説明

建設機械の油圧駆動システム

【課題】電磁比例減圧弁の異常を検出して油圧アクチュエータを停止させることができ、しかもシステム構成をシンプルで安価とする。
【解決手段】コントローラ26は、電気レバー装置20,21の操作信号VL1〜VL4、ゲートロックレバースイッチ22の指示信号GL、圧力センサー25の監視信号ELを入力し、駆動信号を電磁比例減圧弁10a又は10b〜12a又は12bにそれぞれ出力し、かつ、信号VL1,VL2;VL3,VL4,GL,ELに基づいて異常を判定し、電磁切換弁24を切り換える信号を出力する。圧力センサー25は、上流側がパイロットポンプ3に、下流側がタンクに接続され、制御弁7〜9のスプールの移動により遮断される油圧信号ライン33の上流側の圧力を検出することで、制御弁7〜9のいずれかのスプールが動作状態にあることを検出し、電磁切換弁24を切り換え、アクチュエータを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に係り、特に電気レバー装置を備えた油圧駆動システムで電磁比例減圧弁に異常が生じた場合に、その異常を検出する建設機械の油圧駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設機械の1つである油圧ショベルは、下部走行体と、この下部走行体に旋回可能に設けた上部旋回体と、この上部旋回体に俯仰可能に接続され、ブーム、アーム、及びバケット等の作業具を含む多関節型のフロント作業機とを備えている。これら下部走行体及び上部旋回体とフロント作業機の各構成部材は油圧駆動システムにより油圧駆動される。この油圧駆動システムは、一般に、エンジン等の原動機と、この原動機によって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される圧油により上記ブーム、アーム、作業具をそれぞれ駆動するブーム用油圧シリンダ、アーム用油圧シリンダ、バケット用油圧シリンダを含む複数の油圧アクチュエータと、上記油圧ポンプからこれらの各油圧アクチュエータヘ供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の制御弁と、上記油圧アクチュエータを手動操作するための操作手段とを有している。また、上記油圧駆動システムは、例えば上記原動機によって駆動されるパイロットポンプと、制御弁ヘのパイロット圧を上記操作手段の操作量(電気信号)に応じて制御する電磁弁(電磁比例減圧弁)とを備えるパイロット回路をさらに有している。
【0003】
このような油圧駆動システムにおいて、電磁比例減圧弁に異常を生じたときに、油圧アクチュエータを停止制御或いは所定の低速度に制御できるようにしたものとして、例えば特開平7−19207号公報に記載の油圧機械の駆動制御装置がある。この駆動制御装置は、パイロット回路中の電磁比例減圧弁と制御弁との間に圧力センサーを設け、この圧力センサーの検出するパイロット圧信号と操作手段から出力される操作信号(電気信号)とを比較し、これらパイロット圧信号と操作信号とが同等でない場合に電磁比例減圧弁の異常と判定する。これによれば、異物の引っ掛かりによる電磁比例減圧弁の作動不良が生じた場合でも、操作手段の操作信号が油圧アクチュエータの停止に相当する信号であるのに対し、上記圧力センサーの検出するパイロット圧信号は油圧アクチュエータの駆動に相当する信号であることから、即座に異常を検出することができる。これにより、原動機を停止して全油圧アクチュエータを停止する等の対応を迅速に取ることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平7−19207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記油圧駆動システムにおいては、例えばこの油圧駆動システムを構成する機械部品の一部の金属小片が油圧回路中に剥げ落ちたり、大気中のごみが油圧回路中に混入したりすることがある。このとき、これらの金属小片又はごみ等の異物が例えば上記電磁比例減圧弁の内部に入り込んだ場合、この電磁比例減圧弁の駆動部分がこの異物により引っ掛かって作動不良を起こす可能性がある。すなわち、このような作動不良が例えばブーム用油圧シリンダの制御弁を制御する電磁比例減圧弁に発生すると、操作者がブームを停止させるように操作手段を操作しても電磁比例減圧弁から制御弁ヘパイロット圧が出力され続ける。これによりブーム用油圧シリンダが動作を継続し、フロント作業機が操作者の意思に反した動作をする可能性がある。
【0006】
また、上記した金属小片又はごみ等の異物が制御弁内に入り込んだ場合も、この制御弁の駆動部分(スプール)が上記電磁比例減圧弁と同様に引っ掛かりを起こして作動不良を起こす可能性がある。この場合、操作者が上記制御弁に対応する油圧アクチュエータを停止させるように操作手段を操作し、電磁比例減圧弁が遮断位置となり、上記制御弁ヘのパイロット圧が遮断されても、上記スプールが引っ掛かったまま中立位置に戻らず、油圧アクチュエータを停止させるのが困難となる可能性がある。
【0007】
特開平7−19207号公報に記載の技術によれば、異物の引っ掛かりによる電磁比例減圧弁の作動不良が生じた場合は、操作手段の操作信号と圧力センサーの検出するパイロット圧信号とを比較することで、その異常を検出し、原動機を停止して全油圧アクチュエータを停止する等の対応を迅速に取ることができる。
【0008】
しかし、特開平7−19207号公報に記載の技術では、パイロット回路中の電磁比例減圧弁と制御弁との間に圧力センサーを設ける構成であるため、1つの制御弁に2つの圧力センサーが必要となり、制御弁の数に応じて圧力センサーの数が増加し、圧力センサーの数が多く、システムとして極めて複雑で高価となる。
【0009】
また、金属小片又はごみ等の異物が制御弁内に入り込んで制御弁の作動不良が生じた場合は、操作者が上記制御弁に対応する油圧アクチュエータを停止させるように操作手段を操作するとき、圧力センサーの検出するパイロット圧信号と操作手段から出力される操作信号とは油圧アクチュエータの停止に相当する同等の信号となるため、そのような制御弁の異常を検出することが困難である。
【0010】
本発明の第1の目的は、電磁比例減圧弁の異常を検出して油圧アクチュエータを停止させることができ、しかもシステム構成がシンプルで安価である建設機械の油圧駆動システムを提供することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、電磁比例減圧弁だけでなく制御弁の異常を検出して油圧アクチュエータを停止させることができる建設機械の油圧駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記第1及び第2の目的を達成するために、本発明は、原動機と、この原動機により駆動される油圧ポンプと、被駆動体を駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータヘの圧油の流れをそれぞれ制御する複数の油圧パイロット式の制御弁と、パイロット油圧源のパイロット圧に基づいて前記複数の制御弁ヘのパイロット圧を生成する複数の電磁比例減圧弁と、前記複数の油圧アクチュエータの動作を指令する複数の電気レバー装置とを備え、この複数の電気レバー装置のそれぞれの操作信号に応じて前記複数の電磁比例減圧弁の該当するものを制御する建設機械の油圧駆動システムにおいて、前記複数の制御弁のいずれかのスプールが動作状態にあるかどうかを検出する動作検出手段と、前記複数の電気レバー装置の操作信号と前記動作検出手段の検出結果に基づいて異常を判定する異常判定手段と、前記異常判定手段が異常と判定した場合に前記複数の油圧アクチュエータを停止させるアクチュエータ停止手段とを備え、前記動作検出手段は、上流側が前記パイロット油圧源に接続され、下流側がタンクに接続され、前記複数の制御弁のスプールの移動により遮断される油圧信号ラインと、この油圧信号ラインの上流側の圧力を検出する圧力センサーとを有するものとする。
