説明

微小電気機械システムの生産方法

フッ素元素およびフッ化カルボニルは微小電気機械デバイス(「MEMS」)を生産するための適切なエッチャントである。これらは好ましくは、窒素およびアルゴンとの混合物として適用される。ボッシュタイプのプロセスで適用される場合、Cがきわめて適切な不動態化ガスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路の製造における半導体ウエハ構造上の回路パターンのエッチングに関し、具体的には、微小電気機械システム(「MEMS」)の製造における構造内のディープトレンチエッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSは、一般にサイズが1マイクロメートル〜1ミリメートルの範囲内の機械などの非常に小型の品目のテクノロジーに関する。非常に小型の機械が有する潜在的な可能性は、このテクノロジーが存在するはるか以前から認識されていた。一般的な利用分野としては、圧電技術または熱気泡放出により作動するインクジェットプリンタ、例えば衝突時のエアバッグ展開用の自動車の加速度計、ジャイロスコープ、例えば自動車タイヤまたは血圧の監視用のシリコン圧力センサー、光スイッチング技術、または医療および健康関連技術におけるバイオ−MEMS利用分野が含まれる。超小型電子回路は、機械、熱、生物、化学、光学、または磁気現象の測定を通して環境からセンサーにより集められた情報を処理する。
【0003】
国際公開第88/08930号パンフレット(=米国特許第5,047,115号明細書)は、SFまたはNFを用いてシリコン内にディープトレンチエッチングを行うための方法を開示している。この方法は、MEMSの非常に重要な分野である磁気記録ヘッドの生産分野において非常に適している。
【0004】
欧州特許出願公開第A−0200951号明細書は、NFまたはSF、NおよびCHFなどの層形成(不動態化)ガスの混合物を適用することによる、シリコンの高速異方性エッチングのための方法を開示している。
【0005】
英国特許第2290413号明細書は、例えばSFまたはNFなどのフッ素を供給するガスおよび例えばCHF、C、CまたはCなどのテフロン(RTM)を形成する不動態化ガスを用いて第1のエッチングステップにおいてトレンチを生成することによって、シリコン構造を加工するための方法を開示している。このとき、さらなる等方プラズマエッチングステップによってアンダーエッチングが生成される。生産された構造は、加速度センサーとして使用してよい。
【0006】
米国特許出願公開第2003/0189024号明細書は、シリコン内への開口部エッチングと側壁上への等角(不動態化)フルオロカーボンポリマー被着を交互に行うことにより、可変形状の開口部を提供する方法を開示している。HBrおよびヘリウム−酸素および場合によってSFが、公知の等方性エッチとして言及されている。
【0007】
米国特許出願公開第2005/0029221号明細書は、2ステッププロセスでディープトレンチをエッチングするための方法を開示している。第1のステップは、テーパーのついた断面形状をもつテーパトレンチをエッチングするステップを含む。HBr/CFは第1のステップにおいて好ましいエッチャントとして使用される。その後、高密度プラズマによるテーパトレンチのトリミングを等方性エッチングステップにおいて実施して、SF/HBr/Oを適用することにより直線断面形状のディープトレンチが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第88/08930号パンフレット(=米国特許第5,047,115号明細書)
【特許文献2】欧州特許出願公開第A−0200951号明細書
【特許文献3】英国特許第2290413号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0189024号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0029221号明細書
【特許文献6】特開平10−223614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、微小電気機械システムの改良型生産方法を提供することにある。本発明の別の目的は、とりわけ本発明の方法における利用分野に適した新規のエッチングガス混合物を提供することにある。本発明のこれらのおよびその他の目的は、以下に概説する通りの方法および気体混合物によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によると、フッ素元素またはフッ化カルボニル(COF)またはその両方の混合物を含むエッチングガスを適用して構造をエッチングするステップを含む、構造から微小電気機械システム(「MEMS」)を生産する方法が提供されている。好ましくは、エッチングステップにおいて同時に、またはエッチング後の付加的なステップの中で、構造は不動態化ガスで処理される。エッチングおよび不動態化が別のステップで実施される場合には、好ましくは多数の連続したエッチングステップおよび不動態化ステップが実施される。不動態化ガスは好ましくは、フッ素含有またはフッ化物含有不動態化層を形成する化合物から選択される。好ましくは、不動態化剤は、プラズマ中でフルオロポリマーを提供する有機化合物から選択され、不動態化剤は場合によって水素または水素放出ガスの存在下で適用される。
