説明

微粒子の製造方法および装置

【課題】微細かつ均一な粒径を有する品質の高い微粒子を高い生産性で得ることができる微粒子の製造方法および装置を提供すること。
【解決手段】任意の処理により生成された1次微粒子を、少なくとも1つ以上のサイクロン内に導入することにより、冷却と、任意に規定された粒径での分級とを実施し、分級により、前記粒径以上の粒径を有する粗大粒子を除去し、粗大粒子が除去された2次微粒子を回収することを特徴とする微粒子の製造方法、並びにこれを具体化した装置。
なお、前記1次微粒子を生成する処理において、前記微粒子製造用材料を蒸発させ気相状態の混合物とした後、この混合物を急冷するのに十分な供給量で、気体を、前記熱プラズマ炎の尾部(周端部)に向けて供給することも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱プラズマ法を用いる微粒子の製造方法および装置に関し、詳しくは、微細かつ均一な粒径を有する品質の高い微粒子を高い生産性で得ることが可能な微粒子の製造方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化物微粒子,窒化物微粒子,炭化物微粒子等の微粒子は、半導体基板,プリント基板,各種電気絶縁部品などの電気絶縁材料や、ダイス,軸受などの高硬度・高精度の機械工作材料や、粒界コンデンサ,湿度センサなどの機能性材料、精密焼結成形材料などの焼結体の製造や、エンジンバルブなどのような高温耐摩耗性が要求される材料などの溶射部品製造、さらには燃料電池の電極や電解質材料および各種触媒などの分野で用いられている。このような微粒子を用いることにより、焼結体や照射部品などにおける異種セラミックス同士や異種金属同士の接合強度や緻密性、あるいは機能性を向上させている。
【0003】
このような微粒子を製造する方法の一つに、気相法がある。気相法には、各種のガス等を高温で化学反応させる化学的方法と、電子やレーザなどのビームを照射して物質を分解・蒸発させ、微粒子を生成する物理的方法とがある。
【0004】
上記気相法の中の一つとして、熱プラズマ法がある。熱プラズマ法は、熱プラズマ中で原材料を瞬時に蒸発させた後、急冷凝固させ、微粒子を製造する方法であり、また、クリーンで生産性が高く、高温で熱容量が大きいため高融点材料にも対応可能であり、他の気相法に比べて複合化が比較的容易であるといった多くの利点を有する。このため、熱プラズマ法は、微粒子を製造する方法として積極的に利用されている。
【0005】
特許文献1には、粉末状にされた原材料を熱プラズマ炎中に導入(供給)する従来技術に関し、金属微粒子と被覆層との両粉末材料を複合化し、原材料混合物を不活性または還元性雰囲気の熱プラズマ(熱プラズマ炎)中に供給して原材料を蒸発させて気相状態の混合物にした後、この混合物を急冷して、酸化物金属被覆微粒子を製造する方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−219901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載された微粒子の製造方法は、粉末状にされた原材料を熱プラズマ炎中に供給し蒸発させて、気相状態となった混合物を急冷して微粒子を製造する手法である。一般的に、原材料が蒸発し気相状態となった混合物を、均一に冷却することは難しいため、生成される微粒子はその形状や粒径が不均一になり易く、また、生成した直後の微粒子同士が衝突して凝集が生じ、微粒子の均一性に悪影響を及ぼしている。
【0008】
なお、本発明者らは、先に特願2003−415560号「微粒子及びその製造方法」により、原材料を熱プラズマ炎中に導入(供給)する技術に関し、粉末原材料を溶媒中に入れてスラリーにし、このスラリーを液滴化させて熱プラズマ炎中に供給し蒸発させて、気相状態の混合物にした後、この気相状態となった混合物を急冷して、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体微粒子を製造する方法を開示している。
【0009】
本発明の目的は、前記特許文献1および上述の特願2003−415560号に記載された微粒子の製造方法における、生成された微粒子を回収する過程にさらなる改良を加えることで、上記特許文献1および特願2003−415560号における目的と同様に、微細かつ均一で所望の粒径を有する品質の高い微粒子を、高い生産性で得ることができる微粒子の製造方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る微粒子の製造方法は、請求項1に記載したように、任意の処理により生成された1次微粒子を、少なくとも1つ以上のサイクロン内に導入することにより、冷却と、任意に規定される粒径での分級とを実施し、前記分級により、前記粒径以上の粒径を有する粗大粒子を除去し、前記粗大粒子が除去された、粒径が100nm以下の2次微粒子を回収することを特徴とする。
ここで、前記1次微粒子を生成する処理は、微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給し、前記微粒子製造用材料を蒸発させ気相状態の混合物とする処理であることが好ましい(請求項2参照)。
【0011】
また、前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程は、前記微粒子製造用材料を分散媒中に分散させてスラリーにし、このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項3参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を可燃性材料中に分散させてスラリーとし、このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項4参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を分散媒と可燃性材料とを用いて分散させてスラリーにし、このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項5参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を分散媒中に分散させた後、さらに可燃性材料を加えてスラリーにし、このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項6参照)が好ましい。
【0012】
また、前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、前記微粒子製造用材料を分散媒中に懸濁させるか、もしくは微粒子製造用材料溶液を化学反応させてコロイド溶液とし、このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項7参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を可燃性材料中に懸濁させるか、もしくは微粒子製造用材料溶液を化学反応させてコロイド溶液とし、このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項8参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を分散媒と可燃性材料中に懸濁させるか、もしくは微粒子製造用材料溶液を化学反応させてコロイド溶液とし、このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項9参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を分散媒中に懸濁させるか、もしくは微粒子製造用材料溶液を化学反応させた後、さらに可燃性材料を加えてコロイド溶液とし、このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項10参照)が好ましい。
【0013】
また、前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、前記微粒子製造用材料を溶媒中に溶解させて溶液にし、この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項11参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を可燃性材料を用いて溶解させて溶液とし、この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項12参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を溶媒と可燃性材料とを用いて溶解させて溶液とし、この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項13参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を溶媒中に溶解させた後、さらに可燃性材料を加えて溶液とし、この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項14参照)が好ましい。
【0014】
また、前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、前記微粒子製造用材料をキャリアガス(噴霧ガスともいう)を用いて分散させ、この分散させた微粒子製造用材料を前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項15参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料をキャリアガス(または噴霧ガス)と可燃性材料とを用いて分散させ、この分散させた微粒子製造用材料を前記熱プラズマ炎中に供給するものであること(請求項16参照)が好ましい。
【0015】
本明細書中でいうスラリーとコロイド溶液並びに溶液の定義としては、液体中に普通の光学顕微鏡では認められないが、原子あるいは低分子よりは大きい固体粒子が分散した状態にあるものをコロイド溶液(ゾルとも呼ばれる)、これより大きい粒子、すなわち普通の光学顕微鏡で見える程度の大きさの粒子が分散した状態にあるものをスラリーとし、また、イオン化している状態にあるものを、過飽和状態となって析出物が存在している状態をも含めて溶液と、それぞれ呼んでいる。しかしながら、本発明は、このような分散状態の如何に関わるものではなく、要は、微粒子を形成するための前駆体を含めた微粒子製造用材料またはその分解物が、何らかの状態で気体を含めた分散媒中に分散している状態を出発状態とするものである。
【0016】
