセンス方向は監視エリア15に向けられている。監視エリアは、各階のエレベータ前、非常階段への出入り口等である。ここで、人感センサ11とは、人の体から発する赤外線を感知する赤外線センサである。
【0025】
監視カメラ13の捕らえた映像は、不審者監視制御端末14の図示しないハードディスクに蓄えられ、一定期間保存された後、上書きされる。なお、図8では、人感センサ11の監視エリアと、ICタグ読取装置12の監視エリアと、監視カメラ13の監視エリアは、同一に描いているが、ICタグ読取装置12の監視エリアは、人感センサ11の監視エリアより広く設定して誤検出を防止する必要がある。監視カメラ13の監視エリアは、さらに広く設定しておくことが好ましい。なお、図8では監視エリアを平面で示しているが、監視領域(監視空間)は立体である。
【0026】
不審者監視の手順について、図9を用いて説明する。図8の監視エリア15に人が立ち入ると、人感センサ11が赤外線を検出する。この検出が0.5秒程度継続すると、ICタグ読取装置12が、ICタグのIDを読取りを開始する。ICタグのIDが読取れない場合、不審被疑者検出と判断する(S201)。続いて、読取ったIDを、図1のシステム管理部5に送り、ICタグデータベース535と突合せ、住人または来客で無い場合、不審被疑者検出と判断する(S202)。また、来客の場合許可フロア(許可階)か確認し、許可フロアでないとき、不審被疑者検出と判断する(S203)さらに、ICタグの有効期限の確認を行い、期限を経過している場合、不審被疑者検出と判断する(S204)。なお、人感センサ11の検出ディレイ0.5秒は、鳥等による誤検出防止のためである。
【0027】
不審被疑者検出と判断した不審者監視部1は、不審被疑者検出情報と、人感センサ11が人を検出している時間範囲の前後10秒程度の時間範囲の、監視カメラ13が捕らえた映像とを、システム管理部1に送信し、図2のモデム57を経由して、集合住宅名称、不審者検出場所を加えて警備会社の通報システムに転送する。警備会社では、送信された映像により、不審者の最終判断を行う。また、必要に応じて、警備担当者を当該集合住宅に派遣・調査させる。
【0028】
なお、ストーカ行為の被害者が集合住宅に住んでいない限り、不審者が進入することは、事実上少ないと思われる。ICタグを保持しない不審被疑者についても、大半はICタグの持参を忘れた住人と考えられる。したがって、図示しないスピーカを不審者監視制御端末14に備え、検出した不審被疑者に「住居から出る時には、住人カードをお忘れなく」等の案内を送出することも、セキュリティ意識高揚に有効である。この案内は、真の不審者にとっては警告にも等しい。
【0029】
また、IDカード情報が異常なときには「カード情報が異常です」、許可階またはエントランス階以外で一時許可ICタグを検出した場合には「ここは許可階ではありません」、有効期限の切れたICタグを検出した場合には「有効期限が切れています」等の、検知レベルに応じた案内を検出エリアに送出して、不審被疑者に聞かせることも有効である。
【0030】
本実施例によればICタグを保持しているかいないかで、住人/来客とそれ以外の人を区別でき、不審者監視に有効な建屋管理装置を得ることができる。また、ICタグの持参を忘れた住人にICタグ持参を思い出させる効果もある。さらに、検出レベルに応じた案内を不審被疑者に聞かせることができる。
【実施例3】
【0031】
本発明の実施例3について図1ないし図3、図10および図11を用いて説明する。ここで、図10は、本発明の実施例3のエレベータ停止階制御部のブロックとエレベータ制御部を説明する図である。また、図11は、エレベータの操作パネルの正面図である。
【0032】
図10において図1のネットワーク4とは、エレベータ停止階制御端末61が接続されている。エレベータ停止階制御端末61には、ICタグ読取装置12と、監視カメラ13とが接続され、それぞれエレベータ室内62全域をセンス域とする。エレベータ停止階端末61は、エレベータ制御部8にも接続され、エレベータの停止階および停止しない階の情報を渡す。監視カメラ13の捕らえた映像は、エレベータ停止階制御端末61の図示しないハードディスクに蓄えられ、一定期間保存された後、上書きされる。
【0033】
図11に示すエレベータの操作パネルの概観図である。操作パネル9には、通常の停止階ボタン91と開継続ボタン92と閉継続ボタン93以外に、誤操作防止用の割り蓋付非常ボタン94、連絡ボタン95、リセットボタン96、再セットボタン97を設けている。
【0034】
本実施例の、建屋管理装置では、エントランス階以外のエレベータの停止階ボタンはデフォルトでは無効状態(押しても点灯せず、エレベータも動かない)とする。エントランス階に停止したエレベータ室内62に、常時許可用ICタグを保持した住人が入るとICタグ読取装置12がICタグのIDを読取り、読取ったID(ABCD)を、図1のシステム管理部5に送り、ICタグデータベース535と突合せ、6階の住人であることを、エレベータ停止階制御端末61に知らせる。エレベータ停止階制御端末61は、エレベータ制御部8から現在の停止階がエントランス階であることを知り、エレベータ制御部8に6階に停止し、その他の停止階ボタン91も有効であるとの設定を行う。すなわち、住人は停止階ボタンを押すことなく居住階に移動できる。逆に、この住人が6階からエレベータに乗った場合、同様の手順を踏み、現在の停止階が6階であることから、エントランス階にエレベータを移動する。なお、その他の停止階ボタン91も有効であるので他の階にも移動できる。