【0011】
好ましくは、いかなるハイポフルオライト類、フルオロペルオキシド類および/またはフルオロトリオキシド類も反応装置内に導入されず、またその中で意図的に形成されることもない。気体混合物は同様に、CN結合および水素を含有する化合物を含まない。好ましくは、エッチングすべき品目はWC(炭化タングステン)またはその合金を含まない。
【0012】
本発明全体を通して、「〜を含む(comprising)」という用語には「〜からなる(consisting of)」という意味が含まれる。
【0013】
「構造」は、例えばバルクマイクロマシニングにおけるシリコンウエハまたは表面マイクロマシニングにおける組立て済み品目であり得る。
【0014】
本方法は熱により実施される、すなわち例えば200℃以上500℃以下の温度で実施されるかまたは−110℃までの超低温による低温処理によって実施される可能性があるが、Alcatel、Advanced Materials、Plasma−ThermまたはSurface Technology Systemsから入手可能なプラズマエッチャー内で実施してよいボッシュプロセスを用いてこの方法を実施するのが最も良い。プラズマ条件は、マグネトロンまたはマイクロ波照射によって誘発される。本発明は、プラズマエッチングの好ましい実施形態を考慮してさらに記述される。
【0015】
フッ素元素およびフッ化カルボニルは、希釈剤または付加的な化合物を伴わずに、そのまま適用可能である。それらを不活性ガスで希釈した状態で、または酸素の存在下でおよび/または不動態化効果を有する気体または蒸気の存在下で、さらには酸素および/または不活性ガスで希釈した状態でかつ不動態化ガスの存在下で適用することが好ましい。好ましい希釈剤は、窒素および希ガスからなる群から選択される。さらに、後述するように酸素、水素または不動態化ガスなどの添加物を添加することができる。
【0016】
本発明の第1の好ましい実施形態によると、窒素、ヘリウムおよび/またはアルゴンとフッ素元素の混合物が適用される。混合物を反応装置の中で形成させることができ、あるいは、フッ素元素および1つまたは複数の不活性ガスの混合物を形成させてから反応装置内に導入することもできる。気体をこのような予め混合した形で反応装置内に導入した場合、反応装置チャンバ全体を通して均一なまたはほぼ均一な混合物を提供することができる。一般に、混合物のフッ素含有量は、好ましくは1〜35体積%の間にある。例えば、F2と不活性ガスの混合物を、加圧ボンベから供給することができる。このような加圧ボンベ内では、均一な混合物が形成される。
【0017】
フッ素元素と窒素を含む混合物、好ましくはフッ素元素とアルゴンを含む混合物、そして特に好ましくはフッ素元素、窒素とアルゴンを含む混合物が適用される。フッ素元素と窒素のみを含む混合物が適用される場合、フッ素元素の含有量は好ましくは1体積%以上である。フッ素元素の含有量は好ましくは25体積%以下である。窒素含有量は好ましくは99体積%以下である。好ましくは、それは75体積%以上である。特に好ましい実施形態においては、フッ素元素の含有量は18〜22体積%の範囲内にある。
【0018】
フッ素元素とアルゴンを含む混合物が適用される場合、アルゴンの含有量は好ましくは50体積%以上である。好ましくは、それは99体積%以下である。フッ素元素の含有量は好ましくは1体積%以上である。好ましくは、それは50体積%以下、特に25体積%以下である。
【0019】
フッ素元素、窒素およびアルゴンを含む混合物が適用される場合、フッ素元素の含有量は好ましくは1体積%以上である。それは好ましくは25体積%以下である。アルゴン含有量は好ましくは4体積%以上である。好ましくは、アルゴン含有量は25体積%以下である。窒素含有量は好ましくは4体積%以上である。それは好ましくは75体積%以下である。
【0020】
フッ素元素とアルゴンの合計は、好ましくは50体積%以下、特に好ましくは45体積%以下である。それは好ましくは25体積%以上である。
【0021】
第2の好ましい実施形態によると、フッ化カルボニルを含むもののフッ素元素を含まない混合物が適用される。この実施形態は、フッ素元素(以上参照)またはフッ素およびフッ化カルボニル(以下参照)を含む気体混合物が適用される実施形態よりも好ましい。
【0022】
フッ化カルボニルは非常に柔軟に使用することができる。一般にそれはその他の気体または気化した液体と共に適用される。
【0023】
フッ化カルボニルは同様に、異方性エッチングおよび等方性エッチングにおいても使用可能である。
【0024】
等方性エッチングにおいて使用する場合、それをそのまま適用することもできるが、好ましくはその他のフッ素化有機ガスまたは蒸気、例えば飽和または不飽和フルオロエーテルまたはフッ素化エステル(例えば特開平10−223614号公報中で記述されているもの)と混和した状態で適用し、特に窒素、酸素および/または希ガスと合わせて適用する。
【0025】
一般に、混合物のフッ化カルボニル含有量は好ましくは1体積%以上である。一般に、それは99体積%以下である。混合物を反応装置中で形成させることができ、または、好ましくは、フッ化カルボニルと1つまたは複数の不活性ガスの混合物を形成させてから反応装置内にそれを導入する。気体をこのような予め混合された形で反応装置内に導入する場合には、反応装置チャンバ全体を通して均一な混合物が提供される。