なお、前記可燃性材料は、熱プラズマ炎の温度を上昇させるとともに、前記熱プラズマ炎を安定化させる作用を有すること(請求項17参照)が好ましい。なお、この可燃性材料としては、液体状または固体状の各種のものが使用可能である。固体状の可燃性材料を使用する場合は、固体状の可燃性材料を溶媒(溶媒として用いられている可燃性材料を含む)中に分散ないし溶解させて用いることが好ましい。
【0017】
また、前記スラリー,コロイド溶液,溶液および分散させた微粒子製造用材料に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加すること(請求項18〜21参照)が好ましい。
さらに、前記微粒子製造用材料を構成する成分は、原子番号3〜6,11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体,金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物であること(請求項22参照)が好ましい。
【0018】
また、本発明に係る微粒子の製造方法においては、前記1次微粒子を生成する処理において、前記微粒子製造用材料を蒸発させ気相状態の混合物とした後、この混合物を急冷するための気体を、それに十分な供給量(好ましくは、前記熱プラズマ炎中に供給する気体の200%〜5000%)で、前記熱プラズマ炎の尾部(周端部)に向けて供給すること(請求項23参照)が好ましい。
なお、ここで、上述の熱プラズマ炎中に供給する気体とは、熱プラズマ炎を形成するプラズマガス(シースガス,セントラルガス)および微粒子製造用材料噴霧用ガス(噴霧ガスまたはキャリアガス)を合わせたものを指している。
【0019】
一方、本発明に係る微粒子製造装置は、請求項24に記載したように、微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する材料供給手段と、熱プラズマ炎を発生させて、前記微粒子製造用材料を蒸発させ気相状態の混合物にする、前記材料供給手段と接続されたプラズマトーチと、前記気相状態の混合物を急冷するのに必要な空間を形成する、前記プラズマトーチと接続された冷却室とを有する微粒子製造装置であって、前記気相状態の混合物を急冷することにより生成した1次微粒子を導入する、分級手段としての少なくとも1つ以上のサイクロンを有することを特徴とする。
なお、上記各手段に加えて、前記気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量で、気体を、前記熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって供給する気体供給手段を有することも好ましい。
【0020】
ここで、前記材料供給手段は、前記微粒子製造用材料を分散させたスラリーを調製・貯蔵する材料調製手段と、前記スラリーを前記プラズマトーチ内部の前記熱プラズマ炎中に噴霧するための、前記材料調製手段に接続される噴霧手段とを有すること(請求項25参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料を懸濁させるか、もしくは微粒子製造用材料溶液を化学反応させてコロイド溶液を調製し、これを貯蔵する材料調製手段と、前記コロイド溶液を前記プラズマトーチ内部の前記熱プラズマ炎中に噴霧するための、前記材料調製手段に接続される噴霧手段とを有すること(請求項26参照)が好ましい。
【0021】
また、もしくは、前記材料供給手段は、前記微粒子製造用材料を溶解させた溶液を調製・貯蔵する材料調製手段と、前記溶液を前記プラズマトーチ内部の前記熱プラズマ炎中に噴霧するための、前記材料調製手段に接続される噴霧手段とを有すること(請求項27参照)、もしくは、前記微粒子製造用材料としての粉末材料を、その貯蔵手段から送り出す粉末材料供給手段と、この粉末材料を分散して前記プラズマトーチ内部の前記熱プラズマ炎中に供給するための、前記粉末材料供給手段に接続される気体搬送手段とを有すること(請求項28参照)が好ましい。
【0022】
なお、本発明に係る微粒子の製造方法においては、前記サイクロンに、前記1次微粒子が10m/s以上の流速で供給されることが好ましい。
【0023】
また、本発明に係る微粒子の製造方法においては、前記サイクロン内の圧力が大気圧以下であることが好ましい。
【0024】
また、本発明に係る微粒子の製造方法において、前記冷却室内に供給する気体の、前記気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量とは、例えば、前記気相状態の混合物を急冷するのに必要な空間を形成する冷却室(チャンバ)において、そこに供給する気体の冷却室(チャンバ)での平均流速(以下、チャンバ内流速と呼ぶ)を、0.001〜60m/secとすることが好ましく、0.5〜15m/secとすることがより好ましい。
【0025】
ここで、本発明におけるサイクロン利用の意味について説明しておく。
「化学機械の理論と計算」(第2版)(亀井三郎著、産業図書、1974年刊)中のサイクロンに関する記載(例えば、482ページ)によれば、当時、高性能のもの(小型で圧損の大きいもの、例えば、マルチクロン)では、5μm程度までかなりとれるとあるが、その後、技術が進歩したとはいえ、現状でも、1次粒子の粒径が2μmまで分離できるものが限界とされている状況である。
【0026】
これに対して、本発明に係る微粒子の製造方法で対象とする微粒子の粒径は、上述のようなサイクロンの分離限界径よりもはるかに小さく、具体的には100nm以下である。このため、従来は、サイクロンを微粒子回収工程に利用することは考えられてはおらず、いわば、サイクロンの利用領域外ともいうべき領域であった。
【0027】
本発明者らは、この領域におけるサイクロンの利用について鋭意検討を続けた結果、サイクロンを、熱プラズマ炎で生成させた微粒子の冷却効果を高めるための「滞留時間延長手段」+「分級手段」として機能させることで、結果として、後述するような、微細かつ均一で所望の粒径を有する品質の高い微粒子を、高い生産性で得ることが可能な微粒子の製造方法および装置を実現したものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る微粒子の製造方法によれば、サイクロンを用いて、粉末状体の微粒子から、所望以上の粒径を有する粗大粒子を除去することにより、所望の粒径を有する微粒子のみを回収可能とし、これにより、均一で、所望の粒径を有する品質の高い微粒子を、極めて高い生産性で製造することができる。
【0029】
さらに、サイクロンを用いることで、サイクロン内での微粒子の冷却が可能となり、これまで、冷却機構として用いていたフィンまたは冷却路を設ける必要がなくなる。これにより、フィン内に堆積した微粒子を除去するために装置の稼動を停止させる必要がなくなり、装置の稼動時間を長期化することが可能となり、微粒子の回収歩留りも向上する。また、装置内にフィンまたは冷却路を設けるための製造装置の大型化を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
〔第一の実施形態〕
本発明に係る微粒子の製造方法を実施するための第一の実施形態として、スラリーを用いて微粒子を製造する方法およびそれに用いる製造装置について、添付の図面を用いて以下説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係る微粒子の製造方法を実施するための微粒子製造装置10の全体構成を示す模式図である。図2は、図1中に示したプラズマトーチ12付近の部分拡大図である。図3は、図1中に示したチャンバ16の天板17、およびこの天板17に備えられた気体射出口28aおよび気体射出口28b付近を拡大して示す断面図である。また、図4は、サイクロン19を拡大して示す断面図である。
【0032】
図1に示す微粒子製造装置10は、熱プラズマを発生させるプラズマトーチ12と、微粒子製造用材料をプラズマトーチ12内へ供給する材料供給装置14と、微粒子(1次微粒子)15を生成するための冷却槽としての機能を有するチャンバ16と、生成された1次微粒子15から任意に規定された粒径以上の粒径を有する粗大粒子を除去するサイクロン19と、サイクロン19により分級された所望の粒径を有する微粒子(2次微粒子)18を回収する回収部20とを含んで構成される。
【0033】
図2に示すプラズマトーチ12は、石英管12aと、その外側を取り巻く高周波発振用コイル12bとで構成されている。プラズマトーチ12の上部には、微粒子製造用材料と噴霧ガスとをプラズマトーチ12内に供給するための後述する供給管14fがその中央部に設けられており、プラズマガス供給口12cがその周辺部(同一円周上)に形成されている。
【0034】
プラズマガスは、プラズマガス供給源22からプラズマガス供給口12cへ送り込まれる。プラズマガスとしては、例えばアルゴン、窒素、水素、酸素等が挙げられる。プラズマガス供給源22には、例えば2種類のプラズマガスが準備されている。プラズマガスは、プラズマガス供給源22からリング状のプラズマガス供給口12cを介して、矢印Pで示されるようにプラズマトーチ12内に送り込まれる。そして、高周波発振用コイル12bに高周波電流が印加されて、熱プラズマ炎24が発生する。
【0035】
なお、石英管12aの外側は、同心円状に形成された管(図示されていない)で囲まれており、この管と石英管12aとの間に冷却水を循環させて石英管12aを水冷し、プラズマトーチ12内で発生した熱プラズマ炎24により石英管12aが高温になりすぎるのを防止している。
【0036】
材料供給装置14は、管26と供給管14fを介してプラズマトーチ12の上部に接続され、微粒子製造用材料を分散させてプラズマトーチ12内へ供給する。本実施形態では、スラリーにした粉末材料を用いる。すなわち、粉末状にされた微粒子製造用材料(以下、これを粉末材料という)を分散媒中に入れて攪拌することにより調製されたスラリー14aが、材料供給装置14から供給される。
【0037】
材料供給装置14は、スラリー14aを入れる容器14bと、容器14b中のスラリー14aを攪拌する攪拌機14cと、供給管14fを介してスラリー14aに高圧をかけプラズマトーチ12内に供給するためのポンプ14dと、スラリー14aをプラズマトーチ12内へ噴霧するための噴霧ガスを供給する噴霧ガス供給源14eと、スラリー14aを液滴化しプラズマトーチ12内部に供給する供給管14fを含み構成されている。
【0038】
押し出し圧力をかけられた噴霧ガスが、噴霧ガス供給源14eからスラリー14aと共に、図2中に矢印Gで示されるように供給管14fを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中へ供給される。供給管14fは、スラリーをプラズマトーチ内の熱プラズマ炎24中に噴霧し液滴化するための二流体ノズル機構を有しており、これにより、スラリー14aをプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に噴霧する、つまり、スラリー14aを液滴化させることができる。噴霧ガスにはアルゴン,窒素,水素,酸素,空気等が単独または適宜組み合わせて用いられる。