【0013】
以上のように構成した本発明においては、動作検出手段で制御弁のいずれかのスプールが動作状態にあるかどうかを検出し、異常判定手段で電気レバー装置の操作信号とその動作検出手段の検出結果に基づいて異常を判定する。例えば、電気レバー装置の操作信号によりその全ての電気レバー装置が操作者により操作されていないことを検出し、さらに動作検出手段でいずれかの制御弁のスプールが作動状態にあることを検出した場合に、操作信号に応じて駆動されパイロット圧を制御するはずの電磁比例減圧弁に何らかの異常があるか、あるいはパイロット圧に応じて駆動され油圧アクチュエータヘの圧油の流れを制御するはずの制御弁に何らかの異常があるかのいずれかであることが分かる。
【0014】
これにより異常判定手段が異常と判定した場合にアクチュエータ停止手段を作動させ、油圧アクチュエータを停止させることができる。
【0015】
また、本発明においては、動作検出手段は、上流側がパイロット油圧源に接続され、下流側がタンクに接続され、複数の制御弁のスプールの移動により遮断される油圧信号ラインと、この油圧信号ラインの上流側の圧力を検出する圧力センサーとを有する構成であるため、複数の制御弁或いは電磁比例減圧弁のいずれが作動不良を起こした場合でも、その作動状態が1つの圧力センサーで検出できる。このため、システム構成が極めてシンプルで安価となる。
【0016】
また、油圧信号ラインと圧力センサーとからなる動作検出手段は制御弁そのものの動作状態を検出するため、電磁比例減圧弁に異常を生じた場合だけでなく、制御弁に異常を生じた場合にも、異常判定手段は異常を判定することができ、アクチュエータ停止手段を作動させることにより油圧アクチュエータを停止させることができる。
【0017】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記異常判定手段は、前記複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示し、かつ前記動作検出手段で前記複数の制御弁のいずれかのスプールが動作していることが検出された場合に、異常と判定する。
【0018】
これにより電磁比例減圧弁或いは制御弁の異常を検出することができる。
【0019】
(3)また、上記(1)において、好ましくは、前記アクチュエータ停止手段は、前記パイロット油圧源から前記複数の電磁比例減圧弁へのパイロット管路を連通・遮断可能な切換弁と、前記異常判定手段が異常と判定した場合に、前記切換弁を制御し、前記パイロット管路を遮断する手段とを有する。
【0020】
これにより電磁比例減圧弁が作動不良を起こした場合には、異常判定手段が異常と判定してパイロット管路を遮断するため、パイロット油圧源から電磁比例減圧弁への圧油の供給が遮断されて今まで作動していた制御弁が中立位置へ戻され、全ての油圧アクチュエータの作動が停止する。
【0021】
(4)更に、上記(1)において、好ましくは、前記アクチュエータ停止手段は、前記異常判定手段が異常と判定した場合に、前記原動機を停止させる手段である。
【0022】
これにより電磁比例減圧弁が作動不良を起こした場合だけでなく、制御弁が作動不良を起こした場合にも、異常判定手段は異常を判定して原動機を停止させるため、油圧ポンプの吐出が停止し、全ての油圧アクチュエータの作動が停止する。
【0023】
(5)また、上記(1)において、好ましくは、前記パイロット油圧源から前記複数の電磁比例減圧弁へのパイロット管路を連通・遮断可能な切換弁と、前記切換弁の切り換えを指示する指示手段とを更に備え、前記アクチュエータ停止手段は、前記指示手段が前記パイロット管路を連通させるよう前記切換弁の切り換えを指示するときであっても、前記異常判定手段が異常と判定した場合に、前記切換弁を制御し、前記パイロット管路を遮断する手段である。
【0024】
これにより例えばゲートロックレバースイッチ等の指示手段とその切換弁を備えたもので、指示手段の指示状態に係わらず、電磁比例減圧弁或いは制御弁に異常を生じ、異常判定手段が異常と判定した場合は、当該切換弁を制御してパイロット管路を遮断し、油圧アクチュエータを停止させることができる。また、ゲートロックレバースイッチ等の指示手段用に設けられた切換弁を利用して油圧アクチュエータを停止させるので、システム構成が一層シンプルで安価となる。
【0025】
(6)また、本発明は、上記第1及び第2の目的を達成するために、原動機と、この原動機により駆動される油圧ポンプと、被駆動体を駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータヘの圧油の流れをそれぞれ制御する複数の油圧パイロット式の制御弁と、パイロット油圧源のパイロット圧に基づいて前記複数の制御弁ヘのパイロット圧を生成する複数の電磁比例減圧弁と、前記複数の油圧アクチュエータの動作を指令する複数の電気レバー装置とを備え、この複数の電気レバー装置のそれぞれの操作信号に応じて前記複数の電磁比例減圧弁の該当するものを制御する建設機械の油圧駆動システムにおいて、前記複数の制御弁のいずれかのスプールが動作状態にあるかどうかを検出する動作検出手段と、前記複数の電気レバー装置の操作信号と前記動作検出手段の検出結果に基づいて異常を判定する異常判定手段と、前記異常判定手段が異常と判定した場合に前記油圧アクチュエータを停止させる手段とを備え、前記動作検出手段は、上流側が前記パイロット油圧源に接続され、下流側がタンクに接続され、前記複数の制御弁のスプールの移動により遮断される油圧信号ラインと、この油圧信号ラインの上流側の圧力を検出する圧力センサーとを有し、前記異常判定手段は、前記複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示した後、所定時間経過後、前記複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示し、かつ前記動作検出手段で、前記複数の制御弁のいずれかのスプールが動作していることが検出された場合に、異常と判定するものとする。
【0026】
これにより上記(1)で述べたように電磁比例減圧弁又は制御弁の異常を検出して油圧アクチュエータを停止させることができ、しかもシステム構成をシンプルで安価にすることができる。
【0027】
また、異常判定手段は、複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示した後、所定時間経過後に、複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示しかつ動作検出手段で複数の制御弁のいずれかのスプールが動作していることが検出された場合に、異常と判定するため、例えば寒冷地での作業時等、作動油温度が低いときであっても、油圧信号ラインの残圧の影響による誤判定を防止することができ、異常判定の信頼性を向上することができる。また、油圧信号ラインの残圧の影響を減らすために油圧信号ラインの通路径を太くしなくてもよいので、コントロールバルブの筐体を大きくする必要がなくなり、安価な構成で油圧信号ラインの残圧の影響による誤判定を防止することができる。
【0028】
(7)また、本発明は、上記(6)において、前記パイロット油圧源で用いる作動油の温度を検出する温度検出手段を更に備え、前記異常判定手段は、前記所定時間を前記温度検出手段により検出された作動油の温度に依存する可変値として算出し、前記異常の判定を行なうものとする。
【0029】