【0026】
フッ化カルボニルと窒素を含む混合物、フッ化カルボニルとアルゴンを含む混合物およびフッ化カルボニル、窒素およびアルゴンを含む混合物が有利に適用される。これらは、水素または水素放出ガスと共に適用可能である。好ましくは、これらの混合物は酸素をも含んでいる。
【0027】
フッ化カルボニルおよび窒素のみを含む混合物が適用される場合、フッ化カルボニルの含有量は好ましくは1体積%以上である。フッ化カルボニルの含有量は好ましくは75体積%以下である。窒素の含有量は好ましくは25体積%以上であり、好ましくは、99体積%以下である。一実施形態においては、混合物は、フッ化カルボニルおよび窒素からなる。
【0028】
フッ化カルボニルとアルゴンを含む混合物が適用される場合、アルゴンの含有量は好ましくは10体積%以上である。好ましくは、それは80体積%以下である。フッ化カルボニルの含有量は好ましくは20体積%以上であり、好ましくは、90体積%以下である。一実施形態において、混合物はフッ化カルボニルとアルゴンからなる。
【0029】
フッ化カルボニル、窒素およびアルゴンを含む混合物を適用することが非常に好ましい。フッ化カルボニルの含有量は好ましくは1体積%以上である。それは好ましくは50体積%以下である。アルゴンの含有量は好ましくは5体積%以上である。好ましくは、アルゴンの含有量は50体積%以下、特に40体積%以下である。窒素含有量は好ましくは1体積%以上、好ましくは80体積%以下である。一実施形態において、混合物は、フッ化カルボニル、窒素およびアルゴンからなる。
【0030】
第三の好ましい実施形態においては、フッ素元素およびフッ化カルボニルが一緒に適用される。フッ素元素対フッ化カルボニルのモル比は好ましくは1:99〜99:1の範囲内にある。好ましくは、フッ素元素とフッ化カルボニルの混合物は、酸素および/または不活性ガス、好ましくは窒素または希ガスにより希釈される。混合物は好ましくは、「フッ素元素とフッ化カルボニルの混合物」を「フッ素元素」によって置換しなければならないことを条件として、第一の実施形態で上述した通りに構成される。フッ素元素とアルゴンの体積の合計は、60体積%以下であることが好ましい。触媒の存在下では、FおよびCOFは互いに反応して特にフルオロオキシトリフルオロメタン、ハイポフルオライトを形成するかもしれない。本発明の方法においては、このような反応が起きないことが好ましい。したがって、エッチングが実施される反応装置内にはこのような触媒は全く存在しない。
【0031】
一実施形態において、フッ化カルボニル、フッ素元素または場合によって窒素および/またはアルゴンを含むその混合物から成る上述の混合物は、酸素も含んでいてよい。好ましくは、酸素含有量は、5体積%以上である。10体積%以上であることが非常に好ましい。好ましくは、酸素含有量は30体積%以下である。25体積%以下であることが非常に好ましい。その他の成分の含有量はこのとき相応に削減される。例えば、気体混合物の10体積%が酸素で構成されている場合には、その他の成分の含有量は例えば各々10%ずつ削減される。
【0032】
所望される場合、フッ素元素、フッ化カルボニルまたは、場合によって窒素、希ガスおよび/または酸素をも含むフッ素元素およびフッ化カルボニルの混合物は、当該技術分野において公知のエッチングガスと共に適用可能である。例えば、これらを、付加的なエッチングガスとしてのHBr、SFまたはNFと共に適用することができる。この場合、付加的なガスの含有量は好ましくは気体混合物の20重量%未満である。好ましい実施形態においては、フッ素元素、フッ化カルボニルまたはその混合物が、唯一のエッチングガスとして、特に好ましくは上述の通りアルゴン、酸素および/または窒素と共に適用される。ここで、アルゴン、酸素および/または窒素はそれぞれ合計で100体積%となる量である。
【0033】
上述の混合物は、異方性および等方性エッチングにおけるMEMS生産で適用できる。異方性エッチングにおいては、エッチングガスは、側壁に全くまたはほとんど影響を及ぼすことなく、トレンチの底面をエッチングすることにより、トレンチを形成する。異方性エッチングは、物理的エッチング(これは本質的にトレンチの底面をエッチングする)および化学的エッチング(これは底面と側壁をエッチングする)を平衡化させることで誘発できる。等方性エッチングが所望される場合、側壁エッチングの防止は不要である。異方性エッチングでは、側壁エッチングは望まれない。異方性エッチングの好ましい方法は、エッチングガス内に不動態化ガスを含み入れこの不動態化ガスが側壁を保護すること、またはエッチングガスで逐次的にエッチングして別のステップで不動態化ガスを用いて側壁上に不動態化層を形成することのいずれかによって実施される。
【0034】