【0039】
このように、二流体ノズル機構は、スラリーに高圧をかけ、気体である噴霧ガスによりスラリーを噴霧することができ、スラリーを液滴化させるための一つの方法として用いられる。例えば、ノズルに内径1mmのものを用いた場合、供給圧力を0.2〜0.3MPaとして毎分20mlでスラリーを流し、毎分10〜20lで噴霧ガスを噴霧すると、約5〜10μm程度の液滴が得られる。
【0040】
なお、本実施形態では二流体ノズル機構を用いたが、一流体ノズル機構を用いてもよい。さらに他の方法として、例えば、回転している円板上にスラリーを一定速度で落下させて遠心力により液滴化する(液滴を形成する)方法、スラリー表面に高い電圧を印加して液滴化する(液滴を発生させる)方法等が考えられる。
【0041】
一方、図1に示したように、チャンバ16がプラズマトーチ12の下方に隣接して設けられている。プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に噴霧されたスラリー14aは、蒸発して気相状態の混合物になり、その直後に上記気相状態の混合物がチャンバ16内で急冷され、1次微粒子15が生成される。つまり、チャンバ16は冷却槽としての機能を有する。
【0042】
また、ここでは、微粒子をより一層効率的に製造する方法の一つとして、上記気相状態の混合物を急冷するための気体供給装置28を備えている。以下、この気体供給装置28について説明する。
【0043】
図1,図3に示す気体供給装置28は、熱プラズマ炎24の尾部(プラズマガス供給口12cと反対側の熱プラズマ炎の端、つまり、熱プラズマ炎の終端部)に向かって、所定の角度で気体を射出する気体射出口28aと、チャンバ16の側壁に沿って上方から下方に向かって気体を射出する気体射出口28bと、チャンバ16内に供給する気体に押し出し圧力をかけるコンプレッサ28cと、チャンバ16内に供給する上記気体の供給源28dと、それらを接続する管28eとから構成されている。なお、コンプレッサ28cは、ブロアでもよい。
【0044】
なお、上記気体射出口28aから射出する気体は、後に詳述するように、チャンバ16内で生成される1次微粒子15を急冷する作用以外にも、気体射出口28bから射出する気体とともに、サイクロン19における1次微粒子15の分級に寄与する等の付加的作用を有するものである。
上述のコンプレッサ28cと気体供給源28dは、管28eを介してチャンバ16の天板17に接続されている。
【0045】
ここで、上記気体射出口28bは、気体供給装置28の外側部天板部品17b内に形成されたスリットであり、生成した1次微粒子15がチャンバ16の内壁部に付着するのを防止するとともに、1次微粒子15を下流のサイクロン19で任意の分級点で分級できる流速を与えられる量の気体を射出できることが好ましい。上記気体射出口28bからは、チャンバ16の内壁に沿って上方から下方に向かって気体が射出される。
【0046】
気体供給源28d(図1および図3参照)から矢印Sに示されるように管28eを介して天板17(詳しくは、外側部天板部品17bおよび上部外側部天板部品17c)内に供給された気体は、ここに設けられた通気路を介して気体射出口28bから(後述するように、気体射出口28aからも)射出される。
【0047】
材料供給装置14からプラズマトーチ12内に射出された(液滴化された)スラリーは、熱プラズマ炎24中で反応して蒸発した気相状態の混合物となる。そして、この気相状態の混合物は、上記気体射出口28aから射出される(矢印Q参照)気体によりチャンバ16内で急冷され、1次微粒子15が生成される。この際、気体射出口28bから射出される(矢印R参照)気体により、1次微粒子15がチャンバ16の内壁に付着することが防止される。
【0048】
チャンバ16の側方下部には、生成された1次微粒子15を所望の粒径で分級するためのサイクロン19が設けられている。このサイクロン19は、図4に示すように、チャンバ16から1次微粒子15を供給する入口管19aと、この入口管19aと接続され、サイクロン19の上部に位置する円筒形状の外筒19bと、この外筒19b下部から下側に向かって連続し、かつ、径が漸減する円錐部19cと、この円錐部19c下側に接続され、上述の所望の粒径以上の粒径を有する粗大粒子を回収する粗大粒子回収チャンバ19dと、後に詳述する回収部20に接続され、外筒19bに突設される内管19eとを備えている。
【0049】
入口管19aから、チャンバ16内にて生成された1次微粒子15を含んだ気流が、外筒19b内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が図4中に矢印Tで示すように外筒19bの内周壁から円錐部19c方向に向かって流れることで、旋回する下降流が形成される。
【0050】
そして、上述の旋回する下降流は、円錐部19c内周壁でさらに加速され、その後反転し、上昇流となって内管19eから系外に排出される。また、気流の一部は、粗大粒子回収チャンバ19dに流入する前に円錐部19cで反転し、内管19eから系外に排出される。粒子には、旋回流により遠心力が与えられ、遠心力と抗力とのバランスにより、粗大粒子は壁方向に移動する。また、気流から分離した粒子は、円錐部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。ここで、十分に遠心力が与えられない微粒子は、円錐部19c内周壁での反転気流とともに、系外へ排出される。
【0051】
また、内管19eを通して、後に詳述する回収部20から負圧(吸引力)が生じるようになっている。そして、この負圧(吸引力)によって、上述の旋回する気流から分離された微粒子が、図4中の矢印Uで示すように吸引され、内管19eを通して回収部20に送られるようになっている。
【0052】
サイクロン19内の気流の出口である内管19eの延長上には、2次微粒子18を回収する回収部20が設けられている。この回収部20は、回収室20aと、回収室20a内に設けられたバグフィルター20bと、回収室20a内下方に設けられた管を介して接続された真空ポンプ(図示せず)とを備えている。サイクロン19から送られた微粒子は、真空ポンプ(図示せず)で吸引されることにより、回収室20a内に引き込まれ、バグフィルター20bの表面で留まった状態にされて回収される。
【0053】
以下、上述のように構成される微粒子製造装置10の作用を述べつつ、この微粒子製造装置10を用いて、本発明の第一の実施形態に係る、スラリーを用いた微粒子の製造方法、およびこの製造方法により生成された微粒子について説明する。
【0054】
本実施形態に係る微粒子の製造方法では、まず、微粒子製造用材料である粉末材料を分散媒中に分散させスラリーにする。このとき、スラリー中の粉末材料と分散媒との混合比は、一例として6:4(60%:40%)とすることが考えられる。
また、上記スラリーにさらに、自身が燃焼する可燃性材料を添加・混合するのが好ましく、粉末材料と、分散媒と、可燃性材料との質量比を適宜選択してスラリーを調製することができる。具体的には、粉末材料と分散媒と可燃性材料との質量比は、一例として40:30:30とすることが考えられるが、粉末材料と分散媒と可燃性材料との質量比を適宜変更して、スラリーを調製することができる。
【0055】
より具体的には、粉末材料と分散媒と可燃性材料との合計質量を100%として、粉末材料はその内の1〜80%、また、この残りを100%とした場合に、分散媒はその内の0.1〜99.9%、可燃性材料はその内の99.9〜0.1%の範囲内で、かつ、合計質量が常に100%となる範囲内で適宜変更してもよい。
【0056】
ここで、粉末材料は、熱プラズマ炎により蒸発させられるものであれば、その種類を問わないが、好ましくは、以下のものがよい。すなわち、原子番号3〜6,11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体,金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物を適宜選択すればよい。
【0057】
なお、単体酸化物とは酸素以外に1種の元素からなる酸化物をいい、複合酸化物とは複数種の酸化物から構成されるものをいい、複酸化物とは2種以上の酸化物からできている高次酸化物をいい、酸化物固溶体とは異なる酸化物が互いに均一に溶け合った固体をいう。また、金属とは1種以上の金属元素のみで構成されるものをいい、合金とは2種以上の金属元素から構成されるものをいい、その組織状態としては、固溶体,共融混合物,金属間化合物あるいはそれらの混合物をなす場合がある。
【0058】
また、水酸化物とは水酸基と1種以上の金属元素から構成されるものをいい、炭酸化合物とは炭酸基と1種以上の金属元素から構成されるものをいい、ハロゲン化物とはハロゲン元素と1種以上の金属元素から構成されるものをいい、硫化物とは硫黄と1種以上の金属元素から構成されるものをいう。また、窒化物とは窒素と1種以上の金属元素から構成されるものをいい、炭化物とは炭素と1種以上の金属元素から構成されるものをいい、水素化物とは水素と1種以上の金属元素から構成されるものをいう。また、金属塩は少なくとも1種以上の金属元素を含むイオン性化合物をいい、金属有機化合物とは1種以上の金属元素と少なくともC,O,N元素のいずれかとの結合を含む有機化合物をいい、金属アルコキシドや有機金属錯体等が挙げられる。
【0059】
例えば、単体酸化物としては、酸化チタン(TiO),酸化ジルコニウム(ZrO),酸化カルシウム(CaO),酸化珪素(SiO),酸化アルミニウム(アルミナ:Al),酸化銀(AgO,AgO,Ag),酸化鉄(FeO,Fe,Fe),酸化マグネシウム(MgO),酸化マンガン(Mn,MnO,Mn,MnO,Mn),酸化イットリウム(Y),酸化セリウム、酸化サマリウム,酸化ベリリウム(BeO),酸化バナジウム(V),酸化クロム(Cr),酸化バリウム(BaO)などを挙げることができる。
【0060】
また、複合酸化物としては、アルミン酸リチウム(LiAlO),バナジウム酸イットリウム,リン酸カルシウム,ジルコン酸カルシウム(CaZrO),ジルコン酸チタン鉛,酸化チタン鉄(FeTiO),酸化チタンコバルト(CoTiO)等を、複酸化物としては、錫酸バリウム(BaSnO),(メタ)チタン酸バリウム(BaTiO),チタン酸鉛(PbTiO),チタン酸バリウムに酸化ジルコニウムと酸化カルシウムが固溶した固溶体などを挙げることができる。
さらに、水酸化物としてはAl(OH)、炭酸化合物としてはCaCO、ハロゲン化物としてはMgF、硫化物としてはZnS、窒化物としてはTiN、炭化物としてはSiC、水素化物としてはTiH等を挙げることができる。
【0061】
