説明

微細パターン形成用樹脂組成物及び微細パターン形成方法

【課題】基板の表面状態の如何にかかわらず、レジストパターンのパターン間隙を実効的に、精度よく微細化することができ、波長限界を超えるパターンを良好かつ経済的に低コストでパターン欠陥の少ない状態で形成することができることに加え、パターン収縮率をより向上させることが可能な樹脂組成物、及びこれを用いて効率よく微細レジストパターンを形成できる微細パターン形成方法を提供する。
【解決手段】水酸基を含有する樹脂と、架橋成分と、アルコール及び全溶媒に対して10重量%以下の水を含むアルコール系溶媒と、を含有する微細パターン形成用樹脂組成物であって、前記架橋成分として、その分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物を含有する微細パターン形成用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトレジストを用いた微細加工技術に関して、パターニング後に熱処理によりパターンを収縮させる際に用いられる微細パターン形成用樹脂組成物及び微細パターン形成方法に関する。更に詳細には、パターン収縮率をより向上させることが可能な微細パターン形成用樹脂組成物及び微細パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の微細化が進むに伴い、その製造方法におけるリソグラフィー工程において、いっそうの微細化が要求されるようになってきている。即ち、リソグラフィー工程では、現在100nm以下の微細加工が必要になってきており、ArFエキシマレーザー光、Fエキシマレーザー光等の短波長の照射光に対応したフォトレジスト材料を用いて、微細なパターンを形成させる方法が種々検討されている。
【0003】
このようなリソグラフィー技術においては、露光波長の制約から、微細化には自ずと限界が生ずる。従って、これまで、この波長限界を超える微細パターンの形成を可能にするための研究が行なわれてきた。例えば、ポリメチルメタクリレート等の電子線用レジストをパターン化し、該レジストパターン上にポジ型レジストを塗布したのち、加熱処理して該レジストパターンとポジレジスト層との境界に反応層を設け、ポジ型レジストの非反応部分を除去することにより、レジストパターンを微細化する方法(特許文献1)、下層レジストパターンと上層レジストとの間に酸発生剤や酸による熱架橋を利用して反応層を形成させる方法(特許文献2)、上層レジスト塗布液として、感光性成分を含まず、水溶性樹脂や水溶性架橋剤、或いはこれらの混合物を水溶性溶媒に溶解した微細パターン形成材料を用いて半導体装置を製造する方法(特許文献3)、基板上に化学増幅型レジストからなる感光層を設け、画像形成露光後、現像処理してレジストパターンを形成させ、このレジストパターン上に、ポリビニルアセタールのような水溶性樹脂やテトラ(ヒドロキシメチル)グリコールウリルのような水溶性架橋剤とアミンのような水溶性含窒素有機化合物と、場合によりフッ素及びケイ素含有界面活性剤とを含む塗膜形成剤を塗布したのち、加熱処理してレジストパターンとレジストパターン微細化用塗膜との界面に水不溶性の反応層を形成させ、次いで純水により、レジストパターン微細化用塗膜の非反応部分を除去する方法(特許文献4)等が提案されている。
【0004】
これらの方法は、感光性レジスト(下層レジスト)の波長限界をこえ、微細パターン形成材料(上層レジスト)によるパターンの微細化を簡単に行なうことができるという点で好ましいものである。しかしながら、レジストパターンの底部分の不必要な部分まで微細パターン形成材料の架橋を生じたり、裾ひき形状となったり、微細パターン形成材料の断面形状の垂直性が不良になったり、或いは上層レジストパターンサイズが架橋を起こすための加熱であるミキシングベークによりパターン形状が左右される等の問題があり、まだ十分に満足しうるものとはいえない。また、これらのプロセスは10数nm/℃と熱依存性が高く、基板の大型化、パターンの微細化に際し、ウエーハ面内での温度を均一に保つことは困難であるため、得られたパターンの寸法制御性が低下するという問題がある。更に、上記の水溶性樹脂を用いた微細パターン形成材料は、水への溶解性の制限からドライエッチングに対する耐性が低いという問題がある。半導体デバイスを作成するに際し、レジストパターンをマスクにドライエッチングにより基板上にパターンを転写するが、ドライエッチング耐性が低いとレジストパターンが基板上に精度良く転写できないという問題点がある。
【0005】
そのほか、基板上にフォトレジストパターンを形成したのち、それに熱又は放射線照射を施し、フォトレジストパターンを流動化させ、パターン寸法を解像限界よりも小さくする、いわゆる熱フロープロセスが提案されている(特許文献5、特許文献6)。しかしながら、この方法では、熱や放射線によるレジストの流動制御が困難であり、品質の一定した製品が得られないという問題がある。
【0006】
更に、この熱フロープロセスを発展させた方法として、基板上にフォトレジストパターンを形成したのち、その上に水溶性樹脂膜を設け、フォトレジストの流動を制御する方法(特許文献7)が提案されている。しかしながら、この方法で用いられるポリビニルアルコールのような水溶性樹脂は、水による除去時に必要とされる溶解性や経時安定性が不十分であり、残留分を生じるという欠点がある。
【0007】
更には、フォトレジストを用いて形成されたレジストパターンを熱収縮させて、微細レジストパターンを形成する際に、レジストパターン上被覆形成剤を設け、熱処理により、レジストパターンを熱収縮させ、水洗により除去し得るレジストパターン微細化用被覆形成剤、及びこのものを用いて効率よく微細レジストパターンを形成させる方法(特許文献8)が提案されている。しかしながら、この方法ではレジストパターン微細化用被覆形成剤は水系であり、直径100nm以下のコンタクトホール等の微細なパターンへの被覆性が不十分であり、かつ水系であるため塗布時に専用のカップが必要になるためコストアップとなり、更に、輸送等で低温となる場合、凍結・析出が生じるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明者らは、水酸基を含有する樹脂と、架橋成分と、全溶媒に対して10重量%以下の水を含むアルコール溶媒とを含有する微細パターン形成用樹脂組成物を提案している(特許文献9)。
【0009】
【特許文献1】特許第2723260号公報
【特許文献2】特開平6−250379号公報
【特許文献3】特開平10−73927号公報
【特許文献4】特開2001−19860号公報
【特許文献5】特開平1−307228号公報
【特許文献6】特開平4−364021号公報
【特許文献7】特開平7−45510号公報
【特許文献8】特開2003−195527号公報
【特許文献9】国際公開第05/116776号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献9に記載の微細パターン形成用樹脂組成物は、パターニング後において、熱処理によりパターンを収縮させる際に用いられる樹脂組成物であり、その溶媒を水系ではなくアルコール溶媒としたので、微細なレジストパターンへの塗布特性に優れ、また硬化膜の寸法制御性にも優れている。このため、基板の表面状態の如何にかかわらず、レジストパターンのパターン間隙を実効的に、精度よく微細化することができ、波長限界を超えるパターンを良好かつ経済的に低コストでパターン欠陥の少ない状態で形成することができるという利点がある。しかしながら、近年、レジストパターンの形成においては、パターン収縮率の更なる向上が求められており、より安定してパターン収縮率を向上させることができる方策が切望されている。
【0011】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、基板の表面状態の如何にかかわらず、レジストパターンのパターン間隙を実効的に、精度よく微細化することができ、波長限界を超えるパターンを良好かつ経済的に低コストでパターン欠陥の少ない状態で形成することができるという特許文献9に記載の樹脂組成物の利点を保持しつつ、パターン収縮率をより向上させることが可能な樹脂組成物、及びこれを用いて効率よく微細レジストパターンを形成できる微細パターン形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、特許文献9に記載のような樹脂組成物について、鋭意研究を重ねた結果、架橋成分として、その分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物を含有せしめることにより、パターン収縮率をより向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下の微細パターン形成用樹脂組成物及び微細パターン形成方法が提供される。
【0013】
[1] 水酸基を含有する樹脂と、架橋成分と、アルコール及び全溶媒に対して10重量%以下の水を含むアルコール系溶媒と、を含有する微細パターン形成用樹脂組成物であって、前記架橋成分として、その分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物を含有する微細パターン形成用樹脂組成物。
【0014】
[2] 前記アルコールが、炭素数1〜8の1価アルコールである前記[1]に記載の微細パターン形成用樹脂組成物。
【0015】
[3] 前記架橋成分として、更に、下記式(1)で表される基を含む化合物を含有する前記[1]又は[2]に記載の微細パターン形成用樹脂組成物。
【化1】