トレンチの壁に保護層を形成してそれらがエッチャントと反応するのを防止するために、不動態化ガスが適用される。不動態化ガスの性質は、構造の種類により左右される。構造としてのシリコン用には、例えば臭素元素またはHBrなどの臭素源を不動態化ガスとして適用できる。非揮発性SiBr化合物の層が、保護層として形成される。シリコンと共に保護層を形成させるその他の供給源は、NO、NO、CO、CO、N、O、CSまたはSiClとNの組合せである。不動態化ガスは好ましくは、少なくとも1つのフッ素原子により置換された1〜6個の炭素原子を伴う環式、直鎖または分岐飽和脂肪族化合物からか、または少なくとも1つのフッ素原子により置換された2〜6個の炭素原子を伴う環式、直鎖または分岐不飽和脂肪族化合物から選択される。これらの化合物は、炭素およびフッ素および場合によって水素からなる。好ましくは、それぞれの飽和または不飽和化合物の水素原子の少なくとも50%は、フッ素原子により置換されている。1〜6個の炭素原子を有する飽和ヒドロフルオロカーボンおよび飽和フルオロカーボンおよび2〜6個の炭素原子を有する不飽和ヒドロフルオロカーボンおよび不飽和フルオロカーボンが好ましい。不動態化ガスとして適用可能である非常に好ましい化合物は、c−C、c−C、CH、CHF、CF、C、C、C、CおよびCである。化合物c−CおよびCFIも同様に適している。Cが、不動態化ガスとして特に好ましい。専門家であれば、適切な化合物の一部は、常用圧力で20℃より高い沸点を有することがわかっている。専門家は、これらの化合物については「気体(ガス)」という用語が「蒸気」を意味すると理解すべきであることを認識している。本発明の方法は、これらの化合物がもはや液体でなく蒸気となる充分低い圧力で実施されることから、これらの化合物は20℃で気体でなくても適切である。専門家はまた、これらの蒸気が気体のように機能することも認識している。
【0035】
特に、フルオロカーボン化合物(炭素とフッ素からなる)のみが不動態化ガスとして適用される場合、気体混合物内に水素を提供する気体も含み入れることが好ましい可能性がある。こうして、エッチング中の気体混合物の異方性効果は改善されるかもしれない。いかなる理論によっても拘束されることなく、水素がフッ素ラジカルを掃気して反応混合物中にフルオロカーボンラジカルを残すことは可能であるとみなされている。フルオロカーボンラジカルは優れたエッチャントであり、不動態化ガスの異方性効果をなおも改善する。こうして水素は、フッ素ラジカルとフルオロカーボンラジカルの間の比率の平衡化を可能にしていると思われる。フッ素ラジカルに比べてフルオロカーボンラジカルの占有率がより高いと、トレンチ壁上の保護層との反応が低減されると考えられている。水素元素または水素提供化合物、例えば水素含有フルオロカーボン、特にC1またはC2ヒドロフルオロカーボン、最も好ましくはジフルオロメタンおよびトリフルオロメタンが非常に適している。不動態化ガスは、さらに多い量で存在することさえ可能である。例えば、気体混合物は、最大45体積%の不動態化化合物を含んでいてよい。そのときその他の成分の1つまたは全ての含有量は、以上で記したものよりも低くなる。
【0036】
MEMS調製における不動態化のみ(異方性エッチング効果は低いかまたは全く無い)のための好ましい気体混合物としては、1〜6個の炭素原子(飽和)または2〜6個の炭素原子(不飽和)を伴う上述の脂肪族環式、直鎖または分岐フルオロカーボンまたはヒドロフルオロカーボンのうちの1つ以上が含まれる。場合によって、水素または水素放出ガス(熱条件下、特に200℃以上の温度下で、またはプラズマ内で水素を放出するガス)、好ましくはジフルオロメタンまたはトリフルオロメタンも、特にペルフルオロ化合物が不動態化ガスとして適用される場合に、同様に存在する。水素または水素放出ガスが存在する場合、好ましくはそれは1〜5体積%の量で含まれる。同様に、プラズマを改善するためにアルゴンを含み入れることも可能である。
【0037】
MEMSエッチングのための方法は、主として2つの選択肢の形で実施可能である。すなわち、構造はエッチングガスおよび不動態化ガスで同時に処理されるかまたはエッチングガスでの処理が1つのステップで実施され、不動態化ガスでの処理が別のステップで実施される。エッチングと不動態化が連続的に実施される第2案は、「ボッシュ」プロセスと呼ばれている。「ボッシュ」タイプのプロセスの方が好まれる。当然のことながら、処理は、所望の結果、例えばトレンチの深さが達成されるまで処理時間を延長することによって1回限りの処理として実施可能である。特にエッチングおよび不動態化が別々に実施される場合、エッチングおよび不動態化ステップは、所望の結果が達成されるまで連続的に数回反復される。エッチングと不動態化を連続的に実施することは技術的にも有利であるが、エッチングガスおよび不動態化ガスが望ましくない形で互いに反応すると予想される場合には、それが必須となるかもしれない。
【0038】
例えば、フッ素元素がエッチングガスとして適用され、不飽和フルオロカーボンまたは飽和あるいは不飽和ヒドロフルオロカーボンが不動態化ガスとして適用されるよう意図されている場合には、別々の連続ステップにおいてエッチングと不動態化を行なうことが強く推奨される。フッ素元素と不動態化ガスの間にいかなる副反応も予想されない場合でさえ、なおボッシュタイプのプロセスは、より高速であることから、同時のエッチングおよび不動態化に比べ有利である。
【0039】
フッ化カルボニルおよびCは、望ましくない反応が全く発生しないことから、別々のステップでまたは1つの同時エッチング/不動態化ステップで一緒に、場合によって窒素または希ガス、例えばアルゴンまたは水素放出ガスと混和した状態で適用可能である。フッ素元素およびペルフルオロカーボンも、いかなる不利な反応も予想されないことから、同時に適用することが可能であると考えられる(それでも、反応速度がさらに速い可能性があるため連続的適用が有利であるかもしれない)が、一方フッ素元素とCは、たとえ窒素および/または希ガスにより希釈された場合でもフッ素元素とCの間に付加反応が発生するかもしれないため、別々のエッチングおよび不動態化ステップで適用されるべきである。