また、ここで用いる可燃性材料は、熱プラスマ炎24を安定させるような作用を有するもので、沸点が20℃〜400℃であるものが好ましい。具体的には、例えば、ケロシン,ガソリン,オクタン,アルコール類等を使用することができる。この可燃性材料を粉末材料が分散した分散媒中に混入させることにより、反応場の温度が上昇し反応が促進されることに加え、可燃性材料自身の燃焼により炎が拡大されるため、反応に用いる熱プラズマ炎24が可燃性材料を用いない場合より安定し、安定した連続運転を実施することができる。
【0062】
なお、前述の通り、この可燃性材料としては、液体状のみならず、各種の固体状のものも使用可能である。固体状の可燃性材料を使用する場合には、固体状の可燃性材料を溶媒(溶媒として用いられている可燃性材料を含む)中に分散ないし溶解させて用いることが好ましい。
【0063】
さらに、スラリー14aを作成する際に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加してもよい。界面活性剤としては、例えばノニオン性界面活性剤であるソルビタン脂肪酸エステル、高分子としては、例えばポリアクリル酸アンモニウム、カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤等が用いられる。界面活性剤、高分子、カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物をスラリー14aに添加することにより、粉末材料が分散媒で凝集することをより効果的に防いで、スラリー14aを安定化させることができる。なお、スラリー14aの分散媒には、例えば、水、アルコール等の液体が用いられる。
【0064】
上記のようにして作成されたスラリー14aは、図1に示すように、材料供給装置14の容器14b内に入れられ、攪拌機14cで攪拌される。これにより、分散媒中の粉末材料が沈澱することを防止し、分散媒中で粉末材料が分散された状態のスラリー14aが維持される。なお、材料供給装置14に粉末材料と、分散媒と、可燃性材料とを供給して、スラリーを調製してもよい。
【0065】
次に、前述の二流体ノズル機構を用いてスラリー14aを液滴化させ、熱プラズマ炎24中に供給してスラリー14aを蒸発させ、気相状態の混合物にする。つまり、液滴化されたスラリー14aは、プラズマトーチ12内に供給されることにより、プラズマトーチ12内に発生している熱プラズマ炎24中に供給され、蒸発する結果、気相状態の混合物となる。
【0066】
なお、液滴化されたスラリー14aが熱プラズマ炎24中で気相状態になる必要があるため、熱プラズマ炎24の温度は、スラリーに含まれる原材料(粉末材料)の沸点よりも高いことが必要である。一方、熱プラズマ炎24の温度が高いほど、容易に原材料が気相状態となるので好ましいが、特に温度は限定されず、原材料に応じて温度を適宜選択してよい。例えば、熱プラズマ炎24の温度を6000℃とすることもできるし、理論上は、10000℃程度に達するものと考えられる。
【0067】
また、プラズマトーチ12内における圧力雰囲気は、大気圧以下であることが好ましい。ここで、大気圧以下の雰囲気については、特に限定されないが、例えば5Torr〜750Torrとすることが考えられる。
【0068】
次に、熱プラズマ炎24中でスラリーが蒸発し気相状態となった混合物を、チャンバ16内で急冷することにより、1次微粒子15が生成される。詳しくは、熱プラズマ24中で気相状態となった混合物が、気体射出口28aを介して矢印Qで示される方向に射出される気体によって急冷され、1次微粒子15が生成される。
【0069】
従って、上記気体射出口28aから射出される気体の量は、1次微粒子を生成する過程において、前記微粒子製造用材料を蒸発させ気相状態の混合物とした後、この混合物を急冷するに十分な供給量であることが必要であるが、これとともに、前記気体射出口28bから射出される気体の量、さらには、下記の熱プラズマ炎中に供給する気体の量と合わせて、1次微粒子15を下流のサイクロン19で任意の分級点で分級できる流速が得られ、かつ、熱プラズマ炎の安定を妨げない程度の量であることが好ましい。
【0070】
なお、上述の気体射出口28aから射出される気体の量と気体射出口28bから射出される気体の量とを合わせた射出量は、上記熱プラズマ炎中に供給する気体の200%〜5000%とするのがよい。ここで、上述の熱プラズマ炎中に供給する気体とは、熱プラズマ炎を形成するシースガス,セントラルガスおよび微粒子製造用材料噴霧用ガス(噴霧ガスまたはキャリアガス)を合わせたものを指している。
【0071】
また、熱プラズマ炎の安定を妨げない限り、上記射出される気体の供給方法や供給位置などは、特に限定されない。本実施形態に係る装置では、天板17に円周状のスリットを形成して気体を射出しているが、熱プラズマ炎からサイクロンまでの経路上で、確実に気体を供給可能な方法や位置であれば、他の方法,位置でも構わない。
【0072】
最終的にチャンバ16内で生成した1次微粒子は、サイクロン19の入口管19aから、気流とともに外筒19bの内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が図4中の矢印Tで示すような外筒19bの内周壁に沿って流れることにより、旋回流を形成して下降する。そして、この旋回流は円錐部19c内周壁でさらに加速され、その後反転し、上昇流となって、内管19eから系外に排出される。また、気流の一部は、粗大粒子回収チャンバ19dに流入する前に円錐部19c内周壁で反転し、内管19eから系外に排出される。
【0073】
粒子には、旋回流により遠心力が与えられ、遠心力と抗力とのバランスにより、粗大粒子は壁方向に移動する。また、気流から分離された粒子は、円錐部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。ここで、十分に遠心力が与えられない微粒子は、円錐部19c内周壁での反転気流とともに、系外へ排出される。このときのサイクロン19内への気流の流速は、好ましくは、10m/s以上である。
【0074】
一方、微粒子は、回収部20からの負圧(吸引力)によって、図4中の矢印Uで示すように吸引され、内管19eを通して回収部20に送られ、回収部20のバグフィルター20bで回収される。このときのサイクロン19内の内圧は、大気圧以下であることが好ましい。また、微粒子の粒径は、目的に応じて任意の粒径が規定される。
【0075】
なお、本発明に係る微粒子の製造方法においては、微粒子の生成方法は、上記の方法に限定されず、いかなる方法を用いてもよい。
また、本発明に係る微粒子の製造方法においては、使用するサイクロンの個数は、1つに限定されず、2つ以上でもよい。
【0076】
ここで、キャリアガスまたは噴霧ガスとしては、一般には、空気,窒素,アルゴンまたは水素等の使用が考えられるが、生成される微粒子が酸化物微粒子の場合には、キャリアガスまたは噴霧ガスとして酸素を用いると良い。なお、キャリアガスまたは噴霧ガスは、必ずしも供給しなくてもよい。
【0077】
本実施形態に係る製造方法により製造される微粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち、均一な粒径を有し、1μm以上の粗大粒子の混入が殆んどなく、具体的には、その平均粒径が1〜100nmである。本実施形態に係る微粒子の製造方法では、例えば単体無機物,単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体,金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,燐酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,単体窒化物,複合窒化物,単体炭化物,複合炭化物または水素化物等の微粒子を製造することができる。
【0078】
本実施形態に係る製造方法のように、粉末材料が分散媒中に分散された状態では、粉末材料の凝集が解消され、分散媒中で原材料の粒子が分散した状態となっている。このような分散媒中に可燃性材料を混入させることにより、反応温度が上昇し、熱プラズマ炎発生領域が拡大される。この作用を受けて、反応が促進され、粉末材料の蒸発量が増加することにより、本実施形態に係る製造方法では、生成される微粒子の回収率が増加する。さらに、可燃性材料の燃焼による炎の発生により、熱プラズマ炎発生領域が拡大し、熱プラズマ炎の安定性が向上する。
【0079】
また、本実施形態に係る製造方法では、ガスを供給し、装置内の流速を任意に制御することで、装置内に設けたサイクロンで微粒子を分級可能としている。これは、凝固した微粒子同士が衝突し凝集しないように希釈され、より微細な微粒子を生成する効果がある。そこで、本実施形態に係る製造方法では、反応条件を変えることなく、気体の流速、もしくはサイクロン内径を変えることで、任意の分級点で粗大粒子を分離できるため、粒径が微細かつ均一で、品質のよい高純度の微粒子を高い生産性で製造することが可能になる。
【0080】
さらに、本実施形態に係る製造方法では、サイクロン内で旋回流を生じるため滞留時間が長くなり、サイクロン内で微粒子が冷却されるようになるので、これまで冷却機構として用いていたフィンや冷却路を設ける必要がなくなる。そのため、フィン内に堆積した微粒子除去のための装置の稼動を停止させる必要がなくなり、装置の稼動時間を長期化することが可能になる。さらに、サイクロン全体を水冷ジャケット構造とすることで、冷却効果をより一層高めることができる。
【0081】
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態として、コロイド溶液を用いて微粒子を製造する製造方法について、添付の図面を用いて以下説明する。
【0082】
前述の通り、本明細書中では、スラリーとコロイド溶液の差異は、主として、液体中に分散されている粒子の大きさや形状にあるものとしている。コロイド粒子は、必ずしも一般的な粒子の形状でなくてもよく、非晶質であってもよい。従って、本実施形態に係る微粒子の製造方法に用いる微粒子製造装置は、上述した第一の実施形態で使用した微粒子製造装置(図1参照)と同様の構成をとることができる。そこで、上述した微粒子製造装置を用いる微粒子の製造方法について、以下に説明する。
【0083】
本実施形態に係る微粒子の製造方法におけるコロイド溶液の調製方法としては、例えば、各種の金属アルコキシドを原料として用いるゾル−ゲル法(金属アルコキシド法または単にアルコキシド法と呼ばれる)が挙げられる。ここで使用する溶媒としては、アルコール系溶媒(エタノール,プロパノール等)が好適に用い得る。ゾル−ゲル法以外に、共沈法,還元法やエマルジョン法など様々な液相合成法で、コロイド溶液を調製することができる。
【0084】
金属アルコキシドとしては、種々の金属を原料とするものが市販されており、例えば、Si、Ti,Zr,Al等、あるいはLa−Al,Mg−Al,Ni−Al,Zr−Al,Ba−Zr(二金属アルコキシド)等を原料とするものが挙げられる。これらの金属アルコキシドは、通常は固体であるが、液体の場合もある。