このように異常判定開始の遅延時間をそのときの作動油温度に依存する可変値として計算することにより、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常がない場合の誤判定を防止しつつ、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常があるときは、より早く確実に異常を検出することができ、異常判定の信頼性を向上することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、電磁比例減圧弁に異常を生じた場合に油圧アクチュエータが停止し、これらの油圧アクチュエータで駆動する作業機部材が停止するため、当該作業機部材の不所望の動作による不測の事故を未然に防止することができ、優れた安全性を有する。また、複数の制御弁或いは電磁比例減圧弁のいずれが作動不良を起こした場合でも、その動作状態を1つのセンサー(圧力センサー)で検出できるため、システム構成が極めてシンプルで安価となる。
【0031】
また、本発明によれば、油圧信号ラインと圧力センサーとからなる動作検出手段は制御弁そのものの動作状態を検出するため、電磁比例減圧弁に異常を生じた場合だけでなく、制御弁に異常を生じた場合にもそのことを検出して油圧アクチュエータを停止させ、これらの油圧アクチュエータで駆動する作業機部材の不所望の動作による不測の事故を未然に防止することができ、安全性の更なる向上が可能である。
【0032】
更に、本発明によれば、異常判定手段は、複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示した後、所定時間経過後に、複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示しかつ動作検出手段で複数の制御弁のいずれかのスプールが動作していることが検出された場合に、異常と判定するため、例えば寒冷地での作業時等、作動油温度が低いときであっても、油圧信号ラインの残圧の影響による誤判定を防止することができ、異常判定の信頼性を向上することができる。また、油圧信号ラインの残圧の影響を減らすために油圧信号ラインの通路径を太くしなくてもよいので、コントロールバルブの筐体を大きくする必要がなくなり、安価な構成で油圧信号ラインの残圧の影響による誤判定を防止することができる。
【0033】
また、本発明によれば、異常判定開始の遅延時間をそのときの作動油温度に依存する可変値として計算するので、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常がない場合の誤判定を防止しつつ、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常があるときは、より早く確実に異常を検出することができ、異常判定の信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の建設機械の油圧駆動システムの実施の形態を図面を用いて説明する。
【0035】
図1は本発明の第1の実施の形態による油圧駆動システムの回路図である。
【0036】
図1において、油圧駆動システムは、原動機(エンジン)1と、この原動機1によって駆動する可変容量型の主油圧ポンプ2及び固定容量型のパイロットポンプ3と、主油圧ポンプ2から吐出される圧油によって駆動する油圧シリンダ4,5及び油圧モータ6を含む複数の油圧アクチュエータと、油圧シリンダ4,5及び油圧モータ6に供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御するパイロット操作式の制御弁7〜9を含む複数の制御弁と、パイロットポンプ3から吐出される圧油の圧力(パイロット圧力)を減圧して出力し、対応する制御弁を制御する電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bを含む複数の電磁比例減圧弁と、パイロットポンプ3の吐出油路3aに接続され、パイロットポンプ3から吐出される圧油の圧力(パイロット圧力)を規定し、パイロット油圧源13を形成するパイロットリリーフ弁14と、タンク15とを備えている。
【0037】
また、油圧駆動システムは、油圧シリンダ4と油圧モータ6の動作を指令する電気レバー装置20,21と、作業者の安全を確保するため、作業者が乗車時或いは降車時にゲートロックレバー(図示せず)を操作することで作動するゲートロックレバースイッチ22と、パイロット油圧源13から電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bへ至るパイロット管路23を連通・遮断可能なゲートロックレバー用の電磁切換弁24と、上流側がパイロット油圧源13(パイロットポンプ3の吐出油路3a)に接続され、下流側がタンクライン32に接続され、制御弁7〜9のスプールの移動により遮断される油圧信号ライン33と、この油圧信号ライン33の上流側の圧力を検出することで制御弁7〜9の作動状態を検知する圧力センサー25と、電気レバー装置20,21の電気的な操作信号VL1,VL2;VL3,VL4、ゲートロックレバースイッチ22の指示信号GL、圧力センサー25の監視信号ELを入力し、所定の信号処理を行い、操作信号VL1,VL2;VL3,VL4に相応する駆動信号を電磁比例減圧弁10a又は10b〜12a又は12bのソレノイド駆動部にそれぞれ出力するとともに、信号VL1,VL2;VL3,VL4,GL,ELに基づいて所定の判定処理を行い、電磁切換弁24を切り換えるコントローラ(制御手段)26とを備えている。
【0038】
電気レバー装置20の操作レバー20aは、図1の紙面に沿う左右方向と紙面に垂直な表裏方向の十字方向に回動操作可能であり、例えば操作レバー20aを紙面に沿う左右方向に回動させると操作信号VL1が出力されて油圧シリンダ4が駆動され、操作レバー20aを紙面に垂直な表裏方向に回動させると操作信号VL2が出力されて油圧モータ6が駆動される。また、電気レバー装置21の操作レバー21aも同様に十字方向に回動操作可能であり、操作レバー21aを十字の一方向に回動すると油圧シリンダ5が駆動され、十字の他方向に回動すると図示を省略した他の油圧アクチュエータが駆動される。
【0039】
制御弁7〜9は、センターバイパスタイプのバルブであり、センターバイパスライン31上に位置するセンターバイパス通路を有している。センターバイパス通路は、制御弁7〜9をセンターバイパスライン31に直列に接続するとともに、制御弁7〜9のスプールの移動により連通、遮断可能である。センターバイパスライン31の上流側は主油圧ポンプ2の吐出油路2aに接続され、下流側はタンクライン32に接続されている。
【0040】
また、制御弁7〜9は、油圧信号ライン33上に位置し制御弁7〜9を直列に接続する信号通路を有し、この信号通路は、制御弁7〜9のスプールが中立位置にあるときは油圧信号ライン33を連通させ、制御弁7〜9のスプールが中立位置から動かされると油圧信号ライン33を遮断する。油圧信号ライン33の吐出油路3aとセンターバイパスライン最上流の制御弁7との間には固定絞り34が設けられ、固定絞り34と制御弁7との間に上記圧力センサー25が設けられている。固定絞り34は、油圧信号ライン33におけるパイロットポンプ3の吐出油の消費流量を減らすためのものである。
【0041】
電磁切換弁24は、ゲートロックレバー用(ゲートロックレバースイッチ22の作動に応答して作動するもの)であるが、本実施の形態では、この電磁切換弁24を異常検出時の切換弁にも兼用するするものである(後述)。
【0042】
油圧信号ライン33と圧力センサー25は、複数の制御弁7〜9のいずれかのスプールが動作状態にあるかどうかを検出する動作検出手段を構成する。
【0043】
