説明

微粒子分別マイクロシステムおよび微粒子分別方法

【課題】少ない刺激によって高速かつ高精度に微粒子を分別できる微粒子分別マイクロシステムおよび微粒子分別方法を提供することを目的とする。
【解決手段】微粒子分別マイクロシステム1は、刺激感応物質としてのゾル-ゲル転移物質が添加された微粒子含溶液11が流れる微粒子含溶液流路3と、所定位置で当該微粒子含溶液流路3と合流するシース溶液12が流れるシース溶液流路4と、微粒子含溶液流路3とシース溶液流路4とが合流した合流流路9と、当該合流流路9に設けられた導入された微粒子10を計測するための微粒子計測部5と、合流流路9の下流に設けられ、分岐点6を介して分岐する微粒子10を分別するための微粒子回収流路7a及び微粒子廃棄流路7bとが、基板2上に設けられるとともに、当該微粒子廃棄流路7b上に刺激付与手段としての赤外線照射装置8が設けられた構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子分別マイクロシステムおよび微粒子分別方法に関し、特に、微粒子の流れる流体を制御する微粒子分別マイクロシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のナノテクノロジーの進歩により、ガラスなどのチップ上にミクロンオーダーの液体流路を形成し、この液体流路に試料を流すことによって、試料の分析、又は反応などを行わせるマイクロシステムの開発が進められている。このようなマイクロシステムは、試料が少量であっても試料の分析が可能であるなどの利点を有しており、非常に注目を浴びている。
【0003】
このようなマイクロシステムにおいて、特定の微粒子を選択的に分別する試みがされており、特に層流中を流れる微粒子を直接顕微鏡観察しながら分離するセルソーターが報告されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。これらのマイクロシステムでは、特定の微粒子を選択的に分別する分別方法として、電場により微粒子の流れを制御したり、または、外部バルブによりシース流の流量を変化させて微粒子含溶液の流れを制御するなどの手法が用いられている。しかしながら、観察手段に対する試料分離の応答速度が遅く、これらのマイクロシステムを実用化するためには、より応答の速い処理方法が必要になるという問題があった。
【0004】
この問題を解決する手段として、特開2002−163022号公報(特許文献1)に、マイクロシステムの微小流路を流れる液体に、外部レーザーなどの加熱手段からの熱の刺激によりゾル−ゲル転移を示す物質(以下、ゾル−ゲル転移物質と称す)を添加し、微小流路上の所望の箇所に刺激を与え、流体をゲル化させて流れを制御する方法が開示されている。この方法によれば、複雑なバルブ構造を用いることなく、流体の流れを制御し、流量や流速を簡便に調整することができる。そして、流路の一部に分岐を設け、分岐後の流路に対し選択した流路において液体に刺激を与えれば、その物質のゲル化によってその流路が閉塞されることによって流体の流れる方向を選択することができる。そして、刺激を停止することで、その物質はゾル化して、再びその流路が開放されるものである。
【特許文献1】特開2002−163022号公報
【特許文献2】特開平5−262882号公報
【非特許文献1】Micro Total Analysis System, 98, pp.77−80
【非特許文献2】Analytical Chemistry, 70, pp.1909−1915 (1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる構成による方法では、微粒子の分別を行うためには、選択した流路をゲル化によって完全に閉塞する必要があったが、閉塞するまでに時間を要し、閉塞するまでに所望の微粒子が選択した以外の流路を通過してしまう場合があるなど、高速かつ高精度の分別ができなかった。また、流路を完全に閉塞するためには、比較的大きい熱量の刺激を与えて液体をゲル化させる必要があるため、例えば、流路が樹脂で形成された場合などには、流路が熱によって変形してしまうという問題があり、より少ない刺激で分別する方法が求められていた。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、少ない刺激によって高速かつ高精度に微粒子を分別できる微粒子分別マイクロシステムおよび微粒子分別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シースフローにより定常的に微粒子含溶液の流れを制御することで、高速かつ確実に流れの方向を変えることが可能である点に着目して考え出されたものである。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0008】
本発明の請求項1記載の微粒子分別マイクロシステムは、基板上に微粒子含溶液が流れる微粒子含溶液流路およびシース溶液が流れるシース溶液流路とを有し、前記微粒子含溶液および前記シース溶液がシースフロー状態を形成するように構成した微粒子分別マイクロシステムであって、前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加した刺激感応物質に刺激を与える刺激付与手段を有し、前記刺激付与手段により前記刺激感応物質に刺激を与えることによって前記微粒子含溶液または前記シース溶液の流れを制御するように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項2記載の微粒子分別マイクロシステムは、前記刺激感応物質がゾル−ゲル転移物質であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