【0085】
可燃性材料(可燃性溶媒)を用いる場合には、前記実施形態の説明中で説明した各種のものが好適に用い得る。この可燃性材料を上述のコロイド溶液と混合することにより、反応温度が上昇し反応が促進されることに加え、可燃性材料自身の燃焼により炎が拡大されるため、反応に用いる熱プラズマ炎がより安定することにより、安定した連続運転を実施することが可能になる。
【0086】
上述したように、微粒子製造用材料と、溶媒と、可燃性材料とを分散・混合して調製されたコロイド溶液を、図1に示す材料供給装置14の容器14bに供給し、攪拌機14cで十分に攪拌する。これにより、コロイド溶液中における分散状態が良好に維持される。なお、微粒子製造用材料と、溶媒と、可燃性材料とを容器14bに供給して懸濁させるか、もしくは微粒子製造用材料溶液を化学反応させて、上記コロイド溶液を材料供給装置14で調製するようにしてもよい。
【0087】
以後は、前述の実施形態に示した、粉末材料をスラリーにして使用した微粒子の製造方法と同様の方法(気体供給条件を含めて)で微粒子を生成する。
本実施形態に係る微粒子の製造方法により製造される微粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち均一な粒径を有し、粗大粒子の混入が少なく、具体的には、その平均粒径は3〜70nmである。
【0088】
本実施形態に係る微粒子の製造方法によっても、例えば酸化物微粒子、より詳しくは、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体等の微粒子を製造することができる。また、さらに、金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物等を原材料とする化学変化を伴う微粒子も製造することができる。
【0089】
〔第三の実施形態〕
次に、本発明の第三の実施形態として、溶媒に原材料を溶解させた溶液を使用する微粒子の製造方法について説明する。なお、本実施形態において使用する原材料(微粒子製造用材料)の形態は、固体,液体、その他どのようなものであっても構わない。
本実施形態に係る微粒子の製造方法に用いる微粒子製造装置も、前述した第一の実施形態で使用した微粒子製造装置(図1参照)と同様の構成をとることができる。そこで、上述した微粒子製造装置を用いる微粒子の製造方法について、以下に説明する。
【0090】
本実施形態に係る微粒子の製造方法では、まず、原材料を溶媒中に溶解させて溶液にする。前述の通り、ここでいう溶液とは、イオン化している状態にあるものを、過飽和状態となって析出物が存在している状態をも含めて呼んでいる。ここで使用する溶媒としては、水,酸,アルカリ,アルコール,ケトン,エーテル等が好適に用い得る。また、原材料は、使用する溶媒に溶解するものであるため、使用する溶媒によって制限されるが、硝酸塩,酢酸塩,アンモニウム塩,水酸化物,金属アルコキシド,有機金属錯体等が用い得る。なお、ここで、原材料として金属塩または金属アルコキシドを使用して、それらの微粒子を生成するのが好ましい。
【0091】
上述のように溶液を調製する場合、その濃度は飽和溶解度、あるいはこれをある程度まで超えた濃度(過飽和状態)まで濃くすることができる。また、この溶液に可燃性材料を添加・混合することができる。原材料と、溶媒並びに可燃性材料の混合比については前述の通りである。
【0092】
なお、原材料として金属塩または金属アルコキシドを用いる場合は、これらを溶媒中に溶解させることで溶液を調製する。溶液中の金属塩または金属アルコキシドの濃度は、飽和溶解度まで濃くすることができる。また、この溶液に、可燃性材料を添加・混合することもできる。このときの金属塩または金属アルコキシドと溶媒並びに可燃性材料の混合比(質量比)については、適宜選択してよく、具体的には、金属塩または金属アルコキシドと溶媒と可燃性材料の質量比を、例えば10:50:40とするとよい。
【0093】
ここで、金属塩としては、原子番号3〜6,11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むイオン性化合物から選択すればよい。具体的には、硝酸アルミニウム,硝酸亜鉛,硝酸イットリウム,硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム,塩化チタン等を挙げることができる。
また、上記溶媒としては、例えば水,メタノール,エタノール,アセトン等を用いればよい。
【0094】
上記金属アルコキシドについては、所望のものを適宜選択すればよく、例えば、溶媒に溶解させる金属アルコキシドとしては、Si系(テトラエトキシシラン)やTi系(テトライソプロポキシシラン)を挙げることができる。また、その溶媒としては、アルコール系溶媒(例えば、エタノールやプロパノール等)を用いればよい。
【0095】
また、可燃性材料については、前記実施形態の説明中で説明した各種のものが好適に用い得る。この可燃性材料と金属塩溶液とを混合することにより、反応温度が上昇し反応が促進されることに加え、可燃性材料自身の燃焼により炎が拡大されるため、反応に用いる熱プラズマ炎がより安定することにより、安定した連続運転を実施することができる。
【0096】
上述したように、微粒子製造用材料である金属塩と、溶媒と、可燃性材料とを混合して調製された溶液を、図1に示す材料供給装置14の容器14bに供給し、攪拌機14cで十分に攪拌する。これにより、金属塩と可燃性材料が均一に分散された状態である溶液が維持される。なお、金属塩と、溶媒と、可燃性材料を容器14bに供給し、上記溶液を材料供給装置14で調製してもよい。
【0097】
以後は、前述の実施形態に示した、粉末材料をスラリーにして使用した微粒子の製造方法と同様の方法で微粒子を生成する。
本実施形態に係る微粒子の製造方法により製造される微粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち、均一な粒径を有し、粗大粒子の混入が少なく、具体的には、平均粒径は、3〜100nmである。本実施形態に係る微粒子の製造方法では、例えば金属、単体酸化物、複合酸化物、複酸化物、酸化物固溶体、単体窒化物、複合窒化物、単体炭化物、または複合炭化物等の微粒子を製造することができる。
【0098】
また、本実施形態に係る微粒子の製造方法では、粉末材料を溶媒中に溶解させた溶液を使用するために、微粒子を製造する際の原料となる金属を容易に分散させることができ、その分散性も非常に高い。従って、より微細でかつ均一な粒径を有する微粒子を生成することができる。
【0099】
〔第四の実施形態〕
また、本発明の第四の実施形態として、粉末材料を(溶媒等を用いずに)分散させて熱プラズマ炎中に供給する微粒子の製造方法について説明する。
なお、本実施形態に係る微粒子製造装置と、上述した第一〜第三の実施形態における微粒子製造装置とは、材料供給装置を除きその構成を同様のものとすることができる。また、微粒子の製造方法に関しても、同様である。
【0100】
本実施形態では、上述した第一〜第三の実施形態において使用した微粒子製造装置(図1参照)の材料供給装置14を、粉末材料を使用するのに適した装置に変更した微粒子製造装置を使用して、微粒子を製造する。但し、ここでも、上述した第一〜第三の実施形態と同様に、粉末材料が熱プラズマ炎中に供給される際に、分散されている必要がある。
【0101】
そこで、本実施形態における材料供給装置は、粉末材料を分散状態(いわゆる、一次粒子の状態)に維持しつつ定量的にプラズマトーチ内部の熱プラズマ炎中に供給することができるものが好ましい。そのような機能を有する材料供給装置として、例えば特許第3217415号公報に開示されている粉体分散装置のような装置が利用可能である。
以下、まず、本実施形態に用いる微粒子製造装置について説明する。
【0102】
図5に、微粒子製造用材料として粉末材料を使用する場合の材料供給装置140の概略構成を示した。図5に示す材料供給装置140は、主に、粉末材料を貯蔵する貯蔵槽142と、粉末材料を定量搬送するスクリューフィーダ160と、スクリューフィーダ160で搬送された微粒子が最終的に散布される前に、これを一次粒子の状態に分散させる分散部170とから構成されている。
【0103】
貯蔵槽142には、図示されていないが、排気用配管および給気用配管が設けられる。また、貯蔵槽142はオイルシール等で密封された圧力容器であり、内部の雰囲気を制御することができるように構成されている。また、貯蔵槽142の上部には粉末材料を供給する供給口(図示されていない)が設けられており、粉末材料144がこの供給口から貯蔵槽142内部に供給され、貯蔵される。
【0104】
貯蔵槽142の内部には、貯蔵された粉末材料144の凝集を防止するために、攪拌軸146とそれに接続された攪拌羽根148とが設けられる。攪拌軸146は、オイルシール150aと軸受け152aとによって、貯蔵槽142内で回転可能に配設されている。また、貯蔵槽142外部にある攪拌軸146の端部は、モータ154aに接続されており、図示しない制御装置によってその回転が制御される。
【0105】
貯蔵槽142の下部には、スクリューフィーダ160が設けられ、粉末材料144の定量的な搬送を可能にする。スクリューフィーダ160は、スクリュー162と、スクリュー162の軸164と、ケーシング166と、スクリュー162の回転動力源であるモータ154bとを含み構成されている。スクリュー162および軸164は、貯蔵槽142内の下部を横切って設けられている。軸164は、オイルシール150bと軸受け152bとによって貯蔵槽142内で回転可能に配設されている。
【0106】
また、貯蔵槽142外部にある軸164の端部は、モータ154bに接続されており、図示しない制御装置によってその回転が制御される。さらに、貯蔵槽142の下部の開口部と、後述する分散部170とを接続し、スクリュー162を包む筒状通路であるケーシング166が設けられる。ケーシング166は、後述する分散部170の内部途中まで延設されている。
【0107】
図5に示すように、分散部170は、ケーシング166の一部に外挿固定された外管172と、軸164の先端部に植設された回転ブラシ176を有し、スクリューフィーダ160によって定量搬送された粉末材料144を一次分散させることができる。
外管172の外挿固定された端部と反対の端部は、その形状が円錐台形状であり、その内部にも円錐台形状の空間である粉体分散室174を有する。また、その端部には分散部170で分散された粉末材料を搬送する搬送管182が接続される。
【0108】
ケーシング166の先端が開口し、その開口部を越えて外管172内部の粉体分散室174まで軸164が延設され、軸164の先端には回転ブラシ176が設けられる。外管172の側面には気体供給口178が設けられており、また、ケーシング166の外壁と外管172の内壁とによって設けられる空間は、供給された気体が通過する気体通路180としての機能を有する。