(式(1)において、R及びRは、水素原子又は下記式(2)で表され、R及びRの少なくとも1つは下記式(2)で表され;
【化2】

式(2)において、R及びRは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6にアルコキシアルキル基、又はR及びRが互いに連結した炭素数2〜10の環を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【0016】
[4] 水酸基を含有する樹脂と、架橋成分と、アルコール及び全溶媒に対して10重量%以下の水を含むアルコール系溶媒と、を含有する微細パターン形成用樹脂組成物であって、前記架橋成分として、その分子内にオキセタニル基を2個以上有する化合物、及び下記式(1)で表される基を含む化合物を含有する微細パターン形成用樹脂組成物。
【化3】

(式(1)において、R及びRは、水素原子又は下記式(2)で表され、R及びRの少なくとも1つは下記式(2)で表され;
【化4】

式(2)において、R及びRは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6にアルコキシアルキル基、又はR及びRが互いに連結した炭素数2〜10の環を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【0017】
[5] 基板上にレジストパターンを形成するパターン形成工程と、このレジストパターン上に微細パターン形成用樹脂組成物の被膜を形成する被膜形成工程と、前記被膜が形成された基板を熱処理する熱処理工程と、アルカリ水溶液により前記被膜を除去し、水で洗浄する被膜除去工程とを含む微細パターン形成方法において、前記微細パターン形成用樹脂組成物として、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の微細パターン形成用樹脂組成物を用いる微細パターン形成方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明の微細パターン形成用樹脂組成物は、基板の表面状態の如何にかかわらず、レジストパターンのパターン間隙を実効的に、精度よく微細化することができ、波長限界を超えるパターンを良好かつ経済的に低コストでパターン欠陥の少ない状態で形成することができることに加え、パターン収縮率をより向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[1]微細パターン形成用樹脂組成物:
本発明の微細パターン形成用樹脂組成物は、水酸基を含有する樹脂と架橋成分とアルコール性溶媒とからなるアルコール溶液である。そして、架橋成分としては、(1)その分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物を含有しているか、(2)その分子内にオキセタニル基を2個以上有する化合物と下記式(1)で表される基を含む化合物とを含有している。
【化5】