項3記載の微粒子分別マイクロシステムは、前記刺激感応物質が粘度変化を示す物質であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項4記載の微粒子分別マイクロシステムは、前記刺激が光であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項5記載の微粒子分別マイクロシステムは、前記刺激が熱であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項6記載の微粒子分別装置は、請求項1〜5のいずれか1項記載の微粒子分別マイクロシステムを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項7記載の微粒子分別方法は、微粒子含溶液が流れる微粒子含溶液流路およびシース溶液が流れるシース溶液流路とを有する基板上に前記微粒子含溶液と前記シース溶液でシースフロー状態を形成し、前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加した刺激感応物質に刺激を与えることによって前記微粒子含溶液または前記シース溶液の流れを制御することを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項8記載の微粒子分別方法は、前記刺激感応物質がゾル−ゲル転移物質であることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項9記載の微粒子分別方法は、前記刺激感応物質が粘度変化を示す物質であることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項10記載の微粒子分別方法は、前記刺激が光であることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項11記載の微粒子分別方法は、前記刺激が熱であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1記載の微粒子分別マイクロシステムによれば、微粒子含溶液およびシース溶液がシースフロー状態を形成し、微粒子含溶液またはシース溶液に添加した刺激感応物質にわずかの刺激を与えることで、微粒子含溶液またはシース溶液の流れの方向を高速かつ確実に変えることができ、所望の微粒子を高速かつ確実に分別することができる。
【0020】
本発明の請求項2記載の微粒子分別マイクロシステムによれば、ゾル−ゲル転移物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで微粒子含溶液またはシース溶液の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができ、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0021】
本発明の請求項3記載の微粒子分別マイクロシステムによれば、刺激感応物質がゾル−ゲル転移を示さない場合でも、粘度変化を示す物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで微粒子含溶液またはシース溶液の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができ、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0022】
本発明の請求項4記載の微粒子分別マイクロシステムによれば、刺激を光にすることで、刺激付与手段が簡便であり、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0023】
本発明の請求項5記載の微粒子分別マイクロシステムによれば、刺激を熱にすることで、刺激付与手段がより簡便であり、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0024】
本発明の請求項6によれば、請求項1〜5のいずれか1項記載の微粒子分別マイクロシステム備える微粒子分別装置とすることで、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0025】
本発明の請求項7記載の微粒子分別方法によれば、微粒子含溶液およびシース溶液がシースフロー状態を形成し、微粒子含溶液またはシース溶液に添加した刺激感応物質にわずかの刺激を与えることで微粒子含溶液またはシース溶液の流れの方向を高速かつ確実に変えることができ、所望の微粒子を高速かつ確実に分別することができる。
【0026】
本発明の請求項8記載の微粒子分別方法によれば、ゾル−ゲル転移物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで微粒子含溶液またはシース溶液の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができ、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0027】
本発明の請求項9記載の微粒子分別方法によれば、刺激感応物質がゾル−ゲル転移を示さない場合でも、粘度変化を示す物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで微粒子含溶液またはシース溶液の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができ、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0028】