【0109】
回転ブラシ176は、ナイロン等の比較的柔軟な材質、あるいは鋼線等の硬質な材質からなる針状部材で、ケーシング166の先端部近傍の内部から粉体分散室174の内部まで、軸164の径外方に延出して密集植設されることによって形成される。このときの上記針状部材の長さは、ケーシング166内の周壁に針状部材の先端部が当接する程度の長さである。
【0110】
分散部170では、分散・搬送用の気体(キャリアガス)が、図示しない圧力気体供給源から気体供給口178、気体通路180を通って回転ブラシ176の径方向外側から回転ブラシ176に噴出され、定量的に搬送される粉末材料144が、回転ブラシ176の針状部材間を通過することで一次粒子に分散される。
【0111】
ここで、粉体分散室174の円錐台形の母線と軸164とのなす角度が、30°程度の角度をなすように設けられている。また、粉体分散室174の容積は小さいほうが好ましく、容積が大きいと回転ブラシ176で分散された粉末材料144が搬送管182に入る前に分散室の内壁に付着し、これが再飛散するために供給される分散粉体の濃度が一定しなくなるという問題を生じる。
【0112】
搬送管182は、その一端は外管172と接続され、他端はプラズマトーチ12に接続される。また、搬送管182は、その管径の10倍以上の管長を有し、少なくとも途中に分散粉体を含む気流が流速20m/sec以上になる管径部分を設けることが好ましい。これにより分散部170で一次粒子の状態に分散された粉末材料144の凝集を防止し上記の分散状態を維持したまま、粉末材料144をプラズマトーチ12内部に散布することができる。
【0113】
本実施形態に係る微粒子の製造装置は、上述したような材料供給装置140が図1,図2に示すプラズマトーチ12に接続されることを除き、第一〜第三の実施形態における装置構成と同様の構成を有するので、これを用いて本実施形態における微粒子の製造方法を実施することができる。
【0114】
次に、本実施形態における微粒子の製造方法について説明する。
微粒子製造用材料として使用する粉末材料には、自身が燃焼することで熱プラズマ炎を安定化させる可燃性材料を添加・混合することができる。このとき、粉末材料と可燃性材料との質量比を適宜選択してよく、より具体的には粉末材料と可燃性材料の質量比を例えば、95:5にするとよい。
ここで、粉末材料は、熱プラズマ炎中で蒸発させることができるものであり、その粒径が10μm以下である粉末材料であることが好ましい。
【0115】
また、粉末材料としては、前述の各実施形態において用いたのと略同様に、原子番号3〜6、11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選択される少なくとも一種を含む、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体,金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物を適宜選択すればよい。
例えば、グラファイト,酸化チタン,酸化アルミニウム,アルミニウム,シリカ,シリコン等を挙げることができる。
【0116】
可燃性材料としては、生成される微粒子中に不純物として残らない元素、例えば、C,H,O,Nで構成されるものが好適に用い得る。具体的には、クエン酸,グリセリン,エチレングリコール等を用いることができる。
【0117】
上述したような粉末材料と可燃性材料との混合物が均一に混ざるように十分に攪拌し、上記混合物を材料供給装置140の貯蔵槽142に供給する。ここで、粉末材料と可燃性材料とを貯蔵槽142に供給した後に十分に攪拌してもよい。上記混合物がプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に散布される。散布された粉末材料が、蒸発し気相状態の混合物となり、その後、気体供給装置28によって供給され気体射出口28aから所定の角度および所定の供給量で射出された気体によって、上記気相状態の混合物が急冷され、微粒子が生成される。本態様における微粒子の製造方法では、粒径が微細かつ均一な微粒子を高い生産性で製造することができる。
【0118】
以下に、第一〜第四の上記各実施形態について、具体的実施例を説明する。
【0119】
〔実施例1〕
まず、本発明の第一の実施形態に係る装置を用い、粉末材料をスラリー化する実施例を説明する。
【0120】
第一の実施形態に係る微粒子の製造方法により、酸化アルミニウム(Al)の微粒子を製造した。まず、粉末材料,分散剤(ソルビタン脂肪酸エステル),分散媒としてのアルコールとを混合し、それらと直径0.5mmのジルコニアビーズをビーズミル(寿工業株式会社製)に投入し、この混合溶液を粉砕処理した。このとき、粉末材料として酸化アルミニウムを用い、質量比が粉末材料:分散剤:アルコール=65:1:34となるように混合したものを用いた。
【0121】
粉砕した粉末材料と分散剤を含むアルコール混合液に、さらにケロシン(和光純薬工業株式会社製、ケロシン(比重:0.78〜0.79))を混入させ攪拌し、酸化アルミニウムの原料となるスラリーを作成した。このとき、可燃性材料であるケロシンと、上述の粉砕処理した原材料(粉末材料)と分散剤を含むアルコール混合液との総質量に対するケロシン量を30[wt%]としてスラリー14aを作成した。
【0122】
また、プラズマトーチ12の高周波発振用コイル12bには、約4MHz,約80kVAの高周波電圧を印加し、プラズマガス供給源22からはプラズマガスとして、アルゴンガス40リットル/min、酸素50リットル/minの混合ガスを供給し、プラズマトーチ12内にアルゴン−酸素熱プラズマ炎を発生させた。なお、ここでは、材料供給装置14の噴霧ガス供給源14eからは、10リットル/minの噴霧ガスを供給した。
【0123】
酸化アルミニウム(Al)のスラリーを、噴霧ガスであるアルゴンガスとともに、プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に供給した。
【0124】
気体供給装置28によって、チャンバ16内に供給される気体としては、空気を使用した。このときのチャンバ内流速は5m/secで、供給量は,1m/minとした。
なお、サイクロン19内の圧力は50kPaとし、また、チャンバ16からサイクロン19への微粒子の供給速度は、10m/s(平均値)とした。
【0125】
上記のようにして生成された酸化アルミニウム(Al)微粒子の比表面積(1グラムあたりの表面積)から換算した粒子径は、15nmであった。また、生成された微粒子の収率は、供給した粉末材料100gあたりに回収された前記微粒子の量が50gであったことから、50%であった。
【0126】
上記実施例においては、粉末材料に、分散剤および可燃性材料を用いてスラリー化する例を示したが、前述の通り、本実施形態においては、分散剤および可燃性材料の添加順序を変更する場合、あるいは、粉末材料に、分散剤のみを添加する場合,可燃性材料のみを添加する場合等の実施例を挙げることができる。
【0127】
〔実施例2〕
次に、先に説明した図1に示した微粒子製造装置を用い、コロイド溶液を出発材料として微粒子を生成する実施例を説明する。
【0128】
本実施例では、第二の実施形態に係る微粒子の製造方法により、酸化アルミニウム(Al)の微粒子を製造した。コロイド溶液の調製には、Alアルコキシドを原料として用い、ゾル−ゲル法を用いた。溶媒としては、エタノールを使用した。また、可燃性材料としては、実施例1で用いたのと同じケロシン(和光純薬工業株式会社製、ケロシン(比重:0.78〜0.79))を用いた。ケロシンの添加量は、粉末材料を含むエタノール混合液の総質量に対するケロシン量[wt%]で15[wt%]とした。
【0129】
上記微粒子製造用材料と、溶媒と、可燃性材料とを分散・混合して調製されたコロイド溶液を、図1に示す材料供給装置14の容器14bに供給し、攪拌機14cで十分に攪拌した。
以後は、実施例1と同様の方法で微粒子を生成させた。また、プラズマトーチの駆動条件等も、実施例1と同様とした。
本実施例において製造される微粒子の平均粒径は、15nmであった。また、生成された微粒子の収率は、供給した粉末材料100gあたりに回収された前記微粒子の量が55gであったことから、55%であった。
【0130】
上記実施例においては、コロイド溶液に、分散剤および可燃性材料を加えた例を示したが、前述の通り、本実施形態においては、分散剤および可燃性材料の添加順序を変更する場合、あるいは、コロイド溶液に、分散剤のみを添加する場合,可燃性材料のみを添加する場合等の実施例を挙げることができる。
【0131】
〔実施例3〕
次に、第三の実施形態に係る装置を用い、粉末材料としての金属塩を溶媒中に溶解させた溶液を使用する実施例を説明する。
【0132】
第三の実施形態に係る微粒子の製造方法により、酸化アルミニウム(Al)の微粒子を製造した。まず、金属塩である硝酸アルミニウム(Al(NO)を水に溶解させ、20wt%の硝酸アルミニウム溶液を調製した。なお、金属塩としては、酢酸塩,塩化物,水酸化物,蓚酸塩,炭酸塩,アンモニウム塩なども用い得る。
なお、可燃性材料としては、実施例1で用いたのと同じケロシン(比重:0.78〜0.79)を用いた。ケロシンの添加量は、粉末原料を含む水溶液の総質量に対するケロシン量[Wt%]で15[Wt%]とした。
【0133】
また、プラズマトーチ12の高周波発振用コイル12bには、約4MHz、約80kVAの高周波電圧を印加し、プラズマガス供給源22からはプラズマガスとしてアルゴンガス40リットル/min,酸素50リットル/minの混合ガスを供給し、プラズマトーチ12内にアルゴン−酸素熱プラズマ炎を発生させた。また、材料供給装置14の噴霧ガス供給源14eからは10リットル/minの噴霧ガスを供給した。
【0134】
原料である20wt%−硝酸アルミニウム溶液は、噴霧ガスであるアルゴンガスと共に、プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎中に供給された。
なお、気体供給装置28によって、チャンバ内に供給される気体の供給量、並びに射出条件は、実施例1の場合と同じとしている。
【0135】
上記のようにして生成された酸化アルミニウム微粒子の比表面積から換算した粒子径は10nmであった。また、生成された微粒子の収率に関しては、供給した粉末材料の量100gあたりの回収した前記微粒子の量が17gであったであったことから、17%であった。
【0136】
上記実施例においては、粉末材料に、分散剤および可燃性材料を用いて溶液化する例を示したが、前述の通り、本実施形態においては、分散剤および可燃性材料の添加順序を変更する場合、あるいは、粉末材料に、分散剤のみを添加する場合,可燃性材料のみを添加する場合等の実施例を挙げることができる。
【0137】
〔実施例4〕