【0035】
この住人が、例えば3階からエレベータに乗った場合、エレベータ前の呼び出しボタンの方向で移動する階を判断する。また、この住人が8階からエレベータに乗った場合、6階とエントランス階とに自動で止まる。6階に止まりたくない場合は、リセットボタン96を押すことによって、停止階情報をリセットする。住人は、この後停止階ボタンを押してエントランス階に直接停止させることができる。
【0036】
エントランス階に停止したエレベータ室内62に、一時許可用ICタグを保持したが入るとICタグ読取装置12がICタグのIDを読取り、読取ったID(EFGH)を、図1システム管理部5に送り、ICタグデータベース535と突合せ、8階への来客であることを、エレベータ停止階制御端末61に知らせる。エレベータ停止階制御端末61は、エレベータ制御部8から現在の停止階がエントランス階であることを知り、エレベータ制御部8に8階に停止しする設定を行う。このとき、停止階ボタン91はデフォルトの無効なので、この来客は8階とエントランス階とにしか移動できない。もちろん、住人と同時にエレベータに乗り合わせた場合、停止階ボタン91は有効なので、どの階で降りることも可能である。また、非常階段での移動も可能であるが、不要な階へ移動させない抑止力が働く。
【0037】
配達業者によっては、複数の一時許可用ICタグを持っても良いことは、これまで説明した通りである。この場合、業者は下の階から順に配達して行けばよい。しかし、配達が終わって上の階から降りる場合、それまで配達した階に一旦止まる設定になっている。この場合、リセットボタン96を押した後、エントランス階のボタンを押して、移動する。
【0038】
なお、再セットボタン93は、誤ってリセットボタン92を押した場合の、停止階再設定(ICタグ再読み込み)に用いる。
最後に、連絡ボタン95はエレベータ保守会社への連絡用に用い、非常ボタン94は警備会社へ連絡する(ともに図示しないマイクとスピーカを用いる。)。後者の場合、実施例2と同様に非常ボタン94を押す10秒前程度からの監視カメラ13の画像を警備会社に転送する。
【0039】
本実施例に拠れば、エレベータのユーザは行く先ボタンを押す必要も無く、スムーズにエレベータに乗り込める。集合住宅は同じ玄関の外観であり、酩酊者による自宅間違えが散見される。本実施例では、この自宅間違えという迷惑行為を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例を説明する建屋管理装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施例を説明するシステム管理部のブロック図である。
【図3】本発明の実施例を説明するICタグデータベースの構成図である。
【図4】本発明の実施例1を説明するエントランス制御部のブロック図である。
【図5】本発明の実施例1を説明するICタグ発行装置の正面図である。
【図6】本発明の実施例1を説明する住人端末の正面図である。
【図7】本発明の実施例1を説明するICタグ回収装置の正面図である。
【図8】本発明の実施例2の不審者監視部のブロック図である。
【図9】本発明の実施例2の不審者判定のフロー図である。
【図10】本発明の実施例3のエレベータ停止階制御部のブロックとエレベータ制御部を説明する図である。
【図11】本発明の実施例3のエレベータの操作パネルの正面図である。
【符号の説明】
【0041】
1…不審者監視部、2…エントランス制御部、3…住人端末、4…ネットワーク、5…システム管理部、6…エレベータ停止階制御部、8…エレベータ制御部、9…エレベータ・パネル、11…人感センサ、12…ICタグ読取装置、13…監視カメラ、14…不審者監視制御端末、15…監視エリア、20…エントランス制御端末、21…ドア開閉部、23…ICタグ回収装置、24…ICタグ発行装置、31…モニタ、32…受話器、33…ICタグ発行ボタン(短時間)、34…ICタグ発行ボタン(長時間)、51…中央処理装置、52…メモリ、53…ハードディスク、54…網接続部、55…キーボード、56…表示部、57…モデム、61…エレベータ停止階制御端末、70…ID Noコラム、71…住人/来客コラム、72…停止階コラム、73…有効期限コラム、74…立入許可者コラム、75…表示部、76…テンキー、77…受話器、78…カメラ、79…ICカード発行スロット、80…表示パネル、81…ICカード回収スロット、82…受話器、91…停止階ボタン、92…開継続ボタン、93…閉継続ボタン、94…非常ボタン、95…連絡ボタン、96…リセットボタン、97…再セットボタン、100…建屋管理装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋の常時使用者に発行する常時許可用ICタグと前記建屋の一時利用者に発行する一時許可用ICタグとを用いる建屋管理装置であって、
常時許可用ICタグ保持者に対して、前記建屋のエントランスドアを自動ドアとして運用し、