(式(1)において、R及びRは、水素原子又は下記式(2)で表され、R及びRの少なくとも1つは下記式(2)で表され;
【化6】

式(2)において、R及びRは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6にアルコキシアルキル基、又はR及びRが互いに連結した炭素数2〜10の環を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【0020】
[1−1]水酸基を含有する樹脂:
水酸基を含有する樹脂としては、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類に由来する水酸基のうち少なくとも1種の水酸基(−OH)を有する構成単位を含む樹脂であればよい。該樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、ビニル系樹脂(以下、(メタ)アクリル系樹脂及びビニル系樹脂「共重合体I」という。)、ノボラック系樹脂、又はこれらの混合樹脂を用いることができる。アルコール可溶性の水酸基を含有する上記樹脂を用いることにより、エッチング耐性に優れた微細パターン形成用樹脂組成物が得られる。
【0021】
共重合体Iは、アルコール性水酸基、カルボン酸由来の水酸基、フェノール性水酸基のうち少なくとも1種の水酸基を有する単量体を共重合することにより得られる。
【0022】
アルコール性水酸基を含有する単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを例示することができ、好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。これらの単量体は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用できる。
【0023】
また、α位のフルオロアルキル基を有する下記式(3)に示す水酸基を有する単量体を使用することができる。
【化7】

式(3)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。また、Rは直鎖状又は環状の2価の炭化水素基を表す。
【0024】
としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基)、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、インサレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等、炭素数3〜10のシクロアルキレン基等の単環式炭化水素環基、1,4−ノルボルニレン基や2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基や2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の2ないし4環式の炭素数4〜30の炭化水素環基等の架橋環式炭化水素環基を挙げることができる。
【0025】
特に、Rが脂肪族環状炭化水素基であるときは、ビストリフルオロメチル−ヒドロキシメチル基とRとの間にスペーサーとして炭素数1〜4のアルキレン基を挿入することが好ましい。上記の中で、式(3)としては、Rが2,5−ノルボルニレン基、1,2−プロピレン基が好ましい。好適な式(3)としては、4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−トリフルオロメチル−1−ブチルメタクリレートが挙げられる。これらの単量体は、共重合体を構成する全単量体に対して、通常5〜90モル%、好ましくは、10〜60モル%である。
【0026】
カルボン酸等の有機酸由来の水酸基を含有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−サクシノロイルエチル(メタ)アクリレート、2−マレイノロイルエチル(メタ)アクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、t−ブトキシメタクリレート、t−ブチルアクリレート等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体等を例示することができ、これらの化合物は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用できる。なお、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレートの市販品としては、例えば東亞合成社製アロニックスM−5300が、アクリル酸ダイマーの市販品としては、例えば同社製アロニックスM−5600が、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートの市販品としては、例えば同社製アロニックスM−5700がそれぞれ例示できる。
【0027】
これらの中ではアクリル酸、メタクリル酸、2−ヘキサヒドロフタロイルエチルメタクリレートが好ましい。これらの単量体は、共重合体を構成する全単量体に対して、通常5〜90モル%、好ましくは、10〜60モル%である。
【0028】
フェノール性水酸基を有する単量体としては、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−m−ヒドロキシスチレン、α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、2−アリル−6−メチルフェノール、2−アリル−6−メトキシフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノール、4−アリル−2,6−ジメトキシフェノール、4−アリルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン等を例示することができ、これらの中で、p−ヒドロキシスチレン又はα−メチル−p−ヒドロキシスチレンが好ましい。
【0029】
また、フェノール性水酸基を有する単量体として、分子内にアミド基を有する下記式(4)で表される単量体が挙げられる。
【化8】