本発明の請求項10記載の微粒子分別方法によれば、刺激を光にすることで、刺激付与手段を簡便にし、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0029】
本発明の請求項11記載の微粒子分別方法によれば、刺激を熱にすることで、刺激付与手段をより簡便にし、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施形態
図1に本発明の第1の実施形態による微粒子分別マイクロシステムの水平方向の断面図を示す。図1において、1は全体として第1の実施形態による微粒子分別マイクロシステムを示し、当該微粒子分別マイクロシステム1は、刺激感応物質としてのゾル−ゲル転移物質が添加された微粒子含溶液11が流れる微粒子含溶液流路3と、所定位置で当該微粒子含溶液流路3と合流するシース溶液12が流れるシース溶液流路4と、微粒子含溶液流路3とシース溶液流路4とが合流した合流流路9と、当該合流流路9に設けられた導入された微粒子10を計測するための微粒子計測部5と、合流流路9の下流に設けられ、分岐点6を介して分岐する微粒子10を分別するための微粒子回収流路7a及び微粒子廃棄流路7bとが、基板2上に設けられるとともに、当該微粒子廃棄流路7b上に刺激付与手段としての赤外線照射装置8が設けられた構成を有する。
【0031】
基板2は各種の微細加工技術により微細流路や加熱部位を加工、設置できるものであればよく、シリコン、ガラス、ポリマー材料等各種のものから選択でき、ポリマー材料などのうち熱伝導率の低いものでも適用可能である。この基板2の大きさは特に限定されず、少なくとも上記微粒子分別マイクロシステム各構成部は分別する微粒子の大きさや種類に応じて0.1μm〜10mm程度の大きさであれば良い。
【0032】
微粒子含溶液11に添加したゾル−ゲル転移物質は、どのようなものであっても良い。種々の高分子化合物から、微小流路に流す試料や溶媒等の他の物質と反応したり、影響を与えたりしないものを選択できる。特に好ましくは、温度に対し敏感な反応を示す物質である。例えば、ゾル−ゲル転移物質の1種である熱可逆性高分子ゲル物質には、常温で高分子が水和して溶液中に存在する粘度の低いゾルであり、この溶液を転移温度以上の温度に加熱すると疎水的結合によって架橋を形成し、粘度の高いゲルに転移するものがある。このような熱の刺激によるゾル−ゲル転移物質としては、約55℃で可逆的なゾル−ゲル転移を起こすメチルセルロース、特許文献2に開示されているゾル−ゲル転移のヒステリシスが非常に低いメビオール(登録商標)ジェルが好ましく例示される。
【0033】
また、上述した実施形態では、刺激感応物質として、温度変化によりゾル−ゲル転移物質を用いたが、刺激感応物質としてはこれに限られず、刺激により流路抵抗を制御出来る程度の粘度変化を示す物質であっても良い。
【0034】
微粒子含溶液流路3は目的に応じて矩形、半円、円形とさまざまな流路断面をもつことができる。また、流路に親水性、疎水性などの表面処理を施すことで微粒子の吸着を制御することもできる。
【0035】
シース溶液流路4は、微粒子計測部5よりも上流側において、微粒子含溶液流路3の左右両側から当該微粒子含溶液流路3に合流するように形成されており、これにより、シース溶液12によって微粒子含溶液11の流れを左右両側から挟みこみ、この状態のまま微粒子含溶液11を合流流路9に導入させ得るようになされている。かくして合流流路9では、図2に示すように、左右両側部を流れるシース溶液12によって、微粒子含溶液11の流路断面積は小さくなり、かつ、微粒子含溶液11の流速が大きくなっている状態(以下、これをシースフロー状態と称す)が形成される。本実施形態では、微粒子含溶液11の左右両側からシース溶液12を導入したが、片側からシース溶液12を導入することもできる。
【0036】
微粒子計測部5は、光学的に計測することにより分別の対象となる微粒子10が微粒子計測部5を通過したか否かを検出し得るように構成されている。具体的に微粒子計測部5は蛍光による計測、吸光による計測、化学発光による計測などが挙げられるがこれらに制限されるものではない。例えば、微粒子を光学的手段により計測する場合には、検出に用いる光源に対し吸収のないものを材料に選ぶことができる。
【0037】
微粒子回収流路7a及び微粒子廃棄流路7b(以下、これをまとめて分離・回収流路7と称す)は、微粒子計測部5の下流に設置された微粒子10を分別、すなわち分離して回収するための流路であり、この分離・回収流路7は分離する微粒子10の種類に応じてそれぞれ流路の数を増減させることができる。
【0038】
以上のような微細流路はシリコンやガラスにおけるフォトリソグラフィー、エッチングによる加工、ポリマー材料における構造体のモールディング加工、エンボス加工等の微細加工技術を用いて作製されるものであるが、他の機械加工等の製造方法でも作製可能である。また、微細流路上にはガラス板が載置され、上面から見て微粒子含溶液11やシース溶液12の流れが容易に確認できる構造とすることが好ましい。
【0039】
刺激付与手段としての赤外線照射装置8による赤外線照射の方法には、刺激感応物質の吸収波長に応じた波長の局所的照射方法と、加熱部にマイクロヒーターとしての金属膜等を設置しその金属膜等の吸収波長である波長を用いた局所的照射方法とがある。いずれの方法でも、赤外線照射装置8による赤外線照射によって刺激感応物質としてのゾル−ゲル転移物質に熱を与え、ゾル−ゲル転移を起こさせることができる。マイクロヒーターの材料はAu、Pt、Cr等の一般的なヒーター材料を用いる。本実施形態の場合、赤外線照射装置8による赤外線照射を、微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13に照射するようにしたことにより、分岐点6において確実に微粒子含溶液11を微粒子回収流路7aの方向に流すことができるようになされている。これらの刺激を与える部位は目的に応じた箇所、個数を制御することができる。