次いで、第四の実施形態に示した装置を用い、粉末材料をそのまま使用する実施例を説明する。
【0138】
第四の実施形態に係る微粒子の製造方法により、複酸化物、すなわち二種類以上の酸化物から構成される高次酸化物微粒子である、チタン酸バリウム(BaTiO)微粒子を製造した。なお、ここでは、チタン酸バリウム(BaTiO)が、熱プラズマ炎中で容易に蒸発するように、粒径が10μm以下の粉末材料を使用した。
【0139】
また、プラズマトーチ12の高周波発振用コイル12bには、約4MHz、約80kVAの高周波電圧を印加し、プラズマガス供給源22からはプラズマガスとしてアルゴンガス40リットル/min、酸素50リットル/minの混合ガスを供給し、プラズマトーチ12内にアルゴン−酸素熱プラズマ炎を発生させた。また、材料供給装置14の噴霧ガス供給源14eからは10リットル/minの噴霧ガスを供給した。
【0140】
チタン酸バリウム(BaTiO)の粉末材料は、噴霧ガスであるアルゴンガスと共に、プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎中に供給された。
また、気体供給装置28によって、チャンバ内に供給される気体の供給量、並びに射出条件は、実施例1の場合と同じとしている。
【0141】
上記のようにして生成されたチタン酸バリウム微粒子の比表面積から換算した粒子径は20nmであった。また、生成された微粒子の収率に関しては、供給した粉末材料の量100gあたりの回収した前記微粒子の量が80gであったことから、80%であった。
【0142】
上記実施例においては、粉末材料を、噴霧ガスであるアルゴンガスと共に熱プラズマ炎中に供給する例を示したが、前述の通り、本実施形態においては、可燃性材料を適宜添加する場合等の実施例を挙げることができる。
【0143】
ところで、先に、図3に示した気体射出口28aから射出する気体については、付加的な作用・効果が得られるものである(必須の要件ではないので、説明を後に回した)が、ここで、他の実施形態として追加説明しておくことにする。
【0144】
前述の通り、本発明に係る微粒子製造装置は、気相状態の混合物を急冷することを主たる目的とする気体供給28を備えることを特徴としている。以下、この気体供給装置について追加説明する。
【0145】
図1,図3に示す気体供給装置28は、熱プラズマ炎24の尾部に向かって、前述のような所定の角度で気体を射出する気体射出口28aと、チャンバ16の側壁に沿って上方から下方に向かって気体を射出する気体射出口28bと、チャンバ16内に供給される気体に押し出し圧力をかけるコンプレッサ28cと、チャンバ16内に供給される上記気体の供給源28dと、それらを接続する管28eとから構成されている。
なお、コンプレッサ28cと気体供給源28dは、管28eを介してチャンバ16の天板17に接続されている。ここで、熱プラズマ炎の尾部とは、プラズマガス供給口12cと反対側の熱プラズマ炎の端、つまり、熱プラズマ炎の終端部である。
【0146】
図3に示すように、気体射出口28aと気体射出口28bとは、チャンバ16の天板17に形成されている。ここで、天板17は、円錐台形状で上側の一部が円柱である内側部天板部品17aと、円錐台形状の孔を有する外側部天板部品17bと、内側部天板部品17aを垂直に移動させる移動機構を有する上部外側部天板部品17cとを含み構成されている。
【0147】
ここで、内側部天板部品17aと上部外側部天板部品17cとが接する部分(内側部天板部品17aでは上部の円柱部分)にはネジが切ってあり、内側部天板部品17aが、回転することで垂直方向に位置を変えることができ、内側部天板部品17aは、外側部天板部品17bとの距離を調節できる。また、内側部天板部品17aの円錐部分の勾配と、外側部天板部品17bが有する孔の円錐部分の勾配は同一であり、お互いがかみ合う構造になっている。
【0148】
また、気体射出口28aとは、内側部天板部品17aと外側部天板部品17bとが形成した間隙、つまり、スリット幅が調節可能であって、天板と同心である円周状に形成されたスリットである。ここで、気体射出口28aは、熱プラズマ炎24の尾部に向かって気体を射出することができる形状であればよく、上述のようなスリット形状に限定されるものではなく、例えば、円周上に多数の孔を配したものでもよい。
【0149】
また、上部外側部天板部品17cの内部には、管28eを介して送られる気体が通過するための通気路17dが設けられる。上記気体は、通気路17dを通過し、上述した内側部天板部品17aと外側部天板部品17bとが形成するスリットである気体射出口28aに送られる。気体射出口28aに送られた気体は、図1および図3中の矢印Qで示される方向に、熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって、前述のように、所定の供給量および所定の角度で射出される。
【0150】
ここで、上記所定の供給量について説明する。前述のように(段落0019参照)、前記気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量とは、例えば、前記気相状態の混合物を急冷するのに必要な空間を形成するチャンバ内に供給する気体のチャンバ16内における平均流速(チャンバ内流速)を、0.001〜60m/secとすることが好ましく、0.5〜10m/secとすることがより好ましい。これは、熱プラズマ炎24中に噴霧され蒸発した気相状態の混合物を急冷し微粒子を生成させ、生成した微粒子同士の衝突による凝集を防止するのに十分な気体の供給量である。
【0151】
なお、この供給量は、気相状態の混合物を急冷して凝固させるのに十分な量であり、また、凝固し生成した直後の微粒子同士が衝突することで凝集しないように気相状態の混合物を希釈するのに十分な量である必要があり、チャンバ16の形状や大きさによりその値を適宜定めるのがよい。
ただし、この供給量は、熱プラズマ炎の安定を妨げることのないように制御されることが好ましい。
【0152】
次に、図6を用いて、気体射出口28aがスリット形状の場合における、上記所定の角度について説明する。図6(a)に、チャンバ16の天板17の中心軸を通る垂直方向の断面図を、また、図6(b)に、天板17を下方から見た図を示す。なお、図6(b)には、図6(a)に示した断面に対して垂直な方向が示されている。ここで、図6中に示す点Xは、通気路17dを介して気体供給源28d(図1参照)から送られた気体が、気体射出口28aからチャンバ16内部へ射出される射出点である。実際は、気体射出口28aが円周状のスリットであるため、射出時の気体は帯状の気流を形成している。従って、点Xは仮想的な射出点である。
【0153】
図6(a)に示すように、通気路17dの開口部の中心を原点として、垂直上方を0°、紙面で反時計周りに正の方向をとり、矢印Qで示される方向に気体射出口28aから射出される気体の角度を角度αで表す。この角度αは、上述した、熱プラズマ炎の初部から尾部(終端部)への方向に対する角度である。
【0154】
また、図6(b)に示すように、上記仮想的な射出点Xを原点として、熱プラズマ炎24の中心に向かう方向が0°、紙面で反時計回りを正の方向として、熱プラズマ炎24の初部から尾部(終端部)への方向に対して垂直な面方向における、矢印Qで示される方向に気体射出口28aから射出される気体の角度を角度βで表す。この角度βは、上述した、熱プラズマ炎の初部から尾部(終端部)への方向に対して直行する面内で、熱プラズマ炎の中心部に対する角度である。
【0155】
上述した角度α(通常は垂直方向の角度)および角度β(通常は水平方向の角度)を用いると、前記所定の角度、すなわち、前記気体の前記チャンバ内への供給方向は、前記チャンバ16内において、熱プラズマ炎24の尾部(終端部)に対して、角度αが90°<α<240°(好ましくは100°<α<180°の範囲、より好ましくはα=135°)、角度βが−90°<β<90°(好ましくは−45°<β<45°の範囲、より好ましくはβ=0°)であるのがよい。
【0156】
上述したように、熱プラズマ炎24に向かって所定の供給量および所定の角度で射出された気体により、上記気相状態の混合物が急冷され、微粒子15が生成される。上述の所定の角度でチャンバ16内部に射出された気体は、チャンバ16内部に発生する乱流等の影響により必ずしもその射出された角度で熱プラズマ炎24の尾部に到達するわけではないが、気相状態の混合物の冷却を効果的に行い、かつ熱プラズマ炎24を安定させて効率よく微粒子製造装置10を動作させるためには、上記角度に決定するのが好ましい。なお、上記角度は、装置の寸法,熱プラズマ炎の大きさ等の条件を考慮して、実験的に決定すればよい。
【0157】
生成直後の微粒子同士が衝突し、凝集体を形成することで粒径の不均一が生じると、品質低下の要因となる。これに対し、本発明に係る微粒子の製造方法においては、気体射出口28aを介して所定の角度および供給量で熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって矢印Qで示される方向に射出される気体が、微粒子15を希釈することで、微粒子同士が衝突し凝集することを防止する。つまり、気体射出口28aから射出された気体が、上記気相状態の混合物を急冷し、さらに、生成した微粒子の凝集を防止することで、粒子径の微細化、および粒子径の均一化の両面に作用しており、このことは本実施形態に係る装置の大きな特徴である。
【0158】
ところで、気体射出口28aから射出される気体は、熱プラズマ炎24の安定性に少なからず悪影響を与える。しかし、装置全体を連続的に運転するためには熱プラズマ炎を安定させる必要がある。このため、本実施形態に係る微粒子製造装置における気体射出口28aは、円周状に形成されたスリットとなっており、そのスリット幅を調節することで気体の供給量を調節することができ、中心方向に均一な気体を射出することができるので、熱プラズマ炎を安定させるのに好ましい形状を有するといえる。また、この調節は、射出される気体の供給量を変えることでも行える。
【0159】
以上、本発明の微粒子の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更を行ってもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の一実施形態に係る微粒子の製造方法を実施するための微粒子製造装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1中のプラズマトーチ付近を拡大して示す断面図である。
【図3】図1中のチャンバの天板およびこの天板に備えられた気体射出口付近を拡大して示す断面図である。
【図4】サイクロン19を拡大して示す断面図である。
【図5】粉末材料を使用する場合の材料供給装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】射出される気体の角度を示す説明図であり、(a)はチャンバの天板の中心軸を通る垂直方向の断面図であり、(b)は天板を下方から見た下面図である。