及びR10は水素原子又はメチル基を表し、Rは式(3)におけるRと同一である。式(4)で表される単量体としては、p−ヒドロキシメタクリルアニリドが好ましい。式(4)で表されるフェノール性水酸基を有する単量体は、共重合体を構成する全単量体に対して、通常30〜95モル%、好ましくは40〜90モル%である。
【0030】
更に、共重合後のフェノール性水酸基に変換できる官能基を有する単量体を共重合することもでき、例えば、p−アセトキシスチレン、α−メチル−p−アセトキシスチレン、p−ベンジロキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、p−tert−ブトキシカルボニロキシスチレン、p−tert−ブチルジメチルシロキシスチレン等が挙げられる。これらの官能基含有化合物を用いた場合には、得られた共重合体は、適当な処理、例えば塩酸等を用いた加水分解を行なうことにより、容易に上記官能基をフェノール性水酸基に変換することができる。これらのフェノール性水酸基に変換する前及び変換後の単量体は、共重合体を構成する全単量体に対して、通常5〜90モル%、好ましくは、10〜80モル%である。
【0031】
これらのアルコール性水酸基、カルボン酸由来の水酸基、又はフェノール性水酸基を有する単量体は、共重合体Iを構成する全単量体に対して、それぞれ上記範囲である。水酸基を有する構成単位が少なすぎると、後述する架橋成分との反応部位が少なすぎ、パターンの収縮を起こすことができず、逆に多すぎると現像時に膨潤を起こしパターンを埋めてしまうおそれがある。
また、例えば、フェノール性水酸基を有する単量体及びアルコール性水酸基を有する単量体の場合、水酸基を有する構成単位のみとすることができる。
【0032】
また、共重合体Iには、樹脂の親水性や溶解性をコントロールする目的で、他の単量体を共重合することができる。他の単量体としては、上記アルコール性水酸基、カルボン酸等の有機酸由来の水酸基、フェノール性水酸基のうち少なくとも1種の水酸基を有する単量体以外の単量体であり、このような他の単量体としては、(メタ)アクリル酸アリールエステル類、ジカルボン酸ジエステル類、ニトリル基含有重合性化合物、アミド結合含有重合性化合物、ビニル類、アリル類、塩素含有重合性化合物、共役ジオレフィン等を挙げることができる。
【0033】
具体的には、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン等の芳香族ビニル類;t−ブチル(メタ)アクリレート、4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−トリフルオロメチル−1−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物;酢酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類を用いることができる。これらの化合物は単独でもしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0034】
共重合体Iは、例えば、各単量体の混合物を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより製造することができる。
【0035】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の飽和カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のアルキルラクトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;2−ブタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;シクロヘキサノン等のシクロアルキルケトン類;2−プロパノール、1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類等を挙げられる。これらの溶媒は、単独で或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0036】
また、上記重合における反応温度は、通常、40〜120℃、好ましくは50〜100℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
【0037】
共重合体Iは、純度が高いことが好ましく、ハロゲン、金属等の不純物の含有量が少ないだけでなく、残留する単量体やオリゴマー成分が既定値以下、例えばHPLCによる分析で0.1質量%以下等であることが好ましい。これによって、共重合体Iを含有する本発明の微細パターン形成用樹脂組成物としてのプロセス安定性、パターン形状等を更に改善することができるだけでなく、液中異物や感度等の経時変化がない微細パターン形成用樹脂組成物を提供することができる。
【0038】
上記のような方法で得られた共重合体Iの精製方法として、以下の方法が挙げられる。
金属等の不純物を除去する方法としては、ゼータ電位フィルターを用いて重合溶液中の金属を吸着させる方法、蓚酸、スルホン酸等の酸性水溶液で重合溶液を洗浄することで金属をキレート状態にして除去する方法等が挙げられる。また、残留する単量体やオリゴマー成分を規定値以下に除去する方法としては、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留する単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外濾過等の溶液状態での精製方法、重合溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留する単量体等を除去する再沈澱法、濾別した樹脂スラリー貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
【0039】
このようにして得られる共重合体Iの重量平均分子量Mwはゲルパーミエーションクロマト法ポリスチレン換算で通常1,000〜500,000、好ましくは1,000〜50,000、特に好ましくは1,000〜20,000である。分子量が大きすぎる、熱硬化後に現像液で除去することができなくなるおそれがあり、低すぎると塗布後に均一な塗膜を形成できないおそれがある。
【0040】
本発明に用いられるノボラック系樹脂は、好ましくはアルカリ可溶性のものである。このようなノボラック系樹脂は、例えばフェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。この際使用されるフェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、pーフェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。またアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。付加縮合反応時の触媒として、特に限定されるものではないが例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、蓚酸、酢酸等が使用される。ノボラック樹脂の重量平均分子量はとくに制限されないが、1,000〜30,000が好ましい。
【0041】
[1−2]架橋成分:
本発明の組成物は、架橋成分として、その分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(以下、「架橋成分Ia」という)を含有するものである。このような化合物を架橋成分として用いることによって、パターン収縮率をより向上させることができるという好ましい効果が発揮される。
【0042】
分子内のエポキシ基数について特に上限はないが、2〜6個であることが好ましく、2〜4個であることが更に好ましい。分子内のエポキシ基の数を2〜6個とすることにより、溶液としての保存安定性を維持しつつ、パターン収縮率をより大きくすることができる。一方、分子内のエポキシ基の数が6個を超えると、条件によっては組成物の保存安定性が低下するおそれがある。
【0043】
「架橋成分Ia」としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等のエポキシシクロヘキシル基含有化合物;
【0044】
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル等の芳香族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;
【0045】
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;等を挙げることができる。
【0046】
中でも、パターン収縮率を効果的に向上させることができるという理由から、ポリグリシジルエーテル類が好ましく、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類が更に好ましく、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0047】
「脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル」の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ基2個、例えば、商品名:エポライト40E、共栄社化学社製)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(エポキシ基3個、例えば、商品名:エポライト100MF、共栄社化学社製)、ジメチロールプロパンジグリシジルエーテル(エポキシ基2個、例えば、商品名:エポライト1500NP、共栄社化学社製)、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(エポキシ基4個、例えば、商品名:デナコールEX−411、ナガセケムテックス社製)等を挙げることができる。これらの中では、パターン収縮率を向上させる効果が特に大きいという理由から、トリメチロールエタントリグリシジルエーテルが好ましい。
【0048】
本発明における架橋成分Iaの配合量は、水酸基を有する樹脂100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは5〜100重量部である。配合量が5重量部未満ではパターン収縮率の向上が不十分となる傾向がある。一方、200重量部を超えると組成物としての保存安定性が悪化するおそれがある。
【0049】
本発明の組成物は、架橋成分として、前記架橋成分Iに加えて、下記式(1)で表される基を含む化合物(以下、「架橋成分II」という)を含有するものが好ましい。この化合物は、分子内に−NCO−の構造を有するアミナールであり、架橋成分Iと同様に、上述した水酸基を含有する樹脂及び/又は架橋成分が相互に酸の作用により反応する架橋成分(硬化成分)として作用するものである。架橋成分として、架橋成分Iに加えて架橋成分IIを用いると、パターン収縮率が向上する他、架橋成分Iのみでは得られない限界解像度を向上させる効果が発揮されるため好ましい。
【化9】