図2は上記油圧駆動システムが搭載される油圧ショベルの外観を示す図である。油圧ショベルは下部走行体100と上部旋回体101とフロント作業機102を備えている。下部走行体100は左右のクローラ式走行装置103a,103bを有し、左右の走行モータ104a,104bにより駆動される。また、下部走行体の前部にはブレード105が設けられ、ブレードシリンダ106により上下動される。上部旋回体101は旋回モータ(図示せず)により下部走行体100上に軸Oを中心に旋回駆動される。フロント作業機102は上部旋回体101の前部に俯仰可能に設けられている。フロント作業機102はブーム110、アーム111、バケット112を有する多関節構造であり、ブーム110、アーム111、バケット112はそれぞれブームシリンダ113、アームシリンダ114、バケットシリンダ115に軸Oを含む平面内を回転駆動される。
【0044】
図1において、油圧シリンダ4,5はそれぞれ例えばブームシリンダ113及びアームシリンダであり、油圧モータ6は例えば旋回モータである。なお、油圧駆動システムには上記バケットシリンダ115、走行モータ104a,104b等のその他の油圧アクチュエータやその制御弁も備えられているが、図示の便宜上、図1では省略している。
【0045】
図3は、電気レバー装置20,21の操作レバー20a,21aの操作量(レバー操作量)とその出力信号である操作信号(制御電圧)VL1,VL2;VL3,VL4(VLで代表)との関係、及びその操作信号VLとコントローラ26で演算される目標パイロット圧との関係を示す図である。レバー操作量は、操作レバー20a,21aの左右方向、上下方向のそれぞれの片側一方向(つまり、左方向、右方向、上方向、下方向の1つ)に対応するものである。
【0046】
例えば操作レバー20aを図示左方向に操作すると電気レバー装置20はそれに比例した制御電圧(V)を操作信号VL1として出力する。コントローラ26はその操作信号VL1を入力し、それに比例した目標パイロット圧Piを演算する。この目標パイロット圧Piはコントローラ26内で電気的な駆動信号に変換され、例えば電磁比例減圧弁10aに出力される。電磁比例減圧弁10aのソレノイド駆動部はその駆動信号により励磁され、電磁比例減圧弁10aは目標パイロット圧Piに相当するパイロット圧を出力する。制御弁7はこのパイロット圧により図示右方向に駆動され、主油圧ポンプ2の吐出油が油圧シリンダ4のボトム側に供給され、油圧シリンダ4が伸び方向に駆動する。
【0047】
操作レバー20aを図示右方向に操作した場合も同様であり、コントローラ26で生成された電気的な駆動信号が電磁比例減圧弁10bに出力され、電磁比例減圧弁10bはコントローラ26で演算された目標パイロット圧Piに相当するパイロット圧を出力する。制御弁7はこのパイロット圧により図示左方向に駆動され、主油圧ポンプ2の吐出油が油圧シリンダ4のロッド側に供給され、油圧シリンダ4が縮み方向に駆動する。
【0048】
操作レバー20aを上方向又は下方向に操作した場合、操作レバー装置21の操作レバー21aを左方向、右方向、上方向、下方向に操作した場合も同様である。
【0049】
図4は、制御弁7〜9の操作量と圧力センサー25の監視信号ELとの関係を示す図である。制御弁7〜9が全て中立位置にあるときは、油圧信号ライン33の圧力はタンク圧(ほぼ0)であり、圧力センサー25は監視信号ELとして0V(OFF信号)を出力する。制御弁7〜9の任意の1つが操作されて中立位置から移動すると、油圧信号ライン33の固定絞り34とその移動した制御弁との間の部分に所定の圧力が発生し、圧力センサー25はその圧力を検出し、監視信号ELとして最大電圧Vmax(ON信号)を出力する。この圧力センサー25の監視信号ELはコントローラ26に入力される。コントローラ26は電気レバー装置20,21から出力される操作信号VL1,VL2;VL3,VL4の全てが0のとき、つまり操作レバー20a,21aのいずれも中立のとき(電気レバー装置20,21のいずれも操作されていないとき)、上記圧力センサー61の監視信号ELがどのような状態か、つまり異常状態か正常状態かどうかを判断する判断機能を有している。
【0050】
図5は、コントローラ26の処理内容を示すフローチャートである。
【0051】
コントローラ26は、まず、電気レバー装置20,21からの操作信号VL1,VL2;VL3,VL4(適宜VLで代表する)とゲートロックレバースイッチ22からのゲートロック指示信号(以下単に指示信号という)GLを読み取る(手順S1)。次いで、読み取った指示信号GLがONかどうかを判断し(手順S2)、指示信号GLがONであれば、電磁切換弁24に出力するゲートロック信号RLをONにして出力し(手順S3)、指示信号GLがOFFであれば、電磁切換弁24に出力するゲートロック信号RLをOFFにして出力する(手順S4)。
【0052】
手順S3で、電磁切換弁24にONのゲートロック信号RLを出力した場合、コントローラ26は、読取った操作信号VLに相当する制御圧Piを演算する(手順S5)。制御圧Piは電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bから出力される制御パイロット圧の目標値である。この演算は、図3に示したような操作信号VLと制御圧Piとの関数関係をコントローラ26のメモリに予め記憶しておき、その関数関係に基づいて行われる。この制御圧Piは電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bの駆動信号に変換され、コントローラ26から電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bの対応するものの駆動部に出力される(手順S5)。
【0053】
手順4で、電磁切換弁24にOFFのゲートロック信号RLを出力した場合は、手順S1に戻り、指示信号GLがONになり、ゲートロック信号RLがONになるまで手順S1,S3,S4を繰り返す。
【0054】
次いで、コントローラ26は圧力センサー25の出力信号である監視信号ELを読み取り(手順S6)、電気レバー装置20,21の操作信号(制御電圧)VLが0Vのとき、つまり操作レバー20a,21aのいずれも中立で操作信号VL1,VL2;VL3,VL4の全てが0Vのとき、監視信号ELがタンク圧相当の0Vの信号(OFF信号)であるかどうかを判断する(手順S7)。すなわち、操作信号VL1,VL2;VL3,VL4と監視信号ELにより異常状態か正常状態かどうか判断する処理が行われる。
【0055】
制御弁7〜9と電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bが正常に機能しているときは、この手順S7の判断結果はイエスであり、正常に機械(油圧ショベル)は作動する。一方、電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bのいずれかが故障したり、コンタミスティックによって電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bのいずれかが作動不良となっているような場合には、手順S7で、その電磁比例減圧弁に対応する操作信号VLが0Vであるにも係わらず、監視信号ELが0V以外の値となり、手順7の判断結果はNOとなる。つまり、操作信号VLと監視信号ELとが異常状態と判断される。
【0056】
手順7で、操作信号VLと監視信号ELとが異常状態と判断されると、コントローラ26は、ゲートロック信号RLをONからOFFに切り換えて電磁切換弁24に出力する(手順8)。これにより電磁切換弁24は図示の位置へと切り換えられ、パイロット管路23の連通を遮断し、パイロットポンプ3から電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bへの圧油の供給が遮断される。これにより電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bのいずれか故障したり、作動不良であったとしても、今まで作動していた制御弁が中立位置へ戻され、油圧シリンダ4,5及び油圧モータ6を含む全ての油圧アクチュエータの作動が停止する。これに伴い、ブーム111、アーム115、旋回体101等の全ての作業機部材が停止する。