【符号の説明】
【0161】
10 微粒子製造装置
12 プラズマトーチ
12a 石英管
12b 高周波発振用コイル
12c プラズマガス供給口
14 材料供給装置
14a スラリー
14b 容器
14c 攪拌機
14d ポンプ
14e 噴霧ガス供給源
14f 供給管
15 微粒子(1次微粒子)
16 チャンバ
17 天板
17a 内側部天板部品
17b 外側部天板部品
17c 上部外側部天板部品
17d 通気路
18 微粒子(2次微粒子)
19 サイクロン
19a 入口管
19b 外筒
19c 円錐部
19d 粗大粒子回収チャンバ
19e 内管
20 回収部
20a 回収室
20b バグフィルター
20c 管
22 プラズマガス供給源
24 熱プラズマ炎
26 管
28 気体供給装置
28a 気体射出
28b 気体射出
28c コンプレッサ
28d 気体供給源
28e 管
140 材料供給装置
142 貯蔵槽
144 粉末材料
146 攪拌軸
148 攪拌羽根
150a、150b オイルシール
152a、152b 軸受け
154a、154b モータ
160 スクリューフィーダ
162 スクリュー
164 軸
166 ケーシング
170 分散部
172 外管
174 粉体分散室
176 回転ブラシ
178 気体供給口
180 気体通路
182 搬送管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の処理により生成された1次微粒子を、
少なくとも1つ以上のサイクロン内に導入することにより、冷却と、任意に規定される粒径での分級とを実施し、
前記分級により、前記粒径以上の粒径を有する粗大粒子を除去し、
前記粗大粒子が除去された、粒径が100nm以下の2次微粒子を回収することを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記1次微粒子を生成する処理が、
微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給し、
前記微粒子製造用材料を蒸発させ気相状態の混合物とする処理である
請求項1に記載の微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒中に分散させてスラリーにし、
このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を可燃性材料中に分散させてスラリーとし、
このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒と可燃性材料とを用いて分散させてスラリーにし、
このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒中に分散させた後、さらに可燃性材料を加えてスラリーにし、
このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒中に懸濁させるか、もしくは微粒子製造用材料溶液を化学反応させてコロイド溶液とし、
このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を可燃性材料中に懸濁させるか、もしくは微粒子製造用材料溶液を化学反応させてコロイド溶液とし、
このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒と可燃性材料中に懸濁させるか、もしくは前記微粒子製造用材料溶液を化学反応させてコロイド溶液とし、
このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項10】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒中に懸濁させるか、もしくは前記微粒子製造用材料溶液を化学反応させた後、さらに可燃性材料を加えてコロイド溶液とし、
このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項11】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を溶媒中に溶解させて溶液にし、
この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項12】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を可燃性材料を用いて溶解させて溶液とし、
この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項13】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を溶媒と可燃性材料とを用いて溶解させて溶液とし、
この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項14】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料を溶媒中に溶解させた後、さらに可燃性材料を加えて溶液とし、
この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項15】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料をキャリアガスを用いて分散させ、
この分散させた微粒子製造用材料を前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項16】
前記微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する過程が、
前記微粒子製造用材料をキャリアガスと可燃性材料とを用いて分散させ、
この分散させた微粒子製造用材料を前記熱プラズマ炎中に供給するものである請求項2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項17】
前記可燃性材料は、前記熱プラズマ炎を安定化させる作用を有するものである請求項4〜6,8〜10,12〜14または16のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項18】
前記スラリーに、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加する請求項3〜6のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項19】
前記コロイド溶液に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加する請求項7〜10のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項20】
前記溶液に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加する請求項11〜14のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項21】
前記分散させた微粒子製造用材料に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加する請求項15または16に記載の微粒子の製造方法。
【請求項22】
前記微粒子製造用材料を構成する成分は、原子番号3〜6,11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体,金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物である請求項2〜21のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
(材料構成成分)
【請求項23】
前記1次微粒子を生成する処理において、
前記微粒子製造用材料を蒸発させ気相状態の混合物とした後、
この混合物を急冷するための気体を、前記熱プラズマ炎中に供給する気体の200%〜5000%、前記熱プラズマ炎の尾部(周端部)に向けて供給する請求項2〜22のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項24】
微粒子製造用材料を分散させて熱プラズマ炎中に供給する材料供給手段と、
熱プラズマ炎を発生させて、前記微粒子製造用材料を蒸発させ気相状態の混合物にする、前記材料供給手段と接続されたプラズマトーチと、
前記気相状態の混合物を急冷するのに必要な空間を形成する、前記プラズマトーチと接続された冷却室とを有する微粒子製造装置であって、
前記気相状態の混合物を急冷することにより生成した1次微粒子を導入する、分級手段としての少なくとも1つ以上のサイクロンを有することを特徴とする微粒子製造装置。
【請求項25】
前記材料供給手段は、
前記微粒子製造用材料を分散させたスラリーを調製・貯蔵する材料調製手段と、
前記スラリーを前記プラズマトーチ内部の前記熱プラズマ炎中に噴霧するための、前記材料調製手段に接続される噴霧手段とを有する請求項24に記載の微粒子製造装置。
【請求項26】
前記材料供給手段は、
前記微粒子製造用材料を懸濁させるか、もしくは微粒子製造用材料溶液を化学反応させてコロイド溶液を調製し、これを貯蔵する材料調製手段と、
前記コロイド溶液を前記プラズマトーチ内部の前記熱プラズマ炎中に噴霧するための、前記材料調製手段に接続される噴霧手段とを有する請求項24に記載の微粒子製造装置。
【請求項27】
前記材料供給手段は、
前記微粒子製造用材料を溶解させた溶液を調製・貯蔵する材料調製手段と、
前記溶液を前記プラズマトーチ内部の前記熱プラズマ炎中に噴霧するための、前記材料調製手段に接続される噴霧手段とを有する請求項24に記載の微粒子製造装置。
【請求項28】
前記材料供給手段が、
前記微粒子製造用材料としての粉末材料を、その貯蔵手段から送り出す粉末材料供給手段と、
この粉末材料供給手段から供給された粉末材料を分散して前記プラズマトーチ内部の前記熱プラズマ炎中に供給するための、前記粉末材料供給手段に接続される気体搬送手段とを有する請求項24に記載の微粒子製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−29859(P2007−29859A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216979(P2005−216979)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【出願人】(000226954)日清エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】