式(1)において、R及びRは、水素原子又は下記式(2)で表され、R及びRの少なくとも1つは下記式(2)で表され;
【化10】

式(2)において、R及びRは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシアルキル基、又はR及びRが互いに連結した炭素数2〜10の環を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
【0050】
式(1)で表される化合物(架橋成分II)としては、分子内に官能基としてイミノ基、メチロール基又はメトキシメチル基等を有する化合物であり、(ポリ)メチロール化メラミン、(ポリ)メチロール化グリコールウリル、(ポリ)メチロール化ベンゾグアナミン、(ポリ)メチロール化ウレア等の活性メチロール基の全部又は一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物を挙げることができる。ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基、又はこれらを混合したものを挙げることができ、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含有していてもよい。具体的にはヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリル等を例示できる。
【0051】
市販されている化合物としては、サイメル300、同301、同303、同350、同232、同235、同236、同238、同266、同267、同285、同1123、同1123−10、同1170、同370、同771、同272、同1172、同325、同327、同703、同712、同254、同253、同212、同1128、同701、同202、同207(以上、日本サイテック社製)、ニカラックMW−30M、同30、同22、同24X、ニカラックMS−21、同11、同001、ニカラックMX−002、同730、同750、同708、同706、同042、同035、同45、同410、同302、同202、ニカラックSM−651、同652、同653、同551、同451、ニカラックSB−401、同355、同303、同301、同255、同203、同201、ニカラックBX−4000、同37、同55H、ニカラックBL−60(以上、三和ケミカル社製)等を挙げることができる。好ましくは、サイメル300、同325、同327、同703、同712、同254、同253、同212、同1128、同701、同202、同207が好ましい。
【0052】
本発明における架橋成分Iaの配合量は、架橋成分として架橋成分Iaを単独で用いる場合には、水酸基を有する樹脂100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましく、5〜70重量部であることがより好ましい。配合量が1重量部未満では硬化が不十分になり、パターンの収縮が起こらないおそれがあり、100重量部を超えると硬化が進みすぎ、パターンが埋まってしまうおそれがある。
【0053】
架橋成分として架橋成分Iaと架橋成分IIを併用する場合には、架橋成分Iaと架橋成分IIの合計量が、水酸基を有する樹脂100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましく、5〜70重量部であることがより好ましい。架橋成分Iaと架橋成分IIとのブレンド比率としては、80:20〜20:80であることが好ましく、70:30〜30:70であることが更に好ましい。20:80より架橋成分Iaの比率が小さくなると、パターン収縮量不足という不具合を生ずるおそれがある。一方、80:20より架橋成分IIの比率が小さくなると、限界解像度不足という不具合を生ずる傾向がある。
【0054】
また、本発明の組成物は、架橋成分として、その分子内にオキセタニル基を2個以上有する化合物(以下、「架橋成分Ib」という)、及び既に説明した架橋成分IIを含有するものであってもよい。架橋成分Ibは、架橋成分Iと同様に環状エーテルを含む化合物であり、上述した水酸基を含有する樹脂及び/又は架橋成分が相互に酸の作用により反応する架橋成分(硬化成分)として作用するものである。架橋成分として、架橋成分Ibと架橋成分IIを併用すると、パターン収縮率が向上する他、架橋成分Ibのみ、或いは架橋成分IIのみでは得られない、パターン収縮率と限界解像度とを良好なバランスで発揮させるという効果が得られるため好ましい。
【0055】
反応性基として2つ以上のオキセタニル基を含む化合物(架橋成分Ib)は、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の分子中にオキセタン環を2個以上有する化合物;等を挙げることができる。中でも、架橋成分IIと併用した場合に、限界解像度を向上させる効果を得られるという理由から、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが好ましい。
【0056】
架橋成分Ibは架橋成分IIと併用することによりその効果を発揮するが、この架橋成分IIの定義、具体的な化合物、好ましい化合物は既に記載した通りである。
【0057】
架橋成分として架橋成分Ibと架橋成分IIを併用する場合には、架橋成分Ibと架橋成分IIの合計量が、水酸基を有する樹脂100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましく、5〜70重量部であることがより好ましい。配合量が1重量部未満では硬化が不十分になり、パターンの収縮が起こらないおそれがあり、100重量部を超えると硬化が進みすぎ、パターンが埋まってしまうおそれがある。
【0058】
架橋成分Ibと架橋成分IIとのブレンド比率としては、80:20〜20:80であることが好ましく、70:30〜30:70であることが更に好ましい。20:80より架橋成分Iaの比率が小さくなると、パターン収縮量不足という不具合を生ずるおそれがある。一方、80:20より架橋成分IIの比率が小さくなると、限界解像度不足という不具合を生ずる傾向がある。
【0059】