【0057】
以上において、手順S6,S7の機能は、複数の電気レバー装置20,21の操作信号VL1,VL2;VL3,VL4と動作検出手段(油圧信号ライン33及び圧力センサー25)の検出結果に基づいて異常を判定する異常判定手段を構成し、手順S8の機能は、前記異常判定手段が異常と判定した場合に複数の油圧アクチュエータ4,5,6を停止させるアクチュエータ停止手段を構成する。
【0058】
次に、以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0059】
作業者が乗車時に作業開始を意図してゲートロックレバーを下げ操作すると図1に示したゲートロックレバースイッチ22がONし、ゲートロック指示信号GLがコントローラ26へ出力される。その後、作業者が、図1に示した電気レバー装置20,21の1つ、例えば電気レバー装置20の操作レバー20aを例えば図示左方に回動させると、操作信号VL1がコントローラ26へ出力される。コントローラ26は、操作信号VL1と指示信号GLを読み取り(手順S1)、読み取ったゲートロック指示信号GLがONかどうかを判断し(手順S2)、この場合は、指示信号GLがONであるので、ONのゲートロック信号RLを電磁切換弁24に出力する。これにより電磁切換弁24が図示の位置から切り換えられ、パイロット管路23を連通させ、電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bは制御パイロット圧を生成可能な状態となる。
【0060】
次いで、コントローラ26は、読取った操作信号VL1に相当する制御圧Piを演算し、この制御圧Piは電磁比例減圧弁10aの駆動信号に変換し、電磁比例減圧弁10aの駆動部にその駆動信号が出力される(手順S5)。電磁比例減圧弁20aはその駆動信号により作動し、パイロットポンプ3から与えられるパイロット圧が電磁比例減圧弁20aで減圧されて制御パイロット圧として出力される。電磁比例減圧弁20aから出力された制御パイロット圧は制御弁7の図示左側の駆動部に与えられ、制御弁7が図示左側の位置に切換えられる。これに伴い、エンジン1により駆動されている主油圧ポンプ2から吐出される圧油が、制御弁7を経て油圧シリンダ4のボトム側に供給され、油圧シリンダ4が伸張する。これによりブーム111の上げ動作が行われる。
【0061】
また、制御弁7が図示左側の位置に切り換えられると、油圧信号ライン33が制御弁7により遮断され、油圧信号ライン33の固定絞り34と制御弁7との間の部分に所定の圧力が発生する。圧力センサー25はその圧力を検出し、図4に示したように監視信号ELとして最大電圧Vmax(ON信号)を出力する。
【0062】
コントローラ26はその監視信号ELを読み取り(手順S6)、操作信号VLと監視信号ELにより異常状態か正常状態かどうか判断する(手順S7)。この場合は、操作信号VL1が0Vでなく、監視信号ELがON(0Vでない)ので、正常状態であると判定され、正常に機械(油圧ショベル)を作動し続ける。
【0063】
その後、電気レバー装置20の操作レバー20aを中立位置に戻し、操作信号VL1が0Vになると、コントローラ26は制御圧Pi=0を演算し、電磁比例減圧弁10aの駆動部に出力する駆動信号を0Vにする(手順S5)。電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bが正常に機能しているときは、電磁比例減圧弁10aの駆動部に出力する駆動信号を0Vになると、電磁比例減圧弁10aから出力される制御パイロット圧も0(タンク圧)となり、制御弁7は中立位置に復帰する。これにより油圧信号ライン33の制御弁7部分は連通状態となり、油圧信号ライン33の固定絞り34下流側部分の圧力は0(タンク圧)となり、圧力センサー25はその圧力を検出し、図4に示したように監視信号ELとして0V(OFF信号)を出力する。よって、このときコントローラ26が行う手順S7の判断結果はイエスであり、コントローラ26は何もしない。
【0064】
一方、万一、電磁比例減圧弁10aが故障したり、コンタミスティックによって作動不良となっているような場合には、操作レバー20aを中立位置に戻しても電磁比例減圧弁10aが制御パイロット圧を出力し続けて制御弁7が中立位置に戻らず、圧力センサー25が出力する監視信号ELは最大電圧Vmax(ON信号)のままとなり、手順7の判断結果はNOとなる。このためコントローラ26は電磁切換弁24にOFFのゲートロック信号RLを出力し(手順8)、これにより電磁切換弁24は図示の位置へと切り換えられ、パイロット管路23の連通を遮断し、パイロットポンプ3から電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bへの圧油の供給が遮断される。これにより今まで作動していた制御弁7が中立位置へ戻され、油圧シリンダ4,5及び油圧モータ6を含む全ての油圧アクチュエータの作動が停止する。これに伴い、ブーム111、アーム115、旋回体101等の全ての作業機部材が停止する。
【0065】
電気レバー装置20の操作レバー20aを図示右方向に操作した場合、電気レバー装置20の操作レバー20aを紙面表裏方向に操作した場合、電気レバー装置21の操作レバー21aを図示左右方向或いは紙面表裏方向に操作した場合も同様である。
【0066】
このように本実施の形態によれば、電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bに異常を生じたとき、油圧シリンダ4,5及び油圧モータ6を含む全ての油圧アクチュエータの作動が停止し、これらの油圧アクチュエータで駆動する作業機部材が停止するため、当該作業機部材の不所望の動作による不測の事故を未然に防止することができ、優れた安全性を有する。
【0067】
また、制御弁7〜9のスプールの移動により遮断される油圧信号ライン33と、この油圧信号ライン33の上流側の圧力を検出する圧力センサー25とを設け、制御弁7〜9のいずれかのスプールが動作状態にあるかどうかを検出するので、電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bのいずれが作動不良を起こした場合でも、その動作状態を1つのセンサー(圧力センサー)で検出することができ、システム構成が極めてシンプルで安価となる。
【0068】
更に、本実施の形態によれば、ゲートロックレバースイッチ22の指示状態に係わらず、電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bに異常を生じた場合は、ゲートロックレバー用の電磁切換弁24を制御してパイロット管路23を遮断し、油圧アクチュエータを停止させることができる。その際、ゲートロックレバー用の電磁切換弁24を異常検出時の切換弁に兼用したので、システム構成が一層シンプルで安価となる。
【0069】
本発明の第2の実施の形態を図6〜図8により説明する。図6中、図1に示したものと同等のものには同じ符号を付している。本実施の形態は、電磁比例減圧弁の異常時に原動機を停止させるものである。
【0070】
図6において、原動機1の制御手段として、スロットルダイヤル41とエンジンコントローラ42とが設けられ、原動機1に電子ガバナ43が備えられている。スロットルダイヤル41は作業者により操作され、原動機1の目標回転数を設定するものであり、その操作信号がエンジンコントローラ42に入力される。また、コントローラ26Aからエンジンコントローラ42にエンジン停止信号ESが入力される。エンジンコントローラ42は、スロットルダイヤル41からの設定信号とエンジン停止信号ESとに基づいて所定の演算処理を行い、電子ガバナ43に目標回転数信号を出力する。電子ガバナ43はその目標回転数信号に基づき、原動機1の回転数がその目標回転数となるよう燃料料噴射量を制御する。