【0040】
以上の構成において、微粒子分別マイクロシステム1を用いて微粒子10は、以下の手順で分別される。
【0041】
なお、この場合、赤外線照射装置8による赤外線照射がない状態では、微粒子含溶液11の両側から合流するシース溶液12の流量を制御することによって、微粒子含溶液11を常に微粒子廃棄流路7bへ流出させているようにしておく。本実施形態の場合、微粒子含溶液11の両側からシース溶液12を導入したことにより、両側のシース溶液12の流量を微調整することで、微粒子含溶液11の流れの方向を容易に変えることができる。
【0042】
また、このとき、微粒子含溶液11は両側部を流れるシース溶液12とシースフロー状態を形成するので、微粒子含溶液11の流路断面積は小さくなり、かつ、微粒子含溶液11の流速が大きくなっている。
【0043】
微粒子含溶液11内に回収したい微粒子10が含まれていると、微粒子10が微粒子計測部5を通過したとき、通過したことが微粒子計測部5によって検出され、その検出信号が赤外線照射装置8へ送出される。これにより赤外線照射装置8は、微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13に赤外線を照射する。赤外線を受けた部分は、微粒子含溶液11中ゾル−ゲル転移物質の温度が上昇し、これに伴い当該ゾル−ゲル転移物質がゲル化することで流路抵抗が高くなる。このようにして微粒子分別マイクロシステム1では、微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13において流路抵抗を高くすることで、微粒子含溶液11の流れが妨げられ、これにより、微粒子含溶液11を微粒子回収流路7aに向かって流すことができる。本実施形態では、微粒子含溶液11をシース溶液12により流路の中心付近に絞り込むことで、微粒子含溶液11の流れの幅を小さくすることができ、微粒子含溶液11の中の微粒子10は均一な流速をもった流れを形成することが可能となる。これにより微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13において、粘度変化を示す物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで瞬時に流路抵抗を増加させ、微粒子含溶液11およびシース溶液12の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができる。
【0044】
したがって、微粒子分別マイクロシステム1では、微粒子含溶液11を微粒子10が流れてくると、微粒子回収流路7aに微粒子10を流出でき、かくして、微粒子回収流路7aを介して微粒子10を確実に回収することができる。
【0045】
その後、微粒子分別マイクロシステム1では、微粒子10を回収すると、これに応じて赤外線照射装置8による赤外線照射を停止する。これにより微粒子分別マイクロシステム1では、微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13における微粒子含溶液11中ゾルーゲル転移物質の温度が下がり、ゾル−ゲル転移物質がゾル化することで流路抵抗を低下させることができ、かくして、微粒子含溶液11を再び微粒子廃棄流路7bに向かって流すことができる。
【0046】
このように、微粒子分別マイクロシステム1では、微粒子10が微粒子計測部5を通過したときだけ、微粒子含溶液11が微粒子回収流路7aに流出する分別の手順を繰り返すことで、回収したい微粒子10を選択的に、かつ確実に微粒子回収流路7aに送り出し回収することができる。
【0047】
本実施形態では、微粒子含溶液11をシース溶液12により流路の中心付近に絞り込むことで、微粒子含溶液11の流れの幅を小さくすることができ、微粒子含溶液11の中の微粒子10は均一な流速をもった流れを形成することが可能となる。これにより微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13において、粘度変化を示す物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで瞬時に流路抵抗を増加させ、微粒子含溶液11およびシース溶液12の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができる。より高速かつより確実に流れの方向を変えることができることより、微粒子分別マイクロシステム1では、少ない刺激によってより高速かつより高精度に微粒子を分別できる。また、本実施例では、赤外線照射による熱刺激は、回収したい微粒子10が流れてきたときのみ刺激を与えればよく、常時熱刺激を与える必要はない。したがって、常時熱刺激を与える場合に比較して、刺激は少なくできる。
【0048】
以上のように、本実施形態の微粒子分別マイクロシステム1は、基板2上に微粒子含溶液11が流れる微粒子含溶液流路3およびシース溶液12が流れるシース溶液流路4とを有し、前記微粒子含溶液11および前記シース溶液12がシースフロー状態を形成するように構成した微粒子分別マイクロシステムであって、前記微粒子含溶液11に添加した刺激感応物質に刺激を与える刺激付与手段としての赤外線照射装置8を有し、前記赤外線照射装置8により前記刺激感応物質に刺激を与えることによって前記微粒子含溶液11の流れを制御するように構成したものであるので、前記微粒子含溶液11および前記シース溶液12がシースフロー状態を形成し、微粒子含溶液11またはシース溶液12に添加した刺激感応物質にわずかの刺激を与えることで、微粒子含溶液11またはシース溶液12の流れの方向を高速かつ確実に変えることができ、所望の微粒子を高速かつ確実に分別することができる。