また、水酸基を有する樹脂及び架橋成分の合計量は、後述するアルコール溶媒を含めた樹脂組成物全体に対して、0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。水酸基を有する樹脂及び架橋成分の合計量が、0.1重量%未満では塗膜が薄くなりすぎパターンエッチ部に膜切れを起こすおそれがあり、30重量%を超えると粘度が高くなりすぎ微細なパターンへ埋め込むことができないおそれがある。
【0060】
[1−3]アルコール系溶媒:
本発明に使用できるアルコール系溶媒は、アルコール及び全溶媒に対して10重量%以下の水を含む溶媒である。水酸基を有する樹脂及び架橋成分を十分に溶解し、かつフォトレジスト膜上に塗布するに際し、フォトレジスト膜とインターミキシングを起こさない溶媒であれば使用できる。
【0061】
「アルコール」としては、炭素数1〜8の1価アルコールが好ましい。例えば、1−プロパノール、イソプロバノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノール等が挙げられ、1−ブタノール、2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノールが好ましい。これらのアルコールは、単独で或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
また、アルコール系溶媒は、全溶媒に対して10重量%以下、好ましくは1重量%以下の水を含むことができる。10重量%を超えると水酸基を有する樹脂の溶解性が低下する。なお、「10質量%以下の水を含む」とあるが、水を全く含まないアルコールも本発明の範囲に包含される。即ち、本発明においては、水を全く含まない無水アルコールを「アルコール系溶媒」として使用することも好ましい。また、ここにいう「全溶媒」には、アルコール、水の他、後述する「他の溶媒」も含まれる。
【0063】
本発明の微細パターン形成用樹脂組成物は、フォトレジスト膜上に塗布するに際し、塗布性を調整する目的で、他の溶媒を混合することもできる。他の溶媒は、フォトレジスト膜を浸食せずに、かつ微細パターン形成用樹脂組成物を均一に塗布する作用がある。
【0064】
他の溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられる。これらのうち、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類が好ましい。
【0065】
上記、他の溶媒の配合割合は、全溶媒中の30重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。30重量%を超えると、フォトレジスト膜を浸食し、微細パターン形成用樹脂組成物との間にインターミキシングを起こす等の不具合を発生し、レジストパターンを埋めてしまうおそれがある。
【0066】
[1−4]他の添加物:
本発明の微細パターン形成用樹脂組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させる目的で界面活性剤を配合することもできる。
【0067】
そのような界面活性剤としては、例えばBM−1000、BM−1100(以上、BMケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、旭硝子社製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)等の商品名で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。これらの界面活性剤の配合量は、水酸基を有する樹脂100重量部に対して好ましくは5重量%以下である。
【0068】
[2]微細パターン形成方法:
上記微細パターン形成用樹脂組成物を用いて、次の方法で微細パターンが形成される。
【0069】
[2−1]レジストパターン形成工程:
まず、基板上にレジストパターンを形成する。例えば、スピンコート等の従来公知の方法により8インチ或いは12インチのシリコンウエハ基板上に反射防止膜(有機膜或いは無機膜)を形成する。次いで、スピンコート等の従来公知の方法によりフォトレジストを塗布し、例えば、80℃〜140℃程度、60〜120秒程度の条件でプリベーク(PB)を行なう。その後、g線、i線等の紫外線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、X線、電子線等で露光をし、例えば、80℃〜140℃程度の条件でポストイクスポージャーベーク(PEB)を行なった後、現像し、レジストパターンを形成する。
【0070】
[2−2]被膜形成工程:
次いで、レジストパターン上に微細パターン形成用樹脂組成物の被膜を形成する。例えば、上記レジストパターンが形成された基板に、スピンコート等の従来公知の方法により上記本発明の微細パターン形成用樹脂組成物を塗布する。スピンコートのみで溶剤が揮散し被覆膜を形成する場合がある。また、必要に応じて、例えば、80℃〜110℃程度、60〜120秒程度のプリベーク(PB)し、微細パターン形成用樹脂組成物の被覆膜を形成する。
【0071】
[2−3]熱処理工程:
更に、前記被膜が形成された基板を熱処理する。熱処理により、フォトレジスト由来の酸がフォトレジストとの界面から微細パターン形成用樹脂組成物層中に拡散し、微細パターン形成用樹脂組成物は架橋反応を起こす。フォトレジスト界面からの架橋反応状態は、微細パターン形成用樹脂組成物の材料、使用されるフォトレジスト、ベーク処理温度及びベーク処理時間により決定される。熱処理温度及び熱処理時間は、通常90℃〜160℃程度の温度で、60〜120秒程度で行なわれる。
【0072】
[2−4]被膜除去工程:
最後に、アルカリ水溶液により前記被膜を除去し、水で洗浄する。具体的には、微細パターン形成用樹脂組成物の被覆膜を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液等により現像処理(例えば、60〜120秒程度)して、未架橋の微細パターン形成用樹脂組成物の被覆膜を溶解させて除去する。最後に水で洗浄処理することにより、ホールパターンや楕円パターン、トレンチパターン等を微細化することができる。
【実施例】
【0073】
以下に本発明をその実施例をもって説明するが、本発明の態様はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。以下、実施例に用いた水酸基を含有する樹脂の合成例等について説明する。
【0074】
合成例1〔水酸基を有する樹脂(P−1)の合成〕:
【化11】