【0071】
図7は、コントローラ26Aの処理内容を示すフローチャートである。図5に示した第1の実施の形態の処理内容との相違点は、手順7で、操作信号VLと監視信号ELとが異常状態と判断されると、手順8Aにおいて、エンジン停止信号ESを発生し、原動機1を停止させる処理を行うことである。
【0072】
図8はエンジンコントローラ42の処理内容を示す機能ブロック図である。エンジンコントローラ42は、目標回転数設定部42aと、エンジン停止回転数設定部42bと、エンジン停止判定部42cと、目標回転数切換部42dの各機能を有している。
【0073】
目標回転数設定部42aはスロットルダイヤル41からの設定信号を入力し、この設定信号に対応した原動機1の目標回転数を設定する。目標回転数設定部42aで設定される回転数にはアイドル回転数と、最大回転数と、その中間の回転数があり、中間の回転数にはアイドル回転数から最大回転数へと可変的に増大する。
【0074】
エンジン停止回転数設定部42bは原動機1を停止させる目標回転数として0回転数が記憶されている。
【0075】
エンジン停止判定部42cはコントローラ26Aからのエンジン停止信号ESを入力し、エンジン停止の要否を判定し、エンジン停止が要と判定されたときに目標回転数切換部42dを図示の位置から切り換えるものであり、エンジン停止信号ESが入力されていないときはOFFの判定信号を出力し、エンジン停止信号ESが入力されるとONの判定信号を出力する。
【0076】
目標回転数切換部42dはエンジン停止判定部42cの判定信号がOFFのときは図示の位置にあり、目標回転数設定部42aで設定された目標回転数を選択し、エンジン停止判定部42cの判定信号がONになると図示の位置から切り換えられ、エンジン停止回転数設定部42bに設定された0回転数を選択する。
【0077】
目標回転数切換部42dで選択された目標回転数は目標回転数信号として電子ガバナ43に出力される。
【0078】
以上において、図7の手順S6,S7の機能は、第1の実施の形態と同様に、複数の電気レバー装置20,21の操作信号VL1,VL2;VL3,VL4と動作検出手段(油圧信号ライン33及び圧力センサー25)の検出結果に基づいて異常を判定する異常判定手段を構成し、手順S8Aの機能及び図8のエンジン停止回転数設定部42bと、エンジン停止判定部42cと、目標回転数切換部42dの各機能は、前記異常判定手段が異常と判定した場合に複数の油圧アクチュエータ4,5,6を停止させるアクチュエータ停止手段を構成する。
【0079】
従って、図7の手順7で正常状態と判断されたときは、コントローラ26Aからはエンジン停止信号ESが出力されず、エンジンコントローラ42からはスロットルダイヤル41の設定信号に応じた目標回転数信号が電子ガバナ43に出力され、原動機1の回転数がその目標回転数となるよう制御される。これにより機械(油圧ショベル)は今まで通りに操作可能である。
【0080】
一方、図7の手順7で、操作信号VLと監視信号ELとが異常状態と判断された場合は、コントローラ26Aからエンジン停止信号ESが出力され(手順8A)、エンジンコントローラ42から電子ガバナ43に0回転数の目標回転数が出力され、原動機1は停止する。これにより主油圧ポンプ2の吐出流量は0となり、油圧シリンダ4,5及び油圧モータ6を含む全ての油圧アクチュエータの作動が停止する。これに伴い、ブーム111、アーム115、旋回体101等の全ての作業機部材が停止する。
【0081】
このように本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、油圧信号ライン33と圧力センサー25とからなる動作検出手段は制御弁7〜9そのものの動作状態を検出するため、電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bに異常を生じた場合だけでなく、制御弁7〜9に異常を生じた場合にもそのことを検出して油圧アクチュエータを停止させ、これらの油圧アクチュエータで駆動する作業機部材の不所望の動作による不測の事故を未然に防止するため、安全性の更なる向上が可能である。
【0083】
本発明の第3の実施の形態を図9及び図10により説明する。図9は、本実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャートであり、図中、図5に示したフローチャートと同じ処理を行う手順には同じ符号を付している。本実施の形態は、油圧信号ラインの残圧の影響による誤判定を防止するものである。なお、本実施の形態において、油圧駆動システムの構成は例えば図1に示す第1の実施の形態におけるものと同じであり、以下の説明では油圧駆動システムの構成については、適宜、図1を参照する。
【0084】
図9において、手順S1から手順S6までの処理は図5に示した第1の実施の形態におけるフローチャートの処理と同じである。コントローラ26は、手順S6で圧力センサー25の出力信号である監視信号ELを読み取った後、電気レバー装置20,21の操作信号(制御電圧)VLが0Vかどうか、つまり操作レバー20a,21aのいずれも中立で操作信号VL1,VL2;VL3,VL4の全てが0Vを示しているかどうかを判断する(手順S11)。
【0085】
手順S11で、操作レバー20a,21aのいずれかが中立でないと判断されると、タイマーのカウントを0にクリアし(手順S13)、手順S1に戻り、上記の手順を繰り返す。操作レバー20a,21aのいずれも中立であると判断されると、タイマーをカウントアップし、操作レバー中立後の経過時間をカウントする(手順S12)。次に、タイマーがカウントした経過時間が予め設定した遅延時間であるT秒(例えば1.5秒)以上経過しているかどうかを判断し(手順S14)、T秒以上経過していないと判断されると、手順S1に戻り、タイマーがカウントした経過時間がT秒以上経過するまで、手順S1から手順S12までの処理を繰り返す。手順S14で、タイマーがカウントした経過時間がT秒以上経過したと判断されると、異常判定処理に移行する(手順S15)。この異常判定処理の内容は、例えば、第1の実施の形態における図5に示した手順S7,S8の処理と同じである。なお、異常判定処理は、第2の実施の形態における図7に示した手順S7、S8の処理であってもよい。
【0086】
次に、以上のように構成した本実施の形態の作用効果を図10を用いて説明する。図10は、本実施の形態における誤判定防止の考え方を示す図であって、図10(a)は、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常がない場合に電気レバー装置20,21の操作レバー20a,21aを操作状態から中立に戻し、操作信号が0Vとなり、電磁比例減圧弁10b,11b,12bへの駆動信号が0となるときの圧力センサー25が検出する油圧信号ライン33の圧力の理想的な変化を、図10(b)は、油圧信号ライン33の圧力の実際の変化を、図10(c)は、本発明の動作原理をそれぞれ示している。
【0087】