【0040】
エッチングと不動態化が別々のステップで実施される場合には、エッチングを上述のエッチング混合物を用いて実施することができる。このとき不動態化は、以上で言及した不動態化ガスを用いて実施可能である。
【0041】
望ましい場合、エッチングおよび不動態化によりトレンチを形成した後、英国特許第2290413号明細書に記述されている通り、アンダーエッチングを達成するために付加的なステップ(または多数のステップ)を実施することができる。このステップでは、エッチングガスを適用することのみが好ましい。
【0042】
プラズマ処理の間の構造の温度は、一般に20℃〜100℃の範囲内に保たれるが、それより高くてもよい。プラズマ処理中の圧力は好ましくは1.5・10−2mbar〜15mbarに等しい。好ましくは、圧力は1・10−1mbar以上である。この圧力は好ましくは1.5mbar以下である。
【0043】
構造は可変的形態を有していてよいが、好ましくはウエハの形状をしている。好ましくは、構造はシリコンウエハである。
【0044】
エッチングは、微小機械構造を構築するために、例えばシリコンウエハなどのエッチングすべき品目の全厚みが使用されるバルクマイクロマシニングプロセスにしたがって実施することができる。あるいは、層がコーティングの適用およびその選択的エッチングによって生成される表面マイクロマシニング技術にしたがって、エッチングを実施することもできる。エッチングプロセスは一般に、ディープ反応性イオンエッチング技術において使用可能である。
【0045】
本発明に係る方法を応用して、上述の通り、微小電気機械システム、例えば加速度センサー、磁気記録ヘッド、インクジェットプリンタ、ジャイロスコープおよびその他の品目のための半導体を生産することができる。
【0046】
本発明の方法において有用であるいくつかの気体混合物は新規である。これらも同様に本発明の一態様であり、それ自体請求されている。本発明のこの態様においてもまた、「〜を含む(comprising)」という用語は、「〜からなる(consisting of)」という意味を含んでいる。これらの気体混合物は、添加されたハイポフルオライト、フルオロペルオキシドおよび/またはフルオロトリオキシドを全く含まず、好ましくはこの気体混合物は本質的にハイポフルオライト、フルオロペルオキシドおよび/またはフルオロトリオキシドを含んでいない。「本質的に」という用語は、これらの化合物のいずれの含有量も1体積%未満であること、好ましくは含有量が0体積%であることを表す。気体混合物は同様に、CN結合および水素を含有する化合物も含んでいない。
【0047】
以下の段落で詳述される気体混合物は、以上で言及した通り、それ自体請求されている。それらは、気体状態、液体状態、固体状態さらには超臨界状態にある可能性がある。それ自体請求されている気体混合物は好ましくは液体状態で存在する。例えばこれらを、加圧容器、例えばボンベ内に液体状態で収納することができる。当然のことながら、液体の上には、液体および容器の体積に応じて一定量の気体雰囲気が存在する。
【0048】
この態様の一実施形態は、フッ素元素およびフッ化カルボニルを含む混合物に関する。本発明に係る混合物は好ましくは、1:99〜99:1のモル比でフッ素元素およびフッ化カルボニルを含む。フッ素元素とフッ化カルボニルの分子比は好ましくは5:95以上である。好ましくは、それは95:5以下である。等モル量のフッ素元素とフッ化カルボニルからなる混合物は好ましくは排除される。
【0049】
フッ素元素およびフッ化カルボニルの混合物はさらに酸素、希ガス、窒素を含んでいてよい。希ガスは好ましくは、ヘリウムおよびアルゴンから選択され、したがってアルゴンが特に好ましい。これらの混合物はMEMSエッチングに特に適している。場合によって、これらの混合物は同様に不動態化ガス、好ましくは上述の通りの不動態化ガスも含んでいてよい。この不動態化ガスはフッ素元素と反応してはならない。ペルフルオロ化合物が非常に適している。
【0050】
フッ素元素、フッ化カルボニルそして場合によって酸素、アルゴンおよび/または窒素および、含まれている場合には不動態化ガスの量は上述されている。
【0051】
フッ素元素およびフッ化カルボニルのそれ自体請求されている混合物は、気体状態、液体状態、固体状態、またさらには超臨界状態にある可能性がある。気体混合物は好ましくは液体状態で存在する。例えば、これらを液体状態で加圧ボンベ内に収納することができる。
【0052】
本発明のこの態様の別の実施形態は、フッ化カルボニル、窒素および/または希ガス、場合によって不動態化ガスおよび場合によって水素または水素放出ガスを含む混合物に関する。好ましくは、希ガスは、ヘリウムおよびアルゴンから選択され、特に好ましくはアルゴンである。
【0053】
好ましい一実施形態によると、混合物は、フッ化カルボニルと窒素からなるか、またはフッ化カルボニルとアルゴンからなり、両方の選択肢において場合によって酸素をも含んでいる。フッ化カルボニルと窒素のみを含む混合物においては、フッ化カルボニルの含有量は好ましくは1体積%以上である。フッ化カルボニルの含有量は好ましくは75体積%以下である。窒素の含有量は好ましくは25体積%以上であり、好ましくは99体積%以下である。一実施形態において、混合物はフッ化カルボニルおよび窒素からなる。