【0049】
また、本実施形態の微粒子分別マイクロシステム1は、前記刺激感応物質がゾル−ゲル転移物質であるので、ゾル−ゲル転移物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで微粒子含溶液11またはシース溶液12の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができ、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0050】
さらに、本実施形態の微粒子分別マイクロシステム1は、前記刺激が熱であるので、刺激付与手段である赤外線照射装置8がより簡便であり、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0051】
また、本実施形態の微粒子分別方法は、微粒子含溶液11が流れる微粒子含溶液流路3およびシース溶液12が流れるシース溶液流路4とを有する基板2上に前記微粒子含溶液11と前記シース溶液12でシースフロー状態を形成し、前記微粒子含溶液11に添加した刺激感応物質に刺激を与えることによって前記微粒子含溶液11の流れを制御するものであるので、前記微粒子含溶液11および前記シース溶液12がシースフロー状態を形成し、微粒子含溶液11またはシース溶液12に添加した刺激感応物質にわずかの刺激を与えることで、微粒子含溶液11またはシース溶液12の流れの方向を高速かつ確実に変えることができ、所望の微粒子を高速かつ確実に分別することができる。
【0052】
次に、図1との対応部分に同一符号を付して示す図3を参照して、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0053】
図3において、100は全体として第1の実施形態の変形例による微粒子分別マイクロシステムを示し、当該微粒子分別マイクロシステム100は、刺激感応物質としてのゾル−ゲル転移物質が添加された微粒子含溶液11が流れる微粒子含溶液流路3と、所定位置で当該微粒子含溶液流路3と合流するシース溶液12が流れるシース溶液流路4と、微粒子含溶液流路3とシース溶液流路4とが合流した合流流路9と、当該合流流路9に設けられた導入された微粒子10を計測するための第1の微粒子計測部5と、合流流路9の下流に設けられ、分岐点6を介して分岐する微粒子10を分別するための微粒子回収流路7a及び微粒子廃棄流路7bと、当該微粒子回収流路7aの下流に設けられた導入された微粒子10を計測するための第2の微粒子計測部50と、微粒子回収流路7aの下流に設けられ、分岐点60を介して分岐する微粒子10を分別するための微粒子回収流路70a及び微粒子廃棄流路70bとが、基板2上に設けられるとともに、当該微粒子廃棄流路7bおよび微粒子廃棄流路70b上に刺激付与手段としての赤外線照射装置8が設けられた構成を有する。
【0054】
微粒子分別マイクロシステム100の各構成要素のうち、図1と同一符号を付した構成要素は微粒子分別マイクロシステム1と同じであるのでここでの説明は省略する。
【0055】
微粒子計測部50は、光学的に計測することにより分別の対象となる微粒子10が微粒子計測部50を通過したか否かを検出し得るように構成されている。具体的に微粒子計測部50は蛍光による計測、吸光による計測、化学発光による計測などが挙げられるがこれらに制限されるものではない。
【0056】
微粒子回収流路70a及び微粒子廃棄流路70b(以下、これをまとめて分離・回収流路70と称す)は、微粒子計測部50の下流に設置された微粒子10を分別するための流路であり、この分離・回収流路70は分離する微粒子10の種類に応じてそれぞれ流路の数を増減させることができる。
【0057】
以上の構成において、微粒子分別マイクロシステム100を用いて微粒子10は、以下の手順で分別される。
【0058】
なお、この場合、赤外線照射装置8による赤外線照射がない状態では、微粒子含溶液11の両側から合流するシース溶液12の流量を制御することによって、微粒子含溶液11を常に微粒子廃棄流路7bへ流出させているようにしておく。本実施形態の場合、微粒子含溶液11の両側からシース溶液12を導入したことにより、両側のシース溶液12の流量を微調整することや流路幅を変化させることで、微粒子含溶液11の流れの方向を容易に変えることができる。
【0059】
また、このとき、微粒子含溶液11は両側部を流れるシース溶液12とシースフロー状態を形成するので、微粒子含溶液11の流路断面積は小さくなり、かつ、微粒子含溶液11の流速が大きくなっていることも、微粒子分別マイクロシステム1の場合と同様である。
【0060】
微粒子含溶液11内に回収したい微粒子10が含まれていると、微粒子10が微粒子計測部5を通過したとき、通過したことが微粒子計測部5によって検出され、その検出信号が赤外線照射装置8へ送出される。これにより赤外線照射装置8は、微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13に赤外線を照射する。赤外線を受けた部分は、微粒子含溶液11中ゾル−ゲル転移物質の温度が上昇し、これに伴い当該ゾル−ゲル転移物質がゲル化することで流路抵抗が高くなる。このようにして微粒子分別マイクロシステム100でも、微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13において流路抵抗を高くすることで、微粒子含溶液11の流れが妨げられ、これにより、微粒子含溶液11を微粒子回収流路7aに向かって流すことができる。