図10(a)において、電気レバー装置20,21の操作レバー20a,21aを操作状態から中立に戻し、操作信号が0Vになって電磁比例減圧弁10b,11b,12bへの駆動信号が0となるとき、電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12b及び制御弁7〜9に異常がない場合は、電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bから出力される制御パイロット圧は0(タンク圧)となり、制御弁7〜9は全て中立位置に復帰するため、油圧信号ライン33は連通状態となり、このとき、理想的には、操作信号が0Vになると同時に圧力センサー25が検出する油圧信号ライン33の圧力もほぼ0(タンク圧)となる。この場合は、操作信号が0Vになると同時に異常の判定を開始しても、異常と判定されず、通常操作が可能である。しかし、制御弁7〜9は1つのコントロールバルブ内に配置されるスプール弁として構成され、油圧信号ライン33はそのコントロールバルブのブロック(筐体)に内部通路として形成されるため、その通路径は細く、特に寒冷地での作業時等、作動油温度が低いときは、作動油の粘性による残圧の影響が発生する。このため、実際には、制御弁7〜9が中立位置に復帰して油圧信号ライン33が連通状態となっても、油圧信号ライン33の圧力は直ちに0にはならず、図10(b)に示すように、油圧信号ライン33の圧力はある時間遅れをもって0となる。このため操作信号が0Vになると同時に異常の判定を開始すると、正常であるにも係わらす異常であると誤判定をする可能性がある。
【0088】
残圧の影響を減らし、誤判定を防止するためには油圧信号ライン33の通路径を太くすることが考えられる。しかし、油圧信号ライン33の通路径を太くするためにはコントロールバルブの筐体を大きくする必要があり、コスト高となる。
【0089】
そこで、本発明では、図10(c)に示すように、操作信号が0Vになると同時に異常の判定を開始するのではなく、残圧の影響を考慮して、操作信号が0Vなった後、予め定めた遅延時間以上経過した後に異常の判定を開始する。これにより油圧信号ライン33に残圧があっても、異常と誤判定をされることがなく、正確な判定が行える。
【0090】
本実施の形態は、このような考えに基づくものであり、上記のように操作レバー20a,20bのいずれも中立であると判定されるとタイマーをカウントアップし(手順S12)、その経過時間が予め定めた遅延時間以上経過した後、異常判定処理に移行する(手順S14)。これにより電磁比例減圧弁10a,10b〜12a,12bに異常を生じたときには、第1の実施形態又は第2の実施の形態と同様にその異常を検出し、油圧シリンダ4,5及び油圧モータ6を含む全ての油圧アクチュエータを停止させ、安全性を確保することができるとともに、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常がない場合は、寒冷地での作業時等、作動油温度が低いときであっても、操作信号が0Vになった後、所定時間経過後に異常の判定を開始するので、油圧信号ライン33の残圧の影響による誤判定を防止することができる。
【0091】
以上のように本実施の形態によれば、第1及び第2の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、寒冷地での作業時等、作動油温度が低いときであっても、油圧信号ライン33の残圧の影響による誤判定を防止することができ、異常判定の信頼性を向上することができる。また、コントロールバルブの筐体を大きくする必要がないので、安価な構成で油圧信号ライン33の残圧の影響による誤判定を防止することができる。
【0092】
本発明の第4の実施の形態を図11〜図13により説明する。
【0093】
図11は、本発明の第4の実施の形態に係わる建設機械の油圧駆動システムの回路図である。図11中、図1に示したものと同等のものには同じ符号を付している。本実施の形態は、異常判定開始の遅延時間を作動油温度に依存する可変値としたものである。
【0094】
図11において、油圧ポンプ2,3で用いる作動油の温度を検出する温度センサー44が備えられ、この温度センサー44の検出信号が、コントローラ26Bに入力される。コントローラ26Bは、この温度センサー44の検出信号に基づいて判定開始の遅延時間を演算し、その遅延時間経過後に異常判定を行なう。その他の構成は、図1に示す第1の実施の形態の構成と同じである。
【0095】
図12は、本実施の形態におけるコントローラ26Bの処理内容を示すフローチャートである。図中、図9に示すフローチャートのおける手順と同じ手順には同じ符号を付している。
【0096】
図12において、コントローラ26Bは、手順S6で圧力センサー25の出力信号である監視信号ELを読み取った後、温度センサー44の検出信号である作動油温度Ts(℃)を読み取り(手順S21)、この作動油温度Tsに基づいて予め設定した関数関係を用いて遅延時間Tを算出する(手順S22)。
【0097】
図13は、手順S22で用いる遅延時間Tと作動油温度Tsとの関数関係を示す図であり、作動油温度Tsが低くなるに従って遅延時間Tが長くなるよう両者の関係が設定されている。
【0098】
図12に戻り、このように遅延時間Tを計算した後、手順S11に移行し、操作レバー20a,21aのいずれも中立であると判定されるとタイマーをカウントアップし(手順S12)、その経過時間が手順S22において計算した遅延時間T以上経過した後、異常判定処理に移行する(手順S14)。
【0099】
第3の実施の形態のように、異常判定開始の遅延時間Tを一定値として設定した場合、遅延時間Tは、最も厳しい条件(最も作動油温度の低いとき)を想定して長めに設定する必要がある。しかし、油圧信号ライン33における残圧の影響が少ない高温時には、遅延時間Tは異常判定処理に対する無駄時間となる。本実施の形態においては、作動油温度を検出し、その作動油温度に依存する可変値として異常判定開始の遅延時間Tを計算する。その結果、寒冷地での作業時等、作業油温度が低いときは、遅延時間Tは長めに計算され、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常がない場合の誤判定が確実に防止される。一方、温暖地での作業や十分に暖気運転がされた後の作業時等、作動油温度が高いときは、遅延時間Tは短めに計算されるため、操作レバーが中立位置に復帰すると、速やかに異常判定処理に移行し、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常があるときは、より早く確実に異常を検出することができる。
【0100】
このように本実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、異常判定開始の遅延時間Tをそのときの作動油温度に依存する可変値として計算するので、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常がない場合の誤判定を防止しつつ、電磁比例減圧弁及び制御弁に異常があるときは、より早く確実に異常を検出することができ、異常判定の信頼性を向上することができる。
【0101】
なお、本実施の形態においては、温度センサー44により作動油の温度を検出し、この作動油温度に依存する可変値として異常判定開始の遅延時間Tを求めたが、エンジン1あるいは図示しないラジエータに冷却水温度を検出する温度センサーを設け、この温度センサーによりエンジン1の冷却水温度を検出し、この冷却水温度に依存する可変値として異常判定開始の遅延時間Tを求めてもよい。作動油温度と冷却水温度は相関関係があるため、冷却水温度に依存する可変値として異常判定開始の遅延時間を求めて異常判定を行っても、同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる建設機械の油圧駆動システムの回路図である。
【図2】油圧駆動システムが搭載される油圧ショベルの外観を示す図である。
【図3】電気レバー装置の操作レバーの操作量(レバー操作量)とその出力信号である操作信号との関係、及びその操作信号とコントローラで演算される目標パイロット圧との関係を示す図である。