【0075】
p−t−ブトキシスチレン(P−1−1)100g、スチレン(P−1−2)10g、アゾビスイソブチロニトリル9.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解し、80℃にて9時間重合反応を行なった。重合液をメタノールで再沈精製し、Mw7,300、Mw/Mn1.80のp−t−ブトキシスチレン/スチレン共重合体100gを得た。この共重合体及び10重量%硫酸水50gをプロピレングリコールモノメチルエーテル300gに溶解し、90℃にて6時間酸加水分解反応を行なった。反応液を多量の水で中性になるまで再沈殿精製し、p−ヒドロキシスチレン/スチレン=85/15モル%の共重合体、Mw5,500、Mw/Mn1.55を65g得た。この共重合体を樹脂(P−1)とする。
【0076】
樹脂(P−1)及び以下の各合成例で得た各重合体のMw及びMnの測定は、東ソー社製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0077】
合成例2〔水酸基を有する樹脂(P−2)の合成〕:
【化12】

【0078】
p−ヒドロキシメタクリルアニリド(P−2−1)90g、t−ブチルメタクリレート(P−2−2)30g、アゾビスイソブチロニトリル9g、2,4−ジフェニルー4−メチル−1−ペンテン5gをメタノールに溶解し、還流条件(63℃)にて8時間重合反応を行なった。重合液をメタノール/水再沈精製及びイソプロピルアルコール/ヘプタン再沈精製し、Mw8,500、Mw/Mn2.08のp−ヒドロキシメタクリルアニリド/t−ブチルメタクリレート=70/30(モル比)からなる共重合体120gを得た。この共重合体を樹脂(P−2)とする。
【0079】
合成例3〔水酸基を有する樹脂(P−3)の合成〕:
【化13】

【0080】
出発原料としてp−ヒドロキシメタクリルアニリド(P−3−1)及びスチレン(P−3−2)とする以外は、合成例5と同様にして、Mw5,200、Mw/Mn1.62のp−ヒドロキシメタクリルアニリド/スチレン=70/30(モル比)からなる共重合体を得た。この共重合体を樹脂(P−3)とする。
【0081】
合成例4〔水酸基を有する樹脂(P−4)の合成〕:
【化14】

【0082】
出発原料としてp−ヒドロキシメタクリルアニリド(P−4−1)及びp−t−ブトキシスチレン(P−4−2)とする以外は、合成例5と同様にして、Mw7,000、Mw/Mn1.77のp−ヒドロキシメタクリルアニリド/p−t−ブトキシスチレン=70/30(モル比)からなる共重合体を得た。この共重合体を樹脂(P−4)とする。
【0083】
合成例5〔水酸基を有する樹脂(P−5)の合成〕:
【化15】

【0084】
出発原料としてp−ヒドロキシメタクリルアニリド(P−5−1)及び4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−トリフルオロメチル−1−ブチルメタクリレート(P−5−2)とする以外は、合成例5と同様にして、Mw9,700、Mw/Mn1.99のp−ヒドロキシメタクリルアニリド/4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−トリフルオロメチル−1−ブチルメタクリレート=85/15(モル比)からなる共重合体を得た。この共重合体を樹脂(P−5)とする。
【0085】
合成例6〔水酸基を有する樹脂(P−6)の合成〕:
【化16】