【0061】
微粒子回収流路7aに回収したい微粒子10が含まれていると、微粒子10が微粒子計測部50を通過したとき、通過したことが微粒子計測部50によって検出され、その検出信号が赤外線照射装置8へ送出される。これにより赤外線照射装置8は、微粒子廃棄流路70bにおける分岐点60の近傍部130に赤外線を照射する。赤外線を受けた部分は、微粒子含溶液11中ゾル−ゲル転移物質の温度が上昇し、これに伴い当該ゾル−ゲル転移物質がゲル化することで流路抵抗が高くなる。このようにして微粒子分別マイクロシステム100では、微粒子廃棄流路70bにおける分岐点60の近傍部130において流路抵抗を高くすることで、微粒子含溶液11の流れが妨げられ、これにより、微粒子含溶液11を微粒子回収流路70aに向かって流すことができる。本実施形態では、微粒子含溶液11をシース溶液12により流路の中心付近に絞り込むことで、微粒子含溶液11の流れの幅を小さくすることができ、微粒子含溶液11の中の微粒子10は均一な流速をもった流れを形成することが可能となる。これにより微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13および微粒子廃棄流路70bにおける分岐点60の近傍部130において、粘度変化を示す物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで瞬時に流路抵抗を増加させ、微粒子含溶液11およびシース溶液12の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができる。
【0062】
したがって、微粒子分別マイクロシステム100では、微粒子含溶液11を微粒子10が流れてくると、微粒子回収流路7aを介して微粒子回収流路70aに微粒子10を流出でき、かくして、微粒子10を確実に回収することができる。
【0063】
本実施形態では、微粒子含溶液11をシース溶液12により流路の中心付近に絞り込むことで、微粒子含溶液11の流れの幅を小さくすることができ、微粒子含溶液11の中の微粒子10は均一な流速をもった流れを形成することが可能となる。これにより微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13および微粒子廃棄流路70bにおける分岐点60の近傍部130において、粘度変化を示す物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで瞬時に流路抵抗を増加させ、微粒子含溶液11およびシース溶液12の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができる。より高速かつより確実に流れの方向を変えることができることより、微粒子分別マイクロシステム100では、少ない刺激によってより高速かつより高精度に微粒子を分別できる。また、本実施例では、赤外線照射による熱刺激は、回収したい微粒子10が流れてきたときのみ刺激を与えればよく、常時熱刺激を与える必要はない。したがって、常時熱刺激を与える場合に比較して、刺激は少なくできる。
【0064】
また、微粒子分別マイクロシステム100では、微粒子の選別を2回行なっているので、より正確に所望の微粒子を分別できる。
【0065】
以上のように、本実施形態の微粒子分別マイクロシステム100は、基板2上に微粒子含溶液11が流れる微粒子含溶液流路3およびシース溶液12が流れるシース溶液流路4とを有し、前記微粒子含溶液11および前記シース溶液12がシースフロー状態を形成するように構成した微粒子分別マイクロシステムであって、前記微粒子含溶液11に添加した刺激感応物質に刺激を与える刺激付与手段としての赤外線照射装置8を有し、前記赤外線照射装置8により前記刺激感応物質に刺激を与えることによって前記微粒子含溶液11の流れを制御するように構成したものであるので、前記微粒子含溶液11および前記シース溶液12がシースフロー状態を形成し、微粒子含溶液11またはシース溶液12に添加した刺激感応物質にわずかの刺激を与えることで、微粒子含溶液11またはシース溶液12の流れの方向を高速かつ確実に変えることができ、所望の微粒子を高速かつ確実に分別することができる。
【0066】
また、本実施形態の微粒子分別マイクロシステム100は、前記刺激感応物質がゾル−ゲル転移物質であるので、ゾル−ゲル転移物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで微粒子含溶液11またはシース溶液12の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができ、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0067】
さらに、本実施形態の微粒子分別マイクロシステム100は、前記刺激が熱であるので、刺激付与手段である赤外線照射装置8がより簡便であり、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【実施例1】
【0068】
以下、第1の実施形態の実施例を説明する。
【0069】
PDMS(polydimethylsiloxane)製の基板に幅20μm、深さ4μmの溝を図1に示すように形成し、溝を形成した面にカバーガラスを接着して、微粒子含溶液流路、シース溶液流路、合流流路、微粒子回収流路および微粒子廃棄流路とした。
【0070】