【0054】
フッ化カルボニルとアルゴンを含む混合物において、アルゴンの含有量は好ましくは10体積%以上であり、好ましくは、80体積%以下である。フッ化カルボニルの含有量は好ましくは20体積%以上であり、好ましくは90体積%以下である。一実施形態において、混合物はフッ化カルボニルとアルゴンからなる。
【0055】
フッ化カルボニル、窒素およびアルゴンを含む混合物が特に好ましい。フッ化カルボニルの含有量は好ましくは1体積%以上であり、好ましくは50体積%以下である。アルゴンの含有量は好ましくは5体積%以上である。好ましくは、アルゴン含有量は50体積%以下であり、特にアルゴン含有量は40体積%以下である。窒素の含有量は好ましくは1体積%以上であり、好ましくは80体積%以下である。一実施形態において、混合物はフッ化カルボニル、窒素およびアルゴンからなる。
【0056】
混合物は同様に、酸素、水素、水素放出ガスおよび/または不動態化ガスも含んでいてよい。詳細は以上で説明されている。
【0057】
それ自体請求されているフッ化カルボニルおよび窒素および/または希ガスならびに場合によって不動態化ガスまたは水素の混合物は、気体状態、液体状態、固体状態さらには超臨界状態にある可能性がある。気体混合物は好ましくは、液体状態で存在する。例えばこれらの気体混合物を、液体状態で加圧ボンベ内に収納することができる。
【0058】
本発明の混合物は、例えば本発明による方法を実施するためだけでなく、その他のエッチングプロセス、例えば半導体製造、フラットパネルディスプレイ生産またはウエハ清浄などのためにも適している。
【0059】
本発明のこの態様のさらに別の実施形態は、フッ化カルボニルおよび不動態化ガスならびに場合によって窒素、希ガスおよび/または水素放出ガスを含む混合物に関する。これらの混合物は、同時のエッチングおよび不動態化に適している。アルゴンの存在が非常に好ましい。
【0060】
フッ化カルボニル、不動態化剤、アルゴンおよび場合によって窒素、水素または水素放出ガスを含む混合物においては、フッ化カルボニルの含有量は好ましくは15体積%以上、非常に好ましくは20体積%以上である。好ましくは、60体積%以下である。不動態化剤の含有量は好ましくは10体積%以上であり、非常に好ましくは15体積%以上である。不動態化ガスの含有量は好ましくは50体積%以下であり、非常に好ましくは45体積%以下である。アルゴンの含有量は好ましくは20体積%以上であり、非常に好ましくは25体積%以上である。好ましくはアルゴンの含有量は50体積%以下であり、非常に好ましくは40体積%以下である。窒素が含まれている場合、その含有量は、好ましくは1〜10体積%の範囲内にある。水素または水素放出ガスが含まれている場合、その含有量は好ましくは2体積%以上である。好ましくは、それは15体積%以下である。
【0061】
好ましくは、「不動態化ガス」という用語は、N、CO、CO、CHFCl、OまたはCO以外の無機または有機化合物を表す。適切な不動態化ガスは、熱条件下(200℃以上)またはプラズマ条件下でシリコンと反応して低揮発度のシリコン化合物を形成するか、または不動態化層を形成してエッチングから構造を保護する化合物である。特に好ましくは、「不動態化ガス」という用語は、少なくとも1つのフッ素原子により置換された1〜6個の炭素原子を伴う環式、直鎖または分岐飽和脂肪族化合物からか、または少なくとも1つのフッ素原子により置換された2〜6個の炭素原子を伴う環式、直鎖または分岐不飽和脂肪族化合物から選択される。これらの化合物は、炭素およびフッ素および場合によって水素からなる。好ましくは、それぞれの飽和または不飽和化合物の水素原子の少なくとも50%は、フッ素原子により置換されている。1〜5個の炭素原子を有する飽和ヒドロフルオロカーボンおよび飽和フルオロカーボンおよび2〜5個の炭素原子を有する不飽和ヒドロフルオロカーボンおよび不飽和フルオロカーボンが好ましい。不動態化ガスとして含まれる非常に好ましい化合物は、c−C、c−C、CH、CHF、CF、C、C、C、CおよびCである。Cが、不動態化ガスとして特に好ましい。化合物c−CおよびCFIも同様に適している。フッ化カルボニルと不動態化ガスの混合物はさらに、窒素、酸素および/または希ガスを含んでいてよい。不動態化ガスがペルフルオロカーボン化合物であることを条件として、フッ素元素さえ含むことができる。
【0062】
さらに一層好ましくは、混合物はフッ化カルボニル、Cおよびアルゴンならびに場合によって水素または水素放出ガスを含む。
【0063】
それ自体請求されているフッ化カルボニルと不動態化ガスの混合物は、気体状態、液体状態、固体状態さらには超臨界状態にある可能性がある。気体混合物は好ましくは液体状態で存在する。例えば、これらを液体状態で加圧ボンベ内に収納することができる。
【0064】
不動態化ガスを含むこれらの気体混合物は、それぞれエッチングステップ、不動態化ステップまたは組合わされたエッチングおよび不動態化ステップにおいて使用するのに特に適している。
【0065】