【0086】
出発原料としてp−ヒドロキシメタクリルアニリド(P−6−1)及び3−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカンメタクリレート(P−6−2)とする以外は、合成例5と同様にして、Mw8,000、Mw/Mn1.80のp−ヒドロキシメタクリルアニリド/3−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカンメタクリレート=70/30(モル比)からなる共重合体を得た。この共重合体を樹脂(P−6)とする。
【0087】
(実施例1〜実施例13、比較例1〜比較例3)
表1に示す割合で、水酸基を含有する樹脂、架橋成分、アルコール溶媒及びその他添加剤を加え、攪拌羽根を使用して3時間攪拌した(100rpm)のち、孔径100nmのフィルターを使用して濾過して、微細パターン形成用樹脂組成物を得た。
【0088】
各実施例及び比較例に用いた架橋成分及びアルコール溶媒を以下に示す。
【0089】
[架橋成分Ia]
E−1:エチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ基2個、商品名:エポライト40E、共栄社化学社製)
E−2:トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(エポキシ基3個、商品名:エポライト100MF、共栄社化学社製)
E−3:ジメチロールプロパンジグリシジルエーテル(エポキシ基2個、商品名:エポライト1500NP、共栄社化学社製)
E−4:ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(エポキシ基4個、商品名:デナコールEX−411、ナガセケムテックス社製)
[架橋成分Ib]
E−5:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチルー3−オキセタニルメチル)エーテル(オキセタニル基6個)
【0090】
[架橋成分II]
C−1:メトシキメチル化メラミン樹脂(商品名:サイメル300、日本サイテックス社製)
C−2:メトシキメチル化メラミン樹脂(商品名:サイメル325、日本サイテックス社製)
【0091】
[アルコール系溶媒]
S−1:1−ブタノール
S−2:水
【0092】
得られた微細パターン形成用樹脂組成物を評価するために、レジストパターン付きの評価用基板を以下の方法で作製した。
【0093】
8インチシリコンウェハ上に下層反射防止膜ARC29A(ブルワーサイエンス社製)をCLEAN TRACK ACT8(東京エレクトロン社製)でスピンコートにより膜厚77nm(PB205℃、60秒)で塗膜を形成した後、JSR ArF AR1244J(JSR株式会社製、脂環族系感放射線性樹脂組成物)のパターニングを実施する。AR1244Jは、スピンコート(CLEAN TRACK ACT8)、PB(130℃、90秒)により膜厚210nmとして塗布し、ArF投影露光装置S306C(ニコン社製)で、NA:0.78、シグマ:0.85、2/3Annの光学条件にて露光(露光量30mJ/cm)を行ない、同CLEAN TRACK ACT8ホットプレートにてPEB(130℃、90秒)を行ない、同CLEAN TRACK ACT8のLDノズルにてパドル現像(60秒間)、超純水にてリンス、次いで4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライし、評価用基板Aを得た。
【0094】
得られた評価用基板Aを走査型電子顕微鏡(日立計測器社製S−9360)で100nm径ホールパターン、100nmスペースのマスクパターン(バイアス+30nm/マスク上は130nm径パターン/70nmスペース)に該当するパターンを観察し、レジストパターンのホール径を測定した。
【0095】
レジストパターン付き評価基板(評価用基板A)を用い、表1記載の微細パターン形成用樹脂組成物を以下の方法で評価した。各評価結果をそれぞれ表1に示す。
【0096】
(1)パターン収縮率評価:
上記評価用基板A上に、表1記載の微細パターン形成用樹脂組成物をCLEAN TRACK ACT8にてスピンコート、ベーク(100℃、90秒)により、膜厚300nm塗布した後、レジストパターンと微細パターン形成用樹脂組成物を反応させるため、155℃、90秒の条件でベークを行なった。ついで、同CLEAN TRACK ACT8のLDノズルにて2.38重量%TMAH水溶液を現像液としてパドル現像(60秒間)、超純水にてリンス、次いで4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライし、評価用基板Bを得た。
【0097】
パターン収縮率は、走査型電子顕微鏡(日立計測器社製S−9360)で100nm径ホールパターン、100nmスペースのマスクパターン(バイアス+30nm/マスク上は130nm径パターン/70nmスペース)に該当するパターンを観察し、パターンのホール径を測定し、下記式よりパターン収縮率を算出した。このとき、パターン収縮率が20%以上のものを「〇」、20%未満のものを「×」とした。
収縮率(%)=[(φ1−φ2)/φ1]×100
φ1:評価用基板Aのレジストパターンホール径(nm)
φ2:評価用基板Bのレジストパターンホール径(nm)
【0098】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の微細パターン形成用樹脂組成物は、基板の表面状態の如何にかかわらず、レジストパターンのパターン間隙を実効的に、精度よく微細化することができ、波長限界を超えるパターンを良好かつ経済的に低コストでパターン欠陥の少ない状態で形成することができることに加え、パターン収縮率をより向上させることが可能であるので、今後ますます微細化が進行するとみられる集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野で極めて好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を含有する樹脂と、架橋成分と、アルコール及び全溶媒に対して10重量%以下の水を含むアルコール系溶媒と、を含有する微細パターン形成用樹脂組成物であって、
前記架橋成分として、その分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物を含有する微細パターン形成用樹脂組成物。
【請求項2】
前記アルコールが、炭素数1〜8の1価アルコールである請求項1に記載の微細パターン形成用樹脂組成物。
【請求項3】
前記架橋成分として、更に、下記式(1)で表される基を含む化合物を含有する請求項1又は2に記載の微細パターン形成用樹脂組成物。
【化1】

(式(1)において、R及びRは、水素原子又は下記式(2)で表され、R及びRの少なくとも1つは下記式(2)で表され;
【化2】

式(2)において、R及びRは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6にアルコキシアルキル基、又はR及びRが互いに連結した炭素数2〜10の環を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【請求項4】
水酸基を含有する樹脂と、架橋成分と、アルコール及び全溶媒に対して10重量%以下の水を含むアルコール系溶媒と、を含有する微細パターン形成用樹脂組成物であって、
前記架橋成分として、その分子内にオキセタニル基を2個以上有する化合物、及び下記式(1)で表される基を含む化合物を含有する微細パターン形成用樹脂組成物。
【化3】

(式(1)において、R及びRは、水素原子又は下記式(2)で表され、R及びRの少なくとも1つは下記式(2)で表され;
【化4】

式(2)において、R及びRは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6にアルコキシアルキル基、又はR及びRが互いに連結した炭素数2〜10の環を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【請求項5】
基板上にレジストパターンを形成するパターン形成工程と、このレジストパターン上に微細パターン形成用樹脂組成物の被膜を形成する被膜形成工程と、前記被膜が形成された基板を熱処理する熱処理工程と、アルカリ水溶液により前記被膜を除去し、水で洗浄する被膜除去工程とを含む微細パターン形成方法において、
前記微細パターン形成用樹脂組成物として、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微細パターン形成用樹脂組成物を用いる微細パターン形成方法。

【公開番号】特開2008−52064(P2008−52064A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228588(P2006−228588)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】