形成した微粒子含溶液流路に、分別したい微粒子としての直径0.5μmの蛍光ラテックスビーズを含む10重量%濃度のメビオール(登録商標)ジェル溶液を流量2.0nL/minで流し、形成したシース溶液流路に10重量%濃度のメビオール(登録商標)ジェル溶液のみからなるシース溶液を流量10.0nL/minで流した。このとき使用したメビオール(登録商標)ジェルは36℃でゾルーゲル転移を示す。
【0071】
この流路における流体の流れをCCDカメラにより33ms積算像として撮影し(テキサスインスツルメンツ社製MC681SPD)、蛍光ラテックスビーズの輝線を重ね合わせた結果を図4に示す。赤外線が照射されていない状態では、微粒子含有液および微粒子が微粒子廃棄流路に流れる様子が観察された。
【0072】
次に、微粒子計測部において、光電子増倍管(浜松ホトニクス社製、H7421−40)によって蛍光強度を計測し、直径0.5μmの蛍光ラテックスビーズが検出された場合には微粒子廃棄流路における分岐点の近傍部に、波長1480nm、出力7.37mWの赤外線を照射した。赤外線が照射された部分のメビオール(登録商標)ジェルのゲル化によって、粘度上昇、流路抵抗上昇が引き起こされ、微粒子廃棄流路に流れる流量が減少し、微粒子含溶液流路に流れる流量が増加することで、微粒子含有液および微粒子が微粒子含溶液流路に一時的に流れた。このときの様子を蛍光ラテックスビーズの輝線を重ね合わせた結果を図5に示す。
【0073】
以上より、流体中のメビオール(登録商標)ジェルが赤外線の断続的な照射にすばやく応答し、流路抵抗を変化させることによって、少ない刺激で、シース溶液に挟まれた微粒子および微粒子含溶液の流れる方向を高速かつ高精度に制御できることが確認された。
(2)第2の実施形態
次に、微粒子分別マイクロシステム及び微粒子分別方法の第2の実施形態について説明する。図6に本発明の第2の実施形態による微粒子分別マイクロシステムの水平方向の断面図を示す。図6には、図1との対応部分に同一符号を付して示した。
【0074】
第2の実施形態による微粒子分別マイクロシステム201は、刺激感応物質としてのゾル−ゲル転移物質が添加された微粒子含溶液11が流れる微粒子含溶液流路3と、所定位置で当該微粒子含溶液流路3と合流するシース溶液12が流れるシース溶液流路4と、微粒子含溶液流路3とシース溶液流路4とが合流した合流流路9と、当該合流流路9に設けられた導入された微粒子10を計測するための微粒子計測部5と、合流流路9の下流に設けられ、分岐点6を介して分岐する微粒子10を分別するための微粒子回収流路7a及び微粒子廃棄流路7bとが、基板2上に設けられるとともに、当該微粒子廃棄流路7b上に刺激付与手段としての赤外線照射装置8が設けられた構成を有する点(図示せず)は、第1の実施の形態の微粒子分別マイクロシステム1と全く同一である。
【0075】
微粒子分別マイクロシステム201では、微粒子含溶液流路3の左右両側部から合流するシース溶液12が流れるシース溶液流路4とあわせて上下両側部から合流するシース溶液12が流れるシース溶液流路204が配置されている点が相違する。各流路の位置関係を、微粒子分別マイクロシステム201の垂直方向断面図である図7に示す。
【0076】
シース溶液流路4は、微粒子計測部5よりも上流側において、微粒子含溶液流路3の左右両側および上下両側から当該微粒子含溶液流路3に合流するように形成されており、これにより、シース溶液12によって微粒子含溶液11の流れを左右両側および上下両側から挟みこみ、この状態のまま微粒子含溶液11を合流流路9に導入させ得るようになされている。かくして合流流路9では、図8に示すように、左右両側および上下両側部を流れるシース溶液12によって、微粒子含溶液11の流路断面が左右および上下両方向で小さくなり、微粒子含溶液11の流速をより大きくすることが可能となる。
【0077】
第2の実施形態のその他の各構成の詳細、微粒子分別マイクロシステム201を用いて微粒子10を分別する手順は、第1の実施形態と同一であるので説明を省略する。
【0078】
第2の実施形態では、微粒子含溶液11の左右両側および上下両側部を流れるシース溶液12によって微粒子含溶液11の流れを流路の中心付近に絞り込むことで、微粒子含溶液11の流路断面積をより小さくすることができ、微粒子含溶液11の中の微粒子10はより均一な流速をもった流れを形成することが可能となる。これにより微粒子廃棄流路7bにおける分岐点6の近傍部13において、粘度変化を示す物質によりわずかの刺激を与え粘性を変えることで瞬時に流路抵抗を増加させ、微粒子含溶液11およびシース溶液12の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができる。より高速かつより確実に流れの方向を変えることができることより、微粒子分別マイクロシステム201では、より少ない刺激によって高速かつ高精度に微粒子を分別できる。また、本実施例では、赤外線照射による熱刺激は、回収したい微粒子10が流れてきたときのみ刺激を与えればよく、常時熱刺激を与える必要はない。したがって、常時熱刺激を与える場合に比較して、刺激は少なくできる。
【0079】
以上のように、本実施形態の微粒子分別マイクロシステム201は、基板2上に微粒子含溶液11が流れる微粒子含溶液流路3およびシース溶液12が流れるシース溶液流路4およびシース溶液流路204とを有し、前記微粒子含溶液11および前記シース溶液12がシースフロー状態を形成するように構成した微粒子分別マイクロシステムであって、前記微粒子含溶液11に添加した刺激感応物質に刺激を与える刺激付与手段としての赤外線照射装置8を有し、前記赤外線照射装置8により前記刺激感応物質に刺激を与えることによって前記微粒子含溶液11の流れを制御するように構成したものであるので、前記微粒子含溶液11および前記シース溶液12がシースフロー状態を形成し、微粒子含溶液11またはシース溶液12に添加した刺激感応物質にさらにわずかの刺激を与えることで、微粒子含溶液11またはシース溶液12の流れの方向を高速かつ確実に変えることができ、所望の微粒子を高速かつ確実に分別することができる。