最後に、フッ素元素、窒素およびアルゴンならびに場合によって酸素からなるエッチングガス混合物が本発明のさらなる態様である。この気体混合物は、10体積%以上のフッ素元素を含む。それは25体積%以下、好ましくは25体積%未満のフッ素元素を含む。それは、5体積%以上のアルゴンを含む。それは15体積%以下のアルゴンを含む。それは65体積%以上の窒素を含む。それは80体積%以下の窒素を含む。この混合物は、MEMSエッチングに非常に適している。酸素が含まれている場合、それは好ましくは2〜15体積%の範囲内で存在する。その他の成分(フッ素元素、窒素、アルゴン)のうちの1つ以上の含有量は、このとき、成分が合計で100体積%となるように、より低くてもよい。
【0066】
それ自体請求されているフッ素元素、窒素およびアルゴンならびに場合によって酸素の混合物は、気体状態、液体状態、固体状態さらには超臨界状態にある可能性がある。気体混合物は好ましくは液体状態で存在する。例えば、これらを液体状態で加圧ボンベ内に収納することができる。
【0067】
フッ素元素はSFよりも効果的であり、フッ素元素およびフッ化カルボニルは両方共、低いGWP(地球温暖化係数)を有するということが分かっている。
【0068】
本発明について、ここで、以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0069】
実施例1:MEMS生産におけるシリコンのエッチングに適した混合物
一般的手順:異なる成分をそれぞれの保管用ボンベから気体形態でステンレス鋼容器へと移し、気体形態でその中に保管する。各気体の保管中の体積を制御することにより、表1内に記された適量の気体を含む気体混合物を調製する。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
実施例3:連続的エッチングおよび不動態化によるMEMSデバイスの調製(バルクマイクロマシニング)
MEMSデバイス用のシリコンウエハを、フォトレジストラッカーでコーティングする。所望のトレンチを含む所望の構造に応じて光に対してフォトレジストラッカーを部分的に曝露した後、ラッカーの未曝露部分を除去する。次に、シリコンウエハをプラズマチャンバ内に入れる。20体積%のフッ素元素、70体積%の窒素および10体積%のアルゴンからなる実施例1.1に係る予備混合したエッチング混合物を約0.2mbarの圧力でチャンバ内に導入し、マイクロ波放射を始動してプラズマ条件を開始させる。フォトレジストで覆われていない領域内のシリコンを等方性エッチングでとり除き、これによりシリコン内にトレンチが形成される。約20μmの幅のトレンチが形成された後、エッチングガスを反応装置から除去し、C(60体積%)とアルゴン(40体積%)からなる実施例1.5に係る不動態化ガスを反応装置内に導入し、マイクロ波放射を始動してプラズマを開始させる。反応装置内に導入されたヘキサフルオロブタジエンは本質的に、シリコン中に形成されたトレンチの壁上にフルオロポリマーコーティングを形成させ、一方アルゴンはプラズマを安定化させる。所望の厚みをもつコーティングが壁上に形成された後、不動態化ガスを除去し、反応装置内に新鮮なエッチングガスを再度導入する。その後シリコン層を再び等方性エッチングし、これにより第1のエッチングステップにおいて形成されたトレンチを深くする。不動態化層は、トレンチの壁を保護する。トレンチの所望の付加的深さが達成された時点で、エッチングを終了させ、エッチングガスをプラズマ反応装置から除去する。もう一度不動態化ガスを導入し、別の不動態化ステップを実施する。その後、不動態化ガスを除去し、異方性エッチングを続ける。所望の深さのトレンチが形成されるまで、エッチングと不動態化を連続的に実施する。エッチングされたウエハをチャンバから取出すことができる。
【0074】
実施例4:フッ化カルボニルエッチャントを用いたMEMSデバイスの調製(バルクマイクロマシニング)
単結晶シリコン製のウエハに二酸化ケイ素およびフォトレジストラッカーをコーティングする。その後ウエハを実施例3で記述された通りに、ただし実施例1.5に係るエッチャント混合物を用いて処理する。
【0075】
実施例5:同時のエッチングおよび不動態化によるMEMSデバイスの調製(バルクマイクロマシニング)
シリコンウエハを二酸化ケイ素の誘電体層でコーティングし、次にフォトレジストラッカーでコーティングする。所望のトレンチを含む所望の構造に応じてフォトレジストラッカーを部分的に光に曝露した後、ラッカーの未曝露部分を除去する。その後、シリコンウエハをプラズマチャンバ内に入れる。35体積%のフッ化カルボニル元素、30体積%のアルゴンおよび35体積%のCからなる実施例2.1に係る気体混合物を約0.2mbarの圧力でチャンバ内に導入し、マイクロ波放射を始動してプラズマ条件を開始させる。フォトレジストで覆われていない領域内の二酸化ケイ素をエッチングで取り除く。エッチング中にトレンチが形成される。同時に、トレンチの壁上にフルオロポリマー不動態化層が形成される。トレンチが所望の深さを有するまで処理を続ける。反応装置からエッチング/不動態化ガスを除去し、エッチング済みのシリコンウエハをチャンバから取り出す。
【0076】
実施例6:水素放出ガスを含む気体混合物を用いた同時のエッチングおよび不動態化によるMEMSデバイスの調製(バルクマイクロマシニング)
40体積%のフッ化カルボニル、20体積%のC、30体積%のアルゴンおよび10体積%のCHFからなる実施例2.2の気体混合物を用いて実施例5を反復する。
【0077】
実施例7:MEMSデバイスの調製(表面マイクロマシニング)