一時許可用ICタグ保持者に対して、前記建屋の立ち入り階に規制をかけ、前記建屋からの退出の際には前記エントランスドアの内側で前記一時許可用ICタグを回収することを特徴とする建屋管理装置。
【請求項2】
建屋のエントランスドアの外に設けた第1のICタグ読取装置と一時許可用ICタグ発行装置と、前記エントランスドアの内側に設けた第2のICタグ読取装置と一時許可用ICタグ回収装置と、前記第1のICタグ読取装置と前記第2のICタグ読取装置と接続されたエントランスドア制御装置とからなる建屋管理装置であって、
前記エントランスドア制御装置は、前記エントランスドアが閉じている状態で前記第1のICタグ読取装置が常時許可用ICタグまたは前記一時許可用ICタグ発行装置が発行した一時許可用ICタグを検出したとき、前記エントランスドアを開け、前記エントランスドアが閉じている状態で前記第2のICタグ読取装置が前記常時許可用ICタグを検出したとき、または、前記一時許可用ICタグ回収装置が前記一時許可用ICタグを回収したとき、前記エントランスドアを開けることを特徴とする建屋管理装置。
【請求項3】
エレベータ内に設けたICタグ読取装置と、前記ICタグ読取装置に接続されたエレベータ制御装置とからなる建屋管理装置であって、
前記ICタグ読取装置が第1のICタグを検出したとき、前記第1のICタグに対応する階への前記エレベータの移動を設定するとともに、前記エレベータの停止階ボタンを有効とし、
前記ICタグ読取装置が第2のICタグのみを検出したとき、前記第2のICタグに対応する階への前記エレベータの移動を設定するとともに、前記停止階ボタンを無効とすることを特徴とする建屋管理装置。
【請求項4】
監視エリアに人が立ち入ったことを検出する人感センサと、前記監視エリアの映像を撮影する監視カメラと、前記監視エリア内のICタグのIDを読取るICタグ読取装置とスピーカとからなる建屋管理装置であって、
前記人感センサが前記監視エリアに人を検出したとき、前記ICタグ読取装置が検出した検知レベルに応じた案内を検出エリアにスピーカから送出することを特徴とする建屋管理装置。
【請求項1】
建屋の常時使用者に発行する常時許可用ICタグと前記建屋の一時利用者に発行する一時許可用ICタグとを用いる建屋管理装置であって、
常時許可用ICタグ保持者に対して、前記建屋のエントランスドアを自動ドアとして運用し、
一時許可用ICタグ保持者に対して、前記建屋の立ち入り階に規制をかけ、前記建屋からの退出の際には前記エントランスドアの内側で前記一時許可用ICタグを回収することを特徴とする建屋管理装置。
【請求項2】
建屋のエントランスドアの外に設けた第1のICタグ読取装置と一時許可用ICタグ発行装置と、前記エントランスドアの内側に設けた第2のICタグ読取装置と一時許可用ICタグ回収装置と、前記第1のICタグ読取装置と前記第2のICタグ読取装置と接続されたエントランスドア制御装置とからなる建屋管理装置であって、
前記エントランスドア制御装置は、前記エントランスドアが閉じている状態で前記第1のICタグ読取装置が常時許可用ICタグまたは前記一時許可用ICタグ発行装置が発行した一時許可用ICタグを検出したとき、前記エントランスドアを開け、前記エントランスドアが閉じている状態で前記第2のICタグ読取装置が前記常時許可用ICタグを検出したとき、または、前記一時許可用ICタグ回収装置が前記一時許可用ICタグを回収したとき、前記エントランスドアを開けることを特徴とする建屋管理装置。
【請求項3】
エレベータ内に設けたICタグ読取装置と、前記ICタグ読取装置に接続されたエレベータ制御装置とからなる建屋管理装置であって、
前記ICタグ読取装置が第1のICタグを検出したとき、前記第1のICタグに対応する階への前記エレベータの移動を設定するとともに、前記エレベータの停止階ボタンを有効とし、
前記ICタグ読取装置が第2のICタグのみを検出したとき、前記第2のICタグに対応する階への前記エレベータの移動を設定するとともに、前記停止階ボタンを無効とすることを特徴とする建屋管理装置。
【請求項4】
監視エリアに人が立ち入ったことを検出する人感センサと、前記監視エリアの映像を撮影する監視カメラと、前記監視エリア内のICタグのIDを読取るICタグ読取装置とスピーカとからなる建屋管理装置であって、
前記人感センサが前記監視エリアに人を検出したとき、前記ICタグ読取装置が検出した検知レベルに応じた案内を検出エリアにスピーカから送出することを特徴とする建屋管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−139573(P2006−139573A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329038(P2004−329038)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000233295)日立ハイブリッドネットワーク株式会社 (195)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000233295)日立ハイブリッドネットワーク株式会社 (195)
【Fターム(参考)】
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