【0080】
また、本実施形態の微粒子分別マイクロシステム201は、前記刺激感応物質がゾル−ゲル転移物質であるので、ゾル−ゲル転移物質にわずかの刺激を与え粘性を変えることで微粒子含溶液11またはシース溶液12の流れの方向をより高速かつより確実に変えることができ、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0081】
さらに、本実施形態の微粒子分別マイクロシステム201は、前記刺激が熱であるので、刺激付与手段である赤外線照射装置8がより簡便であり、所望の微粒子をより高速かつより確実に分別することができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態および実施例を説明したが、本発明は、前記実施の形態や実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施形態の微粒子分別マイクロシステムの水平方向の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の微粒子分別マイクロシステムの合流流路断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の変形例の微粒子分別マイクロシステムの水平方向の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態での、赤外線を照射しないときの流れを示す写真である。
【図5】本発明の第1の実施形態での、赤外線を照射したときの流れを示す写真である。
【図6】本発明の第2の実施形態の微粒子分別マイクロシステムの水平方向の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の微粒子分別マイクロシステムの垂直方向の断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の微粒子分別マイクロシステムの合流流路断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1,100,201 微粒子分別マイクロシステム
2 基板
3 微粒子含溶液流路
4 シース溶液流路
5,50 微粒子計測部
6,60 分岐点
7,70 分離・回収流路
7a,70a 微粒子回収流路
7b,70b 微粒子廃棄流路
8 赤外線照射装置
9 合流流路
・ 微粒子
11 微粒子含溶液
12 シース溶液
13,130 近傍部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に微粒子含溶液が流れる微粒子含溶液流路およびシース溶液が流れるシース溶液流路とを有し、
前記微粒子含溶液および前記シース溶液がシースフロー状態を形成するように構成した微粒子分別マイクロシステムであって、
前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加した刺激感応物質に刺激を与える刺激付与手段を有し、前記刺激付与手段により前記刺激感応物質に刺激を与えることによって前記微粒子含溶液または前記シース溶液の流れを制御するように構成したことを特徴とする微粒子分別マイクロシステム。
【請求項2】
前記刺激感応物質がゾル−ゲル転移を示す物質であることを特徴とする請求項1記載の微粒子分別マイクロシステム。
【請求項3】
前記刺激感応物質が粘度変化を示す物質であることを特徴とする請求項1記載の微粒子分別マイクロシステム。
【請求項4】
前記刺激が光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒子分別マイクロシステム。
【請求項5】
前記刺激が熱であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒子分別マイクロシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の微粒子分別マイクロシステムを備えたことを特徴とする微粒子分別装置。
【請求項7】
微粒子含溶液が流れる微粒子含溶液流路およびシース溶液が流れるシース溶液流路とを有する基板上に前記微粒子含溶液と前記シース溶液でシースフロー状態を形成し、前記微粒子含溶液または前記シース溶液の少なくとも1つに添加した刺激感応物質に刺激を与えることによって前記微粒子含溶液または前記シース溶液の流れを制御することを特徴とする微粒子分別方法。
【請求項8】
前記刺激感応物質がゾル−ゲル転移を示す物質であることを特徴とする請求項7記載の微粒子分別方法。
【請求項9】
前記刺激感応物質が粘度変化を示す物質であることを特徴とする請求項7記載の微粒子分別方法。
【請求項10】
前記刺激が光であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の微粒子分別方法。
【請求項11】
前記刺激が熱であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の微粒子分別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−148981(P2007−148981A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345393(P2005−345393)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【Fターム(参考)】