【図4】制御弁の操作量と圧力センサーの出力信号との関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係わる建設機械の油圧駆動システムの回路図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【図8】エンジンコントローラの処理内容を示す機能ブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【図10】電磁比例減圧弁及び制御弁に異常がない場合に、電気レバー装置の操作レバーを操作状態から中立に戻し、操作信号が0Vとなり、電磁比例減圧弁への駆動信号が0となるときの圧力センサーが検出する油圧信号ラインの圧力の変化と、電気レバー装置の操作信号の変化を合わせて示す説明図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係わる建設機械の油圧駆動システムの回路図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【図13】作動油温度と遅延時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1 主油圧ポンプ
2 パイロットポンプ
3 原動機(エンジン)
4,5 油圧シリンダ
6 油圧モータ
7〜9 制御弁
10a,10b〜12a,12b 電磁比例減圧弁
13 パイロット油圧源
14 パイロットリリーフ弁
15 タンク
21 電気レバー装置
22 ゲートロックレバースイッチ
25 圧力センサー
26 コントローラ(制御手段)
31 センターバイパスライン
32 タンクライン
33 EL信号ライン
34 固定絞り
41 スロットルダイヤル
42 エンジンコントローラ
43 電子ガバナ
44 温度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、この原動機により駆動される油圧ポンプと、被駆動体を駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータヘの圧油の流れをそれぞれ制御する複数の油圧パイロット式の制御弁と、パイロット油圧源のパイロット圧に基づいて前記複数の制御弁ヘのパイロット圧を生成する複数の電磁比例減圧弁と、前記複数の油圧アクチュエータの動作を指令する複数の電気レバー装置とを備え、この複数の電気レバー装置のそれぞれの操作信号に応じて前記複数の電磁比例減圧弁の該当するものを制御する建設機械の油圧駆動システムにおいて、
前記複数の制御弁のいずれかのスプールが動作状態にあるかどうかを検出する動作検出手段と、
前記複数の電気レバー装置の操作信号と前記動作検出手段の検出結果に基づいて異常を判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段が異常と判定した場合に前記複数の油圧アクチュエータを停止させるアクチュエータ停止手段とを備え、
前記動作検出手段は、上流側が前記パイロット油圧源に接続され、下流側がタンクに接続され、前記複数の制御弁のスプールの移動により遮断される油圧信号ラインと、この油圧信号ラインの上流側の圧力を検出する圧力センサーとを有することを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて、
前記異常判定手段は、前記複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示し、かつ前記動作検出手段で前記複数の制御弁のいずれかのスプールが動作していることが検出された場合に、異常と判定することを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項3】
請求項1記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて、
前記アクチュエータ停止手段は、前記パイロット油圧源から前記複数の電磁比例減圧弁へのパイロット管路を連通・遮断可能な切換弁と、前記異常判定手段が異常と判定した場合に、前記切換弁を制御し、前記パイロット管路を遮断する手段とを有することを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項4】
請求項1記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて、
前記アクチュエータ停止手段は、前記異常判定手段が異常と判定した場合に、前記原動機を停止させる手段であることを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項5】
請求項1記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて、
前記パイロット油圧源から前記複数の電磁比例減圧弁へのパイロット管路を連通・遮断可能な切換弁と、
前記切換弁の切り換えを指示する指示手段とを更に備え、
前記アクチュエータ停止手段は、前記指示手段が前記パイロット管路を連通させるよう前記切換弁の切り換えを指示するときであっても、前記異常判定手段が異常と判定した場合に、前記切換弁を制御し、前記パイロット管路を遮断する手段であることを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項6】
原動機と、この原動機により駆動される油圧ポンプと、被駆動体を駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータヘの圧油の流れをそれぞれ制御する複数の油圧パイロット式の制御弁と、パイロット油圧源のパイロット圧に基づいて前記複数の制御弁ヘのパイロット圧を生成する複数の電磁比例減圧弁と、前記複数の油圧アクチュエータの動作を指令する複数の電気レバー装置とを備え、この複数の電気レバー装置のそれぞれの操作信号に応じて前記複数の電磁比例減圧弁の該当するものを制御する建設機械の油圧駆動システムにおいて、
前記複数の制御弁のいずれかのスプールが動作状態にあるかどうかを検出する動作検出手段と、
前記複数の電気レバー装置の操作信号と前記動作検出手段の検出結果に基づいて異常を判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段が異常と判定した場合に前記複数の油圧アクチュエータを停止させるアクチュエータ停止手段とを備え、
前記動作検出手段は、上流側が前記パイロット油圧源に接続され、下流側がタンクに接続され、前記複数の制御弁のスプールの移動により遮断される油圧信号ラインと、この油圧信号ラインの上流側の圧力を検出する圧力センサーとを有し、
前記異常判定手段は、前記複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示した後、所定時間経過後、前記複数の電気レバー装置の全ての操作信号が非操作状態を示し、かつ前記動作検出手段で、前記複数の制御弁のいずれかのスプールが動作していることが検出された場合に、異常と判定することを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項7】
請求項6記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて、
前記パイロット油圧源で用いる作動油の温度を検出する温度検出手段を更に備え、
前記異常判定手段は、前記所定時間を前記温度検出手段により検出された作動油の温度に依存する可変値として算出し、前記異常の判定を行なうことを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−308073(P2006−308073A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252533(P2005−252533)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】