円形シリコンウエハディスクが、生産すべきMEMSの基盤となる。最初に窒化ケイ素層を、低圧CVD(化学蒸着)プロセスを用いてウエハ上に形成させる。次に二酸化ケイ素の犠牲層を、再びLPCVDを用いて被着させる。犠牲層によりビームはMEMSデバイス上を自由に移動できる。リソグラフィ技術を適用することにより、犠牲層は例えばHF/NHFでの湿式エッチングにより開放され、計画されているビームアンカリングを可能にする。その後、LPCVDを用いて、ポリシリコン層を被着させる。ポリシリコン層の規定構造の一部ではない層部分を除去するために、リソグラフィマスクを適用し、その後、表1のエッチングガス、例えば実施例1.1の気体混合物をプラズマチャンバ内に適用して、ウエハ上のポリシリコン層の所望でない部分を除去する。その後、構造材料として用いられるエポキシベースの樹脂であるフォトレジストSU8などの別の層を適用する。SU8についての詳細、およびその適用方法はhttp://www.geocities.com/guerinlj/?200720.に見出すことができる。
【0078】
MEMSを加熱するための手段としての金を、リフトオフプロセスにおいて適用し、リソグラフィを用いる電子ビーム蒸着法によって被着させ、その上に被着された金と共にSU8層の所望されない部分を除去して、所望の金構造のみを残す。このとき犠牲層を、例えば上述の湿式エッチング混合物と共に除去する。ここでビームは放出され、構造が完成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素元素またはフッ化カルボニル(COF)またはその両方の混合物を含むエッチングガスを適用して構造をエッチングするステップを含む構造から、微小電気機械システム(「MEMS」)を生産する方法。
【請求項2】
フッ素元素またはフッ化カルボニルが不活性希釈剤、酸素および/または不動態化剤と共に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エッチングと同時にまたはエッチングに引き続いて、前記構造のエッチングされた表面の少なくとも一部分が不動態化される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不動態化剤が、プラズマ中でフルオロポリマーを提供する有機化合物から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
不動態化ガスが、c−C、c−C、CH、CHF、CF、C、C、C、C、c−C、CFIおよびCから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
構造としてシリコンウエハが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
エッチングステップにおいて、フッ素元素、窒素およびアルゴンを含む気体混合物がエッチングガスとして適用され、不動態化ステップにおいて、不動態化を提供するためにCを含む不動態化ガスが適用され、これによりエッチングステップおよび不動態化ステップが相互に連続して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
フッ化カルボニルおよび窒素および/またはアルゴンを含む気体混合物がエッチングガスとして適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
フッ化カルボニルおよびフッ素元素を含む気体混合物。
【請求項10】
窒素と、アルゴンと、および/またはフッ素元素と混合可能な不動態化ガスとをさらに含む、請求項9に記載の気体混合物。
【請求項11】
フッ化カルボニルと、不動態化ガス、窒素およびアルゴンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含む気体混合物。
【請求項12】
フッ化カルボニルと不動態化ガス;フッ化カルボニルとアルゴン;フッ化カルボニルとアルゴンと窒素;またはフッ化カルボニル、不動態化ガスとアルゴン;またはフッ化カルボニル、またはフッ化カルボニル、不動態化ガスとアルゴンと窒素;またはフッ化カルボニル、不動態化ガスと水素または水素放出ガスを含む、請求項11に記載の気体混合物。
【請求項13】
前記不動態化ガスが、c−C、c−C、CH、CHF、CF、C、C、C、C、c−C、CFIおよびCから選択される、請求項9から12のいずれか一項に記載の気体混合物。
【請求項14】
10体積%以上のフッ素元素、25体積%以下のフッ素元素、5体積%以上のアルゴン、15体積%以下のアルゴン、65体積%以上の窒素、80体積%以下の窒素、そして場合によって2体積%〜15体積%の範囲内の酸素を含み、含有量が合計100体積%となる、フッ素元素、窒素およびアルゴンからなる気体混合物。
【請求項15】
液体状態の、請求項9、11または14に記載の気体混合物。
【請求項16】
容器内に圧縮された、請求項15に記載の気体混合物。

【公表番号】特表2011−506119(P2011−506119A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538649(P2010−538649)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067623
【国際公開番号】WO2009/080615
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】